説明

新規ジアミン化合物とその製造方法

【課題】新規なジアミン化合物を提供する。
【解決手段】以下の式(1)に示すジアミン化合物とする。


式(1)におけるAは、例えば、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基(炭素数10以下)、芳香族基(環の数4以下)である。本発明のジアミン化合物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂などの原料あるいは架橋剤として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン骨格を有する新規ジアミン化合物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアミン化合物は、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの重縮合ポリマーもしくは熱硬化性ポリマーの原料、または架橋剤として幅広く使用されている。一方、フルオレンは、3つの環からなる縮合環構造を有し、分子構造的に高い平面性を有する。フルオレン骨格を持つジアミン化合物とすれば、当該化合物を原料あるいは架橋剤として形成したポリマーに対して、フルオレン骨格の高い平面性に由来する特性の賦与が期待される。
【0003】
フルオレン骨格における9位の炭素原子はメチレン基の炭素原子であり、当該骨格における他の炭素原子に比べて反応性が高い。このため、従来、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレンなど、フルオレン骨格を持つジアミン化合物であって、アミノ基を有する置換基が当該骨格における9位の炭素原子に結合したジアミン化合物(特許文献1、2参照)が、数多く合成、市販されている。これ以降、フルオレン骨格における9位、2位および7位の位置を、「フルオレン骨格における」を省略して、それぞれ単に「9位」、「2位」および「7位」と記すことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−187661号公報
【特許文献2】特開2004−506795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フルオレン骨格を持つが、アミノ基を有する置換基が9位の炭素原子に結合したジアミン化合物では、例えば当該化合物を用いて重縮合ポリマーを得た場合、フルオレン骨格がポリマー主鎖に垂直に配位するために、当該骨格の高い平面性に由来する特性が得難い。フルオレン骨格の平面性を利用したポリマーを得るためには、少なくとも、アミノ基を有する置換基が当該骨格の9位ではなく、2位および7位の炭素原子に結合している必要がある。そしてさらに、フルオレン骨格自体の平面性を損なわないために、9位の炭素原子に置換基が結合していないジアミン化合物が望まれる。
【0006】
フルオレン骨格における9位の炭素原子の反応性が高いことから、このようなジアミン化合物は従来の方法では合成できない。仮に合成できたとしても、9位の炭素原子に置換基が結合した多くの副生成物が生じるため、望むジアミン化合物の精製に多大な労力が必要であるとともに、当該化合物の収率が著しく低くなる。
【0007】
本発明は、フルオレン骨格を持ち、アミノ基を有する置換基が当該骨格における2位および7位の炭素原子に結合しており、当該骨格における9位の炭素原子に置換基が結合していない、新規なジアミン化合物の提供と、当該化合物を効率よく合成できる製造方法の提供とを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のジアミン化合物は、以下の式(1)に示す化合物である。
【0009】
【化1】

【0010】
式(1)中のAは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R1;1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar1;1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar2およびAr3により構成される式[−Ar2−Ar3−]で示される基(Ar2およびAr3は、同一であっても互いに異なっていてもよい);1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar4およびAr5ならびにエーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)またはスルホン基(−SO2−)であるZにより構成される、式[−Ar4−Z−Ar5−]で示される基(Ar4およびAr5は、同一であっても互いに異なっていてもよい);1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar6、および、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R2により構成される、式[−Ar6−R2−]で示される基;または、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar7およびAr8、ならびに、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R3により構成される、式[−Ar7−R3−Ar8−]で示される基(Ar7およびAr8は、同一であっても互いに異なっていてもよい);である。脂肪族基R1、R2およびR3ならびに芳香族基Ar1〜Ar8が有していてもよい前記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基およびベンゼンスルホニル基から選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
本発明者らは、このようなジアミン化合物の合成方法を検討した結果、(1)出発物質として、フルオレン骨格における9位の炭素原子がケトン基(>C=O)を構成し(フルオレン骨格における9位がケトン基であり)、2位および7位の炭素原子にヒドロキシ基が結合した2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンを用いるとともに、(2)ケトン基によって9位の炭素原子を保護することで当該炭素原子への置換基の結合を防ぎながら、ヒドロキシ基との縮合反応によって2位と7位の位置にニトロ基を有する置換基を導入し、(3)9位の炭素原子をヒドロキシ基が結合した状態にまで還元した後に、一度、ヒドロキシ基をアセチル化してアセトキシ基(−OAc)とし、(4)アセトキシ基が結合した9位の炭素原子を還元してメチレン基(−CH2−)とするとともに、2位と7位の炭素原子に結合した置換基に含まれるニトロ基をアミノ基に還元する、ことにより、9位の炭素原子に置換基が結合した副生成物の生成を抑え、本発明のジアミン化合物を効率よく合成できることを見出した。
【0012】
即ち、本発明のジアミン化合物の製造方法は、上記本発明のジアミン化合物の製造方法であって、式(2)に示す2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンと、式(3)に示す化合物(A)との縮合反応により、式(4)に示す化合物(B)を得る工程と、
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
前記化合物(B)のフルオレン骨格における9位のケトン基を還元して、9位の炭素原子にヒドロキシ基が結合した状態とした後に、当該ヒドロキシ基をアセチル化して、式(5)に示す化合物(C)を得る工程と、
【0017】
【化5】

【0018】
前記化合物(C)のフルオレン骨格におけるアセトキシ基が結合した9位の炭素原子ならびに前記骨格における2位および7位の炭素原子に結合した前記化合物(A)由来の置換基に含まれるニトロ基を還元して、式(1)に示すジアミン化合物を得る工程と、を含む。
【0019】
【化6】

【0020】
式(3)中のXは、ハロゲン基である。式(1)、(3)〜(5)におけるAは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R1;1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar1;1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar2およびAr3により構成される式[−Ar2−Ar3−]で示される基(Ar2およびAr3は、同一であっても互いに異なっていてもよい);1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar4およびAr5ならびにエーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)またはスルホン基(−SO2−)であるZにより構成される、式[−Ar4−Z−Ar5−]で示される基(Ar4およびAr5は、同一であっても互いに異なっていてもよい);1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar6、および、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R2により構成される、式[−Ar6−R2−]で示される基;または、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar7およびAr8、ならびに、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R3により構成される、式[−Ar7−R3−Ar8−]で示される基(Ar7およびAr8は、同一であっても互いに異なっていてもよい);である。脂肪族基R1、R2およびR3ならびに芳香族基Ar1〜Ar8が有していてもよい前記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基およびベンゼンスルホニル基から選ばれる少なくとも1種である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のジアミン化合物はフルオレン骨格を持つとともに、アミノ基を有する置換基が当該骨格における2位および7位の炭素原子に結合している。これに加えて、当該骨格における9位の炭素原子に置換基が結合していない。このようなジアミン化合物によれば、例えば、フルオレン骨格の高い平面性に由来する特性が賦与された重縮合ポリマー、熱硬化性ポリマーの形成が期待される。
【0022】
本発明のジアミン化合物の製造方法では、出発物質に2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンを用い、ヒドロキシ基の縮合反応を利用した2位および7位の炭素原子へのニトロ基含有置換基の導入、その際のケトン基による9位の炭素原子の保護、9位のケトン基を、ヒドロキシ基、次いでアセトキシ基が炭素原子に結合した状態を経た後にメチレン基に還元、ならびにニトロ基含有置換基におけるニトロ基のアミノ基への還元によって、フルオレン骨格における2位および7位の炭素原子にアミノ基を有する置換基を導入する一方で、9位の炭素原子に対する置換基の結合を防ぎ、本発明のジアミン化合物を効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施例で合成した2,7−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレンを同定したプロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[本発明のジアミン化合物]
本発明のジアミン化合物は、以下の式(1)に示す化合物である。式(1)におけるAは、上述したとおりである。Ar1〜Ar8が複数の(2〜4の)環構造を有する場合、Ar1〜Ar8は、当該複数の環構造からなる縮合環である。
【0025】
【化7】

【0026】
式(1)におけるAは、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。好ましい例として、式(1)は、以下の式(6)、(7)、(8)、(9)、(10)または(11)に示す化合物である。
【0027】
【化8】

【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
【化11】

【0031】
【化12】

【0032】
【化13】

【0033】
式(6)中のR1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基である。式(7)中のAr1は、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である。式(8)中のAr2およびAr3は互いに独立して、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である。式(9)中のAr4およびAr5は互いに独立して、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基であり、Zは、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)またはスルホン基(−SO2−)である。式(10)中のAr6は、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基であり、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基である。式(11)中のAr7およびAr8は互いに独立して、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基であり、R3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基である。Ar1〜Ar8が複数の(2〜4の)環構造を有する場合、Ar1〜Ar8は、当該複数の環構造からなる縮合環である。
【0034】
式(1)、(6)、(10)および(11)における脂肪族基R1、R2およびR3は、飽和脂肪族基が好ましい。脂肪族基R1、R2およびR3は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基であり、メチル基、エチル基が好ましい。
【0035】
式(1)、(7)、(8)、(9)、(10)および(11)における芳香族基Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7およびAr8は、例えば、フェニレン基、ナフタレン基、フェナントレン基、ピレン基であり、フェニレン基、ナフタレン基が好ましい。式(1)および(9)におけるZは、エーテル基(−O−)が好ましい。
【0036】
本発明のジアミン化合物は、式(1)におけるAが、脂肪族基R1または芳香族基Ar1であることが好ましく、芳香族基Ar1であることがより好ましい。
【0037】
本発明のジアミン化合物は、例えば、2,7−ビス(アミノメトキシ)フルオレン、2,7−ビス(アミノエトキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノプロポキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノプロポキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(6−アミノヘキシロキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノヘキシロキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノヘキシロキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノヘキシロキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノヘキシロキシ)フルオレン、2,7−ビス(1−アミノ−1−フェニルメトキシ)フルオレン、2,7−ビス[1−(4−アミノフェニル)メトキシ]フルオレン、2,7−ビス[1−(3−アミノフェニル)メトキシ]フルオレン、2,7−ビス[1−(2−アミノフェニル)メトキシ]フルオレン、2,7−ビス(2−アミノ−2−フェニルエトキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノ−2−フェノキシエトキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノ−2−フェニルスルファニルエトキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノ−2−ベンゼンスルホニルエトキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−2−フェニルプロポキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−2−フェノキシプロポキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−2−フェニルスルファニルプロポキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−2−ベンゼンスルホニルプロポキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−2−フェニルブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−2−フェノキシブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−2−フェニルスルファニルブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−2−ベンゼンスルホニルブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−3−フェニルブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−3−フェノキシブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−3−フェニルスルファニルブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−3−ベンゼンスルホニルブトキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノ−3−フェニルペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノ−3−フェノキシペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノ−3−フェニルスルファニルペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノ−3−ベンゼンスルホニルペントキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノフェノキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノフェノキシ)フルオレン、2,7−ビス(5−アミノ−1−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(8−アミノ−1−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−2−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(8−アミノ−2−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(4−アミノ−1−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(2−アミノ−1−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(6−アミノ−2−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(7−アミノ−2−ナフトキシ)フルオレン、2,7−ビス(6−アミノ−1−ピレノキシ)フルオレン、2,7−ビス(8−アミノ−1−ピレノキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−1−ピレノキシ)フルオレン、2,7−ビス(10−アミノ−9−フェナントレノキシ)フルオレン、2,7−ビス(7−アミノ−2−フルオレノキシ)フルオレン、2,7−ビス(4’−アミノ−4−ビフェニロキシ)フルオレン、2,7−ビス(4’−アミノ−3,3’−ジメチル−4−ビフェニロキシ)フルオレン、2,7−ビス{4−[1−(4−アミノフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル]フェノキシ}フルオレン、2,7−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]フルオレン、2,7−ビス[4−(4−アミノフェニルスルファニル)フェノキシ]フルオレン、2,7−ビス[4−(4−アミノベンゼンスルホニル)フェノキシ]フルオレン、2,7−ビス(8−アミノ−3−フェナントリジノキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−8−フェナントリジノキシ)フルオレン、2,7−ビス(8−アミノ−6−フェニル−3−フェナントリジノキシ)フルオレン、2,7−ビス(3−アミノ−6−フェニル−8−フェナントリジノキシ)フルオレンである。
【0038】
本発明のジアミン化合物では、アミノ基を有する置換基がエーテル結合(−O−)を介して2位および7位の炭素原子に結合している。エーテル結合は分子鎖の回転性に優れるため、この結合によって、当該ジアミン化合物を用いてポリマーを形成したときに、当該ポリマーにより、例えば、屈曲性、可撓性が高いフィルムが得られる。
【0039】
本発明のジアミン化合物は、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの重縮合ポリマー、熱硬化性ポリマーの原料あるいは架橋剤など、従来のジアミン化合物と同様の用途に使用できる。
【0040】
[本発明のジアミン化合物の製造方法]
本発明のジアミン化合物の製造方法では、まず、式(2)に示す2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンと、式(3)に示す化合物(A)とを縮合させて、式(4)に示す化合物(B)を得る(反応1)。
【0041】
【化14】

【0042】
【化15】

【0043】
【化16】

【0044】
式(3)中のXはハロゲン基(F、Cl、BrまたはIであり、F、ClまたはBrが好ましく、FまたはClがより好ましい)である。式(3)中のAは、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。式(3)中のAは、好ましい例として、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R1;1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar1;1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar2およびAr3により構成される式[−Ar2−Ar3−]で示される基(Ar2およびAr3は、同一であっても互いに異なっていてもよい);1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar4およびAr5ならびにエーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)またはスルホン基(−SO2−)であるZにより構成される、式[−Ar4−Z−Ar5−]で示される基(Ar4およびAr5は、同一であっても互いに異なっていてもよい);1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar6、および、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R2により構成される、式[−Ar6−R2−]で示される基;または、1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar7およびAr8、ならびに、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R3により構成される、式[−Ar7−R3−Ar8−]で示される基(Ar7およびAr8は、同一であっても互いに異なっていてもよい);である。脂肪族基R1、R2およびR3ならびに芳香族基Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7およびAr8が有していてもよい上記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基およびベンゼンスルホニル基から選ばれる少なくとも1種である。
【0045】
式(3)におけるAは、得たいジアミン化合物における、アミノ基を有する置換基に応じて選択すればよく、例えば、得たいジアミン化合物を式(1)で表したときに、当該式(1)におけるAと同じであればよい。以降の式(4)、(5)に示すAは、途中の反応で分子構造が変化しない限り、式(3)におけるAと同じである。
【0046】
式(3)における具体的なAは、例えば、フェニレン基、ナフタレン基、メチル基、エチル基である。
【0047】
反応1は、2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンのヒドロキシ基と、化合物(A)との脱ハロゲン化水素縮合反応かつエーテル化反応であり、塩基性触媒の存在下で効率よく進行する。
【0048】
塩基性触媒は、例えば、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、水素化物およびアルコキシドである。具体的な例は、酸化ナトリウム、酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドである。触媒は、2種以上使用してもよい。触媒の使用量は、例えば、2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンに対して、1.0〜5.0当量、好ましくは2.0〜4.0当量である。
【0049】
反応1における反応溶媒は、反応1が進行する限り特に限定されないが、非プロトン性極性溶媒が好ましい。反応1における反応溶媒は、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、ヘキサメチルホスホトリアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンである。反応溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、反応物質の全量に対して、1〜20重量倍である。非プロトン性極性溶媒は、反応1の後も、反応2、3の反応溶媒として、引き続き使用することができる。
【0050】
反応1では、反応促進剤として、4級アンモニウム塩、4級リン酸塩、クラウンエーテルなどの大環状ポリエーテル、クリブテートなどの含窒素大環状ポリエーテル、含窒素鎖状ポリエーテル、ポリエチレングリコールおよびそのアルキルエーテルなどの相関移動触媒、銅粉、銅塩などを併用してもよい。
【0051】
反応温度、反応時間など、反応条件の詳細は、適宜調整できる。
【0052】
反応1では、フルオレン骨格における9位がケトン基であるフルオレノンを出発物質として用いているため、9位の炭素原子への置換基の結合が抑制され、これにより、続く反応2、3を経て、本発明のジアミン化合物を効率よく製造できる。本発明者らが、2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンの代わりに、2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレンを出発物質として用いて反応1と同様の反応を進行させたところ、9位の炭素原子に置換基が結合することが確認された。
【0053】
次に、反応1を経て得られた化合物(B)の9位のケトン基を還元して、9位の炭素原子にヒドロキシ基が結合した状態とした後に、当該ヒドロキシ基をアセチル化して、式(5)に示す化合物(C)を得る(反応2)。
【0054】
【化17】

【0055】
本発明のジアミン化合物を得るためには、化合物(B)の9位のケトン基を還元してメチレン基にする必要がある。しかし、化合物(B)のケトン基に対する還元反応は、9位の炭素原子にヒドロキシ基が結合した状態までしか進行しない。そこで、ヒドロキシ基が結合した状態まで還元反応を進行させた後、一度、ヒドロキシ基をアセチル化し、9位の炭素原子にアセトキシ基(−OAc)が結合した状態とする。この状態(化合物(C))とすることによって初めて、フルオレン骨格における9位のケトン基をメチレン基にまで還元することが可能となる。
【0056】
反応2におけるケトン基の還元反応は、例えば、水素化、ヒドリド還元、金属還元などの手法により進行させればよい。各手法に使用される還元剤および/または触媒は特に限定されない。水素化および金属還元には、例えば、ニッケル、銅−酸化クロム、ルテニウム、ロジウム、白金などの金属の微粉末または当該微粉末を活性炭、アルミナ、珪藻土などの不溶性担体に吸着させた触媒、有機物と金属との複合体などを使用できる。ヒドリド還元には、例えば、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリブチルスズなどを使用できる。
【0057】
ケトン基の還元反応に用いる反応溶媒は、当該反応が進行する限り、任意の溶媒を使用できる。反応1の反応溶媒として非プロトン性極性溶媒を使用した場合、当該溶媒を引き続き使用することも可能である。
【0058】
反応温度、反応時間など、反応条件の詳細は、適宜調整できる。
【0059】
反応2におけるアセチル化は、無水酢酸またはアセチルクロライドなどを用いて進行させればよい。
【0060】
アセチル化に用いる反応溶媒は、当該反応が進行する限り、任意の溶媒を使用できる。反応1の反応溶媒として非プロトン性極性溶媒を使用した場合、当該溶媒を引き続き使用することも可能である。
【0061】
反応温度、反応時間など、反応条件の詳細は、適宜調整できる。
【0062】
次に、反応2を経て得られた化合物(C)のフルオレン骨格における9位の炭素原子(アセトキシ基が結合した炭素原子)を還元してメチレン基とするとともに、2位および7位の炭素原子に結合した、化合物(A)に由来する置換基に含まれるニトロ基を還元してアミノ基とし、式(1)に示す本発明のジアミン化合物を得る(反応3)。
【0063】
【化18】

【0064】
反応3における還元反応は、例えば、水素化、ヒドリド還元、金属還元などの手法により進行させればよい。各手法に用いられる還元剤および/または触媒は、反応2におけるケトン基の還元反応において使用したものと同様であってよい。反応温度、反応時間など、反応条件の詳細は、適宜調整できる。
【0065】
反応3に用いる反応溶媒は、当該反応が進行する限り、任意の溶媒を使用できる。反応1の反応溶媒として非プロトン性極性溶媒を使用した場合、当該溶媒を引き続き使用することも可能である。
【0066】
反応3における9位の炭素原子の還元と、ニトロ基の還元とは、同時に行ってもよいし、分離して行ってもよい。
【0067】
本発明の製造方法では、必要に応じて、反応1、2および3以外の任意の反応ならびに任意の工程を実施してもよい。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0069】
[反応1]
2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノン100.0g(471.3mmol)、化合物(A)として4−フルオロニトロベンゼン146.3g(1036.8mmol)、触媒として炭酸カリウム260.5g(1885.0mmol)および反応溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)1000mLを内容積2Lの四つ口セパラブルフラスコに収容し、フラスコ内の混合物を攪拌しながら、窒素雰囲気下、90℃にて3時間、以下の式(12)に示す反応を進行させた。反応終了後、フラスコの内容物を室温に冷却し、その後、氷水10L中に注入して析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を、水およびエタノールで順次洗浄した後、減圧乾燥して、式(12)の右辺に示す化合物(B)197.4g(収率92.2%)を、黄土色結晶として得た。式(12)の右辺に示す化合物(B)は、2,7−ビス(4−ニトロフェノキシ)−9−フルオレノンである。
【0070】
【化19】

【0071】
[反応2]
反応1で得た化合物(B)150.0g(330.1mmol)、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム61.2g(1617.6mmol)および塩化アルミニウム(III)123.3g(924.3mmol)ならびに反応溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)2.3Lを内容積5Lの四つ口セパラブルフラスコに収容し、フラスコ内の混合物を窒素雰囲気下にて一晩環流させ、以下の式(13)に示す反応を進行させた。次に、アイスバスで冷却しながらフラスコ内に水1Lを滴下し、クエンチした。次に、酢酸エチルによる反応生成物の抽出を行い、抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、減圧濃縮し、ヘプタンによる晶析を経て、式(13)の右辺に示す化合物(2,7−ビス(4−ニトロフェノキシ)−9−ヒドロキシフルオレン)154.1g(収率102.3%)を黄色結晶として得た。
【0072】
【化20】

【0073】
次に、得られた化合物150.0g(328.7mmol)と、ジクロロメタン2Lと、トリエチルアミン39.9g(394.4mmol)と、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)4.0g(32.9mmol)とを、内容積3Lの四つ口セパラブルフラスコに収容し、フラスコ内を窒素雰囲気に保ちながら、全体を氷冷した。そこにアセチルクロリド31.0g(394.4mmol)を滴下し、3時間攪拌した後、フラスコ内の混合物を室温に戻してから一晩攪拌し続けることで、以下の式(14)に示す反応を進行させた。次に、フラスコの内容物を氷水3Lに投入した後に、ジクロロメタンによる反応生成物の抽出を行い、抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル1000g、展開溶媒ジクロロメタン)にて精製した。これにより得られた結晶をTHF/ヘプタンにて晶析させて、式(14)の右辺に示す化合物(C)159.7g(収率97.5%)を、微オレンジ色結晶として得た。式(14)の右辺に示す化合物(C)は、2,7−ビス(4−ニトロフェノキシ)−9−アセトキシフルオレンである。
【0074】
【化21】

【0075】
[反応3]
反応2で得た化合物(C)159.0g(319.0mmol)、還元剤として10重量%パラジウム−活性炭素エチレンジアミン複合体15.9gおよび反応溶媒としてTHF3Lを内容積5Lの四つ口セパラブルフラスコに収容し、フラスコ内を水素雰囲気に保ちながら、室温で二日間、フラスコ内容物の攪拌を続け、以下の式(15)に示す反応を進行させた。反応終了後、セライト濾過により、フラスコ内容物から触媒を取り除いた後、濾液を減圧濃縮し、ヘプタンで晶析させた。晶析させた結晶をさらに少量のTHFに溶解させ、THF/エタノールで晶析させて、式(15)の右辺に示す2,7−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレン101.1g(収率83.3%)を得た。
【0076】
【化22】

【0077】
得られた2,7−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレンは、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR、ブルカー・バイオスピン社製AVANCE II 300、周波数300MHz、測定溶媒はジメチルスルホキシド−d6)により同定した。NMR測定結果を図1に示す。図1に示すように、化学シフトσにして、3.785ppm(2H)、4.977ppm(4H)、6.577−6.607ppm(4H)、6.770−6.799ppm(4H)、6.850−6.885ppm(2H)、6.992−6.999ppm(2H)、7.680−7.708ppm(2H)のピークが観測され、2,7−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレンであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のジアミン化合物は、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの重縮合ポリマー、熱硬化性ポリマーの原料あるいは架橋剤など、従来のジアミン化合物と同様の用途に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)に示すジアミン化合物。
【化1】

式(1)におけるAは、
置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R1
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar1
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar2およびAr3により構成される式[−Ar2−Ar3−]で示される基(Ar2およびAr3は、同一であっても互いに異なっていてもよい);
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar4およびAr5ならびにエーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)またはスルホン基(−SO2−)であるZにより構成される、式[−Ar4−Z−Ar5−]で示される基(Ar4およびAr5は、同一であっても互いに異なっていてもよい);
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar6、および、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R2により構成される、式[−Ar6−R2−]で示される基;または、
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar7およびAr8、ならびに、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R3により構成される、式[−Ar7−R3−Ar8−]で示される基(Ar7およびAr8は、同一であっても互いに異なっていてもよい);である。
前記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基およびベンゼンスルホニル基から選ばれる少なくとも1種である。
【請求項2】
請求項1に記載のジアミン化合物の製造方法であって、
式(2)に示す2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノンと、式(3)に示す化合物(A)との縮合反応により、式(4)に示す化合物(B)を得る工程と、
【化2】

【化3】

【化4】

前記化合物(B)のフルオレン骨格における9位のケトン基を還元して、9位の炭素原子にヒドロキシ基が結合した状態とした後に、当該ヒドロキシ基をアセチル化して、式(5)に示す化合物(C)を得る工程と、
【化5】

前記化合物(C)のフルオレン骨格におけるアセトキシ基が結合した9位の炭素原子ならびに前記骨格における2位および7位の炭素原子に結合した前記化合物(A)由来の置換基に含まれるニトロ基を還元して、式(1)に示すジアミン化合物を得る工程と、を含むジアミン化合物の製造方法。
【化6】

式(3)におけるXは、ハロゲン基であり、
式(1)、(3)〜(5)におけるAは、
置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R1
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar1
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar2およびAr3により構成される式[−Ar2−Ar3−]で示される基(Ar2およびAr3は、同一であっても互いに異なっていてもよい);
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar4およびAr5ならびにエーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)またはスルホン基(−SO2−)であるZにより構成される、式[−Ar4−Z−Ar5−]で示される基(Ar4およびAr5は、同一であっても互いに異なっていてもよい);
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar6、および、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R2により構成される、式[−Ar6−R2−]で示される基;または、
1〜4の環構造を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基Ar7およびAr8、ならびに、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基R3により構成される、式[−Ar7−R3−Ar8−]で示される基(Ar7およびAr8は、同一であっても互いに異なっていてもよい);である。
前記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基およびベンゼンスルホニル基から選ばれる少なくとも1種である。

【図1】
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【公開番号】特開2011−195580(P2011−195580A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38417(P2011−38417)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】