説明

新規ブロックポリマー、それを含有する組成物及び処理方法

【課題】快適な着用感があり、良好に保持され、あまり粘着質でなく、油などの脂肪物質に対して耐性があり、シリコーンモノマーを含んでいても炭素ベースの溶媒で移送可能で光沢があり、ポリマーを含有する化粧用または製剤用組成物を提供する。
【解決手段】特定のシリコーンモノマーと次の式CH=C(R)-COOR[式中、RはH又はCHであり、RはCからC12のシクロアルキル基を表す]のモノマーを含有する新規なブロックポリマー。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する新規ポリマー、及びこのようなポリマーを含有する化粧品用組成物に関する。また本発明は、前記ポリマーを使用する美容処理方法に関する。
【0002】
様々なタイプのポリマーが、それらが提供可能な種々の特性のため、従来から化粧品用組成物に使用されている。それらは、例えば皮膚、唇又は外皮のメークアップ又は手入れのための組成物、例えばネイルラッカー、又は毛髪用組成物に使用されている。しかしながら、同じ組成物内で融和性がない、すなわち同じ溶媒に非混和性である2種のポリマーを使用する場合、ポリマーが融和しない結果、相分離、さらには沈降の問題、そして一般的には不均質な組成物が製造されるという問題に処方者は直面する。これらの問題は、今日までは、ポリマーを互いに融和性のあるものとさせる化合物を組成物中に存在させることによってのみ解決できていた。
【0003】
この問題を克服するために、欧州特許出願第1411069号には、互いに非融和性であり、それらが、該2つのブロックのそれぞれの構成要素である少なくとも一のモノマーを含有する中間ブロックにより互いに結合している第1及び少なくとも第2のブロックを含む特定の構造のポリマーが提案されている。
この出願には、主として、アクリル酸及びメタクリル酸アルキルタイプ、特にメチル、イソブチル、イソボルニル又はトリフルオロエチルアクリラート又はメタクリラート、又は(メタ)アクリル酸のモノマーから調製されたブロックポリマーが記載されている。またポリマーにさらなるシリコーンモノマーを導入する可能性も一般的に記載されている。しかしながら、この可能性に関連した特定の利点については何ら記載されていない。
【0004】
しかしながら、従来技術に記載されているポリマーは、外部の脂肪物質、例えば食用油又は皮脂による攻撃に対して敏感であるという不具合を有している。
よって、これらの攻撃中に付着物が損なわれ、粘着質になるといった結果になる。したがって、組成物は良好に保持されない。
さらに、組成物の快適性がまた消失することが観察された;これは、付着物又は皮膜が油に対して敏感になり、よって粘着性になればなる程、不快な着用感になるためである。
【0005】
本発明の目的は、快適な着用感があり、良好に保持され、あまり粘着質ではなく、油等の脂肪物質による攻撃に対して耐性があり、たとえシリコーンモノマーを含んでいても、炭素ベースの溶媒で移送可能であり、光沢がある組成物を得ることを可能にする新規なポリマーを提供することにある。
【0006】
よって、本発明の一主題は、少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含有し:
− 第1のブロックと称されるブロックの少なくとも一は、単独で又は混合物として、以下に記載されるモノマーから選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該第1のブロックの重量に対して0.5〜35重量%含有し、
− 前記第1のブロックと同一又は異なっている少なくとも一のブロックは、単独で又は混合物として、RがH又はCHであり、RがCからC12、特にC-C10シクロアルキル基を表す式(I):CH=C(R)-COORのモノマーから選択される少なくとも一のモノマーを、該ブロックの重量に対して0.5〜100重量%含有する、
ブロックポリマーにある。
【0007】
本発明の他の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、一種のこのようなポリマーを含有せしめてなる組成物、特に化粧品用又は製薬用組成物にある。
【0008】
驚くべきことに、本発明のポリマーは、シリコーンモノマーを含有しない従来のものよりも、より快適感があることが特に観察された。
またこれらの皮膜は、従来のものほど脆弱ではなかった。
さらに、本発明のポリマーは、シリコーンモノマーを含有しているが、化粧品用油又は短鎖エステル型溶媒中にあっても、炭素ベースの脂肪物質中で良好な溶解性を有していることもまた観察されており、その溶解性は、使用されるモノマーの種類及び/又は量に応じて変わり及び/又は調節されうる。この良好な脂溶性は、特に脂肪相を一般的に含む化粧品用組成物において、それらの二次使用を容易にしうる。
さらに、本発明のポリマーにより、使用されるモノマーの種類及び割合に応じて、程度の差はあれ光沢のある皮膜を得ることができる。
最後に、少量であってもシリコーンモノマーが存在すると、従来のポリマーよりも低粘度であり、化粧品用組成物における使用を容易にするポリマーを得ることが可能になる。
【0009】
本発明のポリマーは、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含むブロックポリマーであり、該第1及び第2のブロックは、有利には、第1のブロックの少なくとも一の構成モノマーと、第2のブロックの少なくとも一の構成モノマーを含有する中間セグメントを介して互いに結合している。
上述及び以下において、「第1」及び「第2」のブロックなる用語は、ポリマー構造における前記ブロックの順序に決して条件を付与するものではないことを明確にしておく。
【0010】
よって、本発明のブロックポリマーは、少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含有しており、これらのブロックは、有利には互いに非融和性である。
「互いに非融和性であるブロック」なる表現は、第1のブロックに相当するポリマーと第2のブロックに相当するポリマーにより形成される混合物が、周囲温度(25℃)で大気圧(10Pa)で、ブロックポリマーの重量で優勢な重合媒体中において非混和性であることを意味し、混合物(ポリマーと溶媒)の全重量に対して5重量%以上のポリマー混合物の含有量に対して、
i)該ポリマー類は、それぞれの重量比が10/90〜90/10の範囲にある量で混合物中に存在しており、
ii)第1及び第2のブロックに相当する各ポリマーが、ブロックポリマー±15%に等しい平均(重量平均又は数平均)分子量を有する、
と理解される。
【0011】
2種又はそれ以上の溶媒が存在していると仮定される重合溶媒の混合物の場合には、該前記ポリマー混合物はそれらの少なくとも一と非混和性である。もちろん、重合が単一の溶媒中で実施される場合には、後者が主要な溶媒である。
前記第1及び第2のブロックは、有利には、第1のブロックの少なくとも一の構成モノマーm1と、第2のブロックの少なくとも一の構成モノマーm2を含有する中間セグメントを介して互いに結合されうる。
中間セグメントはブロックを形成する。好ましくは、m2はm1とは異なっている。中間セグメント又はブロックは、これらの第1及び第2のブロックを「融和可能」にさせることができる。
【0012】
本発明の組成物のブロックポリマーは、有利には、直鎖状、分枝状又はグラフト化されたブロックエチレン性ポリマー、好ましくは付着物を形成し、より詳細には皮膜形成するものである。
「エチレン性」ポリマーなる用語は、エチレン性不飽和を有するモノマーの重合により得られるポリマーを意味すると理解される。
「ブロック」ポリマーなる用語は、少なくとも2の異なるブロック、好ましくは少なくとも3の異なるブロックを含むポリマー;好ましくはジブロック又はトリブロックポリマーを意味すると理解される。
「付着物を形成する」ポリマーなる表現は、それ自身が単独で、又は補助剤の存在下で、ケラチン物質等の支持体に付着する付着物を形成可能なポリマーを意味すると理解される。
「皮膜形成」ポリマーなる用語は、それ自体が単独で、又は皮膜形成補助剤の存在下で、ケラチン物質等の支持体に付着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味すると理解される。
【0013】
本発明のポリマーの各ブロックは、1種類のモノマー、又は数種類の異なるモノマーから誘導される。これは、各ブロックが、ランダム、交互又は他の構造であってもよいコポリマー又はホモポリマーからなりうることを意味している。
有利には、それが存在する場合、ポリマーの第1のブロックの少なくとも一の構成モノマーと第2のブロックの少なくとも一の構成モノマーを含有する中間セグメントはランダムポリマーである。好ましくは、中間配列は、第1のブロックと第2のブロックの構成モノマーから本質的に誘導される。
「本質的に」なる用語は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは100%であることを意味すると理解される。
【0014】
本発明において、第1及び第2のブロックは、好ましくは異なるガラス転移温度を有し、第1及び第2のブロックのガラス転移温度間の差異は、一般的には5℃より多く、好ましくは10℃より多く、さらに好ましくは20℃より多い。
有利には、中間ブロックは、第1及び第2のブロックのガラス転移温度の間のガラス転移温度Tgを有する。
特に言及しない限り、示されるガラス転移温度は、参照マニュアル、例えばPolymer Handbook、第4版(Brandrup, Immergut, Grulke), 1999, John Wileyに見出される各ブロックの構成モノマーの理論的Tg値から、フォックスの法則と称される次の関係:
【数1】

(上式中、ωiは当該ブロック中におけるモノマーiの重量分率であり、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である(ケルビンで表す))
に従って決定される理論的Tg値である。
【0015】
本発明のポリマーは、第1のブロックと称されるそのブロックの少なくとも一が、単独で又は混合物として、以下のモノマーから選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該第1のブロックの重量に対して0.5〜35重量%含有していることを特徴とする:
−(i)エステル基が、次の式:
【化1】

[上式中:
−R=H又はメチルであり;
−R、R、Rは同一又は異なっており、C-Cアルキル基又は-OSi(R)基を表し、ここでR=メチル又はエチルであり;好ましくはR、R及び/又はRは互いに独立して、-OSi(Me)及び/又はメチルを表し;
−nは1〜10、好ましくは1又は3に等しい整数である]
のシラン類及び/又はシロキサン類を含むエチレン性モノマー;
−(ii)次の式:
【化2】

[上式中:
−Rは、水素原子又はメチル基、好ましくはメチルを示し;
−Rは、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状で、1〜10の炭素原子を有し、場合によっては一又は二のエーテル-O-結合を有する二価の炭化水素ベース基;好ましくはエチレン、プロピレン又はブチレンを示し;
−R10は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子、特に2〜8の炭素原子を有するアルキル基;好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルを示し;
−nは、1〜300の範囲、好ましくは3〜200の範囲、より好ましくは5〜100の範囲の整数を示す]
のPDMSマクロモノマー、又はモノアクリロイルオキシ又はモノメタクリロイルオキシ末端基を有するポリジメチルシロキサン類;
−(iii)エステル基が、次の式:
【化3】

[上式中:
−R=H又はメチルであり;
−nは1〜10、好ましくは1、2、3又は4に等しい整数であり;
−R'、R''、R'及びR''は同一又は異なっており、C-C10アルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し;
−RはCからC10、好ましくはC又はCの、アルキレン二価基であり;
−iは1〜10の整数であり、特にi=1、2又は3であり;
−i=2〜10である場合、X(i)は同一又は異なっており、-R-Si-[O-(R')(R'')-X(i−1)]基を表し、ここでRは同一又は異なっており、CからC10、好ましくはC又はCの、アルキレン二価基を表し;
−X(1)はH又はC-C10アルキル基、特にメチル又はエチルを表す]
のカルボキシシランデンドリマーを含むエチレン性モノマー、特にR=H又はメチルである次のモノマー:
【化4】



−(iv)POSS又はPOS型の次の構造:
【化5】

[上式中、Rは同一又は異なっており、直鎖状のCからC10のアルキル基、好ましくはメチル、又は環状のCからC12、好ましくはCアルキル基である]
のエチレン性モノマー。
【0016】
特に、次のモノマー:
(メタ)アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
(メタ)アクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
(メタ)アクリルオキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
(メタ)アクリルオキシメチルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;最も詳細には、次のモノマー:
【化6】

を挙げることができる。
【0017】
また、POSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン類)及びPOS(多面体オリゴマーシリケート類)型の(メタ)アクリル酸モノマー、特にハイブリッド・プラスチックス社(Hybrid Plastics)のもの;及びモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキシ類、例えばUCT社(ユナイテッド・ケミカル・テクノロジーズ・インク(United Chemical Technologies Inc))からPS560-K6の名称で、又はゲレスト・インク(Gelest Inc)からMCR-M17の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0018】
上述したシリコーンモノマーは、それらを含有するブロックの全重量に対して、0.5重量%〜35重量%、特に1〜30重量%、又は1.5〜25重量%、さらには2〜20重量%、好ましくは3〜10重量%である。
よって、前記ブロックは、特に以下に記載するような付加的なモノマー、及び/又は式(I)のモノマーから選択される一又は複数の他のモノマーを、前記ブロックの全重量に対して、65重量%〜99.5重量%、特に70〜99重量%、又は75〜98.5重量%、さらには80〜98重量%、好ましくは90〜97重量%含有する。
【0019】
また本発明のポリマーは、上述した第1のブロックと同一又は異なっている少なくとも一のブロックが、単独で又は混合物として、式(I):
CH=C(R)-COOR
[上式中、RはH又はCHであり、RはCからC12、特にC-C10シクロアルキル基を表す]
のモノマーから選択される少なくとも一のモノマーを、該ブロックの重量に対して0.5〜100重量%含有することを特徴とする。
【0020】
例えば、シリコーンモノマー及び式(I)のモノマーは、同一のブロック又は異なるブロックに存在してよい。好ましくは、それらは異なるブロック中に存在する。
それらがシリコーンモノマーと同じブロック中に存在している場合、式(I)のモノマー又はモノマー類は、それらを含有するブロックの全重量に対して、好ましくは0.5〜99.5重量%、特に5〜99%、又は20〜90重量%、さらには40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。
それらがシリコーンモノマーと異なるブロック中に存在している場合、式(I)のモノマー又はモノマー類は、それらを含有するブロックの全重量に対して、好ましくは0.5〜100重量%、特に5〜99重量%、又は20〜90重量%、さらには40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。
【0021】
好ましくは、式(I)のモノマーは、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、シクロヘキシルアクリラート及びメタクリラート、t-ブチルシクロヘキシルアクリラート及びメタクリラート、及びそれらの混合物から選択される。
好ましくは、式(I)のモノマーを含有するブロックは、メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソボルニルの双方を含有する。
また好ましくは、前記ブロックは、付加的なモノマーを含有せず、好ましくは、メタクリル酸及びアクリル酸イソボルニルのみを含有する。
好ましくは、メタクリル酸イソボルニルは、それを含有するブロックの重量に対して、25重量%〜75重量%、特に30〜70重量%、又は40〜60重量%の量で存在しており;好ましくは、アクリル酸イソボルニルは、それを含有するブロックの重量に対して、25重量%〜75重量%、特に30〜70重量%、又は40〜60重量%の量で存在している。
【0022】
式(I)のモノマー及び/又はシリコーンモノマーが、それらを含有するブロック又はブロック類中に100重量%で存在していない場合は、これ又はこれらは、よって、後述する一又は複数の付加的なモノマーを含有しうる。
また本発明のポリマーは、付加的なモノマーのみを含有する一又は複数のブロックを含有していてもよく;このことは、式(I)のモノマー及びシリコーンモノマーが、同一のブロック中に存在している場合において特にしかりである。
【0023】
ブロック中に存在している可能性が高い付加的なモノマーは、ブロックに応じて同一でも異なっていてもよく、又は一つの同一のブロック中に存在していてもよい。
それらは特に、単独で又は混合物として、以下のモノマーから選択されうる:
−(i)2〜10の炭素を有するエチレン性炭化水素、例えばエチレン、イソプレン又はブタジエン;
【0024】
−(ii)式:CH=CHCOOR'又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は:
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子、特に4〜20、又は6〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基はさらにヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよいもので;
特にR'は、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、ラウリル、イソオクチル、イソデシル、ドデシル、ベヘニル、ステアリル又はエチル-2-ペルフルオロヘキシル基;又はC1−4ヒドロキシアルキル基、例えば2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル及び2-ヒドロキシプロピル;又は(C1−4)アルコキシ(C1−4)アルキル基、例えばメトキシエチル、エトキシエチル及びメトキシプロピルであってよく;
− CからC20のアリール基、例えばフェニル基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基)、例えば2-フェニルエチル、t-ブチルベンジル又はベンジル;
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を含み、環が芳香族又は非芳香族である4から12の鎖員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル)、例えばフルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル;
を表し、ここで前記アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−4アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基はヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよく、
− R'は、またm=5〜150であり、R''=H又はCからC30のアルキルである-(CO)-R''基、例えば-POE-メチル又は-POE-ベヘニルであってもよい]
の(メタ)アクリラート類。
【0025】
−(iii)次の式:
【化7】

[上式中、RはH又はメチルを示し;R及びRは同一又は異なっており:
− 水素原子;又は
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子、特に4〜20、又は6〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよく;
特にR及び/又はRは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、ラウリル、イソオクチル、イソデシル、ドデシル、ベヘニル、ステアリル又はエチル-2-ペルフルオロヘキシル基;又はC1−4ヒドロキシアルキル基、例えば2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル及び2-ヒドロキシプロピル;又は(C1−4)アルコキシ(C1−4)アルキル基、例えばメトキシエチル、エトキシエチル及びメトキシプロピルであってよく;
− CからC12のシクロアルキル基、例えばイソボルニル基、シクロヘキシル又はt-ブチルシクロヘキシル;
− CからC20のアリール基、例えばフェニル基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基)、例えば2-フェニルエチル、t-ブチルベンジル又はベンジル;
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の鎖員の複素環基;
− ヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル)、例えばフルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル;
を表し、ここで該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基はヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよい]
の(メタ)アクリルアミド類。
(メタ)アクリルアミドモノマーの例は、(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル-アクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、又はウンデシルアクリルアミド、及びN(2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)である。
【0026】
−(iv)次の式:
CH=CH-R、CH=CH-CH-R又はCH=C(CH)-CH-R
[上式中、Rはヒドロキシル基、ハロゲン(Cl又はF)、NH、R14がフェニル基又はCからC12のアルキル基を表すOR14(モノマーはビニル又はアリルエーテルである);アセトアミド(NHCOCH);R15が2〜12の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表すOCOR15基(モノマーはビニル又はアリルエステルである);又は
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子、特に4〜20、又は6〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの;
− CからC12のシクロアルキル基、例えばイソボルニル又はシクロヘキシル基;
− CからC20のアリール基、例えばフェニル基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基)、例えば2-フェニルエチル又はベンジル;
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の鎖員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル)、例えばフルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル;
で、前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基がヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの、
から選択される基である]
のビニル化合物。
ビニルモノマーの例は、ビニルシクロヘキサン及びスチレンである。
ビニルエステルの例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、及びネオドデカン酸ビニルである。
ビニルエーテルとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、及びビニルイソブチルエーテルを挙げることができる。
【0027】
−(v)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、及びそれらの塩等の、少なくとも一のカルボン酸、リン酸又はスルホン酸、又は無水物官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー。
【0028】
−(vi)2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びそれらの塩等の、少なくとも一の第3級アミン官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー。
【0029】
塩は、無機塩基、例えばLiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)、NHOH又はZn(OH)を用いて;又は有機塩基、例えば第1級、第2級又は第3級アルキルアミン、特にトリエチルアミン又はブチルアミンを用いて、アニオン性基を中和させることによって形成され得る。この第1級、第2級又は第3級アルキルアミンは、一又は複数の窒素及び/又は酸素原子を有していてよく、よって、例えば一又は複数のアルコール官能基を有していてよく:特にアミノ-2-メチル-2-プロパノール、トリエタノールアミン、及び2-ジメチルアミノプロパノールを挙げることができる。また、リジンもしくは3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンを挙げることもできる。
【0030】
さらに、無機酸、例えば硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸及びホウ酸の塩を挙げることもできる。またさらに、一又は複数のカルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基を有していてもよい有機酸の塩を挙げることもできる。それらは直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族酸、又は芳香族酸であってよい。これらの酸は、例えばヒドロキシル基の形態をした、O及びNから選択される一又は複数のヘテロ原子をさらに有していてよい。特にプロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸及び酒石酸を挙げることができる。
【0031】
式(I)のモノマー及びシリコーンモノマーが、同一のブロック中に存在する場合、任意成分の付加的なモノマーは、単独で又は混合物として、特に以下のモノマーから選択される:
− 式CH=CHCOOR'又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は、一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す]
の(メタ)アクリラート類;及び
− 少なくとも一のカルボン酸又は無水物官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー。
特に、アクリル酸、メタクリル酸、及びイソブチル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル及びベヘニルの(メタ)アクリラート類、及びその混合物を挙げることができる。
【0032】
式(I)のモノマー及びシリコーンモノマーが、同一のブロック中に存在しない場合、式(I)のモノマーを含有するブロック中に存在する任意成分の付加的なモノマー、及び/又はシリコーンモノマーを含有するブロック中に存在する任意成分の付加的なモノマーは、単独で又は混合物として、特に以下のモノマーから選択される:
− 式CH=CHCOOR'又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は、一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す]
の(メタ)アクリラート類;及び
− 少なくとも一のカルボン酸又は無水物官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー。
特に、アクリル酸、メタクリル酸、及びイソブチル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル及びベヘニルの(メタ)アクリラート類、及びその混合物を挙げることができる。
【0033】
式(I)のモノマーもシリコーンモノマーも含有しない任意成分のブロックを形成する付加的なモノマーは、単独で又は混合物として、以下のモノマーから選択されてよい:
− 式CH=CHCOOR'又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は、一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す]
の(メタ)アクリラート類;及び
− 少なくとも一のカルボン酸又は無水物官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー;
− 次の式:
CH-CH=R、CH=CH-CH-R又はCH=C(CH)-CH-R
のビニル化合物。
特に、アクリル酸、メタクリル酸、及びイソブチル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル及びベヘニルの(メタ)アクリラート類、スチレン及びビニルアセタート、及びその混合物を挙げることができる。
【0034】
最後に、シリコーンモノマーは、単独で又は混合物として、ポリマーの全重量に対して1〜50重量%、特に2〜40重量%、又は2.5〜35重量%の量で存在してよい。
式(I)のモノマーは、単独で又は混合物として、ポリマーの全重量に対して20〜80重量%、特に25〜70重量%、さらには30〜60重量%の量で存在してよい。
【0035】
好ましくは、本発明のポリマーは、20℃以上、例えば20℃〜160℃、特に30℃〜140℃、さらには40℃〜120℃、より好ましくは50℃〜110℃のTgを有し、好ましくは炭素ベース(非シリコーン)モノマーからなるブロックを含有する。
また好ましくは、Tgが20℃以下、例えば−150℃から20℃未満、特に−100℃〜10℃、又は−85℃〜0℃、より好ましくは−70℃〜−5℃であり、好ましくはシリコーンモノマーを含むブロックを含有する。
【0036】
20℃以上のTgを有するブロックは、特に、そのホモポリマーが20℃以上のTgを有するモノマーを、全体的に又は部分的に含有していてもよい。またこの範囲外のTgを有するモノマーを含有していてもよい。これらのモノマー及びそれらの濃度は、所望のTgを有するブロックが得られるように、特にフォックスの法則に基づいて、当業者により適切な方式で選択されるであろう。
【0037】
20℃以上のTgを有するこれらのモノマーとしては、単独で又は混合物として:
− 式:CH=C(CH)-COOR
[上式中、Rは、直鎖状又は分枝状で未置換であり、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル又はイソブチル基を表すか、又はRはCからC12のシクロアルキル基、特にイソボルニルを表す]
のメタクリラート類;
− 式:CH=CH-COOR
[上式中、Rはtert-ブチル基又はCからC12のシクロアルキル基、特にイソボルニルを表す]
のアクリラート類;
− 式:CH=CR'-CO-NR
[上式中、R'はH又はCHを示し、R及びRは同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状又は分枝状のCからC12のアルキル基、例えばn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基であるか;又はRはHを表し、Rは1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表す]
の(メタ)アクリルアミド類;及び
− メタクリル酸及びアクリル酸;
を挙げることができる。
【0038】
そのホモポリマーが20℃以上のガラス転移温度Tgを有する特に好ましいモノマーとして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸イソボルニル、N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミド、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0039】
20℃以下のTgを有するブロックは、特に、そのホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーを、全体的に又は部分的に含有していてもよい。またこの範囲外のTgを有するモノマーを含有していてもよい。これらのモノマー及びそれらの濃度は、所望のTgを有するブロックが得られるように、特にフォックスの法則に基づいて、当業者により適切な方式で選択されるであろう。
【0040】
20℃以下のTgを有するこれらのモノマーとしては、単独で又は混合物として:
− 式:CH=CHCOOR
[上式中、Rは、O、N、Sから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、tert-ブチル基を除く、直鎖状又は分枝状で未置換のCからC12のアルキル基を表す]
のアクリラート類;
− 式:CH=C(CH)-COOR
[上式中、Rは、O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、直鎖状又は分枝状で未置換のCからC12のアルキル基を表す]
のメタクリラート類;
− 式:R-CO-O-CH=CH
[上式中、Rは、直鎖状又は分枝状のCからC12のアルキル基を表す]
のビニルエステル;
− (C-C12アルキル)ビニルエーテル、特にメチルビニルエーテル及びエチルビニルエーテル;
− N-(C-C12アルキル)アクリルアミド類、例えばN-オクチルアクリルアミド、
− 及びそれらの混合物、
を挙げることができる。
20℃以下のTgを有するこれらのモノマーとして、特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
好ましい一実施態様では、シリコーンモノマー以外の全てのモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸から選択される。
【0042】
本発明のポリマーの重量平均質量(Mw)は、好ましくは25000〜1000000、より好ましくは30000〜750000、又は40000〜500000、さらに好ましくは50000〜250000である。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフィー(溶媒:THF、直鎖状のポリスチレン標準、屈折率及びUV検出器を用いて確立された検量線)により決定される。
【0043】
好ましくは、本発明のポリマーの多分散度は2を超える、例えば2〜9の範囲、好ましくは2.5以上、例えば2.5〜8の範囲、さらには2.8〜7の範囲である。ポリマーの多分散度Iは、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率に等しい。
【0044】
本発明のポリマーは、次の調製方法に従い、溶液中でのラジカル重合により得ることができる:
− 重合溶媒の一部を適切な反応器に入れ、重合に適した温度(典型的には60〜120℃)に達するまで加熱することができ;
− ひとたびこの温度に到達したら、第1のブロックの構成モノマーをいくらかの重合開始剤の存在下で添加することができ;
− 好ましくは90%の最大転化率に相当する時間Tの終わりに、第2のブロックの構成モノマーと残りの開始剤を導入し;
− 混合物を時間T'の間(特に3〜6時間の範囲内)反応させ、その後、混合物を周囲温度(25℃)にすることで;
重合溶媒中に溶解したポリマーが得られる。
【0045】
「重合溶媒」なる表現は、特に酢酸エチル、酢酸ブチル、C1-C6アルコール類、例えばイソプロパノール、エタノール、脂肪族アルカン類、例えばイソドデカン、及びそれらの混合物から選択される溶媒又は溶媒の混合物を意味すると理解される。好ましくは、重合溶媒は酢酸ブチルとイソプロパノールの混合物、又はイソドデカンである。
【0046】
好ましくは、本発明のポリマーは水溶性ではない、すなわち該ポリマーは、水、又は2〜5の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のモノアルコール類、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールと水との混合物中に、pH調節なしに、周囲温度(25℃)にて、少なくとも1重量%の活性物質含有量で溶解しない。
【0047】
また本発明は、生理学的、特に化粧品的又は製薬的に許容可能な媒体に、上述した少なくとも一のポリマーを含有せしめてなる組成物、特に化粧品用又は製薬用組成物に関する。
【0048】
本発明のポリマーは、単独で又は混合物として、組成物の全重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜40重量%、特に0.1〜30重量%、又は0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1.5〜12重量%の量で、本発明の組成物に存在してよい。
【0049】
それらは、例えば油又は炭素ベースの有機溶媒、例えばイソドデカンに分散した形態又は溶解した形態で、組成物に存在してよい。
有利には、本発明のポリマーは、周囲圧及び温度(25℃、1atm)、少なくとも1重量%の含有量で、それらを含有する組成物の少なくとも一の相に可溶性又は分散性である。それらは、有利には、周囲圧力及び温度にて、少なくとも1重量%、特に少なくとも10重量%の含有量でイソドデカンに可溶性である。
【0050】
本発明の化粧品用又は製薬用組成物は、前記ポリマーの他に、生理学的に許容可能な、特に化粧品的又は製薬的に許容可能な媒体、すなわち顔又は体の皮膚、毛髪、睫毛、眉毛及び爪等のケラチン物質と融和性のある媒体を含有する。
よって、組成物は、水、又は水と親水性の有機溶媒(類)、例えばアルコール、特に2〜5の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノール、及びポリオール、例えばグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンチレングリコール及びポリエチレングリコール、又は親水性のC-Cアルデヒド類及びCエーテルとの混合物を含有する親水性媒体を含有してよい。
水、又は水と親水性の有機溶媒との混合物は、組成物の全重量に対して0.1重量%〜99重量%、好ましくは10重量%〜80重量%の範囲の含有量で、本発明の組成物に存在してよい。
また、組成物は無水であってもよい。
【0051】
また組成物は、周囲温度(一般的に25℃)で液状の脂肪物質、及び/又は周囲温度で固体状の脂肪物質、例えばロウ、ペースト状の脂肪物質、ガム類、及びそれらの混合物を含有していてもよい脂肪相をさらに含み得る。これらの脂肪物質は動物、植物、鉱物又は合成由来のものであってよい。この脂肪相は、親油性の有機溶媒をさらに含有し得る。
【0052】
しばしば油と称され、本発明で使用可能な周囲温度で液状の脂肪物質としては:動物由来の炭化水素ベース油、例えばペルヒドロスクワレン;炭化水素ベースの植物性油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド、又はヒマワリ油、コーン油、大豆油、グレープシード油、ゴマ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油又はアボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド類、ホホバ油又はシェアバター油;鉱物又は合成由来で直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばパラフィン油及びそれらの誘導体、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム(parleam);合成エステル及び合成エーテル、特に脂肪酸とのもの、例えばプルセリン油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、及び脂肪アルコールのヘプタノアート、オクタノアート及びデカノアート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノアート、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、ジエチレングリコールジイソノナノアート;及びペンタエリトリトールのエステル;12〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、及びオレイルアルコール;部分的に炭化水素ベース及び/又はシリコーンベースのフルオロ油;シリコーン油、例えば、周囲温度で液状又はペースト状であり、揮発性又は非揮発性で直鎖状又は環状のポリメチルシロキサン類(PDMS)、例えばシクロメチコーン類、ジメチコーン類で、場合によってはフェニル基を有しているもの、例えばフェニルトリメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、フェニルジメチコーン類、ポリメチルフェニルシロキサン類;それらの混合物を挙げることができる。これらの油は、組成物の全重量に対して0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜85重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0053】
本発明の組成物は、一又は複数の生理学的に許容可能な有機溶媒をさらに含有していてよい。
これらの溶媒は、組成物の全重量に対して、一般的に0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜85重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜50重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0054】
上述した親水性の有機溶媒の他にも、特に周囲温度で液状のケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、又はアセトン;周囲温度で液状のプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル;短鎖のエステル(全体で3〜8の炭素原子を有するもの)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、n-ブチルアセタート及び酢酸イソペンチル;25℃で液状のエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;25℃で液状のアルカン類、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン及びシクロヘキサン;25℃で液状の環状芳香族化合物、例えばトルエン及びキシレン;25℃で液状のアルデヒド類、例えばベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
本発明の趣意において、「ロウ」なる用語は、25℃以上で、120℃までの範囲であってよい融点を有し、可逆的な固体/液体状態変化を受け、周囲温度(25℃)で固体状の脂質親和性化合物を意味すると理解される。ロウを液体状態に(融解)させることで、存在可能な油と混和させ、顕微鏡的に均一な混合物を形成させることができるが、混合物の温度を周囲温度に戻すことにより、混合物の油におけるロウの結晶化がなされる。ロウの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばメトラー社(Metler)からDSC30の名称で販売されている熱量計を使用して測定され得る。
ロウは、炭化水素ベース、フルオロ及び/又はシリコーンロウであってよく、また植物、鉱物、動物及び/又は合成由来のものであってよい。特に、ロウは30℃を超え、好ましくは45℃を超える融点を有する。本発明の組成物に使用可能なロウとしては、ミツロウ、カルナウバロウ又はキャンデリラロウ、パラフィンロウ、マイクロクリスタリンワックス、セレシン又はオゾケライト;合成ロウ、例えばポリエチレンロウ又はフィッシャー-トロプシュロウ、シリコーンロウ、例えばアルキル又はアルコキシジメチコーン類で、16〜45の炭素原子を有するものを挙げることができる。
【0056】
ガム類は、一般的に、高分子量のポリジメチルシロキサン類(PDMS)又はセルロースガム又は多糖類であり、ペースト状物質は、一般的に炭化水素ベースの化合物、例えばラノリン類とその誘導体、又はPDMSである。
【0057】
「ペースト状の脂肪物質」なる用語は、液体フラクションと固形フラクションを含有する粘性のある生成物を意味すると理解される。特に、20〜55℃、好ましくは25〜45℃の範囲の融点を有し、及び/又はコントラバス(Contraves)TV又はレオマット(Rheomat)80で測定されて、40℃で0.1〜40Pa.s(1〜400ポアズ)、好ましくは0.5〜25Pa.sの範囲の粘度を有する脂肪物質を意味すると理解される。当業者であれば、テストされるペースト状化合物の粘度測定を実施できるように、自身の知識に基づき、スピンドルMS-r3及びMS-r4から、粘度測定を可能にするスピンドルを選択できるであろう。
本発明において融点値は、5又は10℃/分の温度上昇を伴う、示差走査熱量測定法より測定される融解ピークに相当する。
【0058】
好ましくは、これらの脂肪物質は、炭化水素ベースの化合物(主として炭素と水素原子、場合によってはエステル基を有するもの)、場合によっては重合型のものであり;また、それらはシリコーン及び/又はフルオロ化合物から選択されてよく;さらに、それらは炭化水素ベース及び/又はシリコーン及び/又はフルオロ化合物の混合物の形態であってもよい。種々のペースト状の脂肪物質の混合物の場合は、ペースト状の炭化水素ベースの化合物を、主要フラクションとして使用するのが好ましい。本発明の組成物に使用される可能性のあるペースト状の化合物としては、ラノリン類及びラノリン誘導体、例えばアセチル化ラノリン又はオキシプロピレン化ラノリン又はラノリン酸イソプロピル;脂肪酸又はアルコールのエステル、特に20〜65の炭素原子を有するもの、例えばトリイソステアリル又はセチルシタラート;プロピオン酸アラキジル;ポリ(ラウリン酸ビニル);コレステロールエステル、例えば植物由来のトリグリセリド類、特に水素化植物性油、粘度のあるポリエステル、例えばポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、及びそれらの混合物を挙げることができる。植物由来のトリグリセリド類としては、硬化ヒマシ油誘導体を使用することができる。また、ペースト状のシリコーン脂肪物質、例えばステアリルジメチコーン類等の、8〜24の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ型のペンダント鎖を有するポリジメチルシロキサン類(PDMS)を挙げることもできる。
【0059】
固形物質の種類と量は、所望される機械的特性とテクスチャーに依存する。指針を述べると、組成物は、組成物の全重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%のロウを含みうる。
【0060】
さらに、本発明の組成物は、化粧品用組成物に通常使用されているフィラー及び/又は真珠光沢剤及び/又は顔料を、特定の一相に含有していてもよい。
組成物は、当業者によく知られている水溶性染料及び/又は脂溶性染料から選択される、他の着色物質をさらに含有していてもよい。
「顔料」なる用語は、組成物を着色させることを意図しており、生理学的な媒体に不溶な、白色又は有色で、任意の形状の無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
「フィラー」なる用語は、組成物にかさ又は剛性、及び/又は柔軟性、メークアップにマット効果及び均一性を付与することを意図した、無色又は白色で、無機又は合成のラメラ状又は非ラメラ状粒子を意味すると理解されるべきである。
「真珠光沢剤」なる用語は、特にある種の軟体動物により貝殻の内部に生成されるか合成等された、任意の形状をした真珠光沢のある粒子を意味すると理解されるべきである。
【0061】
顔料は、最終組成物の0.01〜25重量%の量、好ましくは3〜10重量%の量で組成物中に存在し得る。それらは、白色又は有色で、無機物又は有機物であってよい。チタン、ジルコニウム又はセリウムの酸化物、及び亜鉛、鉄又はクロムの酸化物、フェリックブルー、クロム水和物、カーブンブラック、ウルトラマリン(アルミノシリケート-ポリスルフィド)、ピロリン酸マンガン、及びある種の金属パウダー、例えば銀又はアルミニウムのものを挙げることができる。また、唇及び皮膚にメークアップ効果を付与するために通常使用されるD&C型の顔料及びラッカーで、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム又はジルコニウム塩のものを挙げることができる。
【0062】
真珠光沢剤は、0.01〜20重量%の量、好ましくは3〜10重量%のレベルで組成物中に存在し得る。考慮され得る真珠光沢剤としては、天然の真珠母、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、並びに有色の酸化チタンで被覆されたマイカを挙げることができる。
【0063】
組成物の全重量に対して0.001〜15重量%、好ましくは0.01〜5重量%、特に0.1〜2重量%の量で、単独で又は混合物として組成物に存在し得る脂溶性又は水溶性染料としては、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーンの二ナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシン、ザントフィル(zanthophyll)、メチレンブルーの二ナトリウム塩、コチニールカルミン、ハロアシッド、アゾ又はアントラキノン染料、硫酸銅又は硫酸鉄、スーダンブラウン、スーダンレッド及びアナトー、及びビート根汁及びカロテンを挙げることができる。
【0064】
本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、特に0.01重量%〜50重量%の範囲、好ましくは0.02重量%〜30重量%の範囲の含有量で、一又は複数のフィラーをさらに含有してよい。フィラーは、板状、球形又は楕円形等の任意の形態の無機物又は有機物であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー、ポリ(β-アラニン)パウダー、ポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))のパウダー、ラウロイルリジン、スターチ、窒化ホウ素、 ポリマー性の中空ミクロスフィア、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルから作製されたもの、例えばエクスパンセル(Expancel(登録商標))(ノーベルインダストリー社(Nobel Industrie))、アクリル酸コポリマーから作製されたもの(ダウ・コーニング社(Dow Corning)のポリトラップ(登録商標))、及びシリコーン樹脂のマイクロビーズ(例えば、東芝(Toshiba)のトスパール(Tospearls)(登録商標))、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(マプレコス社(Maprecos)のシリカビーズ(登録商標))、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0065】
また組成物は、付加的なポリマー、例えば皮膜形成ポリマーをさらに含有していてよい。本発明において「皮膜形成ポリマー」なる表現は、それ自体単独で、又は付加的な皮膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に付着する連続した皮膜を形成可能なポリマーを意味すると理解される。本発明の組成物に使用されると思われる皮膜形成ポリマーとしては、ラジカルタイプ又は重縮合タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、及びセルロースポリマー、例えばニトロセルロースを挙げることができる。
【0066】
本発明の組成物は、化粧品に一般的に使用されている成分、例えばビタミン類、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、鎮痛剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化又は塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、抜毛を防止するための薬剤、抗フケ剤、噴霧剤、セラミド類、皮膜形成補助剤、又はそれらの混合物をさらに含有していてよい。
もちろん、当業者であれば、考えられる添加により本発明の組成物の有利な特性が損なわれないか又は実質的に受けないように、これ又はこれらの任意の付加的な化合物及び/又はそれらの量を確実に選択するであろう。
【0067】
本発明の組成物は、懸濁液、分散液、特に小胞体により水中に油が分散したもの;場合によっては増粘又はゲル化していてもよい水性又は油性の溶液:水中油型、油中水型又は多相エマルション;ゲル又はフォーム;油性又は乳化したゲル;小胞体、特に脂質小胞体の分散液;2相又は多相ローション;スプレー;ルース、コンパクト又は成形パウダー;無水ペーストの形態であってもよい。この組成物は、ローション、クリーム、膏薬、柔軟なペースト、軟膏、フォーム、成形又は鋳型の固形物、特に棒状又は皿状の形態のもの、又は圧密された固形物の外観を有するものであってよい。
当業者であれば、自身の一般的な知識に基づき、一方で使用される成分の性質、特に支持体におけるそれらの溶解度、他方で組成物の考慮される用途を配慮し、適切な生薬形態、及びその調製方法を選択可能であろう。
【0068】
本発明の化粧品用組成物は、体又は顔の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪の手入れ及び/又はメークアップのための製品、抗日光又は自己サンタンのための製品、毛髪の手入れ、トリートメント、成形、メークアップ又は着色のための製品の形態であってよい。
また、メークアップ用組成物、特に肌色を整える製品、例えばファンデーション、フェイスパウダー又はアイシャドウ;唇用の製品、例えばリップスティック又は唇用軟膏;コンシーラ、ほほ紅、マスカラ、アイライナー;睫毛のメークアップ製品、リップペンシル又はアイペンシル;爪用の製品、例えばネイルラッカー又はネイルケア製品;体用のメークアップ製品;毛髪用のメークアップ製品(毛髪用のマスカラ又はラッカー)の形態であってもよい。
【0069】
さらに、顔、首、手又は体の皮膚の保護用又は手入れ用組成物、特に抗シワ用組成物、保湿用又はトリートメント用組成物;抗日光組成物又は人工的にサンタン状態にするための組成物の形態であってもよい。
またさらに、毛髪用の製品、特に染色のためのもの、ヘアスタイルの保持、成形のためのもの、毛髪の手入れ、トリートメント又はクレンジングのためのもの、例えばシャンプー、ゲル、ヘアセット用ローション、ブロー乾燥用ローション、又は固定用及びスタイリング用組成物、例えばラッカー又はスプレーの形態であってもよい。
好ましくは、本発明の化粧品用組成物は、メークアップ製品、特にリップスティックの形態で存在している。
【0070】
本発明の他の主題は、上述した化粧品用組成物を、顔又は体の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪等のケラチン物質に適用することを含む、該物質の美容処理方法、特にメークアップ又は手入れ方法にある。
【実施例】
【0071】
本発明を以下の実施例において詳細に例証する。
ポリマーの乾燥した付着層おいて光沢計を用いて測定した光沢
光沢は、光沢計を使用し、以下の方法により常套的に測定することができる。
イソドデカン中にポリマーが入った50%溶液の50μm厚の層を、参照フォーム1Aフェノパック(Form 1A Penopac)を用いたレネタ(Leneta)コントラストチャート上に、自動スプレッダーを使用して展伸する。層は、チャートの少なくとも黒のバックグラウンドをカバーする。付着層を25℃の温度で24時間乾燥させ、20°光沢をDr Lange Ref03光沢計を使用し、黒のバックグラウンドで測定する。
約50を越えて20°で測定すると、許容可能であると判定される光沢が付与され、測定が60を越えると、非常に満足のいくものとなる。
【0072】
粘着性の測定によるポリマーの耐油性
乾燥したポリマー皮膜上に配された1滴のオリブ油を用いて測定する。
イソドデカン中にポリマーが入った20%溶液からポリマー皮膜を作製する;0.5mlを2.5×7.5cmのガラスプレート上に展伸し、周囲温度(25℃)で24時間乾燥させる。次に、1mlのオリブ油をポリマー皮膜上に展伸する。
1時間後、過剰の油を皮膜から拭き取り、触ることにより、粘着性を比較ポリマーと比較して評価する。
「***」又は「3*」のグレードは、シートが指で剥がれる場合に付与される(非常に粘着性がある)。
「0」のグレードは:粘着性が検出されないことを意味する。
粘着性はオリブ油に対するポリマーの敏感度を表す。油の存在下でポリマーが粘着質であればある程、油に対して敏感になり、よって、付着物は、例えば食事中(食用油の存在下で)又は皮脂により容易に損なわれる。このため、皮膚上におけるポリマーの持ちは良好ではない結果となる。また快適性は低減し:皮膜が粘着性であればある程、組成物の帯着感は不快になるであろう。
【0073】
IS:内部応力
イソドデカン中にポリマーが入った20%溶液からポリマー皮膜を作製する;30マイクロリットルを6×1cmのニトリル片上に展伸し、周囲温度(25℃)で3時間乾燥させる。乾燥後、支持体の変形度合いを目視で観察する。
0のグレードは、乾燥中に支持体が変形していないことを意味する。
+++のグレードは、乾燥後に支持体がほとんど曲がっている(完全に変形している)ことを意味する。
内部応力(IS)は、機械的視点からの快適性を表し:乾燥中の支持体に変形がない場合、皮膚への適用後、組成物の乾燥中に不快感はないと予想することができる。
【0074】
実施例1
1リットルの反応器に300gのイソドデカンを入れ、ついで、温度を上昇させ、1時間以上かけて、周囲温度(25℃)から90℃にした。次に、90℃で1時間以上かけて、105gのアクリル酸イソボルニル、105gのメタクリル酸イソボルニル、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社(Akzo Nobel)のトリゴノックス(Trigonox)(登録商標)141)を添加した。混合物を90℃で1時間30分保持した。
次に、90℃のまま30分以上かけて、先の混合物に、82.5gのアクリル酸イソブチル、7.5gのMPS、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチル-ヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを導入した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全混合物を冷却した。
イソドデカン中に50.8%のポリマー活性物質を含有せしめてなる溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマー及びアクリル酸イソブチルを含有する第2のブロックを含む。
【0075】
実施例2
1リットルの反応器に300gのイソドデカンを入れ、ついで、温度を上昇させ、1時間以上かけて、周囲温度(25℃)から90℃にした。次に、90℃で1時間以上かけて、105gのアクリル酸イソボルニル、105gのメタクリル酸イソボルニル、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。混合物を90℃で1時間30分保持した。
次に、90℃のまま30分以上かけて、先の混合物に、82.5gのアクリル酸イソブチル、7.5gのMPTS、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチル-ヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを導入した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全混合物を冷却した。
イソドデカンに50.8%のポリマー活性物質を含有せしめてなる溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマー及びアクリル酸イソブチルを含有する第2のブロックを含む。
【0076】
実施例3
1リットルの反応器に300gのイソドデカンを入れ、ついで、温度を上昇させ、1時間以上かけて、周囲温度(25℃)から90℃にした。次に、90℃で1時間以上かけて、97.5gのアクリル酸イソボルニル、105gのメタクリル酸イソボルニル、7.7gのMPTS、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。混合物を90℃で1時間30分保持した。
次に、90℃のまま30分以上かけて、先の混合物に、90gのアクリル酸イソブチル、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを導入した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全混合物を冷却した。
イソドデカンに49.2%のポリマー活性物質を含有せしめてなる溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニル及びシリコーンモノマーを含有する第1のブロックと、アクリル酸イソブチルを含有する第2のブロックを含む。
【0077】
比較例(本発明外)
1リットルの反応器に100gのイソドデカンを入れ、ついで、温度を上昇させ、1時間以上かけて、周囲温度(25℃)から90℃にした。次に、90℃で1時間以上かけて、105gのアクリル酸イソボルニル、105gのメタクリル酸イソボルニル、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。混合物を90℃で1時間30分保持した。
次に、90℃のまま30分以上かけて、先の混合物に、90gのアクリル酸イソブチル、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチル-ヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを導入した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全混合物を冷却した。
イソドデカンに50%のポリマー活性物質を含有せしめてなる溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、アクリル酸イソブチルを含有する第2のブロックを含む。
【0078】
実施例4
上で調製された実施例1から3のポリマーと比較ポリマーから皮膜を得た:以下の特徴を有する:
−皮膜:ポリマーの単一皮膜の脆さを目視により観察した。
−また、上述した方法に従い、粘着性(オリブ油に対する耐性)とポリマーの内部応力を測定した。
【0079】
次の結果を得た:
【表1】

Isob. A.:アクリル酸イソボルニル
Isob. M.:メタクリル酸イソボルニル
MPTS:メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
MPS:メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
Ibut. A.:アクリル酸イソブチル
SC:固形物含有量
【0080】
実施例5
以下のものを含有するリップスティックを調製した(重量による%):
− ポリエチレンロウ 15%
− イソドデカン中に50.8%の乾燥物質を含む 20%
実施例1のポリマー溶液
− 水素化ポリイソブテン(日本油脂のパーリーム) 25%
− 顔料 10%
− イソドデカン 全体を100%にする量
唇への適用後に得られた組成物は、良好な化粧品特性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一の第1のブロックと、少なくとも一の第2のブロックを含有し:
− 第1のブロックと称されるブロックの少なくとも一が、単独で又は混合物として、以下のモノマー:
−(i)エステル基が、次の式:
【化1】

[上式中:
−R=H又はメチルであり;
−R、R、Rは同一又は異なっており、C-Cアルキル基又は-OSi(R)基を表し、ここでR=メチル又はエチルであり;
−nは1〜10の整数である]
のシラン類及び/又はシロキサン類を含むエチレン性モノマー;
−(ii)次の式:
【化2】

[上式中:
−Rは、水素原子又はメチル基を示し;
−Rは、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子を有し、場合によっては一又は二のエーテル-O-結合を有する二価の炭化水素ベース基を示し;
−R10は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子を有するアルキル基を示し;
−nは、1〜300の範囲の整数を示す]
のPDMSマクロモノマー、又はモノアクリロイルオキシ又はモノメタクリロイルオキシ末端基を有するポリジメチルシロキサン類;
−(iii)エステル基が、次の式:
【化3】

[上式中:
−R=H又はメチルであり;
−nは1〜10の整数であり;
−R'、R''、R'及びR''は同一又は異なっており、CからC10のアルキル基を表し;
−RはCからC10のアルキレン二価基であり;
−iは1〜10の整数であり;
−i=2〜10である場合、X(i)は同一又は異なっており、-R-Si-[O-(R')(R'')-X(i−1)]基を表し、ここでRは同一又は異なっており、CからC10のアルキレン二価基を表し;
−X(1)はH又はC-C10アルキル基を表す]
のカルボキシシランデンドリマーを含むエチレン性モノマー;
−(iv)POSS又はPOS型の次の構造:
【化4】

[上式中、Rは同一又は異なっており、直鎖状のCからC10のアルキル基、又は環状のCからC12である]
のエチレン性モノマー;
から選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該ブロックの重量に対して0.5〜35重量%含有しており;
− 前記第1のブロックと同一又は異なっている少なくとも一のブロックが、単独で又は混合物として、RがH又はCHであり、RがCからC12のシクロアルキル基を表す、式(I):CH=C(R)-COORのモノマーから選択される少なくとも一のモノマーを、該ブロックの重量に対して0.5〜100重量%含有している、
ブロックポリマー。
【請求項2】
シリコーンモノマーが、単独で又は混合物として:
− (メタ)アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
(メタ)アクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
(メタ)アクリルオキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
(メタ)アクリルオキシメチルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;
− RがH又はメチルを表す、次の式:
【化5】



のモノマー;
から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
シリコーンモノマーが、それらを含むブロックの全重量の0.5重量%〜35重量%である、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
式(I)のモノマーが、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、シクロヘキシルアクリラート及びメタクリラート、t-ブチルシクロヘキシルアクリラート及びメタクリラート、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
単独で又は混合物として:
−(i)2〜10の炭素を有するエチレン性炭化水素;
−(ii)式:CH=CHCOOR'、又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は、
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよいもの;
− フェニル基等のCからC20のアリール基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基);
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を含み、環が芳香族又は非芳香族である4から12の鎖員を有する複素環基;
− フルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル等のヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル);
を表し、ここで該アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−4アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基がヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、また
− R'は、m=5〜150であり、R''=H又はCからC30のアルキルである-(CO)-R''基であってよい]
の(メタ)アクリラート類;
−(iii)次の式:
【化6】

[上式中、RはH又はメチルを示し;R及びRは同一又は異なっており:
− 水素原子;又は
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの;
− CからC12のシクロアルキル基;
− CからC20のアリール基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基);
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の鎖員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル);
を表し、ここで前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基はヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよい]
の(メタ)アクリルアミド類;
−(iv)次の式:
CH=CH-R、CH=CH-CH-R又はCH=C(CH)-CH-R
[上式中、Rはヒドロキシル基、ハロゲン(Cl又はF)、NH、R14がフェニル基又はCからC12のアルキル基を表すOR14;アセトアミド(NHCOCH);R15が2〜12の炭素を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表すOCOR15基;又は
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの;
− CからC12のシクロアルキル基;
− CからC20のアリール基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基);
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の鎖員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル);
で、該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基がヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの、
から選択される基である]
のビニル化合物;
−(v)少なくとも一のカルボン酸、リン酸又はスルホン酸、又は無水物官能基を有するエチレン性不飽和を含むモノマー、及びこれらの塩;
−(vi)少なくとも一の第3級アミン官能基を有するエチレン性不飽和を含むモノマー、及びこれらの塩;
から選択される一又は複数の付加的なモノマーをさらに含有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
式(I)のモノマーを含有するブロックが、メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソボルニルの双方を含有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
生理学的に許容可能な媒体中に請求項1から6のいずれか1項に記載の少なくとも一のポリマーを含有せしめてなる化粧品用又は製薬用組成物。
【請求項8】
ポリマーが組成物の全重量に対して0.01〜50重量%の量で存在している、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
生理学的に許容可能な媒体が、水、親水性の有機溶媒、ロウ、ペースト状の脂肪物質、ガム類、及びそれらの混合物;親油性の有機溶媒;油、特に動物又は植物由来の炭化水素ベース油、又はシリコーン油;顔料、真珠光沢剤、フィラー、水溶性染料、脂溶性染料;ポリマー、特に皮膜形成ポリマー、ビタミン類、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、鎮痛剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化又は塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、抜毛を防止するための薬剤、抗フケ剤、噴霧剤、セラミド類、皮膜形成補助剤、又はそれらの混合物から選択される少なくとも一の成分を含有している、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
メークアップ用組成物の形態をしている、請求項7から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
顔又は体の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪等のケラチン物質の、メークアップ又は手入れ方法等の美容処理方法において、請求項7から9のいずれか1項に記載の化粧品用組成物を前記物質に適用することを含む方法。

【公開番号】特開2008−163313(P2008−163313A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−297562(P2007−297562)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】