説明

斑模様入り発泡性糖衣食品及びその製造方法

【課題】発泡感が長く持続し、かつ食感が良好で、耐久性にも優れ、かつ視覚的インパクトも備えた斑模様入り発泡性糖衣食品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】表面に凹凸模様を有する糖衣物の凹部に、主成分として炭酸塩と酸とからなる発泡性成分及び固形脂10〜30重量%を含有する発泡性コーティング組成物がコーティングされた斑模様入り発泡性糖衣食品。固形脂の融点は37℃以下であることが好ましく、水分量が1重量%未満であることが好ましい。斑模様入り発泡性糖衣食品は、固形脂又は炭酸塩と酸とからなる発泡性成分を含んだ固形脂を溶解後、中心層となる凹凸模様を有する糖衣物に対して噴霧、冷却して油脂層を形成する工程と、前記油脂層を加温し、その表層が溶融したところへ前記発泡性成分を含む粉末をコーティングする工程を経て得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斑模様入り発泡性糖衣食品及びその製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品関係においても見た目の美しさや他社商品との差別化が一層求められており、視覚的、食感的インパクトや楽しさを提供する食品も増えてきた。視覚的インパクトとしては、例えば着色による見た目の美しさや楽しさが挙げられるが、単に均一着色されたものは注目を集めず、特異な色模様、例えば色の部分的濃淡や、色相の部分的相違による斑模様がつけられたものが、需要者、特に子供の注目を集める傾向にあり、このような斑模様がつけられた食品の提供が望まれている。斑模様を有する食品としては、着色されたシェラック樹脂を可食芯体にコーティングすることで部分的な不均一さが生じ、斑模様を形成するという提案がなされている(特許文献1参照)。しかしながら、一般的にシェラック樹脂は水に対して不溶性であるため口溶けが悪く、この提案によって得られる食品は味、食感の面において問題点がある。
【0003】
他にも、特異な形状による視覚的インパクトが挙げられる。例えば、表面に凹凸模様や突起を有するものである。表面に凹凸模様を有する食品としては、砂糖からなる糖衣層にD−ソルビット粉末を分散させ、凹凸模様を形成するという提案(特許文献2参照)、表面に突起を有する食品としては、キシリトールによる糖衣層や、ソルビトールにエリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖衣層によって、表面に突起を形成するという提案(特許文献3参照)がなされている。これらの提案によると、確かに形状によるインパクトという点では楽しさや新しさを有しているが、凹凸模様だけでは、見た目の美しさや鮮明さに欠け、視覚的インパクトとしては不十分である。
【0004】
また、食感的インパクトとしては、サクサク食感やモチモチ食感等咀嚼によって得られる楽しさの他に、発泡感のように口中である程度滞在させることによって得られる楽しさが挙げられる。従来から、重曹等の炭酸塩と酸とを組み合わせることにより発泡感を持たせた食品は数多く提案されており、グミやキャンディに炭酸塩と酸からなる発泡性成分をまぶしたもの、キャンディやラムネ、ガム中に発泡性成分を分散させたもの、チョコレートやキャンディのセンターに発泡性成分を封入したもの等が挙げられる(特許文献4参照)。このような発泡性を持たせた商品は爽快感、清涼感が得られるため、特に菓子全体の売上が落ちる夏場に非常に人気がある。また発泡性成分を含んだ菓子は爽快感の目的だけでなく、唾液の分泌が促進され、かつムチンの分泌も促進されることから、口腔内及びのどの乾燥症状の緩和や、口腔内及びのどの殺菌に有用であることが知られている(特許文献5参照)。
【0005】
しかしながら、このような発泡感を持たせた食品の場合、口中で瞬時に炭酸塩と酸が反応してしまうため、瞬間的にしか発泡感を得ることができず物足りなさを感じるという問題点がある。また、口腔内やのどの乾燥症状の緩和を目的とした場合は、瞬間的なものよりも持続的な発泡性が求められる。一方、キャンディのように溶け難い素材に発泡性成分を練りこんだ場合、持続的な発泡感は得られるが、発泡感は弱く、また発泡性成分のざらつきにより食感が損なわれる欠点がある。そのため、発泡感が持続し、かつ食感も滑らかな発泡性成分を含有した食品が長い間要望されてきた。
【0006】
この欠点を改善するために、発泡性成分の平均粒径を1〜100μmに調整しキャンディに配合することにより、キャンディ表面の凹凸を少なくし、食感の良好な発泡性キャンディの提案がなされている(特許文献6参照)。しかしながら、この方法では発泡性成分を細かくしたことにより表面積が増え、キャンディへ練り込む際に熱による発泡が起こりやすく、その発泡によりキャンディ中に不均一に空気が入り込み、製品にザラツキをもたらす。その為十分な滑らかさとは言い難い食感となってしまっている。また、この方法では発泡性成分を平均粒子1〜100μmに調合する手間、コストがかかるという問題点もある。
【0007】
一方、発泡感を持続させるために融点55℃以上の高融点油脂中に有機酸粉末と炭酸塩粉末を分散させ、これを噴霧冷却することにより得られる有機酸と炭酸塩のコーティング物をチューイングガムに配合する提案がなされている(特許文献7参照)。しかしながら、この方法では咀嚼することによりコーティングが剥がれ、有機酸と炭酸塩が混ざり合うことにより発泡するため、発泡するまでの時間が長く、また徐々に反応するため発泡感が弱い。発泡感を補うため多量に有機酸粉末と炭酸塩粉末を添加した場合、高融点油脂が口中で溶解しないため食感、風味を損なう欠点がでてくる。また、キャンディ等の咀嚼しない食品の場合は、高融点油脂が口中で溶解しないため発泡は起こらず使用することができない。
【0008】
一方、持続的な発泡感を得るために中心層となる芯材に炭酸塩と酸とを多層にわたりコーティングする方法も取られてきた。しかし、水系結合液を用いてコーティングを行なった場合、微量の水分でも炭酸塩と酸とが反応してしまい発泡効果が著しく低下する欠点があった。そのため、水系結合剤に糖類を加え、相対的な水分含量を下げることにより、反応し難くさせコーティングを行なう方法(特許文献8参照)又は水系結合剤ではなく無水の媒体にけん濁又は溶解したものをスプレーし、乾燥させる方法の提案がなされている(特許文献9参照)。しかし、水系結合剤に糖類を加える方法は、芯材の粒径が300μm〜4mmと極小さく、効率的な乾燥が行なうことが可能な造粒工程においてのみ有効な方法であり、キャンディのような大きな芯材を用いた場合には、乾燥効率が悪いため反応が起こり易く発泡性が低下してしまう。また、後者の無水の媒体にけん濁又は溶解したものをスプレーする方法では、媒体にエタノール等のアルコールやアセトン等の有機溶媒を使用しており、これらは揮発性有機化合物(VOC)であることから、製造環境で人体に対し悪影響を及ぼす恐れがあり、また環境汚染を防ぐためにVOC除去設備が必要であり、設備コスト、運転コストが増加することになり現実的でない。またVOCは可燃性であるために、厳重な防火対策必要である等、昨今ではVOCの使用を最小限に留める要望が強い。
【0009】
また、油脂中に酸等の成分を分散させコーティングすることも検討されてきた。しかし、体温以上の高融点油脂を用いた場合、口中で油脂が溶解せず発泡感が得られない。また、低融点油脂を用いた場合、発泡感には問題ないが、温度変化により油脂が溶解し、油染みが発生する、又は保型性が保てない等品質劣化が激しく、主に夏場に販売される商品として適さない。
【0010】
このように、視覚的インパクト、食感的インパクトを共に兼ね備えた真に美味しい食品の提案は未だない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公平7−2088号公報
【特許文献2】特公平6−22444号公報
【特許文献3】特開2006−129824号公報
【特許文献4】特許第2968110号公報
【特許文献5】特開2002−000184号公報
【特許文献6】特許第3881298号公報
【特許文献7】特開平06−269249号公報
【特許文献8】特開2005−132965号公報
【特許文献9】特開昭53−79040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、発泡感が長く持続し、かつ食感が良好で、耐久性にも優れ、かつ視覚的インパクトも備えた斑模様入り発泡性糖衣食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上述の事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、発泡性コーティング組成物中の固形脂の含量、及び製造方法を規定することにより、発泡性成分のみを舐めたときのような発泡感を持たせつつ、この発泡感の持続性、耐久性に優れた発泡性コーティング組成物が得られることを見出した(特開2009−1187711号公報)。この発明では、未だかつてない発泡感を有する食品の作製に成功しており、食感的インパクトを兼ね備えた発明であるが、視覚的インパクトを付与するという点では改良の余地があった。
【0014】
そこで、本発明者らは上記課題解決のために鋭意検討を行った結果、発泡性コーティング組成物中の固形脂の含量及び製造方法を規定することにより、発泡性成分のみを舐めたときのような発泡感を持たせつつ、この発泡感の持続性、耐久性に優れた発泡性コーティング組成物が得られること、及び該発泡性コーティング組成物を表面に凹凸模様を有する糖衣物の凹部に含有させることで視覚的インパクトを兼ね備えた斑模様入り発泡性糖衣食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕表面に凹凸模様を有する糖衣物の凹部に、主成分として炭酸塩と酸とからなる発泡性成分及び固形脂10〜30重量%を含有する発泡性コーティング組成物がコーティングされた斑模様入り発泡性糖衣食品、
〔2〕前記糖衣物の表面の色と、前記発泡性コーティング組成物の色とが異なる前記〔1〕記載の斑模様入り発泡性糖衣食品、
〔3〕前記固形脂の融点が37℃以下である前記〔1〕又は〔2〕に記載の斑模様入り発泡性糖衣食品、
〔4〕前記発泡性コーティング組成物の水分量が1重量%未満である前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の斑模様入り発泡性糖衣食品、
〔5〕前記発泡性コーティング組成物で、表面に凹凸模様を有する糖衣物の表面の少なくとも一部がコーティングされてなる前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の斑模様入り発泡性糖衣食品、
〔6〕固形脂又は炭酸塩と酸とからなる発泡性成分を含んだ固形脂を溶解後、中心層となる表面に凹凸模様を有する糖衣物に対して噴霧、冷却して油脂層を形成する工程と、前記油脂層を加温し、その表層が溶融したところへ前記発泡性成分を含む粉末をコーティングする工程を有することを特徴とする斑模様入り発泡性糖衣食品の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の斑模様入り発泡性糖衣食品は、不規則な斑模様が発泡性糖衣食品の全表面にわたって分散して存在していることで視覚的インパクトが増し、より楽しく食することができる。また、食した場合には、すぐに発泡感を感じられるだけでなく、従来の発泡性食品に比べて長い時間、発泡感を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、班模様入り発泡性糖衣食品1の概略説明図である。発泡性コーティング組成物がコーティングされている部分2と、その下部にある糖衣物に由来する部分3により班模様が形成される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1)表面に凹凸模様を有する糖衣物
本発明で用いる表面に凹凸模様を有する糖衣物は、糖衣層の量にもよるが、表面にある凸部の高さが通常0.5mm〜数mm程度の大きさで、先細の形状を有しており、一個一個肉眼で十分に確認できる程度に大きいものである。
【0019】
前記糖衣層に用いる糖質は、糖類及び/又は糖アルコール類を主成分とするものである。糖類とは多価アルコールの最初の酸化生成物であり、アルデヒド基又はケトン基を1つもつものであれば特に限定されることはなく、ショ糖、ぶどう糖、トレハロースが例示され、結晶性が高い糖類が好ましい。糖アルコールは、糖のカルボニル基が還元された多価アルコールであれば特に制限されることはなく、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、還元パラチノースが例示され、結晶性が高い糖アルコールが好ましい。また、結晶障害が起こらない範囲で、これら糖質を2種以上組み合わせてもよい。
前記糖衣層中における糖質の含有量としては、75重量%以上が好ましい。
また、糖衣層を形成する糖質を主成分とする水溶液(一般的にシロップという)には、食感を阻害しない限りで結合剤を使用することもできる。結合剤としては、アラビアガム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、デキストリン、澱粉、ゼラチン、キサンタンガム等が例示される。
【0020】
更に、前記糖衣層に香気香味を付与するため、香料、調味料、酸味料、甘味料、その他添加物等を添加してもよい。
【0021】
本発明では、得られる発泡性糖衣食品の斑模様をより鮮明にすることが可能となることから、前記糖衣層の最外層に着色料を添加することが好ましい。着色料としては、後述の発泡性コーティング組成物と異なる色の食品用着色料であることが好ましい。
また、常法に従って表面をシェラック等の光沢剤を用いて艶だしを行ってもよい。
【0022】
前記糖衣層でコーティングされる中心層(以下、「センター核」という)としては、食用できる任意の固形物、例えば、打錠物、カプセル、丸薬、キャンディ、ガム等が挙げられる。
【0023】
本発明で用いる表面に凹凸模様を有する糖衣物は、以下のようにして得られる。まず、前記糖質を主成分として溶解し、糖度65重量%〜90重量%のシロップを準備する。より好ましくは、糖度75重量%〜85重量%のシロップを調製する。ここで、糖度とは、糖質濃度のことを言う。そして、回転しているコーティングパン内で、前記シロップをセンター核に霧状に噴霧し、乾燥するという工程を繰り返し行うことで得られる。このように、シロップを掛ける際に霧状に噴霧する手法を採用することで、内容物全体にほぼ均一にシロップを行き渡らせることができ、更に、全体がまだ濡れている段階で高温の温風を入れて素早く乾燥させることで、糖衣表面に凹凸を形成させることができる。これは、全体が乾き始めた段階で温風を入れることで、表面が滑らかな凹凸の無い糖衣層を形成させる従来の糖衣手法の考え方を、逆手に利用した手法である。ここで、温風の温度は、40〜85℃、より好ましくは60〜85℃である。このような高温の温風を吹き込むのは、凸部となる突起を有する表面を得るために、急速に結晶化を進めることが重要であるからである。また、このような温風は、糖衣食品全体に対してあたるように吹き込むことが好ましく、最も効率よく突起を有する表面を得ることができる。このときに使用できるコーティングパンは、オニオン型パン、自動糖衣パン等一般的に使用されるコーティングパンで可能である。また、金平糖を作る際に用いられる平鍋でも同様に可能である。以上のような手法を採用することにより、糖衣層表面の凹凸模様形成を、迅速かつ容易に行うことを可能としている。
【0024】
2)発泡性コーティング組成物
本発明で用いる発泡性コーティング組成物は、主成分として炭酸塩と酸とからなる発泡性成分、及び固形脂10〜30重量%を含有する。
【0025】
中でも、前記発泡性コーティング組成物は、固形脂を10〜30重量%含有していることに一つの大きな特徴がある。固形脂含量が30重量%を越えると、低融点の油脂の場合、溶解した油脂により油染みが発生し、また保型性も著しく低下する等、品質劣化が起こりやすく耐久性も損なわれる。また、高融点の油脂を用いる場合、耐久面には問題ないが体温で油脂が溶解しないため、発泡感が得られにくいという問題がある。逆に10重量%未満では発泡性成分を保持させるのに十分な結合力が得られず剥離する等、均質的なコーティング層が得られない。前記固形脂量は、10〜25重量%であることが好ましい。
【0026】
本発明で使用される固形脂としては、例えば、ヤシ油、ココアバター、菜種油、大豆油、牛脂、魚油等の各種動植物油脂、又はそれらを水素添加した硬化油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記固形脂の融点は、特に限定されるものではないが、優れた発泡感を得る観点から、好ましくは59℃以下、より好ましくは40℃以下であり、油脂の口残りも少なくなり食感に優れる観点から、37℃以下がさらに好ましい。また、前記固形脂の融点としては、さらに耐久性を保持する観点から、30〜37℃が最も好ましい。
【0027】
本発明で使用される炭酸塩は炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられ、このうち味の点から炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0028】
本発明で使用される酸としては、食品に添加され得るものであればよく、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、マロン酸、酢酸、アジピン酸、グルコン酸、リン酸の無機酸等より適宜選択されるが、これらに限定されるものではない。このうち味質の点からクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸が好ましい。
【0029】
本発明で使用される発泡性コーティング組成物では、前記炭酸塩と酸とを発泡性成分として使用しており、該発泡性成分は、取り扱いやすさの観点から、粉末状であることが好ましい。
粉末状である場合、炭酸塩としては市販品と同程度の平均粒径のものが使用でき、その平均粒径は通常150〜250μm程度であるが、粉砕等によりさらに微粒化してもよい。また、酸としても炭酸塩と同程度の平均粒径のものであればよい。
【0030】
炭酸塩と酸とを合計した発泡性成分の含有量は、発泡性コーティング組成物中、前記固形脂の残部であればよいが、しっかりとした発泡感を感じる観点から、10重量%以上であることが好ましい。また、前記発泡性コーティング組成物は、後述のように芯材の表面に供されて発泡層が形成されるが、この発泡層中において発泡性成分が10重量%以上含有されることで、しっかりとした発泡感を感じることができ、かつ従来品に見られない程度の発泡感の持続性が発現される。また、前記発泡性成分の含有量は、発泡性コーティング組成物中、90重量%以下であればよい。
【0031】
また、発泡性成分中における炭酸塩と酸の混合比としては、発泡可能な比率であればよく、炭酸塩及び酸の種類に応じて適宜設定すればよい。
また、炭酸水素ナトリウム等の水に対する溶解度が低い炭酸塩を用いる場合、口中での溶け残りを抑える観点及び併用する酸が有する酸味を発現する観点から、酸の混合比率は、発泡に必要な反応量に対して10〜15モル%以上高く設定することが好ましい。
【0032】
前記発泡性コーティング組成物には、前記発泡性成分及び固形脂以外の任意成分として、糖質、タンパク質、香料、色素、果汁粉末、野菜粉末、ビタミン類等の食品に添加可能な成分を適宜加えることができる。中でも、さわやかな発泡性を奏する食品は、気温の高い夏場に食されることが多いため、キシリトールやエリスリトールのような吸熱性の高い糖質を本発明の発泡性コーティング組成物に添加することにより、更に爽快感、清涼感を付与することができる。
前記任意成分が粉末状のものである場合、前記発泡性成分と混合して、発泡性粉末を調製して用いてもよい。
【0033】
前記発泡性コーティング組成物中における前記のような任意成分の添加量としては、前記発泡感等の所望の効果を阻害しない量であればよく、特に限定はない。
【0034】
また、前記発泡性コーティング組成物においては、前記発泡性成分同士が製造段階で反応することを抑える観点から、水分量が1重量%以下であることが好ましく、実質的に含有していないことがより好ましい。
【0035】
前記発泡性コーティング組成物は、前記各成分を混合して製造することができる。
また、本発明の発泡性コーティング組成物は、芯材である凹凸模様を有する糖衣物の表面のコーティングに使用されるが、コーティング方法に準じて各成分を別々に糖衣物に接触させ、最終的にコーティング組成物の状態としてもよい。例えば、中心層となる糖衣物に対し、固形脂又は炭酸塩と酸とからなる発泡性成分を含んだ固形脂を溶解後、噴霧、冷却して油脂層を形成し、次いで、前記油脂層を加温し、その表層が溶融したところへ発泡性成分を含む発泡性粉末をコーティングすることで発泡性コーティング組成物を食品表面に形成する方法が挙げられる。また、前記コーティング操作は複数繰り返してもよい。
【0036】
前記発泡性コーティング組成物でコーティングする凹凸模様を有する糖衣物の大きさには、特に制限はないが、斑模様を形成する観点から、コーティング層の厚さは、凹部にコーティングされた発泡性コーティング組成物の表面が凸部の表面とほぼ同じとなり、凹凸模様がちょうどなくなる程度に止めることが好ましい。このようにコーティングすることで、発泡性コーティング組成物の厚みの違いや、発泡性コーティング組成物の付着の程度の違いにより、図1に示すように発泡性コーティング組成物がコーティングした部分2の中に前記糖衣物に由来する部分3が不規則な形状で存在する模様が、発泡性糖衣食品1の表面全面にわたって分散して斑模様を形成している。このような外観の班模様は、従来の糖衣食品では製造方法等により作製することが困難な模様であったことから、従来にない、視覚的なインパクトが顕著な模様である。
また、目的とする味や食感等に適宜設定することができるが、発泡感の持続性の点から、発泡性コーティング組成物と芯材の総重量あたりの発泡性コーティング組成物の重量の割合(コーティング率)が5%以上あることが好ましく、50%以下が好ましい。
【0037】
3)斑模様入り発泡性糖衣食品及びその製造方法
本発明の斑模様入り発泡性糖衣食品は、前記発泡性コーティング組成物で前記表面に凹凸模様を有する糖衣物の表面の少なくとも一部がコーティングされたものである。
本発明では、前記糖衣物の表面にある凹凸模様上に前記発泡性コーティング組成物がコーティングされた場合に、凹凸模様の立体的な高さの違いにより、発泡性コーティング組成物の厚みが変化することで、凹部付近のより厚くコーティングされている部分と、凸部付近のより薄くコーティングされている部分との違い、また、発泡性コーティング組成物の付着の程度の違いにより、斑模様状の外観を呈するようになる。したがって、本発明には、斑模様状の外観を呈しないまで、発泡性コーティング組成物が均一に厚くコーティングされた発泡性糖衣食品は含まれない。
【0038】
本発明の斑模様入り発泡性糖衣食品の製造方法は、固形脂又は炭酸塩と酸とからなる発泡性成分を含んだ固形脂を溶解後、中心層となる表面に凹凸模様を有する糖衣物に対して噴霧、冷却して油脂層を形成する工程と、前記油脂層を加温し、その表層が溶融したところへ前記発泡性成分を含む粉末をコーティングする工程を有することを特徴とする。
【0039】
前記のような工程を有することで、発泡性コーティング組成物中に含まれる発泡性成分同士の反応を抑えながら、発泡性成分と固形脂とからなる発泡層を糖衣食品の表面上に効率よく形成することができる。
【0040】
前記の工程について、以下により詳しく説明する。
まず固形脂を溶解させる。また、溶解した固形脂には炭酸塩と酸とからなる発泡性成分を分散させてもよい。このように発泡性成分を分散させた脂質は、冷却して固化しておき、発泡性食品の製造時に再度溶解させてもよい。固形脂の溶解温度としては、その融点以上であれば特に限定しないが、熱分解を起こし易い炭酸塩(例えば、炭酸水素ナトリウム)を用いる場合は、50℃以下で溶解させるのが好ましい。
なお、前記発泡性成分及び必要であれば他の粉体を含む発泡性粉末を、前記溶解した固形脂に混合する場合、発泡性粉末の比率は、取り扱い易い粘度に調整する観点から、固形脂100重量%に対して、65重量%以下が好ましく、50重量%以下とすることがより好ましい。
【0041】
次いで、コーティングパン等の攪拌装置内で芯材である表面に凹凸模様を有する糖衣物を回転させながら、溶解した固形脂、又は溶解後、発泡性粉末を分散させた固形脂(以下、溶解した固形脂等と略す)を添加して前記芯材の表面に接触させる。
攪拌装置の大きさ、回転速度等については、芯材の種類、大きさに基づいて適宜決定すればよい。また、芯材と溶解した固形脂等とを接触させる際の温度としては、油脂に流動性があり、かつ固化しない程度の温度であればよく、例えば、油脂の融点以上50℃以下が好ましい。この操作により、芯材を中心層とし、その表面上に溶解した油脂の層が形成される。なお、回転速度によっては、2個以上の芯材を中心層とし、その表面上に溶解した油脂の層が形成される場合もあるが、本発明ではこのような態様も含まれる。
【0042】
次いで、溶解した固形脂が接触し付着した芯材を冷却して、油脂を固化させる。
冷却方法としては、スポットクーラー等を用いて前記攪拌装置内で行ってもよいし、別の冷却装置内に前記芯材を移動して冷却してもよい。冷却温度としては、油脂が固化し得る温度であればよいが、攪拌装置又は冷却装置内での結露等を抑える観点から、穏やかな冷却が行える温度であることが好ましく、20℃前後までがより好ましい。この操作により、芯材表面上に油脂層が形成される。
【0043】
次いで、油脂層が形成された芯材を前記攪拌装置内で、加温して、油脂層の表面が溶け始めた段階で、発泡性成分を含む発泡性粉末を接触させる。
加温にはヒーターを用いてもよい。また、加温温度としては、油脂層の表面が溶ける程度であればよいが、操作性がよいという観点から、40℃程度が好ましい。
また、発泡性粉末を接触させる際には、前記攪拌装置内で芯材を攪拌しながら行うことで、発泡性粉末を均一にいきわたらせて芯材表面にコーティングができる。
【0044】
前記のように加温した状態で、油脂層が形成された芯材を回転させ続けると遠心力によって徐々に油脂が表面に浮き出てくる場合がある。浮き出てきたら、更に発泡性粉末を投入し、油脂が表面に浮き出てこなくなるまで、前記工程を繰り返す。そして、油脂が表面に浮き出てこなくなったら、溶解した固形脂、又は溶解後、発泡性粉末を分散させた固形脂をかけ、目的の大きさになるまで同様の工程をくりかえしてもよい。
【0045】
一般的に、攪拌装置内で表面に凹凸を有する芯材を回転させながらコーティング成分でコーティングする場合、凹部が先にコーティングされ、埋まる傾向があり、この性質を利用することで凹部に発泡性コーティング組成物をコーティングした斑模様入り発泡性糖衣食品が得られる。
【0046】
また、斑模様を鮮明にするために、非被覆物である表面に凹凸模様を有する糖衣物及び/又は被覆物である発泡性コーティング組成物を色素によって着色することが好ましい。
【0047】
尚、油脂と発泡性粉末を交互に掛けていくのではなく、油脂のみを目的の重量までコーティングした後、前記と同様に発泡性粉末を投入する方法でも良い。
以上の工程により、発泡性コーティング組成物で表面の少なくとも一部がコーティングされて、発泡層が形成された斑模様入り発泡性糖衣食品が得られる。
【0048】
また、芯材である表面に凹凸模様を有する糖衣物の水分値が高い場合には、その芯材の表面を疎水性のコーティング剤でコーティングしてもよい。疎水性のコーティング剤としては、前記発泡性粉末を含有しない油脂を用いればよいが、公知の疎水性コーティング剤も用いられる。
【0049】
以上のようにして得られた斑模様入り発泡性糖衣食品は、見た目に美しく、視覚的インパクトがあり、食した場合に、従来品に比べて、発泡を感じる期間が長く持続し、かつ食感が良好で、発泡感の耐久性にも優れるという利点がある。
【0050】
例えば、発泡性粉末を塗布しただけの従来品では、10秒程度で発泡感が消失するのに対し、本発明では、上記のように発泡性粉末を溶解した固形脂に接触させて製造していることで、発泡感が長時間持続する。また、本発明では、上記のように油脂層が形成された芯材を回転させた場合に、油脂が表面に浮き出てこなくなるまで、発泡性粉末をかける操作を繰り返すことで、発泡性粉末を固形脂でしっかりと固定しながら、発泡層中の発泡性粉末の厚みに応じて発泡感の持続時間を調整することもできる。
【実施例】
【0051】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、「部」は重量基準である。
【0052】
(実施例1)
見た目に美しく、発泡感が持続し、食感、耐久性の面も優れたソーダ味のキャンディの例である。
まず、砂糖60部、酵素糖化水飴38部を水に溶解し、真空釜にて130℃で炊き上げた。クエン酸2部とソーダ香料、青色着色料を少量加えて混合し、単重2.25gの球状に成型して青色のキャンディを得た。
【0053】
砂糖74部、アラビアガム1部、溶解水25部を混合し、加熱溶解後、ソーダ香料、青色着色料を少量加えて混合し、糖度75重量%の砂糖シロップを得た。回転しているオニオン型コーティングパンに、前記芯材を投入し、温風乾燥機を用いて、60℃〜70℃範囲内に制御した温風を絶えず入れながら、該シロップを噴霧し、乾燥を取る工程を繰り返し行い、糖衣率25%、単重3.0gの、表面に凹凸模様を形成した青色の糖衣キャンディを得た。なお、凸部の形状としては、先細のほぼ円錐状のものであり、その大きさは、3〜5mmであった。多数の凸部が糖衣キャンディの表面全面にわたってほぼ均一に存在していた。
【0054】
エリスリトール50部、酒石酸20部、クエン酸10部、重曹20部、香料少量を混合し、発泡性粉末を得た。次いで固形脂(メラノNEW−SS7(不二製油製))を50℃の湯煎にかけて溶解させた。
芯材である表面に凹凸模様を有する糖衣キャンディ70部をオニオン型コーティングパンで回転させながら、芯材の表面に溶解した油脂3部を掛け、均一に行き渡らせた後、25℃に設定したスポットクーラーにて糖衣パン内を冷却し、油脂を固化させた。次いで、40℃に設定したヒーターにてコーティングパン内を温め、油脂の表面が溶解してきたところで、発泡性粉末4部をかけて均一に行き渡らせた。温度をかけた状態でコーティングパンを回転させ続けると油脂が表面に浮き出てくるため、同様に発泡性粉末4部を2回(計8部)投入した。油脂を添加するところから前記コーティング工程をもう一度行ない、発泡性粉末が凹部をコーティングした、糖衣キャンディに由来する青色と、発泡性粉末及び油脂に由来する白色との斑模様状の外観を有するソーダ味のキャンディを得た。最終的な組成は表1に示す(以下の実施例、比較例も同様)。
【0055】
得られたキャンディは、見た目に美しく、口中にて激しい発泡感を有し、その発泡感は1分以上持続した。また、舐め心地もよくザラツキ感がなく食感に優れ、かつ40℃の保温庫内に3日間放置しても油染み、変形もなく耐久性にも優れたキャンディであった。
【0056】
(実施例2)
実施例1において、芯材であるキャンディ、糖衣工程、及び発泡性粉末までは同様にして製造し、次いで、50℃の湯煎にて溶解したメラノNEW−SS7(不二製油製)60部に、前記発泡性粉末40部を分散させた。
【0057】
芯材の凹凸模様を有する糖衣キャンディ70部を糖衣パンで回転させながら、芯材の表面に発泡性粉末を分散させた前記油脂5部を掛け、均一に行き渡らせた後、25℃に設定したスポットクーラーにてコーティングパン内を冷却し、油脂を固化させた。次いで、40℃に設定したヒーターにてコーティングパン内を温め、油脂の表面が溶解してきたところで、発泡性粉末5部をかけて均一に行き渡らせた。温度を掛けた状態でコーティングパンを回転させ続けると油脂が表面に浮き出てくるため、同様に発泡性粉末5部を投入した。油脂を添加するところから前記コーティング工程をもう一度行ない、発泡性粉末が斑模様状にコーティングされたソーダ味のキャンディを得た。
得られたキャンディは、実施例1と同様の見た目の美しさ、発泡感、持続性、及び耐久性をもつ発泡性食品であった。また、油脂をコーティングした後、発泡性粉末を添加している実施例1と比較して、実施例2では、予め発泡性粉末を分散させた油脂をコーティングし、残りの発泡性粉末を添加しているため、後から添加する発泡性粉末量が減ることで、短時間でコーティングすることもできた。また、食感についても実施例1と同様に良好なものであった。
【0058】
(実施例3、4)
見た目に美しく、噛んでも舐めても食べることができ、発泡感が持続し、食感、耐久性の面も優れたコーラ味のグミの例である。
まず、次のようにしてグミを用意した。砂糖38部、水飴46部、ゼラチン11部、アラビアガム4.5部を加熱溶解後、減圧して濃縮した。酸味料0.5部、コーラ香料少量を添加して均一にした。充填機で一定量をスターチモールドに充填して乾燥後、デパウダー、オイリングし、水分値8%の粒状グミを得た。
次いで、実施例1と同様の工程、表1実施例3、4の配合にて粒状グミの糖衣、発泡性コーティングを行い、コーラ味のグミを得た。実施例3、4で得られたコーティンググミは見た目、発泡感、その持続性ともよく、耐久性にも優れた斑模様入り発泡性糖衣食品であった。また、食感についても実施例1と同様に良好なものであった。
【0059】
(実施例5)
発泡性粉末として表1に記載の成分を用いた以外は、実施例1と同様にして斑模様入り発泡性キャンディを得た。得られたキャンディは、実施例1と同様の見た目、発泡感、持続性、及び耐久性をもつ発泡性食品であった。
【0060】
(実施例6)
まず、次のようにして打錠物を作製した。砂糖80部、酸味料9部、結晶セルロース6部、粉末レモン果汁1部を粉体混合し、流動層式造粒機を使用して造粒品を調製した。さらに、前記のように調製した造粒品にショ糖脂肪酸エステル3部、香料1部を混合し、打錠機で直径6mm、厚さ5mmで、一粒当りの重量が0.2gの円盤状に圧縮成型した。この打錠物の水分含量は0.8%であった。実施例1と同様の工程、表1に記載の配合にて糖衣、発泡性コーティングを行い、発泡感のあるレモン味の打錠物を得た。得られたコーティング打錠物は見た目、発泡感、その持続性ともよく、耐久性にも優れた斑模様入り発泡性糖衣食品であった。また、食感についても実施例1と同様に良好なものであった。
【0061】
(実施例7、8、9)
実施例1において油脂の種類、融点を34℃から26℃、40℃、又は59℃に変更し、それ以外は実施例1と同様にして斑模様入り発泡性コーティングキャンディを製造した。実施例7で得られたキャンディは見た目、発泡感、その持続性ともよかったが、実施例1のキャンディと比較するとコーティング層が柔らかく、強く押すと変形する等取り扱いに注意を要するキャンディであった。また、実施例8、9で得られたキャンディに関しては見た目、発泡感の持続性、耐久面に優れていたが、実施例1のキャンディと比較すると若干発泡感が弱く感じられた。また、食感について、いずれも実施例1と同様に良好なものであった。
【0062】
(実施例10)
実施例1において油脂の種類、融点を34℃から37℃に変更し、それ以外は実施例1と同様にして斑模様入り発泡性コーティングキャンディを製造した。得られたキャンディは見た目に美しく、発泡感が持続し、舐め心地もよく、かつ40℃の保温庫内に3日間放置しても油染み、変形もなく耐久性にも優れたキャンディであった。また、食感についても実施例1と同様に良好なものであった。
【0063】
(比較例1)
実施例1において、芯材である凹凸を有する糖衣キャンディまでは同様にして製造し、その後油脂によるコーティングは行なわず、キャンディに発泡性粉末を塗布した。得られたキャンディは、激しい発泡感を有するが、一瞬(5秒程度)の発泡感しかなく持続性は全くないキャンディであった。
【0064】
(比較例2〜4)
実施例1において、実施例1と同様の工程、表2に示す比較例2〜4の配合にてコーティングを行い、斑模様入りコーティングキャンディを得た。
比較例2にて得られたキャンディは見た目、発泡感、その持続性については問題ないが、コーティング層が剥離しやすい等耐久面に問題があった。また、比較例3にて得られたキャンディは見た目、発泡感、その持続性については問題ないが、40℃の保温庫内に放置すると油染みや変形が起こる等耐久性に問題があった。比較例4にて得られたキャンディは見た目はよいが、発泡感がほとんど得られなかった。
【0065】
実施例1〜10、比較例1〜4の斑模様入り発泡性糖衣食品の組成及びその評価結果を表1、2にまとめる。表中のシロップ、発泡性粉末、油脂含量、粉末含量の数値は重量%である。
なお、表1、2中の本発明でいう糖度、糖衣率、発泡性コーティング率は下記計算式より算出された値をいう。
糖度(%)=糖質重量/シロップ重量×100
糖衣率(%)=
(凹凸模様を有する糖衣芯材100粒重量−センター核となる可食芯材100粒重量)/(凹凸模様を有する糖衣芯材100粒重量)×100
発泡性コーティング率(%)=
(発泡性コーティング製品100粒重量−凹凸模様を有する糖衣芯材100粒重量)/(発泡性コーティング製品100粒重量)×100
また、表中の評価基準は、以下のとおりである。
見た目 ◎:斑模様が鮮明 ○:斑模様が不鮮明 ×:斑模様なし
発泡性 ◎:激しく発泡 ○:穏やかに発泡 ×:発泡せず
持続性 ◎:45秒以上 ○:15秒以上45秒未満 ×:15秒以下
耐久性 ◎:油染み、変形なし ○:油染み、変形ないが力を加えると変形する
×:油染み、変形あり
尚、耐久性に関しては40℃の保温庫にて3日間放置後の結果である。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
表1、2の結果から、実施例1〜10で得られた斑模様入り発泡性糖衣食品は何れも、比較例1〜4で得られたものに比べ、しっかりと発泡を感じることができ、この発泡感の持続性、耐久性に優れたものであることがわかる。
【0069】
(比較例5)
実施例1において、芯材である凹凸を有する糖衣キャンディのかわりに、平滑な表面を有する糖衣キャンディを用いた以外は実施例1と同様にして、発泡性コーティングキャンディを製造した。得られた発泡性コーティングキャンディの表面は単色であり、インパクトのない外観を有していた。
【符号の説明】
【0070】
1 班模様入り発泡性糖衣食品
2 発泡性コーティング組成物がコーティングされている部分
3 糖衣物に由来する部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸模様を有する糖衣物の凹部に、主成分として炭酸塩と酸とからなる発泡性成分及び固形脂10〜30重量%を含有する発泡性コーティング組成物がコーティングされた斑模様入り発泡性糖衣食品。
【請求項2】
前記糖衣物の表面の色と、前記発泡性コーティング組成物の色とが異なる請求項1記載の斑模様入り発泡性糖衣食品。
【請求項3】
前記固形脂の融点が37℃以下である請求項1又は2に記載の斑模様入り発泡性糖衣食品。
【請求項4】
前記発泡性コーティング組成物の水分量が1重量%未満である請求項1〜3いずれか記載の斑模様入り発泡性糖衣食品。
【請求項5】
前記発泡性コーティング組成物で、表面に凹凸模様を有する糖衣物の表面の少なくとも一部がコーティングされてなる請求項1〜4いずれか記載の斑模様入り発泡性糖衣食品。
【請求項6】
固形脂又は炭酸塩と酸とからなる発泡性成分を含んだ固形脂を溶解後、中心層となる表面に凹凸模様を有する糖衣物に対して噴霧、冷却して油脂層を形成する工程と、前記油脂層を加温し、その表層が溶融したところへ前記発泡性成分を含む粉末をコーティングする工程を有することを特徴とする斑模様入り発泡性糖衣食品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−110008(P2011−110008A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271568(P2009−271568)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】