説明

整形光波形を放出するパルスレーザ源のための方法及びシステム

同調可能パルスレーザ源は、シード信号を発生するようになっているシード源と、シード源に結合された第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有する光サーキュレータとを含む。同調可能パルスレーザ源は、また、整形電気波形を生成するようになっている変調器ドライバと、変調器ドライバに結合し、且つ、整形電気波形を受信するようになっている振幅変調器を含む。振幅変調器は、光サーキュレータの第2ポートに結合された第1側面及び第2側面を特徴とする。同調可能パルスレーザ源は、さらに、入力端及び反射端を特徴とする第1光増幅器を含む。入力端は、振幅変調器の第2側面に結合される。さらに、同調可能パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3ポートに結合された第2光増幅器を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、その開示が参照によりその全体が本明細書に組込まれる、「Method and System for a Pulsed Laser Source Emitting Shaped OpticalWaveforms」という名称の2006年9月29日に出願された米国仮特許出願第60/848,077号の、米国特許法第119条(e)項の下での利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、同調可能レーザ源の分野に関する。より詳細には、本発明は、トリミング、マーキング、切断及び溶接などの工業用途にとって有用なハイパワーパルスレーザ源を提供する方法及び装置に関する。単に例として、本発明は、パルス幅、ピークパワー、繰返しレート及びパルス形状を含むリアルタイム同調可能特性を有するレーザ源に適用されている。しかし、本発明は、より広範な適用可能性を有し、また、他のレーザ源に適用することができる。
【0003】
[0003]Nd:YAGレーザなどのパルスレーザ源は、マーキング、エングレービング、微細加工及び切断などの用途のためのレーザベース材料処理を実施するために使用されてきた。用途及び処理される材料に応じて、パルス幅、パルス繰返しレート、ピークパワー又はエネルギー及びパルス形状を含む、レーザパルスの種々の特性は、特定の用途に適切であるよう選択される。0.5mJ/パルスより大きいパルスエネルギーを特徴とする多くの既存のハイパワーパルスレーザは、光パルスを発生するために、Qスイッチング及びモード同期などの技法に依存する。しかし、こうしたレーザは、キャビティ幾何形状、ミラー反射率などによって予め決まっている特性を有する光パルスを生成する。したがって、こうしたレーザパルスは、一般に、レーザ性能を低下させることなく、現場で変えられることができない。こうしたレーザを使用すると、ある範囲の可変パルス特性を達成することが一般に難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]そのため、同調可能パルス特性を有するパルスレーザ源についての当技術分野における必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明の実施形態によれば、同調可能レーザ源の分野に一般に関連する技法が提供される。より詳細には、本発明は、トリミング、マーキング、切断及び溶接などの工業用途にとって有用なハイパワーパルスレーザ源を提供する方法及び装置に関する。単に例として、本発明は、パルス幅、ピークパワー、繰返しレート及びパルス形状を含むリアルタイム同調可能特性を有するレーザ源に適用されてきた。しかし、本発明は、より広範な適用可能性を有し、また、他のレーザ源に適用される可能性がある。
【0006】
[0006]本発明の実施形態によれば、同調可能パルスレーザ源が提供される。同調可能パルスレーザ源は、シード信号を発生するようになっているシード源と、シード源に結合された第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有する光サーキュレータとを含む。同調可能パルスレーザ源は、また、整形電気波形を生成するようになっている変調器ドライバと、変調器ドライバに結合し、且つ、整形電気波形を受信するようになっている振幅変調器を含む。振幅変調器は、光サーキュレータの第2ポートに結合された第1側面及び第2側面を特徴とする。同調可能パルスレーザ源は、さらに、入力端及び反射端を特徴とする第1光増幅器を含む。入力端は、振幅変調器の第2側面に結合される。さらに、同調可能パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3ポートに結合された第2光増幅器を含む。
【0007】
[0007]第1の実施形態では、整形電気波形は、光増幅器における利得飽和作用の実質的な低減をもたらし、それにより、実質的に正方形の形状を特徴とする光出力パルスを提供する。第2の実施形態では、整形電気波形は、光増幅器における利得飽和作用の実質的な低減をもたらし、それにより、時間の関数としての強度の増加を特徴とする光出力パルスを提供する。第3の実施形態では、整形電気波形は、光増幅器における利得飽和作用の実質的な低減をもたらし、それにより、時間の関数としての強度の減少を特徴とする光出力パルスを提供する。
【0008】
[0008]本発明の別の実施形態によれば、レーザパルスを供給する方法が提供される。方法は、シード信号を供給すること、シード信号を光サーキュレータの第1ポートに結合すること、及び、光サーキュレータの第2ポートからシード信号を出力することを含む。方法は、また、第1整形電気信号を供給すること、第1整形電気信号を振幅変調器の電気ポートに結合すること、整形光パルスを光増幅器の入力端に出力すること、及び、整形光パルスを増幅することであって、それにより、増幅された整形光パルスを供給する、増幅することを含む。方法は、さらに、第2整形電気信号を供給すること、第2整形電気信号を振幅変調器の電気ポートに結合すること、光サーキュレータの第2ポートにおいて再整形光パルスを受信すること、及び、光サーキュレータの第3ポートにおいて再整形光パルスを出力することを含む。
【0009】
[0009]従来技法と比べて、本発明を使用して多数の利益が達成される。たとえば、本発明による実施形態では、匹敵する性能特性を有するレーザと比較して高価でないコンパクトなアーキテクチャを利用する、レーザ処理に適したハイパワーパルスレーザが提供される。さらに、本発明の実施形態では、パルスごとの安定性を維持しながら、リアルタイムに同調可能であるパルス特性を有する短パルスが発生される。さらに、本発明による実施形態では、光パルスが整形されて、特定の用途についてパルスプロファイルを最適化するか、又は、レーザシステムにおけるエネルギー抽出効率を最大にすることができる。実施形態に応じて、これらの利益の1つ又は複数が存在してもよい。これら及びその他の利益は、本明細書全体を通して、またより詳細には以下で述べられている。本発明の種々のさらなる目的、特徴及び利点は、次に続く、詳細な説明及び添付図面を参照してより完全に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態による、光ファイバ増幅器を使用した同調可能パルス特性を有するハイパワーパルスレーザの略図である。
【図2】本発明の実施形態による、ハイパワーパルスレーザの異なるロケーションにおける電気パルス及び光パルスを示す略タイミング図である。
【図3】ガウス型及び擬似正方形(スーパーガウス型)パルスについてのパルス形状図である。
【図4A】本発明の実施形態による、振幅変調器に印加される電気波形の略図である。
【図4B】本発明の実施形態による、図4Aに示す電気波形に応答して生成される出力光パルスの略図である。
【図5A】本発明の実施形態による、スパイク状光出力パルスの略図である。
【図5B】本発明の実施形態による、スパイク状光出力パルスの略図である。
【図5C】本発明の実施形態による、振幅変調器に印加される電気波形の略図である。
【図5D】本発明の実施形態による、対応するスパイク状光出力パルスの略図である。
【図6】本発明の種々の実施形態に従って供給される光パルスのセットを示す図である。
【図7A】異なるエネルギー及び幅の3つのパルスについての、本発明の実施形態による、振幅変調器に印加される電気波形の略図である。
【図7B】異なるエネルギー及び幅の3つのパルスについての、本発明の実施形態による、対応する出力光波形の略図である。
【図8A】本発明のなお別の実施形態による、振幅変調器に印加される電気波形の略図である。
【図8B】本発明のなお別の実施形態による、出力光パルスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020]図1は、本発明の実施形態による、光ファイバ増幅器を使用した同調可能パルス特性を有するハイパワーパルスレーザの略図である。ハイパワーパルスレーザ100は、光サーキュレータ120の第1ポート114に注入されるシード信号を発生するシード源110を含む。本発明の実施形態によれば、光シード信号は、連続波(CW)半導体レーザであるシード源110を使用することによって発生される。特定の実施形態では、CW半導体レーザは、20mWの出力パワーを用いて1032nmの波長で動作するファイバブラッグ格子(fiber Bragg grating)(FBG)安定化半導体ダイオードレーザである。別の特定の実施形態では、CW半導体レーザは、100mWの出力パワーを用いて1064nmの波長で動作する外部キャビティ半導体ダイオードレーザである。代替の実施形態では、シード信号は、コンパクト固体レーザ又はファイバレーザによって発生される。当業者は、多くの変形形態、変更形態及び代替形態を認識するであろう。
【0012】
[0021]光サーキュレータ120を通過した後、シード信号は、サーキュレータ120の第2ポート122から出て、光振幅変調器130の第1側面132に入射する。サーキュレータは、当技術分野でよく知られており、いくつかの供給業者から入手可能である(たとえば、ニュージャージー州カルドウェル(Caldwell, NJ)のOFR, Inc.からのモデルOC−3−1064−PM)。
【0013】
[0022]光振幅変調器130は、通常、変調器に入射する信号が透過しない「オフ」状態に保持される。本発明の実施形態によれば、光振幅変調器は、シード信号の振幅変調及び時間領域フィルタリング並びに増幅自然放射(amplified spontaneous emission)(ASE)フィルタリングを行う。特定の実施形態では、光パルス長は、光振幅変調器130の動作によって決定され、光振幅変調器130は、1064nmにおいて>3GHzの帯域幅を有するAPEタイプのニオブ酸リチウムマッハツェンダー変調器であってよい。
【0014】
[0023]本発明の実施形態によれば、光振幅変調器130は、短い光パルスを発生するのに必要な帯域幅を提供する電気光マッハツェンダータイプ変調器である。他の実施形態では、光振幅変調器130は、エッジ光フィルタ、消光変調器又は音響光学変調器などの、適した位相又は周波数−振幅変換器を有する位相又は周波数変調器である。
【0015】
[0024]シード信号を通すために、光振幅変調器130は、1回目に、「オン」状態にパルス駆動されて、光経路136に沿って光パルスを発生する。光振幅変調器130によって発生される光パルスのパルス幅及びパルス形状は、光振幅変調器130に印加される変調器ドライブ信号によって制御される。光パルスは、その後、1回目に、光パルスが増幅される第1光増幅器150を通過する。本発明の実施形態によれば、時間変動するドライブ信号によって駆動される振幅変調器は、シード信号の時間領域フィルタリングを行い、それにより、パルス幅、パルス形状及びパルス繰返しレートを含む所定のパルス特性を有するレーザパルスを発生する。
【0016】
[0025]本発明の実施形態によれば、光振幅変調器130に印加されるドライブ信号は、高速デジタル−アナログ変換器(DAC)を使用してアナログ信号に変換されるデジタルパターンに起因する整形波形を有する。コンピュータを使用して、整形波形は、DACのオンボードのメモリ内に波形のデジタル表現を生成することによって発生される。このデジタルパターンは、その後、高速デジタル−アナログ変換器(DAC)を使用してアナログ信号に変換される。好ましくは、DACの出力立上り時間及び立下り時間は、1ns未満、より好ましくは500ピコ秒(ps)未満、最も好ましくは300ps未満である。好ましくは、DACは、トリガーイベントが起こるたびにコンピュータを使用してメモリ内にロードされる、予めプログラムされた波形を発生するよう構成される。好ましくは、DACのサンプリングレートは少なくとも500メガサンプル/秒(MS/s)、より好ましくは、サンプリングレートは少なくとも1ギガサンプル/秒(GS/s)、最も好ましくは、サンプリングレートは少なくとも2GS/sである。こうしたサンプリングレートによって、デジタルパターンは、2ナノ秒(ns)おき以上の頻度で規定されることができる。1GS/sのサンプリングレートを用いると、これは、任意の波形が1ns分解能をもって発生されることができることを意味する。好ましくは、DACは、100MHzより大きいアナログ電気帯域幅を有し、より好ましくは、アナログ帯域幅は300MHzより大きく、最も好ましくは、アナログ帯域幅は1GHzより大きい。好ましくは、DACの電圧分解能は8ビットであり、より好ましくは、電圧分解能は10ビットであり、最も好ましくは、電圧分解能は12ビット以上である。
【0017】
[0026]特定の用途について所与の電気ドライブ波形を発生するためにユーザが従うことになるプロセスフローは、以下で強調される。最初に、ユーザは、1ナノ秒ごとに、変調器に印加される電圧を表す数値アレイを規定するであろう。アレイ長は、光パルス幅と少なくとも同じ程度に長くなければならないことが当業者に明らかになるであろう。たとえば、所望の出力光パルスが30nsである場合、電気波形は少なくとも30nsであることになる。1GS/sサンプリングレートのDACの場合、アレイ長は、好ましくは、30より多い数値であることになる。したがって、DACは、一般に、少なくとも30サンプルを格納することになる。こうして、コンピュータを使用して、数値のアレイが、DACのメモリにロードされる。こうして、全てのトリガーイベントは、数値のアレイによって表されるアナログ電気波形を出力するであろう。アナログ電気波形は変調器に印加される。たとえば、こうした波形を発生する装置は、オレゴン州ビーバートン(Beaverton, Oregon)のTektronix, Inc.からのモデルAWG2040である。
【0018】
[0027]本発明の実施形態によれば、光増幅器150は光ファイバ増幅器である。本発明の実施形態で利用されるファイバ増幅器は、希土類をドープした、シングルクラッド、ダブルクラッド又はマルチクラッド光ファイバであるが、それに限定されない。こうしたファイバ増幅器において使用される希土類ドーパントは、イッテルビウム、エルビウム、ホルミウム、プラセオジミウム、ツリウム又はネオジムを含む。特定の実施形態では、光増幅器150を構築するときに利用される光ファイバベースのコンポーネントは全て、偏光維持単一モードファイバを利用する。
【0019】
[0028]図1を参照すると、ファイバ増幅器を利用する実施形態では、ポンプ142が、光カプラー140を通して希土類ドープファイバループ144に結合される。一般に、半導体ポンプレーザが、ポンプ142として使用される。当業者は、多くの変形形態、変更形態及び代替形態を認識するであろう。代替の実施形態では、光増幅器150は、限定はしないが、固体ロッド増幅器、固体ディスク増幅器又はガス利得媒体を含む固体増幅器である。
【0020】
[0029]特定の実施形態では、光増幅器150は、5メートル長の希土類ドープファイバ144を含み、約4.1μmのコア径を有し、約4×1024イオン/mのドーピング密度までイッテルビウムをドープされる。増幅器150は、また、976nmの波長で動作し、且つ、100mWの出力パワーを有するFBG安定化半導体レーザダイオードであるポンプ142を含む。別の特定の実施形態では、ポンプ142は、約915nmの波長で動作する半導体レーザダイオードである。なお別の特定の実施形態では、ポンプ142は、450mW以上の出力パワーで動作する半導体レーザダイオードである。特定の実施形態では、増幅器150は、また、WDMポンプコンバイナである、ファイバカプラー140に対するポンプを含む。
【0021】
[0030]光経路148に沿って光増幅器150から出る信号は、その後、反射構造146に入射し、光増幅器150に戻るよう反射される。信号は、2回目に、信号が増幅される光増幅器150を通過する。反射構造146は、光経路148を通って伝播するレーザパルス及び増幅自然放射(ASE)のスペクトル領域フィルタリングを実施する。こうして、シード信号は、振幅変調器130を通過する振幅及び時間領域変調と、反射構造146からの反射によるスペクトル領域フィルタリングの両方を受ける。
【0022】
[0031]ある実施形態では、反射構造146は、光増幅器150として使用されるファイバに直接書込まれるファイバブラッグ格子(FBG)である。FBGの周期性及び格子特性は、当技術分野でよく知られているように、所望の反射係数を提供するように選択される。単に例として、特定の実施形態では、反射構造146は、90%より大きいピーク反射率並びにシード源110の出力に完全に一致する中心周波数及びスペクトル幅を有するFBGである。
【0023】
[0032]光経路136に沿って光増幅器150から出る信号は、光振幅変調器130の第2側面134に入射し、光振幅変調器130は、その後、「オン」状態に2回目パルス駆動されて、入射パルスが通過することを可能にする。本発明の実施形態によれば、光振幅変調器130の第2の「オン」パルスのタイミングは、増幅器150及び反射構造146を通る信号の移行時間を考慮するために、変調器130の第1のオープニング(第1の「オン」パルス)に同期される。光振幅変調器130の第1側面から出た後、増幅されたパルスは、その後、光サーキュレータ120の第2ポート122に入り、光経路148に沿って光サーキュレータ120の第3ポート116から出る。
【0024】
[0033]本発明の実施形態によれば、第2のオープニングのために光振幅変調器130に印加されるドライブ信号は、第1のオープニングについて述べたように、高速デジタル−アナログ変換器(DAC)を使用してアナログ信号に変換されるデジタルパターンに起因する整形波形を有する。第2のオープニングのこの整形波形は、手近な用途に応じて、第1のオープニングの波形と異なる可能性がある。一部の実施形態では、第2ドライブ信号は、光パルスが修正されずに2パス増幅器を出るように、長方形波形だけを有する。他の実施形態では、第2ドライブ信号は、手近な用途に応じて2パス増幅器から出る光パルスを修正するため、長方形でない形状の波形を有する。
【0025】
[0034]なお他の実施形態では、第1ドライブ信号及び第2ドライブ信号は、単一トリガーイベントにおいて、高速DACから1つの複合波形として同時に発生される。第1及び第2オープニング信号を含むこの複合単一電気ドライブ波形を発生するためにユーザが従うことになるプロセスフローは以下で強調される。最初に、ユーザは、第1及び第2オープニングについて、1ナノ秒ごとに変調器に印加される電圧を表す数値アレイを規定するであろう。アレイ長は、光パルス幅の2倍と2パス増幅器を通る光信号の移行時間の総和と少なくとも同じ程度に長くなることになることが当業者に明らかになるであろう。たとえば、所望の出力光パルスが30nsであり、且つ、増幅器を通る光移行時間が150nsである場合、電気波形は少なくとも210nsであることになる。一部の実施形態では、電気波形は、第1オープニング信号と第2オープニング信号との間で実質的にゼロになることになる。1GS/sサンプリングレートのDACの場合、アレイ長は、好ましくは、210より多い数値であることになる。したがって、DACは、少なくとも210サンプルを格納する必要がある。より好ましくは、DACサンプル長は、1024より多い可能性がある。こうして、コンピュータを使用して、数値のアレイ(サンプル)が、DACのメモリにロードされることができる。こうして、全ての単一トリガーイベントは、第1及び第2オープニングについて同期された、数値アレイによって表される複合アナログ電気波形を出力するであろう。アナログ電気波形は変調器に印加される。たとえば、こうした波形を発生する装置は、オレゴン州ビーバートンのTektronix, Inc.からのモデルAWG2040である。
【0026】
[0035]信号は、その後、第2光増幅器160を通過するときに増幅される。図1に関して説明したように、本発明の実施形態は、光増幅器160として、光カプラー152を通して希土類ドープファイバループ156に結合されるポンプ154を含むファイバ増幅器を利用する。一般に、半導体ポンプレーザが、ポンプ154として使用されるが、光増幅器のポンピングは、当業者に明らかになることになる他の手段によって達成される可能性がある。特定の実施形態では、第2光増幅器160は、5メートル長の希土類ドープファイバ156を含み、約4.8μmのコア径を有し、約6×1024イオン/mのドーピング密度までイッテルビウムをドープされる。増幅器160は、また、976nmの波長で動作し、且つ、500mWの出力パワーを有するFBG安定化半導体レーザダイオードであるポンプ154を含む。別の特定の実施形態では、第2光増幅器160は、2メートル長の希土類ドープファイバ156を含み、約10μmのコア径を有し、約1×1026イオン/mのドーピング密度までイッテルビウムをドープされる。増幅器160は、また、5Wの出力パワーを有する半導体レーザダイオードであるポンプ154を含む可能性がある。
【0027】
[0036]別の特定の実施形態では、シード信号を通すために、光振幅変調器130は、2回ではなく1回パルス駆動される。光振幅変調器130は、「オン」状態に回されて、光経路136に沿って伝播するパルスの立上りエッジを発生する。この信号は、その後、光増幅器150を通して1回目増幅される。信号は、その後、反射構造146に入射し、光増幅器150を通して2回目増幅される。ここで、光経路136に沿って光増幅器150から出る信号は、光振幅変調器130の第2側面134に入射し、光振幅変調器130は、その後、「オフ」状態に回される。したがって、パルス幅は、光振幅変調器130が「オン」状態に保持される継続期間から増幅器150及び反射構造146を通る信号の移行時間を引いた値によって与えられる。光振幅変調器130に印加される変調器ドライブ信号は、上述したように、高速デジタル−アナログ変換器(DAC)を使用してアナログ信号に変換されるデジタルパターンに起因する整形波形を有する。
【0028】
[0037]図1は、光サーキュレータ120の第3ポートに結合した単一光増幅器160の使用を示すが、これは、本発明によって要求されない。代替の実施形態では、複数の光増幅器が、特定の用途にとって適切であるように光サーキュレータ120の下流で利用される。当業者は、多くの変形形態、変更形態及び代替形態を認識するであろう。本発明の実施形態で利用される光源に関するさらなる説明は、2007年4月18日に出願され、また、全ての目的で参照によりその全体が本明細書に組込まれる、同一譲受人に譲渡され、且つ、同時係属中の米国特許出願第11/737,052号に見出されることができる。
【0029】
[0038]図2は、本発明の実施形態による、ハイパワーパルスレーザの異なるロケーションにおける電気パルス及び光パルスを示す略タイミング図である。単に例として、図2は、振幅変調器に対する反復電気ドライブ信号及び図1に述べる本発明の実施形態を通して伝播する光パルスのタイミングを示す。電気トリガー210に続いて、第1電気ドライブ信号220が振幅変調器に印加されて、光パルス240を発生する。ある伝播遅延後に、光信号250は、光増幅器を通して1回目通過する。光信号260は、その後、反射構造に入射し、光増幅器を通して2回目通過する250。光パルス240は、振幅変調器を通して2回目透過され、振幅変調器は、光パルス240によって2回目電気駆動される220。最後に、光パルス230が、ある伝播遅延後に、サーキュレータのポート3を出る。
【0030】
[0039]本発明の実施形態を利用して、パルス幅、ピークパワー及びエネルギー、パルス形状並びにパルス繰返しレートを含む独立に調整可能なパルス特性を有する光パルスのストリームを発生するハイパワーパルスレーザ源が提供される。単に例として、本発明の特定の実施形態は、10nsのパルス幅で且つ10kHzの繰返しレートで、5μJ/パルスより大きい出力パルスを、第2光増幅器160の出力170に送出する。もちろん、代替の実施形態によって、他のパルス特性が提供される。
【0031】
[0040]上述した実施形態では、CWシード源が利用され、レーザパルスを供給するための時間領域フィルタリングが、振幅変調器120を使用して実施される。しかし、これは本発明によって要求されない。代替の実施形態では、シード信号が変調されて、CWシード信号ではなくパルスシード信号を供給する。パルスシード信号を供給することは、振幅変調器を通した2パス増幅器内へのシード漏洩によって生じるASE増加及び利得消滅を最小にし、シード源の動作パワー範囲が増加することを可能にする。この代替の実施形態では、パルスシード信号は、パルスレーザ源全体の所望のパルス幅以上のパルス幅であってよい。シードをパルス駆動することは、また、シードレーザの有効ライン幅を増加して、誘導ブリリュアン散乱(Stimulated Brillouin Scattering)(SBS)を減少させる可能性がある。
【0032】
[0041]本発明の実施形態によれば、時間的に等間隔に分離されなくてもよい光パルスのシーケンスの発生をもたらす様式及びシステムが提供される。さらに、パルス幅及びパルスエネルギーは、パルスごとに所定の様式で個々に調節される。さらに、先の説明は単一光パルスの発生を説明したが、本発明の実施形態は、単一パルスを複数回繰返すことによって複数パルスの発生を可能にすることが認識されるであろう。これらの複数パルスは、光パルスシーケンス列を含んでもよい。本発明の一部の実施形態では、DACは、全てのトリガーイベントで整形波形を発生し、したがって、全てのトリガーイベントに同期した、複数の光パルスを発生する。この動作モードは、有利には、光パルスが、100kHzまで、500kHzまで又は1MHz以上までのレートで発生されるときに使用される。他の実施形態では、DACが使用されて、全てのトリガーイベントについて複数の光パルスを発生することができる。この動作モードでは、整形波形はパルスのセットを含む。一部の実施形態では、光パルスのセットは同一である。他の実施形態では、光パルスのセットは異なる。この動作モードは、光パルスのバーストが特定の用途について必要とされるときに特に有利である。たとえば、10〜20ns時間遅延を有する2つ以上の10nsパルスを発生し、パルスのセット全体が10kHzまで、500kHzまで又は1MHz以上までのレートで繰返されることが有利であり得る。この例では、全ての単一トリガーイベントは、10nsパルスのセットを発生させることになる。
【0033】
[0042]マーキング、エングレービング、微細加工及び切断などのレーザベース材料処理は、高ピークパワーパルスレーザを広く利用してきた。用途及び処理される材料に応じて、パルス特性、特に形状は、手近なタスクに適合する必要がある。いくつかの用途について、正方形パルスなどの特定の光パルス形状を用いて処理することが好ましく、こうしたパルスの変形は望ましくない場合がある。
【0034】
[0043]ファイバベースパワー増幅器では、光パルスの形状変形は、出力パルスエネルギーが増幅器内の貯蔵エネルギーに近づくと起こる。利得飽和作用の原因になるのは、定常状態レジームでは信号強度であり、一方、動的レジームについてはエネルギー密度である。主要な結果は、高パワーパルスが、利得媒体を通って伝播するときに歪むことである。パルスは、ファイバ増幅器を通過するにつれて、ファイバから徐々に大きなエネルギーを抽出し、そうするにつれて、利用可能な利得を減少させる。パルス変形をもたらすのは、この徐々に減少する利得である。図3は、ガウス型及び擬似正方形(スーパーガウス型)パルスについてのパルス形状図である。ガウス型形状は、前縁にそのエネルギーの少量しか含まないため、パルス変形は、定性的にそれほど強くない。一方、擬似正方形パルス形状に関するパルス消滅の作用は劇的である。
【0035】
[0044]メモリチップ上での導電性リンクのレーザ処理の分野では、実質的に正方形の光パルスを使用することが有利である可能性がある。好ましくは、立上り及び立下り時間は、約1ナノ秒(ns)である可能性がある。最も好ましくは、立上り及び立下り時間は、1ns未満、約0.5ns以下である可能性がある。本発明の実施形態では、増幅器内の利得飽和は、立下りエッジよりも低い立上りエッジを有する変調器用の駆動信号を発生することによって、実質的に正方形の出力パルスを発生するように釣り合わされる。図4A及び4Bは、本発明の実施形態による振幅変調器に印加される電気波形及び出力光パルスの略図である。この例では、図4Bに提示される所望の出力光パルスは、20mJのエネルギー、1nsの立上り及び立下り時間、30nsの幅並びに約670Wのピークパワーを有する。所望の出力光パルスを発生するために振幅変調器に印加される電気波形は図4Aに示される。電気ドライブ信号は、1GS/sサンプリングレート及び12ビット分解能を有するDACを使用して発生される。この単純な図では、変調器に1回目(第1オープニング)に印加される電気ドライブ信号だけが示される。図4Aは、完全な消光から完全な透過へ振幅変調器を駆動するのに必要とされる電圧として当技術分野でよく知られている、V_pi(Vπ)の一部分として振幅変調器に印加される電圧を示す。
【0036】
[0045]一実施形態では、2回目(第2オープニング)に使用される変調器の電気ドライブ信号は長方形である。この第2オープニングは、光パルスが修正されずに増幅器の出力に向かって2パス増幅器を出るようにするだけである。第2電気ドライブ信号は、出力光パルスをゲート制御するだけである。他の実施形態では、第2電気ドライブ信号は、また、用途に応じて、長方形でない波形を使用して整形されることができる。第1及び第2電気ドライブ信号は、実際には、先に説明したように、第1及び第2ドライブ波形を含む1つの長い複合ドライブ信号である可能性があることも認識されることができる。この例についての電気ドライブ信号の全体の特徴は、前縁が後縁より低いことである。これは、増幅器における飽和を考慮するために起こる。パルスの前縁は、増幅器を通って伝播するにつれて、増幅器からエネルギーを抽出するため、光利得が減少する。利得をあまり要求しないパルスの後縁は少し増幅される。したがって、パルスの後縁は、前縁より高くなるように増幅器に注入される。
【0037】
[0046]本発明の他の実施形態では、パルス整形は、利得飽和を妨げるだけでなく、正方形でない光パルスを発生するためにも使用される。手近な用途に応じて、出力光パルスは、正方形パルスと異なる可能性がある。
【0038】
[0047]メモリチップ又は他の集積回路チップ上での導電性リンクのレーザ処理の分野では、特別に調節されたパワープロファイルを有するレーザパルスを使用するシステムは、よりよい処理品質及び歩留まりのために有利である可能性がある。
【0039】
[0048]たとえば、本発明の一実施形態では、図5A又は5Bに示すように、特別に調節された光時間パワープロファイルが使用される。図5A及び5Bを参照すると、レーザパルスパワープロファイル60c及び60dは、それぞれ、レーザパルスの始めに著しい前縁オーバーシュート62(図5A)を有するか、又は、リンク材料が完全に除去される前に、レーザパルスの継続期間中のあるときに1つ又は2つの中間パルススパイク64(図5Bにおいて1つのスパイクが示される)を有するように特別に調節されることができる。特定の実施形態では、パワースパイクのタイミングは、レーザパルスパワープロファイルの立上りエッジから、レーザパルスパワープロファイルの継続期間の約70%までで測定される間隔内にある。図5Bは、パルススパイク64の前と後でパワーレベルが比較的平坦であるレーザパルスパワープロファイル60dを示す。レーザパルスパワープロファイルは、パルススパイク64の前と後でパワーレベルが変化する可能性がある。こうしてレーザパルスパワープロファイルを調節することは、前縁オーバーシュート又は中間パルススパイクから、リンク材料の首尾よい除去を容易にするのに十分なレーザピークパワー及びエネルギーを供給し、また、リンク材料のほとんどを除去することによって、残りのリンク材料を除去し、且つ、シリコン基板及びリンクの近傍の構造に対する損傷のリスクの低減を確保するために、ずっと低いレーザパルスパワーを供給する。
【0040】
[0049]図5C及び5Dは、本発明の実施形態による、振幅変調器に印加される電気波形及び対応するスパイク状光出力パルスの略図である。これらの図は、中間パルススパイク状光出力についての特定の例を示す。この例では、図5Dに提示される所望の出力光パルスは、20mJのエネルギー、約5nsの立上り及び立下り時間、約55nsのベースにおける総合幅、ベースにおける約15nsのスパイク幅並びに約570Wのピークパワーを有する。出力パルスは、主パルスの中央にスパイクを有する。パルスは、570Wのピークパワーから約半分のパワーの約285Wにおいてペデスタルを有する。所望の出力光パルスを発生するために振幅変調器に印加される電気波形は図5Cに示される。電気ドライブ信号は、1GS/sサンプリングレート及び12ビット分解能を有するDACを使用して発生される。この単純な図では、変調器に1回目(第1オープニング)に印加される電気ドライブ信号だけが示される。図5Cは、完全な消光から完全な透過へ振幅変調器を駆動するのに必要とされる電圧として当技術分野でよく知られているV_pi(Vπ)の一部分として振幅変調器に印加される電圧を示す。一実施形態では、2回目(第2オープニング)に使用される変調器の電気ドライブ信号は長方形である。この第2オープニングは、光パルスが修正されずに増幅器の出力に向かって2パス増幅器を出るようにするだけである。第2電気ドライブ信号は、出力光パルスをゲート制御するだけである。他の実施形態では、第2電気ドライブ信号は、また、用途に応じて、長方形でない波形を使用して整形されることができる。第1及び第2電気ドライブ信号は、実際には、先に説明したように、第1及び第2ドライブ波形を含む1つの長い複合ドライブ信号である可能性があることも認識されることができる。
【0041】
[0050]本発明の実施形態を利用すると、レーザパワープロファイルのこうした特別な調節は、ずっと優れた処理結果及び広いプロセス窓を送出し、シリコン基板及びリンクに隣接する構造に対する損傷のリスクを低減する。
【0042】
[0051]本明細書で供給される特別に調節されたレーザパルスは、レーザパルスの始めのオーバーシュート又はレーザパルスの継続期間中のスパイクピークを有する。オーバーシュート又はパルス中のスパイクピークのパワー振幅は、レーザパルスの平均パワー振幅に比べて、約10%より大きい、たとえば、10%〜50%である。オーバーシュート又はスパイクピークの時間幅は、所定の値、たとえば、約1nsとレーザパルスの継続期間の約50%との間である。特定の実施形態では、オーバーシュート又はスパイクピークの時間幅は、レーザパルスの継続期間の約10%と約50%との間である。ある実施形態では、リンク構造及び製造中のレーザパラメータの現実的な全ての変動を考慮して、スパイクのタイミングは、リンクが完全に除去されるときより早く設定される。複数の前縁オーバーシュート、複数のスパイクピーク又は振動するピークパワー振幅などの、レーザパルス時間パワープロファイルを変調する他の技法は、異なるリンク構造に基づいて使用されることができる。一部の用途では、レーザパルスの継続期間は、約1nsと約40nsとの間である。レーザパルス時間パワープロファイルの後縁は、通常、約10nsより短い。レーザパルスのエネルギーは、好ましくは、約0.001マイクロジュールと約10マイクロジュールとの間である。
【0043】
[0052]本発明の特定の実施形態に従って供給される正方形でないパルスの別の例は、図6に示すレーザパルスのセットである。集積回路(IC)作製プロセスにおける歩留まりは、基板層又はパターンのアライメント変動或いは粒子状汚染物質から生じる欠陥をもたらすことが多い。こうした用途の場合、ICリンクを切断するために、従来のリンク処理システムの単一レーザパルスを使用する代わりに、それぞれ、レーザパルスエネルギーが安全範囲内にある少なくとも2つのレーザパルスのセットを使用することが有利である。本発明の一部の実施形態では、図6に示したものと同様の光パルスのセットが、レーザによって放出される。本発明の種々の実施形態によれば、光パルスのセットの継続期間は、1,000nsより短い、500nsより短い、300nsより短い又は5ns〜300nsの範囲にある。もちろん、パルス継続期間についての特定の値は、特定の用途に依存することになる。セット内の各レーザパルスのパルス幅は、一般に、約100フェムト秒〜約30nsの範囲にある。ICリンク切断用途で使用される実施形態では、セット内の各レーザパルスは、リンク構造を支持するシリコン基板についての損傷閾値より小さい、エネルギー/パルス又はピークパワー/パルスを有する。セット内の各レーザパルスの数は、下にあるパッシベーション層及び基板を元のままにしながら、最後のパルスがリンクの底部を除去するような所定の数として提供される。セットの全継続期間は、通常、1,000nsより短いため、セットは、従来のリンク切断レーザポジショニングシステムによって単一パルスであると考えられる。本発明のある実施形態によれば、レーザパルスのセットは、コンピュータにおいて適切な変調器電気波形のデジタル表現を生成し、次に、このデジタルパターンを、高速デジタル−アナログ(DAC)変換器を使用してアナログ信号に変換することによって生成される。一部の実施形態では、パルスのセットは、振幅変調器を駆動するために1つの単一電気信号を使用するだけである、1つの単一光波形として扱われる。
【0044】
[0053]一部の実施形態では、パルスのセットは、異なる形状、エネルギー又は幅のパルスを含む。たとえば、単純なセットは、図7A及び7Bに示すように、異なるエネルギー又は幅の3つのパルスを含む。図7A及び7Bは、異なるエネルギー及び幅の3つのパルスについての、本発明の実施形態による振幅変調器に印加される電気波形及び出力光パルスの略図である。この例では、図7Bに提示される所望の出力光波形は、50mJの総エネルギーを有する。この第1パルスは、6mJのエネルギー、約1nsの立上り及び立下り時間、6nsの幅並びに約1000Wのピークパワーを有する。第2パルスは、4mJのエネルギー、約1nsの立上り及び立下り時間、8nsの幅並びに約500Wのピークパワーを有する。第3パルスは、40mJのエネルギー、約1nsの立上り及び立下り時間、50nsの幅並びに約800Wのピークパワーを有する。最初の2つのパルスは、20nsで分離され、第2パルスと第3パルスは、50nsで分離される。パルス分離及び3つのパルスが異なる幅及びパワーを有することは、一般に、従来の方法で達成することが非常に難しい。この実施形態では、3つのパルスは、単一波形として扱われる。所望の出力光パルスを発生するために振幅変調器に印加される電気波形は図7Aに示される。電気ドライブ信号は、1GS/sサンプリングレート及び12ビット分解能を有するDACを使用して発生される。この単純な図では、変調器に1回目(第1オープニング)に印加される電気ドライブ信号だけが示される。図7Bは、V_pi(Vπ)の一部分として振幅変調器に印加される電圧を示す。一実施形態では、2回目(第2オープニング)に使用される変調器の電気ドライブ信号は長方形である。
【0045】
[0054]本発明のなお別の実施形態では、効率的なレーザ処理のための光波形が発生される。レーザパルスの形状は次に述べられる。最初にレーザエネルギーが、所定のパワーレベルPで所定の期間tの間、材料表面に当てられ、それにより、処理される材料は、溶解し、気化し、気化により生じたリコイルを生成し、気化により生じたリコイルは、レーザビーム相互作用ゾーンから溶融材料を実質的に吐出することなく、生成された溶解物を相互作用ゾーンの周辺に変位させ、それにより、材料内に鍵穴を生成する。その後、さらにレーザエネルギーが、異なる所定のパワーレベルPで所定の期間tの間、レーザビーム相互作用ゾーンに当てられ、それにより、生じた気化リコイルは、表面張力に抗するのに不十分になり、材料の溶解温度を越えて生成溶解物の温度を維持しながら、前記鍵穴の制御された圧壊が起こる。第3に、なおさらにレーザエネルギーが、異なる所定のパワーレベルPで所定の期間tの間、レーザビーム相互作用ゾーンに当てられ、それにより、溶融材料の急速な気化が生じ、リコイルが生成され、最初の期間の間に生成された溶解物のほぼ完全な吐出が行われ、したがって、クレータを形成する。最後に、レーザエネルギーが、異なる所定のパワーレベルPで所定の期間tの間、レーザビーム相互作用ゾーンに当てられ、それにより、相互作用ゾーンから吐出されなかった残りの溶解物の温度及び前記クレータの壁の近くの固体材料の温度が、材料の微小亀裂を通常生じることになる冷却レートより小さい制御されたレートで減少する。
【0046】
[0055]図8A及び8Bは、本発明のなお別の実施形態による振幅変調器に印加される電気波形及び出力光パルスの略図である。図8に示す実施形態が使用されてもよい用途は、上述したように材料の効率的なレーザ処理である。この例では、図8Bに提示される所望の出力光波形は、20mJの総エネルギーを有する。最初に、レーザエネルギーが、175Wのパワーレベルで約20nsの期間の間発生される。その後、レーザエネルギーが、88Wのパワーレベルで約25nsの期間の間発生される。なおさらにレーザエネルギーが、690Wのパワーレベルで約10nsの間発生される。最後に、さらにレーザエネルギーが、88Wのパワーレベルで約55nsの期間の間発生される。所望の出力光パルスを発生するために振幅変調器に印加される電気波形は図8Aに示される。電気ドライブ信号は、1GS/sサンプリングレート及び12ビット分解能を有するDACを使用して発生される。この単純な図では、変調器に1回目(第1オープニング)に印加される電気ドライブ信号だけが示される。図8Aは、V_pi(Vπ)の一部分として振幅変調器に印加される電圧を示す。一実施形態では、2回目(第2オープニング)に使用される変調器の電気ドライブ信号は長方形である。
【0047】
[0056]一部の用途では、レーザシステムの出力は、他の波長の信号を発生するために周波数変換される。たとえば、1064nmの信号は、当技術分野でよく知られているように、532nm又は354nm信号を発生するために、周波数2逓倍又は周波数3逓倍されることができる。周波数変換に使用されるユニットは、通常、LBO、KTPなどのような1つ又は複数の非線形光学結晶を含む。周波数変換信号の光時間領域波形は、基本波長の信号の光時間領域波形と非線形な関係を有する。たとえば、周波数2逓倍の場合、2つの波形は、ほぼ2つの関係の累乗で関連付けられる。これは、基本周波数のパワーが2倍になる場合、2倍周波数のパワーは4倍になることを意味する。たとえば、1064nmのピークパワーが10kWから20kWに増加する場合、532nmのピークパワーは、全ての他のパラメータが一定として維持される場合、ほぼ1/4を乗じられることになる。532nmのピークパワーは、こうした条件下で、2.5kWから10kWになるであろう。そのため、複合光波形の周波数変換は非線形である。したがって、所与の用途について、ある周波数変換光波形が必要とされる場合、基本パルス形状は異なる波形を有することになる。この差は、振幅変調器に印加される電気ドライブ信号において考慮される必要がある。本発明の一部の実施形態によれば、振幅変調器に印加される電気ドライブ信号は、周波数変換プロセスによる光波形歪を考慮する。
【0048】
[0057]先に説明したように、振幅変調器に印加される特定のパルス整形波形は、手近な用途に依存する。特定のパルス整形波形は、また、使用される特定の増幅器アーキテクチャに依存する。単一モードコアファイバを使用するローパワー増幅器は、多モードファイバを使用するハイパワー増幅器と同じ量のパルス整形を必ずしも必要としないであろう。同様に、増幅器チェーンが使用される場合、特定の整形波形は、各段で使用される利得及びファイバ幾何形状に依存するであろう。特定の整形波形は、また、周波数変換ユニットが有るか無いかに依存する。したがって、特定の出力光波形について、振幅変調器に印加される最適電気波形が決定されなければならない。最適電気波形を決定するために、いくつかの方法が使用される可能性がある。第1の方法は、変調器の電気ドライブ波形を光出力波形に関連付けるレーザシステムの物理モデルを開発することである。特定のシステムについて数値シミュレーションを行うことによって、最適電気ドライブ波形を決定することが可能である。本出願の発明者等は、こうしたモデルを開発した。別の手法は、最良の電気波形を決定するために、実験室でレーザシステムに関する連続的な近似を使用することにある。この手法では、第1電気波形は、振幅変調器に印加され、振幅変調器は、レーザシステムから第1光出力波形を発生する。その後、光出力波形と電気波形が比較されて、第1電気波形を修正するエラー信号を発生する。エラー信号は、たとえば、本発明の実施形態で説明されるように、電気波形を発生する高速DACを制御するコンピュータを使用して計算されることができる。1つのこうしたエラー信号は、第1電気波形から第1光出力波形の正規化された反転を減算することによって発生されることができる。その後、このエラー信号は、第1電気波形に加算されて、第2光出力波形を発生するように変調器を駆動する第2電気波形を発生する。その後、振幅変調器を駆動する電気波形が、要求される光出力波形を発生するまで、シーケンスが繰返される。
【0049】
[0058]本発明は、特定の実施形態及び特定の実施形態の特定の例に関して述べられたが、他の実施形態が、本発明の精神及び範囲内に入ってもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、添付の特許請求の範囲の等価物の全範囲と共に決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シード信号を発生するようになっているシード源と、
前記シード源に結合された第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有する光サーキュレータと、
整形電気波形を生成するようになっている変調器ドライバと、
前記変調器ドライバに結合され、且つ、前記整形電気波形を受信するようになっている振幅変調器であって、前記光サーキュレータの前記第2ポートに結合された第1側面及び第2側面を特徴とする、振幅変調器と、
入力端及び反射端を特徴とする第1光増幅器であって、前記入力端は、前記振幅変調器の前記第2側面に結合される、第1光増幅器と、
前記光サーキュレータの前記第3ポートに結合された第2光増幅器と
を備える同調可能パルスレーザ源。
【請求項2】
前記整形電気波形を供給するよう構成された高速デジタル−アナログ変換器をさらに備える請求項1に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項3】
前記高速デジタル−アナログ変換器は、500メガサンプル/秒以上のサンプリングレート及び100MHzより広いアナログ電気帯域幅を特徴とする請求項2に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項4】
デジタルパターンを計算するよう構成されたコンピュータをさらに備える請求項2に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項5】
同調可能パルスレーザ源の出力は、光パルスのセットを含む請求項1に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項6】
前記光パルスのセットは、第1継続期間及び第1強度を特徴とする第1パルス並びに第2継続期間及び第2強度を特徴とする第2パルスを含む請求項5に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項7】
前記第1継続期間は前記第2継続期間と異なり、前記第1強度は前記第2強度と異なる請求項6に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項8】
前記光パルスのセットは、第1継続期間及び第1強度を特徴とする第1パルス、第2継続期間及び第2強度を特徴とする第2パルス並びに第3継続期間及び第3強度を特徴とする第3パルスを含む請求項5に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項9】
前記光パルスのセットは、同じ継続期間及び同じ強度を有する複数のパルスを含む請求項5に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項10】
同調可能パルスレーザ源の出力は、パルス継続期間及び前記パルス継続期間より実質的に短いスパイク継続期間を有するパワースパイクを有する出力パルス形状を特徴とする請求項1に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項11】
前記スパイク継続期間は、前記パルス継続期間の50%未満である請求項10に記載の同調可能パルスレーザ源。
【請求項12】
レーザパルスを供給する方法であって、
シード信号を供給するステップと、
前記シード信号を光サーキュレータの第1ポートに結合するステップと、
前記光サーキュレータの第2ポートから前記シード信号を出力するステップと、
第1整形電気信号を供給するステップと、
前記第1整形電気信号を振幅変調器の電気ポートに結合するステップと、
整形光パルスを光増幅器の入力端に出力するステップと、
増幅された整形光パルスを供給するために前記整形光パルスを増幅するステップと、
第2整形電気信号を供給するステップと、
前記第2整形電気信号を前記振幅変調器の前記電気ポートに結合するステップと、
前記光サーキュレータの前記第2ポートにおいて再整形光パルスを受信するステップと、
前記光サーキュレータの第3ポートにおいて前記再整形光パルスを出力するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記第1整形電気信号は、前記第2整形電気信号と異なる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記再整形光パルスは、実質的に正方形の形状を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記再整形光パルスは、時間の関数としての強度の増加を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記再整形光パルスは、時間の関数としての強度の減少を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
高速デジタル−アナログ変換器は、前記第1整形電気信号及び第2整形電気信号を発生するのに使用され、前記高速デジタル−アナログ変換器は、500メガサンプル/秒以上のサンプリングレート及び100MHzより広いアナログ電気帯域幅を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記整形光パルスを増幅するステップは、2パス増幅器を使用して実施される請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記増幅された整形光パルスは、パルス継続期間及び前記パルス継続期間より実質的に短いスパイク継続期間を有するパワースパイクを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記スパイク継続期間は、前記パルス継続期間の50%未満である請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2010−505242(P2010−505242A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529480(P2009−529480)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001744
【国際公開番号】WO2008/037087
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508311961)パイロフォトニクス レーザーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】