説明

新しい発泡茶飲料及びその調製方法

本発明は、液体と気泡との混合物、液体と気泡との混合物の上にある泡ヘッドから構成される発泡茶飲料において、クリーマー、脂質及び増粘剤を含まないこと、並びに水、茶抽出粉末を含む粉末状茶組成物、及び食品等級の酸を組み合わせることによって生成されることを特徴とする、発泡茶飲料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい茶風味飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
古典的な茶飲料は通常、水中に茶葉を入れるか、又は茶抽出物を溶解することにより調製する。これらの飲料は、最初に調製した時にはわずかに泡立つが、調製の終わりには気泡が存在しないことがある。より刺激的な茶系飲料が必要である。茶飲料の泡生成は、新しい感覚、特に、クリーミーな食感を有する茶飲料を開発するための方法であり得る。
【0003】
米国特許第5,980,969号は、泡の上澄みを含む茶系飲料を提供することにより、この必要性に答えている。この泡は、ヨーグルトのホエー、無脂肪乾燥ミルク及び乳成分を含まないクリーマーなどのクリーム化剤を添加することにより得られたものである。顧客は、クリーム状の製品が与える特定のクリーミーな食感、豊かさ、甘味、及び風味を好む。しかしながら今日では、種類にかかわらずクリーム化剤を含有しない軽い飲料の需要が拡大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クリーミーな食感をもたらすが、クリーマー、脂質及び増粘剤を含まない発泡茶飲料を提供する際の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に従えば、本発明は、
液体と気泡との混合物、
液体と気泡との混合物の上にある泡ヘッド(foam head)
から構成される発泡茶飲料であって、クリーマー、脂質及び増粘剤を含まず、
水と、茶抽出粉末を含む粉末状茶組成物とを組み合わせることによって生成される、発泡茶飲料に関する。
【0006】
本発明の飲料の重要な体積部分は、全体的に発泡している。この体積部分は、液体と気泡との混合物を含有する飲料の残りの部分を覆う泡上澄みである。これらの2つの部分の差異は、泡ヘッドが飲料の残りの部分よりも明らかであるため、視覚的に容易に把握することができる。通常、泡でできた部分は、飲料の少なくとも20体積%、好ましくは、少なくとも25体積%に相当する。計量コップの内部で直接飲料を作製し、泡と飲料全体のそれぞれの体積を読み取ることにより、飲料の調製の約30秒後に、この体積を測定する。
【0007】
本発明の飲料においては、泡は安定的であり、これは、飲料が分注(dispense)されてから5分を過ぎても、泡ヘッドが依然として飲料の少なくとも20体積%に相当することを意味する。
【0008】
発泡茶飲料はまた、泡が100μmより小さい平均気泡サイズである点で特異的である。好ましくは、気泡の少なくとも50%が、50μmよりも小さいサイズである。泡の一部を取得し、それを透明なビーカーに移し、顕微鏡(好ましくは50倍の倍率)を介して泡の写真を撮り、及び気泡を計数することによって写真を分析することにより、飲料の調製の直後に気泡のサイズを測定する。この小さい気泡サイズは、クリーミーで濃厚な感覚をもたらす。
【0009】
本発明の発泡茶飲料は、動的側面を示す点で独特であり、これは、その側面が、飲料が分注された時点の数秒後に展開することを意味する。第1に、液体と気泡との混合物中に存在する気泡は、飲料が分注されてから4分を過ぎると、液体から全体的に分離するように、液体から非常にゆっくりと分離する。第2に、飲料を撹拌することにより、例えば、スプーンで簡単に撹拌することにより、気泡を液体中に再度分散させることができる。次いで、顧客は、本発明の発泡茶飲料を分注した直後に、若しくは気泡を再分散させた直後に飲むことができ、全体的に発泡した飲料を飲む感覚を得るか、又は飲料を分注した後しばらくして飲料を飲むことができ、その感覚は異なるものである。
【0010】
本発明の飲料は、水と、茶抽出粉末を含む粉末状茶組成物とを組み合わせることによって生成される。好ましくは、飲料は冷たいものであり、その結果として、冷水を粉末状の茶と混合する。十分な量の泡が飲料の頂部に存在し、飲料の液体部分中に再分散させることができるように、並びに美的観点のために、150〜200mlに含まれる量の水を用いて、本発明の発泡茶飲料を調製するのが好ましい。
【0011】
茶抽出粉末は、例えば、茶抽出物を乾燥(すなわち、噴霧乾燥)することにより得られたものであってもよいが、他の任意の形態の茶粉末を用いることができる。粉末状茶組成物は、好ましくは、
少なくとも0.7重量%の茶抽出粉末、及び
少なくとも1重量%の食品等級の酸、好ましくは、クエン酸
を含み、より好ましくは、
0.7〜55重量%の間の茶抽出粉末、及び
1〜55重量%の間の食品等級の酸、好ましくは、クエン酸
を含む。
【0012】
粉末状茶組成物はまた、好ましくは、茶抽出物に良好な味をもたらすことができる食品添加成分、特に、以下の粉末成分、砂糖、香料、人工甘味料のうちの少なくとも1種を含む。
【0013】
好ましい粉末状茶組成物は、例えば、以下の割合、
0.7〜15重量%の間の茶抽出粉末、
1〜15重量%の間のクエン酸、
10〜95重量%の間の砂糖、
0.1〜20重量%の間のマルトデキストリン、
0.1〜5重量%の間のアスパルテーム、
0.1〜2重量%の間の酒石酸、
香料
に従って、茶抽出粉末、クエン酸、砂糖、香料、マルトデキストリン、アスパルテーム、酒石酸を含む。
【0014】
本発明の飲料は、クリーマー、脂質及び増粘剤を含有しないが、クリーミー、豊かでコクのある食感を与えるものである。
【0015】
本発明において、「クリーマー、脂質及び増粘剤を含まない」とは、飲料が、前記クリーマー、脂質又は増粘剤がそのクリーマー、脂質又は増粘剤としての機能を発揮するのに十分な量のクリーマー、脂質及び増粘剤を含まないことを意味する。例えば、包装目的に応えるために、油又は脂肪を茶抽出粉末組成物中に時には存在させてもよいが、最終的な飲料中でクリーマー、脂質又は増粘剤としての機能を提供するには不十分な量でそれを用いる。本発明に従えば、飲料中の脂肪又は油の百分率は、一般的には、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満である。
【0016】
本発明の第2の態様は、飲料調製装置における使用のための、最も好ましくは、完全に密封されたカプセルであるカプセルを対象とする。前記装置は、前記カプセルを収容するための容器と、前記カプセル中に、加圧下で流体、好ましくは、水を注入するための流体注入システムとを含む。本発明に従う発泡茶飲料の調製のために、加圧下でカプセル中に注入される水は、周囲温度にあるのが好ましい。しかしながら、いくつかの特定の例においては、水は冷たいものでも温かいものでもよい。
【0017】
本発明に従えば、カプセルの内容物は、茶抽出粉末を含む粉末状茶組成物と、食品等級の酸との組合せを含み、前記内容物はクリーマー、脂質及び増粘剤を含まない。前記内容物を、加圧下で流体によりカプセルチャンバの内部に溶解、及び/又は抽出して、上記の発泡茶飲料を調製する。
【0018】
密封されたカプセルの内容物を抽出及び/又は溶解する原理は、典型的には、カプセルを装置の容器に収容し、一般的には、装置上に取り付けられた流体注入針などの穿孔注入エレメントを用いてカプセルの表面に穴を開けた後に、一定量の加圧された水をカプセルに注入して、カプセルの内部に加圧環境を作り、物質を抽出するか、又はそれを溶解した後、カプセルを通して、物質抽出物若しくは溶解物質を放出させることからなる。
【0019】
この原理の適用を可能にする装置は、例えば、特許CH605293及びEP242556に既に記載されている。これらの文献に従えば、装置は、カプセルのための容器並びに末端領域に1つ又は複数の液体注入口を含む中空針の形態で作製された穿孔及び注入エレメントを含む。針は、一方ではカプセルの頂部を開き、他方ではカプセル中に水流入チャンネルを形成するという点で2つの機能を有する。
【0020】
第3の態様に従えば、本発明は、飲料形成物質を含有するチャンバと、該チャンバ内の特定の抽出圧力を保持するように構成された飲料分注構造とを含む、前記物質を含有するカプセル中に加圧下で流体を注入した後、カプセルから飲料を流出させることにより、上記の発泡茶飲料を調製する方法であって、飲料形成物質が、
少なくとも0.7重量%の茶抽出粉末、
少なくとも1重量%の食品等級の酸、好ましくは、クエン酸
を含む粉末状茶組成物である、方法に関する。
【0021】
上記の他の成分は、カプセル中で抽出された粉末状茶組成物の一部であってもよい。
【0022】
驚くべきことに、カプセルのチャンバ内で特定の抽出圧力を保持するように構成された飲料分注構造を提供するカプセル中で、茶抽出粉末と、食品等級の酸、好ましくは、クエン酸とを含む粉末状茶組成物をプロセッシングした後、カプセルから飲料を流出させることにより、クリーミーな食感を提供するが、飲料がクリーマー、脂質及び増粘剤を含まない発泡茶飲料が得られることが観察された。
【0023】
飲料分注構造を、カプセルから飲料を流出させる前にチャンバ内の抽出圧力を2バール超、好ましくは、3バール超に保持するように構成させることができる。
【0024】
本発明の飲料を抽出するのに用いられるカプセルにおいては、飲料分注構造をカプセルの下側部分に設け、飲料分注構造は膜と穿刺プレートとを含むのが好ましい。そのようなカプセルを用いれば、飲料の分注は、穿刺プレートとの接触による膜の穿孔の際に達成される。実際にはチャンバ内の圧力の上昇に起因して、膜は穿刺プレートと係合するように移動して、膜に穴を開け、カプセルから飲料を分注させることができる。飲料の分注は、カプセル中への流体の注入後に達成され、このため膜は穿刺プレートとの接触により穿孔される。国際公開第2005/018395号パンフレットに記載されたカプセルは、膜の厚さ又は穿刺エレメントの鋭さがいかなるものであっても、本発明の飲料の調製にとって特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に従う実施例1
本発明に従う飲料を、以下の組成(重量%)を含む粉末状茶組成物を用いて調製する。
【表1】

【0026】
6gの上記組成物を、カプセルの底部にアルミホイルを有するプラスチックカプセル中に入れる。水を装置によりカプセルに送達する時に、アルミホイルが、国際公開第2005/018395号パンフレットに例示されたものなどのアルミホイルに向けられたいくつかのスパイクを有するプラスチック板を含む底部開口手段に対して穿孔されるまで圧力が上昇する。スパイクの形状(平表板)及びその数、並びにアルミホイルの厚さは、ホイルに穴が開く前に平均5バールまで抽出圧力が上昇するように選択する。
【0027】
約174gの水を、カプセルに通過させる。調製が終わったらすぐに、発泡茶飲料は2つの相:
液体と気泡との混合物、
泡が飲料の約25%に相当する、液体と気泡との混合物の上にある泡ヘッド、
を提示する。
【0028】
泡は安定的である:泡は飲料が分注された5分後でも依然として飲料の22体積%に相当する。この時間の後、スプーンで撹拌することにより気泡を再度分散させて、調製直後の飲料の態様に再び到達させことができる。飲料を撹拌しない場合、飲料を分注した5分後には気泡が液体から全体的に分離する。
【0029】
泡の気泡のサイズは約32.80μmであり、これは飲料の調製の直後に500個の気泡上で測定された平均気泡サイズである。
【0030】
飲料は、あたかもそれがクリームを含むような味がする。
【0031】
比較例2
5gの黒茶葉を、実施例1で用いたのと同じプラスチックカプセルに入れ、同じ容量の水で抽出する。その結果、茶飲料は急速に消失する大きい気泡の薄い層を提示する。スプーンを用いて飲料を撹拌しても、液体中の気泡を分散させることができない。クリーミーな味は得られない。
【0032】
比較例3
実施例1の組成物中で用いられた0.25gの茶抽出粉末を、実施例1で用いられたのと同じプラスチックカプセルに入れ、同じ容量の水で抽出する。この結果、茶飲料は液相の上に飲料の5体積%未満に相当する大きい気泡の薄い層を提示する。飲料の動的効果を観察することはできない:飲料の調製の間又はスプーンで撹拌した後に、気泡は液体中に分散しない。これらの気泡は、実施例1の飲料の気泡よりも視覚的にかなり大きい。飲料はプレーン茶のような味がする。
【0033】
比較例4
実施例1の組成物中で用いられた5.5gの茶抽出粉末を、実施例1で用いられたのと同じプラスチックカプセルに入れ、同じ容量の水で抽出する。飲料は動的効果を示さない:気泡は、実施例1で観察されたようには飲料中に残留しないが、表面に向かって急速に上昇する。さらに、泡でできた部分は、飲料の20体積%より小さい。最後に、この飲料の味は、飲料がそのようなものとして飲用可能ではないようなものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気泡との混合物、
液体と気泡との混合物の上にある泡ヘッド
から構成される発泡茶飲料において、クリーマー、脂質及び増粘剤を含まないこと、並びに水、茶抽出粉末を含む粉末状茶組成物、及び食品等級の酸を組み合わせることによって生成されることを特徴とする、発泡茶飲料。
【請求項2】
水、茶、及び酸を組み合わせることを加圧下で実施する、請求項1に記載の発泡茶飲料。
【請求項3】
泡でできた部分が飲料の少なくとも20体積%に相当する、請求項1又は2に記載の発泡茶飲料。
【請求項4】
泡が安定的である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項5】
泡の平均気泡サイズが100μm未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項6】
気泡の少なくとも50%が50μmより小さいサイズのものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項7】
飲料が分注されてから4分を過ぎると、液体と気泡との混合物中の液体から気泡が全体的に分離する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項8】
飲料を撹拌することにより、気泡を液体中で再度分散させることができる、請求項7に記載の発泡茶飲料。
【請求項9】
粉末状茶組成物が、
少なくとも0.7重量%の茶抽出粉末、及び
少なくとも1重量%の食品等級の酸
を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項10】
粉末状茶組成物が、
0.7〜55重量%の間の茶抽出粉末、及び
1〜55重量%の間のクエン酸
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項11】
粉末状茶組成物が、以下の粉末成分、砂糖、香料、人工甘味料のうちの少なくとも1種を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項12】
粉末状茶組成物が、茶抽出粉末、クエン酸、砂糖、香料、マルトデキストリン、アスパルテーム、酒石酸を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項13】
粉末状茶組成物が、
0.7〜15重量%の間の茶抽出粉末、
1〜15重量%の間のクエン酸、
10〜95重量%の間の砂糖、
0.1〜20重量%の間のマルトデキストリン、
0.1〜5重量%の間のアスパルテーム、
0.1〜2重量%の間の酒石酸、
香料
を含む、請求項1〜11に記載のいずれか一項に記載の発泡茶飲料。
【請求項14】
飲料調製装置における使用のためのカプセルであって、前記装置が、前記カプセルを収容するための容器と、加圧下で前記カプセル中に流体、好ましくは、水を注入するための流体注入システムとを含む、カプセルにおいて、カプセルの内容物が、茶抽出粉末を含む粉末状茶組成物と、食品等級の酸との組合せを含み、前記内容物が、クリーマー、脂質及び増粘剤を含まないこと、並びに前記内容物を加圧下で前記流体により前記カプセルの内部に溶解及び/又は抽出して、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発泡茶飲料を調製することを特徴とする、カプセル。
【請求項15】
飲料形成物質を含有するチャンバと、チャンバ内の特定の抽出圧力を保持するように構成された飲料分注構造とを含む、前記物質を含有するカプセル中に加圧下で流体を注入した後、カプセルから前記飲料を流出させることにより、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発泡茶飲料を調製する方法であって、飲料形成物質が、
少なくとも0.7重量%の茶抽出粉末、
少なくとも1重量%の食品等級の酸
を含む粉末状茶組成物である、方法。
【請求項16】
飲料分注構造が、カプセルから飲料を流出させる前にチャンバ内の抽出圧力を2バール超、好ましくは、3バール超に保持するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
飲料分注構造をカプセルの下側部分に設け、飲料分注構造が膜と穿刺プレートとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
飲料の分注を、穿刺プレートとの接触による膜の穿孔の際に達成する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
チャンバ内の圧力の上昇に起因して、膜を穿刺プレートと係合するように移動させて、膜に穴を開け、カプセルから飲料を分注させる、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2013−504308(P2013−504308A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528361(P2012−528361)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063241
【国際公開番号】WO2011/029873
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】