説明

新規のN−(アルコキシアルキル)カルバモイル置換された6−フェニル−ベンゾナフチリジン誘導体及びPDE3/4インヒビターとしてのそれらの使用

式(1)で示され、その式中、R1は、C〜C−アルキルであり、R2は、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、R3は、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであるか、又はR2及びR3は、一緒になって、C〜C−アルキレンジオキシ基であり、R4は、水素、ハロゲン、ニトロ、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル又はC〜C−アルコキシであり、R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、アリールは、R61及び/又はR62で置換されたフェニルであり、その際、R61は、C〜C−アルコキシ、トリフルオロメチル又はシアノであり、R62は、C〜C−アルコキシであり、かつR7は、C〜C−アルキルであり、かつnは、1又は2であるか、又はR7は、水素であり、かつnは、1、2又は3である化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及び該N−オキシドの塩は、新規の効果的なPDE3/4インヒビターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の適用分野
本発明は、医薬組成物の製造のための医薬品工業で使用される新規の6−フェニルベンゾナフチリジン誘導体に関する。
【0002】
公知の背景技術
国際出願WO98/21208号(=米国特許第6,008,215号)、WO98/40382号(=米国特許第6,143,759号)、WO99/57118号(=米国特許第6,306,869号)、WO00/12501号及びWO02/066476号は、6−フェニルベンゾナフチリジン及びPDE3/4インヒビターとしてのそれらの使用を記載している。
【0003】
発明の開示
ここで、以下により詳細に説明し、先行技術の化合物とは特に6−フェニル環上での置換が異なる式1の化合物が意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。
【0004】
従って、本発明は、式1
【0005】
【化1】

[式中、
R2は、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであるか、又は
R2及びR3は、一緒になって、C〜C−アルキレンジオキシ基であり、
R4は、水素、ハロゲン、ニトロ、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル又はC〜C−アルコキシであり、
R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、
R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、
アリールは、R61及び/又はR62で置換されたフェニルであり、その際、
R61は、C〜C−アルコキシ、トリフルオロメチル又はシアノであり、
R62は、C〜C−アルコキシであり、かつ
R7は、C〜C−アルキルであり、かつ
nは、1又は2であるか、又は
R7は、水素であり、かつ
nは、1、2又は3である]で示される化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及びそのN−オキシドの塩に関する。
【0006】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、プロピル、イソプロピル及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0007】
〜C−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0008】
〜C−シクロアルコキシは、例えばシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及びシクロヘプチルオキシを表し、なかでもシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ及びシクロペンチルオキシが好ましい。
【0009】
〜C−シクロアルキルメトキシは、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ及びシクロヘプチルメトキシを表し、そのうちシクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ及びシクロペンチルメトキシが好ましい。
【0010】
完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシとしては、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、ペルフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、1,2,2−トリフルオロエトキシ基、トリフルオロメトキシ基、特に2,2,2−トリフルオロエトキシ基、及び有利にはジフルオロメトキシ基を例として挙げることができる。この関連での“大部分が”とは、C〜C−アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0011】
〜C−アルキレンジオキシは、例えばメチレンジオキシ[−O−CH−O−]基及びエチレンジオキシ[−O−CH−CH−O−]基を表す。
【0012】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、フッ素、塩素又は臭素である。
【0013】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、オクチル基、ヘプチル基、イソヘプチル(5−メチルヘキシル)基、ヘキシル基、イソヘキシル(4−メチルペンチル)基、ネオヘキシル(3,3−ジメチルブチル)基、ペンチル基、イソペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、エチル基又はメチル基である。
【0014】
〜C−シクロアルキルは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基を表す。
【0015】
フェニル−C〜C−アルキルは、フェニルにより置換された前記のC〜C−アルキル基の1つを表す。例としては、ベンジル基、フェネチル基又は3−フェニルプロピル基を挙げることができる。
【0016】
アリール−C〜C−アルキルは、アリールにより置換された前記のC〜C−アルキル基の1つを表す。例としては、2−アリールエチル基又は、特にアリールメチル基を挙げることができる。
【0017】
アリールは、R61及び/又はR62で置換されたフェニルを表す。
【0018】
“これらの化合物のN−オキシド”は、式1の化合物から出発して形成することができる任意の単独又は多重のN−オキシドを表す。ベンゾナフチリジン環系の2位の窒素原子で単独のN−オキシドが好ましい。
【0019】
式1の化合物の置換基R4及び−C(O)N(R5)−C(R7)H−(CH−OR6は、6−フェニル環がベンゾナフチリジン環系に結合される結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されていてよい。式1で示され、その式中、R4が水素であり、かつ−C(O)N(R5)−C(R7)H−(CH−OR6がメタ位又はパラ位で、最も好ましくはパラ位で結合されている化合物が好ましい。
【0020】
式1の化合物の置換基R61及び/又はR62は、フェニル環がC〜C−アルキル部に結合されている結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されていてよい。メタ位又はパラ位での結合が好ましい。
【0021】
式1の化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用の無機酸及び有機酸並びに塩基の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。これらの好適なものは、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、2−ヒドロキシコハク酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水溶性及び水不溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0022】
他方で、塩基との塩も適当である。挙げることができる塩基との塩の例は、アルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)又はカルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩又はチタン塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0023】
本発明による化合物の工業的規模での製造の間に、例えばプロセス生成物としてまず得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0024】
本発明による化合物及びそれらの塩は、例えばこれらが結晶形で単離される場合に種々の溶剤量を有してよいことは当業者には知られている。従ってまた本発明は、式1の化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式1の化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物を包含する。
【0025】
より挙げるに値する化合物は、式1で示され、その式中、
R1は、C〜C−アルキルであり、
R2は、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、
R4は、水素、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル又はC〜C−アルコキシであり、
R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、
R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、
アリールは、R61及び/又はR62で置換されたフェニルであり、その際、
R61は、C〜C−アルコキシ、トリフルオロメチル又はシアノであり、
R62は、C〜C−アルコキシであり、
R7は、水素又はC〜C−アルキルであり、
nは、1又は2である化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及びそのN−オキシドの塩である。
【0026】
特に挙げるに値する化合物は、式1で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、C〜C−アルコキシであり、
R3は、C〜C−アルコキシであり、
R4は、水素であり、
R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、
R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、
アリールは、C〜C−アルコキシで置換されたフェニル、トリフルオロメチルで置換されたフェニル、シアノで置換されたフェニル又は、R61及びR62で置換されたフェニルであり、その際、
R61は、C〜C−アルコキシであり、
R62は、C〜C−アルコキシであり、
R7は、水素又はC〜C−アルキルであり、
nは、1又は2である化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及びそのN−オキシドの塩である。
【0027】
より特に挙げるに値する化合物は、式1で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、エトキシであり、
R3は、メトキシであり、
R4は、水素であり、
R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル又はベンジルであり、
R6は、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ベンジル、3−フェニルプロピル又はアリール−メチルであり、その際、
アリールは、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノフェニル又は3,5−ジメトキシフェニルであり、
R7は、水素、メチル、エチル又はイソブチルであり、
nは、1又は2である化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及びそのN−オキシドの塩である。
【0028】
更により特に挙げるに値する化合物は、式1で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、エトキシであり、
R3は、メトキシであり、
R4は、水素であり、
R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル又はベンジルであり、
R6は、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ベンジル、3−フェニルプロピル又はアリール−メチルであり、その際、
アリールは、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノフェニル又は3,5−ジメトキシフェニルであり、
R7は、水素又はメチルであり、かつ
nは、1又は2であるか、又は
R7は、エチル又はイソブチルであり、かつ
nは、1である化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及びそのN−オキシドの塩である。
【0029】
本発明の化合物の特定の一実施態様は、式1で示され、その式中、R1がメチルであり、R2がエトキシであり、かつR3がメトキシである化合物を含む。
【0030】
本発明の化合物の特定の一実施態様は、式1で示され、その式中、R1がメチルであり、R2がエトキシであり、R3がメトキシであり、かつR4が水素である化合物を含む。
【0031】
本発明の化合物の更にもう一つの特定の実施態様は、式1で示され、その式中、R1がメチルであり、R2がエトキシであり、R3がメトキシであり、R4が水素であり、かつ基−C(O)N(R5)−C(R7)H−(CH−OR6が6−フェニル環に対してパラ位で結合されている化合物である。
【0032】
式1の化合物は、4a位と10b位にキラル中心を有し、そしてR7の意味に応じて、基−C(O)N(R5)−C(R7)H−(CH−OR6中にキラル中心を有する。
【0033】
【化2】

【0034】
従って本発明は、全ての考えられる純粋なジアステレオマー及び純粋なエナンチオマー並びに任意の混合比でのそれらの混合物、例えばラセミ体を含む。式1で示され、その式中、4a位と10b位の水素原子が互いにシス位にある化合物が好ましい。純粋なシスエナンチオマー及びそれらの任意の混合比の混合物及び、例えばラセミ体が特に好ましい。
【0035】
この文脈で特に有利なものは、式1で示され、その式中、キラル中心に関して、式(1)及び(1**):
【0036】
【化3】

に示される立体配置を有する化合物である。
【0037】
本発明による化合物は、例えば反応式1に示され、かつ以下に説明されるように、以下の実施例に記載されるように又はそれと同様又は類似にして製造することができる。
【0038】
式1の化合物は、式4で示され、その式中、R1、R2、R3及びR4が前記の意味を有する化合物と、式2で示され、その式中、R5、R6、R7及びnが前記の意味を有する化合物とを反応させることによって製造することができる。
【0039】
有利には、該反応は、当業者に公知の標準的なカップリング試薬、例えばN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N′−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド又はO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N′,N′−ビス−(テトラメチレン)−ウロニウム−ヘキサフルオロホスフェートを使用して実施される。
【0040】
選択的に、式4で示され、その式中、R1、R2、R3及びR4が前記の意味を有する化合物は、第一段階において、例えば酸ハロゲン化物又は酸無水物(式3で示され、Yが例えばハロゲン、有利には塩素である化合物)を形成させることによって活性化させ、そして第二段階において、それを式2で示され、その式中、R5、R6、R7及びnが前記の意味を有する化合物と反応させて、式1の化合物を得ることができる。
【0041】
式2の化合物は、公知であるか、又は当業者に公知の方法に従って、当業者に公知の好適な化合物から出発して製造することができる。これらは、例えば市販のアミノ酸から出発して好適なケトンの還元的アミノ化を介するN−アルキル化によって(例えばChemistry Letters 1984, p. 441-444に記載されている)、N−アルキル−アミノ酸をN−アルキル−アミノアルコールに還元することによって(例えばTetrahedron 45/16, 4969-4988 (1989)に記載されている)、そして最後にO−アルキル化によって(例えばTetrahedron 45/16, 4969-4988 (1989)に記載されている)製造することができる。前記反応は、当該技術分野で公知のように又はそれと同様又は類似のように実施することができる。
【0042】
式3及び式4の化合物の製造は、例えば国際特許出願WO98/21208号(=米国特許第6,008,215号)及びWO02/066476号に記載されている。
【0043】
式(1)及び式(1**)の化合物は、(4aR,10bS)−立体配置の式3又は式4の化合物と式2のエナンチオマー純粋な化合物との反応によって製造することができる。(4aR,10bS)−立体配置の式3及び式4の化合物の製造は、また国際特許出願WO98/21208号(=米国特許第6,008,215号)及びWO02/066476号に記載されている。式2のエナンチオマー純粋な化合物の製造は、当業者に公知であり、これらの化合物は、例えば当該技術分野で公知の出発化合物、例えば2R−アミノ−プロパノール、2S−アミノ−プロパノール、3R−アミノ−ブタノール又は3S−アミノ−ブタノールから出発して又は前記のようにエナンチオマー純粋なアミノ酸から出発して製造することができる。
【0044】
反応式1:
【0045】
【化4】

【0046】
前記の方法によって製造された式1の化合物を、所望であれば、それらの塩に変換するか、又は得られた式1の化合物の塩を、所望であれば、遊離の化合物に変換することができる。相応の方法は当業者に公知である。
【0047】
更に、式1の化合物を、誘導体化により変換して、更なる式1の化合物を得ることができる。このように、例えば式1の化合物を、所望であれば、それらのN−オキシドに変換することができる。
【0048】
N−オキシド化は、当業者に公知の様式で、例えばメタノール中で過酸化水素を用いて又はジクロロメタン中でm−クロロペルオキシ安息香酸を用いて実施される。当業者は、その専門知識に基づいて、N−オキシド化のために特に必要とされる反応条件に精通している。
【0049】
また当業者には、複数の反応中心が出発材料又は中間物質に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。多数の所定の保護基の使用の仕方の詳細な説明は、例えばT.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991又は1999(第三版)に見出すことができる。
【0050】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば減圧下で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0051】
塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまたアルカリ性化又は酸性化によって塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0052】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。製造方法が明記されていない他の式1の化合物は、同様に又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造することもできる。
【0053】
実施例において、m.p.は融点を表し、hは時間を表し、RTは室温を表し、calcは計算値を表し、fndは実測値を表す。実施例で最終生成物として挙げられる化合物及びそれらの塩は、本発明の有利な対象である。
【0054】
実施例
最終生成物
1. 4−(4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(3−イソプロポキシ−プロピル)−ベンザミド;塩酸塩
【0055】
【化5】

【0056】
1.4mlのN,N−ジイソプロピル−エチルアミンを、0.79gの4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び0.24gの3−イソプロポキシプロピルアミンを20mlのジクロロメタン中に懸濁させた懸濁液に添加する。該反応混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、0.91gのO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N′,N′−ビス−(テトラメチレン)−ウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を添加することで、澄明な淡褐色の溶液が得られる。該反応混合物を室温で約15時間撹拌し、そして濾過する。濾液を減圧下にかなり濃縮させ、そして高粘性の残留物を、ジクロロメタンと重炭酸ナトリウム飽和溶液との間で分離させる。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮させる。樹脂状の残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、そして生成物分画を分離して、濃縮させる。粘性の残留物を1当量のエーテル性HClで処理することで、0.80gの表題化合物が固体のフォーム状物として得られる。
MS:計算値:C2840(493.65) 実測値:[M+1]494.2
【0057】
実施例1と同様にして、3−イソプロポキシプロピルアミンの代わりにそれぞれ適宜置換されたアミンを反応相手として使用した場合に、以下の表題化合物が得られる:
【0058】
2. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−((S)−2−メトキシ−1−メチル−エチル)−ベンザミド;塩酸塩
【0059】
【化6】

【0060】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸と(S)−2−メトキシ−1−メチル−エチル−アミンから製造する。
MS:計算値:C2735(465.60) 実測値:[M+1]466.2
【0061】
3. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(1(rac)−メトキシメチル−プロピル)−ベンザミド;塩酸塩
【0062】
【化7】

【0063】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び(rac)−1−メトキシメチル−プロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C2837(479.62) 実測値:[M+1]480
【0064】
4. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(3−エトキシ−プロピル)−ベンザミド;塩酸塩
【0065】
【化8】

【0066】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び3−エトキシ−プロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C2837(479.62) 実測値:[M+1]480.2
【0067】
5. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−エチル−N−(2−メトキシ−エチル)−ベンザミド;塩酸塩
【0068】
【化9】

【0069】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−2−メトキシエチル−N−エチル−アミンから製造する。
MS:計算値:C2837(479.62) 実測値:[M+1]480.2
【0070】
6. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(2−メトキシ−エチル)−N−プロピル−ベンザミド;塩酸塩
【0071】
【化10】

【0072】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−2−メトキシ−エチル−N−プロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C2939(493.65) 実測値:[M+1]494.8
【0073】
7. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−N−(2−メトキシ−エチル)−ベンザミド;塩酸塩
【0074】
【化11】

【0075】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−イソプロピル−N−(2−メトキシ−エチル)−アミンから製造する。
MS:計算値:C2939(493.65) 実測値:[M+1]494.6
【0076】
8. N−((R)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−ベンザミド
【0077】
【化12】

【0078】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び((R)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−イソプロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C3645(583.78) 実測値:[M+1]584.8
【0079】
9. N−((S)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−ベンザミド
【0080】
【化13】

【0081】
約5分間の期間にわたって、0.42gの4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)ベンゾイルクロリドを10mlのアセトニトリル中に溶かした溶液を、氷/水で冷却された、10mlのアセトニトリル中の0.110gの((R)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−イソプロピル−アミン塩酸塩及び0.5gのトリエチルアミンの混合物に滴加する。該反応混合物を室温で約15時間にわたり撹拌し、そして次いで減圧下に十分に濃縮させ、そして高粘性の残留物をジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム溶液との間で分離させる。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮させる。樹脂状の残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、そして生成物フラクションを分離し、そして濃縮させる。これにより、0.34gの表題化合物が固体フォームとして得られる。
MS:計算値:C3645(583.78) 実測値:[M+1]584.6
【0082】
10. N−(3−ベンジルオキシ−1−メチル−プロピル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−ベンザミド
【0083】
【化14】

【0084】
実施例9の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)ベンゾイルクロリド及びrac−N−(3−ベンジルオキシ−1−メチル−プロピル)−N−イソプロピル−アミン塩酸塩から製造する。
MS:計算値:C3747(597.80) 実測値:[M+1]598.6
【0085】
11. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−N−((S)−2−メトキシ−1−メチル−エチル)−ベンザミド;塩酸塩
【0086】
【化15】

【0087】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−イソプロピル−N−((S)−2−メトキシ−1−メチル−エチル−アミンから製造する。
MS:計算値:C3041(507.68) 実測値:[M+1]508.8
【0088】
12. N−シクロヘキシル−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(2−メトキシ−エチル)−N−プロピル−ベンザミド;塩酸塩
【0089】
【化16】

【0090】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−シクロヘキシル−N−(2−メトキシ−エチル)−アミンから製造する。
MS:計算値:C3243(533.72) 実測値:[M+1]534.8
【0091】
13. N−シクロヘキシル−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(3−メトキシ−プロピル)−ベンザミド;塩酸塩
【0092】
【化17】

【0093】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−シクロヘキシル−N−(2−メトキシ−プロピル)−アミンから製造する。
MS:計算値:C3345(547.74) 実測値:[M+1]548.6
【0094】
14. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(2−メトキシ−エチル)−ベンザミド;塩酸塩
【0095】
【化18】

【0096】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び2−メトキシ−エチル−アミンから製造する。
MS:計算値:C2632(451.57) 実測値:[M+1]452.8
【0097】
15. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−(2−メトキシ−エチル)−N−メチル−ベンザミド;塩酸塩
【0098】
【化19】

【0099】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−(2−メトキシ−エチル)−N−メチル−アミンから製造する。
MS:計算値C2735(465.60) 実測値:[M+1]465.8
【0100】
16. N−(3−ブトキシ−プロピル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−ベンザミド;塩酸塩
【0101】
【化20】

【0102】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び3−ブトキシ−プロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C3041(507.68) 実測値:[M+1]508.8
【0103】
17. N−[(S)−2−(3,5−ジメトキシ−ベンジルオキシ)−1−メチル−エチル]−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−ベンザミド
【0104】
【化21】

【0105】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及び[(S)−2−(3,5−ジメトキシ−ベンジルオキシ)−1−メチル−エチル]−イソプロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C3849(643.83) 実測値:[M+1]644.8
【0106】
18. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−N−[(S)−1−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−エチル]−ベンザミド
【0107】
【化22】

【0108】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−イソプロピル−N−[(S)−1−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−エチル]−アミンから製造する。
MS:計算値:C3744(651.78) 実測値:[M+1]652.8
【0109】
19. N−[(S)−2−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−1−メチル−エチル]−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−ベンザミド
【0110】
【化23】

【0111】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−[(S)−2−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−1−メチル−エチル]−N−イソプロピル−アミンから製造する。
MS:計算値:C3744(608.79) 実測値:[M+1]609.6
【0112】
20. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−N−[(S)−2−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−1−メチル−エチル]−ベンザミド
【0113】
【化24】

【0114】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−イソプロピル−N−[(S)−2−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−1−メチル−エチル]−アミンから製造する。
MS:計算値:C3747(613.80) 実測値:[M+1]615
【0115】
21. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−イソプロピル−N−[(S)−1−メチル−2−(3−フェニル−プロポキシ)−エチル]−ベンザミド
【0116】
【化25】

【0117】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−イソプロピル−N−[(S)−1−メチル−2−(3−フェニル−プロポキシ)−エチル]−アミンから製造する。
MS:計算値:C3849(611.83) 実測値:[M+1]612.8
【0118】
22. N−((S)−1−ベンジルオキシメチル−3−メチル−ブチル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−N−メチル−ベンザミド
【0119】
【化26】

【0120】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−((S)−1−ベンジルオキシメチル−3−メチル−ブチル)−N−メチル−アミンから製造する。
MS:計算値:C3747(597.80) 実測値:[M+1]599
【0121】
23. N−ベンジル−N−((S)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−ベンザミド
【0122】
【化27】

【0123】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−ベンジル−N−((S)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−アミンから製造する。
MS:計算値C4045(631.82) 実測値:[M+1]632.8
【0124】
24. N−((S)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)−ベンザミド
【0125】
【化28】

【0126】
実施例1の記載と同様にして、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸及びN−((S)−2−ベンジルオキシ−1−メチル−エチル)−アミンから製造する。
MS:計算値:C3339(541.70) 実測値:[M+1]542.8
【0127】
出発材料
A. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸クロリド二塩酸塩=4−((−)−シス−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸クロリド二塩酸塩
表題化合物は、4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸から、塩素化剤、例えば塩化チオニル、塩化オキサリル、三塩化リン又は五塩化リンとの当業者に公知の反応によって得られる。得られる酸塩化物は更なる反応のために精製せずに直接使用される。
【0128】
B. 4−((4aR,10bS)−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸=4−((−)−シス−9−エトキシ−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル)安息香酸
表題化合物はWO98/21208号の記載と同様に製造される;
旋光度:[α]20=−109.7゜(c=1、メタノール+1.0当量の0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液)
【0129】
産業上利用性
本発明による化合物は、商業的利用を可能にする有用な薬理学的特性を有する。環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの3型及び4型(PDE3、PDE4)の選択的インヒビターとしては、これらは一方で気管支療法剤(それらの拡張作用及び繊毛刺激作用のため、またそれらの呼吸速度及び呼吸応答の増大作用のために)として適当であるが、他方で、特に炎症性疾患、例えば気道の炎症性疾患(喘息予防)、皮膚の炎症性疾患、小腸の炎症性疾患、目の炎症性疾患及び関節の炎症性疾患の治療のためにも適当であり、これらの疾患はメディエーター、例えばインターフェロン、腫瘍壊死因子ファミリーの一員、インターロイキン、ケモカイン、コロニー刺激因子、成長因子、脂質メディエーター(例えばとりわけPAF、血小板活性化因子)、細菌性因子(例えばLPS)、免疫グロブリン、酸素フリーラジカル及び関連のフリーラジカル(例えば一酸化窒素NO)、生体アミン(例えばヒスタミン、セロトニン)、キニン(例えばブラジキニン)、神経原性メディエーター(例えばサブスタンスP、ニューロキニン)、タンパク質、例えば白血球の顆粒分(とりわけ好酸球のカチオン性タンパク質)及び接着タンパク質(例えばインテグリン)によって誘発される。本発明による化合物は、平滑筋弛緩作用、例えば気管支系領域、血液循環領域及び遠心性尿路領域での平滑筋弛緩作用を有する。更にこれらの化合物は、例えば気管支系における繊毛振動数増大作用を有する。
【0130】
本願明細書では、本発明による化合物は低い毒性、良好なヒト認容性、良好な腸内吸収及び高い生物学的利用能、優れた治療範囲、重篤な副作用の不在及び良好な水溶性によって特徴付けられる。
【0131】
それらのPDE阻害特性のため、本発明による化合物はヒト医学及び獣医学において療法剤として使用でき、その際、これらは、例えば以下の疾患の治療及び予防のために使用できる:種々の原因(特に炎症性及びアレルゲン誘発性)の急性及び慢性の気道疾患(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、COPD);繊毛機能障害又は繊毛浄化の必要性の増大に関連する疾患(気管支炎、膵線維症)、皮膚病(特に、増殖性、炎症性及びアレルギー性)、たとえば、乾癬(尋常性)、毒性及びアレルギー性接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け及び肛門性器部位の掻痒症、円形脱毛症、過形成性瘢痕、円板状エリテマトーデス、毛包性膿皮症及び広汎性膿皮症、内因性及び外因性にきび、酒土性座瘡及び他の増殖性、炎症性及びアレルギー性皮膚疾患;TNF及びロイコトリエンの過剰放出に基づく疾患、すなわち例えば、関節炎型の疾患(リュウマチ様関節炎、リュウマチ様脊椎炎、変形性関節症及び他の関節炎の症状)、全身性エリトマトーデス、免疫系疾患(AIDS)、例えばAIDS関連脳障害、自己免疫疾患、例えば糖尿病(I型、自己免疫糖尿病)、多発性動脈硬化症及びウイルス、細菌又は寄生虫により誘発される髄鞘脱落の型の疾患、大脳マラリア又はライム病、ショック症候[敗血症ショック、エンドトキシンショック、グラム陰性菌敗血症、トキシンショック症候群及びARDS(成人呼吸疾患症候群)]、更には胃腸領域における汎発性炎症(クローン病及び潰瘍性大腸炎);上部気道領域(咽頭、鼻)及び隣接領域(副鼻腔、眼)のアレルギー及び/又は慢性、免疫擬似反応に基づく疾患;例えば、アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎、慢性鼻炎/副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎更には鼻ポリープ、更に中枢神経系の疾患、例えば、記憶障害及びアルツハイマー病、カンジダ症、リーシュマニア症及びらい病。更に、本発明の化合物は、白血病及び骨粗鬆症の治療に有用である。
【0132】
それらの血管弛緩活性のため、本発明による化合物はまた種々の原因の高血圧疾患、例えば肺高血圧及びそれに関連する随伴症状の治療のため、勃起不全又は腎臓及び尿管の腎臓結石に関連する疼痛の治療のために使用できる。
【0133】
しかしながらそれらのcAMP増大作用のため、これらの化合物は、PDEインヒビターによって治療できる心臓の疾患、例えば心不全のために、そしてまた抗血栓物質、血小板凝集阻害物質としても使用できる。
【0134】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。該方法は、本発明による化合物の1種以上の治療学的有効量及び薬理学的に認容性の量を病気の哺乳動物に投与することよりなる。
【0135】
更に本発明は疾患、特に前記の疾患の治療及び/又は予防における使用のための本発明による化合物に関する。
【0136】
また本発明は、前記の疾患の治療及び/又は予防のために使用される医薬組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0137】
更に本発明は、前記の疾患の治療及び/又は予防のための、1種以上の本発明による化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0138】
本発明の更なる対象は慣用の二次包装、医薬組成物を含有する一次包装(例えば吸入器又はブリスタパック)及び、所望であれば添付文書、3型及び4型の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼに対する拮抗作用を示し、かつ3型及び4型の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼに結びつく病気の症候の緩和をもたらす医薬組成物(3型及び4型の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼに結びつく病気の予防又は治療のための医薬組成物の適性はその市販製品の二次包装及び/又は添付文書に示されている)、並びに本発明による式1の1種以上の化合物を含有する医薬組成物からなる市販製品である。二次包装、医薬組成物を含有する一次包装及び添付文書は、その他の点では、この種の医薬組成物に関して当業者に何が標準として見なされるかに従う。
【0139】
有利には本発明による物質は、またcAMPの刺激をもたらす他の物質、例えばプロスタグランジン(PGE2、PGI2及びプロスタサイクリン)及びそれらの誘導体、直接的なアデニル酸シクラーゼ刺激物質、例えばフォルスコリン及び関連物質、又は間接的にアデニル酸シクラーゼを刺激する物質、例えばカテコールアミン及びアドレナリン作動性レセプターアゴニスト、特にβ−様作動物質(beta-mimetics)との組み合わせのためにも適当である。組み合わせにおいて、それらのcAMP分解阻害作用のため、これらの物質はこの場合に相乗、超相加活性(synergistic, superadditive activity)を示す。例えばそれらをPGE2と組み合わせて肺高血圧の治療のために使用する際に関係することとなる。
【0140】
該医薬品は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0141】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤又は賦形剤に精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0142】
本発明による医薬組成物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口送達が有利である。
【0143】
呼吸管の疾患の治療のために、本発明による化合物を、有利には吸入によってエーロゾルの形で投与する;固体、液体又は混合組成のエーロゾル粒子は有利には0.5〜10μm、有利には2〜6μmの直径を有する。
【0144】
エーロゾルの発生は、例えば圧力駆動のジェット噴霧器又は超音波噴霧器、有利には噴射剤駆動の定量噴霧式エーロゾルによるか、又は吸入カプセルからの微粉化有効化合物の噴射剤不使用の投与によって実施できる。
【0145】
使用される吸入系に依存して、有効化合物の他に該投与形は付加的に所望の助剤、例えば噴射剤(例えば定量噴霧式エーロゾルの場合にFrigen)、界面活性剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、フレーバー又は増量剤(例えば粉末吸入器の場合にラクトース)又は、適宜更なる有効化合物を含有する。
【0146】
吸入の目的のために、多くの装置を利用でき、それを用いて最適な粒度を有するエーロゾルを発生させ、かつ患者にできる限り正しい吸入技術を使用して投与できる。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)及び洋ナシ型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))並びに計量供給エーロゾルのための、特に粉末吸入器の場合に吹き付け噴霧(puffer spray)を放出する自動装置(Autohaler(登録商標))を使用する他に、種々の技術的解決策(例えばDiskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又はEP0505321号に記載される吸入器)が利用でき、それを用いて有効化合物の最適な投与を達成できる。
【0147】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬組成物の形で適用する。該医薬組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0148】
本発明による医薬組成物は自体公知の方法によって製造される。有効化合物の投与は、PDEインヒビターについて慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。吸入による投与のための用量は慣用に1日あたり0.1〜3mgである。全身治療(経口又は静脈内)の場合の慣用の用量は1日あたり1キログラムにつき0.01〜10mgである。
【0149】
生物学的調査
セカンドメッセンジャーのサイクリックAMP(cAMP)は炎症細胞及び免疫応答を担う細胞の阻害に関して知られている。PDE4補酵素は免疫疾患の開始及び伝播に関連する細胞において広範に発現され(H Tenor and C Schudt, in "Phosphodiestarase Inhibitors", 21-40, "The Handbook of Immunopharmacology", Academic Press, 1996)、かつその阻害は細胞内cAMP濃度の増大をもたらし、従って細胞活性の阻害をもたらす(JE Souness et al., Immunopharmacology 47: 127-162, 2000)。
【0150】
種々の動物モデルにおけるインビボでのPDE4インヒビターの抗炎症能力が記載されている(MM Teixeira, TiPS 18: 164-170, 1997)。細胞レベルでの(インビボ)PDE4阻害の調査のために、多くの種々の前炎症反応を測定できる。例は好中性(C Schudt et al., Arch Pharmacol 344: 682-690, 1991)又は好酸性(A Hatzelmann et al., Brit J Pharmacol 114: 821-831, 1995)の顆粒球のスーパーオキシド産生であり、これはルミノールで増強される化学発光として、又は単球、マクロファージ又は樹状細胞における腫瘍壊死因子α(TNFα)の合成として測定できる(Gantner et al., Brit J Pharmacol 121: 221-231, 1997, and Pulmonary Pharmacol Therap 12: 377-386, 1999)。更にPDE4インヒビターの免疫調節能力はサイトカイン合成又は増殖のようなT細胞応答の阻害から明らかである(DM Essayan, Biochem Pharmacol 57: 965-973, 1999)。従って本発明による物質によるPDE4阻害は炎症プロセス抑制の主要な指標である。
【0151】
炎症プロセスに関連する幾つかの細胞は、PDE4の他にも、これらの細胞の全cAMPに同様に寄与するPDE3イソ酵素を含有する。例は内皮細胞、マスト細胞、T細胞、マクロファージ及び樹状細胞である。これらの細胞型では、PDE4インヒビターの阻害作用は付加的なPDE3阻害によって増強させることができる。平滑筋(呼吸器)の場合に、更にPDE3活性の阻害は気管支弛緩のために重要である(A Hatzelmann et al., in "Phosphodiesterase Inhibitor", 147-160, "The Handbook of ImmunoPharmacology", Academic Press, 1996)。
【0152】
PDE3及びPDE4活性の阻害の測定方法
方法A:
PDE活性をThompson他(Adv Cycl Nucl Res 10: 69-92, 1979)に記載のようにして幾つかの変更を加えて(Bauer and Schwabe, Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol 311: 193-198, 1980)測定した。試験試料は、20mMのトリス(pH7.4)、5mMのMgCl、0.5μMのcAMP又はcGMP、[H]cAMP又は[H]cGMP(約30000cpm/試料)、以下により詳細に記載されるPDEイソ酵素特異的添加剤、指示濃度のインヒビター及び酵素溶液のアリコートを全試料用量200μlで含有していた。本発明による化合物の希釈列をDMSO中で作成し、そして更に試料中で希釈[1:100(容量/容量)]して、所望の最終濃度のインヒビターを、その一部についてPDE活性にほんの僅かな作用を有するに過ぎないDMSO濃度1%(v/v)で得た。
【0153】
37℃で5分間のプレインキュベーションの後に、反応を基質(cAMP又はcGMP)の添加によって開始した。該試料を37℃で更に15分間インキュベートした。反応を50μlの0.2NのHClの添加によって停止させた。氷上で10分間冷却し、25μgの5′−ヌクレオチダーゼ(ガラガラヘビのヘビ毒)を添加した後に、該混合物を再び37℃で10分間インキュベートし、次いで該試料をQAEセファデックス(Sephadex)A25カラム(試料容量1ml)に適用した。カラムを2mlの30mMのギ酸アンモニウム(pH6.0)で溶出させた。溶出物の放射活性を測定し、そして相応のブランク値(変性タンパク質の存在下に測定した)によって補正した;ブランク値は全放射活性の5%未満であった。加水分解されたヌクレオチドの割合はいずれの場合にも当初の基質濃度の30%を超過しなかった。
【0154】
PDE3(cGMPで阻害される)をヒト血小板の均質物において(Schudt et al., Biochem Pharmacol 1991:42,153-162)cAMP又はcGMPを基質として使用して調査した。
【0155】
PDE4(cAMP特異的)をヒト多形核白血球(PMNL)のサイトゾル[白血球濃縮物から単離された、Schudt et al., Arch Pharmacol 1991:344, 682-690]においてcAMPを基質として使用して調査した。PDE3インヒビターであるモタピゾン(1μM)を使用して、汚染された白血球から発されるPDE3活性を抑制した。
【0156】
IC50値を濃度−阻害曲線から非線形回帰によって規定した。
【0157】
方法B:
PDE3A1についてのcDNA(GB番号U36798)をPCRを用いて2段階で単離した。PDE3A1の3′末端のcDNAを脂肪細胞cDNA(クロンテック(Clontech)、パロアルト)からプライマーOZ458(5′−AAAGTCGACTCACTGGTCTGGCTTTTGG−3′)及びOZ457(5′−GTCGACCAGGTGCCCTCGCTA−3′)を用いて増幅させた。PDE3A1の5′末端のcDNAを胎盤cDNA(クロンテック、パロアルト)からプライマーOZ455(5′−ATGGCAGTGCCCGGCGACGCT−3′)及びOZ456(5′−GTCGACTTTGCTTTTTAGCCT−3′)を用いて増幅させた。PCR産物をpCR2.1−Topo(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)中に標準条件(製造元の指示)下にクローニングした。3′断片をHindIIIで切り出し、そして5′断片を有する構築物のHindIII部位にクローニングした。全ORFをpBacPak9(クロンテック、パロアルト)中にEcoRIを用いてサブクローニングした。アミノ酸12は配列GB番号AJ005036と同様にアスパラギン酸であり、アミノ酸69及びアミノ酸110はそれぞれ配列GB番号AJ005036及びGB番号M91667の両者と同様にセリン及びグリシンである。
【0158】
PDE4B2(GB番号M97515)はM.Conti教授(スタンフォード大学、米国)の寄贈である。元のプラスミド(pCMV5)からプライマーRb9(5′−GCCAGCGTGCAAATAATGAAGG−3′)及びRb10(5′−AGAGGGGGATTATGTATCCAC−3′)を用いるPCRを介して増幅させ、そしてpCR−Bacベクター(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)中にクローニングした。
【0159】
組み換えバキュウロウイルスをSF9昆虫細胞で相同組み換えによって作成した。発現プラスミドを標準的プロトコール(ファーミンジェン、ハンブルク)を使用してBac−N−Blue(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)又はBaculo−Gold DNA(ファーミンジェン、ハンブルク)と一緒に同時トランスフェクションさせた。野生型のウイルス不含の組み換えウイルス上清をプラークアッセイ法を用いて選択した。次いで、高力価のウイルス上清を3回増幅することによって製造した。PDEを、血清不含のSF900培地(ライフテクノロジーズ、ペイズリー、UK)中で1〜10のMOI(感染多重度)で2×10細胞/mlで感染させることによってSF21細胞中に発現させた。該細胞を28℃で48〜72時間培養し、次いでこれらの細胞を1000g及び4℃で5〜10分間かけてペレット化した。
【0160】
SF21昆虫細胞を約10細胞/mlの濃度で氷冷(4℃)均質化バッファー(20mMのTris、pH8.2、以下のものを含有する:140mMのNaCl、3.8mMのKCl、1mMのEGTA、1mMのMgCl、10mMのβ−メルカプトエタノール、2mMのベンズアミジン、0.4mMのPefablock、10μMのロイペプチン、10μMのペプスタチンA、5μMのトリプシンインヒビター)中で再懸濁させ、そして超音波により破砕させた。均質物を次いで1000×gで10分間遠心分離し、そして上清を引き続きの使用まで−80℃で貯蔵した(以下参照)。タンパク質含量をブラッドフォード法(BioRad、ミュンヘン)によってスタンダードとしてBSAを用いて測定した。
【0161】
PDE3A1及びPDE4B2の活性を前記化合物によって、アマシャムバイオサイエンス(手順説明書“phosphodiesterase [3H] cAMP SPA enzyme assay, code TRKQ 7090”を参照のこと)によって提供された改変されたSPA(シンチレーション近接アッセイ)試験において、96ウェルのマイクロタイタープレート(MTP)中で実施して阻害する。試験容量は100μlであり、これは20mMのTrisバッファー(pH7.4)、0.1mgのBSA(ウシ血清アルブミン)/ml、5mMのMg2+、0.5μMのcAMP(約50000cpmの[H]cAMPを含む)、1μMのそれぞれのDMSO中希釈物及び効率的な組み換えPDE(1000×g上清、上記参照)を含有し、10〜20%のcAMPが前記の試験条件下に変換されることを保証した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度(1%v/v)は実質的に調査されるPDEの活性に影響を及ぼさない。37℃で5分間プレインキュベートした後に、基質(cAMP)を添加することによって反応を開始させ、そしてアッセイ物を更に15分間インキュベートし、次いでSPAビーズ(50μl)を添加することによって反応を停止させた。製造元の説明に従って、SPAビーズを事前に水中に再懸濁させるが、次いで水中で1:3(v/v)に希釈し、希釈された溶液も3mMのIBMXを含有し、それによりPDE活性の完全な停止を保証した。該ビーズが沈殿した後に(>30分)、MTPの分析を市販のルミネッセンス検出装置において行う。化合物のPDE活性の阻害についての相応のIC50値を濃度−作用曲線から非線形回帰によって測定する。
【0162】
本発明による化合物について測定された阻害値は以下の第1表からわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0163】
化合物1〜16及び化合物22〜24の阻害値を方法Aに従って測定した。化合物17〜21の阻害値を方法Bに従って測定した。
【0164】
第1表
【0165】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

[式中、
R1は、C〜C−アルキルであり、
R2は、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであるか、又は
R2及びR3は、一緒になって、C〜C−アルキレンジオキシ基であり、
R4は、水素、ハロゲン、ニトロ、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル又はC〜C−アルコキシであり、
R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、
R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、
アリールは、R61及び/又はR62で置換されたフェニルであり、その際、
R61は、C〜C−アルコキシ、トリフルオロメチル又はシアノであり、
R62は、C〜C−アルコキシであり、かつ
R7は、C〜C−アルキルであり、かつ
nは、1又は2であるか、又は
R7は、水素であり、かつ
nは、1、2又は3である]で示される化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及び該N−オキシドの塩。
【請求項2】
式1で示され、その式中、
R1は、C〜C−アルキルであり、
R2は、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素により置換されたC〜C−アルコキシであり、
R4は、水素、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル又はC〜C−アルコキシであり、
R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、
R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、
アリールは、R61及び/又はR62で置換されたフェニルであり、その際、
R61は、C〜C−アルコキシ、トリフルオロメチル又はシアノであり、
R62は、C〜C−アルコキシであり、
R7は、水素又はC〜C−アルキルであり、
nは、1又は2である、請求項1記載の化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及び該N−オキシドの塩。
【請求項3】
式1で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、C〜C−アルコキシであり、
R3は、C〜C−アルコキシであり、
R4は、水素であり、
R5は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、
R6は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル又はアリール−C〜C−アルキルであり、その際、
アリールは、C〜C−アルコキシで置換されたフェニル、トリフルオロメチルで置換されたフェニル、シアノで置換されたフェニル又は、R61及びR62で置換されたフェニルであり、その際、
R61は、C〜C−アルコキシであり、
R62は、C〜C−アルコキシであり、かつ
R7は、水素又はC〜C−アルキルであり、
nは、1又は2である、請求項1記載の化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及び該N−オキシドの塩。
【請求項4】
式1で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、エトキシであり、
R3は、メトキシであり、
R4は、水素であり、
R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル又はベンジルであり、
R6は、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ベンジル、3−フェニルプロピル又はアリール−メチルであり、その際、
アリールは、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノフェニル又は3,5−ジメトキシフェニルであり、かつ
R7は、水素又はメチルであり、かつ
nは、1又は2であるか、又は
R7は、エチル又はイソブチルであり、かつ
nは、1である、請求項1記載の化合物、それらの塩、これらの化合物のN−オキシド及び該N−オキシドの塩。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の式1の化合物であって、4a位及び10b位の水素原子が互いにシス位にある化合物。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物であって、キラル中心に関して、式(1)又は(1**
【化2】

に示される立体配置を有する化合物。
【請求項7】
疾病を治療するための請求項1記載の式1の化合物。
【請求項8】
請求項1記載の1種以上の式1の化合物と一緒に慣用の医薬品助剤及び/又は賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1記載の式1の化合物を、呼吸器疾患及び/又は皮膚病の治療用の医薬組成物を製造するために用いる使用。
【請求項10】
患者におけるPDE3/4インヒビターの投与により治療可能な病気の治療方法であって、それを必要とする患者に治療学的有効量の請求項1記載の式1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項11】
患者における気道疾患及び/又は皮膚病の治療方法であって、該患者に治療学的有効量の請求項1記載の式1の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−529471(P2007−529471A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503345(P2007−503345)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051204
【国際公開番号】WO2005/090345
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2、 D−78467 Konstanz、 Germany
【Fターム(参考)】