説明

新規化合物およびこれを用いた有機電界発光素子

【課題】有機EL素子の駆動電圧の低減、長寿命化等に寄与する電子輸送材料および/または電子注入材料用の化合物を提供し、さらにそれを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】下記の式(1)で表される化合物、ならびにこの化合物を用いた有機EL素子。



式(1)において、terPhはテルフェニリル基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,2’−ビピリジン−5−イル基を有する新規な化合物、およびそれを用いた有機電界発光素子(以下、有機EL素子または単に素子と略記することがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のフルカラーフラットパネルディスプレイとして有機EL素子が注目され、活発な研究がなされている。有機EL素子の実用化を促進するには、素子の駆動電圧の低減、長寿命化が不可欠な要素であり、殊に、現在は赤色の素子や緑色の素子と比較して駆動電圧の低減および長寿命化が遅れている青色素子の改善が課題になっている。これらを達成するために新しい電子輸送材料の開発がなされ、2,2’−ビピリジル化合物を電子輸送材料に使用した有機EL素子が、特表平11−514143号公報(特許文献1)、Proceedings of the 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence 241−244頁(非特許文献1)、および特開2002−158093号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1には、トリアジン骨格を有する化合物を用いるものでその置換基として2,2’−ビピリジルを列記しているものの、具体的に2,2’−ビピリジル化合物の開示はない。非特許文献1に記載されている2,2’−ビピリジル化合物は、ガラス転移温度(以下、Tgと略記する。)が低く実用的ではなかった。特許文献2に記載の2,2’−ビピリジル化合物は、比較的低電圧で有機EL素子を駆動させることができるが、実用化には更なる低電圧化が望まれる。他に、特開2003−123983号公報(特許文献3)には、フェナントロリン誘導体または2,2’−ビピリジル化合物を電子輸送材料に使用することで、有機EL素子を低電圧で駆動させることができると記載されている。しかしながら、この文献の実施例に報告されている素子の特性(駆動電圧、発光効率など)は比較例(フェナントロリン誘導体)を基準にした相対値のみであって、実測値が記載されておらず、実用的な特性を有するかどうか不明である。そして、本発明者らが試験したところ、輝度保持率が低く実用に供するには問題があることが分かった。
【0003】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討し、アントラセンの9,10−位に2,2’−ビピリジン−5−イル基が結合した化合物を有機EL素子の電子輸送層に用いることにより、高輝度で長寿命、かつ低電圧で駆動できる青色発光の有機EL素子が得られることを見出し、特許出願した(国際公開2007/86552号パンフレット:特許文献4)が、輝度保持率については更なる改良が望まれている。
【特許文献1】特表平11−514143号公報
【特許文献2】特開2002−158093号公報
【特許文献3】特開2003−123983号公報
【特許文献4】国際公開2007/86552号パンフレット
【非特許文献1】Proceedings of the 10thInternational Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence 241−244頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明は、有機EL素子の駆動電圧の低減と長寿命化に、とりわけ青色素子の駆動電圧の低減と長寿命化に寄与する電子輸送材料を提供することを課題とする。さらに本発明は、この電子輸送材料を用いた有機EL素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは更なる検討の結果、9,10−ビス(2,2’−ビピリジン−5−イル)アントラセンの2位にテルフェニリル基が結合した化合物を有機EL素子の電子輸送層に用いることにより、高輝度で長寿命、かつ低電圧で駆動できる青色発光の有機EL素子が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
上記の課題は以下に示す各項によって解決される。
【0006】
1.下記式(1)で表される化合物。


式(1)において、terPhはテルフェニリル基を表す。
2.下記式(1−1)で表される前記1に記載の化合物。


3.前記1に記載の化合物を含有する、電子輸送層用材料または電子注入層用材料。
4.前記2に記載の化合物を含有する、電子輸送層用材料または電子注入層用材料。
5.陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層と、前記陰極と該発光層との間に配置される、前記3または4に記載の電子輸送層用材料または電子注入層用材料を含有する電子輸送層及び/または電子注入層とを有する、有機電界発光素子。
6.前記電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1つが、さらに、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体及びボラン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記5に記載の有機電界発光素子。
7.発光層が、発光材料として、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、およびアルミニウム錯体から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記5または6に記載の有機電界発光素子。
8.発光層が、発光性のドーパントとして、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、アミン含有スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体、および白金錯体から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記5〜7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
9.前記5〜8のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
10.前記5〜8のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた照明装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化合物は薄膜状態で電圧を印加しても安定であり、また、電荷の輸送能力が高いという特徴を持つ。本発明の化合物は有機EL素子における電荷輸送材料および電荷注入材料として適している。本発明の化合物を有機EL素子の電子輸送層および/または電子注入層に用いることで、低い駆動電圧、長い寿命を有する有機EL素子を得ることができる。本発明の化合物は、特に青色発光の素子の駆動電圧の低減と長寿命化を実現できるので、本発明の有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示等の高性能のディスプレイ装置を作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<化合物の説明>
本発明の第1は、下記の式(1)で表される、2−テルフェニリルアントラセンの9,10−位に2,2’−ビピリジン−5−イル基が連結した構造を有する化合物である。


式(1)において、terPhはテルフェニリル基を表す。
式(1)で表される化合物は、本発明者らが特許文献4に開示した9,10−ビス(2,2’−ビピリジン−5−イル)アントラセンと比較して、アントラセンの2位を嵩高い基で置換したものである。それによって、電子の移動速度が遅くなり、発光層内での正孔と電子のバランスが良くなり、その結果、素子の寿命が長くなる効果が期待される。
【0009】
以降、本明細書中で「式(1)で表される化合物」を「化合物(1)」の様に表記することがある。同様に、「式(2)で表される化合物」、「式(3)で表される化合物」、「式(1−1)で表される化合物」等を「化合物(2)」、「化合物(3)」、「化合物(1−1)」等の様に表記することがある。
【0010】
<化合物の具体例>
本発明の化合物の具体例は以下に列記する式によって示されるが、本発明はこれらの具体的な構造の開示によって限定されることはない。
式(1)で表される化合物の具体例は下記の化合物(1−1)〜(1−12)である。これらの中で好ましい化合物は化合物(1−1)である。
【0011】

【0012】

【0013】
<化合物の合成法>
本発明の化合物は既知の方法、例えば鈴木カップリング反応や根岸カップリング反応を利用して合成することができる。また、両反応を組み合わせても合成することができる。
【0014】
<鈴木カップリング反応による合成法>
<2−テルフェニリル−9,10−アントラセンジボロン酸またはボロン酸エステルの合成>
2位がハロゲンまたはトリフラートで置換されたアントラセン:化合物(2)とテルフェニリルボロン酸またはボロン酸エステルとの鈴木カップリングにより、2−テルフェニリルアントラセン:化合物(3)を合成することができる(Scheme 1-1)。別法としては、化合物(2)とテルフェニリル亜鉛錯体との根岸カップリングによる合成法があげられる。また、2−アントラセンボロン酸またはボロン酸エステルとハロゲンまたはトリフラートで置換されたテルフェニルとの鈴木カップリングによる合成法、更には、2−アントラセン亜鉛錯体とハロゲンまたはトリフラートで置換されたテルフェニルとの根岸カップリングによる合成法があげられる。

上式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、Gは塩素、臭素、ヨウ素またはトリフラートを表す。以降、本明細書(化学式を含む)において、XおよびGは前記を表す意味で用いられる。
なお、テルフェニリルボロン酸またはボロン酸エステル、あるいは、テルフェニリル亜鉛錯体は、後述するアントラセン誘導体の合成法に準じて合成することができる。
【0015】
化合物(3)を適当な臭素化剤を用いて臭素化することにより、2−テルフェニリル−9,10−ジブロモアントラセン:化合物(4)が得られる(Scheme 1-2)。適当な臭素化剤としては臭素、N−臭化コハクサンイミド(NBS)等が挙げられる。

【0016】
化合物(4)を有機リチウム試薬を用いてリチオ化するか、マグネシウムや有機マグネシウム試薬を用いてグリニャール試薬とし、それらをホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルまたはホウ酸トリイソプロピル等と反応させて、ボロン酸エステル体:化合物(5)を得る。次いで、化合物(5)を加水分解する事で2−テルフェニリル−9,10−アントラセンジボロン酸化合物(6)が得られる(Scheme 1-3)。

上式においてRは直鎖または分岐のアルキル基を表すが、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または炭素数3〜4の分岐アルキル基である。なお、以降、本明細書(化学式を含む)において、Rはこの意味で用いる。
【0017】
また、化合物(4)とビス(ピナコラート)ジボロンや4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを、パラジウム触媒を用いてカップリング反応させることで、2−テルフェニリル−9,10−アントラセンジボロン酸エステル:化合物(7)が得られる(Scheme 1-4、1-5)。

なお、Scheme 1-3、1-4または1-5において、(4)の代わりに塩化物、ヨウ化物またはトリフラートを用いても、同様に合成することができる。
【0018】
<化合物(1)の合成>
上記の反応で合成した化合物(5)、(6)または(7)に、パラジウム触媒と塩基の存在下、2倍モルの5位に反応性基を有する2,2’−ビピリジンを反応させることで、化合物(1)を合成することができる(Scheme 2-1)。

【0019】
また、化合物(5)、(6)または(7)に、パラジウム触媒と塩基の存在下、2倍モルの2,2’−ビピリジンのボロン酸を反応させることで、化合物(1)を合成することができる(Scheme 2-2)。これらの反応では、2,2’−ビピリジンのボロン酸の代わりにボロン酸エステルも好適に用いられる。2,2’−ビピリジンのボロン酸またはボロン酸エステルは、上記の方法に準じて合成することができる。

【0020】
<根岸カップリング反応による合成法>
<2−テルフェニリル−9,10−ジアントラセン亜鉛錯体の合成>
化合物(4)を有機リチウム試薬を用いてリチオ化するか、マグネシウムや有機マグネシウム試薬を用いてグリニャール試薬とし、それらを塩化亜鉛や塩化亜鉛テトラメチルエチレンジアミン錯体(TMEDA)と反応させることで、2−テルフェニリル−9,10−アントラセン亜鉛錯体:化合物(8)を得る事ができる(Scheme 3)。


ここでも、(4)の代わりに塩化物、ヨウ化物を用いても、同様に合成することができる。
【0021】
<化合物(1)の合成>
化合物(8)に、パラジウム触媒の存在下、2倍モルの5位に反応性基を有する2,2’−ビピリジンを反応させることで、化合物(1)を合成することができる(Scheme 4-1)。

【0022】
また、化合物(4)に、パラジウム触媒の存在下、2倍モルの2,2’−ビピリジンの亜鉛錯体を反応させることで、化合物(1)を合成することができる(Scheme 4-2)。2,2’−ビピリジンの亜鉛錯体は、上記の方法に準じて合成することができる。

【0023】
鈴木カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の具体例は、Pd(PPh、PdCl(PPh、Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である。反応促進するため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスィン化合物を加えてもよい。そのホスィン化合物の具体例は、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルである。この反応で用いられる塩基の具体例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化カリウムである。さらに、この反応で用いられる溶媒の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、t−ブチルメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、メタノ−ル、エタノール、イソプロピルアルコ−ルである。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
【0024】
根岸カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の具体例は、Pd(PPh、PdCl(PPh、Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)である。さらに、この反応で用いられる溶媒の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、t−ブチルメチルエ−テル、1,4−ジオキサンである。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
【0025】
本発明の化合物を、有機EL素子における、電子注入層、電子輸送層または正孔阻止層に用いた場合、電界印加時において安定であり、また、低電圧で発光を得ることが可能となり、かつ、長寿命の素子を製造することが可能になる。これらは、本発明の化合物が、電界発光型素子の電子注入材料、電子輸送材料または正孔阻止層として優れていることを表す。ここで言う電子注入層とは陰極から有機層へ電子を受け取る層であり、電子輸送層とは注入された電子を発光層へ輸送するための層であり、正孔阻止層とは発光層に正孔を閉じ込めるための層である。また、電子輸送層が電子注入層および/または正孔阻止層を兼ねることも可能である。それぞれの層に用いる材料を、電子注入材料、電子輸送材料、および正孔阻止材料という。
【0026】
<有機EL素子の説明>
本発明の第2は、電子注入層、電子輸送層、または正孔阻止層に、本発明の式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子である。本発明の好ましい態様に係る有機EL素子は、駆動電圧が低く、駆動時の耐久性が高い。
【0027】
本発明の有機EL素子の構造は各種の態様があるが、基本的には陽極と陰極との間に少なくとも正孔輸送層、発光層、電子輸送層を挟持した多層構造である。素子の具体的な構成の例は、(1)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、等である。
【0028】
本発明の化合物は、高い電子注入性および電子輸送性を持っているので、単体または他の材料と併用して電子注入層、電子輸送層または正孔阻止層に使用できる。本発明の有機EL素子は、本発明の電子輸送材料に他の材料を用いた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、などを組み合わせることで、青色、緑色、赤色や白色の発光を得ることもできる。
【0029】
本発明の有機EL素子に使用できる発光材料または発光性ドーパントは、高分子学会編、高分子機能材料シリーズ“光機能材料”、共同出版(1991)、P236に記載されているような昼光蛍光材料、蛍光増白剤、レーザー色素、有機シンチレータ、各種の蛍光分析試薬等の発光材料、城戸淳二監修、“有機EL材料とディスプレイ”シーエムシー社出版(2001)P155〜156に記載されているようなドーパント材料、P170〜172に記載されているような3重項材料の発光材料等である。
【0030】
発光材料または発光性ドーパントとして使用できる化合物は、多環芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体、色素、高分子系発光材料、スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、オキサジン誘導体、スピロ環を有する化合物、オキサジアゾール誘導体、フルオレン誘導体等である。多環芳香族化合物の例は、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、コロネン誘導体、ルブレン誘導体である。ヘテロ芳香族化合物の例は、ジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ピリジン誘導体、ピラン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、トリフェニルアミノ基を有するチオフェン誘導体、キナクリドン誘導体である。有機金属錯体の例は、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、イリジウム、白金、オスミウム、金、等と、キノリノール誘導体、ベンゾキサゾ−ル誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等との錯体である。色素の例は、キサンテン誘導体、ポリメチン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、オキソベンズアントラセン誘導体、カルボスチリル誘導体、ペリレン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体の色素が挙げられる。高分子系発光材料の例は、ポリパラフェニルビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾ−ル誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体である。スチリル誘導体の例は、アミン含有スチリル誘導体、スチリルアリーレン誘導体である。
【0031】
本発明の有機EL素子に使用される他の電子輸送材料は、光導電材料において電子伝達化合物として使用できる化合物、有機EL素子の電子輸送層および電子注入層に使用できる化合物の中から任意に選択して用いることができる。
【0032】
このような電子輸送材料の具体例は、キノリノール系金属錯体、2,2’−ビピリジル誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パ−フルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体である。
【0033】
本発明の有機EL素子に使用される正孔注入材料および正孔輸送材料については、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物や、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾ−ル誘導体、トリアリールアミン誘導体、フタロシアニン誘導体である。
【0034】
本発明の有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、スピンコート法またはキャスト法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。なお、発光材料を薄膜化する方法は、均質な膜が得やすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から蒸着法を採用するのが好ましい。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、本発明の発光材料の種類により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
【0035】
本発明の有機EL素子は、前記のいずれの構造であっても、基板に支持されていることが好ましい。基板は機械的強度、熱安定性および透明性を有するものであればよく、ガラス、透明プラスチックフィルム等を用いることができる。陽極物質は4eVより大きな仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。その具体例は、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(以下、ITOと略記する)、SnO、ZnOである。
【0036】
陰極物質は4eVより小さな仕事関数の金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を使用できる。その具体例は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金である。合金の具体例は、アルミニウム/弗化リチウム、アルミニウム/リチウム、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウムである。有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、電極の少なくとも一方は光透過率を10%以上にすることが望ましい。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□(Ω/sq)以下にすることが好ましい。なお、膜厚は電極材料の性質にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜400nmの範囲に設定される。このような電極は、上述の電極物質を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
【0037】
次に、本発明の発光材料を用いて有機EL素子を作成する方法の一例として、前述の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/本発明の電子輸送材料/陰極からなる有機EL素子の作成法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上に発光層の薄膜を形成させる。この発光層の上に本発明の電子輸送材料を真空蒸着し、薄膜を形成させ、電子輸送層とする。さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法により形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0038】
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、交流電圧を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0039】
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
【0040】
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
【0041】
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
【0042】
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
【0043】
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
【0044】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0045】
<化合物(1−1)の合成>
<2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセンの合成>
2−クロロアントラセン26.2g、m−テルフェニル−5’−イルボロン酸40.5g、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)3.54g、トリシクロヘキシルホスフィン3.45g、リン酸三カリウム78.3g、および1,2,4−トリフェニルベンゼン150mlをフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で3時間攪拌した。更に2−プロパノール:水=4:1を20ml加え、120℃で3時間攪拌した。その後、m−テルフェニル−5’−イルボロン酸10.0gを加え、120℃で1時間攪拌した。反応液を冷却後、セライトを敷いた桐山ロートで吸引濾過をおこない、濾液をエバポレーターで濃縮した。濃縮物をメタノールで洗浄した後、トルエンから再結晶して、2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセン24.0gを得た。
【0046】
m−テルフェニリル−5’−ボロン酸は次のように合成する。まず、1,3,5−トリブロモベンゼンに2当量のフェニルボロン酸またはフェニル亜鉛錯体を反応させ、5’−ブロモ−m−テルフェニレンを合成する。5’−ブロモ−m−テルフェニレンに有機リチウム試薬、マグネシウム、または有機マグネシウム試薬を反応させた後、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルまたはホウ酸トリイソプロピルと反応させて、ボロン酸エステル体を得る。次いで、ボロン酸エステル体を加水分解することによりm−テルフェニリル−5’−ボロン酸が得られる。
【0047】
<9,10−ジブロモ−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセンの合成>
窒素雰囲気下のフラスコ中に2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセン24.0gを入れ、500mlのジクロロメタンに溶解した。そこに25.0gの臭素を10分掛けて滴下した。滴下終了後、2時間室温で攪拌し、亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した。更に炭酸水素ナトリウムで中和した後、有機層を抽出し、エバポレーターで濃縮した。濃縮中に析出した固形物を水、次いでメタノールで洗浄し、9,10−ジブロモ−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセン32.9gを得た。
【0048】
<9,10−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセンの合成>
9,10−ジブロモ−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセン32.9g、ビス(ピナコラート)ジボロン32.6g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)2.01g、トリシクロヘキシルホスフィン2.45g、酢酸カリウム22.9gおよびトルエン200ml、アニソール80mlをフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で3時間攪拌した。反応液を冷却後、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸・四ナトリウム塩水溶液、酢酸エチルを加え、分液ロートで分液した。有機層にヘプタンを加え析出させ、析出物を更にトルエン/ヘプタンで洗浄し、9,10−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセン19.65gを得た。
【0049】
<9,10−ビス(2,2’−ビピリジン−5−イル)−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセンの合成>
9,10−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−2−m−テルフェニル−5’−イルアントラセン19.6g、5−ブロモ−2,2’−ビピリジン17.5g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)1.71g、トリシクロヘキシルホスフィン1.67g、リン酸三カリウム38.0g、1,2,4−トリメチルベンゼン50ml、およびトルエン50mlをフラスコに入れた。窒素雰囲気下トルエンと水を共沸留去し、その後1,2,4−トリメチルベンゼンが還流するまで加熱し、その温度で12時間攪拌した。反応液を冷却後吸引濾過して、濾液をエバポレータにより濃縮し、濃縮物をメタノールおよびエタノールで洗浄した。次いで移動層にトルエン・酢酸エチル混合溶媒を用いたアルミナカラムクロマトグラフィーにて精製し、9,10−ビス(2,2’−ビピリジン−5−イル)−2−テルフェニル−5’−イルアントラセン9.4gを得た。
1H−NMR(CDCl):δ=7.3-7.5(m,10H)、7.6(m,4H)、7.7(m,2H)、7.8(m,4H)、7.9(m,3H)、8.0-8.1(m,3H)、8.6(m,2H)、8.7-8.8(m,4H)、8.9(m,2H).
【0050】
出発原料の化合物を適宜選択することにより、上記の合成例に準じた方法で、本発明の他の化合物を合成することができる。
【実施例2】
【0051】
<有機EL素子の作製>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨して得られる26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(真空機工(株)製)の基板ホルダーに固定し、銅フタロシアニン(以下、CuPcと略記する。)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、NPDと略記する。)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、下記化合物(9):9−フェニル−10−〔6−(1,1’;3,1’’)ターフェニル−5’−イル〕ナフタレン−2−イル〕アントラセンを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(10):N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベンを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(1−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、弗化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。

【0052】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、CuPcが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚50nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、ついで、NPDが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、化合物(9)が入った蒸着用ボートと化合物(10)の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚35nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(9)と化合物(10)の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1)の入った蒸着用ボートを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0053】
その後、弗化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚0.5nmになるように0.003〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚100nmになるように0.01〜10nm/秒の蒸着速度で蒸着することにより、陰極を形成し、有機電界発光素子を得た。
【0054】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、直流電圧を印加したところ、波長約455nmの青色発光を得た。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した。駆動試験開始電圧は4.775Vで、80時間経過時の輝度は1977cd/mだった。
【0055】
(比較例1)
化合物(1−1)をトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した。駆動試験開始電圧は6.016Vで約80時間経過時の輝度は1921cd/mであった。
【0056】
(比較例2)
化合物(1−1)を9,10−ビス(2,2’−ビピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン(特許文献4記載の化合物(1−2))に替えた以外は、実施例1に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した。駆動試験開始電圧は4.288Vで約80時間経過時の輝度は1823cd/mであった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、駆動電圧、素子寿命において更に性能のよい有機EL素子を提供することができる。殊に青色発光の素子の駆動電圧、素子寿命を改善できるので、それを備えた高性能なディスプレイ装置などを提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。

式(1)において、terPhはテルフェニリル基を表す。
【請求項2】
下記式(1−1)で表される請求項1に記載の化合物。

【請求項3】
請求項1に記載の化合物を含有する、電子輸送層用材料または電子注入層用材料。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物を含有する、電子輸送層用材料または電子注入層用材料。
【請求項5】
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層と、前記陰極と該発光層との間に配置される、請求項3または4に記載の電子輸送層用材料または電子注入層用材料を含有する電子輸送層及び/または電子注入層とを有する、有機電界発光素子。
【請求項6】
前記電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1つが、さらに、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体及びボラン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項5に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
発光層が、発光材料として、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、およびアルミニウム錯体から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項5または6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
発光層が、発光性のドーパントとして、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、アミン含有スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体、および白金錯体から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
【請求項10】
請求項5〜8のいずれか1項に記載する有機電界発光素子を備えた照明装置。


【公開番号】特開2009−275013(P2009−275013A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129316(P2008−129316)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】