断熱被覆管の切断カッタ
【課題】 床暖房の施工時において、給排湯管を被覆している発泡合成樹脂製の断熱被覆管における先端部を、内部の給排湯管を傷つけることなく円滑且つ正確に切断、除去することができる断熱被覆管の切断カッタを提供する。
【解決手段】 カッタ本体1の前部両側に一対の顎部4、5を設けてこれらの顎部4、5の対向端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面7、8に形成していると共に上記両側の顎部4、5から互いにV字状に形成されている両側直状刃9a、9bを突設することにより、上記凹円弧状の受止端面7、8からの直状刃9a、9bの突出幅を中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くし、大径の断熱被覆管を突出幅の大きい部分によって、小径の断熱被覆管を突出幅の小さい部分によってそれぞれその内周面側の厚みを僅かに残しながら切断するように構成している。
【解決手段】 カッタ本体1の前部両側に一対の顎部4、5を設けてこれらの顎部4、5の対向端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面7、8に形成していると共に上記両側の顎部4、5から互いにV字状に形成されている両側直状刃9a、9bを突設することにより、上記凹円弧状の受止端面7、8からの直状刃9a、9bの突出幅を中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くし、大径の断熱被覆管を突出幅の大きい部分によって、小径の断熱被覆管を突出幅の小さい部分によってそれぞれその内周面側の厚みを僅かに残しながら切断するように構成している。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は床下暖房用の給湯管や排湯管、或いは、風呂配管や一般の給水管等の管を内装してなる発泡合成樹脂製の断熱被覆管を切断するためのカッタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば、床下暖房を行うための暖房用の給湯管と排湯管とは、引き揃え状態にして筒状フィルムにより被覆された状態で発泡合成樹脂製の断熱被覆管内に挿入されてあり、配管時には断熱被覆管の端部を所定長だけ切断、除去して給排湯管の端部を露出させ、これらの給排湯管を被覆している筒状フィルムを剥離したのち、給排湯管を暖房パネルの給排湯通路に接続している。この際、断熱被覆管や筒状フィルムを切断するには適切なカッタはなく、作業者がカッタナイフを使用して断熱被覆管の適所を輪切り状に切断したのち、その切断した一定長さの断熱被覆管部分を全長に亘って切断分離させて給排湯管からの被覆を解き、次いで、給排湯管を被覆している筒状フィルムをその端部から長さ方向に切断、剥離して給排湯管を露出させているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カッタナイフにより断熱被覆管をその外周面から内周面に向かって切り込むと、切り込み深さを正確に判断できないためにカッタナイフの刃が断熱被覆管内に突出してこの断熱被覆管に挿入している上記給排湯管や信号線を傷つける事態が発生し、そのまま配管した場合には給湯や排湯が漏れて暖房機能を損なうという問題点がある。このような問題点は給排湯管を被覆している筒状フィルムを切断、剥離する時にも生じる虞れがあり、さらに、給排湯管に限らず給水管等の他の管を被覆した断熱被覆管を切断、剥離する場合においても生じるものである。また、カッタナイフでは断熱被覆管を輪切り状に切断する作業に手間を要して配管の施工能率が低下するという問題点がある。
【0004】本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、給排湯管や給水管等の管を被覆している断熱被覆管を、給排湯管等の管に切り傷を生じさせることなく正確且つ能率良く切断することができると共に、給排湯管等の管を被覆しているフィルムの切断剥離も給排湯管等を傷つけることなく容易に切断、剥離し得る断熱被覆管用切断カッタを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、給排湯管や給水管等の管を被覆した発泡合成樹脂製の断熱被覆管の切断カッタであって、カッタ本体は把手部の前端に偏平板状の拡大頭部を一体に設けてなり、この拡大頭部の前半両側部を二股状に分岐させて顎部に形成していると共にこれらの顎部の対向内端面間を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口に形成し、且つこの受け口の周縁部を形成している上記両側顎部の対向内端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面に形成し、さらに、両側顎部に直状刃を後端から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させ且つ凹円弧状の上記受止端面にその前後端部が交差するように設けて凹円弧状の受止端面からの直状刃の突出幅を直状刃の長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くし、大小径の断熱被覆管を突出幅が大きい刃部と小さい刃部とによりその内周面側の厚みを僅かに残してそれぞれ切断するように構成している。
【0006】請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の発明において、カッタ本体を2枚の本体半片を重ね合わせて一体に連結することにより形成していると共に、これらの本体半片の対向内端面間に断熱被覆管受止端面の後端側から両側前端に向かって互いにV字状に外側方に傾斜してなる一対の直状刃を一体に設けてなる板状の刃体を上記受止端面から前後方向に出没自在に介在させた構造としているものである。
【0007】さらに、請求項3に係る発明は、拡大頭部に形成している上記両側の顎部において、一方の顎部の前端部をこの顎部側の直状刃の前端から前方に突出させ且つその前端を内方に向かって屈折させた屈折端部に形成していることを特徴とするものである。
【0008】また、請求項4に係る発明は、上記2枚の本体半片における他方の顎部を形成している部分において、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成していることを特徴とする。
【0009】
【作用】給排湯管等の管を被覆している断熱被覆管の切断すべき部分にカッタ本体の断熱被覆管受け口を直交するように向けて該受け口内に断熱被覆管を挿入させると、この受け口を形成しているカッタ本体の両側顎部間の開口幅が断熱被覆管の外径よりも大きく形成されているから、断熱被覆管の切断すべき部分の外周面が両側顎部の凹円弧状の上記受止端面から突設している互いにV字状に対向した直状刃に架設状態で当接する。この状態からカッタ本体を断熱被覆管の中心に向かって押し進めると、断熱被覆管は発泡合成樹脂製であるから、両側顎部と対向している断熱被覆管の周壁両側部が直状刃によって厚み方向に容易に切り込まれ、断熱被覆管の外周面両側部が凹円弧状の受止端面に当接、受止されると、それ以上の切り込みが行われなく、直状刃が断熱被覆管の内周面近傍部において断熱被覆管の内周面側の厚みを僅かに残した深さに達した状態となる。
【0010】この切断カッタによって切断される上記断熱被覆管において、大径の断熱被覆管は小径の断熱被覆管よりもその管壁が肉厚に形成されている一方、上記切断カッタは、その断熱被覆管受止端面を凹円弧状に形成していると共にこの凹円弧状の受止端面から突出している直状刃の突出幅をその長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くなるように形成している。
【0011】従って、大径断熱被覆管を切断する時には、該大径断熱被覆管の外周面両側部が互いにV字状に対向している両側直状刃の長さ方向の中央部、即ち、凹円弧状の断熱被覆管受止端面から最も幅広く突出している刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込まれ、小径断熱被覆管を切断する時には、該小径断熱被覆管の外周面両側部が両側直状刃における凹円弧状の上記受止端面からの突出幅が狭い刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込まれる。なお、直状刃は前後方向に移動させて凹円弧状の上記受止端面からの突出幅を、上記大小径の断熱被覆管をその内周面側の厚みを僅かに残した状態で切断し得るように調整可能に構成しておいてもよい。
【0012】このように、両側の直状刃を断熱被覆管の外周面両側部から内周面側の厚みを僅かに残した深さにまで切り込んだのち、カッタ本体の把手を断熱被覆管回りに回動させると、断熱被覆管の所定部分が全周に亘って直状刃によりその内周面側を僅かに薄く残した状態で切断される。
【0013】しかるのち、カッタ本体における一方の直状刃の前端から前方に突出している顎部の前端屈折端部を断熱被覆管の上記切断箇所における適所に差し込み、その箇所の内周側の残存薄肉部を突き破ると共に該直状刃を断熱被覆管の長さ方向に向けて顎部の屈折端部を断熱被覆管の内周面とこの断熱被覆管に挿入している給排湯管の被覆フィルムとの間に介入させ、次いで、カッタ本体を断熱被覆管の長さ方向に該断熱被覆管の先端面に向かって移動させると、断熱被覆管の切断端面に直角に対向した直状刃によって断熱被覆管の該切断端面と先端面間が全長に分亘って分断される。
【0014】この分断対向面間に作業者が指先を挿入して該対向面を互いに離間させる方向に拡げると、断熱被覆管の上記切断端面に残存している内周側の薄肉部が切り離されながら断熱被覆管が展開されてこの断熱被覆管に被覆されている管側から除去され、断熱被覆管によって被覆されていた給排湯管等の管の端部が露出する。しかるのち、給排湯管等の管を被覆している筒状フィルムの前端にカッタ本体の他方の顎部を対向させ、カッタ本体を給排湯管等の管の長さ方向に移動させることによって該顎部から突設している他方の直状刃により筒状フィルムを分断したのち、剥離する。
【0015】この際、カッタ本体は2枚の本体半片を組み合わせてることによって形成していると共に上記他方の顎部を形成している部分においては、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片の内面に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成しているので、引き揃えた給湯管と排湯管等の両管の対向周面間で形成されているV字状空間部内に上記顎部の外側端面を挿入するか、或いは、筒状の被覆フィルム上に押し当てると、一方の本体半片における顎部片の傾斜端面によって直状刃が上記V字状空間部の幅方向の中央部に自動的に位置し、給排湯管等の管に直状刃が接触することなく筒状フィルムを給排湯管等の管の長さ方向に確実且つ円滑に分断することができるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、1は一定厚みを有する偏平な金属製板材からなるカッタ本体で、後端部を把手部2に形成していると共にこの把手部2の前端に該把手部2よりも幅広い拡大頭部3を一体に設けてなり、さらに、この拡大頭部3の前半両側部を二股状に分岐させて両側顎部4、5に形成し、これらの両側顎部4、5の対向内端面間の空間部を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口6に形成している。なお、この受け口6の開口幅は切断すべき断熱被覆管Aの外径寸法よりも幅広く形成されている。
【0017】さらに、この受け口6の周縁部、即ち、上記両側顎部4、5の対向内端面は外方に向かって緩やかに湾曲した凹円弧状の断熱被覆管受止端面7、8にそれぞれ形成されていると共にこれらの受止端面7、8の連設部、即ち、後端部は上記受け口6の後端中央部において凹円弧状端面10を介して一体に連続している。また、拡大頭部3の幅方向の中央部には前後方向に長い長孔11を拡大頭部3の表裏面間に貫通させて設けてあり、この長孔11に螺子部材12を前後移動可能に配設している。
【0018】上記カッタ本体1は上記把手部2を形成するための把手部片2'と、上記両側顎部4、5を形成するための顎部片4'、5'及び長孔11を形成するための孔部を有する拡大頭部片1'とを形成した一定厚みの2枚の本体半片1a、1bを重ね合わせてその周縁部数カ所を螺子13により一体に連結することによって形成されてあり、両本体半片1a、1bの拡大頭部1'、1'の対向面に隙間14を設けてこの隙間14に刃体9を前後方向に移動自在に介在させている。
【0019】刃体9の前部両側には、後端側から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させている一対の直状刃9a、9bが形成されてあり、これらの直状刃9a、9bを上記両側顎部4、5の凹円弧状の上記受止端面7、8の厚み方向の中央部からその前後端部をこれらの受止端面7、8の前後端部に交差するようにしてそれぞれ突設させている。従って、両側顎部4、5の凹円弧状の受止端面7、8から受け口6内にそれぞれ突出しているこれらの直状刃9a、9bの突出幅は、直状刃9a、9bの長さ方向の中央部において最大となり、前後端部に向かうに従って凹円弧状の受止端面7、8からの突出幅がそれぞれ徐々に幅狭くなっている。
【0020】さらに、一方の顎部4の前端部をこの顎部側に設けている直状刃9aの前端から前方に突出させていると共にその突出前端部を内側に向かって屈折させて屈折端部4aに形成している。また、上記カッタ本体1を形成している2枚の本体半片1a、1bにおいて、重ね合わせにより他方の顎部5を形成している顎部片5'、5'の一方をこの顎部5から突出している直状刃9bから僅かに前方に突出させていると共に他方の顎部片5'を短くしてその前端を上記直状刃9bの前端から後方側に位置させている。
【0021】従って、他方の顎部5側に設けている上記直状刃9bは一方の顎部片5'の内面に接した状態で外部に露出している。また、この直状刃9bから突出している顎部片5'の外側端面は、直状刃9bの前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面5aに形成している。
【0022】さらに、上記刃体9の後端部中央に上記螺子部材12における螺子棒部12a を貫通させていると共に貫通した螺子棒部12a の先端にナット体12b を螺合させてあり、該螺子棒部12a の頭部12c と長孔11に露出している刃体9の対向面との間にスプリング15を圧縮状態で介在させてこのスプリング15の力により上記ナット体12b を長孔11内に嵌合させて刃体9の板面上に前後摺動自在に受止させている。
【0023】そして、不使用時には、螺子部材12を長孔11に沿って後方に移動させることにより、刃体9を後退させてその両側の直状刃9a、9bを両側顎部4、5の凹円弧状の上記受止端面7、8から後方に没入させて安全な状態にし、この状態で螺子棒部12a の頭部12c を回動操作して該頭部12c の下面を長孔11の後端部表面に圧着させることにより固定する。また、使用時には、この螺子部材12の固定を解いて該螺子部材12を長孔11に沿って前方に移動させることにより、刃体9の両側直状刃9a、9bを両側顎部4、5の凹円弧状の受止端面7、8から前方に突出させ、この状態で固定するように構成している。なお、両側の直状刃9a、9bは互いに90度の角度でもってV字状に設けられている。
【0024】16、16はカッタ本体1の表裏面に固定した断熱被覆管支持部材で、その中央両側部上記凹円弧状の受止端面7、8を中央にしてその上面がこの受止端面7、8と断熱被覆管Aの長さ方向に面一となるように形成された断熱被覆管支持突片16a 、16b を一体に設けている。
【0025】このように構成した切断カッタによって切断される断熱被覆管Aは、断面楕円形状に形成された発泡合成樹脂製の管であって図4、図5に示すように、その内部に給湯管(行き管)Bと送湯管(戻り管)Cとを引き揃え状態で挿入してこれらの給排湯管B、Cを被覆している。また、給排湯管B、Cは筒状の被覆フィルムDによって被覆されている。なお、給排湯管B、Cは引き揃え方向を断熱被覆管Aの長径方向に向けて断熱被覆管Aに挿入されている。
【0026】次に、この断熱被覆管Aを床下暖房の施工時において、暖房パネルに給排湯管B、Cを接続するために、その先端から一定長さ部分を上記切断カッタによって切断するには、まず、螺子部材12を緩めて刃体9を前方に押し進めることによりその両側直状刃9a、9bを両側顎部4、5の凹円弧状の断熱被覆管受止端面7、8から突出させ、この状態で刃体9を固定したのち、その受け口6を断熱被覆管Aの切断すべき部分に向けて上記図4R>4、図5に示すように該受け口6内に発泡合成樹脂からなる断熱被覆管Aを挿入すると、断熱被覆管Aの切断すべき箇所の外周面両側部が互いにV字状に形成されている両側直状刃9a、9bに接触、当接したのち、両側直状刃9a、9bに食い込むように切り込まれていく。
【0027】この際、断熱被覆管Aが小径の場合は両側直状刃9a、9bの後端寄り部分、即ち、凹円弧状の上記受止端面7、8からの突出幅の小さい刃部に接触、当接し、大径の場合は受止端面7、8からの突出幅が広くなった両側直状刃9a、9bの中央部に接触、当接することになる。
【0028】そして、断熱被覆管Aの肉厚は大小径の断熱被覆管に応じて所定の厚みに形成されてあり、上記凹円弧状の受止端面7、8からの直状刃9a、9bの突出幅は径の異なる断熱被覆管Aに対してその厚みよりも僅かに小さく形成されている。従って、断熱被覆管Aを上記直状刃9a、9bに接触、当接した状態から更に凹円弧状の受止端面7、8に向かって押し進めることにより両側直状刃9a、9bにより断熱被覆管Aを外周面から内周面に向かって切り込んで、該断熱被覆管Aの外周面両側部が凹円弧状の受止端面7、8に当接、受止された状態になった時には、両側直状刃9a、9bは断熱被覆管A内に達することなく、該断熱被覆管Aの内周面から僅かな厚み部分を残した深さ位置まで切り込んだ状態となる。
【0029】断熱被覆管Aの管壁両側部が両側直状刃9a、9bによってその内周面近傍部にまで切り込まれて上記のように受止端面7、8に受止されると、この受止端面7、8から断熱被覆管Aの長さ方向に突設している支持部材16の支持突片16a 、16b上にも受止されてその管軸方向を両側直状刃9a、9bの切り込み方向に直交する方向に正確且つ安定した状態に保持され、この状態にして把持しているカッタ本体の把手部2を操作してカッタ本体1を断熱被覆管Aの管軸回りに回動させると、断熱被覆管Aの所定部分が直状刃9a、9bによって全周に亘りその内周面側を僅かに薄く残した状態で切断a1される。
【0030】次いで、一旦、カッタ本体1を断熱被覆管Aから離したのち、一方の直状刃9aの前端から前方に突出している顎部4の前端屈折端部4aを断熱被覆管Aの上記切断箇所a1の適所に差し込み、図6、図7に示すようにその屈折端部4aの外端面で切断箇所a1の内周側に残存している薄肉部を突き破ると共に直状刃9aを断熱被覆管Aの先端側に向ける。この状態にしてカッタ本体1を断熱被覆管Aの長さ方向に先端に向かって移動させると、断熱被覆管Aの内周面と該断熱被覆管A内の給排湯管B、Cの被覆フィルムDとの間に抜け止め状態に挿入している上記屈折端部4aをガイドとして直状刃9aにより断熱被覆管Aの一部が切断箇所a1から先端面に亘って直線状に分断a2される。
【0031】しかるのち、分断a2された断熱被覆管部分に指先を挿入してその分断対向面を離間する方向に拡げると、断熱被覆管Aの上記切断箇所a1の内周側に残存している薄肉部が切り離されながら断熱被覆管Aが展開され、切断箇所a1から先端間の断熱被覆管部分を取り外して給排湯管B、Cを外部に露出させることができる。
【0032】こうして、断熱被覆管Aの先端部を除去して給排湯管B、Cの先端部を露出させたのち、これらの給排湯管B、Cを被覆している筒状の被覆フィルムDの剥離作業を行う。この作業は図8、図9に示すように、カッタ本体1における他方の顎部5を給排湯管B、Cの先端面側に向けて引き揃えられた給排湯管B、Cの対向周面間で形成しているV字状の空間部a3に先端側から挿入し、顎部5の外端面(下面)を給排湯管B、C間上に押し付けるか、或いは、被覆フィルムDの端部上に押し当てて該端部を給排湯管B、C間に没入させて給排湯管B、C上に接触させる。
【0033】この際、カッタ本体1を形成している2枚の本体半片1a、1bにおいて、上記他方の顎部5を形成している顎部片5'、5'の一方を直状刃9bから僅かに前方に突出させていると共に他方の顎部片5'を短くしてその前端を上記直状刃9bの前端から後方側に位置させてあり、且つ、直状刃9bから突出している顎部片5'の外側端面を直状刃9bの前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面5aに形成しているので、顎部5を給排湯管B、C同士の引き揃え対向部における上周面に押し付けた時に、図10に示すように顎部片5'の傾斜端面5aが給湯管B又は排湯管Cの外周面上をこれらの給排湯管B、C間の接合対向面に向かって滑り落ち、この顎部片5'の内面に接した上記直状刃9bを上記V字状空間部a3の幅方向の中央部に自動的に正確に位置させる。
【0034】この状態にしてカッタ本体1を給排湯管B、Cの長さ方向に移動させると、顎部片5'が給排湯管B、C間に保持されながら直状刃9bが正確に給排湯管B、Cの長さ方向に移動し、筒状の被覆フィルムDを確実且つ円滑に分断、除去することができるものである。
【0035】なお、以上の実施例においては、両側直状刃9a、9bを設けている刃体9をカッタ本体1の拡大頭部3に設けている長孔11をガイドとして前後方向に移動させたのち固定させる機構として、螺子部材12の螺子棒部12a の頭部12c 下面を拡大頭部3上に圧着させる機構を採用しているが、図11、図12に示すように、カッタ本体1を形成している本体半片1a、1bにおいて、これらの本体半片1a、1bに上記長孔11を共通して設けると共に一方の本体半片1a側の長孔11の両端部に該長孔11の幅よりも大径の円形孔部11a 、11b を設けてこの円形孔部11a 、11b のいずれか一方に円形ナット体12b'を係脱自在に嵌合させ、他方の本体半片1b側から螺子部材12の螺子棒部12a の端部を刃体9の後端中央部に貫通、連結させた状態に挿入して上記円形ナット体12b'に螺合させると共にこの螺子棒部12a の頭部12c と本体半片1bとの対向面間にスプリング15を圧縮状態で介在させた構造としておいてもよい。その他の構成については上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】このように構成したので、不使用時には円形ナット体12b'を後方側の円形孔部11b に嵌合、係止させて刃体9がその両側直状刃9a、9bを不測に凹円弧状のパイプ受止端面7、8から突出するのを阻止した状態に維持する。そして、使用時には螺子棒部12a の頭部12c をスプリング15の力に抗して押し下げると、円形ナット体12b'が円形孔部11b から離脱するので、この状態を維持したまま螺子棒部12a を前方に移動させ、長孔11の前端部に達した時にその押圧力を解くと、スプリング15の復元力によって螺子棒部12a が押し上げられると共に円形ナット体12b'が前方側の円形孔部11a に嵌入、係止し、刃体9の両側直状刃9a、9bを凹円弧状のパイプ受止端面7、8から所定長、突出させた状態に保持するものである。
【0037】なお、以上の実施例においては、床暖房に使用する給排湯管B、Cを被覆した断熱被覆管Aを本発明の切断カッタにより切断する場合について説明したが、この切断カッタは、給排湯管のような行き管と戻り管とを被覆した断熱被覆管以外に、エアコンや風呂暖房、風呂乾燥、風呂の挿し湯、追い焚き配管を被覆した断熱被覆管の切断用として、さらには、給水や給湯を行う1本のプラスチック管を内装した断熱被覆管の切断用としても使用することができる。また、管が被覆フィルムDによって被覆されていない場合にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明の断熱被覆管の切断カッタによれば、カッタ本体の拡大頭部の前半両側部を二股状に分岐させて顎部に形成していると共にこれらの顎部の対向内端面間を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口に形成し、且つこの受け口の周縁部を形成している上記両側顎部の対向内端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面に形成し、さらに、両側顎部に直状刃を後端から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させ且つ凹円弧状の上記受止端面にその前後端部が交差するように設けて凹円弧状の受止端面からの直状刃の突出幅を直状刃の長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くしているので、給排湯管等の管を被覆している断熱被覆管の切断すべき部分をカッタ本体の断熱被覆管受け口に対して直交するように向けて該受け口内に挿入することにより、両側の直状刃に直接、当接させて該直状刃により該断熱被覆管を厚み方向に簡単に切り込むことができると共に、断熱被覆管の外周面両側部が凹円弧状の受止端面に当接、受止されるので、それ以上の切り込みが行われなく、直状刃を断熱被覆管の所定深さまで正確に切り込むことができる。
【0039】その上、上記切断カッタは、その断熱被覆管受止端面を凹円弧状に形成していると共にこの凹円弧状の受止端面から突出している直状刃の突出幅をその長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くなるように形成しているので、大径断熱被覆管を切断する時には、該大径断熱被覆管の外周面両側部が互いにV字状に対向している両側直状刃の長さ方向の中央部、即ち、凹円弧状の受止端面から最も幅広く突出している刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込むことができ、小径断熱被覆管を切断する時には、該小径断熱被覆管の外周面両側部が両側直状刃における凹円弧状の受止端面からの突出幅が狭い刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込むことができるものである。
【0040】このように、両側の直状刃を断熱被覆管の外周面両側部から内周面側の厚みを僅かに残した深さにまで切り込んだのち、カッタ本体の把手を断熱被覆管回りに回動させることによって、断熱被覆管の所定部分を全周に亘って直状刃によりその内周面側を僅かに薄く残した状態で切断することができ、従って、この断熱被覆管により被覆されている内部の給排湯管等の管を全く傷付けることなく正確且つ能率良く断熱被覆管の所定部分を切断することができる。
【0041】また、請求項2に係る発明によれば、上記カッタ本体は2枚の本体半片を重ね合わせて一体に連結することにより形成していると共に、これらの本体半片の対向内端面間に受止端面の後端側から両側前端に向かって互いにV字状に外側方に傾斜してなる一対の直状刃を一体に設けてなる板状の刃体を受止端面から前後方向に出没自在に介在させているので、構造が簡単で安価に製造することができると共に2枚の本体半片間の隙間を通じて刃体を円滑に且つ正確に前後動させて凹円弧状の受止端面から出没させることができる。
【0042】さらに、請求項3に係る発明によれば、上記カッタ本体における一方の顎部の前端部をこの顎部側の直状刃の前端から前方に突出させ且つその前端を内側に向かって屈折させた屈折端部に形成しているので、この屈折端部を断熱被覆管の上記切断箇所における適所に差し込むことにより、内部の給排湯管等の管を何等損傷させることなく断熱被覆管の内周側の残存薄肉部を該屈折端部の外端面で簡単に突き破ることができ、その上、この屈折端部を断熱被覆管の内周面と給排湯管等の管の被覆フィルムとの間に介入させた状態を維持するので、直状刃に対して該屈折端部を断熱被覆管の長さ方向に正確に先行移動させながら直状刃により給排湯管を傷つけることなく断熱被覆管を先端面までに円滑に分断することができ、分断後に断熱被覆管の分断対向面間を拡げることによって内周側の薄肉部が簡単に切り離され、給排湯管等の管を露出させることができる。
【0043】請求項4に係る発明によれば、カッタ本体は2枚の本体半片を組み合わせてることによって形成していると共に上記他方の顎部を形成している部分においては、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片の内面に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成しているので、引き揃えた給湯管と排湯管等の両管の対向周面間で形成されているV字状空間部内に上記顎部の外側端面を挿入するか、或いは、筒状の被覆フィルム上に押し当てることにより、一方の本体半片における顎部片の傾斜端面によって直状刃を上記V字状空間部の幅方向の中央部に自動的に位置させることができ、給排湯管等の管に直状刃が接触することなく筒状フィルムを給排湯管等の管の長さ方向に確実且つ円滑に分断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切断カッタの斜視図、
【図2】その正面図、
【図3】その一部を断面した側面図、
【図4】使用状態を示す斜視図、
【図5】その正面図、
【図6】断熱被覆管を長さ方向に分断する場合の使用状態図、
【図7】その一部の斜視図、
【図8】被覆フィルムを切断する場合の使用状態図、
【図9】その一部の斜視図、
【図10】切断状態を示す平面図、
【図11】本発明の他の実施例を示す正面図、
【図12】その側面図。
【符号の説明】
1 カッタ本体
2 把手部
3 拡大頭部
4、5 両側顎部
4a 屈折端部
6 パイプ受け口
7、8 凹円弧状のパイプ受止端面
9 刃体
9a、9b 直状刃
A 断熱被覆管
B、C 給排湯管
D 被覆フィルム
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は床下暖房用の給湯管や排湯管、或いは、風呂配管や一般の給水管等の管を内装してなる発泡合成樹脂製の断熱被覆管を切断するためのカッタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば、床下暖房を行うための暖房用の給湯管と排湯管とは、引き揃え状態にして筒状フィルムにより被覆された状態で発泡合成樹脂製の断熱被覆管内に挿入されてあり、配管時には断熱被覆管の端部を所定長だけ切断、除去して給排湯管の端部を露出させ、これらの給排湯管を被覆している筒状フィルムを剥離したのち、給排湯管を暖房パネルの給排湯通路に接続している。この際、断熱被覆管や筒状フィルムを切断するには適切なカッタはなく、作業者がカッタナイフを使用して断熱被覆管の適所を輪切り状に切断したのち、その切断した一定長さの断熱被覆管部分を全長に亘って切断分離させて給排湯管からの被覆を解き、次いで、給排湯管を被覆している筒状フィルムをその端部から長さ方向に切断、剥離して給排湯管を露出させているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カッタナイフにより断熱被覆管をその外周面から内周面に向かって切り込むと、切り込み深さを正確に判断できないためにカッタナイフの刃が断熱被覆管内に突出してこの断熱被覆管に挿入している上記給排湯管や信号線を傷つける事態が発生し、そのまま配管した場合には給湯や排湯が漏れて暖房機能を損なうという問題点がある。このような問題点は給排湯管を被覆している筒状フィルムを切断、剥離する時にも生じる虞れがあり、さらに、給排湯管に限らず給水管等の他の管を被覆した断熱被覆管を切断、剥離する場合においても生じるものである。また、カッタナイフでは断熱被覆管を輪切り状に切断する作業に手間を要して配管の施工能率が低下するという問題点がある。
【0004】本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、給排湯管や給水管等の管を被覆している断熱被覆管を、給排湯管等の管に切り傷を生じさせることなく正確且つ能率良く切断することができると共に、給排湯管等の管を被覆しているフィルムの切断剥離も給排湯管等を傷つけることなく容易に切断、剥離し得る断熱被覆管用切断カッタを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、給排湯管や給水管等の管を被覆した発泡合成樹脂製の断熱被覆管の切断カッタであって、カッタ本体は把手部の前端に偏平板状の拡大頭部を一体に設けてなり、この拡大頭部の前半両側部を二股状に分岐させて顎部に形成していると共にこれらの顎部の対向内端面間を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口に形成し、且つこの受け口の周縁部を形成している上記両側顎部の対向内端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面に形成し、さらに、両側顎部に直状刃を後端から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させ且つ凹円弧状の上記受止端面にその前後端部が交差するように設けて凹円弧状の受止端面からの直状刃の突出幅を直状刃の長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くし、大小径の断熱被覆管を突出幅が大きい刃部と小さい刃部とによりその内周面側の厚みを僅かに残してそれぞれ切断するように構成している。
【0006】請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の発明において、カッタ本体を2枚の本体半片を重ね合わせて一体に連結することにより形成していると共に、これらの本体半片の対向内端面間に断熱被覆管受止端面の後端側から両側前端に向かって互いにV字状に外側方に傾斜してなる一対の直状刃を一体に設けてなる板状の刃体を上記受止端面から前後方向に出没自在に介在させた構造としているものである。
【0007】さらに、請求項3に係る発明は、拡大頭部に形成している上記両側の顎部において、一方の顎部の前端部をこの顎部側の直状刃の前端から前方に突出させ且つその前端を内方に向かって屈折させた屈折端部に形成していることを特徴とするものである。
【0008】また、請求項4に係る発明は、上記2枚の本体半片における他方の顎部を形成している部分において、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成していることを特徴とする。
【0009】
【作用】給排湯管等の管を被覆している断熱被覆管の切断すべき部分にカッタ本体の断熱被覆管受け口を直交するように向けて該受け口内に断熱被覆管を挿入させると、この受け口を形成しているカッタ本体の両側顎部間の開口幅が断熱被覆管の外径よりも大きく形成されているから、断熱被覆管の切断すべき部分の外周面が両側顎部の凹円弧状の上記受止端面から突設している互いにV字状に対向した直状刃に架設状態で当接する。この状態からカッタ本体を断熱被覆管の中心に向かって押し進めると、断熱被覆管は発泡合成樹脂製であるから、両側顎部と対向している断熱被覆管の周壁両側部が直状刃によって厚み方向に容易に切り込まれ、断熱被覆管の外周面両側部が凹円弧状の受止端面に当接、受止されると、それ以上の切り込みが行われなく、直状刃が断熱被覆管の内周面近傍部において断熱被覆管の内周面側の厚みを僅かに残した深さに達した状態となる。
【0010】この切断カッタによって切断される上記断熱被覆管において、大径の断熱被覆管は小径の断熱被覆管よりもその管壁が肉厚に形成されている一方、上記切断カッタは、その断熱被覆管受止端面を凹円弧状に形成していると共にこの凹円弧状の受止端面から突出している直状刃の突出幅をその長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くなるように形成している。
【0011】従って、大径断熱被覆管を切断する時には、該大径断熱被覆管の外周面両側部が互いにV字状に対向している両側直状刃の長さ方向の中央部、即ち、凹円弧状の断熱被覆管受止端面から最も幅広く突出している刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込まれ、小径断熱被覆管を切断する時には、該小径断熱被覆管の外周面両側部が両側直状刃における凹円弧状の上記受止端面からの突出幅が狭い刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込まれる。なお、直状刃は前後方向に移動させて凹円弧状の上記受止端面からの突出幅を、上記大小径の断熱被覆管をその内周面側の厚みを僅かに残した状態で切断し得るように調整可能に構成しておいてもよい。
【0012】このように、両側の直状刃を断熱被覆管の外周面両側部から内周面側の厚みを僅かに残した深さにまで切り込んだのち、カッタ本体の把手を断熱被覆管回りに回動させると、断熱被覆管の所定部分が全周に亘って直状刃によりその内周面側を僅かに薄く残した状態で切断される。
【0013】しかるのち、カッタ本体における一方の直状刃の前端から前方に突出している顎部の前端屈折端部を断熱被覆管の上記切断箇所における適所に差し込み、その箇所の内周側の残存薄肉部を突き破ると共に該直状刃を断熱被覆管の長さ方向に向けて顎部の屈折端部を断熱被覆管の内周面とこの断熱被覆管に挿入している給排湯管の被覆フィルムとの間に介入させ、次いで、カッタ本体を断熱被覆管の長さ方向に該断熱被覆管の先端面に向かって移動させると、断熱被覆管の切断端面に直角に対向した直状刃によって断熱被覆管の該切断端面と先端面間が全長に分亘って分断される。
【0014】この分断対向面間に作業者が指先を挿入して該対向面を互いに離間させる方向に拡げると、断熱被覆管の上記切断端面に残存している内周側の薄肉部が切り離されながら断熱被覆管が展開されてこの断熱被覆管に被覆されている管側から除去され、断熱被覆管によって被覆されていた給排湯管等の管の端部が露出する。しかるのち、給排湯管等の管を被覆している筒状フィルムの前端にカッタ本体の他方の顎部を対向させ、カッタ本体を給排湯管等の管の長さ方向に移動させることによって該顎部から突設している他方の直状刃により筒状フィルムを分断したのち、剥離する。
【0015】この際、カッタ本体は2枚の本体半片を組み合わせてることによって形成していると共に上記他方の顎部を形成している部分においては、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片の内面に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成しているので、引き揃えた給湯管と排湯管等の両管の対向周面間で形成されているV字状空間部内に上記顎部の外側端面を挿入するか、或いは、筒状の被覆フィルム上に押し当てると、一方の本体半片における顎部片の傾斜端面によって直状刃が上記V字状空間部の幅方向の中央部に自動的に位置し、給排湯管等の管に直状刃が接触することなく筒状フィルムを給排湯管等の管の長さ方向に確実且つ円滑に分断することができるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、1は一定厚みを有する偏平な金属製板材からなるカッタ本体で、後端部を把手部2に形成していると共にこの把手部2の前端に該把手部2よりも幅広い拡大頭部3を一体に設けてなり、さらに、この拡大頭部3の前半両側部を二股状に分岐させて両側顎部4、5に形成し、これらの両側顎部4、5の対向内端面間の空間部を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口6に形成している。なお、この受け口6の開口幅は切断すべき断熱被覆管Aの外径寸法よりも幅広く形成されている。
【0017】さらに、この受け口6の周縁部、即ち、上記両側顎部4、5の対向内端面は外方に向かって緩やかに湾曲した凹円弧状の断熱被覆管受止端面7、8にそれぞれ形成されていると共にこれらの受止端面7、8の連設部、即ち、後端部は上記受け口6の後端中央部において凹円弧状端面10を介して一体に連続している。また、拡大頭部3の幅方向の中央部には前後方向に長い長孔11を拡大頭部3の表裏面間に貫通させて設けてあり、この長孔11に螺子部材12を前後移動可能に配設している。
【0018】上記カッタ本体1は上記把手部2を形成するための把手部片2'と、上記両側顎部4、5を形成するための顎部片4'、5'及び長孔11を形成するための孔部を有する拡大頭部片1'とを形成した一定厚みの2枚の本体半片1a、1bを重ね合わせてその周縁部数カ所を螺子13により一体に連結することによって形成されてあり、両本体半片1a、1bの拡大頭部1'、1'の対向面に隙間14を設けてこの隙間14に刃体9を前後方向に移動自在に介在させている。
【0019】刃体9の前部両側には、後端側から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させている一対の直状刃9a、9bが形成されてあり、これらの直状刃9a、9bを上記両側顎部4、5の凹円弧状の上記受止端面7、8の厚み方向の中央部からその前後端部をこれらの受止端面7、8の前後端部に交差するようにしてそれぞれ突設させている。従って、両側顎部4、5の凹円弧状の受止端面7、8から受け口6内にそれぞれ突出しているこれらの直状刃9a、9bの突出幅は、直状刃9a、9bの長さ方向の中央部において最大となり、前後端部に向かうに従って凹円弧状の受止端面7、8からの突出幅がそれぞれ徐々に幅狭くなっている。
【0020】さらに、一方の顎部4の前端部をこの顎部側に設けている直状刃9aの前端から前方に突出させていると共にその突出前端部を内側に向かって屈折させて屈折端部4aに形成している。また、上記カッタ本体1を形成している2枚の本体半片1a、1bにおいて、重ね合わせにより他方の顎部5を形成している顎部片5'、5'の一方をこの顎部5から突出している直状刃9bから僅かに前方に突出させていると共に他方の顎部片5'を短くしてその前端を上記直状刃9bの前端から後方側に位置させている。
【0021】従って、他方の顎部5側に設けている上記直状刃9bは一方の顎部片5'の内面に接した状態で外部に露出している。また、この直状刃9bから突出している顎部片5'の外側端面は、直状刃9bの前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面5aに形成している。
【0022】さらに、上記刃体9の後端部中央に上記螺子部材12における螺子棒部12a を貫通させていると共に貫通した螺子棒部12a の先端にナット体12b を螺合させてあり、該螺子棒部12a の頭部12c と長孔11に露出している刃体9の対向面との間にスプリング15を圧縮状態で介在させてこのスプリング15の力により上記ナット体12b を長孔11内に嵌合させて刃体9の板面上に前後摺動自在に受止させている。
【0023】そして、不使用時には、螺子部材12を長孔11に沿って後方に移動させることにより、刃体9を後退させてその両側の直状刃9a、9bを両側顎部4、5の凹円弧状の上記受止端面7、8から後方に没入させて安全な状態にし、この状態で螺子棒部12a の頭部12c を回動操作して該頭部12c の下面を長孔11の後端部表面に圧着させることにより固定する。また、使用時には、この螺子部材12の固定を解いて該螺子部材12を長孔11に沿って前方に移動させることにより、刃体9の両側直状刃9a、9bを両側顎部4、5の凹円弧状の受止端面7、8から前方に突出させ、この状態で固定するように構成している。なお、両側の直状刃9a、9bは互いに90度の角度でもってV字状に設けられている。
【0024】16、16はカッタ本体1の表裏面に固定した断熱被覆管支持部材で、その中央両側部上記凹円弧状の受止端面7、8を中央にしてその上面がこの受止端面7、8と断熱被覆管Aの長さ方向に面一となるように形成された断熱被覆管支持突片16a 、16b を一体に設けている。
【0025】このように構成した切断カッタによって切断される断熱被覆管Aは、断面楕円形状に形成された発泡合成樹脂製の管であって図4、図5に示すように、その内部に給湯管(行き管)Bと送湯管(戻り管)Cとを引き揃え状態で挿入してこれらの給排湯管B、Cを被覆している。また、給排湯管B、Cは筒状の被覆フィルムDによって被覆されている。なお、給排湯管B、Cは引き揃え方向を断熱被覆管Aの長径方向に向けて断熱被覆管Aに挿入されている。
【0026】次に、この断熱被覆管Aを床下暖房の施工時において、暖房パネルに給排湯管B、Cを接続するために、その先端から一定長さ部分を上記切断カッタによって切断するには、まず、螺子部材12を緩めて刃体9を前方に押し進めることによりその両側直状刃9a、9bを両側顎部4、5の凹円弧状の断熱被覆管受止端面7、8から突出させ、この状態で刃体9を固定したのち、その受け口6を断熱被覆管Aの切断すべき部分に向けて上記図4R>4、図5に示すように該受け口6内に発泡合成樹脂からなる断熱被覆管Aを挿入すると、断熱被覆管Aの切断すべき箇所の外周面両側部が互いにV字状に形成されている両側直状刃9a、9bに接触、当接したのち、両側直状刃9a、9bに食い込むように切り込まれていく。
【0027】この際、断熱被覆管Aが小径の場合は両側直状刃9a、9bの後端寄り部分、即ち、凹円弧状の上記受止端面7、8からの突出幅の小さい刃部に接触、当接し、大径の場合は受止端面7、8からの突出幅が広くなった両側直状刃9a、9bの中央部に接触、当接することになる。
【0028】そして、断熱被覆管Aの肉厚は大小径の断熱被覆管に応じて所定の厚みに形成されてあり、上記凹円弧状の受止端面7、8からの直状刃9a、9bの突出幅は径の異なる断熱被覆管Aに対してその厚みよりも僅かに小さく形成されている。従って、断熱被覆管Aを上記直状刃9a、9bに接触、当接した状態から更に凹円弧状の受止端面7、8に向かって押し進めることにより両側直状刃9a、9bにより断熱被覆管Aを外周面から内周面に向かって切り込んで、該断熱被覆管Aの外周面両側部が凹円弧状の受止端面7、8に当接、受止された状態になった時には、両側直状刃9a、9bは断熱被覆管A内に達することなく、該断熱被覆管Aの内周面から僅かな厚み部分を残した深さ位置まで切り込んだ状態となる。
【0029】断熱被覆管Aの管壁両側部が両側直状刃9a、9bによってその内周面近傍部にまで切り込まれて上記のように受止端面7、8に受止されると、この受止端面7、8から断熱被覆管Aの長さ方向に突設している支持部材16の支持突片16a 、16b上にも受止されてその管軸方向を両側直状刃9a、9bの切り込み方向に直交する方向に正確且つ安定した状態に保持され、この状態にして把持しているカッタ本体の把手部2を操作してカッタ本体1を断熱被覆管Aの管軸回りに回動させると、断熱被覆管Aの所定部分が直状刃9a、9bによって全周に亘りその内周面側を僅かに薄く残した状態で切断a1される。
【0030】次いで、一旦、カッタ本体1を断熱被覆管Aから離したのち、一方の直状刃9aの前端から前方に突出している顎部4の前端屈折端部4aを断熱被覆管Aの上記切断箇所a1の適所に差し込み、図6、図7に示すようにその屈折端部4aの外端面で切断箇所a1の内周側に残存している薄肉部を突き破ると共に直状刃9aを断熱被覆管Aの先端側に向ける。この状態にしてカッタ本体1を断熱被覆管Aの長さ方向に先端に向かって移動させると、断熱被覆管Aの内周面と該断熱被覆管A内の給排湯管B、Cの被覆フィルムDとの間に抜け止め状態に挿入している上記屈折端部4aをガイドとして直状刃9aにより断熱被覆管Aの一部が切断箇所a1から先端面に亘って直線状に分断a2される。
【0031】しかるのち、分断a2された断熱被覆管部分に指先を挿入してその分断対向面を離間する方向に拡げると、断熱被覆管Aの上記切断箇所a1の内周側に残存している薄肉部が切り離されながら断熱被覆管Aが展開され、切断箇所a1から先端間の断熱被覆管部分を取り外して給排湯管B、Cを外部に露出させることができる。
【0032】こうして、断熱被覆管Aの先端部を除去して給排湯管B、Cの先端部を露出させたのち、これらの給排湯管B、Cを被覆している筒状の被覆フィルムDの剥離作業を行う。この作業は図8、図9に示すように、カッタ本体1における他方の顎部5を給排湯管B、Cの先端面側に向けて引き揃えられた給排湯管B、Cの対向周面間で形成しているV字状の空間部a3に先端側から挿入し、顎部5の外端面(下面)を給排湯管B、C間上に押し付けるか、或いは、被覆フィルムDの端部上に押し当てて該端部を給排湯管B、C間に没入させて給排湯管B、C上に接触させる。
【0033】この際、カッタ本体1を形成している2枚の本体半片1a、1bにおいて、上記他方の顎部5を形成している顎部片5'、5'の一方を直状刃9bから僅かに前方に突出させていると共に他方の顎部片5'を短くしてその前端を上記直状刃9bの前端から後方側に位置させてあり、且つ、直状刃9bから突出している顎部片5'の外側端面を直状刃9bの前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面5aに形成しているので、顎部5を給排湯管B、C同士の引き揃え対向部における上周面に押し付けた時に、図10に示すように顎部片5'の傾斜端面5aが給湯管B又は排湯管Cの外周面上をこれらの給排湯管B、C間の接合対向面に向かって滑り落ち、この顎部片5'の内面に接した上記直状刃9bを上記V字状空間部a3の幅方向の中央部に自動的に正確に位置させる。
【0034】この状態にしてカッタ本体1を給排湯管B、Cの長さ方向に移動させると、顎部片5'が給排湯管B、C間に保持されながら直状刃9bが正確に給排湯管B、Cの長さ方向に移動し、筒状の被覆フィルムDを確実且つ円滑に分断、除去することができるものである。
【0035】なお、以上の実施例においては、両側直状刃9a、9bを設けている刃体9をカッタ本体1の拡大頭部3に設けている長孔11をガイドとして前後方向に移動させたのち固定させる機構として、螺子部材12の螺子棒部12a の頭部12c 下面を拡大頭部3上に圧着させる機構を採用しているが、図11、図12に示すように、カッタ本体1を形成している本体半片1a、1bにおいて、これらの本体半片1a、1bに上記長孔11を共通して設けると共に一方の本体半片1a側の長孔11の両端部に該長孔11の幅よりも大径の円形孔部11a 、11b を設けてこの円形孔部11a 、11b のいずれか一方に円形ナット体12b'を係脱自在に嵌合させ、他方の本体半片1b側から螺子部材12の螺子棒部12a の端部を刃体9の後端中央部に貫通、連結させた状態に挿入して上記円形ナット体12b'に螺合させると共にこの螺子棒部12a の頭部12c と本体半片1bとの対向面間にスプリング15を圧縮状態で介在させた構造としておいてもよい。その他の構成については上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】このように構成したので、不使用時には円形ナット体12b'を後方側の円形孔部11b に嵌合、係止させて刃体9がその両側直状刃9a、9bを不測に凹円弧状のパイプ受止端面7、8から突出するのを阻止した状態に維持する。そして、使用時には螺子棒部12a の頭部12c をスプリング15の力に抗して押し下げると、円形ナット体12b'が円形孔部11b から離脱するので、この状態を維持したまま螺子棒部12a を前方に移動させ、長孔11の前端部に達した時にその押圧力を解くと、スプリング15の復元力によって螺子棒部12a が押し上げられると共に円形ナット体12b'が前方側の円形孔部11a に嵌入、係止し、刃体9の両側直状刃9a、9bを凹円弧状のパイプ受止端面7、8から所定長、突出させた状態に保持するものである。
【0037】なお、以上の実施例においては、床暖房に使用する給排湯管B、Cを被覆した断熱被覆管Aを本発明の切断カッタにより切断する場合について説明したが、この切断カッタは、給排湯管のような行き管と戻り管とを被覆した断熱被覆管以外に、エアコンや風呂暖房、風呂乾燥、風呂の挿し湯、追い焚き配管を被覆した断熱被覆管の切断用として、さらには、給水や給湯を行う1本のプラスチック管を内装した断熱被覆管の切断用としても使用することができる。また、管が被覆フィルムDによって被覆されていない場合にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明の断熱被覆管の切断カッタによれば、カッタ本体の拡大頭部の前半両側部を二股状に分岐させて顎部に形成していると共にこれらの顎部の対向内端面間を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口に形成し、且つこの受け口の周縁部を形成している上記両側顎部の対向内端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面に形成し、さらに、両側顎部に直状刃を後端から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させ且つ凹円弧状の上記受止端面にその前後端部が交差するように設けて凹円弧状の受止端面からの直状刃の突出幅を直状刃の長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くしているので、給排湯管等の管を被覆している断熱被覆管の切断すべき部分をカッタ本体の断熱被覆管受け口に対して直交するように向けて該受け口内に挿入することにより、両側の直状刃に直接、当接させて該直状刃により該断熱被覆管を厚み方向に簡単に切り込むことができると共に、断熱被覆管の外周面両側部が凹円弧状の受止端面に当接、受止されるので、それ以上の切り込みが行われなく、直状刃を断熱被覆管の所定深さまで正確に切り込むことができる。
【0039】その上、上記切断カッタは、その断熱被覆管受止端面を凹円弧状に形成していると共にこの凹円弧状の受止端面から突出している直状刃の突出幅をその長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くなるように形成しているので、大径断熱被覆管を切断する時には、該大径断熱被覆管の外周面両側部が互いにV字状に対向している両側直状刃の長さ方向の中央部、即ち、凹円弧状の受止端面から最も幅広く突出している刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込むことができ、小径断熱被覆管を切断する時には、該小径断熱被覆管の外周面両側部が両側直状刃における凹円弧状の受止端面からの突出幅が狭い刃部によってその内周面側の厚みを僅かに残した深さまで切り込むことができるものである。
【0040】このように、両側の直状刃を断熱被覆管の外周面両側部から内周面側の厚みを僅かに残した深さにまで切り込んだのち、カッタ本体の把手を断熱被覆管回りに回動させることによって、断熱被覆管の所定部分を全周に亘って直状刃によりその内周面側を僅かに薄く残した状態で切断することができ、従って、この断熱被覆管により被覆されている内部の給排湯管等の管を全く傷付けることなく正確且つ能率良く断熱被覆管の所定部分を切断することができる。
【0041】また、請求項2に係る発明によれば、上記カッタ本体は2枚の本体半片を重ね合わせて一体に連結することにより形成していると共に、これらの本体半片の対向内端面間に受止端面の後端側から両側前端に向かって互いにV字状に外側方に傾斜してなる一対の直状刃を一体に設けてなる板状の刃体を受止端面から前後方向に出没自在に介在させているので、構造が簡単で安価に製造することができると共に2枚の本体半片間の隙間を通じて刃体を円滑に且つ正確に前後動させて凹円弧状の受止端面から出没させることができる。
【0042】さらに、請求項3に係る発明によれば、上記カッタ本体における一方の顎部の前端部をこの顎部側の直状刃の前端から前方に突出させ且つその前端を内側に向かって屈折させた屈折端部に形成しているので、この屈折端部を断熱被覆管の上記切断箇所における適所に差し込むことにより、内部の給排湯管等の管を何等損傷させることなく断熱被覆管の内周側の残存薄肉部を該屈折端部の外端面で簡単に突き破ることができ、その上、この屈折端部を断熱被覆管の内周面と給排湯管等の管の被覆フィルムとの間に介入させた状態を維持するので、直状刃に対して該屈折端部を断熱被覆管の長さ方向に正確に先行移動させながら直状刃により給排湯管を傷つけることなく断熱被覆管を先端面までに円滑に分断することができ、分断後に断熱被覆管の分断対向面間を拡げることによって内周側の薄肉部が簡単に切り離され、給排湯管等の管を露出させることができる。
【0043】請求項4に係る発明によれば、カッタ本体は2枚の本体半片を組み合わせてることによって形成していると共に上記他方の顎部を形成している部分においては、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片の内面に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成しているので、引き揃えた給湯管と排湯管等の両管の対向周面間で形成されているV字状空間部内に上記顎部の外側端面を挿入するか、或いは、筒状の被覆フィルム上に押し当てることにより、一方の本体半片における顎部片の傾斜端面によって直状刃を上記V字状空間部の幅方向の中央部に自動的に位置させることができ、給排湯管等の管に直状刃が接触することなく筒状フィルムを給排湯管等の管の長さ方向に確実且つ円滑に分断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切断カッタの斜視図、
【図2】その正面図、
【図3】その一部を断面した側面図、
【図4】使用状態を示す斜視図、
【図5】その正面図、
【図6】断熱被覆管を長さ方向に分断する場合の使用状態図、
【図7】その一部の斜視図、
【図8】被覆フィルムを切断する場合の使用状態図、
【図9】その一部の斜視図、
【図10】切断状態を示す平面図、
【図11】本発明の他の実施例を示す正面図、
【図12】その側面図。
【符号の説明】
1 カッタ本体
2 把手部
3 拡大頭部
4、5 両側顎部
4a 屈折端部
6 パイプ受け口
7、8 凹円弧状のパイプ受止端面
9 刃体
9a、9b 直状刃
A 断熱被覆管
B、C 給排湯管
D 被覆フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給排湯管や給水管等の管を被覆した発泡合成樹脂製の断熱被覆管の切断カッタであって、カッタ本体は把手部の前端に偏平板状の拡大頭部を一体に設けてなり、この拡大頭部の前半両側部を二股状に分岐させて顎部に形成していると共にこれらの顎部の対向内端面間を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口に形成し、且つこの受け口の周縁部を形成している上記両側顎部の対向内端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面に形成し、さらに、両側顎部に直状刃を後端から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させ且つ凹円弧状の上記受止端面にその前後端部が交差するように設けて凹円弧状の受止端面からの直状刃の突出幅を直状刃の長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くし、大小径の断熱被覆管を突出幅が大きい刃部と小さい刃部とによりその内周面側の厚みを僅かに残してそれぞれ切断するように構成していることを特徴とする断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項2】 上記カッタ本体は2枚の本体半片を重ね合わせて一体に連結することにより形成していると共に、これらの本体半片の対向内端面間に断熱被覆管受止端面の後端側から両側前端に向かって互いにV字状に外側方に傾斜してなる一対の直状刃を一体に設けてなる板状の刃体を上記受止端面から前後方向に出没自在に介在させていることを特徴とする請求項1に記載の断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項3】 一方の顎部の前端部をこの顎部側の直状刃の前端から前方に突出させ且つその前端を内側に向かって屈折させた屈折端部に形成していることを特徴とする請求項1に記載の断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項4】 2枚の本体半片における他方の顎部を形成している部分において、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片の内面に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項1】 給排湯管や給水管等の管を被覆した発泡合成樹脂製の断熱被覆管の切断カッタであって、カッタ本体は把手部の前端に偏平板状の拡大頭部を一体に設けてなり、この拡大頭部の前半両側部を二股状に分岐させて顎部に形成していると共にこれらの顎部の対向内端面間を前方に向かって拡開した断熱被覆管受け口に形成し、且つこの受け口の周縁部を形成している上記両側顎部の対向内端面を凹円弧状の断熱被覆管受止端面に形成し、さらに、両側顎部に直状刃を後端から前端に向かって互いに外側方にV字状に傾斜させ且つ凹円弧状の上記受止端面にその前後端部が交差するように設けて凹円弧状の受止端面からの直状刃の突出幅を直状刃の長さ方向の中央部から前後両端に向かって徐々に幅狭くし、大小径の断熱被覆管を突出幅が大きい刃部と小さい刃部とによりその内周面側の厚みを僅かに残してそれぞれ切断するように構成していることを特徴とする断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項2】 上記カッタ本体は2枚の本体半片を重ね合わせて一体に連結することにより形成していると共に、これらの本体半片の対向内端面間に断熱被覆管受止端面の後端側から両側前端に向かって互いにV字状に外側方に傾斜してなる一対の直状刃を一体に設けてなる板状の刃体を上記受止端面から前後方向に出没自在に介在させていることを特徴とする請求項1に記載の断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項3】 一方の顎部の前端部をこの顎部側の直状刃の前端から前方に突出させ且つその前端を内側に向かって屈折させた屈折端部に形成していることを特徴とする請求項1に記載の断熱被覆管の切断カッタ。
【請求項4】 2枚の本体半片における他方の顎部を形成している部分において、一方の本体半片の顎部片を直状刃の前端から僅かに前方突出させ、他方の本体半片の顎部片を直状刃の前端に対して後方側に設けることによって直状刃の前端部を一方の本体半片の顎部片の内面に接して露出させていると共にこの一方の本体半片における顎部片の外側端面を直状刃の前端部に向かって徐々に薄肉となる傾斜端面に形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の断熱被覆管の切断カッタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図9】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2003−19373(P2003−19373A)
【公開日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−204596(P2001−204596)
【出願日】平成13年7月5日(2001.7.5)
【出願人】(000236159)三菱化学産資株式会社 (101)
【出願人】(000132079)株式会社スーパーツール (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年7月5日(2001.7.5)
【出願人】(000236159)三菱化学産資株式会社 (101)
【出願人】(000132079)株式会社スーパーツール (11)
【Fターム(参考)】
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