断面レイアウト計算装置、断面レイアウト計算方法、及び、断面レイアウト計算プログラム
【課題】線材の初期配置に対応した現実的な線材束の断面レイアウトを算出する。
【解決手段】幾何学情報取得手段11aにて幾何学情報が取得されると、該幾何学情報に対応する配置情報が配置情報取得手段11bによって取得される。境界情報算出手段11cにて前記配置情報に基づいた境界情報が算出されると、束ね形状情報取得手段11dにて境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報が取得される。境界情報変形手段11eにて境界情報が束ね形状情報に向かって変形されると、配置情報変更手段11fにて境界情報と断面図形との接触又は断面図形同士の接触に応じて、境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動が算出され、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報が変更される。当該変更された配置情報に基づいた断面レイアウト情報が断面レイアウト情報出力手段11gによって出力される。
【解決手段】幾何学情報取得手段11aにて幾何学情報が取得されると、該幾何学情報に対応する配置情報が配置情報取得手段11bによって取得される。境界情報算出手段11cにて前記配置情報に基づいた境界情報が算出されると、束ね形状情報取得手段11dにて境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報が取得される。境界情報変形手段11eにて境界情報が束ね形状情報に向かって変形されると、配置情報変更手段11fにて境界情報と断面図形との接触又は断面図形同士の接触に応じて、境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動が算出され、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報が変更される。当該変更された配置情報に基づいた断面レイアウト情報が断面レイアウト情報出力手段11gによって出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算装置、断面レイアウト計算方法、及び、断面レイアウト計算プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両や屋内には、複数の電線等の線材が束ねられて構成され、電子機器、電子部品等を電気的に接続するワイヤハーネス(線材束)が配索されている。このようなワイヤハーネスは、近年、スペース効率向上等の観点から、電気的特性を低下させず、且つできるだけコンパクトなものが求められている。これにともない、設計段階において、より正確にワイヤハーネスの外形を計算する必要がでてきていた。
【0003】
そこで、本出願人は、特許文献1,2等に示す線材パッキング計算方法等を提案してきた。特許文献2の算出方法では、複数の線材の配置条件を設定し、予め定められた試行回数だけ繰り返して、複数の線材を互いに重ならないようにランダムに初期配置され、初期配置される毎に、複数の線材に対するパッキング包含円を求めると共に、このパッキング包含円及びこのときの複数の円の位置に関する情報を算出する。そして、複数の円の位置に関する情報に基づいて、配置条件が満たされているか否かを判定し、配置条件が満たされていると判定したときにのみ、パッキング包含円及び複数の円の位置に関する情報を表示出力する。
【特許文献1】特開2004−127917号公報
【特許文献2】特開2005−173789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献2等では計算の途中にランダムな過程があったため、線材の初期配置を保持することができず、計算結果がランダムなものになっていた。そのため、複数の線材を束ねてワイヤハーネスを作成する場合、各線材の初期配置からあり得ない位置に移動される可能性があり、非現実的な計算結果となっていた。また、従来の方法では、複数の小円を大円で束ねる以外の形状を計算することができず、多種多様なワイヤハーネスの断面形状に対応することができなかった。
【0005】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、線材の初期配置に対応した現実的な線材束の断面レイアウトを算出することができる断面レイアウト計算装置、断面レイアウト計算方法、及び、断面レイアウト計算プログラムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の断面レイアウト計算装置は、図1の基本構成図に示すように、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算装置10であって、前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段11aと、前記幾何学情報取得手段11aが取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段11bと、前記配置情報取得手段11bが取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段11cと、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段11dと、前記束ね形状情報取得手段11dが取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段11eと、前記境界情報変形手段11eが変形している前記境界情報と前記断面図形の接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段11fと、前記配置情報変更手段11fが変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段11gと、を有することを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に記載した本発明の断面レイアウト計算装置によれば、幾何学情報取得手段11aによって幾何学情報が取得されると、該幾何学情報に対応する配置情報が配置情報取得手段11bによって取得される。境界情報算出手段11cによって前記配置情報に基づいた境界情報が算出されると、束ね形状情報取得手段11dによって境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報が取得される。そして、境界情報変形手段11eによって境界情報が束ね形状情報に向かって変形されると、配置情報変更手段11fによって境界情報と断面図形との接触や断面図形同士の接触に応じた境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動が算出され、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報が変更される。そして、当該変更された配置情報に基づいた断面レイアウト情報が断面レイアウト情報出力手段11gによって表示装置、通信装置等に出力される。
【0008】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の断面レイアウト計算装置において、前記配置情報変更手段11fが、前記境界情報変形手段11eによって前記複数の断面図形が前記束ね形状情報内に収まるように密集された後、該密集している複数の断面図形の重なり部分を解消するように、複数の断面図形の各々の配置を調整して前記配置情報を変更する手段であることを特徴とする。
【0009】
上記請求項2に記載した本発明の断面レイアウト計算装置によれば、境界情報変形手段11eによって複数の断面図形が束ね形状情報内に収まるように密集されると、配置情報変更手段11fによって、該密集している複数の断面図形の重なり部分を解消するように、複数の断面図形の各々の配置が調整されて配置情報が変更される。
【0010】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の断面レイアウト計算装置において、前記幾何学情報が定義する複数の断面図形の断面積の総和に基づいて、前記束ね形状情報を算出する束ね形状情報算出手段11hを有し、前記束ね形状情報取得手段11dが、前記束ね形状情報算出手段11hの算出した束ね形状情報を取得する手段であることを特徴とする。
【0011】
上記請求項3に記載した本発明の断面レイアウト計算装置によれば、束ね形状情報算出手段11hによって複数の断面図形の断面積の総和に基づいて束ね形状情報が算出されると、該束ね形状情報が束ね形状情報取得手段11dによって取得される。
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載の断面レイアウト計算方法は、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算方法であって、前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得工程と、前記取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得工程と、前記取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出工程と、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得工程と、前記取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形工程と、前記境界情報変形工程で変形した前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更工程と、前記変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記請求項4に記載した本発明の断面レイアウト計算方法によれば、束ね対象の線材に対応した幾何学情報が取得されると、該幾何学情報に対応する配置情報が取得される。そして、その配置情報に基づいた境界情報が算出されると、その境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報が取得される。そして、その境界情報が束ね形状情報に向かって変形されると、境界情報と断面図形との接触や断面図形同士の接触に応じた境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動が算出され、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報が変更される。そして、その変更された配置情報に基づいた断面レイアウト情報が表示装置、通信装置等に出力される。
【0014】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の断面レイアウト計算プログラムは、図1の基本構成図に示すように、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する手段としてコンピュータを機能させるための断面レイアウト計算プログラムであって、前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段11aと、前記幾何学情報取得手段11aが取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段11bと、前記配置情報取得手段11bが取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段11cと、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段11dと、前記束ね形状情報取得手段11dが取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段11eと、前記境界情報変形手段11eが変形している前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段11fと、前記配置情報変更手段11fが変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段11gと、してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0015】
上記請求項5に記載した本発明の断面レイアウト計算プログラムによれば、コンピュータは、束ね対象の線材に対応した幾何学情報を取得すると、該幾何学情報に対応する配置情報を取得する。そして、その配置情報に基づいた境界情報を算出すると、その境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する。そして、その境界情報を束ね形状情報に向けて変形すると、境界情報と断面図形との接触又は断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動を算出し、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報を変更する。そして、その変更した配置情報に基づいた断面レイアウト情報を表示装置、通信装置等に出力する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1,4,5に記載した本発明によれば、線材に対応した断面図形の初期配置を取得し、これに対応した境界情報と束ね形状情報を取得し、境界情報を束ね形状情報に向けて変形させたときに、境界情報と断面図形との接触又は断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動を算出し、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報を変更するようにしたことから、断面図形を初期配置から現実的な束ね形状情報に移動させることができるため、断面図形が非現実的な位置に移動することを防止できる。従って、線材の初期配置に対応した現実的な線材束の断面レイアウトを算出することができるため、断面レイアウトの設計を的確に支援することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、複数の断面図形が束ね形状情報内に収まるように密集させたとき、複数の断面図形同士の重なり部分を解消するように複数の断面図形の各々の配置を調整するようにしたことから、線材の初期配置に対応したより一層現実的な線材束の断面レイアウトを算出することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、複数の断面図形の断面積の総和に基づいて束ね形状情報を算出し、該束ね形状情報を取得するようにしたことから、人的に設定、入力等を行う必要がなくなり、且つ、断面レイアウトに対する複数の断面図形の充填率等を考慮することができるため、断面レイアウトの設計をより一層的確に支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る断面レイアウト計算装置を用いてワイヤハーネスの断面レイアウトを計算する場合の一例を、図2〜図26の図面を参照して以下に説明する。
【0020】
図2において、ワイヤハーネスWは、線材に相当する電線を複数束ねて形成されている。ワイヤハーネスWは、複数の電線を束ねた電線束W1と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタW2などを備えている。そして、電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタW2は、導電性の端子金具と絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、電線の端部などに取りつけられかつ該電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ端子金具を収容する。
【0021】
本実施形態では、請求項中の線材を電線とし、線材束をワイヤハーネスWの電線束W1とした場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば線材をホース、パイプなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0022】
図3において、断面レイアウト計算装置10は、公知であるコンピュータを用いており、予め定めたプログラムに従って装置全体の動作の制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11を有している。このCPU11には、バスBを介してCPU11のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM12、CPU11の処理作業に必要な各種データを格納する作業エリア等を有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM13が接続されている。
【0023】
CPU11には、記憶装置14がバスBを介して接続されており、この記憶装置14にはハードディスク装置、大容量のメモリなどが用いられる。記憶装置14は、図4に示すように、断面レイアウト計算プログラムP等の各種プログラムと、幾何学情報D1、配置情報D2、境界情報D3、束ね形状情報D4、等の各種情報とを記憶する記憶領域を有している。そして、断面レイアウト計算プログラムP等は、CD−ROM等からインストールされたり、ネットワークを介してダウンロードされて記憶装置14に記憶される。
【0024】
断面レイアウト計算プログラムPは、複数の電線を束ねたワイヤハーネスの断面レイアウトを計算する手段としてコンピュータを機能させるための断面レイアウト計算プログラムであって、前記複数の電線の各々の断面形状を定義する幾何学情報D1を取得する幾何学情報取得手段11aと、前記幾何学情報取得手段11aが取得した幾何学情報D1が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報D2を取得する配置情報取得手段11bと、前記配置情報取得手段11bが取得した配置情報D2に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報D3を算出する境界情報算出手段11cと、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報D4を取得する束ね形状情報取得手段11dと、前記束ね形状情報取得手段11dが取得した束ね形状情報D4に向かって前記境界情報D3を変形する境界情報変形手段11eと、前記境界情報変形手段11eが変形している前記境界情報D3と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報D3内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段11fと、前記配置情報変更手段11fが変更した前記配置情報D2に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段11gと、してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムとなっている。
【0025】
幾何学情報D1は、束ねる対象の電線の各々の断面形状、サイズ等を示すデータを有している。断面形状が示す断面図形としては、円、複数の線が連なった形状、三角、四角などの任意の形状、ポリライン等の断面図形が一例として挙げられ、円の場合は半径、四角の場合は幅と高さ、ポリラインの場合は各点の位置座標等の特定の図形を定義することが可能なデータ構造となっている。
【0026】
配置情報D2は、上述した断面図形の予め定められた所定領域における配置を示すデータを有している。なお、所定領域とは、上述した電線束W1の断面レイアウトの計算を行う場合に任意に設定される2次元領域である。配置情報D2としては、所定領域の任意の座標系における各々の軸成分で得られるX−Y座標の座標データ等が挙げられる。配置情報D2は、幾何学情報D1に関連付けて記憶装置14に記憶している。
【0027】
これらの幾何学情報D1と配置情報D2は、記憶装置14に予め記憶しておく、計算時に通信装置16を介して他の装置等から取得して記憶装置14に記憶するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0028】
境界情報D3は、図5に示すように、上述した配置情報D2に基づいて所定領域Eに配置される複数の断面図形Gの全てを囲む枠状の境界を定義するための位置座標、形状とサイズなど任意のデータを有している。境界情報D3は、利用者等によって入力された境界としたり、複数の断面図形Gに基づいて自動で算出するなど断面レイアウト計算装置10の仕様等に応じて任意に定めることができる。そして、境界情報D3の算出方法の一例としては、図5(a)に示すように全ての断面図形Gの外形形状から算出される凸包み図形として算出する、図5(b)に示すように全ての断面図形Gを含む矩形や円形などの任意形状の図形として算出するなどの方法が挙げられる。
【0029】
束ね形状情報D4は、図6に示すように、境界情報D3の内側等の任意に設定され、複数の電線を束ねた電線束W1の断面レイアウトの形状を示す情報となっている。束ね形状情報D4は、利用者が電子ペン等によって入力した入力データに基づいて作成されたり、予め定められた方法で算出して作成される。
【0030】
束ね形状情報D4を自動で算出する方法としては、円である断面図形Gを複数束ねる場合、最小図形、最大図形等に基づいて算出する方法等が挙げられる。そして、最小図形から算出する場合、つまり充填率100%に相当する円を最小の図形とし、複数の断面図形Gの各々の面積の総和から総面積Sを求め、該総面積Sから最小図形の半径r1(=SQRT(S/π))を求めることで、束ね形状情報D4を決定する。
【0031】
また、最大図形から算出する場合、つまり充填率50%に相当する円を最大の図形とし、複数の断面図形Gの各々の面積の総和から総面積Sを求め、該総面積Sを2倍した値から最大図形の半径r2(=SQRT(2*S/π))を求めることで、束ね形状情報D4を決定する。
【0032】
境界情報D3の変形方法の一例としては、図6に示すように、境界情報D3及び束ね形状情報D4をポリラインで作成し、図6(a)に示すように各ポリラインの各点D31,D41を対応させる。そして、図6(b)に示すように相対する点D31と点D41の間の各々に対応した所定の刻み幅Δtで、境界情報D3の点D31を点D41に向けて移動させることで、境界情報D3を束ね形状情報D4に近似した形状に変形する。刻み幅Δtとして時間を用いる場合、例えばΔt=0.05秒等が任意に設定される。なお、境界情報D3の変形方法については、ポリラインに限定するものではなく、境界情報D3と断面図形Gとの衝突判定ができれば、種々異なる変形方法を用いることができる。
【0033】
また、上述したCPU11には、入力装置15、通信装置16、表示装置17等がバスBを介して接続されている。入力装置15は、キーボード、マウス等を有しており、利用者の操作に応じた入力データをCPU11に出力する。通信装置16は、LANカード、携帯電話用モデム等の通信機器を用いており、受信した情報をCPU11に出力するとともに、CPU11から入力された情報を指示された送信先に送信する。
【0034】
表示装置17は、周知である液晶ディスプレイ、CRT等の各種表示器が用いられる。そして、表示装置17は、CPU11の制御によって各種情報を表示する。つまり、表示装置17は、それらの各種情報に基づいて、断面レイアウト情報等を示す各種画面を表示する。
【0035】
次に、上述したCPU11が記憶装置14の断面レイアウト計算プログラムPを実行したときの断面レイアウト計算処理の一例を、図7のフローチャートを参照して以下に説明する。なお、説明を簡単化するために、図7に示すフローチャートは複数の電線を円形に束ねることを前提としている。
【0036】
CPU11によって断面レイアウト計算プログラムPが実行されると、ステップS11において、上述した電線束W1を構成する電線に対応した幾何学情報D1が記憶装置14等から取得されてRAM13に記憶され、ステップS12において、それらの幾何学情報D1に対応した配置情報D2が記憶装置14等から取得されてRAM13に記憶され、その後ステップS13に進む。
【0037】
ステップS13において、RAM13の幾何学情報D1と配置情報D2とに基づいて、上述した図5に示すようにポリラインである境界情報D3が算出されてRAM13に記憶され、ステップS14において、RAM13の幾何学情報D1に基づいて複数の断面図形Gの総面積が算出され、その総面積と予め定められた条件(上述した充填率等)とに基づいて束ね形状算出処理の実行により半径が算出され、その半径からポリラインである束ね形状情報D4が算出され、ステップS15において、その束ね形状情報D4が束ね形状算出処理から取得されてRAM13に記憶され、その後ステップS15に進む。
【0038】
なお、束ね形状情報D4の取得方法としては、表示装置17に境界設定画面等を表示し、その画面によって利用者に設定を促し、入力装置15からの入力情報に基づいて作成した束ね形状情報D4を取得する方法や、予め定められた記憶領域から束ね形状情報D4を取得するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0039】
ステップS16において、上述した図6に示すように、境界情報D3の点D31の各々が所定の刻み幅分Δt分だけ束ね形状情報D4の対応する点D41に向かって移動されて境界情報D3が変更(変形)され、ステップS17に進む。
【0040】
ステップS17において、変形した境界情報D3と複数の断面図形Gとの接触に応じて、当該境界情報D3内における複数の断面図形Gの各々の挙動が境界情報D3と断面図形Gとの衝突、断面図形G同士の衝突等の力学的な計算により、複数の断面図形Gの各々の新たな位置が算出され、その位置となるようにRAM13の配置情報D2が変更され、その後ステップS18に進む。
【0041】
なお、円形の複数の断面図形Gの各々の挙動を計算する場合、公知である個別要素法(Distinct Element Method,DEM)、粒子法、分子動力学法、有限要素法、等のシミュレーション手法で用いられる各種方法を適用することで計算することができる。そして、個別要素法を用いる場合、接触点における要素の相対変位の評価で用いられる各種算出式を用いて、各断面図形Gの周囲の断面図形G又は境界情報D3に対する作用反作用等を考慮して各断面図形Gの移動方向、移動量等が算出されることで、各断面図形Gの新たな位置を算出する。
【0042】
ステップS18において、境界情報D3が束ね形状情報D4に変形したか否かが判定される(境界情報D3=束ね形状情報D4)。束ね形状情報D4まで変形していないと判定された場合(S18でN)、ステップS16に戻り、所定の刻み幅分Δtが束ね形状情報D4に向かってずらされて、上述した一連の処理が繰り返される。一方、束ね形状情報D4まで変形したと判定された場合(S18でY)、ステップS19に進む。
【0043】
なお、本実施形態では、境界情報D3を束ね形状情報D4まで変形させる場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、複数の断面図形Gを束ね形状方法D4の形状に近い形で密集させるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0044】
ステップS19において、RAM13の最新の配置情報D3に基づいて、密集させた複数の断面図形Gの中で重なった部分が生じていると、その重なり部分を解消するように、予め定められた解消方法で断面図形Gが移動されて調整され、重なり部分が解消した後に各断面図形Gの配置が決まると、ステップS20において、RAM13の配置情報D2が重なり部分が解消した後の配置となるように変更され、その後ステップS21に進む。
【0045】
ここで、上述した解消方法の一例を、図8の図面を参照して説明する。まず、予め定められた開始位置である中心付近の断面図形G1の位置を固定する。そして、この断面図形G1の周りに位置する断面図形G2に対し、断面図形G1と重なっていないものは、その位置を固定する。また、断面図形G1と重なっているものは、その重なり分だけ重なりを解消する方向Xに移動させて重なりを解消し、それを断面図形G2の新たな位置として固定する。これらと同一の処理を断面図形G2よりも外側の断面図形G3に行うことで、電線束W1の断面レイアウトから重なり部分を解消することができる。
【0046】
ステップS21において、RAM13の配置情報D2に基づいて電線束W1の断面レイアウトを示す断面レイアウト情報D5がRAM13に生成され、その後ステップS22に進む。また、断面レイアウト情報の作成方法の一例を図9を参照して説明する。複数の断面図形Gの重なり部分が解消された後、断面図形Gが境界情報D3からはみ出している場合、そのはみ出しを解消するために、はみ出し量の最も多い方向に、境界情報D3の中心をはみ出し量に応じた任意の分量(例えば、はみ出し量の1/4等)だけ移動させ、境界情報D3を拡大する。この操作を繰り返すことで、拡大した境界情報D3’が複数の断面図形Gの全てを包含した形状を断面レイアウトの形状として求め、その形状を示す断面レイアウト情報D5を作成する。なお、断面レイアウト情報D5としては、断面図形Gの配置情報をそのまま表示するためのデータ構造、配置情報を視覚的に表示するためのデータ構造など、仕様等に応じて任意のデータ構造とすることができる。
【0047】
ステップS22において、その断面レイアウト情報D5が表示装置17に出力されることで、表示装置17には図10に示す断面レイアウト情報D5が表示され、その後処理を終了する。なお、本実施形態では、断面レイアウト情報D5が複数の断面図形5と外周Tを表示するための情報とした場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、外周Tのみを表示する、外周Tの半径を表示するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0048】
以上説明したように、CPU11は図7に示す断面レイアウト計算処理を実行することで、CPU11が図1に示す請求項中の幾何学情報取得手段11a、配置情報取得手段11b、境界情報取得手段11c、束ね情報取得手段11d、境界情報変形手段11e、配置情報変更手段11f、断面レイアウト情報出力手段11g、及び、束ね形状情報算出手段11hとして機能することになる。そして、図7中のステップS11が幾何学情報取得手段11a、ステップS12が配置情報取得手段11b、ステップS13が境界情報取得手段11c、ステップS15が束ね情報取得手段11d、ステップS16が境界情報変形手段11e、ステップS17,S20が配置情報変更手段11f、ステップS22が断面レイアウト情報出力手段11g、ステップS14が束ね形状情報算出手段11hにそれぞれ相当している。
【0049】
次に、上述した断面レイアウト計算装置10の動作(作用)の一例を、図11〜図24の図面を参照して以下に説明する。なお、所定領域はX−Y平面領域となしている。
【0050】
断面レイアウト計算装置10は、幾何学情報D1とそれに対応した配置情報D2を取得すると、図11に示すように円形の20個の断面図形G1〜G20を所定領域Eに配置し、図12に示すように断面図形G1〜G20の全てを囲む方形状の境界情報D3を算出する。そして、境界情報D3に対応した束ね形状情報D4を取得し、図13及び図14に示すように、方形状の境界情報D3を円形状の束ね形状情報D4に向けて段階的に変形させ、図15に示す目的とする束ね形状情報D4の形状まで境界情報D3を変形させる。
【0051】
このとき、断面図形G1〜G20は変形する境界情報D3との接触によって移動することになり、断面図形G1〜G20同士、又は断面図形G1〜G20と境界情報D3との衝突を、それぞれ力学的に個別要素法等を用いて算出することで、断面図形G1〜G20の配置を変更する。そして、境界情報D3を図15に示す束ね形状情報D4の形状まで変形させることで、断面図形G1〜G20の仮の配置を算出する。
【0052】
図16に示すように中心には断面図形G8が位置することから、まず、断面図形G8の位置を固定する。そして、断面図形G8の周囲に位置付けられた断面図形G2,G12,G14というように順次、断面図形G8との重なり部分を解消するように移動させ、図17に示すように、断面図形G8の周りに断面図形G2,G7,G9,G12,G13,G14を接触させた状態で固定する。
【0053】
図18に示す断面図形G2,G7,G9,G12,G13,G14と断面図形G1,G3,G4,G5,G6,G10,G11,G15,G16,G17,G18,G19,G20との重なり部分が解消するように、断面図形G1,G3,G4,G5,G6,G10,G11,G15,G16,G17,G18,G19,G20の各々を重なり部分が解消するように移動させると共に、境界情報D3を拡大させて、図19に示すように断面図形G1〜G20の全てを固定する。
【0054】
境界情報D3からは断面図形G1,G10,G16,G18,G20がはみ出していることから、図20に示すように、境界情報D3の中心を断面図形G1の方向へ拡大させて境界情報D3‘まで移動させ、図21に示すように境界情報D3を再設定する。そして、この境界情報D3からも断面図形G10,G16,G18,G20がはみ出していることから、境界情報D3の中心をG20の方向へ拡大させて図22に示すように境界情報D3を再設定する。
【0055】
図23に示すように境界情報D3内に断面図形G1〜G20の全てを囲む境界情報D3を決定すると、図24に示すように所定の位置に配置して計算を終了し、その断面図形G1〜G20の配置を示すようにRAM13の配置情報D2を変更する。そして、境界情報D3を電線束W2の外形とした断面レイアウト情報を作成し、該断面レイアウト情報を表示装置17に表示する。
【0056】
このように断面レイアウト計算装置10によって、図2に示す計算ポイントP1〜P8等の各々の電線束W1の断面レイアウトを計算することで、ワイヤハーネスWの設計を支援することができる。
【0057】
以上説明した断面レイアウト計算装置10によれば、電線に対応した断面図形Gの初期配置を取得し、これに対応した境界情報D3と束ね形状情報D4を取得し、境界情報D3を束ね形状情報D4に向けて変形させたときに、境界情報D3と断面図形Gとの接触又は断面図形G,G同士の接触の少なくとも一方に応じて、境界情報D3内における複数の断面図形Gの各々の挙動を算出し、複数の断面図形Gの全てを密集させたときの各断面図形Gの配置に配置情報を変更するようにしたことから、断面図形Gを初期配置から現実的な束ね形状情報D4に移動させることができるため、断面図形Gが非現実的な位置に移動することを防止できる。従って、電線の初期配置に対応した現実的な電線束W1の断面レイアウトを算出することができるため、断面レイアウトの設計を的確に支援することができる。
【0058】
また、複数の断面図形Gが束ね形状情報D4内に収まるように密集させたとき、複数の断面図形G同士の重なり部分を解消するように複数の断面図形Gの配置を調整するようにしたことから、電線の初期配置に対応したより一層現実的な電線束W1の断面レイアウトを算出することができる。
【0059】
さらに、複数の断面図形Gの断面積の総和に基づいて束ね形状情報D4を算出し、該束ね形状情報D4を取得するようにしたことから、人的に設定、入力等を行う必要がなくなり、且つ、断面レイアウトに対する複数の断面図形Gの充填率等を考慮することができるため、断面レイアウトの設計をより一層的確に支援することができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、説明を簡単化するために断面図形Gの大きさが均一かつ同一形状である場合について説明したが、断面図形Gを異なる形状且つ異なる大きさ、同一形状で異なる大きさなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、断面レイアウト計算装置10が円形の断面レイアウトを計算する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、種々異なる形状の断面レイアウトの算出に適用することができる。
【0062】
例えば、図25(a)に示すように、複数の断面図形Gaの集合体と複数の断面図形Gbの集合体を並設した初期位置を示す配置情報D2を取得し、それらを囲む境界情報D3を取得する。そして、矩形状の束ね形状情報D4を取得し、上述したように境界情報D3を変形させることで、図25(b)に示すように、矩形状の断面レイアウトを計算することができる。これにより、断面レイアウトの高さと幅等を示す断面レイアウト情報D5を出力することができるため、複数の電線を収容するプロテクタ等の設計を支援することができる。
【0063】
さらに、上述した実施形態において、境界情報D3と断面図形Gとの接触に応じた境界情報D3内における複数の断面図形Gの各々の挙動を算出するときのパラメータとして物体力(重力など)や表面力(摩擦力など)を考慮することで、より一層現実的な断面レイアウトを計算することができる。
【0064】
また、上述した境界情報D3の変形方法については、方形状の境界情報D3を円形に変形させる場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、円形状の境界情報D3を方形に変形させる、方形状の境界情報D3を方形に変形させるなど、多種多様な形状に境界情報D3を設定して任意の形状に変形させることができる。
【0065】
例えば、図26(a)に示すように円形の境界情報D3’を円形の束ね形状情報D4’に変形させる場合、境界情報D3’と束ね形状情報D4’の中心は同じ位置とする。そして、図26(b)に示すように、境界情報D3’の半径をR、断面図形Gの半径をr、そして、境界情報D3’の中心から断面図形Gの中心までの距離をLとした場合、境界情報D3’と断面図形Gとの接触判定は次のように判定することができる。L+r≧Rのときは、境界と接触していると判定する。また、L+r<Rのときは、境界形状の内にあって境界と接触していないと判定する。
【0066】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る断面レイアウト計算装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】ワイヤハーネスの概略構成を説明するための図である。
【図3】断面レイアウト計算装置の概略構成の一例を示す構成図である。
【図4】図3の記憶装置が記憶するプログラム及び各種情報の一例を説明するための図である。
【図5】境界情報の一例を説明するための図である。
【図6】境界情報の変形例を説明するための図である。
【図7】図3のCPUが実行する断面レイアウト計算処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】重なった部分の断面図形の調整例を説明するための図である。
【図9】断面レイアウト情報の作成方法の一例を説明するための図である。
【図10】断面レイアウト情報の表示例を示す図である。
【図11】断面レイアウト計算装置の動作状態1を説明するための図である。
【図12】断面レイアウト計算装置の動作状態2を説明するための図である。
【図13】断面レイアウト計算装置の動作状態3を説明するための図である。
【図14】断面レイアウト計算装置の動作状態4を説明するための図である。
【図15】断面レイアウト計算装置の動作状態5を説明するための図である。
【図16】断面レイアウト計算装置の動作状態6を説明するための図である。
【図17】断面レイアウト計算装置の動作状態7を説明するための図である。
【図18】断面レイアウト計算装置の動作状態8を説明するための図である。
【図19】断面レイアウト計算装置の動作状態9を説明するための図である。
【図20】断面レイアウト計算装置の動作状態10を説明するための図である。
【図21】断面レイアウト計算装置の動作状態11を説明するための図である。
【図22】断面レイアウト計算装置の動作状態12を説明するための図である。
【図23】断面レイアウト計算装置の動作状態13を説明するための図である。
【図24】断面レイアウト計算装置の動作状態14を説明するための図である。
【図25】断面レイアウト計算装置が計算する断面レイアウトの他の形状を示す図であり、(a)は計算前、(b)は計算結果をそれぞれ示している。
【図26】境界情報の他の変形例を説明するための図であり、(a)は境界情報と束ね形状情報の関係を説明するための図、(b)は接触判定の例を説明するための図をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0068】
10 断面レイアウト計算装置
11a 幾何学情報取得手段(CPU)
11b 配置情報取得手段(CPU)
11c 境界情報算出手段(CPU)
11d 束ね形状情報取得手段(CPU)
11e 境界情報変形手段(CPU)
11f 配置情報変更手段(CPU)
11g 断面レイアウト情報出力手段(CPU)
11h 束ね形状情報算出手段(CPU)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算装置、断面レイアウト計算方法、及び、断面レイアウト計算プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両や屋内には、複数の電線等の線材が束ねられて構成され、電子機器、電子部品等を電気的に接続するワイヤハーネス(線材束)が配索されている。このようなワイヤハーネスは、近年、スペース効率向上等の観点から、電気的特性を低下させず、且つできるだけコンパクトなものが求められている。これにともない、設計段階において、より正確にワイヤハーネスの外形を計算する必要がでてきていた。
【0003】
そこで、本出願人は、特許文献1,2等に示す線材パッキング計算方法等を提案してきた。特許文献2の算出方法では、複数の線材の配置条件を設定し、予め定められた試行回数だけ繰り返して、複数の線材を互いに重ならないようにランダムに初期配置され、初期配置される毎に、複数の線材に対するパッキング包含円を求めると共に、このパッキング包含円及びこのときの複数の円の位置に関する情報を算出する。そして、複数の円の位置に関する情報に基づいて、配置条件が満たされているか否かを判定し、配置条件が満たされていると判定したときにのみ、パッキング包含円及び複数の円の位置に関する情報を表示出力する。
【特許文献1】特開2004−127917号公報
【特許文献2】特開2005−173789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献2等では計算の途中にランダムな過程があったため、線材の初期配置を保持することができず、計算結果がランダムなものになっていた。そのため、複数の線材を束ねてワイヤハーネスを作成する場合、各線材の初期配置からあり得ない位置に移動される可能性があり、非現実的な計算結果となっていた。また、従来の方法では、複数の小円を大円で束ねる以外の形状を計算することができず、多種多様なワイヤハーネスの断面形状に対応することができなかった。
【0005】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、線材の初期配置に対応した現実的な線材束の断面レイアウトを算出することができる断面レイアウト計算装置、断面レイアウト計算方法、及び、断面レイアウト計算プログラムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の断面レイアウト計算装置は、図1の基本構成図に示すように、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算装置10であって、前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段11aと、前記幾何学情報取得手段11aが取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段11bと、前記配置情報取得手段11bが取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段11cと、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段11dと、前記束ね形状情報取得手段11dが取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段11eと、前記境界情報変形手段11eが変形している前記境界情報と前記断面図形の接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段11fと、前記配置情報変更手段11fが変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段11gと、を有することを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に記載した本発明の断面レイアウト計算装置によれば、幾何学情報取得手段11aによって幾何学情報が取得されると、該幾何学情報に対応する配置情報が配置情報取得手段11bによって取得される。境界情報算出手段11cによって前記配置情報に基づいた境界情報が算出されると、束ね形状情報取得手段11dによって境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報が取得される。そして、境界情報変形手段11eによって境界情報が束ね形状情報に向かって変形されると、配置情報変更手段11fによって境界情報と断面図形との接触や断面図形同士の接触に応じた境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動が算出され、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報が変更される。そして、当該変更された配置情報に基づいた断面レイアウト情報が断面レイアウト情報出力手段11gによって表示装置、通信装置等に出力される。
【0008】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の断面レイアウト計算装置において、前記配置情報変更手段11fが、前記境界情報変形手段11eによって前記複数の断面図形が前記束ね形状情報内に収まるように密集された後、該密集している複数の断面図形の重なり部分を解消するように、複数の断面図形の各々の配置を調整して前記配置情報を変更する手段であることを特徴とする。
【0009】
上記請求項2に記載した本発明の断面レイアウト計算装置によれば、境界情報変形手段11eによって複数の断面図形が束ね形状情報内に収まるように密集されると、配置情報変更手段11fによって、該密集している複数の断面図形の重なり部分を解消するように、複数の断面図形の各々の配置が調整されて配置情報が変更される。
【0010】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の断面レイアウト計算装置において、前記幾何学情報が定義する複数の断面図形の断面積の総和に基づいて、前記束ね形状情報を算出する束ね形状情報算出手段11hを有し、前記束ね形状情報取得手段11dが、前記束ね形状情報算出手段11hの算出した束ね形状情報を取得する手段であることを特徴とする。
【0011】
上記請求項3に記載した本発明の断面レイアウト計算装置によれば、束ね形状情報算出手段11hによって複数の断面図形の断面積の総和に基づいて束ね形状情報が算出されると、該束ね形状情報が束ね形状情報取得手段11dによって取得される。
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載の断面レイアウト計算方法は、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算方法であって、前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得工程と、前記取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得工程と、前記取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出工程と、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得工程と、前記取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形工程と、前記境界情報変形工程で変形した前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更工程と、前記変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記請求項4に記載した本発明の断面レイアウト計算方法によれば、束ね対象の線材に対応した幾何学情報が取得されると、該幾何学情報に対応する配置情報が取得される。そして、その配置情報に基づいた境界情報が算出されると、その境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報が取得される。そして、その境界情報が束ね形状情報に向かって変形されると、境界情報と断面図形との接触や断面図形同士の接触に応じた境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動が算出され、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報が変更される。そして、その変更された配置情報に基づいた断面レイアウト情報が表示装置、通信装置等に出力される。
【0014】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の断面レイアウト計算プログラムは、図1の基本構成図に示すように、複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する手段としてコンピュータを機能させるための断面レイアウト計算プログラムであって、前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段11aと、前記幾何学情報取得手段11aが取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段11bと、前記配置情報取得手段11bが取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段11cと、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段11dと、前記束ね形状情報取得手段11dが取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段11eと、前記境界情報変形手段11eが変形している前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段11fと、前記配置情報変更手段11fが変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段11gと、してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0015】
上記請求項5に記載した本発明の断面レイアウト計算プログラムによれば、コンピュータは、束ね対象の線材に対応した幾何学情報を取得すると、該幾何学情報に対応する配置情報を取得する。そして、その配置情報に基づいた境界情報を算出すると、その境界情報に対応し且つ線材束の断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する。そして、その境界情報を束ね形状情報に向けて変形すると、境界情報と断面図形との接触又は断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動を算出し、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報を変更する。そして、その変更した配置情報に基づいた断面レイアウト情報を表示装置、通信装置等に出力する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1,4,5に記載した本発明によれば、線材に対応した断面図形の初期配置を取得し、これに対応した境界情報と束ね形状情報を取得し、境界情報を束ね形状情報に向けて変形させたときに、境界情報と断面図形との接触又は断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、境界情報内における複数の断面図形の各々の挙動を算出し、複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に配置情報を変更するようにしたことから、断面図形を初期配置から現実的な束ね形状情報に移動させることができるため、断面図形が非現実的な位置に移動することを防止できる。従って、線材の初期配置に対応した現実的な線材束の断面レイアウトを算出することができるため、断面レイアウトの設計を的確に支援することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、複数の断面図形が束ね形状情報内に収まるように密集させたとき、複数の断面図形同士の重なり部分を解消するように複数の断面図形の各々の配置を調整するようにしたことから、線材の初期配置に対応したより一層現実的な線材束の断面レイアウトを算出することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、複数の断面図形の断面積の総和に基づいて束ね形状情報を算出し、該束ね形状情報を取得するようにしたことから、人的に設定、入力等を行う必要がなくなり、且つ、断面レイアウトに対する複数の断面図形の充填率等を考慮することができるため、断面レイアウトの設計をより一層的確に支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る断面レイアウト計算装置を用いてワイヤハーネスの断面レイアウトを計算する場合の一例を、図2〜図26の図面を参照して以下に説明する。
【0020】
図2において、ワイヤハーネスWは、線材に相当する電線を複数束ねて形成されている。ワイヤハーネスWは、複数の電線を束ねた電線束W1と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタW2などを備えている。そして、電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタW2は、導電性の端子金具と絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、電線の端部などに取りつけられかつ該電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ端子金具を収容する。
【0021】
本実施形態では、請求項中の線材を電線とし、線材束をワイヤハーネスWの電線束W1とした場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば線材をホース、パイプなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0022】
図3において、断面レイアウト計算装置10は、公知であるコンピュータを用いており、予め定めたプログラムに従って装置全体の動作の制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11を有している。このCPU11には、バスBを介してCPU11のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM12、CPU11の処理作業に必要な各種データを格納する作業エリア等を有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM13が接続されている。
【0023】
CPU11には、記憶装置14がバスBを介して接続されており、この記憶装置14にはハードディスク装置、大容量のメモリなどが用いられる。記憶装置14は、図4に示すように、断面レイアウト計算プログラムP等の各種プログラムと、幾何学情報D1、配置情報D2、境界情報D3、束ね形状情報D4、等の各種情報とを記憶する記憶領域を有している。そして、断面レイアウト計算プログラムP等は、CD−ROM等からインストールされたり、ネットワークを介してダウンロードされて記憶装置14に記憶される。
【0024】
断面レイアウト計算プログラムPは、複数の電線を束ねたワイヤハーネスの断面レイアウトを計算する手段としてコンピュータを機能させるための断面レイアウト計算プログラムであって、前記複数の電線の各々の断面形状を定義する幾何学情報D1を取得する幾何学情報取得手段11aと、前記幾何学情報取得手段11aが取得した幾何学情報D1が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報D2を取得する配置情報取得手段11bと、前記配置情報取得手段11bが取得した配置情報D2に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報D3を算出する境界情報算出手段11cと、前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報D4を取得する束ね形状情報取得手段11dと、前記束ね形状情報取得手段11dが取得した束ね形状情報D4に向かって前記境界情報D3を変形する境界情報変形手段11eと、前記境界情報変形手段11eが変形している前記境界情報D3と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報D3内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段11fと、前記配置情報変更手段11fが変更した前記配置情報D2に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段11gと、してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムとなっている。
【0025】
幾何学情報D1は、束ねる対象の電線の各々の断面形状、サイズ等を示すデータを有している。断面形状が示す断面図形としては、円、複数の線が連なった形状、三角、四角などの任意の形状、ポリライン等の断面図形が一例として挙げられ、円の場合は半径、四角の場合は幅と高さ、ポリラインの場合は各点の位置座標等の特定の図形を定義することが可能なデータ構造となっている。
【0026】
配置情報D2は、上述した断面図形の予め定められた所定領域における配置を示すデータを有している。なお、所定領域とは、上述した電線束W1の断面レイアウトの計算を行う場合に任意に設定される2次元領域である。配置情報D2としては、所定領域の任意の座標系における各々の軸成分で得られるX−Y座標の座標データ等が挙げられる。配置情報D2は、幾何学情報D1に関連付けて記憶装置14に記憶している。
【0027】
これらの幾何学情報D1と配置情報D2は、記憶装置14に予め記憶しておく、計算時に通信装置16を介して他の装置等から取得して記憶装置14に記憶するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0028】
境界情報D3は、図5に示すように、上述した配置情報D2に基づいて所定領域Eに配置される複数の断面図形Gの全てを囲む枠状の境界を定義するための位置座標、形状とサイズなど任意のデータを有している。境界情報D3は、利用者等によって入力された境界としたり、複数の断面図形Gに基づいて自動で算出するなど断面レイアウト計算装置10の仕様等に応じて任意に定めることができる。そして、境界情報D3の算出方法の一例としては、図5(a)に示すように全ての断面図形Gの外形形状から算出される凸包み図形として算出する、図5(b)に示すように全ての断面図形Gを含む矩形や円形などの任意形状の図形として算出するなどの方法が挙げられる。
【0029】
束ね形状情報D4は、図6に示すように、境界情報D3の内側等の任意に設定され、複数の電線を束ねた電線束W1の断面レイアウトの形状を示す情報となっている。束ね形状情報D4は、利用者が電子ペン等によって入力した入力データに基づいて作成されたり、予め定められた方法で算出して作成される。
【0030】
束ね形状情報D4を自動で算出する方法としては、円である断面図形Gを複数束ねる場合、最小図形、最大図形等に基づいて算出する方法等が挙げられる。そして、最小図形から算出する場合、つまり充填率100%に相当する円を最小の図形とし、複数の断面図形Gの各々の面積の総和から総面積Sを求め、該総面積Sから最小図形の半径r1(=SQRT(S/π))を求めることで、束ね形状情報D4を決定する。
【0031】
また、最大図形から算出する場合、つまり充填率50%に相当する円を最大の図形とし、複数の断面図形Gの各々の面積の総和から総面積Sを求め、該総面積Sを2倍した値から最大図形の半径r2(=SQRT(2*S/π))を求めることで、束ね形状情報D4を決定する。
【0032】
境界情報D3の変形方法の一例としては、図6に示すように、境界情報D3及び束ね形状情報D4をポリラインで作成し、図6(a)に示すように各ポリラインの各点D31,D41を対応させる。そして、図6(b)に示すように相対する点D31と点D41の間の各々に対応した所定の刻み幅Δtで、境界情報D3の点D31を点D41に向けて移動させることで、境界情報D3を束ね形状情報D4に近似した形状に変形する。刻み幅Δtとして時間を用いる場合、例えばΔt=0.05秒等が任意に設定される。なお、境界情報D3の変形方法については、ポリラインに限定するものではなく、境界情報D3と断面図形Gとの衝突判定ができれば、種々異なる変形方法を用いることができる。
【0033】
また、上述したCPU11には、入力装置15、通信装置16、表示装置17等がバスBを介して接続されている。入力装置15は、キーボード、マウス等を有しており、利用者の操作に応じた入力データをCPU11に出力する。通信装置16は、LANカード、携帯電話用モデム等の通信機器を用いており、受信した情報をCPU11に出力するとともに、CPU11から入力された情報を指示された送信先に送信する。
【0034】
表示装置17は、周知である液晶ディスプレイ、CRT等の各種表示器が用いられる。そして、表示装置17は、CPU11の制御によって各種情報を表示する。つまり、表示装置17は、それらの各種情報に基づいて、断面レイアウト情報等を示す各種画面を表示する。
【0035】
次に、上述したCPU11が記憶装置14の断面レイアウト計算プログラムPを実行したときの断面レイアウト計算処理の一例を、図7のフローチャートを参照して以下に説明する。なお、説明を簡単化するために、図7に示すフローチャートは複数の電線を円形に束ねることを前提としている。
【0036】
CPU11によって断面レイアウト計算プログラムPが実行されると、ステップS11において、上述した電線束W1を構成する電線に対応した幾何学情報D1が記憶装置14等から取得されてRAM13に記憶され、ステップS12において、それらの幾何学情報D1に対応した配置情報D2が記憶装置14等から取得されてRAM13に記憶され、その後ステップS13に進む。
【0037】
ステップS13において、RAM13の幾何学情報D1と配置情報D2とに基づいて、上述した図5に示すようにポリラインである境界情報D3が算出されてRAM13に記憶され、ステップS14において、RAM13の幾何学情報D1に基づいて複数の断面図形Gの総面積が算出され、その総面積と予め定められた条件(上述した充填率等)とに基づいて束ね形状算出処理の実行により半径が算出され、その半径からポリラインである束ね形状情報D4が算出され、ステップS15において、その束ね形状情報D4が束ね形状算出処理から取得されてRAM13に記憶され、その後ステップS15に進む。
【0038】
なお、束ね形状情報D4の取得方法としては、表示装置17に境界設定画面等を表示し、その画面によって利用者に設定を促し、入力装置15からの入力情報に基づいて作成した束ね形状情報D4を取得する方法や、予め定められた記憶領域から束ね形状情報D4を取得するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0039】
ステップS16において、上述した図6に示すように、境界情報D3の点D31の各々が所定の刻み幅分Δt分だけ束ね形状情報D4の対応する点D41に向かって移動されて境界情報D3が変更(変形)され、ステップS17に進む。
【0040】
ステップS17において、変形した境界情報D3と複数の断面図形Gとの接触に応じて、当該境界情報D3内における複数の断面図形Gの各々の挙動が境界情報D3と断面図形Gとの衝突、断面図形G同士の衝突等の力学的な計算により、複数の断面図形Gの各々の新たな位置が算出され、その位置となるようにRAM13の配置情報D2が変更され、その後ステップS18に進む。
【0041】
なお、円形の複数の断面図形Gの各々の挙動を計算する場合、公知である個別要素法(Distinct Element Method,DEM)、粒子法、分子動力学法、有限要素法、等のシミュレーション手法で用いられる各種方法を適用することで計算することができる。そして、個別要素法を用いる場合、接触点における要素の相対変位の評価で用いられる各種算出式を用いて、各断面図形Gの周囲の断面図形G又は境界情報D3に対する作用反作用等を考慮して各断面図形Gの移動方向、移動量等が算出されることで、各断面図形Gの新たな位置を算出する。
【0042】
ステップS18において、境界情報D3が束ね形状情報D4に変形したか否かが判定される(境界情報D3=束ね形状情報D4)。束ね形状情報D4まで変形していないと判定された場合(S18でN)、ステップS16に戻り、所定の刻み幅分Δtが束ね形状情報D4に向かってずらされて、上述した一連の処理が繰り返される。一方、束ね形状情報D4まで変形したと判定された場合(S18でY)、ステップS19に進む。
【0043】
なお、本実施形態では、境界情報D3を束ね形状情報D4まで変形させる場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、複数の断面図形Gを束ね形状方法D4の形状に近い形で密集させるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0044】
ステップS19において、RAM13の最新の配置情報D3に基づいて、密集させた複数の断面図形Gの中で重なった部分が生じていると、その重なり部分を解消するように、予め定められた解消方法で断面図形Gが移動されて調整され、重なり部分が解消した後に各断面図形Gの配置が決まると、ステップS20において、RAM13の配置情報D2が重なり部分が解消した後の配置となるように変更され、その後ステップS21に進む。
【0045】
ここで、上述した解消方法の一例を、図8の図面を参照して説明する。まず、予め定められた開始位置である中心付近の断面図形G1の位置を固定する。そして、この断面図形G1の周りに位置する断面図形G2に対し、断面図形G1と重なっていないものは、その位置を固定する。また、断面図形G1と重なっているものは、その重なり分だけ重なりを解消する方向Xに移動させて重なりを解消し、それを断面図形G2の新たな位置として固定する。これらと同一の処理を断面図形G2よりも外側の断面図形G3に行うことで、電線束W1の断面レイアウトから重なり部分を解消することができる。
【0046】
ステップS21において、RAM13の配置情報D2に基づいて電線束W1の断面レイアウトを示す断面レイアウト情報D5がRAM13に生成され、その後ステップS22に進む。また、断面レイアウト情報の作成方法の一例を図9を参照して説明する。複数の断面図形Gの重なり部分が解消された後、断面図形Gが境界情報D3からはみ出している場合、そのはみ出しを解消するために、はみ出し量の最も多い方向に、境界情報D3の中心をはみ出し量に応じた任意の分量(例えば、はみ出し量の1/4等)だけ移動させ、境界情報D3を拡大する。この操作を繰り返すことで、拡大した境界情報D3’が複数の断面図形Gの全てを包含した形状を断面レイアウトの形状として求め、その形状を示す断面レイアウト情報D5を作成する。なお、断面レイアウト情報D5としては、断面図形Gの配置情報をそのまま表示するためのデータ構造、配置情報を視覚的に表示するためのデータ構造など、仕様等に応じて任意のデータ構造とすることができる。
【0047】
ステップS22において、その断面レイアウト情報D5が表示装置17に出力されることで、表示装置17には図10に示す断面レイアウト情報D5が表示され、その後処理を終了する。なお、本実施形態では、断面レイアウト情報D5が複数の断面図形5と外周Tを表示するための情報とした場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、外周Tのみを表示する、外周Tの半径を表示するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0048】
以上説明したように、CPU11は図7に示す断面レイアウト計算処理を実行することで、CPU11が図1に示す請求項中の幾何学情報取得手段11a、配置情報取得手段11b、境界情報取得手段11c、束ね情報取得手段11d、境界情報変形手段11e、配置情報変更手段11f、断面レイアウト情報出力手段11g、及び、束ね形状情報算出手段11hとして機能することになる。そして、図7中のステップS11が幾何学情報取得手段11a、ステップS12が配置情報取得手段11b、ステップS13が境界情報取得手段11c、ステップS15が束ね情報取得手段11d、ステップS16が境界情報変形手段11e、ステップS17,S20が配置情報変更手段11f、ステップS22が断面レイアウト情報出力手段11g、ステップS14が束ね形状情報算出手段11hにそれぞれ相当している。
【0049】
次に、上述した断面レイアウト計算装置10の動作(作用)の一例を、図11〜図24の図面を参照して以下に説明する。なお、所定領域はX−Y平面領域となしている。
【0050】
断面レイアウト計算装置10は、幾何学情報D1とそれに対応した配置情報D2を取得すると、図11に示すように円形の20個の断面図形G1〜G20を所定領域Eに配置し、図12に示すように断面図形G1〜G20の全てを囲む方形状の境界情報D3を算出する。そして、境界情報D3に対応した束ね形状情報D4を取得し、図13及び図14に示すように、方形状の境界情報D3を円形状の束ね形状情報D4に向けて段階的に変形させ、図15に示す目的とする束ね形状情報D4の形状まで境界情報D3を変形させる。
【0051】
このとき、断面図形G1〜G20は変形する境界情報D3との接触によって移動することになり、断面図形G1〜G20同士、又は断面図形G1〜G20と境界情報D3との衝突を、それぞれ力学的に個別要素法等を用いて算出することで、断面図形G1〜G20の配置を変更する。そして、境界情報D3を図15に示す束ね形状情報D4の形状まで変形させることで、断面図形G1〜G20の仮の配置を算出する。
【0052】
図16に示すように中心には断面図形G8が位置することから、まず、断面図形G8の位置を固定する。そして、断面図形G8の周囲に位置付けられた断面図形G2,G12,G14というように順次、断面図形G8との重なり部分を解消するように移動させ、図17に示すように、断面図形G8の周りに断面図形G2,G7,G9,G12,G13,G14を接触させた状態で固定する。
【0053】
図18に示す断面図形G2,G7,G9,G12,G13,G14と断面図形G1,G3,G4,G5,G6,G10,G11,G15,G16,G17,G18,G19,G20との重なり部分が解消するように、断面図形G1,G3,G4,G5,G6,G10,G11,G15,G16,G17,G18,G19,G20の各々を重なり部分が解消するように移動させると共に、境界情報D3を拡大させて、図19に示すように断面図形G1〜G20の全てを固定する。
【0054】
境界情報D3からは断面図形G1,G10,G16,G18,G20がはみ出していることから、図20に示すように、境界情報D3の中心を断面図形G1の方向へ拡大させて境界情報D3‘まで移動させ、図21に示すように境界情報D3を再設定する。そして、この境界情報D3からも断面図形G10,G16,G18,G20がはみ出していることから、境界情報D3の中心をG20の方向へ拡大させて図22に示すように境界情報D3を再設定する。
【0055】
図23に示すように境界情報D3内に断面図形G1〜G20の全てを囲む境界情報D3を決定すると、図24に示すように所定の位置に配置して計算を終了し、その断面図形G1〜G20の配置を示すようにRAM13の配置情報D2を変更する。そして、境界情報D3を電線束W2の外形とした断面レイアウト情報を作成し、該断面レイアウト情報を表示装置17に表示する。
【0056】
このように断面レイアウト計算装置10によって、図2に示す計算ポイントP1〜P8等の各々の電線束W1の断面レイアウトを計算することで、ワイヤハーネスWの設計を支援することができる。
【0057】
以上説明した断面レイアウト計算装置10によれば、電線に対応した断面図形Gの初期配置を取得し、これに対応した境界情報D3と束ね形状情報D4を取得し、境界情報D3を束ね形状情報D4に向けて変形させたときに、境界情報D3と断面図形Gとの接触又は断面図形G,G同士の接触の少なくとも一方に応じて、境界情報D3内における複数の断面図形Gの各々の挙動を算出し、複数の断面図形Gの全てを密集させたときの各断面図形Gの配置に配置情報を変更するようにしたことから、断面図形Gを初期配置から現実的な束ね形状情報D4に移動させることができるため、断面図形Gが非現実的な位置に移動することを防止できる。従って、電線の初期配置に対応した現実的な電線束W1の断面レイアウトを算出することができるため、断面レイアウトの設計を的確に支援することができる。
【0058】
また、複数の断面図形Gが束ね形状情報D4内に収まるように密集させたとき、複数の断面図形G同士の重なり部分を解消するように複数の断面図形Gの配置を調整するようにしたことから、電線の初期配置に対応したより一層現実的な電線束W1の断面レイアウトを算出することができる。
【0059】
さらに、複数の断面図形Gの断面積の総和に基づいて束ね形状情報D4を算出し、該束ね形状情報D4を取得するようにしたことから、人的に設定、入力等を行う必要がなくなり、且つ、断面レイアウトに対する複数の断面図形Gの充填率等を考慮することができるため、断面レイアウトの設計をより一層的確に支援することができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、説明を簡単化するために断面図形Gの大きさが均一かつ同一形状である場合について説明したが、断面図形Gを異なる形状且つ異なる大きさ、同一形状で異なる大きさなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、断面レイアウト計算装置10が円形の断面レイアウトを計算する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、種々異なる形状の断面レイアウトの算出に適用することができる。
【0062】
例えば、図25(a)に示すように、複数の断面図形Gaの集合体と複数の断面図形Gbの集合体を並設した初期位置を示す配置情報D2を取得し、それらを囲む境界情報D3を取得する。そして、矩形状の束ね形状情報D4を取得し、上述したように境界情報D3を変形させることで、図25(b)に示すように、矩形状の断面レイアウトを計算することができる。これにより、断面レイアウトの高さと幅等を示す断面レイアウト情報D5を出力することができるため、複数の電線を収容するプロテクタ等の設計を支援することができる。
【0063】
さらに、上述した実施形態において、境界情報D3と断面図形Gとの接触に応じた境界情報D3内における複数の断面図形Gの各々の挙動を算出するときのパラメータとして物体力(重力など)や表面力(摩擦力など)を考慮することで、より一層現実的な断面レイアウトを計算することができる。
【0064】
また、上述した境界情報D3の変形方法については、方形状の境界情報D3を円形に変形させる場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、円形状の境界情報D3を方形に変形させる、方形状の境界情報D3を方形に変形させるなど、多種多様な形状に境界情報D3を設定して任意の形状に変形させることができる。
【0065】
例えば、図26(a)に示すように円形の境界情報D3’を円形の束ね形状情報D4’に変形させる場合、境界情報D3’と束ね形状情報D4’の中心は同じ位置とする。そして、図26(b)に示すように、境界情報D3’の半径をR、断面図形Gの半径をr、そして、境界情報D3’の中心から断面図形Gの中心までの距離をLとした場合、境界情報D3’と断面図形Gとの接触判定は次のように判定することができる。L+r≧Rのときは、境界と接触していると判定する。また、L+r<Rのときは、境界形状の内にあって境界と接触していないと判定する。
【0066】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る断面レイアウト計算装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】ワイヤハーネスの概略構成を説明するための図である。
【図3】断面レイアウト計算装置の概略構成の一例を示す構成図である。
【図4】図3の記憶装置が記憶するプログラム及び各種情報の一例を説明するための図である。
【図5】境界情報の一例を説明するための図である。
【図6】境界情報の変形例を説明するための図である。
【図7】図3のCPUが実行する断面レイアウト計算処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】重なった部分の断面図形の調整例を説明するための図である。
【図9】断面レイアウト情報の作成方法の一例を説明するための図である。
【図10】断面レイアウト情報の表示例を示す図である。
【図11】断面レイアウト計算装置の動作状態1を説明するための図である。
【図12】断面レイアウト計算装置の動作状態2を説明するための図である。
【図13】断面レイアウト計算装置の動作状態3を説明するための図である。
【図14】断面レイアウト計算装置の動作状態4を説明するための図である。
【図15】断面レイアウト計算装置の動作状態5を説明するための図である。
【図16】断面レイアウト計算装置の動作状態6を説明するための図である。
【図17】断面レイアウト計算装置の動作状態7を説明するための図である。
【図18】断面レイアウト計算装置の動作状態8を説明するための図である。
【図19】断面レイアウト計算装置の動作状態9を説明するための図である。
【図20】断面レイアウト計算装置の動作状態10を説明するための図である。
【図21】断面レイアウト計算装置の動作状態11を説明するための図である。
【図22】断面レイアウト計算装置の動作状態12を説明するための図である。
【図23】断面レイアウト計算装置の動作状態13を説明するための図である。
【図24】断面レイアウト計算装置の動作状態14を説明するための図である。
【図25】断面レイアウト計算装置が計算する断面レイアウトの他の形状を示す図であり、(a)は計算前、(b)は計算結果をそれぞれ示している。
【図26】境界情報の他の変形例を説明するための図であり、(a)は境界情報と束ね形状情報の関係を説明するための図、(b)は接触判定の例を説明するための図をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0068】
10 断面レイアウト計算装置
11a 幾何学情報取得手段(CPU)
11b 配置情報取得手段(CPU)
11c 境界情報算出手段(CPU)
11d 束ね形状情報取得手段(CPU)
11e 境界情報変形手段(CPU)
11f 配置情報変更手段(CPU)
11g 断面レイアウト情報出力手段(CPU)
11h 束ね形状情報算出手段(CPU)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算装置であって、
前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段と、
前記幾何学情報取得手段が取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段と、
前記配置情報取得手段が取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段と、
前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段と、
前記束ね形状情報取得手段が取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段と、
前記境界情報変形手段が変形している前記境界情報と前記断面図形の接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段と、
前記配置情報変更手段が変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段と、
を有することを特徴とする断面レイアウト計算装置。
【請求項2】
前記配置情報変更手段が、前記境界情報変形手段によって前記複数の断面図形が前記束ね形状情報内に収まるように密集された後、該密集している複数の断面図形の重なり部分を解消するように、複数の断面図形の各々の配置を調整して前記配置情報を変更する手段であることを特徴とする請求項1に記載の断面レイアウト計算装置。
【請求項3】
前記幾何学情報が定義する複数の断面図形の断面積の総和に基づいて、前記束ね形状情報を算出する束ね形状情報算出手段を有し、
前記束ね形状情報取得手段が、前記束ね形状情報算出手段の算出した束ね形状情報を取得する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の断面レイアウト計算装置。
【請求項4】
複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算方法であって、
前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得工程と、
前記取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得工程と、
前記取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出工程と、
前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得工程と、
前記取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形工程と、
前記境界情報変形工程で変形した前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更工程と、
前記変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力工程と、
を有することを特徴とする断面レイアウト計算方法。
【請求項5】
複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する手段としてコンピュータを機能させるための断面レイアウト計算プログラムであって、
前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段と、
前記幾何学情報取得手段が取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段と、
前記配置情報取得手段が取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段と、
前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段と、
前記束ね形状情報取得手段が取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段と、
前記境界情報変形手段が変形している前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段と、
前記配置情報変更手段が変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする断面レイアウト計算プログラム。
【請求項1】
複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算装置であって、
前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段と、
前記幾何学情報取得手段が取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段と、
前記配置情報取得手段が取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段と、
前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段と、
前記束ね形状情報取得手段が取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段と、
前記境界情報変形手段が変形している前記境界情報と前記断面図形の接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段と、
前記配置情報変更手段が変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段と、
を有することを特徴とする断面レイアウト計算装置。
【請求項2】
前記配置情報変更手段が、前記境界情報変形手段によって前記複数の断面図形が前記束ね形状情報内に収まるように密集された後、該密集している複数の断面図形の重なり部分を解消するように、複数の断面図形の各々の配置を調整して前記配置情報を変更する手段であることを特徴とする請求項1に記載の断面レイアウト計算装置。
【請求項3】
前記幾何学情報が定義する複数の断面図形の断面積の総和に基づいて、前記束ね形状情報を算出する束ね形状情報算出手段を有し、
前記束ね形状情報取得手段が、前記束ね形状情報算出手段の算出した束ね形状情報を取得する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の断面レイアウト計算装置。
【請求項4】
複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する断面レイアウト計算方法であって、
前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得工程と、
前記取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得工程と、
前記取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出工程と、
前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得工程と、
前記取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形工程と、
前記境界情報変形工程で変形した前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更工程と、
前記変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力工程と、
を有することを特徴とする断面レイアウト計算方法。
【請求項5】
複数の線材を束ねた線材束の断面レイアウトを計算する手段としてコンピュータを機能させるための断面レイアウト計算プログラムであって、
前記複数の線材の各々の断面形状を定義する幾何学情報を取得する幾何学情報取得手段と、
前記幾何学情報取得手段が取得した幾何学情報が定義する断面形状を示す断面図形の予め定められた所定領域における初期配置を示す配置情報を取得する配置情報取得手段と、
前記配置情報取得手段が取得した配置情報に基づいて、前記所定領域に配置された複数の断面図形の全てを囲む境界情報を算出する境界情報算出手段と、
前記断面レイアウトの形状を示す束ね形状情報を取得する束ね形状情報取得手段と、
前記束ね形状情報取得手段が取得した束ね形状情報に向かって前記境界情報を変形する境界情報変形手段と、
前記境界情報変形手段が変形している前記境界情報と前記断面図形との接触又は前記断面図形同士の接触の少なくとも一方に応じて、前記境界情報内における前記複数の断面図形の各々の挙動を算出し、前記複数の断面図形の全てを密集させたときの各断面図形の配置に前記配置情報を変更する配置情報変更手段と、
前記配置情報変更手段が変更した前記配置情報に基づいた前記断面レイアウトを示す断面レイアウト情報を出力する断面レイアウト情報出力手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする断面レイアウト計算プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−49591(P2010−49591A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214904(P2008−214904)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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