説明

文字入力装置、及び文字入力方法

【課題】 少ない操作回数で所望の文字を入力可能とすることである。
【解決手段】 携帯端末1は、複数の集団から成る文字群を表示部16に表示させる。ユーザが集団選択部11を介して1つの文字集団を選択すると、携帯端末1は、表示制御部15により、選択された集団に属する複数の文字を表示部16に拡大表示させる。ユーザが文字選択部12を介して、上記複数の文字の中から1つの文字を選択すると、携帯端末1は、表示制御部15により、選択された文字を入力文字として表示部16に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力装置、及び文字入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの文字入力が可能な装置では、装置が有するハードウェアボタン(以下、単に「ボタン」と記す。)をユーザが押下すると、押下されたボタンの表面に印字された文字が入力される。ところが、一般的にボタンは手指の大きさに合わせて小さく構成されており、印字可能な文字数は限られている。このため、ボタンに印字しきれない特殊な文字(記号や数字を含む。)をユーザが入力したい場合には、入力候補となる複数の文字(以下、「文字群」と記す。)を画面上に一覧表示することが有効である(例えば、特許文献1参照。)。ユーザは、文字群の中から所望の文字にカーソルを合わせてこれを選択することにより、当該文字を入力する。
【特許文献1】特開2001−51778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、カーソルは、一覧表示された各々の文字を一単位として移動する。したがって、一覧表示された文字数が多い場合、あるいは、カーソルの初期位置と所望の文字とが離れている場合には、所望の文字までカーソルを移動させるためのボタン押下の回数が多くなる。つまり、所望の文字を入力するための操作が多くなる。例えば、縦横9列ずつの計81種類の記号が一覧表示されている場合に、左上端の文字を初期位置とするカーソルが任意の文字上に移動するためには、最大で18回の操作が必要になる。
【0004】
そこで、本発明の課題は、少ない操作回数で所望の文字を入力可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、本発明に係る文字入力装置は、複数の集団に分割された文字群を一覧表示させる文字群表示制御手段と、前記複数の集団の中から1つの集団を選択する集団選択手段と、前記集団選択手段により選択された集団に属する複数の文字を一覧表示させる文字表示制御手段と、前記複数の文字の中から1つの文字を選択する文字選択手段とを備える。
【0006】
本発明に係る文字入力方法は、文字入力装置が、複数の集団に分割された文字群を一覧表示させる文字群表示制御ステップと、前記複数の集団の中から1つの集団を選択する集団選択ステップと、前記集団選択ステップにて選択された集団に属する複数の文字を一覧表示させる文字表示制御ステップと、前記複数の文字の中から1つの文字を選択する文字選択ステップとを含む。
【0007】
これらの発明によれば、ユーザが所望の文字を入力する際に、複数の集団に分割され一覧表示された文字群の中から、所望の文字を含む1つの集団がまず選択される。その後、この集団に属する複数の文字の中から1つの文字(所望の文字)が選択される。したがって、ユーザは、初期位置にあるカーソルを所望の文字まで移動させるための過程において、全て1文字単位でカーソルを移動させる必要が無くなり、この場合と比較して操作回数は減少する。その結果、少ない操作回数で所望の文字を入力することが可能となる。カーソルの初期位置と所望の文字とが離れている場合には、1文字単位の移動では操作回数を多く要するため、本発明の適用は特に効果的である。
【0008】
本発明に係る文字入力装置において好ましくは、前記文字群表示制御手段は、複数の集団に分割された文字群と共に、当該文字群を複数の集団に分割するための情報を表示させる。
【0009】
ここで、分割するための情報とは、文字群を構成する各文字の属する集団の認識を容易にするものであり、例えば、分割線(実線、破線等の種別を問わない。)、背景色、模様などである。
【0010】
本発明によれば、文字入力装置のユーザは、上記情報を参照することで、これから入力しようとする文字が、文字群を構成する集団の内、何れの集団に属する文字であるかを容易に視認することができる。その結果、ユーザは、所望の文字を含む集団を迅速かつ正確に選択することが可能となる。
【0011】
本発明に係る文字入力装置において、より好ましくは、前記文字表示制御手段は、前記複数の文字を拡大表示させる。
【0012】
文字入力装置のユーザは、これから入力しようとする文字の属する集団を最初に選択する。このため、文字入力装置が、かかる集団に属する複数の文字を拡大表示させることで、ユーザ所望の文字は拡大表示され、ユーザによる視認性が高まる。その結果、ユーザは、これら複数の文字の中から入力する文字を、より容易に選択することができる。なお、複数の文字の拡大表示に伴って、選択された集団に含まれない文字群の一部又は全部が隠れることが懸念されるが、当該文字群の中にはユーザ所望の文字は含まれないので、かかる懸念は解消される。
【0013】
なお、文字には、かな、漢字の他に、記号や数字を含む。また、文字は、絵文字、アイコン、写真などの表示データであってもよい。
【0014】
本発明は、表示された文字群の中から、ボタンの選択操作によって、ユーザ所望の文字を入力可能なあらゆる文字入力装置に適用可能であり、その機能やサイズによって適用対象を除外するものではないが、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)等は、配設されているボタンの数が少なく、文字の入力が必ずしも容易でないことから、このような携帯型端末に適用することが特に効果的である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ない操作回数で所望の文字を入力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、例示のために添付された図面を参照しながら、本発明の一実施の形態について説明する。まず、本実施の形態における携帯端末1の構成について説明する。図1は、携帯端末1の機能的構成を示すブロック図である。図1に示す様に、携帯端末1は、集団選択部11(集団選択手段に対応)と、文字選択部12(文字選択手段に対応)と、集団テーブル13と、文字テーブル14と、表示制御部15(文字群表示制御手段、文字表示制御手段に対応)と、表示部16とを備える。
【0017】
以下、携帯端末1の各構成要素について詳細に説明する。
【0018】
集団選択部11は、ユーザの手指によるボタン押下又は接触操作を検知すると、画面表示されている複数の集団の中から1つの集団を選択し、その識別子を表示制御部15に出力する。なお、集団を選択する操作は、ユーザが、選択対象の集団にカーソルを移動させた後に決定ボタンを押下又は接触する手法や、各集団と位置的に対応付けて配設されたボタンを直接的に押下又は接触する手法を採ることができる。本実施の形態では、前者の態様を想定する。
【0019】
文字選択部12は、ユーザの手指によるボタン押下操作を検知すると、画面上の複数の文字の中から、1つの文字を入力文字として選択し、その識別子を表示制御部15に出力する。詳細については後述するが、この識別子は、識別される文字の属する集団の識別子を含む。なお、文字を選択する操作に関しても、カーソルを移動させる手法、対応する位置にあるボタンを押下する手法など任意である。
【0020】
ここで、集団選択部11と文字選択部12とは、選択対象が異なるため、機能的な構成要素としては個別に図示及び説明したが、物理的には同一の入力装置(例えば、十字カーソルキー等のハードウェアボタン)により実現され得ることはいうまでもない。
【0021】
集団テーブル13には、上記集団の識別子と当該集団に属する複数の文字とが対応付けて格納されている。これにより、集団識別子の特定に伴って、当該識別子の集団に属する文字のデータを取得可能となっている。集団テーブル13におけるデータ格納例を図2に示す。図2に示す様に、集団テーブル13は、集団識別子格納領域131と集団格納領域132とを内部に有し、それぞれの集団識別子“G1,G2,G3,G4,…”には、9種類ずつの記号が対応付けられている。例えば、集団識別子として“G1”の入力が有った場合には、“☆、★、○、△、▲、▽、↓、=、♂”といった9種類の記号が当該テーブルから読み出される。
【0022】
文字テーブル14には、上記文字の識別子と文字とが1対1に対応付けて格納されている。これにより、文字識別子の特定に伴って、当該識別子を有する文字のデータを取得可能となっている。文字テーブル14におけるデータ格納例を図3に示す。図3に示す様に、文字テーブル14は、文字識別子格納領域141と文字格納領域142とを内部に有し、文字識別子“G1−C1,G1−C2,G1−C3,…,G7−C1,G7−C2,…,G9−C8,G9−C9,…”には、相互に異なる1種類の記号がそれぞれ対応付けられている。ここで、文字識別子の前半部分“G1〜G9”は、上述の集団識別子に対応して付されたものであり、後半部分の“C1〜C9”は、同一の集団に属し異なる文字を識別するために付されたものである。例えば、文字識別子として“G1−C1”の入力が有った場合には、“☆”の記号が当該テーブルから読み出される。同様に、“G7−C4”の入力が有った場合には、“∝”の記号が読み出される。
【0023】
表示制御部15は、入力候補の文字群を、分割線及びカーソルと共に、表示部16に一覧表示させる。ここで、分割線とは、一覧表示された文字群を複数の集団に分割するための線であり、ユーザは、この分割線を基に、所望の文字が何れの集団に属するかを認識して、集団の選択を容易にする。表示制御部15は、集団選択部11から入力された集団識別子に従って、複数の集団の中から1つの集団を選択可能な様に、カーソルを集団単位で移動させて表示させる。また、カーソルによって選択された集団を拡大表示させる。
【0024】
同様に、表示制御部15は、文字選択部12から入力された文字識別子に従って、複数の文字の中から1つの文字を選択可能な様に、カーソルを文字単位で移動表示させる。また、カーソルによって選択された文字を枠で囲んで表示させ、かかる文字が入力文字に決定した場合には、画面上の入力領域に表示させる。
【0025】
表示部16は、表示制御部15による制御内容に従って、入力候補の文字群、分割線、カーソル、選択された集団に属する複数の文字、入力された文字などを所定の表示領域に表示する。
【0026】
次に、図4〜図6を参照して、携帯端末1の動作を説明し、併せて、本発明に係る文字入力方法について説明する。本実施の形態では、図4(a)に示す縦9列×横9行(合計81種)の記号の中から、ユーザが“∇”を入力することを想定して説明する。図5は、携帯端末1により実行される文字入力処理を説明するためのフローチャートである。
【0027】
まずS1では、携帯端末1の表示制御部15は、記号群の表示指示の有無を監視しており、当該指示を検知すると(S1;YES)、入力候補となる記号群を、分割線、カーソルと共に、表示部16に一覧表示させる(S2)。この結果、表示部16に表示された画面16bを図4(b)に示す。図4(b)において、破線L1〜L4は、記号群の構成要素である個々の記号集団を識別するために表示された4本の分割線を示す。ユーザによる移動操作前の時点では、カーソルC1は、これらの分割線によって仕切られた9つの集団の内、左上端の位置(初期位置)にある。
【0028】
なお、カーソルC1の初期位置は、左上端、中央など任意であるが、文字の入力を容易にするという本発明の趣旨に鑑みて、初期位置から各文字への移動に要する操作回数が少なくなるような位置であることが望ましい。
【0029】
ユーザが集団選択部11を介してカーソルC1の移動を指示すると(S3;YES)、カーソルC1は、この指示に従って、記号群上を集団単位で移動する(S4)。図4(c)は、初期位置にあったカーソルC1が、その下の記号集団を経由して、更にその下に位置する左下端の集団に移動した様子を示す図である。この場合、カーソルC1の移動は、ボタン11cを二回押下操作することにより可能である。
【0030】
S5では、表示制御部15は、集団の選択指示を待機しており、集団選択部11を介した集団の選択指示を検知すると(S5;YES)、選択された集団に属する全ての記号を、カーソルと共に表示部16に拡大表示させる(S6)。集団の選択指示は、ボタン11eを押下操作することにより可能である。この結果、表示部16に表示される画面16dを図6(a)に示す。図6(a)において、ユーザが移動操作をする以前には、カーソルC2は、入力候補の9つの記号の内、左上端の初期位置にある。なお、カーソルC2の初期位置は、カーソルC1のそれと同様に、左上端、中央など任意である。
【0031】
ユーザが文字選択部12を介してカーソルC2の移動を指示すると(S7;YES)、カーソルC2は、この指示に従って、拡大表示された記号集団上を一記号単位で移動する(S8)。このようなカーソルC2の移動は、ボタン11bを二度押下操作することにより可能である。図6(b)は、初期位置にあったカーソルC2が、その直ぐ右側に位置する記号“∂”を経由して、更にその右側の記号である“∇”に移動した様子を示す図である。
【0032】
S9では、表示制御部15は、記号の選択指示を待機しており、文字選択部12を介した記号の選択指示を検知すると(S9;YES)、選択された記号“∇”が入力される(S10)。この入力指示は、ボタン11eを押下操作することにより可能である。
【0033】
以上説明した様に、本実施の形態における携帯端末1は、画面上に一覧表示された文字群を、9つの文字を固定的に有する9つの集団に分割する。これらの集団の中から1つの集団が選択されると、この集団に含まれる複数の文字の中から更に1つの文字が選択可能となる。ユーザは、所望の文字を選択することで、この文字を入力する。換言すれば、一覧表示された文字群は、集団を選択するための層(上位層)と、その集団から文字を選択するための層(下位層)との二階層を有し、それぞれの階層において、9つの中から1つの集団又は文字が選択される。これにより、文字群の中から直接的に(集団の選択を経ずに)文字を選択する従来の手法に比べて、所望の文字を選択するのに必要な操作回数を減らすことができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変形態様を採ることも可能である。例えば、上記実施の形態では、文字群を9の集団により構成すると共に、1の集団を9の文字により構成したが、文字群を構成する集団の数は12(=縦3×横4)、集団を構成する文字の数は9(=縦3×横3)という様に、集団数、文字数は、任意の値に変更可能である。また、階層数に関しても、二階層に限らず、集団を更に階層化することにより、三階層以上の設定をすることも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】携帯端末の機能的構成を説明するためのブロック図である。
【図2】集団テーブルにおけるデータ格納例を示す図である。
【図3】文字テーブルにおけるデータ格納例を示す図である。
【図4】携帯端末の画面遷移図の前半部分であり、図4(a)は、入力候補となる文字群の一覧を示す図であり、図4(b)は、分割線によって複数の集団に仕切られた文字群を示す図であり、図4(c)は、カーソルが文字群上を集団毎に移動する様子を示す図である。
【図5】携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】携帯端末の画面遷移図の後半部分であり、図6(a)は、選択された集団が拡大表示された様子を示す図であり、図6(b)は、選択された集団上をカーソルが文字毎に移動する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…携帯端末、11…集団選択部、12…文字選択部、13…集団テーブル、14…文字テーブル、15…表示制御部、16…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集団に分割された文字群を一覧表示させる文字群表示制御手段と、
前記複数の集団の中から1つの集団を選択する集団選択手段と、
前記集団選択手段により選択された集団に属する複数の文字を一覧表示させる文字表示制御手段と、
前記複数の文字の中から1つの文字を選択する文字選択手段と
を備えることを特徴とする文字入力装置。
【請求項2】
前記文字群表示制御手段は、複数の集団に分割された文字群と共に、当該文字群を複数の集団に分割するための情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記文字表示制御手段は、前記複数の文字を拡大表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
文字入力装置が、
複数の集団に分割された文字群を一覧表示させる文字群表示制御ステップと、
前記複数の集団の中から1つの集団を選択する集団選択ステップと、
前記集団選択ステップにて選択された集団に属する複数の文字を一覧表示させる文字表示制御ステップと、
前記複数の文字の中から1つの文字を選択する文字選択ステップと
を含むことを特徴とする文字入力方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−5773(P2006−5773A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181579(P2004−181579)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(393012161)株式会社アイム (8)
【Fターム(参考)】