説明

新規ポリガラクツロナーゼ及びその使用

本発明は、新規ソラナム(Solanum)ポリガラクツロナーゼのヌクレオチド配列に関する。このヌクレオチド配列は、非裂開葯に起因する位置不稔表現型を有する植物の作出のために、マーカー補助育種、TILLING又はトランスジェニック植物において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物育種の分野に関し、特にトマト植物の育種に関する。本発明は、古典的植物遺伝学及び分子植物遺伝学の両方の分野に及び、新規ポリガラクツロナーゼの配列、及びマーカー補助育種又はトランスジェニック植物における、例えば非裂開葯に起因する位置不稔表現型を有する植物を作出するための、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高等植物では、成熟花粉が裂開(dehiscence)によって葯から放出され、裂開は、タペータム、隔壁及び最終的には口辺細胞において、一連の細胞の崩壊が逐次的に生じることからなる。タペータムの縮退後、内被細胞が肥大し、木化線維の束が沈着して、細胞壁の肥厚化が生じる。引き続いて、葯室を取り囲む内被細胞及び葯隔細胞の脱水及び収縮が口辺細胞において破壊力を生み出し、最終的に花粉放出を導く(Keijzer 1987)。
【0003】
最近、葯の裂開の分子制御の理解において進捗があり、これは、ジャスモン酸(JA)及びエチレンの関与の発見に主に関する。葯でのJAの合成における多様な工程に影響を与えるいくつかの変異体が、アラビドプシス(Arabidopsis)で同定された。観察された表現型は、葯の裂開の遅延を生じた(Scottら、2004による総説)。この現象におけるエチレンシグナリングの役割は、エチレン非感受性タバコ植物の葯の裂開における遅延を観察したRieuら(2003)により強調された。
【0004】
ポリガラクツロナーゼ(PG)は、最大のヒドロラーゼファミリーの1つに属する(Torkiら、2000;Markovic及びJanecek、2001)。PG活性は、広範な植物発生プログラム(Hadfield及びBennett 1998による総説)、とりわけ葯の裂開に関連することが示されている:PGの活性は、トウモロコシ、タバコ、アブラナ及びアラビドプシスの葯の裂開帯において観察されている(Dubaldら 1993;Sanderら 2001)。しかし、裂開過程におけるそれらの役割は、これまで詳細に研究されてこなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは最近、トマトにおいて非裂開葯を生じる位置不稔性−2(positional sterility−2)遺伝子を詳細にマッピングした(Gorguetら 2006)。本発明の目的は、ps−2遺伝子のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列、並びにマーカー補助育種又はトランスジェニック植物において、例えば非裂開葯に起因する位置不稔表現型を有する植物を作出するため及び/又は果実の熟化を変化させるためにこれらの配列が使用される方法、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
定義
本説明において、他に示さない限り、本明細書中で使用される用語及び定義は、(メンデル)遺伝学において使用される用語及び定義であり、これに関しては、M.W.Strickberger、Genetics、第2版(1976)、特に113−122頁及び164−177頁が参照される。本明細書中で言及する場合、「遺伝子」は一般に、生物(即ち、トマト植物)の生物学的特徴を決定する遺伝性の因子を意味し、「対立遺伝子」は、(二倍体)トマト植物中に存在する遺伝子対中の個々の遺伝子である。この文脈では、本明細書中で使用する場合の用語ps−2遺伝子又はps−2対立遺伝子は、本発明の位置不稔表現型を生じる又はそれに寄与することができる、裂開ポリガラクツロナーゼ(Dehiscence Polygalacturonase:DPG)の対立遺伝子をいうことが理解される。したがって、本明細書中で使用する場合、ps−2遺伝子又はps−2対立遺伝子は、位置不稔性及び/又は非裂開葯の本発明の表現型を生じる又はそれに寄与することができる、任意の(DPG)機能喪失対立遺伝子をいう場合がある。DPG遺伝子の好ましい例は、本明細書中に記載されるトマト裂開ポリガラクツロナーゼ(Tomato Dehiscence Polygalacturonase:TDPG)遺伝子である。ps−2遺伝子又はps−2対立遺伝子の好ましい例は、TDPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCを有する、本明細書中に記載される特定のトマトps−2対立遺伝子である。
【0007】
ポリガラクツロナーゼ(EC3.2.1.15)は、本明細書中では、ペクチン酸塩及び他のガラクツロナン中の1,4−α−D−ガラクトシドロニック結合のランダムな加水分解を触媒する酵素として理解される。ポリガラクツロナーゼは、ペクチン解重合酵素即ちペクチナーゼとも呼ばれる。ポリガラクツロナーゼ活性は、以前に記載されたように(Parenicovaら、1998、Eur.J.Biochem.251:72−80)、還元糖放出の比色検出によって定量的に決定され、それにより、1単位のポリガラクツロナーゼ活性は、0.25%(w/v)の基質濃度で、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.2)中30℃で、モデル基質としてポリガラクツロン酸(Sigma)から1分当たり1μモルの還元糖末端を放出できる酵素の量として規定される。
【0008】
植物は、その遺伝子の同じ対立遺伝子を含む場合、その遺伝子について「ホモ接合型」と呼ばれ、その遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を含む場合、その遺伝子について「ヘテロ接合型」と呼ばれる。大文字の使用は、優性遺伝子(遺伝子の優性型)を示し、小文字の使用は劣性遺伝子を示す。したがって、「X,X」は、遺伝子又は特性Xについてホモ接合型の優性遺伝子型を示し、「X,x」及び「x,X」はヘテロ接合型の遺伝子型を示し、「x,x」はホモ接合型の劣性遺伝子型を示す。一般に知られるように、他の遺伝子及び/又は因子(例えば、複数の対立遺伝子、サプレッサー、共優性など)が(また)表現型の決定に役割を果たさない限り、ホモ接合型の劣性遺伝子型のみが、対応する劣性表現型を一般に提供し(即ち、特性又は形質「x」を示す植物を生じる)、一方、ヘテロ接合型及びホモ接合型の優性遺伝子型は、対応する優性表現型を一般に提供する(即ち、特性又は形質「X」を示す植物を生じる)であろう。
【0009】
通則として、ハイブリッド種子は、最も頻繁には異なる系統に属する2つの異なる親トマト植物を交雑することによって得られる。自体公知の栽培技術及び植物育種技術を使用して、高度に特異的な所望の特性をこのようなハイブリッドに提供でき、それにより、ハイブリッドを「設計」する、即ち、ハイブリッド植物に所定の遺伝性の特徴を付与することが可能になる。これは通常、ハイブリッド種子を提供するために交雑される2つの親系統(の特性)を適切に選択することによって達成される。これらは通常、数世代にわたる自家受精(自家受粉)によって得られた自殖系統であり、このような自殖系統もまた通常、別の(通常は所定の)自殖親系統と交雑した場合に所望の特性を有するハイブリッド子孫を提供するように、育種家によって具体的に「設計」されたものであろう。概して、このような親系統は、遺伝的にホモ接合型且つ同一であり(即ち、同系交配の結果として)、その結果、安定且つ信頼性のある様式で、遺伝的に均一な(たとえへテロ接合型でも)ハイブリッド系統の組合せを提供でき、親系統の特性を組み合わせることができるであろう。その際、一方では、交雑により、親系統由来の特定の形質を可能な限り純粋に種子に入れることが目的であるが、他方では、雑種強勢又は自殖増殖の公知の効果が使用され、とりわけ植物及び果実の成長並びにそれによる収量の増加に関する、改善された特性を提供できる。この雑種強勢効果は、使用される親系統が特定の遺伝的特性に無関係である場合に/無関係であることに起因して(即ち、親系統が遺伝的に「離れて存在する」場合に)得られる。ハイブリッドの形成を含む古典的栽培技術を使用する、一般的及び特にトマトにおける植物育種技術のさらなる記載については、公知の手引書(その内容は、参照により本明細書中に組み込まれる)が参照される。
【0010】
本明細書中で使用する場合、用語「植物」には、植物全体若しくは任意の部分又はそれらの誘導物、例えば、植物細胞、植物プロトプラスト、トマト植物を再生できる植物細胞組織培養物、植物カルス、植物細胞凝集塊、及び植物中のインタクトな植物細胞、又は植物の一部(例えば、胚、花粉、胚珠、果実(例えば、収穫されたトマト)、花、葉、種子、根、根端など)が含まれる。
【0011】
植物学の用語法:Linnaeusは、植物学的分類の父とみなされている。彼は、現代のトマトをソラナム属(Solanum)として最初に分類したが、長年にわたってその学名はリコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)であった。同様に、現代のトマトの野生の近縁種は、リコペルシコン(Lycopersicon)属内に分類されてきた(例えば、リコペルシコン・ペンネリ(L.pennellii)、リコペルシコン・ヒルスタム(L.hirsutum)、リコペルシコン・ペルビアナム(L.peruvianum)、リコペルシコン・チレンス(L.chilense)、リコペルシコン・パルビフロラム(L.parviflorum)、リコペルシコン・ケミエレウスキィ(L.chmielewskii)、リコペルシコン・チースマニー(L.cheesmanii)、リコペルシコン・セラシフォルメ(L.cerasiforme)及びリコペルシコン・ピンピネリフォリウム(L.pimpinellifolium))。過去数年間にわたって、トマトの研究者及び植物学者の間には、これらの種の名称を再分類するかどうか論争があった。現代のトマトに対して新たに提案された学名は、ソラナム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum)である。同様に、野生種の名称も変更され得る。リコペルシコン・ペンネリはソラナム・ペンネリ(Solanum pennellii)とし、リコペルシコン・ヒルスタムはソラナム・ハブロカイテス(S.habrochaites)とし、リコペルシコン・ペルビアナムはソラナム・‘Nペルビアナム’(S.‘N peruvianumr’)及びソラナム・‘カレヨンデヒュアイレス’(S.‘Callejon de Huayles’)、ソラナム・ペルビアナム(S.peruvianum)並びにソラナム・コルネリオムエレリ(S.corneliomuelleri)に分け、リコペルシコン・パルビフロラムはソラナム・ネオリッキイ(S.neorickii)とし、リコペルシコン・ケミエレウスキィはソラナム・ケミエレウスキィ(S.chmielewskii)とし、リコペルシコン・チレンスはソラナム・チレンス(S.chilense)とし、リコペルシコン・チースマニエ(L.cheesmaniae)はソラナム・チースマニエ(S.cheesmaniae)又はソラナム・ガラパゲンセ(S.galapagense)とし、リコペルシコン・ピンピネリフォリウムはソラナム・ピンピネリフォリウム(S.pimpinellifolium)とすることができる(Solanacea Genome Network(2005)Spooner及びKnapp;http://www.sgn.cornell.edu/help/about/solanum_nomenclature.html)。
【0012】
ps−2又はDPGの遺伝子及び対立遺伝子を含む核酸配列又は断片は、配列番号1と、好ましくは中程度の、又はより好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で「ハイブリダイズする」それらの能力によっても規定され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、本明細書中で、少なくとも約25ヌクレオチド、好ましくは約50ヌクレオチド、75又は100ヌクレオチド、最も好ましくは約200ヌクレオチド以上の核酸配列が、約1Mの塩を含む溶液、好ましくは6×SSC又は同程度のイオン強度を有する任意の他の溶液中約65℃の温度でハイブリダイズすることを可能にし、約0.1M以下の塩を含む溶液、好ましくは0.2×SSC又は同程度のイオン強度を有する任意の他の溶液中で65℃で洗浄する条件として規定される。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、一晩(即ち、少なくとも10時間)実施され、好ましくは、洗浄は、少なくとも2回洗浄溶液を交換して、少なくとも1時間実施される。これらの条件は、約90%以上の配列同一性を有する配列の特異的ハイブリダイゼーションを通常は可能にするであろう。中程度の条件は、本明細書で、少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは約200以上のヌクレオチドの核酸配列が、約1Mの塩を含む溶液、好ましくは6×SSC又は同程度のイオン強度を有する任意の他の溶液中約45℃の温度でハイブリダイズすることを可能にし、約1Mの塩を含む溶液、好ましくは6×SSC又は同程度のイオン強度を有する任意の他の溶液中で室温で洗浄する条件として規定される。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、一晩(即ち、少なくとも10時間)実施され、好ましくは、洗浄は、少なくとも2回洗浄溶液を交換して、少なくとも1時間実施される。これらの条件は、50%までの配列同一性を有する配列の特異的ハイブリダイゼーションを通常は可能にするであろう。当業者は、50%と90%との間で同一性が変動する配列を特異的に同定するために、これらのハイブリダイゼーション条件を変更することができるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは最近、トマトにおいて非裂開葯を生じる位置不稔性−2(ositional terility−2)遺伝子を詳細にマッピングした(Gorguetら2006)。本発明者らは今回、ポジショナルクローニングによってps−2遺伝子を単離した。ps−2遺伝子の引き続く特徴付けにより、その野生型遺伝子が新規ポリガラクツロナーゼ(PG)をコードすること、及び遺伝子のコード配列中の一塩基変異が、非裂開葯に起因する位置不稔性の表現型を担うことが明らかになった。本発明者らは、この変異が、この遺伝子のイントロンスプライシング認識部位の1つに影響を与え、エキソンの1つを欠く異常なmRNAを生じることを見出した。本発明者らは、この新規PG遺伝子(以下、裂開PG(DPG)と呼ぶ)が、成熟中の果実においても発現されることをさらに見出した。ジャスモン酸及びエチレンは、DPGの発現の制御において役割を果たし、DPGは、果実の熟化の過程に関与する。
【0014】
したがって、第1の態様において、本発明は、ポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、好ましくは単離された核酸分子に関する。ポリガラクツロナーゼ活性が決定され得、この活性は、本明細書中で上に規定される。ポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、以下からなる群より選択され得る:(a)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも60、70、80、90、95、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも55、60、70、80、90、95、98、99又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)その相補鎖が(a)又は(b)のヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列;及び(d)遺伝暗号の縮重により(c)のヌクレオチド配列の配列と異なるヌクレオチド配列。
【0015】
本発明の好ましいヌクレオチド配列は、ソラナム属内の種由来である。より好ましくは、ヌクレオチド配列は、ソラナム・リコペルシカム複合体内の種(例えば、ソラナム・リコペルシカム、ソラナム・ケミエレウスキィ、ソラナム・ハブロカイテス、ソラナム・ピンピネリフォリウム、ソラナム・ネオリッキイ及びソラナム・ペンネリが含まれる)由来である。或いは、ヌクレオチド配列はソラナム・メロンゲーナ(Solanum melongena)由来であってもよい。本発明の好ましいヌクレオチド配列はポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするが、1以上のヌクレオチドの置換、挿入及び欠失のうち少なくとも1つを含み、非活性のポリガラクツロナーゼが発現され得る、このヌクレオチド配列の操作及び変異誘発されたバージョンを含む対立遺伝子が、明白に本発明中に含まれる。
【0016】
さらに好ましい本発明の核酸分子は、ポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はその不活性な対立遺伝子の一部を含む分子である。核酸分子は好ましくは、ポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はその不活性な対立遺伝子又はより好ましくは配列番号1の、連続する少なくとも10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40又は50ヌクレオチドを含む。核酸分子は、このような連続ヌクレオチドが一続きではないものを含むこともでき、互いに直接連結されていても他の配列によって分離されていてもよいことが理解される。
【0017】
第2の態様において、本発明は、植物、好ましくはソラナム属植物、より好ましくはソラナム・リコペルシカム複合体の植物、又はソラナム・メロンゲーナ植物において、DPG対立遺伝子を検出、単離、増幅及び/又は分析する方法に関する。この方法は好ましくは、上記植物の核酸を含む試料を提供するステップと、この植物の核酸を、ポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の連続する少なくとも10ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む核酸分子とハイブリダイズさせるステップとを少なくとも含み、このヌクレオチド配列は、以下からなる群より選択され得る:(a)配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも60、70、80、90、95、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも55、60、70、80、90、95、98、99又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)その相補鎖が(a)又は(b)のヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列;及び(d)遺伝暗号の縮重により(c)のヌクレオチド配列の配列と異なるヌクレオチド配列。連続する少なくとも10ヌクレオチドのヌクレオチド配列は、(a)〜(d)で規定したヌクレオチド配列の対立遺伝子からも取得でき、これには、1以上のヌクレオチドの置換、挿入及び欠失のうち少なくとも1つを含み、非活性のポリガラクツロナーゼが発現され得る、このヌクレオチド配列の操作及び変異誘発されたバージョンが含まれることが理解される。より好ましくは、サンプリングされた植物の核酸とのハイブリダイゼーションのための核酸分子は、先に規定したヌクレオチド配列の連続する少なくとも12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40又は50ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ハイブリダイゼーションのための核酸分子が一本鎖分子である場合、これは、先に規定したヌクレオチド配列の相補鎖(即ち、反対側の鎖)もまた含み得ることが理解される。
【0018】
植物、好ましくはソラナム属植物における特異的核酸配列(例えばDPG対立遺伝子)の検出、単離、増幅及び/又は分析のための方法は、検出、単離、増幅及び/又は分析すべき試料中の核酸に対する、所定の配列を含む核酸分子(即ち、ハイブリダイゼーションのための核酸分子)の配列特異的ハイブリダイゼーションに依存する。したがって、このような方法では、ハイブリダイゼーションのための核酸分子は、DPG対立遺伝子、好ましくはソラナム(Solanum)のDPG対立遺伝子とハイブリダイズできる任意の核酸分子であり得る。この分子は、プローブ(例えばハイブリダイゼーションプローブ)であってもよく、伸長即ち増幅反応においてポリメラーゼにより伸長されるプライマーであってもよい。
【0019】
所定の配列を含む核酸分子の配列特異的ハイブリダイゼーションに依存する特異的ヌクレオチド配列の検出、単離、増幅及び/又は分析のための一般的方法は、当該分野で周知である(例えば、Sambrook及びRussell、2001、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New Yorkを参照のこと)。より具体的には、本発明の特異的DGP対立遺伝子配列の検出、単離、増幅及び/又は分析のための方法には、PCR増幅(米国特許第4,683,195号;及び同第4,683,202号;PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification、H.A.Erlich編、Freeman Press、NY、N.Y.、1992)、対立遺伝子特異的PCR(Gibbs、1989、Nucleic Acid Res.17:12427−2448)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドスクリーニング法(ASO;Salkiら、1986、Nature 324:163−166)、リガーゼ媒介性の対立遺伝子検出法(例えば、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA;1988、Landegrenら、Science 241:107−1080)又はライゲーション増幅反応(Wuら、1989、Genomics 4:560−569;Barany、1990、Proc.Nat.Acad.Sci.88:189−193))、変性勾配ゲル電気泳動(Erlich編、1992、PCR Technology、Principles and Applications for DNA Amplification、W.H.Freeman and Co.、New Yorkの第7章)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、一本鎖コンフォメーション多型分析(Oritaら、1989、Proc.Nat.Acad.Sci.85:2766−2770)、ミスマッチ塩基対の示差的な化学的開裂(Grompeら、1991、Am.J Hum.Genet.48:212−222)、ミスマッチ塩基対の酵素的開裂(Nelsonら、1993、Nature Genetics 4:11−18)、TaqMan(商標)(Perkin Elmer)などの系、蛍光の触媒的放出に依存する等温増幅を含むインベーダーアッセイ(www.twt.comにてThird Wave Technology)、任意選択で3Dプーリングストラテジー(例えば、www.keygene.comでKeypoint(商標)技術を参照のこと)と組み合わせた、数千の個体における所定の遺伝子座について配列情報を生成する大量並列配列決定(例えば、GS 20 Genome Sequencerで実施されるRoche/454 Life Sciencesのもの)などが含まれ得る。
【0020】
本発明の好ましい方法は、ps−2対立遺伝子の検出、単離、増幅及び/又は分析のための方法であり、それにより好ましくは、ps−2対立遺伝子は、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTを有する対立遺伝子であり、好ましくは、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCを有する対立遺伝子である。この位置は、配列番号1の3772位のGに対応する。或いは、DPG対立遺伝子に特異的な分子マーカーが開発され得る。「分子マーカー」は、本明細書中で、特定の対立遺伝子(例えば、本明細書中で規定したDPG対立遺伝子又はps−2対立遺伝子)の存在又は非存在を(直接的又は間接的に)示す、核酸配列又はそれらのセットをいうことが理解される。分子マーカーの存在又は非存在は、広範な種々の分子アッセイ又は試験で検出でき、このアッセイ又は試験には、例えば、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)、DNA増幅フィンガープリント(DAF)、配列特性化増幅領域(SCAR)及び増幅断片長多型(AFLP)が含まれる。DPG対立遺伝子に特異的な分子マーカーは、本明細書中で、植物、好ましくはソラナム(Solanum)植物のゲノム内に存在する、本明細書で上に規定したポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はその一部由来の、100、50、20、10、5又は2kb以下のマーカーとして理解される。このような分子マーカーは、ps−2対立遺伝子を含む特異的DPG対立遺伝子の検出のために使用され得る。
【0021】
第3の態様において、本発明は、マーカー補助育種における、本明細書中で上に規定したハイブリダイゼーションのための核酸分子の使用に関する。好ましくは、マーカー補助育種は、ps−2対立遺伝子の検出を含む。ps−2対立遺伝子は、植物、好ましくはソラナム属植物、より好ましくはソラナム・リコペルシカム複合体の植物、又はソラナム・メロンゲーナ植物のDPG対立遺伝子であって、ホモ接合型の場合には非裂開葯に起因する位置不稔性表現型を生じるものとして、本明細書中で理解される。ps−2対立遺伝子は通常、この対立遺伝子についてホモ接合型である植物において、位置不稔性及び非裂開葯を防止するには不十分なDPG活性しか発現されない対立遺伝子であろう。より好ましくは、マーカー補助育種は、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTを有するps−2対立遺伝子の検出を含み、このうち、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCが最も好ましい。
【0022】
第4の態様において、本発明は、非裂開葯を有する植物を作出する方法に関する。好ましくは、この植物は、ソラナム属植物、より好ましくはソラナム・リコペルシカム複合体の植物、又はソラナム・メロンゲーナ植物である。この植物は、好ましくは、位置不稔性の表現型を有する。この方法は好ましくは、(a)第1の植物をps−2対立遺伝子についてホモ接合型である第2の植物と交雑するステップ;(b)F1世代及びさらなる世代を、反復親である第1の植物と少なくとも1世代(好ましくは少なくとも2世代)にわたって戻し交雑するステップ;及び(c)b)で得られた最後の戻し交雑世代を、少なくとも1世代(好ましくは少なくとも2世代)にわたって自殖するステップを含み、ステップb)及びc)の少なくとも1つにおいて分子マーカーが使用して、ps−2対立遺伝子についてホモ接合型である植物を選択する。好ましくは、この方法では、分子マーカーは、本明細書中で規定するDPG対立遺伝子に特異的であり、より好ましくは、このマーカーは、本明細書中で規定するps−2対立遺伝子に特異的なマーカーである。最も好ましくは、この分子マーカーは、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTであるか又はこれらを検出し、そのうち、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCが最も好ましい。
【0023】
第5の態様において、本発明は、DPG対立遺伝子中に変異又は遺伝子改変を有する植物を作出する方法に関する。好ましくは、この植物は、ソラナム属植物、より好ましくはソラナム・リコペルシカム複合体の植物、又はソラナム・メロンゲーナ植物である。変異又は遺伝子改変は、TILLING(Targeted Induced Local Lesions IN Genomes)の技術を使用して、DPGをコードするヌクレオチド配列/遺伝子の遺伝子座中に導入され得る。TILLINGのための方法は当該分野で周知である(McCallumら、2000 Nat Biotechnol.18(4):455−7;Stemple、2004、Nat Rev Genet.5(2):145−50による総説)。TILLING変異誘発技術は、ps−2対立遺伝子を含むDPG遺伝子の変異誘発された改変体を生成及び/又は同定し、最終的に単離するために有用である。TILLINGは、このような変異体改変体を保有する植物の選択をも可能にする。TILLINGは、高密度変異誘発をハイスループットスクリーニング方法と組み合わせる。TILLINGにおいて典型的にたどられるステップは以下である:(a)メタンスルホン酸エチル(EMS)又はN−エチル−N−ニトロソウレア(ENU)などによる変異誘発;(b)変異誘発した種子からの植物の成長、及び任意選択で、少なくとも1世代にわたる植物の戻し交雑;(c)植物の組織試料からのDNAの調製、及び任意選択で個体からのDNAのプール;(d)目的の領域(即ちDPG遺伝子)の、例えば先に規定したようなプライマーを使用した、PCR増幅;(e)変異体PCR産物の検出;(f)変異体個体の同定;及び(h)任意選択で、変異体PCRの配列決定。最初に、この方法において、ステップ(e)及び任意選択でステップ(f)における変異体PCR産物の検出を、変性及びヘテロ二重鎖を形成させるアニーリング、及び引き続くDHPLC(変性高速液体クロマトグラフィー)(McCallumら、2000、上述)によるヘテロ二重鎖の検出によって実施した。この方法は、変異を同定するために制限酵素Cel−1をゲルベースのシステムと組み合わせて使用することにより、より高速にされた(Colbertら、2001、Plant Physiol.126(2):480−4)。TILLINGの方法において使用され得る、標的DPG遺伝子中の一塩基変異の検出又は同定のための他の方法には、例えば、既に記載されているDNAの再配列決定(例えば、Sladeら、2005、Nat Biotechnol.23(1):75−81を参照のこと)、又は任意選択で3Dプーリングストラテジー(例えばwww.keygene.comのKeypoint(商標)技術を参照のこと)と組み合わせた、数千の個体における所定の遺伝子座について配列情報を生成する大量並列配列決定(例えば、GS 20 Genome Sequencerで実施されるRoche/454 Life Sciencesのもの)が含まれる。変異誘発は、放射線又はEMSなどの化学変異原によって実施され得る(Lightner及びCaspar、1998、「アラビドプシスの種子変異誘発(Seed mutagenesis of Arabidopsis)」、Methods in Molecular Biology:Arabidopsis Protocols(J.M.Martinez−Zapater及びJ.Salinas編)、91−103頁.Totowa、New Jersey:Humana Press)又はENU(Draperら、2004、Methods Cell Biol.2004;77:91−112)。DPG対立遺伝子中に変異を有する植物を作出するための好ましい方法は、好ましくは少なくとも、(a)植物の種子を変異誘発するステップ;(b)a)で得られた変異誘発種子の植物を成長させるステップ;(c)任意選択で、b)で得られた植物を少なくとも1世代にわたって戻し交雑するステップ;及び(d)b)又はc)で得られた植物をDPG対立遺伝子中の変異の存在についてスクリーニングするステップを含む。好ましくは、この植物は、ソラナム属植物、より好ましくはソラナム・リコペルシカム複合体の植物、又はソラナム・メロンゲーナ植物である。好ましくは、DPG対立遺伝子中の変異は、その対立遺伝子をps−2対立遺伝子にする。より好ましくは、このps−2対立遺伝子は、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTを有する対立遺伝子であり、最も好ましくはDPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCを有する対立遺伝子である。
【0024】
第6の態様において、本発明は、非裂開葯を有するトランスジェニック植物、好ましくはソラナム属植物を作出する方法に関する。非裂開葯を有するトランスジェニック植物は、アンチセンス、センス抑制又はRNAi(RNA干渉)核酸構築物の植物中への導入による、又は相同組換えによるDPG遺伝子のノックアウトによる、DPG遺伝子のサイレンシングなどを含む種々の形で得ることができる。したがってこの方法は、本明細書中で先に規定したDPGをコードするヌクレオチド配列の少なくとも断片のヌクレオチド配列を含む核酸構築物で植物細胞を形質転換するステップを少なくとも含み、植物細胞におけるこの核酸構築物の存在は、位置不稔性及び非裂開葯をもたらすレベルまで、DPG活性の発現を減少させる。非裂開葯を有する植物は、当業者に自体公知の方法により、形質転換された植物細胞又はこのような形質転換された細胞を含む植物から誘導され得る。
【0025】
したがって、好ましい実施形態において、核酸構築物中のヌクレオチド配列は、植物細胞(例えば、ソラナム属細胞)中での発現のためのプロモーターに作動可能に連結され、このヌクレオチド配列の発現は、RNA干渉によりDPG活性の発現を減少させる。遺伝子サイレンシングのための方法及び核酸構築物は、米国公開公報第20070130653号、米国公開公報第20070074311号及びそれらに引用された参考文献中に記載されている。したがって、本発明は、植物細胞中での発現のためのプロモーターに作動可能に連結された、本明細書中で先に規定したDPGをコードするヌクレオチド配列の断片を少なくとも含む構築物である核酸分子に関する。この核酸構築物において、断片は好ましくは、本明細書中で先に規定したDPGをコードするヌクレオチド配列に対して少なくとも60、70、80、90、95又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列の、連続する30、60、100、200又は500ヌクレオチドの配列或いはそれらの相補体を含み、より好ましくは、TDPGをコードするヌクレオチド配列は配列番号1である。
【0026】
別の好ましい実施形態において、非裂開葯を有するトランスジェニック植物は、相同組換えによるDPG遺伝子のノックアウトにより得ることができる。この方法では、核酸構築物は好ましくは、相同組換えのための構築物であり、このヌクレオチド配列は好ましくは、位置不稔性及び非裂開葯をもたらすレベルまで、DPG活性の発現を減少させる変異を含む。この変異は、コード配列及び/又はプロモーター配列の完全な欠失、或いは選択マーカー又はDPG遺伝子を不活化する他の配列の挿入などを含む、最も広い意味での変異であり得る。相同組換えは、規定され選択された位置での、選択された核酸のゲノム中への導入を可能にする。植物において相同組換えを実施するための方法は、モデル植物(Offringaら、1990 EMBO J.9(10):3077−84)だけでなく、農作物、例えばイネ(Iida及びTerada、Curr Opin Biotechnol.2004年4月;15(2):132−8)についても記載されている。したがって、標的化される核酸は好ましくは、内在性DPG遺伝子を置換するために使用される欠損型DPG対立遺伝子(例えば、ps−2対立遺伝子)である。
【0027】
非裂開葯及び/又は位置不稔表現型を有する本発明の植物は、自家受精を回避又は減少させることにより、よりコスト効率のよいハイブリッド植物の作出を可能にするという利点を有する。ハイブリッドの作出は、CMS、遺伝的不稔性又は位置不稔性などの雄性不稔の使用を含み得る。一方では望ましくない自家受精を減少又は防止するが、他方ではそのように求められる場合には葯の(手動での)開放又は損傷による自己受精が可能であるので、位置不稔性が好ましい。したがって、本発明のDPG対立遺伝子は、非裂開葯に起因した位置不稔表現型(雄性親の表現型に依存する)を有しても有さなくてもよいハイブリッドの作出の間に同系交配を防止するための道具として使用され得る。さらに、非裂開葯及び/又は位置不稔表現型は、(自家)受精を回避又は減少させ、それにより種子なし表現型を向上させることにおいて、種子なし果実の作出において有利に適用され得る。
【0028】
本発明は、トマト植物によって例示されてきたが、本発明は、DPG核酸、ps−2対立遺伝子、及びすべての市販の重要な農作物の(トランスジェニック)植物(例えば、キク科(Asteraceae)(食用作物のレタス、チコリ、アーティチョーク、ヒマワリ、ヤーコン、ベニバナが含まれる)、ウリ科(Cucurbitaceae)(一般にウリ類(gourd)又はウリ科植物(cucurbit)として知られ、キュウリ、カボチャ(squash)(カボチャ(pumpkin)を含む)、ヘチマ、メロン及びスイカなどの作物が含まれる)、アブラナ属(Brassica)(スウェーデンカブ(swede)、カブ、カブカンラン、キャベツ、芽キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カラシ種子及びアブラナが含まれる)、マメ科(Leguminous)作物(乾燥マメ、乾燥ソラマメ、乾燥エンドウ、ヒヨコマメ、ガルバンゾ、チャナダル、乾燥ササゲ(cowpea)、ササゲ(black−eyed pea)、ササゲ(blackeye bean)、キマメ(pigeon pea)、キマメ(toor)、キマメ(cajan pea)、キマメ(congo bean)、レンティル、バンバララッカセイ(bambara groundnut)、アースピー(earth pea)、ベッチ、コモンベッチ、ルピナス、ダイズ、ラッカセイが含まれる)、アカザ科(Chenopodiaceae)(ホウレンソウ)、ユリ科(Liliaceae)(タマネギ、セイヨウネギ)、セリ科(Apiaceae)(ニンジン)、穀類作物(イネ、オオムギ、コムギ、オートムギ、トウモロコシ)、ナス科(Solanaceae)(トマト、コショウ、ナスが含まれる)が含まれる)を作出するための方法を含むことが理解される。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲において、動詞「含む」及びその活用は、その非限定的な意味で使用され、この語の後に来る事項が含まれるが、具体的に言及されていない事項が排除されないことを意味する。さらに、不定冠詞「1つの(a又はan)」による要素に対する言及は、要素が1つ及び1つだけ存在することを文脈が明確に要求しない限り、1より多い要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「1つの(a又はan)」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ps−2ABL及び野生型(Moneymaker)の葯の顕微鏡観察を示す図である。a:トルイジンブルーで染色した、後期花芽(FB)、初期開花前(PA)の葯の断面。矢印は、WT及びps−2ABLの隔壁細胞中に見出され得る結晶をさす。s:隔壁;st:口辺細胞;p:花粉。b:トルイジンブルーで染色した開花時の葯の断面。矢印は、WTにおける葯の開放及びps−2ABLにおける閉じたままの口辺細胞を示す。c:SEMにより観察した開花時の葯円錐の縦断面。矢印は、WTにおける葯の縦方向の開放及びps−2ABLにおける未開放の葯を示す。
【図2】遺伝子マップから候補遺伝子への、ps−2遺伝子のクローニングを示す図である。a:組換えF2集団において作成された遺伝子マップ(ps−2ABL×ソラナム・ピンピネリフォリウム;Gorguetら、2006)。白字は、各マーカー間の組換え体植物の数である。b:物理マップ:点線の矢印は、BACのコンピュータアンカリングを示す。実線の矢印は、分子マーカーによるBACのアンカリングを示す(S:SP6;T:T7)。c:BACクローン143M15上のORFの遺伝子位置。d:候補遺伝子ORF4の構造。ローマ数字を伴う着色円柱はエキソンを示す。推定TATAボックスの位置は配列の開始点に青の逆三角形で示され、PolyAの位置は配列の終点に緑の菱形で示される。
【図3】ps−2ABL及び栽培品種Moneymakerからの開花後の葯円錐由来のRNAに対して実施したRT−PCRを示す図である。
【図4】Moneymaker(WT)及びps−2ABLの葯における、ORF4のエキソンIVとエキソンVIとの間のイントロンスプライシングを示す図である。
【図5】20の被子植物及び1つの裸子植物のPGのアミノ酸配列についての系統樹を示す図である。この系統樹は、(樹の重みを使用する)3296の樹の50%多数決合意の結果である。PG配列は、十分に特徴付けられたクレードA及びBとして同定された2つの主要なクレードに分かれる。候補タンパク質(TDPG)はクレードBの一部である。
【図6】TFPG、ORF4及びps−2(ORF4の変異体)のPfam GH28ドメインのアラインメントを示す図である。カラーコードは、TFPGとORF4との間の比較についてのみ有効である:反転した色は、同一のアミノ酸である。灰色は、保存的置換である。太い下線は、Raoら(1996)により規定されたポリガラクツロナーゼの4つの保存されたドメインである。
【図7】ORF4の組織特異的発現を示す図である。多様な組織由来のMoneymakerのcDNAを、定量的PCR分析用のプライマーを使用するPCR増幅に供した。MoneymakerのゲノムDNAを、汚染についてのコントロールとして使用した。1:葉離層帯;2:花離層帯;3:開花時の葯;4:成熟段階の果実。
【図8】TDPGが関与する、トマトにおける葯の裂開及び果実成熟のホルモン制御に関する単純化されたモデルを示す図である。
【実施例】
【0031】
(例1)
1.1 材料及び方法
1.1.1 植物材料
ps−2ABL(真の高度育種系統(Advanced Breeding Line)ソラナム・リコペルシカム、ps−2変異についてホモ接合型)とソラナム・ピンピネリフォリウムとの間の交雑から作製されたF組換え体サブ集団を、遺伝子マッピングのために使用した。ps−2に関して分離しているこの集団は、ps−2遺伝子座領域における146のF植物組換え体からなる(Gorguetら、2006)。
【0032】
別の176のABL(そのうち8つはps−2/ps−2である)を使用して、同定されたSNPとps−2遺伝子座との間の関連を試験した。
【0033】
ps−2ABL及び栽培品種Moneymakerの葯を、顕微鏡観察に使用した。
【0034】
1.1.2 顕微鏡法
植物材料を、4%のパラホルムアルデヒドを含む0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)中で4℃で24時間固定した。走査型電子顕微鏡法のための試料を、Dornelasら(2000)に記載されたように処理し、Orion Framegrabber(Matrox Electronic Systems、Unterhaching、Germany)を使用してデジタル画像を得た。光学顕微鏡法のための試料を、Technovit 7100(Hereaus Kulzer、Wehrheim、Germany)中に包埋し、トルイジンブルーで染色し、Euparal(Chroma−Gesellschaft、Kongen、Germany)にマウントした。
【0035】
1.1.3 BACライブラリースクリーニング及びコンティグ構築
本発明者らは、栽培品種アクセッションHeinz 1706のゲノムDNAから構築したトマトHindIII BACライブラリーを使用した。Heinzライブラリーは、114.5kbの平均挿入物サイズを有する15ゲノム相当物である(Budimanら、2000)。BACライブラリーのスクリーニングを、最初に植物プールに対して、次いで個体に対して、PCR増幅によって実施した。次いで、ポジティブBACクローンのプラスミドDNAを単離し、さらなる分析に使用した。
【0036】
ポジティブBACクローンのBAC末端配列を、SGNデータベースから得た(Muellerら 2005)。CAPS又はdCAPSマーカーへのBAC末端配列の変換を、Gorguetら(2006)に記載されたとおりに実施した。BAC末端配列のPCRマーカーの詳細を表1に示す。
【表1】

【0037】
個々のBACクローンのフィンガープリントパターンを、HindIII/TaqI酵素の組合せを使用して、本質的にBrugmansら(2006)に記載されたとおりに生成した。
【0038】
1.1.4 BAC DNAの配列決定及び分析
BACクローン143M15のサイズを、パルスフィールドゲル電気泳動によって推定した。BACクローン143M15を、Greenomics(The Netherlands)によるショットガン配列決定法を介して配列決定した。BAC配列上に同定された候補遺伝子由来のPCRマーカーを、Gorguetら(2006)によって記載されたとおりに生成した。推定遺伝子を同定するために、最終BAC DNA配列を、SGNからのトマトUnigeneデータベース(Muellerら、2005)及びTAIRからのアラビドプシス遺伝子モデルデータベース(http://www.Arabidopsis.org;Hualaら、2001)に対して、1E−10の有意性閾値を用いて、SGNのTBLASTXインターフェース(Muellerら、2005)を使用して走査した。Gorguetら(2006)に記載されたとおりに、推定ORF配列に基づくPCRマーカーを生成し、組換え体集団に対してスクリーニングした。これらのPCRマーカーの詳細を表1に示す。
【0039】
1.1.5 候補遺伝子の分析及び系統学的分析
約900bpの産物を生じる数個の逐次重複プライマー対を使用して、Moneymaker及びps−2ABLにおいて、ORF4の完全ゲノムDNA配列、並びにそれぞれプロモーター及び遺伝子ターミネーターを含む上流及び下流の配列を増幅し、配列決定した。Moneymaker及びps−2ABLの得られたDNA配列を、DNAStarでアセンブルした。Softberry遺伝子発見ソフトウェアを使用して、候補遺伝子の推定エキソン及びイントロンを同定した。
【0040】
既知の組織発現を有するトマトポリガラクツロナーゼタンパク質の配列、並びに候補タンパク質を用いたタンパク質BLAST検索のベストヒットを選択し、系統学的分析を実施した。選択したタンパク質配列のPfam Glycosyl Hydrolase 28ドメインのみを、分析に使用した。各タンパク質配列のPfam GH28ドメインを、NCBIのタンパク質Blastインターフェースを用いて同定した。Pfam GH28ドメインの選択したアミノ酸配列を、ClustalWマルチ配列アラインメントソフトウェア(Higginsら、1994)を使用してアラインした。
【0041】
PAUPソフトウェアパッケージバージョン4(Swofford 2002)を使用して、最大節約(1000のブートストラップ複製及び250の追加配列複製)を用いて50%多数決合意系統樹を構築した。ヒマラヤスギPGタンパク質配列を使用し、アウトグループとして規定した。
【0042】
アミノ酸配列及びそれらのタンパク質識別番号は以下のとおりであった:キウイ果実(AAC14453;Atkinson及びGardner、1993)、ブドウ果実(AAK81876;Nunanら、2001)、ダイズ鞘(AAL30418;Christiansenら、2002)、モモ果実(CAA54448;Lesterら、1994)、リンゴ果実(AAA74452;Atkinson、1994)、洋ナシ果実(BAC22688:Hiwasaら、2003)、アラビドプシス裂開帯ADPG1(CAA05525;Sanderら、2001)、アブラナ裂開帯RDPG1(CAA65072;Petersenら、1996)、アブラナ鞘(CAA90272;Jenkinsら、未公開)、カブ長角果隔膜乾燥(CAD21651;Rodriguez−Gacioら、2004)、ピーマン果実(BAE47457;Ogasawara S及びNakajima T、未公開)、トマト果実TFPG(CAA32235;Birdら、1988)、トマト雄ずい(AAC70951;Hong及びTucker、2000)、トマト離層帯TAPG1、2、4、5(AAC28903、AAB09575、AAB09576、AAC28906;Hong及びTucker、1998)、トマト創傷葉(AAD17250;Bergeyら、1999)及びトマト種子(AAF61444;Sitritら、1999)。
【0043】
1.1.6 総RNA単離、cDNA合成及び定量的PCR分析:
総RNAを、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、Hilden、Germany)を使用して単離した。1回のRNA単離反応当たり、50mgと100mgとの間の各組織(葯、果実、花離層帯及び葉離層帯)を使用した。DNase I処理(Boehringer Manheim)後、cDNAの合成のため、1試料当たり総RNAを1μgだけ使用した。第1鎖のcDNAテンプレートを、プライマーとしてランダムヘキサマーを使用し、Multiscribe(商標)Reverse Transcriptase(Applied Biosystems)を用いて合成した。フォワードプライマー:TAGCTCCAAAGCTATCCACAT(第1エキソン上に位置する、開始コドンの47ヌクレオチド下流で開始する)及びリバースプライマー:TGGAGAATGTGAAATTGTTAGG(最後のエキソン上に位置する、終止コドンの100ヌクレオチド上流で終わる)を使用して、ORF4の準完全コード配列を増幅してイントロンスプライシングを研究した。ORF4の準完全CDSを、標準的PCR反応(55℃のアニーリング温度及び35サイクル)で増幅した。
【0044】
リアルタイム実験を、SYBRグリーンPCRマスターミックスキット(Applied Biosystems)を使用して、iCycler MyiQ検出システム(Bio−Rad)で実施した。プライマー配列は以下であった:フォワードプライマー5’−TTTTGCCATTGCCATTGATA−3’、リバースプライマー5’−TGTGGTGTCCCAGAACAAGA−3’(ORF4);及びフォワードプライマー5’−ACCACTTTCCGATCTCCTCTC−3’、リバースプライマー5’−ACCAGCAAATCCAGCCTTCAC−3’(β−アクチン)。ORF4転写物レベルの相対的定量化を、2−ΔCT式を適用することによって、内部β−アクチンコントロールを用いて計算した。PCR産物の純度を、融解曲線を用いて確認した。反応は2連で実施した。RNA試料がDNA汚染なしであることを確実にするために、PCRコントロールを逆転写酵素の添加なしに実施した。
【0045】
2.結果
2.1 ps−2表現型の顕微鏡観察
野生型(Moneymaker)及び変異体(ps−2ABL)の葯の横切片を調製し、トルイジンブルーで染色して、変異体における葯の発生/裂開が遮断される段階を同定した。開花時の葯円錐の縦切片を、電子顕微鏡法のために調製した。開花まで、発生段階には差異が見られなかった。後期花芽段階では、変異体及び野生型の隔壁細胞中で結晶が観察され、花粉の発生は正常に見えた(図1a)。変異体での隔壁の破壊は、野生型と同様の段階で生じた。しかし、開花時に、変異体の口辺細胞は縮退せず、花粉は葯中に留まった(図1b、1c)。さらに、内被肥厚化は変異体では起こらず、したがって、表皮細胞は、口辺細胞に対する破壊力を生み出すための硬さを開花段階で欠いていた。
【0046】
2.2 物理マッピング及び候補遺伝子の同定
本発明者らは、第4染色体短腕上のCOS由来のCAPSマーカーT0958及びT0635によって規定された1.65cMの間隔に、ps−2遺伝子座を以前にマッピングしている(Gorguetら、2006)。ps−2遺伝子座領域についての物理マップを、Heinz BACライブラリーを使用して構築した。このライブラリーを、ps−2遺伝子座に対して最も近いマーカーを使用したPCR増幅及びそれらのマーカーの配列を使用したコンピュータ手段によって、スクリーニングした。次いで、ポジティブなBACを、BAC末端をPCRマーカーに変換し(図2)、組換え体集団においてこれらのマーカーをスクリーニングすることによって、遺伝子マップにアンカリングした。同じコンティグ由来のBACの重複を評価し、BACが同じコンティグの一部であるかどうかを確認するために、BACフィンガープリントも比較した。次いで、ps−2遺伝子座に対して最も近いBAC末端を、第2ラウンドのスクリーニングに使用した。最終的に、コンティグ全体は、COS由来のCAPSマーカーT1070からBAC末端15N23−Tまで、1.70cM(32の組換え体)にわたった(図2)。BAC 143M15はps−2遺伝子座にわたり、したがって配列決定された。
【0047】
BACクローン143M15中に存在する遺伝子を同定するために、BAC DNA配列を、BLASTNインターフェースを使用してトマトSGN Unigeneデータベースに対して走査し、TBLASTXインターフェースを使用してアラビドプシス遺伝子モデルデータベースに対して走査した。2つのトマトコード配列及び5つのアラビドプシス遺伝子が、このBACクローン配列と一致した(そのうち2つは、2つのトマトコード配列に一致している;表2)。5つの候補遺伝子を、ORF1〜ORF5と命名した。さらに、レトロトランスポゾンファミリーの6つの遺伝子もまた同定したが、さらなる研究ではこれらは考慮しなかった。5つの対応するアラビドプシス遺伝子の位置は、アラビドプシスゲノム中で連続せず、このことは、その領域に関する2つの種間のシンテニーの非存在を強調した。さらに、そのなかには、アラビドプシスにおいて同定された機能的雄性不稔性遺伝子(Gorguetら、2006において列挙した)の1つに対して相同であったものは存在しなかった。
【表2】

【0048】
高解像度マップ中に候補遺伝子を位置付けるために、本発明者らは、推定遺伝子の配列(又は隣接配列)をPCRマーカーに変換し、それらを組換え体集団においてマッピングした。すべての候補遺伝子が高解像度連鎖マップ中の異なる位置にマッピングされたので、本発明者らは、遺伝子マップ中のそれらの位置に基づいてps−2について最も可能性の高い候補を容易に同定できた。推定ポリガラクツロナーゼ遺伝子であるORF4は、ps−2遺伝子座の最も近くにマッピングされた(図2)。引き続いて、推定イントロン及びエキソンを、SoftberryのFGENSHソフトウェアを使用して同定した。候補遺伝子ORF4は、9つのエキソン及び8つのイントロンからなり、1179ヌクレオチドのコード配列のために、推定開始コドンから推定終止コドンまで、6716ヌクレオチドのゲノム距離をカバーする。PCRマーカーORF4を生成するために使用したSNPは、第2推定イントロン中に位置した。本発明者らは、2つの追加のPCRマーカーを、1つはソラナム・ピンピネリフォリウム対立遺伝子中の第1イントロン中の76bpの欠失に基づき[ORF4(1)]、1つはソラナム・ピンピネリフォリウム対立遺伝子中の第6イントロン中の38bpの挿入に基づき[ORF4(2)]、生成してマッピングした。3つのPCRマーカー(ORF4(1)、ORF4及びORF4(2))は、互いの間で1つの組換え体の間隔でマッピングされ、これは、少なくとも2回の組換えが、この組換え体集団において候補遺伝子ORF4内で生じたことを示している(図2)。ORF4(2)は、高解像度マップ上でps−2遺伝子座と同時分離した。
【0049】
2.3 ORF4中の変異及び分子マーカーの生成
ORF4がps−2遺伝子に対応するという仮説を強固にするために、本発明者らは、ps−2ABL対立遺伝子中の配列の変化について探索した。ORF4の推定プロモーターから推定ターミネーターまでの全9kbを、栽培品種Moneymaker及びps−2ABLについて配列決定した。1つの一塩基変異が、ORF4の第5推定エキソンの最後のヌクレオチド上に同定され、ここで、ヌクレオチドグアニンはシトシンで置換されていた。ORF4中の同定されたSNPとps−2形質との間の関連を試験するために、本発明者らは、ソラナム・リコペルシカム中のps−2ABL対立遺伝子と野生型対立遺伝子とがゲル上で容易に区別できるように、そのSNPに基づく分子マーカーを生成した。このマーカーを、176のABLのセットに対して試験したところ、そのうち8つはps−2/ps−2であった。これら7つの機能的雄性不稔植物は、他のABLと異なる同じマーカーパターンを示し、試験した他のps−2系統中にこのSNPが存在することが確認された。このマーカーは、現代のトマト系統へのps−2形質の分子補助導入のために、ここで容易に使用できる。
【0050】
2.4 選択的イントロンスプライシング
ORF4のps−2ABL対立遺伝子中の配列変異は、イントロン認識スプライス部位の1つの中に位置するので、本発明者らは、この変異が遺伝子のプレ−mRNAスプライシングに影響を与え得ると仮定した。この仮説を確認するために、本発明者らは、ORF4の準全長cDNAクローン(1179ヌクレオチドのうち1032ヌクレオチド)を増幅するためのプライマーを設計した:フォワードプライマーをORF4の第5エキソン上に設計し、リバースプライマーを最後のエキソン上に設計した(表3)。RT−PCRを、ps−2ABL及び栽培品種Moneymakerから、開花後の葯円錐のRNAから生成したcDNAに対して実施した。栽培品種Moneymakerについて観察された増幅産物は予測されたサイズ(1032bp)のものであり、これは配列決定によって確認された。ps−2ABLの増幅産物は、Moneymakerの産物よりも顕著に小さく、このことは、イントロンスプライシングにおける変化を示唆した(図3)。ps−2ABLのcDNAに対して増幅された断片の配列決定により、SNPが存在する第5エキソンがcDNA配列中でスキップされていたことが示された。このエキソンは、プレ−mRNA成熟過程の間に、2つの隣接イントロンと一緒に除去された(図4)。エキソン−イントロンスプライスジャンクションの野生型の5’配列はCAG/GTATCGであり、これは、ソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)において同定されたスプライスジャンクション配列の1つと同一である(Brown、1986)。ps−2ABL対立遺伝子中に見出された変異は、以下の配列:CAC/GTACGを誘導するが、この配列は、イントロンスプライシング認識部位のリストには存在しない。成熟mRNA中の第5エキソンの非存在は、208ヌクレオチドの欠失に相当し、これは、下流の残りのコード配列に対するフレームシフトを誘導する。このフレームシフトは、新たなフレームの終止コドンに起因して、14アミノ酸後に未熟な転写停止を引き起こす。したがって、完全な推定変異タンパク質は、野生型タンパク質の392アミノ酸と比較して154アミノ酸長であり、非機能的である可能性が高い。
【0051】
2.5 ORF4配列分析
NCBIのタンパク質データベースにおけるORF4の推定候補タンパク質配列を用いたBLAST検索により、いくつかの植物由来のPGタンパク質のリストが得られた。同定されたタンパク質は、果実の熟化及び長角果/鞘の裂開において機能を有する。それらのうち、ADPG1タンパク質は、アラビドプシスの長角果の裂開帯並びに葯の裂開帯において発現されることが見出されている(Sanderら、2001)。ベストBLASTヒットのPfam GH28ドメインのアミノ酸を、候補タンパク質の配列及び同定された機能を有する既知のトマトPGタンパク質、並びに1つの裸子植物PG(ヒマラヤスギ)と一緒にアラインした。系統学的分析を、言及されたPGクレードの1つ中に候補タンパク質を位置付けるために、最終アラインメントに対して実施した。ORF4は、クレードBのPGと同定された(図5)。クレードBは、Hadfields及びBennett(1998)によって以前に特徴付けられた、果実及び裂開帯において発現されるPGをコードする、クローニングされたすべての遺伝子からなる。これは、本発明の系統樹においても観察された。TFPG(果実において発現することが知られる唯一のトマトPG)も、同じクレードの一部であった。ORF4及びTFPGのPfam GH28ドメインのアラインメントを図6に示す。ORF4及びTFPGは、タンパク質配列全体に対して59%の類似性を有する。
【0052】
ORF4の推定由来タンパク質は、Raoら(1996;図6)によって示された、PGタンパク質に特徴的な4つの保存ドメインを含む。第1の保存ドメインは、変異体タンパク質においてスキップされる第5エキソン上に位置し、他の3つのドメインはさらにこの配列上に位置し、したがって、変異体配列においてインフレームではない。したがって、この変異体タンパク質は、タンパク質の機能において主要な役割を果たす4つの保存されたドメインをいずれも含まない。ORF4の開始コドンの上流2000ヌクレオチドの分析により、開始コドンに対して−667位、−700位及び−1955位にある3つのエチレン応答性エレメント(ERE;AWTTCAAA)、−1632位にある1つのbZIPタンパク質結合モチーフ(TGACG)、並びに−1329位にある1つのG−ボックス(CACGTG)の存在が明らかとなった。ORF4のプロモーター配列中のEREモチーフ、bZIPタンパク質結合モチーフ及びG−ボックスの存在は、ORF4の転写が、エチレン及びジャスモン酸エステルによって刺激されることを示唆する。
【0053】
2.6 葯、果実及び他の組織におけるORF4の発現
本発明者らは、葉及び花の離層帯、成熟果実及び開花時の葯を含むいくつかの組織におけるORF4転写物の存在を試験した。ORF4転写物は、離層帯では検出されなかった(図7)。ORF4転写物の存在は、葯並びに果実において確認された。葯及び果実の発生の異なる段階にわたるORF4の転写レベルの発展を研究するために、本発明者らは、葯の4つの発生段階(花芽;開花前;開花時;開花後)、並びに5dap(days after pollination:受粉後日数)から57dap(成熟果実)までの果実の8つの発生段階;ブレーカー段階に対応する47dapで、ORF4の定量的発現分析を実施した(データ示さず)。葯において、ORF4の転写レベルを、Moneymaker及びps−2ABLに対して試験し、果実においてはMoneymakerに対してのみ試験した。37dap前の果実では、ORF4転写物は検出されなかった。37dapからORF4転写物が検出され、時間と共に顕著に増加し、成熟段階(57dap)で最大に達した。Moneymakerの葯では、ORF4転写物は、既に花芽段階で検出された。開花前の時点で、ORF4転写物のレベルは花芽と類似していた。ORF4転写物の蓄積は、開花時に増加し、開花後に最大に達した。ps−2ABLの葯でも、ORF4転写物は、花芽段階以外で検出された。しかし、ps−2ABLの葯におけるこの転写物レベルは、開花時及び開花後のMoneymakerの葯におけるレベルよりも顕著に低かった。
【0054】
3.考察
ps−2高度育種系統は、裂開を受けない葯を生じる。この研究において、本発明者らは、ps−2ABLの葯の発生/裂開が最終段階で遮断されることを示した。口辺細胞は縮退せず、内被壁は肥厚しない。これら2つの生理学的変化がない場合、葯は閉じたままであり、表皮細胞は、口辺細胞を最終的に破壊して花粉を解放できる硬さを欠く。
【0055】
この表現型の変異は劣性であり、単一の遺伝子座の制御下にある。以前の研究で、本発明者らは、4番染色体の短腕上にps−2遺伝子を詳細にマッピングした(Gorguetら、2006)。本明細書中で、本発明者らは、ps−2遺伝子の単離及び機能的特徴付けを報告する。本発明者らは、ps−2表現型が、今日まで未知であった9つのエキソンからなるポリガラクツロナーゼ遺伝子中の一塩基変異の結果であることを見出した。この一塩基変異は、第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチド上に位置し、イントロンスプライシング認識部位に影響を与え、このイントロンスプライシング部位はCAG/GTATCGからCAC/GTATCG(エキソン3’/イントロン5’)に変化する。シトシン塩基には、植物中のこの特定の位置でイントロンスプライス部位の11%において遭遇するが、エキソン3’末端での「CAC」の組合せは、植物においていずれのスプライス部位でも検出されていなかった(Brown 1986)。第5エキソンは、2つの隣接イントロンと一緒にスプライスアウトされる。スプライス部位周辺に変異を持つアラビドプシス変異体の分析により、植物スプライシングにおけるエキソンスキップのいくつかの例が明らかになっている(Brown及びSimpson、1998による総説)。これらの変異のほとんどは、スプライス認識部位のイントロン部分に位置する。本発明者らの知るところによれば、植物において、今日まで、スプライス認識部位のエキソン部分中の変異に起因したエキソンスキップを示す唯一の変異体は、アラビドプシスにおけるspy−1変異体であり(Jacobsenら、1996)、この変異体では、第8エキソンの末端のCAG/GTTTGA(エキソン3’/イントロン5’)スプライス認識部位は、CAA/GTTTGAに変異していた。ORF4の変異した対立遺伝子中で観察されたエキソンスキップは、配列の残りの部分のフレームシフトを誘導し、これは結果として、さらに14アミノ酸早い終止コドンを生じた。したがって、完全変異体タンパク質は、野生型についての392アミノ酸長と比較して154アミノ酸長であり、PGに特徴的な4つのドメインをいずれも含まない。
【0056】
3.1 ps−2はクレードBのPGである
ps−2表現型を担う単離された遺伝子は、今日まで未知であったPGである。本発明者らは、頭文字DPG(裂開ポリガラクツロナーゼを示す)を提案し、又はトマト遺伝子の場合にはTDPG(トマト裂開ポリガラクツロナーゼを示す)を提案する。TDPGの系統学的分析により、Hadfield及びBennett(1998)が規定したようなクレードBのPGとの密接な類似性が明らかとなった。ここで、クレードBは、果実PG(とりわけトマト果実PG)、並びに長角果又は鞘裂開PGからなる。他のトマトPGは異なるクレード中にクラスター化する。PG遺伝子ファミリーの多様性が被子植物種の分離の前に生じたという主張(Hadfield及びBennett、1998)に従えば、TDPGはここで、他のクレード由来のトマトPGよりも、他の種由来の同じクレードの遺伝子に対してより密接に関連している。他のトマトPGのほとんどは、器官脱離(TAPG)に関連する。本発明者らの研究において、TDPGの発現は、花及び葉の離層帯では検出されなかった。しかし、葯組織に加えて、本発明者らは、果実においてTDPGのmRNA転写物を検出した。
【0057】
3.2 TDPG転写物の蓄積は、葯の発生と共に増加する
本発明者らは、葯において異なる段階でTDPG転写物の相対レベルを測定した。TDPG転写物は、花芽段階でMoneymakerの葯において既に検出されている。この転写物レベルは段階とともに増加して開花後に最大に達し、このとき葯が裂開する。TDPG転写物蓄積のこの増加は、葯において観察された隔壁及び口辺細胞の縮退並びに内被細胞壁の肥厚化と平行である。ps−2ABLの葯におけるTDPG転写物レベルは、開花前から検出され続けたが、この転写物レベルは、開花時及び開花後では、Moneymakerと比較して非常に低いままであった。変異体mRNAは、ナンセンスとして認識され、ナンセンス媒介mRNA崩壊(NMD)によって分解される可能性が非常に高い。NMDは、品質制御機構として機能して、異常な転写物を排除する(Lejeune及びMaquat 2005)。
【0058】
3.3 TDPGは、エチレン及びジャスモン酸エステルの制御下にある可能性が高い:
TDPGのプロモーター領域におけるエチレン及びジャスモン酸エステル応答性エレメントの存在は、DPG遺伝子の転写が両方のホルモンによって誘導され得ることを示唆している。エチレンは既に、タバコにおける葯の裂開のタイミングに関与している(Rieuら、2003)。より最近、ペチュニアにおいて、エチレンが葯の裂開と開花との同期を調節していることが示された(Wang及びKumar、2006)。さらに、多くの研究が、葯の裂開の過程及びタイミングにおける重要な化合物としてジャスモン酸エステルを既に同定している。JA生合成酵素におけるいくつかの変異体が、この現象の研究のために同定されている。Scottら(2004)は、エチレン及びJAが葯の裂開の制御において重複して作用し得ることを示唆しており、これは、雄しべ内でJAを合成できないdde−1などのアラビドプシス変異体、又はエチレン非感受性Tetr変異体が、なぜ最終的に葯の裂開を受けるかを説明するであろう。
【0059】
本研究において、本発明者らは、他の変異体において裂開が遅延するのとは対照的に、ps−2ABLの葯が裂開しないままであることを示しており、これは、DPGが葯の裂開の制御においてエチレン及びJAの下流で作用し、DPGがこの過程の主役であるという仮説を強化している。
【0060】
3.4 TDPGは、トマト果実の熟化においても役割を果たし得る:
今日までに同定された唯一のトマト果実ポリガラクツロナーゼであるTFPGは、果実軟化の過程における主役の1つとして特徴付けられている。TFPGのアンチセンス抑制は、より長い保存寿命を有するトマト果実の作出を導いているが、この果実は成熟し、これは、他の役者もまた果実軟化の過程において関連のある役割を果たしていることを示している(Smithら、1988)。DPGは、果実の細胞壁の分解に寄与することによって、充分にこれらの役者の1つたり得る。TDPG転写物は、Moneymakerにおいて果実発生の後期段階で検出された(図8)。最大の転写物は、成熟段階(57dap)で見出された。同様に、TFPGは、緑熟段階又はブレーカー段階から始まる熟化段階でのみ検出されてきた(Thompsonら、1999;Erikssonら、2004)。TFPGのレベルは、栽培品種AC及びLibertoにおいて、ブレーカー段階から成熟果実まで時間と共に増加することも見出されている(Thompsonら、1999)。
【0061】
トマトにおいて、エチレンによるPG mRNA蓄積の調節は長い間不明のままであったが、TFPG蓄積は、果実熟化の過程においてエチレン依存的であったことが実証されている(Sitrit及びBennett、1998)。一致して、EREモチーフが、TFPGのプロモーター中で見出されている(Montgomeryら、1993)。エチレンは、果実熟化の制御における主要な植物ホルモンとして示されている(Giovannoni、2004による総説)。エチレンの生合成経路中の律速酵素に対するアンチセンスRNAの発現は、トマトにおいて果実の熟化を阻害し、結果としてTFPGの産生をダウンレギュレートする(Oellerら、1991;Sitrit及びBennett、1998)。
【0062】
この研究の初期に、本発明者らは、プロモーター配列中のEREモチーフの存在に起因して、DPGがエチレンの制御下にあることを示唆した。トマト果実におけるエチレンの抑制は、TFPG及びTDPGの両方を阻害する可能性が高く、したがって、果実熟化の過程を完全に防止する。葯の裂開及び果実成熟におけるDPGのホルモン制御に関する単純化されたモデルを図8中に示す。
【0063】
果実の成熟及び保存寿命におけるDPGの役割がTFPGと同様に重要であるかどうかは明らかではない。葯の手動による開放後のps−2ABLとMoneymaker又は任意の正常トマト系統との間の比較は、遺伝的背景の差異に起因して信頼性がない。正常なトマト系統におけるアンチセンスRNA又はRNAiによるDPGのノックアウトは、この問題に答え得るであろう。人工授粉から成熟果実段階までの時間及び果実保存寿命が測定され、果実におけるDPGの影響を評価するために、形質転換されていないコントロールに対して比較され得るであろう。他の植物種におけるTDPGホモログのノックアウトも、その最終段階における葯の裂開の制御が種間で保存されているかどうかを確認するための、価値ある興味の対象である。
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】


− 太字のヌクレオチド「G」は、変異の位置を示す。
− 保存されたタンパク質ドメインは、下線付き太字で示す。
− イントロンの位置は、配列の上の黒い矢印で示す。
− 準完全コード配列を増幅するために使用したプライマー配列の位置は、灰色で示す。
【0064】
(参考文献)








【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記ヌクレオチド配列が、
(a)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも55%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;
(c)その相補鎖が(a)又は(b)のヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列;及び
(d)遺伝暗号の縮重により(c)のヌクレオチド配列の配列と異なるヌクレオチド配列
からなる群より選択される核酸分子。
【請求項2】
配列番号1の連続する少なくとも26ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項3】
植物においてDPG(Dehiscence Polygalacturonase)対立遺伝子を検出、単離、増幅及び/又は分析する方法であって、植物の核酸を含む試料を提供するステップと、前記植物の核酸を、請求項1に記載のヌクレオチド配列の連続する少なくとも10ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む核酸分子とハイブリダイズさせるステップとを含む方法。
【請求項4】
DPG対立遺伝子がps−2対立遺伝子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ps−2対立遺伝子が、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTを有する対立遺伝子、好ましくは、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCを有する対立遺伝子である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
マーカー補助育種における、請求項1に記載のヌクレオチド配列の連続する少なくとも10ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む核酸分子の使用。
【請求項7】
マーカー補助育種がps−2対立遺伝子の検出を含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
ps−2対立遺伝子が、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTを有する対立遺伝子、好ましくは、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCを有する対立遺伝子である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
非裂開葯を有する植物を作出する方法であって、
a)第1の植物をps−2対立遺伝子についてホモ接合型である第2の植物と交雑するステップ;
b)F1世代及びさらなる世代を、反復親である第1の植物と少なくとも2世代にわたって戻し交雑するステップ;及び
c)b)で得られた最後の戻し交雑世代を少なくとも1世代にわたって自殖するステップ
を含み、ステップb)及びc)の少なくとも1つにおいて分子マーカーを使用して、ps−2対立遺伝子についてホモ接合型である植物を選択する方法。
【請求項10】
分子マーカーが、DPG対立遺伝子に特異的なマーカーであり、請求項1に記載のポリガラクツロナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はその一部の100kb以下の植物ゲノム内に存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
分子マーカーが、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTであるか又はこれらを検出し、そのうち、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCが最も好ましい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
DPG対立遺伝子中に変異を有する植物を作出する方法であって、
a)植物複合体の種子を変異誘発するステップ;
b)a)で得られた変異誘発種子の植物を成長させるステップ;
c)任意選択で、b)で得られた植物を少なくとも1世代にわたって戻し交雑するステップ;及び
d)b)又はc)で得られた植物をDPG対立遺伝子中の変異の存在についてスクリーニングするステップ
を含む方法。
【請求項13】
DPG−対立遺伝子中の変異が、前記対立遺伝子をps−2対立遺伝子にする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ps−2対立遺伝子が、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてC、A又はTを有する対立遺伝子、好ましくは、DPG遺伝子の第5エキソンの3’末端の最後のヌクレオチドとしてCを有する対立遺伝子である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
非裂開葯を有するトランスジェニック植物を作出する方法であって、請求項1に記載のDPGをコードするヌクレオチド配列の断片を少なくとも含む核酸構築物又はその相補体で植物細胞を形質転換するステップを含み、植物細胞における前記核酸構築物の存在は、位置不稔性及び非裂開葯をもたらすレベルまで、DPG活性の発現を減少させる方法。
【請求項16】
前記ヌクレオチド配列が、植物細胞中での発現のためのプロモーターに作動可能に連結され、前記ヌクレオチド配列の発現が、RNA干渉によりDPG活性の発現を減少させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
核酸構築物が相同組換えのための構築物であり、前記ヌクレオチド配列が、位置不稔性及び非裂開葯をもたらすレベルまで、DPG活性の発現を減少させる変異を含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
植物細胞中での発現のためのプロモーターに作動可能に連結された、請求項1に記載のDPGをコードするヌクレオチド配列の断片又はその相補体を少なくとも含む核酸構築物。
【請求項19】
前記断片が、請求項1に記載のDPGをコードするヌクレオチド配列又はその相補体と少なくとも60%の配列同一性を有する連続する30ヌクレオチドの配列を含む、請求項18に記載の核酸構築物。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534471(P2010−534471A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518136(P2010−518136)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050352
【国際公開番号】WO2009/014430
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510005890)ウェスタン シード インターナショナル ベスローテン フェンノートシャップ (2)
【Fターム(参考)】