説明

新規マクロライド化合物

【課題】 新規な渦鞭毛藻ならびに新規な抗ガン剤となり得るマクロライド化合物を提供する。
【解決手段】 本発明は、渦鞭毛藻アンフィジニウム(Amphidinium sp.)HYA024株で表される渦鞭毛藻が産生するマクロライド化合物に関する。本発明のマクロライド化合物はヒトの腫瘍細胞に対して優れた増殖抑制効果を有しており、新規な抗ガン剤として利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規マクロライド化合物、当該マクロライド化合物を有効成分とする抗ガン剤及び当該マクロライド化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗ガン剤と称される化合物は、その由来や化学構造を含め、極めて多岐にわたる化合物が多数開発されてきている。これは、抗ガン剤が発揮し得る副作用の存在、抗ガン剤の長期使用による薬剤耐性ガン細胞の発生、またガンの種類による薬効の相違などの理由から、常に新たな抗ガン剤の開発が現実に臨まれているからである。
【0003】
抗ガン剤あるいはその候補化合物を提供し得る天然資源の一つに、海藻や単細胞藻類が知られている。その中でも、渦鞭毛藻が産生するアンフィジノライドと総称されるマクロライド化合物は、強力な抗腫瘍活性を有する化合物として期待されている(非特許文献1)。 しかしながら、先の理由から、依然として抗ガン剤、特に海産生物由来の抗腫瘍物質の探索ならびに開発は、常に解決すべき課題として存在している。
【非特許文献1】J.Kobayashiら、Teterahedron Lett.、1986年、第27巻、第5755頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、渦鞭毛藻由来の優れた抗腫瘍物質を探索し、新規な抗ガン剤とそれを産生する新規渦鞭毛藻株を提供するものである。
【0005】
本発明者らは、天然界から新規な渦鞭毛藻株を単離し、この渦鞭毛が産生する新規マクロライド化合物が腫瘍細胞増殖抑制効果を有し、抗ガン剤として利用可能であることを見出し、下記の各発明を完成した。
【0006】
1)下記一般式1、式2若しくは式3で表される化合物又はそれらの塩。
【0007】
【化4】

【0008】
【化5】

【0009】
【化6】

(式1〜3において、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素または酸素保護基である)
【0010】
2)1)に記載のいずれか1種以上の化合物を有効成分とする抗ガン剤。
【0011】
3)渦鞭毛藻であるアンフィジニウム(Amphidinium sp.)HYA024株を培養する行程、及び培養物から請求項1に記載の化合物の少なくとも一つを回収する行程を含む、請求項1に記載の化合物を製造する方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマクロライド化合物はヒトの腫瘍細胞に対して優れた増殖抑制効果を有しており、新規な抗ガン剤として利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のマクロライド化合物は、渦鞭毛藻であるアンフィジニウム(Amphidinium sp.)の新規株が産生する、抗腫瘍活性を有する化合物であり、下記式1〜式3で表される化学構造を有する。
【0014】
【化7】

【0015】
【化8】

【0016】
【化9】

(式1〜3において、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素または酸素保護基である)
【0017】
式1〜3の各化合物のうち、特に好ましい化合物は下記式4〜6で表される。
【0018】
a)式4の化合物(式1においてR、R、R、R、Rは水素である化合物)
【0019】
【化10】

【0020】
形状:無色油状、溶解性:アルコール、クロロホルム、酢酸エチル、アセトンに可溶でヘキサン、水に不溶、分子量測定:m/z 531 (M+Na)+、1H-NMRスペクトル(600MHz、重クロロホルム中)δ 0.97 (3H, d, 6.6Hz, H3-27), 0.99 (3H, d, 6.6Hz, H3-28), 1.03 (3H, d, 6.6Hz, H3-26), 1.45 (1H, m, H-5), 1.57 (1H, m, H-5), 1.59 (1H, m, H-8), 1.66(1H, m, H-8), 1.73 (3H, brs, H3-25), 1.75 (3H, brs, H3-29), 1.86 (1H, m, H-3), 1.96 (1H, m, H-7), 1.99 (1H, m, H-3), 2.02 (1H, m, H-19), 2.05 (1H, m, 1H-19), 2.23 (1H, m, H-20), 2.32 (1H, m, H-14), 2.41 (1H, m, H-14), 2.45 (1H, m, H-16), 2.51 (2H, m, H2-2), 3.57 (1H, brs, H-10), 3.73 (1H, m, H-9), 3.93 (1H, brd, 10.0Hz, H-6), 4.03 (1H, brs, H-4), 4.33 (1H, m, H-11), 4.78 (1H, brt, 11.4Hz, H-15), 5.27 (1H, dd, 8.0, 14.6Hz, H-17), 5.44 (1H, m, H-18), 5.45 (1H, m, H-21), 5.67 (1H, dd, H-12), 5.73 (1H, m, H-13), 5.77 (1H, brd, 10.2Hz, H-23), 6.17 (1H, dd, 10.2, 14.7Hz, H-22)、13C-NMRスペクトル(150MHz、重クロロホルム中)δ 15.2 (CH3, C-26), 17.1 (CH3, C-27), 18.2 (CH3, C-25), 20.1 (CH3, C-28), 25.9 (CH3, C-29), 30.0 (CH2, C-2), 31.1 (CH2, C-3), 33.6 (CH2, C-14), 35.4 (CH2, C-8), 35.5 (CH, C-7), 36.6 (CH2, C-5), 37.1 (CH, C-20), 40.3 (CH2, C-19), 40.4 (CH, C-16), 68.5 (CH, C-9), 71.1 (CH, C-4), 73.0 (CH, C-11), 73.6 (CH, C-6), 77.1 (CH, C-10), 78.0 (CH, C-15), 125.1 (CH, C-22), 125.1 (CH, C-23), 128.3 (CH, C-13), 130.4 (CH, C-18), 130.8 (C, C-24), 132.1 (CH, C-12), 133.2 (CH, C-17), 137.0 (CH, C-21), 174.5 (C, C-1)
【0021】
b)式5の化合物(式2においてR、R、R、R、Rは水素である化合物)
【0022】
【化11】

【0023】
溶解性:アルコール、クロロホルム、酢酸エチル、アセトンに可溶でヘキサン、水に不溶、分子量測定:m/z 559 (M+Na)+、1H-NMRスペクトル(600MHz、重クロロホルム中)δ 0.99 (3H, d, 6.8Hz, H3-31), 1.07 (3H, d, 7.0Hz, H3-27), 1.15 (3H, d, 6.8Hz, H3-28), 1.17 (3H, d, 6.8Hz, H3-26), 1.20 (3H, d, 6.8Hz, H3-25), 1.45 (1H, m, H-8), 1.59 (1H, m, H-9), 1.61 (1H, m, H-9), 1.64 (1H, m, H-8), 1.66 (1H, m, H-11), 1.82 (1H, m, H-20), 1.85 (1H, m, H-20), 1.88 (1H, m, H-11), 1.96 (1H, m, H-6), 2.05 (1H, m, H-10), 2.10 (1H, m, H-23), 2.12 (1H, m, H-19), 2.15 (1H, m, H-12), 2.23 (1H, m, H-13), 2.32 (1H, m, H-3), 2.33 (1H, m, H-2), 2.36 (2H, m, H-6 and H-15), 3.60 (1H, m, H-7), 3.65 (1H, m, H-24), 3.97 (1H, m, H-10), 4.04 (1H, m, H-12), 4.26 (1H, m, H-16), 4.91 (1H, s, H-30), 4.93 (1H, s, H-30), 5.01 (1H, s, H-29), 5.07 (1H, s, H-29), 5.30 (1H, dt, 13.3 and 5.6 Hz, H-19), 5.42 (1H, ddd, 5.5, 8.8 and 15.4 Hz, H-5), 5.52 (1H, dd, 6.9 and 15.4 Hz, H-4), 5.69 (1H, dd, 5.6 and 15.8 Hz, H-18), 5.72 (1H, dd, 5.7 and 15.8 Hz, H-17)、13C-NMRスペクトル(150MHz、重クロロホルム中)δ 14.1 (CH3, C-28), 16.3 (CH3, C-26), 16.4 (CH3, C-31), 18.4 (CH3, C-27), 20.3 (CH3, C-25), 29.4 (CH2, C-21), 31.6 (CH2, C-9), 32.0 (CH2, C-8), 32.6 (CH2, C-20), 38.0 (CH2, C-11), 39.9 (CH2, C-6), 40.4 (CH, C-3),43.6 (CH2, C-15), 43.8 (CH, C-13), 45.8 (CH, C-2), 48.9 (CH, C-23), 69.2 (CH, C-10), 69.8 (CH, C-12), 69.8 (CH, C-7), 69.9 (CH, C-24), 70.3 (CH, C-16), 73.3 (CH, C-19), 110.8 (CH2, C-30), 113.8 (CH2, C-29), 126.0 (CH, C-5), 129.4 (CH, C-17), 135.1 (CH, C-18), 137.6 (CH, C-4), 148.5 (C, C-14), 151.1 (C, C-22), 175.7 (C, C-1)
【0024】
c)式6(式3においてR、R、R、R、R、R及びRが水素である化合物)
【0025】
【化12】

【0026】
形状:無色固体、溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、エタノール、メタノールに可溶で水、ヘキサンに不溶、分子量測定:m/z 663 (M+Na)+、1H-NMRスペクトル(600MHz、重クロロホルム中)δ0.84 (3H, d, 6.8 Hz, H3-34), 0.90 (3H, t, 6.6 Hz, H3-31), 0.97 (3H, d, 6.8 Hz, H3-33), 1.28 (3H, d, 6.8 Hz, H3-32), 1.28 (2H, m, H2-30), 1.33 ~ 1.48 (6H, m, H-11, H-12, H-15, H-28, and H2-29), 1.52 (1H, m, H-18), 1.60 ~ 1.75 (7H, m, H2-6, H-11, H-12, H-15, H-18, and H-29), 2.02 (1H, m, H-14), 2.08 (1H, m, H-19), 2.35 (1H, ,m, H-19), 2.51 (1H, m, H-26), 3.23 (1H, m, H-2), 3.44 (1H, m, H-17), 3.58 (1H, m, H-8), 3.71 (1H, m, H-10), 3.82 (1H, m, H-9), 4.10 (1H, m, H-13), 4.10 (1H, m, H-7), 4.13 (1H, m, H-27), 4.29 (1H, m, H-24), 4.42 (1H, m, H-5), 5.00 (1H, m H-25), 5.59 (1H, dd, 4.0 and 15.8 Hz, H-23), 5.61 (1H, dd, 3.4 and 15.4 Hz, H-4), 5.74 (1H, m H-20), 5.81 (1H, m, H-3), 6.09 (1H, dd, 10.3 and 15.8 Hz, H-21), 6.17 (1H, dd, 10.3 and 15.8 Hz, H-21)
【0027】
本発明のマクロライド化合物を産生する渦鞭毛藻は、沖縄県西表島の海水からそれぞれ単離された、アンフィジニウム((Amphidinium sp.)HYA024株と同定される、新規の渦鞭毛藻であることが明らかとなった。本発明の渦鞭毛藻HYA024株は、高知大学海洋コア総合研究センターにて保管されている。
【0028】
本発明のマクロライド化合物は、渦鞭毛藻HYA024株を適当な条件下で培養することで製造することができる。培養条件の例としては、120℃、20分間オートクレーブ滅菌した海水に下記表1に示す組成を有する海水補強栄養剤を1%の濃度で添加し、さらに3mM NaHCOをpH7.3〜8.5になるように添加し、孔径0.22μmのフィルターを用いてろ過滅菌を行って調製される培養液に渦鞭毛藻HYA024株を接種し、25℃、培養期間中、明期時間16時間、暗期時間8時間の周期で3000ルクスの光を当てながら、14日間程度静置培養すればよい。
【0029】
【表1】

【0030】
ただし、これらの培地組成や培養温度等の培養条件は限定的なものではなく、適宜調節ないし選択することができることはいうまでもない。
【0031】
培養物中に生産蓄積されたマクロライド化合物を回収するには、あらかじめ遠心分離あるいは濾過などで分離して得られた培養藻体に対して、当該マクロライド化合物の理化学的性質を考慮して、代謝産物を採取するのに通常用いられる分離、精製の手段を適宜利用すればよい。例えば、培養藻体に対してメタノール等の溶剤、好ましくはメタノール/トルエン(3:1)で抽出操作を行い、得られる抽出液(トルエン画分)からマクロライド化合物をさらにジクロロメタン等の有機溶剤で抽出したり、カラムクロマトグラフィーによってマクロライド化合物を吸着、溶出させたりすればよい。さらに必要に応じてさらに精製操作を行って、所望の純度を有するマクロライド化合物として回収し、製造することが出来る。クロマトグラフィーで用いられる担体としては慣用の無機及び有機の担体、例えばシリカゲル、ポリビニル樹脂、ポリスチレン樹脂などが利用される。
【0032】
本発明のマクロライド化合物は、例えば医薬品分野等の抗ガン剤として有用である。本発明の化合物は、単独で用いてもよいし、又は一般に製剤上許容される無機または有機の一種、あるいは数種のベヒクル、坦体、賦形剤、崩壊剤、結合剤、光沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、懸濁補助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤等と共に混和、製剤化してもよい。
【0033】
製剤の剤型は投与経路あるいは投与計画等によって適宜決定すればよい。投与形態は、経口投与、経腸投与、非経口投与もしくは局所投与等が挙げられ、非経口投与としては、例えば、注射剤として静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与とすることができる。また従来公知の技術を用いて顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤等の剤型に製剤化することができる。散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤を製造する際には、コーンスターチ、ゼラチン、デキストリン等の結合剤、カオリン、炭酸カルシウム、微晶性セルロース等の賦形剤、デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の崩壊剤、タルク等の光沢剤、乳糖、ショ糖等の甘味剤等を、本発明のマクロライド化合物と共に配合することができる。また、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、液剤等の液体製剤を製造する際には、水や植物油等の一般的に用いられる不活性な希釈剤の他、湿潤剤、懸濁補助剤、甘味剤、着色剤、防腐剤、安定剤等を本発明のマクロライド化合物と共に配合することができる。
【0034】
注射剤等の非経口投与製剤の製造に用いられる溶剤または懸濁化剤としては、例えば水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、レシチン等が挙げられる。
【0035】
本発明のマクロライド化合物の臨床投与量は、経口投与により用いる場合には、成人一人に対し概ね0.1〜100mg、好ましくは1〜10mgであるが、年齢、病状、症状、他の薬物等の同時投与の有無により、適宜増減することがさらに好ましい。
【実施例】
【0036】
実施例1
120℃、20分間オートクレーブ滅菌した海水に前記表1に示す組成を有する海水補強栄養剤を1%の濃度で添加し、さらに3mM NaHCOをpH7.3〜8.5になるように添加し、孔径0.22μmのフィルターを用いてろ過滅菌を行って調製される培養液に、渦鞭毛藻HYA024株を接種し、25℃、培養期間中、明期時間16時間、暗期時間8時間の周期で3000ルクスの光を当てながら、14日間静置培養した。
【0037】
遠心分離操作で回収し渦鞭毛藻を凍結乾燥し、凍結乾燥物15.3gに500mLのメタノール/トルエン(3:1)を加えて撹拌(3回)後、500mLの水を加え、さらに500mLのトルエンで3回抽出した。全トルエン画分(2g)をシリカゲルカラム(溶出液:CHCl/MeOH)にかけ、さらにSep−Pak C18カラム(溶出液アセトニトリル:水=7:3)、NH−SiOカラム(溶出液ヘキサン:アセトン=2:1)次いでYMC−Pack Pro C18カラム(YMC社製、溶出液:アセトニトリル/水=60:40、流速:2mL/分、検出:UV210nm)で精製し、6種類のマクロライド化合物と想定される化合物を分離、回収した。
【0038】
得られた6種の化合物について、高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)により分子量を確認し、さらにNMR(核磁気共鳴)を中心としたスペクトルデータ測定を行って、6種の化合物の化学構造式を式4、式5及び式6と決定した。
【0039】
【化13】

【0040】
高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)(m/z 531.3298 ([M+Na]+))
分子量(C29H48O7Na、計算値531.3297)
【0041】
【化14】

【0042】
高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)(m/z 559.3626 ([M+Na]+))
分子量(C31H52O7Na、計算値559.3611)
【0043】
【化15】

【0044】
高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)(m/z 663.3728 ([M+Na]+))
分子量(C34H56O11Na、計算値663.3720)
【0045】
実施例2
10%仔牛血清(Moregate社)及び10%牛胎児血清(Hyclone社)を含むRPMI−1640培地(SIGMA社)(以下、培養液とする)に、ヒトBurkitt’sリンパ腫細胞株(DG−75、ATCC No.CRL−2675)、又はヒトBurkitt’sリンパ腫細胞株(Raji、ATCC No.CRL−86)を1×10/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液50μlを96ウエルマイクロプレートに添加した後、上記培養液を49μl加え、全量を99μlとした。DMSOに溶解した式(4)〜式(6)で表される化合物、5−FU(Wako社)(いずれも0.0001〜10μg/mL)をウェルに1μlずつ添加し、37℃、CO濃度5%、72時間培養した。培養後、各ウェルにWako cell counting Kit−8(Wako社)を10μl添加し、COインキュベーター内で3時間呈色反応を行い、マイクロプレートリーダーで450nm(参照波長620nm)にて測定した吸光度から増殖阻害率を次式より算出し、増殖阻害率が50%を示す培養液中の化合物濃度をIC50値として算出した。
阻害率(%)=(1−(サンプル/ブランク))×100
【0046】
表2に各新規マクロライド化合物及び既存抗ガン剤のIC50値(単位μg/mL)を示す。
【0047】
【表2】

【0048】
これらの結果から、新規マクロライド化合物が高い抗腫瘍活性を有する優れた抗ガン剤となることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1、式2若しくは式3で表される化合物又はそれらの塩。
【化1】

【化2】

【化3】

(式1〜3において、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素または酸素保護基である)
【請求項2】
請求項1に記載のいずれか1種以上の化合物を有効成分とする抗ガン剤。
【請求項3】
渦鞭毛藻であるアンフィジニウム(Amphidinium sp.)HYA024株を培養する行程、及び培養物から請求項1に記載の化合物の少なくとも一つを回収する行程を含む、請求項1に記載のいずれかの化合物を製造する方法。

【公開番号】特開2009−249319(P2009−249319A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97610(P2008−97610)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】