説明

断熱シートおよび断熱ラミネート

本発明は、赤外線反射液晶層をベースとする熱放射遮蔽シートおよび熱放射遮蔽ラミネート、それらの製造方法、それらを含んだ顔料ならびに、特定のキラルドープ剤を含んだ組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線反射液晶層をベースとした熱放射遮蔽シートおよび熱放射遮蔽ラミネート、それらの製造方法、それらを含んだ顔料ならびに、特定のキラルドープ剤を含んだ組成物に関する。
【0002】
熱放射の遮蔽問題は、とりわけ、住宅、オフィスあるいは産業用建造物の場合に発生する。窓面積の大きい建物は、特に夏季、とりわけ南部地方では、相当なエネルギーを消費して空調装置によって冷やされない限り、すぐに昇温してしまう。交通輸送手段、例えば乗用車、トラック、バス、列車、航空機等についても同じことが当てはまる。
【0003】
とりわけ800nm〜2000nmの波長域の熱放射を遮蔽するための(特に昇温を最小限に抑止する)常用の断熱法は当該染料または顔料による熱放射の吸収を基礎としている。ただし、吸収されたエネルギーは伝熱(放熱)によって大半が、断熱される対象または空間に放出される。
【0004】
特にガラス嵌め工事の場合、熱放射を広範に反射する材料を使用することが知られている。そのために、広帯域吸収剤または反射剤として特別な染料または顔料が多く使用されるが、黒鉛あるいは金もまた使用される。
【0005】
この場合、染料としては、例えば広帯域にわたって赤外線(IR)を吸収するナフタロシアニンあるいはまたポリメチン染料も使用される。短所は、吸収された放射エネルギーが、伝熱を経て放散する熱エネルギーに変換されることである。
【0006】
赤外線放射の吸収剤ないし反射剤としても使用される、黒鉛、金、銀またはインジウム・スズ酸化物(ITO)も同等な短所を有する。この場合、特に可視スペクトル域において、時として顕著な固有色が所与である。可視波長域における十分均等な高い透過率は非常に正確な、したがって、高いコストを要する極度に薄い層の製造によってのみ保証される。この種の金属層は一般に、化学蒸着または物理蒸着等の非常に高いコストを要する蒸着法によって被着される。さらにもう一つの短所は、この種の層は非常に広い電磁スペクトル域にわたって、例えばマイクロ波域および/または電波域においても反射することが多く、このことは、これらの領域における優れた透過率が求められる、数多くの利用にとって受け入れ難いという点である。
【0007】
同じく、コレステリック液晶物質も電磁スペクトルの赤外線域において光を反射し得ることが知られている。コレステリック(キラル・ネマチック)液晶はすでにずっと以前から知られている。この種の物質の最初の例はオーストリアの植物学者F.Reinitzerによって発見された(Monatshefte Chemie,9(1888),421)。コレステリック相が発生する前提条件はキラリティーである。キラル分子部は液晶分子自体に所与であると共に、ドープ剤としてもネマチック相に与えられることができ、これによって、キラル・ネマチック相が誘起される。キラル・ネマチック相は特別な光学的特性を有している。つまり、高い旋光性ならびに、キラル・ネマチック相内における円偏光の選択的反射によって生ずる顕著な円二色性である。これにより、反射波長で入射した光の最大50%が反射されることになる。残りは媒体との相互作用なしに通過する。この場合、反射光の回転方向は、らせんの回転方向によって決定される。右回りのらせんは右円偏光を反射し、左回りのらせんは左円偏光を反射する。キラルドープ剤の濃度を変化させることにより、ピッチおよびそれと共に、キラル・ネマチック層の選択的反射光の波長域を変化させることができる。この場合、観察されたピッチp(英語「pitch」)の逆数とキラル化合物の濃度(xch)との間には以下の直接の関係が存在する:
1/p=HTPxch
ここで、HTPはらせん形ねじれ能を表しており、これはキラルドープ剤の(化合物ごとに異なる)ねじれ能を示している。
【0008】
米国特許第4,637,896号から、コレステリン誘導体ベースのコレステリック液晶化合物ならびに、それが重合されて含まれた光重合コレステリック・コーティングが知られている。該文献に開示されたコレステリックシートは可視波長域に複数の反射極大を有している。ただし、950ないし1260nmに反射極大を有する2例の無色シートも挙げられている。しかしながら、これらのシートは反射幅が狭いために熱絶縁コーティングとしては不適である。
【0009】
米国特許第5,629,055号から、セルロース・ベースの丈夫なコレステリックシートが知られている。これらのシートはセルロース結晶のコロイド懸濁液から得られ、その際、コロイド懸濁液は結晶セルロースの酸加水分解によって製造される。この丈夫なシートはコレステリック特性を有しており、その反射波長は赤外線から紫外線までの全スペクトル域にわたって調整可能とされている。該文献に開示された材料は、印刷技術またはコピー技術ではコレステリック効果が再現不能であることからして、特に光学的認証手段として提案される。
【0010】
国際公開第2006/128091号は、一定の弾性率を有する少なくとも1つのポリマーシートの他に、捩れたネマチック液晶からなる1つ以上の層も含んだ多層ラミネートを開示している。これは赤外線波長域の放射を反射し、これによって、ラミネートは断熱作用を行う。
【0011】
ただし、断熱作用はまだ満足し得るものではない。
【0012】
本発明の目的は、赤外線波長を有する電磁放射(赤外線放射)、特に751nm〜約2000nmの波長域の赤外線放射を反射し、所望であれば、同時に電磁スペクトルの可視域においてほぼ完全に透明な容易に製造可能な断熱シートおよび断熱ラミネートを提供することであった。加えてさらに、断熱シートおよび断熱ラミネートをして、所望であれば、電磁スペクトルのその他の領域における一定の波長または波長域を適確に透過または反射可能とさせることも狙いであった。
【0013】
上記課題は、
(a) 赤外線波長域で反射し、かつ以下の組成物つまり
(a.1) 少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーと少なくとも1つのキラル重合性モノマーとを含んだ組成物;または
(a.2) 少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んだ組成物;または
(a.3) 少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーを含んだ組成物;または
(a.4) 重合性希釈剤中少なくとも1つのコレステリックポリマーを含んだ組成物;または
(a.5) これらの組成物のうち少なくとも2つの組成物の混合物;
の硬化によって得られる、硬化された形の少なくとも1つの液晶層と、
(b) 場合により少なくとも1つの支持シート;
(c) 場合により少なくとも1つの液晶層と接触する少なくとも1つの配向層;
(d) 場合により少なくとも1つのλ/2波長シート;
(e) 場合により少なくとも1つの接着層、保護層および/または剥離層と
を含む断熱シートによって解決される。
【0014】
本発明によるシート、特に成分a、b、c、dおよびe、ならびにその他の選択的な成分、本発明によるラミネート、本発明による方法および本発明による顔料の好ましい特徴に関する以下の記述は単独でも、特に、相互に組み合わせても有効である。
【0015】
「断熱」という用語は本発明の範囲において特に熱放射の遮蔽を意味する。
【0016】
「液晶性」という用語は本発明の範囲において、それぞれの文脈から別段の事態が判明しない限り、基本的に「コレステリック」と同義に使用される。
【0017】
シートとは、本発明の範囲において、自己支持性のある面状構造物、すなわち、その厚さは最大5mm、好ましくは最大3mm、特に好ましくは最大1.5mm、特に最大1mmであり、さらに、長さと幅に比してその厚さは無視し得るほど小さく、例えば次大寸法の少なくとも20分の1以下または少なくとも50分の1以下または少なくとも100分の1以下または少なくとも500分の1以下であり、同時になお柔軟性を有する構造物として理解される。この場合、柔軟性とは折れたり切れたりすることなくシートを巻くことができることを意味する。
【0018】
赤外線(赤外線放射)の波長域(スペクトル範囲)とは、一般に、750nm以上(例えば751nm)から約1mmまでの波長を有する電磁放射のスペクトル範囲として理解される。
【0019】
本発明によるシートは、好ましくは近赤外線(NIR)の波長域、つまり、750nm以上(例えば751nm)から約2000nmまでの波長を有するスペクトル範囲で反射する。可視スペクトルの近傍における反射は、シートの赤みをもたらすことが多く、これは多くの使用の際に望ましくない。したがって、本発明によるシートは特に好ましくは、850〜2000nmの波長域において、より好ましくは900〜2000nm、とりわけ950〜2000nmの波長域において反射する。この範囲における反射は、好ましくは鋭いピークの形ではなく、できるだけ広い反射帯の形で行われる。この場合、シートは2つ以上の反射帯、例えば2、3または4つの反射帯を有し、そのうち好ましくは少なくとも2、例えば2、3または4つが単数/複数の隣接帯と部分的にオーバラップしているのが好ましい。部分的なオーバラップによって、これらの反射帯の波長域において高い反射率が達成される。
【0020】
好ましくは本発明によるシートは、751〜2000nmの波長域において、入射する放射の少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、とりわけ少なくとも45%を反射する。
【0021】
同時に本発明によるシートは約350〜750nmの可視波長域において、入射する放射の好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも95%の透過率を有する。
【0022】
ただしシートは、所望であれば、特定の使用のために、可視波長域における透過率がもっと低くなるように構成することも可能である。したがって、本発明の好ましい実施形態は、既述したように、赤外線放射を反射し、さらに、可視波長域(つまり、約350〜750nmの波長域)、好ましくは550〜750nm、特に600〜700nmの範囲における電磁放射を反射するシートに関する。より正確に言えば、本発明によるシートは、この好ましい実施形態において、可視波長域、好ましくは550〜750nmの範囲、特に600〜700nmの範囲に極大を有する、1つ以上、例えば1、2または3つ、好ましくは1つの反射帯を有する。
【0023】
この場合、本発明は好ましくは、
(a) 赤外線波長域で反射し、かつ以下の組成物つまり
(a.1) 少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーと少なくとも1つのキラル重合性モノマーとを含んだ組成物;または
(a.2) 少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んだ組成物;または
(a.3) 少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーを含んだ組成物;または
(a.4) 重合性希釈剤中少なくとも1つのコレステリックポリマーを含んだ組成物;または
(a.5) これらの組成物のうちの少なくとも2つの組成物の混合物;
の硬化によって得られる、硬化された形の少なくとも1つの液晶層と、
(b) 場合により少なくとも1つの支持シート;
(c) 場合により少なくとも1つの液晶層と接触する少なくとも1つの配向層;
(d) 場合により少なくとも1つのλ/2波長シート;
(e) 場合により少なくとも1つの接着層、保護層および/または剥離層と
(f) 可視波長域、好ましくは550〜750nm、特に600〜700nmの範囲の波長域で反射し、かつ以下の組成物、つまり
(f.1) 少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーと少なくとも1つのキラル重合性モノマーとを含んだ組成物;または
(f.2) 少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んだ組成物;または
(f.3) 少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーを含んだ組成物;または
(f.4) 重合性希釈剤中少なくとも1つのコレステリックポリマーを含んだ組成物;または
(f.5) これらの組成物のうちの少なくとも2つの組成物の混合物
の硬化によって得られる、硬化された形の少なくとも1つの液晶層と
を含む断熱シートに関する。
【0024】
本発明によるシートはまた、好ましい実施形態において、あるいはまたはさらに加えて、全電波域においてまたは電波の特定の波長域において、入射する放射の好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも95%の透過率を有するように構成されている。そのため、本発明によるシートは、この実施形態において、基本的に金属を含んでいない。つまり、それは電波の透過を妨げ得る金属成分を、シートの総質量に対して、せいぜい0.5質量%、好ましくはせいぜい0.1質量%、とりわけせいぜい0.05質量%しか含んでいない。電波のできるだけ完全な透過は、例えばハンディーまたはW−LANの電波・無線波を送受信可能とするために重要である。さらに、電波の高い透過性は、例えば、気象状況に応じて自動車ワイパーの起動・停止を行い、拭き取り強さを制御し、また建物の窓の開閉を実施・制御する自動車または建物の降雨センサにとって重要である。
【0025】
同じく、本発明によるシートは好ましい実施形態において、さらにまた、全マイクロ波域においてまたはマイクロ波の特定の波長域において、入射する放射の好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも95%の透過率を有するように構成されている。
【0026】
本発明の範囲において、架橋とはポリマー化合物の共有結合として理解され、重合とはモノマー化合物が共有結合によってポリマーになることとして理解される。硬化とは架橋、重合またはコレステリック相の凍結として理解される。凍結によって、液晶層におけるコレステリック分子の一様な配向が固定される。
【0027】
好ましくは、組成物(a.1)の少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーは多官能重合性、特に二官能重合性を有する。好ましいアキラルネマチック二官能重合性モノマーは一般式I
1−(Y1−A1v−Y2−M−Y3−(A2−Y4w−Z2 (I)
[式中、
1、Z2は重合を媒介し得る、同一のまたは異なった反応基ないしその種の反応基を含んだ基(ここで、反応基は、好ましくはC=C−二重結合、C≡C−三重結合、オキシラン基、チイラン基、アジラン基、シアネート基、チオシアネート基、イソシアネート基、カルボン酸基、ヒドロキシ基またはアミノ基から、好ましくはC=C−二重結合(これは例えば−CH=CH2または−C(CH3)=CH2あるいはまた−CH=CH(CH3)であってもよく、最初に挙げた2つが好ましい)から選択される)を表し、
1、Y2、Y3、Y4は、互いに独立に、化学結合、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−N(Ra)−、−N(R3)−CO−、−N(Ra)−CO−O−、−O−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−N(Ra)−、−CH2−O−、−O−CH2−、好ましくは−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−(ここで、Raは水素またはC1−C4−アルキル基を表す)を表し、
1、A2は、直鎖C2−C30−アルキレン基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素によって中断されていてよいC2−C12−アルキレン基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキレン鎖はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基によって置換されていてよい)から選択された同一のまたは異なったスペーサを表し、特に好ましくはA1およびA2は−(CH2)n−(ここでn=2〜6である)を表し、
vおよびwは、互いに独立に、0、1または2を表し、
Mはメソゲン基、好ましくは、一般式II
(T1−Y5y−T2 (II)
[式中、
いずれのT1も独立に、2価の脂環式飽和基または部分不飽和へテロ環式基、芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、
2は独立に、T1と同様に定義され、
5は同一のまたは異なった架橋構造−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO−S−、−S−CO−、−CH2−S−、−S−CH2−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−C≡C−、−CH=CH−、−C(CH3)=CH2、−CH=CH(CH3)−または直接結合、好ましくは−CH−O−または−O−CO−を表し、
yは0〜3の整数、好ましくは0、1または2、とりわけ1または2、特に2を意味する]のメソゲン基を意味する]に一致している。
【0028】
好ましくは、T2は芳香族基、特に好ましくはフェニル基を表す。特に、T2は下記の式
【化1】

[式中、
bはフッ素、塩素、臭素、C1−C20−アルキル基、C1−C10−アルコキシ基、C1−C10−アルキルカルボニル基、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ基、C1−C10−アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、CHOまたはCN、好ましくは塩素、臭素、C1−C4−アルキル基またはC1−C4−アルコキシカルボニル基、特にメチル基またはメトキシカルボニル基を表し、
xは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、とりわけ1を表す]の基を表している。
【0029】
いずれのT1も独立に、好ましくは芳香族基、特に好ましくはフェニル基またはナフチル基、とりわけ1,4−結合フェニル基または2,6−結合ナフチル基を表す。
【0030】
5は好ましくは、−CO−O−または−O−CO−を表す。
【0031】
yは好ましくは、2を表す。
【0032】
特に好ましいメソゲン基Mは以下の構造
【化2】

[式中、
bおよびxは上述した一般的または好ましい意味のいずれかを有し、その際、Rbは特にメチル基を表し、xは1を表す]を有するか
または
以下の構造
【化3】

[式中、
bおよびxは上述した一般的または好ましい意味のいずれかを有し、その際、Rbは特にメトキシカルボニル基を表し、xは1を表す]を有する。
【0033】
特に好ましい実施形態において、アキラルネマチック二官能重合性モノマーは以下の式I.aおよびI.b
【化4】

の化合物ならびにそれらの混合物から選択される。
【0034】
ただし、組成物(a.1)は一官能重合性アキラルネマチックモノマーを含んでいてもよい。これは好ましくは一般式(IIIa)および/または(IIIb)
3−Y2−M−Y3−(A2−Y4w−Z2(IIIa)
1−(Y1−A1v−Y2−M−Y3−A3(IIIb)
[式中、
1、A1、Y1、Y2、Y3、Y4、v、wおよびMは独立に、式(I)に関して記載された一般的または好ましい意味のいずれかを有し、
3は直鎖C1−C30−アルキル基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素によって中断されていてよい直鎖C1−C12−アルキル基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキル基はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基で置換されていてよい)を表すか、またはCNまたは−N=C=S−を表す]を有する。
【0035】
3は、好ましくは直鎖C2−C8−アルキル基またはCN、特に直鎖C4−C8−アルキル基またはCNを表す。
【0036】
1、Y2、Y3、Y4およびY5は互いに独立に、好ましくは−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−またはC−C−三重結合を表す。
【0037】
1は、好ましくはC−C−二重結合(有利には−CH=CH2または−C(CH3)=CH2)を表す。
【0038】
Mは、好ましくは一般式IIのメソゲン基を表す。その際、好ましくはT1およびT2は互いに独立に、芳香族基、特に好ましくは、0、1、2、3または4個の基Rbを担持し得るフェニル基またはナフチル基(ここで、Rbは上述した一般的または好ましい意味のいずれかを有する)、とりわけ、0、1、2、3または4個の基Rbを担持し得る1,4−結合フェニル基または2,6−結合ナフチル基(ここで、Rbは上述した一般的または好ましい意味のいずれかを有する)を表し、とりわけ、非置換1,4−結合フェニル基または非置換2,6−結合ナフチル基を表す。その際、yは好ましくは0または1を表す。
【0039】
特に好ましい一官能重合性アキラルネマチックモノマーは以下の構造
【化5】

【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

から選択される。
【0042】
組成物(a.1)の少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーは、好ましくは、
(i) 一般式(I)の少なくとも1つの二官能重合性アキラルネマチックモノマー、好ましくは一般式(I)の1つまたは2つの二官能重合性アキラルネマチックモノマー;および
(ii) 場合により式(IIIa)および/または(IIIb)の少なくとも1つの一官能重合性アキラルネマチックモノマー
を含む。
【0043】
組成物(a.1)が1つ以上の一官能重合性モノマーを含んでいる場合、それは、多官能および一官能重合性アキラルネマチックモノマーの総質量に対して、好ましくはせいぜい40質量%、特に好ましくはせいぜい20質量%、より好ましくはせいぜい10質量%、とりわけせいぜい5質量%の総量にて組成物中に含まれている。
【0044】
特別な実施形態において、組成物(a.1)は、一官能重合性アキラルネマチックモノマーを含まずに、少なくとも1、好ましくは1つまたは2つの多官能、特に二官能重合性アキラルネマチックモノマーのみを含んでいる。
【0045】
組成物(a.1)のキラル重合性モノマーは、好ましくは式IV
[(Z1−Y1o−A4−Y2−M−Y3nX[Y3−M−Y2−A5−(Y1−Z1pm (IV)
[式中、
1、Y1、Y2、Y3およびMは式(I)に関して上述した一般的または好ましい意味のいずれかを有し、
o、pは0または1(ここで、oおよびpは同時に0を表してはならない)を表し、
4およびA5は等しいか、または異なっており、かつ
4は、o=1の場合にはA1と同様に定義され、または
o=0であれば、直鎖C1−C30−アルキル基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素によって中断されていてよい直鎖C1−C12−アルキル基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキル基はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基で置換されていてよい)を表し、その際、A4は特に好ましくはl=1〜7のCH3(CH2−基を表し、
5は、p=1の場合にはA1と同様に定義され、または
p=0であれば、直鎖C1−C30−アルキル基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素によって中断されていてよい直鎖C1−C12−アルキル基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキル基はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基によって置換されていてよい)を表し、その際、A5は特に好ましくはl=1〜7のCH3(CH2−基を表し、
n、mは0、1または2(ここで、和n+mは1または2に等しく、好ましくは2に等しい)を表し、
Xはキラル基を表す]に一致している。
【0046】
メソゲン基Mは、好ましくは式II
(T1−Y5y−T2 (II)
[式中、
1、T2およびY5は上述した一般的または好ましい意味のいずれかを有する]を有する。yは上述した一般的な意味のいずれかを有するが、ただし、好ましくは0または1を表す。
【0047】
好ましくは、T2は芳香族基、特に好ましくはフェニル基を表す。とりわけ、T2は式
【化8】

[式中、
bはフッ素、塩素、臭素、C1−C20−アルキル基、C1−C10−アルコキシ基、C1−C10−アルキルカルボニル基、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ基、C1−C10−アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、CHOまたはCNを表し、好ましくは塩素、臭素、C1−C4−アルキル基またはC1−C4−アルコキシカルボニル基、とりわけメチル基またはメトキシカルボニル基を表し、
xは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、とりわけ0を表す]の基を表す。
【0048】
いずれのT1も独立に、好ましくは芳香族基、特に好ましくはフェニル基またはナフチル基、より好ましくは1,4−結合フェニル基または2,6−結合ナフチル基、とりわけ非置換1,4−結合フェニル基または非置換2,6−結合ナフチル基を表す。
【0049】
5は、好ましくは−CO−O−または−O−CO−を表す。
【0050】
yは、好ましくは0または1を表す。
【0051】
一般式IVの化合物のキラル基Xについては、とりわけ入手が比較的容易であることから、特に、糖、ジナフチル−またはジフェニル誘導体ならびに光学活性グリコール、アルコールまたはアミノ酸から誘導されるものが好ましい。糖については、特に、ペントースおよびヘキソースおよびそれらから誘導された誘導体を挙げることができる。
【0052】
基Xの例は以下の構造であり、式中の末端線はそれぞれ自由原子価を意味している。
【0053】
【化9】

【0054】
【化10】

[式中、L1はC1−C4−アルキル基、C1−C4−アルコキシ基、ハロゲン、COORc、OCORcまたはNHCORcを意味し、RcはC1−C4−アルキル基または水素を表している。
【0055】
特に好ましいのは
【化11】

である。
【0056】
さらに、以下の構造
【化12】

を有するキラル基も好適である。
【0057】
特に好ましい実施形態において、キラル重合性モノマーは以下の構造式
【化13】

から選択される。
【0058】
これらのうち、式、IV.a、IV.bおよびIV.cの化合物が好ましく、特に式、IV.aおよびIV.cの化合物が好ましい。特に、式、IV.cの化合物が好ましい。
【0059】
好ましくは、本発明によるシートの少なくとも1つの液晶層(a)は、キラル重合性化合物として化合物IV.cが使用される組成物(a.1)から構成されている。
【0060】
本発明による混合物(a.1)におけるアキラルネマチックモノマーとキラルモノマーとの質量比は、これらのモノマーから生ずる重合体が配向に応じ、赤外線スペクトル域、好ましくは751〜2000nmの範囲の波長に一致するらせん上部構造のピッチを有するように選択される。この場合、質量比はネマチックモノマーとキラルモノマーとの種類に依存しており、個別に決定されなければならない。
【0061】
ただし、一般に、特定のネマチックモノマーと特定のキラルモノマーにあっては、ネマチック成分に対するキラル成分の濃度が増大するにつれて、反射帯の極大はより短い波長の方へ変位するということができる。
【0062】
例えば、化合物I.bとIV.aとからなる、基本的に固有呈色のない、したがって、可視波長域において少なくとも80%以下、好ましくは少なくとも85%以下の透過率を有する赤外線反射液晶層(a)を製造するには、化合物I.bの質量に対して、好ましくはせいぜい4.0質量%、例えば1.0〜4.0質量%または1.5〜4.0質量%または2.0〜4.0質量%、特に好ましくはせいぜい3.5質量%、例えば1.0〜3.5質量%または1.5〜3.5質量%または2.0〜3.5質量%、とりわけせいぜい3.3質量%、例えば1.0〜3.3質量%または1.5〜3.3質量%または2.0〜3.3質量%の量にて化合物IV.aが使用される。同じ目的のために、化合物I.aとIV.aとが組み合わされる場合、化合物I.aの質量に対して、好ましくはせいぜい3.2質量%、例えば1.0〜3.2質量%または1.5〜3.2質量%または2.0〜3.2質量%、特に好ましくはせいぜい3.0質量%、例えば1.0〜3.0質量%または1.5〜3.0質量%または2.0〜3.0質量%、とりわけせいぜい2.9質量%、例えば1.0〜2.9質量%または1.5〜2.9質量%または2.0〜2.9質量%の量にて化合物IV.aが使用される。同じ目的のために、化合物I.bとIV.cとが組み合わされる場合、化合物I.bの質量に対して、好ましくはせいぜい11質量%、例えば1.0〜11質量%または1.5〜11質量%または2.0〜11質量%、特に好ましくはせいぜい10.0質量%、例えば1.0〜10.0質量%または1.5〜10.0質量%または2.0〜10.0質量%、より好ましくはせいぜい9.0質量%、例えば1.0〜9.0質量%または1.5〜9.0質量%または2.0〜9.0質量%、とりわけせいぜい8.5質量%、例えば1.0〜8.5質量%または1.5〜8.5質量%または2.0〜8.5質量%の量にて化合物IV.cが使用される。同じ目的ために、化合物I.aとIV.cとが組み合わされる場合、化合物I.aの質量に対して、好ましくはせいぜい12質量%、例えば1.0〜12質量%または1.5〜12質量%または2.0〜12質量%、特に好ましくはせいぜい11.5質量%、例えば1.0〜11.5質量%または1.5〜11.5質量%または2.0〜11.5質量%、とりわけせいぜい11.0質量%、例えば1.0〜11.0質量%または1.5〜11.0質量%または2.0〜11.0質量%の量にて化合物IV.cが使用される。
【0063】
可視波長域に反射帯を有する液晶層を製造するには、相応して、より多くの量のキラル化合物が使用される(層(f)に関する以下の記述も参照)。したがって、例えば化合物I.bとIV.cとが組み合わされる場合、化合物I.bの質量に対して、好ましくは>11〜15質量%、特に好ましくは11.1〜14質量%、とりわけ11.2〜13.5質量%の量にて化合物IV.cが使用される。
【0064】
あるいは、層(a)は、硬化された形の組成物(a.2)の少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーであってよい。
【0065】
グループ(a.2)の好ましいモノマーは、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるドイツ公開第19602848号に開示されている。特に、該モノマーは一般式XIII
(Z−Y1−A1−Y2−M1−Y3nX (XIII)
の少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んでいる。
【0066】
この場合、変数はグループ(a.1)のモノマーの場合と同様に定義されている。好ましい態様についても同様である。
【0067】
あるいは、層(a)は、組成物(a.3)の少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーであってよい。
【0068】
グループ(a.3)の好ましいポリマーは、開示内容全体が参考として本明細書で援用される国際公開第2008/012292号ならびに同書に引用された文献中に開示されている。
【0069】
あるいは、層(a)は、重合性希釈剤中コレステリックポリマー(組成物(a.4))であってよい。
【0070】
グループ(a.3)の好ましいポリマーおよび希釈剤は、開示内容全体が参考として本明細書で援用される国際公開第2008/012292号ならびに同書に引用された文献中に開示されている。グループ(a.4)の好ましいポリマーは、開示内容全体が参考として本明細書で援用される米国特許第08834745号に開示されている類の、例えば架橋性コレステリック・コポリイソシアネートである。
【0071】
好ましくは、層(a)は、硬化された形の組成物(a.1)である。組成物(a.1)の好ましい態様については上記を参照されたい。好ましくは、組成物(a.1)は、組成物(a.1)の総質量に対して、それぞれ80〜99.5質量%の量のネマチック重合性モノマーと0.5〜20質量%の量のキラル重合性モノマーとを含んでいる。この場合、キラル−ネマチックモノマー比は、硬化および配向に応じ、組成物(a.1)がいかなるスペクトル域で反射するかを決定する。所望の反射域は、簡単な予備テストにより、個々のネマチック成分とキラル成分ならびにそれぞれの濃度に応じて調整することが可能である。組成物(a.1)は、組成物(a.1)中のネマチック重合性モノマーとキラル重合性モノマーとの総質量に対して、それぞれ85〜99.5質量%、特に好ましくは85〜99質量%、とりわけ90〜98質量%の量のネマチック重合性モノマーと、0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜15質量%、とりわけ2〜10質量%の量のキラル重合性モノマーとを含んでいるのが特に好適である。使用するのが好ましいモノマーの好適かつ好ましい質量比については先の記述を参照されたい。
【0072】
所望の場合、組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)および(a.5)は、反射特性を決定する既述した成分のほかに、好ましくは、
・ 下記から選択された少なくとも1つの成分Cと、
(C.1)光重合開始剤;
(C.2)光重合性基を含んだ反応性希釈剤;
(C.3)希釈剤;
(C.4)除泡剤および脱気剤;
(C.5)滑剤および流動剤;
(C.6)熱硬化助剤および/または放射線硬化助剤;
(C.7)支持体湿潤助剤;
(C.8)湿潤助剤および分散助剤;
(C.9)疎水化剤;
(C.10)プライマ;および
(C.11)引掻き強度向上助剤
・ 下記から選択された少なくとも1つの成分Dと、
(D.1)染料;および
(D.2)顔料;
・ 光安定剤、熱安定剤および酸化安定剤から選択された少なくとも1つの成分Eと、
・ 赤外線吸収化合物から選択された少なくとも1つの成分Fと
から選択されたその他の混合成分を含んでいてよい。
【0073】
組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)および(a.5)が光化学重合される場合、それらは市販の光重合開始剤を含んでいてよい。電子線による硬化についてはその種のものは不要である。好適な光重合開始剤は、例えば、イソブチルベンゾインエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリンフェニル)−フラン−1−オン、ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンとの混合物、2.2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ペルフルオロジフェニルチタノセン、2−メチル−1−(4−[メチルチオ]フェニル)−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニル−スルフィド、エチル−4−(ジメチルアミノ)−ベンゾエート、2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピル−チオキサントンとの混合物、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、d.l−カンファーキノン、エチル−d,l−カンファーキノン、ベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの混合物、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミン−ベンゾフェノン、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−イソプロピルフェニル)−鉄(II)−ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロホスフェートまたはトリフェニルスルホニウム塩の混合物、ならびにブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、4−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリプロピレングリコールアクリレートである。
【0074】
好適な市販の光重合開始剤(C.1)は、例えば、Lucirin(登録商標)、Irgacure(登録商標)およびDarocure(登録商標)の商標名で市販されている。好ましくは、開始剤である、Lucirin(登録商標)TPO、Lucirin(登録商標)TPO−L、Irgacure(登録商標)Oxe01、Irgacure(登録商標)Oxe02、Irgacure(登録商標)1300、Irgacure(登録商標)184、Irgacure(登録商標)369、Irgacure(登録商標)907またはDarocure(登録商標)1173、特に好ましくはLucirin(登録商標)TPO、Lucirin(登録商標)TPO−L、Irgacure(登録商標)Oxe01、Irgacure(登録商標)Oxe02、Irgacure(登録商標)1300またはIrgacure(登録商標)907が使用される。
【0075】
光重合開始剤は通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.1〜5.0質量%の割合で使用される。特に、不活性ガス雰囲気下で硬化が実施される場合、著しく少量の光重合開始剤を使用することが可能である。この場合、光重合開始剤は、液晶混合物の総質量に対して、約0.1〜1.0質量%、好ましくは0.2〜0.6質量%の割合で使用される。
【0076】
反応性希釈剤(C.2)は、例えば重合性希釈剤として成分(a.4)に使用される。この場合、それらは本発明による混合物の必須成分である。
【0077】
反応性希釈剤としては、本来の意味で反応性希釈剤と称される物質(グループC.2.1)が使用されるだけでなく、液晶化合物の重合性単位との反応を媒介し得る1つ以上の相補的反応単位、例えばヒドロキシ基またはアミノ基を含む補助化合物も使用される(グループC.2.2)。
【0078】
一般に光重合を可能にするグループ(C.2.1)の物質には、例えば、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する一、二または多官能化合物が含まれる。それらの例は、カルボン酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはステアリン酸のビニルエステル、またはジカルボン酸、例えばコハク酸およびアジピン酸のビニルエステル、一官能アルコール、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコールまたはステアリルアルコールのアリルエーテルまたはビニルエーテルまたはメタクリルエステルまたはアクリル酸エステル、または二官能アルコール、例えばエチレングリコールおよびブタン−1,4−ジオールのジアリルエーテルまたはジビニルエーテルである。
【0079】
さらに、例えば多官能アルコール、とりわけヒドロキシ基のほかにその他の官能基を含まないか、またはせいぜいエーテル基を含むだけのその種のアルコールのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルも考えられる。そうしたアルコールの例は、例えば二官能アルコール例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの高縮合された代表物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシル化フェノール化合物、例えばエトキシ化ないしプロポキシル化ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、三官能およびより高官能のアルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニットおよびアルコキシル化、特にエトキシ化およびプロポキシル化された当該アルコールである。
【0080】
グループ(C.2.1)の反応性希釈剤としては、さらに、ポリエステル(メタ)アクリレートが考えられるが、これはポリエステロールの(メタ)アクリル酸エステルである。
【0081】
ポリエステロールとしては、例えば、ポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸をポリオール、好ましくはジオールとエステル化することによって製造することのできるものが考えられる。この種のヒドロキシル基含有ポリエステルの出発原料は、当業者に公知である。ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、o−フタル酸およびそれらの異性体および水素化生成物、ならびに前記の酸のエステル化可能なまたはエステル交換可能な誘導体、例えば無水物またはジアルキルエステルが使用可能である。ポリオールとしては、上記のアルコール、好ましくはエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールならびにエチレングリコールタイプおよびプロピレングリコールタイプのポリグリコールが考えられる。
【0082】
さらに、グループ(C.2.1)の反応性希釈剤として、1,4−ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレートの名前でも知られている以下の式
【化14】

のトリシクロデセニルアルコールのアクリル酸エステル、ならびにアクリル酸、メタクリル酸およびシアノアクリル酸のアリルエステルが考えられる。
【0083】
上記に例として挙げたグループ(C.2.1)の反応性希釈剤のうち、特に、上述した好ましい本発明による混合物を考慮して、光重合性基を含むものが使用される。
【0084】
グループ(C.2.2)には、例えば、二価または多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらのより高縮合された代表物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニットおよびアルコキシル化、特にエトキシ化およびプロポキシル化された当該アルコールが含まれる。
【0085】
さらに、グループ(C.2.2)には、例えば、アルコキシル化フェノール化合物、例えばエトキシ化またはプロポキシル化ビスフェノールも含まれる。
【0086】
さらに、これらの反応性希釈剤は、例えばエポキシ−またはウレタン(メタ)アクリレートであってよい。
【0087】
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、当業者に公知の、エポキシ化されたオレフィンあるいはポリ−またはジグリシジルエーテル、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる類のものである。
【0088】
ウレタン(メタ)アクリレートは、特に、同じく当業者に公知のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリ−またはジイソシアネートとの反応生成物である。
【0089】
こうしたエポキシ−またはウレタン(メタ)アクリレートは、グループ(C.2.1)と(C.2.2)に挙げられた化合物の「合成物」として解される。
【0090】
反応性希釈剤が使用される場合、その量および特性がそれぞれの条件に適合されて、一方で十分に所望の効果、例えば本発明による混合物の所望の色が達成され、ただし他方で液晶混合物の相特性が過度に損なわれないようにしなければならない。低架橋度(高架橋度)の液晶混合物の製造には、例えば、相対的に少数(多数)の分子あたり反応単位を有する相応した反応性希釈剤を使用することが可能である。
【0091】
反応性希釈剤は、通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.5〜20.0質量%の割合で使用される。
【0092】
成分(a.1)、(a.2)または(a.3)ないしこれらの成分を含んだ混合物も少量の重合性希釈剤を含んでいてよい。(a.1)、(a.2)または(a.3)に添加可能な好ましい重合性溶剤は、アクリレート、特に高官能アクリレート、例えばビス−、トリス−またはテトラアクリレート、特に好ましくは高沸点オリゴアクリレートである。好ましい添加量は、組成物の総質量に対して、約5質量%である。
【0093】
希釈剤のグループ(C.3)には、例えば、C1−C4−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールならびにC5−C12−アルコール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノールおよびn−ドデカノールおよびそれらの異性体、グリコール、例えば1,2−エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−,2,3−または1,4−ブチレングリコール、ジ−またはトリエチレングリコールまたはジ−またはトリプロピレングリコール、エーテル、例えば開鎖エーテル、例えばメチル−t−ブチルエーテル、1,2−エチレングリコールモノ−または−ジメチルエーテル、1,2−エチレングリコールモノ−または−ジエチルエーテル、3−メトキシプロパノールまたは3−イソプロポキシプロパノール、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、開鎖ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、環状ケトン、例えばシクロペンタノン、C1−C5−アルキルエステル、例えば酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸プロピルエステル、酢酸ブチルエステルまたは酢酸アミルエステル、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキルエステル、例えば1−メトキシプロプ−2−イルアセテート、カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド、N−ヘテロ環、例えばN−メチルピロリドン、脂肪族または芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、石油エーテル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、ジメチルナフタリン、ホワイトスピリット、Shellsol(登録商標)またはSolvesso(登録商標)、鉱油、例えばベンジン、ケロシン、ディーゼル油または暖房油が含まれ、また天然油、例えばオリーブ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油またはヒマワリ油も含まれる。また、これらの希釈剤の混合物も本発明による混合物への使用が考えられることはいうまでもない。
【0094】
少なくとも部分的な混合性が所与であれば、これらの希釈剤を水と混合することも可能である。この場合に考えられるものは、例えばC1−C4−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールまたはs−ブタノール、グリコール、例えば1,2−エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−,2,3−または1,4−ブチレングリコール、ジ−またはトリエチレングリコールまたはジ−またはトリプロピングリコール、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンまたはジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、またはC1−C4−アルキルエステル、例えば酢酸メチル−、酢酸エチル−、酢酸プロピル−または酢酸ブチルエステルである。この種の水含有混合物は無極性希釈剤、例えば既述した脂肪族または芳香族炭化水素、鉱油あるいはまた天然油とも限定的な混合性を有していることが多く、これによってまた、水、水と少なくとも部分的に混合可能な希釈剤および水と混合不能な希釈剤から三成分(または準三成分)希釈剤も製造し、使用することが可能である。
【0095】
グループ(a.1)または(a.2)の化合物用の好適な希釈剤は、特に直鎖または分枝状エステル、特に酢酸エステル、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキルエステル、例えば1−メトキシプロプ−2−イルアセテート、環状エステル、カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド、開鎖および環状エーテル、アルコール、ラクトン、開鎖および環状ケトンならびに脂肪族および芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレンおよびシクロヘキサンである。グループ(a.1)または(a.2)の化合物用の好ましい希釈剤は、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキルエステル、例えば1−メトキシプロプ−2−イルアセテート、カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド、開鎖エーテル、例えば1,2−エチレングリコール−モノ−または−ジメチルエーテル、1,2−エチレングリコールモノ−または−ジエチルエーテル、3−メトキシプロパノールまたは3−イソプロポキシプロパノール、開鎖および環状ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)またはシクロペンタノン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノールおよびn−ドデカノール、ラクトン、例えばN−メチルピロリドンおよび芳香族化合物、例えばトルエンである。特に好ましいのは、上記のカルボン酸アミド、開鎖エーテル、開鎖および環状ケトンおよびラクトンである。とりわけ、上記の開鎖および環状ケトンまたはそれらの混合物が使用される。
【0096】
グループ(a.3)のポリマー用の好適な希釈剤は、特に、エーテルおよび環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロカーボン、ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−クロロナフタリン、クロロベンゼンまたは1,2−ジクロロベンゼンである。これらの希釈剤は特にポリエステルおよびポリカーボネートに適している。セルロース誘導体用の好適な希釈剤は、例えば、エーテル、例えばジオキサン、またはケトン、例えばアセトンである。
【0097】
希釈剤は、通例、組成物の総質量に対して、約0.5〜10.0質量%、好ましくは約1.0〜5.0質量%の割合で使用される。
【0098】
組成物が溶液または分散液である場合、希釈剤の割合は、組成物の総質量に対して、好ましくは5〜95質量%、特に好ましくは30〜80質量%、とりわけ40〜70質量%である。
【0099】
成分Cに挙げられた除泡剤および脱気剤(C.4)、滑剤および流動剤(C.5)、熱硬化または放射線硬化助剤(C.6)、支持体湿潤助剤(C.7)、湿潤助剤および分散助剤(C.8)、疎水化剤(C.9)、プライマ(C.10)および引掻き強度向上助剤(C.11)は、それらの作用の点で多くの場合互いに厳密に区分することはできない。例えば、滑剤および流動剤はしばしば、さらに除泡剤および/または脱気剤および/または引掻き強度向上助剤として作用する。放射線硬化助剤もまた、滑剤および流動剤および/または脱気剤および/または支持体湿潤助剤としても作用する。これらの助剤の大部分は場合によりプライマ(C.11)の機能も果たすことができる。したがって、前述したように、特定の添加剤は以下に述べるグループ(C.4)〜(C.11)の複数のグループに分類されていてよい。
【0100】
グループ(C.4)の除泡剤には、ケイ素非含有およびケイ素含有ポリマーが分類される。ケイ素含有ポリマーは、例えば、無改質または改質ポリジアルキルシロキサンまたは、分枝状コポリマー、ポリジアルキルシロキサン単位とポリエーテル単位からなる櫛型コポリマーまたはブロックコポリマーであり、この場合、後者は酸化エチレンまたは酸化プロピレンから得ることができる。
【0101】
グループ(C.4)の脱気剤には、例えば、有機ポリマー、例えばポリエーテルおよびポリアクリレート、ジアルキル、特にジメチルポリシロキサン、有機改質ポリシロキサン、例えばアリールアルキル改質ポリシロキサンまたはフルオロシリコンも含まれる。除泡剤の機能は基本的に、泡形成を妨げるか、またはすでに形成された泡を破壊することに基づいている。脱気剤は基本的に、脱気される媒体中、例えば本発明による混合物中において微細に分散したガス泡ないし気泡が合体してより大きな気泡になることを促進し、こうして、ガス(空気)の除去を促すように機能する。除泡剤はしばしば脱気剤としても使用可能であり、その逆も可能であることから、これらの添加物は共にグループ(C.4)に区分された。この種の助剤は、例えば、Tego社からTEGO(登録商標)Foamex800、TEGO(登録商標)Foamex805、TEGO(登録商標)Foamex810、TEGO(登録商標)815、TEGO(登録商標)Foamex825、TEGO(登録商標)Foamex835、TEGO(登録商標)Foamex840、TEGO(登録商標)Foamex842、TEGO(登録商標)Foamex1435、TEGO(登録商標)Foamex1488、TEGO(登録商標)Foamex1495、TEGO(登録商標)Foamex3062、TEGO(登録商標)Foamex7447、TEGO(登録商標)Foamex8020、Tego(登録商標)FoamexN、TEGO(登録商標)FoamexK3、TEGO(登録商標)Antifoam2−18、TEGO(登録商標)Antifoam2−57、TEGO(登録商標)Antiform2−80、TEGO(登録商標)Antifoam2−82、TEGO(登録商標)Antifoam2−89、TEGO(登録商標)Antifoam2−92、TEGO(登録商標)Antifoam14、TEGO(登録商標)Antifoam28、TEGO(登録商標)Antifoam81、TEGO(登録商標)AntifoamD90、TEGO(登録商標)Antifoam93、TEGO(登録商標)Antifoam200、TEGO(登録商標)Antifoam201、TEGO(登録商標)Antifoam202、TEGO(登録商標)Antifoam793、TEGO(登録商標)Antifoam1488、TEGO(登録商標)Antifoam3062、TEGOPREN(登録商標)5803、TEGOPREN(登録商標)5852、TEGOPREN(登録商標)5863、TEGOPREN(登録商標)7008、TEGO(登録商標)Antifoam1−60、TEGO(登録商標)Antifoam1−62、TEGO(登録商標)Antifoam1−85、TEGO(登録商標)Antigoam2−67、TEGO(登録商標)AntifoamWM20、TEGO(登録商標)Antifoam50、TEGO(登録商標)Antifoam105、TEGO(登録商標)Antifoam730、TEGO(登録商標)AntifoamMR1015、TEGO(登録商標)AntifoamMR1016、TEGO(登録商標)Antifoam1435、TEGO(登録商標)AntifoamN、TEGO(登録商標)AntifoamKS6、TEGO(登録商標)AntifoamKS10、TEGO(登録商標)AntifoamKS53、TEGO(登録商標)AntifoamKS95、TEGO(登録商標)AntifoamKS100、TEGO(登録商標)AntifoamKE600、TEGO(登録商標)AntifoamKS911、TEGO(登録商標)AntifoamMR1000、TEGO(登録商標)AntifoamKS1100、Tego(登録商標)Airex900、Tego(登録商標)Airex910、Tego(登録商標)Airex931、Tego(登録商標)Airex935、Tego(登録商標)Airex960、Tego(登録商標)Airex970、Tego(登録商標)Airex980およびTego(登録商標)Airex985として市販されており、また、BYK社からBYK(登録商標)−011、BYK(登録商標)−019、BYK(登録商標)−020、BYK(登録商標)−021、BYK(登録商標)−022、BYK(登録商標)−023、BYK(登録商標)−024、BYK(登録商標)−025、BYK(登録商標)−027、BYK(登録商標)−031、BYK(登録商標)−032、BYK(登録商標)−033、BYK(登録商標)−034、BYK(登録商標)−035、BYK(登録商標)−036、BYK(登録商標)−037、BYK(登録商標)−045、BYK(登録商標)−051、BYK(登録商標)−052、BYK(登録商標)−053、BYK(登録商標)−055、BYK(登録商標)−057、BYK(登録商標)−065、BYK(登録商標)−067、BYK(登録商標)−070、BYK(登録商標)−080、BYK(登録商標)−088、BYK(登録商標)−141およびBYK(登録商標)−A530として市販されている。
【0102】
グループ(C.4)の助剤は、通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.05〜3.0質量%、好ましくは約0.5〜2.0質量%の割合で使用される。
【0103】
滑剤および流動剤のグループ(C.5)には、一般に、ケイ素非含有またケイ素含有ポリマー、例えばポリアクリレートまたは改質低分子量ポリジアルキルシロキサンが含まれる。改質の基本は、アルキル基の一部が極めて多様な有機基によって置換されている点にある。これらの有機基としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステルまたは長鎖アルキル基であり、その際、前者が最も頻繁に使用される。
【0104】
この場合、当該改質ポリシロキサンのポリエーテル基は、通例、酸化エチレン単位および/または酸化プロピレン単位で構成される。改質ポリシロキサン中のこれらの酸化アルキレン単位の割合が高ければ高いほど、一般に、結果として得られる生成物の親水性は高くなる。
【0105】
この種の助剤は、例えば、Tego社からTEGO(登録商標)Glide100、TEGO(登録商標)GlideZG400、TEGO(登録商標)Glide406、TEGO(登録商標)Glide410、TEGO(登録商標)Glide411、TEGO(登録商標)Glide415、TEGO(登録商標)Glide420、TEGO(登録商標)Glide435、TEGO(登録商標)Glide440、TEGO(登録商標)Glide450、TEGO(登録商標)GlideA115、TEGO(登録商標)GlideB1484(除泡剤および脱気剤としても使用可)、TEGO(登録商標)FlowATF、TEGO(登録商標)FlowATF2、TEGO(登録商標)Flow300、TEGO(登録商標)Flow460、TEGO(登録商標)Flow425およびTEGO(登録商標)FlowZFS460として市販されている。さらに引掻き強度の向上にも使用される放射線硬化滑剤および流動剤として、同じくTego社から入手可能な製品、TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2300、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600、TEGO(登録商標)Rad2700およびTEGO(登録商標)Twin4000を使用することができる。BYK社からは、この種の助剤は、例えば、BYK(登録商標)−300、BYK(登録商標)−306、BYK(登録商標)−307、BYK(登録商標)−310、BYK(登録商標)−320、BYK(登録商標)−322、BYK(登録商標)−331、BYK(登録商標)−333、BYK(登録商標)−337、BYK(登録商標)−341、Byk(登録商標)−354、Byk(登録商標)−361N、BYK(登録商標)−378、BYK(登録商標)−388として市販されている。
【0106】
グループ(C.5)の助剤は、通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.05〜3.0質量%、好ましくは約0.5〜2.0質量%の割合で使用される。
【0107】
グループ(C.6)には放射線硬化助剤として、特に、例えばアクリレートグループの要素である末端二重結合を有するポリシロキサンが含まれる。この種の助剤は化学線または、例えば電子線によって架橋させることができる。これらの助剤には、一般に複数の特性が一体化されている。これらは非架橋状態では、除泡剤、脱気剤、滑剤および流動剤および/または支持体湿潤助剤として機能し、架橋状態では特に、本発明による混合物で製造可能な、例えばコーティングまたはフィルムの引掻き強度を向上させる。この場合、例えば、同じくこの種のコーティングまたはフィルムの光沢特性の改善は基本的に、(非架橋状態における)除泡剤、脱気剤および/または滑剤および流動剤としてのこれらの助剤の作用の結果として見なすことができる。放射線硬化助剤としては、例えば、Tego社から入手可能な製品、TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600およびTEGO(登録商標)Rad2700ならびにBYK社から入手可能な製品、BYK(登録商標)−371を使用することができる。グループ(C.6)の熱硬化助剤は、例えば、結合剤のイソシアネート基と反応し得る一次OH基を含んでいる。
【0108】
熱硬化助剤としては、例えば、BYK社から入手可能な製品、BYK(登録商標)−370、BYK(登録商標)−373およびBYK(登録商標)−375を使用することができる。グループ(C.6)の助剤は、通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.1〜5.0質量%、好ましくは約0.1〜3.0質量%の割合で使用される。
【0109】
支持体湿潤助剤のグループ(C.7)の助剤は、特に、例えば印刷インキまたはコーティング剤、例えば組成物(a.1)〜(a.5)によって印刷またはコーティングされる支持体の湿潤性の向上に用いられる。一般に、これによってもたらされるこの種の印刷インキまたはコーティング剤の滑り特性および流動特性の改善は、完成した(例えば架橋された)印刷物ないし完成した(例えば架橋された)層に反映される。この種の極めて多様な助剤は、例えばTego社からTEGO(登録商標)WetKL245、TEGO(登録商標)Wet250、TEGO(登録商標)Wet260およびTEGO(登録商標)WetZFS453として、ならびに、BYK社からBYK(登録商標)−306、BYK(登録商標)−307、BYK(登録商標)−310、BYK(登録商標)−333、BYK(登録商標)−344、BYK(登録商標)−345、BYK(登録商標)−346およびBYK(登録商標)−348として市販されている。
【0110】
また、Dupont社の商標Zonyl(登録商標)の製品、例えばZonyl(登録商標)FSAおよびZonyl(登録商標)FSGも非常に好適である。これらはフッ素含有界面活性剤/湿潤剤である。
【0111】
グループ(C.7)の助剤は、通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.01〜3.0質量%、好ましくは約0.01〜1.5質量%、とりわけ0.03〜1.5質量%の割合で使用される。
【0112】
湿潤助剤および分散助剤のグループ(C.8)の助剤は、特に、顔料の浮遊・浮上ならびに沈降の防止に用いられ、したがって、必要であれば、とりわけ、染色される組成物の場合に使用することが考えられる。
【0113】
これらの助剤は基本的に、添加された顔料粒子の静電反発および/または立体障害による顔料分散を安定させ、その際、後者にあっては、助剤と周囲媒体(例えば結合剤)との相互作用が大きな役割を果たす。この種の湿潤助剤および分散助剤の使用は、例えば印刷インキ、塗料の技術分野において日常的に行われているため、所定の場合のその種の好適な助剤の選択は、当業者にとって一般に難しいことではない。
【0114】
この種の湿潤助剤および分散助剤は、例えばTego社から、TEGO(登録商標)Dispers610、TEGO(登録商標)Dispers610S、TEGO(登録商標)Dispers630、TEGO(登録商標)Dispers700、TEGO(登録商標)Dispers705、TEGO(登録商標)Dispers710、TEGO(登録商標)Dispers720W、TEGO(登録商標)Dispers725W、TEGO(登録商標)Dispers730W、TEGO(登録商標)Dispers735WおよびTEGO(登録商標)740Wとして、ならびにBYK社から、Disperbyk(登録商標)、Disperbyk(登録商標)−107、Disperbyk(登録商標)−108、Disperbyk(登録商標)−110、Disperbyk(登録商標)−111、Disperbyk(登録商標)−115、Disperbyk(登録商標)−130、Disperbyk(登録商標)−160、Disperbyk(登録商標)−161、Disperbyk(登録商標)−162、Disperbyk(登録商標)−163、Disperbyk(登録商標)−164、Disperbyk(登録商標)−165、Disperbyk(登録商標)−166、Disperbyk(登録商標)−167、Disperbyk(登録商標)−170、Disperbyk(登録商標)−174、Disperbyk(登録商標)−180、Disperbyk(登録商標)−181、Disperbyk(登録商標)−182、Disperbyk(登録商標)−183、Disperbyk(登録商標)−184、Disperbyk(登録商標)−185、Disperbyk(登録商標)−190、Anti−Terra(登録商標)−U、Anti−Terra(登録商標)−U80、Anti−Terra(登録商標)−P、Anti−Terra(登録商標)−203、Anti−Terra(登録商標)−204、Anti−Terra(登録商標)5206、BYK(登録商標)−151、BYK(登録商標)−154、BYK(登録商標)−155、BYK(登録商標)−P104S、BYK(登録商標)−P105、Lactimon(登録商標)、Lactimon(登録商標)−WSおよびBykumen(登録商標)として市販されている。この場合、また、DuPont社の上記のZonyl(登録商標)商標、例えばZonyl(登録商標)FSAおよびZonyl(登録商標)FSGの使用も考えられる。
【0115】
グループ(C.8)の助剤の配量は、主として、顔料が付される表面と助剤の平均分子量とに依存している。
【0116】
無機顔料と低分子量助剤については、通例、顔料と助剤の総質量に対して、後者は約0.5〜2.0質量%の割合とされる。高分子量助剤の場合、この割合は約1.0〜30質量%に引き上げられる。
【0117】
有機顔料と低分子量助剤の場合、後者の割合は、顔料と助剤の総質量に対して、約1.0〜5.0質量%である。高分子量助剤の場合、この割合は約10.0〜90質量%の範囲にあってよい。したがって、いずれの場合にあっても予備テストが推奨されるが、これは当業者には容易に実施可能である。
【0118】
グループ(C.9)の疎水化剤は、例えば本発明による混合物で作製された印刷物またはコーティングが疎水特性を得られるように使用することができる。これにより、吸水による膨潤およびそれによるこの種の印刷物またはコーティングの、例えば光学的特性の変化はもはや不可能であるか、または少なくとも大幅に抑制される。加えてさらに、例えばオフセット印刷の印刷インキとしてこの混合物を使用するにあたり、インキの吸水を妨げる、または少なくとも大幅に抑止することが可能である。この種の疎水化剤は、例えばTego社から、Tego(登録商標)PhobeWF、Tego(登録商標)Phobe1000、Tego(登録商標)Phobe1000S、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1030、Tego(登録商標)Phobe1040、Tego(登録商標)Phobe1050、Tego(登録商標)Phobe1200、Tego(登録商標)Phobe1300、Tego(登録商標)Phobe1310およびTego(登録商標)Phobe1400として市販されている。
【0119】
グループ(C.9)の助剤は、通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.05〜5.0質量%、好ましくは約0.1〜3.0質量%の割合で使用される。
【0120】
グループ(C.10)の助剤は接触している2つの界面の付着性の改善に用いられる。このことから、基本的に、一方の界面、他方の界面または双方の界面に存在するプライマ部分のみが有効であることが直接判明する。固体支持体に、例えば液状またはペースト状の印刷インキ、コーティングまたは塗料を被着させようとする場合、これは一般に、後者にプライマが直接加えられるか、または支持体がプライマによる予備処理に付されなければならない(下塗りとも称される)ことを意味しており、すなわち、この支持体に化学的および/または物理的表面特性の変化が付与されることを意味している。
【0121】
支持体が前もって下塗り剤で下塗りされた場合、これは、接触している界面は今や、一方で下塗り剤の界面であり、他方で印刷インキないしコーティングまたは塗料の界面であることを意味している。したがって、この場合、支持体と下塗り剤との間の付着特性だけでなく、下塗り剤と印刷インキないしコーティングまたは塗料との間の付着特性も支持体上の複合体全体の付着に一定の役割を果たしている。すでにグループ(C.7)に挙げた支持体湿潤助剤も広義のプライマと見なすことができるが、ただしこれは一般に同じ付着力確保能を有するものではない。
【0122】
支持体および、例えば、支持体への印刷またはコーティング向けの印刷インキ、コーティング剤および塗料等の極めて相違した物理的、化学的特性を鑑みると、多数のプライマ系が存在することは不思議ではない。シラン系のプライマは、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランまたはビニルトリメトキシシランである。これらならびにその他のシランは、例えば商標名DYNASILAN(登録商標)でHuels社から入手可能である。
【0123】
チタネート/ジルコネート系およびチタン−/ジルコニウムビアセチルアセトネート系のプライマは、例えば以下の式
【化15】

[式中、
Mはチタンまたはジルコニウムを表し、R、R1およびR2はC1−C4−アルキル基、例えばイソプロピル基またはn−ブチル基を意味する]に一致している。この種の化合物の例は、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、チタン−ビス(アセチルアセトネート)−ジイソプロパノレート、チタン−ビス(アセチルアセトネート)−ジブタノレート、チタン−ビス(アセチルアセトネート)−モノブタノレート−モノイソプロパノレートまたはチタン−ビス(アセチルアセトネート)−モノエタノレート−モノイソプロパノレートである。
【0124】
プライマとして使用可能なその他のチタン化合物およびジルコニウム化合物は、n−ブチルポリチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピル−トリス(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネートおよびジルコニウムビス(ジエチルシトレート)−ジイソプロパノレートである。この種のならびにその他のチタン化合物およびジルコニウム化合物は、例えばTYZOR(登録商標)(DuPont社)、Ken−React(登録商標)(Kenrich Petrochemicals Inc.社)およびTilcom(登録商標)(Tioxide Chemicals社)の商標名で入手可能である。また、例えばManchem(登録商標)(Rhone Poulenc社)の商標名で入手可能な類のジルコニウムアルミネートもプライマとして用いることが可能である。さらに、例えば印刷インキまたは塗料への付着促進性添加剤として、塩素化ポリオレフィン(例えば、Eastman Chemical社およびToyo Kasei社から入手可能)、ポリエステル(例えば、Huels AG、BASF SE、Gebr.Borchers AG、Pluess−Staufer AG、Hoechst AGおよびWorleeから入手可能)、サッカロース系化合物、例えばスクロースベンゾエートまたはスクロースアセトイソブチレート(後者は、例えばEastman Chemical社から入手可能)、リン酸エステル(例えば、The Lubrizol Company社およびHoechst AGから入手可能)およびポリエチレンイミン(例えば、BASF SE社から入手可能)が考えられ、また、例えばフレキソ印刷、フィルム印刷および包装印刷用の印刷インキへの付着促進性添加剤としてコロホニウムエステル(例えば、Robert Kraemer GmbHから入手可能)が考えられる。
【0125】
通例、例えば、印刷またはコーティングされる支持体は相応して予備処理される。つまり、この種の添加剤はプライマとして使用される。そのために、この種の添加剤のメーカーから相応した技術情報が与えられるのが通例であり、あるいは、当業者は相応した予備テストによって当該情報を容易に得ることも可能である。
【0126】
ただし、この種の添加剤がグループ(C.10)の助剤として本発明による混合物に加えられる場合、その割合は通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.05〜5.0質量%である。ただし、これらの添加剤の量と添加剤の特定は、支持体と印刷インキ/コーティング剤との性格によって決定されるため、前記の割合は単に手掛かりとしてのみ見なされることとする。通例、この種の添加剤のメーカーからこうした場合に応じた技術情報を得ることができ、あるいは当業者により相応した予備テストによって容易にその種の情報を得ることが可能である。
【0127】
引掻き強度向上助剤のグループ(C.11)には、例えば、Tego社から入射可能な、すでに上述した製品、TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600およびTEGO(登録商標)Rad2700が含まれる。
【0128】
これらの助剤についても同じく、グループ(C.6)に挙げた添加割合が適切と考えられる。つまり、これらの添加剤は通例、液晶混合物の総質量に対して、約0.1〜5.0質量%、好ましくは約0.1〜3.0質量%の割合で使用される。
【0129】
染料のグループ(D.1)には、例えば、アゾ染料、金属錯体染料、塩基性染料群の染料、例えばジ−およびトリアリールメタン染料およびそれらの塩、アゾメチン誘導体、ポリメチン、アントラキノン染料等が含まれる。本発明による混合物に使用することのできる好適な染料の一覧は、H.Zollinger,"Color Chemistry",Wiley−VCH,Weinheim、第3版、2003年に述べられている。
【0130】
本発明による混合物には、特に、光発色性、熱変色性または発光性染料ならびにそれらの特性を組合わせた性質を有する染料も添加することが可能である。一般的な発光染料のほかに、光学的光沢剤も発光染料として理解される。
【0131】
後者は例えばビススチリルベンゼン、特にシアノスチリル化合物群に属し、以下の式
【化16】

に一致している。
【0132】
スチルベン群のその他の好適な光学的光沢剤は、例えば以下の式
【化17】

[式中、
1はそれぞれC1−C4−アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表し、Q2はC1−C4−アルキル基、特にメチルによって単置換または二置換されていてよいベンゾオキサゾール−2−イル基を表し、Q3はC1−C4−アルコキシカルボニル基または3−(C1−C4−アルキル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基を表す]を有する。
【0133】
ベンゾオキサゾール群のその他の好適な光学的光沢剤は、例えば以下の式
【化18】

[式中、
4はそれぞれC1−C4−アルキル基、特にメチル基を意味し、Lは以下の式
【化19】

の基を意味し、nは0〜2の整数値を意味する]の光学的光沢剤である。
【0134】
クマリン群の好適な光学的光沢剤は、例えば以下の式
【化20】

[式中、
5はC1−C4−アルキル基を意味し、
6はフェニル基または3−ハロゲンピラゾール−1−イル基、特に3−クロロピラゾール−1−イル基を意味する]を有する。
【0135】
ピレン群のその他の好適な光学的光沢剤は、例えば以下の式
【化21】

[式中、
7はそれぞれC1−C4−アルコキシ基、特にメトキシ基を意味する]に一致している。
【0136】
上記の光沢剤は単独でも互いに混合されても使用可能である。
【0137】
上記の光学的光沢剤は一般に、それ自体として公知かつ一般に市販されている製品である。それらは、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A18巻、p.156〜161に述べられており、あるいは同書記載の方法によって得ることが可能である。
【0138】
とりわけ、それが所望の場合、ビススチリルベンゼン、特にシアノスチリルベンゼン群の1つ以上の光学的光沢剤が使用される。後者は個々の化合物としても、また異性化合物の混合物としても使用することができる。
【0139】
この場合、異性体は以下の式
【化22】

に一致している。
【0140】
光学的光沢剤は、例えばBASF SEにより、Ultraphor(登録商標)SF004、Ultrophor(登録商標)SF MO、Ultrophor(登録商標)SF MPおよびUltraphor(登録商標)SF POとして市販されている。
【0141】
顔料のグループ(D.2)には無機顔料ならびに有機顔料が含まれる。本発明による混合物に使用することのできる無機有色顔料の一覧は、H.Endriss,"Aktuelle anorganische Bunt−Pigmente"(発行人U.Zoril,Curt−R.−Vincenta出版、ハノーバー、1997年)ならびにG.Buxbaum,"Industrial Inorganic Pigments",Wiley−VCH,Weinheim,第3版、2005年に挙げられている。加えてさらに、前記の著書に挙げられていないその他の顔料として、ピグメントブラック6およびピグメントブラック7(スス)、ピグメントブラック11(酸化鉄ブラック、Fe34)、ピグメントホワイト4(酸化亜鉛、ZnO)、ピグメントホワイト5(リトポン、ZnS/BaSO4)、ピグメントホワイト6(酸化チタン、TiO2)およびピグメントホワイト7(硫化亜鉛、ZnS)が好適と考えられる。
【0142】
本発明による混合物に添加することのできる有機顔料の一覧は、W.Herbst und K.Hunger,"Industrielle organische Pigmente",Wiley−VCH,Weinheim,第3版、2004年に挙げられている。
【0143】
本発明による混合物には、また、磁性、導電性、光発色性、熱変色性または発光性顔料ならびにこれらの特性を組み合わせた性質を有する顔料も添加することができる。
【0144】
発光性を有する顔料としては、幾つかの有機化合物、例えばLumogen(登録商標)Yellow0790(BASF SE)のほかに、基本的に、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属/遷移金属酸化物、アルカリ土類金属/アルミニウム酸化物、アルカリ土類金属/ケイ素酸化物またはアルカリ土類金属/リン酸化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、Zn/ケイ素酸化物、Zn/アルカリ土類金属ハロゲン化物、希土類金属酸化物、希土類金属/遷移金属酸化物、希土類金属/アルミニウム酸化物、希土類金属/ケイ素酸化物または希土類金属/リン酸化物、酸化希土類金属硫化物または酸化希土類金属ハロゲン化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛またはセレン化亜鉛、酸化カドミウム、硫化カドミウムまたはセレン化カドミウムまたは亜鉛/カドミウム酸化物、亜鉛/カドミウム硫化物または亜鉛/セレン化カドミウムをベースとした無機ドープまたは非ドープ化合物も考えられるが、その際、カドミウム含有化合物は、それらの毒物学的ならびに生態学的問題性からして意義を失っている。
【0145】
これらの化合物には、ドープ剤として、通例、アルミニウム、スズ、アンチモン、希土類金属、例えばセリウム、ユーロピウムまたはテルビウム、遷移金属、例えばマンガン、銅、銀または亜鉛またはこれらの元素の組合わせも使用される。
【0146】
以下に発光性顔料を例示するが、その際、「化合物:元素(単数/複数)」なる表現は当該化合物に当該元素(単数/複数)がドープされていることを当業者に示すものである。またさらに、例えば「(P.V)」という表現は、顔料の固体構造中の当該格子点がランダムにリンとバナジウムによって占められていることを意味している。
【0147】
発光性を有するこの種の化合物の例は、MgWO4、CaWO4、Sr4Al1425:Eu、BaMg2Al1027:Eu、MgAl1119:Ce、Tb、MgSiO3:Mn、Ca10(PO46(F,Cl):Sb、Mn、(SrMg)227:Eu、SrMg227:Sn、BaFCl:Eu、Zn2SiO4:Mn、(Zn,Mg)F2;Mn、Y23:Eu、YVO4:Eu、Y(P,V)O4:Eu、Y2SiO5:Ce、Tb、Y22S:Eu、Y22S;Tb、La22S:Tb、Gd22S:Tb、LaOBr:Tb、ZnO:Zn、ZnS:Mn、ZnS:Ag、ZnS/CdS:Ag、ZnS:Cu、Al、ZnSe:Mn、ZnSe:AgおよびZnSe:Cuである。
【0148】
本発明によるシートは、好ましくは基本的に透明であることが求められるため、グループDの成分は最大でシートが波長350〜750nmの入射放射の少なくとも80%を透過させることができる量で使用される。所望であれば、成分Dによってシートに色合いが付与される。できるだけ大きな透明性を保証するために、成分Dの化合物として、好ましくは最大20nmの粒度を有する化合物が使用される。
【0149】
光安定剤、熱安定剤および/または酸化安定剤の成分Eとして以下が挙げられる。
アルキル化モノフェノール、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖または分枝側鎖状のノニルフェノール、例えば2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシ−1’−イル)−フェノール、2.4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシ−1’−イル)−フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシ−1’−イル)フェノールおよびこれらの化合物の混合物、アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノールおよび2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、
ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレートおよびビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート、
トコフェロール、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびこれらの化合物の混合物、ならびにトコフェロール誘導体、例えばトコフェリルアセテート、トコフェリルスクシネート、トコフェリルニコチネートおよびトコフェリルポリオキシエチレンスクシネート(「トコフェルソラン」)、ヒドロキシル化ジフェニルチオエーテル、例えば2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3,6−ジ−s−アミルフェノール)および4−4’−ビス−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
アルキリデンビスフェノール、例えば2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンヂル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス−(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカブトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]−テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタンおよび1,1,5,5−テトラキス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、
O−,N−およびS−ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィドおよびイソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼンおよび2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール、
トリアジン化合物、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートおよび1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
ベンジルホスホネート、例えばジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートおよびジオクタデシル−5−t−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、
アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウロイルアニリド、4−ヒドロキシステアロイルアニリドおよびオクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート、
例えば1価または多価アルコールのプロピオン酸エステルおよび酢酸エステル、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリット、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]−オクタン、
アミン誘導体をベースとしたプロピオン酸アミド、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミンおよびN,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、
アスコルビン酸(ビタミンC)およびアスコルビン酸誘導体、例えばアスコルビルパルミテート、アスコルビルラウレートおよびアスコルビルステアレートならびにアスコルビルスルフェートおよびアスコルビルホスフェート、
アミン化合物ベースの抗酸化剤、例えばN,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルベンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス−(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)−ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−t−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル置換されたジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−t−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス[4−メトキシフェニル]アミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジ−アミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)−アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、t−オクチル置換されたN−フェニル−1−ナフチルアミン、モノアルキル化およびジアルキル化されたt−ブチル/t−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたイソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたt−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化およびジアルキル化されたt−ブチル/t−オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたt−オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブト−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、2,2,2,6−テトラメチルピペリジン−4−オンおよび2,2,2,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、
亜リン酸塩および亜ホスホン酸塩、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス−(t−ブチルフェニル))ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンズ−[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイトおよびビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2,(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2,(3’−5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、以下の、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾールおよび2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)−フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]の混合物、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300との完全なエステル化の生成物;[R−CH2CH2−COO(CH232(R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)]、
硫黄含有過酸化物捕捉剤ないし硫黄含有抗酸化剤、例えば3,3’−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリルエステル、ステアリルエステル、ミリスチルエステルまたはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾールまたは2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミド酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィドおよびペンタエリトリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)−プロピオネート、
2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシクロオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−誘導体、
非置換および置換安息香酸のエステル、例えば4−t−ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートおよび2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、
アクリレート、例えばエチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−メトキシカルボニルシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−シンナメートおよびメチル−α−メトキシカルボニル−p−メトキシシンナメート、
立体障害アミン、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,5−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エチレン)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,5−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアゾスピロ[4.5]−デカン2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの混合物、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−l−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4.5]−デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−l−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ−[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、テトラメチロールアセチレンジ尿素を有する4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとポリ(メトキシプロピル−3−オキシ)−[4(2,2,6,6−テトラメチル)ヒペリジニル]シロキサンとの縮合生成物、
オキサミド、例えば4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2.2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキサニリドおよびそれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブトキサニリドとの混合物ならびにオルト−およびパラ−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物およびオルト−およびパラ−エトキシ二置換オキサニリドの混合物および
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2.4,6−トリス−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチル−オキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチル−5フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチル−オキシ−プロポキシ)−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシ−プロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシ−フェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシ−プロポキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジンおよび2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン。
【0150】
赤外線吸収剤の成分Fとしては、>750nm、例えば751nm〜1mmの赤外線のスペクトル域に1つ以上の吸収帯を示す化合物が使用される。好ましくは、近赤外線(NIR)>750(例えば751)〜2000nmのスペクトル域および、場合によりさらに可視スペクトル域、特に550〜750nmのスペクトル域にも吸収帯を示す化合物が使用される。化合物が赤外線スペクトル域でも可視スペクトル域でも吸収を示す場合、それらは赤外線域において最大の吸収極大を示し、可視域において(しばしばいわゆる吸収ショルダーの形の)より小さな極大を示すのが好ましい。特別な実施形態において、成分Fの化合物はさらに発光も示す。発光とは、電磁線(ほとんどの場合、可視光、紫外線、X線または電子線)によって励起された系が同一の波長の光線(共鳴蛍光)またはより長い波長の光線を自発的に発してエネルギーの低い状態へ遷移することである。成分Fの好ましい化合物は、それが発光する場合、赤外線スペクトル域、好ましくはNIR域の発光を示す。
【0151】
この種の化合物は、例えば、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ペリレン、テリレン、クアテリレン、ペンタリレン、ヘキサリレン、アントラキノン、インダントロン、アクリジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジナフトフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、フェナジン、ジオキサジン、キナクリドン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、金属ポルフィリン、クマリン、ジベンゾフラノン、ジナフトフラノン、ベンゾイミダゾロン、インディゴ化合物、チオインディゴ化合物、キノフタロン、ナフトキノフタロンおよびジケトピロロピロールから選択される。成分Fの特に好ましい赤外線吸収性および場合により発光性化合物は、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ペリレン、テリレン、クアテリレン、ペンタリレンおよびヘキサリレンから選択されており、より好ましくはペリレン、テリレンおよびクアテリレン、とりわけテリレンおよびクアテリレンから選択されており、特にクアテリレンである。好適な化合物は、開示内容全体が参考として本明細書で援用される国際公開第2008/012292号に開示されている。
【0152】
冒頭に述べたように、キラル・ネマチック相の円偏光の選択的反射により、反射波長の入射光の最大50%が反射される。残りは媒体との相互作用なしに透過する。したがって、できるだけ高い反射率を達成するため、本発明によるシートは好ましい実施形態において、赤外線波長域で反射する硬化された形の少なくとも2つの液晶層を含んでおり、その際、これらの少なくとも2つの層は、類似の赤外線波長域を反射するとともに2層のキラリティーが相違する少なくとも1組の層の対を形成する。好ましくは本発明によるシートは、偶数個のコレステリック(=液晶)層、例えば2、4、6、8または10個の層を含み、その際、常に2つの層は、類似の赤外線波長域において反射するが、ただし逆のキラリティーを有する1対の層を形成する。
【0153】
「類似の赤外線波長域を反射する」とは、これらの層におけるらせん上部構造のピッチが基本的に等しいことを意味している。この場合、「基本的に等しい」とは、双方の層におけるピッチがせいぜい6%、好ましくはせいぜい3%異なっているにすぎないことを意味している。双方の反射帯の極大の位置はせいぜい40nm、好ましくはせいぜい20nm、特にせいぜい10nm異なっているにすぎない。
【0154】
本発明の範囲において「層の対」という用語は限定的に理解されてはならず、特に、それを形成する2つの層は隣接していることを条件付けるものであってはならない。シート内部におけるこれら2つの層の相対的位置はむしろ基本的には重要ではなく、層の対という用語はそれらの物理的特性に関する上記の要件を表しているにすぎない(基本的に等しいピッチ;逆のキラリティー)。
【0155】
本発明によるシートが上述したような1対以上のコレステリック層を含む場合、そうしたその他の層の対はそれぞれ異なった赤外線波長域において反射すること、つまり、すべての層の対はそれぞれ異なった波長の反射極大を有するのが好ましい。ただし、この場合、すべての反射極大は赤外線域内にあり、上記に好ましいとして述べた赤外線域内にあるのが好ましい。
【0156】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明によるシートは硬化された形の2つの液晶層からなる少なくとも1対の層を含み、その際、それら2つの層はそれぞれ類似の赤外線波長域で反射すると共に同一のキラリティーを有し、これら2つの層の間にλ/2波長シートが配されている。この実施形態においても、本発明によるシートが上述したような1対のコレステリック層以上を含む場合、そうしたその他の層の対はそれぞれ異なった赤外線波長域で反射すること、つまり、すべての層の対はそれぞれ異なった波長の反射極大を有しているのが好ましいことが当てはまる。ただし、この場合、すべての反射極大は赤外線域内にあり、上記に好ましいとして述べた赤外線域内にあるのが好ましい。この場合にも、「層の対」という用語は限定的に理解されてはならず、特に、それを形成する2つの層は隣接していることを条件付けるものであってはならない。シート内部におけるこれら2つの層の相対的位置はむしろ基本的には重要ではなく、層の対という用語はそれらの物理的特性に関する上記の要件を表しているにすぎない(基本的に等しいピッチ;同一のキラリティー)。ただし、この場合、共に1対の層を形成する2つの層は、特に、異なった反射域および/またはキラリティーを有するさらに別の液晶層によってではなく、λ/2波長シートによってのみ分離されるのが好ましい。ただし、(λ/2波長シートを除く)1対の層をなす2つの層の間に、重大な光学的特性のない層、例えば配向層を配することができるのはいうまでもない。
【0157】
本発明によるシートが異なった反射極大を有する層を含む場合、それらの層は互いに相対的に反射極大の波長が順次増加してゆく順序で配されていること、つまり、先ず最も短い波長の反射極大を有する層、次いで、次に短い波長の反射極大を有する層等の順序で構成されているのが好ましい。シートが、同一のピッチただし逆のキラリティーを有する層からなる2つ以上の層の対を含んでいる場合、シートは先ず一方のキラリティーのすべての層が反射極大の波長が順次増加してゆく順序で、次いで、他方のキラリティーのすべての層が同じく反射極大の波長が順次増加してゆく順序で互いに重なるように構成されているのが好ましい。わかり易くするため、以下に、その種の好ましい順序の幾つかの例を示すが、その際、任意の層、例えば支持シート、配向層等は考慮されていない。
【0158】
【表1】

【0159】
【表2】

【0160】
ここで、RZPL−RSは右円偏光反射層、LZPL−RSは左円偏光反射層を意味しており、λR1は最も短い波長の反射極大であり、λR2は二番目に短い波長の反射極大、λR3は三番目に短い波長の反射極大である。
【0161】
また、本発明によるシートが可視波長域において1つ以上の反射極大を有する場合、シートは可視光の波長域において反射する硬化された形の液晶層である少なくとも1つの層を含んでいるのが好ましい(層(f))。層(f)は基本的に層(a)と同様に構成されていてよいが、その際、いうまでもなくピッチは相違していなければならない。この種の層の好適な組成物については、したがって、層(a)、特に層(a.1)に関する上記記述を参照されたい。層(f)の場合にも、組成物(f.1)が好ましい。既述したように、組成物(f.1)の場合、この種の層は、赤外線域に反射極大を有する層である層(a.1)とはキラルモノマーの量によって相違している。
【0162】
本発明によるシートが可視光の波長域で反射する2つ以上の層を含む場合、シートは可視光の波長域で反射する同一ピッチの、ただし逆のキラリティーを有する層からなる層の対を含んでいないのが好ましい。シートは可視光の波長域で反射する1つのシートのみを含んでいるか、または可視光の波長域で反射する複数のシートを含んでいるのが特に好ましく、この場合、これらの層は同一のキラリティーを有するかつ/または異なったピッチを有する。
【0163】
わかり易くするため、以下に、可視波長域に少なくとも1反射極大を有する1つの層を含んだシート内における好ましい順序の幾つかの例を示すが、その際、任意の層、例えば支持シート、配向層等は考慮されていない。
【0164】
【表3】

【0165】
【表4】

【0166】
ここで、RZPL−RSは右円偏光反射層、LZPL−RSは左円偏光反射層を意味しており、λR1は赤外線域における最も短い波長の反射極大であり、λR2は二番目に短い波長の反射極大、λR3は三番目に短い波長の反射極大であり、λRvisは可視スペクトル域における反射極大の波長である。
【0167】
本発明によるシートが支持シートを含む場合、最も短い波長の反射極大を有する液晶層が支持シートの直近に位置しているのが好ましい。
【0168】
本発明によるシートは、場合により少なくとも1つの支持シートを含んでいる。好ましい実施形態において、本発明によるシートは支持シートを含んでいる。その際、支持シートは片側または両側がその他の層でコーティングされていてよい。「シート」という用語については、上記の記述を参照されたい。「支持」という用語は、支持シートは自己支持性を有するだけでなく、引裂なしにその他の層も担持し得ることを条件としている。
【0169】
支持シートを構成する好適な材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルクロリド、軟質ポリビニルクロリド、ポリメチルメタクリレート、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびアクリル樹脂を含んでいる。このうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルクロリド、軟質ポリビニルクロリドおよびポリメチルメタクリレートが好ましい。
【0170】
好ましくは、支持シートは二軸延伸されている。
【0171】
好ましい実施形態において、本発明によるシートは少なくとも1つの支持シートを含み、特に好ましくは1つまたは2つの支持シートを含み、しかも、これらの支持シートの少なくとも1つ、好ましくは1つは接着シートである。好ましくは、接着シートは本発明によるシートの最も外側の層または外側から2番目の層を形成し、その際、後者の場合にあっては、最も外側の層は、接着シートと周囲との望ましくない接着を所望の時点まで妨げる保護シートである。この場合、シートの接着面はいうまでもなく、つまり残りのシート層とは反対に、外側を向いている。接着シートは、好ましくは、接着剤なしに極性表面に付着し得るように形成されている。極性表面とは、例えば、ガラスまたはプラスチックである。
【0172】
極性表面への接着剤なしの付着は一方で、好適な材料の選択によって実現される。好適な材料とは熱可塑性プラスチック、特に熱可塑性ポリオレフィン、軟質PVCおよびポリメチルメタクリレート(PMMA)である。軟質PVCとPMMAは極性を有し、したがって、極性表面への付着に必要とされる特性を本来的に有しているが、他方、それ自体としては無極性のポリオレフィンは先ず表面活性化、例えば火炎処理、プラズマ処理またはコロナ処理により、付着特性を得るように極性化されなければならない。
【0173】
ただし、シートの付着作用すべき面の表面粗度が少なくとも非常に小さく、例えば最大5μm、例えば0.05μm〜5μm、好ましくは最大3μm、例えば0.05〜3μm、特に好ましくは最大1μm、例えば0.05〜1μm、より好ましくは最大0.5μm、例えば0.05〜0.5μm、特に最大0.25μm、例えば0.05〜0.25μmのRa値を有していれば、付着性は高められる。反対側の面はさらに大幅に大きい粗度、例えば1.5倍または2倍または5倍または10倍または100倍の大きさの粗度Raを有していてよい。
【0174】
場合により接着シート上に配置された保護シートは、好適には、同じく極性を有するか、または極性付与された熱可塑性ポリマー材料である。これには上述した熱可塑性プラスチックに加え、特にポリエステルも適している。
【0175】
この種の接着シートとそれに好適な保護シートならびにそれらの製造方法は、例えば、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるドイツ公開第102006017881号に開示されている。
【0176】
別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの支持シートは少なくとも1つの装飾シートを含んでいる。その際、装飾シートは1つまたはすべての支持シートおよび/1またはすべての接着シートに取って代わるか、または本発明によるシートの内部の補助層を形成することが可能である。
【0177】
装飾シートは、好適には、母材としての透明な熱可塑性プラスチックから構成されている。先に支持シートおよび接着シートに関して挙げたすべてのプラスチックはこれに適している。装飾目的のため、装飾シートは、顔料着色、パターン付与、プリント模様付け、形付けおよび/または、3D効果が生ずるように、型押し等が行われている。装飾シートが接着シートとして形成されている場合、顔料着色、パターン付与およびプリント模様付け等は、好ましくは非接着面側に行われている。好適なポリマー、顔料および染料、ならびに装飾シートの着色、印刷、形付けおよび型押しに好適な方法は、例えば開示内容全体が参考として本明細書で援用される、ドイツ公開第102006017881号ならびにドイツ公開第10100692号の各明細書に開示されている。
【0178】
好ましい実施形態において、本発明によるシートは少なくとも1つの配向層を含んでいる。その際、この少なくとも1つの配向層は、本発明によるシートが少なくとも1つの支持シートを含んでいる場合、好ましくは、少なくとも1つの支持シートと少なくとも1つの液晶層との間および/または少なくとも2つの液晶層の間に配置されている。本発明によるシートが支持シートを含んでいない場合、この少なくとも1つの配向層は、好ましくは少なくとも2つの液晶層の間に配置されている。
【0179】
配向層は、液晶層の平面配向を統一的に改善して、液晶層ができるだけモノドメインとして存在できるように用いられる。つまり、マルチドメインはあらゆる空間方向への光散乱をもたらし、層の濁りを生じさせる。
【0180】
配向層は一般に、コレステリック層の被着前に機械式に一方向に擦られ、こうして、液晶分子のダイレクターが摩擦方向に整列するポリマフィルムから構成されている。
【0181】
好適なポリマーは、例えば、ポリイミドおよびポリビニルアルコールである。また、例えばRolic社またはChisso社の光配向材料(LPP=直線光重合ポリマー)も適している。また、無機配向層、例えば陰極スパッタリング、真空蒸着によって被着される二酸化ケイ素も好適である。
【0182】
ただし、配向層は、例えばNissan社またはJSR社の商標Suneve(登録商標)のポリイミドまたはポリビニルアルコールから選択されるのが好ましく、その際、ポリイミドはより好ましい。ポリイミドは通例、当該ポリアミド酸の形で被着され、次いで、例えば熱硬化によってポリイミドが形成される。
【0183】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明によるシートは、赤外線放射を吸収する少なくとも1つの層を含んでいる。
【0184】
赤外線吸収層は好ましくは、成分Fとして記載された赤外線吸収物質の少なくともいずれか1つを含んでいる。これらは、例えば、それらが溶解または分散された溶液または懸濁液の塗布と溶剤の蒸発によって被着されているか、あるいは、好ましくは支持シート、特にポリビニルブチラール支持シート中に埋封されている。
【0185】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明によるシートは少なくとも1つの保護層、接着層および/または剥離層を含んでいる。
【0186】
接着シートの接着面用の保護層については、接着シート用保護シートに関する上記の記述を参照されたい。
【0187】
液晶層上に被着されている好適な保護層(トップコート)は、例えば、ポリウレタン−、ポリエステルウレタン−、ポリエステルアクリレート−またはニトロセルロースラッカー−ベースの保護層である。保護層は、コレステリック層の硬化が光化学的に行われる場合、光化学架橋性を有しているのが好ましい。この場合、コレステリック層は完全には重合されず、続いて保護層が架橋される際にコレステリック層の一部が保護層と架橋されるのが特に好ましい。好ましくは、トップコートは少なくとも5μm、特に好ましくは少なくとも10μmの層厚さを有している。好ましくは、トップコートは光保護作用物質(上記の成分E参照)を含んでいる。好適な保護層は、例えば、BASF−SEのLaromer(登録商標)の商標製品によって得られる。
【0188】
好適な接着層は、例えば、上述したプライマの使用によって作り出される。接着層は好ましくは、本発明によるシートの外側層の1つを形成する。本発明によるシートが接着層を含んでいる場合、該層は、シートの望ましくない付着を防止するため、さらに剥離層を具えているのが好ましく、こうして、本発明によるシートの外から二番目の層の1つを形成する。
【0189】
本発明によるシートは、コーティングされたシートを製造するための従来の技術による通例の方法によって製造することが可能である。そのため、一般に、支持シートが準備されて、所望の層が所望の順序で被着される。その際、液晶層はそれぞれの層が被着されるたびに硬化されるか、またはウェット・イン・ウェットでその他の層をコーティングすることも可能である。ただし、いずれの液晶層も被着後に、すぐ次の層が被着される前に、少なくとも部分的に硬化されるのが好ましい。また、2つの支持シートを別々にコーティングして、その後に両者を接着することも可能である。この場合、この接着されたシートのうち、所望であれば一方または双方の支持シートを剥がし、所望のシート組成が達成されるまで、シート側をその他の層でコーティングしかつ/またはその他のシートと接着することが可能である。本発明によるシートが支持シートを含まないようにするには、コーティング/接着が行われた後に支持シートが取り除かれる。
【0190】
本発明によるシートの製造方法の一実施形態は以下の、
(I)支持シートを準備し、場合により浄化するおよび/または支持シート表面の方位方向を生成するステップ;
(II)場合により、支持シートへ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(III)場合により、組成物(f.1)、(f.2)、(f.3)、(f.4)または(f.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(IV)場合により、ステップ(III)で得られた層へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(V)組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(VI)場合により、ステップ(V)で得られた層へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(VII.1)場合により、ステップ(V)または(VI)で得られたシート(層側または支持シート側)へ組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ(この場合、ステップ(VII.1)で得られる層はステップ(V)で得られる層とはキラリティーおよび/または反射される赤外線波長域の点で相違する);または
(VII.2)場合により、ステップ(V)で得られた層へλ/2波長シートを被着し、次いで、λ/2波長シートへステップ(V)と同じ組成物を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(VIII)場合により、ステップ(II)〜(VII)を1回以上反復するステップであって、この場合、反復時に、先のステップ(V)および(VII)および場合により(III)の組成物とも異なる組成物を使用するステップ;
(IX)場合により、ステップ(V)、(VII)および/または(VIII)で得られた2つのシートを接着するステップ;
(X)場合により、ステップ(IX)で得られた接着シートの一方または双方の支持シートを剥離するステップ;
(XI)場合により、ステップ(IX)および(X)を1回以上繰返すステップ;および
(XII)場合により、ステップ(V)、(VII)、(VIII)、(X)または(XI)で得られた層へ保護層、接着層および/または剥離層を被着するステップを含む。
【0191】
ステップ(I)における支持シートの浄化は、常用の方法、例えば超音波、例えばTeknekローラによるローリング、例えばビロード磨き、乾燥した濾過済み空気の吹付け、イオン化空気または窒素の吹付け、真空中でのアルゴンまたは反応性ガスによる噴霧エッチングまたはスパッタエッチング(プラズマ法)、大気圧でのプラズマ法、コロナ法、紫外線処理および/またはオゾン処理で行うことができる。
【0192】
シート表面の方位方向の生成は、例えば、支持シートの延伸および/またはビロードまたはマイクロファイバクロスによる1回以上の一方向擦りによって行われる。あるいはまたはさらに加えて、支持シート表面の方位方向の生成は化学的に配向層の被着によって行われ(ステップII)、該配向層もまた支持シートと同様に浄化されかつ/または方位方向が付される。
【0193】
ステップ(II)における支持シートへの、または少なくとも部分的に硬化された液晶層への配向層の好適な被着方法は、配向層を形成すべき物質に大幅に依存している。それゆえ、例えばポリイミド配向層の生成には、既述したように、当該ポリアミド酸が被着され、続いて硬化されるが、これは例えば加熱によって熱的に行うことができる。ポリアミド酸ないし、配向層の作製にも好適なポリビニルアルコールは、例えば、溶液または懸濁液として被着されて、溶剤が逃がされる。無機層、例えば二酸化ケイ素は、特別な方法、例えば陰極スパッタリングまたは真空蒸着によって生成される。
【0194】
組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)ならびに場合により、(f.1)、(f.2)、(f.3)、(f.4)または(f.5)は一般に、溶液または水性懸濁液または乳濁液の形で使用される。これらの被着は一般に、通例の方法、例えばエアドクターコーティング、ドクターコーティング、エアナイフコーティング、スキージーコーティング、含浸コーティング、リバースロールコーティング、トランスファーロールコーティング、エッチングコーティング、「キスロールコーティング」、射出コーティング、吹付けコーティング、スピンコーティングまたは印刷法、例えば凸版−、凹版−、フレキソ−、オフセット−、インクジェット−、活版−、タンポン−、ヒートシール−またはスクリーン印刷法から選択された方法によって行われる。
【0195】
コレステリック層の配向は一般に被着プロセスの間に自然に行われるが、後置されたステップで行うことも可能である。この場合、配向は公知の方法、例えば液晶相と配向層との相互作用、電場または磁場の印加または液晶層の機械式塗布によって行われる。ただし、配向は被着時に作用するせん断力の作用下で自然に行われるのが好ましい。
【0196】
続いて、被着されたコレステリック層は、通例の方法、例えば熱風で乾燥させることができる。
【0197】
コレステリック層の重合は熱的、あるいは、電子線または好ましくは光化学的に行うことができる。
【0198】
ステップ(II)における配向層の被着およびステップ(II)における配向層または支持シートへの直接の組成物(a)または(f)の被着は支持シートの片側のみで行われてもまたは支持シートの両側で行われてもよい。支持シートが両側コーティングされる場合、それは同時に、または好ましくは連続的に行なわれてよい。連続的な両側コーティング時には、最初の面のコーティングが完全に完了してから初めて第2の支持シート側のコーティングが行われる。
【0199】
本発明による断熱シートの製造方法の別の実施形態は、
(i)上記定義による本発明によるシートを準備するステップ;
(ii)シートの両側が支持シートまたは保護シートによって閉成されている場合、一方の支持シートまたは保護シートを剥離するステップ;
(iii)新たな支持シートへステップ(i)または(ii)で準備したシートを被着するステップ;および
(iv)新たなシートへ層を転写するステップを含む。
【0200】
転写は一般に印刷および/または高温によって行われる。転写後、所望であれば、ステップ(i)で使用されたシートのうちなお存在する支持シートがあればそれが剥離されて、場合により、保護層で置き換えることができる。
【0201】
ステップ(iii)における被着の前に、新たなシートと接触される層および/または新たなシートにプライマを付することができる。好適なプライマは上述した通りである。
【0202】
この転写法は特に、最終製品の支持シートがポリビニルブチラールとされる場合に好適である。つまり、ステップ(iii)で使用される新たなシートは、好ましくはポリビニルブチラールである。したがって、場合によりステップ(i)で準備されたシートに含まれている支持シートはポリビニルブチラールシートではない。このいわゆる転写シートはポリエチレン−、ポリエチレンテレフタレート−およびポリプロピレンシートから選択されるのが好ましい。特に、転写シートはポリエチレンテレフタレートシートである。
【0203】
本発明のさらなる対象は、
(1)上記に定義した、硬化された形の少なくとも1つの液晶層;
(2)場合により少なくとも1つの支持材料;
(3)場合により少なくとも1つの配向層;
(4)場合により少なくとも1つのλ/2波長シート;および
(5)場合により少なくとも1つの保護層、接着層および/または剥離層;
を含む断熱ラミネートであって、成分(2)〜(5)のいずれも含まれていない場合、成分(1)は硬化された形の少なくとも2つの液晶層を含むように構成した断熱ラミネートである。
【0204】
本発明によるシートと本発明によるラミネートとの間の相違は基本的に柔軟性にある。シートは折れたり切れたりせずに巻くことができるという柔軟性を有しているが、他方、ラミネートの場合にはその剛性が大きいために巻くことはもはや不可能である。
【0205】
好ましくは、本発明によるラミネートは少なくとも1つの支持材料を含む。好ましい支持材料は、ガラス、透明なポリマー、ガラスと透明なポリマーからなる複合系、不透明なポリマー、金属、セラミックおよび粘土から選択される。
【0206】
ガラスとして考えられるものは、窓ガラスまたは外壁ガラス、合わせ板ガラス、断熱ガラス、安全ガラスまたはそれらの混合系である。
【0207】
透明なポリマーとしては、支持シートの場合に挙示したすべてのポリマーを挙げることができるが、ただし、これは厚さがより厚いことによって支持シートとは相違する。この場合、ポリカーボネートが好ましい。
【0208】
その他の層(1)および(3)〜(5)についてはシートに関する記述を参照されたい。
【0209】
本発明によるラミネートは、基本的に本発明によるシートと同様に製造することができる。したがって、一般に、支持材料が準備されて、所望の層が所望の順序でコーティングされる。
【0210】
本発明によるラミネートの製造方法の実施形態は、
(1)支持材料の準備および場合により浄化するおよび/または材料表面の方位方向の生成;
(2)場合により、支持材料へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(3)場合により、組成物(f.1)、(f.2)、(f.3)、(f.4)または(f.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(4)場合により、ステップ(3)で得られた層へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(5)組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(6)場合により、ステップ(5)で得られた層へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(7.1)場合により、ステップ(5)または(6)で得られたコーティングへ組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)を被着し、場合により配向し、および組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ(この場合、ステップ(7.1)で得られる層は、ステップ(5)で得られる層とはキラリティーおよび/または反射される赤外線波長域の点で相違する);または
(7.2)場合により、ステップ(5)で得られた層へλ/2波長シートを被着し、次いで、λ/2波長シートへステップ(5)と同じ組成物を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(8)場合により、ステップ(2)〜(7)を1回以上反復するステップであって、この場合、反復時には、先のステップ(5)および(7)およびまた場合により(7)の組成物とも異なる組成物が使用されるステップ;
(9)場合により、ステップ(5)、(7)および/または(8)で得られた2つのラミネートを接着するステップ;
(10)場合により、ステップ(5)、(7)または(8)で得られた層へ保護層、接着層および/または剥離層を被着するステップを含む。
【0211】
個々のステップの好適な実施については、本発明によるシートに関する上記製造方法を参照されたい。特に、支持材料としてのガラスの好適な浄化ステップ(1)は、水中または界面活性剤含有浴での洗浄も含むことのみ触れておくこととする。
【0212】
本発明によるラミネートの製造には、さらに好ましくは、
(i)上記定義により本発明によるシートを準備するステップ;
(ii)シートの両側が支持シートまたは保護シートによって閉成されている場合、一方の支持シートまたは保護シートを剥離するステップ;
(iii)支持材料へステップ(i)または(ii)で準備したシートを被着するステップ;および
(iv)支持材料へ層を転写するステップ
を含む転写法も可能でありかつまた非常に適している。
【0213】
個々のステップには同じく上述記述が当てはまる。
【0214】
本発明のさらなる対象は、式IV.cの化合物を含んだ組成物ならびに少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーである。好適なアキラルネマチック重合性モノマーについては上記記述を参照されたい。
【0215】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は式IV.cの化合物および式I.aの化合物を含む。別の好ましい実施形態において、本発明による組成物は式IV.cの化合物および式I.bの化合物を含む。別の好ましい実施形態において、本発明による組成物は式IV.cの化合物、式I.aの化合物および式I.bの化合物を含む。
【0216】
本発明のさらなる対象は、建造物および輸送手段の熱管理のために本発明によるシートまたは本発明による組成物を使用することである。
【0217】
ここで「熱管理」とは、熱放射からの建造物および輸送手段の遮蔽として理解される。
【0218】
建造物とは建物および建物部分ならびにあらゆる種類の建造構造物として理解され、例えば、私的建物、オフィスおよび産業用建物、この種の建物の屋根、窓、外壁、ドーム、建物と結びついていない屋根または壁、例えば競技場の屋根または壁、跨線橋の屋根および壁、アーケードおよび通路の屋根および壁、例えば停留所または駅の壁および屋根等である。輸送手段とは、熱の影響が遮断されると考えられ得るあらゆる交通手段および、それらの部分、例えば乗用車(自動車)および、それらの部分、特にリアウィンドウ、フロントウィンドウおよびサイドウィンドウ(ガラス)、ルーフ、スライディングルーフ(ガラスまたは金属)、エンジンフード(金属)、トラックおよびそれらの部分(乗用車の場合と同様)、列車、航空機、船舶等である。ヘルメット、例えば二輪車用ヘルメットの熱管理のための本発明によるシートまたは本発明による組成物の使用も本発明の対象である。
【0219】
以下の実施例は本発明を詳細に説明しようとするものであり、本発明を制限するものではない。
【0220】
実施例
1.)配合物
以下の配合物が製造された:
すべての配合物は溶剤として8:2の質量比でシクロペンタノンとメチルイソブチルケトンを含んでいた。配合物は、その他に、それぞれネマチックおよびキラル化合物の総量(=100%)に対して、流動剤として0.05質量%のTegoRad2100、光重合開始剤として1質量%のLucirinTPOを含んでいた。
配合物A(右旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、3.1質量%の量の式IV.aの化合物
配合物B(右旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、2.6質量%の量の式IV.aの化合物
配合物C(右旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、2.0質量%の量の式IV.aの化合物
配合物D(左旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、8.1質量%の量の式IV.cの化合物
配合物E(左旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、6.7質量%の量の式IV.cの化合物
配合物F(左旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、5.0質量%の量の式IV.cの化合物
配合物G(右旋性):
式I.aの化合物
化合物I.aの質量に対して、2.8質量%の量の式IV.aの化合物
配合物H(左旋性):
式I.aの化合物
化合物I.aの質量に対して、10.7質量%の量の式IV.cの化合物
配合物I(右旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、5.48質量%の量の式IV.aの化合物
配合物J(右旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、4.68質量%の量の式IV.aの化合物
配合物K(左旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、13.32質量%の量の式IV.cの化合物
配合物L(左旋性):
式I.bの化合物
化合物I.bの質量に対して、11.38質量%の量の式IV.cの化合物
【0221】
2.)シートの製造−単層
ポリエチレンテレフタレートシート(支持シート)は、グラビアロールにより、それぞれ上記配合物にてコーティングされ(フィルム厚さ、約4μm)、乾燥路において100、115および2×120℃(配合物A〜FおよびI〜L)ないし4×90℃(配合物GおよびH)にて乾燥され、紫外光(451mW/cm2)によって硬化された。
【0222】
シートAおよびDの反射極大は1020nmに位置し、シートBおよびEの反射極大は1230nm、シートCおよびFの反射極大は1590nm、シートGおよびHの反射極大は930nm、シートIおよびKの反射極大は600nm、シートJおよびLの反射極大は700nmにそれぞれ位置している。
【0223】
3.)シートの製造−多層
多層シートは、単層の接着、最上位の支持シートの剥離等によって得られた。多層シートは以下の配合物をベースとして以下に記載の層順序にて製造された:
シートI:
G−A−B−H−A−B
シートII:
A−B−C−D−E−F
シートIII:
G−A−B−C−H−D−E−F
シートIV:
I−A−B−C−D−E−F
シートV:
K−A−B−C−D−E−F
【0224】
4.)透過スペクトルの測定
太陽光の波スペクトル(300〜2500nm;Tsolar)における透過率測定はISO9050に準拠して行われた。可視波長域(Tvis)ならびに波長域780〜1700nmの赤外線スペクトル域(TIR)における透過率も同様にして測定された。結果は以下の表に挙げた通りである。
【0225】

【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱シートであって、
(a) 赤外線波長域で反射し、かつ以下の
(a.1) 少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーと少なくとも1つのキラル重合性モノマーとを含んだ組成物;または
(a.2) 少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んだ組成物;または
(a.3) 少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーを含んだ組成物;または
(a.4) 重合性希釈剤中少なくとも1つのコレステリックポリマーを含んだ組成物;または
(a.5) これらの組成物のうち少なくとも2つの組成物の混合物;
の硬化によって得られる、硬化された形の少なくとも1つの液晶層と、
(b) 場合により少なくとも1つの支持シート;
(c) 場合により少なくとも1つの液晶層と接触する少なくとも1つの配向層;
(d) 場合により少なくとも1つのλ/2波長シート;
(e) 場合により少なくとも1つの接着層、保護層および/または剥離層と
を含む断熱シート。
【請求項2】
751〜2000nmの波長域において、入射する放射の少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%を反射する、請求項1に記載の断熱シート。
【請求項3】
390〜750nmの波長域において、入射する放射の少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%の透過率を有する、請求項1または2のいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項4】
390〜750nmの波長域に少なくとも1つの反射帯極大を有する、請求項1または2のいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項5】
(a) 赤外線波長域で反射し、かつ以下の
(a.1) 少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーと少なくとも1つのキラル重合性モノマーとを含んだ組成物;または
(a.2) 少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んだ組成物;または
(a.3) 少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーを含んだ組成物;または
(a.4) 重合性希釈剤中少なくとも1つのコレステリックポリマーを含んだ組成物;または
(a.5) これらの組成物のうちの少なくとも2つの組成物の混合物
の硬化によって得られる、硬化された形の少なくとも1つの液晶層と、
(b) 場合により少なくとも1つの支持シート;
(c) 場合により少なくとも1つの液晶層と接触する少なくとも1つの配向層;
(d) 場合により少なくとも1つのλ/2波長シート;
(e) 場合により少なくとも1つの接着層、保護層および/または剥離層;
(f) 350〜750nmの波長域で反射し、かつ以下の
(f.1) 少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーと少なくとも1つのキラル重合性モノマーとを含んだ組成物;または
(f.2) 少なくとも1つのコレステリック重合性モノマーを含んだ組成物;または
(f.3) 少なくとも1つのコレステリック架橋性ポリマーを含んだ組成物;または
(f.4) 重合性希釈剤中少なくとも1つのコレステリックポリマーを含んだ組成物;または
(f.5) これらの組成物のうちの少なくとも2つの組成物の混合物
の硬化によって得られる、硬化された形の少なくとも1つの液晶層と
を含む、請求項1、2または4のいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項6】
硬化された形の液晶層(a)として、硬化された組成物(a.1)が使用される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項7】
硬化された形の液晶層(f)として、硬化された組成物(f.1)が使用される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項8】
少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーが
(i)式I
1−(Y1−A1v−Y2−M−Y3−(A2−Y4w−Z2 (I)
[式中、
1、Z2は重合を媒介し得る同一のまたは異なった反応基ないしその種の反応基を含んだ基(ここで、反応基は、好ましくはC=C−二重結合、C≡C−三重結合、オキシラン基、チイラン基、アジラン基、シアネート基、チオシアネート基、イソシアネート基、カルボン酸基、ヒドロキシ基またはアミノ基から、好ましくはC=C−二重結合から選択される)を表し、
1、Y2、Y3、Y4は、互いに独立に、化学結合、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−N(Ra)−、−N(R3)−CO−、−N(Ra)−CO−O−、−O−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−N(Ra)−、−CH2−O−、−O−CH2−、好ましくは−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−(ここで、Raは水素またはC1−C4−アルキル基を表す)を表し、
1、A2は、直鎖C2−C30−アルキレン基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素によって中断されていてよいC2−C12−アルキレン基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキレン鎖はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基によって置換されていてよい)から選択された同一のまたは異なったスペーサを表し、特に好ましくはA1およびA2は−(CH2n−(ここでn=2〜6である)を表し、
vおよびwは、互いに独立に、0、1または2を表し、
Mは、一般式II
(T1−Y5y2 (II)
(式中、
いずれのT1も独立に、2価の脂環式飽和基または部分不飽和へテロ環式基、芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、
2は独立に、T1と同様に定義され、
5は同一のまたは異なった架橋構造−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO−S−、−S−CO−、−CH2−S−、−S−CH2−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−C≡C−、−CH=CH−、−C(CH3)=CH2、−CH=CH(CH3)−または直接結合、好ましくは−CH−O−または−O−CO−を表し、
yは0、1、2または3、好ましくは0、1または2、とりわけ1または2、特に2を意味する)のメソゲン基を意味する]の少なくとも1つの二官能重合性アキラルネマチックモノマー、および
(ii)場合により式IIIaまたはIIIb
3−Y2−M−Y3−(A2−Y4w−Z2 (IIIa)
1−(Y1−A1v−Y2−M−Y3−A3 (IIIb)
[式中、
1、A1、Y1、Y2、Y3、Y4、v、wおよびMは独立に、式Iに関して述べた意味を有し、
3は、直鎖C1−C30−アルキル基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素で中断されていてよい直鎖C1−C12−アルキル基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキル基はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基で置換されていてよい)を表すか、またはCNまたは−N=C=Sを表す]の少なくとも1つの一官能重合性アキラルネマチックモノマーを含み、かつ
少なくとも1つのキラル重合性モノマーは式IV
[(Z1−Y1o−A4−Y2−M−Y3nX[Y3−M−Y2−A5−(Y1−Z1pm (IV)
[式中、
1、Y1、Y2、Y3およびMは上記と同様に定義され、
o、pは0または1(ここで、oおよびpは同時に0を表してはならない)を表し、
4およびA5は等しいか、または異なっており、かつ
4は、o=1であれば、A1と同様に定義され、または、o=0であれば、直鎖C1−C30−アルキル基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素で中断されていてよいC1−C12−アルキル基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキル基はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基で置換されていてよい)を表し、A4は特に好ましくはCH3(CH2基(ここで、l=1〜7である)を表し、
5は、p=1であれば、A1と同様に定義され、または、p=0であれば、直鎖C1−C30−アルキル基、好ましくは、酸素、硫黄および/または場合により単置換された窒素で中断されていてよいC1−C12−アルキル基(ここで、これらの中断基は隣接していてはならず、好適なアミン置換基はC1−C4−アルキル基を含み、アルキル基はフッ素、塩素、臭素、シアノ基、メチル基またはエチル基で置換されていてよい)を表し、A5は特に好ましくはCH3(CH2基(ここで、l=1〜7である)を表し、
n、mは0、1または2(ここで、和n+mは1または2であり、好ましくは2である)を表し、
Xはキラル基を表す]を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項9】
1が、以下の構造
【化1】

[式中、
bは、フッ素、塩素、臭素、C1−C20−アルキル基、C1−C10−アルコキシ基、C1−C10−アルキルカルボニル基、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ基、C1−C10−アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、CHOまたはCN、好ましくは塩素、臭素、C1−C4−アルキル基またはC1−C4−アルコキシカルボニル基、とりわけメチル基またはメトキシカルボニル基を表し、
xは0、1、2、3または4を表す]を有する、請求項8に記載の断熱シート。
【請求項10】
2が、以下の構造
【化2】

[式中、
bおよびxは独立に、請求項9と同様に定義されている]から選択される、請求項8または9のいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項11】
Xが、以下
【化3】

から選択される、請求項8から10までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項12】
少なくとも1つの二官能重合性アキラルネマチックモノマーが、式I.a、1.b
【化4】

の化合物およびそれらの混合物から選択される、請求項8から11までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項13】
少なくとも1つのキラル重合性モノマーが、式IV.a、IV.b、IV.c
【化5】

の化合物およびそれらの混合物から選択される、請求項8から12までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項14】
少なくとも1つの液晶層が、キラル重合性モノマーとして式IV.cの化合物を含んだ組成物(a.1)または(f.1)から得られる、請求項8から13までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項15】
赤外線波長域で反射する硬化された形の少なくとも2つの液晶層を含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の断熱シートであって、少なくとも前記2つの層は少なくとも1組の層の対を含み、この層の対の2層は類似の赤外線波長域を反射すると共に、この層の対の2層はそれらのキラリティーが相違している断熱シート。
【請求項16】
硬化された形の少なくとも2つの液晶層を含む、請求項1から15までのいずれか1項に記載の断熱シートであって、少なくとも2つの層はそれぞれ異なった赤外線波長域で反射する断熱シート。
【請求項17】
少なくとも2組の層の対を含む、請求項15または16のいずれか1項に記載の断熱シートであって、これらの層の対の2つの層は類似の赤外線波長域を反射するが、それらのキラリティーは相違し、異なった層の対の層はそれぞれ異なった赤外線波長域で反射する断熱シート。
【請求項18】
硬化された形の2つの液晶層からなる少なくとも1組の層の対を含む、請求項1から17までのいずれか1項に記載の断熱シートであって、これらの2層はそれぞれ類似の赤外線波長域で反射すると共に、同一のキラリティーを有し、これらの2つ層の間にλ/2波長シートが配されている断熱シート。
【請求項19】
少なくとも1つの支持シートが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルブチレート、ポリビニルクロリド、軟質ポリビニルクロリド、ポリメチルメタクリレート、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびアクリル樹脂からなるシートから選択される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項20】
少なくとも1つの支持シートの片側または両側が、少なくとも1つの液晶層と直接または間接に接触していてよい、請求項1から19までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項21】
少なくとも1つの支持シートと少なくとも1つの液晶層との間および/または少なくとも2つの液晶層の間に、少なくとも1つの配向層が配されている、請求項1から20までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項22】
少なくとも1つの配向層が、ポリビニルアルコールおよびポリイミドから選択される、請求項1から21までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項23】
少なくとも1つの支持シートが、接着剤なしで極性表面に付着し得る少なくとも1つの接着シートを含む、請求項1から22までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項24】
接着シートが、軟質ポリビニルクロリド、自己粘着熱可塑性ポリオレフィンまたはポリメチルメタクリレートで構成されている、請求項23に記載の断熱シート。
【請求項25】
少なくとも1つの支持シートが、少なくとも1つの装飾シートを含む、請求項1から24までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項26】
加えてさらに少なくとも1つの保護層、接着層および/または剥離層を含む、請求項1から25までのいずれか1項に記載の断熱シート。
【請求項27】
断熱ラミネートであって、
(1)請求項1から17までのいずれか1項に定義された硬化された形の少なくとも1つの液晶層;
(2)場合により少なくとも1つの支持材料;
(3)場合により少なくとも1つの配向層;
(4)場合により少なくとも1つのλ/2波長シート;
(5)場合により少なくとも1つの保護層、接着層および/または剥離層;
を含む断熱ラミネートであって、成分(2)〜(5)のいずれも含まれていない場合、成分(1)は硬化された形の少なくとも2つの液晶層を含む断熱ラミネート。
【請求項28】
支持材料が、ガラス、透明なポリマー、ガラスと透明なポリマーからなる複合系、不透明なポリマー、金属、セラミックおよび粘土から選択される、請求項27に記載の断熱ラミネート。
【請求項29】
ガラスが、窓ガラスまたは外壁ガラス、合わせ板ガラス、断熱ガラス、安全ガラスまたはそれらの混合系である、請求項28に記載の断熱ラミネート。
【請求項30】
以下のステップ:
必要であれば、請求項1から26までのいずれか1項に記載の断熱コーティングのその他の層から、少なくとも1つの支持シートを剥離するステップ、および
必要であれば、少なくとも1つの支持シートから除去された層を微粉砕するステップ
によって得られる顔料。
【請求項31】
式IV.cの化合物ならびに少なくとも1つのアキラルネマチック重合性モノマーを含む組成物。
【請求項32】
以下のステップ:
(I)支持材料を準備し、場合により浄化するおよび/または支持シート表面の方位方向を生成するステップ;
(II)場合により、支持シートへ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(III)場合により、組成物(f.1)、(f.2)、(f.3)、(f.4)または(f.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(IV)場合により、ステップ(III)で得られた層へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(V)組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(VI)場合により、ステップ(V)で得られた層へ配向層を被着し、場合により浄化するおよび/または配向層の方位方向を生成するステップ;
(VII.1)場合により、ステップ(V)または(VI)で得られたシート(層側または支持シート側)へ組成物(a.1)、(a.2)、(a.3)、(a.4)または(a.5)を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ(この場合、ステップ(VII.1)で得られる層はステップ(V)で得られる層とはキラリティーおよび/または反射される赤外線波長域の点で相違する);または
(VII.2)場合により、ステップ(V)で得られた層へλ/2波長シートを被着し、次いで、λ/2波長シートへステップ(V)と同じ組成物を被着し、場合により配向し、組成物を少なくとも部分的に硬化するステップ;
(VIII)場合により、ステップ(II)〜(VII)を1回以上反復するステップであって、この場合、反復時には、先のステップ(V)および(VII)および場合により(III)の組成物とも異なる組成物が使用されるステップ;
(IX)場合により、ステップ(V)、(VII)および/または(VIII)で得られた2つのシートを接着するステップ;
(X)場合により、ステップ(IX)で得られた接着されたシートの一方または双方の支持シートを剥離するステップ;
(XI)場合により、ステップ(IX)および(X)を1回以上繰返すステップ;および
(XII)場合により、ステップ(V)、(VII)、(VIII)、(X)または(XI)で得られた層へ保護層、接着層および/または剥離層を被着するステップ
を含む、請求項1から26までのいずれか1項に記載の断熱シートの製造方法。
【請求項33】
以下のステップ:
(i)請求項1から26までのいずれか1項に記載の定義によるシートを準備するステップ;
(ii)シートの両側が支持シートまたは保護シートによって閉成されている場合、一方の支持シートまたは保護シートを剥離するステップ;
(iii)新たな支持シートへステップ(i)または(ii)で準備したシートを被着するステップ;および
(iv)新たなシートへ層を転写するステップ
を含む、請求項1から26までのいずれか1項に記載の断熱シートの製造方法。
【請求項34】
請求項1から26までのいずれか1項に記載のシート、または請求項31に記載の組成物を、建造物および輸送手段の熱管理のために用いる使用。

【公表番号】特表2011−525154(P2011−525154A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514032(P2011−514032)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057533
【国際公開番号】WO2009/153287
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】