説明

新規な不飽和脂肪族アミノ酸誘導体および皮膚化粧品におけるそれらの使用

本発明は、一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体からなる薬剤、およびそれらの薬学上許容可能な酸付加塩に関する。


(式中、Xは酸素またはNHであり、Rnは独立して水素であるかまたは必要に応じてハロゲンで置換された(C−C)アルキルであり、Rは水素、フッ素、塩素または臭素であるか、またはCFまたはCHFまたは必要に応じて1以上のハロゲン原子によって置換された(C−C)アルキル、(C−C)アルケニルまたは(C−C)アルキニルであり、Rは水素であるか、または必要に応じて1以上のハロゲン原子によって置換された(C−C)アルキルまたは(C−C)シクロアルキルであり、RaおよびRbは独立して水素、(C−C)アルキルまたは(C−C)アシルであり、またRaおよびRbは4〜6個の炭素原子を含む炭化水素化した環であり、かつ、nは2〜14の整数である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、新規な不飽和脂肪族アミノ酸および皮膚化粧品におけるそれらの使用である。
【0002】
更に詳細には、本発明は、薬剤としての、一般式(A)
【化1】

(式中、
・Xは、酸素またはNH基であり、
・Rnは互いに独立して、水素原子または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および/または1個以上の酸素、窒素および/または硫黄原子で置換されてなるものであり、
・Rは、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および/または1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、
・RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアシル基であって、必要に応じて1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができて、必要に応じて1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、かつ
・nは2〜14の整数である)
の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体並びにそれらの薬学上許容可能な酸付加塩である。
【0003】
「アルキル」基とは、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐の飽和炭化水素鎖、例えばメチル、エチル、イソプロピル、第三ブチル、ペンチル基などを意味する。
【0004】
「アルケニル」基とは、少なくとも1個の二重結合を含みかつ好ましくは2〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖、例えばエテニル、プロペニル、2,4−ヘキサジエニル基などを意味する。
【0005】
「アルキニル」基とは、少なくとも1個の三重結合を含みかつ好ましくは2〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖、例えばエチニル、プロピニル、2,4−ヘキサジイニルなどを意味する。
【0006】
「シクロアルキル基」とは、3〜6個の炭素原子を含む飽和の炭化水素環基、例えばシクロプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル基などを意味する。
【0007】
「アシル」基とは、アルキル−カルボニル基、すなわちカルボニル基を介して結合した前記で定義した通りのアルキル基、例えばアセチルを意味する。
【0008】
「ハロゲン」とは、フッ素、臭素、ヨウ素または塩素を意味する。
【0009】
本発明は、詳細には一般式(I)
【化2】

(式中、
・Rnは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素、フッ素、塩素もしくは臭素原子であるか、または−CFもしくは−CHF基であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基であて、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素原子であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基を表す基R’、または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアシル基であり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができ、かつ
・nは2〜14の整数である)
にの不飽和脂肪族アミノ酸誘導体並びにそれらの薬学上許容可能な酸付加塩に関する。
【0010】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rnは、Rnが1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されているものを除く炭素鎖の総ての炭素原子上の水素原子であり、
・Rは、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、Rは好ましくは水素原子であり、
・n、Ra、RbおよびRは前記で定義した通りである
という基準を満たしている。
【0011】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・RaおよびRbが水素原子である
という基準を満たしている。
【0012】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rが水素原子である
という基準を満たしている。
【0013】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rnが水素原子である
という基準を満たしている。
【0014】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rが水素またはフッ素原子である
という基準を満たしている。
【0015】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・nは3〜5の間に含まれる
という基準を満たしている。
【0016】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・nは9〜14の間に含まれる
という基準を満たしている。
【0017】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・nは3に等しい
という基準を満たしている。
【0018】
一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、前記で定義したようにZまたはE異性体としてまたは任意の量のZ異性体とE異性体との混合物として存在することができる。
【0019】
本発明の意味では、「薬学上許容可能な酸付加塩」という用語は、酸が化合物に付加することによって形成され、非毒性でありかつ親化合物の薬理活性を有する塩を意味する。
【0020】
酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸のような無機酸から、あるいは酢酸、ベンゼン−スルホン酸、安息香酸、カンファー−スルホン酸、クエン酸、エタン−スルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタン−スルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタン−スルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレン−スルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエン−スルホン酸、トリメチル酢酸またはトリフルオロ酢酸のような有機酸から形成させることができる。
【0021】
好ましい薬学上許容可能な塩は、塩酸から形成される塩である。
【0022】
本発明の目的である化合物は、好ましくは塩酸塩として存在する。
【0023】
好都合には、本発明の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、
(E)−6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−8−アミノ−オクタ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−9−アミノ−ノナ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−10−アミノ−デカ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−14−アミノ−テトラデカ−2−エン酸塩酸塩、
ZおよびE異性体の混合物としての6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(Z)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
ZおよびE異性体の混合物としての7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
(Z)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
9−アミノ−2−フルオロ−ノナ−2−エン酸塩酸塩、
10−アミノ−2−フルオロ−デカ−2−エン酸塩酸塩、および
14−アミノ−2−フルオロ−テトラデカ−2−エン酸塩酸塩
から選択される。
【0024】
本発明は、新規化合物としての、一般式(A)
【化3】

(式中、
・Xは、酸素またはNH基であり、
・Rnは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および/または1個以上の酸素、窒素および/または硫黄原子で置換されてなるものであり、
・Rは、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および/または1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、
・RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアシル基であって、必要に応じて1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができて、必要に応じて1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、かつ
・nは2〜14の整数である)
の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体並びにその薬学上許容可能な酸付加塩であって、
6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸、その塩酸塩およびそのトリフルオロ酢酸塩、8−アミノ−オクタ−2−エン酸トリフルオロ酢酸塩、8−(ジメチルアミノ)−オクタ−2−エン酸、12−(ジメチルアミノ)−ドデカ−2−エン酸、6−(イソプロピルアミノ)−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸エチル、6−(第三ブチルアミノ)−2−メチル−ヘキサ− 2−エン酸エチル、6−アミノ−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸メチル、7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸メチル、7−アミノ−2−メチル−ヘプタ−2−エン酸メチルおよび7−アミノ−4−メチル−ヘプタ−2−エン酸メチル、並びにRaおよびRbが1個以上の酸素原子で置換されているときには、6−(2−エトキシ−5−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ヘキサ−2−エン酸メチルおよび7−(2−エトキシ−5−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ヘプタ−2−エン酸メチル
を除外した化合物にも関する。
【0025】
本発明の特定の態様によれば、一般式(I)
【化4】

(式中、
・Rnは互いに独立して、水素原子または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは水、素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基を表す基R’であり、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアシル基であり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができ、かつ
・nは2〜14の整数である)
の新規化合物としての本発明の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体、並びにその薬学上許容可能な酸付加塩であって、
下記の化合物、すなわち6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸、その塩酸塩およびそのトリフルオロ酢酸塩、8−アミノ−オクタ−2−エン酸トリフルオロ酢酸塩、8−(ジメチルアミノ)−オクタ−2−エン酸、12−(ジメチルアミノ)−ドデカ−2−エン酸、6−(イソプロピルアミノ)−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸エチル、6−(第三ブチルアミノ)−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸エチル、6−アミノ−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸メチル、7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸メチル、7−アミノ−2−メチル−ヘプタ−2−エン酸メチル、および7−アミノ−4−メチル−ヘプタ−2−エン酸メチルを除外するものである。
【0026】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rnは、Rnが1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されているものを除く炭素鎖の総ての炭素原子上の水素原子であり、
・Rが水素原子であるまたは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されており、Rは好ましくは水素原子であり、
・n、Ra、RbおよびRは前記で定義した通りである
という基準を満たしている。
【0027】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・RaおよびRbが水素原子である
という基準を満たしている。
【0028】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rが水素原子である
という基準を満たしている。
【0029】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rnが水素原子である
という基準を満たしている。
【0030】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・Rが水素またはフッ素原子である
という基準を満たしている。
【0031】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・nは3〜5の間に含まれる
という基準を満たしている。
【0032】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・nは9〜14の間に含まれる
という基準を満たしている。
【0033】
本発明の特定の態様によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、下記の
・nは3に等しい
という基準を満たしている。
【0034】
一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、前記で定義したようにZまたはE異性体としてまたは任意の量のZ異性体とE異性体との混合物として存在することができる。
【0035】
本発明の意味では、「薬学上許容可能な酸付加塩」という用語は、酸が化合物に付加することによって形成され、非毒性でありかつ親化合物の薬理活性を有する塩を意味する。
【0036】
酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸のような無機酸から、あるいは酢酸、ベンゼン−スルホン酸、安息香酸、カンファー−スルホン酸、クエン酸、エタン−スルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタン−スルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタン−スルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレン−スルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエン−スルホン酸、トリメチル酢酸またはトリフルオロ酢酸のような有機酸から形成させることができる。
【0037】
好ましい薬学上許容可能な塩は、塩酸から形成される塩である。
【0038】
本発明の目的である化合物は、好ましくは塩酸塩として存在する。
【0039】
好都合には、本発明の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、
(E)−6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−8−アミノ−オクタ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−9−アミノ−ノナ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−10−アミノ−デカ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−14−アミノ−テトラデカ−2−エン酸塩酸塩、
ZおよびE異性体の混合物としての6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(Z)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
ZおよびE異性体の混合物としての7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
(Z)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
9−アミノ−2−フルオロ−ノナ−2−エン酸塩酸塩、
10−アミノ−2−フルオロ−デカ−2−エン酸塩酸塩、および
14−アミノ−2−フルオロ−テトラデカ−2−エン酸塩酸塩
から選択される。
【0040】
本発明は、活性成分として、薬剤として誘導体について前記で定義した一般式(A)または(I)の少なくとも1個の脂肪族アミノ酸誘導体を皮膚化粧品で許容可能な賦形剤と共に含んでなる皮膚科学組成物にも関する。
【0041】
本発明は、薬剤として誘導体について前記で定義した一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の、ラジカル防止、抗炎症、抗痒疹、抗コラゲナーゼ皮膚化粧組成物の製造を目的とする、および/または皮膚老化の治療を目的とする、および/または角質化および色素沈着疾患の治療を目的とする、および/または治癒の向上を目的とする使用にも関する。
【0042】
一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、更に詳細には乾癬、掻痒症および/またはアトピー性皮膚炎、並びに毛髪または皮膚、特に白い年齢による染みの再色素形成を目的とする。
【0043】
本発明によれば、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、更に詳細には皮膚を明るくしまたは褐色の年齢による染みの治療を目的とする組成物を目的とする。
【0044】
ラジカル防止活性により、一般式(A)または(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、皮膚の光発癌の早期回避または制限にも有用であり、従って、それらは皮膚の様々な腫瘍性疾患の予防および治療に用いることができる。
【0045】
本発明は、下記の一般式(A)
【化5】

(式中、
・Xは、酸素またはNH基であり、
・Rnは互いに独立して、水素原子または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および/または1個以上の酸素、窒素および/または硫黄原子で置換されてなるものであり、
・Rは、水素原子であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および/または1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、
・RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアシル基であって、必要に応じて1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができて、必要に応じて1個以上の酸素および/または窒素原子で置換されてなるものであり、かつ
・nは2〜14の整数である)
の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の製造方法であって、下式(II)
【化6】

(式中、
・Rは、前記で定義した通りであり、
・R’は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基であり、好ましくはエチル基であり、
・R”およびR'''は互いに独立して、1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基であり、好ましくはメチルまたはエチル基であり、前記の基R”およびR'''は2〜4個の炭素原子を含む炭化水素環を形成してもよい)
のホスホン酸塩を、下式(III)
【化7】

(式中、
・nは前記で定義した通りであり、
・GPは隣接窒素原子と共に特にカルバメート型の基を形成するための保護基であり、N−GPは好ましくは第三ブチルまたはベンジルカルバメートであり、
GPは、特に「有機合成における保護基」第三版、Theodora GREEN & Peter WUTS 著、Wiley Interscience ISBN 0-471-16019-9、第2章、p.17-246に定義されている保護基に相当する)
の化合物に作用させることによるウィッティッヒ・ホルナー(Wittig-Horner)反応の適用により、
または
=Hであるときには、式R’OOC−CH2−COOR’(式中、R’は前記で定義した通りである)のマロン酸誘導体を、前記式(III)の化合物に作用させることによるデーブナー・クネーフェナーゲル(Doebner-Knoevenagel)反応の適用により、
下式(IV)
【化8】

(式中、GP、R’、R、Rnおよびnは前記で定義した通りである)
の化合物を得て、
必要に応じて、前記一般式(IV)の化合物のケン化反応により、下記の一般式(V)
【化9】

(式中、GP、R、Rnおよびnは前記で定義した通りである)
の化合物を得て、
上式(IV)または(V)の化合物の窒素の脱保護反応により、式(A)(式中、RaおよびRbは水素であり、Xは酸素である)の化合物を得て、
必要に応じて、上式(A)(式中、Xは酸素であり、RaおよびRbは水素である)の化合物のN−アルキル化および/またはN−アシル化および/またはアミド化反応により、式(A)(式中、RaおよびRbの少なくとも1個は水素ではない)の化合物を得る
ことを含んでなる製造方法にも関する。
【0046】
本発明の方法により、収率だけでなく微量の汚染物もない品質のいずれに関しても優れた条件下で不飽和脂肪族アミノ酸の製造が可能になり、この方法は工業的に換えることができる。
【0047】
本発明の方法によって得られる不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、ZまたはE立体異性体としてまたはこれらの異なる形態の混合物として存在することができる。
【0048】
特定の態様では、本発明の方法は、式(A)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の製造について前記で定義した異なる工程に従って、式(I)
【化10】

(式中、
・Rnは互いに独立して、水素原子または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキニル、アルケニルもしくはアルキル基であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・Rは、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基を表す基R’であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
・RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアシル基であり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができ、かつ
・nは2〜14の整数である)
の不飽和脂肪族アミノ酸を製造することができる。
【0049】
好都合には、前記の一般式(III)
【化11】

の化合物は、一般式(VI)
【化12】

(式中、nおよびRnは前記で定義した通りである)
から、下記の
式(VI)の化合物のアミド官能基の窒素をGP基により保護することによって、下記の一般式(VII)
【化13】

(式中、n、RnおよびGPは前記で定義した通りである)
の化合物を得た後、
前記で定義した式(VII)の化合物のカルボニル官能基を還元し、この工程を水素化ジイソブチルアルミニウムのような水素化アルミニウムを用いて低温で行う
工程により合成することができる。
【0050】
Raおよび/またはRbが水素原子とは異なるときには、N−アルキル化またはN−アシル化またはアミド化またはこれらの反応の組合せは、当業者に知られている方法によって行われる(「マックの最新有機化学」、第五版、ISBN 0-471-58589-0、Michael.B. Smith and Jerry March、pp. 501-552および511)。
【0051】
式(A)または(I)(式中、Rは水素原子ではない)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体は、通常は酸官能基からカップリングによって得られる。
【0052】
構造(VI)の化合物が市販されていないときには、当業者に周知の方法に準じて、すなわち環状ケトンをヒドロキシルアミンの作用によってオキシムに変換した後、広く知られているベックマン反応(「マックの最新有機化学」、第五版、ISBN 0-471-58589-0、Michael.B. Smith and Jerry March、pp. 1349、1381、1384および1415-1416)に準じて強酸媒質中で処理してこれらのオキシムをラクタムとすることによって対応する環状ケトンから調製することが常に可能である。
【化14】

【0053】
また、Rnが水素でないときには、化合物(III)を下記のヒドロキシケトン
【化15】

から、下記の連鎖反応、すなわちアルコール官能基を保護し、ウィッティッヒ・ホルナー反応によりα,β−不飽和エステルを得て、二重結合を水素化し、エステルをアルデヒドに還元し、アルコール官能基を脱保護し、ミツノブまたはガブリエル反応によって合成することが可能である。
【0054】
本発明の方法の特定の態様によれば、RaおよびRbは水素である。
【0055】
本発明の方法の特定の態様によれば、Rは水素である。
【0056】
本発明の方法のもう一つの特定の態様によれば、Rnは水素である。
【0057】
本発明の方法のもう一つの特定の態様によれば、Rは水素またはフッ素である。
【0058】
本発明は、一般式(I)の化合物に対応する一般式(I−1)
【化16】

(式中、
・Ra、Rb、RnおよびRは水素であり、
・Rは、前記で定義した通りであり、すなわち水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素、および/または1個以上の酸素、窒素および/または硫黄原子で置換されており
・nは2〜14の整数である)
の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の製造方法であって、
式(VI)(式中、Rn=H)の化合物に相当する下式(VI−1)
【化17】

(式中、nは式(I−1)において前記で定義した通りである)
の化合物のアミド官能基を保護して、
アミド官能基が保護されておりかつ式(VII)(式中、Rn=H)の化合物に相当する下式(VII−1)
【化18】

(式中、
・nは式(I−1)において前記で定義した通りであり、
・GPは隣接窒素原子と共に特にカルバメート型の基を形成するための保護基であり、N−GPは好ましくは第三ブチルまたはベンジルカルバメートであり、
GPは、特に「有機合成における保護基」第三版、Theodora GREEN & Peter WUTS 著、Wiley Interscience ISBN 0-471-16019-9、第7章、pp. 494-654に定義されている保護基に相当する)
の化合物を得る工程、
前記で定義した式(VII−1)の化合物のカルボニル官能基を還元して、式(III)(式中、Rn=H)の化合物に相当する下式(III−1)
【化19】

(式中、nおよびGPは式(VII−1)において前記で定義した通りである)
の化合物を得る工程であって、
この工程は、特にヒンダード水素化アルミニウムのような通常の還元剤、例えば水素化イソブチルアルミニウムを用いて低温で行われ、
式(III−1)の前記の保護した化合物に、下式(II)
【化20】

(式中、
・Rは前記で定義した通りであり、
・R’は1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基であり、好ましくはエチル基であり、
・R”およびR'''は互いに独立して1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基であり、好ましくはメチルまたはエチル基であり、前記の基R”およびR'''は一緒になって2〜4個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができる)
のホスホン酸塩を反応させることによるウィッティッヒ・ホルナー反応の適用、または
=Hであるときには、式R’OOC−CH2−COOR’(式中、R’は前記で定義した通りである)のマロン酸誘導体を反応させることによるデーブナー・クネーフェナーゲル反応の適用により、
式(IV)(式中、Rn=H)の化合物に相当する下式(IV−1)
【化21】

(式中、n、GP、RおよびR’は前記で定義した通りである)
の化合物を得て、
上式(IV−1)の化合物のケン化反応により一般式(V)(式中、Rn=H)の化合物に相当する下式(V−1)
【化22】

(式中、n、GPおよびRは前記で定義した通りである)
の化合物を得て、
上式(V−1)の化合物の窒素の脱保護反応により式(I−1)の化合物を得る
工程を含んでなる、前記製造方法にも関する。
【0059】
従って、本発明の目的である不飽和脂肪族アミノ酸は、対応するラクタムから誘導される環化α−ヒドロキシルアミンであってそのアミン官能基が予め保護されるものに、(フッ素化されたまたはされていない)ホスホン酸塩からのウィッティッヒ・ホルナー型の反応またはトリメチルホスホニウムから出発するウィッティッヒ型の反応を適用することによって製造することができる(以下に展開される合成図を参照されたい)。
【0060】
あるいは、保護されたアミノエステルのケン化反応によりアミノ酸が得られ、これは酸加水分解によって脱保護されて、一般式
【化23】

(式中、n’=n−2であり、R=H、ハロゲンまたはアルキルである)
の不飽和脂肪族アミノ酸が得られる。
【0061】
ウィッティッヒ・ホルナー反応は、「最新合成反応」、第二版、Herbet O.House, ウィッティッヒ・ホルナー反応、pp. 682-709に記載の反応であり、当該技術分野の状態において記載される任意の実験条件を本発明の範囲内で用いることができる。一例としては、ウィッティッヒ・ホルナー反応は、トリエチルホスホノアセテートおよび炭酸カリウムの存在下にてエタノール媒質で行うことができる。
【0062】
アミン官能基を保護方法は、塩基性条件(エステル官能基を脱ほごする条件)下で加水分解性でなくかつ他の親核試薬に対して不活性であるというその利点により一般に用いられる標準的方法である(文献: T. Kunieda, T. Higuchi, Y. Abe, and M. Hirobe, Chem. Pharm. Bull., 32, 2174, 1984; I. Grapsas, Y. J. Cho, and S. Mobashery, J. Org. Chem., 59, 1918; 1994)。
【0063】
ラクタムを部分的に還元する工程は、水素化ジイソブチルアルミニウムのような還元剤の存在下にて行われる。反応の終了時に、アルミニウム塩はローゼン塩の存在下にて水溶性錯体を形成することによって除去される(Reagents for organic synthesis, vol. 1, Louis Fieser and Mary Fieser, pp. 36)。
【化24】

Rn=メチルである誘導体の合成の一例は、ヒドロキシケトンから出発する一連の保護、脱保護、ウィッティッヒ・ホルナーおよびガブリエル反応によって説明することができる。アルコール官能基を保護した後、一連のウィッティッヒ・ホルナー反応を行う。酸媒質中でアルコール官能基を脱保護した後、ガブリエル反応を行ってアミン官能基を生成させる。
【0064】
本発明は、下記の一般式(VIII)
【化25】

(式中、
・Rcは水素であるかまたは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基であり、
・Rは水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素、酸素、窒素および/または硫黄原子で置換されており、
・Rnは互いに独立して水素原子または1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されており、
・nは2〜14の整数であり、
・GPは隣接窒素原子と共に特にカルバメート型の基を形成するための保護基であり、N−GPは好ましくは第三ブチルまたはベンジルカルバメートであり、
GPは、特に「有機合成における保護基」第三版、Theodora GREEN & Peter WUTS 著、Wiley Interscience ISBN 0-471-16019-9、第2章、pp. 17-246に定義されている保護基に相当し、
・Rdは水素であるかまたはGPについて前記で定義した通りの保護基GP’であり、特にN−GP’は第三ブチルまたはベンジルカルバメートである)
の合成中間体としての化合物にも関し、
下記の化合物:(E)−6−(N,N−ジ−第三ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘキサ−2−エン酸第三ブチル、(E)−6−(N−第三−ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘキサ−2−エン酸エチル、(E)−7−(N−第三−ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘプタ−2−エン酸メチルおよび(E)−7−(N−第三−ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘプタ−2−エン酸の化合物は除外される。
【0065】
本発明の特定の態様によれば、式(VIII)の化合物は下記の基準、すなわちRが水素、フッ素、塩素または臭素原子であるか、あるいは−CFまたは−CHF基であるか、あるいは1−6個の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキニル、アルケニルまたはアルキル基であり、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されている
を満たしている。
【0066】
本発明の特定の態様によれば、式(VIII)の化合物は、下記の基準、すなわちRdが水素である
を満たしている。
【0067】
本発明の特定の態様によれば、式(VIII)の化合物は、下記の基準、すなわちRn水素である
を満たしている。
【0068】
本発明のもう一つの特定の態様によれば、式(VIII)の化合物は、下記の基準、すなわちRが水素またはフッ素である
を満たしている。
【0069】
本発明を、以下に示す合成例の範囲内で説明する。
【0070】
1) 本発明による化合物の合成
1.1) 化合物12((E)−10−アミノ−デカ−2−エン酸)
【化26】

【0071】
段階1
三つ口フラスコ中で、窒素気流下にてカプリロラクタム10.0g(70.8ミリモル)をテトラヒドロフラン150mlに可溶化する。トリエチルアミン10.06ml(1.01当量)並びに4−ジメチルアミノピリジン8.74g(1.01当量)を加え、最後にジ第三ブチルジカーボネート30.91g(2当量)を加える。反応媒質を、室温にて一晩攪拌する。TLCで追跡することによって、反応の終点を確認することが可能である。反応媒質を濃縮し、水および酢酸エチルに溶解させる。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、集めた有機相を5%塩酸溶液で洗浄した後、飽和NaCl溶液で洗浄する。有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、赤色油状生成物を得る。
特性決定:
m=24.0g 100%収率。
=0.8(DCM/MeOH 99/1)。
NMR(1H,CDCl):1.50(s,9H);1.53(m,6H);1.67(m,2H);1.82(m,2H);2.87(m,2H),2.78(t,2H)。
【0072】
段階2
三つ口フラスコ中で、窒素気流下にてBoc基によって保護されたカプリロラクタム17.1g(70.8ミリモル)をトルエン170mlに可溶化させる。媒質を−78℃に冷却し、媒質の温度を−80℃〜−75℃に保持しながらトルエンの20%Dibal−H溶液59.2 ml(1.01当量)を1時間かけて滴加する。TLCで追跡することによって、反応の終点を確認することが可能である。−78℃にて、飽和の二重酒石酸溶液480mlを徐々に加え、混合物を一晩激しく攪拌する。有機相を抽出する。水相を酢酸エチルで3回抽出する。集めた有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、橙色固形生成物を得る。
特性決定:
m=20.0g,99%収率。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
NMR(1H,CDCl):1.40−1.80(m,20H);2.85−2.89(m,2H);3.75−3.79(m,2H)。
【0073】
段階3
三つ口フラスコ中で、窒素気流下にて、段階2からの化合物2.0g(8.22ミリモル)をエタノール20mlに可溶化させる。炭酸カリウム1.70g(1.5当量)を媒質に加え、トリエチルホスホノアセテート1.96ml(1.2当量)を徐々に加える。次いで、混合物を45℃まで一晩加熱する。TLCで追跡することによって、反応の終点を確認することが可能である。反応媒質を濃縮した後、残渣を酢酸エチルおよび水に溶解させる。水相を酢酸エチルで3回抽出する。集めた有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮する。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘプタン/AcOEtグラディエント)、黄色油状生成物を得る。
特性決定:
m=1.60g 62%収率。
=0.4(ヘプタン/酢酸エチル 7/3)。
NMR(1H,CDCl,300MHz):δ 1.28−1.46(m,22H);2.16−2.19(m,2H);3.10(m,2H);4.20(q,2H);5.82(dt,IH,J=15.6Hz);6.97(dt,IH,J=15.6Hz)。
【0074】
段階4
フラスコ中で、段階3からの化合物1.60g(5.10ミリモル)をTHF16mlに溶解する。2M NaOH 6.40ml(2.5当量)を加え、反応媒質を65℃に一晩加熱する。TLCで追跡することによって、反応の終点を確認することが可能である。次いで、混合物のpHを、塩酸を加えることによって4に調整した。媒質を濃縮し、AcOEt/水に溶解する。水相を酢酸エチルで(3回)抽出し、集めた有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、真空濃縮し、ベージュ色固形生成物を得る。
特性決定:
m=1.2g 82%収率。
=0.2(ヘプタン/酢酸エチル 7/3)。
NMR(1H,CDCl,300MHz):δ 1.30−1.46(m,19H);2.20−2.27(m,2H);3.13(m,2H);5.80−5.86(dt,lH,J=15.6Hz);7.0(dt,lH,J=15.6Hz)。
【0075】
段階5
窒素雰囲気下フラスコ中で、段階4からの化合物1.2g(4.28ミリモル)を2M HClエーテル溶液7.5ml(3.5当量)に可溶化する。媒質を35℃で一晩攪拌する。TLCで追跡することによって、反応の終点を確認することが可能である。媒質を真空濃縮し、ジクロロメタンに溶解し、濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥し、白色固形生成物を得る。この固形生成物を、エタノールから数回再結晶させる。
特性決定
m=0.59g 82%収率。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD,300MHz):δ 1.50−1.69(m,10H);2.21−2.28(q,2H);2.93(t,2H);5.80(d,IH,J=15.6Hz);6.95(dt,IH,J=15.6Hz)。
質量分析法:[M+H]=186(計算値185)。
【0076】
1.2)化合物13(10−アミノ−2−フルオロ−デカ−2−エン酸)
【化27】

【0077】
段階1および2は、前記と同じ方法でカプリロラクタムについて行った。
【0078】
段階3
三つ口フラスコ中で、窒素気流下にて、段階2からの化合物2.0g(8.22ミリモル)をエタノール20mlで可溶化する。炭酸カリウム1.70g(1.5当量)を媒質に加え、トリエチルホスホノアセテート2.06g(l.l当量)を徐々に加える。次いで、混合物を45℃に一晩加熱する。TLCで追跡することによって、反応の終点を確認することが可能である。反応媒質を濃縮した後、残渣を酢酸エチルおよび水に溶解させる。水相を酢酸エチルで3回抽出する。集めた有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮する。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘプタン/AcOEtグラディエント)、淡黄色油状生成物を得る。
特性決定:
m=1.70g 65%収率。
=0.5(ヘプタン/酢酸エチル 7/3)。
NMR(1H,CDCl,300MHz):δ 1.32−1.39(m,22H);2.21(m,2H);3.11(m,2H);4.30(q,2H);5.89−5.96(dt,0.5H,J=21.9Hz,E体);6.06−6.18(dt,0.5H,J=33.3Hz,Z体)。
【0079】
段階4および5は、前記と同様に行い、下記の特性決定をえる。
段階4の特性決定:
m=1.4g 87%収率。
=0.2(ヘプタン/酢酸エチル 7/3)。
NMR(1H,CDCl):δ 1.23−1.46(m,19H);2.26−2.55(m,2H);3.12(m,2H),5.98−6.32(ddt,IH,EおよびZ体).
【0080】
段階5の特性決定:
m=0.9g 95%収率。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.41−1.53(m,8H);1.65−1.70(m,2H),2.24−2.29(m,IH Z体);2.53−2.56(m,IH,E体);2.91−2.96(t,2H),5.90−6.03(dt,0.5H,J=21.6Hz,E体);6.08−6.25(dt,0.5H,J=33.3Hz,Z体)。
質量分析法:[M+H]=204(計算値203)。
【0081】
1.3)化合物7((E)−8−アミノ−オクタ−2−エン酸)
【化28】

化合物12の調製に用いた一般的手続きをε−カプロラクタムに応用し、(E)−8−アミノ−オクタ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δl.41−1.57(m,4H);1.67−1.75(m,2H);2.24−2.31(m,2H);2.93−2.98(m,2H);5.86(dd,IH);6.98(dt,IH)。
質量分析法:[M+H]=158(計算値157)。
【0082】
1.4)化合物8((E)−9−アミノ−ノナ−2−エン酸)
【化29】

【0083】
化合物12の調製に用いた一般的手続きをエナントラクタムに応用し、(E)−9−アミノ−ノナ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,DMSO−d6):δ 1.29−1.54(m,8H);2.16−2.23(m,2H);2.71−2.76(m,2H;5.77(dd,lH,J=18Hz);6.81(dt,lH,J=18Hz)。
質量分析法:[M+H]=172(計算値171)。
融点:104℃。
【0084】
1.5)化合物9(9−アミノ−2−フルオロ−ノナ−2−エン酸)
【化30】

【0085】
化合物13の調製に用いた一般的手続きをエナントラクタムに応用し、9−アミノ−2−フルオロ−ノナ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δl.40−1.71(m,8H);2.30−2.35(m,2H);2.91−2.96(m,2H);5.92−6.05(dt,0.5H,J=21.9Hz,E体);6.09−6.26(dt,0.5H,J=33.3Hz,Z体)。
質量分析法:[M−H]”=188(計算値189)。
融点:120℃。
【0086】
1.6)化合物11((E)−14−アミノ−テトラデカ−2−エン酸)
【化31】

【0087】
化合物12の調製に用いた一般的手続きをアザシクロデカノンに応用して、(E)−14−アミノ−テトラデカ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.31−1.69(m,18H);2.20−2.27(m,2H);2.90−2.95(m,2H);5.80(dd,lH,J=15.6Hz);6.96(dt,lH,J=15.6Hz)。
質量分析法:[M+H]=242(計算値241)。
融点:153℃。
【0088】
1.7)化合物10(14−アミノ−2−フルオロ−テトラデカ−2−エン酸)
【化32】

【0089】
化合物13の調製に用いた一般的手続きをアザシクロデカノンに応用して、14−アミノ−2−フルオロ−テトラデカ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.34−1.67(m,18H);2.21−2.26(m,IH Z体);2.48−2.54(m,IH,E体);2.92(t,2H),5.91−6.04(dt,0.5H,J=21.9Hz,E体);6.09−6.25(dt,0.5H,J=33.3Hz,Z体)。
質量分析法:[M+H]=260(計算値259)。
融点:148.5℃。
【0090】
1.8)化合物1((E)−6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸)
【化33】

【0091】
化合物12の調製に用いた一般的手続きを2−ピロリドンに応用し、(E)−6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.81−1.91(m,2H);2.32−2.40(m,2H);2.95−3.00(m,2H);5.90(dd,lH,J=15.6Hz);6.96(dt,lH,J=15.6Hz)。
質量分析法:[M+H]=130(計算値129)。
【0092】
1.9)化合物2((E)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸)および化合物3((Z)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸)
【化34】

【0093】
化合物13の調製に用いた一般的手続きを2−ピロリドンに応用し、(Z)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸(3)および(E)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸(2)を得て、この場合には分離した。
Z体
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.80−1.90(m,2H);2.33−2.42(m,2H);2.95−3.00(m,2H);6.12−6.28(dt,IH,J=32.7Hz,Z体)。
質量分析法:[M+H]=148(計算値147)。
E体
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.77−1.89(m,2H);2.60−2.68(m,2H);2.94−2.99(m,2H);5.96−6.08(dt,IH,J=21.0Hz,E体)。
質量分析法:[M+H]=148(計算値147)。
【0094】
1.10)化合物4((E)−7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸)
【化35】

【0095】
化合物12の調製に用いた一般的手続きをδ−バレロラクトンに応用し、(E)−7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸を得る。
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.56−1.74(m,4H);2.28−2.34(m,2H);2.94−2.99(m,2H);5.84(dd,lH,J=15.6Hz);6.97(dt,lH,J=15.6Hz)。
質量分析法:[M+H]=144(計算値143)。
【0096】
1.11)化合物5((Z+E)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸)および化合物6((Z)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸)
【化36】

【0097】
化合物13の調製に用いた一般的手続きをδ−バレロラクトンに応用し、(Z)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸(6)および混合物(Z+E)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸(5)を得る。
Z体
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.55−1.71(m,4H);2.32−2.35(m,2H);2.93−2.98(m,2H);6.11−6.28(dt,IH,J=33.3Hz,Z体)。
質量分析法:[M+H]=162(計算値161)。
E+Z体
=0.1(ヘプタン/酢酸エチル 5/5)。
NMR(1H,MeOD):δ 1.54−1.75(m,4H);2.30−2.41(m,0.6H);2.56−2.64(m,1.4H,E体);2.94−2.99(m,2H);5.95−6.08(dt,0.7H,J=21.6Hz,E体);6.12−6.28(dt,0.3H,J=33.3Hz,Z体)。
質量分析法:[M+H]=162(計算値161)。
【0098】
2)炎症の脂質メディエーターで分析した抗炎症作用
表皮の最も代表的細胞であるケラチノサイトは、環境に存在する多くの細胞外因子に応答して生物活性メディエーター、特に皮膚の炎症反応の開始および調節に重要な役割を果たしておりかつ免疫応答の調節にも関与しているプロスタグランジンおよびロイコトリエンを放出する。プロスタグランジンPG6KF1αは刺激を受けたケラチノサイトによって産生される主要な代謝物の1つであり、シクロオキシゲナーゼ経路に由来するアラキドン酸の代謝の代謝物産生の調節の代表的なものである。
【0099】
2.1)手続き
10% FCSを含むDMEM中のケラチノサイトの懸濁液を6穴のプレート(1.2 x 10個/ウェル)に散布し、5% COの雰囲気中で37℃にて16時間インキュベーションする。次に、ケラチノサイトをPBSで洗浄して非接着細胞を除去した後、FCS(分析を妨げる可能性がある)を含まないDMEMに含まれる試験を行う生成物に暴露する。
【0100】
試験した培養物濃度は3μg/mlである。これを、予備試験の後に細胞毒性の評価(ニュートラルレッド)の目的で保持したが、細胞毒性ではない。
【0101】
それぞれの処理について、3ウェルを生成した。細胞を試験を行う生成物と60分間予備インキュベーションした後、アラキドン酸のカスケードを刺激する薬剤であるカルシウムイオノフォアを5時間加え、カルシウムイオノフォアA23187を1μMの濃度で用いる。
【0102】
これらの5時間の培養の後、それぞれのウェルの培地を回収し、3000rpmで遠心分離し、−80℃で保管する。
【0103】
それぞれの試験についてのプロスタグランジン6KFlαの産生をElisaキットEUROMEDEXで測定する。
【0104】
2.2)結果
結果を表1にまとめてあり、活性/刺激を受けたコントロールの百分率で表している。
【0105】
【表1】

【0106】
得られたデータを総合することによって、特に化合物11、5、7および10の抗炎症性を明らかにすることができ、化合物11についての有効用量45(DE45)は10μg/mlであり、化合物5については25μg/mlである。
【0107】
3)抗炎症特性:炎症促進性サイトカインIL8の合成の阻害
皮膚バリヤー機能によって外部環境から保護することが可能であり、表皮のケラチノサイトは多種多様な刺激性またはアレルギー誘発薬剤に直接応答し、皮膚の炎症および免疫過程に特にタンパク質性のメディエーターである炎症促進性サイトカインの生成を介して積極的に関与することがある。これらの生物活性分子の中で、IL1α(インターロイキン1α)およびTNFα(腫瘍壊死因子α)主要なサイトカインであると考えられ、その放出は内皮細胞における接着分子の誘発およびケモカインのような走化性因子の誘発による炎症の誘発に十分である。ケモカイン系は炎症応答中の白血球輸送を制御し、本質的かつ適応性のある免疫応答の相互作用が必要である。
【0108】
本研究において、本発明者らは、更に具体的には、炎症性応答および特に炎症促進性分子の放出を刺激することによる好中性多核細胞を回復し活性化する主機能の増幅に強く関与しているケモカイン(インターロイキン8)に関心を持った。
【0109】
96穴プレートで行ったこの研究では、本発明者らは、フォルボールエステルPMAおよびカルシウムイオノフォアA23187によりケラチノサイトで誘導されたインターロイキン8の産生についてアミノ−アルケン酸の活性を評価した。
【0110】
3.1)手続き
補足されたKSFMのケラチノサイト懸濁液を96穴プレート(3.10個/ウェル)に散布し、5% COの雰囲気中で37℃にて16時間インキュベーションする。次いで、ケラチノサイトをPBSで洗浄して非接着細胞を除去した後、補足していないKSFM(分析を妨げる可能性がある)に含まれる試験を行う生成物に暴露する。
【0111】
試験した培養物濃度は3μg/mlである。これを、予備試験の後に細胞毒性の評価(ニュートラルレッド)の目的で保持したが、細胞毒性ではない。
【0112】
それぞれの処理について、3ウェルを生成した。細胞を、試験を行う生成物と60分間予備インキュベーションした後、刺激剤を全く含まないネガティブコントロールと平行して1μMフォルボールミリステートアセテート(PMA)+0.1μMカルシウムイオノフォア(A23187)で刺激した。
【0113】
5% COを含む湿潤空気雰囲気中で37℃にて6時間インキュベーションする。
【0114】
それぞれのウェルの培地を回収し、3000rpmで遠心分離し、−80℃で保管する。
【0115】
サイトカインの分析:IL8を、ELISAキット(Immunotech)を用いる免疫酵素法によって分析する。
【0116】
3.2)結果
結果を表2にまとめてあり、活性/刺激を受けたコントロールの百分率で表している。
【0117】
【表2】

【0118】
得られたデータを要約すると、特に化合物11および9の抗炎症性を明らかにすることができ、化合物11についての有効用量50(DE50)は11μg/mlである。
【0119】
4)酸素活性種(OAS)に対するラジカル防止効果の検討
通常の細胞代謝の際には、ストレス薬剤への皮膚の時折の暴露中または皮膚科学的異常中に、酸素活性化種(OAS)とも呼ばれる反応性酸素化種が生成する(Y. M. W. Janssen et al,1993)。反応性の極めて高い代謝産物として記載されているこれらのOASは、炎症、老化および腫瘍促進のようなかなりの数の過程に重要な役割を果たしている。
【0120】
OASは、酸化ストレスの細胞シグナル形成において「第二のメッセンジャー」と考えられ、従って炎症の早期メディエーターと考えられる(A. Van Der Vliet and A. Bast,1992)。
【0121】
それらの過剰な産生は、細胞の重大な損傷を誘発する。次に、ある種の細胞成分はこのような酸化ストレスの主要な標的であり、血漿膜の脂質成分(脂質過酸化)、タンパク質(変性および分解)、および遺伝子材料またはDNA(突然変異)が変更されることがある。細胞は、様々な抗ラジカル防御組織(酵素性および非酵素性酸化防止剤)によってこれらの酸化性損傷を制限することができる(B. P. Yu,1994 ;H. Steiling et al,1999)。
【0122】
しかしながら、ある種の条件下では、OASが細胞の酸化防止活性が不十分であるような量で産生され、これらのOASは炎症性異常や組織老化を誘発する要因となる(Y. Miyachi et al,1986 ;M. Kress et al,1995)。
【0123】
イン・ビトロで酸化ストレスを生成することができる様々な化学薬剤(例えば、H)または物理的薬剤(例えば、UVA)がある。例えば、産生したOASは様々な細胞標的(膜、DNAまたはタンパク質)を変化させ、その変化は、脂質の脂質過酸化についてのTBARSの分析またはプローブHDCF−DAによる細胞内OASのイン・ビトロ分析のような広く用いられている生化学的方法によって分析することができる。
【0124】
本発明者らは、膜脂質の酸化によって誘発される連鎖反応により細胞内OASを多量に生成するH/鉄、Hによって誘発される酸化ストレスのイン・ビトロ研究のモデルを設定した。
【0125】
この手法は蛍光プローブである6−カルボキシ−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート、ジ(アセトキシメチルエステル)(HDCF−DA)の使用に基づいており、これは一旦細胞に浸透すると細胞内エステラーゼによって脱アセチル化された後、HDCFを形成する。この生成物は細胞内OASによって酸化されて、蛍光性の高い化合物2’,7’−ジクロロフルオレセイン(DCF)となる(Suematsu M et al,1996,「フリーラジカル 実際的研究法(Free Radicals Pratical Approach)」,Punchard監修,pp. 83-99)。
【0126】
細胞内OASのイン・ビトロ分析に用いる装置および方法を、以下に示す。
【0127】
a)細胞工具
ネズミの皮膚繊維芽細胞系L929。
【0128】
b)装置
平底の96穴マイクロプレート
細胞蛍光計Cytofluor II:Ref.PERSEPTIVE BIOSYSTEMS
【0129】
c)試薬
細胞培養試薬
培地:ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)
ウシ胎児血清(FCS)
リン酸緩衝液PBS pH7.4
トリプシンEDTA(1X)
【0130】
蛍光プローブ
6−カルボキシ−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート,ジ(アセトキシメチルエステル)(分子量:675.43)
【0131】
細胞刺激産物
過酸化水素(H)3%:Ref.GFIRER(Laboratoire Gifrer Barbezat)
硫酸第一鉄アンモニウム(Fe2+
硫酸第二鉄アンモニウム(Fe3+
【0132】
d)試験生成物
試験を行った濃度は、非細胞毒性濃度である。細胞毒性は、生成物を3時間インキュベーションした後ニュートラルレッド法によって評価した。
【0133】
対照ラジカル防止生成物は、ビタミンEまたはα−トコフェロール(分子量:430.7)(SIGMA,ref:T−1539)である。
【0134】
母液はDMSO中400mg/mlで調製し、−20℃で保管する。前処理溶液は、FCSなしの培地中400μg/mlで随時調製する。
【0135】
不飽和脂肪族アミノ酸誘導体を評価するため、希釈液を培地中0.02、0.2、2および20 ng/mlの濃度範囲で随時調製する。
【0136】
e)手続き
細胞の播種
繊維芽細胞系L929の細胞を、10% FCSを補足したDMEM 100μl中で平底の96穴マイクロプレートに播種した後、5% COでの湿潤雰囲気中で37℃にて一晩インキュベーションする。
【0137】
細胞なしのプレートブランクを、6ウェルで評価する。
【0138】
細胞の前処理
試験を行う生成物および対照分子の希釈をFCSを含まない培地で行った後、ウェル当たり100μlの量で7ウェルで沈降させる。
【0139】
細胞を、次に5% COでの湿潤雰囲気中で37℃にて一晩インキュベーションする。
【0140】
「コントロール」細胞(天然細胞蛍光)、「プローブコントロール」細胞(OASの基本的産生)および「刺激を受けた」細胞(酸化性処理の後のOASの産生)を、DMEM 100μlでカバーする。
【0141】
「プローブコントロール」細胞は、プローブと共にインキュベーションするが、前処理も処理も行わない。
【0142】
「刺激を受けた」細胞は、プローブと共にインキュベーションし、処理を行うが、前処理は行わない。
【0143】
「コントロール」細胞は、前処理も、プローブと共にインキュベーションも、処理も行わない。
【0144】
プローブと一緒の細胞のインキュベーションおよび酸化ストレス
【0145】
細胞を、ウェル当たり100μlの量のPBS 1Xで洗浄する。次いで、細胞を、5% COおよび5μM HDCF−DA 50μlを用いて湿潤雰囲気中で37℃にて30分間インキュベーションするように設定する。
【0146】
プローブのみと30分間接触させた後、細胞を800μM H 25μlおよび8mM 硫酸第一鉄および第二鉄溶液25μlを加えた5% COでの湿潤雰囲気中で37℃にて30分間インキュベーションし、H 200μMおよび第一鉄および第二鉄2mMの最終濃度とする。
【0147】
次いで、細胞をウェル当たり100μlの量のPBS 1Xで洗浄した後、5% COおよびPBS 1X 100μlでの湿潤雰囲気中で37℃にて30分間インキュベーションする。
【0148】
これらの37℃での1時間30分のインキュベーションにより、細胞内エステラーゼがHDCFプローブを脱アセチル化して、細胞内OASによって蛍光化合物であって、その形成が細胞内OASの量に比例するDCFに酸化することができる。
【0149】
蛍光強度は、細胞蛍光計を用いてλ励起=485nmおよびλ放射=530nmで読み取る。それは、生成した細胞内OASの量を反映している。
【0150】
検討手順の略図
【化37】

【0151】
OAS細胞内産生に対する保護%の計算
(蛍光強度またはFIはOASの細胞内放出を表すので、)下記の比を用いて、試験生成物のそれぞれの濃度について、細胞内OASの産生に対する保護%を計算することができる。
【数1】

【0152】
表3に示される値は、「コントロール」細胞(100%)および「刺激を受けた」細胞(0%)に対する外因性の酸化ストレス後の細胞内OAS産生の阻害率である。
【0153】
L929系に対する4種類の濃度での13種類の試験分子についての平均保護率を、下表3に示す。
【0154】
【表3】

【0155】
結論
イン・ビトロでは、細胞スケールでは、H/Fe2+−Fe3+による外因性ストレスは、蛍光プローブによって検出される細胞内OASを生成することができる。
ビタミンE(対照ラジカル防止分子)は、400μg/mlで31%の平均保護を有する。
本発明による短鎖(C−C)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体、特に化合物8、7および6はラジカル防止特性を有する(活性>25%)。
【0156】
5)ラジカル防止作用の検討。脂質過酸化の分析
更に、通常の細胞代謝の際には、ストレス薬剤への皮膚の時折の暴露中または皮膚科学的異常中に、遊離酸素化ラジカル(FOR)とも呼ばれる反応性酸素化種が生成する(Y. M. W. Janssen et al,1993)。反応性の極めて高い代謝産物として記載されているこれらのFORは、炎症、老化および腫瘍促進のような多数の過程に重要な役割を果たしている。
【0157】
FORは、酸化ストレスの細胞シグナル形成において「第二のメッセンジャー」と考えられ、従って炎症の早期メディエーターと考えられる(A. Van Der Vliet and A. Bast,1992)。
【0158】
それらの過剰な産生は、細胞の重大な損傷を誘発する。次に、ある種の細胞成分はこのような酸化ストレスの主要な標的であり、血漿膜の脂質成分(脂質過酸化)、タンパク質(変性および分解)、および遺伝子材料またはDNA(突然変異)が変更されることがある。細胞は、様々な抗ラジカル防御組織(酵素性および非酵素性酸化防止剤)によってこれらの酸化性損傷を制限することができる(B. P. Yu,1994 ;H. Steiling et al,1999)。
【0159】
しかしながら、ある種の条件下では、FORが細胞の酸化防止活性が不十分であるような量で産生され、これらのFORは炎症性異常や組織老化を誘発する要因となる(Y. Miyachi et al,1986 ;M. Kress et al,1995)。
【0160】
本発明による様々な誘導体のラジカル防止活性を高めるため、本発明者らは、対照酸化防止剤であるビタミンEと比較して酸化性(化学)ストレスによって誘発される細胞膜の変化に対する防御力を分析した。
【0161】
血漿膜はFORの主要かつ第一の標的を形成し、脂質に富んでおり、これが過酸化増加の部位となる(A. W. Girotti,1985)。この脂質酸化の際に生成した過酸化物も、極めて反応性であり、タンパク質やゲノム材料を分解することができる。
【0162】
膜の変化を評価するため、本発明者らは、脂質酸化生成物とチオバルビツール酸の錯体のイン・ビトロ分析による脂質過酸化を測定した。これらの錯体はTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)と呼ばれ、この試験はTBARSの試験と呼ばれる。
【0163】
化学的酸化ストレスを模倣するため、本発明者らは、繊維芽細胞系L929を過酸化水素(H)および鉄(Fe2+/Fe3+)からなる錯体で処理することによって、FORおよび更に詳細にはヒドロキシルラジカル(OH)の供給源であるフェントン反応を再生した(D .A Vessey et al,1992)。
+Fe2+→OH+OH+Fe3+
【0164】
生成物をネズミの繊維芽細胞系L929について評価した。細胞を様々な濃度の生成物で16時間処理した後、錯体H−Fe2+/Fe3+(200μM−1mM)で1時間刺激した。
母液:100mg/ml、エタノール、4℃。
最終溶液:0.02ng/ml。
【0165】
膜脂質の過酸化を、TBARSの測定によって分析する(Morliere et al.(1991)の手続き参照PL 番号2)。
【0166】
試験原理
95℃の酸性媒質では、チオバルビツール酸反応性物質についてTBARSと表される錯体が、脂質酸化生成物(マロン酸ジアルデヒドまたはMDA)とチオバルビツール酸(TBA)との間に形成され、これはMDAを用いる標準範囲に対して蛍光によって分析することができる。次に、TBARSの投薬量を、ピコモル/μgタンパク質で表す。タンパク質とTBARSを、細胞内媒質中で分析する。
【0167】
細胞膜の保護率の計算
ピコモル/μgタンパク質でのTBARSの計算から、膜脂質の酸化に対する様々な生成物の保護効率を計算した。
【数2】

【0168】
7回の独立した実験を行った。これらの実験中に、様々な化合物を評価した(試験では、10個を上回る分子を同時に評価することはできない)。数回評価した化合物を、ラジカル防止活性も測定する他の試験(酸素活性種OASの分析試験)で得られた結果に準じて選択した。
【0169】
この実験(フェントン反応)で用いたモデルは、繊維芽細胞L929においてかなりの脂質過酸化を誘発する。従って、このOHヒドロキシルラジカルの多量の放出は、細胞レベルで、特に膜レベルで酸化ストレスを生じる。しかしながら、この型の酸化反応では、脂質過酸化の生成物は細胞に内在化され(internalized)、次にTBARSが細胞内媒質で分析される。
【0170】
400μg/mlのビタミンEは錯体H−Fe2+/Fe3+によって誘発された脂質過酸化を還元し、細胞膜を極めて効果的に保護する。
【0171】
下表4に、7回の実験結果を示す。
【表4】

【0172】
結論
【0173】
この検討で示したイン・ビトロモデルは、血漿膜である主要な細胞標的に対する主要な酸化ストレスによる結果を反映している。例えば、脂質過酸化の分析は酸化ストレスの良好なマーカーであり、細胞膜における活性成分のヒドロキシルラジカルに対する酸化防止作用を評価することができる。
【0174】
本発明者らの実験条件下では、化合物8、9、10、7、5および6は有意なラジカル防止活性を有しており、細胞膜を効果的に保護することを観察している。
【0175】
化合物8、7および6は、最も有意なラジカル防止活性と膜の保護を有する。
【0176】
6)イン・ビトロでのメラニンの合成に対する本発明による不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の効果
メラノサイトは星のような外観を有する細胞であり、表皮の基底層に少数存在する。その主な機能は、メラニンを特殊化した細胞小器官であるメラノソームで合成した後、樹状突起を介して隣接するケラチノサイトに輸送して分布させる過程であるメラニン形成を提供することである。このケラチノサイトとの接触により、紫外線の突然変異誘発効果から表皮を保護する機構である皮膚の色素沈着を生じる。それぞれのメラノサイトは約36個のケラチノサイトと結合しており、これにより表皮のメラニン沈着単位を形成している。
【0177】
メラニン形成は一連の酵素的および自発性反応からなり、その前駆体はチロシンである。この過程には3個の主要な酵素、チロシナーゼおよびチロシナーゼ関連タンパク質1および2(TRP 1および2)が関与している(Jimbow et al.,2000)。チロシナーゼは、チロシンのドパキノンへの変換を触媒する。そこからは、2つの合成経路、ユーメラノゲネシス(eumelanogenesis)およびフェオメラノゲネシス(pheomelanogenesis)が可能である。ドパキノンのユーメラニン(eumelanine)への転換は、TRP−1およびTRP−2を含む一連の連続した酸化反応によって行われる。ユーメラニンは、硫黄含量が少ない黒褐色色素に相当し、光保護力を確保している。フェオメラノゲネシスでは、高硫黄含量の分子がドパキノンに組込まれ、赤毛(redheads)の皮膚に含まれる黄橙色のフェオメラニン(pheomelanin)を提供する。
【0178】
メラニン合成の生理学的刺激は日光であり、メラノサイトの数の増加、メラニンの新たな合成、およびメラノサイトの形態変化を引き起こし、その樹状性(dendricity)の増加はメラノソームのケラチノサイトへの転換の増加と関連している。分子レベルでは、日光への暴露は、α−メラノソーム刺激ホルモンの合成および分泌を刺激する。α−MSHはメラノサイト内のAMPc濃度を増加し、転写因子Mitfを活性化し、これは次にチロシナーゼ、TRP−1およびTRP−2をコードする遺伝子の転写活性を刺激する。
【0179】
ある種の外来分子も、メラニン形成の負の調節を行うことが知られている。ヒドロキノンはチロシナーゼの基質として現れることによってメラニンの合成を阻害し、その活性をそらす(Curto et al,1999)。ビタミンCはチロシナーゼを阻害するが、酸化によるメラニンの着色を防止することによって強力な還元剤としても作用する。
【0180】
6.1)メラニン形成に対する不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の調節効果を分析した。このため、比色分析法によるメラニン合成の測定をネズミ黒色腫の細胞系B16−F10について行った。
【0181】
生成物の効果を基底状態およびα−MSHによるメラニン形成の刺激後に検討し、脱色素力を測定する。
【0182】
メラニンの分析
次に、細胞外および細胞内メラニンのレベルを、手順に従って405nmの波長で分光光度法によって測定する(Meun,Y. J. et al)。色素の量を、メラニンの標準的範囲およびMicrowinソフトウェアパッケージ(Berthold Biotechnologies)での分析によって決定する。総タンパク質の分析は、細胞内メラニンの試料について540nmでBCA−銅法によって行う。標準的範囲は、標準タンパク質BSA(ウシ血清アルブミン)で生成する。
【0183】
6.2)結果
【0184】
基底状態では、1μM α−MSHは、コントロール細胞と比較してメラニン産生を100%を上回る量だけ増加する。
【0185】
このメラニンの増加は、1μg/mlのヒドロキノンまたは40μg/mlのビタミンCのような脱色素剤によって相殺され、メラニン形成は約60%だけ阻害される。
【0186】
脱色素分子
30μg/mlでは、分子11は細胞内および細胞外メラニンをそれぞれ約45%および30%だけ弱く阻害する。しかしながら、分子11は、10μg/mlではメラニン合成に全く影響しないままである。
【0187】
色素沈着分子
3、10および30μg/mlでは、分子6は細胞内メラニンの量を約100%増加させる。分子5も色素沈着効果を有すると思われるが、分子6の効果より弱い。
【0188】
7)抗コラゲナーゼ活性の検討
抗コラゲナーゼ活性を測定するには、特に2003年3月14日に公表された仏国特許出願第2 829 491号明細書を参照することができる。
【0189】
7.1.冷凍したヒトの皮膚切片
7.1.1.手続き
この研究は、1%および2%の活性成分濃度の様々な溶液について、賦形剤のみ、緩衝液コントロールおよびコラゲナーゼと比較して行った。用いた活性成分は、DHA、ヒドロキシ−10−デセン−2(トランス)酸2−ジメチルアミノエチルエステル(ML40)およびヒドロキシ−10−デセン−2(トランス)酸グリセロールエステル(GM)である。
【0190】
54歳女性の乳房移植からの冷凍した5μm切片を組織スライドに置く(4切片/スライド)。それぞれの溶液を、スライド上で試験する。
【0191】
切片を試験を行う溶液でカバーし、湿潤室内で37℃にて2時間インキュベーションする。溶液を洗浄を繰り返して除き、切片をピクロシリウスで染色する。顕微鏡による検討を行う。
【0192】
7.1.2.結果
本発明の生成物は、以前に知られているDHAの活性より大きな活性を有する。
【0193】
7.2.生きたままで保持される外植片
7.2.1.手続き
5% GM生成物について、賦形剤(ヒドロセリン)、ポジティブコントロールおよびコントロールを100U/mlのコラゲナーゼの存在下にて比較検討する。ヒドロセリンは、適用される生成物を調製するために賦形剤として用いる。
【0194】
この検討は2回行った。最初の検討では、+2日目のコラゲナーゼの作用は大きく制限されたままであり、有意ではないことに注目した。第二の検討では、適用時間を延ばし、外植片の採取は+2日目および+4日目に行う。
【0195】
7.2.1.1.外植片の調製
それぞれ3つの外植片を用いる16バッチで調製して配分したヒトの皮膚外植片を、表5に準じて生きたまま保持する。
【0196】
【表5】

【0197】
7.2.1.2. 5% GMでの生成物および本発明による生成物の適用
生成物を、外植片当たり20mgの量で0日目および+2日目に適用し、コラゲナーゼを最後の24バッチの培地に組込む。
【0198】
7.2.1.3. 組織学
それぞれのバッチの3個の外植片を+2日目および+5日目 +4日目に採取し、通常のブワン塩で固定し、組織学的処理を行う。組織学的検討は、
パラフィンへの浸漬、
切片、レッド・シリウスF3Bによる染色、
画像解析によるコラーゲンの比色測定、
写真による記録
を含んでなる。
【0199】
7.2.2 結果
2日目に行った試料は、検討したバッチに関係なくコラゲナーゼの有意な活性は示さない。このため、生存、接触および適用を+4日目まで延長する。コラゲナーゼの作用を、コラーゲン網状組織の着色強度および皮膚構造の厚みの2通りで記録する。この検討を用いて、活性成分の浸透およびコラゲナーゼに対するその阻害活性を相関させる。得られた結果は、下記の通りである。
コラゲナーゼなしのコントロールについては、皮膚は総ての区画に規則的なコラーゲン束を有する正常な構造を有し、
コラゲナーゼを有するコントロールについては、コラーゲン束は著しく分解し、皮膚の厚みは半分だけ減少し、
賦形剤とコラゲナーゼを有する外植片については、コラーゲン束は大きく分解しているが、変化はコラゲナーゼを有するコントロールで見られたより小さく、皮膚の厚みはほぼ半分だけ減少している。
【0200】
GM生成物と比較することによって、本発明による生成物は、DHAのエステル(GM)より優れておりかつ一層速やかな抗コラゲナーゼ活性を示す。
【0201】
引用文献
Janssen Y.M.W.et al.(1993)Lab.Invest.69:261-74
Van Der Vliet A.and Bast A.(1992)Chem.Biol.Interactions 85:95-116
Yu B.P.(1994)Physiol.Rev.74:139-62
Steiling H.et al.(1999)Exp.Cell.Res.247:484-94
Miyachi Y.et al.(1986)J.Clin.Lab.Immunol.19:11-4
Kress M.et al.(1995)Pain 62:87-94
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤としての、下記一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体、およびその薬学上許容可能な酸付加塩:
【化1】

(式中、
Rnは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
は、水素、フッ素、塩素もしくは臭素原子、または−CFもしくは−CHF基であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキニル、アルケニルもしくはアルキル基であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
Rは、水素原子であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基を表す基R’、または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアシル基であり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができ、かつ
nは、2〜14の整数である)。
【請求項2】
RaおよびRbが水素原子である、請求項1に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項3】
Rが水素原子である、請求項1または2に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項4】
Rnが水素原子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項5】
が水素原子またはフッ素である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項6】
nが2〜10である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項7】
nが3〜5である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項8】
nが9〜14である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項9】
nが3に等しい、請求項2〜5のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項10】
ZもしくはE異性体、または任意の量のZ異性体とE異性体との混合物の形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項11】
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファー−スルホン酸、クエン酸、エタン−スルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、またはトリフルオロ酢酸から形成される薬学上許容可能な酸塩の形態である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項12】
(E)−6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−8−アミノ−オクタ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−9−アミノ−ノナ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−10−アミノ−デカ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−14−アミノ−テトラデカ−2−エン酸塩酸塩、
ZおよびE異性体の混合物としての6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(Z)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
(E)−6−アミノ−2−フルオロ−ヘキサ−2−エン酸塩酸塩、
ZおよびE異性体の混合物としての7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
(Z)−7−アミノ−2−フルオロ−ヘプタ−2−エン酸塩酸塩、
9−アミノ−2−フルオロ−ノナ−2−エン酸塩酸塩、
10−アミノ−2−フルオロ−デカ−2−エン酸塩酸塩、および
14−アミノ−2−フルオロ−テトラデカ−2−エン酸塩酸塩
から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の新規化合物としての一般式(I)の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体であって、
6−アミノ−ヘキサ−2−エン酸、その塩酸塩およびそのトリフルオロ酢酸塩、8−アミノ−オクタ−2−エン酸トリフルオロ酢酸塩、8−(ジメチルアミノ)−オクタ−2−エン酸、12−(ジメチルアミノ)−ドデカ−2−エン酸、6−(イソプロピルアミノ)−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸エチル、6−(第三ブチルアミノ)−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸エチル、6−アミノ−2−メチル−ヘキサ−2−エン酸メチル、7−アミノ−ヘプタ−2−エン酸メチル、7−アミノ−2−メチル−ヘプタ−2−エン酸メチルおよび7−アミノ−4−メチル−ヘプタ−2−エン酸メチルの化合物を除外した、誘導体。
【請求項14】
活性成分として請求項1〜12いずれか一項に記載の少なくとも1種類の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体を、皮膚科学上許容可能な賦形剤と共に含んでなる、皮膚科学組成物。
【請求項15】
ラジカル防止、抗炎症、抗痒疹、抗コラゲナーゼ皮膚化粧組成物の製造を目的とする、および/または皮膚老化の治療を目的とする、および/または角質化および色素沈着疾患の治療を目的とする、および/または治癒の向上を目的とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の使用。
【請求項16】
前記組成物が乾癬、掻痒症および/またはアトピー性皮膚炎の治療を目的とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記組成物が毛髪または皮膚、特に年齢による白い染みの再色素形成を目的とする、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
前記組成物が皮膚を明るくしまたは年齢による褐色の染みの治療を目的とする、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
下記の一般式(I)
【化2】

(式中、
Rnは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
は、水素、フッ素、塩素もしくは臭素原子であるか、または−CFもしくは−CHF基であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキニル、アルケニルもしくはアルキル基であって、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
Rは、水素原子であるか、あるいは1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基を表す基R’、または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基であり、必要に応じて1個のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
RaおよびRbは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアシル基であり、RaおよびRbは一緒になって4〜6個の炭素原子を含む炭化水素環を形成することができ、かつ
nは2〜14の整数である)
の不飽和脂肪族アミノ酸誘導体の製造方法であって、
下記の一般式(II)
【化3】

(式中、
は、前記で定義した通りであり、
R’は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、好ましくはエチル基であり、
R”およびR'''は互いに独立して、1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、好ましくはメチルまたはエチル基であり、前記の基R”およびR'''は2〜4個の炭素原子を含む炭化水素環を形成してもよい)
のホスホン酸塩を、下式(III)
【化4】

(式中、
nは、前記で定義した通りであり、
GPは、隣接窒素原子と共に特にカルバメート型の基を形成するための保護基であり、N−GPは好ましくは第三ブチルまたはベンジルカルバメートである)
の化合物に作用させることによるウィッティッヒ・ホルナー(Wittig-Horner)反応の適用により、または
=Hであるときには、式R’OOC−CH2−COOR’(式中、R’は前記で定義した通りである)のマロン酸誘導体を、前記式(III)の化合物に作用させることによるデーブナー・クネーフェナーゲル(Doebner-Knoevenagel)反応の適用により、
下式(IV)
【化5】

(式中、GP、R’、R、Rnおよびnは前記で定義した通りである)
の化合物を得て、
必要に応じて、前記一般式(IV)の化合物のケン化反応により、下記の一般式(V)
【化6】

(式中、GP、R、Rnおよびnは前記で定義した通りである)
の化合物を得て、
式(IV)または(V)の化合物の窒素の脱保護反応により、式(I)(式中、RaおよびRbは水素である)の化合物を得て、
必要に応じて、式(I)(式中、RaおよびRbは水素である)の化合物のN−アルキル化またはN−アシル化反応により、式(I)(式中、RaおよびRbの少なくとも1個は水素ではない)の化合物を得る
ことを含んでなる、製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
一般式(III)
【化7】

の化合物を、一般式(VI)
【化8】

(式中、nおよびRnは請求項19に記載の通りである)
の化合物から、下記:
式(VI)の化合物のアミド官能基の窒素をGP基により保護することによって、下記の一般式(VII)
【化9】

(式中、n、RnおよびGPは請求項19で定義した通りである)
の化合物を得、ついで
前記で定義した式(VII)の化合物のカルボニル官能基を還元し、この工程を水素化ジイソブチルアルミニウムのような水素化アルミニウムを用いて低温で行う
工程により合成する、方法。
【請求項21】
RaおよびRbが水素である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
Rが水素である、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
Rnが水素である、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
が水素またはフッ素である、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
合成中間体としての、下記一般式(VIII)の化合物であって、
【化10】

(式中、
Rcは、水素であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、
は水素原子、フッ素、塩素もしくは臭素原子であるか、または−CFもしくは−CHF基であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐のアルキニル、アルケニルもしくはアルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
Rnは互いに独立して、水素原子であるか、または1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基であって、必要に応じて1個以上のハロゲン原子、特にフッ素で置換されてなるものであり、
nは、2〜14の整数であり、
GPは、特に隣接窒素原子と共にカルバメート型の基を形成するための保護基であり、N−GPは好ましくは第三ブチルまたはベンジルカルバメートであり、
Rdは、水素であるか、またはGPについて前記で定義した通りの保護基GP’であり、特にN−GP’は第三ブチルまたはベンジルカルバメートである)、
(E)−6−(N,N−ジ−第三ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘキサ−2−エン酸第三ブチル、(E)−6−(N−第三−ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘキサ−2−エン酸エチル、(E)−7−(N−第三−ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘプタ−2−エン酸メチル、および(E)−7−(N−第三−ブトキシ−カルボニルアミノ)−ヘプタ−2−エン酸の化合物を除外した、化合物。
【請求項26】
Rnが水素である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が水素またはフッ素である、請求項26に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−515767(P2010−515767A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545919(P2009−545919)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050471
【国際公開番号】WO2008/090073
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(500166231)ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク (30)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
【Fターム(参考)】