説明

文字列入力装置及び文字列入力制御方法

【課題】効率的に文字列の入力が行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】リストが表示されていない状態で、操作デバイスの回転操作子が回転操作された場合、文字リストを表示する手段と、表示されるGUIの各部位のうち、ユーザによる操作デバイスの操作によって、入力され得る状態にある部位を他の部位より識別させるために表示を異ならせる手段と、テキストボックスに、操作デバイスの操作に応じて文字リストより選択指示された文字から成る文字列を、未確定文字列として表示する手段と、文字リストが表示されている状態で、操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する文字を、テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴って表示されている未確定文字列の最後に追加すると共に、文字リストを不表示にするよう制御する手段と、を有することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字列入力装置及び文字列入力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばデジタルカメラや多機能プリンタのようにキーボードを備えない機器において、文字を入力することが必要な場合がある。
【0003】
特許文献1には、ユーザが回転操作デバイスを操作して仮想キーの選択と、その仮想キーに割り当てられた文字の選択と、候補単語の選択と、を行なうことによって、文字入力を行う方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ユーザによる仮想キーボードのキー操作に応じて、データが入力された場合、入力されたデータに連続すると推定されるデータに該当する次入力候補キーを探索し、仮想キーボード上において強調表示する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−92521号公報
【特許文献2】特開平11−272386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている方法では、ユーザは、操作デバイスを一体に構成している操作子の操作のみによっては、文字入力操作を遂行することができず、文字入力操作の効率を向上させることが困難な問題がある。また、特許文献1の方法では、選択された文字に関連した複数の候補単語を、仮想キーの近傍に表示させているため、ユーザは指示選択すべきGUI部位を多くの要素の中から見分けなければならない問題がある。また、ユーザの操作を適切に誘導することができていないため、ユーザの習熟性や操作性が向上し難いという問題もある。
【0007】
また、特許文献2に開示されている技術では、入力されたデータに連続すると推定されるデータに該当する次入力候補キーを仮想キーボード上において強調表示することで、ユーザの操作を適切に誘導しようとしている。しかしながら、強調表示されないキーも、依然、入力可能な部位として表示され続けるため、表示部の視認性が十分に改善されず、且つ、ユーザの操作を誘導する効果も十分ではないと問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、ユーザが操作デバイスより指を離すこと無く、効率的に文字列の入力が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、表示装置にリストが表示されていない状態で、操作デバイスの回転操作子が回転操作された場合、前記表示装置に文字リストを表示する文字リスト表示手段と、前記表示装置に表示されるGUIの各部位のうち、ユーザによる前記操作デバイスの操作によって、入力され得る状態にある部位を他の部位より識別させるために表示を異ならせるフォーカス手段と、前記表示装置にテキストボックスを表示するテキストボックス表示手段と、前記テキストボックスに、前記操作デバイスの操作に応じて前記文字リストより選択指示された文字から成る文字列を、未確定文字列として表示する未確定文字列表示手段と、前記表示装置に文字リストが表示されている状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する文字を、前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴って表示されている未確定文字列の最後に追加すると共に、前記文字リストを不表示にするよう制御する文字セット手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、文字列入力装置における文字列入力制御方法であって、表示装置にリストが表示されていない状態で、操作デバイスの回転操作子が回転操作された場合、前記表示装置に文字リストを表示する文字リスト表示ステップと、前記表示装置に表示されるGUIの各部位のうち、ユーザによる前記操作デバイスの操作によって、入力され得る状態にある部位を他の部位より識別させるために表示を異ならせるフォーカスステップと、前記表示装置にテキストボックスを表示するテキストボックス表示ステップと、前記テキストボックスに、前記操作デバイスの操作に応じて前記文字リストより選択指示された文字から成る文字列を、未確定文字列として表示する未確定文字列表示ステップと、前記表示装置に文字リストが表示されている状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する文字を、前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴って表示されている未確定文字列の最後に追加すると共に、前記文字リストを不表示にするよう制御する文字セットステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、プログラム及び記憶媒体としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが操作デバイスより指を離すこと無く、効率的に文字列の入力が行えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1は、文字列入力装置(又はコンピュータ)の外観正面図である。
図1において、11は、操作デバイスであり、回転操作子12、上方向指示操作子13、下方向指示操作子14、右方向指示操作子15、左方向指示操作子16、OK操作子17からなる。
【0015】
回転操作子12は、ユーザが回転操作できるものであればよく、部材自体が所定の軸を中心に回転するものはもとより、部材自体は回転せずユーザが部材表面を円状になぞって操作する態様のものも含む。
【0016】
図1における上下左右の方向指示操作子は、それぞれ独立した操作子として構成され、各方向の操作子が指示されたときに、指示に対応した動作をするものである。但し、方向指示操作子として考えられる構成はこれのみに留まらず、例えば上下左右を一体に構成して傾き方向からユーザによりどの方向が指示されたかを判断処理するものであってもよい。また、回転操作子と一体に構成し、ユーザにより押し込み操作されたときの押し込み位置と、回転中心と、の位置関係より、ユーザの指示方向を判断処理するものであってもよい。
【0017】
OK操作子14は、回転操作子12の中心部に設けられており、ユーザによる押下操作を検出する。OK操作子14には、スイッチ機構等によりそれ自体が押下方向に沈降するものの他、感圧機構等によりそれ自体は移動することなくユーザによる押下操作を検知するものを含む。
15は、表示装置であり、GUIを表示する。
【0018】
図2は、文字列入力装置の要部構成を説明するブロック図である。
ユーザにより回転操作子12が回転操作された場合、仮名リスト表示部(文字リスト表示部)21は、表示装置15上に仮名(かな)をリスト表示し、フォーカス部22は、リスト上の該当する項目をフォーカスする。ユーザにより更に回転操作子12が回転操作された場合、リスト内フォーカス移動部23は、ユーザの回転操作に応じてフォーカスを移動する。
【0019】
テキストボックス表示部24により表示装置15にテキストボックスが表示されている状態で、ユーザがOK操作子17を押下する等して、仮名を選択指示した場合、未確定文字列表示部25は未確定であるとの状態表示を伴ってテキストボックスに仮名を表示する。なお、以下、未確定であるとの状態表示を伴って表示される文字列を「未確定文字列」という。
【0020】
仮名セット部26は、仮名リスト表示部21が仮名リストを表示しているときにユーザによりOK操作子17が指示操作された場合、フォーカス部22がフォーカスするリスト項目に該当する仮名を未確定文字列の最後に追加する(文字セット)。また、仮名セット部26は、仮名リストを不表示にする。
【0021】
操作デバイス11は、操作デバイスI/F30を介して、また、表示装置15は、表示I/F29を介してそれぞれ中央演算装置27に接続されている。
【0022】
なお、仮名リスト表示部21、フォーカス部22、リスト内フォーカス移動部23、テキストボックス表示部24、未確定文字列表示部25、仮名セット部26は、一般的には中央演算装置27と、メモリ28と、によりソフトウェア的に構成される。より具体的に説明すると、21〜26で示される各部は、メモリ28に記憶されているプログラムを中央演算装置27が実行することによって実現される。
【0023】
なお、以下では、説明の簡略化のため、21〜26で示される各部を含む機能構成に係る部を表示制御部とし、表示制御部が処理を行うものとして説明を行う。
【0024】
図3は、表示装置15に表示されるGUIの遷移を示す図(その1)である。
画面301から画面312を通じて、画面には、表示制御部により、テキストボックス31が表示されている。
【0025】
初期画面301を表示している状態において、ユーザにより回転操作子12が回転されると、表示制御部は、画面を、画面302に遷移させる。画面302には、表示制御部によって、文字リストの一例である仮名リスト32と、フォーカス33と、が表示されている。
【0026】
本実施形態では、表示画面上に表示するGUIを、回転操作子を有する操作デバイスを通じてユーザに操作させ、文字入力操作を行わせるものであり、ユーザの回転操作によりリストを表示することには以下のような意義を有する。即ち、回転操作子は、その構成上の特徴から、複数一連の項目から一の要素を選択指示するための操作手段として好適である。従って、ユーザにより回転操作子12が回転操作されることにより、表示制御部が、リストを表示し、更に回転操作がされることにより、表示制御部が、リストのフォーカスを移動させる。このようにすることによって、ユーザは回転操作子のみを操作することにより、リストを表示して、その要素を選択指示することができる。かかる構成は、効率的な文字列入力装置を提供する上での重要な意義を有するものである。
【0027】
なお、フォーカス33は、上述のようにGUIに表示されている項目の内、ユーザの指示により入力されうる状態にある項目(選択項目)を他の項目より識別させるための表示である。図3では、表示制御部は、項目の黒白を反転することにより他の項目と表示を異ならせている。しかし、他の項目と表示を異ならせるものであれば、他の表示態様であってよい。
【0028】
ユーザにより回転操作子12が時計方向に回転されると、表示制御部は、フォーカス33を回転量に応じて仮名リスト32内の下の項目に移動させる(画面303)。表示制御部は、仮名リスト32の第2階層(画面303において「かきくけこ」と表示されている)を、第1階層の選択項目に対応して変化させる。
【0029】
画面303の状態でユーザにより右方向指示操作子15が指示操作された場合、表示制御部は、画面を画面304に遷移させる。図3において、表示制御部は、フォーカス33を仮名リスト32の第2階層に移動させ、リストの第2階層の項目の一(図における「か」)を他の項目と異ならせて表示させている。
【0030】
画面304の状態でユーザにより回転操作子12が時計方向に回転されると、表示制御部は、フォーカス33を回転量に応じて移動させ、画面を例えば画面305に遷移させる。画面305の状態でユーザによりOK操作子17が押下されると、表示制御部は、画面を画面306に遷移させる。即ち、表示制御部は、画面305においてフォーカスされていた仮名リストの項目(画面305における「こ」)をテキストボックスに未確定状態で表示する。なお、表示制御部は、画面305で表示されていた仮名リスト34を、不表示とする。
【0031】
ここで仮名リストを不表示とすることは、表示するGUI要素を少なくしてユーザが指示選択すべきGUI部位を明確にし、ユーザの操作を適切に誘導するという意義を持つ。本実施形態では、表示画面上に表示するGUIを、一体に構成された操作デバイスを通じてユーザに操作させ、文字入力操作を行わせるものであり、操作デバイスの操作と装置の動作(GUI動作)との関連は、本来的には表示画面上にしか示されない。従って、文字入力を行う操作の流れに即して、そのとき指示操作をすることができないGUI要素を不表示にすることは、操作の分かりやすい文字列入力装置を提供する上での重要な意義を有する。また、GUI要素を少なくしてユーザが指示選択すべきGUI部位を明確にすることは、表示部の視認性に貢献し、且つ、ユーザが操作に習熟することを容易にする。
【0032】
画面309の状態でユーザにより下方向指示操作子14が指示操作された場合、表示制御部は、画面を画面310に遷移させる。画面310には、表示制御部によって、変換候補リスト35と、フォーカスと、が表示されている(変換候補リスト表示)。
【0033】
画面310の状態でユーザにより回転操作子12が時計方向に回転されると、表示制御部は、フォーカス33を回転量に応じて移動させ、画面を画面311に遷移させる。画面311の状態でユーザによりOK操作子17が押下されると、表示制御部は、画面を画面312に遷移させる。即ち、画面311においてフォーカスされていた変換候補リストの項目(図311における「公園」)がテキストボックスに確定済状態で表示される。なお、表示制御部は、画面311で表示されていた変換候補リスト35を、画面312では不表示とする。
【0034】
図4は、文字列入力装置の判断処理(又は文字入力制御処理)の流れを示すフロー図である。
表示制御部は、表示装置にリストが表示されているかを判断し(S401)、表示されているときは、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン1を実行する(S402)。GUI処理パターン1の処理の詳細は、後述する図5A及び図5Bに示す。
【0035】
リストが表示されていないときは、表示制御部は、更に、表示装置のテキストボックスに未確定文字列が表示されているかを判断する(S403)。表示装置のテキストボックスに未確定文字列が表示されているときは、表示制御部は、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン2を実行する(S404)。GUI処理パターン2の処理の詳細は、後述する図6に示す。一方、表示されていないときは、表示制御部は、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン3を実行する(S405)。GUI処理パターン3の処理の詳細は、後述する図7に示す。
【0036】
図5Aは、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン1における判断処理の流れを示すフロー図(その1)である。図5Bは、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン1における判断処理の流れを示すフロー図(その2)である。
【0037】
表示制御部は、ユーザにより回転操作子12が時計方向に回転操作されたか否かを判断し(S501)、時計方向に回転操作されたときは、フォーカス33をリスト内の下の項目に移動する(S502)。
【0038】
時計方向の回転操作がされなかった場合、表示制御部は、ユーザにより回転操作子12が反時計方向に回転操作されたか否かを判断し(S503)、反時計方向に回転操作されたときは、フォーカス33をリスト内の上の項目に移動する(S504)。
【0039】
反時計方向に回転操作されなかった場合、表示制御部は、リストが下位の階層を有しているときに、ユーザにより右方向指示操作子15が指示操作されたか否かを判断する(S505)。右方向指示操作子15が指示操作されたときは、表示制御部は、フォーカス33をリストの下位の階層に移動する(S506)。
【0040】
リストが下位の階層を有しているときに、ユーザにより右方向指示操作子15が指示操作されなかった場合、表示制御部は、リストが上位の階層を有しているときにユーザにより左方向指示操作子16が指示操作されたか否かを判断する(S507)。左方向指示操作子16指示操作されたときは、表示制御部は、フォーカス33をリストの上位の階層に移動する(S508)。
【0041】
リストが上位の階層を有しているときにユーザにより左方向指示操作子16が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより上方向指示操作子13が指示操作されたか否かを判断する(S509)。上方向指示操作子13が指示操作されたときは、表示制御部は、フォーカス33をリスト内の一つ上の項目に移動する(S510)。
【0042】
上方向指示操作子13が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより下方向指示操作子14が指示操作されたか否かを判断する(S511)。下方向指示操作子14が指示操作されたときは、表示制御部は、フォーカス33をリスト内の一つ下の項目に移動する(S512)。
【0043】
下方向指示操作子14が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザによりOK操作子17が指示操作されたか否かを判断する(S513)。OK操作子17が指示操作されたときは、表示制御部は、更にリストが「仮名リスト」か、又は「変換候補リスト」か、を判断する(S514)。「仮名リスト」のときは、表示制御部は、フォーカスされている仮名を未確定文字列の最後に追加し、仮名リスト34を不表示にする(S515)。一方、「変換候補リスト」のときは、表示制御部は、テキストボックス31の未確定文字列をフォーカスされている「変換候補」に置き換え(文字変換)、変換候補リスト35を不表示にする(S516)。
【0044】
図6は、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン2における判断処理の流れを示すフロー図である。
表示制御部は、ユーザにより回転操作子12が回転操作されたか否かを判断し(S601)、回転操作子12が回転操作されたときは、仮名リストを表示して、その項目の一つをフォーカスする(S602)。
【0045】
回転操作子12が回転操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより右方向指示操作子15が指示操作されたか否かを判断する(S603)。右方向指示操作子15が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31における未確定文字列の区切り位置を一文字分右に移動する(S604)。
【0046】
右方向指示操作子15が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより左方向指示操作子16が指示操作されたか否かを判断する(S605)。左方向指示操作子16が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31における未確定文字列の区切り位置を一文字分左に移動する(S606)。
【0047】
左方向指示操作子16が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより上方向指示操作子13が指示操作されたか否かを判断する(S607)。上方向指示操作子13が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31における未確定文字列(の区切り位置まで)の末尾一文字を削除する(S608)。
【0048】
上方向指示操作子13が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより下方向指示操作子14が指示操作されたか否かを判断する(S609)。下方向指示操作子14が指示操作されたときは、表示制御部は、変換候補リストを表示し、その項目の一つをフォーカスする(S610)。
【0049】
下方向指示操作子14が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザによりOK操作子17が指示操作されたか否かを判断する(S611)。OK操作子17が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31の未確定文字列(の区切り位置まで)を確定済み文字列とする(S612)。
【0050】
図7は、ユーザ操作に対応したGUI処理パターン3における判断処理の流れを示すフロー図である。
表示制御部は、ユーザにより回転操作子12が回転操作されたか否かを判断し(S701)、回転操作子12が回転操作されたときは、仮名リストを表示して、その項目の一つをフォーカスする(S702)。
【0051】
回転操作子12が回転操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより右方向指示操作子15が指示操作されたか否かを判断する(S703)。右方向指示操作子15が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31におけるビームカーソル表示位置を一文字分右に移動する(S704)。
【0052】
右方向指示操作子15が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより左方向指示操作子16が指示操作されたか否かを判断する(S705)。左方向指示操作子16が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31におけるビームカーソル表示位置を一文字分左に移動する(S706)。
【0053】
左方向指示操作子16が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザにより上方向指示操作子13が指示操作されたか否かを判断する(S707)。上方向指示操作子13が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31における確定済み文字列のビームカーソル直前の一文字を削除する(S708)。
【0054】
上方向指示操作子13が指示操作されなかった場合、表示制御部は、ユーザによりOK操作子17が指示操作されたか否かを判断する(S709)。OK操作子17が指示操作されたときは、表示制御部は、テキストボックス31における確定済み文字列を、文字列入力装置(又は文字列入力装置が搭載されている装置若しくはシステム)への戻り値として文字入力を終了する(S710)。
【0055】
図8は、表示装置15に表示されるGUIの遷移を示す図(その2)である。
画面801は、テキストボックス31に未確定文字列「こうえん」が表示されている状態を表わし、図3の画面309に相当するものである。画面801が表示されている状態において、ユーザにより左方向指示操作子16が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面802に遷移させる。画面802では、区切り位置が左にシフトし、「こうえ」が未確定文字列(前半部の未確定文字列)として、また、「ん」が後半部の未確定文字列としてテキストボックス31に表示されている。つまり、表示制御部は、未確定文字列「こうえん」の先頭文字から末尾文字の一文字前までを前半部の未確定文字列とすると共に、前記末尾文字「ん」を後半部の未確定文字列の先頭とする(区切り位置左シフト)。
【0056】
画面802において、未確定文字列(前半部の未確定文字列)は、文字列に実線下線部が付されて未確定文字列であることが示され、後半部の未確定文字列は、文字列に点線下線部が付されて後半部未確定文字列であることが示されている。しかしながら、他の表示態様であってよい。
【0057】
画面802を表示している状態において、ユーザにより右方向指示操作子15が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面803に遷移させる。画面803では区切り位置が右にシフトし、「こうえん」が未確定文字列として表示されている。つまり、表示制御部は、前半部の未確定文字列の末尾「こうえ」の「え」に、後半部の未確定文字列の先頭一文字「ん」を追加し、追加した後半部の未確定文字列の先頭一文字を削除する(区切り位置右シフト)。
【0058】
画面803を表示している状態において、ユーザにより上方向指示操作子13が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面804に遷移させる。画面804では、画面803における未確定文字列の末尾一文字が削除され、「こうえ」が未確定文字列として表示されている。つまり、表示制御部は、未確定文字列の末尾一文字を削除する(未確定文字列バックスペース)。
【0059】
画面805は、画面804が表示されている状態でユーザにより回転操作子12が回転操作され、仮名リストが表示された後、所定の操作を経て仮名「ん」がフォーカスされている状態を表わしている。画面805を表示している状態でユーザによりOK操作子17が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面806に遷移させる。画面806を表示している状態でユーザによりOK操作子17が更に指示操作されると、表示制御部は、画面を画面807に遷移させる。画面808では、画面807における未確定文字列が確定され(未確定文字列確定)、確定済み文字列として未確定であるとの状態表示(本実施形態の場合における実線下線部)を伴わずに表示されている。
【0060】
なお、画面801から画面808までの全ての画面において、テキストボックス31にビームカーソルが表示されている。
【0061】
画面807を表示している状態において、ユーザにより左方向指示操作子16が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面808に遷移させる。画面808では、ビームカーソルが画面807の状態より左に一文字分移動している。画面808を表示している状態において、ユーザにより上方向指示操作子13が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面809に遷移させる。画面809では、画面808におけるビームカーソル直前一文字(画面808における「え」)が削除されている。
【0062】
画面810は、画面809を表示している状態でユーザにより回転操作子12が回転操作され、仮名リストが表示された後、所定の操作を経て仮名「え」がフォーカスされている状態を表わしている。画面810を表示している状態でユーザによりOK操作子17が指示操作されると、表示制御部は、画面を画面811に遷移させる。画面811を表示している状態でユーザによりOK操作子17が更に指示操作されると、表示制御部は、画面を画面812に遷移させる。
【0063】
画面812を表示している状態でユーザによりOK操作子17が指示操作されると、表示制御部は、テキストボックス31の確定済み文字列(画面812における「こうえん」)を文字入力処理の結果としての入力値として、文字入力処理を終了する。
【0064】
<その他の実施形態>
また、本発明の目的は、以下のようにすることによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(又は記録媒体)を、システム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置の中央演算処理手段(CPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0065】
また、システム或いは装置の前記中央演算処理手段が読み出したプログラムコードを実行することにより、そのプログラムコードの指示に基づき、システム或いは装置上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0066】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、前記システム或いは装置に挿入された機能拡張カードや、接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれたとする。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0067】
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0068】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、ユーザが操作デバイスより指を離すこと無く、効率的に文字列の入力が行えるようにすることができる。
即ち、上述した実施形態では、まず、ユーザにより仮名リストから一の仮名が選択指示されたときは、この仮名を未確定文字列に追加すると共に、仮名リストを不表示とする。このことにより、表示するGUI要素を少なくしてユーザが指示選択すべきGUI部位を明確にし、ユーザの操作を適切に誘導することができる。
【0069】
次に、上述した実施形態では、ユーザの回転操作により仮名リストを表示し、ユーザが更に回転操作をすることにより、仮名リスト上のフォーカスを移動させる。上述したように、回転操作子は、構成上の特徴から、複数一連の項目から一の要素を選択指示するための操作手段として好適である。よって、ユーザの回転操作によりリストを表示し、更に回転操作がされることによりリストのフォーカスを移動すれば、ユーザは回転操作子のみを操作することによりリストを表示してその要素を選択指示することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、ユーザは、回転操作子と、上方向指示操作子と、下方向指示操作子と、右方向指示操作子と、左方向指示操作子と、OK操作子と、からなる操作デバイスのみを操作する。このことにより文字入力操作(仮名の選択、入力、変換、文字列区切りの変更、編集位置の変更、バックスペース、確定、終了を含む)を遂行できる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】文字列入力装置の外観正面図である。
【図2】文字列入力装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図3】表示装置15に表示されるGUIの遷移を示す図(その1)である。
【図4】文字列入力装置の判断処理の流れを示すフロー図である。
【図5A】ユーザ操作に対応したGUI処理パターン1における判断処理の流れを示すフロー図(その1)である。
【図5B】ユーザ操作に対応したGUI処理パターン1における判断処理の流れを示すフロー図(その2)である。
【図6】ユーザ操作に対応したGUI処理パターン2における判断処理の流れを示すフロー図である。
【図7】ユーザ操作に対応したGUI処理パターン3における判断処理の流れを示すフロー図である。
【図8】表示装置15に表示されるGUIの遷移を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0073】
11 操作デバイス
12 回転操作子
13 上方向指示操作子
14 下方向指示操作子
15 表示装置
16 左方向指示操作子
17 OK操作子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置にリストが表示されていない状態で、操作デバイスの回転操作子が回転操作された場合、前記表示装置に文字リストを表示する文字リスト表示手段と、
前記表示装置に表示されるGUIの各部位のうち、ユーザによる前記操作デバイスの操作によって、入力され得る状態にある部位を他の部位より識別させるために表示を異ならせるフォーカス手段と、
前記表示装置にテキストボックスを表示するテキストボックス表示手段と、
前記テキストボックスに、前記操作デバイスの操作に応じて前記文字リストより選択指示された文字から成る文字列を、未確定文字列として表示する未確定文字列表示手段と、
前記表示装置に文字リストが表示されている状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する文字を、前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴って表示されている未確定文字列の最後に追加すると共に、前記文字リストを不表示にするよう制御する文字セット手段と、
を有することを特徴とする文字列入力装置。
【請求項2】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの下方向指示操作子が指示操作された場合、前記表示装置に変換候補リストを表示する変換候補リスト表示手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の文字列入力装置。
【請求項3】
前記表示装置に前記変換候補リストが表示されている状態で、前記操作デバイスの前記OK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する変換候補を、前記テキストボックスに表示されている未確定文字列に置き換えると共に、前記変換候補リストを不表示にするよう制御する文字変換手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の文字列入力装置。
【請求項4】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの左方向指示操作子が指示操作された場合、前記未確定文字列の先頭文字から末尾文字の一文字前までを前半部の未確定文字列とすると共に、前記末尾文字を後半部の未確定文字列の先頭とする区切り位置左シフト手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の文字列入力装置。
【請求項5】
前記テキストボックスに前記前半部の未確定文字列及び前記後半部の未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの右方向指示操作子が指示操作された場合、前記前半部の未確定文字列の末尾に、前記後半部の未確定文字列の先頭一文字を追加し、前記追加した後半部の未確定文字列の先頭一文字を削除する区切り位置右シフト手段を更に有することを特徴とする請求項4に記載の文字列入力装置。
【請求項6】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの上方向指示操作子が指示操作された場合、前記未確定文字列の末尾一文字を削除する未確定文字列バックスペース手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の文字列入力装置。
【請求項7】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、前記未確定文字列を未確定であるとの状態表示を伴わずに表示するよう制御する未確定文字列確定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の文字列入力装置。
【請求項8】
前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴わないで表示されている文字列の文字の間の特定の位置を指し示すGUI要素を表示するビームカーソル表示手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の文字列入力装置。
【請求項9】
文字列入力装置における文字列入力制御方法であって、
表示装置にリストが表示されていない状態で、操作デバイスの回転操作子が回転操作された場合、前記表示装置に文字リストを表示する文字リスト表示ステップと、
前記表示装置に表示されるGUIの各部位のうち、ユーザによる前記操作デバイスの操作によって、入力され得る状態にある部位を他の部位より識別させるために表示を異ならせるフォーカスステップと、
前記表示装置にテキストボックスを表示するテキストボックス表示ステップと、
前記テキストボックスに、前記操作デバイスの操作に応じて前記文字リストより選択指示された文字から成る文字列を、未確定文字列として表示する未確定文字列表示ステップと、
前記表示装置に文字リストが表示されている状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する文字を、前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴って表示されている未確定文字列の最後に追加すると共に、前記文字リストを不表示にするよう制御する文字セットステップと、
を有することを特徴とする文字列入力制御方法。
【請求項10】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの下方向指示操作子が指示操作された場合、前記表示装置に変換候補リストを表示する変換候補リスト表示ステップを更に有することを特徴とする請求項9に記載の文字列入力制御方法。
【請求項11】
前記表示装置に前記変換候補リストが表示されている状態で、前記操作デバイスの前記OK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する変換候補を、前記テキストボックスに表示されている未確定文字列に置き換えると共に、前記変換候補リストを不表示にするよう制御する文字変換ステップを更に有することを特徴とする請求項10に記載の文字列入力制御方法。
【請求項12】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの左方向指示操作子が指示操作された場合、前記未確定文字列の先頭文字から末尾文字の一文字前までを前半部の未確定文字列とすると共に、前記末尾文字を後半部の未確定文字列の先頭とする区切り位置左シフトステップを更に有することを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の文字列入力制御方法。
【請求項13】
前記テキストボックスに前記前半部の未確定文字列及び前記後半部の未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの右方向指示操作子が指示操作された場合、前記前半部の未確定文字列の末尾に、前記後半部の未確定文字列の先頭一文字を追加し、前記追加した後半部の未確定文字列の先頭一文字を削除する区切り位置右シフトステップを更に有することを特徴とする請求項12に記載の文字列入力制御方法。
【請求項14】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスの上方向指示操作子が指示操作された場合、前記未確定文字列の末尾一文字を削除する未確定文字列バックスペースステップを更に有することを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載の文字列入力制御方法。
【請求項15】
前記テキストボックスに未確定文字列が表示されており、且つ、前記表示装置にリストが表示されていない状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、前記未確定文字列を未確定であるとの状態表示を伴わずに表示するよう制御する未確定文字列確定ステップを更に有することを特徴とする請求項9乃至14の何れか1項に記載の文字列入力制御方法。
【請求項16】
前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴わないで表示されている文字列の文字の間の特定の位置を指し示すGUI要素を表示するビームカーソル表示ステップを更に有することを特徴とする請求項9乃至15の何れか1項に記載の文字列入力制御方法。
【請求項17】
コンピュータに、
表示装置にリストが表示されていない状態で、操作デバイスの回転操作子が回転操作された場合、前記表示装置に文字リストを表示する文字リスト表示ステップと、
前記表示装置に表示されるGUIの各部位のうち、ユーザによる前記操作デバイスの操作によって、入力され得る状態にある部位を他の部位より識別させるために表示を異ならせるフォーカスステップと、
前記表示装置にテキストボックスを表示するテキストボックス表示ステップと、
前記テキストボックスに、前記操作デバイスの操作に応じて前記文字リストより選択指示された文字から成る文字列を、未確定文字列として表示する未確定文字列表示ステップと、
前記表示装置に文字リストが表示されている状態で、前記操作デバイスのOK操作子が指示操作された場合、フォーカスされているリストの項目に該当する文字を、前記テキストボックスに未確定であるとの状態表示を伴って表示されている未確定文字列の最後に追加すると共に、前記文字リストを不表示にするよう制御する文字セットステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記憶したコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−299738(P2008−299738A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147099(P2007−147099)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】