説明

新規のStat3経路阻害剤及び癌幹細胞阻害剤

本発明は、Stat3経路阻害剤としての、また癌幹細胞阻害剤としての新規なナフトクラスの化合物、癌を治療するためのそのような化合物を用いる方法、異常なStat3経路活性に関連する哺乳動物における障害を治療するためのそのような化合物を用いる方法、並びにそのような化合物を含む薬剤組成物に関する。1つの態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を対象に投与することを含む、対象における異常なStat3経路活性に関連する障害を治療する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2007年9月10日に出願された米国仮特許出願第60/971,144号、および2007年12月13日に出願された米国仮特許出願第61/013,372号の優先権を主張し、この米国仮特許出願の各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、Stat3経路阻害剤、癌幹細胞阻害剤並びに癌幹細胞経路阻害剤としての新規なクラスの化合物、癌を治療するためにそのような化合物を用いる方法、異常なStat3経路活性に関連する哺乳動物における障害を治療するためにそのような化合物を用いる方法、並びにそのような化合物の合成及びそのような化合物を含む薬剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
Stat3経路の導入説明。Stat3は、増殖、生存及び他の生物学的過程を促進するサイトカイン/成長因子に反応して活性化される潜在的転写因子であるStatファミリーのメンバーである。Stat3は、成長因子受容体チロシンキナーゼ、ヤヌスキナーゼ及び/又はSrcファミリーキナーゼ等により媒介される重要なチロシン残基のリン酸化により活性化される。これらのキナーゼは、EGFR、JAKs、Abl、KDR、c−Met、Src及びHer2を含むが、これらに限定されない[1]。チロシンのリン酸化により、Stat3は、ホモ二量体を形成し、核に転位し、標的遺伝子のプロモーターにおける特定のDNA応答要素に結合し、遺伝子発現を誘導する[2]。
【0004】
癌の通常の側面を標的にするうえでのStat3経路の重要性。正常細胞において、Stat3の活性化は、一過性であり、厳重に制御され、30分から数時間持続する。しかし、Stat3は、すべての主要な癌並びにある種の血液腫瘍を含む様々なヒト癌において異常に活性であることが見出されている。Stat3は、癌の進行において多くの役割を果たす。Stat3は、強力な転写調節因子として、Bcl−xl、c−Myc、サイクリンD1、Vegf、MMP−2及びサバイビン(survivin)などの細胞周期、細胞生存、腫瘍形成、腫瘍浸潤及び転移に関与する遺伝子を標的とする[3〜8]。Stat3は、腫瘍免疫監視機構及び免疫細胞動員の負の重要な調節因子でもある[9〜11]。
【0005】
Stat3の優性阻害型であるアンチセンスsiRNAによるStat3シグナリングの除去及び/又はチロシンキナーゼの阻害は、インビトロ及び/又はインビボでの癌細胞の成長の停止、アポトーシス及び転移頻度の低下をもたらす[2、4、12、13]。
【0006】
他の疾患におけるStat3経路の重要性。インターロイキン6(IL6)などの様々なサイトカインによるStat3の活性化が、多くの自己免疫及び炎症性疾患において示された。最近、Stat3経路が、TH17 T細胞応答の発生におけるその本質的役割により、病的免疫応答を促進することが明らかにされた[14]。さらに、Stat3経路媒介性炎症は、アテローム動脈硬化症、末梢血管疾患、冠動脈疾患、高血圧、骨粗鬆症、2型糖尿病及び認知症の一般的な原因である。したがって、Stat3阻害剤は、自己免疫及び炎症性疾患並びに炎症により引き起こされる上記の他の疾患を予防し、治療するのに用いることができる。
【0007】
癌幹細胞(CSCs)の導入説明。癌幹細胞(CSCs)は、幹細胞に通常関連する特性を有する癌細胞の亜集団(腫瘍又は血液癌中に認められる)である。これらの細胞は、非腫瘍形成性である癌細胞の大部分と異なり、腫瘍形成性である。ヒト急性骨髄性白血病において、これらの細胞の頻度は、10000中1未満である[15]。そのような細胞がほぼすべての腫瘍型に存在するという多くの証拠がある。しかし、癌細胞株は組織培養における増殖に特異的に適応させた癌細胞の亜集団から選択されるので、これらの細胞株の生物学的及び機能特性は劇的に変化し得る。したがって、すべての癌細胞株が癌幹細胞を含むとは限らない。
【0008】
CSCsは、自己再生及び複数の細胞型に分化する能力などの幹細胞の特性を有する。それらは、腫瘍中に性質が異なる集団として存続し、腫瘤の大部分を形成し、表現型特性を疾患に与える分化細胞を生じさせる。CSCsは、基本的に発癌、癌転移及び癌再発の原因であることが示された。CSCsは、腫瘍開始細胞、癌幹様細胞、幹様癌細胞、高度腫瘍形成性細胞又は超悪性細胞ともしばしば呼ばれる。
【0009】
癌幹細胞の臨床的意味。癌幹細胞の存在は、癌の治療及び療法の面でいくつかの意味を有する。これらは、疾患の同定、選択的な薬物標的、癌転移及び再発の予防、化学療法及び/又は放射線療法に不応性の癌の治療、化学療法又は放射線療法に本質的に抵抗性の癌の治療並びに癌との戦いにおける新戦略の策定などである。
【0010】
癌治療の有効性は、試験の初期においては、それらが死滅した腫瘤の量によりしばしば測定される。CSCsは腫瘍の非常に小さい割合を構成し、それらの分化した子孫細胞と著しく異なる生物学的特性を有するので、腫瘤の測定は、幹細胞に対して特異的に作用する薬物については、必ずしもえり抜きのものでない可能性がある。実際、癌幹細胞は、放射線抵抗性であり、化学療法及び標的薬に対しても不応性である。正常体幹細胞は、本来化学療法薬に対して抵抗性である。すなわち、それらは、薬物を流出させる様々なポンプ(MDRなど)、より高いDNA修復能を有し、遅い速度の細胞代謝回転を有する(化学療法薬は本来、速やかに複製する細胞を標的にする)。癌幹細胞は、正常幹細胞の突然変異した対応物であり、それらが療法で生き残ることを可能にする類似の機能も有する可能性がある。言い換えれば、従来の化学療法は、新たな細胞を発生することができない腫瘍の大部分を構成する、分化した細胞、又は分化しつつある細胞を死滅させる。それを生じさせた癌幹細胞の集団は、そのままの状態に留まり、疾患の再発を引き起こす可能性がある。さらに、化学療法薬による治療では、化学療法耐性癌幹細胞のみが残り、その結果、その後の腫瘍も化学療法に耐性となる可能性がある。癌幹細胞は、放射線療法(XRT)に耐性であることも示された[16、17]。
【0011】
生存癌幹細胞は、腫瘍を再増殖させ、再発を引き起こし得るので、癌幹細胞を選択的に標的にすることにより、侵襲性の切除不可能な腫瘍及び不応性又は再発性癌を有する患者を治療し、また腫瘍の転移及び再発を予防することが可能であろう。したがって、癌幹細胞を標的とした特異的療法の発展は、癌患者、特に転移性疾患の患者の生存及び生活の質の改善の希望を抱かせるものである。この未利用の能力を解き放つ手がかりは、癌幹細胞の自己再生及び生存にとって選択的に重要である経路の同定とバリデーションである。癌及び胚幹細胞又は成人幹細胞における腫瘍形成の基礎をなす複数の経路が過去に解明されたが、癌幹細胞の自己再生及び生存については、経路は報告されていない。
【0012】
CSCsの同定及び分離。癌幹細胞の同定及び分離に関する方法は報告された。該方法は、CSCsが薬物を流出させる能力を利用するために主として用いられるか、又は癌幹細胞に関連する表面マーカーの発現に基づいている。
【0013】
CSCsは、多くの化学療法薬に耐性であり、したがって、CSCsがABCG2(BCRP−1)[18〜22]及び他のATP結合カセット(ABC)スーパーファミリーメンバー[23、24]などの薬物流出ポンプをほぼ普遍的に過剰発現することは意外ではない。本来は造血及び白血病幹細胞を濃縮するために用いられるサイドポピュレーション(SP)法がC6神経膠腫細胞株におけるCSCsを同定するために最初に用いられた[25]。Goodellらによって最初に記載されたこの方法は、CSCsにおける濃縮された細胞集団を明確にするために蛍光色素Hoechst33342の特異的ABCトランスポーター依存性流出を利用するものである[21、26]。SPは、ベラパミルによる薬物の流出の阻止によって示され、その結果、ベラパミルの添加によりSPが失われる。
【0014】
癌幹細胞と腫瘍の大部分を区別する特異的マーカーを発見することにも努力が集中された。正常成人幹細胞に本来は関連するマーカーが癌幹細胞も特徴づけ、CSCsの腫瘍形成性の増大と共に共分離する(co−segregate)ことが見出された。癌幹細胞によって最も一般的に発現される表面マーカーは、CD44、CD133及びCD166などである[27〜33]。これらの表面マーカーの特異的発現に主として基づく腫瘍細胞の選別により、現在までに記載された高度に腫瘍形成性CSCsの大多数が明らかになった。したがって、これらの表面マーカーは、癌幹細胞の同定並びに癌細胞株及び腫瘍組織の大部分からの分離について十分にバリデートされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
我々は、Stat3を重要な癌幹細胞の生存及び自己再生経路と同定した。したがって、Stat3経路阻害剤は、癌幹細胞を死滅させ、癌幹細胞の自己再生を阻害することができる。
【0016】
1つの態様において、本発明は、式I
【0017】
【化1】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、RがNRでない場合、Rは、水素でなく、R及びRの少なくとも1つはハロゲン、アリール若しくは置換アリールである。
【0018】
他の態様において、本発明は、式II
【0019】
【化2】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル又は置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール又は置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4であり、
ただし、R及びRの少なくとも1つがハロゲンであり、又はR、R、R、Rの少なくとも1つは、アリール又は置換アリールである。
【0020】
さらに他の態様において、本発明は、式III
【0021】
【化3】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、ハロゲンであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、OR、OC(=O)R又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である。
【0022】
さらに他の態様において、本発明は、式IV
【0023】
【化4】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
及びR10は、それぞれ独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、複素環若しくは置換複素環、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、アルキルヘテロアリール若しくは置換アルキルヘテロアリールであるか、或いはR及びR10は、それらが結合している炭素と一緒になってシクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である。
【0024】
さらに他の態様において、本発明は、式V
【0025】
【化5】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
11は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、アルキルヘテロアリール若しくは置換アルキルヘテロアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である。
【0026】
さらに他の態様において、本発明は、式VI
【0027】
【化6】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
各Rは、独立に水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
ただし、Rがヒドロキシル、アルキル又は置換アルキルである場合、Rは、ハロゲン、アリール又は置換アリールであり、また、
さらにRがアリール又は置換アリールである場合、Rは、水素でなく、さらに2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される。
【0028】
さらに他の態様において、本発明は、式VII
【0029】
【化7】

の化合物を提供し、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、RがNRでない場合、Rは、水素でない。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、上文で述べた式I〜VIIの化合物又はその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体若しくは薬剤学的に許容できる塩、及び薬剤学的に許容できる賦形剤、担体又は希釈剤を含む、薬剤組成物を提供する。
【0031】
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の上文で述べた式I〜VIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌を治療する方法を提供する。1つの実施形態において、前記癌は、乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝臓癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍、白血病から選択される。他の実施形態において、前記癌は、肺癌、乳癌、子宮頚癌、大腸癌、肝臓癌、頭頚部癌、膵臓癌、胃癌及び前立腺癌から選択される。
【0032】
他の態様において、本発明は、有効な量の上文で述べた式I〜VIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物により所望されていないStat3経路活性を阻害又は低減する方法を提供する。
【0033】
さらなる態様において、本発明は、治療有効量の上文で述べた式I〜VIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における異常なStat3経路活性に関連する障害を治療する方法を提供する。異常なStat3経路活性は、リン酸化Stat3又は代用の上流若しくは下流調節因子の発現により確認することができる。1つの実施形態において、前記障害は、乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頚癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病及びリンパ腫を含むが、これらに限定されない異常なStat3経路活性に関連する癌である。この態様の他の実施形態において、前記障害は、異常なStat3経路活性に関連する自己免疫又は炎症性疾患である。
【0034】
他の態様において、本発明は、式VIII
【0035】
【化8】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の使用を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される。
【0036】
さらなる態様において、本発明は、細胞における少なくとも所望でないStat3経路活性が低下するような有効な量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物をそれを必要とする細胞に投与することを含む、細胞における細胞Stat3経路活性を阻害する方法を提供する。
【0037】
1つの態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を対象に投与することを含む、対象における異常なStat3経路活性に関連する障害を治療する方法を提供する。
【0038】
他の態様において、本発明は、異常なStat3経路活性により患者を選択すること及び治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を患者に投与することを含む、患者を治療する方法を提供する。
【0039】
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を患者に投与することにより、異常なStat3経路活性を発現する癌を有すると検査された患者を治療する方法を提供する。
【0040】
さらに他の態様において、本発明は、有効な量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を癌幹細胞に投与することを含む、癌幹細胞の生存及び/又は自己再生を阻害する方法を提供する。
【0041】
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を対象に投与することを含む、標準的治療法に不応性の癌について対象を治療する方法を提供する。
【0042】
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を対象に投与することを含む、対象における再発癌を治療する方法を提供する。
【0043】
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を対象に投与することを含む、対象における癌転移を治療又は予防する方法を提供する。
【0044】
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で述べた式I〜VIIIの化合物を対象に投与することを含む、対象における癌を治療する方法を提供する。
【0045】
本発明の他の態様及び実施形態は、述べられており、或いは本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】癌におけるStat3経路を示す図である。
【図2】癌幹細胞特異的療法及び従来の癌療法を示す図である。
【図3】図3Aは、Stat3が、Hoechstのサイドポピュレーション細胞において構成的に活性であることを示す図である。図3Bは、Stat3が、CD133細胞において構成的に活性であることを示す図である。
【図4】図4Aは、癌幹細胞において、Stat3がノックダウンされたことを示す図である。図4Bは、癌幹細胞において、Stat3のノックダウンがアポトーシスを誘導することを示す図である。
【図5】癌幹細胞において、Stat3のノックダウンが、癌幹細胞の球形成性を阻害することを示す図である。
【図6】図6Aは、化合物401が、核抽出物においてStat3 DNA−結合活性を阻害することを示す図である。図6Bは、化合物416及び418が、核抽出物においてStat3 DNA−結合活性を阻害することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
A.定義
以下は、本明細書で用いる用語の定義である。本明細書における基又は用語について示す最初の定義は、特に示さない限り、本明細書を通して当基又は用語に個別に又は他の基の一部として適用される。
【0048】
「アルキル」及び「alk」という用語は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖アルカン(炭化水素)基を意味する。具体例としての「アルキル」基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどがある。「C〜Cアルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチルなどの1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖アルカン(炭化水素)基を意味する。「置換アルキル」は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換されたアルキル基を意味する。具体例としての置換基は、1つ又は複数の次の基:水素、ハロゲン(例えば、1つのハロゲン置換基又は複数のハロ置換基、後者の場合、CF又はClを有するアルキル基などの基を形成する)、シアノ、ニトロ、CF、OCF、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、アリール、OR、SR、S(=O)R、S(=O)、P(=O)、S(=O)OR、P(=O)OR、NR、NRS(=O)、NRP(=O)、S(=O)NR、P(=O)NR、C(=O)OR、C(=O)R、C(=O)NR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NRC(=O)OR、NRC(=O)NR、NRS(=O)NR、NRP(=O)NR、NRC(=O)R又はNRP(=O)を含むが、これらに限定されず、ここで、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環又はアリールであり、R、R及びRは、独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、Rは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環又はアリールである。前述の具体例としての置換基において、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、複素環又はアリールは、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0049】
「アルケニル」という用語は、2〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する。具体例としてのそのような基は、エテニル又はアリルなどである。「置換アルケニル」は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換されたアルケニル基を意味する。具体例としての置換基は、アルキル若しくは置換アルキル、並びに具体例としてのアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0050】
「アルキニル」という用語は、2〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する。具体例としてのそのような基は、エチニルなどである。「置換アルキニル」は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換されたアルキニル基を意味する。具体例としての置換基は、アルキル若しくは置換アルキル、並びに具体例としてのアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0051】
「シクロアルキル」という用語は、1〜4つの環及び環当たり3〜8個の炭素を含む完全に飽和した環状炭化水素基を意味する。具体例としてのそのような基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどである。「置換シクロアルキル」は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換されたシクロアルキル基を意味する。具体例としての置換基は、ニトロ、シアノ、アルキル若しくは置換アルキル、並びに具体例としてのアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。具体例としての置換基はまた、スピロ結合若しくは縮合環状置換基、特にスピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、又は縮合アリールを含み、前述のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環及びアリール置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0052】
「シクロアルケニル」という用語は、1〜4つの環及び環当たり3〜8個の炭素を含む部分的に不飽和の環状炭化水素基を意味する。具体例としてのそのような基は、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどである。「置換シクロアルケニル」は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換されたシクロアルケニル基を意味する。具体例としての置換基は、ニトロ、シアノ、アルキル若しくは置換アルキル、並びに具体例としてのアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。具体例としての置換基はまた、スピロ結合若しくは縮合環状置換基、特にスピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、又は縮合アリールを含み、前述のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環及びアリール置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0053】
「アリール」という用語は、1〜5つの芳香環を有する環状芳香族炭化水素基、特にフェニル、ビフェニル又はナフチルなどの単環又は二環基を意味する。2つ又はそれ以上の芳香環(二環など)を含む場合、アリール基の芳香環は、1つの点で結合している(例えば、ビフェニル)か、又は縮合していてよい(例えば、ナフチル、フェナントレニルなど)。「置換アリール」は、いずれかの結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されたアリール基を意味する。具体例としての置換基は、ニトロ、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、シアノ、アルキル若しくは置換アルキル、並びに具体例としてのアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。具体例としての置換基はまた、縮合環基、特に、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、又は縮合アリールを含み、前述のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環及びアリール置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0054】
「複素環」又は「複素環式」という用語は、少なくとも1つの炭素原子含有環に少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族(すなわち、「ヘテロアリール」)環状基(例えば、4〜7員単環、7〜11員二環、又は8〜16員三環系)を含む、完全に飽和した、又は部分的若しくは完全に不飽和のものを意味する。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を有していてよく、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、場合によって酸化されていてよく、また、窒素ヘテロ原子は、場合によって四級化されていてよい。(「ヘテロアリーリウム」という用語は、四級窒素原子、及びしたがって正電荷を有するヘテロアリール基を意味する。)複素環基は、分子の残りの部分の環若しくは環系のいずれかのヘテロ原子又は炭素原子に結合していてよい。具体例としての単環式複素環基は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ヘキサヒドロジアゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルなどである。具体例としての二環式複素環基は、インドリル、イソインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾフラザニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノオキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル又はフロ[2,3−b]ピリジニルなど)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(3,4−ジヒドロ−4−オキソキナゾリニルなど)、トリアジニルアゼピニル、テトラヒドロキノリニルなどである。具体例としての三環式複素環基は、カルバゾリル、ベンジドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどである。チアゾール?
「置換複素環」及び「置換複素環式」(「置換ヘテロアリール」など)は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換された置換複素環又は置換複素環基を意味する。具体例としての置換基は、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、ニトロ、オキソ(すなわち、=O)、シアノ、アルキル若しくは置換アルキル、並びに具体例としてのアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。具体例としての置換基はまた、いずれかの利用可能な結合点若しくは複数の結合点において、スピロ結合若しくは縮合環状置換基、特にスピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、又は縮合アリールを含み、前述のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環及びアリール置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0055】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素を意味する。
【0056】
「炭素環式」という用語は、環のすべての原子が炭素原子である、芳香族又は非芳香族3〜7員単環式及び7〜11員二環式基を意味する。「置換炭素環式」は、いずれかの利用可能な結合点において、1つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基で置換された炭素環式基を意味する。具体例としての置換基は、ニトロ、シアノ、OR(Rは上文で定義した通りである)、並びに具体例としてのシクロアルキル置換基として上で引用した基を含むが、それらに限定されない。具体例としての置換基は、それら自体が場合によって置換されていてよい。
【0057】
「薬剤学的に許容できる賦形剤、担体又は希釈剤」という用語は、本明細書で用いているように、1つの器官又は身体の部分から他の器官又は身体の部分に対象薬剤を運搬又は輸送するのに必要とする液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料などの薬剤学的に許容できる材料、組成物又は媒体を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に危害を与えないという意味で「許容できる」ものでなければならない。薬剤学的に許容できる担体として機能することができる物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、粉末状トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質不含有水、等張食塩液、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、並びに医薬品製剤に用いられる他の非毒性の適合性物質などである。ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーなどの湿潤剤、乳化剤及び滑沢剤並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、着香料及び香料、保存剤並びに抗酸化剤も組成物中に存在していてよい。
【0058】
特に示さない限り、満たされていない原子価を有するヘテロ原子は、原子価を満たすのに十分な水素原子を有すると推定される。
【0059】
本発明の化合物は、本発明の範囲内にもある塩を形成していてよい。本明細書における本発明の化合物の言及は、特に示さない限り、その塩の言及を含むと理解される。「塩」という用語は、本明細書で用いているように、無機及び/又は有機酸及び塩基により形成される酸性及び/又は塩基性塩を意味する。さらに、本発明の化合物がピリジン又はイミダゾールなどであるが、これらに限定されない塩基性部分と、カルボン酸などであるが、これに限定されない酸性部分との両方を含む場合、両性イオン(「内部塩」)が形成される可能性があり、これは、本明細書で用いている「塩」という用語に含まれる。他の塩も、例えば、調製中に用いられる可能性がある分離又は精製段階において有用であるが、薬剤学的に許容できる(すなわち、非毒性の生理学的に許容できる)塩が好ましい。本発明の化合物の塩は、塩が沈殿するような媒体中で、又は水性媒体中で(後に凍結乾燥を行う)、例えば、化合物I、II又はIIIを当量などの量の酸又は塩基と反応させることにより生成させることができる。
【0060】
アミン又はピリジン又はイミダゾール環などであるが、これらに限定されない塩基部分を含む本発明の化合物は、種々の有機及び無機酸との塩を形成することができる。具体例としての酸付加塩は、酢酸塩(酢酸又はトリハロ酢酸、例えば、トリフルオロ酢酸により形成されるものなど)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩(例えば、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2−ナフタレンスルホン酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩(例えば、3−フェニルプロピオン酸塩)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(硫酸により形成されるものなど)、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラートなどのトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩などである。
【0061】
カルボン酸などであるが、これに限定されない、酸部分を含む本発明の化合物は、種々の有機及び無機酸との塩を形成することができる。具体例としての塩基性塩は、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウム及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ベンゾアチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンにより形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グリカミド、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、並びにアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩などである。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びシアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリル)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジル及びフェネチル)並びにその他などの作用物質により四級化されていてよい。
【0062】
本発明の化合物の溶媒和物も本明細書において考慮する。本発明の化合物の溶媒和物は、例えば、水和物などである。
【0063】
本発明の化合物及びその塩は、それらの互変異性体(例えば、アミド又はイミノエーテルとして)として存在していてよい。そのようなすべての互変異性体は、本明細書において本発明の一部として考慮する。
【0064】
鏡像異性体及びジアステレオマーを含む、本発明の化合物のすべての立体異性体(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在する可能性のあるもの)は、本発明の範囲内であると考慮する。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まない(例えば、規定の活性を有する純粋又は実質的に純粋な光学異性体として)か、或いは、例えば、ラセミ体として、又は他のすべて若しくは他の選択される立体異性体と混合されていてよい。本発明のキラル中心は、IUPACの1974年勧告により定義されたS又はR立体配置を有する可能性がある。ラセミ体は、例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶化、分離若しくは結晶化又はキラルカラムクロマトグラフィーによる分離などの物理的方法により分割することができる。個々の光学異性体は、例えば、光学的に活性な酸との塩の形成の後の結晶化などの従来の方法を制限なしに含む、適切な方法によりラセミ体から得ることができる。
【0065】
本発明の化合物は、それらの調製の後に、分離し、精製して、本明細書で述べるように使用され、調合される、99%に等しい又はそれを超える重量の(「実質的に純粋な」化合物I)を含む組成物を得ることが好ましい。
【0066】
本発明の化合物のすべての立体配置異性体は、混合物又は純粋若しくは実質的に純粋な形のものを考慮する。本発明の化合物の定義は、シス(Z)及びトランス(E)アルケン異性体、並びに環状炭化水素又は複素環のシス及びトランス異性体を含む。
【0067】
本明細書を通して、基及びその置換基は、安定な部分及び化合物を得るように選択することができる。
【0068】
B.化合物
1つの態様において、本発明は、式I
【0069】
【化9】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、RがNRでない場合、Rは、水素でなく、R及びRの少なくとも1つはハロゲン、アリール若しくは置換アリールである。
【0070】
特定の実施形態において、本発明は、
【0071】
【化10】

からなる群から選択される化合物を提供する。
【0072】
特定の他の実施形態において、本発明は、
【0073】
【化11】

からなる群から選択される化合物を提供する。
【0074】
他の態様において、本発明は、式II
【0075】
【化12】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル又は置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール又は置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4であり、
ただし、R及びRの少なくとも1つがハロゲンであり、又はR、R、R、Rの少なくとも1つは、アリール又は置換アリールである。
【0076】
特定の実施形態において、式IIの化合物は、
【0077】
【化13】

からなる群から選択される。
【0078】
さらに他の態様において、本発明は、式III
【0079】
【化14】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、ハロゲンであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、OR、OC(=O)R又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である。
【0080】
特定の実施形態において、式IIIの化合物は、
【0081】
【化15】

である。
【0082】
さらに他の態様において、本発明は、式IV
【0083】
【化16】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
及びR10は、それぞれ独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、複素環若しくは置換複素環、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、アルキルヘテロアリール若しくは置換アルキルヘテロアリールであるか、或いはR及びR10は、それらが結合している炭素と一緒になってシクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である。
【0084】
特定の実施形態において、式IVの化合物は、
【0085】
【化17】

からなる群から選択される。
【0086】
さらに他の態様において、本発明は、式V
【0087】
【化18】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
11は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、アルキルヘテロアリール若しくは置換アルキルヘテロアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である。
【0088】
さらに他の態様において、本発明は、式VI
【0089】
【化19】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
各Rは、独立に水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
ただし、Rがヒドロキシル、アルキル又は置換アルキルである場合、Rは、ハロゲン、アリール又は置換アリールであり、また、
さらにRがアリール又は置換アリールである場合、Rは、水素でなく、さらに2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される。
【0090】
特定の実施形態において、本発明は、
【0091】
【化20】

からなる群から選択される化合物を提供する。
【0092】
さらに他の態様において、本発明は、式VII
【0093】
【化21】

の化合物を提供し、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、RがNRでない場合、Rは、水素でない。
【0094】
さらに他の態様において、本発明は、式VIII
【0095】
【化22】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を提供し、式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される。
【0096】
特定の実施形態において、式VIIIの化合物は、
【0097】
【化23】

【0098】
【化24】

【0099】
【化25】

からなる群から選択される。
【0100】
C.使用
Stat3経路は、IL−6などのサイトカインに応答して、或いはEGFR、JAKs、Abl、KDR、c−Met、Src及びHer2などの一連のチロシンキナーゼにより、活性化させることができる。Stat3の下流エフェクターは、Bcl−xl、c−Myc、サイクリンD1、Vegf、MMP−2及びサバイビンを含むが、これらに限定されない。Stat3経路は、表1に示すように種々のヒト疾患において異常に活性であることがわかる。検査した既存の臨床検体で、一貫して活性なStat3経路が、乳及び肺癌、肝細胞癌、多発性骨髄腫の過半数、また頭頚部癌の95%超において存在することが示された。Stat3経路の遮断により、インビトロ及び/又はインビボでの癌細胞成長の停止、アポトーシス及び転移頻度の減少がもたらされる。Stat3の活性化は、多くの自己免疫及び炎症性疾患においても示された。さらに、インターロイキン6媒介性炎症は、アテローム動脈硬化症[34]、末梢血管疾患[35、36]、冠動脈疾患[35、36]、高血圧[37]、骨粗鬆症[38]、2型糖尿病[35]及び認知症[39]の一般的原因であり、gp130−Jaks−Statsは、IL−6により活性化される主な経路であるので、Stat3経路の阻害により、これらの疾患も治療又は予防することができる。したがって、Stat3阻害剤は、高度に求められている治療後薬である。
【0101】
【表1】

本発明は、本発明の式I〜VIIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を含むStat3阻害剤を一部提供する。
【0102】
本発明はさらに、哺乳動物における異常なStat3経路活性に関連する障害を治療する方法を提供する。障害を治療する方法は、一定の量の式I〜VIIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む。前記異常なStat3経路活性は、リン酸化Stat3又は代用の上流若しくは下流調節因子の発現により確認することができる。1つの実施形態において、状態は、異常なStat3経路活性に関連する癌である。他の実施形態において、状態は、異常なStat3経路活性に関連する自己免疫又は炎症性疾患である。前記自己免疫又は炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性関節リウマチ、喘息、アレルギー及び全身性エリテマトーデスからなる群から選択される。他の実施形態において、状態は、異常なStat3経路活性に関連するCNS疾患である。前記CNS疾患は、自己免疫性脱髄疾患、アルツハイマー病、卒中、虚血性再潅流傷害及び多発性硬化症から選択される。さらに他の実施形態において、状態は、炎症により引き起こされ、異常なStat3経路活性に関連する疾患である。これらの疾患は、アテローム動脈硬化症、末梢血管疾患、冠動脈疾患、高血圧、骨粗鬆症、2型糖尿病又は認知症などである。
【0103】
最近の研究で、腫瘍を再生する独占的能力を有する癌幹細胞の存在が発見された。これらの癌幹細胞は、継続的な悪性腫瘍の成長、癌の転移、再発及び癌の薬剤耐性と機能的に関連する。癌幹細胞とそれらの分化子孫細胞は、著しく異なる生物学的特性を有すると思われる。それらは、別個であるが、まれな集団として腫瘍に存続する。従来の癌の薬剤のスクリーニングは、腫瘤の量の測定に依存するものであり、したがって、幹細胞に特異的に作用する薬剤を特定することはありそうもない。実際、癌幹細胞は、標準的化学療法に抵抗性であり、標準的化学療法による治療後に濃縮され、これが癌の不応性及び再発をもたらすことが示された。癌幹細胞は、放射線療法に対しても抵抗性であることが示された[17]。癌幹細胞が分離された、報告された癌の種類は、乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝臓癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍及び白血病などである。癌幹細胞を腫瘍形成に関連づける多くの証拠は、癌幹細胞を標的にする多くの治療機会を与える。この未利用の能力を解き放つ手がかりは、癌幹細胞の自己再生及び生存にとって選択的に重要である経路の同定とバリデーションである。癌及び胚幹細胞又は成人幹細胞における腫瘍形成の基礎をなす複数の経路が過去に解明されたが、癌幹細胞の自己再生及び生存については、主に、それを行うための良好なシステムが存在しないため、経路は報告されていない。我々は、Stat3が重要な癌幹細胞の生存及び自己再生因子であることを確認した。したがって、Stat3阻害剤は、癌幹細胞を死滅させ、癌幹細胞の自己再生を阻害し得る。
【0104】
本発明の1つ又は複数の実施形態によれば、癌幹細胞(CSC)又は複数の癌幹細胞(CSCs)は、自己再生能力を有し、腫瘍形成性である癌細胞の微小な集団を意味する。それらは、「癌開始細胞」、「腫瘍開始細胞」、「癌幹様細胞」、「幹様癌細胞」及び「超悪性細胞」などとも呼ばれている。これらの細胞を分離する方法は、Hoechst33342を流出させるそれらの能力による同定、これらの細胞が発現する、CD133、CD44、CD166及びその他などの表面マーカーによる同定、並びにそれらの腫瘍形成特性による濃縮を含むが、これらに限定されない。
【0105】
本発明は、有効な量の式I〜VIIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物により、癌幹細胞の生存及び/又は自己再生を抑制/低減/減衰させる方法を一部提供する。これらの癌幹細胞は、CD44、CD133及びCD166などの表面マーカーにより同定することができる。
【0106】
癌幹細胞は従来の化学療法に抵抗性を示すので、本発明は、式I〜VIIIの化合物又はその薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を含む薬剤組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における従来の化学療法に不応性の癌を治療する方法を一部提供する。
【0107】
癌幹細胞は、癌の根源であり、基本的に癌の再発の原因であるので、本発明は、式I〜VIIIの化合物又はその薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を含む薬剤組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、手術、化学療法又はXRTに失敗した哺乳動物における再発癌を治療する方法を一部提供する。
【0108】
同様に、癌幹細胞は、癌の種であり、基本的に癌の転移の原因であるので、本発明は、式I〜VIIIの化合物又はその薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を含む薬剤組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌の転移を治療又は予防する方法を一部提供する。
【0109】
本発明はさらに、有効な量の式I〜VIIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌を治療する方法を一部提供する。1つの実施形態において、前記癌は、肺癌、乳癌、子宮頚癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、頭頚部癌、胃癌及び前立腺癌から選択される。
【0110】
本発明はさらに、式I〜VIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物、及び薬剤学的に許容できる賦形剤、担体又は希釈剤を含む薬剤組成物を一部提供する。
【0111】
本発明の製剤は、経口、鼻、局所(口腔及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に適するものを含む。製剤は、好都合なことに、単位剤形で提供することができ、薬学の技術分野で周知である方法により調製することができる。単一剤形を製造するために担体物質と組み合せることができる有効成分の量は、治療する哺乳動物及び個々の投与方法によって異なる。単一剤形を製造するために担体物質と組み合せることができる有効成分の量は、一般的に治療効果をもたらす化合物の量である。一般的に、この量は、100%のうち、例えば、約1%〜約99%の有効成分であり、約5%〜約70%であり、約10%〜約30%である。
【0112】
経口投与に適する本発明の治療用組成物又は製剤は、それぞれあらかじめ定められた量の有効成分としての本発明の化合物を含む、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(着香基剤、通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントを用いた)、散剤、果粒剤の形で、或いは水性若しくは非水性液体中液剤又は懸濁剤として、或いは水中油型又は油中水型液体乳剤として、或いはエリキシル剤又はシロップ剤として、或いはトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤を用いた)及び/又は洗口剤としてなどであってよい。本発明の化合物は、巨丸剤、舐剤又はパスタ剤としても用いることができる。
【0113】
経口投与用の固形剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、果粒剤など)において、本発明によるアルコール又は阻害剤が、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムなどの1つ又は複数の薬剤学的に許容できる担体、及び/又は以下のいずれかと混合されている:デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸などの充填剤若しくは増量剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアゴムなどの結合剤、グリセロールなどの湿潤剤、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール及びポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーなどの浸潤剤、カオリン及びベントナイト粘土などの吸着剤、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びその混合物などの滑沢剤、並びに着色剤。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、薬剤組成物は、緩衝剤を含んでいてもよい。ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として用いた同様な種類の固形組成物も用いることができる。
【0114】
本発明の化合物の経口投与用の液体剤形は、薬剤学的に許容できる乳剤、ミクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。有効成分に加えて、液体剤形は、例えば、水、又はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにその混合物などの他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤などの当技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤を含んでいてよい。さらに、化合物を可溶化するために、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを用いることができる。
【0115】
経口組成物は、不活性希釈剤のほかに、浸潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味、着香、着色、芳香及び保存剤などの佐剤も含んでいてよい。懸濁剤は、本発明によるアルコール又は阻害剤に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにその混合物のような懸濁化剤を含んでいてよい。
【0116】
直腸又は膣投与用の本発明の薬剤組成物の製剤は、本発明による1つ又は複数のアルコール又は阻害剤を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックス又はサリチル酸塩を含む1つ又は複数の適切な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製することができ、室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸又は膣腔内で融解し、本発明の活性薬剤を放出する、坐剤として提供することができる。膣投与に適する本発明の製剤は、当技術分野で適切であることが公知であるような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ、泡又は噴霧製剤も含む。
【0117】
本発明によるアルコール又は他の阻害剤の局所又は経皮投与用の剤形は、散剤、噴霧剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、貼付剤及び吸入剤を含む。活性化合物は、無菌条件下で、薬剤学的に許容できる担体と、また必要である可能性のある保存剤、緩衝剤又は噴射剤と混合することができる。
【0118】
軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤及びゲル剤は、本発明によるアルコール又は他の阻害剤に加えて、動物及び植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はその混合物などの賦形剤を含んでいてよい。
【0119】
散剤及び噴霧剤は、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含んでいてよい。噴霧剤は、クロロフルオロ炭化水素並びにブタン及びプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの通常の噴射剤をさらに含んでいてよい。
【0120】
眼科用製剤、眼用軟膏、散剤、液剤なども本発明の範囲内にあると考えられる。
【0121】
非経口投与に適する本発明の薬剤組成物は、1つ又は複数の薬剤学的に許容できる滅菌等張性水性若しくは非水性液剤、分散体、懸濁剤又は乳剤、或いは使用直前に滅菌注射用溶液又は分散体に再構成することができ、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張性にする溶質又は懸濁化若しくは粘稠化剤を含んでいてよい滅菌散剤と共に本発明による1つ又は複数のアルコール又は阻害剤を含む。
【0122】
場合によって、本発明によるアルコール又は阻害剤の効果を長くするために、皮下又は筋肉内注射剤からのアルコール又は阻害剤の吸収を遅くすることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質又は非晶質物質の液体懸濁剤を用いて達成することができる。薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、ひいては結晶のサイズ及び結晶の形態に依存する可能性がある。或いは、非経口投与した組成物の吸収の遅延は、アルコール又は阻害剤を油媒体に溶解又は懸濁することによって達成される。デポー注射の1つの戦略は、媒体が室温で液体であり、体温で固化する、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーの使用を含むものである。
【0123】
本発明の薬剤組成物は、単独で或いは他の薬剤又は上文で述べた他の抗癌療法と共に、また上述のような薬剤学的に許容できる賦形剤、担体若しくは希釈剤と共に投与することができる。
【0124】
D.化学合成
本発明の化合物は、有機合成の技術分野の技術者に公知である合成方法又はその変形と共に下記の方法を用いて調製することができる。反応は、用いる試薬及び物質に適切であり、もたらされる変換に適する溶媒中で行わせる。本明細書に含まれている実施例用の出発物質は、市販のものであるか、又は公知の物質から標準的方法により容易に調製される。例えば、以下の反応は、実例であるが、本明細書で用いる出発物質及び例の一部の調製を制限するものではない。
【0125】
スキーム1に示す方法は、Rが水素であり、Xが酸素である場合、Rが水素である場合には市販されている、或いはRがハロゲンである場合には当業者が容易に調製することができる出発物質1−1から式II、III及びIVの化合物の調製に用いることができる。2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1−1と適切なアルデヒドとの反応により、2−ヒドロキシ−3−(1−アルケニル)−1,4−ナフトキノン1−2が得られる。酢酸水銀による、そして続く塩酸による化合物1−2の処理により、2−アルキルナフタ[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3が得られる。n−ブロモコハク酸イミド及び四酢酸鉛による1−3の酸化により、2−(1−アセトキシアルキル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−4が得られる。化合物1−4の塩酸処理により、2−(ヒドロキシアルキル又はアリールメチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−5及び2−ビニル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−6が得られる。
【0126】
スキーム1
【0127】
【化26】

スキーム2に示す方法は、Rが水素でなく、Xが酸素である場合、スキーム1に示す同じ出発物質1−1から式II、III及びIVの化合物の調製に用いることができる。2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1−1と適切なアリルブロミドとの反応により、2−アリルオキシ1,4−ナフトキノン2−2が得られる。エタノール中での2−2の転位により、2−ヒドロキシ−3−アリル−1,4−ナフトキノン2−3が得られ、これを硫酸処理により環化してオルトナフトキノン2−4を生成させることができる。n−ブロモコハク酸イミド及び四酢酸鉛による2−4の酸化により、3−アセトキシオルトナフトキノン2−5が得られる。化合物2−5の塩酸処理により、2−アルキル(又はアリール)−3−アルキル(又はアリール)−ナフタ[2,3−b]フラン−4,9−ジオン2−6が得られる。
【0128】
スキーム2
【0129】
【化27】

スキーム3に示す方法は、XがOである場合に、1−3(又は2−6)を出発物質として用いることにより式Iの化合物の調製に用いることができる。三酸化クロムによる2−アルキル(又はベンジル)−7−アルキル(又はアリール、水素)−ナフタ[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(又は2−6)の酸化により、式3−2の化合物が得られる。
【0130】
スキーム3
【0131】
【化28】

スキーム4に示す方法は、式I、VI及びVIIの調製に用いることができる。
【0132】
スキーム4
【0133】
【化29】

DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、
THF:テトラヒドロフラン、
RT:室温
以下の非限定的な実施例は、出発物質のいくつかのものの調製及び本明細書で用いた実施例をさらに例示するものである。
【実施例】
【0134】
(実施例1)
2−ヒドロキシ−7−クロロ−1,4−ナフトキノン1−1(R=Cl)のナトリウム塩の調製
10g(0.06mol)の5−クロロ−1−インダノンの、アイスバスにおいて冷却した200mlのエチルエーテル溶液に、エチルエーテル中の22ml(0.066mol)の3Mメチルマグネシウムブロミドを、ゆっくりと30分かけて滴下した。反応混合物を、室温において一晩撹拌し、その後蒸発乾固させた。50%エタノール中の150mlの2Nの塩酸を、残渣にゆっくり滴下し、その後、1時間還流した。混合物を、ジクロロメタンで抽出し、その後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。中間生成物の3−メチル−6−クロロ−インデンを、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0135】
18gの二クロム酸ナトリウム水和物、1gのベンゼンスルホン酸ナトリウム及び50mlの硫酸の、激しく撹拌した250mlの水溶液に、55℃で、7.5g(0.046mol)の3−メチル−6−クロロ−インデンを1時間滴下して加えた。その後、混合物を、55℃でさらに20分間撹拌した。0℃で一晩冷却後、混合物をろ過し、得られた固体を冷水及びベンゼンを用いて連続して洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0136】
粗中間生成物の(5−クロロ−2−アセチル)フェニル酢酸を、100mlの無水エタノール及び10mlの硫酸の混合物に溶解した。その後、得られた混合物を、室温で48時間撹拌した。200mlの水で希釈後、混合物をジクロロメタンで抽出し、その後有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。中間生成物の(5−クロロ−2−アセチル)フェニル酢酸エチルを、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0137】
1.15g(0.050mol)のナトリウム金属を、150mlの無水エタノールに、激しく撹拌しながら懸濁した。ナトリウム金属が消失した後で、6g(0.025mol)の(5−クロロ−2−アセチル)フェニル酢酸エチルを加え、得られた混合物をオープンフラスコ中、室温で24時間撹拌した。混合物を0℃で冷却し、ろ過し、得られた赤レンガ色の固体を冷エタノールで洗浄し、真空下で乾燥させた。3.8gの2−ヒドロキシ−7−クロロ−1,4−ナフトキノン1−1(R=Cl)のナトリウム塩を得た。全収率27.5%。質量(M−H)は207である。
【0138】
(実施例2)
2−ヒドロキシ−7−フルオロ−1,4−ナフトキノン1−1(R=F)のナトリウム塩の調製
10g(0.067mol)の5−フルオロ−1−インダノンから、実施例1に記載の手順を使用して赤レンガ色の固体を生じることにより、2−ヒドロキシ−7−フルオロ−1,4−ナフトキノン1−1(R=F)のナトリウム塩を得た:収率30%。質量(M−H)は191である。
【0139】
(実施例3)
2−ヒドロキシ−3−(1−n−ブテニル)−1,4−ナフトキノン1−2(R=H、R=CH)の調製
20g(0.11mol)の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの、150mlのDMSO及び20mlの濃塩酸塩(37%)溶液中の溶液に、75℃で、20mlのn−ブチルアルデヒド(0.23mol)を加えた。混合物を、72〜78℃の温度において4時間激しく撹拌し、その後300mlの氷水を加えることによって冷却し、得られた混合物を、300mlのジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を、500mlの水、500mlの5%亜硫酸水素ナトリウム及び500mlの4%の重炭酸ナトリウムで連続して洗浄し、最終的に400mlの5%炭酸ナトリウムで2回抽出した。合わせた炭酸ナトリウム抽出物を、濃塩酸を加えることによってpH7.2〜7.6に中和した。0℃で冷却した後で、混合物をろ過し、得られた赤レンガ色の固体を、冷水で洗浄し、真空下で乾燥させた。9.6gの生成物を得た:収率38.6%。H NMR(CDCl中)δ1.12(t,J=8,3H),2.31(m,2H),6.60−6.65(m,1H),7.07−7.15(m,1H),7.66−7.77(m,3H),8.06−8.15(m,2H)。
【0140】
(実施例4)
2−エチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=CH)の調製
9.6g(0.04mol)の2−ヒドロキシ−3−(1−n−ブテニル)−1,4−ナフトキノン1−2(R=H、R=CH)及び18.8g(0.094mol)の酢酸水銀の300mlの酢酸中混合物を、室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、その後ろ液を蒸発乾固させた。残渣を、200mlの濃塩酸塩(37%)/エタノール(1:2)に懸濁し、1時間還流した。0℃までゆっくりと冷却後、反応混合物をろ過し、得られた固体生成物を70%の冷エタノールで洗浄し、70%エタノール中で再結晶化し、5.1gの黄色い結晶が得られた:収率53.1%。2−エチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=CH)。H NMR(CDCl中)δ1.36(t,J=8,3H),2.85(q,J=7,2H),6.62(s,1H),7.72−7.76(m,2H),8.15−8.22(m,2H)。
【0141】
(実施例5)
2−メチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=H)の調製
出発物質として2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1−1(R=H)及びn−プロピオンアルデヒドを使用することにより、実施例3に記載した手順に従って中間生成物の2−ヒドロキシ−3−(1−n−プロペニル)−1,4−ナフトキノン1−2(R=H、R=H)を調製した。10g(0.047mol)の1−2(R=H、R=H)から、実施例4に記載の手順を使用して黄色い結晶を生じることにより、2−メチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=H)を得た;収率50%。2−メチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=H)。H NMR(CDCl中)δ2.52(s,3H),6.61(s,1H),7.70−7.77(m,2H),8.14−8.22(m,2H);
(実施例6)
2−ベンジル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=C)の調製
出発物質として2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1−1(R=H)及びヒドロ桂皮酸アルデヒドを使用することにより、実施例3に記載の手順に従って中間生成物の2−ヒドロキシ−3−(3−フェニル−1−n−プロペニル)−1,4−ナフトキノン1−2(R=H、R=C)を調製した。10g(0.035mol)の1−2(R=H、R=C)から、実施例4に記載の手順を使用して黄色い結晶を生じることにより、2−ベンジル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=C)を得た;収率50%。2−ベンジル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=C)、H NMR(CDCl中)δ4.14(s,2H),6.56(s,1H),7.27−7.38(m,5H),7.70−7.77(m,2H),8.14−8.22(m,2H);
(実施例7)
2−エチル−7−クロロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=Cl、R=CH)の調製
出発物質として2−ヒドロキシ−7−クロロ−1,4−ナフトキノン1−1(R=Cl)のナトリウム塩及びn−ブチルアルデヒドを使用することにより、実施例3に記載の手順に従って中間生成物の2−ヒドロキシ−3−(1−n−ブテニル)−7−クロロ−1,4−ナフトキノン1−2(R=Cl、R=CH)を調製した。2g(0.0077mol)の1−2(R=Cl、R=CH)から、実施例4に記載の手順を使用して黄色い結晶を生じることにより、2−エチル−7−クロロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=Cl、R=CH)を得た;収率30%。2−エチル−7−クロロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=Cl、R=CH)、H NMR(CDCl中)δ1.36(t,J=8,3H),2.85(q,J=7,2H),6.63(s,1H),7.67(d,J=8,1H),8.11(d,J=8,1H),8.17(s,1H)。
【0142】
(実施例8)
2−エチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=F、R=CH)の調製
出発物質として2−ヒドロキシ−7−フルオロ−1,4−ナフトキノン1−1(R=F)のナトリウム塩及びn−ブチルアルデヒドを使用することにより、実施例3に記載の手順に従って中間生成物の2−ヒドロキシ−3−(1−n−ブテニル)−7−フルオロ−1,4−ナフトキノン1−2(R=F、R=CH)を調製した。2g(0.0082mol)の1−2(R=F、R=CH)から、実施例4に記載の手順を使用して黄色い結晶を生じることにより、2−エチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=F、R=CH)を得た;収率30%。2−エチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=F、R=CH)、H NMR (CDCl中)δ1.36(t,J=8,3H),2.86(q,J=7,2H),6.63(s,1H),7.35−7.40(m,1H),7.85−7.88(m,1H),8.18−8.22(m,1H)。
【0143】
(実施例9)
2−(1−アセトキシエチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−4(R=H、R=CH)の調製
4.53g(0.02mol)の2−エチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=CH)の、200mlのベンゼン溶液に、7g(0.04mol)のN−ブロモコハク酸イミド及び7g(0.016mol)の酢酸鉛(IV)を加えた。混合物を24時間還流し、その後、2倍量の5%重炭酸ナトリウム溶液に注いだ。ろ過後、有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、最終的に蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、淡い黄色の粉末を得た:収率60%。2−(1−アセトキシ−エチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−4(R=H、R=CH)、H NMR(CDCl中)δ2.12(d,J=7,3H),2.96(s,3H),5.25(q,J=7,1H),6.86(s,1H),7.72−7.79(m,2H),8.17−8.24(m,2H)。
【0144】
(実施例10)
2−(1−ヒドロキシエチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−5(R=H、R=CH)及び2−ビニル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−6(R=H、R=H)の調製
2.84g(0.01mol)の2−(1−アセトキシエチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−4(R=H、R=CH)及び200mlの2NのHClの、70%エタノール中混合物を1時間還流した。1倍量の氷水を加えた後、混合物をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、2つの淡い黄色の分画を得た。後で抽出した分画:収率35%、2−(1−ヒドロキシエチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−5(R=H、R=CH)、H NMR(CDCl中)δ1.66(d,J=7,3H),2.26(広幅なs,1H),5.05(q,J=7,1H),6.92(s,1H),7.72−7.78(m,2H),8.16−8.23(m,2H);
先に抽出した分画:収率43%、2−ビニル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−6(R=H、R=H)、H NMR(CDCl中)δ3.57(q,J=7,2H),4.62(q,J=7,1H),6.85(s,1H),7.72−7.78(m,2H),8.17−8.24(m,2H)。
【0145】
(実施例11)
2−(1−ヒドロキシエチル)−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−5(R=F、R=CH)及び2−ビニル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−6(R=F、R=H)の調製
実施例9に記載の手順に従って、2−エチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=F、R=CH)を使用することにより、2−(1−アセトキシエチル)−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−4(R=F、R=CH)を調製し、収率は55%であった。2−(1−ヒドロキシエチル)−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−5(R=F、R=CH)及び2−ビニル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−6(R=F、R=H)を実施例10に記載の手順に従って調製し、1−5(R=F、R=CH)の収率は35%であり(H NMR(CDCl中)δ1.66(d,J=7,3H),2.20(広幅なs,1H),5.05(広幅,1H),6.86(s,1H),7.37−7.43(m,1H),7.85−7.89(m,1H),8.19−8.24(m,1H);)、1−6(R=F、R=H)に関しては収率40%であった(H NMR(CDCl中)δ3.58(q,J=7,2H),4.61(q,J=7,1H),6.86(s,1H),7.37−7.42(m,1H),7.88(q,J=6,1H),8.22(q,J=4,1H))。
【0146】
(実施例12)
2−メチル−3−フェニル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン2−6(R=H、R=H、R=C)の調製
20g(0.11mol)の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの、200mlのDMSO溶液に、16.5g(0.11mol)のヨウ化ナトリウム、15.3ml(0.11mol)のトリエチルアミン及び23.8g(0.12mol)の臭化シンナミルを加えた。混合物を、50℃で一晩激しく撹拌し、その後400mlの氷水を加えることによって冷却し、得られた混合物を300mlのトルエンで2回抽出した。合わせた有機相を、500mlの水、及び400mlの2Nの水酸化ナトリウムで2回及び500mlの水で連続して洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。粗生成物2−2(R=H、R=H、R=C)の残渣を、200mlの無水エタノールに溶解し、3時間還流した。蒸発後、残渣を200mlのトルエンに溶解し、200mlの2Nの水酸化ナトリウムで2回抽出した。合わせた抽出物を、濃塩酸を加えることによってpH3〜5に中和し、300mlのジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を、当量の水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発させ、粗ラパコール類似体2−3を得た(R=H、R=H、R=C)。2gの粗2−3(R=H、R=H、R=C)に20mlの硫酸を加え、得られた混合物を、室温で1時間放置した。硫酸混合物を、200mlの水に注ぎ、200mlのジクロロメタンで2回抽出し、粗キノン類似体2−4を得(R=H、R=H、R=C)、これを、その後シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。N−ブロモコハク酸イミド及び酢酸鉛(IV)を用いた2−4(R=H、R=H、R=C)の処理を、実施例9に記載の手順に従って実施し、粗2−5(R=H、R=H、R=C)を得た。シリカゲルクロマトグラフィーを実施せず、粗2−5(R=H、R=H、R=C)を直接200mlエタノール/濃HCl(1:1)に溶解し、1時間還流し、粗2−6(R=H、R=H、R=C)を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。全収率10%。2−メチル−3−フェニル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン2−6(R=H、R=H、R=C)、H NMR(CDCl中)δ2.51(s,3H),7.42−7.50(m,5H),7.71−7.74(m,2H),8.10−8.13(m,1H),8.21−8.23(m,1H)。
【0147】
(実施例13)
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=H、R=CH、R=H)の調製
5.52g(0.02mol)の2−エチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=CH)の、100mlの酢酸及び無水酢酸(3:1)溶液に、酸化クロム(VI)(6g、0.06mol)を、4つに分割し30分おきに激しく撹拌しながら加えた。室温でさらに48時間後、混合物に1倍量の水を加え、その後アイスバスにおいて0℃で冷却し、ろ過した。得られた固体を冷水で洗浄し、真空下で乾燥させ、酢酸エチル中で再結晶化させ、明るい黄緑の結晶を得た:収率56%、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=H、R=CH、R=H)H NMR(CDCl中)δ2.67(s,3H),7.61(s,1H−3),7.79−7.84(m,2H),8.22−8.28(m,2H)。
【0148】
(実施例14)
2−ベンゾイル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=H、R=C、R=H)の調製
5.76g(0.02mol)の2−ベンジル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=H、R=C)の、100mlの酢酸及び無水酢酸(3:1)溶液に、酸化クロム(VI)(6g、0.06mol)を、4つに分割し30分おきに激しく撹拌しながら加えた。室温でさらに48時間後、混合物に2倍量の水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。蒸発後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによる精製に供した。明るい黄緑色の粉末を得た。45%収率、2−ベンゾイル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=H、R=C、R=H)、H NMR(CDCl中)δ7.56−7.60(m,2H),7.66−7.70(m,1H),7.71(s,1H−3),7.80−7.84(m,2H),8.10−8.13(m,2H),8.24−8.30(m,2H)。
【0149】
(実施例15)
2−ベンゾイル−7−ブロモ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=Br、R=C、R=H)の調製
中間体1−1(R=Br)は、出発物質として5−ブロモ−1−インダノンを使用することにより実施例1に記載の手順に従って調製した。
【0150】
中間体1−2(R=Br、R=C)は、出発物質として1−1(R=Br)及びヒドロ桂皮酸アルデヒドを使用することにより実施例3に記載の手順に従って調製した。
【0151】
中間体1−3(R=Br、R=C)は、出発物質として1−2(R=Br、R=C)を使用することにより実施例6に記載の手順に従って調製した。
【0152】
出発物質として1−3(R=Br、R=C)を使用することにより、実施例14に記載の方法に従って2−ベンゾイル−7−ブロモ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=Br、R=C、R=H)を得、収率は25%であった。H NMR(CDCl中)δ7.58(t,J=8,2H),7.67−7.72(m,2H),7.93−7.96(m,1H),8.09−8.12(m,3H),8.4(d,J=2,1H)。
【0153】
(実施例16)
2−アセチル−7−クロロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=Cl、R=CH、R=H)の調製
出発物質として2−エチル−7−クロロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=Cl、R=CH)を使用することにより、実施例13に記載の方法に従って2−アセチル−7−クロロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=Cl、R=CH、R=H)を得、収率は30%であった。H NMR(CDCl中)δ2.67(s,3H),7.61(s,1H),7.74−7.78(m,1H),8.17−8.23(m,2H)。
【0154】
(実施例17)
2−アセチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=F、R=CH、R=H)の調製
出発物質として2−エチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン1−3(R=F、R=CH)を使用することにより、実施例13に記載の方法に従って2−アセチル−7−フルオロ−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン3−2(R=F、R=CH、R=H)を得、収率は30%であった。H NMR (CDCl中)δ2.67(s,3H),7.44−7.49(m,1H),7.61(s,1H),7.90−7.93(m,1H),8.25−8.30(m,1H)。
【0155】
(実施例18)
2−アセチル−3−ブロモメチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン4−6(R=H、R=−CH及びR=−CHBr)の調製
アイスバスにおいて激しく撹拌している、5g(0.0594mol)の3−ペンテン−2−オンの、100mlのペンテン溶液に、20mlのペンテン中の9.5g(0.0594mol)の臭素を、30分以内に加えた。アイスバスにおいてさらに5分間撹拌した後で、混合物を蒸発させ、大部分のペンテンを除去した。ステップ1からの少量の3,4−ジブロモ−2−ペンタノンの残渣を200mlのTHFに溶解し、その後、アイスバスにおいて冷却した。アイスバスにおいて激しく撹拌している溶液に、9.0g(0.0594mol)のDBUを、30分以内にゆっくりと加えた。大量の塩の沈殿が発生した。混合物を、直接次のステップの反応に使用した。3−ブロモ−3−ペンテン−2−オンの反応混合物に、10.4g(0.0594mol)の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを加えた。得られた混合物を、室温でウォーターバスにおいて激しく撹拌した。その後、9.9g(0.0650mol)のDBUを、混合物に30以内にゆっくりと加えた。反応から発生する熱によって混合物の温度が上昇し、ウォーターバスに氷を加えることによって、35℃より低く調節した。空気下、室温下で、さらに3時間激しく撹拌した後で、混合物を少量まで蒸発させ、その後500mlの水を残渣に加えた。得られた混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を水、水性5%重炭酸ナトリウム及び水で個別に洗浄し、その後硫酸ナトリウムで乾燥させた。200mgの2−アセチル−3−メチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオンを、シリカゲル精製により得た。2−アセチル−3−メチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオン4−5(R=H、R=R=CH)、H NMR(CDCl3中)δ1.55(d,J=7,3H),2.35(s,3H),3.58(m,1H),4.75(d,J=7,1H),7.69−7.77(m,2H),8.06−8.12(m,2H)。
【0156】
精製したジヒドロフラン中間体を、ジクロロメタンに溶解した。この溶液に300mgの臭素を加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を少量になるまで蒸発させ、シリカゲルカラムに載せた。所望の純粋な2−アセチル−3−ブロモメチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン4−6(R=H、R=CH、R=BrCH2)を得た。H NMR(CDCl3中)δ2.78(s,3H),4.51(s,2H),7.80−7.83(m,2H),8.21−8.27(m,2H)。
【0157】
(実施例19)
生物学的アッセイ
本発明の化合物は、上記のプロトコルに従って試験できる。表2は、このプロトコルに記載の化合物のリストを示す。
【0158】
【表2】

細胞培養:HeLa、DU145、H1299、DLD1、SW480、A549、MCF7、LN18、HCT116、HepG2、Paca2、Panc1、LNcap、FaDu、HT29及びPC3細胞(ATCC、Manassas、VA)を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gemini Bio−Products、West Sacramento、CA)及び5%ペニシリン/ストレプトマイシン/アムホテルシンB(Invitrogen)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Invitrogen、Carlsbad、CA)で維持した。
【0159】
ルシフェラーゼレポーターアッセイ:Lipofectamine2000を製造元(Invitrogen)による記載の通り使用して、HeLa細胞にStat3−ルシフェラーゼ(Stat3−Luc)レポーターベクター(Panomics、Fremont、CA)及びウミシイタケルシフェラーゼ(Promega、Madison、WI)を同時形質移入した。形質移入後、0.5%FBSを含有する培地で細胞を24時間維持した。次いで、示した化合物を用いて細胞を30分間処理し、その後培地に25ng/mlのオンコスタチンM(OSM)(R&D Systems、Minneapolis、MN)を加えた。OSMを添加してから6時間後、細胞を収穫し、Dual−Glo Luciferase Assay Systemを製造元(Promega)による記載の通り使用して、ホタル及びウミシイタケのルシフェラーゼのレベルを測定した。
【0160】
STAT3 DNA結合アッセイ:電気泳動移動度シフトアッセイ(Electrophoretic mobility shift assay)(EMSA)を、製造元(Li−Cor Biosciences、Lincoln、NE)による記載の通り実施した。簡潔に述べると、NucBuster Protein Extraction Kitを製造元(EMD Biosciences、San Diego、CA)による記載の通り使用して、HeLa細胞から核抽出物を作製した。5μgの核抽出物を、示した用量の示した化合物と共に30分間予備インキュベートし、その後、IR700標識コンセンサスStat3オリゴヌクレオチドと共に15分間インキュベートした。次いで、サンプルをポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、Odyssey infrared imaging system(Li−Cor Biosciences)を使用して直接スキャンした。酵素免疫吸着測定法(ELISA)のために、5μgの核抽出物を、示した濃度の示した化合物と共に30分間予備インキュベートし、その後ビオチン化オリゴ(5’−ビオチン−GATCCTTCTGGGAATTCCTAGATC−3’)を加えた。その後Stat3−DNA複合体を、ストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(Pierce、Rockford、IL)に捕捉した。次いで、結合複合体を、Stat3ポリクロナール抗体(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)と共にインキュベートし、その後抗ウサギHRP標識二次抗体(GE Healthcare、Pittsburgh、PA)と共にインキュベートした。結合抗体を、TMB基質(Pierce)を加えることによって可視化し、450nmで吸光度を測定した。
【0161】
細胞の生存の決定:3−(4,5ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)分析のために、細胞を96ウェルプレートに10,000細胞/ウェルで播種した。播種してから24時間後、化合物を細胞に、示した用量で加えた。化合物を添加してから22時間後、各ウェルにMTTを加え(0.5mg/ml、最終濃度)、プレートを37℃でさらに2時間インキュベートした。その後培地を吸引し、ホルマザン生成物を100μlのイソプロピルアルコール中で可溶化した。マイクロプレートリーダーを使用して、各ウェルの吸光度を570nmで測定した。
【0162】
Hoechstのサイドポピュレーション:サイドポピュレーション(SP)及び非SP分画を同定するために、SW480細胞を、トリプシン及びEDTAを含む培養皿から取り出し、遠心分離によってペレットにし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2%のFBS及び1mMのHEPESを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に、37℃で再懸濁した。その後、Hoechst33342(Invitrogen)を5μg/mLの濃度で用いて細胞を標識した。標識した細胞を、単独で、又は50μMのベラパミル(Sigma−Aldrich、St.Louis)と共に37℃で120分間インキュベートした。染色後、細胞を、2%のFBS及び1mMのHEPESを含有するHanksの平衡生理食塩水(HBSS;Invitrogen)に懸濁し、40μmのメッシュのフィルターを通し、フローサイトメトリー分析まで4℃で維持した。Hoechstの色素は350nmで励起され、その蛍光を450DF10(450/20nmのバンドパスフィルター)及び675LP(675nmのロングパスエッジフィルター)光学フィルターを使用して、2種の波長で測定した。前方散乱光及び側方散乱光のゲーティングは、厳しくなく、デブリのみを排除した[26]。
【0163】
表面マーカーを用いたCSCの単離:CD44又はCD133などの表面マーカー(複数)の差次的発現に主に基づいた腫瘍細胞の分類は、今日までに報告された高腫瘍形成性CSCsの大部分を占めている。CD133の単離は、わずかに修正したRicci−Vitianiらの方法[31]に基づく。CD133細胞を、蛍光標識細胞分取(FACS)又は磁気ナノ粒子に基づく分離のいずれかによって単離した。簡潔に述べると、10細胞/mLを、FACSに基づく細胞分類のためにCD133/1(AC133)−PEを用いて、又は磁場に基づく分離のためにCD133/1(AC133)−ビオチン(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を用いて、EasySep(登録商標)ビオチン選択キット(Miltenyi Biotec)を使用して、製造元の推奨に従って標識した。市販のFcR遮断試薬を用いて非特異的標識を遮断し、抗体インキュベーション(1:11)を、2%のFBS及び1mMのEDTAを含むPBS中で氷上において15分間実施した。EasySep(登録商標)単離のために5回の洗浄を実施したが、細胞を400×g、5分間でペレットにし、2×10/mLで懸濁し、その後FACSにより分類した。
【0164】
CD44細胞を、わずかに修正したPontiらに報告されている方法に従ってFACSにより単離した[82]。簡潔に述べると、トリプシン処理後、細胞を回収し、成長培地において37℃で30分間置き、細胞を400×gでペレットにし、2%のFBS及び1mMのEDTAを含むPBSに1×10細胞/mLで再懸濁した。その後、細胞を、CD44−FITC(BD Biosicences、San Diego、CA)の100倍希釈液と共に、氷上で15分間インキュベートした。又は、CD24−PE(BD Bioscences、San Diego、CA)(1:100)を、負の選択として利用した。3回洗浄した後、細胞を2×10/mLで再懸濁し、40μMのメッシュに通し、その後分類した。
【0165】
スフィアアッセイ:細胞集団の自己再生能を、血清又は接着が存在しない状態で、球として培養できるかどうかについて測定するための信頼性のある方法。CD44FaDu又はHoechstのサイドポピュレーションの癌幹細胞を、超低接着プレートにおいて、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal添加物、20ng/mlのEGF、10ng/mlのFGF、4μg/mlのインスリン及び0.4%のBSA)中で培養し、球を形成させた。通常、球形成を培養10〜14日後に顕微鏡により評価し、>50細胞を有する球を数えた。
【0166】
(実施例20)
広範囲の癌細胞を選択的に死滅させる化合物の特定
インビトロで広範囲の癌細胞に対してアポトーシス誘導性である化合物の特定。96ウェルに播種し、示した化合物で処理した細胞を、細胞生存を決定するための化合物処理から24時間後にMTT分析に供した。複数の細胞系にわたって計算したIC50値を、下記の表3及び表4に要約した。データは、これらの化合物が広範囲な癌細胞に対して強力な活性を有することを実証している。
【0167】
【表3】

【0168】
【表4】

(実施例21)
抗癌幹細胞標的としてのStat3の同定
CSCにおいて、Stat3のノックダウンはアポトーシスを誘導する。癌幹細胞がStat3を発現するかどうか、及びStat3が構成的に活性であるかどうかを決定するために、本発明者らは免疫蛍光顕微鏡法を実施し、免疫蛍光顕微鏡法は稀有な細胞集団の分析を可能にするだけでなく、タンパク質の局在及び染色と表現型(すなわちアポトーシス)とを相互に関連づける能力もまた提供する。NSP中のp−Stat3及びStat3並びにSW480結腸癌細胞からFACSにより単離されたSP細胞の免疫蛍光検出の後で、本発明者らは、Stat3が実際にSP細胞中に存在し、核において多少豊富であったことを決定した(図3A)。さらに、本発明者らは、SP細胞中で、NSP細胞よりp−Stat3の染色が増加することを観察し、SP細胞は、生存のためにStat3により強く頼っていることが示唆される。
【0169】
Stat3の状態を、FaDuヒト頭頚部癌細胞及びLN18ヒトグリア芽腫細胞から単離されたCD133細胞においてさらに評価した。図3Bに示すように、Stat3は、これらの細胞においてもまた構成的に活性である。総合的に、これらのデータは、標的としてのStat3が癌幹細胞にとって特に重要であることを示唆する。
【0170】
次に本発明者らは、TPIV(登録商標)を使用して、CSCにおけるStat3のノックダウンの効果を試験した。免疫蛍光分析により、Stat3の有意な消耗が、新鮮に単離されたCSC(SP)の24時間以内の感染の達成を可能にすることが明らかになり(図4A)、Stat3 TPIV(登録商標)により処理された細胞の大部分が感染24時間以内にアポトーシスとなり、一方、対照TPIV(登録商標)は、対照の未感染の細胞を上回るレベルまでアポトーシスを誘導しなかったことが見出された(図4B)。これらのデータは、癌幹細胞が生存のためにStat3に依存していることを実証する。
【0171】
CSCにおけるStat3のノックダウンは、CSCの球形成性を阻害する。
CD44/CD24FaDu又はHoeschstのサイドポピュレーション癌幹細胞を、FACSにより単離し、超低接着プレートにおいて、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27Neurobasal添加物、20ng/mLのEGF、10ng/mLのFGF、4μg/mLのインスリン及び0.4%のBSA)中で培養し、球を形成させた。一次球を回収し、トリプシンで分散させ、96ウェルの超低接着プレートに分注し、その後TPIV(登録商標)処理した。細菌を、MOIが1000で投与し、2時間後抗生物質カクテル(penstrep、ゲンタマイシン、オフロキサシン)を加えた。球形成を、培養10〜14日後に評価した。代表的な球の画像を、トリパンブルーの添加前(図5、左上のパネル)又は後に記録し、死細胞を同定した(図5、左下のパネル)。相対的球形成性を、図5の右のパネルに示した。データは、癌幹細胞におけるStat3のノックダウンが、球形成性を阻害したことを明らかに示し、Stat3が、癌幹細胞のカギとなる自己再生因子であることを実証している。
【0172】
(実施例22)
Stat3経路の活性を阻害する化合物の同定
Stat3の転写活性の阻害。化合物を、細胞においてStat3の転写活性化活性を阻害するそれらの能力に関して、Stat3−ルシフェラーゼ(Stat3−luc)レポーター構築体を使用して試験した。Stat3−lucを形質移入した細胞を、血清使用量低減培地で培養し、その後表示の化合物を30分間加えた。その後、細胞を、25ng/mlのオンコスタチンM(OSM)を用いて6時間刺激し、続いてStat3−lucレポーター活性を検出した。Stat3ルシフェラーゼレポーターアッセイにおける被験化合物及び結果を、表5に要約する。
【0173】
【表5】

Stat3DNA結合活性の阻害。チロシン705残基のリン酸化により検出されるような、構成的に活性化されたStat3を含有する、HeLa細胞由来の核抽出物を、Stat3EMSAの実施に使用し、Stat3DNA結合活性をモニターした。核抽出物を、表示の化合物と共にインキュベートし、その後IR700標識Stat3コンセンサスオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした。Stat3のオリゴヌクレオチドに対する結合を、ゲル電気泳動によりモニターし、LiCor Odyssey赤外線走査装置を使用して検出した。Stat3が低下したバンドを同定し、抗Stat3抗体によるスーパーシフト(図6A、左のパネル)及びStat3ペプチドによる用量依存性阻害(図6A、中央のパネル)によって確認した。Stat3DNA結合の用量依存性阻害を、標識プローブと化合物401とのインキュベーションの後で観察した(図6A、右のパネル)。
【0174】
EMSAアッセイにおいて追加の化合物を試験し、結果を図6B及び表6に示す。阻害%を計算するために、未処理のStat3低下バンド(対照)の密度を100に設定し、阻害%は、対照と、薬剤処理サンプルの相対的DNA結合活性との差であった。これらのデータは、本発明の化合物が、Stat3のDNA結合活性を阻害できることを示す。
【0175】
【表6】

(実施例23)
癌幹細胞を標的とする化合物の同定
化合物を抗CSC活性に関して試験するために、新鮮に単離したCSC(SW480Hoechst SP細胞又はCD44FaDu細胞)を、化合物の用量範囲(30〜0.117μM)に48時間曝し、その後細胞の生存をMTTアッセイにより調べた。IC50を、生存細胞のパーセントをプロットすることによって推定した。表7及び表8に示すように、本発明の化合物は、癌幹細胞を標的にできる。
【0176】
【表7】

【0177】
【表8】

参考文献
【0178】
【数1】

【0179】
【数2】

【0180】
【数3】

【0181】
【数4】

【0182】
【数5】

【図3A】

【図3B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化30】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、RがNRでない場合、Rは、水素でなく、R及びRの少なくとも1つはハロゲン、アリール若しくは置換アリールである]。
【請求項2】
【化31】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式II
【化32】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル又は置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール又は置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4であり、
ただし、R及びRの少なくとも1つが水素であるか、又はR、R、R、及びRは、アリール又は置換アリールである]。
【請求項4】
【化33】

からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式III
【化34】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、ハロゲンであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、OR、OC(=O)R又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である]。
【請求項6】
以下の構造
【化35】

を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式IV
【化36】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
及びR10は、それぞれ独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、複素環若しくは置換複素環、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルヘテロアリールであるか、或いは前記R及びR10は、それらが結合している炭素と一緒になってシクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である]。
【請求項8】
【化37】

からなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式V
【化38】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
11は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、アルキルヘテロアリール若しくは置換アルキルヘテロアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
nは、1〜4である]。
【請求項10】
式VI
【化39】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
各Rは、独立に水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
ただし、Rがヒドロキシル、アルキル又は置換アルキルである場合、Rは、ハロゲン、アリール又は置換アリールであり、
さらには、Rがアリール又は置換アリールである場合、Rは、水素でなく、
さらには、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]。
【請求項11】
XがOであり、Rの少なくとも1つがハロゲンである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
XがOであり、Rの一方がハロゲンであり、Rの他方が水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
【化40】

からなる群から選択される化合物。
【請求項14】
式VII
【化41】

の化合物[式中、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、RがNRでない場合、Rは、水素でない]。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤学的に許容できる塩、或いはその薬剤学的に許容できる塩又は溶媒和物、及び薬剤学的に許容できる賦形剤、担体又は希釈剤を含む薬剤組成物。
【請求項16】
対象における癌を治療する方法であって、治療有効量の式I〜VIIの化合物、或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
前記癌が乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝臓癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍、白血病からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頚癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が肺癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、肝臓癌、頭頚部癌、膵臓癌、胃癌及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
細胞における細胞Stat3経路活性を阻害する方法であって、前記細胞における少なくとも所望でないStat3経路活性が低下するように、有効量の式VIII
【化42】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を前記阻害を必要とする細胞に投与することを含む、方法。
【請求項21】
前記細胞が癌幹細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が癌細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
対象における異常なStat3経路活性に関連する障害を治療する方法であって、
治療有効量の式VIII
【化43】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項24】
異常なStat3経路活性がリン酸化Stat3又はStat3リン酸化の代用の上流調節因子若しくは下流調節因子の発現により確認することができる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記障害が癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記癌が乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頚癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記障害が慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、炎症性関節炎、クローン病、慢性炎症性状態、喘息、アレルギー、感染症、乾癬、ケロイド、いぼ、骨髄異形成症候群、真性赤血球増加症、自己免疫性脱髄障害、アルツハイマー病、卒中、冠動脈疾患、虚血性再潅流傷害及び多発性硬化症(表に示した疾患)からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
異常なStat3経路活性により患者を選択する段階、及び
治療有効量の式VIIIの化合物及びその薬剤学的に許容できる塩又は溶媒和物であるStat3経路阻害剤を前記患者に投与する段階を含む、
患者を治療する方法。
【請求項29】
治療有効量の式VIIIの化合物及びその薬剤学的に許容できる塩又は溶媒和物であるStat3経路阻害剤を患者に投与することにより、異常なStat3経路活性を発現する癌を有すると検査された患者を治療する方法。
【請求項30】
前記異常なStat3経路活性の測定がリン酸化Stat3又はStat3リン酸化の代用の上流若しくは下流調節因子の発現を試験する段階を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
癌幹細胞の生存及び/又は自己再生を阻害する方法であって、
有効な量の式VIII
【化44】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を癌幹細胞に投与することを含む、方法。
【請求項32】
インビトロで実施する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
対象における癌を治療するためにインビボで実施する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記癌が乳癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝臓癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍、白血病からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記癌が転移性である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記癌が化学療法又は放射線療法に不応性である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記癌が化学療法に本質的に抵抗性である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が以前の治療の後に前記対象において再発した、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
標準的治療法に不応性の癌に対して対象を治療する方法であって、
治療有効量の式VIII
【化45】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項40】
前記標準的治療法が化学療法及び/又は放射線療法の従来型の標準的療法を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記標準的治療法が手術を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記癌が化学療法に本質的に抵抗性である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
対象における再発した癌を治療する方法であって、
治療有効量の式VIII
【化46】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項44】
手術後の補助療法として用いる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象における癌転移を治療又は予防する方法であって、
治療有効量の式VIII
【化47】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項46】
手術後の補助療法として用いる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
対象における癌を治療する方法であって、
治療有効量の式VIII
【化48】

の化合物、
或いはその鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は薬剤学的に許容できる塩若しくは溶媒和物[式中、記号は、以下の意味を有し、各存在について独立に選択され、
Xは、O又はSであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR又はSRであり、
12は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリール、−C(=O)R又は−C(OH)Rであり、
は、水素、シアノ、CF、OCF、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、OR、SR又はNRであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、アリール若しくは置換アリール、アルキルアリール若しくは置換アルキルアリールであり、場合によって、R及びRは、結合してアルケニル若しくは置換アルケニルを形成していてよく、
は、水素、アルキル若しくは置換アルキル、アルケニル若しくは置換アルケニル、アルキニル若しくは置換アルキニル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは置換シクロアルケニル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであり、
及びRは、独立に水素、アルキル若しくは置換アルキル、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、複素環若しくは置換複素環、又はアリール若しくは置換アリールであるか、或いは前記R及びRは、それらが結合しているNと一緒になって複素環若しくは置換複素環を場合によって形成しており、
nは、1〜4であり、
ただし、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン及び2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンは除外される]を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記癌が肝臓癌、頭頚部癌、膵臓癌、胃癌、腎臓癌、肉腫、多発性骨髄腫、転移性乳癌、白血病、リンパ腫、食道癌、脳腫瘍、神経膠腫、膀胱癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、胆管癌、骨癌、眼癌(網膜芽腫)、胆嚢癌、下垂体癌、直腸癌、唾液腺癌及び鼻咽頭癌からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記癌が肺癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、肝臓癌、頭頚部癌、膵臓癌、胃癌及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記癌が肝臓癌、頭頚部癌、膵臓癌、胃癌及び転移性乳癌からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−539095(P2010−539095A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524243(P2010−524243)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/075848
【国際公開番号】WO2009/036059
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510055334)ボストン バイオメディカル, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】