説明

整列装置

【課題】低コストで異径ワークを一方向に整列させて搬送することができる整列装置を提供する。
【解決手段】整列装置10は、ワーク12が供給される供給部14と、供給部14よりワーク供給方向下流側に第1ホッパー部16と、第1掻上げ部22と、3段の第2ホッパー部18A、18B、18Cと、ホッパー部20と、第2ホッパー部18A、18B、18C及びホッパー部20の間に配置された第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dとを備えている。第1ホッパー部16の上面に長手方向の一端部側が下り勾配となる傾斜部16Aが形成されており、ワーク12が一端部側に寄せられる。また、第2ホッパー部18A、18B、18Cには、ワーク12の大径部12Aが一端部側を向いているときに引っ掛かる引掛け部40と、ワーク12の大径部12Aが他端部側を向いているときにワーク12が落下する滑り部42とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランダムな姿勢で供給される複数のワークを一方向に整列させる整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ランダムな姿勢で落ちてくるワークを一列に整列させる整列装置として、整列機能つきのパーツフィーダーが知られている。
【0003】
このパーツフィーダーは、円形状のバケットを備えており、バケットの周囲に螺旋状に上向きに傾斜する整列路を備えている。このパーツフィーダーでは、バケットにランダムな姿勢で供給されたワークを、バケットの振動により整列路へ移送し、ワークを前後不揃いの状態で連接して送る。そして、ワークの凹部が前方側を向いているときに、凹部がワーク反転板に設けられた突部に嵌まり、ワーク反転板が回転することによりワークが反転され、ワークが一方向に整列される(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平9−175649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の整列機能付きのパーツフィーダーは、ワークの一端に凹部を備え、他端が凸状となるキャップ形状のワークでなければ一方向に整列させることができない。このため、両端部に凹部がある管継手などの異径ワークや、両端部に凹部がないボルトなどの異径ワークを一列に整列させることができない。また、パーツフィーダーとワーク反転板の両方を設ける必要があり、部品点数が多く、コストが増大するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低コストで異径ワークを一方向に整列させることができる整列装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ランダムな姿勢で供給される複数のワークを一方向に整列させて搬送する整列装置であって、前記ワークは、長手方向に小径部と大径部とを備えた異径ワークであり、前記ワークが供給される供給部と、前記供給部のワーク供給方向下流側に設けられ、上面に長手方向の一端部側が下り勾配となる傾斜部が形成された第1ホッパー部と、前記供給部と前記第1ホッパー部との間に上下方向にスライド可能に設けられ、前記供給部から前記第1ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第1掻上げ部と、前記第1ホッパー部のワーク供給方向下流側に設けられ、上面に前記ワークの前記大径部が前記一端部側を向いているときに引っ掛かる引掛け部と、前記ワークの前記大径部が他端部側を向いているときに前記ワークが落下する滑り部と、を備えた第2ホッパー部と、前記第1ホッパー部と前記第2ホッパー部との間に上下方向にスライド可能に設けられ、前記第1ホッパー部から前記第2ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第2掻上げ部と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、供給部とこの供給部のワーク供給方向下流側に設けられた第1ホッパー部との間に、上下方向にスライド可能な第1掻上げ部が設けられている。ワークは長手方向に小径部と大径部とを備えた異径ワークであり、複数のワークが供給部に供給され、第1掻上げ部が上方にスライドすることにより、供給部から第1ホッパー部にワークが掻き上げられる。第1ホッパー部には、上面に長手方向の一端部側が下り勾配となる傾斜部が形成されており、ワークは傾斜部の一端部側に寄せられる。第1ホッパー部とこの第1ホッパー部のワーク供給方向下流側に設けられた第2ホッパー部との間に第2掻上げ部が設けられており、第2掻上げ部が上方にスライドすることにより、第1ホッパー部から第2ホッパー部にワークが掻き上げられる。第2ホッパー部の上面に引掛け部と滑り部とが設けられているので、ワークの大径部が一端部側を向いているときに引掛け部に引っ掛かる。また、ワークの大径部が他端部側を向いているときに滑り部によりワークが落下する。すなわち、第2ホッパー部の引掛け部には、大径部が一端部側を向いているワークが引っ掛かるので、引掛け部に引っ掛かったワークを順次搬送することで、ワークを一方向に整列させて搬送することができる。この整列装置では、従来のパーツフィーダーとワーク反転板の両方を設けた装置に比べて構成が複雑でなく、コストの増大を抑えることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の整列装置において、前記引掛け部は、前記大径部が引っ掛かる凸部と、前記凸部の前記他端部側が下り勾配となる下り傾斜面と、を備え、前記滑り部は、ワーク供給方向上流側に下り勾配となる滑り部用テーパー部を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明では、引掛け部は、凸部とこの凸部の他端部側が下り勾配となる下り傾斜面とを備えているので、ワークの大径部が一端部側を向いているときに、ワークの大径部が凸部に引っ掛かり、ワークの小径部が下り傾斜面と対向した状態となる。このため、ワークが凸部に引っ掛かったときに安定化する。また、滑り部は、ワーク供給方向上流側に下り勾配となる滑り部用テーパー部を備えているので、ワークの大径部が他端部側を向いているときに、ワークが滑り部用テーパー部をワーク供給方向上流側へ落下しやすい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の整列装置において、前記傾斜部は、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる傾斜部用テーパー部を備え、前記下り傾斜面は、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる引掛け部用テーパー部を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明では、第1ホッパー部の傾斜部は、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる傾斜部用テーパー部を備えているので、傾斜部によりワークを一端部側に寄せる際に、傾斜部用テーパー部によってワークがワーク供給方向上流側へ落下することが抑制される。また、第2ホッパー部の下り傾斜面は、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる引掛け部用テーパー部を備えているので、ワークの大径部が引掛け部に引っ掛かったときに、引掛け部用テーパー部によってワークがワーク供給方向上流側へ落下することが抑制される。このため、ワークの大径部が引掛け部に引っ掛かったときにより一層安定化する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の整列装置において、前記第1ホッパー部は、ワーク供給方向下流側が高くなるように複数段設けられ、複数の前記第1ホッパー部の間に、ワーク供給方向上流側の前記第1ホッパー部からワーク供給方向下流側の前記第1ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第1掻上げ部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明では、第1ホッパー部は、ワーク供給方向下流側が高くなるように複数段設けられおり、複数の第1ホッパー部の間にそれぞれ設けられた第1掻上げ部が上方にスライドすることにより、ワーク供給方向上流側の第1ホッパー部からワーク供給方向下流側の第1ホッパー部にワークが順次掻き上げられる。これにより、複数の第1ホッパー部の上面に設けられた傾斜部により、ワークを傾斜部の一端部側により効果的に寄せることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の整列装置において、前記第2ホッパー部は、ワーク供給方向下流側が高くなるように複数段設けられ、複数の前記第2ホッパー部の間に、ワーク供給方向上流側の前記第2ホッパー部からワーク供給方向下流側の前記第2ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第2掻上げ部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明では、第2ホッパー部は、ワーク供給方向下流側が高くなるように複数段設けられており、複数の第2ホッパー部の間にそれぞれ設けられた第2掻上げ部が上方にスライドすることにより、ワーク供給方向上流側の第2ホッパー部からワーク供給方向下流側の第2ホッパー部にワークが順次掻き上げられる。第2ホッパー部の上面には引掛け部と滑り部とが設けられており、ワークの大径部が一端部側を向いているときに引掛け部に引っ掛かり、ワークの大径部が他端部側を向いているときに滑り部によりワークが落下する。これにより、ワークが複数段の第2ホッパー部に掻き上げられる過程で、大径部が一端部側を向いているワークをより効果的に掻き上げることが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の整列装置において、複数の前記第2ホッパー部は、ワーク供給方向上流側から下流側に向かって前記引掛け部の位置が長手方向の前記他端部側にずれていることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明では、複数の第2ホッパー部は、ワーク供給方向上流側から下流側に向かって引掛け部の位置が長手方向の他端部側にずれているので、複数の第2ホッパー部にワークが掻き上げられたときに、ワークの大径部が引っ掛かる位置が他端部側に移動していく。このため、ワークが複数段の第2ホッパー部に掻き上げられる過程で、大径部が一端部側を向いているワークをより確実に掻き上げることが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の整列装置において、最下流の前記第2ホッパー部よりワーク供給方向下流側に、前記ワークを一定方向に搬送する搬送装置を有することを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の発明では、最下流の前記第2ホッパー部よりワーク供給方向下流側に搬送装置が設けられており、ワークが一定方向に搬送される。このため、ワークを一方向に整列させて順次搬送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る整列装置は、ランダムな姿勢で供給されるワークを、コストを増大させることなく一方向に整列させて搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の整列装置における実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1には、本発明の一実施形態である整列装置10の斜視図が示されている。また、図2には、この整列装置10の断面図が示されている。
【0023】
これらの図に示されるように、整列装置10は、複数のワーク12が供給される供給部14と、供給部14の端面と所定の間隔をおいて供給部14よりワーク供給方向下流側(図1中の後方側、図2中の左側)の上方に配設された第1ホッパー部16と、第1ホッパー部16と所定の間隔をおいて第1ホッパー部16より供給方向下流側の上方に配設された複数段(本実施形態では3段)の第2ホッパー部18A、18B、18Cと、を備えている。第1ホッパー部16及び第2ホッパー部18A、18B、18Cは、板状体からなり、上下方向に沿って配置されており、ワーク供給方向下流側の高さが高くなるように所定の間隔をおいて配置されている。第1ホッパー部16及び第2ホッパー部18A、18B、18Cは、両端部が整列装置10の筐体(図示省略)に支持されている。最下流側の第2ホッパー部18Cよりワーク供給方向下流側の上方には、第2ホッパー部18Cと所定の間隔をおいて板状のホッパー部20が配設されている。
【0024】
また、整列装置10は、供給部14と第1ホッパー部16との間に上下方向にスライド可能に配置された板状の第1掻上げ部22と、第1ホッパー部16、3段の第2ホッパー部18A、18B、18、及びホッパー部20の間にそれぞれ上下方向にスライド可能に配置された板状の第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dと、を備えている。また、整列装置10の両サイドには、側壁26が設けられている。
【0025】
ワーク12は、円筒状の大径部12Aと、これより径が小さい円筒状の小径部12Bとが軸方向に形成された異径ワークである。本実施形態では、ワーク12として管継手が用いられている。小径部12Bは、大径部12Aよりも長く形成されている。
【0026】
供給部14は、ワーク供給方向下流側が下降勾配となる傾斜面を備えており、供給部14に供給された複数のワーク12が傾斜面上を下降方向へ転がる。
【0027】
図2に示されるように、整列装置10には、第1掻上げ部22及び第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dを上下方向にスライドさせるスライド装置30が設けられている。スライド装置30には、第1掻上げ部22の下部が接合される支持板32が設けられており、支持板32上には支持体34が固定されている。支持体34は、ワーク供給方向下流側が高くなる階段状に形成されており、上面に第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dの下部が接合されている。スライド装置30には下部にシリンダー36が設けられており、シリンダー36のロッド36Aの先端が取付具38によって支持板32の下部に取付けられている。図2及び図5に示されるように、シリンダー36のロッド36Aが上下方向に進退することにより、支持板32が昇降して第1掻上げ部22及び第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dが上下方向にスライドするようになっている。
【0028】
図1及び図3(A)、(B)に示されるように、第1ホッパー部16は、板状体の上面に長手方向の一端部側が下り勾配となる傾斜部16Aが形成されている。傾斜部16Aには、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる傾斜部用テーパー部16Bが形成されている。これにより、ワーク12が傾斜部用テーパー部16B上をワーク供給方向下流側に移動しやすくなり、また、ワーク12が下り勾配の傾斜部16Aを滑って一端部側(図3中の左側)に寄せられるようになっている。
【0029】
図1及び図4(A)、(B)に示されるように、第2ホッパー部18Aは、上面の長手方向の一端部側にワーク12の大径部12Aが引っ掛かる引掛け部40と、上面の長手方向の他端部側にワーク12が落下可能な滑り部42と、を備えている。引掛け部40は、大径部12Aが引っ掛かる凸部40Aと、凸部40Aの他端部側が下り勾配となる下り傾斜面40Bと、を備えている。引掛け部40の上面には、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる引掛け部用テーパー部40Cが形成されている。滑り部42の上面には、ワーク供給方向上流側に下り勾配となる滑り部用テーパー部42Aが形成されている。これにより、ワーク12の大径部12Aが一端部側を向いているときに、大径部12Aが引掛け部40の凸部40Aに引っ掛かる。また、ワーク12の大径部12Aが他端部側を向いているときに、ワーク12が凸部40Aに引っ掛からずに下り傾斜面40Bを滑って滑り部42に移動し、滑り部42の滑り部用テーパー部42Aによりワーク供給方向上流側(図1中の前方側)へ落下するようになっている。
【0030】
図1に示されるように、第2ホッパー部18B、18Cにも第2ホッパー部18Aと同様に引掛け部40と滑り部42とが形成されている。その際、第2ホッパー部18A、18B、18Cの順で、引掛け部40の位置が長手方向の他端部側にずれている。例えば、引掛け部40の位置は、50mm〜100mm他端部側にずれている。
【0031】
図1及び図2に示されるように、第1掻上げ部22及び第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dの上面には、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる掻上げ部用テーパー部44が形成されている。また、ホッパー部20の上面には、ワーク供給方向下流側に下り勾配となるテーパー部46が形成されている。掻上げ部用テーパー部44、テーパー部46、引掛け部用テーパー部40C、傾斜部用テーパー部16Bの傾斜角度は同じに設定されている。本実施形態では、第1ホッパー部16及び第2ホッパー部18A、18B、18Cは金属製であり、第1掻上げ部22及び第2掻上げ部24A、24B、24C、24Dは樹脂製(例えば、ナイロン製)であるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
図2に示されるように、ホッパー部20のワーク供給方向下流側(図2中の左側)には、ホッパー部20のテーパー部46と同じ傾斜角度でワーク供給方向下流側が下り勾配となる傾斜板50が配設されている。傾斜板50の下流側端面の下部には、ワーク12を一定方向(例えば、図2中の前後方向前方側)に搬送する搬送ベルト52が設けられている。搬送ベルト52の搬送方向に沿った両側には、ワーク12が搬送ベルト52から脱落するのを防止するためのガイド板54、56が配設されている。傾斜板50の下流側端面と対向するガイド板56の上部56Aは、ワーク12が当たって搬送ベルト52に供給されるように上方に延設されている。
【0033】
次に、整列装置10の作用について説明する。
【0034】
図1及び図2に示されるように、複数のワーク12が図示しない供給装置により供給部14に供給される。このとき、ワーク12は供給部14にランダムな姿勢で供給され、供給部14の傾斜面上を下降方向(図1中の後方側)に転がる。供給部14の傾斜面上を転がったワーク12は、供給部14と第1ホッパー部16との間に設けられた第1掻上げ部22の上面の掻上げ部用テーパー部44に導かれる。
【0035】
次いで、図5に示されるように、シリンダー36のロッド36Aが進出することにより、第1掻上げ部22が上方にスライドし、ワーク12が掻き上げられる。このとき、掻上げ部用テーパー部44は、ワーク供給方向下流側が下り勾配であるので、ワーク12が掻上げ部用テーパー部44からワーク供給方向上流側(図5中の右側、図1中の前方側)へ落下することが抑制される。そして、第1掻上げ部22が上部までスライドすると、掻上げ部用テーパー部44と第1ホッパー部16の傾斜部用テーパー部16Bとの傾斜面が合致するので、掻上げ部用テーパー部44から傾斜部用テーパー部16Bにワーク12が転がる。これによって、ワーク12が供給部14から第1ホッパー部16に掻き上げられる。図1及び図2に示されるように、第1ホッパー部16の上面には、長手方向の一端部側が下り勾配となる傾斜部16Aが形成されており、ワーク12は傾斜部16Aを滑って第1ホッパー部16の一端部側に寄せられる。
【0036】
次いで、図6に示されるように、シリンダー36のロッド36Aが後退することにより、第2掻上げ部24Aが下方にスライドする。これにより、第1ホッパー部16の傾斜部用テーパー部16Bと第2掻上げ部24Aの掻上げ部用テーパー部44との傾斜面が合致し、傾斜部用テーパー部16Bから掻上げ部用テーパー部44にワーク12が転がる。そして、図7に示されるように、シリンダー36のロッド36Aが進出することにより、第2掻上げ部24Aが上部までスライドすると、掻上げ部用テーパー部44から第2ホッパー部18Aにワーク12が転がる。
【0037】
図8に示されるように、第2ホッパー部18Aには、長手方向の一端部側に引掛け部40と他端部側に滑り部42とが設けられているので、第1ホッパー部16の傾斜部16Aによって一端部側に寄せられたワーク12は引掛け部40付近に転がる。そして、ワーク12の大径部12Aが一端部側を向いているときは、大径部12Aが引掛け部40の凸部40Aに引っ掛かる。ワーク12は異径ワークであるので、大径部12Aが引掛け部40の凸部40Aに引っ掛かり、小径部12Bが下り傾斜面40Bに沿って配置される。このため、大径部12Aが一端部側を向いているワーク12を凸部40Aに安定して引っ掛けることができる。このとき、引掛け部40の上面に、ワーク供給方向下流側が下り勾配となる引掛け部用テーパー部40Cが形成されているので、ワーク12が引掛け部用テーパー部40Cからワーク供給方向上流側(図8中の前方側)へ落下することが抑制される。また、図9に示されるように、ワーク12の大径部12Aが他端部側を向いているときは、ワーク12が引掛け部40の凸部40Aに引っ掛からずに下り傾斜面40Bを滑って滑り部42に移動する。滑り部42の上面には、ワーク供給方向上流側に下り勾配となる滑り部用テーパー部42Aが形成されているので、滑り部42に移動したワーク12は、滑り部用テーパー部42A上を滑ってワーク供給方向上流側(図9中の前方側)へ落下する。
【0038】
次いで、シリンダー36のロッド36Aが後退することにより、第2掻上げ部24Bが下方にスライドすると、掛け部40の凸部40Aに引っ掛かったワーク12は、引掛け部用テーパー部40Cと第2掻上げ部24Bの掻上げ部用テーパー部44との傾斜面が合致することによって、引掛け部用テーパー部40Cから第2掻上げ部24Bの掻上げ部用テーパー部44に転がる。そして、シリンダー36のロッド36Aが進出することにより、第2掻上げ部24Bが上部までスライドすると、第2掻上げ部24Bの掻上げ部用テーパー部44から第2ホッパー部18Bにワーク12が転がる。
【0039】
第2ホッパー部18Bには、引掛け部40と滑り部42とが設けられているので、ワーク12の大径部12Aが一端部側を向いているときは、大径部12Aが引掛け部40の凸部40Aに引っ掛かる。また、大径部12Aが他端部側を向いているワーク12が掻き上げられても、ワーク12が引掛け部40の凸部40Aに引っ掛からずに滑り部42に移動し、滑り部用テーパー部42A上を滑ってワーク供給方向上流側へ落下する。
【0040】
以下同様に、第2ホッパー部18B上のワーク12は、第2掻上げ部24Cに移動して第2ホッパー部18Cに掻き上げられ、ワーク12の大径部12Aが一端部側を向いているときは、大径部12Aが第2ホッパー部18Cの引掛け部40の凸部40Aに引っ掛かる。また、大径部12Aが他端部側を向いているワーク12が掻き上げられても、ワーク12が引掛け部40の凸部40Aに引っ掛からずに滑り部42に移動し、滑り部用テーパー部42A上を滑ってワーク供給方向上流側へ落下する。
【0041】
その際、第2ホッパー部18A、18B、18Cは、これらの順で引掛け部40の位置が長手方向の他端部側にずれているので、ワーク12が第2ホッパー部18A、18B、18Cの順に掻き上げられると、ワーク12が長手方向の他端部側に移動し、ワーク12の大径部12Aを確実に第2ホッパー部18A、18B、18Cの引掛け部40に引っ掛けることができる。また、仮にワーク供給方向上流側の第2ホッパー部18A等に大径部12Aが他端部側を向いているワーク12が引っ掛かっても、ワーク供給方向下流側の第2ホッパー部18B、18Cにワークがそのまま掻き上げられることを抑制できる。
【0042】
そして、図10に示されるように、第2ホッパー部18C上のワーク12は、第2掻上げ部24Dに移動してホッパー部20に掻き上げられ、ホッパー部20の上面のテーパー部46と同じ傾斜角度の傾斜板50を下降方向(図10中の左側)に転がり、ガイド板56等でガイドされて搬送ベルト52に導かれる。そして、搬送ベルト52が移動することにより、ワーク12が一定方向に搬送される。
【0043】
このような整列装置10では、搬送ベルト52に供給されるワーク12は、大径部12Aが一端部側を向いているので、ワーク12を一方向に整列させて一定方向に順次搬送することができる。このため、例えば、搬送ベルト52の搬送方向下流側にワーク12を検査する検査装置を配置したときに、ワーク12の検査をスムーズに行うことができる。この整列装置10では、従来のパーツフィーダーとワーク反転板の両方を設けた装置に比べて構成が複雑でなく、コストの増大を抑えることができる。
【0044】
なお、上記整列装置10では、第1ホッパー部16が1段設けられているが、これに限定されず、第1ホッパー部16をワーク供給方向下流側が高くなるように2段以上設け、それぞれの第1ホッパー部16の間に第1掻上げる部を設けてもよい。これにより、ワーク供給方向上流側の第1ホッパー部16からワーク供給方向下流側の第1ホッパー部16にワークが順次掻き上げられる共に、夫々の第1ホッパー部16の上面の傾斜部16Aにより、ワーク12を傾斜部16Aの一端部側に効果的に寄せることができる。
【0045】
なお、上記整列装置10では、3段の第2ホッパー部18A、18B、18Cを設けたが、これに限定されず、第2ホッパー部18を1段又は2段設けてもよい。また、第2ホッパー部18を4段以上設けてもよい。第2ホッパー部18は1段でも、ワーク12の大径部12Aが一端部側を向いているときに大径部12Aを引掛け部40に引っ掛け、大径部12Aが他端部側を向いているワーク12を滑り部42から落下させることができるが、第2ホッパー部18を複数段設けることで、引掛け部40にワーク12の大径部12Aをより確実に引っ掛けて上方側に掻き上げることができる。
なお、上記実施形態では、ワーク12は管継手であるが、大径部と小径部を有する構成であれば他のワークでもよい。例えばボルトなどを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る整列装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す整列装置を示す断面図である。
【図3】図1に示す整列装置の第1ホッパー部を示す平面図及び側面図である。
【図4】図1に示す整列装置の第2ホッパー部を示す平面図及び側面図である。
【図5】整列装置によりワークを供給部から第1ホッパー部へ掻き上げる行程を示す断面図である。
【図6】整列装置によりワークを第1ホッパー部から第2ホッパー部へ掻き上げる行程を示す断面図である。
【図7】整列装置によりワークを第1ホッパー部から第2ホッパー部へ掻き上げる行程を示す断面図である。
【図8】第2ホッパー部の引掛け部にワークの大径部が引っ掛かった状態を示す斜視図である。
【図9】第2ホッパー部の滑り部からワークが落下する状態を示す斜視図である。
【図10】整列装置によりワークをホッパー部へ掻き上げ、搬送ベルトに導く行程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 整列装置
12 ワーク
12A 大径部
12B 小径部
14 供給部
16 第1ホッパー部
16A 傾斜部
16B 傾斜部用テーパー部
18A、18B、18C 第2ホッパー部
20 ホッパー部
22 第1掻上げ部
24A、24B、24C、24D 第2掻上げ部
30 スライド装置
36 シリンダー
36A ロッド
40 引掛け部
40A 凸部
40B 傾斜面
40C 引掛け部用テーパー部
42 滑り部
42A 滑り部用テーパー部
44 掻上げ部用テーパー部
46 テーパー部
50 傾斜板
52 搬送ベルト(搬送装置)
54 ガイド板
56 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムな姿勢で供給される複数のワークを一方向に整列させて搬送する整列装置であって、
前記ワークは、長手方向に小径部と大径部とを備えた異径ワークであり、
前記ワークが供給される供給部と、
前記供給部のワーク供給方向下流側に設けられ、上面に長手方向の一端部側が下り勾配となる傾斜部が形成された第1ホッパー部と、
前記供給部と前記第1ホッパー部との間に上下方向にスライド可能に設けられ、前記供給部から前記第1ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第1掻上げ部と、
前記第1ホッパー部のワーク供給方向下流側に設けられ、上面に前記ワークの前記大径部が前記一端部側を向いているときに引っ掛かる引掛け部と、前記ワークの前記大径部が他端部側を向いているときに前記ワークが落下する滑り部と、を備えた第2ホッパー部と、
前記第1ホッパー部と前記第2ホッパー部との間に上下方向にスライド可能に設けられ、前記第1ホッパー部から前記第2ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第2掻上げ部と、
を有することを特徴とする整列装置。
【請求項2】
前記引掛け部は、前記大径部が引っ掛かる凸部と、前記凸部の前記他端部側が下り勾配となる下り傾斜面と、を備え、
前記滑り部は、ワーク供給方向上流側に下り勾配となる滑り部用テーパー部を備えることを特徴とする請求項1に記載の整列装置。
【請求項3】
前記傾斜部は、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる傾斜部用テーパー部を備え、
前記下り傾斜面は、ワーク供給方向下流側に下り勾配となる引掛け部用テーパー部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の整列装置。
【請求項4】
前記第1ホッパー部は、ワーク供給方向下流側が高くなるように複数段設けられ、
複数の前記第1ホッパー部の間に、ワーク供給方向上流側の前記第1ホッパー部からワーク供給方向下流側の前記第1ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第1掻上げ部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の整列装置。
【請求項5】
前記第2ホッパー部は、ワーク供給方向下流側が高くなるように複数段設けられ、
複数の前記第2ホッパー部の間に、ワーク供給方向上流側の前記第2ホッパー部からワーク供給方向下流側の前記第2ホッパー部に前記ワークを掻き上げる第2掻上げ部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の整列装置。
【請求項6】
複数の前記第2ホッパー部は、ワーク供給方向上流側から下流側に向かって前記引掛け部の位置が長手方向の前記他端部側にずれていることを特徴とする請求項5に記載の整列装置。
【請求項7】
最下流の前記第2ホッパー部よりワーク供給方向下流側に、前記ワークを一定方向に搬送する搬送装置を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−102094(P2009−102094A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273365(P2007−273365)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(390034452)ブリヂストンフローテック株式会社 (80)
【Fターム(参考)】