新規なチアゾール誘導体固定化マトリックス、及びその製造方法
【課題】 タンパク質の分析または精製のための低分子化合物が固定化したマトリックスを提供すること。
【解決手段】 タンパク質の分析または精製に有用な、一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族基を表し、nは1から12の整数を表し、Mはマトリックスを表す。)で表されるチアゾール誘導体固定化マトリックスを提供するものである。
【解決手段】 タンパク質の分析または精製に有用な、一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族基を表し、nは1から12の整数を表し、Mはマトリックスを表す。)で表されるチアゾール誘導体固定化マトリックスを提供するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質、特に免疫グロブリンの分析または精製に利用可能なチアゾール誘導体を結合させたマトリックス、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用タンパク質の需要は拡大しつつあり、その簡便で大規模に実施できる工業的精製技術の確立が切望されている。一般にタンパク質精製技術には、ゲル透過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー分離技術があるが、医療用タンパク質の精製を工業的に実施する場合には、実験室で用いられるような分離剤や装置を使用したのでは経済性に乏しく、実用的とは言い難い。また、医療用タンパク質を工業的に製造する過程では多種類のタンパク質が混在しているため、上記の中の一つの精製技術を用いて目的とするタンパク質を純粋に得ることは極めて困難である。そのため通常はいくつかの技術を複合させた精製プロセスが採用されている(特許文献1)。
【0003】
近年、医療用タンパク質の一つである免疫グロブリンを精製するための低分子化合物とそれらが結合したマトリックスが数多く開示されており、スルホン誘導体(特許文献2)、トリアジン誘導体(特許文献3)、メルカプト複素環式化合物(特許文献4)、4−ピリジルエチルチオアルキル誘導体(非特許文献1)などの低分子化合物が結合したマトリックスが知られている。しかしながら、本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)が免疫グロブリンを精製するための低分子化合物として有用であるとの報告はない。また、特許文献5や非特許文献2に本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)に類似の化学構造を有するチアゾール誘導体が報告されているものの、これらの文献に記載のチアゾール誘導体の化学構造は、チアゾール環の2位がアミノ基あるいはアルキル基に限定されており、本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)のように2位にベンゾイルアミノ基が置換した化合物についての記載はない。とりわけ非特許文献2に記載の化合物は、本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)に類似のチアゾール誘導体ではあるものの、それらの用途はヒスタミンH2レセプターアゴニストとしての用途に限定されており、免疫グロブリンを精製するための用途についての記載はない。
【0004】
なお、特許文献6にはチアゾール環の2位にベンゾイルアミノ基が置換したチアゾール誘導体が記載されているが、これらの化合物のチアゾール環の4位の置換基はカルボニル、5位は無置換にそれぞれ限定されており、それらの用途としては消化管運動改善作用を有する医薬の有効成分に言及されている。更には特許文献6の化合物はマトリックスに固定化されたものではなく、免疫グロブリンを精製するための用途についての記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2004/087761号
【特許文献2】米国特許4696980号
【特許文献3】米国特許6117996号
【特許文献4】特許第3844496号
【特許文献5】WO1991/10656号
【特許文献6】WO1998/17654号
【特許文献7】WO1989/10360号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bioseparation,9(4),211−221,2000
【非特許文献2】Journal of Medicinal Chemistry,35(17),3239−3246,1992
【非特許文献3】はじめてのリガンドカップリングハンドブック、アマシャムバイオサイエンス株式会社刊、2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、タンパク質、特に免疫グロブリンの分析または精製に有用なチアゾール誘導体を固定化したマトリックス、及びそれらの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の下記一般式(1)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスが、タンパク質、特に免疫グロブリンの簡便な分析または精製を可能にすることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、一般式(1)
【0010】
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族基を表し、nは1から12の整数を表し、Mはマトリックスを表す。)で表されるチアゾール誘導体固定化マトリックスに関するものである。
【0011】
また本発明は、一般式(1)
【0012】
【化2】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)においてMのマトリックスがビニルポリマー、アガロース、キトサン、デキストラン、セルロース、シリカ、ポリスチレンのいずれかであることを特徴とする、チアゾール誘導体固定化マトリックスに関するものである。
【0013】
また本発明は、一般式(1a)
【0014】
【化3】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、R3はアミノ基又はアンモニウム塩を表す。)で示されるチアゾール誘導体と、活性化基含有マトリックスとを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0015】
【化4】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法に関するものである。
【0016】
また本発明は、一般式(1)
【0017】
【化5】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスを使用し、タンパク質の分析または精製を行なう方法に関するものである。
【0018】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックス(1)及び前記固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)における、R1、R2及びArで表される置換基、並びにR3で表されるアンモニウム塩(Z−H3+N)の定義を以下に示す。
【0020】
R1及びR2で表される炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状もしくは分枝状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基を例示することができる。また、これらの炭素数1から6のアルキル基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、さらに具体的にはジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシメチル基、4−モルホリノカルボニルメチル基等を例示することができる。特に本発明の固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体としては、免疫グロブリンの分析または精製において良好な性能を示す点で、R1はメチル基が好ましく、R2は水素原子が好ましい。
【0021】
R3で表されるアンモニウム塩はZ−H3+N(Z−は共役塩基を表す。)で表され、具体的にはCl−H3+N、Br−H3+N、F−H3+N、I−H3+N、NO3−H3+N、1/2(SO42−)H3+N、1/3(PO43−)H3+N、CH3SO3−H3+N、4−CH3C6H4SO3−H3+N、CH3COO−H3+N、CF3COO−H3+N等を例示することができるが、マトリックスへの固定化の反応性や操作性に優れている点で、Cl−H3+N又はBr−H3+Nが好ましい。
【0022】
Arで表される芳香族基は特に制限はないが、フラン−2−イル基、フリル基、チエニル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソキサゾール−3−イル基、イソキサゾール−4−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダゾール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、フェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、ベンゾジオキソラン−3−イル基、ベンゾフラン−2−イル基、ベンゾフラン−3−イル基、ベンゾフラン−4−イル基、ベンゾフラン−5−イル基、ベンゾフラン−6−イル基、ベンゾフラン−7−イル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチオフェン−3−イル基、ベンゾチオフェン−4−イル基、ベンゾチオフェン−5−イル基、ベンゾチオフェン−6−イル基、ベンゾチオフェン−7−イル基、インドール−2−イル基、インドール−3−イル基、インドール−4−イル基、インドール−5−イル基、インドール−6−イル基、インドール−7−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−4−イル基、ベンゾチアゾール−5−イル基、ベンゾチアゾール−6−イル基、ベンゾチアゾール−7−イル基、インダゾール−3−イル基、インダゾール−4−イル基、インダゾール−5−イル基、インダゾール−6−イル基、インダゾール−7−イル基、ベンズイソキサゾール−3−イル基、ベンズイソキサゾール−4−イル基、ベンズイソキサゾール−5−イル基、ベンズイソキサゾール−6−イル基、ベンズイソキサゾール−7−イル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、キノリン−4−イル基、キノリン−5−イル基、キノリン−6−イル基、キノリン−7−イル基、キノリン−8−イル基、キノキサリニル基、キノキサリン−5−イル基、キノキサリン−6−イル基、キナゾリニル基、キナゾリン−4−イル基、キナゾリン−5−イル基、キナゾリン−6−イル基、キナゾリン−7−イル基、キナゾリン−8−イル基、ベンゾオキサジン−5−イル基、ベンゾオキサジン−6−イル基、ベンゾオキサジン−7−イル基、ベンゾオキサジン−8−イル基、ベンゾチアジン−5−イル基、ベンゾチアジン−6−イル基、ベンゾチアジン−7−イル基、ベンゾチアジン−8−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−6−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−7−イル基、アントラセン−1−イル基を例示できる。特に、免疫グロブリンの分析または精製において良好な性能を示す点で、Arはフェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基あるいは4−ピリジル基が好ましい。
【0023】
Arで表される置換されていてもよい芳香族基の置換基としては、特に制限はないが、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、水酸基又はシアノ基が好ましい。
【0024】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子を例示することができる。
【0025】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、シクロプロピル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基を例示することができる。また、これらの炭素数1から6のアルキル基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アシル基、置換されていてもよい芳香族基で1個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、メトキシメチル基、2−エトキシエチル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基、2−アリルチオエチル基、2−プロパルギルチオエチル基、2−ベンジルチオエチル基、2−(2−クロロベンジル)チオエチル基、2−(2,4−ジクロロベンジル)チオエチル基、2−メチルスルフィニルエチル基、2−メチルスルホニルエチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−クロロエトキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、カルボキシメチル基、アセトニル基、1−アセチルエチル基、3−アセチルプロピル基、フェナシル基、4−クロロフェナシル基、2,4−ジフルオロフェナシル基、4−メチルフェナシル基、4−イソプロピルフェナシル基、4−イソブチルフェナシル基、4−シクロヘキシルフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−ニトロフェナシル基、チエニル基、2−(チオフェン−2−イル)エチル基、2−(チオフェン−3−イル)エチル基、フルフリル基、(5−メチルフラン−2−イル)メチル基、(5−エチルフラン−2−イル)メチル基、(5−クロロフラン−2−イル)メチル基、2−(5−フルオロフラン−2−イル)エチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基、2−(ピリジン−2−イル)エチル基、2−(ピリジン−3−イル)エチル基、2−(ピリジン−4−イル)エチル基、3−(ピリジン−2−イル)プロピル基、3−(ピリジン−3−イル)プロピル基、3−(ピリジン−4−イル)プロピル基を例示することができる。
【0026】
置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基としては、直鎖状もしくは分枝状のいずれであってもよく、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−ヘキシルオキシ基、3−ヘキシルオキシ基、デセニルオキシ基を例示することができる。また、これらのアルコキシ基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アシル基、置換されていてもよい芳香族基等で1個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエトキシ基、3−クロロプロピルオキシ基、ジフルオロメトキシ基、4−トリフルオロメトキシ基、3−フルオロプロピルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、2−メチルチオエトキシ基、2−エチルチオエトキシ基、2−アリルチオエトキシ基、2−プロパルギルチオエトキシ基、2−ベンジルチオエトキシ基、2−(2−クロロベンジル)チオエトキシ基、2−(2,4−ジクロロベンジル)チオエトキシ基、2−メチルスルフィニルエトキシ基、2−メチルスルホニルエトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−クロロエトキシメトキシ基、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、1−メトキシカルボニルエトキシ基、1−エトキシカルボニルエトキシ基、2−エトキシカルボニルエトキシ基、カルボキシメトキシ基、1−アセチルエトキシ基、3−アセチルプロポキシ基、2−ピリジルメトキシ基、3−ピリジルメトキシ基、4−ピリジルメトキシ基、2−(ピリジン−2−イル)エトキシ基、2−(ピリジン−3−イル)エトキシ基、2−(ピリジン−4−イル)エトキシ基、3−(ピリジン−2−イル)プロポキシ基、3−(ピリジン−3−イル)プロポキシ基、ベンジルオキシ基を例示することができる。
【0027】
置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、2−メチルシクロブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルシクロペンチルオキシ基、3−メチルシクロペンチルオキシ基、4−メチルシクロペンチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基を例示することができる。
【0028】
置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、1−ブテン−3−イルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、5−ヘキセニルオキシ基を例示することができる。また、これらの炭素数3から6のアルケニルオキシ基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、3,3−ジフルオロアリルオキシ基、3,3−ジクロロアリルオキシ基、3,3−ジブロモアリルオキシ基を例示することができる。
【0029】
置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基としては、プロパルギルオキシ基、1−ブチン−3−イルオキシ基、2−ブチニルオキシ基、3−ブチニルオキシ基、2−ペンチニルオキシ基、3−ペンチニルオキシ基、4−ペンチニルオキシ基、2−ヘキシニルオキシ基、3−ヘキシニルオキシ基、4−ヘキシニルオキシ基、5−ヘキシニルオキシ基を例示することができる。また、これらの置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、4,4,4−トリフルオロブチン−2−イル基等を例示することができる。
【0030】
置換されていてもよいアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基を例示することができる。また、これらの置換されていてもよいアシルオキシ基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、トリフルオロアセトキシ基や2,2,2−トリフルオロプロピオニルオキシ基等を例示することができる。
【0031】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソアミルチオ基、ネオペンチルチオ基、2−ペンチルチオ基、3−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、3−メチルペンチルチオ基、2−メチルペンチルチオ基を例示することができる。また、これらのアルキルチオ基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチルチオ基、3−クロロプロピルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、3−フルオロプロピルチオ基、シクロプロピルメチルチオ基、シクロペンチルメチルチオ基、シクロヘキシルメチルチオ基を例示することができる。
【0032】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、イソアミルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、2−ペンチルスルフィニル基、3−ペンチルスルフィニル基、2−メチルブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、イソヘキシルスルフィニル基、3−メチルペンチルスルフィニル基、2−メチルペンチルスルフィニル基を例示することができる。また、これらのアルキルスルフィニル基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチルスルフィニル基、3−クロロプロピルスルフィニル基、ジフルオロメチルスルフィニル基、3−フルオロプロピルスルフィニル基、シクロプロピルメチルスルフィニル基、シクロペンチルメチルスルフィニル基、シクロヘキシルメチルスルフィニル基を例示することができる。
【0033】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソアミルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、2−ペンチルスルホニル基、3−ペンチルスルホニル基、2−メチルブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、3−メチルペンチルスルホニル基、2−メチルペンチルスルホニル基を例示することができる。また、これらのアルキルスルホニル基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチルスルホニル基、3−クロロプロピルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、3−フルオロプロピルスルホニル基、シクロプロピルメチルスルホニル基、シクロペンチルメチルスルホニル基、シクロヘキシルメチルスルホニル基を例示することができる。
【0034】
置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基を例示することができる。また、これらのアルコキシカルボニル基はハロゲン原子等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的にはトリフルオロメトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基等を例示することができる。
【0035】
置換されていてもよいアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N−エチル−N−プロピルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、N−メチル−N−イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、N−ブチル−N−メチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソアミルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、2−ペンチルアミノ基、3−ペンチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、4−メチルペンチルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、N−ベンゼンスルホニル−N−メチルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、4−クロロベンゼンスルホニルアミノ基、4−ニトロベンゼンスルホニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、クロロメチルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、N−メチルスルホニル−N−メチルアミノ基、N−メチルスルホニル−N−エチルアミノ基、N−メチルスルホニル−N−プロピルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、N−エチルスルホニル−N−メチルアミノ基、N−エチルスルホニル−N−エチルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基を例示することができる。
【0036】
Arで表される置換されていてもよい芳香族基としては、特に制限はないが、フラン−2−イル基、5−ブロモフラン−2−イル基、5−メチルフラン−2−イル基、フリル基、チエニル基、5−クロロチエニル基、5−ブロモチエニル基、5−メチルチエニル基、5−メトキシチエニル基、5−エトキシチエニル基、チオフェン−3−イル基、5−メチルチオフェン−3−イル基、5−メトキシチオフェン−3−イル基、5−エトキシチオフェン−3−イル基、1−メチルピロール−2−イル基、1−メチルピロール−3−イル基、1−エチルピラゾール−3−イル基、ピラゾール−2−イル基、3−エトキシ−1−メチルピラゾール−2−イル基、1−エチル−4−メトキシピラゾール−3−イル基、イソチアゾール−3−イル基、5−メトキシイソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソキサゾール−3−イル基、イソキサゾール−4−イル基、1−メチルイミダゾール−2−イル基、1−メチルイミダゾール−4−イル基、1−メチルイミダゾール−5−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、3−メトキシチアゾール−2−イル基、4−メトキシチアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−クロロ−3−メチルフェニル基、4−クロロ−3−エチルフェニル基、4−クロロ−3−メトキシフェニル基、4−クロロ−3−エトキシフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ブロモ−3−メチルフェニル基、4−ブロモ−3−エチルフェニル基、4−ブロモ−3−メトキシフェニル基、4−ブロモ−3−エトキシフェニル基、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ヨード−3−メチルフェニル基、4−ヨード−3−エチルフェニル基、4−ヨード−3−メトキシフェニル基、4−ヨード−3−エトキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、2−トリフルオロフェニルメチルフェニル基、3−トリフルオロフェニルメチルフェニル基、4−トリフルオロフェニルメチルフェニル基、4−メトキシメチルフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、3−エチル−4−メチルフェニル基、4−エチル−3−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−(sec−ブチル)フェニル基、4−(tert−ブチル)フェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−イソアミルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、4−(2−ペンチル)フェニル基、4−(3−ペンチル)フェニル基、4−(2−メチルブチル)フェニル基、4−(tert−ペンチル)フェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−イソヘキシルフェニル基、4−(2−クロロエチル)フェニル基、4−(3−クロロプロピル)フェニル基、4−(ジフルオロメチル)フェニル基、4−(3−フルオロプロピル)フェニル基、4−メトキシメチルフェニル基、4−エトキシメチルフェニル基、4−シクロプロピルメチルフェニル基、4−シクロペンチルメチルフェニル基、シクロヘキシルメチルフェニル基、4−(2−メチルチオエチル)フェニル基、4−(2−エチルチオエチル)フェニル基、4−(2−アリルチオエチル)フェニル基、4−(2−プロパルギルチオエチル)フェニル基、4−(2−ベンジルチオエチル)フェニル基、3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、4−エチル−3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−プロピルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−メトキシ−3−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−エトキシ−4−メトキシフェニル基、4−エトキシ−3−メトキシフェニル基、4−イソプロピルオキシ−3−メトキシフェニル基、3−イソプロピルオキシ−4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−エトキシ−3−メチルフェニル基、4−エトキシ−3−エチルフェニル基、4−エトキシ−3−プロピルフェニル基、4−エトキシ−3−イソプロピルフェニル基、4−プロピルオキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−イソブチルオキシフェニル基、4−(sec−ブチルオキシ)フェニル基、3−(2−クロロエトキシ)フェニル基、3−(2−クロロエトキシ)フェニル基、4−(2−クロロエトキシ)フェニル基、3−(3−クロロプロピルオキシ)フェニル基、4−(3−クロロプロピルオキシ)フェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、4−ジフルオロメトキシフェニル基、4−(3−フルオロプロピルオキシフェニル基)、4−シクロプロピルメトキシフェニル基、4−シクロペンチルメトキシ基、4−シクロヘキシルメトキシ基、3−シクロプロピルオキシフェニル基、4−シクロプロピルオキシフェニル基、4−シクロプロピルオキシ−3−メトキシフェニル基、4−シクロプロピルオキシ−3−メチルフェニル基、4−シクロブチルオキシフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、4−(2−メチルシクロブチルオキシ)フェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル、4−アリルオキシフェニル基、4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル基、4−プロパルギルオキシフェニル基、3−メチル−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−エチル−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−メトキシ−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−エトキシ−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−プロポキシ−4−プロパルギルオキシフェニル基、4−(1−ブチン−3−イルオキシ)フェニル基、4−(2−ブチニルオキシ)フェニル基、3−メチルチオフェニル基、4−メチルチオフェニル基、4−メチル−3−メチルチオフェニル基、3−メチル−4−メチルチオフェニル基、4−メトキシ−3−メチルチオフェニル基、3−エトキシ−4−メチルチオフェニル基、4−エトキシ−3−メチルチオフェニル基、3−プロポキシ−4−メチルチオフェニル基、4−エチルチオフェニル基、3−プロピルチオフェニル基、4−イソプロピルチオフェニル基、4−ブチルチオフェニル基、4−イソブチルチオフェニル基、2−(sec−ブチルチオ)フェニル基、2−ペンチルチオフェニル基、2−イソアミルチオフェニル基、4−ネオペンチルチオフェニル基、4−(2−クロロエチルチオ)フェニル基、3−(3−クロロプロピルチオ)フェニル基、ジフルオロメチルチオフェニル基、3−アセトキシフェニル基、4−アセトキシフェニル基、3−メチルスルフィニルフェニル基、4−メチルスルフィニルフェニル基、4−メトキシ−3−メチルスルフィニルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルスルフィニルフェニル基、4−エトキシ−3−メチルスルフィニルフェニル基、3−エトキシ−4−メチルスルフィニルフェニル基、4−メチル−3−メチルスルフィニルフェニル基、3−エチル−4−メチルスルフィニルフェニル基、4−(2−クロロエチルスル)フィニルフェニル基、4−(3−クロロプロピルスルフィニル)フェニル基、4−(ジフルオロメチルスルフィニル)フェニル基、3−メチルスルホニルフェニル基、4−メチルスルホニルフェニル基、4−メチル−3−メチルスルホニルフェニル基、4−エチル−3−メチルスルホニルフェニル基、4−メトキシ−3−メチルスルホニルフェニル基、4−エトキシ−3−メチルスルホニルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルスルホニルフェニル基、3−エトキシ−4−メチルスルホニルフェニル基、エチルスルホニルフェニル基、プロピルスルホニルフェニル基、イソプロピルスルホニルフェニル基、ブチルスルホニルフェニル基、2−クロロエチルスルホニルフェニル基、3−クロロプロピルスルホニルフェニル基、ジフルオロメチルスルホニルフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、3−メチルアミノフェニル基、4−メチルアミノフェニル基、4−メトキシ−3−メチルアミノフェニル基、3−メトキシ−4−メチルアミノフェニル基、4−エトキシ−3−メチルアミノフェニル基、3−エトキシ−4−メチルアミノフェニル基、4−メチル−3−メチルアミノフェニル基、3−メチル−4−メチルアミノフェニル基、4−エチル−3−メチルアミノフェニル基、3−ジメチルアミノフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−メトキシ−3−ジメチルアミノフェニル基、3−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル基、4−エトキシ−3−ジメチルアミノフェニル基、3−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル基、4−メチル−3−ジメチルアミノフェニル基、3−メチル−4−ジメチルアミノフェニル基、4−エチル−3−ジメチルアミノフェニル基、3−メチル−4−ジメチルアミノフェニル基、3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−メトキシ−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−メトキシ−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−エトキシ−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−エトキシ−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−メチル−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−メチル−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−エチル−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−メチル−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−ジエチルアミノフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、4−メトキシ−3−ジエチルアミノフェニル基、3−メトキシ−4−ジエチルアミノフェニル基、4−エトキシ−3−ジエチルアミノフェニル基、3−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル基、4−メチル−3−ジエチルアミノフェニル基、3−メチル−4−ジエチルアミノフェニル基、4−エチル−3−ジエチルアミノフェニル基、4−メチルスルホニルアミノフェニル基、4−トリフルオロメチルスルホニルアミノフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル基、4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、3−ニトロ−4−メチルフェニル基、4−ニトロフェニル基、ピリジン−2−イル基、5−クロロピリジン−2−イル基、5−メチルピリジン−2−イル基、5−エチルピリジン−2−イル基、5−メトキシピリジン−2−イル基、5−エトキシピリジン−2−イル基、2,3−ジメチルピリジン−6−イル基、2,3−ジメトキシピリジン−6−イル基、ピリジル−3−イル基、2−クロロピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−エチルピリジン−5−イル基、2−メトキシピリジン−5−イル基、2
−エトキシピリジン−5−イル基、2,3−ジメチルピリジン−5−イル基、ピリジル−4−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−エチルピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、2−エトキシピリジン−4−イル基、2−ピリミジル基、5−メチルピリミジン−2−イル基、5−エチルピリミジン−2−イル基、2−エトキシピリジン−5−イル基、2,3−ジメチルピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−エチルピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、2−エトキシピリジン−4−イル基、5−クロロピリミジン−2−イル基、5−ブロモピリミジン−2−イル基、5−メトキシピリミジン−2−イル基、ピリミジル−4−イル基、ピリミジル−5−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、ベンゾジオキソラン−3−イル基、ベンゾフラン−2−イル基、ベンゾフラン−3−イル基、ベンゾフラン−4−イル基、ベンゾフラン−5−イル基、ベンゾフラン−6−イル基、ベンゾフラン−7−イル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチオフェン−3−イル基、ベンゾチオフェン−4−イル基、ベンゾチオフェン−5−イル基、ベンゾチオフェン−6−イル基、ベンゾチオフェン−7−イル基、1−メチルインドール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−4−イル基、ベンゾチアゾール−5−イル基、ベンゾチアゾール−6−イル基、ベンゾチアゾール−7−イル基、ベンズイソキサゾール−3−イル基、ベンズイソキサゾール−4−イル基、ベンズイソキサゾール−5−イル基、ベンズイソキサゾール−6−イル基、ベンズイソキサゾール−7−イル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、キノリン−4−イル基、キノリン−5−イル基、キノリン−6−イル基、キノリン−7−イル基、キノリン−8−イル基、キノキサリン−5−イル基、キノキサリン−6−イル基、キナゾリン−4−イル基、キナゾリン−5−イル基、キナゾリン−6−イル基、キナゾリン−7−イル基、キナゾリン−8−イル基、ベンゾオキサジン−5−イル基、ベンゾオキサジン−6−イル基、ベンゾオキサジン−7−イル基、ベンゾオキサジン−8−イル基、ベンゾチアジン−5−イル基、ベンゾチアジン−6−イル基、ベンゾチアジン−7−イル基、ベンゾチアジン−8−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−6−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−7−イル基、アントラセン−1−イル基等を例示することができる。
【0037】
特に免疫グロブリンの分析または精製において良好な性能を示す点で、Arは4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3−エチル−4−メチルフェニル基、4−エチル−3−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、3−エトキシ−4−メトキシフェニル基、4−エトキシ−3−メトキシフェニル基、4−メトキシ−3−メチルフェニル基、4−メチル−3−エトキシフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、2−メトキシピリジン−5−イル基、2−エトキシピリジン−5−イル基、2,3−ジメチルピリジン−5−イル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−エチルピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、2−エトキシピリジン−4−イル基、2−クロロピリジン−5−イル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、4−メチルチオフェニル基のいずれかが好ましい。
【0038】
Mで表されるマトリックスの材質としては特に限定はなく、例えば、架橋結合アルブミンなどのポリペプチドまたはタンパク質、アガロース、アルギネート、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、澱粉などの多糖、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンなどの合成高分子、シリカ、ガラス、多孔質珪藻土、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄または他の金属酸化物などの無機化合物、上記物質を2つまたはそれ以上任意に組み合わせて構成される共重合体などのマトリックスをあげることができる。さらにそれらは、液相分配で使用されるデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたは加水分解澱粉などの水溶性の高分子を包含するマトリックス、またはエマルジョンを形成するのに使用されるペルフルオロデカリンなどの化合物を包含するマトリックスも含まれる。特に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックス製造におけるマトリックスの材質としては、トヨパール(商品名)(東ソー株式会社製)などのビニルポリマー、アガロース、キトサン、デキストラン、セルロース、シリカ、ポリスチレンが好ましい。
【0039】
ここでいうビニルポリマーとは、ビニル基などを持ったモノマーをビニル重合して得られたものを指し、モノマーとしてはメタアクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルエステルなどが含まれる。さらに、ここでいうビニルポリマーとしては前記モノマーを2種類以上用いた共重合体や、架橋したものなどが含まれる。
【0040】
また、マトリックスは、粒状物または非粒状物、水性溶媒に対して可溶性または不溶性、多孔性または非多孔性、いずれであっても良い。
【0041】
nについては、1から12の整数から適宜選択することができるが、特に本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体としては、nが3,4又は5が好ましい。
【0042】
次に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体の製造方法を詳細に説明する。
【0043】
製造方法1
【0044】
【化6】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、R3はアミノ基又はそのアンモニウム塩を表し、Yは脱離基を表す。)
工程1はフタルイミド誘導体(2)をアシルチオウレア誘導体(3)と反応させ、チアゾール誘導体(4)を合成する方法である。フタルイミド誘導体(2)は非特許文献2や特許文献7等を参考に合成することができる。
【0045】
工程1の反応では、反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下THF)、1,2−ジメトキシエタン(以下DME)、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(以下DMSO)、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができ、収率が良い点でDMFを用いるのが好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより目的物を得ることができ、収率が良い点で60℃から150℃の範囲で反応させるのが好ましい。本工程では、塩基存在下に行なうこともでき、塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの有機アミン類を用いることができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等量以上用いて反応を実施することにより、収率良く目的物を得ることができる。反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であればカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの方法により精製することもできる。
【0046】
工程2はチアゾール誘導体(4)を塩基で処理し、チアゾール誘導体(1a)を製造する方法である。塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミンなどの有機アミン類、ヒドラジン類を用いることができる。収率が良い点でヒドラジンあるいはメチルアミンが好ましい。塩基の使用量は反応基質に対して2等量以上用いて反応を実施することにより、収率良く目的物を得ることができる。本反応では、反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、DMF、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができ、収率が良い点や後処理が簡便である点でメタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒を用いることが好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより目的物を得ることができる。反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であればカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの方法により精製することもできる。また、反応終了後、酸で処理しアンモニウム塩として単離することもできる。反応に害を及ぼさない酸であれば使用することができ、例えば、塩酸、臭化水素酸、フッ酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を用いることができるが、目的物の単離が容易であることから塩酸を用いるのが好ましい。
【0047】
製造方法2
【0048】
【化7】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、Wはハロゲン原子を表す。)
製造方法2は2−置換アミノチアゾール誘導体(5)と酸ハロゲン化物(6)を反応させ、チアゾール誘導体(4a)を製造する方法である。当該方法の反応では、反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、DMF、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができ、収率が良い点でジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒を用いるのが好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより目的物を得ることができ、収率が良い点で0℃から100℃の範囲で反応させるのが好ましい。本工程では、塩基存在下に行なうこともでき、塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの有機アミン類を用いることができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等量以上用いて反応を実施することにより、収率良く目的物を得ることができる。反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であればカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などにより精製することもできる。当該方法で合成されたチアゾール誘導体(4a)は、製造方法1の工程2を経由することによって、チアゾール誘導体(1a)へと導くことができる。
【0049】
次に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法を詳細に説明する。
【0050】
製造方法3
【0051】
【化8】
(式中、R1、R2、R3、M、Ar及びnは前記と同じ意味を表す。)
製造方法3はチアゾール誘導体(1a)と活性化基(活性化基とは、アミノ基あるいはアンモニウム塩と容易に反応できる官能基のことで、例えば、スクシンイミドオキシカルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基(トレシル基)、塩化スルホニル基、トシル基、ビニルスルホニル基、エポキシ基をあげることができる。)含有マトリックスと反応させてチアゾール誘導体固定化マトリックス(1)を製造する方法である。なお、当該方法で用いる活性化基含有マトリックスの活性化基としては、スクシンイミドオキシカルボニル基、ホルミル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基(トレシル基)、エポキシ基、カルボキシル基が特に好ましい。また、当該方法で用いる活性化基含有マトリックスは、活性化基を有しないマトリックスから周知の方法で活性化基を付加することで調製しても良く、HiTrap NHS−activated HP(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)、エポキシトヨパール(商品名)、ホルミルトヨパール(商品名)、トレシルトヨパール(商品名)、カルボキシトヨパール(商品名)(以上東ソー株式会社製)、活性化キトパールK−66(商品名)ゲル(富士紡ホールディングス株式会社製)、BIOACT EPO(商品名)ゲル(昭和電工株式会社製)、POROS−EP(商品名)ゲル(アプライドバイオシステムズ株式会社製)、セルファインホルミル(商品名)ゲル(チッソ株式会社製)、Profinity Epoxide(商品名)ゲル(バイオラッド株式会社製)、M.S.GEL Epoxy−D−50−1000AW(商品名、AGCエスアイテック株式会社製)などのリガンド固定化用担体として市販されているものをそのまま用いても良い。
【0052】
本反応では、中性あるいは塩基性条件下にて反応させることにより容易に目的物を得ることができる。特に塩基性条件下にて反応を行なうことにより、チアゾール誘導体の固定化率の高いマトリックスを得ることができる。塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの有機アミン類を用いることができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等モル以上用いて反応を実施することにより、目的とするチアゾール誘導体の固定化比率の高いマトリックスを得ることができる。また、溶液のpHを保つために緩衝液を加えて反応を行なうこともできる。反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、DMF、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより、目的とするチアゾール誘導体固定化マトリックスを得ることができる。マトリックス上のチアゾール誘導体の固定化量は、吸光度分析、高速液体クロマトグラフィー、元素分析などの分析法を単独あるいは組み合わせて用いることにより測定できる。
【0053】
次に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いてタンパク質を分析、分離、または単離、精製する方法について説明する。
【0054】
製造方法3によって得られたチアゾール誘導体固定化マトリックスをカラム管に充填し、溶離液として緩衝液、金属塩の水溶液、アミノ酸溶液、アルコール溶液などの溶液を通液し、タンパク質を分析や分離、及び単離や精製を行なうことができる。この方法で分析、分離、または単離、精製することができるタンパク質としては、血漿タンパク質成分や乳タンパク質成分をあげることができ、天然に存在するものでは血漿中の免疫グロブリン、血清アルブミン、血液凝固因子、ラクトアルブミン、ラクトフェリンを例示できる。また遺伝子組換えタンパク質では前記に加えて、天然には微量しか存在しない、あるいは人工的に設計されたペプチドホルモン、インターフェロン、インターロイキン、成長因子、成長抑制因子、ワクチンを例示できる。特に本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスは、免疫グロブリンの精製に好ましい。通液する緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、Tris、PIPES、ACES、Cholamine、BES、MOPS、TES、HEPESを例示でき、金属塩としては硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムを例示でき、アミノ酸としてはグリシン、アルギニン、ベータアラニン、ガンマアミノ酪酸を例示でき、アルコールとしてはエタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、エチレングリコールを例示でき、これらを混合溶媒として用いることもできる。pHは3から11の範囲内で目的とするタンパク質を分離、単離または精製することができるが、pHは5から9の範囲内で精製することが好ましい。また、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)などのクロマトグラフィー装置を使用して、タンパク質を分析、分離、または単離、精製することもできる。製造方法3によって得られたチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いて免疫グロブリン、またはこれらの類縁体、フラグメント、融合体を分析または精製する場合は、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムを含むリン酸緩衝液を通液し、pHは5から9の範囲で、疎水性相互作用を利用したクロマトグラフィーを実施することが好ましい。ここでいう免疫グロブリンの類縁体とは免疫グロブリンの構造や機能が少なくとも部分的に保持された天然あるいは人工的に作られたタンパク質あるいはタンパク質コンジュゲートを指し、免疫グロブリンのフラグメントとは酵素的な処理あるいは遺伝子工学的な設計によって作製された免疫グロブリンの部分構造を持ったタンパク質を指し、免疫グロブリンの融合体とは各種サイトカインあるいはサイトカイン受容体などの生物活性をもったタンパク質の機能部分を免疫グロブリンの全部または一部と遺伝子工学的に融合させて作製したものを指す。
【0055】
製造方法3によって得られたチアゾール誘導体固定化マトリックスは、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液、塩酸水溶液、硫酸水溶液、硝酸水溶液、リン酸水溶液などの酸性水溶液、塩酸グアニジン水溶液、尿素水溶液などのタンパク変性剤水溶液、アルギニンやヒスチジンなどのアミノ酸を含んだ水溶液、SDS、Tweenなどの界面活性剤水溶液、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、エチレングリコールなどのアルコール溶液、あるいは、これらを含んだ混合水溶液を用いて洗浄することによって、初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスは、タンパク質、特に免疫グロブリンの分析および精製に有用な耐久性に富む選択的な吸脱着剤となることから医療用タンパク質、特に免疫グロブリンの工業的な精製において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物286の結果)。
【図2】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物304の結果)。
【図3】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物320の結果)。
【図4】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物329の結果)。
【図5】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物384の結果)。
【図6】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物423の結果)
【図7】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物286の結果)
【図8】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物304の結果)
【図9】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物320の結果)
【図10】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物329の結果)
【図11】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物384の結果)
【図12】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物423の結果)
【図13】化合物286固定化HiTrapカラムを用いたリボヌクレア−ゼA、リゾチ−ム、αキモトリプシノ−ゲンAの混合液のクロマトグラフィー結果
【図14】化合物286固定化HiTrapカラムを用いたヒト−マウスキメラ抗体のパパイン消化物のクロマトグラフィー結果
【図15】図14の画分I、II、III、IVのSDS−PAGE分析の結果
【図16】化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果
【図17】化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いたヒト化モノクローナル抗体のクロマトグラフィー結果
【図18】化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果
【図19】化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いたヒト化モノクローナル抗体のクロマトグラフィー結果
【図20】化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果
【図21】化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いたヒト化モノクローナル抗体のクロマトグラフィー結果
【図22】化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果
【図23】化合物286固定化BIACOREセンサーチップCM5に各種抗体をアナライトとして流したBIACOREセンサーグラム(A:マウスIgM、B:マウスIgG、C:ニワトリIgY、D:ウシ血清アルブミン)
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0059】
実施例1 チアゾール誘導体の合成
(合成例1)
【0060】
【化9】
6−フタルイミド−1−ヘキサナール(4.95g,20.2mmol)を四塩化炭素(100mL)に溶解し臭素(1.03mL,20.2mmol)の四塩化炭素溶液(100mL)を滴下し2時間反応した。反応液を水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去し油状物を得た。得られた油状物をDMF(100mL)に溶解し、4−メチルベンゾイルチオウレア(5.87g,26.3mmol)を加え、10時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物に1M塩酸(300mL)を加え酢酸エチル(300mL)で二回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水(300mL)で二回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することによって、4−メチル−N−[5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.424g,5%)を得た。m.p.203から205℃;1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.58から1.82(m,4H),2.44(s,3H),2.82(t,J=7.5Hz,2H),3.72(t,J=7.5Hz,2H),6.97(s,1H),7.32(d,J=7.5Hz,2H),7.69から7.86(m,4H),7.91(d,J=7.5Hz,2H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0061】
(合成例2)
【0062】
【化10】
2−アミノ−4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール(0.50g,1.66mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に、4−メチルベンゾイルクロリド(0.31g,1.99mmol)とトリエチルアミン(1mL)を加え、2日間撹拌した。反応終了後、反応液を水(10mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:2)で精製し、4−メチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.40g,56%)を得た。m.p.178から180℃;1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.58から1.66(m,4H),2.21(s,3H), 2.41(s,3H),2.73(t,J=7.4Hz,2H),3.72(t,J=7.5Hz,2H),7.26(d,J=7.5Hz,2H),7.76から7.86(m,6H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0063】
(合成例3)
【0064】
【化11】
N−(5−ブロモ−6−オキソヘプチル)フタルイミド(1.30g,3.85mmol)のDMF(20mL)溶液に、N−(3−アセトキシ−4−メチルベンゾイル)チオウレアを加え、80℃で7時間反応させた。反応終了後、反応混合物に1M塩酸(30mL)を加え酢酸エチル(50mL)で二回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水(30mL)で二回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物を自動設定中圧カラムクロマトグラフィーシステム(山善社製;Rf=0.32:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、得られた褐色固体を酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で洗浄することによって、白色固体の3−アセトキシ−4−メチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.823g,49%)を得た。:m.p.170から172℃;1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.66(m,4H),2.20(s,3H),2.21(s,3H),2.35(s,3H),2.72から2.74(m,2H),3.53から3.64(m,2H),7.45(d,J=7.5Hz,1H),7.79から7.93(m,6H),12.4(br s,1H)。
【0065】
(合成例4)
【0066】
【化12】
モノテレフタル酸メチルクロリド(1.41g,7.10mmol)のクロロホルム(30mL)溶液に、氷冷下にて2−アミノ−4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール(1.56g,4.74mmol)とトリエチルアミン(1.20mL,7.98mmol)のクロロホルム(10mL)溶液を加え、一晩反応させた。反応終了後、反応混合物を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物を自動設定中圧カラムクロマトグラフィーシステム(山善社製;Rf=0.16:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、4−メトキシカルボニル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.815g,33%)を得た。:m.p.173から174℃;1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.67(m,4H),2.22(s,3H),2.72(t,J=7.5Hz,2H),3.62(t,J=7.5Hz,2H),3.90(d,3H),7.80から7.90(m,4H),8.06から8.20(m,4H),12.7(br s,1H)。
【0067】
(合成例5)
【0068】
【化13】
2−アミノ−4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール(1.0g,3.17mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に、3−シアノベンゾイルクロリド(0.79g,4.75mmol)を氷冷下にて加えた。次いでトリエチルアミン(0.72mL,4.79mmol)のクロロホルム(10mL)溶液を滴下し、一晩反応させた。反応終了後、反応混合物を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製し、3−シアノ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.57g,40%)を得た。m.p.170から172℃;1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.69から1.70(m,4H),1.97(s,3H),2.74(t,J=6.5,2H),3.73(t,J=6.8,2H),7.56(dd,J=8.0 and 8.0Hz,1H),7.71から7.86(m,5H),8.05(m,1H),8.16(s,1H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0069】
(参考例1)
アルゴン雰囲気下、4−メチル−N−{5−(4−フタルイミドブチル)チアゾール−2−イル}ベンズアミド(0.105g,0.25mmol)とフェロセン(0.023g,0.125mmol)に、DMSO(1.5mL)、3M−ヨウ化トリフルオロメチル/DMSO溶液(0.25mL,0.75mmol)、1M−硫酸/DMSO溶液(0.25mL,0.25mmol)を加えて撹拌した。この溶液に、室温下で31%過酸化水素水(75μL,0.75mmol)を滴下した。反応終了後、反応溶液を水(200mL)にあけ、しばらく撹拌した。クロロホルムで抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、4−メチル−N−{4−トリフルオロメチル−5−(4−フタルイミドブチル)チアゾール−2−イル}ベンズアミドの白色固体(0.023g,19%)を得た。1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.79から1.82(m,4H),2.47(s,3H),3.01(t,J=7.5Hz,2H),3.76(t,J=7.5Hz,2H),7.34(d,J=7.5Hz,1H),7.72から7.90(m,6H),9.37(s,1H);19F−NMR(CDCl3,TMS,ppm):−60.87。
【0070】
(合成例6から81)
合成例1または2の方法に準じて、表1から12に記載したチアゾール誘導体を得た。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】
【表10】
【0081】
【表11】
【0082】
【表12】
(合成例82)
【0083】
【化14】
4−メチル−N−{5−(4−フタルイミドブチル)チアゾール−2−イル}ベンズアミド(0.60g,1.43mmol)のエタノール(10mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.35mL、7.12mmol)を室温にて加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、1M 塩酸(6mL)を加えた。析出した固体を濾別し、濾液を酢酸エチルで洗浄し、水層を減圧留去した。得られた固体にエタノールとトルエンを加え共沸し十分に乾燥し、固体を瀘取した。得られた固体を酢酸エチルにて洗浄することによって、4−{2−(4−メチルベンゾイル)アミノチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.44g,収率:95%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.64から1.67(m,4H),2.40(s,3H),2.77から2.80(m,4H),7.32(s,1H),7.35(d,J=7.5Hz,2H),8.01(d,J=7.5Hz,2H),8.07(br s,3H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0084】
(合成例83)
【0085】
【化15】
2−クロロ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.22g,0.48mmol)のエタノール(5mL)溶液に、0.05Mのヒドラジンエタノール溶液(34mL)を室温にて加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、1M 塩酸(3mL)を加えた。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて固体を洗浄することにより、4−{2−(2−クロロベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の褐色固体(0.050g,収率:21%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.42から1.77(m,4H),2.21(s,3H),2.63から2.92(m,4H),7.33から7.67(m,4H),7.68から8.16(m,3H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0086】
(合成例84)
【0087】
【化16】
3,4−ジクロロ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.25g,0.51mmol)のエタノール(5mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.07mL,1.53mmol)を室温にて加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を留去し、1M 塩酸(3mL)を加え、室温で一晩撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて洗浄することにより、4−{2−(3,4−ジクロロベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.10g, 収率:50%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.46から1.74(m,4H),2.24(s,3H), 2.62から2.91(m,4H),7.82(d,J=8.4Hz,1H),7.85から7.99(m,3H),8.03から8.13(m,1H),8.04(dd,J=2.0 and 8.4Hz,1H),8.33(d,J=2.0Hz,1H)。
【0088】
(合成例85)
【0089】
【化17】
4−メチル−N−[4−メチル−5-{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.23g,0.53mmol)のエタノール(5mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.23mL,5.30mmol)を加え3時間還流した。反応終了後、反応溶液を留去し、残渣に1M 塩酸(5mL)を加え、撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて洗浄することにより、4−{4−メチル−2−(4−メチルベンゾイルアミノ)チアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.043g,収率:24%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.55から1.80(m,4H),2.24(s,3H),2.39(s,3H),2.64から2.92(m,4H),7.34(d,J=8.2Hz,2H),7.78から8.05(m,3H),7.99(d,J=8.2Hz,2H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0090】
(合成例86)
【0091】
【化18】
4−トリフルオロメチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.30g,0.62mmol)のエタノール(5mL)溶液に、0.05M ヒドラジンエタノール溶液(30mL)を室温にて加え、2時間還流した。反応終了後、反応溶液を留去し、1M 塩酸(3mL)を加え、室温で2時間撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて洗浄することにより、4−{4−メチル−2−(4−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ)チアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.10g,収率:41.7%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.49から1.73(m,4H),2.24(s,3H),2.60から2.90(m,4H),7.91(d,J=8.1Hz,2H),7.97から8.19(m,3H),8.26(d,J=8.1Hz,2H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0092】
(合成例87)
【0093】
【化19】
4−メトキシカルボニル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]−ベンズアミド(0.535g,1.12mmol)に0.5Mヒドラジンエタノール溶液(13.5mL)を加え常温で一晩反応させた。反応終了後、溶液を減圧留去した。残渣に1M塩酸を加え超音波で懸濁し、セライトを敷いたガラスフィルターで固体を濾別した。濾液を減圧留去し固体を再度析出させ、少量の熱エタノールを加え洗浄することによって、4−[2−{4−(メトキシカルボニル)ベンゾイルアミノ}−4−メチルチアゾール−5−イル]ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.36g,収率:84%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.70(m,4H),2.42(s,3H),2.72から2.80(m,4H),3.90(s,3H),7.97(br s,3H),8.07から8.21(m,4H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0094】
(合成例88)
【0095】
【化20】
3−アセトキシ−4−メチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.80g,1.62mmol)に0.5Mヒドラジンエタノール溶液(10mL)を加え常温で一晩反応させた。反応終了後、溶液を減圧留去した後、残渣に1M塩酸を加え超音波で懸濁し、セライトを敷いたガラスフィルターで固体を濾別した。濾液を減圧留去し固体を再度析出させ、少量の熱エタノールを加え洗浄することによって、4−{2−(3−ヒドロキシ4−メチルベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.48g,収率:75%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.70(m,4H),2.19(s,3H),2.23(s,3H),2.72から2.81(m,4H),7.20(d,J=7.5Hz,1H),7.44から7.50(m,2H),7.94(br s,3H)9.80(br s,1H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0096】
(合成例89)
【0097】
【化21】
3−シアノ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドに0.5Mヒドラジンエタノール溶液(7mL)を加え常温で一晩反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣に1M塩酸を加え超音波で懸濁し、セライトを敷いたガラスフィルターで濾過した。溶媒を減圧留去し、少量のエタノールを加え溶解した後、酢酸エチルで再沈殿させて精製し、4−{2−(3−シアノベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.25g,収率:46%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.62から1.65(m,4H),2.24(s,3H),3.43から3.46(m,4H),7.56(dd,J=8.0 and 8.0Hz,1H),8.05(d,J=8.0Hz,1H),8.10から8.22(m,4H),8.49(s,1H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0098】
(合成例90から179)
合成例89の方法に準じて、表13から26に記載したチアゾール誘導体を得た。
【0099】
【表13】
【0100】
【表14】
【0101】
【表15】
【0102】
【表16】
【0103】
【表17】
【0104】
【表18】
【0105】
【表19】
【0106】
【表20】
【0107】
【表21】
【0108】
【表22】
【0109】
【表23】
【0110】
【表24】
【0111】
【表25】
【0112】
【表26】
合成例1から81に例示した方法によって合成した本発明に関わるチアゾール誘導体(4)を表27から32にまとめて例示した。
【0113】
【化22】
【0114】
【表27】
【0115】
【表28】
【0116】
【表29】
【0117】
【表30】
【0118】
【表31】
【0119】
【表32】
また、合成例82から179に例示した方法によって合成した本発明に関わるチアゾール誘導体(1a)を表33から41にまとめて例示した。
【0120】
【化23】
【0121】
【表33】
【0122】
【表34】
【0123】
【表35】
【0124】
【表36】
【0125】
【表37】
【0126】
【表38】
【0127】
【表39】
【0128】
【表40】
【0129】
【表41】
(参考例2)
【0130】
【化24】
化合物276(2.50g,8.64mmol)のクロロホルム(50mL)溶液にトリエチルアミン(2.50mL,18mmol)を添加した。次に氷冷下でメタクリル酸クロリド(0.93mL,9.5mmol)を滴下したのち、氷冷下で30分反応させた。反応終了後、反応混合物にクロロホルム(50mL)を追加し、水(100mL)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v))で精製することで、淡黄色粘性液体の4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(1.07g,3.0mmol,収率:35%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.70から1.82(m,2H),1.87(s,3H),2.21(s,3H),2.39(s,3H),2.68(t,J=7.5Hz,2H),3.10から3.25(m,2H),5.32(s,1H),5.64(s,1H),7.34(d,J=8.5Hz,2H),7.90(s,1H),7.98(d,J=8.5Hz,2H)。
【0131】
実施例2 チアゾール誘導体のアガロースゲルへの固定化(その1)
チアゾール誘導体を40μmol/mLになるようDMSOに溶解し、これに等量の0.5M 塩化ナトリウムを含む0.2M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)を加えて濃度20μmol/mLのチアゾール誘導体溶液を調製した。N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)にて活性化されたアガロースゲルであるHiTrap NHS−activated HP 1mL(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製;以下HiTrapカラムと略記する)に、非特許文献3に記載された方法に従って前記チアゾール誘導体溶液を2mL通液することによって固定化を行なった。未反応のスクシンイミドオキシカルボニル基のブロッキングは、非特許文献3に記載された方法に従って行なった。固定化量は非特許文献3に記載された方法のうち「B.酸性条件法」に従って、HiTrapカラム通液前後のリガンド(チアゾール誘導体)溶液の紫外吸収極大波長(300nm付近)における吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定することにより算出した。当該方法で固定化した各化合物の固定化リガンド密度を表42に示す。なお、本実施例以降で記載の化合物番号は表33から41記載の化合物番号に対応する。
【0132】
【表42】
実施例3 チアゾール誘導体のアガロースゲルへの固定化(その2)
チアゾール誘導体を20μmol/mL、トリエチルアミンを40μmol/mL含むDMSO溶液を調製した。HiTrapカラムをDMSOで置換後、これに前記チアゾール誘導体−トリエチルアミンのDMSO溶液を2mL通液した。一時間放置した後、HiTrapカラムに3mLのDMSOを通液して、さらに5mLの0.5M 塩化ナトリウムを含む0.2M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)を通液した。未反応のスクシンイミドオキシカルボニル基のブロッキングは、非特許文献3に記載された方法に従って行なった。固定化量は非特許文献3に記載された方法のうち「B.酸性条件法」に従って、HiTrapカラム通液前後のリガンド(チアゾール誘導体)溶液の紫外吸収極大波長(300nm付近)における吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定することにより算出した。当該方法で固定化した化合物304の固定化リガンド密度を表43に示す。
【0133】
【表43】
実施例4 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その1)
実施例2あるいは3に記載の方法にて調製したチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウムを含む10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)(以下平衡化緩衝液と呼ぶ)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト血漿由来免疫グロブリン製剤(化血研製、本製剤の免疫グロブリンは免疫グロブリンGである)0.5mg(OD280=0.7)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。免疫グロブリンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。チアゾール誘導体を固定化したHiTrapカラムを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図1から図6に示し、これらのクロマトグラフィーにおける免疫グロブリンの回収率を表44に示す。いずれのチアゾール誘導体を用いたときも免疫グロブリンは50%以上の回収率で回収され、チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムによる免疫グロブリンの吸脱着が確認された。特に化合物286、304、329を用いた場合の回収率は90%以上と極めて高かった。
【0134】
【表44】
それぞれの吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウム水溶液を10mL通液してカラムの再生を行なった。前記のチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムはいずれもこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0135】
実施例5 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その2)
実施例2あるいは3に記載の方法にて調製したチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン(SIGMA社製)0.5mg(OD280=0.3)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。各種チアゾール誘導体を固定化したHiTrapカラムを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図7から12に示す。また、これらのクロマトグラフィーにおけるウシ血清アルブミンの回収率を表45に示す。いずれのチアゾール誘導体を用いたときもウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出しており、カラムへの吸着はほとんど見られなかった。また、図1から6に示した免疫グロブリンを通液したときの結果とは大きく異なっていた。よって、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いることで、試料中の免疫グロブリンとウシ血清アルブミンとの分離が可能であることが示された。
【0136】
【表45】
それぞれの吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウム水溶液を10mL通液してカラムの再生を行なった。前記のチアゾール誘導体を固定化HiTrapカラムはいずれもこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0137】
実施例6 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その3)
実施例2に記載の方法にて調製した化合物286を固定化したHiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したリボヌクレア−ゼA、リゾチ−ム、αキモトリプシノ−ゲンAの混合液(リボヌクレア−ゼA 0.15mg、リゾチ−ム 0.03mg、αキモトリプシノ−ゲンA 0.04mg)(OD280=0.24)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。タンパク質のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度の吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286を固定化したHiTrapカラムを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図13に示し、このクロマトグラフィーにおけるタンパク質の回収率を表46に示す。いずれのタンパク質も10番目の画分以内に溶出しており、免疫グロブリン(25番目から45番目までの画分に溶出、図1参照)とは異なる画分となった。このことから、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いることで、試料中の免疫グロブリンとリボヌクレア−ゼA、リゾチ−ム、αキモトリプシノ−ゲンAとの分離が可能であることが示された。
【0138】
【表46】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウム水溶液を10mL通液してカラムの再生を行なった。前記のチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0139】
実施例7 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その4)
ヒト−マウスキメラ抗体であるリツキサン(商品名)(中外製薬株式会社製、10mg/mL)を固定化パパイン(Immobilized Papain、PIERCE株式会社製)を用い、同説明書記載の方法で37℃、10時間処理することによって、限定加水分解物を得た。
【0140】
実施例2に記載の方法にて調製した化合物286を固定化したHiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、上記パパイン処理抗体を1.2mg(OD280=1.7)添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。タンパク質のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出し、溶出液は1mLずつ分画した。このクロマトグラフィーの結果を図14に示す。またこのうち7、29、39、43番目の画分(それぞれI、II、III、IVと表記)についてそれぞれ5μLを還元条件下で15%アクリルアミドを含むSDS−PAGEにかけ、銀染色試薬(銀染色「第一」(商品名)、第一化学薬品株式会社製)を用いて染色した(図15)。これにより、IはFab(H鎖に由来する27kDaタンパク質とL鎖である27kDaタンパク質より構成される)、IIはFc(H鎖に由来する30kDaタンパク質のダイマーで構成される)、IIIは部分消化抗体(H鎖である60kDaタンパク質とH鎖に由来する30kDaタンパク質とL鎖である27kDaタンパク質で構成される)、IVは未消化抗体(H鎖である60kDaタンパク質のダイマーとL鎖である27kDaタンパク質のダイマーで構成される)と同定され、抗体に由来する各フラグメントの分離が可能であることが示された。
【0141】
実施例8 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その1)
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物286が127μmol/mL(gel)固定化されていることを確認した。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物286が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0142】
実施例9 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その2)
遠沈管に化合物329(107mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(2.4mL)、水(5.6mL)を添加して化合物329が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物329を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物329が81μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物329が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物329を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物329は残存していないことが確認された。
【0143】
実施例10 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その3)
遠沈管に化合物286(30mg、88μmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.1mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(2.4mL)、緩衝液(組成:0.1M Na2HPO4−NaH2PO4、pH7.0;2.5mL)、トリエチルアミン(30μL、0.2mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、3mLのホルミルトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、ホルミル基含量:65μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温25℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで攪拌振盪した。攪拌振盪を開始してから30分後、遠沈管にボラン−ピリジン複合体(250μL、2.5mmol)を添加し、さらに165rpmで2.5時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、化合物286が19μmol/mL(gel)固定化されたホルミルトヨパールゲルを得た。
【0144】
実施例11 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その4)
遠沈管に化合物320(111mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(0.6mL)、水(7.4mL)を添加して化合物320が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV254nm)にて残存する化合物320を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物320が176μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液(溶媒は水)、pH8.3;5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物320が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物320を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物320は残存していないことが確認された。
【0145】
実施例12 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その5)
遠沈管に化合物384(112mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(0.9mL)、水(7.1mL)を添加して化合物384が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物384を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物384が126μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物384が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物384を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物384は残存していないことが確認された。
【0146】
実施例13 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その6)
遠沈管に化合物423(111mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(0.9mL)、水(7.1mL)を添加して化合物423が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物423を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物423が114μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物423が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物423を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物423は残存していないことが確認された。
【0147】
実施例14 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その7)
遠沈管に化合物283(94mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物283が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物283を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物283が102μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物283が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物283を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物283は残存していないことが確認された。
【0148】
実施例15 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その8)
遠沈管に化合物284(98mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物284が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物284を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物284が117μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物284が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物284を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物284は残存していないことが確認された。
【0149】
実施例16 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その9)
遠沈管に化合物292(191mg、0.5mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.5mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.5mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;4mL)、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)を添加して化合物292が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製;エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物292を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物292が56μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物292が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物292を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物292は残存していないことが確認された。
【0150】
実施例17 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その10)
遠沈管に化合物364(193mg、0.5mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.5mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.5mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)を添加して化合物364が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物364を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物364が257μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物364が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物364を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物364は残存していないことが確認された。
【0151】
実施例18 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その11)
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;4mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのトレシルトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製)を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、トレシルトヨパールに化合物286が94μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のトレシル基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3;5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存トレシル基をトリスヒドロキシメチルアミノメタンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物286が固定化されたトレシルトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0152】
実施例19 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その12)
遠沈管に化合物329(30mg、84μmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.1mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(2.4mL)、緩衝液(組成:0.1M Na2HPO4−NaH2PO4、pH7.0;2.5mL)、トリエチルアミン(30μL、0.2mmol)を添加して化合物329が溶解したことを確認したのち、3mLのホルミルトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、ホルミル基含量:65μmol/mL(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温25℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで攪拌振盪した。攪拌振盪を開始してから30分後、遠沈管にボラン−ピリジン複合体(250μL、2.5mmol)を添加し、さらに165rpmで2.5時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物329を定量し、化合物329が14μmol/mL(gel)固定化されたホルミルトヨパールゲルを得た。
【0153】
実施例20 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その13)
遠沈管に化合物286(170mg、0.5mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.5mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.5mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで63時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物286が167μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。この化合物286固定化エポキシトヨパールゲル中の窒素原子含有量及び硫黄原子含有量を測定したところ、窒素原子が1.2重量%、硫黄原子が0.89重量%含まれることを確認した。
【0154】
実施例21 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その14)
遠沈管に化合物358(134mg、0.4mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.4mL添加した。次いで、遠沈管に1,4−ジオキサン(10mL)、トリエチルアミン(120μL、0.9mmol)を添加して化合物358が溶解したことを確認したのち、2.5mLのトヨパールCM−650S(商品名)ゲル(東ソー株式会社製;イオン交換容量:0.1mol/L(gel))と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(154mg、0.8mmol)を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温25℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで14時間攪拌振盪した。反応終了後、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを1,4−ジオキサン(10mL)で2回洗浄したのち、洗浄液(組成:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=45/55;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV254nm)にて残存する化合物358を定量し、化合物358が16μmol/mL(gel)固定化されたトヨパールCM−650Sゲルを得た。
【0155】
実施例22 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その1)
実施例8に記載の方法にて調製した化合物286固定化エポキシトヨパールゲル1mLをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウヒト血漿由来免疫グロブリン製剤(化血研製)0.5mg(OD280=0.7)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。免疫グロブリンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図16に示し、このクロマトグラフィーにおける免疫グロブリンの回収率を表47に示す。免疫グロブリンはHiTrapカラムを用いたとき(図1参照)よりもいくぶん幅広く20番目から50番目までの画分に溶出していた。
【0156】
【表47】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0157】
実施例23 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その2)
実施例8に記載の方法にて調製した化合物286固定化エポキシトヨパールゲル1mLをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト化モノクローナル抗体0.5mg(OD280=0.7)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ヒト化モノクローナル抗体のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図17に示し、このクロマトグラフィーにおけるヒト化モノクローナル抗体の回収率を表48に示す。ヒト化モノクローナル抗体は30番目から45番目までの画分に溶出し、免疫グロブリン(図16参照)と比べていくぶん後ろの位置で溶出していた。
【0158】
【表48】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0159】
実施例24 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その3)
実施例8に記載の方法にて調製した化合物286固定化エポキシトヨパールゲル1mLをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン0.5mg(OD280=0.3)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図18に示し、このクロマトグラフィーにおけるウシ血清アルブミンの回収率を表49に示す。ウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出し、これは免疫グロブリン(図16参照)とは異なる画分であり、HiTrapカラムを用いたとき(図1及び図7参照)と同様な結果になった。このことから、チアゾール誘導体と固定化するマトリックスをアガロースからトヨパールに変更しても同様な免疫グロブリンの分離性能を有していることが示された。
【0160】
【表49】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0161】
実施例25 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その4)
実施例9に記載の方法にて調製した化合物329固定化エポキシトヨパールゲルをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト化モノクローナル抗体0.5mg(OD280=0.7)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ヒト化モノクローナル抗体のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図19に示し、このクロマトグラフィーのヒト化モノクローナル抗体の回収率を表50に示す。ヒト化モノクローナル抗体は30番目から45番目までの画分に溶出と、化合物286をチアゾール誘導体として用いたとき(図17参照)と同じ画分の位置で溶出していた。
【0162】
【表50】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0163】
実施例26 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その5)
実施例9に記載の方法にて調製した化合物329固定化エポキシトヨパールゲルをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン0.5mg(OD280=0.3)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図20に示し、このクロマトグラフィーのウシ血清アルブミンの回収率を表51に示す。ウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出し、これはヒト化モノクローナル抗体(図19参照)とは異なる画分であり、化合物286をチアゾール誘導体として用いたとき(図18参照)と同様な結果になった。このことから、チアゾール誘導体を化合物286から化合物329に変更しても同様なタンパク質の分離性能を有していることが示された。
【0164】
【表51】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0165】
実施例27 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その6)
実施例10に記載の方法にて調製した化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを1mL TRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト化モノクローナル抗体0.5mg(OD280=0.8)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ヒト化モノクローナル抗体のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図21に示し、このクロマトグラフィーのヒト化モノクローナル抗体の回収率を表52に示す。ヒト化モノクローナル抗体は30番目から45番目までの画分に溶出と、エポキシトヨパールをチアゾール誘導体の固定化に用いたとき(図17参照)と同じ画分の位置で溶出していた。
【0166】
【表52】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0167】
実施例28 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その7)
実施例10に記載の方法にて調製した化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン0.5mg(OD280=0.3)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図22に示し、このクロマトグラフィーのウシ血清アルブミンの回収率を表53に示す。ウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出し、これはヒト化モノクローナル抗体(図21参照)とは異なる画分であり、エポキシトヨパールをチアゾール誘導体の固定化に用いたとき(図18参照)と同様な結果になった。このことから、チアゾール誘導体の固定化に用いるマトリックスの有する活性化基をエポキシ基からホルミル基に変更しても同様なタンパク質の分離性能を有していることが示された。
【0168】
【表53】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0169】
実施例29 チアゾール誘導体のキトサンゲルへの固定化
水で洗浄した5mLの活性化キトパールK−66(商品名)ゲル(富士紡ホールディングス株式会社製;スクシンイミドオキシカルボニル基含量:15μmol/mL(gel))を遠沈管に計り取り、これにDMSOを10mL添加した。次に化合物286のDMSO溶液(0.25M)を900μL、1Mの1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液を225μL、トリエチルアミンを68μL、順次添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで3時間攪拌振盪した。反応終了後、グラスフィルターでキトパールゲルと反応溶液を分離し、グラスフィルター上のキトパールゲルをジメチルスルホキシド(5mL)、洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;15mL)で洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量し、化合物286が5.0μmol/mL(gel)固定化されているキトパールゲルを得た。
【0170】
実施例30 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その15)
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.2mL)、水(6.8mL)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.5gのBIOACT−EPO(商品名)ゲル(昭和電工株式会社製、エポキシ基含量:200μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで43時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでBIOACT−EPOゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のBIOACT−EPOゲルを洗浄液(組成:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、BIOACT−EPOゲルに化合物286が46μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたBIOACT−EPOゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたBIOACT−EPOゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:アセトニトリル;2mL、0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);4mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで23時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてBIOACT−EPOゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄することで、化合物286が固定化されたBIOACT−EPOゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0171】
実施例31 チアゾール誘導体のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体ゲルへの固定化
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.2mL)、水(6.8mL)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのPOROS−EP(商品名)ゲル(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製、エポキシ基含量:非開示)を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで36時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでPOROS−EPゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のPOROS−EPゲルを洗浄液(組成:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、POROS−EPゲルに化合物286が91μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたPOROS−EPゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたPOROS−EPゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:アセトニトリル;2mL、0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);4mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで6時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてPOROS−EPゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄することで、化合物286が固定化されたPOROS−EPゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0172】
実施例32 チアゾール誘導体のセンサーチップへの固定化
化合物286を4mg/mLになるようにDMSOに溶解し、これを10mMホウ酸−1M NaCl緩衝液(pH8.5)で8倍に希釈して0.5mg/mL濃度の化合物溶液を調製した。BIACOREセンサーチップCM5(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)をBIACORE2000(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に装着し、BIACOREアミンカップリングキット(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を用いてセンサーチップCM5上のカルボキシメチルデキストランをN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。これに前記0.5mg/mL濃度の化合物286溶液を25℃で5分間接触させることにより固定化を行なった。その後1M モノエタノールアミン水溶液を用いて未反応のスクシンイミドオキシカルボニル基のブロッキングを行なった。一連の固定化過程はセンサーチップCM5表面のSPR共鳴単位(RU)の増加によってモニタリングした。
【0173】
実施例33 BIACORE(商品名)を用いた親和性解析
実施例32によって調製したリガンド−マトリックス複合体(化合物286を固定化したセンサーチップCM5)に対して、HBS−EP緩衝液(組成:10mM HEPES(pH7.4),0.15M NaCl,3mM EDTA,0.005% SP20)で希釈したマウスIgM(10μg/mL、試料A)、マウスIgG(320μg/mL、試料B)、ニワトリIgY(400μg/mL、試料C)、ウシ血清アルブミン(320μg/mL、試料D)をそれぞれ120秒間通液(結合相)し、その後280秒間HBS−EP緩衝液で置換(解離相)して親和性を解析した。またそれぞれの分析終了ごとに10mM水酸化ナトリウムを80秒間通液してセンサーチップCM5の再生を行った。化合物286を固定化したセンサーチップCM5のセンサーグラムを図23に示す。また解離時間240秒後の残存RUを表54に示す。
【0174】
【表54】
図23及び表54より、マウスIgM(試料A)が他の試料(試料B、C、D)と比較し、化合物286を固定化したセンサーチップCM5に対する親和性が高いことが示された。よって、化合物286を固定化したデキストランゲルが、マウスIgMを特異的に吸着することが判明した。
【0175】
実施例34 チアゾール誘導体のセルロースゲルへの固定化
0.1M N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(pH9.0)/アセトニトリル=1/1の混合液を調製し、これを溶媒として、化合物486と水酸化ナトリウムとをそれぞれ41mMとなるように加えた。遠沈管に3.0mLのセルファインホルミル(商品名)ゲル(チッソ株式会社製、ホルミル基を10から15μmol/mL含有)をとり、そこに前記の化合物486を含んだ溶液を5mL加え、卓上振盪機を用いて、30分間、25℃、160rpmで振盪した後、ボラン−ピリジン複合体(0.17mL、1.7mmol)を添加し、同じ条件で16時間振盪した。反応混合物をグラスフィルターで濾過し、アセトニトリル5mLで1回、次いで、洗浄液(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=45/55/0.05)で5mLずつ4回洗浄した。これらのろ液と洗浄液をあわせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:洗浄液と同じ組成、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物486を定量することによって、セルファインホルミルゲルに化合物486が5μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。
【0176】
実施例35 チアゾール誘導体のアクリルアミド−ビニル共重合体ゲルへの固定化
0.1M N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(pH9.0)/アセトニトリル=1/1の混合溶媒に、化合物486と水酸化ナトリウムとをそれぞれ41mMとなるように加えた。遠沈管に0.3gのProfinity Epoxide(商品名)ゲル(バイオラッド株式会社製、エポキシ基を50から132μmol/g含有)をとり、そこに前記の化合物486を含んだ溶液を5mL加え、卓上振盪機を用いて、15時間、40℃、160rpmで振盪した。反応混合物をグラスフィルターで濾過し、アセトニトリル5mLで1回、次いで、洗浄液(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=45/55/0.05)で5mLずつ4回洗浄した。これらのろ液と洗浄液をあわせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:洗浄液と同じ組成、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物486を定量することによって、Profinity Epoxideゲルに化合物486が4μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。
【0177】
実施例36 チアゾール誘導体のシリカゲルへの固定化
2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸緩衝液(0.1M、pH8.0)/アセトニトリル=1/1の混合溶媒に、化合物486と水酸化ナトリウムとをそれぞれ41mMとなるように加えた。遠沈管に1.3gのM.S.GEL Epoxy−D−50−1000AW(商品名、AGCエスアイテック株式会社製、エポキシ基を73μmol/g含有)をとり、そこに、6.1mLの前記の溶液を加え、卓上振盪機を用いて、4日間、40℃、160rpmで振盪した。反応混合物をグラスフィルターで濾過し、アセトニトリル5mLで1回、次いで、洗浄液(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=45/55/0.05)で5mLずつ4回洗浄した。これらのろ液と洗浄液をあわせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:洗浄液と同じ組成、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物486を定量することによって、M.S.GEL Epoxy−D−50−1000AWに化合物486が22μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。
【0178】
実施例37 4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドのポリスチレンビーズへの固定化(その1)
200mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(159mg,1.61mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(419mg,2.42mmol)、メタノール(19.5mL)、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(19.5mL,161mmol)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に1.4gのクロロメチル化ポリスチレンビーズ(渡辺化学工業株式会社製、クロロメチル基含量:1.15meq/g)を添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を40℃で12時間撹拌した。反応終了後、ポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、ポリスチレンビーズをメタノール(200mL)で2回洗浄した後、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(1L)で3回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することで淡青色をしたポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)修飾ポリスチレンビーズ(18.4g、グラフト率:1200%)を得た。なおここでグラフト率は、
グラフト率=(反応後のポリスチレンビーズ重量−反応前のポリスチレンビーズ重量)/(反応前のポリスチレンビーズ重量)
と定義する。
【0179】
次に50mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(22mg,0.22mmol)、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザテトラデカン(56mg,0.22mmol)、参考例2で合成した4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(525mg,1.47mmol)、及び2−ブタノン/2−プロパノール=7/3(v/v)の混合溶媒(3mL)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に2.5gのポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)修飾ポリスチレンビーズを添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を60℃で63時間撹拌した。反応終了後、ポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、エタノール(300mL)で2回、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(300mL)で2回、DMF(200mL)で1回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することでチアゾール誘導体が結合した薄茶色のポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)修飾ポリスチレンビーズ(2.61g)を得た。得られたポリスチレンビーズの重量増加分から計算した結果、グラフト鎖末端にチアゾール誘導体が平均2分子結合しており、その当量は0.12meq/gであると見積られた。FT−IR,ν(cm−1,reflect):3440(br,O−H),2949(w),1720(s,C=O),1637(w,C=O),1450(m),1243(m),1149(s),1074(s)。
【0180】
実施例38 4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドのポリスチレンビーズへの固定化(その2)
200mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(500mg,5.0mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.30g,7.5mmol)、2−プロパノール(22mL)、及びアクリルアミド水溶液(組成:17.8g/22mL;250mmol)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に5.0gのクロロメチル化ポリスチレンビーズ(株式会社ペプチド研究所製、クロロメチル基含量:0.97meq/g)を添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を80℃で18時間撹拌した。反応終了後、ポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、ポリスチレンビーズをエタノール(150mL)で洗浄した後、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(200mL)で2回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することで淡青色をしたポリアクリルアミド修飾ポリスチレンビーズ(12.3g、グラフト率:146%)を得た。なおここでグラフト率は
グラフト率=(反応後のポリスチレンビーズ重量−反応前のポリスチレンビーズ重量)/(反応前のポリスチレンビーズ重量)
と定義する。
【0181】
次に50mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(60mg,0.60mmol)、トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(208mg,0.9mmol)、参考例2で合成した4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(1.07g,3.0mmol)、及び2−プロパノール/水=2/1(v/v)の混合溶媒(3mL)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に1.5gのポリアクリルアミド修飾ポリスチレンビーズを添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を80℃で87時間撹拌した。反応終了後、反応溶液にエタノール(30mL)及び5%アンモニア水(5mL)を添加し、室温で1時間撹拌した。次にポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(50mL)で2回、DMF(250mL)で1回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することでチアゾール誘導体が結合した薄緑色のポリアクリルアミド修飾ポリスチレンビーズ(1.84g)を得た。得られたポリスチレンビーズの重量増加分から計算した結果、グラフト鎖末端にチアゾール誘導体が平均2分子結合しており、その当量は0.52meq/gであると見積られた。FT−IR,ν(cm−1,reflect):3336(br),2922(m),1654(s,C=O),1600(m),1492(m),1450(m),1028(w),756(m),698(s)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質、特に免疫グロブリンの分析または精製に利用可能なチアゾール誘導体を結合させたマトリックス、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用タンパク質の需要は拡大しつつあり、その簡便で大規模に実施できる工業的精製技術の確立が切望されている。一般にタンパク質精製技術には、ゲル透過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー分離技術があるが、医療用タンパク質の精製を工業的に実施する場合には、実験室で用いられるような分離剤や装置を使用したのでは経済性に乏しく、実用的とは言い難い。また、医療用タンパク質を工業的に製造する過程では多種類のタンパク質が混在しているため、上記の中の一つの精製技術を用いて目的とするタンパク質を純粋に得ることは極めて困難である。そのため通常はいくつかの技術を複合させた精製プロセスが採用されている(特許文献1)。
【0003】
近年、医療用タンパク質の一つである免疫グロブリンを精製するための低分子化合物とそれらが結合したマトリックスが数多く開示されており、スルホン誘導体(特許文献2)、トリアジン誘導体(特許文献3)、メルカプト複素環式化合物(特許文献4)、4−ピリジルエチルチオアルキル誘導体(非特許文献1)などの低分子化合物が結合したマトリックスが知られている。しかしながら、本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)が免疫グロブリンを精製するための低分子化合物として有用であるとの報告はない。また、特許文献5や非特許文献2に本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)に類似の化学構造を有するチアゾール誘導体が報告されているものの、これらの文献に記載のチアゾール誘導体の化学構造は、チアゾール環の2位がアミノ基あるいはアルキル基に限定されており、本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)のように2位にベンゾイルアミノ基が置換した化合物についての記載はない。とりわけ非特許文献2に記載の化合物は、本発明のマトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)に類似のチアゾール誘導体ではあるものの、それらの用途はヒスタミンH2レセプターアゴニストとしての用途に限定されており、免疫グロブリンを精製するための用途についての記載はない。
【0004】
なお、特許文献6にはチアゾール環の2位にベンゾイルアミノ基が置換したチアゾール誘導体が記載されているが、これらの化合物のチアゾール環の4位の置換基はカルボニル、5位は無置換にそれぞれ限定されており、それらの用途としては消化管運動改善作用を有する医薬の有効成分に言及されている。更には特許文献6の化合物はマトリックスに固定化されたものではなく、免疫グロブリンを精製するための用途についての記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2004/087761号
【特許文献2】米国特許4696980号
【特許文献3】米国特許6117996号
【特許文献4】特許第3844496号
【特許文献5】WO1991/10656号
【特許文献6】WO1998/17654号
【特許文献7】WO1989/10360号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bioseparation,9(4),211−221,2000
【非特許文献2】Journal of Medicinal Chemistry,35(17),3239−3246,1992
【非特許文献3】はじめてのリガンドカップリングハンドブック、アマシャムバイオサイエンス株式会社刊、2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、タンパク質、特に免疫グロブリンの分析または精製に有用なチアゾール誘導体を固定化したマトリックス、及びそれらの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の下記一般式(1)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスが、タンパク質、特に免疫グロブリンの簡便な分析または精製を可能にすることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、一般式(1)
【0010】
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族基を表し、nは1から12の整数を表し、Mはマトリックスを表す。)で表されるチアゾール誘導体固定化マトリックスに関するものである。
【0011】
また本発明は、一般式(1)
【0012】
【化2】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)においてMのマトリックスがビニルポリマー、アガロース、キトサン、デキストラン、セルロース、シリカ、ポリスチレンのいずれかであることを特徴とする、チアゾール誘導体固定化マトリックスに関するものである。
【0013】
また本発明は、一般式(1a)
【0014】
【化3】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、R3はアミノ基又はアンモニウム塩を表す。)で示されるチアゾール誘導体と、活性化基含有マトリックスとを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0015】
【化4】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法に関するものである。
【0016】
また本発明は、一般式(1)
【0017】
【化5】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスを使用し、タンパク質の分析または精製を行なう方法に関するものである。
【0018】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックス(1)及び前記固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体(1a)における、R1、R2及びArで表される置換基、並びにR3で表されるアンモニウム塩(Z−H3+N)の定義を以下に示す。
【0020】
R1及びR2で表される炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状もしくは分枝状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基を例示することができる。また、これらの炭素数1から6のアルキル基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、さらに具体的にはジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシメチル基、4−モルホリノカルボニルメチル基等を例示することができる。特に本発明の固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体としては、免疫グロブリンの分析または精製において良好な性能を示す点で、R1はメチル基が好ましく、R2は水素原子が好ましい。
【0021】
R3で表されるアンモニウム塩はZ−H3+N(Z−は共役塩基を表す。)で表され、具体的にはCl−H3+N、Br−H3+N、F−H3+N、I−H3+N、NO3−H3+N、1/2(SO42−)H3+N、1/3(PO43−)H3+N、CH3SO3−H3+N、4−CH3C6H4SO3−H3+N、CH3COO−H3+N、CF3COO−H3+N等を例示することができるが、マトリックスへの固定化の反応性や操作性に優れている点で、Cl−H3+N又はBr−H3+Nが好ましい。
【0022】
Arで表される芳香族基は特に制限はないが、フラン−2−イル基、フリル基、チエニル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソキサゾール−3−イル基、イソキサゾール−4−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダゾール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、フェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、ベンゾジオキソラン−3−イル基、ベンゾフラン−2−イル基、ベンゾフラン−3−イル基、ベンゾフラン−4−イル基、ベンゾフラン−5−イル基、ベンゾフラン−6−イル基、ベンゾフラン−7−イル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチオフェン−3−イル基、ベンゾチオフェン−4−イル基、ベンゾチオフェン−5−イル基、ベンゾチオフェン−6−イル基、ベンゾチオフェン−7−イル基、インドール−2−イル基、インドール−3−イル基、インドール−4−イル基、インドール−5−イル基、インドール−6−イル基、インドール−7−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−4−イル基、ベンゾチアゾール−5−イル基、ベンゾチアゾール−6−イル基、ベンゾチアゾール−7−イル基、インダゾール−3−イル基、インダゾール−4−イル基、インダゾール−5−イル基、インダゾール−6−イル基、インダゾール−7−イル基、ベンズイソキサゾール−3−イル基、ベンズイソキサゾール−4−イル基、ベンズイソキサゾール−5−イル基、ベンズイソキサゾール−6−イル基、ベンズイソキサゾール−7−イル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、キノリン−4−イル基、キノリン−5−イル基、キノリン−6−イル基、キノリン−7−イル基、キノリン−8−イル基、キノキサリニル基、キノキサリン−5−イル基、キノキサリン−6−イル基、キナゾリニル基、キナゾリン−4−イル基、キナゾリン−5−イル基、キナゾリン−6−イル基、キナゾリン−7−イル基、キナゾリン−8−イル基、ベンゾオキサジン−5−イル基、ベンゾオキサジン−6−イル基、ベンゾオキサジン−7−イル基、ベンゾオキサジン−8−イル基、ベンゾチアジン−5−イル基、ベンゾチアジン−6−イル基、ベンゾチアジン−7−イル基、ベンゾチアジン−8−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−6−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−7−イル基、アントラセン−1−イル基を例示できる。特に、免疫グロブリンの分析または精製において良好な性能を示す点で、Arはフェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基あるいは4−ピリジル基が好ましい。
【0023】
Arで表される置換されていてもよい芳香族基の置換基としては、特に制限はないが、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、水酸基又はシアノ基が好ましい。
【0024】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子を例示することができる。
【0025】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、シクロプロピル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基を例示することができる。また、これらの炭素数1から6のアルキル基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アシル基、置換されていてもよい芳香族基で1個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、メトキシメチル基、2−エトキシエチル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基、2−アリルチオエチル基、2−プロパルギルチオエチル基、2−ベンジルチオエチル基、2−(2−クロロベンジル)チオエチル基、2−(2,4−ジクロロベンジル)チオエチル基、2−メチルスルフィニルエチル基、2−メチルスルホニルエチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−クロロエトキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、カルボキシメチル基、アセトニル基、1−アセチルエチル基、3−アセチルプロピル基、フェナシル基、4−クロロフェナシル基、2,4−ジフルオロフェナシル基、4−メチルフェナシル基、4−イソプロピルフェナシル基、4−イソブチルフェナシル基、4−シクロヘキシルフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−ニトロフェナシル基、チエニル基、2−(チオフェン−2−イル)エチル基、2−(チオフェン−3−イル)エチル基、フルフリル基、(5−メチルフラン−2−イル)メチル基、(5−エチルフラン−2−イル)メチル基、(5−クロロフラン−2−イル)メチル基、2−(5−フルオロフラン−2−イル)エチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基、2−(ピリジン−2−イル)エチル基、2−(ピリジン−3−イル)エチル基、2−(ピリジン−4−イル)エチル基、3−(ピリジン−2−イル)プロピル基、3−(ピリジン−3−イル)プロピル基、3−(ピリジン−4−イル)プロピル基を例示することができる。
【0026】
置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基としては、直鎖状もしくは分枝状のいずれであってもよく、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−ヘキシルオキシ基、3−ヘキシルオキシ基、デセニルオキシ基を例示することができる。また、これらのアルコキシ基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アシル基、置換されていてもよい芳香族基等で1個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエトキシ基、3−クロロプロピルオキシ基、ジフルオロメトキシ基、4−トリフルオロメトキシ基、3−フルオロプロピルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、2−メチルチオエトキシ基、2−エチルチオエトキシ基、2−アリルチオエトキシ基、2−プロパルギルチオエトキシ基、2−ベンジルチオエトキシ基、2−(2−クロロベンジル)チオエトキシ基、2−(2,4−ジクロロベンジル)チオエトキシ基、2−メチルスルフィニルエトキシ基、2−メチルスルホニルエトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−クロロエトキシメトキシ基、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、1−メトキシカルボニルエトキシ基、1−エトキシカルボニルエトキシ基、2−エトキシカルボニルエトキシ基、カルボキシメトキシ基、1−アセチルエトキシ基、3−アセチルプロポキシ基、2−ピリジルメトキシ基、3−ピリジルメトキシ基、4−ピリジルメトキシ基、2−(ピリジン−2−イル)エトキシ基、2−(ピリジン−3−イル)エトキシ基、2−(ピリジン−4−イル)エトキシ基、3−(ピリジン−2−イル)プロポキシ基、3−(ピリジン−3−イル)プロポキシ基、ベンジルオキシ基を例示することができる。
【0027】
置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、2−メチルシクロブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルシクロペンチルオキシ基、3−メチルシクロペンチルオキシ基、4−メチルシクロペンチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基を例示することができる。
【0028】
置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、1−ブテン−3−イルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、5−ヘキセニルオキシ基を例示することができる。また、これらの炭素数3から6のアルケニルオキシ基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、3,3−ジフルオロアリルオキシ基、3,3−ジクロロアリルオキシ基、3,3−ジブロモアリルオキシ基を例示することができる。
【0029】
置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基としては、プロパルギルオキシ基、1−ブチン−3−イルオキシ基、2−ブチニルオキシ基、3−ブチニルオキシ基、2−ペンチニルオキシ基、3−ペンチニルオキシ基、4−ペンチニルオキシ基、2−ヘキシニルオキシ基、3−ヘキシニルオキシ基、4−ヘキシニルオキシ基、5−ヘキシニルオキシ基を例示することができる。また、これらの置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、4,4,4−トリフルオロブチン−2−イル基等を例示することができる。
【0030】
置換されていてもよいアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基を例示することができる。また、これらの置換されていてもよいアシルオキシ基はハロゲン原子等で置換されていてもよく、トリフルオロアセトキシ基や2,2,2−トリフルオロプロピオニルオキシ基等を例示することができる。
【0031】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソアミルチオ基、ネオペンチルチオ基、2−ペンチルチオ基、3−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、3−メチルペンチルチオ基、2−メチルペンチルチオ基を例示することができる。また、これらのアルキルチオ基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチルチオ基、3−クロロプロピルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、3−フルオロプロピルチオ基、シクロプロピルメチルチオ基、シクロペンチルメチルチオ基、シクロヘキシルメチルチオ基を例示することができる。
【0032】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、イソアミルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、2−ペンチルスルフィニル基、3−ペンチルスルフィニル基、2−メチルブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、イソヘキシルスルフィニル基、3−メチルペンチルスルフィニル基、2−メチルペンチルスルフィニル基を例示することができる。また、これらのアルキルスルフィニル基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチルスルフィニル基、3−クロロプロピルスルフィニル基、ジフルオロメチルスルフィニル基、3−フルオロプロピルスルフィニル基、シクロプロピルメチルスルフィニル基、シクロペンチルメチルスルフィニル基、シクロヘキシルメチルスルフィニル基を例示することができる。
【0033】
置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソアミルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、2−ペンチルスルホニル基、3−ペンチルスルホニル基、2−メチルブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、3−メチルペンチルスルホニル基、2−メチルペンチルスルホニル基を例示することができる。また、これらのアルキルスルホニル基はハロゲン原子、炭素数3から8のシクロアルキル基で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチルスルホニル基、3−クロロプロピルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、3−フルオロプロピルスルホニル基、シクロプロピルメチルスルホニル基、シクロペンチルメチルスルホニル基、シクロヘキシルメチルスルホニル基を例示することができる。
【0034】
置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基を例示することができる。また、これらのアルコキシカルボニル基はハロゲン原子等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的にはトリフルオロメトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基等を例示することができる。
【0035】
置換されていてもよいアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N−エチル−N−プロピルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、N−メチル−N−イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、N−ブチル−N−メチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソアミルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、2−ペンチルアミノ基、3−ペンチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、4−メチルペンチルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、N−ベンゼンスルホニル−N−メチルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、4−クロロベンゼンスルホニルアミノ基、4−ニトロベンゼンスルホニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、クロロメチルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、N−メチルスルホニル−N−メチルアミノ基、N−メチルスルホニル−N−エチルアミノ基、N−メチルスルホニル−N−プロピルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、N−エチルスルホニル−N−メチルアミノ基、N−エチルスルホニル−N−エチルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基を例示することができる。
【0036】
Arで表される置換されていてもよい芳香族基としては、特に制限はないが、フラン−2−イル基、5−ブロモフラン−2−イル基、5−メチルフラン−2−イル基、フリル基、チエニル基、5−クロロチエニル基、5−ブロモチエニル基、5−メチルチエニル基、5−メトキシチエニル基、5−エトキシチエニル基、チオフェン−3−イル基、5−メチルチオフェン−3−イル基、5−メトキシチオフェン−3−イル基、5−エトキシチオフェン−3−イル基、1−メチルピロール−2−イル基、1−メチルピロール−3−イル基、1−エチルピラゾール−3−イル基、ピラゾール−2−イル基、3−エトキシ−1−メチルピラゾール−2−イル基、1−エチル−4−メトキシピラゾール−3−イル基、イソチアゾール−3−イル基、5−メトキシイソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソキサゾール−3−イル基、イソキサゾール−4−イル基、1−メチルイミダゾール−2−イル基、1−メチルイミダゾール−4−イル基、1−メチルイミダゾール−5−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、3−メトキシチアゾール−2−イル基、4−メトキシチアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−クロロ−3−メチルフェニル基、4−クロロ−3−エチルフェニル基、4−クロロ−3−メトキシフェニル基、4−クロロ−3−エトキシフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ブロモ−3−メチルフェニル基、4−ブロモ−3−エチルフェニル基、4−ブロモ−3−メトキシフェニル基、4−ブロモ−3−エトキシフェニル基、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ヨード−3−メチルフェニル基、4−ヨード−3−エチルフェニル基、4−ヨード−3−メトキシフェニル基、4−ヨード−3−エトキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、2−トリフルオロフェニルメチルフェニル基、3−トリフルオロフェニルメチルフェニル基、4−トリフルオロフェニルメチルフェニル基、4−メトキシメチルフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、3−エチル−4−メチルフェニル基、4−エチル−3−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−(sec−ブチル)フェニル基、4−(tert−ブチル)フェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−イソアミルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、4−(2−ペンチル)フェニル基、4−(3−ペンチル)フェニル基、4−(2−メチルブチル)フェニル基、4−(tert−ペンチル)フェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−イソヘキシルフェニル基、4−(2−クロロエチル)フェニル基、4−(3−クロロプロピル)フェニル基、4−(ジフルオロメチル)フェニル基、4−(3−フルオロプロピル)フェニル基、4−メトキシメチルフェニル基、4−エトキシメチルフェニル基、4−シクロプロピルメチルフェニル基、4−シクロペンチルメチルフェニル基、シクロヘキシルメチルフェニル基、4−(2−メチルチオエチル)フェニル基、4−(2−エチルチオエチル)フェニル基、4−(2−アリルチオエチル)フェニル基、4−(2−プロパルギルチオエチル)フェニル基、4−(2−ベンジルチオエチル)フェニル基、3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、4−エチル−3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−プロピルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−メトキシ−3−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−エトキシ−4−メトキシフェニル基、4−エトキシ−3−メトキシフェニル基、4−イソプロピルオキシ−3−メトキシフェニル基、3−イソプロピルオキシ−4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−エトキシ−3−メチルフェニル基、4−エトキシ−3−エチルフェニル基、4−エトキシ−3−プロピルフェニル基、4−エトキシ−3−イソプロピルフェニル基、4−プロピルオキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−イソブチルオキシフェニル基、4−(sec−ブチルオキシ)フェニル基、3−(2−クロロエトキシ)フェニル基、3−(2−クロロエトキシ)フェニル基、4−(2−クロロエトキシ)フェニル基、3−(3−クロロプロピルオキシ)フェニル基、4−(3−クロロプロピルオキシ)フェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、4−ジフルオロメトキシフェニル基、4−(3−フルオロプロピルオキシフェニル基)、4−シクロプロピルメトキシフェニル基、4−シクロペンチルメトキシ基、4−シクロヘキシルメトキシ基、3−シクロプロピルオキシフェニル基、4−シクロプロピルオキシフェニル基、4−シクロプロピルオキシ−3−メトキシフェニル基、4−シクロプロピルオキシ−3−メチルフェニル基、4−シクロブチルオキシフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、4−(2−メチルシクロブチルオキシ)フェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル、4−アリルオキシフェニル基、4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル基、4−プロパルギルオキシフェニル基、3−メチル−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−エチル−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−メトキシ−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−エトキシ−4−プロパルギルオキシフェニル基、3−プロポキシ−4−プロパルギルオキシフェニル基、4−(1−ブチン−3−イルオキシ)フェニル基、4−(2−ブチニルオキシ)フェニル基、3−メチルチオフェニル基、4−メチルチオフェニル基、4−メチル−3−メチルチオフェニル基、3−メチル−4−メチルチオフェニル基、4−メトキシ−3−メチルチオフェニル基、3−エトキシ−4−メチルチオフェニル基、4−エトキシ−3−メチルチオフェニル基、3−プロポキシ−4−メチルチオフェニル基、4−エチルチオフェニル基、3−プロピルチオフェニル基、4−イソプロピルチオフェニル基、4−ブチルチオフェニル基、4−イソブチルチオフェニル基、2−(sec−ブチルチオ)フェニル基、2−ペンチルチオフェニル基、2−イソアミルチオフェニル基、4−ネオペンチルチオフェニル基、4−(2−クロロエチルチオ)フェニル基、3−(3−クロロプロピルチオ)フェニル基、ジフルオロメチルチオフェニル基、3−アセトキシフェニル基、4−アセトキシフェニル基、3−メチルスルフィニルフェニル基、4−メチルスルフィニルフェニル基、4−メトキシ−3−メチルスルフィニルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルスルフィニルフェニル基、4−エトキシ−3−メチルスルフィニルフェニル基、3−エトキシ−4−メチルスルフィニルフェニル基、4−メチル−3−メチルスルフィニルフェニル基、3−エチル−4−メチルスルフィニルフェニル基、4−(2−クロロエチルスル)フィニルフェニル基、4−(3−クロロプロピルスルフィニル)フェニル基、4−(ジフルオロメチルスルフィニル)フェニル基、3−メチルスルホニルフェニル基、4−メチルスルホニルフェニル基、4−メチル−3−メチルスルホニルフェニル基、4−エチル−3−メチルスルホニルフェニル基、4−メトキシ−3−メチルスルホニルフェニル基、4−エトキシ−3−メチルスルホニルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルスルホニルフェニル基、3−エトキシ−4−メチルスルホニルフェニル基、エチルスルホニルフェニル基、プロピルスルホニルフェニル基、イソプロピルスルホニルフェニル基、ブチルスルホニルフェニル基、2−クロロエチルスルホニルフェニル基、3−クロロプロピルスルホニルフェニル基、ジフルオロメチルスルホニルフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、3−メチルアミノフェニル基、4−メチルアミノフェニル基、4−メトキシ−3−メチルアミノフェニル基、3−メトキシ−4−メチルアミノフェニル基、4−エトキシ−3−メチルアミノフェニル基、3−エトキシ−4−メチルアミノフェニル基、4−メチル−3−メチルアミノフェニル基、3−メチル−4−メチルアミノフェニル基、4−エチル−3−メチルアミノフェニル基、3−ジメチルアミノフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−メトキシ−3−ジメチルアミノフェニル基、3−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル基、4−エトキシ−3−ジメチルアミノフェニル基、3−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル基、4−メチル−3−ジメチルアミノフェニル基、3−メチル−4−ジメチルアミノフェニル基、4−エチル−3−ジメチルアミノフェニル基、3−メチル−4−ジメチルアミノフェニル基、3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−メトキシ−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−メトキシ−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−エトキシ−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−エトキシ−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−メチル−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−メチル−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−エチル−3−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−メチル−4−(N−エチル−N−メチルアミノ)フェニル基、3−ジエチルアミノフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、4−メトキシ−3−ジエチルアミノフェニル基、3−メトキシ−4−ジエチルアミノフェニル基、4−エトキシ−3−ジエチルアミノフェニル基、3−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル基、4−メチル−3−ジエチルアミノフェニル基、3−メチル−4−ジエチルアミノフェニル基、4−エチル−3−ジエチルアミノフェニル基、4−メチルスルホニルアミノフェニル基、4−トリフルオロメチルスルホニルアミノフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル基、4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、3−ニトロ−4−メチルフェニル基、4−ニトロフェニル基、ピリジン−2−イル基、5−クロロピリジン−2−イル基、5−メチルピリジン−2−イル基、5−エチルピリジン−2−イル基、5−メトキシピリジン−2−イル基、5−エトキシピリジン−2−イル基、2,3−ジメチルピリジン−6−イル基、2,3−ジメトキシピリジン−6−イル基、ピリジル−3−イル基、2−クロロピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−エチルピリジン−5−イル基、2−メトキシピリジン−5−イル基、2
−エトキシピリジン−5−イル基、2,3−ジメチルピリジン−5−イル基、ピリジル−4−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−エチルピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、2−エトキシピリジン−4−イル基、2−ピリミジル基、5−メチルピリミジン−2−イル基、5−エチルピリミジン−2−イル基、2−エトキシピリジン−5−イル基、2,3−ジメチルピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−エチルピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、2−エトキシピリジン−4−イル基、5−クロロピリミジン−2−イル基、5−ブロモピリミジン−2−イル基、5−メトキシピリミジン−2−イル基、ピリミジル−4−イル基、ピリミジル−5−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、ベンゾジオキソラン−3−イル基、ベンゾフラン−2−イル基、ベンゾフラン−3−イル基、ベンゾフラン−4−イル基、ベンゾフラン−5−イル基、ベンゾフラン−6−イル基、ベンゾフラン−7−イル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチオフェン−3−イル基、ベンゾチオフェン−4−イル基、ベンゾチオフェン−5−イル基、ベンゾチオフェン−6−イル基、ベンゾチオフェン−7−イル基、1−メチルインドール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−4−イル基、ベンゾチアゾール−5−イル基、ベンゾチアゾール−6−イル基、ベンゾチアゾール−7−イル基、ベンズイソキサゾール−3−イル基、ベンズイソキサゾール−4−イル基、ベンズイソキサゾール−5−イル基、ベンズイソキサゾール−6−イル基、ベンズイソキサゾール−7−イル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、キノリン−4−イル基、キノリン−5−イル基、キノリン−6−イル基、キノリン−7−イル基、キノリン−8−イル基、キノキサリン−5−イル基、キノキサリン−6−イル基、キナゾリン−4−イル基、キナゾリン−5−イル基、キナゾリン−6−イル基、キナゾリン−7−イル基、キナゾリン−8−イル基、ベンゾオキサジン−5−イル基、ベンゾオキサジン−6−イル基、ベンゾオキサジン−7−イル基、ベンゾオキサジン−8−イル基、ベンゾチアジン−5−イル基、ベンゾチアジン−6−イル基、ベンゾチアジン−7−イル基、ベンゾチアジン−8−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−6−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−7−イル基、アントラセン−1−イル基等を例示することができる。
【0037】
特に免疫グロブリンの分析または精製において良好な性能を示す点で、Arは4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3−エチル−4−メチルフェニル基、4−エチル−3−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、3−エトキシ−4−メトキシフェニル基、4−エトキシ−3−メトキシフェニル基、4−メトキシ−3−メチルフェニル基、4−メチル−3−エトキシフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、2−メトキシピリジン−5−イル基、2−エトキシピリジン−5−イル基、2,3−ジメチルピリジン−5−イル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−エチルピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、2−エトキシピリジン−4−イル基、2−クロロピリジン−5−イル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、4−メチルチオフェニル基のいずれかが好ましい。
【0038】
Mで表されるマトリックスの材質としては特に限定はなく、例えば、架橋結合アルブミンなどのポリペプチドまたはタンパク質、アガロース、アルギネート、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、澱粉などの多糖、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンなどの合成高分子、シリカ、ガラス、多孔質珪藻土、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄または他の金属酸化物などの無機化合物、上記物質を2つまたはそれ以上任意に組み合わせて構成される共重合体などのマトリックスをあげることができる。さらにそれらは、液相分配で使用されるデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたは加水分解澱粉などの水溶性の高分子を包含するマトリックス、またはエマルジョンを形成するのに使用されるペルフルオロデカリンなどの化合物を包含するマトリックスも含まれる。特に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックス製造におけるマトリックスの材質としては、トヨパール(商品名)(東ソー株式会社製)などのビニルポリマー、アガロース、キトサン、デキストラン、セルロース、シリカ、ポリスチレンが好ましい。
【0039】
ここでいうビニルポリマーとは、ビニル基などを持ったモノマーをビニル重合して得られたものを指し、モノマーとしてはメタアクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルエステルなどが含まれる。さらに、ここでいうビニルポリマーとしては前記モノマーを2種類以上用いた共重合体や、架橋したものなどが含まれる。
【0040】
また、マトリックスは、粒状物または非粒状物、水性溶媒に対して可溶性または不溶性、多孔性または非多孔性、いずれであっても良い。
【0041】
nについては、1から12の整数から適宜選択することができるが、特に本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体としては、nが3,4又は5が好ましい。
【0042】
次に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造に用いるチアゾール誘導体の製造方法を詳細に説明する。
【0043】
製造方法1
【0044】
【化6】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、R3はアミノ基又はそのアンモニウム塩を表し、Yは脱離基を表す。)
工程1はフタルイミド誘導体(2)をアシルチオウレア誘導体(3)と反応させ、チアゾール誘導体(4)を合成する方法である。フタルイミド誘導体(2)は非特許文献2や特許文献7等を参考に合成することができる。
【0045】
工程1の反応では、反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下THF)、1,2−ジメトキシエタン(以下DME)、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(以下DMSO)、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができ、収率が良い点でDMFを用いるのが好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより目的物を得ることができ、収率が良い点で60℃から150℃の範囲で反応させるのが好ましい。本工程では、塩基存在下に行なうこともでき、塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの有機アミン類を用いることができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等量以上用いて反応を実施することにより、収率良く目的物を得ることができる。反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であればカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの方法により精製することもできる。
【0046】
工程2はチアゾール誘導体(4)を塩基で処理し、チアゾール誘導体(1a)を製造する方法である。塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミンなどの有機アミン類、ヒドラジン類を用いることができる。収率が良い点でヒドラジンあるいはメチルアミンが好ましい。塩基の使用量は反応基質に対して2等量以上用いて反応を実施することにより、収率良く目的物を得ることができる。本反応では、反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、DMF、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができ、収率が良い点や後処理が簡便である点でメタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒を用いることが好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより目的物を得ることができる。反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であればカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの方法により精製することもできる。また、反応終了後、酸で処理しアンモニウム塩として単離することもできる。反応に害を及ぼさない酸であれば使用することができ、例えば、塩酸、臭化水素酸、フッ酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を用いることができるが、目的物の単離が容易であることから塩酸を用いるのが好ましい。
【0047】
製造方法2
【0048】
【化7】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、Wはハロゲン原子を表す。)
製造方法2は2−置換アミノチアゾール誘導体(5)と酸ハロゲン化物(6)を反応させ、チアゾール誘導体(4a)を製造する方法である。当該方法の反応では、反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、DMF、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができ、収率が良い点でジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒を用いるのが好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより目的物を得ることができ、収率が良い点で0℃から100℃の範囲で反応させるのが好ましい。本工程では、塩基存在下に行なうこともでき、塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの有機アミン類を用いることができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等量以上用いて反応を実施することにより、収率良く目的物を得ることができる。反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であればカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などにより精製することもできる。当該方法で合成されたチアゾール誘導体(4a)は、製造方法1の工程2を経由することによって、チアゾール誘導体(1a)へと導くことができる。
【0049】
次に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法を詳細に説明する。
【0050】
製造方法3
【0051】
【化8】
(式中、R1、R2、R3、M、Ar及びnは前記と同じ意味を表す。)
製造方法3はチアゾール誘導体(1a)と活性化基(活性化基とは、アミノ基あるいはアンモニウム塩と容易に反応できる官能基のことで、例えば、スクシンイミドオキシカルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基(トレシル基)、塩化スルホニル基、トシル基、ビニルスルホニル基、エポキシ基をあげることができる。)含有マトリックスと反応させてチアゾール誘導体固定化マトリックス(1)を製造する方法である。なお、当該方法で用いる活性化基含有マトリックスの活性化基としては、スクシンイミドオキシカルボニル基、ホルミル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基(トレシル基)、エポキシ基、カルボキシル基が特に好ましい。また、当該方法で用いる活性化基含有マトリックスは、活性化基を有しないマトリックスから周知の方法で活性化基を付加することで調製しても良く、HiTrap NHS−activated HP(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)、エポキシトヨパール(商品名)、ホルミルトヨパール(商品名)、トレシルトヨパール(商品名)、カルボキシトヨパール(商品名)(以上東ソー株式会社製)、活性化キトパールK−66(商品名)ゲル(富士紡ホールディングス株式会社製)、BIOACT EPO(商品名)ゲル(昭和電工株式会社製)、POROS−EP(商品名)ゲル(アプライドバイオシステムズ株式会社製)、セルファインホルミル(商品名)ゲル(チッソ株式会社製)、Profinity Epoxide(商品名)ゲル(バイオラッド株式会社製)、M.S.GEL Epoxy−D−50−1000AW(商品名、AGCエスアイテック株式会社製)などのリガンド固定化用担体として市販されているものをそのまま用いても良い。
【0052】
本反応では、中性あるいは塩基性条件下にて反応させることにより容易に目的物を得ることができる。特に塩基性条件下にて反応を行なうことにより、チアゾール誘導体の固定化率の高いマトリックスを得ることができる。塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの有機アミン類を用いることができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等モル以上用いて反応を実施することにより、目的とするチアゾール誘導体の固定化比率の高いマトリックスを得ることができる。また、溶液のpHを保つために緩衝液を加えて反応を行なうこともできる。反応は溶媒中で行なうことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、DMF、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。反応温度については特に制限はないが、0℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応させることにより、目的とするチアゾール誘導体固定化マトリックスを得ることができる。マトリックス上のチアゾール誘導体の固定化量は、吸光度分析、高速液体クロマトグラフィー、元素分析などの分析法を単独あるいは組み合わせて用いることにより測定できる。
【0053】
次に、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いてタンパク質を分析、分離、または単離、精製する方法について説明する。
【0054】
製造方法3によって得られたチアゾール誘導体固定化マトリックスをカラム管に充填し、溶離液として緩衝液、金属塩の水溶液、アミノ酸溶液、アルコール溶液などの溶液を通液し、タンパク質を分析や分離、及び単離や精製を行なうことができる。この方法で分析、分離、または単離、精製することができるタンパク質としては、血漿タンパク質成分や乳タンパク質成分をあげることができ、天然に存在するものでは血漿中の免疫グロブリン、血清アルブミン、血液凝固因子、ラクトアルブミン、ラクトフェリンを例示できる。また遺伝子組換えタンパク質では前記に加えて、天然には微量しか存在しない、あるいは人工的に設計されたペプチドホルモン、インターフェロン、インターロイキン、成長因子、成長抑制因子、ワクチンを例示できる。特に本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスは、免疫グロブリンの精製に好ましい。通液する緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、Tris、PIPES、ACES、Cholamine、BES、MOPS、TES、HEPESを例示でき、金属塩としては硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムを例示でき、アミノ酸としてはグリシン、アルギニン、ベータアラニン、ガンマアミノ酪酸を例示でき、アルコールとしてはエタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、エチレングリコールを例示でき、これらを混合溶媒として用いることもできる。pHは3から11の範囲内で目的とするタンパク質を分離、単離または精製することができるが、pHは5から9の範囲内で精製することが好ましい。また、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)などのクロマトグラフィー装置を使用して、タンパク質を分析、分離、または単離、精製することもできる。製造方法3によって得られたチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いて免疫グロブリン、またはこれらの類縁体、フラグメント、融合体を分析または精製する場合は、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムを含むリン酸緩衝液を通液し、pHは5から9の範囲で、疎水性相互作用を利用したクロマトグラフィーを実施することが好ましい。ここでいう免疫グロブリンの類縁体とは免疫グロブリンの構造や機能が少なくとも部分的に保持された天然あるいは人工的に作られたタンパク質あるいはタンパク質コンジュゲートを指し、免疫グロブリンのフラグメントとは酵素的な処理あるいは遺伝子工学的な設計によって作製された免疫グロブリンの部分構造を持ったタンパク質を指し、免疫グロブリンの融合体とは各種サイトカインあるいはサイトカイン受容体などの生物活性をもったタンパク質の機能部分を免疫グロブリンの全部または一部と遺伝子工学的に融合させて作製したものを指す。
【0055】
製造方法3によって得られたチアゾール誘導体固定化マトリックスは、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液、塩酸水溶液、硫酸水溶液、硝酸水溶液、リン酸水溶液などの酸性水溶液、塩酸グアニジン水溶液、尿素水溶液などのタンパク変性剤水溶液、アルギニンやヒスチジンなどのアミノ酸を含んだ水溶液、SDS、Tweenなどの界面活性剤水溶液、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、エチレングリコールなどのアルコール溶液、あるいは、これらを含んだ混合水溶液を用いて洗浄することによって、初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスは、タンパク質、特に免疫グロブリンの分析および精製に有用な耐久性に富む選択的な吸脱着剤となることから医療用タンパク質、特に免疫グロブリンの工業的な精製において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物286の結果)。
【図2】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物304の結果)。
【図3】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物320の結果)。
【図4】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物329の結果)。
【図5】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物384の結果)。
【図6】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果(化合物423の結果)
【図7】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物286の結果)
【図8】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物304の結果)
【図9】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物320の結果)
【図10】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物329の結果)
【図11】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物384の結果)
【図12】チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果(化合物423の結果)
【図13】化合物286固定化HiTrapカラムを用いたリボヌクレア−ゼA、リゾチ−ム、αキモトリプシノ−ゲンAの混合液のクロマトグラフィー結果
【図14】化合物286固定化HiTrapカラムを用いたヒト−マウスキメラ抗体のパパイン消化物のクロマトグラフィー結果
【図15】図14の画分I、II、III、IVのSDS−PAGE分析の結果
【図16】化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いた免疫グロブリンのクロマトグラフィー結果
【図17】化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いたヒト化モノクローナル抗体のクロマトグラフィー結果
【図18】化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果
【図19】化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いたヒト化モノクローナル抗体のクロマトグラフィー結果
【図20】化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果
【図21】化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いたヒト化モノクローナル抗体のクロマトグラフィー結果
【図22】化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いたウシ血清アルブミンのクロマトグラフィー結果
【図23】化合物286固定化BIACOREセンサーチップCM5に各種抗体をアナライトとして流したBIACOREセンサーグラム(A:マウスIgM、B:マウスIgG、C:ニワトリIgY、D:ウシ血清アルブミン)
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0059】
実施例1 チアゾール誘導体の合成
(合成例1)
【0060】
【化9】
6−フタルイミド−1−ヘキサナール(4.95g,20.2mmol)を四塩化炭素(100mL)に溶解し臭素(1.03mL,20.2mmol)の四塩化炭素溶液(100mL)を滴下し2時間反応した。反応液を水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去し油状物を得た。得られた油状物をDMF(100mL)に溶解し、4−メチルベンゾイルチオウレア(5.87g,26.3mmol)を加え、10時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物に1M塩酸(300mL)を加え酢酸エチル(300mL)で二回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水(300mL)で二回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することによって、4−メチル−N−[5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.424g,5%)を得た。m.p.203から205℃;1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.58から1.82(m,4H),2.44(s,3H),2.82(t,J=7.5Hz,2H),3.72(t,J=7.5Hz,2H),6.97(s,1H),7.32(d,J=7.5Hz,2H),7.69から7.86(m,4H),7.91(d,J=7.5Hz,2H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0061】
(合成例2)
【0062】
【化10】
2−アミノ−4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール(0.50g,1.66mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に、4−メチルベンゾイルクロリド(0.31g,1.99mmol)とトリエチルアミン(1mL)を加え、2日間撹拌した。反応終了後、反応液を水(10mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:2)で精製し、4−メチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.40g,56%)を得た。m.p.178から180℃;1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.58から1.66(m,4H),2.21(s,3H), 2.41(s,3H),2.73(t,J=7.4Hz,2H),3.72(t,J=7.5Hz,2H),7.26(d,J=7.5Hz,2H),7.76から7.86(m,6H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0063】
(合成例3)
【0064】
【化11】
N−(5−ブロモ−6−オキソヘプチル)フタルイミド(1.30g,3.85mmol)のDMF(20mL)溶液に、N−(3−アセトキシ−4−メチルベンゾイル)チオウレアを加え、80℃で7時間反応させた。反応終了後、反応混合物に1M塩酸(30mL)を加え酢酸エチル(50mL)で二回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水(30mL)で二回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物を自動設定中圧カラムクロマトグラフィーシステム(山善社製;Rf=0.32:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、得られた褐色固体を酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で洗浄することによって、白色固体の3−アセトキシ−4−メチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.823g,49%)を得た。:m.p.170から172℃;1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.66(m,4H),2.20(s,3H),2.21(s,3H),2.35(s,3H),2.72から2.74(m,2H),3.53から3.64(m,2H),7.45(d,J=7.5Hz,1H),7.79から7.93(m,6H),12.4(br s,1H)。
【0065】
(合成例4)
【0066】
【化12】
モノテレフタル酸メチルクロリド(1.41g,7.10mmol)のクロロホルム(30mL)溶液に、氷冷下にて2−アミノ−4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール(1.56g,4.74mmol)とトリエチルアミン(1.20mL,7.98mmol)のクロロホルム(10mL)溶液を加え、一晩反応させた。反応終了後、反応混合物を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物を自動設定中圧カラムクロマトグラフィーシステム(山善社製;Rf=0.16:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、4−メトキシカルボニル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.815g,33%)を得た。:m.p.173から174℃;1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.67(m,4H),2.22(s,3H),2.72(t,J=7.5Hz,2H),3.62(t,J=7.5Hz,2H),3.90(d,3H),7.80から7.90(m,4H),8.06から8.20(m,4H),12.7(br s,1H)。
【0067】
(合成例5)
【0068】
【化13】
2−アミノ−4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール(1.0g,3.17mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に、3−シアノベンゾイルクロリド(0.79g,4.75mmol)を氷冷下にて加えた。次いでトリエチルアミン(0.72mL,4.79mmol)のクロロホルム(10mL)溶液を滴下し、一晩反応させた。反応終了後、反応混合物を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製し、3−シアノ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドの白色固体(0.57g,40%)を得た。m.p.170から172℃;1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.69から1.70(m,4H),1.97(s,3H),2.74(t,J=6.5,2H),3.73(t,J=6.8,2H),7.56(dd,J=8.0 and 8.0Hz,1H),7.71から7.86(m,5H),8.05(m,1H),8.16(s,1H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0069】
(参考例1)
アルゴン雰囲気下、4−メチル−N−{5−(4−フタルイミドブチル)チアゾール−2−イル}ベンズアミド(0.105g,0.25mmol)とフェロセン(0.023g,0.125mmol)に、DMSO(1.5mL)、3M−ヨウ化トリフルオロメチル/DMSO溶液(0.25mL,0.75mmol)、1M−硫酸/DMSO溶液(0.25mL,0.25mmol)を加えて撹拌した。この溶液に、室温下で31%過酸化水素水(75μL,0.75mmol)を滴下した。反応終了後、反応溶液を水(200mL)にあけ、しばらく撹拌した。クロロホルムで抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、4−メチル−N−{4−トリフルオロメチル−5−(4−フタルイミドブチル)チアゾール−2−イル}ベンズアミドの白色固体(0.023g,19%)を得た。1H−NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ 1.79から1.82(m,4H),2.47(s,3H),3.01(t,J=7.5Hz,2H),3.76(t,J=7.5Hz,2H),7.34(d,J=7.5Hz,1H),7.72から7.90(m,6H),9.37(s,1H);19F−NMR(CDCl3,TMS,ppm):−60.87。
【0070】
(合成例6から81)
合成例1または2の方法に準じて、表1から12に記載したチアゾール誘導体を得た。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】
【表10】
【0081】
【表11】
【0082】
【表12】
(合成例82)
【0083】
【化14】
4−メチル−N−{5−(4−フタルイミドブチル)チアゾール−2−イル}ベンズアミド(0.60g,1.43mmol)のエタノール(10mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.35mL、7.12mmol)を室温にて加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、1M 塩酸(6mL)を加えた。析出した固体を濾別し、濾液を酢酸エチルで洗浄し、水層を減圧留去した。得られた固体にエタノールとトルエンを加え共沸し十分に乾燥し、固体を瀘取した。得られた固体を酢酸エチルにて洗浄することによって、4−{2−(4−メチルベンゾイル)アミノチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.44g,収率:95%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.64から1.67(m,4H),2.40(s,3H),2.77から2.80(m,4H),7.32(s,1H),7.35(d,J=7.5Hz,2H),8.01(d,J=7.5Hz,2H),8.07(br s,3H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0084】
(合成例83)
【0085】
【化15】
2−クロロ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.22g,0.48mmol)のエタノール(5mL)溶液に、0.05Mのヒドラジンエタノール溶液(34mL)を室温にて加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、1M 塩酸(3mL)を加えた。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて固体を洗浄することにより、4−{2−(2−クロロベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の褐色固体(0.050g,収率:21%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.42から1.77(m,4H),2.21(s,3H),2.63から2.92(m,4H),7.33から7.67(m,4H),7.68から8.16(m,3H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0086】
(合成例84)
【0087】
【化16】
3,4−ジクロロ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.25g,0.51mmol)のエタノール(5mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.07mL,1.53mmol)を室温にて加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を留去し、1M 塩酸(3mL)を加え、室温で一晩撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて洗浄することにより、4−{2−(3,4−ジクロロベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.10g, 収率:50%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.46から1.74(m,4H),2.24(s,3H), 2.62から2.91(m,4H),7.82(d,J=8.4Hz,1H),7.85から7.99(m,3H),8.03から8.13(m,1H),8.04(dd,J=2.0 and 8.4Hz,1H),8.33(d,J=2.0Hz,1H)。
【0088】
(合成例85)
【0089】
【化17】
4−メチル−N−[4−メチル−5-{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.23g,0.53mmol)のエタノール(5mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.23mL,5.30mmol)を加え3時間還流した。反応終了後、反応溶液を留去し、残渣に1M 塩酸(5mL)を加え、撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて洗浄することにより、4−{4−メチル−2−(4−メチルベンゾイルアミノ)チアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.043g,収率:24%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.55から1.80(m,4H),2.24(s,3H),2.39(s,3H),2.64から2.92(m,4H),7.34(d,J=8.2Hz,2H),7.78から8.05(m,3H),7.99(d,J=8.2Hz,2H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0090】
(合成例86)
【0091】
【化18】
4−トリフルオロメチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.30g,0.62mmol)のエタノール(5mL)溶液に、0.05M ヒドラジンエタノール溶液(30mL)を室温にて加え、2時間還流した。反応終了後、反応溶液を留去し、1M 塩酸(3mL)を加え、室温で2時間撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた固体をエタノール並びに酢酸エチルを用いて洗浄することにより、4−{4−メチル−2−(4−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ)チアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.10g,収率:41.7%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.49から1.73(m,4H),2.24(s,3H),2.60から2.90(m,4H),7.91(d,J=8.1Hz,2H),7.97から8.19(m,3H),8.26(d,J=8.1Hz,2H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0092】
(合成例87)
【0093】
【化19】
4−メトキシカルボニル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]−ベンズアミド(0.535g,1.12mmol)に0.5Mヒドラジンエタノール溶液(13.5mL)を加え常温で一晩反応させた。反応終了後、溶液を減圧留去した。残渣に1M塩酸を加え超音波で懸濁し、セライトを敷いたガラスフィルターで固体を濾別した。濾液を減圧留去し固体を再度析出させ、少量の熱エタノールを加え洗浄することによって、4−[2−{4−(メトキシカルボニル)ベンゾイルアミノ}−4−メチルチアゾール−5−イル]ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.36g,収率:84%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.70(m,4H),2.42(s,3H),2.72から2.80(m,4H),3.90(s,3H),7.97(br s,3H),8.07から8.21(m,4H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0094】
(合成例88)
【0095】
【化20】
3−アセトキシ−4−メチル−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(0.80g,1.62mmol)に0.5Mヒドラジンエタノール溶液(10mL)を加え常温で一晩反応させた。反応終了後、溶液を減圧留去した後、残渣に1M塩酸を加え超音波で懸濁し、セライトを敷いたガラスフィルターで固体を濾別した。濾液を減圧留去し固体を再度析出させ、少量の熱エタノールを加え洗浄することによって、4−{2−(3−ヒドロキシ4−メチルベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.48g,収率:75%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.60から1.70(m,4H),2.19(s,3H),2.23(s,3H),2.72から2.81(m,4H),7.20(d,J=7.5Hz,1H),7.44から7.50(m,2H),7.94(br s,3H)9.80(br s,1H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0096】
(合成例89)
【0097】
【化21】
3−シアノ−N−[4−メチル−5−{4−(フタルイミド)ブチル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドに0.5Mヒドラジンエタノール溶液(7mL)を加え常温で一晩反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣に1M塩酸を加え超音波で懸濁し、セライトを敷いたガラスフィルターで濾過した。溶媒を減圧留去し、少量のエタノールを加え溶解した後、酢酸エチルで再沈殿させて精製し、4−{2−(3−シアノベンゾイルアミノ)−4−メチルチアゾール−5−イル}ブチルアミン塩酸塩の白色固体(0.25g,収率:46%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.62から1.65(m,4H),2.24(s,3H),3.43から3.46(m,4H),7.56(dd,J=8.0 and 8.0Hz,1H),8.05(d,J=8.0Hz,1H),8.10から8.22(m,4H),8.49(s,1H)。アミドのプロトンは帰属できなかった。
【0098】
(合成例90から179)
合成例89の方法に準じて、表13から26に記載したチアゾール誘導体を得た。
【0099】
【表13】
【0100】
【表14】
【0101】
【表15】
【0102】
【表16】
【0103】
【表17】
【0104】
【表18】
【0105】
【表19】
【0106】
【表20】
【0107】
【表21】
【0108】
【表22】
【0109】
【表23】
【0110】
【表24】
【0111】
【表25】
【0112】
【表26】
合成例1から81に例示した方法によって合成した本発明に関わるチアゾール誘導体(4)を表27から32にまとめて例示した。
【0113】
【化22】
【0114】
【表27】
【0115】
【表28】
【0116】
【表29】
【0117】
【表30】
【0118】
【表31】
【0119】
【表32】
また、合成例82から179に例示した方法によって合成した本発明に関わるチアゾール誘導体(1a)を表33から41にまとめて例示した。
【0120】
【化23】
【0121】
【表33】
【0122】
【表34】
【0123】
【表35】
【0124】
【表36】
【0125】
【表37】
【0126】
【表38】
【0127】
【表39】
【0128】
【表40】
【0129】
【表41】
(参考例2)
【0130】
【化24】
化合物276(2.50g,8.64mmol)のクロロホルム(50mL)溶液にトリエチルアミン(2.50mL,18mmol)を添加した。次に氷冷下でメタクリル酸クロリド(0.93mL,9.5mmol)を滴下したのち、氷冷下で30分反応させた。反応終了後、反応混合物にクロロホルム(50mL)を追加し、水(100mL)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v))で精製することで、淡黄色粘性液体の4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(1.07g,3.0mmol,収率:35%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6,DMSO,ppm):δ 1.70から1.82(m,2H),1.87(s,3H),2.21(s,3H),2.39(s,3H),2.68(t,J=7.5Hz,2H),3.10から3.25(m,2H),5.32(s,1H),5.64(s,1H),7.34(d,J=8.5Hz,2H),7.90(s,1H),7.98(d,J=8.5Hz,2H)。
【0131】
実施例2 チアゾール誘導体のアガロースゲルへの固定化(その1)
チアゾール誘導体を40μmol/mLになるようDMSOに溶解し、これに等量の0.5M 塩化ナトリウムを含む0.2M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)を加えて濃度20μmol/mLのチアゾール誘導体溶液を調製した。N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)にて活性化されたアガロースゲルであるHiTrap NHS−activated HP 1mL(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製;以下HiTrapカラムと略記する)に、非特許文献3に記載された方法に従って前記チアゾール誘導体溶液を2mL通液することによって固定化を行なった。未反応のスクシンイミドオキシカルボニル基のブロッキングは、非特許文献3に記載された方法に従って行なった。固定化量は非特許文献3に記載された方法のうち「B.酸性条件法」に従って、HiTrapカラム通液前後のリガンド(チアゾール誘導体)溶液の紫外吸収極大波長(300nm付近)における吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定することにより算出した。当該方法で固定化した各化合物の固定化リガンド密度を表42に示す。なお、本実施例以降で記載の化合物番号は表33から41記載の化合物番号に対応する。
【0132】
【表42】
実施例3 チアゾール誘導体のアガロースゲルへの固定化(その2)
チアゾール誘導体を20μmol/mL、トリエチルアミンを40μmol/mL含むDMSO溶液を調製した。HiTrapカラムをDMSOで置換後、これに前記チアゾール誘導体−トリエチルアミンのDMSO溶液を2mL通液した。一時間放置した後、HiTrapカラムに3mLのDMSOを通液して、さらに5mLの0.5M 塩化ナトリウムを含む0.2M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)を通液した。未反応のスクシンイミドオキシカルボニル基のブロッキングは、非特許文献3に記載された方法に従って行なった。固定化量は非特許文献3に記載された方法のうち「B.酸性条件法」に従って、HiTrapカラム通液前後のリガンド(チアゾール誘導体)溶液の紫外吸収極大波長(300nm付近)における吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定することにより算出した。当該方法で固定化した化合物304の固定化リガンド密度を表43に示す。
【0133】
【表43】
実施例4 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その1)
実施例2あるいは3に記載の方法にて調製したチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウムを含む10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)(以下平衡化緩衝液と呼ぶ)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト血漿由来免疫グロブリン製剤(化血研製、本製剤の免疫グロブリンは免疫グロブリンGである)0.5mg(OD280=0.7)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。免疫グロブリンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。チアゾール誘導体を固定化したHiTrapカラムを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図1から図6に示し、これらのクロマトグラフィーにおける免疫グロブリンの回収率を表44に示す。いずれのチアゾール誘導体を用いたときも免疫グロブリンは50%以上の回収率で回収され、チアゾール誘導体固定化HiTrapカラムによる免疫グロブリンの吸脱着が確認された。特に化合物286、304、329を用いた場合の回収率は90%以上と極めて高かった。
【0134】
【表44】
それぞれの吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウム水溶液を10mL通液してカラムの再生を行なった。前記のチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムはいずれもこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0135】
実施例5 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その2)
実施例2あるいは3に記載の方法にて調製したチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン(SIGMA社製)0.5mg(OD280=0.3)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。各種チアゾール誘導体を固定化したHiTrapカラムを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図7から12に示す。また、これらのクロマトグラフィーにおけるウシ血清アルブミンの回収率を表45に示す。いずれのチアゾール誘導体を用いたときもウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出しており、カラムへの吸着はほとんど見られなかった。また、図1から6に示した免疫グロブリンを通液したときの結果とは大きく異なっていた。よって、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いることで、試料中の免疫グロブリンとウシ血清アルブミンとの分離が可能であることが示された。
【0136】
【表45】
それぞれの吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウム水溶液を10mL通液してカラムの再生を行なった。前記のチアゾール誘導体を固定化HiTrapカラムはいずれもこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0137】
実施例6 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その3)
実施例2に記載の方法にて調製した化合物286を固定化したHiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したリボヌクレア−ゼA、リゾチ−ム、αキモトリプシノ−ゲンAの混合液(リボヌクレア−ゼA 0.15mg、リゾチ−ム 0.03mg、αキモトリプシノ−ゲンA 0.04mg)(OD280=0.24)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。タンパク質のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度の吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286を固定化したHiTrapカラムを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図13に示し、このクロマトグラフィーにおけるタンパク質の回収率を表46に示す。いずれのタンパク質も10番目の画分以内に溶出しており、免疫グロブリン(25番目から45番目までの画分に溶出、図1参照)とは異なる画分となった。このことから、本発明のチアゾール誘導体固定化マトリックスを用いることで、試料中の免疫グロブリンとリボヌクレア−ゼA、リゾチ−ム、αキモトリプシノ−ゲンAとの分離が可能であることが示された。
【0138】
【表46】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウム水溶液を10mL通液してカラムの再生を行なった。前記のチアゾール誘導体固定化HiTrapカラムはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0139】
実施例7 チアゾール誘導体固定化アガロースゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その4)
ヒト−マウスキメラ抗体であるリツキサン(商品名)(中外製薬株式会社製、10mg/mL)を固定化パパイン(Immobilized Papain、PIERCE株式会社製)を用い、同説明書記載の方法で37℃、10時間処理することによって、限定加水分解物を得た。
【0140】
実施例2に記載の方法にて調製した化合物286を固定化したHiTrapカラムをAKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、上記パパイン処理抗体を1.2mg(OD280=1.7)添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。タンパク質のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出し、溶出液は1mLずつ分画した。このクロマトグラフィーの結果を図14に示す。またこのうち7、29、39、43番目の画分(それぞれI、II、III、IVと表記)についてそれぞれ5μLを還元条件下で15%アクリルアミドを含むSDS−PAGEにかけ、銀染色試薬(銀染色「第一」(商品名)、第一化学薬品株式会社製)を用いて染色した(図15)。これにより、IはFab(H鎖に由来する27kDaタンパク質とL鎖である27kDaタンパク質より構成される)、IIはFc(H鎖に由来する30kDaタンパク質のダイマーで構成される)、IIIは部分消化抗体(H鎖である60kDaタンパク質とH鎖に由来する30kDaタンパク質とL鎖である27kDaタンパク質で構成される)、IVは未消化抗体(H鎖である60kDaタンパク質のダイマーとL鎖である27kDaタンパク質のダイマーで構成される)と同定され、抗体に由来する各フラグメントの分離が可能であることが示された。
【0141】
実施例8 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その1)
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物286が127μmol/mL(gel)固定化されていることを確認した。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物286が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0142】
実施例9 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その2)
遠沈管に化合物329(107mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(2.4mL)、水(5.6mL)を添加して化合物329が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物329を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物329が81μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物329が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物329を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物329は残存していないことが確認された。
【0143】
実施例10 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その3)
遠沈管に化合物286(30mg、88μmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.1mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(2.4mL)、緩衝液(組成:0.1M Na2HPO4−NaH2PO4、pH7.0;2.5mL)、トリエチルアミン(30μL、0.2mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、3mLのホルミルトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、ホルミル基含量:65μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温25℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで攪拌振盪した。攪拌振盪を開始してから30分後、遠沈管にボラン−ピリジン複合体(250μL、2.5mmol)を添加し、さらに165rpmで2.5時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、化合物286が19μmol/mL(gel)固定化されたホルミルトヨパールゲルを得た。
【0144】
実施例11 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その4)
遠沈管に化合物320(111mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(0.6mL)、水(7.4mL)を添加して化合物320が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV254nm)にて残存する化合物320を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物320が176μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液(溶媒は水)、pH8.3;5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物320が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物320を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物320は残存していないことが確認された。
【0145】
実施例12 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その5)
遠沈管に化合物384(112mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(0.9mL)、水(7.1mL)を添加して化合物384が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物384を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物384が126μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物384が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物384を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物384は残存していないことが確認された。
【0146】
実施例13 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その6)
遠沈管に化合物423(111mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、0.5M 水酸化ナトリウム水溶液(0.9mL)、水(7.1mL)を添加して化合物423が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで24時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物423を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物423が114μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで20時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物423が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物423を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物423は残存していないことが確認された。
【0147】
実施例14 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その7)
遠沈管に化合物283(94mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物283が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物283を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物283が102μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物283が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物283を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物283は残存していないことが確認された。
【0148】
実施例15 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その8)
遠沈管に化合物284(98mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物284が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物284を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物284が117μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物284が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物284を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物284は残存していないことが確認された。
【0149】
実施例16 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その9)
遠沈管に化合物292(191mg、0.5mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.5mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.5mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;4mL)、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)を添加して化合物292が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製;エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物292を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物292が56μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物292が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物292を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物292は残存していないことが確認された。
【0150】
実施例17 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その10)
遠沈管に化合物364(193mg、0.5mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.5mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.5mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)を添加して化合物364が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物364を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物364が257μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物364が固定化されたエポキシトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物364を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物364は残存していないことが確認された。
【0151】
実施例18 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その11)
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;4mL)、トリエチルアミン(90μL、0.6mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのトレシルトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製)を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、トレシルトヨパールに化合物286が94μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたトヨパールゲル中の未反応のトレシル基をブロックするため、得られたトヨパールゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:0.5M トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3;5mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで16時間攪拌振盪することによりゲル中の残存トレシル基をトリスヒドロキシメチルアミノメタンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてトヨパールゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄し、化合物286が固定化されたトレシルトヨパールゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0152】
実施例19 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その12)
遠沈管に化合物329(30mg、84μmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.1mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(2.4mL)、緩衝液(組成:0.1M Na2HPO4−NaH2PO4、pH7.0;2.5mL)、トリエチルアミン(30μL、0.2mmol)を添加して化合物329が溶解したことを確認したのち、3mLのホルミルトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、ホルミル基含量:65μmol/mL(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温25℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで攪拌振盪した。攪拌振盪を開始してから30分後、遠沈管にボラン−ピリジン複合体(250μL、2.5mmol)を添加し、さらに165rpmで2.5時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物329を定量し、化合物329が14μmol/mL(gel)固定化されたホルミルトヨパールゲルを得た。
【0153】
実施例20 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その13)
遠沈管に化合物286(170mg、0.5mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.5mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.5mL)、緩衝液(組成:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl、pH8.3;8mL)、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのエポキシトヨパール(商品名)ゲル(東ソー株式会社製、エポキシ基含量:804μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで63時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、エポキシトヨパールに化合物286が167μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。この化合物286固定化エポキシトヨパールゲル中の窒素原子含有量及び硫黄原子含有量を測定したところ、窒素原子が1.2重量%、硫黄原子が0.89重量%含まれることを確認した。
【0154】
実施例21 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その14)
遠沈管に化合物358(134mg、0.4mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.4mL添加した。次いで、遠沈管に1,4−ジオキサン(10mL)、トリエチルアミン(120μL、0.9mmol)を添加して化合物358が溶解したことを確認したのち、2.5mLのトヨパールCM−650S(商品名)ゲル(東ソー株式会社製;イオン交換容量:0.1mol/L(gel))と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(154mg、0.8mmol)を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温25℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで14時間攪拌振盪した。反応終了後、グラスフィルターでトヨパールゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のトヨパールゲルを1,4−ジオキサン(10mL)で2回洗浄したのち、洗浄液(組成:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=45/55;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV254nm)にて残存する化合物358を定量し、化合物358が16μmol/mL(gel)固定化されたトヨパールCM−650Sゲルを得た。
【0155】
実施例22 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その1)
実施例8に記載の方法にて調製した化合物286固定化エポキシトヨパールゲル1mLをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、前記平衡化緩衝液を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウヒト血漿由来免疫グロブリン製剤(化血研製)0.5mg(OD280=0.7)を添加してカラムに通液した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、平衡化緩衝液から10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)への硫酸ナトリウムに関する直線濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。免疫グロブリンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度をモニターして検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図16に示し、このクロマトグラフィーにおける免疫グロブリンの回収率を表47に示す。免疫グロブリンはHiTrapカラムを用いたとき(図1参照)よりもいくぶん幅広く20番目から50番目までの画分に溶出していた。
【0156】
【表47】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0157】
実施例23 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その2)
実施例8に記載の方法にて調製した化合物286固定化エポキシトヨパールゲル1mLをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト化モノクローナル抗体0.5mg(OD280=0.7)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ヒト化モノクローナル抗体のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図17に示し、このクロマトグラフィーにおけるヒト化モノクローナル抗体の回収率を表48に示す。ヒト化モノクローナル抗体は30番目から45番目までの画分に溶出し、免疫グロブリン(図16参照)と比べていくぶん後ろの位置で溶出していた。
【0158】
【表48】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0159】
実施例24 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その3)
実施例8に記載の方法にて調製した化合物286固定化エポキシトヨパールゲル1mLをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン0.5mg(OD280=0.3)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図18に示し、このクロマトグラフィーにおけるウシ血清アルブミンの回収率を表49に示す。ウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出し、これは免疫グロブリン(図16参照)とは異なる画分であり、HiTrapカラムを用いたとき(図1及び図7参照)と同様な結果になった。このことから、チアゾール誘導体と固定化するマトリックスをアガロースからトヨパールに変更しても同様な免疫グロブリンの分離性能を有していることが示された。
【0160】
【表49】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0161】
実施例25 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その4)
実施例9に記載の方法にて調製した化合物329固定化エポキシトヨパールゲルをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト化モノクローナル抗体0.5mg(OD280=0.7)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ヒト化モノクローナル抗体のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図19に示し、このクロマトグラフィーのヒト化モノクローナル抗体の回収率を表50に示す。ヒト化モノクローナル抗体は30番目から45番目までの画分に溶出と、化合物286をチアゾール誘導体として用いたとき(図17参照)と同じ画分の位置で溶出していた。
【0162】
【表50】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0163】
実施例26 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その5)
実施例9に記載の方法にて調製した化合物329固定化エポキシトヨパールゲルをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン0.5mg(OD280=0.3)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図20に示し、このクロマトグラフィーのウシ血清アルブミンの回収率を表51に示す。ウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出し、これはヒト化モノクローナル抗体(図19参照)とは異なる画分であり、化合物286をチアゾール誘導体として用いたとき(図18参照)と同様な結果になった。このことから、チアゾール誘導体を化合物286から化合物329に変更しても同様なタンパク質の分離性能を有していることが示された。
【0164】
【表51】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物329固定化エポキシトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0165】
実施例27 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その6)
実施例10に記載の方法にて調製した化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを1mL TRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したヒト化モノクローナル抗体0.5mg(OD280=0.8)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ヒト化モノクローナル抗体のカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図21に示し、このクロマトグラフィーのヒト化モノクローナル抗体の回収率を表52に示す。ヒト化モノクローナル抗体は30番目から45番目までの画分に溶出と、エポキシトヨパールをチアゾール誘導体の固定化に用いたとき(図17参照)と同じ画分の位置で溶出していた。
【0166】
【表52】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0167】
実施例28 チアゾール誘導体固定化ビニルポリマーゲルを用いたタンパク質の吸脱着(その7)
実施例10に記載の方法にて調製した化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルをTRICORNカラム(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に充填し、AKTAprime plus(商品名)(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製クロマトグラフィー装置)に取り付け、0.7M 硫酸ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を20mL通液し平衡化した。AKTAprime plusを流速1mL/minで自動運転し、平衡化緩衝液を10mL通液後、同緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン0.5mg(OD280=0.3)を添加した。さらに平衡化緩衝液を10mL通液後、10mM リン酸ナトリウム−10mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いた硫酸ナトリウムの濃度勾配クロマトグラフィーを行なった。ウシ血清アルブミンのカラムからの溶出は280nmにおける吸光度のモニターにより検出した。溶出液は1mLずつ分画し、各フラクションの280nmにおける吸光度をU−2900スペクトロフォトメーター(日立製作所製)で測定し回収率を算出した。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルを用いて行なったクロマトグラフィーの結果を図22に示し、このクロマトグラフィーのウシ血清アルブミンの回収率を表53に示す。ウシ血清アルブミンは10番目の画分までに溶出し、これはヒト化モノクローナル抗体(図21参照)とは異なる画分であり、エポキシトヨパールをチアゾール誘導体の固定化に用いたとき(図18参照)と同様な結果になった。このことから、チアゾール誘導体の固定化に用いるマトリックスの有する活性化基をエポキシ基からホルミル基に変更しても同様なタンパク質の分離性能を有していることが示された。
【0168】
【表53】
吸脱着操作後には100mM 水酸化ナトリウムを10mL通液してカラムの再生を行なった。化合物286固定化ホルミルトヨパールゲルはこの再生処理によって初期状態に復帰させることができ、繰り返し使用によってもその特性は変化しなかった。
【0169】
実施例29 チアゾール誘導体のキトサンゲルへの固定化
水で洗浄した5mLの活性化キトパールK−66(商品名)ゲル(富士紡ホールディングス株式会社製;スクシンイミドオキシカルボニル基含量:15μmol/mL(gel))を遠沈管に計り取り、これにDMSOを10mL添加した。次に化合物286のDMSO溶液(0.25M)を900μL、1Mの1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液を225μL、トリエチルアミンを68μL、順次添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで3時間攪拌振盪した。反応終了後、グラスフィルターでキトパールゲルと反応溶液を分離し、グラスフィルター上のキトパールゲルをジメチルスルホキシド(5mL)、洗浄液(組成:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5;15mL)で洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(商品名)(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:CH3CN/MeOH/50mM NH4H2PO4=4/1/5、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量し、化合物286が5.0μmol/mL(gel)固定化されているキトパールゲルを得た。
【0170】
実施例30 チアゾール誘導体のビニルポリマーゲルへの固定化(その15)
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.2mL)、水(6.8mL)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.5gのBIOACT−EPO(商品名)ゲル(昭和電工株式会社製、エポキシ基含量:200μmol/g(gel))を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで43時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでBIOACT−EPOゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のBIOACT−EPOゲルを洗浄液(組成:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、BIOACT−EPOゲルに化合物286が46μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたBIOACT−EPOゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたBIOACT−EPOゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:アセトニトリル;2mL、0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);4mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで23時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてBIOACT−EPOゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄することで、化合物286が固定化されたBIOACT−EPOゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0171】
実施例31 チアゾール誘導体のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体ゲルへの固定化
遠沈管に化合物286(102mg、0.3mmol)を計り取り、1,2−ジメトキシベンゼンのアセトニトリル溶液(1mmol/mL)を0.3mL添加した。次いで、遠沈管にアセトニトリル(1.7mL)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.2mL)、水(6.8mL)を添加して化合物286が溶解したことを確認したのち、0.3gのPOROS−EP(商品名)ゲル(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製、エポキシ基含量:非開示)を添加した。上記操作によって得られた混合物の入った遠沈管を内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで36時間攪拌振盪した。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターでPOROS−EPゲルと反応溶液を分離した。次にグラスフィルター上のPOROS−EPゲルを洗浄液(組成:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1;10mL)で2回洗浄した。反応溶液と洗浄液を合わせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸含有CH3CN/0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=1/1、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物286を定量することによって、POROS−EPゲルに化合物286が91μmol/mL(gel)固定化されていることが確認された。更に、上記の操作によって得られたPOROS−EPゲル中の未反応のエポキシ基をブロックするため、得られたPOROS−EPゲルを遠沈管に入れブロッキング溶液(組成:アセトニトリル;2mL、0.5M モノエタノールアミン、0.5M 塩化ナトリウム水溶液、pH8.3(溶媒は水);4mL)を添加した。反応溶液が入った遠沈管を、内温40℃に設定した卓上振盪機にセットし、165rpmで6時間攪拌振盪することによりゲル中の残存エポキシ基をモノエタノールアミンでブロックした。反応終了後、遠沈管にアセトニトリル(5mL)を添加し、グラスフィルターにてPOROS−EPゲルとブロッキング溶液を分離した。次いで、ゲルをエタノール(5mL)、水(5mL)でそれぞれ2回ずつ洗浄することで、化合物286が固定化されたPOROS−EPゲルを得た。また、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に残存する化合物286を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、ブロッキング溶液と洗浄液を合わせた溶液中に化合物286は残存していないことが確認された。
【0172】
実施例32 チアゾール誘導体のセンサーチップへの固定化
化合物286を4mg/mLになるようにDMSOに溶解し、これを10mMホウ酸−1M NaCl緩衝液(pH8.5)で8倍に希釈して0.5mg/mL濃度の化合物溶液を調製した。BIACOREセンサーチップCM5(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)をBIACORE2000(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)に装着し、BIACOREアミンカップリングキット(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を用いてセンサーチップCM5上のカルボキシメチルデキストランをN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。これに前記0.5mg/mL濃度の化合物286溶液を25℃で5分間接触させることにより固定化を行なった。その後1M モノエタノールアミン水溶液を用いて未反応のスクシンイミドオキシカルボニル基のブロッキングを行なった。一連の固定化過程はセンサーチップCM5表面のSPR共鳴単位(RU)の増加によってモニタリングした。
【0173】
実施例33 BIACORE(商品名)を用いた親和性解析
実施例32によって調製したリガンド−マトリックス複合体(化合物286を固定化したセンサーチップCM5)に対して、HBS−EP緩衝液(組成:10mM HEPES(pH7.4),0.15M NaCl,3mM EDTA,0.005% SP20)で希釈したマウスIgM(10μg/mL、試料A)、マウスIgG(320μg/mL、試料B)、ニワトリIgY(400μg/mL、試料C)、ウシ血清アルブミン(320μg/mL、試料D)をそれぞれ120秒間通液(結合相)し、その後280秒間HBS−EP緩衝液で置換(解離相)して親和性を解析した。またそれぞれの分析終了ごとに10mM水酸化ナトリウムを80秒間通液してセンサーチップCM5の再生を行った。化合物286を固定化したセンサーチップCM5のセンサーグラムを図23に示す。また解離時間240秒後の残存RUを表54に示す。
【0174】
【表54】
図23及び表54より、マウスIgM(試料A)が他の試料(試料B、C、D)と比較し、化合物286を固定化したセンサーチップCM5に対する親和性が高いことが示された。よって、化合物286を固定化したデキストランゲルが、マウスIgMを特異的に吸着することが判明した。
【0175】
実施例34 チアゾール誘導体のセルロースゲルへの固定化
0.1M N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(pH9.0)/アセトニトリル=1/1の混合液を調製し、これを溶媒として、化合物486と水酸化ナトリウムとをそれぞれ41mMとなるように加えた。遠沈管に3.0mLのセルファインホルミル(商品名)ゲル(チッソ株式会社製、ホルミル基を10から15μmol/mL含有)をとり、そこに前記の化合物486を含んだ溶液を5mL加え、卓上振盪機を用いて、30分間、25℃、160rpmで振盪した後、ボラン−ピリジン複合体(0.17mL、1.7mmol)を添加し、同じ条件で16時間振盪した。反応混合物をグラスフィルターで濾過し、アセトニトリル5mLで1回、次いで、洗浄液(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=45/55/0.05)で5mLずつ4回洗浄した。これらのろ液と洗浄液をあわせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:洗浄液と同じ組成、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物486を定量することによって、セルファインホルミルゲルに化合物486が5μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。
【0176】
実施例35 チアゾール誘導体のアクリルアミド−ビニル共重合体ゲルへの固定化
0.1M N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(pH9.0)/アセトニトリル=1/1の混合溶媒に、化合物486と水酸化ナトリウムとをそれぞれ41mMとなるように加えた。遠沈管に0.3gのProfinity Epoxide(商品名)ゲル(バイオラッド株式会社製、エポキシ基を50から132μmol/g含有)をとり、そこに前記の化合物486を含んだ溶液を5mL加え、卓上振盪機を用いて、15時間、40℃、160rpmで振盪した。反応混合物をグラスフィルターで濾過し、アセトニトリル5mLで1回、次いで、洗浄液(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=45/55/0.05)で5mLずつ4回洗浄した。これらのろ液と洗浄液をあわせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:洗浄液と同じ組成、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物486を定量することによって、Profinity Epoxideゲルに化合物486が4μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。
【0177】
実施例36 チアゾール誘導体のシリカゲルへの固定化
2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸緩衝液(0.1M、pH8.0)/アセトニトリル=1/1の混合溶媒に、化合物486と水酸化ナトリウムとをそれぞれ41mMとなるように加えた。遠沈管に1.3gのM.S.GEL Epoxy−D−50−1000AW(商品名、AGCエスアイテック株式会社製、エポキシ基を73μmol/g含有)をとり、そこに、6.1mLの前記の溶液を加え、卓上振盪機を用いて、4日間、40℃、160rpmで振盪した。反応混合物をグラスフィルターで濾過し、アセトニトリル5mLで1回、次いで、洗浄液(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=45/55/0.05)で5mLずつ4回洗浄した。これらのろ液と洗浄液をあわせ、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製 TSK−gel ODS−80TM(内径4.6mm×長さ15cm)、溶離液:洗浄液と同じ組成、流速:1mL/min、温度:25℃、検出:UV 254nm)にて残存する化合物486を定量することによって、M.S.GEL Epoxy−D−50−1000AWに化合物486が22μmol/mL(gel)固定化されたことを確認した。
【0178】
実施例37 4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドのポリスチレンビーズへの固定化(その1)
200mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(159mg,1.61mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(419mg,2.42mmol)、メタノール(19.5mL)、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(19.5mL,161mmol)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に1.4gのクロロメチル化ポリスチレンビーズ(渡辺化学工業株式会社製、クロロメチル基含量:1.15meq/g)を添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を40℃で12時間撹拌した。反応終了後、ポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、ポリスチレンビーズをメタノール(200mL)で2回洗浄した後、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(1L)で3回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することで淡青色をしたポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)修飾ポリスチレンビーズ(18.4g、グラフト率:1200%)を得た。なおここでグラフト率は、
グラフト率=(反応後のポリスチレンビーズ重量−反応前のポリスチレンビーズ重量)/(反応前のポリスチレンビーズ重量)
と定義する。
【0179】
次に50mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(22mg,0.22mmol)、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザテトラデカン(56mg,0.22mmol)、参考例2で合成した4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(525mg,1.47mmol)、及び2−ブタノン/2−プロパノール=7/3(v/v)の混合溶媒(3mL)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に2.5gのポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)修飾ポリスチレンビーズを添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を60℃で63時間撹拌した。反応終了後、ポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、エタノール(300mL)で2回、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(300mL)で2回、DMF(200mL)で1回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することでチアゾール誘導体が結合した薄茶色のポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)修飾ポリスチレンビーズ(2.61g)を得た。得られたポリスチレンビーズの重量増加分から計算した結果、グラフト鎖末端にチアゾール誘導体が平均2分子結合しており、その当量は0.12meq/gであると見積られた。FT−IR,ν(cm−1,reflect):3440(br,O−H),2949(w),1720(s,C=O),1637(w,C=O),1450(m),1243(m),1149(s),1074(s)。
【0180】
実施例38 4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミドのポリスチレンビーズへの固定化(その2)
200mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(500mg,5.0mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.30g,7.5mmol)、2−プロパノール(22mL)、及びアクリルアミド水溶液(組成:17.8g/22mL;250mmol)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に5.0gのクロロメチル化ポリスチレンビーズ(株式会社ペプチド研究所製、クロロメチル基含量:0.97meq/g)を添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を80℃で18時間撹拌した。反応終了後、ポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、ポリスチレンビーズをエタノール(150mL)で洗浄した後、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(200mL)で2回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することで淡青色をしたポリアクリルアミド修飾ポリスチレンビーズ(12.3g、グラフト率:146%)を得た。なおここでグラフト率は
グラフト率=(反応後のポリスチレンビーズ重量−反応前のポリスチレンビーズ重量)/(反応前のポリスチレンビーズ重量)
と定義する。
【0181】
次に50mLのナス型フラスコに塩化銅(I)(60mg,0.60mmol)、トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(208mg,0.9mmol)、参考例2で合成した4−メチル−N−[4−メチル−5−{3−(2−プロペニルカルボニルアミノ)プロピル}チアゾール−2−イル]ベンズアミド(1.07g,3.0mmol)、及び2−プロパノール/水=2/1(v/v)の混合溶媒(3mL)を順次添加し、室温で撹拌して反応混合物が均一に溶解したことを確認した。次に反応溶液に1.5gのポリアクリルアミド修飾ポリスチレンビーズを添加し、凍結脱気により反応溶液中の溶存酸素を除去したのち、反応容器を80℃で87時間撹拌した。反応終了後、反応溶液にエタノール(30mL)及び5%アンモニア水(5mL)を添加し、室温で1時間撹拌した。次にポリスチレンビーズと反応溶液を分離し、エタノール/5%アンモニア水=9/1(v/v)(50mL)で2回、DMF(250mL)で1回洗浄した。洗浄終了後、ポリスチレンビーズと洗浄液を分離した後、真空乾燥することでチアゾール誘導体が結合した薄緑色のポリアクリルアミド修飾ポリスチレンビーズ(1.84g)を得た。得られたポリスチレンビーズの重量増加分から計算した結果、グラフト鎖末端にチアゾール誘導体が平均2分子結合しており、その当量は0.52meq/gであると見積られた。FT−IR,ν(cm−1,reflect):3336(br),2922(m),1654(s,C=O),1600(m),1492(m),1450(m),1028(w),756(m),698(s)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族基を表し、nは1から12の整数を表し、Mはマトリックスを表す。)で表されるチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項2】
Arの置換基が、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、水酸基又はシアノ基である請求項1に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項3】
Arが、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、水酸基又はシアノ基から選ばれた1つ以上の置換基で置換されていてもよい芳香族基である請求項1に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項4】
一般式(1)
【化2】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)においてMのマトリックスがビニルポリマー、アガロース、キトサン、デキストラン、セルロース、シリカ、ポリスチレンのいずれかであることを特徴とする、請求項1から3に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項5】
一般式(1a)
【化3】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、R3はアミノ基又はアンモニウム塩を表す。)で示されるチアゾール誘導体と、活性化基含有マトリックスとを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化4】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法。
【請求項6】
活性化基含有マトリックスの活性化基がスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基、カルボキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法。
【請求項7】
一般式(1)
【化5】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスを使用し、タンパク質の分析または精製を行なう方法。
【請求項8】
タンパク質が免疫グロブリン、またはこれらの類縁体、フラグメント、融合体であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
免疫グロブリンが免疫グロブリンG(IgG)であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族基を表し、nは1から12の整数を表し、Mはマトリックスを表す。)で表されるチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項2】
Arの置換基が、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、水酸基又はシアノ基である請求項1に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項3】
Arが、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルケニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数3から6のアルキニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1から6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素数1から12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、水酸基又はシアノ基から選ばれた1つ以上の置換基で置換されていてもよい芳香族基である請求項1に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項4】
一般式(1)
【化2】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)においてMのマトリックスがビニルポリマー、アガロース、キトサン、デキストラン、セルロース、シリカ、ポリスチレンのいずれかであることを特徴とする、請求項1から3に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックス。
【請求項5】
一般式(1a)
【化3】
(式中、R1、R2、Ar及びnは前記と同じ意味を表し、R3はアミノ基又はアンモニウム塩を表す。)で示されるチアゾール誘導体と、活性化基含有マトリックスとを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化4】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法。
【請求項6】
活性化基含有マトリックスの活性化基がスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基、カルボキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のチアゾール誘導体固定化マトリックスの製造方法。
【請求項7】
一般式(1)
【化5】
(式中、R1、R2、Ar、n及びMは前記と同じ意味を表す。)で示されるチアゾール誘導体固定化マトリックスを使用し、タンパク質の分析または精製を行なう方法。
【請求項8】
タンパク質が免疫グロブリン、またはこれらの類縁体、フラグメント、融合体であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
免疫グロブリンが免疫グロブリンG(IgG)であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−244252(P2009−244252A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7094(P2009−7094)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】
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