説明

新規ミルクシスル抽出物、調製方法、および使用

本発明は、ミルクシスル果実抽出物、特に、増加された放出率および改善された被吸収性を有するフラボノリグナンの調製物の調製方法、ならびにその使用、特に、肝疾患の処置および予防のための使用に関する。本発明は、80%以上のシリマリン放出率を有するミルクシスル果実抽出物を調製する方法であって、15〜85重量%、特に、30〜65重量%のシリマリンを含有する抽出物を無水アルコール中に溶解し、必要に応じて濾過し、濃縮し、次いで乾燥させ、必要に応じて粉砕することを特徴とする、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルクシスル(Mariendistel)果実抽出物、特に、増加された放出率および改善された被吸収性を有するフラボノリグナンの調製物の調製方法、ならびにその使用、特に、肝疾患の処置および予防のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルクシスル(オオアザミまたはマリアアザミ(Silybum marianumまたはCarduus marianus))は、特にヨーロッパ南西部および中央ヨーロッパ(オーストリア、ハンガリー)で栽培され、ユーラシア、北米、南米、およびオーストラリアにおいて帰化した植物である。生産地域はまた、中国にも見出される。
【0003】
種々の形態の肝臓および胆嚢の機能不全の処置および予防における、ミルクシスル(種子および果実)からの薬物の効能は公知である。この薬物は、果肉が取り除かれた熟果から成り、1.5%の最小のシリマリン含有量を有する(非特許文献1)。ミルクシスルから作られたチンキ剤(通常は、この薬物のアルコール抽出物)が古くから知られている。単離されたシリマリンが、特に適切である(例えば特許文献1、特許文献2(Madaus))。
【0004】
シリマリンはフラボノリグナン複合体、すなわちポリヒドロキシフェニルクロマノンであり、1960年代に初めて植物から単離された(非特許文献2(特許文献8)、非特許文献3)。
【0005】
シリマリンはフラボノリグナン複合体I−IVの混合物から成る。具体的には、その主要成分は4つのフラボノリグナン類であり、すなわちシリビン(シリビニン)(シリマリンI)、シリジアニン(シリマリンII)、シリクリスチン(シリマリンIII)
【化1】

およびイソシリビン(シリマリンIV)である。これらのフラボノリグナン類において、タキシフォリン(Taxifolin)はコニフェリルアルコールに結合する。
【0006】
さらに公知の第2の成分は、デヒドロシリビン、3−デソキシシリクリスチン(3−Desoxysilybin)、デソキシシリジアニン(Desoxysilydianin)(シリモニン)、シリアドリン(silyadrin)、シリビノム(silybinom)、シリエルミン(silyermin)およびネオシリメリン(neosilymerin)である。
【0007】
ミルクシスルの果実は抽出物を調製するために用いられる。ミルクシスルからのそのような抽出物およびそれを調製するための方法は、例えば特許文献1、特許文献3(Madaus)に開示されているように、従来技術において既に記載されている。
【0008】
好ましくは、ミルクシスル果実の乾燥抽出物(Extr. cardui mariae fruct.Siccum)もまた公知であり、これは、とりわけ抽出剤である酢酸エチルを用いて植物性薬剤(Pflanzendroge;plant drug)から得られ、適用可能な欧州薬局方(Ph.Eur.)に従って規格化されている。
【0009】
乾燥抽出物のための定められた要件は、好ましくは30〜65重量%のシリマリン含有量(他の含有量範囲も可能)であり、シリマリン部分は以下の画分を含む:
40〜65重量%:
シリビン(シリビニン)AおよびB(ジアステレオマー混合物、C2522OH10分子量482.4)、ならびに
10〜20重量%
イソシリビニンAおよびB(ジアステレオマー混合物、C2522OH10分子量482.4)、ならびに
20〜45重量%:
シリダニン(Silidanin)およびシリクリスチン(C2522OH10分子量482.4)。
【0010】
抽出物の調製のために、通常、原材料(この場合、植物性薬剤)を脱脂し、抽出し、濾過し、(再度)濃縮し、そして精製する。
【0011】
(必要に応じて水性の)酢酸エチル/エタノール/アセトン/メタノールまたは上記で参照した溶媒を有する水性混合物を用いる上述した一連の抽出のために、通常、濾過を行い、その後濃縮する。次いでエタノールおよびヘキサンを用いて精製(さらなる脱脂)を行い、このようにして上記で参照した含有量のシリマリンを得る。
【0012】
このような組成物は、Ph.Eur. 5.7;2.9.3(例えばバスケット方式(koerbchenmethod;basket method)、パドルモデル(Paddle−Modell;paddle model)を用いて各々有効な版における01/2006:20903)に従って測定された、30〜約40%のシリマリン放出率を可能とする。
【0013】
しかしながら、天然の抽出物におけるシリマリン放出率を増加させる必要性が大いにある。
【0014】
これらのフラボノリグナンが水に対する溶解性を殆どまたは全く有さないことは公知である(純シリマリンの溶解性はpH6.9において約0.08mg/mLである)。この溶解性の特性に起因して、これらの化合物の放出率およびヒトまたは哺乳動物の体における実際のそれらの生物学的利用能/被吸収性は不十分である。
【0015】
その放出率を増加させるために、例えば多価アルコール、アミノ糖、またはエステルを用いてフラボノリグナンを誘導体化する、あるいは、シクロデキストリン等の包接化合物を用いて(特許文献4(Madaus))、または錯体形成化合物、例えばホスファチジルコリンを用いてそれらを合成することが試みられている。
【0016】
しかしながら、有害な副作用をもたらす生理学的異物が生じ得ることは不都合である。
【0017】
放出率を、1−ビニル−2−ピロリドン、マンニトール、およびその他等のキャリア物質を使用することで増加し得ることもまた従来技術から公知である(特許文献5、特許文献6(Madaus))。さらに、ポリソルベート(界面活性剤(tensid)等の湿潤剤が必要である。特許文献7はPEGを使用したシリマリンの共沈物を開示する。しかしながら、これらの参照した方法の全ては、投薬がより困難であり、不明確に規定された副作用を有する異物が生じ得るといった不都合を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国特許第1923982号明細書
【特許文献2】独国特許第1767666号明細書
【特許文献3】独国特許第2914330号明細書
【特許文献4】欧州特許第0422497B1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0722918B1号明細書
【特許文献6】米国特許第5,906,991号明細書
【特許文献7】欧州特許第1021198B1号明細書
【特許文献8】独国特許第2020407号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Pharmacopoea Europaea(Ph. Eur.)2007年
【非特許文献2】学位論文、Janiak Bernhard、1960年6月、FU−Berlin
【非特許文献3】Pelter A., Haunsel R., Tetrahedron Letters、25、(1968年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の目的は、改善されたミルクシスル果実抽出物、特に、本来の特性を維持しつつ、有利に改善されたシリマリン放出率を有するものを提供することである。本発明の目的は、本質的に、添加剤、補助剤、キャリア物質、または湿潤剤無しで抽出物を調製することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、以下の工程:
(a)植物の薬剤を、中程度の極性を有する溶媒(例えば、必要に応じて水性画分を含有する、酢酸エチル、エタノール、アセトン、メタノール)を用いて、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃で抽出する工程、
(b)分離し、好ましくは濾過する工程、
(c)60℃未満、好ましくは40℃未満の温度で、好ましくは真空下で攪拌して濃縮する工程、および(c’)必要に応じて温水で洗浄する工程、
(d)エタノール、好ましくは96%以上のエタノール、または同様の極性の溶媒と混合し、次いで、ヘキサンまたは同様の極性の溶媒と混合し、好ましくは1〜100mbarの圧力で濃縮し、生じたエタノール−水相を除去する工程、
(e)乾燥させ、必要に応じて粉砕する工程、
(f)無水アルコール中、好ましくはエタノール中に溶解する工程、
(g)必要に応じて濾過し、濃縮する工程、ならびに
(h)乾燥させ、必要に応じて粉砕する工程
による、ミルクシスル果実抽出物を調製するための方法を提供することによって達成される。
【0022】
驚くべきことに、付加的な工程(f)は、シリマリン放出率の80%までの著しい増加を生じる(比較実施例を参照)。このことは、本発明に係るミルクシスル果実抽出物のより少ない投与量を実現するので特に有利である。従来技術においては、添加剤、補助剤、キャリア物質、および湿潤剤を用いてのみ達成可能であった性質を得たこともまた有利である。
【0023】
工程(f)における用語「無水アルコール」は、好ましくはC1−C4アルコール、特に好ましくは、例えば99%、またはさらに99.5%の純度のエタノールを含む。
【0024】
したがって、本発明は、さらに、80%以上のシリマリン放出率を有するミルクシスル果実抽出物を調製する方法に関し、ここで15〜85重量%、特に30〜65重量%のシリマリン含有量を有する抽出物を無水アルコール中に溶解し、必要に応じて濾過し、濃縮し、次いで乾燥させ、必要に応じて粉砕する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、X線構造解析を用いたシリビニンCh.−B.:194051およびシリビニンCh.−B.:7085iの比較に基づいた、改変された結晶変性物を示す図である。
【図2】図2は、完全角測定範囲(kompletten Winkelmessbereich;complete angular measurement)において得られた図である。
【図3】図3は、完全角測定範囲において得られた図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の範囲内で、「シリマリン」は、(少なくとも)4つの物質、すなわちシリビン、シリジアニン、シリクリスチン、およびイソシルビンを種々の濃度で含有する物質の混合物をいう。これらの物質の互いの割合、およびこの混合物中のさらなる物質の存在は重要ではない。しかしながら、これらの物質は、それぞれ現時点で有効な版のPh.Eur.または独薬局方(DAB)の要件に適合することが好ましい。これは、本発明についても好ましい。
【0027】
「80%以上のシリマリン放出率」は、活性物質が水溶液中で少なくとも80%溶解できる(Ph.Eur.に従った基準;実施例を参照)ことを意味する。
【0028】
これは有利に改善された被吸収性をもたらす。
【0029】
得られたミルクシスル果実抽出物は、方法の工程(f)の結果として、生じた抽出物中の結晶画分が著しく低減され、本質的に非晶質の結晶変性物を有するミルクシスル果実抽出物が得られるという点において特に適切である。
【0030】
したがって、本発明は、本質的に非晶質の結晶変性物を有する新規ミルクシスル果実抽出物またはフラボノリグナンの調製物に関する(図1のX線構造解析の比較試験を参照)。
【0031】
1つの特に好ましい実施形態において、本発明は、非晶質の結晶変性物から成る新規ミルクシスル果実抽出物またはフラボノリグナン調製物に関し、ここでその結晶画分は20%未満、好ましくは10%未満、特に好ましくは7%未満、さらには5%である。
【0032】
したがって、本発明はさらに、本発明に係るミルクシスル果実抽出物から成る医薬、または、肝臓および胆嚢の機能不全、特に、毒性の肝障害(脂肪肝、アルコール)、キノコ中毒などの肝臓症(ヘパトーゼ;Hepatose)、急性肝不全、肝臓の壊死、肝栄養障害症、肝硬変、肝線維症、肝腫、および脂肪肝変性、肝不全、ならびに、肝炎、特にC型肝炎の処置および予防のためのその薬剤の使用に関する。
【0033】
本発明はさらに、本発明に係るミルクシスル果実抽出物から成る、本発明に係る医薬を含有する医薬処方物に関する。
【0034】
本発明に係るミルクシスル果実抽出物は、医薬調製物の形態の投与単位で提供されてもよい。これは、その調製物は、例えば錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、坐薬、アンプル剤等の1回分の形態であってもよく、その活性物質含有量が単回投与の一部または複数の単回投与に対応してもよいこと意味する。投与単位は、例えば、1度、2度、3度、または4度の単回投与量、あるいは単回投与量の1/2、1/3、または1/4を含んでもよい。単回投与量は、好ましくは、一回の投与で分配され、かつ、一般的には、1日の投与量、あるいはは半日、1/3日、または1/4日の投与量に対応する活性物質の量を含む。毒性のない不活性の薬学的に適切なキャリア物質は、固体、半固体、または液体の希釈剤、充填剤、およびあらゆるタイプの製剤助剤を意味すると理解される。
【0035】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、顆粒、坐薬、液剤、シロップ剤、懸濁液、および乳剤は、好ましい医薬処方物として挙げられる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒は、通常のキャリア物質、例えば、(a)澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸等の充填剤および増量剤、(b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、(c)グリセリン等の保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(e)パラフィン等の溶解遅延剤、(f)四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、(g)セチルアルコールおよびグリセリンモノステアレート等の湿潤剤、(h)カオリンおよびベントナイト等の吸着剤、ならびに(i)タルク、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに固体ポリエチレングリコール等の滑剤、あるいは(a)から(i)で述べた物質の混合物に加えて、活性物質または複数の活性物質を含んでもよい。
【0036】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒は、必要に応じて乳白剤を含む通常のコーティングおよびシェルと共に提供されてもよく、また、それらが、活性物質または複数の活性物質を、腸管中のみにまたは好ましくはその特定部位のみに、必要に応じて、重合物質およびワックスが、例えば、封入化合物として用いられてもよい遅延様式で搬送する組成物を有してもよい。
【0037】
活性物質または複数の活性物質はまた、必要に応じて上述で参照したキャリア物質の1つ以上と共に、マイクロカプセル化された形態で存在してもよい。
【0038】
活性物質または複数の活性物質に加えて、坐薬は、通常の水溶性または不水溶性のキャリア物質、例えばポリエチレングリコール、脂肪、例えばカカオバター、および高級エステル(例えば、C16脂肪酸を有するC14アルコール)、あるいはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0039】
活性物質または複数の活性物質に加えて、液剤および乳剤は、溶媒、可溶化剤、乳化剤、例えば、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類、特に綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびごま油、グリセリン、グリセリンホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物などの通常のキャリア物質を含んでもよい。
【0040】
活性物質または複数の活性物質に加え、懸濁液は、液体の希釈剤、例えば水、エチルアルコール、およびプロピレングリコール、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビット、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(Aluminiummetahydroxid)、ベントナイト、寒天、およびトラガカントゴム(Tragant)、またはこれらの物質の混合物等の通常のキャリア物質を含んでもよい。参照された製剤はまた、染料、防腐剤、香料添加剤および味覚増進添加剤、例えば、ペパーミント油およびユーカリ油、および甘味料、例えばサッカリンを含んでもよい。
【実施例】
【0041】
(実施例および図)
以下の実施例を用いて本発明について単に説明する。なお、本実施例は、本発明を限定しない。
【0042】
(実施例1)
(シリマリンの放出に関する比較試験)
上述の記載に従って比較抽出物(シリビニンCh.−B.:194051,Ch.−B.:7085i)を調製し、シリビニンCh.−B.:7085iを付加的な方法の工程(f)に従って調製した。
【0043】
以下(シリマリン)の活性物質の放出は、Ph.Eur.に規定された条件(固体の溶解試験;Ph.Eur. 5.7;2.9.3(01/2006:20903))下で、pH7.5で生じた:
【表1】

【0044】
この結果は、工程(f)での無水エタノールを用いた処理により、それまで水溶性の乏しい、非晶質構造および結晶質構造から成るシリビニン混合物を、非晶質の結晶変性物に変換する(すなわち、結晶格子構造を改変する)こと(図1を参照)で、溶解性および活性物質の放出を改善したこと示す。
【0045】
このさらなる方法の工程は、30分後に、シリビニンとして算出された(HPLC−Ph.Eur. 01/2007:2071)、全シリマリンの少なくとも80%の活性物質の放出を有する上述の抽出物の調製を可能にする。これは、本方法が、シリビニンの溶解性だけでなく、他のシリマリン異性体の溶解性をも改善するからである。
【0046】
図1は、X線構造解析を用いたシリビニンCh.−B.:194051およびシリビニンCh.−B.:7085iの比較に基づいた、改変された結晶変性物を示す(条件は実施例2に従う)。
【0047】
X線写真分析を、Bragg−BrentanoジオメトリーおよびX’Celerator検出器を用いて、PANalytical B.V.が提供しているX’Pert Pro MPD回折計で実行した。
【0048】
さらなる比較試験を以下に記載する。
【0049】
(実施例2)
方法
(a)サンプル調製:
生成物の2つの固体粉末サンプル
本発明に係る方法の工程(f)を用いたRef.7233i、および
工程(f)を用いないRef.7232i。
【0050】
(b)粉末法を用いたX線回折解析
0.5ミリメートルの直径のLindemannガラス毛管に挿入された粉末状材料の一部の導入。
【0051】
(c)機材および試験条件:
半径240ミリメートルを有する9/9ゴニオメーターを備えるPANalytical X’Pert Pro MPD回折計、ハイブリッドモノクロメーターを備える平行レンズ(Paralleloptik)、および、スピナー(Spinner)を備える、毛管のためのサンプルホルダーを備えるトランスファージオメトリー(Uebertragungsgeometrie)。
Cu−Ka放射(k=1.5406Å)。
出力:45kV−40mA。
0.19ミリメートルで量を決定するスリット。
0.02の放射量の入射量および回折量を有するソラー(Soller)開口。
【0052】
(d)2122の有効長を有するX’Celeratorの測定単位
0.017のステップサイズおよび1ステップ毎に1500秒の測定時間を有する3°〜60°2θの2θのフラッシング。
【0053】
(e)目的
粉末法を用いたX線回折図の作製。
結晶化率(Kristallisationsgrade)の決定。
【0054】
(f)方法
結晶化率は結晶化指数Ciを用いて、結晶質相および非晶質相から成るサンプル混合物中の結晶質相の重量%である:
Ci=100[Xc/(Xa+Xc)]、ここでXcは非晶質相の重量分率を表す。
Xcの値を、本実施例の角度範囲において、(結晶質相における)全ての狭い部分の領域の合計から決定した。Xaの値を、(非晶質相における)広い部分すなわち「ハロ(Halo)」の領域を決定することによって得た。
【0055】
(g)結果
図2および図3は、完全角測定範囲で得られた図を示す。結晶質相および非晶質相から成るサンプル混合物を用いた。
得られたCiの値は、サンプルRef.7233iに対しては7%(図2を参照)であり、サンプルRef.7232iに対しては24%(図3を参照)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
80%以上のシリマリン放出率を有するミルクシスル果実抽出物を調製する方法であって、15〜85重量%、特に、30〜65重量%のシリマリンを含有する抽出物を無水アルコール中に溶解し、必要に応じて濾過し、濃縮し、次いで乾燥させ、必要に応じて粉砕することを特徴とする、方法。
【請求項2】
80%以上のシリマリン放出率を有するミルクシスル果実抽出物を調製する方法であって、
(a)植物性薬剤を、中程度の極性を有する溶媒(例えば、必要に応じて水性画分を含有する、酢酸エチル、エタノール、アセトン、メタノール)を用いて、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃で抽出する工程、
(b)分離し、好ましくは濾過する工程、
(c)60℃未満、好ましくは40℃未満の温度で、好ましくは真空下で攪拌して濃縮する工程、および(c’)必要に応じて温水で洗浄する工程、
(d)エタノール、好ましくは96%以上のエタノール、または同様の極性の溶媒と混合し、次いで、ヘキサンまたは同様の極性の溶媒と混合し、好ましくは1〜100mbarの圧力で濃縮し、生じたエタノール−水相を除去する工程、
(e)乾燥させ、必要に応じて粉砕する工程、
(f)無水アルコール中、好ましくはエタノール中に溶解する工程、
(g)必要に応じて濾過し、濃縮する工程、ならびに
(h)乾燥させ、必要に応じて粉砕する工程
を特徴とする、方法。
【請求項3】
工程(a)において、前記中程度の極性の溶媒は、酢酸エチル、エタノール、およびメタノールからなる群より選択され、好ましくは酢酸エチルであることを特徴とする、請求項2に記載の80%以上のシリマリン放出率を有するミルクシスル果実抽出物を調製する方法。
【請求項4】
工程(f)において、前記無水アルコールは無水C1−C4アルコールであることを特徴とする、請求項2に記載の80%以上のシリマリン放出率を有するミルクシスル果実抽出物を調製する方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるミルクシスル果実抽出物。
【請求項6】
本質的に非晶質の結晶変性物から成るミルクシスル果実抽出物。
【請求項7】
非晶質の結晶変性物から成るミルクシスル果実抽出物であって、その結晶画分が20%未満、特に10%未満、好ましくは7%未満である、ミルクシスル果実抽出物。
【請求項8】
肝臓および胆嚢の機能不全、特に、毒性の肝障害(脂肪肝、アルコール)、キノコ中毒などの肝臓症、急性肝不全、肝臓の壊死、肝栄養障害症、肝硬変、肝線維症、肝腫、および脂肪肝変性、肝不全、ならびに、肝炎、特にC型肝炎の処置および予防のための、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のミルクシスル果実抽出物。
【請求項9】
請求項8に記載のミルクシスル果実抽出物を含有する医薬調製物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−507812(P2011−507812A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538335(P2010−538335)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/DE2008/002117
【国際公開番号】WO2009/080006
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510174543)
【Fターム(参考)】