説明

新規なフェナントレンキノン系化合物およびそれを含むメタボリックシンドローム関連疾患を治療または予防するための医薬組成物

メタボリックシンドローム関連疾患を治療および/または予防するための医薬組成物であって、(a)治療有効量の、明細書中で定義された式(1)で表される特定の化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物;および(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらのいずれかの組み合わせを含んでなる医薬組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタボリックシンドローム関連疾患の治療または予防に使用しうる新規なフェナントレンキノン系化合物およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームとは、高トリグリセリド血症、高血圧、糖代謝異常、血液凝固異常および肥満のような、健康に対する危険因子(health risk factors)を含む症候群を表す、広範な症状である。メタボリックシンドローム自体は致命的ではないが、糖尿病、虚血性循環器疾患などの重篤な疾患になりやすい体質(predisposition to severe disease)を示すものであり、現代人の間で最大の脅威となる疾患と目されるようになっている。メタボリックシンドロームは少し前まで、そのような症候群の原因についての知識が不足していたため、「X症候群」を初め、他の様々な名称で知られていたが、WHOおよびINHの米国国立心肺血管研究所(National Heart Lung and Blood Institute)が制定した成人治療プログラム(Adult Treatment Program)(ATP)IIIを通じて、公式にメタボリックシンドロームまたはインスリン抵抗性症候群と命名された。
【0003】
インスリン抵抗性とは、in vivoにおいてインスリンが正常に分泌されているにもかかわらず、細胞に対するグルコース供給をインスリンが十分に誘発しない、という現象をいう。従って、インスリン抵抗性を有する人では、血中のグルコースが細胞に吸収されず、高血糖を引き起こす。またその結果、グルコースの不足により細胞が正常に機能できず、メタボリックシンドロームの発症(manifestation)に至る。
【0004】
現在、メタボリックシンドローム治療用の入手可能な薬物は存在しない。メタボリックシンドローム治療のための努力は、糖尿病、高脂血症および高血圧の治療薬を用いてなされてきたが、これらの薬物がメタボリックシンドロームの治療において有する薬物としての有効性は限られたものであった。現在入手可能な薬物として、糖尿病の治療に用いる薬物である、メトホルミン、TZD(チアゾリジンジオン)ファミリーに属する薬物、グルコシダーゼ阻害剤、PPARγ/α二元アゴニストおよびDDP(ジペプチジルペプチダーゼ)IV阻害剤は、メタボリックシンドローム治療のための有望な薬物として大いに注目されてきた。加えて、抗高血圧薬および抗高脂血症薬、またCETP(コレステロールエステル輸送タンパク質)阻害剤の標的である、アポA−Iのアイソフォームおよびその関連ペプチドに対して、大いに関心が寄せられてきた。メタボリックシンドロームを治療しうるこれらの薬物は、AMPKが活性化されるという共通の作用を示すことが知られている。上記の薬物のうち、メトホルミンおよびTZD薬物もまたこのクラスに属する。このため本発明者もまた、関心ある化合物のメタボリックシンドロームに対する生物学的有効性を確認するための最も基本的な一次試験として、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)に対する活性化作用の有無を確認する方法を採用した。
【0005】
以上述べたように、AMPKは、in vitroおよびin vivoのグルコース、タンパク質および脂肪のエネルギー代謝において中心的な役割を果たすことが知られている。Neilらは、AMPKおよびマロニルCoAは、メタボリックシンドローム治療の可能性ある標的であると主張し、メタボリックシンドロームに罹患した患者は、インスリン抵抗性、肥満、高血圧、異脂肪血症、膵臓β細胞機能不全、2型糖尿病および動脈硬化症発現によって特徴付けられると述べている(非特許文献1)。これら複数の異常を結びつける共通の特徴は、AMPK/マロニルCoAエネルギーレベル検知・シグナリング(energy level−sensing and signaling)ネットワークの調節不全であると仮定されている。そのような調節不全が、細胞の脂肪酸代謝を変化させ、次いでこれが、異常な脂肪蓄積、細胞の機能不全、そして最終的には疾患を引き起こすとの提案がなされている。AMPKを活性化および/またはマロニルCoAレベルを減少させる因子は、これらの異常および症候群を逆転させるか、その発生を防ぐかもしれないとの証拠も示されている。
【0006】
Rogerらは、AMPKは、視床下部AMPKの活性低下(これによってマロニルCoA含量が増加し、食餌摂取に対する欲求が調節される)による肥満抑制の可能性ある標的でありうることを示唆している(非特許文献2)。
Leeらは、α−リポ酸は、視床下部AMPK活性を抑制して食欲を調節することにより抗肥満作用を示しうることを示唆している(非特許文献3)。彼らはまた、α−リポ酸は、筋肉組織(視床下部ではなく)において脂肪代謝を促進すること、α−リポ酸は、UCP−1の活性化によりエネルギー消費を促進する(特に脂肪細胞において)ので、肥満の治療に有効であることを報告している。
Diraisonらは、膵臓細胞におけるAMPKの活性化が、食欲調節をもたらす腸管ホルモンペプチド(gut hormone peptide)YYの発現を4倍に増加させるので、視床下部以外の組織におけるAMPKの作用によって食欲が調節されうることを報告している(非特許文献4)。
【0007】
Nandakumarらは、虚血性心疾患において、AMPKは、脂肪およびグルコース代謝の調節による虚血再灌流傷害治療のための標的となると提案している(非特許文献5)。
Minらは、AMPKがアルコール性脂肪肝の制御に有効であることを報告している(非特許文献6)。
【0008】
Genevieveらは、AMPKの活性化は、慢性炎症状態またはエンドトキシンショック(肥満に関連した糖尿病を含む)における炎症メディエータであるiNOS酵素の活性を阻害し、従ってAMPKは、インスリン感受性を向上しうる機構を有する新たな医薬品の開発に有効であると報告している(非特許文献7)。加えて彼らは、iNOS活性の阻害はAMPKの活性化によって生じ、従ってこの発見は、敗血症、多発性硬化症、心筋梗塞、炎症性腸疾患、膵臓β細胞機能不全等の疾患に臨床応用しうると報告している。
【0009】
Zing−pingらは、マウス筋細胞および心筋細胞において、AMPKは、Ca−カルモジュリンの存在下に、リン酸化を通じて内皮NOシンターゼを活性化させると報告している(非特許文献8)。このことは、狭心症を含む心疾患における、AMPKの関与が証明されたことを示している。
Javierらは、寿命を延ばすことは、エネルギーの利用を制限することにより可能であり、そのような延長された寿命は、in vivoのAMP/ATP比が増加し、その結果AMPによってAMPKのα2サブユニットが活性化されるような方法により達成されると報告している(非特許文献9)。従って彼らは、AMPKが、寿命の延長とエネルギーレベルとインスリン様シグナル情報の関係を検出するセンサーとして機能しうることを示唆している。
【0010】
ところで、丹参(Salvia miltiorrhiza)は、古来から北東アジア地域で重要な生薬として広く用いられてきたもので、種々の循環器疾患の予防・治療に著効を示すことが周知である。本発明者らは、そのような丹参の治療効果に注目し、丹参の主成分が、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム等、種々の疾患を治療しうる優れた薬物であることを示唆している。例えば、本願出願人に譲渡されている特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7を参照されたい。特に、本発明者らは、クリプトタンシノンおよび15,16−ジヒドロタンシノンをはじめとする丹参の主たる本体(main principle)が、メタボリックシンドローム疾患を治療しうることを明らかにしている。
【0011】
【化1】

【0012】
本発明者らは、β−ラパコン(7,8−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−ナフト(2,3−b)ジヒドロピラン−7,8−ジオン)、ダンニオン(2,3,3−トリメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−ナフト(2,3−b)ジヒドロフラン−6,7−ジオン)、α−ダンニオン(2,3,3−トリメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−ナフト(2,3−b)ジヒドロフラン−6,7−ジオン)、ノカルジオンA、ノカルジオンB、ランタルクラチンA、ランタルクラチンB、ランタルクラチンC等の新規なナフトキノン系化合物が、クリプトタンシノン、15,16−ジヒドロタンシノン等と同一または類似の化学的官能基を有するのみならず、メタボリックシンドローム関連疾患の治療および予防薬としての薬理作用をも有することを新たに確認した。
【0013】
即ち本発明者らは、本発明において開示するナフトキノン化合物が細胞および組織中のAMPKを活性化するか否かを試験することに努力した。そして得られた結果を元に、化合物の疾患・症候群に対する高い治療効果を試験するために、本発明者らは、OBマウス(レプチン分泌の減少による肥満の動物モデル)を用いた種々の実験を通じて、肥満および糖尿病を含むメタボリックシンドローム関連疾患を治療および/または予防する治療効果を試験した。
【0014】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国特許第2003−0099556号
【特許文献2】韓国特許第2003−0099557号
【特許文献3】韓国特許第2003−0099657号
【特許文献4】韓国特許第2003−0099658号
【特許文献5】韓国特許第2004−0036195号
【特許文献6】韓国特許第2004−0036197号
【特許文献7】韓国特許第2004−0050200号
【特許文献8】韓国特許出願第2004−0116339号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Nature drug discovery,3(April),340,2004
【非特許文献2】Cell,117,145−151,2004
【非特許文献3】Nature medicine,13(June),2004
【非特許文献4】Diabetes 53,S84−91,2004
【非特許文献5】Progress in lipid research 42,238−256,2003
【非特許文献6】Am.J.Physiol.Gastrointest Liver Physiol 287,G1−6,2004
【非特許文献7】J.Biol.Chem.279,20767−74,2004
【非特許文献8】FEBS Letters 443,285−289,1999
【非特許文献9】Genes & Develop.2004
【非特許文献10】Tetrahedron Letters,28,3427〜3430,1987
【非特許文献11】Journal of Organic Chemistry,55,4995〜5008,1990
【非特許文献12】“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Co.,Easton,PA,18th edition,1990
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで本発明者らは、クリプトタンシノンおよびジヒドロタンシノンの種々の誘導体と、メタボリックシンドローム関連疾患の予防および治療においても使用しうる、メタボリックシンドローム関連疾患の治療および予防薬としてのその薬理作用について研究し、また新規な構造を有するフェナントレンキノン系化合物が、細胞および組織中のAMPKを活性化するか否かを試験することに努力した。そして得られた結果を元に、同化合物のメタボリックシンドローム関連疾患に対する高い治療効果を試験するために、本発明者らは、OBマウス(レプチン分泌の減少による肥満の動物モデル)を用いた種々の実験を通じて、肥満および糖尿病を含むメタボリックシンドローム関連疾患を治療および/または予防する治療効果を試験した。その結果本発明者らは、本発明の新規なフェナントレンキノン系化合物が、メタボリックシンドローム関連疾患の治療および/または予防において優れた効果を示すことを確認した。これらの発見に基づき、本発明を完成させた。
【0018】
従って、本発明の1つの目的は、有効成分として、メタボリックシンドローム関連疾患の治療および予防において治療効果のあるフェナントレンキノン系化合物を含む医薬組成物を提供することにある。
【0019】
本発明の一つの態様によれば、上記およびその他の諸目的は、メタボリックシンドローム関連疾患を治療および/または予防するための医薬組成物であって、
(a)治療有効量の、下記式(1):
【化3】

(式中、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
およびR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基或いはC−C10アリール基またはヘテロアリール基であり、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
mおよびnは、各々独立に0または1であり、mまたはnが0であるとき、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成していてもよく、
mが1であり、nが0であり、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成し、R、R10およびR11が水素原子であり、R12およびR13が水素原子であるか、一緒になって二重結合を形成しているとの条件下においては、
(i)R〜Rが水素原子でありRおよびRがメチル基であるとき、R14はメチル基ではなく、
(ii)R、RおよびRが水素原子であり、R、R、RおよびRが一緒になって二重結合を形成し、Rがメチル基であるとき、R14はメチル基ではない)
で表される化合物;および
(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらのいずれかの組み合わせ
を含んでなる医薬組成物を提供することにより達成しうる。
【0020】
後述の実験例に示すように、本発明者らは、メタボリックシンドロームに対する式(1)の化合物の治療効果を確認し、筋芽細胞(C2C12)におけるAMPK活性および前脂肪細胞(3T3−L1およびF442A細胞)の細胞分化抑制に対する式(1)の化合物の活性を測定し、その結果、そのような化合物が、優れたAMPK活性化作用および脂肪細胞分化抑制作用を示すことを確認した。
【0021】
加えて、本発明者らは更に、OBマウス(肥満のモデル)、db/dbマウス(肥満/糖尿病のモデル)、DIO(食餌誘導肥満)マウス(高脂肪食条件により生じる)およびZucker fa/faラット(肥満/糖尿病のモデル)を用いる、メタボリックシンドロームの治療および予防に関連するin vivo実験を通じて、式(1)の化合物による、メタボリックシンドロームに対する治療および予防効果を検討し、その結果、式(1)の化合物が治療において大いに有効であることを確認した。
従って、有効成分として式(1)の化合物を含む、メタボリックシンドロームを治療および予防するための組成物は、AMPKの活性化を通じてメタボリックシンドロームを治療および予防しうると期待される。
更に、肥満の動物モデルに対する体重減少を踏まえて、式(1)の化合物は、丹参から抽出されるタンシノン誘導体に比して有意に相乗効果を示すことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の医薬組成物を投与したC57BL/6JL Lep ob/Lep obマウスの各臓器における、数値換算した脂肪分布を示すグラフである。
【図2】本発明の医薬組成物を投与したC57BL/6JL Lep ob/Lep obマウスの各臓器における、数値換算した脂肪分布を示すグラフである。
【図3】本発明の医薬組成物を投与したC57BL/6JL Lep ob/Lep obマウスの各臓器における、数値換算した脂肪分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で用いる用語「異性体」とは、本発明の化合物またはその塩であって、化学式または分子式は同一であるが、光学的または立体的に異なっているものを意味する。選択された置換基R〜R16の種類にもよるが、式(1)の化合物には、D型光学異性体およびL型光学異性体が存在しうる。
【0024】
本明細書で用いる用語「プロドラッグ」とは、in vivoで親薬物に変換される物質を意味する。プロドラッグは、ある状況下においては親薬物に比して投与が容易な場合があるので、プロドラッグが有用であることがしばしばある。例えば、(親薬物はそうではないが)プロドラッグは生物学的に利用される(bioavailable)場合がある。またプロドラッグは、医薬組成物における溶解性が親薬物に比して向上している場合がある。プロドラッグの一例は、細胞内(ここでは、水溶性は有益である)に入ると、代謝されて活性本体(active entity)に変換されるものである。
【0025】
本明細書で用いる用語「溶媒和物」とは、化学量論量または非化学量論量の、非共有結合性の分子間力により結合した溶媒を更に含む本発明の化合物を意味する。好ましい溶媒は、揮発性であり、また無毒である、および/またはヒトへの投与が許容されるものである。溶媒が水ならば、溶媒和物は水和物と呼ばれる。
別途特定しない限り、用語「本発明の化合物」は、化合物それ自体並びに薬学的に許容されるその異性体、プロドラッグおよび溶媒和物を包含することを意図するものである。
【0026】
本明細書で用いる用語「アルキル」とは、脂肪族の炭化水素基を意味する。アルキル部位は「飽和アルキル基」であってよく、これはアルケンまたはアルキン部位を含まないことを意味する。或いは、アルキル部位は「不飽和アルキル」部位であってもよく、これは少なくとも1つのアルケンまたはアルキン部位を含むことを意味する。用語「アルケン」部位とは、少なくとも2個の炭素原子が、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を形成している基をいい、用語「アルキン」部位とは、少なくとも2個の炭素原子が、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を形成している基をいう。アルキル部位は、置換されているか否かを問わず、分岐状であっても、直鎖状であっても、環状であってもよい。またアルキル基は、1〜20個の炭素原子を有していてよく、1〜10個の炭素原子を有する中型アルキルであってよく、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基である。例えば、C−Cアルキル基とは、アルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を有するもの、即ちメチル基、エチル基、プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基およびt−ブチル基よりなる群から選択されるアルキル鎖である。
【0027】
本明細書で用いる用語「シクロアルキル」とは、3〜15個の炭素原子を含む一種のアルキルであって、炭素原子間に二重結合が存在する場合は、その二重結合は互い違いになっていたり(alternated)、共鳴したり(resonant)するものではない。これは1〜4個の環を含んでいてよい。非置換シクロアルキル基の例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびアダマンチル基であり、置換シクロアルキル基の場合、置換基の例は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオールおよび/またはアルキルチオよりなる群から選択されるものである。
本明細書で用いる用語「アルコキシ」または「アルキルチオ」とは、各々独立に酸素(−O−)または硫黄(−S−)を介して結合する上記のアルキル基をいう。
【0028】
本明細書で用いる用語「ヘテロシクロアルキル」とは、炭素環状基のうち、1つ以上の環の炭素原子が酸素、窒素および硫黄のうち1種以上で置換されたものを意味し、芳香族性の構造であっても、そうでなくてもよい。ヘテロシクロアルキルは、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イソチアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジンおよびトリアジンを含むが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で用いる用語「アリール」とは、共役パイ(π)電子系を有する少なくとも1つの環を有する芳香族置換基を指し、炭素環アリール(例えばフェニル)とヘテロ環アリール(例えばピリジン)の両者を含む。この用語は、単環および縮合複環(即ち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基の両者を含む。アリール基は、少なくとも1つの環を有し、少なくとも6個の原子を有するが、含む環は5個未満であり、有する原子は22個未満である。炭素原子および/またはヘテロ原子間に存在する二重結合は、互い違いになっていたり、共鳴したりする。アリール基は任意に、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、シクロアルキル、シアノ、アルキル−S(O)(m=O,1,2)およびチオールのいずれかで置換されていてもよい。
本明細書で用いる用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの複素環を含む芳香族基を意味する。
アリールおよびヘテロアリールの例には、フェニル、フラン、ピラン、ピリジル、ピリミジルおよびトリアジルが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明における式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、任意に置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、C−C10アリール基、C−C10ヘテロアリール基、ヘテロ脂環式基、C−Cアルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボニル基、チオカルボニル基、O−カルバミル基、N−カルバミル基、O−チオカルバミル基、N−チオカルバミル基、C−アミド基、N−アミド基、S−スルホンアミド基、N−スルホンアミド基、C−カルボキシ基、O−カルボキシ基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、シリル基、トリハロメタンスルホニル基、アミノ基(一置換および二置換アミノ基を含む)およびそれらの保護誘導体よりなる群から選択される1種以上の基である。
【0031】
本発明の式(1)の化合物のうち、下記式(2)および(3)の化合物が好ましい。
下記式(2)の化合物は、mが1であり、nが0であり、隣接する炭素原子が、それらの間の直接結合を介して環状構造(フラン環)を形成している化合物であり、以降しばしば「フラノテトラヒドロフェナントレン化合物」または「フラノテトラヒドロ−3,4−フェナントレンキノン」と称される。
【化4】

【0032】
下記式(3)の化合物は、mおよびnが各々1である化合物であり、以降しばしば「ピラノテトラヒドロフェナントレン化合物」または「ピラノテトラヒドロ−3,4−フェナントレンキノン」と称される。
【化5】

【0033】
式(1)の化合物において、RとRおよび/またはRとRが化学結合を形成することもありうる。この場合、mおよびnが各々0および1であるとき、この化合物は下記式(4)の化合物と(5)の化合物に分類される。
即ち、mが1であり、nが0であり、隣接する炭素原子が、それらの間の直接結合を介して環状構造(フラン環)を形成している式(4)の化合物は、以降しばしば「フラノフェナントレン化合物」または「フラノ−3,4−フェナントレンキノン」と称される。
【化6】

【0034】
mおよびnが各々1である式(5)の化合物は、以降しばしば「ピラノフェナントレン化合物」または「ピラノ−3,4−フェナントレンキノン」と称される。
【化7】

【0035】
本発明の式(1)の化合物のうち、mが1であり、nが0であり、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成し、R、R10およびR11が水素原子であり、R12およびR13が水素原子であるか、一緒になって二重結合を形成している場合に、
(i)R〜Rが水素原子でありRおよびRがメチル基であるとき、R14がメチル基である化合物、および
(ii)R、RおよびRが水素原子であり、R、R、RおよびRが一緒になって二重結合を形成し、Rがメチル基であるとき、R14がメチル基である化合物
は除外される。それらは天然の(naturally occurring)タンシノン誘導体だからである。
【0036】
好ましい一態様において、式(1)の化合物は、
、R、R、R、R、R、RおよびRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C−Cアルキル基およびC−Cアルキルオキシ基よりなる群から選択され、またはそれらの置換基のうち2つが一緒になって二重結合を形成し、
、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16が、各々独立に、水素原子またはC−Cアルキル基である化合物である。
【0037】
本発明の他の一つの態様によれば、
下記式(1−1):
【化8】

(式中、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
およびR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基或いはC4−C10アリール基またはヘテロアリール基であり、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
mおよびnは、各々独立に0または1であり、mまたはnが0であるとき、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成していてもよく、
mが1であり、nが0であり、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成し、RおよびR10が水素原子であるとの条件下においては、
(i)R〜Rが水素原子でありR7およびR8がメチル基であるとき、
12およびR13が水素原子であるならば、R11およびR14はメチル基ではなく、
12およびR13が二重結合を形成しているならば、R14はメチル基ではなく、
(ii)R、RおよびRが水素原子であり、R、R、RおよびRが一緒になって二重結合を形成しているとき、
がメチル基でありR12およびR13が水素原子であるならば、R14はメチル基ではなく、
が水素原子でありR12およびR13が水素原子であるならば、R11はメチル基ではなく、
がメチル基でありR12およびR13が二重結合を形成しているならば、R14はメチル基ではない)
で表される新規な化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物が提供される。
【0038】
好ましい一態様において、式(1−1)の化合物は、
、R、R、R、R、R、RおよびRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C−Cアルキル基およびC−Cアルキルオキシ基よりなる群から選択され、またはそれらの置換基のうち2つが一緒になって二重結合を形成し、
、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16が、各々独立に、水素原子またはC−Cアルキル基である化合物である。
別途特定しない限り、用語「式(1−1)の化合物」は、化合物それ自体並びに薬学的に許容されるその異性体、プロドラッグおよび溶媒和物を包含することを意図するものである。
【0039】
後述の実験例に示すように、本発明者らは、式(1−1)の新規な化合物は、メタボリックシンドロームに対する治療効果を有することを確認し、筋芽細胞(C2C12)におけるAMPK活性および前脂肪細胞(3T3−L1およびF442A細胞)の細胞分化抑制に対する式(1−1)の化合物の活性を測定し、その結果、そのような化合物が、優れたAMPK活性化作用および脂肪細胞分化抑制作用を示すことを確認した。
【0040】
後述するように、本発明の式(1−1)の化合物は、以下のようにして調製することができる。
一般に、三環性ナフトキノン(ピラノ−o−ナフトキノンおよびフラノ−o−ナフトキノン)誘導体は、主に2つの方法で合成することができる。1つは、下記のβ−ラパコン合成における如く、酸触媒条件下、3−アリル−2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを用いて環化反応を誘導することである。本発明においては、R11およびR12が同時に水素原子であることのない化合物の場合、式(1)の化合物の多くはこの方法に基づいて合成される。
【化9】

【0041】
即ち、2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノンと、スチレンまたは1−ビニルシクロヘキセン誘導体の間でディールズ−アルダー反応を誘導し、次いで空気中に存在する酸素または酸化剤(NaIO、DDQなど)を用いて、得られた中間体を脱水素することにより、3−アリロキシ−1,4−フェナントレンキノンを得ることができる。上記の化合物を更に再加熱することにより、ラパコール型である2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノンを、クライゼン転位を通じて合成することができる。
【化10】

【0042】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノンを、最終的に酸触媒条件下における環化反応に付すと、種々の3,4−フェナントレンキノン系または5,6,7,8−テトラヒドロ−3,4−フェナントレンキノン系化合物を合成することができる。この場合、置換基(上記式中のR21、R22およびR23)の種類に応じて5員環または6員環環化が起こり、これらの置換基はまた対応する十分な(adequate)置換基(R11、R12、R13、R14、R15およびR16)に変換される。
【化11】

【0043】
更に、3−アリロキシ−1,4−フェナントレンキノンを酸(H)またはアルカリ(OH)触媒条件下に加水分解して3−オキシ−1,4−フェナントレンキノンとし、次いでこれを種々のハロゲン化アリルと反応させて、C−アルキル化により2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノンを合成する。そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体を、酸触媒条件下における環化反応に付し、種々の3,4−フェナントレンキノン系または5,6,7,8−テトラヒドロ−3,4−フェナントレンキノン系化合物を合成する。この場合、置換基(上記式中のR21、R22、R23およびR24)の種類に応じて5員環または6員環環化が起こり、これらの置換基はまた対応する十分な(adequate)置換基(R11、R12、R13、R14、R15およびR16)に変換される。
【化12】

【0044】
しかし、置換基R11およびR12が同時に水素原子である化合物を、酸触媒条件下における環化反応で得ることはできない。これらの化合物は、J.K.Snyderが報告した方法(非特許文献10;非特許文献11)により得られる。より具体的には、まず、環化によりフラン環が導入されたフラノベンゾキノンを得て、次いで1−ビニルシクロヘキセン誘導体との環化により三環性フェナントレンキノンを得る。その後、水素付加により還元する。上記の合成方法は、次のように要約しうる。
【化13】

【0045】
上記の調製方法に基づき、置換基の種類に応じて等価の合成方法を用いて、種々の誘導体を合成しうる。
【0046】
本発明の式(1)または(1−1)の化合物のうち、特に好ましい化合物を下記表1に例示するが、これらに限定されるものではない。特定の調製方法は後述の実施例に記載する。
【表1】

【0047】
本明細書において用いる用語「医薬組成物」は、式(1)の化合物と、他の化学成分(希釈剤、担体等)の混合物を意味する。医薬組成物は、生体に対する化合物の投与を容易にする。化合物を投与する種々の技術が当該分野において知られており、これには経口、注射、エアゾル、非経口および局所投与が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物はまた、関心ある化合物を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの酸と反応させることによって得ることもできる。
【0048】
用語「治療有効量」は、化合物を投与したときに、治療を要する疾患の1つ以上の症状を、ある程度軽減または減少させる、或いは予防を要する疾患の臨床的なマーカーや症状の発生(initiation)を遅延させるのに有効な有効成分の量を意味する。よって治療有効量とは、
(i)疾患の進行速度を逆転させる(reversing)、
(ii)疾患のそれ以上の速度をある程度阻害する、および/または
(iii)疾患に伴う1つ以上の症状をある程度軽減させる(好ましくは解消する)
効果を示す活性成分の量をいう。治療有効量は、関係する化合物に関し、治療を要する疾患についてのin vivoおよびin vitroの既知モデル系で実験することにより経験的に測定しうる。
【0049】
本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法、例えば従来の混合、溶解、造粒、糖衣(dragee−making)、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、封入(entrapping)または凍結乾燥工程により製造しうる。
【0050】
よって、本発明に従って使用するための医薬組成物は更に、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。即ち、活性化合物を薬学的に使用することのできる調製物に加工するのを容易にする賦形剤および助剤を含む、1つ以上の薬学的に許容される担体を用いて、従来の要領で処方してよい。医薬組成物は、生体に対する化合物の投与を容易にする。
【0051】
用語「担体」は、細胞または組織内への化合物の取込みを容易にする化学化合物を意味する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、数多くの有機化合物の生体細胞または組織内への摂取を容易にすることから、一般に利用される担体である。
用語「希釈剤」は、関心ある化合物を溶解させると同時に、化合物の生物活性型を安定化させる、水で希釈された化学化合物を定義するものである。当該分野においては、緩衝溶液に溶解した塩が希釈剤として用いられている。一般的に使用されている1つの緩衝溶液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であるが、それはこれがヒト体液のイオン強度条件に類似しているからである。緩衝塩は低濃度で溶液のpHを制御できるので、緩衝希釈液は、化合物の生物活性をほとんど修飾しない。
【0052】
本明細書に記述される化合物は、そのままでヒト患者に投与することもできるし、他の活性成分(組み合わせ療法の場合のように)または適切な担体または賦形剤と混合されている医薬組成物の形で投与することもできる。適切な処方は、選択された投与経路に左右される。化合物の処方および投与のための技法は、非特許文献12に見出すことができる。
【0053】
有効成分を生体に投与するためには、医薬組成物である種々の技術が当該分野において公知であり、経口、注射、エアゾル、非経口および局所投与が含まれるが、これらに限定されない。或いは、関心ある化合物を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの酸と反応させることによって、それを得ることもできる。
【0054】
薬学的処方は、当該分野において既知の従来法によって行うことができる。これは好ましくは、薬学的に許容される経口、外用、経皮、経粘膜または注射用の処方であってよく、より好ましくは、経口用の処方であってよい。
【0055】
本発明において用いるのに適する医薬組成物は、意図する目的を達成するのに有効な量の活性成分を含有する組成を含む。具体的には、治療有効量とは、疾患の症状を予防、緩和または改善するのに有効である化合物の量を意味する。治療有効量の測定は、特に本明細書に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0056】
本開示において定義される、本発明の式(1)または(1−1)の化合物は、メタボリックシンドローム関連疾患の治療および予防における使用に特に有効でありうる。よって本発明は、メタボリックシンドロームの治療または予防用の薬物の調製における式(1)または(1−1)の化合物の使用を提供する。
【0057】
本発明の他の1つの態様によれば、メタボリックシンドロームを治療または予防するための薬物としての上記医薬組成物の使用、および上記医薬組成物を患者に投与することによって、メタボリックシンドローム関連疾患を治療する方法が提供される。
メタボリックシンドローム関連疾患の例には、肥満、肝臓疾患、動脈硬化症、脳卒中、心筋梗塞、虚血性疾患、糖尿病、糖尿病関連合併症および炎症性疾患が含まれるが、これらに限定されない。糖尿病関連合併症には、例えば高脂血症、高血圧、網膜症、腎不全等が含まれる。用語「治療」は、発病の症候を示す対象において薬物が使用された場合の疾病の進行の停止または遅延をいう。用語「予防」は、発病の症候を全く示さないものの発病の危険性が高い対象において薬物が使用された場合の発病症候の停止または遅延を意味する。
【0058】
ここで、以下の実施例および実験例を参考にしながら、本発明について更に詳細に記述する。これらの例は、本発明を例示することのみを目的として提供されており、本発明の範囲および精神を制限するものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0059】
実施例1:化合物1の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(10.0g、60.9mM)および1−ビニルシクロヘキセン(19.8g、183mM)を100mlのMeOHに溶解し、3時間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、トリエチルアミン(5ml)およびNaIO(13.0g、61.0mM)を添加して更に1時間激しく攪拌した。内部の反応溶液を濾過し、減圧蒸留により濾液を濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して7.6g(28.4mM)の純粋な3−アリロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ7.91(1H,d,J=7.9Hz),7.42(1H,d,J=7.9Hz),6.07(1H,s),6.05(1H,m),5.48(1H,d,J=17.2Hz),5.39(1H,d,J=10.5Hz),4.56(2H,d,J=5.5Hz),3.27(2H,t,J=5.1Hz),2.89(2H,t,J=6.2Hz),1.82(4H,m)
13C−NMR(CDCl):δ185.307,181.947,159.638,144.852,141.398,134.881,131.654,130.626,128.674,123.903,119.819,108.777,69.963,31.084,28.829,23.048,21.816
Mass(m/z):268(95),227(100),157(91)
【0060】
そのようにして得られた3−アリロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを50mlのトルエンに溶解して5時間還流し、減圧蒸留により濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して7.3g(27.2mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ7.96(1H,d,J=7.9Hz),7.65(1H,s),7.43(1H,d,J=7.9Hz),5.9(1H,m),5.15(1H,d,J=17.1Hz),5.03(1H,d,J=10.0Hz),3.33(2H,d,J=6.5Hz),3.27(2H,t,J=5.9Hz),2.88(2H,t,J=6.2Hz),1.83(4H,m)
13C−NMR(CDCl):δ184.531,183.081,153.505,144.257,141.520,135.625,134.023,132.610,126.626,124.684,119.226,116.045,30.891,28.876,27.360,22.916,21.782
Mass(m/z):268(100),253(28),240(30),225(24)
【0061】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを、それ以上精製せずに10mlの硫酸と混合し、得られた混合物を室温で10分間激しく攪拌し、これに50gの氷を添加して反応を完結させた。反応物に20mlのCHClを添加して激しく震とうした。その後、CHCl層を分離して5%NaHCOで洗浄した。水層を10mlのCHClでもう一度抽出して、先に抽出した有機層と合わせた。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮して不純な化合物1を得た。そのようにして得られた化合物1を、まずシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製し、次いで得られた化合物1をイソプロパノールから再結晶して、4.6g(17.2mM)の純粋な化合物1を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.44(1H,d,J=7.8Hz),7.32(1H,d,J=7.8Hz),5.23(1H,m),3.23(3H,m),2.85(2H,t,J=7.1Hz),2.71(1H,dd,J=15.1,7.1Hz),1.80(4H,m),1.56(3H,d,J=6.4Hz)
13C−NMR(CDCl):δ184.074,175.620,170.783,144.303,143.766,134.635,128.293,126.586,122.217,113.258,84.182,33.394,30.942,28.545,22.836,21.993,21.842
Mass(m/z):268(192),240(100),225(27),211(24)
【0062】
実施例2:化合物2の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(10.0g、60.9mM)および6,6−ジメチル−1−ビニルシクロヘキセン(19.8g、183mM)を100mlのMeOHに溶解し、3時間還流した。実施例1と同様にして、3−アリロキシ−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノン(6.5g、22.0mM)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.95(1H,d,J=8.2Hz),7.72(1H,d,J=8.2Hz),6.06(1H,s),6.05(1H,m),5.48(1H,d,J=17.3Hz),5.39(1H,d,J=10.5Hz),4.56(2H,d,J=5.5Hz),3.24(2H,t,J=6.2Hz),1.81(2H,m),1.67(2H,m),1.32(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ185.114,181.840,159.803,153.329,140.709,132.589,131.328,130.623,128.652,124.101,119.713,108.629,69.915,37.785,34.911,31.837,29.921,19.247
【0063】
実施例1と同様にして、2−アリル−3−ヒドロキシ−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ8.00(1H,d,J=7.9Hz),7.74(1H,d,J=7.9Hz),7.71(1H,s),5.89(1H,m),5.41(1H,dd,J=17.1,1.6Hz),5.02(1H,dd,J=9.9,1.5Hz),3.31(2H,dt,J=6.5,1.5Hz),3.25(2H,t,J=6.3Hz),1.82(2H,m),1.68(2H,m),1.32(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.320,182.952,153.611,152.757,140.881,133.974,133.323,132.297,126.463,124.904,119.113,115.975,37.631,34.755,31.709,29.866,27.273,19.050
【0064】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンから、実施例1と同様にして化合物2を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.63(1H,d,J=7.8Hz),7.50(1H,d,J=7.8Hz),5.22(1H,m),3.25(3H,dd,J=15.1,9.7Hz),2.71(1H,dd,J=15.1,7.1Hz),1.80(2H,m),1.67(2H,m),1.55(3H,d,J=6.4Hz),1.32(3H,s),1.31(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.132,175.798,170.649,152.399,143.687,132.502,128.365,126.349,122.503,113.332,84.160,37.762,34.826,33.363,31.909,31.853,29.655,21.999,19.041
Mass(m/z):296(95),282(15),268(58),253(100)
【0065】
実施例3:化合物3の合成
2−プレニルオキシ−1,4−ベンゾキノン(3.0g、15.6mM)および1−ビニルシクロヘキセン(6.75g、62.5mM)を50mlのMeOHに溶解し、3時間還流した。実施例1と同様にして、3−プレニルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノン(1.61g、5.44mM)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.91(1H,d,J=7.9Hz),7.4(1H,d,J=7.9Hz),6.07(1H,s),5.50(1H,t,J=6.8Hz),4.54(2H,d,J=6.8Hz),3.26(2H,t,J=5.9Hz),2.88(2H,t,J=4.7Hz),1.82(4H,m),1.80(3H,s),1.75(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ185.414,182.152,160.040,144.722,141.333,140.283,134.809,131.716,128.719,123.852,117.322,108.412,66.280,31.072,28.785,25.811,23.065,21.826,18.317
Mass(m/z):296(73),281(53),253(18),228(100),213(24)
【0066】
実施例1と同様にして、2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ8.16(1H,s),7.87(1H,d,J=7.9Hz),7.42(1H,d,J=7.9Hz),6.27(1H,dd,J=17.5,10.5Hz),4.99(1H,d,J=17.5Hz),4.95(1H,d,J=10.5Hz),3.24(2H,t,J=5.9Hz),2.86(2H,t,J=6.2Hz),1.83(4H,m),1.54(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ185.047,183.480,153.102,148.177,143.616,140.918,135.846,133.972,125.986,125.826,124.715,109.250,40.596,30.752,28.813,27.976,22.904,21.825
Mass(m/z):296(100),281(91),253(24)
【0067】
そのようにして得られた2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンから、実施例1と同様にして化合物3を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.64(1H,d,J=7.8Hz),7.32(1H,d,J=7.8Hz),4.63(1H,q,J=6.6Hz),3.21(2H,t,J=4.8Hz),2.84(1H,t,J=4.2Hz),1.79(4H,m),1.45(3H,d,J=6.6Hz),1.43(3H,s),1.24(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.450,175.599,169.171,144.072,143.353,134.608,128.443,126.817,122.113,121.512,92.524,43.944,30.894,28.544,25.713,22.850,21.875,20.347,14.548
Mass(m/z):296(38),281(12),268(44),253(100)
【0068】
実施例4:化合物4の合成
2−プレニルオキシ−1,4−ベンゾキノン(20.0g、0.104M)および6,6−ジメチル−1−ビニルシクロヘキセン(56.7g、0.416M)を150mlのMeOHに溶解し、3時間還流した。実施例1と同様にして、3−プレニルオキシ−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノン(12.0g、0.037M)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.95(1H,d,J=8.2Hz),7.72(1H,d,J=8.2Hz),6.06(1H,s),5.48(1H,m),4.54(2H,d,J=6.8Hz),3.24(2H,t,J=6.2Hz),1.81(2H,m),1.80(3H,s),1.75(3H,s),1.67(2H,m),1.32(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ185.263,182.095,160.244,153.237,140.677,140.214,132.546,131.425,128.740,124.082,117.354,108.292,66.278,37.830,34.914,31.866,29.909,25.783,19.289,18.296
【0069】
実施例1と同様にして、2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ8.18(1H,s),7.93(1H,d,J=8.2Hz),7.73(1H,d,J=8.2Hz),6.27(1H,dd,J=17.5,10.5Hz),4.98(1H,d,J=17.5Hz),4.94(1H,d,J=10.5Hz),3.24(2H,t,J=6.4Hz),1.84(2H,m),1.67(2H,m),1.54(6H,s),1.31(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.950,183.386,153.217,152.196,148.152,140.353,133.694,133.607,125.895,125.679,125.001,109.233,40.538,37.667,34.686,31.695,29.851,27.940,19.062
【0070】
そのようにして得られた2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンから、実施例1と同様にして化合物4を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.63(1H,d,J=8.1Hz),7.50(1H,d,J=8.1Hz),4.63(1H,q,J=6.6Hz),3.21(2H,t,J=6.3Hz),1.78(2H,m),1.65(2H,m),1.45(3H,d,J=6.6Hz),1.42(3H,s),1.31(3H,s),1.30(3H,s),1.24(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.480,175.733,168.973,151.951,143.368,132.422,128.488,126.555,122.389,121.566,92.501,43.902,37.764,34.728,31.865,31.817,29.605,25.715,20.289,19.016,14.541
【0071】
実施例5:化合物5の合成
実施例4における化合物4の合成の工程中に、化合物4の異性体として少量(〜10%)の化合物5が得られた。従って、実施例4をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製した際に、化合物5も共に得られた。
H−NMR(CDCl):δ7.62(1H,d,J=8.1Hz),7.50(1H,d,J=8.1Hz),3.22(2H,t,J=6.3Hz),3.17(1H,q,J=7.1Hz),1.78(2H,m),1.65(2H,m),1.50(3H,s),1.47(3H,s),1.31(6H,s),1.24(3H,d,J=7.1Hz)
13C−NMR(CDCl):δ184.375,175.939,168.670,152.055,143.363,132.393,128.454,126.612,122.511,118.083,94.808,43.816,37.701,34.704,31.823,29.608,28.780,22.263,18.988,14.132
【0072】
実施例6:化合物6の合成
実施例1で得た3−アリロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノン(10.0g、37.0mM)を100mlのMeOHに溶解した溶液を室温で攪拌し、これに濃硫酸を徐々に添加して更に1時間攪拌した。反応溶液に100mlの飽和水溶液を添加して溶液を中和し、溶液に100mlのCHClを添加して激しく震とうした。その後、有機層を分離した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して8.4g(36.8mM)の3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ7.94(1H,d,J=8.0Hz),7.62(1H,s),7.47(1H,d,J=8.0Hz),6.27(1H,s),3.28(2H,t,J=6.0Hz),2.89(2H,t,J=6.0Hz),1.84(4H,m)
【0073】
3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノン(8.4g、37mM)を70mlのDMSOに溶解し、これに560g(75mM)のLiHを徐々に添加した。反応溶液を攪拌し、もはや水素が発生しなくなったことを確認した後、更に30分間攪拌した。次いでこれに、12.0g(80mM)の臭化プレニル(1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン)および3.35g(0.025M)のLiIを徐々に添加した。反応溶液を45℃に加熱し、その温度で12時間激しく攪拌した。反応溶液を10℃未満まで冷却し、まず100mlの冷水を添加した。その後、1NのHClを徐々に添加して、得られる溶液を>3の酸性pHに維持した。反応混合物に200mlのEtOAcを添加して激しく震とうし、その後有機層を分離した。有機層を100mlの5%NaHCOで洗浄し、濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して1.81g(4.9mM)の2−プレニル−3−プレニルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。得られたものを5mlの硫酸と混合し、混合物を室温で10分間激しく攪拌し、これに20gの氷を添加して反応を完結させた。反応物に60mlのCHClを添加して激しく震とうした。その後、CHCl層を分離して5%NaHCOで洗浄した。水層を10mlのCHClでもう一度抽出し、5%NaHCOで洗浄して、先に抽出した有機層と合わせた。有機層をMgSOで濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して、0.83g(2.8mM)の化合物6を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.63(1H,d,J=8.0Hz),7.31(1H,d,J=8.0Hz),3.21(2H,t,J=4.8Hz),2.82(2H,t,J=4.8Hz),2.53(2H,t,J=7.2Hz),1.83(2H,t,J=7.2Hz),1.78(4H,m),1.44(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ182.667,179.142,162.613,143.324,141.832,134.826,131.683,127.983,121.620,110.944,78.949,31.573,30.580,28.774,26.678,22.942,21.911,15.958
【0074】
実施例7:化合物7の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(10g、61mM)およびスチレン(19.8g、183mM)を100mlのイソプロパノールに溶解し、48時間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、減圧蒸留により濃縮した。濃縮した溶液に100mlのトルエンを添加して溶解し、12時間還流し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して3.4g(12.9mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.51(1H,d,J=8.5Hz),8.23(1H,d,J=8.5Hz),8.17(1H,d,J=8.5Hz),7.88(1H,d,J=7.9Hz),7.73(1H,s),7.72(1H,m),7.63(1H,m),5.95(1H,m),5.20(1H,d,J=17.1Hz),5.07(1H,d,J=10.0Hz),3.37(2H,d,J=6.5Hz)
13C−NMR(CDCl):δ184.917,183.703,153.346,136.428,135.877,133.915,133.804,130.627,129.973,128.935,128.397,127.207,123.927,122.608,118.598,116.261,27.362.
Mass(m/z):264(100),249(13),236(24),221(18),208(19)
【0075】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−フェナントレンキノンを、それ以上精製せずに10mlの硫酸と混合し、得られた混合物を室温で10分間激しく攪拌し、これに200gの氷を添加して反応を完結させた。反応物に80mlのCHClを添加して激しく震とうした。その後、CHCl層を分離して5%NaHCOで洗浄した。水層を30mlのCHClでもう一度抽出して、先に抽出した有機層と合わせた。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮して不純な化合物7を得た。そのようにして得られた化合物7を、まずシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製し、次いで得られた化合物7をイソプロパノールから再結晶して、2.2g(8.2mM)の純粋な化合物7を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.42(1H,d,J=8.8Hz),8.09(1H,d,J=8.4Hz),7.83(1H,d,J=8.2Hz),7.73(1H,d,J=8.4Hz),7.70(1H,t,7.6Hz),7.27(1H,t,J=7.6Hz),5.29(1H,m),3.29(1H,dd,J=15.2,9.8Hz),2.75(1H,dd,J=15.2,7.3Hz),1.61(3H,d,J=6.3Hz)
13C−NMR(CDCl):δ184.064,175.591,170.392,136.064,135.487,131.700,130.730,128.887,128.000,126.853,125.684,120.667,113.494,84.533,77.200,33.437,22.032
Mass(m/z):264(57),236(100),218(21),208(28),179(32),165(49)
【0076】
実施例8:化合物8の合成
2−プレニルオキシ−1,4−ベンゾキノン(10.0g、51.5mM)およびスチレン(60g、0.58M)を120mlのイソプロパノールに溶解し、48時間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、減圧蒸留により濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して4.2g(8.2mM)の2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.46(1H,d,J=8.7Hz),8.22(1H,s),8.15(2H,s),7.88(1H,d,J=8.1Hz),7.73(1H,m),7.64(1H,m),6.31(1H,dd,J=17.1Hz,10.2Hz),5.05(1H,d,J=17.1Hz),4.95(1H,d,J=10.2Hz),1.59(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ185.369,183.928,152.922,147.998,136.533,135.460,135.213,130.584,129.494,128.891,128.312,127.131,125.263,123.011,122.793,109.533,40.615,28.028
【0077】
そのようにして得られた2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物8を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.42(1H,d,J=8.8Hz),8.10(1H,d,J=8.4Hz),7.84(1H,d,J=8.1Hz),7.76(1H,d,J=8.4Hz),7.69(1H,t,J=8.2Hz),7.56(1H,t,J=8.2Hz),4.71(1H,q,J=6.6Hz),1.50(3H,d,J=6.6Hz),1.47(3H,s),1.29(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.373,175.649,168.788,135.954,135.254,131.622,130.594,129.096,128.849,127.898,126.809,125.806,121.768,120.625,92.860,44.078,25.783,20.481,14.581
【0078】
実施例9:化合物9の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(10g、61mM)およびα−メチルスチレン(70g、0.59M)を120mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして3.6g(14mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.55(1H,dd,J=8.8,0.8Hz),8.06(1H,s),8.05(1H,dd,J=6.7,1.1Hz),7.75(1H,s),7.72(1H,m),7.63(1H,m),5.95(1H,m),5.18(1H,dq,J=17.1,1.6Hz),5.06(1H,dq,J=10.0,1.6Hz),3.35(2H,dt,J=6.5,1.6Hz),2.79(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.941,183.038,153.243,144.316,134.626,133.982,133.052,129.972,128.063,127.627,124.541,123.446,122.107,117.960,116.156,27.312,20.595
【0079】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物9を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.47(1H,d,J=8.7Hz),8.00(1H,d,J=8.5Hz),7.69(1H,m),7.59(1H,m),7.57(1H,s),5.26(1H,m),3.27(1H,dd,J=15.2,9.8Hz),2.76(3H,s),2.74(1H,dd,J=15.2,7.3Hz),1.61(3H,d,J=6.3Hz)
13C−NMR(CDCl):δ183.629,175.716,170.346,144.050,134.325,131.821,130.165,128.465,127.748,127.429,124.596,124.080,121.742,113.465,84.429,33.426,22.039,20.537
【0080】
実施例10:化合物10の合成
2−プレニルオキシ−1,4−ベンゾキノン(7.68g、40.0mM)およびα−メチルスチレン(48g、0.40M)を100mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして1.74g(5.7mM)の2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.43(1H,d,J=8.3Hz),8.25(1H,s),7.98(1H,d,J=8.2Hz),7.94(1H,s),7.66(1H,t,J=8.3Hz),7.59(1H,J=8.3Hz),6.31(1H,dd,J=17.1Hz,10.2Hz),5.04(1H,d,J=17.1Hz),4.98(1H,d,J=10.2Hz),2.73(3H,s),1.59(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.598,183.422,152.950,148.061,144.555,134.693,134.438,130.021,129.674,128.072,127.662,124.807,124.607,123.781,121.438,109.461,40.558,28.008,20.687
【0081】
そのようにして得られた2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物10を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.45(1H,d,J=8.4Hz),8.00(1H,d,J=8.3Hz),7.66(1H,t,J=8.4Hz),7.60(1H,s),7.57(1H,t,J=8.4Hz),4.69(1H,q,J=6.7Hz),2.76(3H,s),1.50(3H,d,J=6.7Hz),1.47(3H,s),1.28(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ183.912,175.781,168.739,143.868,134.065,131.700,129.991,128.609,127.613,127.326,124.508,124.186,121.620,92.711,44.003,25.702,25.282,20.474,20.437,14.521
【0082】
実施例11:化合物11の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(6.56g、40mM)およびp−tert−ブチル−スチレン(70g、0.40M)を80mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして1.90g(5.9mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−6−tert−ブチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.58(1H,d,J=0.7Hz),8.20(1H,d,J=8.5Hz),8.15(1H,d,J=8.5Hz),7.84(1H,d,J=8.7Hz)7.79(1H,s),7.73(1H,dd,J=8.7,0.7Hz),5.97(1H,m),5.17(1H,d,J=17.1Hz),5.06(1H,d,J=10.0Hz),3.37(2H,d,J=6.4Hz),1.47(9H,s)
13C−NMR(CDCl):δ185.133,183.832,154.056,153.423,135.921,134.287,134.001,133.903,130.260,128.539,127.335,123.696,122.307,122.094,118.419,116.164,35.619,31.139,27.374
Mass(m/z):320(100),305(57),292(7),277(23),264(36)
【0083】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−6−tert−ブチル−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物11を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.49(1H,d,J=0.2Hz),8.05(1H,d,J=8.3Hz),7.79(1H,d,J=8.7Hz),7.69(1H,d,J=8.3Hz),7.67(1H,dd,J=8.7,0.2Hz),5.29(1H,m),3.29(1H,dd,J=15.2,9.8Hz),2.75(1H,dd,J=15.2,7.3Hz),1.61(3H,d,J=6.3Hz),1.44(9H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.387,175.790,170.697,154.084,135.449,133.959,131.978,128.829,128.456,127.016,125.518,121.988,120.074,113.284,84.471,35.632,33.432,31.033,22.023
Mass(m/z):320(36),292(100),277(74),266(13),249(13),236(43)
【0084】
実施例12:化合物12の合成
2−プレニルオキシ−1,4−ベンゾキノン(7.68g、40.0mM)およびp−tert−ブチル−スチレン(70g、0.40M)を80mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして1.7g(4.9mM)の2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−6−tert−ブチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.52(1H,d,J=1.8Hz),8.27(1H,s),8.13(2H,s),7.83(1H,d,J=8.6Hz),7.72(1H,dd,J=8.6,1.8Hz),6.31(1H,dd,J=17.4Hz,10.6Hz),5.03(1H,d,J=17.4Hz),4.98(1H,d,J=10.6Hz),1.59(6H,s),1.47(9H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.594,184.024,153.989,152.986,148.093,136.032,135.320,133.855,129.782,128.494,127.545,127.214,125.127,122.821,122.271,109.449,40.598,35.581,31.146,28.053
【0085】
そのようにして得られた2−((3−メチル−1−ブテン)−3−イル)−3−ヒドロキシ−6−tert−ブチル−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物12を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.47(1H,d,J=0.9Hz),8.05(1H,d,J=8.3Hz),7.78(1H,d,J=8.7Hz),7.70(1H,d,J=8.3Hz),7.66(1H,dd,J=8.7,1.8Hz),4.70(1H,q,J=6.7Hz),1.49(3H,d,J=6.7Hz),1.47(3H,s),1.43(9H,s),1.29(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.614,175.778,168.984,153.912,135.320,133.718,131.921,129.043,128.398,126.854,125.688,122.015,121.580,120.002,92.747,44.070,35.591,31.069,25.792,20.478,14.543
【0086】
実施例13:化合物13の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(6.56g、40mM)およびp−クロロスチレン(60g、0.44M)を80mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして0.74g(2.48mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−6−クロロ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.62(1H,d,J=1.2Hz),8.23(1H,d,J=8.5Hz),8.19(1H,d,J=8.5Hz),7.83(1H,d,J=8.7Hz)7.69(1H,s),7.67(1H,dd,J=8.7,1.2Hz),5.93(1H,m),5.21(1H,d,J=17.1Hz),5.04(1H,d,J=10.0Hz),3.39(2H,d,J=6.4Hz)
13C−NMR(CDCl):δ184.518,183.272,153.335,150.643,137.202,136.188,134.327,134.063,133.746,130.418,130.234,129.423,126.278,122.953,118.952,116.424,27.392
【0087】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−6−クロロ−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物13を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.37(1H,d,1.8Hz),8.03(1H,d,J=8.6Hz),7.72(1H,d,J=5.2Hz),7.69(1H,d,J=5.2Hz),7.45(1H,dd,J=8.6,1.8Hz),5.30(1H,m),3.27(1H,dd,J=15.2,9.8Hz),2.74(1H,dd,J=15.2,7.3Hz),1.62(3H,d,J=6.3Hz)
13C−NMR(CDCl):δ183.222,175.000,169.731,137.263,135.873,133.498,131.861,130.886,130.196,129.673,128.889,128.769,125.700,114.025,84.640,33.425,21.994
【0088】
実施例14:化合物14の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(6.56g、40mM)およびp−メチルスチレン(17.4g、0.10M)を80mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして2.3g(8.3mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−6−メチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.58(1H,s),8.19(1H,d,J=8.5Hz),8.16(1H,d,J=8.5Hz),7.80(1H,d,J=8.7Hz)7.77(1H,s),7.47(1H,d,J=8.7Hz),5.97(1H,m),5.21(1H,d,J=17.1Hz),5.06(1H,d,J=10.0Hz),3.39(2H,d,J=6.4Hz),2.62(3H,s)
【0089】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−6−メチル−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物14を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.20(1H,d,J=1.2Hz),8.01(1H,d,J=8.3Hz),7.71(1H,d,J=8.4Hz),7.64(1H,d,J=8.3Hz),7.38(1H,dd,J=8.4,1.2Hz),5.27(1H,m),3.27(1H,dd,J=15.1,9.8Hz),2.74(1H,dd,J=15.2,7.3Hz),2.56(3H,s),1.60(3H,d,J=6.3Hz)
13C−NMR(CDCl):δ184.077,175.675,170.463,141.211,135.671,133.912,131.946,130.192,128.817,128.635,125.669,124.943,119.782,113.318,84.393,33.411,22.486,21.992
【0090】
実施例15:化合物15の合成
2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノン(6.56g、40mM)およびp−メトキシスチレン(59g、0.44M)を80mlのイソプロパノールに溶解し、実施例7と同様にして1.1g(3.4mM)の2−アリル−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.32(1H,d,J=1.4Hz),8.17(1H,d,J=8.5Hz),8.12(1H,d,J=8.5Hz),7.77(1H,d,J=8.4Hz),7.73(1H,s),7.45(1H,dd,J=8.4,1.4Hz),5.93(1H,m),5.19(1H,dd,J=17.1,1.5Hz),5.07(1H,d,J=13.2,1.5Hz),3.36(2H,dt,J=6.5,1.4Hz),2.60(3H,s)
13C−NMR(CDCl):δ184.992,183.581,153.318,141.214,136.154,134.237,133.983,133.847,130.572,130.251,128.701,126.073,123.125,121.778,118.377,116.214,27.389,22.527
【0091】
そのようにして得られた2−アリル−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,4−フェナントレンキノンを実施例7と同様にして硫酸と反応させ、化合物14を得た。
H−NMR(CDCl):δ8.93(1H,d,J=2.4Hz),8.01(1H,d,J=8.2Hz),7.71(1H,d,J=9.0Hz),7.59(1H,d,J=8.2Hz),7.20(1H,dd,J=9.0,2.4Hz),5.28(1H, m),3.99(3H, s),3.29(1H,dd,J=15.2,9.8Hz),2.75(2H,dd,J=15.2,7.3Hz),1.61(3H,d,J=6.3Hz)
13C−NMR(CDCl):δ183.888,175.545,170.548,161.891,135.711,133.753,131.541,130.368,129.203,123.512,121.403,118.612,113.467,104.104,84.385,55.493,33.403,22.007
【0092】
実施例16:化合物16の合成
2−メトキシ−1,4−ベンゾキノン(30.0g、72mM)およびα−メチルスチレン(236g、2.0M)を290mlのイソプロパノールに溶解し、30時間還流した。反応溶液を減圧蒸留に付してイソプロパノールおよびα−メチルスチレンを回収すると共に、反応溶液を濃縮した。得られた生成物をクロマトグラフィーにより精製して1.38g(5.47mM)の3−メトキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.57(1H,d,J=8.5Hz),8.07(1H,J=8.5Hz),8.03(1H,s),7.73(1H,t,J=8.5Hz),7.65(1H,t,J=8.5Hz),6.12(1H,s),3.96(3H,s),2.81(3H,s)
【0093】
5%NaOHを含むメタノール溶液40mlに、3−メトキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノン(1.17g、4.63mM)を溶解し、得られた溶液を室温で1時間激しく攪拌した。反応溶液を1NのHClで中和し、減圧蒸留により濃縮した。得られたものをクロマトグラフィーにより精製して、0.34g(1.42mM)の3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.61(1H,d,J=8.5Hz),8.10(1H,s),8.07(1H,d,J=8.5Hz),7.78(1H,t,J=8.5Hz),7.69(1H,t,J=8.5Hz),6.32(1H,s),2.82(3H,s)
【0094】
3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノン(0.34g、1.42mM)を10mlのDMSOに溶解し、−50℃に冷却し、これに20mgのLiHを徐々に添加した。反応溶液を室温で激しく攪拌し、もはや水素が発生しなくなったことを確認した後、更に30分間攪拌した。
これに臭化プレニル(1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン)(220mg、1.48mM)およびLiI(40mg)を徐々に添加した。反応溶液を45℃に加熱し、その温度で12時間激しく攪拌した。反応溶液を10℃未満まで冷却し、まず5mlの冷水を添加した。その後、1NのHClを徐々に添加して、得られる溶液を>3の酸性pHに維持した。反応混合物に20mlのCHClを添加して激しく震とうし、有機層を分離した。有機層を10mlの5%NaHCOで洗浄し、濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して116mg(0.38mM)の2−プレニル−3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノンを得た。
H−NMR(CDCl):δ9.60(1H,d,J=8.5Hz),8.13(1H,s),8.08(1H,d,J=8.5Hz),7.72(1H,t,J=8.5Hz),7.62(1H,t,J=8.5Hz),5.26(1H,m),3.34(1H,d,J=7.1Hz),2.83(3H,s),1.82(3H,s),1.71(3H,s)
【0095】
2−プレニル−3−ヒドロキシ−9−メチル−1,4−フェナントレンキノン(116mg、0.38mM)を2mlの硫酸と混合し、得られた混合物を室温で10分間激しく攪拌し、これに10gの氷を添加して反応を完結させた。反応物に20mlのCHClを添加して激しく震とうした。その後、CHCl層を分離して5%NaHCOで洗浄した。水層を10mlのCHClでもう一度抽出して5%NaHCOで洗浄し、先に抽出した有機層と合わせた。有機層をMgSOで濃縮し、濃縮物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して0.83g(2.7mM)の化合物16を得た。
H−NMR(CDCl):δ9.45(1H,d,J=7.0Hz),7.99(1H,d,6.8Hz),7.79(1H,s),7.67(1H,t,J=7.0Hz),7.57(1H,t,J=7.0Hz),2.78(3H,s),2.55(2H,t,J=4.5Hz),1.86(2H,t,J=4.5Hz),1.50(6H,s)
13C−NMR(CDCl):δ182.593,179.564,162.322,144.079,134.093,133.772,131.808,130.204,127.888,127.642,124.614,123.953,121.846,111.762,79.699,31.861,27.035,20.972,16,288
【0096】
実験例1:AMPK活性の測定
筋芽細胞C2C12を、10%仔ウシ血清を含むDMEM中で培養した。細胞密度が約85〜90%に達したら、培地を1%仔ウシ血清を含む培地に変えて、細胞の分化を誘発した。このようにして分化させた筋芽細胞を、実施例1〜16で合成した試料(濃度5μg/ml)で処理し、対照群と比較した。AMPKの酵素活性は、以下のようにして測定した。まず、C2C12細胞を溶解してタンパク抽出物を得、最終濃度30%となるように硫酸アンモニウムを添加して、タンパク質を沈殿させた。タンパク質沈殿物を緩衝液(62.5mM Hepes、pH7.2、62.5mM NaCl、62.5mM NaF、1.25mMピロリン酸Na、1.25mM EDTA、1mM DTT、0.1mM PMSFおよび200μM AMP)に溶解した。その後、これに200μM SAMSペプチド(HMRSAMSGLHLVKRR:下線を付けたセリン残基は、アセチルCoAカルボキシラーゼのAMPKリン酸化部位としてのリン酸化部位である)および[γ−32P]ATPを添加し、反応物を30℃で10分間反応させた。この後、得られた反応液をp81ホスホセルロース紙にスポットした。p81ホスホセルロース紙を3%リン酸溶液で洗浄し、放射活性を測定した。各反応条件において、SAMSペプチドを含まない反応も行い、測定値からベースの数値を差し引いた。
得られた結果を下記表2に示す。
【0097】
【表2】

【0098】
表2からわかるように、筋芽細胞C2C12を本発明の実施例の化合物で処理すると、この処理がAMPK酵素活性の増加をもたらす。
【0099】
実験例2:肥満マウス(ob/ob)における体重低下作用
肥満の特性・素因を有する10週齢のC57BL/6JL Lep ob/Lep ob雄性マウスは、Deahan Biolink Co.,Ltd.(Chungchongbuk−do、大韓民国)より購入した。温度23℃、湿度55%、照度300〜500ルクス、明暗(L/D)サイクル12時間、換気10〜18回/時に維持した飼育室で動物を飼育した。動物には、Purina Rodent Laboratory Chow 5001のペレット(実験動物用固形飼料)(Purina Mills Inc.社(ミズーリ州セントルイス、アメリカ合衆国)より購入)および水道水(飲料水)を自由に摂取させた。2週間かけて飼育室の新たな環境にマウスを順応させ、本発明に従って合成したいくつかのピラノ−3,4−フェナントレンキノンまたはフラノ−3,4−ナフトキノン誘導体を、18日間にわたり飼料との混合比(mixed−feed)0.4%で投与した。計時的投与に対する、体重、血中グルコースおよび食餌摂取の変動を観察した。投与完了後、血中のグルコース、脂質および酵素レベルの変動を確認した。
【0100】
比較のため、活性成分を投与していない対象物(陰性対照群)および上記の条件でクリプトタンシノン(本願出願人による特許文献8の実施例1に述べられた方法で丹参から抽出)を投与した対象物(陽性対照群)についても実験を行った。
【0101】
下記表3は、C57BL/6JL Lep ob/Lep obマウスの体重における、時間対の変化の結果を示す。本明細書において、「体重増加」は以下のようにして計算する。
体重増加=(最終体重−初期体重)/初期体重×100
【表3】

【0102】
表3からわかるように、本発明の化合物の投与は、陰性対照群に比して有意な体重の減少をもたらし、また多くの場合、陽性対照群に比しても有意な体重の減少をもたらす。
【0103】
図1〜3は、表3に記載の化合物を投与したC57BL/6JL Lep ob/Lep obマウスの各臓器における、数値換算した脂肪分布を開示するものである。図1〜3に示すグラフからわかるように、本発明の化合物を投与した実験群は、対照群に比して、全ての臓器について、組織の脂肪含有量における有意な減少を示し、更に対照群に比しての褐色脂肪含有量の増加を示した(図2参照)。これは、脂肪代謝が有意に増加したことを示すものである。
【0104】
下記表4は、本発明の実施例の化合物を投与したC57BL/6JL Lep ob/Lep obマウスにおける、血中のバイオマーカー(これは脂質である)およびグルコースレベルの変化を示す。
【表4】

【0105】
上記表4からわかるように、本発明の実施例の化合物を投与した群は、対照群に比して、血中のトリグリセリド、コレステロールおよびグルコースレベルに関し有意な減少を示した。特に、本発明の実施例の化合物は、トリグリセリドレベルに関して、丹参から抽出したタンシノン誘導体を投与した陽性対照群に比して有意な減少をもたらした。
【0106】
実験例3:急性毒性試験
1.経口投与
Sprague−Dawleyラット(体重250±7g)(Jung−Ang Lab Animal Inc.,ソウル、大韓民国)を各10匹の4群に分け、本発明の実施例1〜16の化合物を各々投与量100、250および500mg/kgで経口投与した。経口投与の後、毒性を示すか否か2週間に亘り観察したところ、4群のいずれにも死亡した動物はなく、また対照群と比較して、視覚的に観察できる症状は感知されなかった(体重の減少を除く)。
【0107】
2.腹腔内投与
Sprague−Dawleyラット(体重255±6g)(Jung−Ang Lab Animal Inc.,ソウル、大韓民国)を各10匹の4群に分け、本発明の実施例1〜16の化合物を各々投与量10、50および100mg/kgで腹腔内投与した。腹腔内投与の後、毒性を示すか否か2週間に亘り観察したところ、4群のいずれにも死亡した動物はなく、また対照群と比較して、視覚的に観察できる症状は感知されなかった(体重の減少を除く)。
上記の結果から、本発明の化合物は急性毒性を有していないことが確認された。
【0108】
例証を目的として本発明の好ましい実施形態が開示されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲に開示される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、種々の修飾、付加および置換が可能であると理解する。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上から明らかなように、本発明の化合物は、5’−AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性上昇に関し優れた作用を示すので、上記の化合物を活性成分として用いる医薬組成物は、肥満等の種々の疾患を含むメタボリックシンドロームの治療および/または予防に関し優れた作用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタボリックシンドローム関連疾患を治療または予防するための医薬組成物であって、
(a)治療有効量の、下記式(1):
【化1】

(式中、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
およびR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基或いはC−C10アリール基またはヘテロアリール基であり、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
mおよびnは、各々独立に0または1であり、mまたはnが0であるとき、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成していてもよく、
mが1であり、nが0であり、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成し、R、R10およびR11が水素原子であり、R12およびR13が水素原子であるか、一緒になって二重結合を形成しているとの条件下においては、
(i)R〜Rが水素原子でありRおよびRがメチル基であるとき、R14はメチル基ではなく、
(ii)R、RおよびRが水素原子であり、R、R、RおよびRが一緒になって二重結合を形成し、Rがメチル基であるとき、R14はメチル基ではない)
で表される化合物;および
(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらのいずれかの組み合わせ
を含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記式(1)の化合物は、下記式(2)および(3):
【化2】

(両式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は各々、前記式(1)において定義した通りである)
の化合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記式(1)の化合物は、下記式(4)および(5):
【化3】

(両式中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は各々、前記式(1)において定義した通りである)
の化合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記式(1)の化合物は、
、R、R、R、R、R、RおよびRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C−Cアルキル基およびC−Cアルキルオキシ基よりなる群から選択され、またはそれらの置換基のうち2つが一緒になって二重結合を形成し、
、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16が、各々独立に、水素原子またはC−Cアルキル基である
化合物であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記式(1)の化合物は、
2−メチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,6,6−トリメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,6,6−トリメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,1,2,6,6−ペンタメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
3,3−ジメチル−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1H−4−オキサ−クリセン−11,12−ジオン、
2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,1,2−トリメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,5−ジメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,1,2,5−テトラメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−tert−ブチル−2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−tert−ブチル−1,1,2−トリメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−クロロ−2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,8−ジメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−メトキシ−2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、および
3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−4−オキサ−クリセン−11,12−ジオン
よりなる群から選択されるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記メタボリックシンドローム関連疾患は、肥満、肥満合併症、肝臓疾患、動脈硬化症、脳卒中、心筋梗塞、循環器疾患、虚血性疾患、糖尿病、糖尿病関連合併症または炎症性疾患であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記糖尿病関連合併症は、高脂血症、高血圧、網膜症または腎不全であることを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
下記式(1−1):
【化4】

(式中、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
およびR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基或いはC4−C10アリール基またはヘテロアリール基であり、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルケン基、C−Cアルキルオキシ基、C−Cシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、C−C10アリール基またはヘテロアリール基であるか、或いはそれらの置換基のうち2つが一緒になって環状構造または二重結合を形成していてもよく、
mおよびnは、各々独立に0または1であり、mまたはnが0であるとき、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成していてもよく、
mが1であり、nが0であり、mまたはnに隣接する炭素原子が直接結合を介して環状構造を形成し、RおよびR10が水素原子であるとの条件下においては、
(i)R〜Rが水素原子でありR7およびR8がメチル基であるとき、
12およびR13が水素原子であるならば、R11およびR14はメチル基ではなく、
12およびR13が二重結合を形成しているならば、R14はメチル基ではなく、
(ii)R、RおよびRが水素原子であり、R、R、RおよびRが一緒になって二重結合を形成しているとき、
がメチル基でありR12およびR13が水素原子であるならば、R14はメチル基ではなく、
が水素原子でありR12およびR13が水素原子であるならば、R11はメチル基ではなく、
がメチル基でありR12およびR13が二重結合を形成しているならば、R14はメチル基ではない)
で表される化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物。
【請求項9】
前記式(1−1)の化合物は、
、R、R、R、R、R、RおよびRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C−Cアルキル基およびC−Cアルキルオキシ基よりなる群から選択され、またはそれらの置換基のうち2つが一緒になって二重結合を形成し、
、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16が、各々独立に、水素原子またはC−Cアルキル基である
化合物であることを特徴とする請求項8に記載の化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物。
【請求項10】
前記式(1−1)の化合物は、
2−メチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,6,6−トリメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,1,2,6,6−ペンタメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
3,3−ジメチル−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1H−4−オキサ−クリセン−11,12−ジオン、
1,1,2−トリメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,5−ジメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
1,1,2,5−テトラメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−tert−ブチル−2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−tert−ブチル−1,1,2−トリメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−クロロ−2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
2,8−ジメチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、
8−メトキシ−2−メチル−1,2−ジヒドロ−フェナントロ[1,2−b]フラン−10,11−ジオン、および
3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−4−オキサ−クリセン−11,12−ジオン
よりなる群から選択されるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項8に記載の化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物。
【請求項11】
請求項8に記載の化合物を製造する方法であって、前記式(1−1)で表され、R11およびR12が同時に水素原子であることのない化合物を、2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体の酸触媒条件下における環化反応により合成することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体を、3−アリロキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体の転移反応により合成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記2−アリル−3−ヒドロキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体を、3−オキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体とハロゲン化アリルのC−アルキル化反応により合成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記3−アリロキシ−1,4−フェナントレンキノン誘導体を、ジエンと2−アリロキシ−1,4−ベンゾキノンの反応により合成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ジエンは、1−ビニルシクロヘキセンまたはスチレンの誘導体であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の式(1)の化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物の、メタボリックシンドロームを治療または予防するための医薬品製造における使用。
【請求項17】
請求項1に記載の式(1)の化合物、或いはその異性体、プロドラッグまたは溶媒和物の、メタボリックシンドロームを治療または予防するための医薬品としての使用。
【請求項18】
請求項1に記載の医薬組成物を患者に投与することによって、メタボリックシンドローム関連疾患を治療または予防する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−525053(P2010−525053A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506053(P2010−506053)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002348
【国際公開番号】WO2008/133441
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509010436)マゼンス インコーポレイテッド (11)
【出願人】(506222797)ケーティ アンド ジー カンパニー リミテッド (9)
【Fターム(参考)】