説明

新規オキシムエステル化合物およびそれを含んでなるラジカル重合開始剤および重合性組成物およびそれを用いたネガ型レジストおよびそれを用いた画像パターン形成方法

【課題】高感度なラジカル重合開始剤として機能しうる新規オキシムエステル化合物及びそれを用いた硬化性組成物、及びそれを含むネガ型レジスト及びそれを用いた画像パターン形成方法の提供。
【解決手段】カルバゾールの3位に下記一般式(2)で表されるオキシムエステル残基、及び9位に置換フェニル残基を有するラジカル重合開始剤、及び該ラジカル重合開始剤を用いた硬化性組成物、該硬化性組成物を含むネガ型レジスト、さらに該ネガ型レジストを基材上に積層し、部分的にエネルギー線を照射し重合させ、未照射の部分をアルカリ現像液によって除去する画像パターンの形成方法。一般式(2)


(式中、R1、R2’は、アルキル基、アリール基、複素環基等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオキシムエステル化合物、それを含んでなるラジカル重合開始剤、それを用いた重合性組成物、それを用いたネガ型レジスト及びそれを用いた画像パターン形成方法に関する。さらに、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチング用レジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための組成物、各種デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種のオキシムエステル化合物がラジカル重合開始剤として機能することは公知である(非特許文献1、特許文献1,2参照)。また、ポジ又はネガ型の感光性ポリイミド前駆体用組成物の光ラジカル重合開始剤として、α−ケトオキシムエステル化合物が開示されている(特許文献3参照)。また、ある種のα,α’−ジケトオキシムエステル化合物が開示されている(特許文献4〜8参照)。また、ある種のo−アシルオキシムエステル化合物が開示されている(特許文献9〜13参照)。近年、生産性の向上や新しく提案される様々なプロセスに対応すべく、重合開始剤の高感度化が普遍的に求められている。これに対応して、活発な研究がなされてきた結果、目覚しい進歩が見られるが、それでもなお、さらなる感度の向上による生産性の向上が求められている。
【0003】
さらに、近年、様々な分野において、感光性樹脂を用いたフォトレジスト法が用いられている。このフォトレジスト法においては、例えば、所望の画像を設けようとする基板表面に、塗工あるいは他の基材からの転写によって感光性樹脂層を形成し、次いで該感光性樹脂層に、原画を介してエネルギー線を照射して露光した後に、未露光部分を溶剤またはアルカリ水溶液による現像処理により除去して、該原画に対応する画像を形成させる方法が通常とられている。このようなフォトレジスト法を用いた例としては、例えば、表示パネル用スペーサーを形成するための材料としてある種のネガ型レジストが開示されている(特許文献14〜16参照)。また、電気・電子部品製造用、プリント基板製造用材料としてある種のネガ型レジストが開示されている(特許文献17〜19参照)。最近では、より高感度なレジスト組成物として、ラジカル重合開始剤にある種のO−アシルオキシムエステルを用いたレジスト組成物が知られており、表示パネル用スペーサーを形成するための材料としてある種のネガ型レジストが開示されている(特許文献20参照)。また、電気・電子部品製造用、プリント基板製造用材料としてある種のネガ型レジストが開示されている(特許文献21参照)。これらはいずれもレジスト組成物として機能しうるが、近年、生産性の向上や新しく提案される様々なプロセスに対応すべく、レジスト組成物にますます高い機能と新しい機能の付加が要求されている。特に、より高感度なレジスト組成物が要求されるようになり、種々のレジスト組成物の開発が積極的に進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,558,309号明細書
【特許文献2】米国特許第4,255,513号明細書
【特許文献3】特開平7−140,658号公報
【特許文献4】米国特許第5,019,482号明細書
【特許文献5】特開昭62−184,056号公報
【特許文献6】特開昭62−273,259号公報
【特許文献7】特開昭62−286,961号公報
【特許文献8】特開昭62−201,859号公報
【特許文献9】特開2001−233,842号公報
【特許文献10】特開2000−80,068号公報
【特許文献11】特表2004−534,797号公報
【特許文献12】国際特許2007/062963号公報
【特許文献13】国際特許2008/078678号公報
【特許文献14】特開平11−174464号公報
【特許文献15】特開2001−226449号公報
【特許文献16】特開2002−341531号公報
【特許文献17】特開平10−198033号公報
【特許文献18】特開2002−236362号公報
【特許文献19】特開2002−249644号公報
【特許文献20】特開2001−261761号公報
【特許文献21】特開2001−302871号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】European polymer Journal, 1970, 6, 933−943
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エネルギー線、特に光の照射により活性なラジカルを効率よく発生し、ラジカル重合性化合物を短時間に重合させうる高感度なラジカル重合開始剤として機能しうる新規オキシムエステル化合物およびそれを用いた硬化性組成物を提供することにある。
本発明の更なる目的は、硬化速度が極めて速く、かつエネルギー線により、非常に鮮明なパターン露光あるいは直接描画に好適に用いることが可能で、なおかつ基板との密着性に非常に優れた、特にフォトレジスト材料に好適に用いられるアルカリ現像性を有するネガ型レジスト材料および該ネガ型レジストを用いた画像パターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明の一態様は、下記一般式(1)で表される化合物に関する。
【0008】
一般式(1)
【化1】

【0009】
(式中、R1は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、置換もしくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のホスフィノイル基、置換もしくは未置換のカルバモイル基、または置換もしくは未置換のスルファモイル基を表す。
2は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または置換もしくは未置換のアミノ基を表す。
3〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基を表す。
6〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアミノ基、または下記一般式(2)である置換基を表す。
一般式(2)
【化2】

(式中、R1’およびR2’は、R1およびR2と同義である。)
10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは未置換のアシル基を表すが、R10〜R14のすべてが同時に水素原子になることはない。)
【0010】
また、本発明の一態様は、R10〜R14の少なくとも一つが、ニトロ基、または置換もしくは未置換のアシル基である上記化合物に関する。
【0011】
また、本発明の一態様は、R10〜R14の少なくとも一つが、ニトロ基、または下記一般式(3)である上記化合物に関する。
【0012】
一般式(3)
【化3】

【0013】
(式中、R15〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基を表す。)
【0014】
また、本発明の一態様は、R12が、ニトロ基、または上記一般式(3)である上記化合物に関する。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記化合物を含んでなるラジカル重合開始剤(A)に関する。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記ラジカル重合開始剤(A)とラジカル重合性化合物(B)とを含んでなる重合性組成物に関する。
【0017】
また、本発明の一態様は、さらに増感剤(C)を含んでなる上記重合性組成物に関する。
【0018】
また、本発明の一態様は、さらに着色成分(D)を含んでなる上記重合性組成物に関する。
【0019】
また、本発明の一態様は、さらにアルカリ可溶性樹脂(E)を含んでなる上記重合性組成物に関する。
【0020】
また、本発明の一態様は、さらに上記重合性組成物を含んでなるネガ型レジストに関する。
【0021】
また、本発明の一態様は、さらに上記重合性組成物に、エネルギー線を照射して重合させる、重合物の製造方法に関する。
【0022】
また、本発明の一態様は、さらに上記ネガ型レジストを基材上に積層し、部分的にエネルギー線を照射し重合させ、未照射の部分をアルカリ現像液によって除去することを特徴とする画像パターンの形成方法に関する。
【0023】
また、本発明の一態様は、さらに上記画像パターンの形成方法で形成されてなる画像パターンに関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の化合物は、N−フェニルカルバゾール骨格のフェニル基上に、電子吸引性置換基が置換していることを特徴とするα−ケトオキシムエステル化合物であり、エネルギー線、特に光の照射により活性なラジカルを効率よく発生する。したがって、ラジカル重合開始剤として著しく良好な効果を有する化合物を提供することができる。
【0025】
また、本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いることで、良好な特性を持った重合性組成物を提供することができる。例えば、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、インクジェットインキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチングレジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤等の分野において実用的なオリゴマーやポリマーを工業的に提供し、良好な特性を持った硬化物を得るための、ラジカル重合開始剤およびそれを用いた重合性組成物を提供することができる。
【0026】
特に本発明の重合性組成物は、非常に鮮明なパターン露光あるいは直接描画に好適に用いることが可能で、なおかつ基板との密着性に非常に優れる。そのため、フォトレジスト材料に好適に用いられる高感度なネガ型レジストおよび該ネガ型レジストを用いた画像パターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、詳細にわたって本発明の実施形態を説明する。
【0028】
まず初めに、本発明の化合物について説明する。本発明の化合物は、一般式(1)で表されるように、N−フェニルカルバゾール骨格のフェニル基上に電子吸引性置換基が置換していることが特徴である。また、この構造を有することにより、本発明の化合物は該波長領域の光照射に対して、増感剤を併用しなくとも非常に効率的に分解する。その結果、本発明の組成物は、多量のラジカルを効率的に発生する高感度な材料として機能することが可能となっている。
【0029】
一般式(1)
【化4】

【0030】
一般式中、R1は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、置換もしくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のホスフィノイル基、置換もしくは未置換のカルバモイル基、または置換もしくは未置換のスルファモイル基である。中でも、化合物としての合成面や開始剤として使用した場合の性能面などを考慮すると、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、または置換もしくは未置換の複素環基が好ましく、より好ましくは置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基である。
【0031】
1における置換もしくは未置換のアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられる。それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
1における置換もしくは未置換のアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から18であり場合により1個以上のエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8である)、−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−CH2−CH−(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
炭素数2から18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
【化5】


【0035】
1における置換もしくは未置換のアルキルオキシ基としては、炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基、または炭素数2から18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキルオキシ基の具体例としては、−O−CH2−O−CH3、−O−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−O−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8である)、−O−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5である)、−O−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−O−CH2−CH−(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
炭素数2から18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
【化6】




【0038】
1における置換もしくは未置換のアリール基としては、炭素数6から24の単環または縮合多環アリール基が挙げられる。具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、9−アンスリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
1における置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられる。具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
1における置換もしくは未置換の複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素原子数4〜24の芳香族あるいは脂肪族の複素環基が挙げられる。具体例としては、2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、3−チアントレニル基、2−チアンスレニル基、2−フリル基、2−ベンゾフリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、2−アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、3−フェニキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−クマリニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
1における置換もしくは未置換の複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4〜18の単環状または縮合多環状複素環オキシ基が挙げられる。具体例としては、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
1における置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
1における置換もしくは未置換のアリールスルファニル基としては、炭素数6〜18の単環状または縮合多環状アリールチオ基が挙げられる。具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
1における置換基もしくは未置換のアルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基が好ましい。具体例としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メチルオキシメチルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルフィニル基が好ましい。具体例としては、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メチルオキシフェニルスルフィニル基、2−ブチルオキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メチルオキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
1における置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましい。具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メチルオキシメチルスルホニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0047】
1における置換もしくは未置換のアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましい。具体例としては、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メチルオキシフェニルスルホニル基、2−ブチルオキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メチルオキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
1における置換もしくは未置換のアシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、炭素数2から20のアルキルオキシ基が置換したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状アリール基が結合したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状のアリールオキシ基が置換したカルボニル基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4〜18の単環または縮合多環状の複素環基が結合したカルボニル基が挙げられる。具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、シンナモイル基ベンゾイル基、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、9−アンスリルカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、1−ナフトイルオキシカルボニル基、2−ナフトイルオキシカルボニル基、9−アンスルリルオキシカルボニル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
1における置換もしくは未置換のアシルオキシ基としては、炭素数2〜20のアシルオキシ基が挙げられる。具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0050】
1における置換もしくは未置換のアミノ基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0051】
ここで、アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、sec−ペンチルアミノ基、tert−ペンチルアミノ基、tert−オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1−アダマンタミノ基、2−アダマンタミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
アリールアミノ基としては、アニリノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、2−ビフェニルアミノ基、3−ビフェニルアミノ基、4−ビフェニルアミノ基、1−フルオレンアミノ基、2−フルオレンアミノ基、2−チアゾールアミノ基、p−ターフェニルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
ジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−フェニル−1−ナフチルアミノ基、N−フェニル−2−ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
アルキルアリールアミノ基としては、N−メチルアニリノ基、N−メチル−2−ピリジノ基、N−エチルアニリノ基、N−プロピルアニリノ基、N−ブチルアニリノ基、N−イソプロピル、N−ペンチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、N−メチル−1−ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
1における置換もしくは未置換のホスフィノイル基としては、炭素数2から50のホスフィノイル基が挙げられる。具体例としては、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
1における置換もしくは未置換のカルバモイル基としては、炭素数1から30のカルバモイル基が挙げられる。具体例としては、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシフェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N、N−ジブチルカルバモイル基、N、N−ジフェニルカルバモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
1における置換もしくは未置換のスルファモイル基としては、炭素数0から30のスルファモイル基が挙げられる。具体例としては、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N、N−ジアルキルスルファモイル基、N、N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
2は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。中でも、化合物としての合成面や開始剤として使用した場合の性能面などの観点から、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、または置換もしくは未置換のアシルオキシ基が好ましく、より好ましくは置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基である。
【0060】
2における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、および、置換もしくは未置換のアミノ基としては、前述のR1における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0061】
3〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。中でも、化合物としての合成面や開始剤として使用した場合の性能面などの観点から、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が好ましく、より好ましくは、水素原子、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基である。
【0062】
3〜R5におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0063】
3〜R5における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基は、前述のR1における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0064】
6〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアミノ基、または下記一般式(2)で表される置換基である。
中でも、化合物としての合成面や開始剤として使用した場合の性能面などの観点から、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または置換もしくは未置換のアミノ基が好ましく、より好ましくは水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基である。
【0065】
一般式(2)
【化7】

【0066】
(式中、R1’およびR2’は、R1およびR2と同義である。)
【0067】
6〜R9におけるハロゲン原子は、R3〜R5におけるハロゲン原子と同義である。
【0068】
6〜R9におけるハロアルキル基としては、すべての水素原子が上述したハロゲン原子で置換された、炭素数1〜15のアルキル基が挙げられ、具体例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタブロモエチル基、ペンタヨードエチル基、トリフルオロジブロモエチル基、トリブロモジヨードエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタクロロプロピル基、ヘプタブロモプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナクロロブチル基、ノナブロモブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、ウンデカクロロペンチル基、ウンデカブロモペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、トリデカクロロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘンイコサフルオロデシル基、トリコサフルオロウンデシル基、ペンタコサフルオロドデシル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
上記ハロアルキル基としては、合成面やラジカル重合開始剤(A)として用いた場合の特性面から、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
【0070】
6〜R9における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基は、前述のR1における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0071】
ここで、R6〜R9は上記の基であれば特に制限されないが、合成面やラジカル重合開始剤(A)として用いた場合の特性面を考慮すると、R6〜R9中に水素以外の基を含む場合は、R7が水素以外の基であることが好ましい。
【0072】
10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは未置換のアシル基であるが、R10〜R14のすべてが同時に水素原子になることはない。
【0073】
10〜R14におけるハロアルキル基は、前述のR6〜R9におけるハロアルキル基と同義であり、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアシル基は、前述のR1における置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアシル基と同義である。
【0074】
10〜R14は、合成面やラジカル重合開始剤(A)として用いた場合の特性面から、ニトロ基または置換もしくは未置換のアシル基である場合が好ましく、ニトロ基または下記一般式(3)である場合がさらに好ましい。
【0075】
一般式(3)
【化8】

【0076】
(式中、R15〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。)
好ましくは、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または置換もしくは未置換のアミノ基であり、より好ましくは、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。
中でも、化合物としての合成面や開始剤として使用した場合の性能面などを考慮すると、R15〜R19に水素以外を含む場合は、水素以外の置換基の位置がR15、R17、R19であることが好ましく、より好ましくはR17である。
【0077】
15〜R19におけるハロアルキル基は、前述のR6〜R9におけるハロアルキル基と同義であり、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基は、R1における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0078】
さらに、R10〜R14は、本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いた場合、溶剤や樹脂に対する相溶性から、一般式(3)である場合が特に好ましい。
【0079】
ここで、合成面やラジカル重合開始剤(A)として用いた場合の特性面から、R12が水素以外の基であることが好ましい。
【0080】
前述したR1〜R19における置換基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0081】
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0082】
以上述べた本発明の化合物の具体例を以下に示すが、本発明の化合物の構造はそれらに限定されるものではない。
【0083】
【化9】

【0084】
【化10】

【0085】
【化11】

【0086】
【化12】

【0087】
【化13】

【0088】
【化14】

【0089】
【化15】

【0090】
【化16】

【0091】
【化17】

【0092】
【化18】

【0093】
【化19】

【0094】
【化20】

【0095】
【化21】

【0096】
【化22】

【0097】
【化23】

【0098】
【化24】

【0099】
【化25】

【0100】
【化26】

【0101】
【化27】

【0102】
【化28】

【0103】
【化29】

【0104】
【化30】

【0105】
【化31】

【0106】
一般式(1)で表される化合物は、中間体を調整し、これ用いて前駆体を調整することにより得られる。中間体は、一般式(4)で表されるケトン化合物とする。以下、特に理由がない限り“中間体”とはケトン化合物のことを示す。
【0107】
一般式(4)
【化32】

【0108】
(式中、R2〜R14は一般式(1)におけるR2〜R14と同義である。)
【0109】
一般的に、ケトン化合物は原料として容易に入手可能である。また、従来公知の合成方法、例えば、日本化学会編、第4版、新実験化学講座、第14巻、751項(丸善)に記載されている種々の方法で容易に得ることができる。本文献を参照として全体的に本明細書に組み込む。以下の文献についても同様とする。
【0110】
特に、一般式(4)で表される様なカルバゾール化合物のケトン体は、フリーデルクラフツアシル化反応より容易に得ることができ、例えば、特許第3992725号に記載の方法と同様の方法で得ることができる。
【0111】
一般式(1)で表される化合物を合成する際の前駆体は、下記一般式(5)で表されるようなオキシムである。以下、特に理由がない限り“前駆体”とは、オキシム化合物のことを示す。
【0112】
一般式(5)
【化33】

【0113】
(式中、R2〜R14は一般式(1)におけるR2〜R14と同義である。)
【0114】
一般式(5)で表されるオキシムは、一般式(4)で表されるケトン化合物を中間体として、例えばOrg. React., 7, <1953>, 327や、日本化学会編、第4版 実験化学講座、第14巻、1316頁(丸善)に記載されている種々の方法で得ることができる。さらに、市販の化学のテキスト(例えば、J. March, Advanced Organic Organic Chemistry, 4th Edition, Wiley Interscience, 1992)に記載されているオキシムの合成方法から得ることもできる。
【0115】
最も好都合なオキシムの合成方法の一つは、亜硝酸又は亜硝酸アルキルエステルによる活性メチレン基のニトロソ化である。反応条件は、例えばOrganic Syntheses Coll. Vol. VI、pp 840、Organic Syntheses Coll. Vol. III、pp 191 and 513、Organic Syntheses Coll. Vol. II、pp 202、204 and 363、J. Am. Chem. Soc., 47, <1925>, 2033、J. Chem. Soc., 117, <1920>, 590、J. Am. Chem. Soc., 51, <1929>, 2264に記載されており、オキシムの製造に適切である。亜硝酸は、通常亜硝酸ナトリウムから生成される。亜硝酸アルキルエステルは、例えば亜硝酸メチルエステル、亜硝酸イソプロピルエステル、亜硝酸ブチルエステル、亜硝酸イソアミルエステルである。
【0116】
一般式(1)で表される化合物は、一般式(5)で表されるオキシム化合物を前駆体として、文献記載の方法、例えば、前記記載の方法で得たオキシムとアシルクロリド又は酸無水物と、例えばテトラヒドロフラン、ベンゼン又はジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、塩基、例えばトリエチルアミンのような第三級アミンの存在下に、又はピリジンのような塩基性溶媒中で反応させることにより製造される。
【0117】
そのような反応は、当業者には公知であり、一般に−15℃〜+50℃、好ましくは0〜30℃で行われる。
【0118】
全てのオキシムエステル基は、二つの立体配置、(Z)又は(E)で存在する。慣用の方法でこの異性体を分離することができるが、光開始種として異性体の混合物も用いることができる。従って、本発明は一般式(1)の化合物の立体配置異性体の混合物にも関する。
【0119】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、質量分析値、元素分析値、および1H−NMRなどの従来公知の分析法を用いて容易に同定することができる。
【0120】
次に、本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いる場合を説明する。
【0121】
従来公知のα―ケトオキシムエステル化合物の多くは、通常紫外域より長波長に吸収を示さないため、近紫外から近赤外の光に対しては活性が乏しい。これに対して、本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は、N−フェニルカルバゾール基のフェニル基上に電子吸引性置換基が導入されることにより近紫外から可視領域にまで吸収帯を持たせ、これら近紫外から可視より長波長の領域にまで活性を持たせることが可能となっている。
【0122】
また、さらに上述したとおり、本発明のラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)で表されるようにケト型オキシムエステル構造を有する。本発明のラジカル重合開始剤(A)が、従来公知のラジカル重合開始剤よりも高感度に機能しうる理由としては、次にあげる3つの理由(可能性)が考えられるが、詳細は明らかではない。
【0123】
1つ目の理由としては、本発明のラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)で表されるカルバゾールクロモフォアが良好な吸収を有することにより、与えられたエネルギー線によるエネルギーを極めて良好に吸収することができる。さらに、得られたエネルギーがオキシムエステル部位の分解に効率的に使用されることにより、エネルギー線照射による分解が速く、瞬時に多量のラジカルを生成することが可能になっていることが考えられる。
【0124】
2つ目の理由としては、本発明のラジカル重合開始剤(A)は、ケト型オキシムエステル構造を有することにより、下記に示すように、活性種として不活性なイミニルラジカルが速やかに分解し、活性種として機能しうる分解物(カルバゾリルラジカル)をさらに生成することが考えられる。ケト型オキシムエステルであれば必ずしも多量にラジカルが生成するわけではなく、生成するイミニルラジカルが準安定であれば分解は遅くなり、ラジカルの生成量は理論量より少なくなる。これは有するクロモフォアにより大きく影響を受ける。本発明のラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)に示す構造をとることにより、何らかの理由により光照射による分解により生じたイミニルラジカルの分解が非常に速く、多量のラジカルを生成する結果をもたらしていると考えられる。
【0125】
また、本発明のラジカル重合開始剤(A)は、上述したように、イミニルラジカルの分解が非常に速いため再結合が抑制されていることが考えられる。再結合が多い場合、分解により生じた活性種が減少してしまうため、ラジカル重合開始剤としての機能は低下する。
【0126】
3つ目の理由としては、上述したとおり、優良なクロモフォアとして機能しうる電子吸引性置換基が置換したカルバゾールの効果と、ケト型オキシムエステルの効果との相乗効果が挙げられる。
【0127】
【化34】

【0128】
本発明のラジカル重合開始剤(A)はエネルギー線照射により、非常に高感度なラジカル重合開始剤として機能するため、従来公知のラジカル重合開始剤を用いる重合反応、架橋反応などをより短時間に確実に実現することが可能となる。その結果としてこれらの反応を応用した各種用途の大幅な高感度化や特性の向上を実現することが可能となる。以下に本発明のラジカル重合開始剤(A)の利用方法について記述する。
【0129】
本発明のラジカル重合開始剤(A)とラジカル重合性化合物(B)とを含む組成物は、エネルギー線照射により、迅速かつ確実に硬化し、良好な特性を有する硬化物を得ることが可能な重合性組成物として使用することができる。
【0130】
本発明のラジカル重合性化合物(B)について説明する。本発明のラジカル重合性化合物(B)は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物とは、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一つ以上を有する化合物であればどのようなものでも良く、モノマー、オリゴマ−、ポリマー等の化学形態を持つものである。
【0131】
このようなラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロ二トリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に、本発明におけるラジカル重合性化合物(B)の具体例を挙げる。
【0132】
アクリレート類の例:
単官能アルキルアクリレート類の例:
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート。
【0133】
単官能含ヒドロキシアクリレート類の例:
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート。
【0134】
単官能含ハロゲンアクリレート類の例:
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加アクリレート。
【0135】
単官能含エーテル基アクリレート類の例:
2−メトキシエチルアクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、クレジルポリエチレングリコールアクリレート、p−ノニルフェノキシエチルアクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート。
【0136】
単官能含カルボキシルアクリレート類の例:
β−カルボキシエチルアクリレート、こはく酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート。
【0137】
その他の単官能アクリレート類の例:
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、モルホリノエチルアクリレート、トリメチルシロキシエチルアクリレート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート。
【0138】
二官能アクリレート類の例:
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#300ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、水素化ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、PO変性ビスフェノールFジアクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート。
【0139】
三官能アクリレート類の例:
グリセリンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリアクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリプロピオネート。
【0140】
四官能以上のアクリレート類の例:
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルテトラアクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート。
【0141】
メタクリレート類の例:
単官能アルキルメタクリレート類の例:
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート。
【0142】
単官能含ヒドロキシメタクリレート類の例:
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート。
【0143】
単官能含ハロゲンメタクリレート類の例:
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加メタクリレート。
【0144】
単官能含エーテル基メタクリレート類の例:
2−メトキシエチルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、クレジルポリエチレングリコールメタクリレート、p−ノニルフェノキシエチルメタクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート。
【0145】
単官能含カルボキシルメタクリレート類の例:
β−カルボキシエチルメタクリレート、こはく酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート。
【0146】
その他の単官能メタクリレート類の例:
ジメチルアミノメチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート。
【0147】
二官能メタクリレート類の例:
1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#300ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)エーテル、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノベンゾエート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性ビスフェノールAジメタクリレート、水素化ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性ビスフェノールFジメタクリレート、PO変性ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジメタクリレート。
【0148】
三官能メタクリレート類の例:
グリセリンPO変性トリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリメタクリレート、1,3,5−トリメタクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレートトリプロピオネート。
【0149】
四官能以上のメタクリレート類の例:
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、オリゴエステルテトラメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシ)ホスフェート。
【0150】
アリレート類の例:
アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート。
【0151】
酸アミド類の例:
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン。
【0152】
スチレン類の例:
スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルスチレン、p−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン。
【0153】
他のビニル化合物の例:
酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなど。
【0154】
上記のラジカル重合性化合物(B)は、以下に示すメーカーの市販品として、容易に入手することができる。例えば、共栄社油脂化学工業(株)社製の「ライトアクリレート」、「ライトエステル」、「エポキシエステル」、「ウレタンアクリレート」および「高機能性オリゴマー」シリーズ、新中村化学(株)社製の「NKエステル」および「NKオリゴ」シリーズ、日立化成工業(株)社製の「ファンクリル」シリーズ、東亞合成化学(株)社製の「アロニックスM」シリーズ、大八化学工業(株)社製の「機能性モノマー」シリーズ、大阪有機化学工業(株)社製の「特殊アクリルモノマー」シリーズ、三菱レイヨン(株)社製の「アクリエステル」および「ダイヤビームオリゴマー」シリーズ、日本化薬(株)社製の「カヤラッド」および「カヤマー」シリーズ、(株)日本触媒社製の「アクリル酸/メタクリル酸エステルモノマー」シリーズ、日本合成化学工業(株)社製の「NICHIGO−UV紫光ウレタンアクリレートオリゴマー」シリーズ、信越酢酸ビニル(株)社製の「カルボン酸ビニルエステルモノマー」シリーズ、(株)興人社製の「機能性モノマー」シリーズなどが挙げられる。
【0155】
さらに、ラジカル重合性化合物(B)は、以下に示す文献に記載のものもあげることができる。例えば、山下晋三ら編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年、大成社)や加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」、(1985年、高分子刊行会)、ラドテック研究会編、赤松清編、「新・感光性樹脂の実際技術」、(1987年、シーエムシー)、遠藤剛編、「熱硬化性高分子の精密化」、(1986年、シーエムシー)、滝山榮一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)、ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、(2002年、シーエムシー)が挙げられる。
【0156】
本発明のラジカル重合性化合物(B)は、ただ一種のみ用いても、所望とする特性を向上するために任意の比率で二種以上混合したものを用いても構わない。
【0157】
重合性組成物における本発明のラジカル重合開始剤(A)の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して、0.1から100重量部である。
【0158】
本発明の重合性組成物は有機高分子重合体等のバインダーと混合し、ガラス板やアルミニウム板、その他の金属板、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィルムに塗布して使用することが可能である。
【0159】
本発明の重合性組成物と混合して使用可能なバインダーとしては、ポリアクリレート類、ポリ−α−アルキルアクリレート類、ポリアミド類、ポリビニルアセタール類、ポリホルムアルデヒド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリビニルエステル類等の重合体、共重合体があげられる。具体的には、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂その他、赤松清監修、「新・感光性樹脂の実際技術」、(1987年、シーエムシー)や「10188の化学商品」、657〜767頁(1988年、化学工業日報社)記載の業界公知の有機高分子重合体が挙げられる。
【0160】
また、本発明の重合性組成物はさらに感度向上の目的で、他の重合開始剤と併用することが可能である。
【0161】
本発明の重合性組成物と混合して併用可能な他の重合開始剤としては、特公昭59−1281号公報、特公昭61−9621号公報ならびに特開昭60−60104号公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号公報ならびに特開昭61−243807号公報記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号公報、特公昭44−6413号公報、特公昭47−1604号公報ならびにUSP第3567453号明細書記載のジアゾニウム化合物公報、USP第2848328号明細書、USP第2852379号明細書ならびにUSP第2940853号明細書記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号公報、特公昭37−13109号公報、特公昭38−18015号公報ならびに特公昭45−9610号公報記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号公報、特開昭59−140203号公報ならびに「マクロモレキュルス(MACROMOLECULES)」、第10巻、第1307頁(1977年)記載のヨードニウム化合物をはじめとする各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109851号明細書、ヨーロッパ特許第126712号明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.IMAG.SCI.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の金属アレン錯体、特開昭61−151197号公報記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(COORDINATION CHEMISTRY REVIEW)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号公報記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報記載のアルミナート錯体、特開平2−157760号公報記載のホウ酸塩化合物、特開昭55−127550号公報ならびに特開昭60−202437号公報記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物、特開平5−255347号公報記載のスルホニウム錯体またはオキソスルホニウム錯体、特開昭54−99185号公報ならびに特開昭63−264560号公報記載のアミノケトン化合物、特開2001−264530号公報、特開2001−261761号公報、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、USP3558309号明細書(1971年)、USP4202697号明細書(1980年)ならびに特開昭61−24558号公報記載のオキシムエステル化合物等があげられる。これらの重合開始剤を用いる場合の使用量はラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して0.01から10重量部の範囲で含有されるのが好ましい。
【0162】
また、本発明の重合性組成物は保存時の重合を防止する目的で熱重合防止剤を添加することが可能である。
【0163】
本発明の重合性組成物に添加可能な熱重合防止剤の具体例としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル置換ハイドロキノン、カテコール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等をあげることができる。これらの熱重合防止剤を用いる場合の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して0.001から5重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
【0164】
また、本発明の重合性組成物はさらに重合を促進する目的で、アミンやチオール、ジスルフィド等に代表される重合促進剤や連鎖移動触媒等を添加することが可能である。
【0165】
本発明の重合性組成物に添加可能な重合促進剤や連鎖移動触媒の具体例としては、例えば、N−フェニルグリシン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類、USP第4414312号明細書や特開昭64−13144号公報記載のチオール類、特開平2−291561号公報記載のジスルフィド類、USP第3558322号明細書や特開昭64−17048号公報記載のチオン類、特開平2−291560号公報記載のO−アシルチオヒドロキサメートやN−アルキルオキシピリジンチオン類が挙げられる。
【0166】
本発明の重合性組成物はさらに目的に応じて、染料、有機および無機顔料、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト等の酸素除去剤や還元剤、カブリ防止剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、着色剤、増量剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発砲剤、防カビ剤、帯電防止剤、磁性体やその他種々の特性を付与する添加剤、希釈溶剤等と混合して使用しても良い。
【0167】
本発明の重合性組成物は、さらに重合を促進する目的で、増感剤(C)を添加することが可能である。増感剤は、紫外から近赤外領域にかけての光に対する活性を高めるため、重合性の促進が必要な場合には増感剤の添加が好ましい。
【0168】
このような増感剤の具体例としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、カルバゾール誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。その他さらに具体例には大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられる。その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤が挙げられる。増感剤は、上記の例に限定されるものではない。増感剤は、これらは必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。上記、増感剤の中で本発明のラジカル重合開始剤を特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0169】
本発明の増感剤(C)を用いる場合の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して、0.01から60重量部であり、好ましくは0.01から30重量部であり、より好ましくは0.1から10重量部である。
【0170】
本発明の重合組成物には、着色をつける目的に応じて着色成分(D)を添加することが可能である。着色成分(D)としては、従来公知の顔料を用いることが可能である。また、所望の色相をえる目的で、耐熱性、耐候性を低下させない範囲で染料を含有してもよい。これらは所望の色濃度・色相を得るために、単独または2種以上を自由に混合して用いることができる。
【0171】
顔料としては、例えば、有機顔料、無機顔料、又はカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等)を用いることができ、顔料は2種以上を混合して用いることができる。
【0172】
有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料(例えば、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等)、フタロシアニン系顔料(例えば、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等)、アントラキノン系顔料(例えば、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等)、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、又は金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0173】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カーボンブラック、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、又はコバルトバイオレット等が挙げられる。
【0174】
カーボンブラックとしては、例えば、デグサ社製「Special Black350、250、100、550、5、4、4A、6」「PrintexU、V、140U、140V、95、90、85、80、75、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、3、35、25、A、G」、キャボット社製「REGAL400R、660R、330R、250R」「MOGUL E、L」、三菱化学社製「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230」「#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#332、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260」等が挙げられる。
【0175】
また、以下に、本発明の重合組成物に使用可能な顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示す。
【0176】
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0177】
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0178】
オレンジ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0179】
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37等の緑色顔料などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0180】
青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0181】
紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50などを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0182】
黒色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、6、7、12、20、31などを用いることができるがこれらに限定されるものでない。
【0183】
これらの顔料は、2種以上を任意の割合にて混合して用いることができる。
【0184】
これら着色成分(D)としての顔料を添加する場合の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して、0.01〜100重量部であり、好ましくは1〜60重量部である
【0185】
顔料の粒子径は、可視光の吸収係数(スペクトルの適正さ)及び透明性の点から、可視光の波長に対して充分小さいことが好ましい。すなわち、顔料は、平均一次粒子径が0.01μm以上0.3μm以下、特に0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましい。なお、一次粒子径とは、最小単位の顔料粒子の直径をいい、電子顕微鏡で測定される。
【0186】
顔料の一次粒子径は、既知の分散装置、例えば、サンドミル、ニーダー、2本ロール等を用いて適正な範囲内に制御することができる。
【0187】
また、本発明の重合組成物に顔料を添加する場合において、顔料の分散性および重合組成物の保存安定性を向上させる目的で顔料誘導体や顔料分散剤を用いることができる。
【0188】
ここで、顔料誘導体とは有機色素に置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないフタルイミド系、ナフタレン系、ナフトキノン系、アントラセン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
【0189】
顔料誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開平06−306301号公報、特開2001−220520号公報、特開2003−238842号公報等に記載されているものを使用できる。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0190】
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
【0191】
顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110、111(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
【0192】
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
【0193】
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、アビシア社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000GR、32000、33000、39000、41000、53000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、822、824」等が挙げられる。
【0194】
上記顔料誘導体および顔料分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、好ましくは顔料100重量部に対して0.1〜40重量部であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0195】
所望の色相を得るために含有してもよい染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料などが挙げられる。
【0196】
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11,C.I.アシッドオレンジ7,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシッドレッド180,C.I.アシッドブルー29,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレクトオレンジ26,C.I.ダイレクトグリーン28,C.I.ダイレクトグリーン59,C.I.リアクティブイエロー2,C.I.リアクティブレッド17,C.I.リアクティブレッド120,C.I.リアクティブブラック5,C.I.ディスパースオレンジ5,C.I.ディスパースレッド58,C.I.ディスパースブルー165,C.I.ベーシックブルー41,C.I.ベーシックレッド18,C.I.モルダントレッド7,C.I.モルダントイエロー5,C.I.モルダントブラック7などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0197】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4,C.I.アシッドブルー40,C.I.アシッドグリーン25,C.I.リアクティブブルー19,C.I.リアクティブブルー49,C.I.ディスパースレッド60,C.I.ディスパースブルー56,C.I.ディスパースブルー60などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0198】
この他、フタロシアニン系染料としては、例えばC.I.パッドブルー5などが、キノンイミン系染料としては、例えばC.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9などが、キノリン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64などが、ニトロ系染料として、例えばC.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0199】
これらの染料を添加する場合の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して、0.01〜100重量部であり、好ましくは1〜60重量部であるが、上述した通り、耐熱性や耐候性の観点から使用量が多くなりすぎることは好ましくない。
【0200】
本発明の重合性組成物は、いわゆるアルカリ現像型のフォトレジスト材料として画像形成用に用いる等の目的のためにアルカリ可溶性樹脂(E)を混合併用しても良い。本発明のアルカリ可溶性樹脂(E)は、バインダーとして作用し、かつ画像パターンを形成する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくは、アルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも、カルボキシル基含有共重合体であるアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、単に「カルボキシル基含有不飽和単量体」と呼ぶ。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、単に「共重合性不飽和単量体」と呼ぶ。)との共重合体(以下、単に「カルボキシル基含有共重合体」と呼ぶ。)が好ましい。
【0201】
カルボキシル基含有不飽和単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有不飽和単量体のうち、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)およびフタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)は、それぞれM−5300およびM−5400(東亞合成(株)製)の商品名で市販されている。前記カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0202】
また、共重合性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物、インデン、1−メチルインデン等のインデン類、
【0203】
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングルコールアクリレート、メトキシジエチレングルコールメタクリレート、メトキシトリエチレングルコールアクリレート、メトキシトリエチレングルコールメタクリレート、メトキシプロピレングルコールアクリレート、メトキシプロピレングルコールメタクリレート、メトキシジプロピレングルコールアクリレート、メトキシジプロピレングルコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、
【0204】
2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類、
【0205】
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等の不飽和アミド類、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらの共重合性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0206】
本発明における好ましいカルボキシル基含有共重合体(以下、「カルボキシル基含有共重合体(R)」と呼ぶ。)は:(P)アクリル酸および/またはメタクリル酸を必須成分とし、場合により、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレートおよびω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含有するカルボキシル基含有不飽和単量体成分と;(Q)スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種とを重合させて得られる。
【0207】
カルボキシル基含有共重合体(R)の具体例としては、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
【0208】
(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカクロラクトンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体等を挙げることができる。
【0209】
カルボキシル基含有共重合体は、その分子中に存在する置換基がさらに他の材料で修飾されていてもよい。例えば、該重合体に存在するカルボキシル基の一部を公知のグリシジル基等のカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するモノマーと反応させることにより修飾し、分子中にラジカル重合に関与しうる架橋点を設けることも可能である。このようなモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができ、例えば、グリシジル(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリル酸メチル、グリシジル(メタ)アクリル酸エチル、グリシジル(メタ)アクリル酸ブチル、グリシジル(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルを挙げることができる。また、該重合体に存在するヒドロキシル基が、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート(昭和電工(株)製「カレンズMOI」)等と縮合することにより同様の重合架橋点を設けることも可能である。
【0210】
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、5〜50重量%が好ましい。前記共重合割合が5重量%未満では、得られるレジスト組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、基材上からのレジスト膜の脱落や画像表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」と呼ぶ。)は、3,000〜300,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000である。また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」と呼ぶ。)は、3,000〜60,000が好ましく、より好ましくは5,000〜25,000である。本発明においては、このような特定のMwおよびMnを有するアルカリ可溶性樹脂を使用することによって、現像性に優れた感放射線性組成物が得られる。それにより、シャープなパターンエッジを有する画像パターンを形成することができるとともに、現像時に未照射部の基板上および遮光層上に残渣、地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のMwとMnの比(Mw/Mn)は、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4である。
【0211】
上記カルボキシル基含有共重合体以外のアルカリ可溶性樹脂(E)としては、ノボラック型樹脂、あるいはポリヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基を有する樹脂が挙げられ、それらの変性体も本発明のアルカリ可溶性樹脂(E)に含まれる。
【0212】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂(E)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0213】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(E)を用いる場合の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して、10〜600重量部である。
【0214】
本発明の重合性組成物は重合反応に際して、紫外線や可視光線、近赤外線等、電子線等によるエネルギーの付与により重合し、目的とする重合物を得ることが可能である。エネルギーの付与をする光源として、250nmから450nmの波長領域に発光の主波長を有する光源が好ましい。250nmから450nmの波長領域に発光の主波長を有する光源の例としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、パルス発光キセノンランプ、重水素ランプ、蛍光灯、Nd−YAG3倍波レーザー、He−Cdレーザー、窒素レーザー、Xe−Clエキシマレーザー、Xe−Fエキシマレーザー、半導体励起固体レーザーなどの各種光源が挙げられる。なお本明細書でいう、紫外線や可視光、近赤外線などの定義は久保亮五ら編「岩波理化学辞典第4版」(1987年、岩波)によった。
【0215】
本発明の重合性組成物を、各種インキ、インクジェットインキ、オーバーコートニス、各種刷版材料、フォトレジスト、電子写真、ダイレクト刷版材料、光ファイバー、ホログラム材料等の感光材料やマイクロカプセル等の各種記録媒体、さらには接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤、封止剤および各種塗料に応用することが可能である。
【0216】
[画像パターン形成方法]
アルカリ樹脂(E)を含んでなる本発明の重合性組成物は、基材上に塗布し、部分的にエネルギー線を露光し硬化させ、未露光の部分をアルカリ現像液によって除去する画像パターンを形成する際に用いられる、ネガ型レジストして用いることが出来る。
【0217】
アルカリ樹脂(E)を含む本発明のネガ型レジストを用いた画像パターン形成方法について説明する。まず、基材の表面上に、ネガ型レジストの液状組成物を塗布した後、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次にこの塗膜をフォトマスクを介してパターン状に露光した後、アルカリ現像液を用いて現像し、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、必要に応じてポストベークをすることにより目的の画像パターンを形成することが出来る。
【0218】
ネガ型レジストの液状組成物を基材に塗布する際には、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の公知の塗布方法を採用することが出来る。塗布厚さは、用途によって適宜変更することが可能であるが、乾燥後の膜厚として0.1〜200μmが好ましく、より好ましくは0.2〜100μmである。
【0219】
また、主としてポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるベースフィルム上に、本発明のネガ型レジスト層を設け、必要に応じて保護フィルムで該ネガ型レジスト層を挟み込んだ、いわゆる業界公知のドライフィルムと呼ばれる形態で本発明のネガ型レジストを使用することも可能である。該ドライフィルムは、通常、上記保護フィルムを剥離して、レジストパターンを形成しようとする基材に密着させ、必要に応じて加熱条件、さらには加圧条件にて基材上に積層して使用する。本発明のネガ型レジストをドライフィルムの形態で使用する場合のパターン露光は、上記ベースフィルムを剥離せずに実施してもよく、その場合は、露光後に上記ベースフィルムを除去してアルカリ現像を実施する。
【0220】
アルカリ樹脂(E)を含む本発明のネガ型レジストを重合させて重合物を得るために照射するエネルギーは、上述した本発明の重合組成物から重合物を得る場合と同様である。
【0221】
したがって、アルカリ樹脂(E)を含んでなる本発明のネガ型レジストは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、パルス発光キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、ヘリウムネオンレーザ、クリプトンイオンレーザ、各種半導体レーザ、YAGレーザ、発光ダイオード、CRT光源、プラズマ光源、電子線、γ線、ArFエキシマーレーザー、KrFエキシマーレーザー、F2レーザー等の各種光源によるエネルギーの付与により目的とする重合物や硬化物を得ることができる。
【0222】
故に、本発明の画像パターン形成方法では、上記光源によるエネルギー線を露光時に用いることが可能である。特に、波長が190〜450nmの範囲にあるエネルギー線が好ましい。露光量は、膜厚にも依存するため一義に決めることはできないが、通常は0.5〜100000J/m2である。
【0223】
本発明の画像パターン形成方法で使用される基材としては、例えばガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ガラスエポキシ製のフィルムあるいは基板を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。また、これらの基材には、所望によりシランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくことも出来る。
【0224】
本発明の画像パターン形成方法で用いる現像方法としては、例えば、液盛り法、浸漬法、シャワー法、スプレー法等のいずれでもよい。現像時間は20〜30℃で、5〜300秒が好ましい。また、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の3級アルカノールアミン類、ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、30−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等のアルカリ性化合物の水溶液を使用することが出来る。また、前記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤および/または界面活性剤を適当量添加することも出来る。
【0225】
本発明の化合物は、エネルギー線、特に光の照射により活性なラジカルを効率よく発生するため、高感度なラジカル重合開始剤として機能しうる。故に、本発明のラジカル重合開始剤(A)を含むラジカル重合性組成物は、短時間で重合しうる高感度な重合性組成物である。したがって、本発明の重合性組成物を用いることにより、フォトレジスト材料に好適に用いられるアルカリ現像性を有するネガ型レジストおよび該ネガ型レジストを用いた画像パターン形成方法を提供することができる。さらに、この画像パターン形成方法を用いることにより好適な画像パターンを提供することができる。
【実施例】
【0226】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに、なんら限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、例中、「部」とは「重量部」を示す。
まず、本発明の化合物について合成例を示す。
【0227】
<実施例1>
ラジカル重合開始剤:化合物(1)の合成
【0228】
まず、化合物(1)の中間体である化合物(A)を以下の通り合成した。
【0229】
化合物(A)
【化35】

【0230】
N−ベンゾフェノイルカルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム85.0gを添加して0℃にて攪拌下、プロピオニルクロリド 32.0gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、化合物(A)を105.0g得た(収率90.5%)。
【0231】
次に、得られた化合物(A)を用いて、化合物(1)の前駆体である化合物(B)を以下の通り合成した。
【0232】
化合物(B)
【化36】

【0233】
化合物(A)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル38.4gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(B)99.8gを得た(収率93.0%)
【0234】
次に、得られた化合物(B)を用いて、化合物(1)を以下の通り合成した。
【0235】
化合物(B)30.0gを酢酸エチル300ml中で攪拌したところに、無水酢酸6.3g、酢酸ナトリウム10.6gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(1)31.4gを得た(収率95.4%)。
【0236】
<実施例2>
ラジカル重合開始剤:化合物(2)の合成
【0237】
まず、化合物(2)の中間体である化合物(C)を以下の通り合成した。
【0238】
化合物(C)
【化37】

【0239】
N−ベンゾフェノイルカルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム84.0gを添加して0℃にて攪拌下、ブタノイルクロリド 36.8gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、化合物(C)を105.3g得た(収率87.6%)。
【0240】
次に、得られた化合物(C)を用いて、化合物(2)の前駆体である化合物(D)を以下の通り合成した。
【0241】
化合物(D)
【化38】

【0242】
化合物(C)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル37.0gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(D)89.3gを得た(収率83.5%)
【0243】
次に、得られた化合物(D)を用いて、化合物(2)を以下の通り合成した。
【0244】
化合物(D)30.0gを酢酸エチル300ml中で攪拌したところに、無水酢酸6.1g、酢酸ナトリウム10.3gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(2)30.0gを得た(収率91.4%)。
【0245】
<実施例3>
ラジカル重合開始剤:化合物(7)の合成
【0246】
化合物(B)30.0gとトリエチルアミン10.5gとプロピオニルクロライド6.8gとテトラヒドロフラン300mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水600ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチル300mlで抽出し、有機層を水洗(200ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロエタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(7)を33.0gを得た(収率97.4%)。
【0247】
<実施例4>
ラジカル重合開始剤:化合物(46)の合成
【0248】
まず、化合物(46)の中間体である化合物(E)を以下の通り合成した。
【0249】
化合物(E)
【化39】

【0250】
N−(p−ニトロフェニル)カルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム101.8gを添加して0℃にて攪拌下、ヘキサノイルクロリド 56.0gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、化合物(E)を122.5g得た(収率91.4%)。
【0251】
次に、得られた化合物(E)を用いて、化合物(46)の前駆体である化合物(F)を以下の通り合成した。
【0252】
化合物(F)
【化40】

【0253】
化合物(E)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル40.0gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1500mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(F)102.8gを得た(収率95.9%)
【0254】
次に、得られた化合物(F)を用いて、化合物(46)を以下の通り合成した。
【0255】
化合物(F)50.0gを酢酸エチル500ml中で攪拌したところに、無水酢酸18.5g、酢酸ナトリウム10.9gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(46)55.2gを得た(収率88.7%)。
【0256】
<実施例5>
ラジカル重合開始剤:化合物(244)の合成
【0257】
まず、化合物(244)の中間体である化合物(G)を以下の通り合成した。
【0258】
化合物(G)
【化41】

【0259】
N−ベンゾフェノイルカルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム126.7gを添加して0℃にて攪拌下、プロピオニルクロリド 58.6gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、化合物(G)を109.3g得た(収率82.7%)。
【0260】
次に、得られた化合物(G)を用いて、化合物(244)の前駆体である化合物(H)を以下の通り合成した。
【0261】
化合物(H)
【化42】

【0262】
化合物(G)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル67.3gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(H)103.6gを得た(収率94.3%)
【0263】
次に、得られた化合物(H)を用いて化合物(244)を以下の通り合成した。
【0264】
化合物(H)50.0gを酢酸エチル500ml中で攪拌したところに、無水酢酸30.4g、酢酸ナトリウム17.7gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(244)58.3gを得た(収率97.7%)。
【0265】
<実施例6>
ラジカル重合開始剤:化合物(259)の合成
【0266】
まず、化合物(259)の中間体である化合物(I)を以下の通り合成した。
【0267】
化合物(I)
【化43】

【0268】
N−ベンゾフェノイルカルバゾール100.0gをクロロホルム800mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム128.6gを添加して0℃にて攪拌下、フェニルアセチルクロリド 49.0gをクロロホルム300mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を再び0℃にて攪拌し、プロピオニルクロリド33.8gをクロロホルム200mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で3時間攪拌した。反応液を氷水1800gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、化合物(I)を128.6g得た(収率85.6%)。
【0269】
次に、得られた化合物(I)から、化合物(259)の前駆体である化合物(J)を以下の通り合成した。
【0270】
化合物(J)
【化44】

【0271】
化合物(I)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル59.3gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(J)101.7gを得た(収率91.5%)
【0272】
次に、得られた化合物(J)を用いて、化合物(259)を以下の通り合成した。
【0273】
化合物(J)50.0gを酢酸エチル500ml中で攪拌したところに、無水酢酸26.4g、酢酸ナトリウム15.6gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(259)50.8gを得た(収率88.8%)。
【0274】
<実施例7>
ラジカル重合開始剤:化合物(263)の合成
【0275】
化合物(263)の合成
化合物(H)30.0gとトリエチルアミン17.6gとベンゾイルクロライド9.8gとテトラヒドロフラン300mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。反応液を再び氷浴で冷却した後、アセチルクロリド5.5gを加え、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。反応液を氷水600ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチル300mlで抽出し、有機層を水洗(200ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)により精製して、化合物(7)を25.3gを得た(収率65.7%)。
【0276】
<実施例8〜108>
表1に示す条件に従いオキシム化及びエステル化反応をそれぞれ行い、本発明の化合物を得ることができた。
【0277】
[エステル化反応の条件]
条件(A):実施例1と同様に、無水酢酸と酢酸ナトリウムより合成する方法
条件(B):実施例3と同様に、酸クロリドとトリエチルアミンより合成する方法
条件(B)’:実施例7と同様に、2種の酸クロリドとトリエチルアミンより合成する方法
【0278】
【表1】

【0279】
【表1】

【0280】
【表1】

【0281】
【表1】

【0282】
【表1】

【0283】
【表1】

【0284】
【表1】

【0285】
【表1】

【0286】
【表1】

表中、「化合物」とは、合成により得られた本発明の化合物である。
【0287】
実施例1〜108にて得られた化合物について、元素分析(C,H,N)(パーキンエルマー社製2400・CHN)の結果と、EI−MS(Thermo社製 PolarisQ)による質量分析結果を併せることにより構造確認を行った。元素分析結果を表2に、質量分析結果を3に示す。
【0288】
【表2】

【0289】
【表2】

【0290】
【表2】

【0291】
【表2】

【0292】
【表3】

【0293】
【表3】

【0294】
<実施例109〜254、比較例1〜12>
次に、得られた一般式(1)で表される本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として、以下の通り、重合性組成物に加え、重合物の硬化性を調べた。
【0295】
[硬化性試験]
ラジカル重合開始剤(A)4重量部、増感剤0または1重量部、ラジカル重合性化合物(B)としてダップトートDT170(東都化成(株)製ジアリルフタレート樹脂)10重量部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート85重量部を配合し、加熱溶融して塗工液を作製した。比較例に用いた化合物および増感剤の構造については表4に示す(以下の比較例においても表4を参照のこと)。使用されたラジカル重合開始剤(A)および増感剤(C)を表5に示す。この塗工液を、バーコーター(#3)を用いてペットフィルム上に塗工した。この塗工物に、コンペアスピードを40m/分、40m/分、または50m/分の条件で、紫外線照射(高圧水銀灯130W/cm1灯)を行った後、綿布で擦って皮膜の傷の有無を確認した。その結果を表5に示す。尚、紫外線照射後、より高いコンベアスピードにて傷がつかないのが、よいと判断できる。
[評価基準]
5:皮膜に傷が確認されなかった
4:極かすかに皮膜に傷が確認された
3:かすかに皮膜に傷が確認された
2:皮膜に傷が確認された
1:皮膜に多くの傷が確認された
【0296】
【表4】

【0297】
【表5】

【0298】
【表5】

【0299】
【表5】

【0300】
【表5】

【0301】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物(実施例109〜216)は、従来公知のラジカル重合開始剤を用いた光重合性組成物(比較例1〜6)と比較して高い硬化性を有していることが明らかとなった。さらに、本発明のラジカル重合開始剤(A)と増感剤とを併用した光重合性組成物(実施例217〜254)は、従来公知のラジカル重合開始剤と増感剤とを併用して用いた場合(比較例7〜12)よりも、高い硬化性を有していることも明らかとなった。特に、従来公知のケト型オキシムエステルを光重合開始剤として用いた場合と比べても、本発明のケト型オキシムエステル化合物は明らかに高感度になっている。詳細な理由については明らかではないが、本発明の光重合開始剤(A)は、一般式(1)に示される優良なクロモフォアとケト型オキシムエステル構造とのマッチングにより、非常に効率的なラジカル分解が起こった結果、高感度に機能したと考えられる。
【0302】
また、本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物はそのままでも十分高い硬化性を示すが(実施例109〜216)、増感剤(C)を併用することによりさらに硬化性を高めることが可能であることが明らかとなった(実施例217〜254)。
【0303】
さらに、R10〜R14のうち少なくとも一つが、ニトロ基または置換もしくは未置換のアシル基である本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物(実施例109〜147、174〜185、187、190〜195、204〜212、215、216)は、R7〜R10のうち少なくとも一つが、上記置換基以外の置換基である本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた場合(実施例148〜173、186、188、189、196〜203,213〜214)と比較して高い硬化性を有していることが明らかとなった。詳細な理由は明らかではないが、本発明の光重合開始剤は、カルバゾール基のN位フェニル基上に電子吸引性置換基が置換することで、優良なクロモフォアとして機能しうるが、さらにその中でニトロ基またはアシル基が置換することにより、顕著な効果をもらたらすことが明らかとなった。
【0304】
さらに、R10〜R14のうち少なくとも一つが、一般式(3)で表されるアシル基である場合(実施例109〜111、113〜127、174〜178、187、190〜192、204、205、210)は、上記以外のアシル基である場合(実施例142〜147、179〜181、216)よりも高い硬化性を示し、ニトロ基と同様に、本実施例において最も高い硬化性を示した。
【0305】
またさらに、R12がニトロ基である本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物(実施例112、128〜141、193〜195、206〜209)は、それ以外(実施例182〜185、211、212)よりも硬化性に優れることが明らかとなった。詳細な理由は明らかではないが、ニトロ基が最も効果的に働く位置がR12である可能性が高く、他の置換基(アシル基など)においても同様の傾向を示している。すなわち同一置換基の場合、R12に置換している場合が好ましいことが明らかとなった。
【0306】
<実施例255〜281、比較例13〜18>
以下の通り、アルカリ可溶性樹脂を調整して重合性組成物に加え、硬化性試験及び現像を行った。
[アクリル樹脂溶液(1)の調製]
反応溶液にシクロヘキサノン800重量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら、100℃に加熱して、同温度で下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0重量部
メタクリル酸 60.0重量部
メタクリル酸メチル 65.0重量部
メタクリル酸ブチル 65.0重量部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0重量部
【0307】
滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0重量部をシクロヘキサノン50.0重量部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして、180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液(1)を調製した。得られたアクリル樹脂溶液(1)は、本発明のアルカリ可溶性樹脂(E)を含む溶液である。
[硬化性試験]
ラジカル重合性化合物(B)としてジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社、SR399)を100重量部、アルカリ可溶性樹脂(E)を含む溶液としてアクリル樹脂溶液(1)を500重量部、溶媒としてシクロヘキサノンを400重量部、ラジカル重合開始剤(A)として表6に示した化合物を6重量部添加し、混合して均一な重合性組成物の溶液を調整した。
【0308】
上記重合性組成物溶液を、0.2μm孔径のディスクフィルターにてろ過し、ステンレス板(#600研磨)上にスピンコーターを使用して塗工し、オーブン中80℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。乾燥後、ステンレス板上に形成された重合性組成物の膜厚は2μmであった。この重合性組成物膜に対して、350nmから380nmの光を選択的に透過するバンドパスフィルターを介して高圧水銀ランプの光(4.6mW/cm2)を照射し、重合性組成物膜のIRスペクトルを測定し、アクリル基の特性吸収である810cm-1の吸収強度の変化から、光照射前に対する、光照射10秒後におけるアクリル基の消費率を算出した。結果を表6に示した。
【0309】
【表6】

【0310】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合性組成物(実施例255〜281)は、公知のオキシムエステルをラジカル重合開始剤として用いた場合(比較例13〜18)と比較して、光照射により効率的にラジカルを発生し、アクリル基を重合させている。僅かでもアクリルをより重合させることは、近年求められている生産性の向上への影響は甚大であり、本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いることにより、より高感度なプロセスへ対応が可能である。
【0311】
また、実施例255〜281のステンレス板上に形成した光照射前の重合性組成物を0.2重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で約1分間浸したところ、適当な速度で溶解し、本発明の重合性組成物がアルカリ現像液に対して現像されることが確認された。
【0312】
<実施例282〜353、比較例19〜33>
以下の通り、アルカリ可溶性樹脂を調整して重合性組成物に加え、硬化性試験及び現像を行った。
[アクリル樹脂溶液(2)の調製]
反応溶液にシクロヘキサノン370重量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら、80℃に加熱して、同温度で下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 20.0重量部
メチルメタクリレート 10.0重量部
n−ブチルメタクリレート 55.0重量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0重量部
室温まで冷却した後、アクリル樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したアクリル樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加することにより、アクリル樹脂溶液(2)を調整した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は40000であった。得られたアクリル樹脂溶液(2)は、本発明のアルカリ可溶性樹脂(E)を含む溶液である。
【0313】
[硬化性試験]
ラジカル重合性化合物(B)としてジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社、SR399)を100重量部、アルカリ可溶性樹脂(E)を含む溶液としてアクリル樹脂溶液(2)を500重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを200重量部、ラジカル重合開始剤(A)および増感剤(C)として表7に示した化合物をそれぞれ同表記載の重量部だけ添加し、混合して均一な重合性組成物の溶液を調整した。
【0314】
上記重合性組成物溶液を、0.2μm孔径のディスクフィルターにてろ過し、厚み1mmのガラス板上にスピンコーターを使用して塗工し、オーブン中80℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。乾燥後、ガラス板上に形成された重合性組成物膜の膜厚は5μmであった。この重合性組成物膜に対して、日本分光(株)SS−25CP型分光照射器を使用して、高圧水銀ランプの照射エネルギー量、すなわち照射時間を13段階に変化させて露光し、次いで20℃で1%炭酸ナトリウム水溶液にて1分間現像し、365nmの照射波長において重合性組成物が不溶化するのに必要な最低エネルギー量を感度と定義して、結果を表7に示した。
【0315】
【表7】

【0316】
【表7】

【0317】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合性組成物(実施例282〜353)は、公知のオキシムエステルをラジカル重合開始剤として用いた重合性組成物(比較例19〜33)と比べて、明らかに高感度となっている。また、本発明の重合性組成物は増感剤を併用しない場合でも十分高感度であるが、増感剤を併用することにより、更なる高感度化が可能である。
【0318】
<実施例354〜425、比較例34〜48>
[パターン形状試験]
実施例282〜353、および比較例19〜33で作成したガラス基板上の重合性組成物膜に、所定のパターンマスク(20μm×20μm解像度)にて、露光ギャップを約100μmで365nmの露光エネルギーが4.5mW/cm2の高圧水銀灯の光を10秒照射した。その後、0.2重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて室温で60秒間現像して、未露光部を除去し、純水にて洗浄後、得られた硬化物をオーブン中230℃にて30分間加熱した。ガラス基板上に得られたパターン形状を下記の方法で評価した。結果を表8に示した。
【0319】
(パターン形状評価方法)
ガラス基板上に得られたパターン形状を、光学顕微鏡により観察してパターンの直線性の評価を行なった。評価のランクは次の通りである。
○:直線性良好
×:直線性不良
−:硬化不十分のため、パターンを観測できず
【0320】
【表8】

【0321】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合性組成物(実施例354〜425)は、ガラス基板上に得られたパターン形状の直線性は良好であったのに対し、公知のオキシムエステルをラジカル重合開始剤として用いた重合性組成物(比較例34〜48)では、ガラス基板上に得られたパターン形状の直線性は不良または硬化不十分によりパターン形状が観測できなかった。
【0322】
<実施例426〜498、比較例49〜63>
[パターン密着性試験]
実施例354〜425、および比較例34〜48で作成したパターン形成基板を、121℃、100%RH、2atm、24時間の条件において、PCT(プレッシャー・クッカー)テストを実施後、20μmパターン部にセロファンテープを貼り付け、ピーリングテストを行うことにより、パターン密着性を評価した。結果を表9に示した。
評価のランクは次の通りである。
○:20μmパターンの剥れが認められない
×:20μmパターンの剥れが認められた
−:硬化不十分のため、評価できず
【0323】
【表9】

【0324】
本発明の重合性組成物を用いた場合(実施例426〜498)、ガラス基板上に得られたパターンの基板に対する密着性が良好であったのに対し、本発明の重合性組成物を用いた場合(比較例49〜63)では、基板に対するパターンの密着性は十分なものが得られなかった。
【0325】
<実施例499〜606、比較例64〜91>
以下に示すとおり、顔料分散体を調整し、次に、これを含む着色性重合化合物を調整した。
【0326】
[赤色顔料分散体の調整]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し赤色顔料分散体を作製した。
ジケトピロロピロール系顔料(C.I.Pigment Red 254) 11.0重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガフォーレッドB−CF」)
下記構造のジケトピロロピロール系顔料誘導体 1.0重量部
アクリル樹脂溶液 40.0重量部
シクロヘキサノン 48.0重量部
【0327】
【化45】

【0328】
[緑色顔料分散体の調整]
下記の組成の混合物を、赤色顔料分散体と同様にして緑色顔料分散体を作製した。
ハロゲン化銅フタロシアニン系顔料(C.I. Pigment Green 36) 7.1重量部
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)
モノアゾ系顔料(C.I. Pigment Yellow 150) 3.9重量部
(ランクセス社製「E4GN−GT」)
下記構造のトリアジン系顔料誘導体 1.0重量部
アクリル樹脂溶液 40.0重量部
シクロヘキサノン 48.0重量部
【0329】
【化46】

【0330】
[青色顔料分散体の調整]
下記の組成の混合物を、赤色顔料分散体と同様にして青色顔料分散体を作製した。
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue15:6) 11.0重量部
(BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)
下記構造のフタロシアニン系顔料誘導体 1.0重量部
アクリル樹脂溶液 40.0重量部
シクロヘキサノン 48.0重量部
【化47】



【0331】
[黒色顔料分散体の調整]
下記の組成の混合物を、赤色顔料分散体と同様にして黒色顔料分散体を作製した。
カーボンブラック(三菱化学社製「MA77」) 12.0重量部
アクリル樹脂溶液 40.0重量部
シクロヘキサノン 48.0重量部
【0332】
〔赤色重合成組成物〕
赤色顔料分散体を58重量部、アクリル樹脂溶液(2)を20重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)を3重量部、ラジカル重合開始剤(A)として化合物(1)を2重量部、シクロヘキサノン17重量部の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過することにより、本発明の赤色重合性組成物を得た(実施例499)。
【0333】
〔青色重合成組成物〕
青色顔料分散体を54重量部、アクリル樹脂溶液(2)を15重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)を4重量部、ラジカル重合開始剤(A)として化合物(1)を4重量部、シクロヘキサノン25重量部の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過することにより、本発明の青色重合性組成物を得た(実施例500)。
【0334】
〔緑色重合成組成物〕
緑色顔料分散体を67重量部、アクリル樹脂溶液(2)を11重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)を3重量部、ラジカル重合開始剤(A)として化合物(1)を2重量部、シクロヘキサノン18重量部の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過することにより、本発明の緑色重合性組成物を得た(実施例501)。
【0335】
〔黒色重合成組成物〕
黒色顔料分散体を75重量部、アクリル樹脂溶液(2)を9重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)を3重量部、ラジカル重合開始剤(A)として化合物(1)を3重量部、シクロヘキサノン13重量部の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過することにより、本発明の緑色重合性組成物を得た(実施例502)。
【0336】
実施例503〜606、比較例64〜91の着色重合性組成物についても、以下の通り作製した。
〔赤色重合成組成物〕
ラジカル重合開始剤(A)としての化合物(1)を、表10に示す化合物に置き換えた以外は、実施例499と同様にして、表10に示す赤色重合性組成物をそれぞれ得た。
【0337】
〔青色重合成組成物〕
ラジカル重合開始剤(A)としての化合物(1)を、表10に示す化合物に置き換えた以外は、実施例500と同様にして、表10に示す青色重合性組成物をそれぞれ得た。
【0338】
〔緑色重合成組成物〕
ラジカル重合開始剤(A)としての化合物(1)を、表10に示す化合物に置き換えた以外は、実施例501と同様にして、表10に示す緑色重合性組成物をそれぞれ得た。
【0339】
〔黒色重合成組成物〕
ラジカル重合開始剤(A)としての化合物(1)を、表10に示す化合物に置き換えた以外は、実施例502と同様にして、表10に示す黒色重合性組成物をそれぞれ得た。
【0340】
【表10】

【0341】
【表10】

【0342】
[フィルタセグメントおよびブラックマトリックスのパタ−ン形成]
得られた着色重合性組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板にポストベーク後の膜厚が、各色それぞれ表11に示す膜厚になるよう塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で15分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。その後、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状のフィルタセグメントを形成した。
【0343】
【表11】

膜厚:各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの形成膜厚
【0344】
[評価]
得られた着色重合性組成物の感度および上記方法により形成されたフィルタセグメントあるいはブラックマトリックスのパタ−ン形状を下記の方法で評価した。結果を表12に示す。
【0345】
(感度)
形成されたフィルタセグメントあるいはブラックマトリックスのパタ−ンがフォトマスクの画像寸法とおりに仕上がる照射露光量をもってレジストの感度とした。評価のランクは次の通りである。
◎:40mJ/cm2未満
○:40mJ/cm2以上80mJ/cm2未満
△:80mJ/cm2以上250mJ/cm2未満
×:250mJ/cm2以上
【0346】
(パタ−ン形状)
形成されたフィルタセグメントあるいはブラックマトリックスのパタ−ンの形状を、(1)パタ−ンの直線性、(2)パタ−ンの断面形状により評価した。
【0347】
(1)については、光学顕微鏡により観察して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
○:直線性良好
△:部分的に直線性不良
×:直線性不良
【0348】
(2)については、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
○:順テーパー形状。
△:ノンテーパー形状。
×:逆テーパー形状。
【0349】
(残膜率評価)
各着色重合成組成物の塗工膜を形成し乾燥させた後に測定した膜厚に対して、露光(100mJ/cm2)、現像、ポストベイク工程までを経た後に測定した膜厚の比をもって残膜率とした。評価のランクは次の通りである。
○:70%以上
×:70%未満
【0350】
【表12】

【0351】
【表12】

【0352】
表12に示すように、一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)を用いた着色重合性組成物(実施例499〜606)は、非常に高感度であり、得られたパタ−ンの直線性および断面形状も良好であったのに対し、公知のオキシムエステル化合物をラジカル重合開始剤として用いた着色重合成組成物(比較例64〜91)は、感度が悪く、パタ−ンの直線性および断面形状において良好となるものは得られなかった。
【0353】
さらに、一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)を用いた着色重合成組成物(実施例499〜606)を用いることにより、高残膜率で、塗膜形成において生産安定性に優れるものを得ることができる。一方、公知のオキシムエステル化合物をラジカル重合開始剤として用いた着色重合成組成物(比較例64〜91)は、残膜率が悪く、塗膜形成において十分なレベルに達していない。
【0354】
本発明の化合物をラジカル重合開始剤として用いた光重合性組成物は、従来公知のラジカル重合開始剤と増感剤とを併用した光重合性組成物と比較しても硬化性に優れることが明らかとなった。この高い硬化性の寄与により、より高感度なプロセスに対応できることが明らかとなった。また、このような高い硬化性をもたらした本発明の化合物は、光を良好に吸収し、なおかつラジカル発生効率を飛躍的に向上することが可能にする、一般式(1)に示すカルバゾールクロモフォアと、光照射による分解により多量にラジカルを発生することが可能なケト型オキシムエステル構造が、相乗的に良い効果をもたらしたためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0355】
本発明は、新規オキシムエステル化合物およびそれを用いたラジカル重合開始剤(A)およびそれを用いた重合成組成物およびそれを用いたネガ型レジストおよびそれを用いた画像パターン形成方法に関するものである。本発明の化合物は、エネルギー線の照射に対して非常に高感度なラジカル発生剤として機能する。従って本発明の化合物を用いた本発明のラジカル重合開始剤(A)は、従来より用いられてきたエネルギー線の照射により発生するラジカルを触媒とした重合、架橋反応などを迅速かつ確実に進行させることができ、その結果として各種用途のエネルギー線に対する高感度化、あるいは反応が十分進行することによる各種用途の特性向上等が期待できる。本発明により、高感度化や特性向上が期待できる用途の例としては、重合あるいは架橋反応を利用した成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、インクジェットインキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチングレジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための組成物、各種デバイスなどが挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
【化1】




(式中、R1は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、置換もしくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のホスフィノイル基、置換もしくは未置換のカルバモイル基、または置換もしくは未置換のスルファモイル基を表し、
2は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または置換もしくは未置換のアミノ基を表し、
3〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基を表し、
6〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアミノ基、または下記一般式(2)である置換基を表し、
一般式(2)
【化2】




(式中、R1’およびR2’は、R1およびR2と同義である。)
10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは未置換のアシル基を表すが、R10〜R14のすべてが同時に水素原子になることはない。)
【請求項2】
10〜R14の少なくとも一つが、ニトロ基、または置換もしくは未置換のアシル基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
10〜R14の少なくとも一つが、ニトロ基、または下記一般式(3)である請求項1または2記載の化合物。
一般式(3)
【化3】




(式中、R15〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基を表す。)
【請求項4】
12が、ニトロ基、または上記一般式(3)である請求項3記載の化合物。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の化合物を含むラジカル重合開始剤(A)。
【請求項6】
請求項5記載のラジカル重合開始剤(A)とラジカル重合性化合物(B)とを含む重合性組成物。
【請求項7】
さらに増感剤(C)を含む請求項6記載の重合性組成物。
【請求項8】
さらに着色成分(D)を含む請求項6または7記載の重合性組成物。
【請求項9】
さらにアルカリ可溶性樹脂(E)を含む請求項6〜8いずれか記載の重合性組成物。
【請求項10】
請求項9記載の重合性組成物を含むネガ型レジスト。
【請求項11】
請求項6〜9いずれか記載の重合性組成物に、エネルギー線を照射して重合させる、重合物の製造方法。
【請求項12】
請求項10記載のネガ型レジストを基材上に積層し、部分的にエネルギー線を照射し重合させ、未照射の部分をアルカリ現像液によって除去することを特徴とする画像パターンの形成方法。
【請求項13】
請求項12記載の画像パターンの形成方法により形成された画像パターン。

【公開番号】特開2011−20998(P2011−20998A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55207(P2010−55207)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【特許番号】特許第4600600号(P4600600)
【特許公報発行日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】