説明

数値解析結果レポート作成方法とシステムおよびプログラム

【課題】数値解析結果レポート作成作業において、簡単な設定で複数の画像データの自動作成とレイアウトの決定を行うことを可能とする。
【解決手段】数値解析結果レポート作成システム101において、数値解析結果データを可視化する際の表示パラメータや表示断面位置、可視化した画像フィアルの表示領域、および、レポートのレイアウト等の各種設定を行う操作画面を表示し、表示した操作画面での設定内容に応じて、予め記憶装置に格納された処理対象の数値解析結果データを選択して読み出し、表示パラメータ、表示断面位置、レイアウト等の各種設定を行うことで自動的に各断面画像データを作成すると共に、その画像データを設定指示された領域に取り込むことでレポートを自動的に作成する。また、レイアウト等の各種設定内容を記憶装置に格納しておき、これらの設定情報を繰り返し利用する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムされたコンピュータによる数値解析結果の分析・評価技術に係り、特に、流体解析などの三次元モデルにおける解析結果レポートの作成を効率化するのに好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、産業・工業分野では、製品開発コストを低減するために、例えば、航空機・自動車・鉄道車両・船舶等などの産業系機械の設計段階において、計算機上でCAE(Computer Aided Engineering)ツールを用いて設計および製品性能の数値解析(シミュレーション)を行い、その計算結果を分析・評価するのが一般的となっている。
【0003】
この場合、入出力データを、エビデンス(証拠、根拠)として、レポート等の記録に残す必要がある。また、数値解析結果は、テキストファイルで出力されるが、テキストファイルでの出力は数値の羅列であり、瞬時に評価し難いため、多くの場合、計算結果の可視化を行い、等圧線やコンター図などの画像として記録する。
【0004】
数値解析結果レポートを作成する際、まず、数値解析結果をポストプロセッサで画像として出力し、汎用的な画像ファイル生成ソフトで画面をキャプチャする。そして、これをレポートに必要な画像データが揃うまで繰り返し、最後にワープロ等に貼り付け、文書を作成する。
【0005】
三次元モデルの場合、解析対象の内部を評価するには、まず解析対象の内部の状態を表示させる必要がある。多くの場合、評価する位置を基にして解析対象の断面として表示させる。評価位置が複数ある場合は、繰り返し断面データを表示させ、表示画面をキャプチャする。
【0006】
この一連の作業を手作業で行っているため、レポートを作成するのに手間と時間がかかっていた。
【0007】
また、画像データが複数ある場合は、作成者によって画像貼り付け位置のレイアウトが異なることがあり、後に他のレポート比較する場合に見づらいという問題点があった。
【0008】
このため、数値解析結果レポートを短時間に効率よく作成させたいという要望が多くなってきた。
【0009】
例えば、特許文献1(特開2000−122713号公報)では、データ処理を行い、短時間でレポートを作成する技術が記載されている。
【0010】
しかし、この技術では、グラフ等のデータが複数存在しても、一箇所の領域に重ね合わせて表示するので、複数のデータを、それぞれ独立させて、別の領域に表示するようなレイアウト設定機能はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−122713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、数値解析結果レポート作成作業は、作成者が手作業で行っており、多大な時間を要していた点と、作成者によって画像の大きさおよび貼付け位置等レイアウトが異なるので、他のレポートとの比較が難しいという点である。
【0013】
本発明の目的は、従来の問題点を解消し、簡単な設定で複数の画像データの自動作成とレイアウトの決定を行うことを可能とし、数値解析結果レポートを短時間に効率よく作成することを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明では、流体解析などの三次元モデルでの数値解析結果の可視化を行い、その結果レポートを作成する数値解析結果レポート作成システムにおいて、数値解析結果データを可視化する際の表示パラメータや表示断面位置、可視化した画像フィアルの表示領域、および、レポートのレイアウト等の各種設定を行う操作画面を表示し、表示した操作画面での設定内容に応じて、予め記憶装置に格納された処理対象の数値解析結果データを選択して読み出し、表示パラメータ、表示断面位置、レイアウト等の各種設定を行うことで自動的に各断面画像データを作成すると共に、その画像データを設定指示された領域に取り込むことでレポートを自動的に作成することを特徴とする。また、レイアウト等の各種設定内容を記憶装置に格納しておき、これらの設定情報を繰り返し利用する構成とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、数値解析結果レポートの作成において、膨大な計算結果から任意の断面・物理量における可視化データを抽出し、計算結果の画像ファイルを自動的に作成することができるので、レポート作成に要する時間を短縮することができ、また、レイアウトの設定を保存・読込することでレポートのレイアウトを統一することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る数値解析結果レポート作成システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1における数値解析結果レポート作成システムの処理動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1における可視化データ作成部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図4】図1におけるレポート情報部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図5】図1におけるレポート作成機能部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図6】図1における可視化データ設定情報(114)の設定例を示す説明図である。
【図7】図1におけるレイアウト設定情報(115)の設定例を示す説明図である。
【図8】図1における数値解析結果データテーブル(102)の構成例を示す説明図である。
【図9】図1におけるレイアウト設定情報テーブル(110)の構成例を示す説明図である。
【図10】図1における可視化データ設定情報テーブル(111)の構成例を示す説明図である。
【図11】図1における数値解析結果レポートテーブル(103)の構成例を示す説明図である。
【図12】図1における数値解析結果レポート(105)の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明を実施するための形態例を説明する。図1においては、本発明に係る数値解析結果レポート作成システムの構成例を示しており、本図1の例では、クライアント側情報処理装置(図中「PC」と記載)116,117を収容したクライアント側のネットワーク(図中「クライアント」と記載)112とインターネットやイントラネット等のネットワーク113を介して接続されたサーバ側情報処理装置(図中「サーバ」と記載)100内に、数値解析結果レポート作成システム101が実装された構成となっている。尚、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、ネットワーク接続されていない1つのコンピュータ装置内に数値解析結果レポート作成システム101を設けた構成であっても良い。
【0018】
サーバ側情報処理装置100とクライアント側情報処理装置116,117は、CPU(Central Processing Unit)や主メモリ等を具備したコンピュータ構成からなり、光ディスク駆動装置等を介してCD−ROM等の記憶媒体に記録されたプログラムやデータを外部記憶装置内にインストールした後、この外部記憶装置から主メモリに読み込みCPUで処理することにより、本発明に係る処理を含む各処理を実行する。
【0019】
本発明に係る数値解析結果レポート作成システム101は、サーバ側情報処理装置100内に設けられており、この数値解析結果レポート作成システム101は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する機能として、レポート作成機能部106と可視化データ作成部107およびレポート情報設定部108を有し、図示していない記憶装置に、数値解析結果データテーブル102、数値解析結果レポートテーブル103、数値解析結果データ104、数値解析結果レポート105、可視化データ設定情報テーブル111、画像ファイル109、レイアウト設定情報テーブル110のそれぞれを格納する機能を有する。
【0020】
このように、本例では、サーバ側情報処理装置100とクライアント側情報処理装置116,117がネットワーク112,113で接続され、サーバ側情報処理装置100には数値解析結果レポート作成システム101が設けられ、数値解析結果レポート作成システム101は、具備したレポート作成機能部106、可視化データ作成部107、レポート情報設定部108の各処理部により、数値解析結果データテーブル102、数値解析結果レポートテーブル103、数値解析結果データ104、数値解析結果レポート105、画像ファイル109、レイアウト設定情報テーブル110、可視化データ設定情報テーブル111を用いて処理を行うことで、本発明に係る数値解析結果レポートの作成を行う。
【0021】
すなわち、クライアント側情報処理装置116,117において、サーバ側情報処理装置100から、予め作成され記憶装置に格納された、可視化の対象となる数値解析結果データの識別情報の入力覧を有する可視化データ設定操作画面を読み出して表示装置で表示し、このように表示した可視化データ設定操作画面の入力欄にユーザが識別情報を入力すると、サーバ側情報処理装置100の数値解析結果レポート作成システム101は、入力された数値解析結果データを、当該数値解析結果データを予め格納した記憶装置から読み出し可視化して画像ファイルを生成する。
【0022】
また、クライアント側情報処理装置116,117において、サーバ側情報処理装置100から、予め作成され記憶装置に格納された、画像ファイルの表示領域を含むレポートのレイアウトを決定する情報の入力欄を有するレイアウト設定操作画面を読み出して表示装置で表示し、このように表示したレイアウト設定操作画面の入力欄にユーザがレイアウト決定情報を入力すると、サーバ側情報処理装置100の数値解析結果レポート作成システム101は、入力されたレイアウト決定情報に応じたレイアウトからなるレポート原稿ファイルを生成する。
【0023】
そして、数値解析結果レポート作成システム101は、生成したレポート原稿ファイルの指定位置に当該画像ファイルを張り付けてレポートファイルを生成する。
【0024】
さらに、数値解析結果レポート作成システム101は、画像ファイルを生成した際の可視化データ設定操作画面の入力欄における入力情報を可視化データ設定情報として記憶装置に保存すると共に、生成した画像ファイルを記憶装置に保存し、また、レポート原稿ファイルを生成した際のレイアウト設定操作画面の入力欄における入力情報をレイアウト設定情報として記憶装置に保存すると共に、生成したレポート原稿ファイルを記憶装置に保存し、かつ、生成したレポートファイルを記憶装置に保存する。
【0025】
クライアント側情報処理装置116,117において表示させる可視化データ設定操作画面は、保存した可視化データ設定情報の選択欄を有し、数値解析結果レポート作成システム101は、この可視化データ設定操作画面の選択欄でユーザから選択された可視化データ設定情報で特定される数値解析結果データの画像ファイルの生成を行う。
【0026】
また、クライアント側情報処理装置116,117において表示させるレイアウト設定操作画面は、保存したレイアウト設定情報の選択欄を有し、数値解析結果レポート作成システム101は、このレイアウト設定操作画面の選択欄でユーザから選択されたレイアウト設定情報で特定されるレポート原稿ファイルの生成を行う。
【0027】
以下、このような数値解析結果レポート作成システム101の本発明に係る処理動作をより具体的に説明する。
【0028】
クライアント側情報処理装置116,117では、操作者の手動操作等により、可視化データ設定情報114とレイアウト設定情報115が入力され、ネットワーク112,113を介してサーバ側情報処理装置100の数値解析結果レポート作成システム101に出力する。
【0029】
クライアント側情報処理装置116,117において入力される可視化データ設定情報114は、図6(a)の可視化データ設定情報項目例601に具体的に示す各項目からなるデータ構造からなり、図6(b)で示される可視化データ設定情報入力画面(図中「画面イメージ」と記載)612を介してユーザの入力操作がなされ、レイアウト設定情報115は、図7(a)のレイアウト設定情報項目例701に具体的に示す各項目からなるデータ構造からなり、図7(b)で示されるレイアウト設定情報入力画面(図中「画面イメージ」と記載)708を介して入力操作がなされる。
【0030】
以下、サーバ側情報処理装置100における数値解析結果レポート作成システム101に設けられた可視化データ作成部107とレポート情報設定部108およびレポート作成機能部106の処理内容について説明する。
【0031】
まず、可視化データ作成部107は、可視化データ設定情報114もしくは可視化データ設定情報テーブル111から取り出した情報に従って、数値解析結果データテーブル102からテキストファイルである数値解析結果データ104を取り出し、二次元の断面可視化データを作成する。
【0032】
可視化データ設定情報テーブル111は、図10の可視化データ設定情報テーブル構成例1001に具体的に示すデータ構造からなり、図10の可視化データ設定情報テーブルのデータ例1002に示すデータ内容が登録されている。
【0033】
このようにして、可視化データ作成部107が作成した二次元の断面可視化データは、一時的に画像ファイル109として記憶装置に保存する。複数設定した場合は、複数の画像ファイルが作成される。
【0034】
また、可視化データ作成部107が使用した可視化データ設定情報114は、可視化データ設定情報テーブル111に格納される。
【0035】
次に、レポート情報設定部108は、レイアウト設定情報115またはレイアウト設定情報テーブル110から取り出した情報に従って、レポートのページ設定、フォント、フォントサイズ、画像ファイル貼付け位置を設定する。
【0036】
レイアウト設定情報テーブル110は、図9のレイアウト設定情報テーブル構成例901に具体的に示すデータ構造からなり、図9のレイアウト設定情報テーブルのデータ例902に示すデータ内容が登録されている。
【0037】
尚、レポート情報設定部108が使用したレイアウト設定情報115は、レイアウト設定情報テーブル110に格納される。
【0038】
そして、レポート作成機能部106は、可視化データ作成部107が設定した可視化データ設定情報(111,114)と画像ファイル109、および、レポート情報設定部108が設定したレイアウト設定情報(110,115)から数値解析結果レポート105を作成する。
【0039】
この際、レポート作成機能部106は、レポートの作成情報を、数値解析結果レポートテーブル103に格納する。
【0040】
数値解析結果レポートテーブル103は、図11の数値解析結果レポートテーブル構成例1101に具体的に示す各項目からなるデータ構造であり、図11の数値解析結果レポートテーブルのデータ例1102に示すデータ内容が登録されている。
【0041】
以下、図2〜図5のフローチャートを用いて、数値解析結果レポート作成システム101による数値解析結果レポートの作成手順を説明する。
【0042】
クライアント側情報処理装置116,117の操作者であるレポートの作成者は、過去に設定した可視化データ設定情報を取り出す場合は(ステップS215)、図10に詳細を示した可視化データ設定情報テーブル208から可視化データ設定情報を選択する(ステップS216)。
【0043】
この可視化データ設定情報の選択後は、当該可視化データ設定情報に対する編集が可能となり、入力装置202より可視化データ設定情報入力画面において可視化データ設定情報203の一部または全てを変更することができる(ステップS217)。
【0044】
一方、可視化データ設定情報テーブル208に可視化データ設定情報がない場合など新規に可視化データ設定情報を作成する場合は、入力装置202より可視化データ設定情報入力画面において数値解析結果データを選択し、レポートに記載する断面図を表示するのに必要な可視化データ設定情報203を入力する(ステップS217)。
【0045】
可視化データ設定情報203の内容は、図6(a)の可視化データ設定情報項目例601で示され、可視化データ設定情報入力画面例は図6(b)で示される可視化データ設定情報入力画面612となる。
【0046】
ステップS217で得た可視化データ設定情報から、可視化データ作成部107により可視化データを作成し(ステップS218)、画像ファイル209に変換して出力する。
【0047】
ステップS217で得た可視化データ設定情報は、可視化データ設定情報テーブル208に格納し、次回以降に、これらの情報を読み込むことができる。
【0048】
次に、過去に設定したレイアウト設定情報を取り出す場合(ステップS225)は、レイアウト設定情報テーブル210からレイアウト設定情報を選択する(ステップS226)。
【0049】
レイアウト設定情報テーブル210は、図1におけるレイアウト設定情報テーブル110に相当し、図9のレイアウト設定情報テーブル構成例901に示すデータ構造からなり、図9のレイアウト設定情報テーブルのデータ例902に示すデータ内容が登録されている。
【0050】
このレイアウト設定情報の選択後は、当該レイアウト設定情報に対する編集が可能となり、入力装置213より、レイアウト設定情報入力画面においてレイアウト設定情報214の一部または全てを変更することができる(ステップS227)。
【0051】
一方、レイアウト設定情報テーブル210にレイアウト設定情報がない場合など、新規にレイアウト設定情報を作成する場合は、入力装置213より、レイアウト設定情報入力画面においてレイアウト設定情報214を入力する(ステップS227)。
【0052】
レイアウト設定情報214は、図1におけるレイアウト設定情報115にも相当し、図7(a)のレイアウト設定情報項目例701に具体的に示す各項目からなるデータ構造からなり、図7(b)で示されるレイアウト設定情報入力画面708を介して入力操作がなされる。
【0053】
ステップS227で得られたレイアウト設定情報を、レポート情報設定部108によりレイアウト設定情報テーブル210に格納し(ステップS228)、レポート情報設定部108は、次回以降にこれらの情報を読み込むことができる。
【0054】
そして、レポート作成機能部106により、ステップS217で得られた可視化データ設定情報と、ステップS227で得られたレイアウト設定情報、および、画像ファイル209の情報を用いて、レポートを作成し、数値解析結果レポートテーブル219に格納する(ステップS229)。
【0055】
数値解析結果レポートテーブル219は、図1における数値解析結果レポートテーブル103に相当し、図11の数値解析結果レポートテーブル構成例1101に具体的に示す各項目からなるデータ構造であり、図11の数値解析結果レポートテーブルのデータ例1102に示すデータ内容が登録されている。
【0056】
次に、図3を用いて、図1の可視化データ作成部107による図2のステップS217での処理を説明する。
【0057】
まず、図2のステップS217の処理で得られた可視化データ設定情報を取り込み(ステップS301)、図10で詳細が示される各情報を得る。また、図1の数値解析結果データテーブル102に相当する数値解析結果データテーブル303から数値解析結果データを取り込む(ステップS302)。
【0058】
この数値解析結果データは、従来技術である、有限要素法などの解析手法を用いた他のCAE(Computer Aided Engineering)ツールで計算された数値解析(シミュレーション)結果であり、数値解析結果データテーブル303に格納されている。
【0059】
数値解析結果データの内容としては、メッシュと呼ばれる格子の情報と節点ごとの圧力・流速・温度などの値がテキスト形式で記述されている。ここで、数値解析について説明する。
【0060】
数値解析では、メッシュと呼ばれる計算格子で解析領域を離散化する必要がある。一般には、物体形状や空間を要素と呼ばれる微小で単純な形状の集合として扱う。
【0061】
この要素の形状は、解析目的や手法によって使い分けられるが、三次元モデルの場合は、主に四面体(三角錐)や六面体(直方体)が使用され、要素形状が四面体のものを四面体要素と呼び、六面体のものを六面体要素と呼んでいる。
【0062】
このような要素を構成する辺(稜線)が交わる頂点を節点と呼び、数値解析結果として各節点ごとにそれぞれの物理量が計算される。
【0063】
図3に戻り、ステップS304では、このような数値解析結果データから、ステップS301で取得した断面位置上に存在する要素を抽出する。
【0064】
そして、抽出した要素の要素タイプを判別し(ステップS305)、六面体要素の場合は一個の六面体を六個の四面体に分割する(ステップS306)。この場合、処理対象要素数Nは6×Ni個となる。
【0065】
また、四面体要素の場合は、そのまま処理を進める(ステップS307)。
【0066】
このようにして、本例では、解析結果の要素タイプに関係なく全ての要素を四面体要素に変換して処理を行う。
【0067】
続いて、N個の処理対象要素に対して、それぞれ、設定断面と各要素の稜線との衝突点を求め(ステップS310)、以下のように三角形を形成し(ステップS311)、二次元の断面データを作成する。
【0068】
(1)衝突点が2個以下の場合:処理を行わない。
(2)衝突点が3個の場合:この3点で三角形を形成する。
(3)衝突点が4個の場合:この4点で四角形を形成し、2個の三角形に分割する。
【0069】
このようにして生成した各三角形の頂点に対して、元の四面体要素の各節点の物理量から補間計算した物理量を求める(ステップS311)。
【0070】
尚、この補間計算における補間とは、ある既知の数値データを基にして、求める数値を推測して補足することである。
【0071】
最後に、形成した三角形の各頂点の座標から、可視化データ(画像データ)におけるピクセル位置を求め、この三角形内部の各ピクセルに対して、ステップS311で求めた物理量を補間計算して、各ピクセル値を求め、三角形を色付けする(ステップS312)。
【0072】
ステップS310〜ステップS312の処理を、全ての処理対象要素に対して繰り返すと(ステップS309)、指定断面位置における二次元の可視化データが作成される。この可視化データを、画像ファイルとして出力する(ステップS313)。
【0073】
ステップS309〜ステップS313の処理を、図2のステップ217の処理で設定した全ての可視化データ設定情報に対して実施し(ステップS308)、その後、可視化データ設定情報を、可視化データ設定情報テーブルに保存するか否かを選択でき(ステップS314)、保存する場合は、可視化データ設定情報テーブルに入力情報を保存した(ステップS315)後、保存しない場合は、そのまま、プロセスを、数値解析結果レポート作成システム101へ返す(ステップS316)。
【0074】
次に、図4を用いて、図1のレポート情報設定部108による図2のステップS228での処理を説明する。
【0075】
まず、図2のステップS227の処理で得たレイアウト設定情報214を取り込み(ステップS401)、図9で示される各情報を得る。
【0076】
次に、取得したレイアウト設定情報をレイアウト設定情報テーブル(110)に保存するか否かを選択でき(ステップS402)、保存する場合は、レイアウト設定情報テーブル(110)に入力情報を保存し(ステップS403)、その後、また、保存しない場合は、そのまま、プロセスを数値解析結果レポート作成システムへ返す(ステップS404)。
【0077】
次に、図5を用いて、図1のレポート作成機能部106による図2のステップS229での処理を説明する。
【0078】
まず、図2のステップS217の処理で得られた可視化データ設定情報(203,208)を取り込み(ステップS501)、次に、図2のステップS227の処理で得られたレイアウト設定情報(214,210)を取り込む(ステップS502)。
【0079】
取り込んだレイアウト設定情報に従って、出力レポートのファーマットを作成し(ステップS503)、また、取り込んだ可視化データ設定情報に従って、番号順に出力名、単位、物理量範囲、断面位置を挿入する(ステップS504)。
【0080】
さらに、図2のステップS218の処理で可視化データ作成部107が自動作成した画像ファイル508(209)を取り込み、番号順に挿入する(ステップS505)。
【0081】
そして、タイトル・作成者名・日付を指定位置に挿入し(ステップS506)、数値解析結果レポートとしてファイル形式で保存する(ステップS507)。
【0082】
以下、図6〜図12を用いて、図1における数値解析結果レポート作成システム101が記憶管理する各情報の説明を行う。
【0083】
まず、図6を用いて、図2のステップS217において入力する可視化データ設定情報203(図1の可視化データ設定情報114に相当する)について説明する。
【0084】
図6(a)における可視化データ設定情報項目例601に示すように、数値解析結果データのファイル名が登録される数値結果ファイル名602と、作成するレポートのファイル名が登録されるレポートファイル名603、出力する画像を特定する番号が登録される番号604、出力する物理量に対応する数値解析結果ファイル内で使用されているキーワードが登録される結果ファイル変数名605、表示する物理量の出力範囲の最小値を登録する最小値606、表示する物理量の出力範囲の最大値を登録する最大値607、表示する断面の方向を登録する断面方向608、表示する断面の位置を登録する断面位置609、レポートに出力する変数の名称を登録する出力名610、レポートに出力する変数の単位を登録する単位611の各項目名からなる。
【0085】
この可視化データ設定情報項目例601の各項目の値は、図6(b)における可視化データ設定情報入力画面612で示される画面を介して入力され、設定される。図6(b)における可視化データ設定情報入力画面612では、「番号1」〜「番号3」の3種類の画像を出力することとなる。
【0086】
例えば、「番号1」のデータは、X座標が5.0の断面位置上の「TEMP」という変数のデータのうち「−300」〜「2100」までの物理量をコンター図の画像にし、出力名は「温度」、出力単位は「℃」としてレポート出力するという意味である。
【0087】
次に、図7を用いて、図2のステップS227において入力するレイアウト設定情報214(図1のレイアウト設定情報115に相当する)について説明する。
【0088】
図7のレイアウト設定情報項目例701に示すように、出力する画像の行数、すなわち画像張り付け領域の行数を登録する行数702と、出力する画像の列数、すなわち画像張り付け領域の列数を登録する列数703、レポートに使用するフォントの種類を登録するフォント704、レポートに使用するフォントのサイズを登録するフォントサイズ705、レポートの紙方向(縦または横)を登録する紙方向706、レポートに記載するコメント等を登録する文章707の各項目名からなる。
【0089】
このレイアウト設定情報項目例701の各項目の値は、図7におけるレイアウト設定情報入力画面708で示される画面を介して入力され、設定される。図7に示すレイアウト設定情報入力画面708の場合、作成されるレポートには、2行×4列の領域に、図6の可視化データ設定情報入力画面612に示す内容で作成された画像が貼り付けられる。
【0090】
次に、図8を用いて、図1における数値解析結果データテーブル102について説明する。
【0091】
図1における数値解析結果データテーブル102は、数値解析結果データを管理するための表であり、図8の数値解析結果データテーブル構成例801に示すように、解析結果データを特定する識別情報(解析結果ID)を登録する解析結果IDと、当該解析結果データを生成した作業者の識別情報(ユーザID)を登録するユーザID、当該解析結果データのプロジェクトの識別情報(解析プロジェクト名)を登録するプロジェクト名、当該解析結果データを特定する識別情報(数値解析結果データファイル名)を登録するファイル名の各項目からなり、図8の数値解析結果データテーブルのデータ例で示す内容の値が各項目に登録される。
【0092】
次に、図9を用いて、図1におけるレイアウト設定情報テーブル110(図2におけるレイアウト設定情報テーブル210に相当する)について説明する。
【0093】
図1におけるレイアウト設定情報テーブル110は、レイアウト設定情報を管理するための表であり、図9のレイアウト設定情報テーブル構成例901に示すように、当該レイアウト情報の識別情報(レイアウト情報ID)を登録するレイアウト情報IDと、当該レイアウトのレポートを作成したユーザの識別情報(ユーザID)を登録するユーザID、当該レイアウトのレポートでの画像データの貼り付け領域行数を登録する行数、当該レイアウトのレポートでの画像データの貼り付け領域列数を登録する列数、当該レイアウトのレポートで使用するフォント種別を登録するフォント、当該レイアウトのレポートで使用するフォントのサイズを登録するフォントサイズ、当該レイアウトのレポートの紙方向(縦または横)を登録する方向、当該レイアウトのレポートに記載するコメント等を登録する文章の各項目からなり、図9のレイアウト設定情報テーブルのデータ例902で示す内容の値が各項目に登録される。
【0094】
次に、図10を用いて、図1における可視化データ設定情報テーブル111(図2における可視化データ設定情報テーブル208に相当する)について説明する。
【0095】
図1における可視化データ設定情報テーブル111は、可視化データ設定情報を管理するための表であり、図10の可視化データ設定情報テーブル構成例1001に示すように、登録した可視化情報の識別情報(可視化情報ID)を登録する可視化情報IDと、登録した可視化情報を設定したユーザの識別情報(ユーザID)を登録するユーザID、出力する画像ファイルの識別情報(出力画像番号)を登録する番号、当該数値解析結果ファイルにおける例えば物理量の変数名を登録する結果ファイル変数名、例えば当該物理量の出力範囲の内の最小値を登録する最小値、例えば当該物理量の出力範囲の内の最大値を登録する最大値、表示する断面の方向を登録する断面方向、表示する断面の位置を登録する断面位置、レポートに出力する変数の名称を登録する出力名、レポートに出力する変数の単位を登録する単位の各項目からなり、図10の可視化データ設定情報テーブルのデータ例1002で示す内容の値が各項目に登録される。
【0096】
次に、図11を用いて、図1における数値解析結果レポートテーブル102(図2における数値解析結果レポートテーブル219および図3における数値解析結果レポートテーブル303に相当する)について説明する。
【0097】
図1における数値解析結果レポートテーブル102は、数値解析結果レポートを管理するための表であり、図11の数値解析結果レポートテーブル構成例1101に示すように、当該レポートに順番に付与された番号を登録するレポートIDと、当該レポートを作成したユーザの識別情報を登録するユーザID、当該レポートの作成に用いた数値解析結果データを特定する識別情報を登録する解析結果ID、当該レポートの作成に用いたレイアウト設定情報を特定する識別情報を登録するレイアウト情報ID、当該レポートの作成に用いた可視化データ設定情報を特定する識別情報を登録する可視化情報ID、作成するレポートを特定する識別情報(ファイル名)を登録するレポートファイル名の各項目からなり、図11の数値解析結果レポートテーブルのデータ例1102で示す内容の値が各項目に登録される。
【0098】
尚、図12においては、図7のレイアウト設定情報入力画面708で示す内容のレイアウト設定情報を使用した際に、図1のレポート作成機能部106が、図2のステップS229の処理で出力した数値解析結果レポートの例を示している。
【0099】
以上、図1〜図12を用いて説明したように、本例では、流体解析などの三次元モデルでの数値解析結果の可視化を行い、その結果レポートを作成する数値解析結果レポート作成システム101において、数値解析結果データを可視化する際の表示パラメータや表示断面位置、可視化した画像フィアルの表示領域、および、レポートのレイアウト等の各種設定を行う操作画面(612,708)を表示し、表示した操作画面での設定内容に応じて、予め記憶装置に格納された処理対象の数値解析結果データを選択して読み出し、表示パラメータ、表示断面位置、レイアウト等の各種設定を行うことで自動的に各断面画像データを作成すると共に、その画像データを設定指示された領域に取り込むことでレポートを自動的に作成する。また、レイアウト等の各種設定内容を記憶装置に格納しておき、これらの設定情報を繰り返し利用する構成とする。
【0100】
このように、本例の数値解析結果レポート作成システム101によれば、数値解析結果レポートの作成において、膨大な計算結果から任意の断面・物理量における可視化データを抽出し、計算結果の画像ファイルを自動的に作成することができるので、レポート作成に要する時間を短縮することができ、また、レイアウトの設定を保存・読込することでレポートのレイアウトを統一することができる。
【0101】
尚、本発明は、図1〜図12を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、上述したように、本例では、図1に示したように、クライアント側情報処理装置116,117とネットワーク112,113を介して接続されたサーバ側情報処理装置100内に、数値解析結果レポート作成システム101を実装させた構成としているが、ネットワーク接続されていない1つのコンピュータ装置内に数値解析結果レポート作成システム101を設けた構成であっても良い。
【0102】
また、本例では、光ディスクを記録媒体として用いているが、FD(Flexible Disk)等を記録媒体として用いることでも良い。また、プログラムのインストールに関しても、通信装置を介してネットワーク経由でプログラムをダウンロードしてインストールすることでも良い。
【符号の説明】
【0103】
100:サーバ側情報処理装置(サーバ)、101:数値解析結果レポート作成システム、102:数値解析結果データテーブル、103:数値解析結果レポートテーブル、104:数値解析結果データ、105:数値解析結果レポート、106:レポート作成機能部、107:可視化データ作成部、108:レポート情報設定部、109:画像ファイル、110:レイアウト設定情報テーブル、111:可視化データ設定情報テーブル、112:クライアント側のネットワーク(クライアント)、113:ネットワーク、114:可視化データ設定情報、115:レイアウト設定情報、116,117:クライアント側情報処理装置(PC)、201,212:表示装置、202,213:入力装置、203:可視化データ設定情報、208:可視化データ設定情報テーブル、209:画像ファイル、210:レイアウト設定情報テーブル、214:レイアウト設定情報、219:数値解析結果レポートテーブル、303:数値解析結果データ、508:画像ファイル、601:可視化データ設定情報項目例、612:可視化データ設定情報入力画面、701:レイアウト設定情報項目例、708:レイアウト設定情報入力画面、801:数値解析結果データテーブル構成例、802:数値解析結果データテーブルのデータ例、901:レイアウト設定情報テーブル構成例、902:レイアウト設定情報テーブルのデータ例、1001:可視化データ設定情報テーブル構成例、1002:可視化データ設定情報テーブルのデータ例、1101:数値解析結果レポートテーブル構成例、1102:数値解析結果レポートテーブルのデータ例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムされたコンピュータ処理によって、
数値解析結果データを可視化した画像ファイルを用いた、当該数値解析結果データに対するレポートファイルを作成するシステムの数値解析結果レポート作成方法であって、
プログラムされたコンピュータの処理実行手順として、
予め作成され記憶装置に格納された、可視化の対象となる上記数値解析結果データの識別情報の入力覧を有する可視化データ設定操作画面を読み出して表示装置で表示する第1の手順と、
該第1の手順で表示した上記可視化データ設定操作画面の入力欄に識別情報が入力された数値解析結果データを、当該数値解析結果データを予め格納した記憶装置から読み出し可視化して画像ファイルを生成する第2の手順と、
予め作成され記憶装置に格納された、上記画像ファイルの表示領域を含むレポートのレイアウトを決定する情報の入力欄を有するレイアウト設定操作画面を読み出して表示装置で表示する第3の手順と、
該第3の手順で表示した上記レイアウト設定操作画面の入力欄に入力されたレイアウト決定情報に応じたレイアウトからなるレポート原稿ファイルを生成する第4の手順と、
該第4の手順の手順で生成した上記レポート原稿ファイルの指定位置に当該画像ファイルを張り付けてレポートファイルを生成する第5の手順と
を含むことを特徴とする数値解析結果レポート作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の数値解析結果レポート作成方法であって、
プログラムされたコンピュータの処理実行手順として、
上記第2の手順で上記画像ファイルを生成した際の上記可視化データ設定操作画面の入力欄における入力情報を可視化データ設定情報として記憶装置に保存する第6の手順と、
上記第2の手順で生成した画像ファイルを記憶装置に保存する第7の手順と、
上記第4の手順で上記レポート原稿ファイルを生成した際の上記レイアウト設定操作画面の入力欄における入力情報をレイアウト設定情報として記憶装置に保存する第8の手順と
上記第4の手順で生成したレポート原稿ファイルを記憶装置に保存する第9の手順と、
上記第5の手順で生成したレポートファイルを記憶装置に保存する第10の手順と
を含み、
上記可視化データ設定操作画面は、上記第6の手順で保存した上記可視化データ設定情報の選択欄を有し、
上記第2の手順では、上記可視化データ設定操作画面の選択欄で選択された上記可視化データ設定情報で特定される数値解析結果データの画像ファイルの生成を行い、
上記レイアウト設定操作画面は、上記第8の手順で保存した上記レイアウト設定情報の選択欄を有し、
上記第4の手順では、上記レイアウト設定操作画面の選択欄で選択された上記レイアウト設定情報で特定されるレポート原稿ファイルの生成を行う
ことを特徴とする数値解析結果レポート作成方法。
【請求項3】
プログラムされたコンピュータ処理によって、
数値解析結果データを可視化した画像ファイルを用いた、当該数値解析結果データに対するレポートファイルを作成する数値解析結果レポート作成システムであって、
プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、
請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の数値解析結果レポート作成方法における各手順を実行する手段を有することを特徴とする数値解析結果レポート作成システム。
【請求項4】
コンピュータに、請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の数値解析結果レポート作成方法における各手順を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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