説明

新規な硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料、その調製のための方法、ならびにエネルギーの貯蔵および放出におけるその使用

【課題】硫黄系強酸を含浸させることによる、硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の調製方法、およびこの方法に従って得ることができる超静電容量特性を有する材料を使用したエネルギー貯蔵システム用に意図された電極を提供する。
【解決手段】(i)ポリヒドロキシベンゼン/ホルムアルデヒド型の少なくとも1種の親水性ポリマーを含むゲルを乾燥させる段階と、(ii)段階(i)の間に得られた材料を熱分解する段階と、(iii)段階(ii)から得られた材料に硫黄系強酸を含浸させる段階と、(iv)段階(iii)の最後に得られた硫黄改質材料を、300℃から500℃、好ましくは350℃から500℃、より好ましくはさらに300℃から400℃の温度で熱処理する段階とを含む硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の調製のための新規な方法、この方法に従って得ることができる材料であって、最適化された超静電容量特性を示す材料、およびエネルギー貯蔵システム用に意図された電極を製造するための、これらの材料の使用である。本発明はまた、本発明による硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料で構成される電極、ならびにそのような電極を備えるリチウム電池、および電気化学キャパシタとしても知られるスーパーキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーキャパシタは、一般に、イオン性電解質中に含浸され、イオン伝導性を実現するとともに電極間の電気接触を防止する「セパレータ」と呼ばれる絶縁膜により隔てられた、高い比表面積を有する2つの導電性電極の組合せからなる。各電極は、外部システムとの電流の交換を可能とする金属コレクタと接触している。2つの電極間に印加される電位の差の影響により、電解質内に存在するイオンは、反対の電荷を示す表面により引き付けられ、結果として各電極の界面に電気化学二重層を形成する。したがって、電気エネルギーは、電荷の分離により静電的に貯蔵される。
【0003】
そのようなスーパーキャパシタの静電容量の式は、従来の電気キャパシタの式と同一であり、つまり
C=ε.S/t
であり、式中、
ε:媒体の誘電率、
S:二重層により占有される表面積、および
t:二重層の厚さ
である。
【0004】
スーパーキャパシタ内で達成可能な静電容量は、従来のキャパシタにより一般に達成される静電容量を大きく上回るが、これは、高い比表面積を有する多孔質電極の使用(表面積の最大化)、および電気化学二重層が著しく薄いこと(数ナノメートル)に起因する。
【0005】
さらに、キャパシタ内に貯蔵されるエネルギーは、以下の式:
E=1/2.C.V
により定義され、式中、Vは、スーパーキャパシタの電位である。
【0006】
静電容量および電位は、スーパーキャパシタの性能を促進するために最適化する必要がある2つの不可欠なパラメータであり、電位は、電場の影響下での電解質の安定性に直接依存する。
【0007】
したがって、使用される電極は、必然的に、
− 電荷の輸送を提供するために、導電性であること、
− イオン電荷の輸送および広い表面積にわたる電気二重層の形成を提供するために、多孔質であること、ならびに
− エネルギーを消費するいかなる副反応も防止するために、化学的に不活性であること
を満たさなければならない。
【0008】
したがって、エネルギー貯蔵システムは、大きなエネルギーを伝達しながら高電力を必要とする用途に特に有利である。速やかな充放電の可能性、電池に関する寿命の増加、および非毒性の生成物に基づくシステムを有する可能性により、スーパーキャパシタは、多くの用途において有望な候補となっている。
【0009】
粉末またはモノリス形態の多孔質炭素系材料は、そのような用途において最も好適であると思われる。従来技術において説明されている多孔質炭素系材料のうち、カーボンエアロゲルは、その高い空隙率に起因して、超静電容量用途において有利な特性を示す(R. W. Pekalaら、J. Mater. Sci.、24 (1989)、3221;C. Linら、Carbon、35 (1997)、1271;B. Mathieuら、Ann. Chim. Fr.、22 (1997)、19)。
【0010】
炭素系材料の比表面積および電解質が実際に到達可能な空隙率は、電気化学二重層の確立および最適化において不可欠な因子である。得られる静電容量は、一般に、材料の乾燥重量に対して表現される。使用される用語は、乾燥炭素のF/gで表現される「比静電容量」である。それでも、この計算方法は、電極として使用される際の材料の性能の典型ではないという点で不十分である。定量的な数値評価と実際の性能との間のより良好なバランスは、材料の細孔容積を考慮した、この材料の重量当たりの全静電容量の評価により得ることができる。炭素系電極の性能を最大化するには、理想的には、材料の細孔容積を低減しながら、到達可能な表面積の関数であるこの静電容量を何とかして増加させることが必要である。これは、この容積が電解質(電極の最終重量を増加させる)により占有され、この電解質が重量当たりの全静電容量(電解質で充填された炭素のF/gで表現される)を低下させるためである。同じシステムの2つの電極は同じ比静電容量を有することを考慮して、「平均比静電容量」と呼ばれる。
【0011】
国際公開第2009/125094号には、レゾルシノール/ホルムアルデヒドラテックス(RFL)型の熱分解から得られる炭素系材料が記載されており、これらの材料は、調節された空隙率を示す。しかしながら、これらの材料の平均静電容量は、さらに改善することができる。
【0012】
このように、炭素系材料の静電容量性能を向上させることができる様々な化学処理は、文献において説明されている。そのような化学処理は、典型的には、CO、HNO、HまたはKOHを使用した活性化を含む(J. L. Figueiredo、Carbon、37 (1999)、1379)。大半の場合において、これらの処理は、炭素の局所的破壊によるさらなる空隙率の形成にある(C. Linら、Carbon、38 (2000)、849)。この手法の欠点は、静電容量および細孔容積が同時に増加することである。したがって、全比静電容量(電解質で充填された炭素のF/gで表現される)の増加は、材料の重量が静電容量と並行して増加するため、体系的ではない。
【0013】
さらに、活性化処理は、炭素表面の酸化をもたらし、酸化還元活性を示す酸素系官能基の著しいグラフトを多少なりとももたらす(B. E. Conway、Electrochemical Supercapacitors − Scientific Fundamentals and Technological Applications、186〜190頁)。生成される現象はファラデー的であり、また表面で生じるため、迅速であり、静電容量の寄与に相当する(擬似容量と呼ばれる)。
【0014】
酸素系官能基の存在はまた、電極/電解質界面における湿潤性、また実際にはさらに化学的および電気化学的反応性にも影響し得、したがって電気化学二重層の確立を促進し得る(C. T. Hsieh、Carbon、40 (2002)、667)。しかしながら、そのようなグラフトされた材料の擬似容量は、依然として改善されるべきである。
【0015】
米国特許第5,993,996号は、エネルギー貯蔵デバイスに関する。この文献には、フェノール樹脂から得られる多孔質炭素系材料の処理のための方法が記載されており、前記方法は、650℃から900℃の温度での水素化段階(これは、炭素系材料表面の酸素系官能基を排除することを意図した還元段階である)と、それに続く、290℃に達し得る温度で濃硫酸溶液を使用して行われるスルホン化段階とを含む。それにもかかわらず、この方法は、必然的に事前の水素化段階を含んでいる点で、依然として複雑である。
【0016】
従来技術の他の文献は、多孔質炭素系材料内に硫黄をグラフトし、またその含量を最大化するための方法を提供する。
【0017】
Bakerら(W. S. Bakerら、J. Non−Cryst. Solids、350 (2004)、80〜87)は、特に、レゾルシノール/ホルムアルデヒド(RF)ゲルを3−チオフェンカルボキシアルデヒドと反応させることによる、炭素系表面の改質を記載しており、3−チオフェンカルボキシアルデヒドは、RF系をゲル化した後にネットワーク内に挿入される。したがって、チオフェン基は、ゲルの構造内に組み込まれ、熱分解後に、硫黄系官能性残基の出現をもたらす。これにより得られる材料の大きな欠点は、その非常に低い密度および容積当たりの静電容量である。さらに、この方法は多くの段階を含み、非常に長い実行時間(数日)を要する。
【0018】
Zhangら(B. Zhangら、Electrochimica Acta、54 (2009)、3708〜3713)は、アセチレンブラックおよび硫黄の混合物の熱処理により得られる、硫黄系炭素系材料の調製を記載している。この技術により、大量の硫黄(36質量%)を含む黒鉛状炭素系材料を得ることができる。これらの材料(PTFE型の結合剤との混合物)は、ファラデー系、すなわちLi−S電池におけるカソードとして使用される。そのような系において、物質の拡散は緩やかであり(電極の全体的な反応速度が制限されている)、このため、そのような材料は超静電容量用途に好適とはならない。
【0019】
Valenzuela Calahorroら(C. Valenzuela Calahorroら、Carbon、Vol. 28、Nos. 2/3、321〜335頁、1990)は、異なる加熱条件による、ガス状物質HSおよびSOを使用した活性炭素系材料への硫黄の導入を記載している。しかしながら、そのようなガスの使用に基づく工業プロセスは有毒であり、実行するには依然として複雑である。
【0020】
Lakshmiら(N. Lakshmiら、J. Phys. D: Appl. Phys.、39 (2006)、2785〜2790)は、燃料電池における使用を意図した粉末形態の炭素系材料を記載しており、この炭素系材料は、235℃の温度での硫酸アンモニウムによる処理に供され、結果として三酸化硫黄SOを生成する。続いて、三酸化硫黄は材料表面に位置する水素と反応する。
(NHSO→2NH+HO+SO
炭素−H+SO→炭素−SO
それにもかかわらず、硫酸アンモニウム(NHSOで処理されたRFまたはRFLは、非常に低い静電容量を示す。
【0021】
しかしながら、従来技術の解決策とは対照的に、本発明は、表面上に制御された含量の硫黄が存在する結果、最適化された超静電容量特性を有するモノリシック多孔質炭素系材料を得ることができる新規な方法を提供し、これらの材料は、硫黄系強酸と接触させ、続いて特定の熱処理段階を行うことにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際公開第2009/125094号
【特許文献2】米国特許第5,993,996号
【特許文献3】米国特許第6,753,382号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】R. W. Pekalaら、J. Mater. Sci.、24 (1989)、3221
【非特許文献2】C. Linら、Carbon、35 (1997)、1271
【非特許文献3】B. Mathieuら、Ann. Chim. Fr.、22 (1997)、19
【非特許文献4】J. L. Figueiredo、Carbon、37 (1999)、1379
【非特許文献5】C. Linら、Carbon、38 (2000)、849
【非特許文献6】B. E. Conway、Electrochemical Supercapacitors − Scientific Fundamentals and Technological Applications、186〜190頁
【非特許文献7】C. T. Hsieh、Carbon、40 (2002)、667
【非特許文献8】W. S. Bakerら、J. Non−Cryst. Solids、350 (2004)、80〜87
【非特許文献9】B. Zhangら、Electrochimica Acta、54 (2009)、3708〜3713
【非特許文献10】C. Valenzuela Calahorroら、Carbon、Vol. 28、Nos. 2/3、321〜335頁、1990
【非特許文献11】N. Lakshmiら、J. Phys. D: Appl. Phys.、39 (2006)、2785〜2790
【非特許文献12】Colloid and Polymer Science (1975)、第253巻、538〜54頁
【非特許文献13】S. Brunauerら、J. Am. Chem. Soc.、60 (1938)、309
【非特許文献14】J. R. MillerおよびA. F. Burke、「Electric vehicle capacitor test procedure manual」、1994、DOE/ID10491、21〜25頁
【非特許文献15】N. Lakshmiら、J. Phys. D: Appl. Phys.、39 (2006)、2785〜2790
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的の1つは、硫黄改質多孔質炭素系材料の調製のための方法を開発することにあり、この方法に従い得られる材料は、従来技術の材料と比較して、極めて改善されたエネルギー性能を示し、これは、前記材料内に存在する硫黄の量を最適化することにより達成される。これは、本発明の方法が、それにより得られる材料のエネルギー性能、より具体的には静電容量およびエネルギー効率の最大限化を可能とすることを、本発明者らが実証したためである。
【0025】
さらに、従来技術の炭素系材料の大部分は、材料の機械加工を不可能とする制限された機械強度を示す。そのような材料から電極を製造するためには、まずそれらを粉末まで微細化することが必要であり、次いでこの粉末は、結合剤、一般にはフッ素ポリマーとの混合物として圧縮される。結合剤は非導電性物質であるため、そのような電極の重量当たりの静電容量は制限されており、モノリスの形態とした場合の炭素系材料自体の静電容量より小さい。
【課題を解決するための手段】
【0026】
したがって、本発明者らは、高密度、ひいては高機械強度を有すると同時に、改善された静電容量もまた有する材料の開発を追及した。本発明は、特に、機械加工可能なモノリシック炭素系材料に関する。
【0027】
本発明者らはまた、経済的で、実行が容易であり、工業規模で適用可能な製品および方法を探究した。具体的には、従来技術のある特定の方法とは対照的に、本発明の方法は、事前の水素化段階を必要としない利点を示す。
【0028】
したがって、本発明の第1の主題は、向上した超静電容量特性を示す硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の調製のための方法であって、少なくとも、
(i)ポリヒドロキシベンゼン/ホルムアルデヒド型の少なくとも1種の親水性ポリマーを含むゲルを乾燥させる段階と、
(ii)段階(i)の間に得られた材料を熱分解する段階と、
(iii)段階(ii)から得られたモノリシック炭素系材料に硫黄系強酸を含浸させる段階と、
(iv)段階(iii)の最後に得られた硫黄改質材料を、300℃から500℃、好ましくは350℃から500℃、より好ましくはさらに300℃から400℃の温度で熱処理する段階とを含み、
水素化段階を含まない方法である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
「ゲル」という用語は、自発的にまたは触媒作用下で、コロイド状溶液の凝集および凝固により形成される、コロイド状材料と液体との混合物を意味するように理解される。
【0030】
使用されるポリヒドロキシベンゼン/ホルムアルデヒド(RF)型の親水性ポリマーは、ポリヒドロキシベンゼン型の少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種のホルムアルデヒドモノマーとの重縮合から得られるポリマーであり、この重合反応は、3種以上の異なるモノマーを含むことができ、追加的モノマーは、ポリヒドロキシベンゼン型であるか、またはポリヒドロキシベンゼン型ではない。
【0031】
本発明に関連して使用されるポリヒドロキシベンゼンは、好ましくは、ジ−またはトリヒドロキシベンゼンであり、有利には、レゾルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、またはレゾルシノールとカテコール、ヒドロキノンもしくはフロログルシノールから選択される別の化合物との混合物である。
【0032】
ポリマー系、好ましくはレゾルシノール/ホルムアルデヒド系は、さらに、ラテックスと混合されてもよい。
【0033】
「ラテックス」という用語は、エラストマーの水性ディスパーションを意味するように理解される。有利には、本発明によれば、3から7.5、有利には5.5から7.5のpHを有するラテックスが使用される。
【0034】
好ましくは、ラテックスは、窒素系ラテックス、つまりニトリル、アゾ、アミンまたはアミド官能基等の窒素系官能基を有するラテックスである。
【0035】
本発明の窒素系ラテックスは、好ましくは、ラテックスの組み合わせたモノマーに対して、0.1mol%から95mol%に相当する窒素系モノマーの量を特徴とする。これらの量は、ラテックスが分散される水を除く活性材料に関して評価される。
【0036】
本発明によれば、ラテックスは、少なくとも2種のラテックス、窒素系ラテックスおよび非窒素系ラテックスの混合物であってもよい。有利には、窒素系ラテックスは、ラテックスの重量の5%から100%に相当する。
【0037】
使用され得る窒素系ラテックスのうち、ニトリルゴム、アクリロニトリルおよびブタジエンのコポリマー(NBR)、アクリロニトリルおよびブタジエンの水素化コポリマー(HNBR)、スチレンおよびアクリロニトリルのコポリマー(SAN)、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのターポリマー(ABS)、スチレン、アクリロニトリルおよびスチレンのターポリマー(SAS)、またはポリウレタンエラストマーを挙げることができる。これらのポリマーは、ラテックス形態であってもよく、または、必要に応じて粒子もしくは繊維の懸濁液の形態であってもよい。これらのポリマーは、部分的に事前に架橋されていてもいなくてもよく、またさらにミクロゲルの形態であってもよい。
【0038】
そのような製品は、Nipol(登録商標)、Lipolan(登録商標)およびPerbunan−N(登録商標)の名称で市販されている。水素化NBR(HNBR)、カルボキシル化NBR(XNBR)およびHXNBRの製品は、Polymer Latex社、Lanxess社、住友社および日本ゼオン社により製造されている。
【0039】
スチレン/アクリロニトリル(SAN)ラテックスは、Colloid and Polymer Science (1975)、第253巻、538〜54頁に記載されており、またSANブタジエンスチレンコア/シェルラテックスは、米国特許第6,753,382号に記載されている。
【0040】
本発明のゲルにおいて、Rで示され好ましくはレゾルシノールであるポリヒドロキシベンゼンの、Fで示されるホルムアルデヒドに対するモル比は、0.4≦R/F≦0.6、好ましくは0.45≦R/F≦0.55である。有利には、R/F≒0.5である。
【0041】
ラテックス粒子(W)の、全構成成分の合計W+W+W(式中、W=ポリヒドロキシベンゼン(好ましくはレゾルシノール)の重量であり、W=ホルムアルデヒドの重量である)に対する重量比は、以下の範囲内である。
【0042】
【数1】

【0043】
好ましくは、この比は、生成物の密度、ひいてはその機械強度の増加を促進するために、1%から40%、より好ましくは1%から30%、より好ましくはさらに2%から15%である。
【0044】
この計算において、ラテックスの粒子の重量Wは、溶媒なしで評価される。ラテックス粒子の重量は、ラテックスディスパーションの総重量から水の重量を差し引くことにより計算される。
【0045】
ポリヒドロキシベンゼン/ホルムアルデヒド型の少なくとも1種の親水性ポリマーを含むゲルを乾燥させる段階(i)は、好ましくは、一定容積で、有利には圧力下で、炉内において70℃から90℃の範囲の温度で、12時間から72時間の期間行われる。工業規模では、乾燥段階は、制御雰囲気下で行うことができる。
【0046】
溶媒の交換に次ぐ超臨界CO媒体中での乾燥による、またはガス流下もしくは制御湿度下の環境制御チャンバ内での対流乾燥による、または凍結乾燥による様々な乾燥方法が想定され得る。
【0047】
好ましくは、溶媒の交換に次ぐ超臨界CO媒体中での乾燥による、または制御湿度下の環境制御チャンバ内での対流乾燥による乾燥を適用するように選択されるが、これらの2つの乾燥方法により、変形または亀裂のない生成物を得ることができる。最も安価な乾燥方法であるという点で、対流乾燥が最も好ましい。
【0048】
段階(i)の終了後に得られた乾燥ゲルは、続いて段階(ii)の間に熱分解される。
【0049】
段階(ii)は、以下のプロトコール:
好ましくは1℃/分から5℃/分の速度での、400〜500℃の温度までの緩やかな昇温(約1時間、この温度を維持することが可能であり、この昇温により、材料の機械強度を改善することができる)、続いて
好ましくは5℃/分から20℃/分の速度での、800〜1500℃の温度までのより急な昇温(約2時間、この温度を維持することが可能である)
に従って、窒素雰囲気下で有利に行われる。
【0050】
本発明の方法の段階(ii)は、材料中に存在する全成分の炭化をもたらし、材料の体積が減少する。材料は、材料の機械加工を可能とする高機械強度のモノリスの形態で存在する。しかしながら、本発明の代替の形態によれば、前記炭素系材料は、所望により、粉末まで微細化されてもよい。
【0051】
本発明の方法の段階(iii)は、段階(ii)の間に得られた炭素系材料を、硫黄系強酸と接触させることにある後処理段階である。
【0052】
「硫黄系強酸」という用語は、硫黄をベースとするpH<1の酸を意味するように理解される。有利な実施形態によれば、硫黄系強酸は、溶液形態で提供される。硫黄系強酸は、硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸およびフルオロスルホン酸から選択することができ、最も好ましい硫黄系強酸は、硫酸である。使用される硫黄系強酸は、好ましくは、0.5Mから飽和濃度、好ましくは1Mから飽和濃度までの濃度の溶液形態で使用される。
【0053】
好ましい実施形態によれば、段階(iii)は1時間から24時間の期間、硫黄系強酸の溶液中に含浸することにより行われる。
【0054】
本発明の方法の段階(iii)の終了後に得られた材料は、続いて、熱処理する段階(iv)に供され、前記熱処理は、好ましくは、窒素流下(流速は0.1L/分から1L/分の範囲)、1℃/分から20℃/分の速度で、300℃から500℃まで、好ましくは300℃から400℃まで変動し得るプラトー領域まで、1分から12時間、好ましくは2時間以内であってもよい期間行われる。したがって、材料中の硫黄系強酸の分解から生じるガスの拡散は、熱処理の速度、温度および/または期間を変更することにより制御することができる。
【0055】
熱処理の間、硫酸は分解して、三酸化硫黄を生じる(反応は実質的に450℃で完了する)。炭素系材料の表面に存在する官能基に依存して、具体的には以下の反応が生じ得る。
炭素−H+SO→炭素−SOH(スルホン化)
R−OH+HSO→R−O−SOH+H
したがって、放出された三酸化硫黄は、材料の全ての細孔を通して拡散する。
【0056】
本発明の別の主題は、本発明の方法に従って得ることができる硫黄改質多孔質炭素系材料であって、0.01%から0.5%まで変動する硫黄の表面原子百分率を有し、0.5から1.3まで、好ましくは0.7から1.3までの範囲の密度を示す材料である。有利には、硫黄の表面原子百分率は、0.1%から0.5%まで変動し、密度は0.75から1.1まで変動する。十分な機械強度を有しながら、可能な限り小さい体積でのエネルギー貯蔵を可能とし、ひいては体積制限に適合するためには、これらの特性、特に密度の最適化が不可欠である。
【0057】
本発明の炭素系材料は、さらに、0.4cm/gから1cm/gまで、より好ましくはさらに0.4cm/gから0.75cm/gまで変動し得る細孔容積(BETまたは乾式含浸法により測定される)を特徴とする。
【0058】
本発明の炭素系材料は、炭素モノリスである。「炭素モノリス」という用語は、本質的に炭素原子で構成される単一ブロックで形成される材料を意味するように理解される。それにもかかわらず、本発明の炭素系材料は、16%から23%の範囲の酸素原子の表面濃度、および0%から1%の範囲の窒素原子の表面濃度を示し得る。
【0059】
多孔質材料は、それに含まれる細孔のサイズにより特徴付けられる。
【0060】
直径が2nm未満の細孔を有する材料は、ミクロ多孔質と呼ばれる。直径が2nmから50nmの細孔を有する材料は、メソ多孔質と呼ばれる。最後に、直径が50nmを超える細孔を有する材料は、マクロ多孔質と呼ばれる。
【0061】
有利には、本発明の炭素系材料は、細孔のネットワークを示し、その少なくとも10%はメソ多孔質(2nmから50nmの直径の細孔サイズを有する)であり、好ましくは20%超がメソ多孔質である。
【0062】
有利な実施形態によれば、本発明の炭素系材料は、BET法に従い測定された500m/g以上の比表面積を示す。
【0063】
本発明の材料はまた、1M HSO水溶液中で測定された好ましくは140F/g以上の重量(電解質で充填後)当たりの平均全容量、または、6M KOH水溶液中で測定された120F/g以上の重量当たりの平均全静電容量を特徴とする。
【0064】
重量当たりの平均全静電容量は、電解質で充填された材料に対して測定される材料の重量当たりの平均静電容量である。これは、材料を電解質溶液中に含浸した後に測定される。この平均全静電容量は、使用される電解質により変動し、特に電解質の密度に依存する。
【0065】
本発明に従い定義される硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の、超静電容量エネルギー貯蔵システム用に意図された電極を製造するための使用もまた、本発明の一部を成す。
【0066】
最後に、本発明はまた、本発明による少なくとも1つの電極を備えるリチウム電池用の、本発明による硫黄改質多孔質炭素系材料で構成される電極に関する。
【0067】
本発明の電極はまた、本発明の材料を粉末まで微細化し、次いでその粉末を、結合剤、一般にはフルオロポリマーとの混合物として圧縮することにより調製され得る。この追加的段階は、炭素系材料の硫黄系強酸による後処理段階(iii)の前または後に行うことができる。
【0068】
上記対策に加えて、本発明はまた、以下の残りの記載から派生する他の対策もまた含み、以下の説明は、本発明の方法に従い得られる炭素系材料の有利な特性を実証する例、および添付の図面に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の定義に対応する硫黄改質多孔質炭素系材料(実施例1の炭素系材料)のXPS分析を示す図である。
【図2】本発明の方法に従い調製された炭素系材料、および従来技術の典型となる方法に従い得られた炭素系材料のそれぞれに対して得られた、クロノポテンショグラムを示す図である。
【図3】硫黄による後処理後に炭素系材料(実施例2の炭素系材料)の表面にグラフトされた硫黄の含量の関数としての、エネルギー効率を示す図である。
【実施例1】
【0070】
1−合成プロトコール
ラテックスであるNBRエラストマーの粒子の存在下でのレゾルシノールとホルムアルデヒドとの重縮合から、ゲルが生成する。
【0071】
レゾルシノール/ホルムアルデヒド(R/F)およびレゾルシノール/触媒(R/C)モル比、ならびにレゾルシノール/水(R/W)重量比は、それぞれ、0.5、600および0.4に設定した。
【0072】
使用されるホルムアルデヒドは、水溶液(10%から15%までのメタノールの存在下で安定化されている)の形態であり、その水溶液中に存在する水の量は、配合物中に存在する水の全体積、ひいてはR/W比において考慮される。
【0073】
まずレゾルシノール(10.204g、Acros社により供給、98%グレード)を蒸留水に溶解する。続いて、ホルムアルデヒド水溶液(Riedel de Haen社製、36.5%溶液として)を添加する:14.944g。
【0074】
系に添加されるラテックス粒子(Latex Perbunan(登録商標)RN−2890)の含量は、以下の比に従い定義される。
【0075】
【数2】

【0076】
この計算重量は、ラテックス粒子の重量を表し、ラテックス溶液の全体的重量を表すものではない。ゲル中に存在するラテックスの含量は5%である。
【0077】
最終混合物を気密性チャンバ内に注ぎ、これを90℃の炉内に1日置いておく。依然として存在する微量の反応物質を除去するために、得られたゲルを蒸留水中に2時間含浸することにより洗浄する。
【0078】
続いて、85%の湿度を示す85℃の環境制御チャンバ内にゲルを置く。
【0079】
続いて、乾燥したゲルを、以下のプロトコール:
5℃/分での、400℃の温度までの昇温(この温度は1時間維持される)、次いで
5℃/分での、800℃の温度までの昇温(この温度は2時間維持される)
に従って、0.15L/分の窒素流下で熱分解し、続いてゲルを周囲温度に戻す。
【0080】
このようにして得られた炭素系材料を、18M硫酸溶液中に置き、15分間超音波処理に供し(これは材料の細孔の充填を促進するために行われる)、次いで12時間硫酸溶液中に含浸したままとするが、これは硫酸溶液による細孔の充填を最適化するために行われる。
【0081】
続いて、酸を含浸させた炭素系材料を、0.15L/分の窒素流下の炉内に置き、5℃/分での350℃のプラトー領域までの昇温に供し、次いでこの温度で1時間維持する。
II−XPS分析
単色AlKα線源を有するPHI Quantera SXM機器を使用して、XPS分析を行う。X線光子による分析深度は10nm未満(約3nm)であり、検出角度は試料に対して45°である。
【0082】
この分析は、約169eVを中心とするピークを示し、これは酸化形態の硫黄の特徴を示している。図1は、特性ピークが観察され得る結合エネルギースペクトル領域を示す。定量分析は、0.45%の硫黄含量を示している。
III−細孔容積およびBET表面積の測定
炭素系材料のテクスチャ特性(比表面積および細孔容積)は、Micromeritics ASAP 2010デバイスにおいて、77Kでの窒素吸着マノメトリーにより分析した。炭素系材料の比表面積は、BET法を使用して吸着等温線から推定される(S. Brunauerら、J. Am. Chem. Soc.、60 (1938)、309)。全細孔容積は、P/P=0.95で吸着した容積の値を変換することにより、等温線上で直接決定される。
【0083】
得られた値は以下の通りである。
比表面積:Sspe=675±50m/g
細孔容積:Vtot=0.54±0.06cm/g
IV−静電容量およびエネルギー密度の測定
硫黄改質多孔質炭素系材料の静電容量は、EC−labソフトウェアにより制御されるVMP3ポテンショスタット(Biologic社製)を使用した三電極電気化学デバイスで特性決定した。炭素系材料は、特に、0.125A/電極gから0.5A/電極gの範囲の電流密度を使用したクロノポテンショメトリーにより特性決定した。
【0084】
作用電極および対極は、コレクタとして機能する白金メッシュと接触させた(既知の重量および表面積の)モノリシック炭素のシートで構成される。システムは、完全に対称的である。基準電極は、対極に短絡させる。
【0085】
静電容量は、1M硫酸HSO溶液および6M水酸化カリウムKOH溶液の2種の異なる水性電解質中で測定したが、これらの電解質は、標的とされる応用分野における基準水性電解質である。
【0086】
システムの全体的静電容量は、以下の等式を使用して、充電/放電曲線からファラッド(F)で測定した。
C=It/(V−V
炭素系材料の平均比静電容量は、電解質で充填された炭素系材料の重量に対して、直列の2つの電極の全体的静電容量から推定される。
【0087】
エネルギー密度は、J. R. MillerおよびA. F. Burke、「Electric vehicle capacitor test procedure manual」、1994、DOE/ID10491、21〜25頁に記載のプロトコールに従い測定した。
V−結果
硫黄で改質されていない多孔質炭素系材料に対しても測定を行ったが、前記材料は、上述のプロトコールに従うが硫黄による後処理または後続の熱処理を行わずに調製された(段階(iii)も段階(iv)も含まない方法)。
【0088】
クロノポテンショグラムは定電流モードでの特性決定中に生成され、試料に電流を印加し電位応答を観察した。このために、炭素系材料を二電極アセンブリにおいて0.25A/gでの充電/放電サイクルに供した。
【0089】
従来技術の方法に従い調製された炭素系材料および本発明の方法に従い調製された炭素系材料の、対称システム(1M HSO電解質)に対して得られたクロノポテンショグラムは、本発明の方法に従い得られた材料において50%の静電容量の増加を示している(図2を参照されたい)。
【0090】
結果は以下の表1にまとめられる。
【0091】
【表1】

【実施例2】
【0092】
比較例
1−合成プロトコール
実施例1において使用された量と等しい量を使用し、異なる処理条件を適用して、モノリシック炭素系材料を調製する。
【0093】
このようにして、2種の炭素系材料C1およびC2を調製した。
【0094】
まず、材料C1を、水素化段階(1℃/分で730℃までの昇温、次いでこの温度で5時間の維持)に供する。
【0095】
続いて、材料を純硫酸溶液中に置き、15分間超音波処理に供し(これは硫酸溶液による細孔の充填を最適化するために行われる)、12時間硫酸溶液中に含浸したままとする。
【0096】
続いて、酸を含浸させた各炭素系材料を、窒素流下の炉内に置き、5℃/分での125℃のプラトー領域までの昇温に供し、次いでこの温度で24時間の期間維持した。
II−硫黄含量の測定
実施例1に記載のように、XPS分析により硫黄含量を決定した。
【0097】
結果は以下の表2にまとめられ、本発明の方法に従い調製された炭素系材料の性能(実施例1を参照されたい)と比較される。
III−比表面積および細孔容積の測定
実施例1に記載のプロトコールと同様のプロトコールに従い、比表面積および細孔容積を決定した。
試料は、以下の比表面積および細孔容積を示す。
比表面積:Sspe=675±50m/g
細孔容積:Vtot=0.54±0.06cm/g
IV−結果
炭素系材料C1およびC2に対して得られた硫黄含量、全静電容量およびエネルギー密度は、以下の表2にまとめられる。
【0098】
【表2】

【0099】
炭素系材料C1およびC2の静電容量の比較は、125℃での熱処理を行う場合、静電容量性能を最大化するためには事前の水素化段階が必要であることを示している。一方、測定された平均静電容量は、本発明の方法に従い調製された炭素系材料の平均静電容量よりも低いままである。
【0100】
図3は、グラフトされた硫黄の含量の関数としての、上記炭素系材料(C1、C2および実施例1の炭素系材料)のエネルギー効率を示す。炭素系材料表面での硫黄含量(>0.5%)を最大化することは、エネルギー効率が低下するため、必ずしも性能の増加をもたらすとは限らないことが観察される。硫黄含量が増加すると(>0.5%)、自己放電の現象がより大きくなるようであり、硫黄系官能基は電解質の存在下で自発的に反応し(妨害的な酸化還元反応)、ひいてはエネルギー効率を制限する。
【実施例3】
【0101】
1−合成プロトコール
実施例1のプロトコールに従い、2種のモノリシック炭素系材料を調製するが、硫黄系強酸の性質および熱処理温度を変更する:硫酸および350℃での(1時間の)熱処理を、飽和(NHSO溶液および235℃での(30分間の)熱処理に置き換える(N. Lakshmiら、J. Phys. D: Appl. Phys.、39 (2006)、2785〜2790に記載の条件)。
II−比表面積および細孔容積の測定
実施例1に記載のプロトコールと同様のプロトコールに従い、比表面積および細孔容積を決定した。
【0102】
試料は、以下の比表面積および細孔容積を示す。
比表面積:Sspe=675±50m/g
細孔容積:Vtot=0.54±0.06cm/g
III−結果
結果は以下の表3にまとめられる。
【0103】
【表3】

【0104】
これらの結果は、硫黄含量の増加が必ずしも静電容量の増加を暗示するものではないことを示している。一方、グラフトされた硫黄系官能基の性質もまた、静電容量性能の改善に関して役割を担うようである。さらに、硫黄系前駆体の性質が、処理の有効性における決定的な因子であるようであり、炭素系材料の静電容量性能を改善するためには、pH<1の硫黄系強酸の溶液の使用が推奨される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の調製のための方法であって、少なくとも、
(i)ポリヒドロキシベンゼン/ホルムアルデヒド型の少なくとも1種の親水性ポリマーを含むゲルを乾燥させる段階と、
(ii)段階(i)の間に得られた材料を熱分解する段階と、
(iii)段階(ii)から得られた材料に硫黄系強酸を含浸させる段階と、
(iv)段階(iii)の最後に得られた硫黄改質材料を、300℃から500℃、好ましくは350℃から500℃、より好ましくはさらに300℃から400℃の温度で熱処理する段階と
を含むことを特徴とし、水素化段階を含まない方法。
【請求項2】
前記ゲルが、少なくとも1種のラテックスをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラテックスが、好ましくはニトリルゴムから選択される窒素系ラテックスであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥させる段階(i)が、溶媒の交換に次ぐ超臨界CO媒体中での乾燥により、またはガス流下もしくは制御湿度下の環境制御チャンバ内での対流乾燥により、または凍結乾燥により行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
熱分解する段階(ii)が、以下のプロトコール:
1℃/分から5℃/分の速度での、400〜500℃の温度までの緩やかな昇温(約1時間、この温度を維持することが可能である)、続いて
5℃/分から20℃/分の速度での、800〜1500℃の温度までのより急な昇温(約2時間、この温度を維持することが可能である)
に従って、窒素雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
硫黄系強酸が、pH<1の溶液の形態で提供される硫黄をベースとした酸であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
硫黄系強酸が、硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸およびフルオロスルホン酸から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記硫黄系強酸が、0.5Mから飽和濃度、好ましくは1Mから飽和濃度までの濃度を有する硫酸溶液であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
熱処理する段階(iv)が、1分間から12時間、好ましくは2時間以下の期間行われることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
0.01%から0.5%まで変動する硫黄の表面原子百分率を有し、0.5から1.3の密度を示すことを特徴とする、請求項1から9に記載の方法に従って得ることができる硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料。
【請求項11】
0.1%から0.5%まで変動する硫黄の表面原子百分率、および0.75から1.1の密度を有することを特徴とする、請求項10に記載の材料。
【請求項12】
0.4cm/gから1cm/gまで、好ましくは0.4cm/gから0.75cm/gまで変動する細孔容積を示すことを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の材料。
【請求項13】
細孔の少なくとも10%が、2nmから50nmの直径を有することを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の材料。
【請求項14】
500m/g以上の比表面積を示すことを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の材料。
【請求項15】
1M HSO水溶液中で測定された140F/g以上の重量当たりの平均全静電容量、または、6M KOH水溶液中で測定された120F/g以上の重量当たりの平均全静電容量を示すことを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の材料。
【請求項16】
超静電容量エネルギー貯蔵システム用に意図された電極を製造するための、請求項10から15のいずれか一項に記載の硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料の使用。
【請求項17】
請求項10から15のいずれか一項に記載の硫黄改質モノリシック多孔質炭素系材料で構成されることを特徴とする電極。
【請求項18】
少なくとも1つの請求項17に記載の電極を備えることを特徴とするスーパーキャパシタ。
【請求項19】
少なくとも1つの請求項17に記載の電極を備えることを特徴とするリチウム電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121796(P2012−121796A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−254214(P2011−254214)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(591136931)
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON
【Fターム(参考)】