説明

文書出力装置及びプログラム

【課題】文書の印刷結果を読み取ることで得られた読取文書情報に基づき文書を出力する際に、文書中の一部の情報の出力を選択的に制限したい場合にも、前記文書を出力用に複数種用意することを省略できる。
【解決手段】作成された文書に対して出力制限対象の構成要素と当該構成要素に対する閲覧等の権限情報が設定され(54)て印刷が指示される(56)と、前記要素に権限情報が埋め込まれた文書が印刷され(58〜62)、当該印刷結果の読み取り及び文書受取者への出力が指示される(68)と、印刷結果から権限情報が取得される(70〜76)と共に、文書受取者の職層レベルが取得され(78〜82)、文書受取者が前記構成要素の閲覧権限を有するか否かが判定され(84)、閲覧権限を有しない場合は前記構成要素を除去(消去)した文書を文書受取者へ出力する(90)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書出力装置及び文書出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スキャナによって読み取られた原稿の画像に対して地紋の有無を判定し、地紋有りの場合は利用者が入力したパスワードが地紋のパスワードと同じか否か判断し、パスワードが相違していれば原稿画像が判断できないように画像の加工を行って出力し、パスワードが一致しているか地紋無しの場合は画像をそのまま出力することで、原稿画像の不正コピーを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−174129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、文書の印刷結果を読み取ることで得られた読取文書情報に基づき文書を出力する際に、文書中の一部の情報の出力を選択的に制限することができる文書出力装置及び文書出力プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る文書出力装置は、文書のうち出力制限対象の構成要素が設定されると共に、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否の判定に用いる第1識別情報が埋め込まれて印刷された印刷文書が読取装置で読み取られ、当該読み取りで得られた読取文書情報に基づく前記文書の出力が指示された場合に、出力された文書を受け取る文書受取者の属性情報、出力指示者の属性情報、前記出力指示者によって入力された第2識別情報の少なくとも1つを取得する取得手段と、前記読取文書情報から抽出された前記第1識別情報と、前記取得手段によって取得された情報と、に基づき、前記出力制限対象として設定された構成要素が出力不可と判定された場合に、前記読取文書情報に基づいて出力する前記文書のうち前記出力制限対象の構成要素の出力を制限するよう前記文書の出力を制御する制御手段と、を含んで構成されている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記文書は、前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素に前記第1識別情報が埋め込まれて印刷され、前記制御手段は、前記文書のうち前記文書の印刷結果上で前記第1識別情報が埋め込まれていた構成要素を、前記出力制限対象として設定された構成要素として認識する。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素の情報は、前記文書が印刷される際に前記文書に埋め込まれる前記第1識別情報としての文書識別情報と対応付けて記憶手段に記憶され、前記制御手段は、前記読取文書情報から抽出された前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記出力制限対象として設定された構成要素を認識する。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記文書が印刷される際に前記文書又は前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素に埋め込まれる前記第1識別情報、又は、前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される前記構成要素の情報は、前記出力制限対象として設定された構成要素を閲覧する権限を有する利用者を判定するための権限判定用情報であり、前記取得手段によって取得される前記文書受取者の属性情報、又は、前記文書受取者の属性情報としての利用者識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される情報は、前記文書受取者である利用者に対して予め設定された権限を規定する権限情報であり、前記制御手段は、前記権限情報を前記権限判定用情報と照合し前記文書受取者が前記出力制限対象に設定された構成要素を閲覧する権限を有しているか否かを判定することで、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否を判定する。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記文書が印刷される際に前記文書又は前記文書の前記出力制限対象に設定された構成要素に埋め込まれる前記第1識別情報、又は、前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される前記構成要素の情報は、前記出力制限対象として設定された構成要素を出力する権限を有する利用者を判定するための権限判定用情報であり、前記取得手段によって取得される前記出力指示者の属性情報、又は、前記出力指示者の属性情報としての利用者識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される情報は、前記出力指示者である利用者に対して予め設定された権限を規定する権限情報であり、前記制御手段は、前記権限情報を前記権限判定用情報と照合し前記出力指示者が前記出力制限対象に設定された構成要素を出力する権限を有しているか否かを判定することで、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否を判定する。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記文書が印刷される際に前記文書又は前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素に埋め込まれる前記第1識別情報、又は、前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される前記構成要素の情報は認証用情報であり、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記第2識別情報としての認証情報が前記認証用情報と一致しているか否かを判定することで、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否を判定する。
【0011】
請求項7記載の発明に係る文書出力プログラムは、コンピュータを、文書のうち出力制限対象の構成要素が設定されると共に、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否の判定に用いる第1識別情報が埋め込まれて印刷された印刷文書が読取装置で読み取られ、当該読み取りで得られた読取文書情報に基づく前記文書の出力が指示された場合に、出力された文書を受け取る文書受取者の属性情報、出力指示者の属性情報、前記出力指示者によって入力された第2識別情報の少なくとも1つを取得する取得手段、及び、前記読取文書情報から抽出された前記第1識別情報と、前記取得手段によって取得された情報と、に基づき、前記出力制限対象として設定された構成要素が出力不可と判定された場合に、前記読取文書情報に基づいて出力する前記文書のうち前記出力制限対象の構成要素の出力を制限するよう前記文書の出力を制御する制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,7記載の発明は、文書の印刷結果を読み取ることで得られた読取文書情報に基づき文書を出力する際に、文書中の一部の情報の出力を選択的に制限することができる、という効果を有する。
【0013】
請求項2記載の発明は、出力制限対象の構成要素の設定を、記憶手段を別途必要とすることなく設定できる、という効果を有する。
【0014】
請求項3記載の発明は、文書受取社の権限に基づき構成要素を出力するか否かを切り替えることができる、という効果を有する。
【0015】
請求項4記載の発明は、出力された文書を受け取る文書受取者が、出力制限対象として設定された構成要素を閲覧する権限を有しているか否かに応じて、構成要素を出力するか否かを切り替えることができる、という効果を有する。
【0016】
請求項5記載の発明は、出力指示者が、出力制限対象として設定された構成要素を出力する権限を有しているか否かに応じて、構成要素を出力するか否かを切り替えることができる、という効果を有する。
【0017】
請求項6記載の発明は、出力制限対象として設定された構成要素を出力する権限を出力指示者が有しているか否かを判定することを、記憶手段を別途必要とすることなく実現できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るコンピュータ・システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
【図3】(A)は利用者によって作成された文書の一例、(B)は出力制限対象の構成要素に認証用情報が埋め込まれて印刷された文書の一例を各々示すイメージ図である。
【図4】第1実施形態に係る画像読取印刷処理によって行われる文書出力処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】(A)〜(C)は出力される文書の一例を各々示すイメージ図である。
【図6】第2実施形態に係るコンピュータ・システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8】(A)は出力制限対象の構成要素・権限情報が設定されて印刷された文書の一例、(B)及び(C)は各種の職層レベルの出力指示者の指示により出力される文書の一例を各々示すイメージ図である。
【図9】第2実施形態に係る管理サーバによって行われる文書配信処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1には、本第1実施形態に係るコンピュータ・システム10の概略構成が示されている。コンピュータ・システム10は、LAN等から成るネットワーク12に、画像読取印刷装置14、PC(Personal Computer:パーソナル・コンピュータ)等から成る複数台の端末装置26、及び、管理サーバ36が各々接続されて構成されている。
【0021】
画像読取印刷装置14は、複写機としての機能や、プリンタとしての機能、ファクシミリ装置としての機能、スキャナとしての機能を兼ね備えた装置で構成することができ、マイクロコンピュータ等から成りCPU16A、メモリ16B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部16C、ネットワークI/F(インタフェース)部16D及び通信制御部16Eを内蔵した本体制御部16を備えている。また本体制御部16には、セットされた読取対象の文書(紙原稿)を光学的に読み取って読取画像データを出力する画像読取部18、入力された印刷画像データが表す画像を記録用紙に印刷する画像印刷部20、LCD等から成る表示手段としての表示部22A及びテンキーやタッチパネル等から成る入力手段としての操作部22Bが設けられた操作パネル22、及び、コンピュータ・システム10の個々の利用者が各々所持するICカード(図示省略)に記録されている情報を読み取るカードリーダ24が各々接続されている。
【0022】
本体制御部16のネットワークI/F部16Dはネットワーク12に接続され、端末装置26とのネットワーク12経由での通信を司る。また、通信制御部16Eは公衆通信網(図示省略)に接続され、ファクシミリ装置としての機能を備えた他の機器との公衆通信網を介しての通信を司る。また本体制御部16の記憶部16Cには、CPU16Aによって実行されるプログラムとして、画像読取印刷装置14の各部の動作を制御して利用者(ユーザ)に各種のサービス(例えば文書の複写、プリント(端末装置26から受信した文書データが表す文書の印刷)、ファクシミリ送信、スキャンtoボックス(文書を読み取り記憶部16C上に予め設けられた保存領域に読取画像データを格納するサービス)、スキャンtoメール(文書を読み取り読取画像データを電子メールに添付して送信するサービス)等)を提供するための本体制御プログラムと、CPU16Aによって後述する文書出力処理を行うための文書出力プログラムが各々インストールされている。
【0023】
なお、上記の文書出力プログラムは本発明に係る文書出力プログラムの一態様であり、本第1実施形態では、画像読取印刷装置14の本体制御部16のCPU16Aによって上記の文書出力プログラムが実行されることで、画像読取印刷装置14が本発明に係る文書出力装置として機能する。
【0024】
また、個々の端末装置26はCPU26A、メモリ26B、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部26C、ネットワークI/F部26Dを備えており、ネットワークI/F部26Dを介してネットワーク12に接続されている。また、端末装置26には、ディスプレイ28、キーボード30及びマウス32が各々接続されている。また、端末装置26の記憶部26Cには、OS(Operating System)のプログラムや、後述する文書作成アプリケーションのプログラムを含む各種のアプリケーションのプログラムがインストールされている。
【0025】
また、管理サーバ36はCPU36A、メモリ36B、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部36C、ネットワークI/F部36Dを備えており、ネットワークI/F部36Dを介してネットワーク12に接続されている。管理サーバ36の記憶部36Cには、OS(Operating System)のプログラムや、管理サーバ36としての機能を実現するためのアプリケーションのプログラムがインストールされており(図示省略)、コンピュータ・システム10の個々の利用者について、利用者IDや認証情報(例えばパスワード等)、職層レベルを表す情報(例えば経営層=3/管理職層=2/一般=1)等が各々登録された利用者情報テーブルが記憶されている。
【0026】
次に本第1実施形態の作用を説明する。本第1実施形態に係るコンピュータ・システム10では、利用者が端末装置26を操作することで様々な文書が作成され、作成された文書が画像読取印刷装置14によって記録用紙に印刷されるが、利用者によって作成・印刷される文書の中には、複数の人への配布を前提として作成したものの、文書中の一部の情報については、文書配布対象の複数の人(文書受取者)全員に開示することは機密保持等の点で望ましくない文書が存在している。文書中の一部であり一部の文書受取者へは開示が望ましくない情報としては、例えば新製品に関する文書のうちの新製品のデザインを明示したイラスト等、財務諸表に関する文書のうちの株主総会前の財務データを明示した表等、企業戦略に関する文書のうちのロードマップ図等が挙げられる。そして、上記のように望ましい開示範囲が文書受取者によって相違する文書を複数の文書受取者に配布する場合には、当該文書を一旦作成した後に、作成した文書から開示範囲が互いに異なる複数の文書ファイルを各々生成して出力する必要があった。
【0027】
以下、図2を参照し、本第1実施形態において、望ましい開示範囲が文書受取者によって相違する文書についての作成から文書受取者への配布に至る流れを説明する。
【0028】
文書を作成する利用者(文書作成者)は、端末装置26のキーボード30やマウス32を介して文書を作成・編集する操作を行い、端末装置26は文書作成者による操作に応じて文書を作成・編集する処理を行う(図2のステップ50,52も参照)。具体的には、文書作成者が作成する文書は、文字、表、写真、線画、イラスト、図等の少なくとも1つを構成要素として含むが、文書作成者は、作成する文書に配置する特定の構成要素を作成・編集するためのアプリケーションを端末装置26上で起動し、起動したアプリケーションを用いて特定の構成要素を作成・編集する操作を、作成する文書に配置する個々の構成要素について各々行う。そして文書作成者は、文書作成用のアプリケーションが端末装置26上で稼働している状態で、作成・編集した個々の構成要素を文書中の所望の位置に各々配置する操作を行う。これにより、例えば図3(A)に示すような文書が端末装置26上で作成される。
【0029】
また、作成した文書の中に文書受取者によっては開示(出力)を制限したい構成要素が存在している場合、文書作成者は、キーボード30やマウス32を介し、作成した文書のうち開示(出力)するか否かを文書受取者によって切り替える構成要素(出力制限対象の構成要素)を指定すると共に、指定した出力制限対象の構成要素の閲覧権限及び出力権限を各々指定する操作を行う(図2のステップ54も参照)。文書作成者によって指定された出力制限対象の構成要素、及び、出力制限対象の構成要素の閲覧権限及び出力権限は、端末装置26上で稼働している文書作成用のアプリケーションによってメモリ26Bに一旦記憶される。
【0030】
本実施形態において、閲覧権限は、出力制限対象の構成要素を含む文書のうち、対応する出力制限対象の構成要素を閲覧する権限を有する文書受取者を、文書受取者の職層レベルによって規定する情報であり、出力権限は、対応する出力制限対象の構成要素を含む文書を、対応する出力制限対象の構成要素が明示された状態で出力する権限を有する出力指示者を、出力指示者の職層レベルによって規定する情報である。閲覧権限及び出力権限は、対応する出力制限対象の構成要素の機密度の高さ等に応じて文書作成者によって指定される。例えば図3(B)には、図3(A)に示す文書中の表に対しては閲覧/出力権限として「職層レベル2以上(例えば管理職層以上)」が指定され、前記表よりも機密度の高いイラストに対しては閲覧/出力権限として「職層レベル3以上(例えば経営層以上)」が指定された例を示す。なお、出力制限対象の同一の構成要素に対する閲覧権限と出力権限は職層レベルが相違していてもよい。
【0031】
続いて文書作成者は作成した文書の印刷を指示する(図2のステップ56も参照)。これにより、端末装置26では、文書作成者によって作成された文書のうち文書作成者から出力制限対象として指定された構成要素に対し、文書作成者によって指定された閲覧/出力権限を表す情報(権限情報)を埋め込む処理が、端末装置26上で稼働している文書作成用のアプリケーションによって行われ(図2のステップ58も参照)た後に、権限情報を埋め込んだ文書のデータを画像読取印刷装置14へ送信する処理(図2のステップ60も参照)が行われ、上記データを受信した画像読取印刷装置14により、権限情報を埋め込んだ文書の画像を記録用紙に印刷する文書印刷処理が行われる(図2のステップ62も参照)。上記処理を経ることで、文書作成者が作成した文書の印刷結果として、前記文書のうち出力制限対象として指定された構成要素に権限情報が埋め込まれた印刷結果が得られる。
【0032】
なお、文書(の出力制限対象の構成要素)への情報(権限情報)の埋め込みについては、例えば特開平06−231466号公報や特開2008−107996号公報、特開2008−112314号公報、特開2008−113215号公報、特開2008−113251号公報等で提案されているように、埋込対象の情報を表すドットの配列パターンを生成し、生成したドットの配列パターンを、個々のドットが特定色(例えば黄色等)のドットとして印刷されるように文書の印刷用データ(ビットマップデータ)に重畳することによって実現できる。この場合、例として図3(B)に示すように、権限情報を表すドット配列94が文書中の出力制限対象の構成要素に重畳されて印刷される。なお、図3(B)では、図3(A)に示す文書の構成要素のうちのイラスト及び表が出力制限対象の構成要素として指定され、文書の中のイラスト及び表にドット配列94が各々重畳されて印刷された例を示している。
【0033】
上記のように、文書への情報の埋め込みを、埋込対象の情報を表すドットの配列パターンを文書の印刷用データに重畳することによって行う場合、後述のように文書の印刷結果を読み取る際の読取解像度によっては、文書と共に印刷されたドット配列が認識されないことがあり、読取解像度を故意に低解像度に設定することで出力制限対象の構成要素に対する出力制限が回避することが可能になる、という恐れがある。一方、読取解像度を低解像度化すると、文書中の文字の大きさにも依存するが、後述する構成要素分離処理における文字認識等の処理での認識率も低下し、読取画像をファクシミリ通信により送信したり電子メールに添付して送信したりする際に、送信した画像が表す文書の内容判別が困難となるので、文書の印刷結果を読み取る際の読取解像度には下限値が存在する(例えば200dpi以上)。従って、文書への情報の埋め込みを文書と共にドット配列を印刷することで行う場合には、文書の印刷結果を読取解像度の下限値で読み取る際にもドット配列が認識されるように、個々のドットの大きさや間隔を予め設定しておくことが望ましい。また、文書の印刷結果を読取解像度の下限値で読み取る際にも文書中の文字が或るレベル以上の認識率で認識されるように、文書作成者によって文書が作成される際に、文書中の文字の最小サイズ(例えば10ポイント以上)を文書作成者に通知することが望ましい。
【0034】
また、文書への情報の埋め込みは上記技術を適用することに限られるものではなく、公知の種々の技術を適用可能であり、例えば情報埋込対象の構成要素が文字列であれば、特開2006−261974号公報で提案されているように、埋込対象の情報に応じて情報埋込対象の文字列の文字間隔を変更する技術を適用する等により、文書への情報の埋め込みを実現することも可能である。
【0035】
上述した処理により、出力制限対象として指定された構成要素に埋め込まれる権限情報は本発明に係る第1識別情報に対応しており、このうち閲覧権限を表す情報は請求項4に記載の権限判定用情報に、出力権限を表す情報は請求項5に記載の権限判定用情報に各々対応している。
【0036】
次に、上記処理で得られた文書の印刷結果(出力制限対象の構成要素に権限情報がドット配列等の形態で埋め込まれた印刷結果)を入手した利用者(出力指示者:この出力指示者は文書作成者と同一人であってもよいし異なっていてもよい)は、前記文書を文書受取者へ配布するために、画像読取印刷装置14の設置箇所へ出向き、まず、自身が所持しているICカードを画像読取印刷装置14のカードリーダ24にかざす等の個人認証操作を行う(図2のステップ64も参照)。
【0037】
これにより、画像読取印刷装置14では、出力指示者が所持しているICカードに記録されている利用者IDとパスワード等の認証情報をカードリーダ24によって読み出し、読み出した利用者IDと認証情報の組み合わせが利用者情報テーブルに登録されているか否かを管理サーバ36に問い合わせ、利用者IDと認証情報の組み合わせが利用者情報テーブルに登録されていることが管理サーバ36から通知された場合に認証成功と判断する等の個人認証処理を行う(図2のステップ66も参照)。なお、利用者情報テーブルは画像読取印刷装置14の記憶部16Cにも記憶させておいてもよい。
【0038】
出力指示者は、上記の個人認証処理で認証成功と判断されると、文書の印刷結果を画像読取印刷装置14の画像読取部18にセットし、操作パネル22の操作部22Bを介し、セットした文書の印刷結果の読み取り及び文書の読取結果の出力を指示する(図2のステップ68も参照)。なお、本第1実施形態において、文書の読取結果の出力形態としては、「ファクシミリ送信」、読取画像データを電子メールに添付して送信する「スキャンtoメール」及び「複写」があり、出力指示者は文書の読取結果の出力形態として「ファクシミリ送信」「スキャンtoメール」「複写」の何れかを指定すると共に、「ファクシミリ送信」及び「スキャンtoメール」の場合は送信先(の電話番号又は電子メールアドレス)も指定する。
【0039】
上記のように、個人認証処理を経た出力指示者から文書の読み取り及び出力が指示されると、画像読取印刷装置14では、本体制御部16のCPU16Aによって文書出力プログラムが実行されることで、図4に示す文書出力処理が行われる。文書出力処理では、まずステップ100において、画像読取部18にセットされた原稿(出力制限対象の構成要素に権限情報がドット配列等の形態で埋め込まれた文書の印刷結果)が画像読取部18により画像として読み取られ、当該読み取りによって得られた文書の読取結果を表す画像データが記憶部16Cに記憶される(図2のステップ70も参照)。
【0040】
次のステップ102では、記憶部16Cに記憶された画像データに基づき、読取文書の画像を文字や表、写真、線画、イラスト、図等の各種構成要素に分離・抽出する構成要素分離処理を行う(図2のステップ72も参照)。この構成要素分離処理については、例えば特開2006−203582号公報、特開2006−203583号公報等で提案されているように、画像を複数個のブロックに分割し、各ブロック毎に作成したL*a*b*色空間でのL*,a*,b*のヒストグラムの形状、或いは、各ブロック毎のL*,a*,b*の分散値や平均値等に基づいて、各ブロックを複数のカテゴリ(例えば「カラー絵柄ブロック」「カラー文字及び周辺の下地ブロック」「モノクロ絵柄ブロック」「モノクロ文字及び周辺の下地ブロック」「モノクロ下地ブロック」及び「属性不明ブロック」等)の何れかに分類し、同一のカテゴリに分類した隣り合うブロックを単一の領域に統合する技術を適用することで、読取文書の画像を互いにカテゴリの異なる複数の領域(構成要素)に分離し、文字に分類された領域(構成要素)に対しては更に文字認識等の処理を行うことによって実現することができる。
【0041】
続いてステップ104では、ステップ102の構成要素分離処理によって読取文書の画像から分離・抽出された個々の構成要素に対し、権限情報が埋め込まれているか否かの探索を各々行う(図2のステップ74も参照)。例えば権限情報が前述したドット配列として埋め込まれている場合、特定の構成要素に権限情報が埋め込まれているか否かの探索は、例えば、まず特定の構成要素に対して特定色(前記ドット配列における個々のドットの色)のドットの探索を行い、当該探索で該当するドットが抽出された場合には、抽出されたドットから前記ドット配列におけるドット間隔の上限値に相当する距離以内に特定色の別のドットが存在しているか否かを探索することを、特定色のドットが抽出される度に繰り返すことで、ドット配列を構成するドットと推定される全てのドットを抽出し、抽出したドットから構成されるドット配列を当該ドット配列が表す情報へ変換し、変換後の情報が権限情報のフォーマットに合致しているか否かを判定することで行うことができる。
【0042】
ステップ106では、ステップ104における探索処理の結果、何らかの情報が埋め込まれた構成要素が1個以上見つかったか否か判定する。この判定が肯定された場合はステップ108へ移行し、該当する構成要素に埋め込まれていた情報は権限情報か否か判定する(図2のステップ76も参照)。ステップ106又はステップ108の判定が否定された場合、出力指示者から読み取り及び出力が指示された文書は、当該文書の作成・印刷時に文書作成者によって出力制限対象の構成要素が指定されていない文書であると判断できるので、ステップ142へ移行し、読取文書の画像データ(先のステップ100における読み取りによって得られた画像データ、又は、当該画像データに対し、前述の構成要素分離処理の結果に応じて個々の構成要素毎に予め定めた画像処理を行うことで得られる画像データ)が表す画像を、出力指示者によって指定された出力形態で出力し、文書出力処理を終了する。
【0043】
例えば出力指示者によって指定された出力形態が「ファクシミリ送信」の場合は、上記の画像データが通信制御部16Eにより、出力指示者によって指定された送信先の電話番号へファクシミリ通信によって送信される。また、出力指示者によって指定された出力形態が「スキャンtoメール」の場合は、上記の画像データを添付した電子メールが作成され、作成された電子メールがネットワークI/F部16Dを介し、出力指示者によって指定された送信先の電子メールアドレスを宛先として送信される。また、出力指示者によって指定された出力形態が「複写」の場合は、上記の画像データが表す画像が、画像印刷部20によって記録用紙に印刷される。この場合、出力指示者から読み取り及び出力が指示された文書の画像が、文書中の一部の構成要素が出力対象から除外されることなく、そのまま出力されることになる。
【0044】
一方、先のステップ104における探索処理で権限情報が埋め込まれた構成要素が1個以上見つかった場合には、ステップ106,108の判定が各々肯定されてステップ110へ移行し、権限情報が埋め込まれていた個々の構成要素(出力制限対象の個々の構成要素)を特定するための情報を、出力制限対象の個々の構成要素に埋め込まれていた権限情報と対応付けてメモリ16Bに記憶させる。次のステップ112では、出力指示者から指定された出力形態が「ファクシミリ送信」又は「スキャンtoメール」か否か判定する。
【0045】
ステップ112の判定が肯定された場合はステップ114へ移行し、出力指示者によって指定された送信先に基づいて文書受取者の利用者IDを取得する(図2のステップ78も参照)。なお、出力形態が「スキャンtoメール」の場合は送信先として電子メールアドレスが指定されるので、この場合の文書受取者の利用者IDの取得については、電子メールの送信先として指定される可能性の有る電子メールアドレスと、当該アドレスを宛先とする電子メールの受取者の利用者IDと、を予めテーブル等に対応付けて登録しておき、出力指示者により送信先として指定された電子メールアドレスと対応付けて登録されている利用者IDを前記テーブル等から読み出すことで実現することができる。
【0046】
なお、出力指示者により送信先として指定された電子メールアドレスを宛先とする電子メールの受取者に利用者IDが付与されていない場合や、出力指示者により送信先として指定された電子メールアドレスがグループアドレスである場合は、電子メールの受取者の利用者IDをテーブル等に対応付けて登録しておくことは困難であるが、本第1実施形態において、ステップ114で取得した利用者IDは文書受取者の職層レベルの取得に用いられるので、出力指示者により、テーブル等に対応する利用者IDが登録されていない電子メールアドレスや、テーブルに登録されていない電子メールアドレスが送信先として指定された場合には、次に説明するステップ116,118を行う代わりに、文書受取者の職層レベルを便宜的に最も低いレベルに設定し(例えば職層レベル=1)、ステップ120へ移行するようにすればよい。
【0047】
また、出力形態が「ファクシミリ送信」の場合も先のグループアドレスと同様に文書受取者を個人として特定できないことが多いが、「ファクシミリ送信」における送信先として指定される可能性の有る電話番号のうち、文書受取者を個人として特定できる電話番号については、当該電話番号と文書受取者の利用者IDを対応付けて予めテーブル等に登録しておき、「ファクシミリ送信」における送信先として、文書受取者を個人として特定できる電話番号が出力指示者により指定された場合には、指定された電話番号と対応付けて登録されている利用者IDを前記テーブル等から読み出し、前記テーブルに登録されていない電話番号が出力指示者によって指定された場合には、次に説明するステップ116,118を行う代わりに、文書受取者の職層レベルを便宜的に最も低いレベルに設定し(例えば職層レベル=1)、ステップ120へ移行するようにすればよい。
【0048】
ステップ114で文書受取者の利用者IDを取得できた場合は、次のステップ116において、ステップ114で取得した文書受取者の利用者IDと共に、当該利用者IDが付与された利用者(文書受取者)の職層レベルを問い合わせる情報を管理サーバ36へ送信する(図2のステップ80も参照)。次のステップ118では、文書受取者の職層レベルを通知する情報を管理サーバ36から受信したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ118を繰り返す。管理サーバ36では、文書受取者の職層レベルを問い合わせる情報を画像読取印刷装置14から受信すると、前記情報と共に受信した利用者IDをキーにして利用者情報テーブルを検索し、前記利用者IDと対応付けて登録されている職層レベルを利用者情報テーブルから読み出し、問い合わせ元の画像読取印刷装置14へ通知する(図2のステップ82も参照)。なお、文書受取者の職層レベルは請求項1に記載の文書受取者の属性情報に対応しており、上述したステップ114〜ステップ118の処理を行う本体制御部16は、文書受取者の属性情報を取得する取得手段に対応している。
【0049】
文書受取者の職層レベルが管理サーバ36から通知されると、ステップ118の判定が肯定されてステップ120へ移行し、管理サーバ36から通知された文書受取者の職層レベルを、先のステップ110でメモリ16Bに記憶させた出力制限対象の個々の構成要素の権限情報が表す閲覧権限と各々比較することで、出力制限対象の個々の構成要素毎に文書受取者の閲覧権限の有無を判定する。そしてステップ122では、ステップ120における判定の結果、出力制限対象の構成要素の中に文書受取者が閲覧権限を有しない構成要素が存在していたか否か判定する(図2のステップ86も参照)。ステップ122の判定が否定された場合は前述のステップ142へ移行し、読取文書の画像データが表す画像を出力指示者によって指定された出力形態で出力し(図2のステップ88も参照)、文書出力処理を終了する。この場合、出力指示者から読み取り及び出力が指示された文書の画像が、文書中の一部の構成要素が出力対象から除外されることなく、そのまま出力される(文書受取者に受け取られる)ことになる。
【0050】
また、ステップ122の判定が肯定された場合はステップ124へ移行し、読取文書の画像データ(先のステップ100における読み取りによって得られた画像データ、又は、当該画像データに対し、前述の構成要素分離処理の結果に応じて個々の構成要素毎に予め定めた画像処理を行うことで得られる画像データ)から、出力制限対象の構成要素のうち文書受取者が閲覧権限を有しない構成要素を除去した画像データを生成する。そしてステップ126では、ステップ124で生成した画像データを出力指示者が指示した出力形態に従って出力し(図2のステップ90も参照)、文書出力処理を終了する。なお、上述したステップ120〜ステップ126の処理を行う本体制御部16は、本発明に係る制御手段(より詳しくは請求項2,4に記載の制御手段)に対応している。
【0051】
例えば出力指示者によって指定された出力形態が「ファクシミリ送信」の場合は、ステップ124で生成した画像データが通信制御部16Eにより、出力指示者によって指定された送信先の電話番号へファクシミリ通信によって送信される。また、出力指示者によって指定された出力形態が「スキャンtoメール」の場合は、ステップ124で生成した画像データを添付した電子メールが作成され、作成された電子メールがネットワークI/F部16Dを介し、出力指示者によって指定された送信先の電子メールアドレスを宛先として送信される。この場合、文書受取者は、出力指示者から読み取り及び出力が指示された文書のうち、文書受取者が閲覧権限を有しない構成要素が除去(消去)された画像を受け取ることになる。
【0052】
また、出力指示者から指定された出力形態が「複写」の場合は、ステップ112の判定が否定されてステップ128へ移行し、先の個人認証処理(図2のステップ66を参照)を経て取得した出力指示者の利用者IDをメモリ16B等から読み出す(図2のステップ78も参照)。次のステップ130では、ステップ128で取得した出力指示者の利用者IDと共に、当該利用者IDが付与された利用者(出力指示者)の職層レベルを問い合わせる情報を管理サーバ36へ送信する(図2のステップ80も参照)。次のステップ132では、出力指示者の職層レベルを通知する情報を管理サーバ36から受信したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ132を繰り返す。なお、出力指示者の職層レベルは請求項1に記載の出力指示者の属性情報に対応しており、上述したステップ128〜ステップ132の処理を行う本体制御部16は、出力指示者の属性情報を取得する取得手段に対応している。
【0053】
先にも説明したように、管理サーバ36では、文書受取者の職層レベルを問い合わせる情報を画像読取印刷装置14から受信すると、前記情報と共に受信した利用者IDをキーにして利用者情報テーブルを検索し、前記利用者IDと対応付けて登録されている職層レベルを利用者情報テーブルから読み出し、問い合わせ元の画像読取印刷装置14へ通知する(図2のステップ82も参照)。
【0054】
出力指示者の職層レベルが管理サーバ36から通知されると、ステップ132の判定が肯定されてステップ134へ移行し、管理サーバ36から通知された出力指示者の職層レベルを、先のステップ110でメモリ16Bに記憶させた出力制限対象の個々の構成要素の権限情報が表す出力権限と各々比較することで、出力制限対象の個々の構成要素毎に出力指示者の出力権限の有無を判定する。そしてステップ136では、ステップ134における判定の結果、出力制限対象の構成要素の中に出力指示者が出力権限を有しない構成要素が存在していたか否か判定する(図2のステップ86も参照)。ステップ136の判定が否定された場合は前述のステップ142へ移行し、読取文書の画像データが表す画像を出力指示者によって指定された出力形態で出力し(図2のステップ88も参照:この場合は画像印刷部20による記録用紙への印刷)、文書出力処理を終了する。この場合、出力指示者から読み取り及び出力が指示された文書の画像が、文書中の一部の構成要素が出力対象から除外されることなく記録用紙にそのまま印刷されることになる。
【0055】
また、ステップ136の判定が肯定された場合はステップ138へ移行し、読取文書の画像データ(先のステップ100における読み取りによって得られた画像データ、又は、当該画像データに対し、前述の構成要素分離処理の結果に応じて個々の構成要素毎に予め定めた画像処理を行うことで得られる画像データ)から、出力制限対象の構成要素のうち出力指示者が出力権限を有しない構成要素を除去した画像データを生成する。そしてステップ140では、ステップ138で生成した画像データが表す画像を画像印刷部20による記録用紙へ印刷させ(図2のステップ90も参照)、文書出力処理を終了する。この場合、出力指示者から読み取り及び出力が指示された文書のうち、出力指示者が出力権限を有しない構成要素が除去(消去)された画像が記録用紙に印刷されることになる。なお、上述したステップ134〜ステップ140の処理を行う本体制御部16は、本発明に係る制御手段(より詳しくは請求項2,5に記載の制御手段)に対応している。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図6には本第2実施形態に係るコンピュータ・システム38が示されている。
【0057】
本第2実施形態に係るコンピュータ・システム38は、画像読取印刷装置14の記憶部16Cに文書出力プログラムがインストールされておらず、代わりに、管理サーバ36の記憶部36Cに文書配信プログラムがインストールされている点で第1実施形態に係るコンピュータ・システム10と相違している。また、管理サーバ36の記憶部36Cには、出力制限対象の構成要素を含む文書の情報を登録するための文書情報テーブルが記憶されており、図示は省略するが、管理サーバ36をウェブサーバとして機能させるためのプログラムもインストールされている。本第2実施形態における上記の文書配信プログラムも本発明に係る文書出力プログラムに対応しており、本第2実施形態に係る管理サーバ36は、CPU36Aが文書配信プログラムを実行することで、本発明に係る文書出力装置として機能する。
【0058】
次に本第2実施形態の作用を説明する。本第2実施形態では、文書作成者が作成した文書の配布が、文書作成者の指示により、当該文書の記録用紙への印刷、記録用紙に印刷した文書の読み取り、読み取りによって得られた文書のデータの管理サーバ18へのアップロードが行われ、管理サーバ18にアップロードされた文書(のデータ)が、他の利用者(文書出力者)によって閲覧(又はダウンロード)されることによって成される。以下、図7を参照し、本第2実施形態において、望ましい開示範囲が文書出力者によって相違する文書についての、作成から文書出力者への配布(文書出力者による閲覧(又はダウンロード))に至る流れを説明する。
【0059】
本第2実施形態においても、文書作成者は、第1実施形態と同様に、端末装置26のキーボード30やマウス32を介して文書を作成・編集する操作を行い、端末装置26は文書作成者による操作に応じて文書を作成・編集する処理を行う(図7のステップ150,152も参照)。また、作成した文書の中に文書受取者によっては開示(出力)を制限したい構成要素が存在している場合、文書作成者は、キーボード30やマウス32を介し、作成した文書のうち開示(出力)するか否かを文書受取者によって切り替える構成要素(出力制限対象の構成要素)を指定すると共に、指定した出力制限対象の構成要素の出力権限を各々指定する操作を行う(図7のステップ154も参照)。文書作成者によって指定された出力制限対象の構成要素、及び、出力制限対象の構成要素の出力権限は、端末装置26上で稼働している文書作成用のアプリケーションによってメモリ26Bに一旦記憶される。
【0060】
なお、第1実施形態では文書中の出力制限対象の構成要素に権限情報を表すドット配列を重畳して印刷することで出力制限対象の構成要素を規定していたが(出力制限対象の構成要素=権限情報を表すドット配列が重畳されている構成要素)、これに代えて本第2実施形態では、後述するように出力制限対象の構成要素を規定する情報が管理サーバ36の記憶部36Cに記憶される(詳しくは、記憶部36Cに記憶されている文書情報テーブルに登録される)ので、出力制限対象の構成要素を規定する情報を、出力制限対象の構成要素と出力制限対象外の構成要素との境界が明確となるように定めることで、出力制限対象の構成要素を、文書のうち第1実施形態よりも小さな構成要素を最小単位として指定することも可能となる。このため図8(A)では、第1実施形態で説明した表とイラストに加えて、文書中に存在している「文字列○○○」も出力制限対象の構成要素として指定された例を示している。
【0061】
続いて文書作成者は、作成した文書の印刷を指示する(図2のステップ156も参照)。これにより、端末装置26では、文書作成者によって作成された文書を識別するための情報(文書ID)の採番を要求する情報を、文書作成者によって指定された出力制限対象の構成要素を規定する情報及び出力制限対象の構成要素の出力権限を表す情報と共に管理サーバ36へ送信する(図7のステップ158も参照)、これにより、管理サーバ36は端末装置26からの要求に応じて新たな文書IDを採番し、採番した新たな文書IDを端末装置26へ通知する(図7のステップ160も参照)。また、管理サーバ36は、端末装置26から通知された情報(出力制限対象の構成要素を規定する情報及び出力制限対象の構成要素の出力権限を表す情報)を、先に採番した文書IDと対応付けて文書情報テーブルに登録する(図7のステップ162も参照)。なお、文書IDは請求項3に記載の文書識別情報に対応しており、文書IDと対応付けて文書情報テーブルに登録される情報は、請求項3に記載の「出力制限対象に設定された構成要素の情報」に対応している。
【0062】
一方、端末装置26では、管理サーバ36から文書IDが通知されると、通知された文書IDを、文書作成者によって作成された文書に第1実施形態で説明したドット配列等として埋め込む処理が、端末装置26上で稼働している文書作成用のアプリケーションによって行われ(図7のステップ164も参照)た後に、文書IDを埋め込んだ文書のデータを画像読取印刷装置14へ送信する処理(図7のステップ166も参照)が行われ、上記データを受信した画像読取印刷装置14により、文書IDを埋め込んだ文書の画像を記録用紙に印刷する文書印刷処理が行われる(図7のステップ168も参照)。上記処理を経ることで、文書作成者が作成した文書の印刷結果として、例として図8(A)に示すように、文書IDを表すドット配列210が重畳されて印刷された前記文書の印刷結果が得られる。
【0063】
なお、図3(A)では、文書IDを表すドット配列210が、出力制限対象の各構成要素のうち、出力権限を規定する職層レベルが最も高いイラストに重畳されて印刷された例を示すが、文書IDを表すドット配列210は、文書中の何れの構成要素(出力制限対象か否かに拘わらず)に重畳して印刷するようにしてもよいし、文書中の余白部分に印刷するようにしてもよい。
【0064】
続いて文書作成者は、上記処理で得られた文書の印刷結果(文書IDがドット配列等の形態で埋め込まれた印刷結果)を画像読取印刷装置14の画像読取部18にセットし、操作パネル22の操作部22Bを介し、セットした文書の印刷結果の読み取り及び管理サーバ36へのアップロードを指示する(図7のステップ170も参照)。これにより、まず画像読取印刷装置14では、画像読取部18にセットされた原稿(文書IDがドット配列等の形態で埋め込まれた文書の印刷結果)を画像読取部18によって画像として読み取り、当該読み取りによって得られた文書の読取結果を表す読取文書データを管理サーバ36へ送信する(図7のステップ172も参照)。また、画像読取印刷装置14から読取文書データを受信した管理サーバ36では、受信した読取文書データを、他の利用者が端末装置26・ネットワーク12を介してアクセス可能な形態で記憶部36Cに記憶させる(図7のステップ176も参照)。
【0065】
上記のようにして、作成した文書の管理サーバ36へのアップロードが完了すると、文書作成者は、作成した文書の配布対象として定めた各利用者に対して電子メールを各々送信する等により、配布対象の文書を管理サーバ36へアップロードしたことを通知する。この通知を受けた各利用者(出力指示者)は、管理サーバ36へアクセスして配布対象の文書を閲覧(又はダウンロード)するために、まず端末装置26のキーボード30を介して自身の利用者IDとパスワード等の認証情報を入力する等の個人認証操作を行う(図7のステップ178も参照)。これにより、管理サーバ36では、出力指示者によって入力された利用者IDと認証情報の組み合わせが利用者情報テーブルに登録されているか否かを判断し、利用者IDと認証情報の組み合わせが利用者情報テーブルに登録されている場合に認証成功と判断する等の個人認証処理を行う(図7のステップ180も参照)。
【0066】
出力指示者は、上記の個人認証処理で認証成功と判断されると、端末装置26のキーボード30を介し、管理サーバ36へアップロードされたことが文書作成者から通知された文書の配信(又はダウンロード)を管理サーバへ要求する。これにより、管理サーバ36ではCPU36Aによって文書配信プログラムが実行されることで、図9に示す文書配信処理が行われる。
【0067】
この文書配信処理では、まずステップ220において、記憶部36Cに記憶され出力指示者から配信が要求された画像データに基づき、配信対象文書の画像を文字や表、写真、線画、イラスト、図等の各種構成要素に分離・抽出する構成要素分離処理を行う(図7のステップ184も参照)。次のステップ222では、ステップ220が構成要素分離処理が行われた配信対象文書の画像に対し、何らかの情報が埋め込まれているか否かの探索を行う(図7のステップ186も参照)。ステップ224では、ステップ222における探索処理の結果、配信対象文書に何らかの情報が埋め込まれていたか否か判定する(図7のステップ188も参照)。この判定が肯定された場合はステップ244へ移行し、配信対象文書に埋め込まれていた情報は文書IDか否か判定する。
【0068】
ステップ224又はステップ226の判定が否定された場合、出力指示者から配信が要求された文書は、当該文書の作成・印刷時に文書作成者によって出力制限対象の構成要素が指定されていない文書であると判断できるので、ステップ242へ移行し、配信対象文書の画像データ(画像読取印刷装置14からアップロードされた画像データ、又は、当該画像データに対し、前述の構成要素分離処理の結果に応じて個々の構成要素毎に予め定めた画像処理を行うことで得られる画像データ)を、出力指示者が操作する端末装置26へ送信(配信)し、文書配信処理を終了する。この場合、出力指示者から配信が要求された文書の画像が、文書中の一部の構成要素が出力対象から除外されることなく、出力指示者が操作する端末装置26のディスプレイ28にそのまま表示されることになる。
【0069】
一方、先のステップ222における探索処理で配信対象文書に文書IDが埋め込まれていた場合には、ステップ224,226の判定が各々肯定されてステップ228へ移行し、配信対象文書に埋め込まれていた文書IDをキーにして文書情報テーブルを検索することで、配信対象文書中の出力制限対象の構成要素を規定する情報及び出力制限対象の個々の構成要素の出力権限を表す情報を文書情報テーブルから読み出してメモリ36Bに記憶させる(図7のステップ190も参照)。ステップ230では、先に説明した個人認証処理(図7のステップ180も参照)で取得した出力指示者の利用者IDをメモリ36Bに読み込み、次のステップ232では、ステップ230で読み込んだ出力指示者の利用者IDをキーにして利用者情報テーブルを検索することで、出力指示者の職層レベルを利用者情報テーブルからメモリ36Bに読み込む(図7のステップ192も参照)。なお、出力指示者の職層レベルは請求項1に記載の出力指示者の属性情報に対応しており、上述したステップ230,232の処理を行う管理サーバ36は、出力指示者の属性情報を取得する取得手段に対応している。
【0070】
次のステップ234では、ステップ232でメモリ16Bに記憶させた出力指示者の職層レベルを、先のステップ228でメモリ16Bに記憶させた出力制限対象の個々の構成要素の権限情報が表す出力権限と各々比較することで、出力制限対象の個々の構成要素毎に出力指示者の出力権限の有無を判定する。そしてステップ236では、ステップ234における判定の結果、出力制限対象の構成要素の中に出力指示者が出力権限を有しない構成要素が存在していたか否か判定する(図7のステップ196も参照)。ステップ236の判定が否定された場合は前述のステップ242へ移行し、配信対象文書の画像データを、出力指示者が操作する端末装置26へ送信(配信)し(図7のステップ198も参照)、文書配信処理を終了する。この場合も、出力指示者から配信が要求された文書の画像が、文書中の一部の構成要素が出力対象から除外されることなく、出力指示者が操作する端末装置26のディスプレイ28にそのまま表示される。
【0071】
また、ステップ236の判定が肯定された場合はステップ238へ移行し、配信対象文書の画像データ(画像読取印刷装置14からアップロードされた画像データ、又は、当該画像データに対し前述の構成要素分離処理の結果に応じて個々の構成要素毎に予め定めた画像処理を行うことで得られる画像データ)から、出力制限対象の構成要素のうち出力指示者が出力権限を有しない構成要素を除去した画像データを生成する。そしてステップ240では、ステップ238で生成した配信対象文書の画像データを出力指示者が操作する端末装置26へ送信(配信)し(図7のステップ200も参照)、文書配信処理を終了する。これにより、出力指示者が操作する端末装置26のディスプレイ28には、出力指示者が配信を要求した配信対象文書のうち出力指示者が出力権限を有しない構成要素が除去(消去)された画像が表示されることになる。なお、上述したステップ234〜ステップ240の処理を行う管理サーバ36は、本発明に係る制御手段(より詳しくは請求項3,5に記載の制御手段)に対応している。
【0072】
例えば、図8(A)に示すように、文書中の表及び「文字列○○○」に対して出力権限として「職層レベル2以上」が、文書中のイラストに対して出力権限として「職層レベル3以上」が各々設定された文書に対し、「職層レベル2」の利用者(出力指示者)から配信が要求された場合、出力指示者は文書中のイラストについてのみ出力権限を有していないので、出力指示者が操作する端末装置26に対しては、配信対象の文書の画像として、図8(B)に示すように文書中のイラストのみが除去(消去)された画像が配信され、この画像が端末装置26のディスプレイ28に表示されることになる。また、図8(A)に示す文書に対して「職層レベル1」の利用者(出力指示者)から配信が要求された場合、出力指示者は文書中のイラスト、表及び「文字列○○○」について出力権限を有していないので、出力指示者が操作する端末装置26に対しては、配信対象の文書の画像として、図8(C)に示すように文書中のイラスト、表及び「文字列○○○」が各々除去(消去)された画像が配信され、この画像が端末装置26のディスプレイ28に表示されることになる。
【0073】
なお、第1実施形態では文書作成者によって指定された権限情報を埋め込んだ文書を記録用紙に印刷させる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2実施形態と同様に、文書IDを埋め込んだ文書を記録用紙に印刷させ、文書作成者によって指定された権限情報は文書IDと対応付けて別の記憶手段(例えば管理サーバ36の記憶部36C)に記憶させるようにしてもよい。
【0074】
また、第2実施形態では文書IDを埋め込んだ文書を記録用紙に印刷させ、文書作成者によって指定された権限情報を文書IDと対応付けて管理サーバ36の記憶部36Cに記憶させる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1実施形態と同様に、文書作成者によって指定された権限情報を埋め込んだ文書を記録用紙に印刷させるようにしてもよい。
【0075】
また、上記では文書作成者によって指定された権限情報が表す閲覧権限又は出力権限を文書受取者又は出力指示者の職層レベルと比較することで、出力制限対象の構成要素を出力するか否かを判定していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば文書単位、或いは、出力制限対象の個々の構成要素単位でパスワード等の認証情報を文書作成者に設定させ、設定された認証情報を埋め込んだ文書を記録用紙に印刷させるか、或いは、設定された認証情報を文書IDと対応付けて別の記憶手段(例えば管理サーバ36の記憶部36C)に記憶させておき(文書には文書IDを埋め込んで記録用紙に印刷させる)、出力指示者に認証情報を入力させ、出力指示者によって入力された認証情報が文書作成者によって設定された認証情報が一致した場合は出力制限対象の構成要素を出力し、出力指示者によって入力された認証情報が文書作成者によって設定された認証情報が不一致の場合は出力制限対象の構成要素を出力しないように構成してしてもよい。なお、上記態様は請求項6記載の発明に対応しており、文書作成者によって設定される認証情報は本発明に係る第1識別情報、請求項6に記載の識別用情報に相当し、出力指示者によって入力される認証情報は本発明に係る第2識別情報、請求項6に記載の認証情報に相当している。また、上述したパスワード等の認証情報を用いた出力制限対象の構成要素の出力可否判定と権限情報を用いた出力制限対象の構成要素の出力可否判定を組み合わせ、例えば権限情報上では出力指示者が出力制限対象の構成要素の出力権限を有してない場合であっても、出力指示者によって入力された認証情報が文書に埋め込まれた認証情報と一致したときには、出力制限対象の構成要素を出力する等の処理を行うようにしてもよい。
【0076】
更に、上記では文書作成者によって出力制限対象の構成要素(例えば文書中のイラストや表、特定の文字列等)が直接指定される態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、文書作成者は、作成した文書のうち出力制限対象の構成要素が存在する領域の範囲を指定し、前記文書のうち指定された範囲内に存在している構成要素を出力制限対象として保持(文書に埋め込むか別の記憶手段に記憶させる)するようにしてもよいし、文書作成者によって指定された範囲を出力制限対象の構成要素を規定する情報として保持しておき、文書の出力が指示された際に、前記範囲内に存在している構成要素を出力制限対象の構成要素と判断するようにしてもよい。
【0077】
また、上記では出力制限対象の構成要素の出力を制限する処理として、出力制限対象の構成要素を除去(消去)する処理を行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、出力制限対象の構成要素を予め定めた線画(例えば予め定めた図形や出力制限対象の構成要素の外縁を示す枠線等)に置き換える処理を行うようにしてもよいし、出力制限対象の構成要素の画像を各々複数個の画素から成る複数の領域に分割し個々の領域毎に領域内の数個の画素の濃度を等しくした画像に置き換える処理(所謂モザイク化処理)を行うようにしてもよい。
【0078】
また、上記では本発明に係る文書出力プログラムが画像読取印刷装置14の記憶部16Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る文書出力プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は特許請求の範囲に記載した事項の実施態様以外に、以下に記載した事項の実施態様も含んでいる。
【0080】
(1)前記制御手段は、前記読取文書情報に基づいて出力する前記文書のうち前記出力制限対象として設定された構成要素を、出力対象から除外するか、又は、予め定めた線画に置き換えて出力するか、又は、前記構成要素の画像を各々複数個の画素から成る複数の領域に分割し個々の領域毎に領域内の複数個の画素の濃度を等しくした画像に置き換えて出力することで、出力した前記文書のうち前記出力制限対象の構成要素の出力を制限する請求項1〜請求項6の何れか1項記載の文書出力装置。
【0081】
(2)前記出力制限対象の構成要素として、前記文書中に存在する複数種の構成要素のうちの特定種の構成要素、前記文書に対し出力制限対象として設定された特定領域内に存在する構成要素、前記文書中に存在する特定文字列、の何れかが設定される請求項1〜請求項5及び(1)の何れか1項記載の文書出力装置。
【符号の説明】
【0082】
10 コンピュータ・システム
12 ネットワーク
14 画像読取印刷装置
16 本体制御部
16D ネットワークI/F部
16E 通信制御部
18 画像読取部
20 画像印刷部
26 端末装置
22 操作パネル
24 カードリーダ
28 ディスプレイ
36 管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書のうち出力制限対象の構成要素が設定されると共に、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否の判定に用いる第1識別情報が埋め込まれて印刷された印刷文書が読取装置で読み取られ、当該読み取りで得られた読取文書情報に基づく前記文書の出力が指示された場合に、出力された文書を受け取る文書受取者の属性情報、出力指示者の属性情報、前記出力指示者によって入力された第2識別情報の少なくとも1つを取得する取得手段と、
前記読取文書情報から抽出された前記第1識別情報と、前記取得手段によって取得された情報と、に基づき、前記出力制限対象として設定された構成要素が出力不可と判定された場合に、前記読取文書情報に基づいて出力する前記文書のうち前記出力制限対象の構成要素の出力を制限するよう前記文書の出力を制御する制御手段と、
を含む文書出力装置。
【請求項2】
前記文書は、前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素に前記第1識別情報が埋め込まれて印刷され、
前記制御手段は、前記文書のうち前記文書の印刷結果上で前記第1識別情報が埋め込まれていた構成要素を、前記出力制限対象として設定された構成要素として認識する請求項1記載の文書出力装置。
【請求項3】
前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素の情報は、前記文書が印刷される際に前記文書に埋め込まれる前記第1識別情報としての文書識別情報と対応付けて記憶手段に記憶され、
前記制御手段は、前記読取文書情報から抽出された前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記出力制限対象として設定された構成要素を認識する請求項1記載の文書出力装置。
【請求項4】
前記文書が印刷される際に前記文書又は前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素に埋め込まれる前記第1識別情報、又は、前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される前記構成要素の情報は、前記出力制限対象として設定された構成要素を閲覧する権限を有する利用者を判定するための権限判定用情報であり、
前記取得手段によって取得される前記文書受取者の属性情報、又は、前記文書受取者の属性情報としての利用者識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される情報は、前記文書受取者である利用者に対して予め設定された権限を規定する権限情報であり、
前記制御手段は、前記権限情報を前記権限判定用情報と照合し前記文書受取者が前記出力制限対象に設定された構成要素を閲覧する権限を有しているか否かを判定することで、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否を判定する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の文書出力装置。
【請求項5】
前記文書が印刷される際に前記文書又は前記文書の前記出力制限対象に設定された構成要素に埋め込まれる前記第1識別情報、又は、前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される前記構成要素の情報は、前記出力制限対象として設定された構成要素を出力する権限を有する利用者を判定するための権限判定用情報であり、
前記取得手段によって取得される前記出力指示者の属性情報、又は、前記出力指示者の属性情報としての利用者識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される情報は、前記出力指示者である利用者に対して予め設定された権限を規定する権限情報であり、
前記制御手段は、前記権限情報を前記権限判定用情報と照合し前記出力指示者が前記出力制限対象に設定された構成要素を出力する権限を有しているか否かを判定することで、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否を判定する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の文書出力装置。
【請求項6】
前記文書が印刷される際に前記文書又は前記文書のうち前記出力制限対象に設定された構成要素に埋め込まれる前記第1識別情報、又は、前記第1識別情報としての前記文書識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶される前記構成要素の情報は認証用情報であり、
前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記第2識別情報としての認証情報が前記認証用情報と一致しているか否かを判定することで、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否を判定する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の文書出力装置。
【請求項7】
コンピュータを、
文書のうち出力制限対象の構成要素が設定されると共に、前記出力制限対象として設定された構成要素の出力の可否の判定に用いる第1識別情報が埋め込まれて印刷された印刷文書が読取装置で読み取られ、当該読み取りで得られた読取文書情報に基づく前記文書の出力が指示された場合に、出力された文書を受け取る文書受取者の属性情報、出力指示者の属性情報、前記出力指示者によって入力された第2識別情報の少なくとも1つを取得する取得手段、
及び、前記読取文書情報から抽出された前記第1識別情報と、前記取得手段によって取得された情報と、に基づき、前記出力制限対象として設定された構成要素が出力不可と判定された場合に、前記読取文書情報に基づいて出力する前記文書のうち前記出力制限対象の構成要素の出力を制限するよう前記文書の出力を制御する制御手段
として機能させるための文書出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−45024(P2011−45024A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193469(P2009−193469)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】