説明

新規化合物

本発明は、YAK3タンパク質を阻害する新規同定化合物およびYAK3タンパク質の不安定または不適当な活性に付随する疾患を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、YAK3タンパク質を阻害する新規に同定された化合物およびYAK3活性に付随する疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のポリペプチド増殖因子およびホルモンは、シグナル伝達経路を介してその細胞内効果を調節する。これらのリガンドに対する細胞表面受容体から細胞内エフェクターへの高い頻度のシグナル伝達は、調節タンパク質セリン/トレオニンキナーゼ(PSTK)およびホスファターゼによる特異的タンパク質基質のリン酸化または脱リン酸化に関する。セリン/トレオニンリン酸化は、多細胞生物におけるシグナル伝達の主要なメディエーターである。受容体結合、膜結合および細胞内PSTKは、多数の細胞型における細胞増殖、細胞分化およびシグナル工程を制御する。
【0003】
異常タンパク質セリン/トレオニンキナーゼ活性は、関節リウマチ、乾癬、敗血性ショック、骨量減少、多数の癌および他の増殖性疾患などの多数の病状に関与しているかまたはその疑いがある。したがって、セリン/トレオニンキナーゼおよびシグナル伝達経路は、その一部であり、薬剤設計についての潜在的な標的である。
【0004】
PSTKの一部は、細胞周期の制御に関する。これらは、サイクリン依存性キナーゼまたはCDKである(PeterおよびHerskowitz,Cell 1994:79,181−184)。CDKは、サイクリンと呼ばれる制御タンパク質に結合することおよび特異的細胞周期チェックポイントを介する細胞の制御通過によって活性化される。例えば、サイクリンEと複合するCDK2は、細胞をG1〜S期の移行を介して進行させる。CDKおよびサイクリンの複合体は、CDK4に結合し阻害する、p16などの低分子量タンパク質による阻害を受けやすい(Serranoら,Nature 1993:366,704)。p16の欠失または変異は、多数の腫瘍に関与している(Kambら,Science 1994:264,436−440)。したがって、細胞の増殖状態および該状態に付随する疾患は、CDKの活性化およびその関連制御分子に依存する。増殖の阻害が好ましい癌などの疾患において、CDKを阻害する化合物は、有用な治療剤でありうる。逆に、増殖の促進を必要とする、CDKの活性化因子は、例えば、免疫不全の治療において有用でありうる。
【0005】
YAK1は、CDKと配列相同性であるPSTKであり、cAMP依存性プロテインキナーゼPKAの不活性化によって引き起こされる細胞周期停止のメディエーターとして最初は酵母において同定された(Garrettら,Mol Cell Biol.1991:11−6045−4052)。YAK1キナーゼ活性は、周期酵母では低いが、細胞をS〜G2の移行前に停止すると飛躍的に増加する。YAK1の増加された発現は、PKAが欠損する酵母細胞において増殖停止を引き起こす。したがって、YAK1は、酵母において細胞周期抑制因子として作用しうる。
【0006】
米国特許番号第6,323,318号は、一方のタンパク質が他方より20個のアミノ酸だけ長い、YAK3−2と称される酵母YAK1の2種の新規ヒトホモログを記載する。YAK3−2タンパク質(別名、REDK−LおよびREDK−SとしてBlood,2000年5月1日,Vol 95,No.9,pp2838において報告されている)は、主として核に局在する。YAK−2タンパク質(以下、単にYAK3またはYAK3タンパク質と称する)は、骨髄および胎児肝臓などの、造血組織中に含まれるが、RNAは、赤血球またはエリスロポエチン(EPO)−感受性細胞のみにおいて有意な濃度で発現される。2種類のREDK cDNAは、別のスプライス生成物であるように思われる。アンチセンスREDKオリゴヌクレオチドは、コロニー形成単位(CFU)−GM、CFU−G、またはCFU−GEMM数に影響を及ぼすことなく、ヒト骨髄細胞によって赤血球コロニー形成を促進する。CFU−Eおよびバースト形成単位−赤血球の最大数を増加し、示されるCFU−Eは、準最適なEPO濃度に対する感受性が増加した。REDKが赤血球産生を抑制するブレーキとして作用することをデータは示す。したがって、YAK3タンパク質の阻害薬は、それを発現する細胞の増殖を刺激すると予測されている。より好ましくは、YAK3タンパク質の阻害薬は、限定するものではないが、腎不全または自己免疫、HIVまたは癌などの、慢性疾患による貧血、および薬物誘導性貧血、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血および骨髄抑制、ならびに血球減少症を含む、YAK3活性に付随する赤血球および造血系の疾患を治療または予防するのに有用である。
【特許文献1】米国特許番号第6,323,318号
【非特許文献1】PeterおよびHerskowitz,Cell 1994:79,181−184
【非特許文献2】Serranoら,Nature 1993:366,704
【非特許文献3】Kambら,Science 1994:264,436−440
【非特許文献4】Garrettら,Mol Cell Biol.1991:11−6045−4052
【非特許文献5】Blood,2000年5月1日,Vol 95,No.9,pp2838
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式I:
【化1】

[式中:
Rは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、−N−R15、−O−R15、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキルからなる群より選択され、
ここで、R15は、C−C12アリール、置換C−C12アリール、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキルであり;および
Qは、
【化2】

{式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、1〜2個の二重結合および1〜4個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、E、およびDは、独立して、CR20、O、S、およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZは、CR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびアリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびアリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNであって、またRは非置換フェニルではない}
である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグに関する。
【0008】
本発明は、哺乳類におけるYAK3を阻害する方法であって、治療上有効な量の式Iで示される化合物を哺乳類に投与することを含む方法に関する。
【0009】
本発明は、限定するものではないが、腎不全または自己免疫、HIV、または癌などの慢性疾患による貧血、および薬物誘導性貧血、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血および骨髄抑制、ならびに血球減少症を含む、TAK3阻害を要する、赤血球および造血系の疾患を治療または予防する方法であって、治療上有効な量の式Iで示される化合物を哺乳類に投与することを含む方法に関する。
【0010】
医薬担体および本発明の方法に有用な化合物を含む医薬組成物は本発明に含まれる。
【0011】
この度発明されたYAK3阻害化合物をさらなる活性成分と併用する方法はまた、本発明に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、上記の式Iで示される化合物に関する。
この度発明された式Iで示される化合物にはまた、Rが置換アリールである化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグが含まれる。
【0013】
この度発明された式Iで示される化合物には、
Rが、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
Qが、
【化3】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、1〜2個の二重結合および1〜2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、E、およびDは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNであって、またRは非置換フェニルではない]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグが含まれる。
【0014】
この度発明された式Iで示される化合物には、
Rが、置換アリールからなる群より選択され、
Qが、
【化4】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、1〜2個の二重結合および1〜2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、E、およびDは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールから選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNである]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグが含まれる。
【0015】
この度発明された式Iで示される化合物には、DがNである化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグが含まれる。
【0016】
この度発明された式Iで示される化合物には、
RがC−C12置換アリールであって、
Qが、
【化5】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、1〜2個の二重結合および1〜2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、およびEは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C1−C4アルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNである]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグが含まれる。
【0017】
この度発明された式Iで示される化合物には、
Rが、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;および
Qが、
【化6】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、2個の二重結合および2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、およびEは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNであって、またRは非置換フェニルではない]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグが含まれる。
【0018】
この度発明された式Iで示される化合物には、
Rが、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;および
Qが、
【化7】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、2個の二重結合および2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、およびEは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
DはNであり;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNであって、またRは非置換フェニルではない]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグが含まれる。
【0019】
この度発明された式Iで示される化合物には、
Rが置換アリールであって;
Qが、
【化8】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、2個の二重結合および2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、およびEは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNである]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグが含まれる。
【0020】
この度発明された式Iで示される化合物には、
RがC−C12置換アリールであって、
Qが
【化9】

[式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、2個の二重結合および2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、およびEは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
DはNであり;
X、YおよびZはCR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、−C(O)OR10からなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNである]
である化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグが含まれる。
【0021】
本発明に有用な新規化合物には、
(5Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−1,3−チアゾール−4(5H)−オン;
(5Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−1,3−チアゾール−4(5H)−オン;
5−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−カルボン酸メチル;
6−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸エチル;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミド;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミド;および
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2,2−ジメチルプロパンアミド;
ならびに/あるいはその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物またはプロドラッグが含まれる。
【0022】
本明細書に用いられる、「有効量」なる語は、例えば、研究者または臨床医によって探求されている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を引き起こす薬剤または医薬品の量を意味する。さらに、「治療上有効な量」なる語は、かかる量を受容していない対応する対象と比べて、疾患、障害、または副作用の改善された治療、治癒、予防、または改善、あるいは疾患または障害の上昇率の減少をもたらす量を意味する。その語はまた、正常な生理的機能を高めるのに有効な量のその範囲内に含まれる。
【0023】
式Iで示される化合物は、本発明の医薬組成物に含まれ、本発明の方法に用いられる。
【0024】
本明細書に用いられる、「アリール」なる語によれば、特に明記しない限り、1〜14個の炭素原子を含有し、1〜5個のヘテロ原子を所望により含有する環式または多環式芳香族環を意味する、ただし、炭素原子数が1である場合、芳香族環は少なくとも4個のヘテロ原子を含有し、炭素原子数が2である場合、芳香族環は少なくとも3個のヘテロ原子を含有し、炭素数が3である場合、芳香族環は少なくとも2個のヘテロ原子を含有し、炭素原子数が1である場合、芳香族環は少なくとも1個のヘテロ原子を含有する。
【0025】
本明細書に用いられる、「C−C12アルキル」なる語によれば、特に明記しない限り、フェニル、ナフタレン、3,4−メチレンジオキシフェニル、ピリジン、ビフェニル、キノリン、ピリミジン、キナゾリン、チオフェン、チアゾール、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、インドール、インデン、ピラジン、1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェン、テトラヒドロベンゾチオフェンおよびテトラゾールを意味する。
【0026】
本明細書に用いられる「置換」なる語は、特に明記しない限り、対象化学部位が、アルキル、シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチル、−SONR6162、−N−アシルアミノ、−CO60、−NC(O)R70、ハロゲン、アリール、アルキル、C−Cシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチル、−SONR6162、N−アシルアミノ、−CO60、−NC(O)R70、およびハロゲンからなる群より選択され、ここで、R61、R62、R60およびR70は、各々独立して、水素、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールおよびC−Cアルキルからなる群より選択される1〜5個の置換基で置換されるアリールからなる群より選択される1個または複数、適当には、1〜5個の置換基を有することを意味する。
【0027】
本明細書に用いられる「アルコキシ」なる語によれば、−OCHおよび−OC(CHCHを含む、−Oアルキル(ここで、アルキルは本明細書に記載のとおりである)を意味する。
【0028】
本明細書に用いられる、「シクロアルキル」なる語は、特に明記しない限り、非芳香族、不飽和または飽和、環式または多環式C−C12を意味する。
【0029】
本明細書に用いられるシクロアルキルおよび置換シクロアルキル置換基の例として、シクロヘキシル、アミノシクロヘキシル、シクロブチル、アミノシクロブチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、プロピル4−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシシクロヘキシル、4−カルボキシシクロヘキシル、シクロプロピル、アミノシクロペンチル、およびシクロペンチルが挙げられる。
【0030】
本明細書に用いられる、「1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル」なる語および「1〜3個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル」なる語は、特に明記しない限り、1〜12個の炭素を含有し、(各々)1〜4個のヘテロ原子または1〜3個のヘテロ原子を含有する非芳香族、不飽和または飽和、環式または多環式環を意味する、ただし、炭素原子数が1である場合、芳香族環は少なくとも4個のヘテロ原子を含有し(「1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル」を示す場合のみ適用)、炭素原子数が2である場合、芳香族環は少なくとも3個のヘテロ原子を含有し、炭素原子数が3である場合、非芳香族環は少なくとも2個のヘテロ原子を含有し、炭素原子数が4である場合、非芳香族環は少なくとも1個のヘテロ原子を含有する。
【0031】
本明細書に用いられる、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜3個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキルおよび1〜3個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキルの例として、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、3−メチルアミノピロリジン、ピペラジン、テトラゾール、ヘキサヒドロジアゼピンおよびモルホリンが挙げられる。
【0032】
本明細書に用いられる「アシルオキシ」なる語によれば、−OC(O)アルキル(ここで、アルキルは本明細書に記載のとおりである)を意味する。本明細書に用いられるアシルオキシ置換基の例として、−OC(O)CH、−OC(O)CH(CHおよび−OC(O)(CHCHが挙げられる。
【0033】
本明細書に用いられる「N−アシルアミノ」なる語は、−N(H)C(O)アルキル(ここで、アルキルは本明細書に記載のとおりである)を意味する。本明細書に用いられるN−アシルアミノ置換基の例として、−N(H)C(O)CH、−N(H)C(O)CH(CHおよびN(H)C(O)(CHCHが挙げられる。
【0034】
本明細書に用いられる「アリールオキシ」なる語によれば、−Oアリール(ここで、アリールはフェニル、ナフチル、3,4−メチレンジオキシフェニル、ピリジルまたはアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ヒドロキシ、−(CHC(O)OR65、−S(O)65、ニトロ、シアノ、ハロゲンおよび保護−OHからなる群より選択され、ここで、gは0−6であって、R65は水素およびアルキルからなる群より選択され、nは0−2である1個または複数の置換基で所望により置換されていてもよいビフェニルである)を意味する。本明細書に用いられるアリールオキシ置換基の例として、フェノキシ、4−フルオロフェニルオキシおよびビフェニルオキシが挙げられる。
【0035】
本明細書に用いられる「ヘテロ原子」なる語によれば、酸素、窒素または硫黄を意味する。
【0036】
本明細書に用いられる「ハロゲン」なる語によれば、臭素、ヨウ素、塩素およびフッ素からなる群より選択される置換基を意味する。
【0037】
「−(CH」、「−(CH」なる語などによって定義されるアルキル鎖を含む、本明細書に用いられる「アルキル」およびその派生語によればならびに全炭素鎖において、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和炭化水素鎖を意味し、特に明記しない限り、炭素鎖は、1〜12個の炭素原子を含有するであろう。
【0038】
本明細書に用いられるアルキルおよび置換アルキル置換基の例として、−CH、−CH2−CH、−CH−CH−CH、−CH(CH、−CH−CH−C(CH、−CH−CF、−C≡C−C(CH、−C≡C−CH−OH、シクロプロピルメチル、−CH−C(CH−CH−NH、−C≡C−C、−C≡C−C(CH−OH、−CH2−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)−CH−OH、ピペリジニルメチル、メトキシフェニルエチル、−C(CH、−(CH−CH、−CH−CH(CH、−CH(CH)−CH−CH、−CH=CH、および−C≡C−CHが挙げられる。
【0039】
本明細書に用いられる「治療」なる語およびその派生語によれば、予防および治療療法を意味する。
【0040】
本明細書に用いられる、「所望により」なる語は、後に記載される事象(複数でも可)が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、起こる事象(複数でも可)も起こらない事象も含む。
【0041】
本明細書に用いられる、記号:
【化10】

によって示される交差した二重結合は、二重結合近接のZ型および/またはE型立体化学を意味する。他の語において、式Iで示される化合物は、二重結合近接のZ型またはE型立体化学のいずれかでありうるか、あるいは式Iで示される化合物はまた、二重結合近接のZ型およびE型立体化学の混合物でありうる。しかしながら、式Iにおいて、好ましい化合物は、ラジカルQが結合する二重結合近接のZ型立体化学を有する。
【0042】
特定の置換基が、式IにおけるQの二重結合を二環式環中に移動させうることを当業者は容易に理解しうる。かかる置換基の例として、オキソがある。
【0043】
式Iで示される化合物は、必然的に、一の互変異性型または互変異性型の混合物で存在しうる。例えば、便宜上、式Iで示される化合物は、一の互変異性型で、通常エキソ型、すなわち、
【化11】

として表される。
【0044】
しかしながら、式の化合物がエンド型:
【化12】

でも存在しうることを当業者は容易に理解しうる。
【0045】
本発明は、全ての可能な互変異性型を意図とする。
【0046】
本明細書に記載される特定の化合物は、1個または複数のキラル原子を含有しうるか、あるいはそうでなければ、2個のエナンチオマー、または2個以上のジアステレオ異性体として存在しうる。したがって、本発明の化合物には、エナンチオマー/ジアステレオ異性体の混合物ならびに精製されたエナンチオマー/ジアステレオ異性体または鏡像異性的/ジアステレオ異性的に豊富な混合物が含まれる。上記の式Iで示される化合物の個々の異性体ならびに全体的または部分的なその平衡混合物はまた、本発明の範囲内に含まれる。本発明はまた、1個または複数のキラル中心が反転するその異性体との混合物として上記の式で示される化合物の個々の異性体の範囲にわたる。さらに、可能な互変異性体の一例は、ヒドロキシ置換基の代わりにオキソ置換基である。また、上記のように、全互変異性体および互変異性体の混合物が、式Iで示される化合物の範囲内に含まれることは理解される。
【0047】
式Iで示される化合物は、本発明の医薬組成物に含まれ、本発明の方法に用いられる。−COOHまたは−OH基が存在する場合、医薬上許容されるエステルは、例えば、徐放またはプロドラッグ処方として用いるために、−COOHについてメチル、エチル、ピバロイルオキシメチルなど、および−OHについて酢酸塩、マレイン酸塩など、ならびに溶解性または加水分解特性を改善するための当該分野にて周知なエステルを用いられうる。
【0048】
式Iで示される新規化合物は、以下のスキームIおよびIIに示すように、または「Q」および「R」置換基は各々、式Iに定義されるとおりであり、ただし、「Q」および「R」置換基は、スキームI〜IIの工程を実施させないかかる置換基を含まない、類似な方法によって調製される。全ての出発物質は、商業的に入手可能であるかまたは当業者によって商業的に入手可能な出発物質から容易に製造される。
【0049】
一般的スキーム
スキーム1
【化13】

簡潔にスキームIにおいて、式IIのアニリン誘導体(1当量)およびNH4SCN(約1.3当量)の酸(典型的には、4N−HCl)中混合物を、6時間約110℃で加熱還流した。冷却後、混合物をHOで処理し、工程は通常、固体を形成し、次いで、真空中で乾燥し、式IIIで示される化合物を得る。
【0050】
式III化合物、ClCHCOH(1当量)、およびAcONa(1当量)のAcOH中混合物を、4時間110℃で加熱還流した。混合物を水上に注ぐことによって、典型的には固体を形成し、濾過によって単離される。固体をMeOHなどの溶媒で洗浄し、式IVで示される化合物を得る。
【0051】
式IV化合物、式Vのアルデヒド(1当量)、ピペリジンなどのアミン、または酢酸ピペリジン、および所望により酢酸のAcOH中混合物を、約0.5時間約150℃でマイクロ波反応器で加熱する。冷却後、少量の水を、固体が形成するまで加える。固体を濾過し、MeOHなどの溶媒で洗浄し、次いで、真空中で乾燥し、式Iの標的生成物を得る。
【0052】
スキームII
【化14】

スキームIIは、中間体IVの別の合成法を示す。簡潔にスキーム2において、既知のチアゾリノンVIおよびアニリン誘導体RNHのエタノール中混合物を加熱還流し、適当な処理後中間体IVを得る。
【0053】
国際出願日が2003年11月18日である、国際出願番号PCT/US2003/037658はまた、国際公開番号WO2004/047760および国際公開日が2004年6月10日であり、中間体IVを製造する一般的製法を記載する。
【0054】
以下の実施例に用いられる中間体IVは、スキームIおよびII、またはPCT/US2003/037658に記載の方法にしたがって調製されうる。
【0055】
スキームIおよびIIにおいて、RおよびQの意味は、式Iで定義されるとおりである。
【0056】
他の実施態様において、本発明の付加的な化合物はまた合成されうるため、式Iで示される化合物は、最初にスキーム1または2(あるいはその改良型)の工程によって製造され、式Iで示される化合物におけるQおよびRラジカルは製造されるため、さらに所定の有機反応技法によって異なるQおよびR基に変換される。
【0057】
本明細書に用いられる「併用」およびその派生語によれば、本明細書に記載されるYAK3阻害化合物、ならびにEPOまたはその誘導体を含む、造血系の疾患、特に貧血を治療するのに有用であることが知られている、さらなる活性成分または複数の成分の同時投与または個々の連続投与の方法のいずれかを意味する。本明細書に用いられる、さらなる活性成分または複数の成分なる語には、造血系の疾患、特に貧血の治療が必要な患者に投与する場合、有利な性質が知られているかまたはそれを明らかにする化合物または治療薬が含まれる。好ましくは、投与が同時でないならば、化合物を相互に短時間で投与する。さらに、化合物を同一の剤形で投与するかどうかは問題ではない、例えば、一の化合物を局所投与し、別の化合物を経口投与してもよい。
【0058】
本発明の医薬上活性な化合物はYAK3阻害薬として活性であるので、それらは、造血系の疾患、特に貧血を治療するのに治療的有用性を示す。
【0059】
本発明の範囲内の医薬上活性な化合物は、治療を必要とする哺乳類、特にヒトにおけるYAK阻害薬として有用である。
【0060】
したがって、本発明は、造血系の疾患、特に貧血およびYAK阻害を要する他の病態を治療する方法であって、式Iで示される有効な化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。YAK阻害薬として作用するその能力のため、式Iで示される化合物はまた、上記の病態を治療する方法を提供する。薬剤を、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、経口、皮下、皮内、および非経口を含む、一般的な投与経路によって薬剤を必要とする患者に投与してもよい。
【0061】
本発明の医薬上活性な化合物は、カプセル、錠剤、または注射用製剤などの便利な剤形の一部となっている。固体または液体医薬担体を用いる。固体担体には、でんぷん、乳糖、硫酸カルシウム二水和物、白土、白糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体には、シロップ、ラッカセイ油、オリーブ油、セイライン、および水が含まれる。同様に、担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの持続放出物質を単独またはワックスと一緒に含んでいてもよい。固体担体の量は大きく異なるが、好ましくは、用量単位当たり約25mg〜約1gであろう。液体担体を用いる場合、製剤は、シロップ、エリキシル剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル、アンプルまたは水性もしくは非水性液体懸濁液などの無菌注射液剤の形態であろう。
【0062】
医薬製剤は、混合、整粒、および圧縮すること、あるいは、錠剤形態について必要な場合には、成分を混合、充填および溶解することに関する薬剤師の一般的方法にしたがって製造され、適宜、所望の経口または非経口生成物が得られる。
【0063】
上記の医薬用量単位におけるこの度発明された医薬上活性な化合物の量は、活性化合物の0.001−100mg/kgの範囲、好ましくは、0.001−50mg/kgから好ましくは選択される有効で、毒性のない量であろう。YAK阻害薬を必要とするヒト患者を治療する場合、所定の用量を、好ましくは、1日1−6回、経口または非経口投与する。非経口投与の好ましい形態には、局所投与、経直腸投与、注射による経皮投与、および注入による連続投与が含まれる。ヒト投与についての経口用量単位は、好ましくは、活性化合物の0.05〜3500mgを含有する。低用量を用いる経口投与が好ましい。しかしながら、高用量の非経口投与はまた、患者に対して安全かつ便利な場合に用いられうる。
【0064】
投与される最適用量は、当業者によって容易に決定されてもよく、使用中の特定のYAK阻害薬、製剤の強度、投与方法、および病態の進行によって変化するであろう。患者の年齢、体重、食事、および投与時間を含む、治療されている特定の患者に依存する付加的な因子は、用量を調節する必要性をもたらすであろう。
【0065】
ヒトを含む、哺乳類におけるYAK抑制活性を誘発する本発明の方法は、有効なYAK阻害量の本発明の医薬上活性な化合物をかかる活性の必要な対象に投与することを包含する。
【0066】
本発明はまた、YAK阻害薬として用いられる医薬の製造における式Iで示される化合物の使用を提供する。
【0067】
本発明はまた、療法に用いるための医薬の製造における式Iで示される化合物の使用を提供する。
【0068】
本発明はまた、造血系の疾患、特に貧血を治療するのに用いられる医薬の製造における式Iで示される化合物の使用を提供する。
【0069】
本発明はまた、式Iで示される化合物および医薬上許容される担体を含むYAK阻害薬として用いられる医薬組成物を提供する。
【0070】
本発明はまた、式Iで示される化合物および医薬上許容される担体を含む造血系の疾患、特に貧血の治療に用いるための医薬組成物を提供する。
【0071】
本発明の化合物を本発明にしたがって投与する場合、許容されない毒性効果は期待されない。
【0072】
さらに、本発明の医薬上活性な化合物は、造血系の疾患、特に貧血を治療することが知られている他の化合物、またはYAK阻害薬と組み合わせて用いる場合に有用であると知られている化合物などのさらなる活性成分と併用されうる。
【0073】
さらに詳細にすることなく、当業者が、前述の記載を用いて、最大限に本発明を利用しうると考えられている。したがって、以下の実施例は、単なる実例として構成されているものであって、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0074】
説明を簡単にするために、実施例における化学式の二重結合近接の位置化学は、表示を簡単にするために固定するように描かれている;しかしながら、化合物がエキソ型として存在するならば、化合物が当然に、C=N(イミン)二重結合近接の熱力学的により安定な構造を想定するであろうことは当業者には容易に分かるであろう。さらに、化合物はまた、エンド型で存在しうる。前記のように、本発明は、エンド型およびエキソ型両方ならびにエキソイミン結合近接の両位置異性体を意図とする。さらに、E型およびZ型両方の異性体がC=C二重結合近接に含まれることを意図とする。
【実施例】
【0075】
実施例1
【化15】

(5Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−1,3−チアゾール−4(5H)−オン
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒド(Bettinetti,L.;Schlotter,K.;Hubner,H.;Gmeiner,P.J.Med.Chem.,2002,45,21,4594−4597の方法によって調製)(0.040g、0.267mmol)および(2Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)イミノ]−1,3−チアゾリジン−4−オン(0.070g、0.267mmol)のエタノール(2.0mL)中溶液を、ピペリジン(0.020mL、0.267mmol)で処理し、次いで、Biotage Initiatorマイクロ波シンセサイザで1時間150℃に加熱した。反応混合物を常温に冷却し、1N水性塩酸で酸性化した。得られた沈渣を濾過し、水で洗浄し、真空中で乾燥し、淡黄色粉末として標記化合物を得た(0.052g;50%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 13.0(s,1H),8.70(d,J=7.3Hz,1H),8.07(d,J=2.3Hz,1H),7.93(s,1H),7.76(s,1H),7.58(d,J=8.1Hz,2H),7.24(t,J=8.2Hz,1H),6.94(dd,J=7.3,1.8Hz,1H),6.82(d,J=1.8Hz,1H)。MS(ES+) m/e 389[M+H]
【0076】
実施例2
【化16】

(5Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−1,3−チアゾール−4(5H)−オン
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒドをイミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−カルバルデヒド(Yamanaka,M.;Miyake,K.;Suda,S.;Ohhara,H.;Ogawa,T.Chem Pharm.Bull.1991,39,6,1556−1567の方法によって調製)に置換することを除き、実施例1の製法にしたがって、黄色粉末として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,メタノール−d) δ ppm 8.74(s,1H),7.94(s,1H),7.72(s,1H),7.63(s,1H),7.60(d,J=9.3Hz,1H),7.47(d,J=8.1Hz,2H),7.42(dd,J=9.5,1.4Hz,1H),7.18(t,J=8.2Hz,1H)。MS(ES+) m/e 389[M+H]
【0077】
実施例3
【化17】

5−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−カルボン酸メチル
a)5−ホルミルピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−カルボン酸メチル
5−(ヒドロキシメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−カルボン酸メチル(Bettinetti,L.;Schlotter,K.;Hubner,H.;Gmeiner,P.J.Med.Chem.,2002,45,21,4594−4597の方法によって調製)(0.110g、0.538mmol)の塩化メチレン(2.0mL)中溶液を、常温にて二酸化マンガン(0.460g、5.38mmol)で処理した。12時間攪拌した後、溶媒を濾過し、真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中10%メタノール)に付して精製し、白色固体として標記化合物を得た(0.111g、100%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 10.1(s,1H),8.70(s,1H),8.62(d,J=7.1Hz,1H),8.52(s,1H),7.47(dd,J=7.1,1.8Hz,1H),4.00(s,3H)。MS(ES+) m/e 205[M+H]
【0078】
b)5−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−カルボン酸メチル
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒドを実施例3a)からの化合物に置換することを除き、実施例1の製法にしたがって、黄色粉末として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 8.74(d,J=7.1Hz,1H),8.42(s,1H),8.16(br.s.,1H),7.76(s,1H),7.49(d,J=8.1Hz,2H),7.11−7.23(m,2H),3.73(s,3H)。MS(ES+) m/e 447[M+H]
【0079】
実施例4
【化18】

6−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸エチル
a)3−[(エチルオキシ)カルボニル]イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−カルボン酸
0℃で水性濃硫酸(0.05mL)のエタノール(2.5mL)中溶液を、2−クロロ−3−オキソプロピオン酸エチルカリウム塩(Ikemoto,T.;Kawamoto,T.;Tomimatsu,K.;Takatani,M;Wakimasu,M.Tetrahedron 2000,56,40,7915の方法によって調製)(0.466g、3.10mmol)および6−アミノ−3−ピリジンカルボン酸(0.138g、1.00mmol)で処理し、次いで、18時間加熱還流した。冷却後、溶液を真空中で濃縮し、残渣を5mLの水に注ぎ、10mL量の酢酸エチルで2回抽出した。水層を1N水性NaOHで中和し、さらに酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮し、標記化合物を得た(0.234g;100%)。MS(ES+) m/e 235[M+H]
【0080】
b)6−(ヒドロキシメチル)イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸エチル
実施例4a)からの化合物(0.234g、1.0mmol)のテトラヒドロフラン(1.0mL)中溶液を、氷−塩浴で−18℃に冷却した。ボラン−テトラヒドロフラン(1.0mL、1.0mmol、THF中1M)を5分かけて滴下した。得られた透明溶液を十分に攪拌し、氷−塩浴を8時間かけて常温にゆっくりと加温した。反応物を0℃にて水でクエンチし、次いで、エチルエーテルで抽出し(4x20mL)、真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム中10%メタノール)に付して精製し、黄色油として標記化合物を得た(0.102g;46%)。H NMR(400MHz,メタノール−d) δ ppm 9.31(br.s.,1H),8.22(s,1H),7.69(d,J=9.1Hz,1H),7.57(dd,J=9.2,1.6Hz,1H),4.72(s,2H),4.43(q,J=7.1Hz,2H),1.43(t,J=7.1Hz,3H)。MS(ES+) m/e 221[M+H]
【0081】
c)6−ホルミルイミダゾロ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸エチル
実施例4b)からの化合物(0.102g、0.463mmol)のジクロロメタン(5.0mL)中溶液を、二酸化マンガン(0.403g、4.63mmol)で処理した。常温で8時間攪拌した後、混合物をセライトの一部に通して濾過し、ジクロロメタンで3回洗浄した。溶液を真空中で濃縮し、黄色固体として標記化合物を得た(0.055g;54%)。H NMR(400MHz,クロロホルム−d) δ ppm 10.1(s,1H),9.86(d,J=1.8Hz,1H),8.39(s,1H),7.88−7.96(m,1H),7.77−7.85(m,1H),4.47(q,J=7.1Hz,2H),1.46(t,J=7.1Hz,3H)。MS(ES+) m/e 219[M+H]
【0082】
d)6−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸エチル
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒドを実施例4c)からの化合物に置換することを除き、実施例1の製法にしたがって、白色粉末として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 13.1(br.s.,1H),9.39(s,1H),8.29−8.43(m,1H),7.80−7.92(m,2H),7.65(d,J=9.3Hz,1H),7.58(d,J=8.1Hz,2H),7.24(t,J=8.1Hz,1H),4.30(q,J=6.8Hz,2H),1.27(t,J=7.1Hz,3H)。MS(ES+) m/e 461[M+H]
【0083】
実施例5
【化19】

N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒドをイミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−カルバルデヒド(Yamanaka,M.;Miyake,K.;Suda,S.;Ohhara,H.;Ogawa,T.Chem Pharm.Bull.1991,39,6,1556−1567の方法によって調製)におよび(2Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)イミノ]−1,3−チアゾリジン−4−オンをN−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミドに置換することを除き、実施例1の製法にしたがって、赤色固体として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,メタノール−d) δ ppm 9.01(s,1H),8.29(d,J=1.8Hz,1H),8.06(dd,J=5.3,1.8Hz,2H),7.95(d,J=9.3Hz,1H),7.74(s,1H),7.52(d,J=2.0Hz,1H),7.38(d,J=8.8Hz,1H),7.29(dd,J=14.9,2.3Hz,1H),3.25−3.37(m,1H),2.26−2.40(m,2H),2.12−2.26(m,2H),1.96−2.11(m,1H),1.88(q,J=9.3Hz,1H)。MS(ES+) m/e 452[M+H]
【0084】
実施例6
【化20】

N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒド(Bettinetti,L.;Schlotter,K.;Hubner,H.;Gmeiner,P.J.Med.Chem.,2002,45,21,4594−4597の方法によって調製)(0.040g、0.267mmol)およびN−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド(0.173g、0.536mmol)のエタノール(2.0mL)中溶液を、酢酸ピペリジニウム(0.536mL、0.536mmol、エタノール中1M溶液)で処理し、次いで、Biotage Initiatorマイクロ波シンセサイザで1時間150℃に加熱した。反応混合物を常温に冷却し、水で処理した。得られた沈渣を濾過し、水、ヘキサン、およびメタノールで洗浄し、黄色固体として標記化合物を得た(0.075g;62%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 12.8(br.s.,1H),9.93(s,1H),8.71(d,J=7.1Hz,1H),8.06(d,J=2.3Hz,1H),7.93(s,1H),7.71(s,1H),7.31−7.53(m,3H),6.97(dd,J=7.3,1.8Hz,1H),6.81(d,J=1.5Hz,1H),2.16−2.29(m,2H),2.02−2.15(m,2H),1.85−2.00(m,1H),1.72−1.86(m,1H),0.90−1.16(m,1H)。MS(ES+) m/e 452[M+H]
【0085】
実施例7
【化21】

N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミド
N−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミドをN−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミドに置換することを除き、実施例6の製法にしたがって、淡黄色固体として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 12.8(br.s.,1H),10.0(s,1H),8.70(d,J=7.6Hz,1H),8.05(d,J=2.3Hz,1H),7.92(s,1H),7.70(s,1H),7.44(d,J=2.5Hz,3H),6.96(dd,J=7.5,1.9Hz,1H),6.80(d,J=1.5Hz,1H),2.53−2.62(m,1H),1.10(s,3H),1.08(s,3H)。MS(ES+) m/e 440[M+H]
【0086】
実施例8
【化22】

N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミド
ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−カルバルデヒドをイミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−カルバルデヒド(Yamanaka,M.;Miyake,K.;Suda,S.;Ohhara,H.;Ogawa,T.Chem Pharm.Bull.1991,39,6,1556−1567の方法によって調製)におよびN−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミドをN−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミドに置換することを除き、実施例6の製法にしたがって、淡オレンジ色固体として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 12.7(br.s.,1H),10.0(s,1H),8.91(s,1H),8.06(s,1H),7.70(s,1H),7.58−7.67(m,2H),7.45(d,J=2.3Hz,3H),7.33(dd,J=9.6,1.8Hz,1H),2.52−2.66(m,1H),1.10(s,3H),1.09(s,3H)。MS(ES+) m/e 440[M+H]
【0087】
実施例9
【化23】

N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2,2−ジメチルプロパンアミド
N−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミドをN−(4−クロロ−3−{[(2Z)−4−オキソ−1,3−チアゾリジン−2−イリデン]アミノ}フェニル)−2,2−ジメチルプロパンアミドに置換することを除き、実施例6の製法にしたがって、淡黄色固体として標記化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ ppm 12.74(br.s.,1H),9.36(s,1H),8.70(d,J=7.3Hz,1H),8.05(d,J=2.0Hz,1H),7.92(s,1H),7.70(s,1H),7.48−7.55(m,2H),7.40−7.47(m,1H),6.96(dd,J=7.3,2.0Hz,1H),6.80(d,J=1.8Hz,1H),1.21(s,9H)。MS(ES+) m/e 454[M+H]
【0088】
実施例10−カプセル組成
本発明を投与するための経口剤形は、標準的2ピースの硬ゼラチンカプセルを以下の表Iに示される比率の成分で充填することによって製造される。
【表1】

【0089】
実施例11−注射非経口組成
本発明を投与するための注射形態は、水中10容量%プロピレングリコールにおける1.5重量%の実施例1の化合物を攪拌することにより製造される。
【0090】
実施例12−錠剤組成
以下の表IIに示される白糖、硫酸カルシウム二水和物およびYAK阻害薬を混合し、10%ゼラチン溶液で示される割合にて粒状にする。湿った顆粒をスクリーンし、でんぷん、タルクおよびステアリン酸と混合し、クリーンし、錠剤中に圧縮する。
【表2】

【0091】
生物学的方法およびデータ
本発明の化合物は、YAK3の阻害薬として活性であるので、それらは、限定するものではないが、貧血、腎不全または自己免疫、HIV、または癌などの慢性疾患による貧血、および薬物誘導性貧血、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血および骨髄抑制、ならびに血球減少症を含む、YAK3活性に付随する疾患の治療に治療的有用性を示す。
【0092】
基質リン酸化アッセイを以下のとおり実施する:
リン酸受容体としてミエリン塩基性タンパク質のSer164を用いるYAK3シンチレーション近接アッセイ
Ser164基質ペプチド源:ビオチン化Ser164,S164Aペプチド(ビオチニル−LGGRDSRAGSPMARR−OH)は、Ala162として置換されるSer162を有するウシミエリン塩基性タンパク質(MBP)のC−末端から得られる配列であり、California Peptide Research Inc.(Napa,CA)から購入され、その純度はHPLCによって測定される。164位(上記の印の付いたS)でリン酸化が生じる。ペプチドの算出された分子量は2166ダルトンである。固体試料を、DMSO中10mMで溶解し、アリコートし、使用するまで−20℃で保存する。
【0093】
酵素源
YAK3:ヒトYAK3のアミノ酸残基124−526(米国特許番号第6,323,318号の配列番号2のアミノ酸124−526)を含有するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−YAK3−His6を、グルタチオンセファロース4Bカラムクロマトグラフィー、次いで、Ni−NTA−アガロースカラムクロマトグラフィーを用いてSf9細胞のバキュロウイルス発現系から精製する。典型的には、65%より高い純度を達成する。50mM Tris、150mM NaCl、10%グリセロール、0.1%Triton、250mMイミダゾール、10mM β−メルカプトエタノール、pH8.0の試料を、使用するまで−80℃で保存する。
【0094】
精製YAK3のキナーゼアッセイ:アッセイを96ウェル(Costar,Catalog No.3789)または384ウェルプレート(Costar,Catalog No.3705)で実施する。(20、25、または40μl容量における)反応物は、25mM Hepes緩衝液、pH7.4;10mM MgCl2;10mM β−メルカプトエタノール;0.0025%トゥイーン−20;0.001mM ATP、0.1 δ Ciの[δ−33P]ATP;精製YAK3(7−14ng/アッセイ;最終4nM);および4μM Ser164ペプチドを含有する最終濃度で混合する。DMSOで滴定される化合物は、50μM〜0.5nMの範囲の濃度で評価される。DMSOの最終アッセイ濃度は、5%を超えず、DMSOを有しない対照に比べて、15%未満のYAK3活性の消失をもたらす。反応物は室温で2時間培養され、0.19μgのPBS中ストレプトアビジンシンチレーション近接ビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Catalog No.RPNQ 0007)、pH7.4、10mM EDTA、0.1%Triton X−100、1mM ATPの75ul添加によって停止される。上記のアッセイ条件下、ATPについてのKm(見掛け)は、7.2+/−2.4μMであると決定される。
【0095】
化合物の用量反応についてのデータは、化合物の濃度に対する、データ換算式100*(1−[U1−C2)/(C1−C2)]){式中:Uは未知値であり、C1はDMSOについて得られる平均対照値であり、C2は0.05M EDTAについて得られる平均対照値である}で計算される、阻害%としてプロットされる。データは、y=((Vmaxx)/(K+x)){式中:Vmaxは上方の漸近線であり、KはIC50である}によって記載される全時間曲線に適合された。各化合物についての結果を以下のとおり計算されたaspIC50を記録した:pIC50=−Log10(K)。
本発明の有用性
【0096】
式Iで示される化合物は、YAK3タンパク質が関与する病態、特に、限定するものではないが、腎不全または自己免疫、HIV、または癌などの慢性疾患による貧血、および薬物誘導性貧血、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、骨髄抑制、ならびに血球減少症を含む、赤血球および造血系の疾患を治療または予防するのに有用である。
【0097】
式Iで示される化合物は、造血系の疾患、特に貧血を治療するのに有用である。かかる貧血には、再生不良性貧血および骨髄異形成症候群からなる群より選択される貧血が含まれる。かかる貧血にはまた、貧血が、癌、白血病およびリンパ腫からなる群より選択される一次疾患がもたらす結果であるものが含まれる。かかる貧血にはまた、貧血が、腎疾患、腎不全または腎障害からなる群より選択される一次疾患がもたらす結果であるものが含まれる。かかる貧血には、貧血が化学療法または放射線療法がもたらす結果であるもの、特に、化学療法が癌の化学療法またはHIV感染のAZT治療であるものが含まれる。かかる貧血には、貧血が骨髄移植または幹細胞移植がもたらす結果であるものが含まれる。かかる貧血にはまた、新生児の貧血が含まれる。かかる貧血にはまた、ウイルス、真菌、細菌または寄生虫感染がもたらす結果であるものが含まれる。
【0098】
式Iで示される化合物はまた、正常な赤血球数を促進するのに有用である。かかる促進は、さまざまな用途、特に、患者の輸血用製剤および患者の手術用製剤などの医療用途に好ましい。
【0099】
本発明の好ましい実施態様は上記されているが、本発明が本明細書に開示される正確な指示に制限されないことおよび添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる全ての修正についての権利が留保されることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
Rは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、−N−R15、−O−R15、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキルからなる群より選択され、
ここで、R15は、C−C12アリール、置換C−C12アリール、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキルからなる群より選択され;および
Qは、
【化2】

{式中:
A、B、D、E、およびGは一緒になって、1〜2個の二重結合および1〜4個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、E、およびDは、独立して、CR20、O、S、およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZは、CR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびアリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびアリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNであって、またRは非置換フェニルではない}
である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
Rが置換アリールである請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
Qが、
【化3】

[式中:
Rは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
A、B、D、E、およびGは一緒になって、2個の二重結合および2個の窒素を含有する環を形成し;
ここで、
AおよびBは、独立して、CおよびNからなる群より選択され;
G、E、およびDは、独立して、CR20およびNからなる群より選択され;
X、YおよびZは、CR20であり;
ここで、各R20は、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、アルキルアミン、置換アルキルアミン、ジアルキルアミン、置換ジアルキルアミン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアミン、置換アリールアミン、シクロアルキル、置換シクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル、1〜4個のヘテロ原子を含有する置換シクロアルキル、オキソ、−C(O)OR10、−C(O)NR1112、シアノ、およびニトリルからなる群より選択され、
ここで、R10は、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、およびC−C12アリールからなる群より選択され;
ただし、AおよびBのどちらか一つはNであって,またRは非置換フェニルではない]
である、請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ。
【請求項4】
Rが置換アリールである請求項3記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項5】
DがNであって;RがC−C12置換アリールであって;各R20が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、−C(O)OR10からなる群より選択され、ここで、R10は請求項3と同義である、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
DがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
DがNである、請求項3記載の化合物。
【請求項8】
(5Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−1,3−チアゾール−4(5H)−オン;
(5Z)−2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−1,3−チアゾール−4(5H)−オン;
5−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−カルボン酸メチル;
6−{(Z)−[2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]−4−オキソ−1,3−チアゾール−5(4H)−イリデン]メチル}イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸エチル;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)シクロブタンカルボキサミド;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミド;
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−5−(イミダゾロ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチリデン)−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパンアミド;および
N−(4−クロロ−3−{[(5Z)−4−オキソ−5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルメチリデン)−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)−2,2−ジメチルプロパンアミド;
から選択される化合物ならびに/あるいはその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
【請求項9】
請求項1記載の化合物、および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグならびに医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬上許容される担体または希釈剤ならびに有効量の請求項1記載の式Iで示される化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物を調製する方法であって、式Iで示される化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグを医薬上許容される担体または希釈剤に付随させることを含む方法。
【請求項11】
哺乳類におけるYAK3を阻害する方法であって、治療上有効な量の請求項1記載の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグを哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項12】
YAK3不安定または不適当な活性によって引き起こされる、赤血球および造血系の疾患を治療または予防する方法であって、治療上有効な量の請求項1記載の化合物、またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグならびに1種または複数の医薬上許容される担体、希釈剤および賦形剤を哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項13】
赤血球および造血系の疾患が、貧血、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄抑制および血球減少症からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
貧血、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄抑制および血球減少症からなる群より選択される疾患を治療または予防する方法であって、治療上有効な量の請求項1記載の化合物、またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグならびに1種または複数の医薬上許容される担体、希釈剤および賦形剤を哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項15】
哺乳類がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項16】
治療を必要とする哺乳類における、造血系の疾患を治療する方法であって、治療上有効な量の
a)請求項1記載の式Iで示される化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグ;および
b)EPOまたはその誘導体
をかかる哺乳類に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2009−514984(P2009−514984A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540304(P2008−540304)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/060511
【国際公開番号】WO2007/056683
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】