説明

新規な化合物を含む組成物、およびそのような組成物で製造された電子デバイス

【課題】電子デバイスを製造する際に正孔輸送材料として有用な新規な化合物の提供
【解決手段】本発明は、新規な化合物、ならびに新規なオリゴマーおよびポリマーを含む組成物、ならびにこれらの組成物を含有する少なくとも1つの層を含む電子デバイスに関する。新規なオリゴマーおよびポリマーは、可溶化することができ、溶液中で使用して、電子デバイスを形成することができる。これらの化合物は、モノマーとして機能することができ、そのようなモノマーからコポリマーを形成することができ、そのようなコポリマーは、化合物の複数の単位を、重合単位として含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスを製造する際に正孔輸送材料として有用な新規な化合物に関する。本発明は、さらに、そのような正孔輸送材料を含む少なくとも1つの活性層を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDディスプレイを構成する、有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機光活性電子デバイスにおいて、有機活性層は、OLEDディスプレイの2つの電気接触層の間に挟まれる。OLEDにおいて、有機光活性層は、電気接触層を横切って電圧を印加すると、光透過性電気接触層を通して発光する。
【0003】
発光ダイオードの活性成分として有機エレクトロルミネセンス化合物を使用することが周知である。単純有機分子、共役ポリマー、および有機金属錯体が使用されている。
【0004】
光活性材料をしばしば使用するデバイスは、光活性(たとえば、発光)層と接触層(正孔注入接触層)との間に位置決めされた1つまたは複数の電荷輸送層を含む。デバイスが2つ以上の接触層を含有することができる。正孔輸送層を、光活性層と正孔注入接触層との間に位置決めすることができる。正孔注入接触層は、また、アノードと呼ぶことができる。電子輸送層を、光活性層と電子注入接触層との間に位置決めすることができる。電子注入接触層は、また、カソードと呼ぶことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,962,631号明細書
【特許文献2】国際公開第00/53565号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献5】EP 1191612号明細書
【特許文献6】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献7】EP 1191614号明細書
【特許文献8】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献9】国際公開第01/41512号パンフレット
【特許文献10】米国特許第6,303,238号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ヤマモト(Yamamoto)、プログレス・イン・ポリマー・サイエンス(Progress in Polymer Science)、Vol. 17、p 1153(1992)
【非特許文献2】コロン(Colon)ら、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、パート(Part)A、ポリマー化学(Polymer chemistry)、版(Edition)、Vol. 28、p. 367(1990)
【非特許文献3】ジェイ・ピー・サディーギ(Sadighi, J. P.);アール・エー・シンガー(Singer, R. A.);エス・エル・バックウォルド(Buchwald, S. L.) ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.) 1998、120、4960
【非特許文献4】ジェイ・ピー・ウルフ(Wolfe, J. P.);エイチ・トモリ(Tomori, H.);ジェイ・ピー・サディーギ(Sadighi, J. P.);ジェイ・イン(Yin, J.);エス・エル・バックウォルド(Buchwald, S. L.) ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(J., Org. Chem.) 200、65、1158
【非特許文献5】ジェイ・エフ・ハートウィグ(Hartwig, J.F.);モダン・アレーン・ケミストリー(Modern Arene Chemistry) 2002、107−168、ディー・アストリュック(Astruc, D.)編、ワイリー−VCHフェアラーク・ゲーエムベーハー&カンパニーKGaA(Wiley−VCH Verlag GmbH & Co. KGaA)、ドイツ、バインハイム(Weinheim, Germany)
【非特許文献6】シー・デマレ(Desmarets, C.);アール・シュナイダー(Schneider, R.);ワイ・フォート(Fort, Y.) テトラヘドロン(Tetrahedron)、2001、57、6054.
【非特許文献7】ジェイ・ピー・ウルフ(Wolfe, J. P.);エス・エル・バックウォルド(Buchwald, S. L.)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.) 1997、119、4960
【非特許文献8】エー・クラパーズ(Klapars, A.);ジェイ・シー・アンチラ(Antilla, J. C.);エックス・ホワン(Huang, X.);エス・エル・バックウォルド(Buchwald, S. L.)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.) 2001、123、7727
【非特許文献9】「可溶性導電ポリマーから製造されたフレキシブル発光ダイオード」(Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer)、ネイチャー(Nature) vol. 357、pp 477〜479(1992年6月11日)
【非特許文献10】ブラッドリー(Bradley)ら、シンセティック・メタルズ(Synth. Met.)(2001)、116(1−3)、379−383
【非特許文献11】キャンベル(Campbell)ら、フィジカル・レビュー(Phys. Rev.)B、Vol. 65 085210
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子デバイスでの使用のための電荷輸送材料が引続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される化合物は、電子デバイスでの使用のための電荷輸送層を製造するのに有用である。電荷輸送層は、電荷輸送能力が望まれるいかなる用途にも使用することができる。いくつかの使用の例としては、有機発光ダイオード(「OLED」)、光起電力セル、光センサ、薄膜有機トランジスタ、光伝導体、および電子写真用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
本発明の一態様は、下記式を有する新たな化合物であり、
【0010】
【化1】

【0011】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。この化合物は、1つを超える基Rを含み、Rは、出現するごとに異なることができる。たとえば、式(I)で表された化合物はモノマーとして機能することができ、この化合物からコポリマーを形成することができ、そのようなコポリマーは、少なくとも1つの単位が他の単位中のRと異なったRを含有する式(I)を有する複数の単位を、重合単位として含む。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。
【0012】
はHおよびRから選択される。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0013】
【化2】

【0014】
式中、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0016】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもない。
【0017】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから独立して選択される1つまたは複数の置換基を有する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。隣り合う芳香環は、隣接しているか近接していることができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0019】
別の実施形態は、下記式の化合物であり、
【0020】
【化3】

【0021】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、好ましくは、Rは、アリールであり、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、およびIから選択される。好ましくは、RはHまたはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0022】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0023】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。さらなる実施形態において、式(III)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、x=0、Rは式(II)のアリールアミノであり、ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0025】
別の実施形態は、下記式の化合物であり、
【0026】
【化4】

【0027】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択される。出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHである。RはHおよびRから選択される。好ましくは、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0028】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0029】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0030】
本発明の別の態様は、上で定義されたような式(I)または(III)を有する多数の官能性モノマーを共重合することによって調製されたコポリマーを含む組成物であり、少なくとも1つのモノマーが、それが共重合される他のモノマーと異なる。これらのモノマーは、たとえば、PdまたはNi触媒重合手順を用いて、共重合することができる。
【0031】
別の実施形態は、下記式を有する化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスであり、
【0032】
【化5】

【0033】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。この化合物は、1つを超える基Rを含み、Rは、出現するごとに異なることができる。たとえば、式(I)で表された化合物はモノマーとして機能することができ、この化合物からコポリマーを形成することができ、そのようなコポリマーは、少なくとも1つの単位が他の単位中のRと異なったRを含有する式(I)を有する複数の単位を、重合単位として含む。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。
【0034】
はHおよびRから選択される。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0035】
【化6】

【0036】
は、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。
【0037】
いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0038】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0039】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから独立して選択される1つまたは複数の置換基を有する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0041】
本発明の別の態様は、下記式を有する化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスであり、
【0042】
【化7】

【0043】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、好ましくは、Rは、アリールであり、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、およびIから選択される。好ましくは、RはHまたはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0044】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0045】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。さらなる実施形態において、式(III)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、x=0、Rは式(II)のアリールアミノであり、ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0047】
本発明の別の態様は、下記式を有する化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスであり、
【0048】
【化8】

【0049】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択される。出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHである。RはHおよびRから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0050】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0051】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0052】
本発明のさらなる態様は、下記式を有する化合物を含む液体組成物であり、
【0053】
【化9】

【0054】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。この化合物は、1つを超える基Rを含み、Rは、出現するごとに異なることができる。たとえば、式(I)で表された化合物はモノマーとして機能することができ、この化合物からコポリマーを形成することができ、そのようなコポリマーは、少なくとも1つの単位が他の単位中のRと異なったRを含有する式(I)を有する複数の単位を、重合単位として含む。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。
【0055】
はHおよびRから選択される。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0056】
【化10】

【0057】
式中、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。
【0058】
いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0059】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0060】
液体組成物は、たとえば溶液または分散液の形態であることができる。
【0061】
前記液体におけるいくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから独立して選択される1つまたは複数の置換基を有する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0063】
一実施形態は、下記式の化合物を含む液体組成物であり、
【0064】
【化11】

【0065】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、好ましくは、Rは、アリールであり、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHまたはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0066】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0067】
前記液体におけるいくつかの実施形態において、式(III)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。さらなる実施形態において、式(III)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0068】
前記液体におけるいくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、x=0、Rは式(II)のアリールアミノであり、ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0069】
本発明の別の態様は、下記式の化合物を含む液体であり、
【0070】
【化12】

【0071】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHである。RはHおよびRから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0072】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0073】
前記液体におけるいくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0074】
本発明のさらなる態様は、下記式を有する化合物を含む電子デバイスであり、
【0075】
【化13】

【0076】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。この化合物は、1つを超える基Rを含み、Rは、出現するごとに異なることができる。たとえば、式(I)で表された化合物はモノマーとして機能することができ、この化合物からコポリマーを形成することができ、そのようなコポリマーは、少なくとも1つの単位が他の単位中のRと異なったRを含有する式(I)を有する複数の単位を、重合単位として含む。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。
【0077】
はHおよびRから選択される。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0078】
【化14】

【0079】
は、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。
【0080】
いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0081】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0082】
前記デバイスにおけるいくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから独立して選択される1つまたは複数の置換基を有する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の2つの隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0084】
本発明の別の態様は、下記式の化合物を含む電子デバイスであり、
【0085】
【化15】

【0086】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、好ましくは、Rは、アリールであり、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHまたはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0087】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0088】
前記デバイスにおけるいくつかの実施形態において、式(III)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。さらなる実施形態において、式(III)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0089】
前記デバイスにおけるいくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、x=0、Rは式(II)のアリールアミノであり、ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0090】
本発明の別の態様は、下記式の化合物を含む電子デバイスであり、
【0091】
【化16】

【0092】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHである。RはHおよびRから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0093】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0094】
前記デバイスにおけるいくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0095】
本発明のさらなる態様は、電子デバイスを製造するための方法である。この方法は、上述されたような式(I)を有する化合物を含む液体を提供する工程と、アノードを提供する工程と、前記化合物を含む前記液体を前記アノードと接触させる工程と、前記化合物から前記液体を除去して、正孔輸送フィルムを製造する工程と、エミッタを提供する工程と、前記エミッタを前記正孔輸送フィルムに隣接して配置する工程と、電子輸送体(electron transporter)を提供し、前記電子輸送体を前記エミッタに隣接して配置する工程と、カソードを前記電子輸送体に隣接して提供する工程とを含む。液体は、たとえば、溶液または分散液であることができる。
【0096】
先の一般的な説明および次の詳細な説明は、例示および説明にすぎず、特許請求の範囲に規定されるような本発明を限定するものではない。
【0097】
本発明を、添付の図において、限定ではなく例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】ここに開示されるような新規な化合物を含む少なくとも1つの層を含む1つの有機電子デバイスの例示的な例である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明は、新規な化合物、前記化合物を製造する新規な方法、これらの化合物を含有する組成物およびデバイス、ならびにこれらの化合物を含有するデバイスを製造するための方法を提供する。本発明の一態様は、下記式を有する化合物を含む組成物であり、
【0100】
【化17】

【0101】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。この化合物は、1つを超える基Rを含み、Rは、出現するごとに異なることができる。たとえば、式(I)で表された化合物はモノマーとして機能することができ、この化合物からコポリマーを形成することができ、そのようなコポリマーは、少なくとも1つの単位が他の単位中のRと異なったRを含有する式(I)を有する複数の単位を、重合単位として含む。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。
【0102】
はHおよびRから選択される。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0103】
【化18】

【0104】
は、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、および1または複数のフッ素原子、好ましくは7までのフッ素原子で置換されたフルオロヘテロアリールから選択される。
【0105】
いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0106】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0107】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから独立して選択される1つまたは複数の置換基を有する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0109】
一実施形態において、下記式の化合物を含む組成物であり、
【0110】
【化19】

【0111】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、好ましくは、Rは、アリールであり、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHまたはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0112】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0113】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。さらなる実施形態において、式(III)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することができる。さらなる実施形態において、1つの環上の隣接した置換基を結合して、縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、x=0、Rは式(II)のアリールアミノであり、ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。
【0115】
一実施形態における別の態様は、下記式の化合物を含む新たな組成物であり、
【0116】
【化20】

【0117】
式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロヘテロアリールから選択され、出現するごとに異なっていてもよい(すなわち、コポリマー)。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。好ましくは、RはHである。RはHおよびRから選択される。好ましくは、Rはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。好ましくは、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、RはRと異なる。いくつかの実施形態において、RはHであり、Rはアリールである。
【0118】
Eは、O、S、(SiR(mは1から20の整数である)、(CR(mは1から20の整数である)、およびそれらの組合せから選択され、出現するごとに異なることができ、ここで、RおよびRは、各々、独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって非芳香環を形成することができ、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1である場合、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でもないことを条件とする。
【0119】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。いくつかの実施形態において、n=1、RはHであり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0120】
式(I)、(III)、および(IV)中のnの実際の上限は、特定の溶媒または特定の種類の溶媒への化合物の所望の可溶性によって部分的に定められる。nの値が増加するにつれて、化合物の分子量は増加する。分子量の増加は、一般に、特定の溶媒への化合物の低減された可溶性をもたらすことが予期される。さらに、一実施形態において、化合物が所与の溶媒に実質的に不溶性になるnの値は、化合物の構造に部分的に依存する。たとえば、nが約10よりはるかに小さい場合、多数のフェニル基を含有する化合物が、有機溶媒に実質的に不溶性になることができる。別の例として、nが、約10以上、さらには10または10であっても、より少ないフェニル基、および/または特定の官能基を有するフェニル基を含有する化合物が、所与の溶媒に可溶性であることができる。nの値および溶媒の選択は、当業者の範囲内である。
【0121】
また、多数の官能性モノマーを組合せることによって調製された新規なコポリマーを含む組成物を提供する。これらのモノマーは、重合して新規なコポリマーを形成することができる、ここに開示される化合物の単位である。これらのモノマーは、たとえば、PdまたはNi触媒重合手順を用いて、共重合することができる。そのようなモノマーは、次のように、3つの種類にグループ化することができる。
【0122】
【化21】

【0123】
式中、yは1以上の整数であり、wは、0、または1以上の整数であり、Xは、Cl、Br、I、ボロン酸、ボロン酸エステル、ボラン、またはトリフラート基であり、ここで、Xは、出現するごとに異なることができ、炭素−炭素結合(グループ1の場合)および炭素−窒素結合(グループ2および3の場合)を形成することができる。
【0124】
便宜上、例示的なモノマーが、ここで、グループ1、グループ2、またはグループ3に割当てられ、グループ内で、例示的なモノマーが、たとえば、グループ1内、サブグループA1、A2、B、C1、C2、およびC3などのサブグループに割当てられる。
【0125】
サブグループAからのモノマーのみを含有するコポリマー、またはサブグループBからのモノマーのみを含有するコポリマーが得られないという条件で、グループ1、グループ2、および/またはグループ3の各々の内のサブグループの各々からの1つまたは複数のモノマーを使用して、コポリマーを製造することができる。グループ3内のモノマーから製造されたコポリマーは、A1またはA2と呼ばれる少なくとも1つのコモノマーと、サブグループE1、E2、E3、E4、およびE5からの少なくとも1つのコモノマーとを含有する。例示的なコポリマーとしては、ポリ(A−コ−B);ポリ(A−コ−C);ポリ(A−コ−B−コ−C);ポリ(A−コ−C);およびグループC内の2つ以上のモノマーを含むコポリマーが挙げられ、ここで、たとえば、「ポリ(A−コ−B)」は、重合単位として、グループA内のモノマーと、グループB内のモノマーとを含むコポリマーを指す。そのようなコポリマー中のモノマー、たとえばAおよびBは、等モル比または非等モル比で存在することができる。グループ1内のモノマーから製造されたコポリマーは、重合の間の炭素−炭素結合の形成によって製造される。グループ2およびグループ3内のモノマーから製造されたコポリマーは、重合の間の炭素−窒素結合の形成によって製造される。
【0126】
グループ1からのコポリマーは、一般に、既知の合成方法を用いて調製することができる。(非特許文献1)に記載されたような1つの合成方法において、モノマー単位のジハロ誘導体を、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)などのゼロ価ニッケル化合物の化学量論量と反応させる。(非特許文献2)に記載されたような別の方法において、モノマー単位のジハロ誘導体を、二価ニッケルイオンをゼロ価ニッケルに低減することができる材料の化学量論量の存在下で、Ni(II)化合物の触媒量と反応させる。適切な材料としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムが挙げられる。米国特許公報(特許文献1)および(特許文献2)に記載されたような第3の合成方法において、1つのモノマー単位のジハロ誘導体を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pdなどのゼロ価パラジウム触媒の存在下で、ボロン酸、ボロン酸エステル、およびボランから選択される2つの反応性基を有する別のモノマー単位の誘導体と反応させる。
【0127】
たとえば、グループ2からのモノマーを含有するホモポリマーまたはコポリマーを、銅(cupper)触媒、ニッケル触媒、またはパラジウム触媒の存在下で、反応性第一級アミンまたは反応性第二級アミンおよび反応性アリールハライドを有するモノマー単位を反応させることによって形成することができる。グループ3からのモノマーを含有するホモポリマーまたはコポリマーを、銅(cupper)触媒、ニッケル触媒、またはパラジウム触媒の存在下での、1つまたは複数のジハロモノマー誘導体と、1つまたは複数のジアミノ(第一級または第二級)モノマー単位との反応によって生成することができる。Pd触媒アミノ化反応のための典型的な条件が、(非特許文献3);(非特許文献4);(非特許文献5)に記載されている。Ni触媒アミノ化反応のための典型的な条件が、(非特許文献6);(非特許文献7)に記載されている。Cu触媒アミノ化反応のための典型的な条件が、(非特許文献8)に記載されている。
【0128】
ここに開示される化合物の、ダイマーを含むオリゴマー、およびポリマーは、たとえばNPDおよびTPDと比較して、向上された熱安定性を有する。たとえば、式IVの化合物(Rは1−ナフチルであり、EはC(CFである)が、好ましくは、Tが約240℃である。典型的には、化合物は、Tが、少なくとも約50℃、好ましくは少なくとも約100℃である。
【0129】
式IおよびIVの組成物を、当業者に知られている炭素−窒素結合形成方法によって調製することができる。たとえば、ホモ−またはヘテロ−ポリマーを、銅触媒、ニッケル触媒、またはパラジウム触媒の存在下での、1つまたは複数のジハロモノマー誘導体と、1つまたは複数のジアミノ(第一級または第二級)モノマー単位の等モル量との反応によって生成することができる。あるいは、反応性基としてアミンおよびハロゲン化物を含有する1つまたは複数のモノマーを使用することができる。Pd触媒アミノ化反応のための典型的な条件が、(非特許文献3);(非特許文献4);(非特許文献5)に記載されている。Ni触媒アミノ化反応のための典型的な条件が、(非特許文献6);(非特許文献7)に記載されている。Cu触媒アミノ化反応のための典型的な条件が、(非特許文献8)に記載されている。
【0130】
たとえば、N,N’−ジフェニルベンジジンなどの、グループ3からのジアミンモノマーE1を、NaOBuなどの適切な塩基、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの適切なパラジウム化合物の触媒(1当量未満)量、およびP(Bu)などの適切な配位子の存在下で、4,4’−ブロモフェニルイソプロピリデンなどの二ハロゲン化物モノマーA1の等モル量と反応させる。重合は、24から92時間にわたって22℃から150℃の温度で行う。次に、結果として生じるポリマーを、ブロモベンゼンなどの末端キャッピング基で処理し、さらに24から48時間さらに反応させて、式IV(Rはフェニルであり、EはC(CHであり、R=Rはフェニルである)のポリマーを生成させる。
【0131】
別の例において、4−(N−フェニルアミン)−4’−(ブロモフェニル)イソプロピリデンなどの、グループ2からのモノマーD1を、上述された条件を用いて重合して、式IV(Rはフェニルであり、EはC(CHであり、R=Rはフェニルである)のポリマーを与えることができる。
【0132】
式IIIの化合物を、当業者に知られている炭素−炭素結合形成方法によって調製することができる。(非特許文献1)に記載された1つの方法において、モノマー単位のジハロ誘導体を、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)などのゼロ価ニッケル化合物の化学量論量と反応させる。(非特許文献2)に記載されたような第2の方法において、モノマー単位のジハロ誘導体を、二価ニッケルイオンをゼロ価ニッケルに低減することができる材料の化学量論量の存在下で、Ni(II)化合物の触媒量と反応させる。適切な材料としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムが挙げられる。(特許文献1)および(特許文献2)に記載されたような第3の合成方法において、1つのモノマー単位のジハロ誘導体を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pdなどのゼロ価パラジウム触媒の存在下で、ボロン酸、ボロン酸エステル、およびボランから選択される2つの反応性基を有する別のモノマー単位の誘導体と反応させる。
【0133】
たとえば、24から92時間にわたって22℃から150℃の温度で、4,4’−N,N’−[(1−ナフチル)(4−クロロフェニル)]−ヘキサフルオロイソプロピリデン(hexaflouroisopropylidene)などの、グループ1からのモノマーC2のポリマー組成物を、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)などのゼロ価ニッケル化合物の化学量論量と反応させる。
【0134】
OLEDデバイスを含む電子デバイスを製造するために、一実施形態において、化合物は、インジウムドープ酸化スズ(ITO)などの透明なアノード上に堆積されるとフィルムを形成する。結果として生じるフィルムの質は、滑らかさおよび欠陥密度について、目視/顕微鏡検査によって表面的に判断することができる。OLEDに関して、目視観察された欠陥が最小であることが好ましい。さらに、フィルムの質は、たとえば光学エリプソメータまたは機械プロフィルメータを使用する、フィルムのいくつかの別個の領域にわたるフィルム厚さの評価によって測定することができ、フィルムが、フィルムの異なった領域において測定されるような実質的に均一な厚さを有することが好ましい。
【0135】
化合物は、電子デバイスを製造する際に、分散液または溶液などの液体形態で使用することができる。電子デバイスを製造するための例示的なプロセスが、上述されたような式(I)を有する化合物を含む液体を提供する工程と、アノードを提供する工程と、前記化合物を含む前記液体を前記アノードと接触させる工程と、前記化合物から前記液体を除去して、正孔輸送フィルムを製造する工程と、エミッタを提供する工程と、前記エミッタを前記正孔輸送フィルムに隣接して配置する工程と、電子輸送体を提供し、前記電子輸送体を前記エミッタに隣接して配置する工程と、カソードを前記電子輸送体に隣接して提供する工程とを含む。
【0136】
液体は、好ましくは、化合物のための溶媒である。特定の化合物または関連する種類の化合物のための好ましい溶媒を、当業者によって容易に定めることができる。いくつかの用途のために、化合物が非水性溶媒に溶解することが好ましい。そのような非水性溶媒は、CからC20アルコール、エーテル、および酸エステルなど、比較的極性であることができるか、CからC12アルカンまたは芳香族など、比較的非極性であることができる。
【0137】
新たな化合物を含む、ここで説明されるような溶液または分散液としての液体組成物を製造する際の使用のための他の適切な液体としては、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、芳香族炭化水素(置換および非置換トルエンおよびキシレンなど)、トリフルロトルエン(triflurotoluene)を含む)、極性溶媒(テトラヒドロフラン(THP)、N−メチルピロリドンなど)エステル(酢酸エチルなど)アルコール(イソプロパノール)、ケイトン(keytones)(シクロペンタトン(cyclopentatone))、およびそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
ここに開示される化合物は、トリアリールアミン誘導体であり、ダイマー、オリゴマー、またはポリマー、特にダイマーの形態であることができる。これらの化合物は、ポリマー化合物の溶液処理性、フィルム形成能力、可溶性特性、および熱安定性で、トリアリールアミンなどのより小さい分子の電子的利点をもたらすことができる。特に、化合物を溶液中で提供し、溶液プロセスで使用して、電子デバイスを製造することができることがわかっている。
【0139】
一実施形態において、これらの化合物が有用である電子デバイスは、OLEDデバイスである。蒸着プロセスを用いてOLEDデバイスを製造する際に正孔輸送材料として一般に使用されるNPD(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)およびTPD(4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)などの既知の化合物と対照的に、本化合物は、向上された熱安定性を有し、かつ一般的な溶媒に選択的に可溶化することができる。選択的に可溶化されたとは、化合物を、いくつかの溶媒に可溶性または実質的に可溶性であり、他の溶媒に不溶性または実質的に不溶性であるようにすることができることを意味する。たとえば、化合物を使用して電子デバイスを製造する際に、化合物が可溶性または実質的に可溶性である溶媒中の化合物を提供し、その上に、化合物が不溶性または実質的に不溶性である別の溶媒を堆積させることがしばしば望ましい。可溶化は、化合物上の置換基の変化によって、もたらすか向上させることができる。
【0140】
一実施形態において、化合物を、化合物が実質的に可溶性である溶媒に溶解する。次に、溶液を薄いフィルムに形成し、スピン堆積(spin−depositing)、インクジェットなどのいくつかの技術のいずれかによって乾燥させる。次に、溶媒が蒸発すると形成された、結果として生じるフィルムを、真空または窒素雰囲気中のいずれかでの、溶媒の沸点より高いものを含む高温におけるベーキングによってさらに乾燥させる。次に、フィルムを、発光層材料を含有する第2の溶液を、予め形成された化合物フィルムの上に堆積させることによって、さらなる処理にかけ、発光材料は、化合物が実質的に不溶性である溶媒に溶解する。「実質的に不溶性」とは、化合物約5mg未満が溶媒1mlに溶解することを意味する。しかし、5mgより大きいまたは5mg未満の可溶性を用いることができ、いくつかの用途に好ましいであろう。たとえば、10mg/mLまでの適度の可溶性が、本発明のHTMポリマーと発光層材料との間の不鮮明な(blurred)または段階的な(graded)界面をもたらすことができる。そのような不鮮明化(blurring)は、関連する材料の性質によって、有害なまたは有益な影響を有することができる。そのような界面の不鮮明化は、界面を横切る向上された電荷輸送、および実質的に向上されたデバイス性能または寿命をもたらすことができる。
【0141】
当業者によって認められるように、化合物の可溶性は、化合物中の置換基によって部分的に定められる。特に、ここに開示される化合物において、特定の溶媒または特定の種類の溶媒への化合物の可溶性を制御するために、化合物中の基「E」の性質を変えることができる。したがって、基「E」の性質を変えることによって、化合物を、水または任意の所与の有機非水性溶媒に幾分可溶性であるように修正することができる。
【0142】
また、好ましくは、電子デバイスを製造するために、化合物は、発光層フィルムを、典型的にはITO(インジウムドープ酸化スズ)などの透明なアノードである電極上に堆積させるために使用することができる溶媒への、比較的低い可溶性、たとえば、約5mg/mL未満、さらには約2mg/mL以下の可溶性を有する。
【0143】
本発明は、また、ここに開示されるような組成物を含有する少なくとも1つの層を、正孔輸送層として含む電子デバイスに関する。組成物は、光活性層と電極との間に位置決めされた別個の層中にあることができる。あるいは、有機電子デバイスの光活性層が組成物を含有することができる。ここに開示されるような組成物を含有することができる電子デバイスの例が、図Xに示されている。デバイス100は、アノード層110と、カソード層160とを有する。正孔輸送材料を含む層120が、アノードに隣接している。電子輸送および/または消光防止(anti−quenching)材料を含む層140が、カソードに隣接している。光活性層130は、正孔輸送層と電子輸送および/または消光防止層との間にある。示された実施形態において、デバイスは、カソードの隣に任意の付加的な輸送層150を有する。層120、130、140、および150は、個別におよびまとめて、活性層と呼ばれる。
【0144】
デバイス100の用途によって、光活性層130は、印加電圧によって活性化される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セルにおけるような)、放射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を用いてまたは用いずに信号を発生する材料の層(光検出器におけるような)であることができる。光検出器の例としては、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、および光電管、および光起電力セルが挙げられ、これらの用語は、ジョン・マーカス(Markus, John)、電子工学・核工学辞典(Electronics and Nucleonics Dictionary)、470および476(マグロウヒル・インコーポレイテッド(McGraw−Hill, Inc.) 1966)に記載されている。
【0145】
ここに開示される化合物は、正孔輸送層120に、および光活性層130に電荷伝導ホストとして、特に有用である。デバイスの他の層は、そのような層に有用であることが知られている、いかなる材料からも製造することができる。アノード110は、正電荷担体を注入するのに特に効率的である電極である。それは、たとえば、金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合金属酸化物、導電ポリマー、またはそれらの組合せまたは混合物を含有する材料から製造することができる。適切な金属としては、11族金属、4族、5族、および6族の金属、ならびに8〜10族遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性であるべき場合、酸化インジウムスズなどの、12族、13族、および14族金属の混合金属酸化物が、一般に使用される。アノード110は、また、たとえば、(非特許文献9)に記載されたような、ポリアニリンなどの有機材料を含むことができる。アノードおよびカソードの少なくとも1つが、好ましくは、発生された光が観察されることを可能にするように少なくとも部分的に透明である。
【0146】
光活性層130の例としては、蛍光発光材料および燐光発光材料を含むすべての既知のエレクトロルミネセンス材料(有機金属錯体および共役ポリマーの両方を含む)が挙げられる。有機金属エレクトロルミネセンス化合物が好ましい。最も好ましい化合物としては、シクロメタル化(cyclometalated)イリジウムエレクトロルミネセンス化合物およびシクロメタル化白金エレクトロルミネセンス化合物ならびにそれらの混合物が挙げられる。イリジウムと、フェニルピリジン配位子、フェニルキノリン配位子、またはフェニルピリミジン配位子との錯体が、ペトロフ(Petrov)らの(特許文献3)においてエレクトロルミネセンス化合物として開示されている。他の有機金属錯体が、たとえば、米国特許公報(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、および(特許文献7)に記載されている。イリジウムの金属錯体でドープされたポリビニルカルバゾール(PVK)の活性層を有するエレクトロルミネセンスデバイスが、(特許文献8)および(特許文献9)のバロウズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)によって説明されている。電荷担持ホスト材料と、燐光性白金錯体とを含むエレクトロルミネセンス発光層が、米国特許公報(特許文献10)のトンプソン(Thompson)ら、(非特許文献10)、および(非特許文献11)によって説明されている。少しの適切なイリジウム錯体の例が、式IV(a)からIV(e)として、図6に与えられる。類似した四座配位子白金錯体も使用することができる。これらのエレクトロルミネセンス錯体は、上で示されたように、単独で使用することができるか、電荷担持ホスト中にドープすることができる。化合物は、正孔輸送層120、電子輸送層140/150に有用であることに加えて、また、光活性層130、またはそうでなければ光活性層の一部の中の発光ドーパントのための電荷担持ホストとして作用することができる。
【0147】
層140および/または層150中に使用することができる電子輸送材料の例としては、トリス(8ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのアゾール化合物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0148】
カソード160は、電子または負電荷担体を注入するのに特に効率的である電極である。カソードは、アノードより低い仕事関数を有する、いかなる金属または非金属であることもできる。カソードのための材料は、希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドを含めて、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族金属から選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウム、ならびに組合せなどの材料を使用することができる。動作電圧を低下させるために、有機層とカソード層との間に、Li含有有機金属化合物、LiF、およびLiOも堆積させることができる。
【0149】
有機電子デバイス中に他の層を有することが知られている。たとえば、アノード110と正孔輸送層120との間に、正電荷輸送および/またはこれらの層のバンドギャップマッチングを促進するか、保護層として機能するための層(図示せず)があることができる。当該技術分野において知られている層を使用することができる。さらに、上述された層のいずれも、2つ以上の層からなることができる。あるいは、アノード層110、正孔輸送層120、電子輸送層140および150、ならびにカソード層160のいくつかまたはすべてを、表面処理して、電荷担体輸送効率を増加させることができる。構成要素層の各々のための材料の選択は、好ましくは、高デバイス効率を有し、デバイス動作寿命を有するデバイスを提供するという目標のバランスをとることによって定められる。
【0150】
ここで説明される新たな化合物および組成物を含む1つまたは複数の層を有することから利益を得ることができる他の有機電子デバイスの例としては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザ)、(2)エレクトロニクスプロセスによって信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器(photodectors)、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管)、IR検出器、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子構成要素を含むデバイス(たとえば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。
【0151】
各機能層を、1つを超える層から構成することができることが理解される。
【0152】
デバイスは、個別の層を適切な基材上に順次蒸着することを含むさまざまな技術を用いて、準備することができる。ガラスおよびポリマーフィルムなどの基材を使用することができる。熱蒸着、化学蒸着などの従来の蒸着技術を用いることができる。あるいは、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールツーロール技術、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などを含むがこれらに限定されない、任意の従来のコーティング技術または印刷技術を用いて、適切な溶媒での溶液または分散液から、有機層を塗布することができる。個別の層の蒸着および溶液コーティングの組合せを用いることができる。一般に、異なった層は、次の厚さの範囲を有する。アノード110、500〜5000Å、好ましくは1000〜2000Å;正孔輸送層120、50〜2000Å、好ましくは200〜1000Å;光活性層130、10〜2000Å、好ましくは100〜1000Å;電子輸送層140および150、50〜2000Å、好ましくは100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、好ましくは300〜5000Å。デバイス内の電子−正孔再結合ゾーンの位置、およびしたがって、デバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されることがある。したがって、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中にあるように、電子輸送層の厚さを選択しなければならない。所望の層厚さ比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0153】
ここで使用されるように、「電荷輸送組成物」という用語は、比較的高い効率および小さい電荷損失で、電極から電荷を受け、材料の厚さを通るその移動を促進することができる材料を意味することが意図される。正孔輸送組成物は、アノードから正電荷を受け、それを輸送することができる。電子輸送組成物は、カソードから負電荷を受け、それを輸送することができる。
【0154】
ここで開示され請求される特定の式を有する組成物を指すために単独で使用される「組成物」という用語は、その化合物、モノマー、ダイマー、オリゴマー、およびポリマー、ならびに溶液、分散液、液体および固体混合物、および液体および固体混和物を含むように広く解釈されることが意図される。
【0155】
「消光防止組成物」という用語は、光活性層の励起状態への、または光活性層の励起状態から隣接した層への、エネルギーの移動および電子の移動の両方を、防止するか、阻止するか、減少させる材料を意味することが意図される。
【0156】
「光活性」という用語は、エレクトロルミネセンス、フォトルミネセンス、および/または感光性を示すいかなる材料も指す。
【0157】
「基」という用語は、有機化合物中の置換基などの、化合物の一部を意味することが意図される。「ヘテロ」という接頭辞は、1つまたは複数の炭素原子が異なった原子と置換えられていることを示す。
【0158】
「アルキル」という用語は、1つの結合点を有する、脂肪族炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ1つの結合点を有する、脂肪族炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。
【0159】
「アルキレン」という用語は、脂肪族炭化水素から得られ、かつ2つ以上の結合点を有する基を意味することが意図される。「ヘテロアルキレン」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ2つ以上の結合点を有する、脂肪族炭化水素から得られた基を意味することが意図される。
【0160】
「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有し、かつ1つの結合点を有する、炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有し、かつ1つの結合点を有する、炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。「アルケニレン」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有し、かつ2つ以上の結合点を有する、炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。「アルキニレン」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有し、かつ2つ以上の結合点を有する、炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。
【0161】
「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルケニレン」、「ヘテロアルキニル」、および「ヘテロアルキニレン」という用語は、1つまたは複数のヘテロ原子を有する類似した基を意味することが意図される。
【0162】
「アリール」という用語は、1つの結合点を有する、芳香族炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ1つの結合点を有する、芳香族基から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。
【0163】
「アリールアルキレン」という用語は、アリール置換基を有する、アルキル基から得られた基を意味することが意図され、この基は、さらに置換されなくても置換されてもよい。「ヘテロアリールアルキレン」という用語は、ヘテロアリール置換基を有する、アルキル基から得られた基を意味することが意図され、この基は、さらに置換されなくても置換されてもよい。
【0164】
「アリーレン」という用語は、2つの結合点を有する、芳香族炭化水素から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。「ヘテロアリーレン」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ2つの結合点を有する、芳香族基から得られた基を意味することが意図され、この基は、置換されなくても置換されてもよい。
【0165】
「アリーレンアルキレン」という用語は、アリール基およびアルキル基の両方を有し、かつアリール基上の1つの結合点と、アルキル基上の1つの結合点とを有する基を意味することが意図される。「ヘテロアリーレンアルキレン」という用語は、アリール基およびアルキル基の両方を有し、かつアリール基上の1つの結合点と、アルキル基上の1つの結合点とを有し、少なくとも1つのヘテロ原子がある基を意味することが意図される。
【0166】
特に明記しない限り、すべての基は、置換されないか置換されることができる。「に隣接した(adjacent to)」という句は、デバイス中の層を指すように使用される場合、1つの層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味しない。一方、「隣接したR基」という句は、化学式中、互いに隣にあるR基(すなわち、結合によって結合された原子上にあるR基)を指すように使用される。
【0167】
「化合物」という用語は、さらに原子からなる分子から構成される非帯電物質であって、原子を物理的手段によって分離することができない非帯電物質を意味することが意図される。
【0168】
「ポリマー(polymeric)」という用語は、オリゴマー種を包含し、かつ2つ以上のモノマー単位を有する材料を含むことが意図される。さらに、IUPAC番号付け方式が全体を通して用いられ、周期表からの族は、左から右に、1から18と番号付けされる(CRC化学物理学便覧(CRC Handbook of Chemistry and Physics)、第81版、2000)。
【0169】
ここで使用されるように、「溶液処理」は、液体媒体から堆積させることを含むプロセスを意味する。液体媒体は、溶液、分散液、エマルションの形態、または他の形態であることができる。
【0170】
「層」または「フィルム」という用語は、所望の領域を被覆するコーティングを指す。この領域は、ディスプレイ全体ほど大きいか、1つのサブピクセルなどの特定の機能領域ほど小さいことができる。フィルムを任意の従来の堆積技術によって形成することができる。典型的な液体堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングなどの連続堆積技術;ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷などの不連続液体堆積技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
ここで使用されるように、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらのいかなる他の変形も、非排他的な包含を網羅することが意図される。たとえば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、必ずしもそれらの要素のみに限定されないが、明白に記載されていないか、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。さらに、そうでないと明白に記載されていない限り、「または(or)」は、排他的なまたはではなく、包含的なまたはを指す。たとえば、条件AまたはBが、次のいずれか1つによって満たされる。Aが真であり(または存在し)、かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)、かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0172】
また、単数形(「the」、「a」、または「an」)は、本発明の要素および構成要素を説明するために使用される。これは、単に、便宜上、かつ本発明の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれなければならず、単数形は、別様に意味されることが明らかでない限り、また、複数形を含む。
【0173】
特に定義されない限り、ここで使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。特に定義されない限り、図中の文字符号はすべて、その原子略記を有する原子を表す。ここで説明されるものと同様であるか等しい方法および材料を、本発明の実施またはテストに用いることができるが、適切な方法および材料を以下で説明する。
【0174】
ここで挙げられる刊行物、特許出願、特許、および他の引例をすべて、それらの全体を引用により援用する。抵触する場合には、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および例は、例示にすぎず、限定することは意図されていない。
【実施例】
【0175】
次の実施例は、本発明のいくつかの特徴および利点を例示する。それらは、本発明を例示するが、限定しないことが意図される。パーセンテージはすべて、特に明記しない限り、重量による。
【0176】
(実施例1)
(実施例1.モノマー1から得られたポリマー)
【0177】
【化22】

【0178】
(モノマー1の合成)
化合物1への合成経路を以下に示す。
【0179】
【化23】

【0180】
すべての反応を窒素雰囲気下で行い、反応フラスコを部屋の明りから離して保った。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン(15.0g)、1−ヨードナフタレン(22.9g)、およびNaOBu(12.95g)のトルエン(無水、300mL)溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(4.12g)およびPBu(2.28g)の混合物を加えた。結果として生じる反応混合物を室温で5日間撹拌し、その後、それをセライトのプラグを通して濾過し、トルエン(3×500mL)で洗浄した。揮発性物質を回転(rotorary)蒸発によって除去し、生成物を、EtOAc/ヘキサン(1:5)を使用するカラムクロマトグラフィ(シリカ)、次いで、CHCl/ヘキサンからの結晶化によって精製して、67%の収率(17.6g)で1aをもたらした。
【0181】
次に、1a(17.6g)のトルエン(無水、480mL)溶液を、1−クロロ−4−ヨードベンゼン(28.6g)、NaOtBu(8.65g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(2.20g)、および1,1’−ビス(ジフェニホスフィノ(diphenyphosphino))フェロセン(2.66g)と混合した。結果として生じる反応混合物を100Cに48時間加熱し、その後、それをセライトのプラグを通して濾過し、トルエン(4×250mL)で洗浄した。揮発性物質を除去し、生成物を、1Lのヘキサンを使用するカラムクロマトグラフィ(シリカ)、次いで15%CHCl/ヘキサンによって精製して、64%(15.4g)の収率で白色粉末として1を与えた。
【0182】
(1の重合)
ビス(1,5−シクロオクタジエン)−ニッケル−(0)(3.334g、12.12mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(無水、15mL)溶液2,2’−ビピリジル(1.893g、12.12mmol)および1,5−シクロオクタジエン(1.311g、12.12mmol)に加えた。結果として生じる混合物を60Cに30分間加熱した。次に、油浴温度を70Cに上昇させ、1(4.846g、6.0mmol)のトルエン(無水、60mL)溶液を撹拌触媒混合物に急速に加えた。混合物を70Cで92時間撹拌した。反応混合物が室温に冷却した後、それを、約30mLの濃縮HClを含有するアセトン/メタノール(体積による50:50)混合物600mL中に、激しく撹拌しながら、ゆっくり注いだ。淡灰色繊維(fiberous)沈殿物が形成し、これは、撹拌の間部分的にばらばらになった。混合物を1時間撹拌し、固体を濾過によって単離した。固体をクロロホルム約200mLに溶解し、約30mLの濃縮HClを含有するアセトン/メタノール(50:50)混合物1200mL中に、激しく撹拌しながら注いだ。淡灰色繊維塊が形成し、これを1時間撹拌し、濾過によって単離した。固体を再び約200mLのクロロホルムに溶解し、シリカゲル60のベッド(約3〜4cm)を通過させた。フィルタベッドを約400mLのクロロホルムですすぎ、組合されたクロロホルム溶液を約150〜200mLに濃縮し、アセトン/メタノール(体積による50:50)1600mL中に、激しく撹拌しながら注いだ。わずかにオフホワイト色の繊維沈殿物が形成し、これを1時間撹拌した。固体を濾過によって単離し、真空下で一晩乾燥させた。固体をテトラヒドロフラン(250mL)に溶解し、次に、酢酸エチル1500mL中に、激しく撹拌しながらゆっくり注いだ。ポリマーは、わずかにオフホワイト色の繊維スラリーとして沈殿した。この混合物を1時間撹拌した後、沈殿物(precipirate)を濾過によって単離した。この固体をより多くの時間テトラヒドロフラン(220mL)に再溶解し、0.2umシリンジフィルタ(PTFEフィルタ膜)を通して濾過し、メタノール1200mL中に、激しく撹拌しながらゆっくり注いだ。ポリマーは白色繊維スラリーとして沈殿し、これを濾過によって単離した。結果として生じる材料を真空下で一晩乾燥させた後、ポリマー3.31g(75%)を単離した。GPC(THF、室温):Mn=92,000;Mw=219,900;Mw/Mn=2.39。
【0183】
(実施例2.ポリマー2の合成)
ポリマー2への合成経路を以下に示す。
【0184】
【化24】

【0185】
すべての操作を窒素の雰囲気下で行った。200mLフラスコに、4,4’−ブロモフェニル(ヘキサフルオロイソプロピリデン)(3.64g、7.87mmol)、N,N−ジフェニルベジジン(diphenylbezidine)(2.67、7.93mmol)、NaOBu(2.29、23.8mmol)、トルエン(無水、95mL)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.363g、0.4mmol)とPBu(0.482g、2.4mmol)との溶液(10mL、トルエン)を投入した。結果として生じる反応混合物を100℃に48時間加熱した。ブロモベンゼン(2.74g、17.4mmol)を反応混合物に加え、さらに24時間撹拌させた。室温に冷却した後、混合物を空気にさらし、50%トルエン/DMFで希釈して、1%溶液(約1リットル)を製造し、これをセライトの1インチのパッドを通して濾過した。黄色濾液を約300mLに体積を低減し、その後、それを、激しく撹拌している50%MeOH/アセトン(約1800mL)の溶液にゆっくり加えた。形成された沈殿物を、これを濾過によって単離し、真空下で乾燥させて、オフホワイト色固体4.892g(97%)を与えた。これをCHClに溶解して、約8%溶液を製造し、これを、激しく撹拌している6倍の体積のヘキサンに滴状に加えて、固体を生じさせた。濾過および乾燥後、結果として生じる固体をCHClに溶解し(1%溶液)、6倍の体積の沸騰しているアセトニトリル中に再び沈殿させた。沈殿したものを濾過し、真空乾燥させて、淡黄色粉末状材料2.274gをもたらした。GPC(THF、室温):Mn=10,100;Mw=20,800;Mw/Mn=2.06。
【0186】
(実施例3.ポリマー3の合成)
ポリマー3への合成経路を以下に示す。
【0187】
【化25】

【0188】
すべての操作を窒素の雰囲気下で行った。200mLフラスコに、4,4’−ブロモフェニルイソプロピリデン(1.00g、2.82mmol)、N,N−ジフェニルベジジン(0.96g、2.82mmol)、NaOBu(0.85、8.5mmol)、トルエン(無水、30mL)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.13g、0.14mmol)とPBu(0.17g、0.85mmol)との溶液(5mL、トルエン)を投入した。結果として生じる反応混合物を100℃に48時間加熱した。ブロモベンゼン(0.98g、0.62mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.032g)およびPBu(0.042g)。さらなる24時間後、反応混合物を50%トルエン/DMFで希釈して、1%溶液を製造した。濾過後、溶媒を蒸発させ、結果として生じる固体をCHCl(1L)で溶解し、次に、濃縮して粘性溶液にし、これをヘキサン中に沈殿させ、2回濾過して、すべての粒子を取出した。粉末を一晩乾燥させ、次に、クロロホルムに溶解し、沸騰しているCHCN中に再沈殿させ、2回濾過した。乾燥後、淡黄色粉末を42%の収率(0.629g)で単離した。Mn=3370;Mw=10,200;Mw/Mn=3.02。
【0189】
(実施例4.ダイマー4の合成)
【0190】
【化26】

【0191】
すべての操作を窒素の雰囲気下で行った。シュレンクフラスコに、N,N’−ジフェニル−N−ナフト(naphth)−1−イル−ベンジジン(2.00g、4.32mmol)、4,4’−ブロモフェニル(ヘキサフルオロイソプロピリデン)(0.95g、2.06mmol)、NaOBu(0.623g、23.8mmol)、トルエン(無水、40mL)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.198g、0.2mmol)とPBu(0.262g、1.3mmol)との溶液(5mL、トルエン)を投入した。混合物を100Cに12時間加熱した。室温に冷却した後、溶液をCHClで希釈し、セライトを通して濾過した。揮発性物質の蒸発が褐色固体を与え、それを最小のCHClに溶解し、MeOHから沈殿する。濾過および乾燥後、固体をクロマトグラフィによって精製した(シリカ、1:2 CHCl/ヘキサン。結晶化(CHCl/MeOH)によるさらなる精製が、化合物4を、81%の収率(2.04g)でオフホワイト色粉末としてもたらした。H NMR(CDCl,500MHz):δ 7.97(d,2H);7.92(d,2H);7.82(d,2H);7.49(m,8H);7.40(m,8H);7.30(t,4H);7.24(m,8H);7.15(m,8H);7.06(m,8H);6.97(t,2H);19F NMR(CDCl,376.86MHz):δ−64.66(s)。
【0192】
(実施例4.ダイマー5の合成)
【0193】
【化27】

【0194】
すべての操作を窒素の雰囲気下で行った。丸底フラスコ4”,4’’’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビキス(bix)(4−フェノキシアニリン)(10.08g、19.5mmol)、1−ヨードナフタレン(14.83g、58.4mmol)、NaOBu(5.61g、58.4mmol)、トルエン(無水、300mL)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(1.78g、1.95mmol)とPBu(0.98g、4.87mmol)との溶液(10mL、トルエン)。混合物を室温で4日間撹拌した。結果として生じる混合物を水で洗浄し、有機層をMgSOで乾燥させた。揮発性物質の除去が褐色油をもたらし、これを、ヘキサン(1.5L)、次いで、極性を純EtOAcまで増加させるヘキサン:EtOAc混合物を使用して、カラムクロマトグラフィによって精製した。所望の化合物5を白色粉末(1.0g)として単離した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 8.03(d,1H);7.85(d,1H);7.67(d,1H);7.43(t,1H);7.30(m,3H);7.17(d,1H);6.88(d,1H);6.83(d,1H);6.72(d,1H);19F NMR(CDCl,376.86MHz):δ−64.81(s)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III):
【化1】

[式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択され、Rは、H、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択され、Eは、−C(CH−、および−C(CF−から選択される
を有することを特徴とする化合物。
【請求項2】
は出現するごとに異なることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
n=1、RはHであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記式(III)の化合物中の少なくとも1つの芳香環が、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記式(III)の化合物中の2つの隣り合う芳香環上の置換基が、一緒になって芳香環または非芳香環を形成することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
少なくとも1つの芳香環上の隣接した置換基が、一緒になって縮合芳香環または縮合非芳香環を形成することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
【化2】

[式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択されRは、H、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択され、Eは、−C(CH−、および−C(CF−から選択される
から選択される少なくとも1つの化合物の化合物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
前記層が電荷輸送層であることを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記層が発光層であることを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスが、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、レーザダイオード、光検出器、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器、光起電力デバイス、太陽電池、トランジスタ、またはダイオードから選択されることを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
ポリマーを生成するための方法であって、
(a)下記式(III):
【化3】

[式中、
nは少なくとも1の整数であり、Rは、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択され、Rは、H、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択され、Eは、−C(CH−、および−C(CF−から選択される
を有する2つ以上の化合物を提供する工程と、
(b)24から92時間にわたって22℃から150℃の温度に維持しながら、銅触媒、ニッケル触媒、またはパラジウム触媒の存在下で前記化合物を反応させて、第1のポリマーを形成する工程と、
(c)前記ポリマーを末端キャッピング基で処理して、キャップされたポリマーを形成する工程と、
(d)前記キャップされたポリマーを24から48時間さらに反応させて、前記ポリマーを生成する工程とを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−173893(P2011−173893A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74540(P2011−74540)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2006−554290(P2006−554290)の分割
【原出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】