説明

新規なアシルピペラジノン、及び医薬としてのそれらの使用

本発明は、新規なアシルピペラジノン化合物、該化合物及びそれに使用される中間体の製造方法、該化合物の抗菌薬剤としての使用、及び該化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアシルピペラジノン化合物、該化合物及びそれに使用される中間体の製造方法、該化合物の抗菌薬剤としての使用、及び該化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、細菌及び/又は寄生虫脂肪酸生合成を阻害できる新規化合物、並びに、抗菌及び/又は抗寄生虫薬剤としてのそれらの使用に関する。
【0003】
抗生物質耐性病原体の出現は、深刻な世界的医療問題となっている。実際、一部の感染症は、今や、現在利用可能な処置に対してもはや応答しない多剤耐性生物によって生じる。従って、新規な作用機序を伴う新たな抗菌/抗寄生虫薬剤が、即刻に必要である。
【0004】
近年、細菌脂肪酸生合成(FASII系)は、新規な抗菌/抗寄生虫薬剤の開発にとって、多くの関心をもたらした(Rockらの文献 J. Biol. Chem. 2006, 281, 17541; Wright and Reynolds Curr. Opin. Microbiol. 2007, 10, 447)。別個の酵素に基づく細菌脂肪酸生合成経路の構成機構は、哺乳類で見られる多機能性FASI系と基本的に異なり、従って、選択的な抑制の十分な可能性がある。細菌FASII系の多くの酵素において、全体の高い程度の保護は、広域の抗菌/抗寄生虫薬剤の開発も可能にしなければならない。
【0005】
細菌FASII系の全ての単機能性酵素のうち、FabIは、脂肪酸生合成延長サイクルの最終工程に応答するエノイル-ACPレダクターゼを表す。水素化物源としての共同因子NAD(P)Hを使用して、FabIは、トランス-2-エノイル-ACP中間体の二重結合を、対応するアシル-ACP生成物に還元する。この酵素は、主要な病原体、例えば、大腸菌(E. coli)(Heathらの文献 J. Biol. Chem. 1995, 270, 26538; Berglerらの文献 Eur. J. Biochem. 1996, 242, 689)及び黄色ブドウ球菌(S. aureus)(Heathらの文献J. Biol. Chem. 2000, 275, 4654)などの基本的標的を構成することが示された。しかしながら、他のアイソフォーム、例えば、肺炎レンサ球菌(S. pneumoniae)由来のFabK (Heathらの文献Nature 2000, 406, 145)及び枯草菌(B. subtilis)由来のFabL (Heathらの文献 J. Biol. Chem. 2000, 275, 40128)が単離された。FabKは、FabIと構造的及び機序的に関連しない(Marrakchiらの文献 Biochem J. 2003, 370, 1055)にもかかわらず、FabIとFabL(枯草菌)、InhA(結核菌(M. tuberculosis))及びPfENR(熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum))との類似性はいまだに、興味深い活性スペクトルの機会を提示している(Heathらの文献Prog. Lipid Res. 2001, 40, 467)。
【0006】
いくつかのFabI阻害剤は、文献において、すでに報告されている(Tongeらの文献 Acc. Chem. Res. 2008, 41, 11)。それらの一部、例えば、ジアザボリン(Baldockらの文献 Science 1996, 274, 2107)、及びその活性形態のイソニアジド(Tongeらの文献 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2003, 100, 13881)は、共同因子NAD+を共有結合的に修飾することによって作用する。しかしながら、いくつかの不利益が、これらの生成物と関係している。ジアザボリンは、それらの固有の毒性のため、実験的に使用されるだけであり(Baldockらの文献 Biochem. Pharmacol. 1998, 55, 1541)、一方、イソニアジドは、感受性結核の治療に制限されるプロドラッグである。イソニアジドが、水素-ペルオキシド誘導性酵素による活性化を必要とするという事実(Schultzらの文献 J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5009)は、活性化の欠如又は無害化の増加により、耐性の可能性を増加する(Rosnerらの文献 Antimicrob. Agents Chemother. 1993, 37, 2251及びibid 1994, 38, 1829)。
【0007】
他の阻害剤は、酵素-共同因子複合体と非共有結合的に相互に作用することによって作用する。例えば、広域な抗菌力を有する広く使われている消費防腐剤であるトリクロサン(Triclosan)は、大腸菌FabIの可逆的強結合性阻害剤であることがわかった(Wardらの文献 Biochemistry 1999, 38, 12514)。この化合物の静脈毒物学研究は、明らかに静脈注射を無視して、LD50がラットで29 mg/kgであることを示した(Lymanらの文献 Ind. Med. Surg. 1969, 38, 42)。トリクロサンの2-ヒドロキシジフェニルエーテル核に基づく誘導体(Tongeらの文献 J. Med. Chem. 2004, 47, 509, ACS Chem Biol. 2006, 1, 43、及びBioorg. Med. Chem. Lett. 2008, 18, 3029; Suroliaらの文献Bioorg. Med. Chem. 2006, 14, 8086、及びibid 2008, 16, 5536; Freundlichらの文献J. Biol. Chem. 2007, 282, 25436)、並びに、様々なクラスの高スループットスクリーニング誘導テンプレートに基づく他の阻害剤(Seefeldらの文献Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 2241、及びJ. Med. Chem. 2003, 46, 1627; Heerdingらの文献Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 2061; Millerらの文献J. Med. Chem. 2002, 45, 3246; Payneらの文献Antimicrob. Agents Chemother. 2002, 46, 3118; Sacchettiniらの文献J. Biol. Chem. 2003, 278, 20851 ; Moirらの文献Antimicrob. Agents Chemother. 2004, 48, 1541; Montellanoらの文献 J. Med. Chem. 2006, 49, 6308; Kwakらの文献Int. J. Antimicro. Ag. 2007, 30, 446; Leeらの文献Antimicrob. Agents Chemother. 2007, 51, 2591; Kitagawaらの文献J. Med. Chem. 2007, 50, 4710, Bioorg. Med. Chem. 2007, 15, 1106、及びBioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 4982; Takahataらの文献J. Antibiot. 2007, 60, 123; Kozikowskiらの文献Bioorg. Med. Chem. Lett. 2008, 18, 3565)が報告されているにもかかわらず、これらの阻害剤のいずれも、薬剤としていまだ成功していない。興味深いことに、これらの阻害剤の一部のクラスは、FabI及びFabKの双方に活性を示す:4-ピリドンのフェニルイミダゾール誘導体に基づく二重化合物にとって、主にFabK(Kitagawaらの文献 J. Med. Chem. 2007, 50, 4710)、インドール誘導体にとって主にFabI(Payneらの文献 Antimicrob. Agents Chemother. 2002, 46, 3118; Seefeld et al. J. Med. Chem. 2003, 46, 1627)。しかしながら、第2の酵素における中程度の活性は、付加的な選択圧のために耐性機序の増加をもたらす可能性があるので、前記化合物にとって不利益となることが判明するかもしれない(Tongeらの文献 Acc. Chem. Res. 2008, 41, 11)。
【0008】
FabIの抗菌/抗寄生虫標的としての魅力にもかかわらず、市場又は高度な臨床相内の薬剤が存在しないので、この時で、それはまだ多く利用されていない。
【0009】
WO 2007/135562(Mutabilis SA)は、トリクロサンとは対照的に、FabI及び関連した標的を含む種に対して選択的な範囲の活性を示す、一連のヒドロキシフェニル誘導体を記載する。
【0010】
本発明の目的の1つは、既存の化合物を超えた改良された薬理学的特性を有する、FabI及び関連した標的に活性な新規化合物を提供することである。
【発明の開示】
【0011】
本発明の一態様にしたがって、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を提供する:
【化1】

(式中:
−W、X及びYは、独立に、CH2又はC=Oを表し、前記CH2基は、フッ素又は(C1-C6)アルキル基によって任意に独立に置換されることができ、前記(C1-C6)アルキル基は、1又は2つのR5基によって更に置換されることができ;
−R1は、H、CONRaRb基によって任意に置換される(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フェニル、又は-Z-Het基を表し、Zは、結合又はCO、(C1-C6)アルキレン、若しくは-CO-(C1-C6)アルキレンから選択されるリンカーを表し、及びHetは、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜6員単環式飽和又は不飽和複素環を表し、R1の前記フェニル又は複素環基は、1つ以上(例えば1、2又は3つ)のR5基によって任意に置換されることができ;
−R2は、H、CO2Ra、CORa、CONRaRb、CH2ORc、CH2NRaRb、SO2NRaRb又はP(O)ORaORbを表し;
−R3は、ハロゲン、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニルを表し;
−R4は、H、ハロゲン、CN又はCH3を表し;
−Ra、Rb及びRcは、独立に、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニルを表すか、又はNRaRb基は、N、O又はSから選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を任意に含む3〜7員窒素含有飽和複素環を任意に形成でき、前記複素環は、1つ以上の(C1-C6)アルキル基によって任意に置換されることができ;
−R5は、ハロゲン、CN、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、CO2Ra、CORa、CONRaRb、OCORa、ORa、NRaRb、ON=CRaRb、NRcCORa、NRcCOORa、OCONRaRb、NRcCONRaRb、NRcSO2Ra、S(O)nRa又はSO2NRaRbを表し;
−nは、0〜2から選択される整数を表す。)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1の化合物の単一皮下処置後の感染マウスの生存に関する。;及び
【図2】図2は、実施例1の化合物の単一経口処置後の感染マウスの生存に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物は、良好な生体外及び/又は生体内活性を有し、本願明細書に示されるデータにより確認されるように、先に述べたヒドロキシフェニル誘導体より驚くほど少ない血清結合を示す。特に、本発明の化合物は、血清と相互作用しない能力、更には、経口投与を経て活性となる能力を有する。
【0014】
現在の文脈において、用語「医薬として許容し得る塩」は、患者に有害でない塩を示すことを意図する。このような塩は、医薬として許容し得る酸付加塩、医薬として許容し得る金属塩、及び医薬として許容し得るアルカリ付加塩を含む。酸付加塩は、無機酸並びに有機酸の塩を含む。
【0015】
適切な無機酸の代表例を挙げると、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などがある。
【0016】
適切な有機酸の代表例を挙げると、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸などがある。医薬として許容し得る無機又は有機酸付加塩のさらなる例を挙げると、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2(本明細書中に引用により取り込まれている。)に列挙された医薬として許容し得る塩がある。金属塩の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウム塩などがある。アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩の例を挙げると、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、及びテトラメチルアンモニウム塩などがある。
【0017】
アルカリ塩の代表例を挙げると、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、若しくはアンモニウム、又は有機塩基、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エタノールアミン、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、モルフォリン、ベンジルアミン、プロカイン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、N-メチルグルカミンなどがある。
【0018】
本発明によれば、式(I)の化合物は、式(I)の化合物が複数の立体中心(stereogenic centre)を有する場合を含み、ラセミ形態、並びに、純粋なエナンチオマー、又はエナンチオマーの非ラセミ(スケールミック(scalemic))混合物の形態であり得る。式(I)の化合物が不飽和炭素炭素二重結合を有する場合、シス(Z)及びトランス(E)異性体、及びそれらの混合物は、本発明に属する。
【0019】
本明細書中において「ハロゲン」への言及は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。
【0020】
本明細書中において「(C1-C6)アルキル」への言及は、1〜6個の炭素原子を有する任意の直線、分岐状の炭化水素基、又は3〜6炭素原子を有する環式炭化水素基を意味する。
このようなアルキル基の代表例を挙げると、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及びt-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルがある。「ハロ(C1-C6)アルキル」への言及は、本願明細書に定義される1つ以上のハロゲン原子により置換された(C1-C6)アルキル基を意味する。
【0021】
本明細書中において「(C2-C6)アルケニル」への言及は、少なくとも1つの二重結合を有する、2〜6個の炭素原子の任意の直線、分岐状の炭化水素基、又は3〜6個の炭素原子を有する環式炭化水素基を意味する。このようなアルケニル基の代表例を挙げると、エテニル、プロペニル、ブテニル及びシクロヘキセニルがある。「ハロ(C2-C6)アルケニル」への言及は、本願明細書に定義される1つ以上のハロゲン原子により置換された(C2-C6)アルケニル基を意味する。
【0022】
本明細書中において「(C2-C6)アルキニル」への言及は、少なくとも1つの三重結合を有する、2〜6個の炭素原子の任意の直線若しくは分枝状炭化水素を意味する。このようなアルキニル基の代表例を挙げると、エチニル、プロパルギル及びブチニルがある。「ハロ(C2-C6)アルキニル」への言及は、本願明細書に定義される1つ以上のハロゲン原子により置換された(C2-C6)アルキニル基を意味する。
【0023】
R1の定義内の「Het」の実例を挙げると、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、テトラヒドロチエニル、ピロリル、ピロリジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、テトラ-ヒドロインダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ピリジニル、ピリドニル、ピペリジニル、テトラヒドロピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラ-及びペルヒドロ-キノリニル及びイソキノリニル、ピリミジニル、キナゾリニル、ピラジニル、ピラジジニル、ピペラジニル、キノキサリニル、ピリダジニル、トリアジニル、オキセタニル、アゼチジニル、及びモルフォリニルからなる群から選択されるものがある。
【0024】
NRaRbの定義内の飽和窒素含有複素環の実例を挙げると、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びモルフォリニルがある。
【0025】
一実施態様において、W、X及びYは、 (C1-C6)アルキル基により任意に独立に置換されたCH2を表し、前記(C1-C6)アルキル基は、1又は2つのR5基によって更に置換されることができる。
【0026】
W、X又はYが、(C1-C6)アルキル基により置換されるCH2を表し、前記(C1-C6)アルキル基が1又は2つのR5基によって任意に置換される場合、そのようなW、X又はY基の代表例を挙げると、-CH-CH3、-CH-CH2-OH、-CH-CH2-CONH2、-CH-CH2-CONMe2、及び-CH-CH2-CO-(4-メチルピペラジン-1-イル)がある。一実施態様において、W、X及びYは、非置換(C1-C6)アルキル基によって任意に独立に置換されるCH2を表す。さらなる実施態様において、W及びXは、両方ともCH2を表し、Yは、-CH-CH3を表す。さらなる実施態様において、W、X及びYは各々、CH2を表す。
【0027】
別の実施態様において、WはC=Oを表し、X及びYは、両方ともCH2を表す。
【0028】
R1が-Z-Het基を表す場合、そのような-Z-Het基の代表例を挙げると、-CO-CH2-モルフォリニル、-CH2-モルフォリニル、及び−(CH2)2-モルフォリニルがある。一実施態様において、R1は、-CH2-モルフォリニルを表す。
【0029】
R1が、CONRaRb基によって任意に置換された(C1-C6)アルキルを表す場合、このようなR1基の代表例を挙げると、-CH2-CONH2がある。
【0030】
一実施態様において、R1は、H、(C1-C6)アルキル(すなわち、メチル)、CONRaRb基によって任意に置換された(C1-C6)アルキル(すなわち、-CH2-CONH2)、又は-Z-Het基(すなわち-CH2-モルフォリニル)を表す。
【0031】
さらなる実施態様において、R1は、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フェニル又はN、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜6員単環式飽和又は不飽和複素環を表し、R1の前記フェニル又は複素環基は、1つ以上(例えば1、2又は3つ)のR5基によって任意に置換されることができる。さらなる実施態様において、R1は、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニルを表す。さらに他の実施態様において、R1は、H又は(C1-C6)アルキルを表す。さらに他の実施態様において、R1は、H又は(C1-C6)アルキル(例えばメチル)を表す。さらに他の実施態様において、R1はHを表す。またさらに他の実施態様において、R1は、-Z-Het基、例えば、-CO-CH2-モルフォリニル、-CH2-モルフォリニル、又は-(CH2)2-モルフォリニルを表し、特に、R1は、-CH2-モルフォリニルを表す。
【0032】
一実施態様において、R2は、H、CO2Ra、CORa、CONRaRb、CH2ORc又はCH2NRaRbを表す。さらなる実施態様において、R2は、H、CO2Ra、CORa又はCONRaRbを表す。さらに他の実施態様において、R2は、H、CO2Ra又はCORaを表す。さらに他の実施態様において、R2は、H又はCO2Raを表す。さらに他の実施態様において、R2は、H又は-CO2-エチルを表す。さらに他の実施態様において、R2は、Hを表す。
【0033】
一実施態様において、R3は、ハロゲン又は(C1-C6)アルキルを表す。さらなる実施態様において、R3は、ハロゲン、例えば、Br若しくはCl、又は(C1-C6)アルキル、例えば、メチル、エチル若しくはプロピルを表す。さらに他の実施態様において、R3は、エチルを表す。
【0034】
一実施態様において、R4は、H、ハロゲン、例えば、F若しくはCl、又はCH3を表す。さらなる実施態様において、R4は、H又はハロゲン、例えば、F若しくはClを表す。さらに他の実施態様において、R4は、H又はFを表す。さらに他の実施態様において、R4はFを表す。別の実施態様において、R4はHを表す。
【0035】
一実施態様において、R5は、独立に、ハロゲン(例えば、F)、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、CORa、CONRaRb、ORa、NRaRb、NRcCORa、S(O)nRa又はSO2NRaRbを表す。
【0036】
一実施態様において、Ra及びRbは、独立に、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニルを表す。さらなる実施態様において、Ra及びRbは、独立に、H又は(C1-C6)アルキルを表す。さらに他の実施態様において、Ra及びRbは各々、(C1-C6)アルキル、例えば、メチル、エチル又はプロピルを表す。さらに他の実施態様において、Raは、エチルを表す。
【0037】
別の実施態様において、NRaRbは、N、O又はSから選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を任意に含む3〜7員窒素含有複素環、例えば、ピペラジニル又はモルフォリニルを形成し、前記複素環は、1つ以上の(C1-C6)アルキル基によって任意に置換される。さらなる実施態様において、NRaRbは、1つ以上の(C1-C6)アルキル基によって任意に置換されるピペラジン環(例えば、4-メチル-ピペラジン-1-イル)を形成する。
【0038】
一実施態様において、Rcは、H又は(C1-C6)アルキルを表す。さらなる実施態様において、Rcは、H又はメチルを表す。さらに他の実施態様において、Rcは、Hを表す。
【0039】
一実施態様において、nは、1又は2を表す。さらなる実施態様において、nは、2を表す。
【0040】
一実施態様において、式(I)の化合物は、以下から選択される:
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (E1);
4-[4-(4-エチル-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (E2);及び
4-フルオロ-2-{2-フルオロ-4-[(3-オキソピペラジン-1-イル)カルボニル]フェノキシ}-5-エチルフェニル エチル カルボネート (E3);
又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【0041】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物は、以下から選択される:
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2,6-ジオン (E4);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-メチルピペラジン-2-オン (E5);
2-[4-(4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド (E6);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-(モルフォリノメチル)ピペラジン-2-オン (E7);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-3-メチルピペラジン-2-オン (E8);
又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【0042】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物は、4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン(E1)、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物である。
【0043】
またさらに他の実施態様において、式(I)の化合物は、4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-(モルフォリノメチル)ピペラジン-2-オン(E7)である。
【0044】
式(I)の化合物及びそれらの塩は、化学的に関連した化合物を製造するために適用可能な、熟練した化学者に公知の方法により製造することができる。このような方法は、有機化学の標準的手順によって得ることができる公知の出発材料又は中間体を使用する。下記プロセスは、様々な非限定的な経路を、式(I)の化合物及びそこに使用されるそれらの中間体の製造に提供する。これらの方法は、本発明の更なる態様を構成する。
【0045】
本発明のさらなる態様に従って、上記の式(I)の化合物を製造する方法であって:
(a) 式(II)のカルボン酸誘導体:
【化2】

(式中、R3及びR4は、式(I)の化合物において定義したものであり、R8は、(C1-6)アルキル基などの保護基を表す。)
を、式(III)の化合物:
【化3】

(式中、W、X、Y及びR1は、式(I)の化合物において定義したものである。)
と反応させ、続いて:
(b) 化合物(I)の保護誘導体を脱保護すること;及び、任意に、その後続いて:
(c) 式(I)の化合物を、式(I)の更なる化合物に相互変換すること;
を含む、前記方法を提供する。
【0046】
方法(a)は概して、当業者に公知の適切なカップリング条件の使用を含み、非限定的な例は、式(I)の保護誘導体を生成する、EDAC又は(COCl)2、塩基、例えば、TEA若しくはDIPEA又はDMAPの使用、HOBtの任意の使用、及び溶媒、例えば、DMF又はDCMを含む。
【0047】
方法(b)は概して、R2が水素原子を表す式(I)の所望の化合物を生成するための条件下、任意の適切なルイス酸、例えば、BBr3又はBCl3を含む。
【0048】
方法(c)は概して、当業者に公知の相互変換手順を含む。例えば、R2が水素を表す式(I)の化合物は、当業者に公知の方法により、R2がCO2Ra、CORa、CONRaRb、CH2ORc、CH2NRaRb、SO2NRaRb、P(O)ORaORbを表し、Ra、Rb及びRcは式(I)の化合物に対して上記に定義されるものである式(I)の化合物に変換することができる。さらにまた、R1が水素を表す式(I)の化合物は、R1が水素を表す式(I)の化合物を、Het及びホルムアルデヒドと、メタノールなどの適切な溶媒の存在下で反応させることにより、R1が-Z-Hetを表す(特に、Zは-CH2-を表す。)式(I)の化合物に変換することができる。
【0049】
式(II)の化合物は、以下の手順に従って製造することができる:
(i) 式(IV)のフェノール誘導体:
【化4】

(式中、R3、R4及びR8は、式(II)の化合物に対して上記で定義したものである。)
を、式(V)の化合物:
【化5】

(式中、R10は、ニトリル、エステル又はアミド置換基のいずれかであり、R9は、適切な離脱基、例えば、当業者に公知の塩基性条件下、式(IV)の化合物のOH基と反応できるハロゲン原子又はニトロ基である。)
と反応させ、式(VI)の化合物:
【化6】

を与えること;
(ii) 式(VI)の化合物のR10部位を、適切な水性酸性又は塩基性条件下、例えば、それぞれ1N HCl又は6N NaOHで加水分解し、式(II)の所望の化合物:
【化7】

を生成すること。
【0050】
適当である場合、工程(a)、(b)、(c)、(i)又は(ii)において先に記載した反応は、当業者に公知の1つ以上の反応に続く又は先行し、上記のW、X、Y、R1、R2、R3及びR4上に必要な置換を達成するために適切な順序で行われ、式(I)の他の化合物を与える。反応条件が文献で見出され得るこのような反応の非限定的な例は、以下を含む:
反応性官能基の保護、
反応性官能基の脱保護、
ハロゲン化、
脱ハロゲン化、
脱アルキル化、
アミン、アニリン、アルコール及びフェノールのアルキル化、
ヒドロキシル基上のミツノブ反応、
適当な基上の環化付加反応、
ニトロ、エステル、シアノ、アルデヒドの還元
遷移金属触媒化カップリング反応、
アシル化、
スルホニル化/スルホニル基の導入、
鹸化/エステル基の加水分解、
エステル基のアミド化又はエステル交換反応、
カルボキシル基のエステル化又はアミド化、
ハロゲン交換、
アミン、チオール又はアルコールでの求核置換、
還元的アミノ化、
カルボニル及びヒドロキシルアミン基上のオキシム形成、
S-酸化、
N-酸化、
塩化。
【0051】
式(III)、(IV)及び(V)の化合物は、公知であるか、又は公知の手順、例えば、本明細書において記載されている手順に従って製造することができる。
【0052】
式(I)の化合物の合成において使用される特定の中間体は、本発明の付加的な態様を構成できることはいうまでもない。例えば、本発明のさらに別の態様では、式(II)の化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を提供する:
【化8】

(式中、R3及びR4は、上記に定義されているものであり、R8は、保護基を表す。)。
【0053】
以下の実施例で示すように、式(I)の上記に開示された化合物は、有益な生物学的特性を有する。それらは、特に、FabI及び関連した標的に依存している細菌株に対して、生体外及び生体内で選択的な範囲の活性を有する抗菌薬として有効である。このような株は、多剤耐性株を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(例えば、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(methicillin-susceptible Staphylococcus aureu)(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MRSA)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin-intermediate Staphylococcus aureus)(VISA)及びバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin-resistant Staphylococcus aureus)(VRSA)株)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、大腸菌(Escherichia coli)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、及びInhAなどの相同的FabI酵素を持つ結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、又は熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)などの他の生物体を包含する。一実施態様において、本発明の化合物は、多剤耐性株を含む黄色ブドウ球菌(例えばメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)及びバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)株)の微生物感染症の治療に用いられる。
【0054】
従って、式(I)の化合物は、特に薬剤の有効成分として適切である。
【0055】
本発明のさらに別の態様に従って、治療に用いる、上記で定義した式(I)の化合物を提供する。
【0056】
本発明のさらに別の態様に従って、上記に定義した式(I)の化合物を、医薬として許容し得る賦形剤又は担体と共同して含む、医薬組成物を提供する。
【0057】
前記医薬品組成物は、経口、局所、注射経路を含む非経口下での投与、例えば、静脈内投与されるように、治療される患者に適当な個々の用量で、有利に製剤化される。
【0058】
本発明の組成物は、固体、液体、又はゲル/クリームの形態とすることができ、かつヒトの薬剤に共通に使用される医薬形態、例えば、単純又は糖衣錠、ゼラチンカプセル、顆粒、坐薬、注射可能な製剤、軟膏、クリーム、ゲルで存在し得る;それらは、慣習的な方法に従って調製される。活性成分は、これらの医薬組成物に慣習的に使用される賦形剤、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、水性若しくは非水性ビヒクル、動物若しくは植物性起源の脂肪物質、パラフィン誘導体、グリコール、様々な湿潤剤、分散剤又は乳化剤、防腐剤を使用して組み込まれ得る。これらの組成物は、適切なビヒクル、例えば、非発熱性滅菌水に即座に溶解されることを意図する粉末の形態で存在することもできる。
【0059】
投与される量は、治療される状態、問題の患者、投与経路、及び想定される生成物に従って変化する。それは、例えば、ヒトにおいて、経口経路によって又は筋肉内若しくは静脈内経路によって、1日あたり0.01g〜10gで含まれ得る。
【0060】
前記組成物は、多剤耐性株を含む黄色ブドウ球菌、アシネトバクター・バウマニ、炭疽菌、肺炎クラミジア、大腸菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター・ピロリ、肺炎桿菌、髄膜炎菌、S.インターメディウス(S. intermedius)、P.ムルトシダ(P. multocida)、B.ブロンキセプチカ(B. bronchiseptica)、M.ヘモリチカ(M. haemolytica)及びA.プルロニューモニエ(A. pleuropneumoniae)などの病原性微生物、並びに、結核菌などの細菌、又は熱帯熱マラリア原虫などの他の生物体による、ヒト又は動物の感染症の治療に特に有用である。
【0061】
前記組成物は、他の薬剤、例えば抗生物質と組み合わせて、併用療法(multitherapy)に役立つこともあり得る。このような併用療法は概して、式(I)の化合物を含み、抗生物質などの1つ以上の他の薬剤をさらに含む組成物、又は同時投与(co-administration)(すなわち、逐次的又は同時投与(simultaneous administration))を含む。
【0062】
従って、本発明は、上記で定義した式(I)の化合物の効果的な量を、その必要がある患者に投与することを含む、微生物感染症の治療方法に関する。
また、本発明は、微生物感染症の治療に用いる、上記で定義した式(I)の化合物に関する。
また、本発明は、微生物感染症の治療のための薬剤の製造における、上記で定義した式(I)の化合物の使用に関する。
また、本発明は、微生物感染症の治療に用いる、上記で定義した式(I)の化合物を含む、医薬組成物に関する。
【実施例】
【0063】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、400MHz Bruker計測器で記録し、化学シフトは、内部標準テトラメチルシラン(TMS)からppmダウンフィールドにおいて報告される。
NMRデータの省略形は、以下の通りである:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブレットのダブレット、dt=トリプレットのダブレット、br=ブロード。Jは、ヘルツで測定されるNMRカップリング定数を示す。CDCl3は、ジュウテリオクロロホルムであり、DMSO-d6は、ヘキサジュウテリオジメチルスルホキシドであり、CD3ODは、テトラジュウテリオメタノールである。質量スペクトルは、Agilent 1100シリーズLCMSにおいて、エレクトロスプレーイオン化(ESI)技術を使用して得た。AnaltechシリカゲルGF及びE. Merckシリカゲル60 F-254薄層プレートを、薄層クロマトグラフィーのために使用した。フラッシュクロマトグラフィーは、Flashsmart Packカートリッジ不規則シリカ40〜60μm又は球面シリカ20〜40μmで実施した。分取薄層クロマトグラフィーは、AnaltechシリカゲルGF 1000μm 20x20 cmで実施した。
【0064】
特定の省略形の意味は、本願明細書において与えられる。ESIは、エレクトロスプレーイオン化を意味し、HPLCは、高圧液体クロマトグラフィーを意味し、LCMSは、質量分析計と一体となった液体クロマトグラフィーを意味し、質量分析計の文脈において、Mは、分子ピークを意味し、MSは、質量分析計を意味し、NMRは、核磁気共鳴を意味し、pHは、水素のポテンシャルを意味し、TEAは、トリエチルアミンを意味し、DIPEAは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを意味し、HOBtは、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを意味し、DCMは、ジクロロメタンを意味し、EtOAcは、酢酸エチルを意味し、DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドを意味し、EDACは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩を意味し、DMAP又は4-DMAPは、4-(ジメチルアミノ)ピリジンを意味し、TLCは、薄層クロマトグラフィーを意味する。
出発材料は、特に明記しない限り市販のものである。
【0065】
(中間体1)
4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾニトリル (D1)
【化9】

無水アセトニトリル (35 mL)中の4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノール (1g, 5.87 mmol)、3,4-ジフルオロベンゾニトリル (899 mg, 6.46 mmol)、及び水酸化カリウム (395 mg, 7.04 mmol)の懸濁液を、アルゴン下、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を、真空下で濃縮し、酢酸エチル及び塩化アンモニウムの飽和水溶液で希釈した。水相を分離し、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、茶色オイル (1.6g)を与えた。粗生成物を、溶離液としてシクロヘキサン/酢酸エチル(9:1)を用いて、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を無色オイルとして得て、ゆっくりと結晶化した(1.42g, 84%)。
LCMS (ESI+) m/z 290 (M+H)+
【0066】
(中間体2)
4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロ安息香酸(D2)
【化10】

4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾニトリル(420 mg, 1.45 mmol;D1において記載されているように調製できる。)のメタノール(15 mL)溶液に、6N NaOH水溶液 (7.3 mL, 43.6 mmol)を加えた。反応混合物を、還流のために加熱(70℃)し、一晩撹拌した。氷浴で冷却後、濃HCl(3.7mL)を、ゆっくり加えた。混合物を、酢酸エチル及び水で希釈した。水相を分離し、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、表題生成物をベージュ固体として与えた(447 mg, 定量的)。
LCMS (ESI-) m/z 307 (M-H)-
【0067】
(中間体3)
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (D3)
【化11】

4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロ安息香酸(55 mg, 0.18 mmol;D2において記載されているように調製できる。)のジクロロメタン (1.8 mL)溶液に、アルゴン下、0 ℃に冷却して、塩化オキサリル(ジクロロメタン中2M, 135 μL, 0.27 mmol)及び一滴のN,N-ジメチルホルムアミドを加えた。混合物を、2時間にわたって室温にし、その後、ピペラジン-2-オン (20 mg, 0.20 mmol)、続いて、ジイソプロピルエチルアミン (93 μL, 0.53 mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、1N HCl溶液を加えた。数分撹拌した後、ジクロロメタンを加え、水相(pH 7)をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いて、シリカゲルの分取薄層クロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、黄色オイル(38mg, 55%)として得た。
LCMS (ESI+) m/z 391 (M+H)+, 413 (M+Na)+
【0068】
(実施例1)
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (E1)
【化12】

4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン(38 mg, 0.10 mmol;D3において記載されているように調製できる。)のジクロロメタン (300 μL)溶液に、アルゴン下、-30 ℃で、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M, 273 μL, 0.27 mmol)を加えた。混合物を、室温にし、20時間を撹拌した後に、ジクロロメタンで希釈した。混合物を、0℃で、塩化アンモニウムの飽和水溶液でクエンチし、その後、酢酸エチルで希釈した。水相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いて、シリカゲルの分取薄層クロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(32mg, 86%)として得た。
【化13】

【0069】
(実施例2)
4-[4-(4-エチル-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (E2)
【化14】

実施例2(E2)の化合物を、実施例1(E1)に記載されているものと類似する方法で調製し、50%の全収率を有する白色固体として標題化合物を得た。
【化15】

【0070】
(実施例3)
4-フルオロ-2-{2-フルオロ-4-[(3-オキソピペラジン-1-イル)カルボニル]フェノキシ}-5-エチルフェニル エチル カルボネート (E3)
【化16】

4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン(20 mg, 0.053 mmol;D3において記載されているように調製できる。)のアセトニトリル (550 μL)溶液に、KOH (3 mg, 0.053 mmol)、続いて、クロロ炭酸エチル (6 μL, 0.058 mmol)を加えた。室温で1時間後、混合物を、水でクエンチした。水相を、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いて、シリカゲルの分取薄層クロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(11mg, 46%)として得た。
【化17】

【0071】
(実施例4)
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2,6-ジオン (E4)
工程1:4-ベンジルピペラジン-2,6-ジオン
【化18】

2,2'-(ベンジルアザネジイル)二酢酸(5.0g, 22.4mmol)及びギ酸アンモニウム(4.2g, 67.2mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(75mL)懸濁液を、2日間、還流(160℃)して撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を、酢酸エチル(150mL)及び炭酸水素ナトリウム(150mL)の飽和溶液の連続した添加により希釈した。水相を酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、合わせた有機相を塩化ナトリウム(3×100mL)の飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、黄色の液体(3.96g, 87%)として表題生成物を与えた。
【化19】

【0072】
工程2:ピペラジン-2,6-ジオン塩酸塩
【化20】

4-ベンジルピペラジン-2,6-ジオン(実施例4、工程1に記載される実験に従って調製することができる;2.0 g, 9.8 mmol)のメタノール/H2O(65mL/28mL)の混合物の溶液に、HCl 1Nのメタノール(23.8 mL)溶液、及びPd/C(10%湿潤, 0.2% wt., 400 mg)を加えた。反応混合物を、水素(P = 1 atm)下で一晩撹拌する前に、水素/真空で3回脱気した。その後、反応混合物を、Clarcel(登録商標)で濾過し、メタノールで洗浄した。濾液を、最終的に乾燥して濃縮し、残渣を、メタノール及びエーテルの混合物から沈殿した。表題生成物を、ベージュ固体(418mg, 28%)として得た。
【化21】

【0073】
工程3:4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾニトリル
【化22】

水酸化カリウム(2.4g, 43.13mmol)を、4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノール(6.1 g, 35.94 mmol)及び3,4-ジフルオロベンゾニトリル(5.0 g, 35.94 mmol)の無水アセトニトリル(80 mL)溶液に加えた。反応混合物を、一晩、85℃で撹拌し、その後、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル(300mL)に溶解し、塩化アンモニウム(200mL)の飽和溶液の添加により希釈した。水相を分離し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾燥して濃縮し、茶色固体を与えた。ペンタン中の粉砕後、表題生成物を、茶色固体(8.10g, 77%)として得た。
【化23】

【0074】
工程4:4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロ安息香酸
【化24】

NaOH 6N(70mL, 420mmol)の水溶液を、4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾニトリル(実施例4、工程3において記載された実験に従って調製することができる;4.0 g, 13.82 mmol)のメタノール(140 mL)溶液に加えた。その後、反応混合物を、一晩、還流(80℃)で撹拌した。0℃に冷却後、反応混合物を、pH=2まで、濃HCl(25mL)をゆっくり添加して酸性化した。その後、混合物を酢酸エチル(300mL)の添加により希釈し、水相を分離して、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物をベージュ固体(4.20 g,定量的)として与えた。
【化25】

【0075】
工程5:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2,6-ジオン
【化26】

N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.29mL, 1.7mmol)、ピペラジン-2,6-ジオン塩酸塩(88mg, 0.58mmol)、EDCI(112mg, 0.58mmol)及びHOBt(79mg, 0.58mmol)を、4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロ安息香酸(実施例4、工程4に記載された実験に従って調製することができる;150 mg, 0.48 mmol)のジクロロメタン(1.6 mL)溶液に、連続して加えた。反応混合物を、室温で一晩、撹拌し、その後、ジクロロメタン(20mL)及び塩化アンモニウムの飽和溶液(20mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5〜90:10)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、ベージュ固体(130mg, 66%)として得た。
【化27】

【0076】
工程6:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2,6-ジオン
【化28】

三臭化ホウ素(DCM中1N、0.4mL, 0.4mmol)の市販溶液を、-30℃で、アルゴン下に置かれた4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2,6-ジオン(実施例4、工程4に記載された実験に従って調製することができる;60 mg, 0.15 mmol)のジクロロメタン(0.5 mL)溶液に加えた。反応混合物を、室温で一晩、攪拌し、その後、ジクロロメタン(10mL)及び塩化アンモニウムの飽和溶液(10mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(98:2)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(35mg, 60%)として得た。
【化29】

カルテットCH2は、DMSOシグナルにより部分的に隠れている。
【0077】
(実施例5)
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-メチルピペラジン-2-オン (E5)
工程1:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン
【化30】

N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.8mL, 16mmol)、ピペラジン-2-オン(780mg, 7.8mmol)、EDCI(1.5g, 7.8mmol)及びHOBt(1.05g, 7.8mmol)を、4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロ安息香酸(実施例4、工程4に記載された実験に従って調製することができる;2.0 g, 6.5 mmol)のジクロロメタン(22mL)溶液に、連続して加えた。反応混合物を、室温で一晩、撹拌し、その後、ジクロロメタン(50mL)及び炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(50mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/石油エーテル(80/20)〜ジクロロメタン(100%)〜ジクロロメタン/メタノール(98:2〜95:5)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、黄色の固体(2.0g, 80%)として得た。
【化31】

【0078】
工程2:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1- メチルピペラジン-2-オン
【化32】

水素化ナトリウム(オイル中60%, 25mg, 0.6mmol)を、4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-ピペラジン-2-オン(実施例5、工程1に記載された実験に従って調製することができる;200 mg, 0.5 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)溶液に加えた。反応混合物を、ヨードメタン(0.48mL, 0.77mmol)の添加前に、室温で15分間撹拌した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を、酢酸エチル(30mL)及び水(30mL)の添加により希釈された。2つの相を分離し、水相を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を、最後に塩化ナトリウムの飽和溶液(5×20mL)により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、表題生成物を黄色オイル(200mg, 97%)として与えた。
【化33】

【0079】
工程3:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-メチルピペラジン-2-オン
【化34】

三臭化ホウ素(DCM中1N, 1.33mL, 1.32mmol)の市販溶液を、-30℃で、アルゴン下に置かれた4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-メチルピペラジン-2-オン(実施例5、工程2に記載された実験に従って調製することができる;200 mg, 0.49 mmol)のジクロロメタン(1.6 mL)溶液に加えた。反応混合物を、室温で一晩、攪拌し、ジクロロメタン(30mL)及び塩化アンモニウムの飽和溶液(30mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、ジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、黄色固体(135mg, 70%)として得た。
【化35】

【0080】
(実施例6)
2-[4-(4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド (E6)
工程1:2-[4-(4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド
【化36】

ナトリウム水素化物(オイル中60%, 49mg, 1.2mmol)を、4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-ピペラジン-2-オン(実施例5、工程1に記載された実験に従って調製することができる;400 mg, 1 mmol)のテトラヒドロフラン(10 mL)溶液に加えた。反応混合物を、2-ブロモアセトアミド(212mg, 1.5mmol)の添加前に、室温で15分間撹拌した。室温で2日間撹拌した後、反応混合物を、酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を、塩化ナトリウムの飽和溶液(2×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(98:2〜95:5)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(300mg, 65%)として得た。
【化37】

【0081】
工程2:2-[4-(4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド
【化38】

三臭化ホウ素(DCM中1N, 0.84mL, 0.84mmol)の市販溶液を、-30℃で、アルゴン下に置かれた2-[4-(4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド(実施例6、工程1に記載された実験に従って調製することができる;140 mg, 0.31 mmol)のジクロロメタン(1 mL)溶液に加えた。反応混合物を、室温で一晩攪拌し、ジクロロメタン(20mL)及び塩化アンモニウムの飽和溶液(20mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5〜90:10)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(30mg, 22%)として得た。
【化39】

カルテットCH2は、部分的にDMSOシグナルにより隠れている。
【0082】
(実施例7)
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-(モルフォリノメチル)ピペラジン-2-オン (E7)
工程1:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-ピペラジン-2-オン
【化40】

三臭化ホウ素(DCM中1N, 3.5mL, 3.46mmol)の市販溶液を、-30℃で、アルゴン下に置かれた4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン(実施例5、工程1に記載された実験に従って調製することができる;500 mg, 1.28 mmol)のジクロロメタン(4.3 mL)溶液に加えた。反応混合物を、室温で36時間攪拌し、その後、ジクロロメタン(20mL)及び水(20mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/アセトン(80:20)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、ベージュ固体(440mg, 92%)として得た。
【化41】

【0083】
工程2:4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-(モルフォリノメチル)ピペラジン-2-オン
【化42】

ホルムアルデヒド(水中37%、30 μL, 0.32mmol)及びモルフォリン(28 μL, 0.32mmol)を、4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-ピペラジン-2-オン(実施例7、工程1に記載された実験に従って調製することができる;100 mg, 0.26 mmol)のメタノール/H2O(0.8mL/0.8mL)の混合物の溶液に、連続して加えた。混合物を、追加のホルムアルデヒド(水中37%, 30 μL, 0.4mmol)及び追加のモルフォリン(32 μL, 0.4mmol)の添加前に、40℃で2時間撹拌した。その後、反応混合物を、40℃で2日間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)の添加により希釈した。分離後、水相を、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(98:2〜96:4)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(55mg, 44%)として得た。
【化43】

カルテットCH2は、DMSOシグナルにより部分的に隠れている。
【0084】
(実施例8)
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-3-メチルピペラジン-2-オン (E8)
【化44】

N,N-ジイソプロピルエチルアミン(74 μL, 0.42mmol)、3-メチルピペラジン-2-オン(23.3mg, 0.20mmol)、EDCI(39.1mg, 0.20mmol)及びHOBt(27.6g, 0.20mmol)を、4-(4-エチル-5-フルオロ-2-メトキシフェノキシ)-3-フルオロ安息香酸(実施例4、工程4に記載された実験に従って調製することができる;50 mg, 0.17 mmol)のジクロロメタン(0.55 mL)懸濁液に、連続して加えた。反応混合物を、室温で一晩撹拌し、その後、ジクロロメタン(10mL)及び水(10mL)の添加により希釈した。分離後、有機層を、水(10mL)で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(98:2〜95:5)を用いて、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。表題生成物を、白色固体(24mg, 36%)として得た。
【化45】

【0085】
(分析データ)
1. FabI阻害
本発明の化合物は、細菌FabI酵素の有用な阻害剤である。
FabI酵素の化合物阻害活性を、蛍光ベースアッセイを使用してIC50の決定により、生体外で測定する。
黄色ブドウ球菌由来のタンパク質FabIを、原核生物の発現ベクターの遺伝子クローニング後、組換えタンパク質発現の標準的方法を使用して調製し、精製する。
【0086】
FabI酵素の生化学活性を、以下の方法を使用して評価する。
アッセイ緩衝液「AB」は、50mM ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸一ナトリウム塩)pH 6.5、1mM ジチオスレイトール、0.006% トリトン-X100、及び50mM NaClを含む。以下の成分を、白色ポリスチレンCostarプレート(white polystyrene Costar plate)(Ref 3912)に、最終量55.5μLまで加える:1.5μL DMSO、又はDMSOに溶解した阻害剤、及びAB中54μLのFabI/NADPH/NADP+混合物。室温で60分の前培養後、反応を、5μLのトランス-2-オクテノイル N-アセチルシステアミンチオエステル(t-o-NAC)の添加により、最終量60.5μLにして開始する。その後、この反応混合物は、2nM FabI、40μM NADPH (Sigma, N7505)、10μM NADP+ (Sigma, N5755)、100μM t-O-NAC、及び定義された濃度での化合物から構成される。NADPH(λex=360 nm、λem=520 nm)の蛍光強度を、NADPH変換の±30%を達成するように、Fluostar Optima (BMG)により、t-O-NAC添加直後(T0)、及び約50分後(T50)に測定する。酵素活性を、最初にT50にT0シグナルを減算し、その後、バックグラウンドシグナル(FabI=0)を減算することで算出する。
阻害のパーセンテージを、未処置サンプル(阻害=0)に対して算出し、IC50を、XLFIT(IDBS)を用いる古典的ラングミュア平衡モデルに適合する。
【表1】

【0087】
2. 抗菌活性
本発明の化合物は、FabI及び関連した標的に依存する細菌株に対して、生体外で選択的な範囲の活性を有する有用な抗菌薬である。特に、本発明の化合物は、多剤耐性株を含む黄色ブドウ球菌に対して活性を示す。活性は、μg/mlで表す最小阻止濃度(MIC)として示し、微量液体希釈法又は寒天希釈法を使用して決定した。
【0088】
(菌株)
抗菌活性は、Centre de Ressources Biologiques de l'Institut Pasteurにより提供されるMSSA CIP 54.146で決定した。抗菌活性はまた、MRSA(IHMA #510059)及びMSSA(IHMA #555189)でも決定した。
【0089】
(微量液体希釈法)
このプロトコルは、CLSIのM7-A7文書にて説明されるように、臨床検査標準協会(Clinical Laboratory Standards Institute)(CLSI)の方法論に準拠する。試験される化合物は、純粋なDMSO中において、理由2の等比数列(geometric series of reason 2)に従って希釈される。
希釈液を、無菌ポリスチレンマイクロプレートに移し、その後、5x105 cfu/mの最終接種物量で、カチオン調整Muller-Hintonブロス(ca-MHB, Fluka, Reference 90922)中の対数期中間部の細菌を移す。マイクロプレートを35℃で一晩インキュベートする。MICは、可視できる細菌増殖を完全に阻害する抗菌薬の最小濃度として定義する。化合物処理(純粋なDMSO中)以外の全ての操作は、無菌条件下で行う。プレート中のDMSOの最終濃度は、2%である。
試験化合物の血清結合を評価するために、MICを、80%ヒト血清(HS、Sigma、Reference H4522)で補充したca-MHB中でも測定した。
【表2】

【0090】
(感受性方法を用いるMIC決定)
最小阻止濃度(MIC)を、CLSIガイドライン(CLSI, M100-201, M7-A82, M27-A33)に従って、微量液体希釈により決定した。化合物を、012-128μg/mlの範囲において試験した。コロニーを、第2パス培養プレートから直接に取り、通常の食塩水を用いて、0.5 McFarland標準と等しい懸濁液に調製した。
MICプレートの接種は、接種物懸濁液の濁度の調整後、15分以内に行った。パネルを、MICエンドポイントを読み込む前に、35℃で16〜20時間、インキュベートした。実施例4〜8の化合物を、DMSOに溶解し、5120μg/mlの初期溶液を作った。
これらの溶液を、512μg/mlのストック溶液に対して、滅菌水で1:10に希釈した。ストック溶液を、微量液体希釈パネルに使用される連続希釈のために、適切なブロス媒体に更に希釈した。肺炎レンサ球菌を、3%溶解ウマ血液を有するMueller Hinton (MH)ブロス中で試験し、C. アルビカンス(C.albicans)を、RPMI-1640媒体中で試験した。他の全ての生物体を、MHブロス中で試験した。
【表3】

最も活性な化合物は、MRSA及びMSSA株に対して、0.06 μg/mlのMICを示した実施例7であることが分かった。
【0091】
3. 非経口的及び経口的の双方における、実施例1(E1)の生体内抗菌活性
黄色ブドウ球菌(S.aureus)による感染の実験的なモデルを、FabI阻害の抗菌活性を評価するために用いた。
【0092】
簡潔に、生体内研究を、5週齢の好中球減少性雌スイスマウスのグループ(各条件に対して、1グループ当たり5匹のマウス)を使用して行った。
毒性のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌株ATCC 29213を、トリプチックソイ(TS)ブロス培養液中、対数期まで増殖した。細菌培養液を希釈して、1-3 109cfu/mlの細菌懸濁液を得て、生理的血清中で洗浄し、ムチン10%含有生理的血清に再懸濁した。その後、細菌懸濁液を、腹腔内注射によってマウス(マウス1匹当たり200μl)に接種させた。接種物数は、接種直後に、TS寒天プレート上の懸濁液の10倍の希釈をプレートすることにより確認した。
【0093】
非経口投与後のE1の化合物の保護の仮説を検証するために、試験化合物を20%ヒドロキシ-プロピルベータシクロデキストリン(HPCD)、及びグルコース1%を含む製剤に溶解し、希釈し、細菌感染の直後に、その溶液の適当量(6.25及び12.5mg/kg体重の用量レベルに対応する)を、各マウスに皮下投与した。ネガティブコントロール群は、単独で20%HPCD溶液を受け、6.25mg/kgでのバンコマイシンを、ポジティブコントロールとして使用した。
【0094】
経口投与後の保護を評価するために、E1の化合物を、1%ジメチルスルホキシド(DMSO)及び10%クレモホールELを含む製剤中に溶解し、希釈し、細菌感染の直後に、その溶液の適当量(100及び200mg/kg体重の用量レベルに対応する)を、各マウスに経口投与した。ネガティブコントロール群は、単独で1%DMSO及び10%クレモホールEL溶液を受けた。
【0095】
マウス健康及び臨床徴候を、48時間で記録し、結果を生存率として報告した。
【0096】
全ての動物実験は、施設ガイドラインに従って行った。化合物活性は、感染マウスの大腿の細菌負荷を減らす投与量でのその効果により測定した。
【0097】
図1及び2に示すように、生体内保護アッセイの結果は、E1(化合物1)の化合物が、6.25及び12.5mg/kg(皮下投与)の用量レベルで、及び100及び200mg/kg(経口投与)の用量レベルで、非経口及び経口投与後のマウスを、細菌播種から保護できることを示す。
【0098】
4. キラルHSA柱を使用している実施例7(E7)の分析を結合しているHSA
(試験系)
この分析に使用する試験系は、HSAキラルカラムである。
【0099】
(試薬及び化学物質)
リン酸カリウム一塩基性KH2PO4、及びリン酸カリウム二塩基性三水和物K2HPO4, 3H2Oを、Calbiochemから得た。アセトニトリル、DMSO及びナトリウムアジドは、Sigma-Aldrichから購入した。2-プロパノールは、Flukaにより提供された。水は、Millipore system Milli-Q Plus (Waters)から得られるMilliQ等級とした。
【0100】
(試薬の調製)
20mM K2HPO4:1Lの水中4.564g
20mM KH2PO4:1Lの水中2.722g
20mM リン酸塩緩衝液pH 7.0 :20mM KH2PO4 58.7%+20mM K2HPO4 41.3%(pHは、必要に応じて調整される)。
【0101】
(ストック溶液の調製、較正、及び品質管理の試料)
実施例7の10mMストック溶液(分子量475.49、及びHPLC純度86.3%)は、実施例7の化合物1.8mgを、DMSO 0.327mlに溶解することにより調製した。100μM濃度の実施例7の化合物は、10 mMのストック溶液を、リン酸カリウム緩衝液pH 7.0を有するDMSOに溶解することにより調製した。
【0102】
(装置)
HPLCシステムAlliance 2690(Waters)
PDA UV検出器996(Waters)
Column Chiral HSA 50×3.0mm、5μm(Chromtec)
AT261スケール(Mettler-Toledo)
pH-メーターイージーセブン(pH-meter easy seven)(Mettler-Toledo)
ピペットマン(Eppendorf)
ボルテックス(Fisher-Bioblock)
超音波浴
4mLガラスバイアル(Dutscher)
クロマトグラフィー用2mLガラスバイアル(Interchim)
【0103】
(液体クロマトグラフィーパラメーター)
液体クロマトグラフィーは、表4に示されるパラメータに従って使用した:
【表4】

【0104】
(パーセンテージ結合計算)
保持時間(Tr)とタンパク質結合のパーセンテージ(PB%)との間の関係は、休止時間(T0)及び利用率(k')に依存した:
【数1】

【0105】
(結果)
実施例7の化合物は、表5に示される結果から分かるように、HASへの中程度の結合を示すことが分かった:
【表5】

【0106】
(CLSIガイドライン参照)
1. M100-S20
臨床及び検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute), 2010。抗菌感受性試験の実施基準(Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing);第20番目の情報の補足(Twentieth Informational Supplement). CLSI文書M100-S20. Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI), Wayne, PA 19087-1898 USA.
2. M7-A8
臨床及び検査標準協会(CLSI), 2009。好気的に成長する細菌の希釈抗菌試験の方法(Methods for Dilution Antimicrobial Test for Bacteria That Grow Aerobically);認可基準-第8版(Approved Standard-Eighth Edition). CLSI文書M07-A8 [ISBN 1-56238-689-1]. CLSI, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, Pennsylvania 19087 USA.
3. M27-A3
臨床及び検査標準協会(CLSI), 2009。酵母のブロス希釈抗真菌ブロス感受性試験-認可基準第8版(Reference method for broth dilution antifungal broth susceptibility testing of yeasts-Approved Standard Third Edition). CLSI文書M27-A3. Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI), Wayne, PA 19087-1898 USA.
【0107】
本発明は、好適及びより好適な基、並びに適切及びより適切な基、並びに上記に列挙した基の実施態様のすべての組合せを包含する。
【0108】
本明細書、及び続く特許請求の範囲の全体に渡って、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、語句「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変更は、定まった整数、工程、整数の群又は工程の群の包含を意味するが、他の整数、工程、整数の群又は工程の群の除外を意味するものではないと理解されるであろう。
【0109】
本願明細書において、関連する全ての特許及び特許出願は、それらの全部において、引用により取り込まれている。
【0110】
本記載及び請求項が一部を形成する本出願は、次の全ての出願に関して、優先権の基礎としても使用することができる。このような次の出願の請求項は、本願明細書に記載されている特徴の全ての特徴又は組合せに関することができる。それらは、生成物、組成物、方法、又は使用クレームという形をとることができ、又は例及び制限されない方法で、本請求項を含むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化1】

(式中:
−W、X及びYは、独立に、CH2又はC=Oを表し、前記CH2基は、フッ素又は(C1-C6)アルキル基によって任意に独立に置換されることができ、前記(C1-C6)アルキル基は、1又は2つのR5基によって更に置換されることができ;
−R1は、H、CONRaRb基によって任意に置換される(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フェニル、又は-Z-Het基を表し、Zは、結合又はCO、(C1-C6)アルキレン、若しくは-CO-(C1-C6)アルキレンから選択されるリンカーを表し、及びHetは、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜6員単環式飽和又は不飽和複素環を表し、R1の前記フェニル又は複素環基は、1つ以上(例えば1、2又は3つ)のR5基によって任意に置換されることができ;
−R2は、H、CO2Ra、CORa、CONRaRb、CH2ORc、CH2NRaRb、SO2NRaRb又はP(O)ORaORbを表し;
−R3は、ハロゲン、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニルを表し;
−R4は、H、ハロゲン、CN又はCH3を表し;
−Ra、Rb及びRcは、独立に、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニルを表すか、又はNRaRb基は、N、O又はSから選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を任意に含む3〜7員窒素含有飽和複素環を任意に形成でき、前記複素環は、1つ以上の(C1-C6)アルキル基によって任意に置換されることができ;
−R5は、ハロゲン、CN、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、CO2Ra、CORa、CONRaRb、OCORa、ORa、NRaRb、ON=CRaRb、NRcCORa、NRcCOORa、OCONRaRb、NRcCONRaRb、NRcSO2Ra、S(O)nRa又はSO2NRaRbを表し;
−nは、0〜2から選択される整数を表す。)。
【請求項2】
W、X及びYが各々、非置換(C1-C6)アルキル基によって任意に独立に置換されるCH2を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
WがC=Oを表し、X及びYが両方ともCH2を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
W、X及びYが各々、CH2を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニル、例えば、H又は(C1-C6)アルキル、特にHを表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
R1が、H、メチルなどの(C1-C6)アルキル、-CH2-CONH2などのCONRaRb基によって任意に置換される(C1-C6)アルキル、又は-CO-CH2-モルフォリニル、-CH2-モルフォリニル若しくは-(CH2)2-モルフォリニルなどの-Z-Het基を表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
R1が、-CH2-モルフォリニルを表す、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R2が、H、CO2Ra、CORa、CONRaRb、CH2ORc又はCH2NRaRb、例えばH又は-CO2-エチル、特にHを表す、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
R3が、ハロゲン、例えばBr若しくはCl、又は(C1-C6)アルキル、例えばメチル、エチル若しくはプロピル、特にエチルを表す、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
R4が、H、F、Cl又はCH3、例えばH又はF、特にFを表す、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
R5が、独立に、F、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、CORa、CONRaRb、ORa、NRaRb、NRaCORb、S(O)nRa又はSO2NRaRbを表す、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
Ra及びRbが、独立に、H、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニル、例えばH、メチル、エチル又はプロピル、特にエチルを表す、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
Rcが、H又は(C1-C6)アルキル、例えばH又はメチル、特にHを表す、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
以下の請求項1記載の式(I)の化合物:
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (E1);
4-[4-(4-エチル-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2-オン (E2);
及び4-フルオロ-2-{2-フルオロ-4-[(3-オキソピペラジン-1-イル)カルボニル]フェノキシ}-5-エチルフェニル エチル カルボネート (E3);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]ピペラジン-2,6-ジオン (E4);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-メチルピペラジン-2-オン (E5);
2-[4-(4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド (E6);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-(モルフォリノメチル)ピペラジン-2-オン (E7);
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-3-メチルピペラジン-2-オン (E8);
又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
【請求項15】
4-[4-(4-エチル-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェノキシ)-3-フルオロベンゾイル]-1-(モルフォリノメチル)ピペラジン-2-オン (E7)である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物を、医薬として許容し得る賦形剤又は担体と共同して含む、医薬組成物。
【請求項17】
治療に用いるための、請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物の効果的な量を、その必要がある患者に投与することを含む、微生物感染症の治療方法。
【請求項19】
微生物感染症の治療に用いる、請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
微生物感染症の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項21】
微生物感染症の治療に用いる、請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物を含む、医薬品組成物。
【請求項22】
前記微生物感染症が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)及びバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)株などの多剤耐性株を含む黄色ブドウ球菌、アシネトバクター-バウマニ、炭疽菌、肺炎クラミジア、大腸菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクターピロリ、肺炎桿菌、髄膜炎菌、S.インターメディウス、P.ムルトシダ、B.ブロンキセプチカ、M.ヘモリチカ、及びA.プルロニューモニエなどの病原性微生物、並びに、結核菌などの細菌、又は熱帯熱マラリア原虫などの他の生物体による、ヒト又は動物の感染症である、請求項18〜21のいずれか1項記載の方法、化合物、組成物、又は使用。
【請求項23】
前記微生物感染症が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、及びバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)株などの多剤耐性株を含む黄色ブドウ球菌によるヒト又は動物の感染症である、請求項22記載の方法、化合物、組成物、又は使用。
【請求項24】
請求項1〜15のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
(a) 式(II)のカルボン酸誘導体:
【化2】

(式中、R3及びR4は、請求項1において定義したものであり、R8は、(C1-6)アルキル基などの保護基を表す。)
を、式(III)の化合物:
【化3】

(式中、W、X、Y及びR1は、請求項1において定義したものである。)
と反応させ、続いて:
(b) 化合物(I)の保護誘導体を脱保護すること;
及び、任意に、その後続いて:
(c) 式(I)の化合物を、式(I)の更なる化合物に相互交換すること:
を含む、前記方法。
【請求項25】
式(II)の化合物、又はその塩若しくは溶媒和物:
【化4】

(R3及びR4は、請求項1、9及び10のいずれか1項に定義されたものであり、R8は、保護基を表す。)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−508341(P2013−508341A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534691(P2012−534691)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065811
【国際公開番号】WO2011/048153
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512050380)ファブ ファーマ エスエーエス (3)
【Fターム(参考)】