説明

新規ドロスピレノン/17β−エストラジオール投与計画、組み合わせ医薬、およびこの投与計画を行なうためのキット

本発明は、各々の一日投与量単位中に2.0mg〜3.0mgのドロスピレノン、および1.0〜2.0mgの17β−エストラジオールを含む、少なくとも21個の連続的一日投与量単位を有し、前記連続的一日投与量単位と同量またはより少ない量(すなわち、0.5mg〜3.0mg)のドロスピレノンを含む間欠的一日投与量単位がその後に続き、各々の間欠的一日投与量単位がドロスピレノンの投与の無い少なくとも1日によって先行される、組み合わせ医薬に関する。これらの組み合わせ医薬は、女性の経口避妊のために使用され、各々の4週間における消退出血を保証し、そしてドロスピレノンに関連する利益を完全に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉経期の女性における避妊ならびに避妊およびホルモン治療のための、ヒト女性へのドロスピレノン(DRSP)および17β−エストラジオール(E2)を含む医薬組成物の投与のための、新規投与計画に関する。
【背景技術】
【0002】
既に利用可能なOC(経口避妊薬)を含むドロスピレノンは、製品ヤスミン(Yasamin)およびヤズ(Yaz)である。
【0003】
ホルモン治療のために、ドロスピレノンおよび17β−エストラジオールを含む製品アンジェリク(Angeliq)が開発された。
【0004】
標準的な避妊薬は、28日サイクルで投与され、そしてそれは、通常21日間はプロゲスチンおよびエストロゲンを含む活性錠剤を使用し、その後7日間はホルモンを含まない、または不活性な錠剤を使用する(21+7投与計画)。活性錠剤の投与は、近年24日に延長され、4日間のみホルモンを含まない日を有する(24+4投与計画)。同様に、活性錠剤の連続的な投与が3ヶ月までである、延長された投与計画が開発された(84+7投与計画)。延長された投与計画は、便宜のため、または月経およびホルモンの停止に関わる症状および不快感のために、消退出血の頻度を減らすことを望む女性のための選択肢である。
【0005】
全てのこれらの投与計画は、消退出血を引き起こす目的を有するホルモンを含まない期間を有する。しかし、かかる「ホルモンを含まない期間」は、女性の生理的条件において現実には存在せず、そして実際にはそれは完全に人工的である。同様に、「ホルモンを含まない期間」は、エストロゲンおよび/またはプロゲスチンの治療効果、例えば、閉経期および閉経後の女性における運動性血管症状の軽減;前高血圧(オフィス用血圧測定バンドによる収縮期血圧120〜139mmHg、またはオフィス用血圧測定バンドによる拡張期血圧80〜89mmHg)および高血圧(140mmHg以上のオフィス用血圧測定バンドによる収縮期血圧、または90mmHg以上のオフィス用血圧測定バンドによる拡張期血圧)の女性におけるBP低下効果、ならびにドロスピレノンの抗アルドステロン特性に基づくカリウム保持効果が期待されるときに論理的根拠を有さない。
【0006】
ドロスピレノンは、プロゲステロンのものと非常に似ている薬力学的特性を有し、そしてスピロラクトン由来の誘導体である古典的なプロゲスチンとは異なる。ドロスピレノンのこれらの特性に基づいて、塩の減少および水分の保持が観測され、そして高血圧の女性において血圧が低下した。ミネラルコルチコイド受容体に対するドロスピレノンの親和性は、アルドステロン(天然において生じるミネラルコルチコイド)のものの約5倍である。ドロスピレノンは、妊娠可能な女性において、エチニルエストラジオール(EE)との併用での避妊のために開発された(1日3mgのDRSPを20または30μgのEEと組み合わせて、21日間または24日間投与計画で投与)。同様に、ドロスピレノンと17−βエストラジオールとの幾つかの連続的な組み合わせが、閉経後の女性のホルモン治療のために開発された。閉経期とは、女性の体が閉経へと移行し始める期間を示す。閉経期は、閉経に至るまでの年−2〜8年−に、最後の月経後の最初の年を加えたものを含む。この期間の間、卵巣の機能は減退し、そして体のエストロゲンの水準は低下する。大部分の女性において、これは35〜50歳の間に起こる。大部分の閉経期の女性は月経周期の変化を経験する。エストロゲンの水準が低下し始める時、当該周期の卵胞期が短くなり、そしてこれは全体の周期を28〜30日から24〜26日へと短くし、結果的により頻繁な期間になる。一方幾人かの女性は、頻繁に排卵しないため、より長い周期を有し始める。これらの変化は、個人ごとに全く異なる。さらに、この低下した/変動したエストロゲンの水準は、多くの憂慮すべき症状:顔面紅潮、膣の乾燥、睡眠障害、気分変動、PMS様症状、性的欲求の減少、乳房の圧痛、および多くの他の兆候および症状を生じ得る。
【発明の概要】
【0007】
女性の全月経周期を通じて、および/または全投薬期間において、ドロスピレノンに関連する利益を同時に利用することができ、それにより、他の面において、優れた周期調節(すなわち、許容される出血パターン)およびとりわけ(人工的な)消退出血の信頼性ある導入が保証される投与計画を提供することが本発明の第一の目的である。
【0008】
若い女性においてOCとして使用されてもよく、そして上で言及された閉経期の女性集団においてなお必要とされる避妊薬、ならびに閉経期の症状および人生のこの段階において既に必要とされ得る周期調節/不規則出血の処置を提供するために使用されることも意図されている、新規ドロスピレノン/17−βエストラジオール(DRSP/E2)錠剤の投与計画を提供することが本発明の別の目的である。
【0009】
かかる産物は、天然のエストロゲンE2と合成プロゲスチンDRSP(天然のプロゲスチンであるプロゲステロンとその薬理学的特性において密接に関連があるが、プロゲステロンとは対照的に経口経路において効果的に体内に吸収されて利用され得る)とを組み合わせるだろう。
【0010】
欧州特許第0253607号明細書は、月経周期の一日目から始めて、23〜26日間剤形を投与し、その後2〜5日の錠剤を含まないまたは空の錠剤の日が続く(投与周期は全体で28日間)、ホルモン補充療法および閉経前の女性のための避妊を提供する当該剤形の製造のための、0.075〜1.50mgの17β−エストラジオール、0.012〜0.025mgのエチニルエストラジオール、および0.025〜0.050mgのメストラノールから選択されるエストロゲン、ならびに0.035〜0.085mgのレボノルゲストレル、0.015〜0.060mgのゲストデン、0.035〜0.085mgのデソゲストレル、0.035〜0.085mgの3−ケトデソゲストレル、および0.10〜0.30mgのノルエチンドロンから選択されるプロゲストゲンを含む組成物の使用を既に開示している。この組成物は、若い女性における避妊薬として使用されるように意図されていない。同様に、ドロスピレノンは、可能なプロゲストゲン成分として言及されていない。
【0011】
上で言及された24+4投与計画は、特に国際出願第EP94/04274号および米国再発行特許第37564E号明細書に記載されている。この特許の請求項1は、経口避妊のための組み合わせ製品であって、(a)>2.0〜6.0mgの17β−エストラジオール、および0.02mgのエチニルエストラジオールから選択されるエストロゲン;ならびに2.5〜3.0mgのドロスピレノン、および1〜2mgの酢酸シプロテロンから選択されるゲスタゲンをそれぞれ含む、23または24個の投与量単位、ならびに(b)それぞれ5または4個の活性成分を含まない偽薬、あるいはそれぞれ23または24個の投与量単位の連日投与の後に、それぞれ5または4個の錠剤を含まないまたは偽薬の日が続くことを示す他の表示を含む前記組み合わせ製品、である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、例として2つの好ましい投与計画を示す(当該投与計画中にメタフォリンを含めることは任意である)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的は、その最も広い意味において、各々の一日投与量単位中に2.0〜3.0mgのドロスピレノン、および1.0〜2.0mgの17β−エストラジオールまたは10〜20μgの17α−エチニルエストラジオールを含む、少なくとも21個の連続的一日投与量単位を有し、前記連続的一日投与量単位と同量またはより少ない量のドロスピレノンを含む間欠的一日投与量単位がその後に続き、各々の間欠的一日投与量単位がドロスピレノンの投与の無い少なくとも1日によって先行される組み合わせ医薬によって達成される。
【0014】
間欠的一日投与量単位とは、その投与が、直接にすなわち次の日に、先の投与量単位の投与に続くものではない投与量単位を意味する。第一の間欠的一日投与量単位は、ホルモン投与の無い少なくとも1日によって、連続的一日投与量単位の最後の投与量単位から分離している。第一および第二の間欠的一日投与量単位の間において、(そしてその場合が次の間欠的一日投与量単位の間であってもよいならば)、ホルモンの投与の無い少なくとも1日が提供される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、偽薬はホルモン投与の無い日のために含まれる。別の実施形態において(以下参照)、テトラヒドロ葉酸が本発明の組み合わせ医薬中に存在してもよい場合、このテトラヒドロ葉酸、好ましくはメタフォリンは、間欠的一日投与量単位に先行する投与量単位中に存在する。
【0016】
本発明はまた、上に記載した組み合わせ製品を含むキットに関する。
【0017】
本発明の一つの実施形態において、各々の間欠的一日投与量単位は、ドロスピレノン投与の無い二日に先行される。
【0018】
本発明の別の実施形態において、少なくとも一個の間欠的一日投与量単位は、ドロスピレノン投与の無い2日に先行される。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態において、一個の間欠的一日投与量単位は、ドロスピレノン投与の無い少なくとも1日に先行される。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、投与計画は、23個の一日経口投与量単位、ならびに28日間の月経周期の内25日目および27日目において投与される間欠的一日投与量単位を提供する。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態は、24個の一日経口投与量単位、ならびに28日間の月経周期の内、26日目および28日目において投与される間欠的一日投与量単位を提供する。
【0022】
本発明のなお一層さらなる実施形態において、投与計画は24個の一日経口投与量単位、および28日間の月経周期の内、27日目において投与される間欠的一日投与量単位を提供する。
【0023】
本発明の新規投与計画は、28日周期を完結するために、少なくとも21日間の途切れない連日投与の間、一日投与量単位あたり、2.0mg〜3.0mgのドロスピレノン、および1.0mg〜2.0mg、好ましくは1.50mgの17β−エストラジオールまたは10〜20μgのエチニルエストラジオールを含み、そしてその後二日目ごとに、またはその後三日目ごとに、あるいはその後三日目に第一の間欠的投与量単位を、そして第一の間欠的投与量単位の後二日目に第二の間欠的投与量単位を、またはその後二日目に第一の間欠的投与量単位を、そして第一の間欠的投与量単位の後三日目に第二の間欠投与量単位を間欠的に投与される投与量単位中に、同量のまたはより少ない量のドロスピレノンを含む。
【0024】
本発明にしたがって、かかる新規投与計画は驚くべきことに、DRSP/E2投与の途切れない連日投与が再開される以前に、消退出血の信頼性ある誘導を確保することが分かった。幾つかのドロスピレノンが他のホルモンを含まない期間を通じて投与されるため、これは驚くべきことである。オフ/オン段階(22〜28日目、好ましくは25〜28日目)は、他のホルモンを含まない(錠剤を含まない)期間において、プロゲスチンの存在下において、消退出血の信頼性ある誘導と共に卵巣抑制を増加させると考えられる。
【0025】
新規投与計画は、出血日の総数、出血の強さ、消退出血の期間などのパラメーターに関して、許容される出血特性を提供する。同時に、「休止期間における」同量のまたは減らされた量のドロスピレノンの間欠的投与を用いたかかる新規の投与計画は、投与の全体的な持続を通じて、ドロスピレノンの特定の利益の間欠的な減少または阻害なしに、ドロスピレノンの利益の完全な維持を保証する。
【0026】
投与されるE2の用量は、正常な生理学的骨ミネラル密度を維持するために十分である。E2によるエチニルエストラジオールの交換は、著しい利益を提供するものと期待される。その一つは、代謝性パラメーター、例えば肝臓タンパク質生合成に対してさほど影響がない。
【0027】
本発明の別の態様において、10〜20μg、好ましくは15μgの17α−エチニルエストラジオールが、一日投与量単位あたりのエストロゲンとして含まれる。
【0028】
少なくとも21個の連続的一日投与量単位によって構成される本発明の投与計画の一部、および医薬の組み合わせの一部は単相であってもよく、すなわちその各々の投与量単位において同量の17β−エストラジオールおよびドロスピレノンが含まれるものであってよく、またはこれらの一部は多相であってもよく、すなわち17β−エストラジオールおよび/またはドロスピレノンの量が、段階的に変化されてもよい。
【0029】
本発明の投与計画および医薬組成物の一つの実施形態において、17β−エストラジオールは、第一段階において1.0mgの17β−エストラジオールから、第二段階において1.5mgの17β−エストラジオールへと、第三段階において2.0mgの17β−エストラジオールへと段階的に増加する。各々の継続的投与量単位におけるドロスピレノンの量は一定のままである。3.0mgのドロスピレノンが好ましい。24個の連続的一日投与量単位の場合において、各々の段階は、6〜10個の、好ましくは8個の一日投与量単位を有する。
【0030】
それにより、各々の継続的投与量単位あたり3.0mgの一定のドロスピレノンの量は、増加する17β−エストラジオール用量と組み合わされ、(YAZと比較して)高い卵巣抑制を得、および当該処置周期の間においてエストラジオールの下方制御を妨げる。
【0031】
別の実施形態は、17β−エストラジオールの段階的増加、およびドロスピレノンの量の段階的減少を提供し、ここで1.0mgの17β−エストラジオールから出発して1.5mgの17β−エストラジオールへと、2.0mgの17β−エストラジオールへとなり、一方同一の順番でドロスピレノンの量は、3.0mgのドロスピレノンから2.5mgのドロスピレノンへ、2.0mgのドロスピレノンへと減少する。さらに、24個の連続的一日投与量単位の場合において、各々の段階は6個〜10個の、好ましくは8個の一日投与量単位を有する。
【0032】
単相の17β−エストラジオールおよびドロスピレノンの場合において、投与量単位あたり3.0mgのドロスピレノンの一日投与量が好ましい。
【0033】
別の実施形態において、間欠的投与量単位は、投与計画中の継続的および途切れない部分(1日目〜少なくとも21日目)における一日投与量単位ほどにはドロスピレノンを含まない。この実施形態において、例えば1.0mgのドロスピレノンが間欠的投与量単位中に含まれる。
【0034】
本発明の一層さらなる実施形態において、エストロゲンおよびドロスピレノンに加えて各々の一日投与量単位中において、エストロゲンに加えて間欠的投与量単位において、およびドロスピレノンを有さない一定の一日用量単位において、テトラヒドロ葉酸が含まれる。エストロゲンおよび/またはプロゲスチン、ならびに5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸を含む医薬組成物は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2006/120035号に記載されている。
【0035】
国際公開第2006/120035号は、葉酸の欠如により引き起こされる疾患を予防することができるが、同時に、ビタミンB12欠如の症状を隠すことができない経口避妊薬を開示する。代表的な投与計画は、その発明の医薬組成物の消費者が、葉酸の欠如によって引き起こされる疾患または先天性異常、特に神経管欠損の遮断の後、特定の時間において確実に保護されることを保証する。これらの両方はまた、使用者においてメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素がホモ接合またはヘテロ接合多型の場合であって、身体おける葉酸の利用、およびそれにより神経管欠損を予防するその生物学的活性に悪影響を及ぼす場合において適用される。本発明の組み合わせ医薬への5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸の追加は、国際公開第2006/120035号においてそれが成すのと同一の目的に有用である。
【0036】
本発明の形態における5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸への言及は、遊離の酸形態、および薬学的に許容される塩ならびに5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸(N−[4−[[(2−アミノ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−オキソ−5−メチル−(6S)−プテリジニル)メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸)の修飾体を意味する。
【0037】
薬学的に許容される塩は、薬理学的および薬学的に許容される塩の両方であるように意図されている。かかる薬理学的および薬学的に許容される塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩であってもよい。カルシウム塩は特に好ましい。
【0038】
本発明に従って特に好ましいカルシウム塩の例のために使用される5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸(メタフォリン)の量は、0.1〜10mg、好ましくは0.4〜1mg、特に好ましくは451μg(400μgの葉酸、または416μgの5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸(メタフォリン)に相当)である。
【0039】
欧州特許第1044975号明細書に開示された結晶の修飾は、好ましくは5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸の修飾体として行なわれる。
【0040】
本発明はまた、上で言及された投与計画を実行するための組み合わせ医薬に関する。
【0041】
その最も広い態様において、本発明は、各々の一日投与量単位中に2.0mg〜3.0mgのドロスピレノン、および1.0mg〜2.0mgの、好ましくは1.50mgの17β−エストラジオールを含む、少なくとも21個の連続的一日投与量単位を有し、前記連続的一日投与量単位と同量またはより少ない量のドロスピレノンを含む間欠的一日投与量単位がその後に続き、各々の間欠的一日投与量単位はドロスピレノンの投与の無い少なくとも1日によって先行される組み合わせ医薬を提供する。
【0042】
本発明の1.0mg〜2.0mgの、好ましくは1.50mgの17β−エストラジオールの代わりに、10〜20μgの、好ましくは15μgの17α−エチニルエストラジオールが、一日投与量単位あたりのエストロゲンとして含まれる。
【0043】
偽薬錠剤は、女性の服薬を増す目的で、および毎日の錠剤の服用を忘れないようにする目的で、ホルモン接種の無い日(すなわち、25日目および27日目)における投与計画中において導入されてもよい。
【0044】
本発明の実施形態に従って、医薬の組み合わせがまた、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸を含む場合において、各々のホルモンを含まない「偽薬」も、この5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸を含み、そしてそれは好ましくは当該一日投与量単位が含むのと同量である。
【0045】
かかる新規投与計画および医薬の組み合わせは、ドロスピレノンのかなり継続的な血中濃度をもたらし、21/7または24/4投与計画と比較してより高い避妊効果につながる。17−βエストラジオールが、それが経口避妊薬において現在使用されているエチニルエストラジオールよりもずっと弱いためにエストロゲンとして使用される時において、ドロスピレノンの継続的な血中濃度は、当該組み合わせの絶対確実な排卵阻害効果のために特に重要である。
【0046】
ドロスピレノンにおいて知られるさらなる全ての利益は、全投与期間を通じて効果的に維持される。第一の事例におけるこれらの利益は、PMDD(月経前不快気分障害)、ざ瘡の治療における治療活性、およびエストロゲンによる水分保持を妨げる抗ミネラルコルチコイド効果のために、体重を視覚的に変化しないようにするドロスピレノンの能力である。さらなるドロスピレノンの利益は、前高血圧症および高血圧症の女性における血圧の低下、他の17α−エストラジオール含有調製物と比較して骨密度を一定に保つ能力を含む。
【実施例】
【0047】
排卵の阻害、および許容される消退出血に関する投与計画の効果を、臨床試験において試験した。これらの試験によって、新規投与計画の排卵阻害効果を一つの試験において評価し、そしてその間に出血パターン、周期調節、および投与計画の耐用性も測定した。
【0048】
18〜35歳の健常な女性の被験者において、7周期かけて、多施設試験、二重盲検試験、並行群間試験を、周期調節、ならびに17β−エストラジオール(E2)およびドロスピレノン(DRSP)を含む経口避妊薬の異なる投与計画の安全性を評価するために行なった。
【0049】
全て本発明に従う、以下の4つの異なる処置および用量の投与計画、治療群A〜D1を評価した。約100人の被験者を各々の群ごとに処置した。投与経路は経口であった。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
被験者(18〜35歳の健常な女性被験者を含む)を、各々28日からなる7処置周期(総計196日)かけて、一日あたり一錠剤で処置した。
【0053】
有効性変数
第一有効性変数
・2〜7周期目における、周期内の出血症状の数(少量出血(spotting)を含む)
第二有効性変数
・2〜7周期目における、周期内の出血日の数(少量出血を含む)
・1〜6周期目における消退出血症状の数
・−出血パターン
−出血/少量出血の日の数
−出血の日の数(少量出血の日を除く)
−少量出血のみの日の数
−出血/少量出血症状の数(、平均期間、最大期間および期間の範囲)
−少量出血症状のみの数(、平均期間、最大期間および期間の範囲)
・周期調節
消退出血
−消退出血を有する/有さない被験者の数
−消退出血症状の期間
−消退出血症状の最大強度
−消退出血症状の始まり
周期内の出血(少量出血を含む)
−周期内出血を有する/有さない被験者の数
−周期内出血症状の最大期間の数
−周期内出血の日の数
−周期内出血症状の最大強度
周期内の出血(少量出血を除く)
−周期内出血を有する/有さない被験者の数
−周期内出血症状の最大期間の数
−周期内出血の日の数
周期内出血を有する女性(少量出血を含む)
−2〜6周期目において、少なくとも1回の周期内出血症状を有する被験者の数
−2〜7周期目において、少なくとも1回の周期内出血症状を有する被験者の数
周期内出血を有する女性(少量出血を除く)
−2〜6周期目において、少なくとも1回の周期内出血症状を有する被験者の数
−2〜7周期目において、少なくとも1回の周期内出血症状を有する被験者の数
・処置の主観的評価
安全性変数:
・基準の所見および有害事象(AE)
・安全性臨床試験(妊娠検査を含む)
・バイタルサイン
・身体検査および婦人科検査(胸部の触診、経膣超音波検査(TVU)、および細胞学的子宮頚部スメアを含む)
【0054】
当該投与計画は、許容可能な出血特性および優れた耐用性を提供した。
【0055】
本発明の投与計画によって達成された排卵阻害を、無作為二重盲検臨床試験において評価した。約50人の被験者を、一つの治療群中に含めた。当該試験は、1つの前処置および3つの処置周期を含んだ。第一の臨床的エンドポイントは、不完全な排卵阻害を有する被験者の数を決定することである。不完全な排卵阻害を、2周期目または3周期目において、フーグランド(Hoogland)スコア6(排卵)によって決定した。5%未満のPPS(パー・プロトコル・セット)が、不完全な排卵阻害を示すならば、成功した排卵阻害が実証される。
【0056】
全ての投与計画は、排卵を効果的に阻害した。
【0057】
本発明の医薬の組み合わせは、許容される医薬における慣行に従って、任意の与えられた形式の単位投薬剤形のために、従来の薬学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香味剤および/またはアジュバントなどを用いて製剤化され得る。
【0058】
経口投与のための製剤は、当技術分野においてありふれたものである。例えば錠剤は一般的に、薬学的に許容される担体、例えばトラガカント・ゴム、アカシア、コーン・スターチ、またはゼラチンのような結合剤;第二リン酸カルシウムのような賦形剤;コーンスターチまたはアルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;および/または甘味剤もしくは香味剤を含む。単位投薬剤形がカプセルであるとき、上の種類の物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含んでもよい。様々な他の物質が、被覆として、または代わりに投与量単位の物理的形状を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤またはカプセルは、シェラック、砂糖または両方を用いて被覆されてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、水、アルコールまたは担体、可溶化剤としてのグリセロール、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、サクランボまたはオレンジのような染料および香味剤を含んでもよい。懸濁液として経口で投与されるとき、これらの組成物は、バルクを与えるための微結晶セルロースを、懸濁剤としてアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムを、増粘剤としてメチルセルロースを、および当技術分野で既知の甘味剤/香味剤を含んでもよい。速やかに放出される錠剤として、これらの組成物は、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、およびラクトース、および/または当技術分野において既知の他の賦形剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤および潤滑剤を含んでもよい。
【0059】
ドロスピレノンは、商業的供給源(例えば、バイエル・シエーリング・ファーマAG)から得られるか、または従来法によって、例えば米国薬局方6,121,465、およびDrugs of the Future 2000,25(12),1247−1256に従って合成され得る。
【0060】
本発明に従って、投与量単位が経口投与のために適用されること、および記載された一日投与量が経口投与のために与えられることが明らかに好ましい一方、ホルモン避妊法のために有効である他の既知の経路によって、例えば経皮または経粘膜経路を通じて一日投与量を投与することも、本発明の範囲内である。
【0061】
投与量単位が、非経口経路によって投与されるならば、一日投与量の調整が必要であるだろう。例えば、経皮投与の場合において、0.05mgの経皮的に投与されたE2は、概略で、1mgの経口投与されたE2に転換され、すなわち経口投与に比較して、経皮投与においてE2は約20倍多く利用される。
【0062】
経口および経皮投与の後におけるDRSPのバイオアベイラビリティは、ほぼ同じであり、すなわち経皮的に投与されたDRSPの用量は、経口投与に関連する本明細書において与えられたものとほぼ同一である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の一日投与量単位中に2.0mg〜3.0mgのドロスピレノン、および1.0〜2.0mgの17β−エストラジオールを含む、少なくとも21個の連続的一日投与量単位を有し、前記連続的一日投与量単位と同量またはより少ない量のドロスピレノンを含む間欠的一日投与量単位がその後に続き、各々の間欠的一日投与量単位がドロスピレノンの投与の無い少なくとも1日によって先行される組み合わせ医薬。
【請求項2】
各々の間欠的一日投与量単位が、ドロスピレノンの投与の無い1日によって先行される、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項3】
少なくとも1個の間欠的一日投与量単位が、ドロスピレノンの投与の無い2日によって先行される、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項4】
1個の間欠的一日投与量単位が、ドロスピレノンの投与の無い少なくとも1日によって先行される、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項5】
23個の連続的一日経口投与量単位、および28日間の月経周期の25日目および27日目において投与されるための2個の間欠的投与量単位を有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項6】
24個の連続的一日経口投与量単位、および28日間の月経周期の26日目および28日目において投与されるための2個の間欠的投与量単位を有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項7】
24個の連続的一日経口投与量単位、および28日間の月経周期の27日目および28日目において投与されるための1個の間欠的投与量単位を有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項8】
少なくとも21日間の途切れない連日投与の間において、一日投与量単位あたり、2.0mg〜3.0mgのドロスピレノン、および1.0〜2.0mgの、好ましくは1.50mgの17β−エストラジオールを、ならびに間欠的に投与される前記投与量単位中において同量またはより少ない量のドロスピレノンを含む、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項9】
一日投与量単位あたり、1.5mgの17β−エストラジオールを含む、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項10】
23個の連続的投与量単位を有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項11】
24個の連続的投与量単位を有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項12】
各々の連続的投与量単位が2.0mg〜3.0mgのドロスピレノンを含む、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項13】
各々の連続的投与量単位が3.0mgのドロスピレノンを含む、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項14】
各々の間欠的投与量単位が3.0mg未満のドロスピレノンを含む、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項15】
各々の間欠的投与量単位が0.5〜2.0mgのドロスピレノンを含む、請求項14に記載の組み合わせ医薬。
【請求項16】
1.0〜2.0mgの17β−エストラジオールの代わりに、10〜20μgの17α−エチニルエストラジオールが、一日投与量単位あたりのエストロゲンとして含まれる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項17】
各々の一日投与量単位中においてエストロゲンおよびドロスピレノンに加えて、ならびに前記間欠的投与量単位中においてドロスピレノンに加えて、ならびにドロスピレノンを全く有さない残りの一日投与量単位中においてテトラヒドロ葉酸が含まれる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項18】
0.1〜10mgのメタフォリンが各々の投与量単位中に含まれる、請求項17に記載の組み合わせ医薬。
【請求項19】
0.4〜1.0mgのメタフォリンが各々の投与量単位中に含まれる、請求項18に記載の組み合わせ医薬。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬を含む、医薬キット。

【図1】
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【公表番号】特表2010−523512(P2010−523512A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501448(P2010−501448)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002823
【国際公開番号】WO2008/122439
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】