説明

新規殺微生物剤

置換基が請求項1に定義した通りである式(I)の化合物は殺微生物剤として適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺微生物活性、特に殺真菌活性のある新規チエニル/ベンゾチエニルエチルアミドに関する。更に、それらの化合物の調製に用いられる中間体、それらの化合物を含んで成る組成物、及び植物病原性微生物、特に真菌による植物の感染を防除又は予防するための農業及び園芸におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
チエニルエチルアミド及び殺真菌剤としてのそれらの使用はWO 2006/108791及びEP-1710237A1中に記載されている。ベンゾチエニルエチルアミド及び殺真菌剤としてのそれらの使用はWO 2007/006739中に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
新規チエニル/ベンゾチエニルエチルアミドが殺微生物活性を有することが発見された。よって、本発明は、式Iの化合物
【0004】
【化1】

【0005】
〔上式中、
Aは、各々独立に酸素、窒素及び硫黄から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5員もしくは6員の複素環、又はフェニル環であり;前記複素環又はフェニル環は基R6,R7及びR8により置換されており;
6,R7及びR8は各々独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロゲンアルキル、C1-4ハロゲンアルコキシ、C1-4アルキル(C1-4)アルキル又はC1-4ハロゲンアルコキシ(C1-4)アルキルであり、ただしR6,R7及びR8の少なくとも1つが水素ではなく;
1及びR2は互いに独立に、水素、ハロゲン、C1-4アルキル又はC1-4ハロゲンアルキルを表し;
QはQ1
【0006】
【化2】

であるか、又はQはQ2
【0007】
【化3】

であり;
【0008】
ここで
3はハロゲン又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;
4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;
5は水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、フェニル、ハロゲンフェニル、C3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル又はハロゲンフェニルアセチニルであり;
15は水素又はC3〜C7シクロアルキルである〕
及びそれらの化合物の互変異性体/異性体/鏡像体に関する。
【0009】
本発明によれば、置換基R4及びR5の定義に使用する時の用語「アセチニル」は、基「−C≡C−」を表す。例として、C3シクロアルキルアセチニルは基
【0010】
【化4】

を表し、そして例えば化合物1.1中の置換基R4として存在する。
【0011】
置換基の定義にあるアルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができ、そして例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。アルコキシ、アルケニル及びアルキニル基は、言及したアルキル基から誘導される。アルケニル及びアルキニル基は一不飽和又は二不飽和であることができる。
【0012】
置換基の定義にあるシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0013】
ハロゲンは一般にフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくはフッ素、臭素又は塩素である。これは、対応して、別の意味、例えばハロゲンアルキル又はハロゲンアルコキシと組み合わされたハロゲンにも当てはまる。
【0014】
ハロゲンアルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子の鎖長を有する。ハロゲンアルキルは例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリクロロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロエチル及び2,2,2−トリクロロエチルであり;好ましくはトリクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及びジクロロフルオロメチルである。
【0015】
アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及びtert−ブトキシであり;好ましくはメトキシ及びエトキシである。ハロゲンアルコキシは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2−クロロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ及び2,2,2−トリクロロエトキシであり;好ましくはジフルオロメトキシ、2−クロロエトキシ及びトリフルオロメトキシである。
【0016】
アルコキシアルキルは、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n−プロポキシメチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシメチル又はイソプロポキシエチルである。
【0017】
ハロゲンフェニルは、好ましくは1,2又は3個のハロゲン原子により置換されたフェニル、例えば4−クロロフェニルである。
【0018】
本発明の範囲内で、「各々独立に酸素、窒素及び硫黄から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5員もしくは6員の複素環」は、好ましくは、ピラゾリル(特にピラゾール−4−イル)、チアゾリル(特にチアゾール−5−イル)、ピロリル(特にピロール−3−イル)、1,2,3−トリアゾリル、オキサゾリル(特にオキサゾール−5−イル)、ピリジル(特にピリダ−3−イル)又は2,3−ジヒドロ−〔1,4〕オキサチイニル(特に2,3−ジヒドロ−〔1,4〕オキサチイン−5−イル)を意味する。
【0019】
15が水素である式Iの化合物は、異なる異性体形で存在することができ;本発明はそれらの異性体及びそれの混合物の全てを包含する。式Iの化合物は異なる互変異性体として存在し得る。例えば、式Iの化合物は互変異性体II及びIIIとして存在する。
【0020】
【化5】

【0021】
本発明はそれらの互変異性体及びそれの混合物の全てを包含する。
【0022】
好ましくは、R15は水素である。化合物の好ましい基では、Aは各々独立に酸素、窒素及び硫黄から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5員の複素環であり;複素環は基R6,R7及びR8により置換されている。
【0023】
前記化合物の好ましい群の中で、更に好ましくはAがA1
【化6】

【0024】
〔ここで
16はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;
17はC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;そして
18は水素、ハロゲン又はシアノである〕であり;
【0025】
又はAがA2
【化7】

【0026】
〔ここで
26はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;そして
27はC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである〕であり;
【0027】
又はAがA3
【化8】

【0028】
〔ここで
36はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;
37はC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;そして
38は水素、ハロゲン又はシアノである〕であり;
【0029】
又はAがA4
【化9】

【0030】
〔ここで
46及びR47は互いに独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである〕である。
【0031】
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA1である。
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA2である。
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA3である。
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA4である。
【0032】
別の好ましい化合物群では、Aはフェニル環又は各々独立に酸素、窒素及び硫黄から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する6員の複素環であり;前記フェニル環又は複素環は基R6,R7及びR8により置換されている。
【0033】
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA5
【化10】

【0034】
(ここで
56はハロゲン、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである)であり;
【0035】
又はAがA6
【化11】

【0036】
(ここで
66はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである)であり;
【0037】
又はAがA7
【化12】

【0038】
(ここで
76はC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルである)である。
【0039】
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA5である。
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA6である。
前記好ましい化合物群の中で、更に好ましくはAがA7である。
【0040】
特に好ましい化合物群では、AはA1であり、R18が水素である。別の特に好ましい化合物群では、AはA1であり、R16がC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキル、好ましくはC1〜C4ハロゲンアルキルであり;R17がC1〜C4アルキルであり;そしてR18が水素又はハロゲン、好ましくは水素である。
【0041】
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA2であり、R26がC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;そしてR27がC1〜C4アルキルである。
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA3であり、R36がC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;R37がC1〜C4アルキルであり;そしてR38が水素又はハロゲンである。
【0042】
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA4であり、R46がC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;そしてR47がC1〜C4アルキルである。
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA4であり、R46がハロゲンメチルであり、好ましくはR46がCF3,CF2H及びCFH2から選択され;そしてR47がC1〜C4アルキルである。
【0043】
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA5であり、R56がハロゲン又はC1〜C4ハロゲンアルキルである。
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA6であり、R66がハロゲン又はC1〜C4ハロゲンアルキルである。
【0044】
更に別の特に好ましい化合物群では、AはA7であり、R76がC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルである。
好ましい化合物群では、R1は水素又はメチルである。一態様では、R1は水素である。一態様ではR1はメチルである。
好ましい化合物群では、R2は水素である。
【0045】
一態様ではQはQ1である。
【0046】
一態様ではQ1はQ1A
【化13】

【0047】
(ここでR3,R4及びR5は式Iのもとで定義した通りである)である。
好ましくは、Q1AはQ1A-1
【化14】

(ここでR3,R4及びR5は式Iのもとで定義した通りである)である。この態様の中の更により好ましい化合物では、R3はハロゲン、より好ましくはクロロ又はブロモであり;R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;そしてR5は水素である。それらの化合物は第1表〜第6表に与えられる。
【0048】
一態様では、Q1はQ1B
【化15】

(ここでR3,R4及びR5は式Iのもとで定義した通りである)である。
【0049】
好ましくは、Q1BはQ1B-1
【化16】

(ここでR3,R4及びR5は式Iのもとで定義した通りである)である。
【0050】
好ましくは、Q1BはQ1B-2
【化17】

(ここでR3,R4及びR5は式Iのもとで定義した通りである)である。
【0051】
この態様の中の更により好ましい化合物では、R3はハロゲン、より好ましくはクロロであり;R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;そしてR5はハロゲン、より好ましくはクロロである。それらの化合物は第7表〜第12表に与えられる。
【0052】
好ましくは、Q1BはQ1B-3
【化18】

(ここでR3,R4及びR5は式Iのもとで定義した通りである)である。
【0053】
この態様の中の更により好ましい化合物では、R3はハロゲン、より好ましくはクロロであり;R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;そしてR5はハロゲン、より好ましくはクロロである。それらの化合物は第7表〜第12表に与えられる。
【0054】
一態様ではQはQ2である。この態様は第13表と第14表の化合物により表される。
【0055】
3は好ましくはハロゲン、より好ましくはクロロ又はブロモである。
【0056】
好ましい化合物群では、R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル又はハロゲンフェニルアセチニルである。
別の好ましい化合物群では、R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニルである。
【0057】
別の好ましい化合物群では、R4はハロゲンフェニルアセチニル、より好ましくは4−ハロゲンフェニルである。
更に別の好ましい化合物群では、R4はハロゲンフェニル、より好ましくは4−ハロゲンフェニルである。
【0058】
5は好ましくは水素又はハロゲンである。
一態様では、R5は水素である。
別の態様では、R5はハロゲン、好ましくはクロロである。
【0059】
QがQ1AでありそしてR2,R5及びR15が水素である式Iの化合物は、スキームIに従って調製される。
【0060】
スキームI:
【化19】

【0061】
3が式Iのもとで定義した通りである式VIIのチオフェン−2−アルデヒドを、R1が式Iのもとで定義した通りである式R1CH2NO2のニトロアルカンと反応させて、R1とR3が式Iのもとで定義した通りである式VIのニトロアルケンを形成させることができる。前記反応は、酢酸と酢酸アンモニウムの存在下で周囲温度と還流温度の間の温度で便利に実施される。
【0062】
式VIのニトロアルケンは、エーテル溶媒、例えばジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン中でLiAlH4を使って、R1とR3が式Iのもとで定義した通りである式Vのアミンへと還元することができる。
【0063】
続いて式Vのアミンを、例えば酢酸の存在下で臭素により、R1とR3が式Iのもとで定義した通りである式IIIAのアミンへと臭素化することができる。
【0064】
式IIIAの臭素化アミンを次いで、対応する酸誘導体、例えば式A−C(O)Cl(Aは式Iのもとで定義した通りである)の酸クロリドを使うことによりアミド化して、式IIAの臭素化アミド(A,R1及びR3は式Iのもとで定義した通りである)を形成させることができる。前記アミド化は、塩基、例えばトリエチルアミン、Hunig塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン又はキノリン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で、そして溶媒、例えばジエチルエーテル、TBME、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF又はNMP中で、10分〜48時間に渡り、好ましくは12〜24時間、0℃〜還流温度、好ましくは20〜25℃において、便利に実施される。
【0065】
式IAの化合物は、周知のスズキカップリング方法論を使って、式IIAの臭素化アミン(式中Xはハロゲンでありそしてnは1,2,3,4又は5、好ましくは1である)を式VIAの化合物と反応させることにより調製できる。スズキ反応は、2つの芳香環系の直接カップリングの標準法の1つになっており、例えば、Journal of the Chemical Society 121(41), 9550 (1999)及びJournal fur Praktische Chemie 342(4), 334-339 (2000)中に記載されている。
【0066】
式IBの化合物は、式IIAの臭素化アミンを、周知のソノガシラカップリング方法論を使って、式IVBのアセチニル化合物(ここでR*はC3〜C7シクロアルキル、フェニル又はハロゲンフェニルである)と反応させることにより調製することができる。ソノガシラ反応は、アルキニル機能を不飽和の芳香族又はヘテロ芳香族分子中に導入するための標準法の1つになっている。それは例えば、Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis 第1巻, 767-789 (2002) ; I.B. Campbell による Organocopper reagents (IRL-Press, 1994) ; K.C. Nicolaou他、Angewandte Chemie Int. Ed., 44, 4442 (2005) ; R.Tykwinski他、同書, 42, 1433 (2002) ; 及びA. Zapf他、Topics in Catalysis, 19, 101 (2002)中に概説されている。
【0067】
QがQ1Bであり、R2が水素でありそしてR5がクロロである式Iの化合物は、スキーム2に従って調製することができる。
【0068】
スキーム2:
【化20】

【0069】
チオフェン−3−アルデヒド(式XIの化合物)は、既知方法に従ってCl2/AlCl3により徹底的に塩素化して、式Xの三塩素化チオフェンアルデヒドを生成することができる。
【0070】
式Xの化合物を、R1が式Iのもとで定義した通りである式R1CH2NO2のニトロアルカンと反応させて、R1が式Iのもとで定義した通りである式IXのニトロアルケンを生成することができる。式IXのニトロアルケンを、R1が式Iのもとで定義した通りである式VIIICおよびVIIIDの二塩素化アミンへと還元することができる。続いて式VIIIC及びVIIIDのアミンを臭素化して、R1が式Iのもとで定義した通りである式IIIC及びIIIDのアミンを生成することができる。
【0071】
式IIIC及びIIIDの臭素化アミンは、次いで対応する酸誘導体、例えば式A−C(O)Clの酸クロリド(式中Aは式Iのもとで定義した通りである)を使ってアミド化することにより、式IIC及びIIDの臭素化アミド(式中A,R1及びR3は式Iのもとで定義した通りである)を生成することができる。
【0072】
式IC及びIDの化合物は、式IIC及びIIDの臭素化アミンを、スズキ反応により、式VIAの化合物(式中Xはハロゲンでありそしてnは1,2,3,4又は5であり、好ましくは1である)と反応させることにより調製することができる。
【0073】
式VIIIC,VIIID,IIIC,IIID,IIC,IID,IC及びIDの化合物の形成のための適当な反応条件は、上記スキーム1について記載した通りである。
【0074】
式IE及びIFの化合物
【化21】

(式中、A及びR1は式Iのもとで定義した通りであり;そしてR*はC3〜C7シクロアルキル、フェニル又はハロゲンフェニルである)
は、上記スキーム1について記載されたように、ソノガシラ反応により式IIC及びIIDの化合物から生成することができる。
【0075】
QがQ2であり、R2が水素でありそしてR3がクロロである式Iの化合物は、スキーム3に従って調製することができる。
【0076】
スキーム3:
【化22】

【0077】
5が式Iのもとで定義した通りである式XIIIのベンゾチオフェンは、J. Org. Chem. 1996, 61 (9), 6523-25中に記載されたように、R5が式Iのもとで定義した通りである式XIVの化合物から調製することができる。
【0078】
式XIIIのベンゾチオフェンから出発して、スキーム1について上述した通りに、A,R1及びR5が式Iのもとで定義した通りである式XII,IIIG及びIIGの化合物を調製することができる。
【0079】
式IGの化合物は、スキーム1について上述した通りに、スズキ反応又はソノガシラ反応により、式IIGの臭素化アミドを式VIA又はVIBの化合物と反応させることにより調製することができる。
【0080】
置換基が上述した通りである式VII,IVA,IVB,XI及びXIVの化合物、並びにR1が式Iのもとで定義した通りである式R1CH2NO2のニトロアルカンは、既知であり市販されているか、又は上述した参考文献に従ってもしくは当業界で既知の方法に従って調製することができる。
【0081】
式A−C(O)Clの化合物は、既知でありそして一部は市販されている。それらは例えば、WO 00/09482,WO 02/38542,WO 04/018438,EP-0-589-301,WO 93/11117及びArch. Pharm. Res. 2000, 23(4), 315-323中に記載されたのと同様にして調製することができる。
【0082】
15がC3〜C7シクロアルキルである式Iの化合物は、例えば次の反応スキームに従って調製することができる。
【0083】
【化23】

【0084】
A,Q,R1及びR2の定義に従って官能化された式Iの更なる化合物を全て調製するために、適当な既知の多数の標準法、例えばアルキル化、ハロゲン化、アシル化、アミド化、オキシム化、酸化及び還元法がある。適当である調製法の選択は、中間体中の置換基の性質(反応性)に依存する。
【0085】
式Iの化合物を提供するための反応は、有利には非プロトン性不活性有機溶媒中で実施される。そのような溶媒は炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン又はシクロヘキサン、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン又はクロロベンゼン、エーテル、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、ニトリル、例えばアセトニトリル又はプロピオニトリル、アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド又はN−メチルピロリジノンである。反応温度は有利には−20℃〜+120℃である。一般に、反応はわずかに発熱性であり、概してそれらは室温で実施することができる。反応時間を短縮するため又は反応を開始するために、混合物を反応混合物の沸点にまで手短に加熱することができる。反応触媒として数滴の塩基を添加することにより反応時間を短縮することもできる。適当な塩基は、特に、第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン又は1,5−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エンである。しかしながら、無機塩基、例えば水素化物、例えば水素化ナトリウム又は水素化カルシウム、水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、又は炭酸水素塩、例えば炭酸水素カリウム及び炭酸水素ナトリウムを塩基として使用してもよい。
【0086】
塩基は単独で使用することができ又は触媒量の相転移触媒、例えばクラウンエーテル、特に18−クラウン−6、又はテトラアルキルアンモニウム塩と共に使用することもできる。
【0087】
式Iの化合物は、溶媒を濃縮及び/又は蒸発させることにより常用のやり方で単離し、そして固体残渣が容易には溶解しない溶媒、例えばエーテル、芳香族炭化水素又は塩素化炭化水素中で再結晶又は粉砕することにより精製することができる。
【0088】
式Iの化合物及び適当ならばそれの互変異性体は、分子中に存在する不斉炭素原子の数、絶対及び相対配置に依存してそして/又は分子中に存在する非芳香族性二重結合の配置に依存して、可能である異性体の1つの形で又はそれらの混合物として存在することができ、例えば純粋な異性体、例えばアンチポード及び/又はジアステレオマーの形で、又は異性体混合物、例えば鏡像体混合物、例えばラセミ体、ジアステレオマー混合物もしくはラセミ体混合物として存在することができる;本発明は、純粋な異性体及び可能である全ての異性体混合物にも関し、そして各場合に立体化学的詳細が具体的に言及されない場合であっても、上記及び下記文章において、解釈すべきである。
【0089】
化合物I及び適当ならばそれの互変異性体は、適当であれば水和物の形で得ることもでき、そして/又は別の溶媒、例えば固体形で存在する化合物の結晶化に使用することもできる溶媒を含むこともできる。
【0090】
本発明に係る式Iの化合物は、実施目的で、植物病原性微生物、例えば真菌、細菌又はウイルスにより引き起こされる病気に対して有用植物を保護するために非常に有利な活性スペクトルを有することが発見された。
【0091】
本発明は、植物病原性微生物による有用植物の感染を防除又は予防する方法であって、式Iの化合物を活性成分として植物に、植物部分に又はそれの場所に適用するという方法に関する。本発明に係る式Iの化合物は、低施用量での優れた活性により、植物により十分に許容されることにより、及び環境的に安全であることにより識別される。それらは非常に有用な治癒的、予防的及び組織的性質を有し、そして多数の有用植物を保護するのに有用である。式Iの化合物は、有用植物の様々な作物の植物上に又は植物の部分(果実、花、葉、茎、塊茎、根)上に発生する病気を抑制又は撃退し、同時に後に生育する植物の部分も、例えば植物病原性微生物から保護するために使用することができる。
【0092】
真菌感染に対して並びに土壌中に存在する植物病原性真菌に対して保護するための植物繁殖材料、特に種子(果実、塊茎、穀粒)及び植物挿し木(例えば米)の処理のための粉衣として式Iの化合物を使用することも可能である。
【0093】
更に本発明に係る式Iの化合物は、関連分野において、例えば木材及び木材関連技術製品を含む技術材料の保護、食品貯蔵又は衛生管理において、真菌を防除するために使用することができる。
【0094】
式Iの化合物は、例えば、次の綱の植物病原性真菌に対して有効である:不完全菌綱〔例えばボトリチス(Botrytis)、ピリクラリア(Pyricularia)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、フザリウム(Fusarium)、セプトリア(Septoria)、セルコスポラ(Cercospora)及びアルテルナリア(Alternaria)〕及び担子菌綱(例えばリゾクトニア(Rhizoctonia)、ヘミレイア(Hemileia)、パクシニア(Puccinia)。加えて、それらは子嚢菌綱〔例えばベンツリア(Venturia)、エリシフェ(Erysiphe)、ポドスフェラ(Podosphaera)、モニリニア(Monilinia)、ウンシヌラ(Uncinula)〕及び卵菌綱〔例えばフィトフトラ(Phytophthora)、ピチウム(Pythium)、プラスモパラ(Plasmopara)〕に対しても有効である。顕著な活性はうどん粉病菌(エリシフェ種)に対して観察された。更に、式Iの新規化合物は植物病原性細菌及びウイルスに対して〔例えばキサントモナス種(Xanthomonas)、シュードモナス種(Pseudomonas)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)に対して並びにタバコモザイクウイルスに対して〕有効である。
【0095】
本発明の範囲内で、保護することができる有用な植物は、典型的には次の植物種を含んで成る:穀類(小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、米、トウモロコシ、モロコシ及び関連種);ビート(甜菜及び飼料ビート);仁果類、石果類及び軟果類(リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー及びブラックベリー);豆科植物(エンドウ豆、レンズ豆、エンドウ豆、大豆);油料植物(アブラナ、カラシ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ヤシ、ヒマシ油植物、カカオ豆、落花生);キュウリ科植物(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(綿、亜麻、 麻、ジュート);かんきつ類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン);野菜類(ホウレン草、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ピーマン);クスノキ科(アボカド、桂皮、樟脳)又はタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、紅茶、コショウ、つる植物、ホップ、バナナ及び天然ゴム並びに観葉植物のような植物。
【0096】
用語「有用植物」は、育種又は遺伝子操作の常用法の結果として、ブロモキシニルのような除草剤又は除草剤クラス〔例えばHPPD除草剤、ALS阻害剤、例えばプリミスルフロン、プロスルフロン及びトリフロキシスルフロン、EPSPS(5−エノールピロビル−シキメート−3−リン酸シンターゼ)阻害剤、GS(グルタミンシンターゼ)阻害剤又はPPO(プロトポルフィノーゲンオキシダーゼ)阻害剤〕に対して耐性にされている有用植物も包含するものとして理解すべきである。常用の育種法(変異誘発)によりイミダゾリノン、例えばイマザモクスに対して耐性にされている作物の例は、Clearfield(登録商標)夏アブラナ(Canola)である。遺伝子操作法により除草剤に又は除草剤のクラスに対して耐性にされている作物の例としては、商品名RoundupReady(登録商標)、Herculex I(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)のもとに市販されているグリホサート及びグルフォシネート耐性トウモロコシ品種が挙げられる。
【0097】
用語「有用植物」は、1又は複数の選択的に活性な毒素を合成することができる、例えば毒素産生菌から、特にバシラス属のものから既知である、合成することができる有用植物、組み換えDNA技術の使用により形質転換されている有用植物も包含するものであると解釈すべきである。
【0098】
用語「有用植物」は、選択的作用を有する抗植物病原性物質、例えばいわゆる「病原関連タンパク質」(PRP、例えばEP-A-0 392 225を参照のこと)を合成することができる、組み換えDNA技術の使用により形質転換されている有用植物も包含するものであると解釈すべきである。そのような抗病原性物質及びそのような抗病原性物質を合成することができるトランスジェニック植物の例は、例えば、EP-A-0 392 225,WO 95/33818及びEP-A-0 353 191から既知である。そのようなトランスジェニック植物を製造する方法は、当業者に広く知られておりそして例えば上述した刊行物中に記載されている。
【0099】
本明細書中で使用する有用植物の「場所」という用語は、有用植物が生育している場所、有用植物の植物繁殖材料が播かれる場所又は有用植物の植物繁殖材料が土壌中に播かれるであろう場所を包含するものである。そのような場所の例は、作物が生育している田畑である。
【0100】
用語「植物繁殖材料」は、植物の生殖性部分、例えば後者の増殖に使用することができる種子、及び植物材料、例えば挿し木又は塊茎、例えばジャガイモを表すと理解される。例えば種子(厳密に言えば)、根、果実、塊茎、球根、根茎及び植物の部分を挙げることができる。発芽した植物及び発芽後又は土壌から出現した後に移植することになっている幼植物も言及することができる。それらの幼植物は、浸漬による完全な又は部分的処理により移植前に保護することができる。好ましくは「植物繁殖材料」は種子を表すと理解される。
【0101】
式Iの化合物は、未変更の形で又は好ましくは、製剤の分野で通常使用される担体及び補助剤と一緒に使用することができる。
【0102】
従って、本発明は、式Iの化合物及び不活性担体を含んで成る、植物病原性微生物に対して防除及び保護するための組成物、及び植物病原性微生物による有用植物の感染を防除又は予防する方法に関し、ここで活性成分としての式Iの化合物及び不活性担体を含んで成る組成物は、植物に、植物部分に又はそれの場所に適用される。
【0103】
そのために式Iの化合物及び不活性担体は、便利には既知の方法で乳剤、被覆用ペースト剤、直接噴霧可能な又は希釈可能な液剤、希釈乳剤、水和剤、可溶性粉剤、粉剤、粒剤及びカプセル剤、例えば重合成物質中のカプセル剤へと製剤化される。組成物の形態に従って、適用方法、例えば散布、噴霧、粉衣、分散、被覆又は注入の方法は、意図する目的及び一般的な状況に従って選択される。組成物は追加の補助剤、例えば安定剤、消泡剤、粘度調整剤、結合剤又は粘着付与剤並びに肥料、微量栄養素供給物、又は特別な効果を得るための他の製剤を含んでもよい。
【0104】
適当な担体及び補助剤は固体又は液体であることができ、そして製剤技術において有用な物質、例えば天然もしくは再生無機物質、溶剤、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、増粘剤、結合剤又は肥料である。そのような担体は例えばWO 97/33890中に記載されている。
【0105】
式Iの化合物又は活性成分としての式Iの化合物と不活性担体とを含んで成る組成物は、追加の化合物と同時に又は連続して、処理しようとする植物の場所又は植物に適用することができる。それらの追加の化合物は、例えば肥料又は微量栄養素提供物もしくは植物の成長に影響を及ぼす他の製剤であることができる。それらは、所望であれば、製剤の分野で常用される追加の担体、界面活性剤又は散布促進補助剤と一緒に、選択的除草剤並びに殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤又はそれらの製剤の混合物であることもできる。
【0106】
式Iの化合物又は活性成分としての式Iの化合物と不活性担体とを含んで成る組成物を適用する好ましい方法は葉面散布である。散布の頻度及び散布量は、対応する病原体による感染の危険性に依存するだろう。しかしながら、式Iの化合物は、液体製剤に植物の場所を浸漬することにより(全身作用)、又は土壌に固形の化合物、例えば顆粒形の化合物を適用することにより(土壌散布)土壌から根を通して植物に浸透することができる。水稲の作物では、そのような粒剤を冠水した水田に散布することができる。式Iの化合物は、殺真菌剤の液体製剤に種子もしくは塊茎を浸漬することによるか又はそれらを固体製剤で被覆することにより、種子に適用(被覆)することもできる。
【0107】
製剤、即ち式Iの化合物と所望により固体又は液体補助剤とを含んで成る組成物は、既知の方法で、典型的には該化合物を増量剤、例えば溶剤、固体担体、及び所望により界面活性化合物(界面活性剤)と共に十分に混合しそして/又は粉砕することにより調製される。
【0108】
農薬製剤は、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.1〜95重量%の式Iの化合物、99.9〜1重量%、好ましくは99.8〜5重量%の固体又は液体補助剤、及び0〜25重量%、好ましくは0.1〜25重量%の界面活性剤を含有するだろう。
【0109】
商品を濃縮物として製剤化することが好ましい場合、最終使用者は一般に希釈製剤を使用するだろう。
【0110】
有利な散布量は、通常1ヘクタール(ha)当たり通常5g〜2kgの活性成分(a.i.)、好ましくは10g〜1kg a.i./ha、最も好ましくは20g〜600g a.i./haである。種子浸漬剤として使用する時、便利な散布量は種子1kg当たり10 mg〜1gの活性物質である。所望の作用のための散布量は実験により決定することができる。それは例えば作用様式、有用植物の発達段階、及び適用(位置、時期、適用法)に依存し、そしてそれらのパラメーターゆえに広い限界内で異なり得る。
【0111】
驚くべきことに、式Iの化合物が、植物病原性生物による攻撃に対して有用植物の作物を保護する方法において、及びグリホサートと少なくとも1つの式Iの化合物との組み合わせを植物に又はそれの場所に投与することを含んで成り、該植物がグリホサートに対して耐性又は感受性である、植物病原性生物に感染した有用植物の作物を治療する方法において使用することができることが発見された。
【0112】
前記方法は、グリホサートの不在下で式Iの化合物を使った場合に比較して予想外に改善された病気防除を提供することができる。前記方法は式Iの化合物による病気防除を増強するのに有効でありうる。グリホサートと少なくとも1つの式Iの化合物との混合物は、少なくとも一部は、式Iの化合物により防除された病気スペクトルを増加できる一方で、式Iの化合物により或る程度防除されることが既に知られている病気種に対する式Iの化合物の活性の増加も観察される効果であることができる。
【0113】
前記方法は、真菌界の担子菌門、さび菌綱、さび菌亜綱さび菌目(一般にさび菌類と呼ばれる)の植物病原性生物に対して特に有効である。特に農業に対して大きな被害を有するさび菌類の種としては、ファコスポラ科、特にファコプソラ属のもの、例えばファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)(これはアジア大豆さび菌とも呼ばれる)、及びパクシニア科のもの、特にパクシニア属のもの、例えばパクシニア・グラミニス(Puccinia graminis)(穀類作物に置いて問題となる病気であるさび菌又は黒さび菌としても知られる)、及びパクシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)(赤さび菌としても知られる)が挙げられる。
【0114】
前記方法の一態様は、植物病原性生物による攻撃に対する有用植物の作物の保護及び/又は植物病原性生物に感染した有用植物の作物の処置方法であり、前記方法は、植物、植物の部分及び植物の場所から成る群より選択された少なくとも1つのものに、塩又はエステルを含むグリホサートと、植物病原性生物に対して活性を有する少なくとも1つの式Iの化合物を同時に適用することを含んで成る。
【0115】
上述した式(I)の化合物又はその医薬上許容される塩は、動物における微生物感染の治療及び/又は予防に有利な活性スペクトルも有する。
【0116】
「動物」は、任意の動物、例えば昆虫類、哺乳類、爬虫類、魚類、両生類、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトであることができる。「処置」は、感染の増加もしくは伝播を削減又は遅延又は停止させるための、或いは感染を削減するか又は感染を治療するための、微生物感染を有する動物に対する使用を意味する。「予防」は、何らかの将来の感染を予防するための、或いは何らかの将来の感染の増加もしくは伝播を削減又は遅らせるための、微生物感染の明白な兆候を全く持たない動物に対する使用を意味する。
【0117】
本発明によれば、動物の微生物感染の処置及び/又は予防に使用される医薬品の製造における式(I)の化合物の使用が提供される。薬剤としての式(I)の化合物の使用も提供される。動物の処置における抗菌剤としての式(I)の化合物の使用も提供される。本発明によれば、活性成分としての式(I)の化合物又はそれの医薬上許容される塩、及び医薬上許容される希釈剤又は担体を含んで成る医薬組成物も提供される。この組成物は、動物の微生物感染の処置及び/又は予防のために使用することができる。この医薬組成物は、経口投与に適当な形、例えば錠剤、ロゼンジ錠、硬質カプセル、水性懸濁液、油性懸濁液、乳液、分散性粉末、分散性粒剤、シロップ及びエリキシル剤であることができる。或いはこの医薬組成物は局所適用に適当な形、例えば噴霧剤、クリーム又はローションであることができる。或いはこの医薬組成物は非経口投与に適当な形、例えば注射液であることができる。或いはこの医薬組成物は吸入形、例えばエーロゾル噴霧剤であることができる。
【0118】
式(I)の化合物は、動物において微生物感染を引き起こすことができる様々な微生物種に対して有効である。そのような微生物種の例は、アスペルギルス症を引き起こすもの、例えばアスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、A.フラバス(A. flavus)、A.テルス(A. terrus)、A.ニジュランス(A. nidulans)及びA.ニガー(A. niger);ブラストミセス症を引き起こすもの、例えばブラストミセス・デルマチチディス(Blastomyces dermatitidis);カンジタ症を引き起こすもの、例えばカンジタ・アルビカンス(Candida albicans)、C.グラブラタ(C.glabrata)、C.トロピカリス(C. tropicalis)、C.パラシロシス(C. parapsilosis)、C.クルセイ(C. krusei)及びC.ラシタニエ(C. lusitaniae);コクシジオイデス症を引き起こすもの、例えばコクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis);クリプトコッカス症を引き起こすもの、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans);ヒストプラスマ症を引き起こすもの、例えばヒストプラスマ・カプシュラツム(Hystoplasma capsulatum);及び接合菌症を引き起こすもの、例えばアブシディア・コリムビフェラ(Apsidia corymbifera)、リゾムコール・プシラス(Rhizomucor pusillus)及びリゾプス・アリザス(Rhizopus arrhizus)である。更なる例はフザリウム種、例えばフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)及びフザリウム・ソラニ(Fusarium solani)並びにセドスポリウム種、例えばセドスポリウム・アピオスパーマム(Scedosporium apiospermum)及びセドスポリウム・プロリフィカンス(Scedosporium prolificans)である。更なる例はミクロスポラム(Mycrosporum;小胞子菌)種、トリコフィトン(Trichophyton;白癬菌)種、エピデルモフィトン(Epidermophyton;表皮菌)種、ムコール(Mucor;ケカビ)種、スポロトリクス(Sporothorix)種、フィアロホラ(Phialophora)種、クラドスポリウム(Cladosporium)種、ペトリエリジウム(Petriellidium)種、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)種及びヒストプラスマ(Histoplasma)である。
【0119】
次の非限定例は、限定することなく上記発明を更に詳細に説明する。
調製例
実施例P1:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(3−クロロ−5−シクロプロピルエチニルチオフェン−2−イル)−1−メチルエチル〕アミド(化合物1.26)の調製
【0120】
【化24】

【0121】
スルホン化フラスコ中で240 mg(0.58ミリモル)の3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチル〕アミド、80 mg(1.15ミリモル)のシクロプロピルアセチレン、10 mgのヨウ化銅(I)、36 mg(0.05ミリモル)の二塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム及び30 mLのトリエチルアミンを含有する混合物を60℃にて2日間攪拌した。次いで別の80 mgのシクロプロピルアセチレンを添加し、24時間攪拌を続けた。周囲温度に冷却した後、酢酸エチルと水を加え、有機層を分離し、水で2回再洗浄した。乾燥(硫酸ナトリウム)しそして水流真空下で溶媒を蒸発させた後、粗製物を得た。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン 1:1)により精製を行った。収量:90 mg(理論量の23%)のわずかに褐色の樹脂(1H-NMR: 0.8/m/2H, 0.9/m/2H, 1.22/d/3H, 1.45/m/1H, 3.01/d/2H, 3.9/s/3H, 4.40/m/1H, 6.28/s(幅広)/1H, 6.88/t/1H-CF2H, 6.89/s/1H, 7.85/s/1H)。
【0122】
実施例P2:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸{2−〔3−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル〕−1−メチルエチル}アミド(化合物1.46)の調製
【0123】
【化25】

【0124】
スルホン化フラスコ中で207 mg(0.5ミリモル)の3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチル〕アミド、90 mg(0.64ミリモル)の4−フルオロフェニルボロン酸、151 mg(1.8ミリモル)の炭酸水素ナトリウム、36 mg(0.05ミリモル)の二塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム、10 mLのジメトキシエタン及び5 mLの水を含む混合物を還流温度で6時間攪拌した。周囲温度に冷却した後、酢酸エチルと水を加え、有機層を分離し、水で2回再洗浄した。乾燥(硫酸ナトリウム)及び水流真空下での溶媒の蒸留後、粗製物を得た。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン 1:1)により精製を行った。収量:180 mg(理論量の80%)のわずかに褐色の油状物(1H-NMR: 1.29/d/3H, 0.9/m/2H, 3.09/m/2H, 3.89/s/3H, 4.42/m/1H, 6.38/s(幅広)/1H, 6.89/t/1H-CF2H, 7.05/m/2H, 7.48/m/2H, 7.89/s/1H)。
【0125】
実施例P3:1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸{2−〔2,4−ジクロロ−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル〕−1−メチルエチル}アミド(化合物7.70)及び1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸{2−〔4,5−ジクロロ−2−(4−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル〕−1−メチルエチル}アミド(化合物7.72)の調製
【0126】
【化26】

【0127】
スルホン化フラスコ中で280 mg(0.6ミリモル)の実施例P5c)で得られた異性体アミド混合物を10 mLの1,2−ジメトキシエタン溶かした。5 mLの水に溶かした105 mg(0.75ミリモル)の4−フルオロフェニルボロン酸、35 mg(0.05ミリモル)の二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及び225 mg(2.7ミリモル)の炭酸水素ナトリウムを添加した後、生じた混合物を70〜75℃で3時間攪拌した。冷却後、100 mLの水を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)及び溶媒の蒸発後、粗製の異性体混合物を得た。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン 1:1)により1回目の精製を行った。HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)により2つのフルオロフェニル異性体の単離を行った。レギオ異性体I(化合物7.70)は無色油状物として純粋な形で得られた(1H-NMR: 1.31/d/3H, 2.9/m/2H(ジアステレオ指向性プロトン), 3.97/s/3H, 4.55/m/1H, 5.98/d(幅広)/1H, 7.12/t/2H, 7.53/m/2H, 7.87/s/1H))。レギオ異性体2(化合物7.72)も白色結晶(融点 127-130℃)の純粋な形態で得ることができた(84 mg=理論量の29%)。
【0128】
実施例P4:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチル〕アミド(化合物Z1.2)の調製
a) 3−クロロ−2−((E)−ニトロプロペニル)チオフェンの調製
【0129】
【化27】

【0130】
スルホン化フラスコ中で、11.7g(0.08モル)の3−クロロチオフェン−2−カルボアルデヒド、48 g(0.64モル)のニトロエタン、15.4 g(0.2モル)の酢酸アンモニウム及び160 mLの酢酸を含む混合物を90℃で5時間加熱した。冷却後、酢酸エチルを加え、有機相を水で3回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、有機溶媒を水流真空下で留去した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン 1:5)により精製した。収量:10.8g(理論量の67%)の無色油状物(1H-NMR: 2.57/s/3H, 7.12/d/1H, 7.62/d/1H, 8.45/s/1H)。
【0131】
b) 2−(3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチルアミンの調製
【0132】
【化28】

【0133】
スルホン化フラスコ中で、内部温度が0〜5℃に一定になるように、5.4 g(0.0265モル)の3−クロロ−2−((E)−ニトロプロペニル)チオフェンをLiAlH4(0.12モル)の1Mエーテル性溶液120 mLに添加した。次いで混合物を20℃で4時間攪拌した。最小量の水で5℃にてクエンチングした後、硫酸ナトリウムを加えた。濾過及び水流真空下での溶媒の留去後、粗製物が得られた。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:tert−ブチルメチルエーテル/EtOH 3:1)により精製を行った。34.6 g(理論量の74%)の無色油状物(1H-NMR: 1.18/d/3H, 1.42/s/NH2, 2.72-2.9/m(ジアステレオ指向性プロトン)/2H, 3.25/m/1H, 6.89/d/1H, 7.16/d/1H)。
【0134】
c) 2−(5−ブロモ−3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチルアミン(化合物Z2.2)の調製
【0135】
【化29】

【0136】
スルホン化フラスコ中で、5 g(0.028モル)の2−(3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチルアミンを70 mLの酢酸に溶かした。次いで混合物を15℃に冷却し、攪拌しながら(内部温度15〜17℃)4.8 g(0.30モル)の臭素を加えた。室温に温めた後、混合物を16時間攪拌した。次いで混合物をtert−ブチルメチルエーテル(約250 mL)と2N水酸化ナトリウムの混合物に注いだ。最終pHは11であった。ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶媒を蒸発させた後、粗製物が得られた。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:tert−ブチルメチルエーテル/EtOH 10:1)により精製を行った。収量:5.4 g(理論量の75%)の無色油状物(1H-NMR: 1.18/d/3H, 2.68-2.87/m (ジアステレオ指向性プロトン)/2H, 3.2/m/1H, 6.87/s/1H)。
【0137】
d) 3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチル〕アミド(化合物Z1.2)の調製
【0138】
【化30】

【0139】
スルホン化フラスコ中で、1 g(4ミリモル)の実施例3で調製したアミンと1mL(6ミリモル)のトリエチルアミンを30 mLの塩化メチレンに溶かした。次いで780 mg(4ミリモル)の3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸クロリドと10 mLの塩化メチレンの混合物を攪拌しながら室温で加えた。16時間攪拌した後、水流真空下で溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン 1:1)により精製した。収量:1.65 g(理論量の83%)の白色結晶。融点 157-158℃。
【0140】
実施例P5:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−3−クロロチオフェン−2−イル)−1−メチルエチル〕アミド(化合物Z1.2)の調製
a) 2−(4,5−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミン及び2−(2,4−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミンの調製
【0141】
【化31】

【0142】
スルホン化フラスコ中で、10 mL(10ミリモル)の1Mエーテル性LiAlH4を30 mLのテトラヒドロフランにゆっくりと添加した。次いで0.9 g(3.32ミリモル)の2,3,5−トリクロロ−4−((E)−2−ニトロプロペニル)チオフェンを、内部温度が10〜12℃に一定になるようにゆっくりと添加した。10〜12℃で3時間攪拌を続けた。次いで混合物を0.4 mLの水と0.38 gの水酸化ナトリウム溶液(15%)でクエンチングした。5 mLの飽和塩化アンモニウム溶液の添加後、懸濁液を濾過した。液相を乾燥し、次いで水流真空中で溶媒を留去した。粗製物質をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:tert−ブチルメチルエーテル/エタノール20:1−1:1)により精製した。得られたアミン混合物(0.4 g)は27%の2−(4,5−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミン、30%の2−(2,4−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミン及び43%の望ましくないトリクロロ化合物2−(2,4,5−トリクロロチオフェンー3−イル)−1−メチルエチルアミンを含有した。
【0143】
b) 2−(2−ブロモ−4,5−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミン及び2−(5−ブロモ−2,4−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミンの調製
【0144】
【化32】

【0145】
スルホン化フラスコ中で、2.49 g(11.9ミリモル)の実施例P5a)で得られた異性体混合物を25 mLの酢酸に溶かした。次いで1.99 g(12.4ミリモル)の臭素を5分間に渡り滴下添加した。室温で16時間攪拌を続け、次いで水流中で酸を蒸発させた。固体残渣を50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に注ぎ、水相をtert−ブチルメチルエーテルで3回抽出した。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)しそして水流中で溶媒を留去した後、粗製物が得られた。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:tert−ブチルメチルエーテル/エタノール 20:1〜1:1)により精製を行った。2.1 gの褐色油状物は27%の2−(2−ブロモ−4,5−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミン、27%の2−(5−ブロモ−2,4−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミン及び43%の望ましくない2−(2,4,5−トリクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチルアミンから成った。
【0146】
c) 1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(2−ブロモ−4,5−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチル〕アミド及び1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−2,4−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチル〕アミドの調製
【0147】
【化33】

【0148】
スルホン化フラスコ中で、2.07 g(7.2ミリモル)の実施例P5b)で調製したアミン異性体混合物と1.45 g(14.4ミリモル)のトリエチルアミンを50 mLの塩化メチレンに溶かした。次いで室温で攪拌しながら1.65 g(7.2ミリモル)の3−トリフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸クロリドと50 mLの塩化メチレンの混合物を添加した。16時間攪拌した後、水流真空中で溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン 1:2−2:1)により精製した。1.52 gのアミド異性体混合物がわずかに褐色の結晶の形で得られた(融点 134-138℃)。この混合物は27%の1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(2−ブロモ−4,5−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチル〕アミド、30%の1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(5−ブロモ−2,4−ジクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチル〕アミド及び43%の望ましくない1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸〔2−(2,4,5−トリクロロチオフェン−3−イル)−1−メチルエチル〕アミドから成った。
【0149】
第1表〜第14表:式Iの化合物
第1表〜第14表に列挙される式(I)の好ましい各化合物により本発明を更に例証する。特性データは第21表に与えられる。
【0150】
第1表:式Iaの化合物
【化34】

【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
【表4】

【0155】
【表5】

【0156】
【表6】

【0157】
第2表:式Ibの化合物
【化35】

【0158】
【表7】

【0159】
【表8】

【0160】
【表9】

【0161】
【表10】

【0162】
第3表:式Icの化合物
【化36】

【0163】
【表11】

【0164】
【表12】

【0165】
【表13】

【0166】
【表14】

【0167】
【表15】

【0168】
第4表:式Idの化合物
【化37】

【0169】
【表16】

【0170】
【表17】

【0171】
【表18】

【0172】
【表19】

【0173】
第5表:式Ieの化合物
【化38】

【0174】
【表20】

【0175】
【表21】

【0176】
【表22】

【0177】
【表23】

【0178】
【表24】

【0179】
【表25】

【0180】
第6表:式Ifの化合物
【化39】

【0181】
【表26】

【0182】
【表27】

【0183】
【表28】

【0184】
第7表:式Igの化合物
【化40】

【0185】
【表29】

【0186】
【表30】

【0187】
【表31】

【0188】
【表32】

【0189】
【表33】

【0190】
【表34】

【0191】
第8表:式Ihの化合物
【化41】

【0192】
【表35】

【0193】
【表36】

【0194】
【表37】

【0195】
【表38】

【0196】
【表39】

【0197】
第9表:式Iiの化合物
【化42】

【0198】
【表40】

【0199】
【表41】

【0200】
【表42】

【0201】
【表43】

【0202】
第10表:式Ijの化合物
【化43】

【0203】
【表44】

【0204】
【表45】

【0205】
【表46】

【0206】
【表47】

【0207】
第11表:式Ikの化合物
【化44】

【0208】
【表48】

【0209】
【表49】

【0210】
【表50】

【0211】
【表51】

【0212】
【表52】

【0213】
【表53】

【0214】
第12表:式Ilの化合物
【化45】

【0215】
【表54】

【0216】
【表55】

【0217】
【表56】

【0218】
【表57】

【0219】
第13表:式Imの化合物
【化46】

【0220】
【表58】

【0221】
【表59】

【0222】
【表60】

【0223】
【表61】

【0224】
【表62】

【0225】
【表63】

【0226】
第14表:式Inの化合物
【化47】

【0227】
【表64】

【0228】
【表65】

【0229】
第15表〜第17表:式IIの化合物
第15表〜第17表に列挙される式(II)の好ましい各化合物により本発明を更に例証する。特性データは第21表に与えられる。
【0230】
第15表:式(IIa)の化合物
【化48】

【0231】
【表66】

【0232】
【表67】

【0233】
第16表:式IIbの化合物
【化49】

【0234】
【表68】

【0235】
第17表:式IIcの化合物
【化50】

【0236】
【表69】

【0237】
第18表〜第20表:式IIIの化合物
第18表〜第20表に列挙される式(III)の好ましい各化合物により本発明を更に例証する。特性データは第21表に与えられる。
【0238】
第18表:式(IIIa)の化合物
【化51】

【0239】
【表70】

【0240】
第19表:式IIIbの化合物
【化52】

【0241】
【表71】

【0242】
第20表:式IIIcの化合物
【化53】

【0243】
【表72】

【0244】
第21表:特性データ
第21表は、第1表〜第20表の化合物についての特定の融点及び特定のNMRデータを示す。別記しない限り、NMR測定の溶媒としてCDCl3を使用した。溶媒の混合物が存在する場合、これは例えばCDCl3/d6-DMSOとして示される。第1表〜第20表の化合物についての全ての特性データを上げる試みは行わなかった。第21表及び下記に示される説明を通して、温度は摂氏度で与えられる。「NMR」は核磁気共鳴スペクトルを意味し;MSは質量スペクトルを表し;対応する濃度が別の単位で示されない限り、「%」は重量%である。本明細書全体を通して次の略号を使用した。
【0245】
m.p.=融点
b.p.=沸点
s=一重線
br=幅広
d=二重線
dd=二重線の二重線
t=三重線
q=四重線
m=多重線
ppm=百万分率
【0246】
第21表
【表73】

【表74】

【0247】
第1a表〜第14表:式IAaの化合物
第1a表〜第14a表に列挙した式(IAa)の好ましい各化合物により本発明を更に例証する。
【0248】
第1a表:式IAaの化合物
【化54】

【0249】
【表75】

【0250】
【表76】

【0251】
【表77】

【0252】
【表78】

【0253】
【表79】

【0254】
【表80】

【0255】
第2a表:式IAbの化合物
【化55】

【0256】
【表81】

【0257】
【表82】

【0258】
【表83】

【0259】
【表84】

【0260】
第3a表:式IAcの化合物
【化56】

【0261】
【表85】

【0262】
【表86】

【0263】
【表87】

【0264】
【表88】

【0265】
第4a表:式IAdの化合物
【化57】

【0266】
【表89】

【0267】
【表90】

【0268】
【表91】

【0269】
【表92】

【0270】
第5a表:式IAeの化合物
【化58】

【0271】
【表93】

【0272】
【表94】

【0273】
【表95】

【0274】
【表96】

【0275】
【表97】

【0276】
【表98】

【0277】
第6a表:式IAfの化合物
【化59】

【0278】
【表99】

【0279】
【表100】

【0280】
第7a表:式IAgの化合物
【化60】

【0281】
【表101】

【0282】
【表102】

【0283】
【表103】

【0284】
【表104】

【0285】
【表105】

【0286】
第8a表:式IAhの化合物
【化61】

【0287】
【表106】

【0288】
【表107】

【0289】
【表108】

【0290】
【表109】

【0291】
第9a表:式IAiの化合物
【化62】

【0292】
【表110】

【0293】
【表111】

【0294】
【表112】

【0295】
【表113】

【0296】
第10a表:式IAjの化合物
【化63】

【0297】
【表114】

【0298】
【表115】

【0299】
【表116】

【0300】
【表117】

第11a表:式IAkの化合物
【化64】

【0301】
【表118】

【0302】
【表119】

【0303】
【表120】

【0304】
【表121】

【0305】
【表122】

【0306】
【表123】

【0307】
第12a表:式IIaaの化合物
【化65】

【0308】
【表124】

【0309】
【表125】

【0310】
【表126】

【0311】
【表127】

【0312】
第13a表:式IAmの化合物
【化66】

【0313】
【表128】

【0314】
【表129】

【0315】
【表130】

【0316】
【表131】

【0317】
【表132】

【0318】
【表133】

【0319】
第14a表:式IAnの化合物
【化67】

【0320】
【表134】

【0321】
【表135】

【0322】
第15a表〜第17a表:式IIaaaの化合物
第15a表〜第17a表に列挙される式(IIaaa)の好ましい各化合物により本発明を更に例証する。特性データは第21a表に与えられる。
【0323】
第15a表:式(IIa)の化合物
【化68】

【0324】
【表136】

【0325】
【表137】

【0326】
第16a表:式IIabの化合物
【化69】

【0327】
【表138】

【0328】
第17a表:式IIacの化合物
【化70】

【0329】
【表139】

【0330】
第18a表〜第20a表:式IIIの化合物
第18a表〜第20a表に列挙される式(III)の好ましい各化合物により本発明を更に例証する。特性データは第21a表に与えられる。
【0331】
第18a表:式(IIIaa)の化合物
【化71】

【0332】
【表140】

【0333】
第19a表:式IIIabの化合物
【化72】

【0334】
【表141】

【0335】
第20a表:式IIIacの化合物
【化73】

【0336】
【表142】

【0337】
式Iの化合物の製剤例
実施例F-1.1〜F-1.2:濃縮乳剤
【表143】

【0338】
所望の濃度の乳剤はそのような濃縮物を水で希釈することにより調製することができる。
【0339】
F−2:濃縮乳剤
【表144】

【0340】
所望の濃度の乳剤はそのような濃縮物を水で希釈することにより調製することができる。
【0341】
実施例F−3.1〜F−3.4:液剤
【表145】

【0342】
液剤は微小滴の形での使用に適する。
【0343】
実施例F−4.1〜F−4.4:粒剤
【表146】

【0344】
新規化合物をジクロロメタンに溶かし、該溶液を担体上に噴霧し、次いで真空蒸留により溶媒を除去する。
【0345】
実施例F−5.1及びF−5.2:粉剤
【表147】

【0346】
全ての成分を十分に混合することによりすぐ使用できる粉剤が得られる。
【0347】
実施例F−6.1〜F−6.3:水和剤
【表148】

【0348】
全ての成分を混合し、混合物を適当なミル中で徹底的に粉砕して水和剤を提供し、それを任意の所望の濃度の懸濁液へと水で希釈することができる。
【0349】
実施例F−7:種子処置用の流動性濃縮物
【表149】

【0350】
微粉砕した活性成分を補助剤と十分に混合して濃縮懸濁液を与え、水での希釈により任意の所望の希釈度の懸濁液を得ることができる。そのような希釈液を使って、植物繁殖材料を処置することができ、そして噴霧、注水又は浸漬により、微生物による感染に対して保護することができる。
【0351】
生物学的実施例
実施例B−1:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に対する作用/トマト(トマト上のボトリチス)
4週齢のトマト植物品種Roter Gnomを、噴霧チャンバー中で試験化合物製剤(0.02%活性成分)で処置した。適用2日後、試験植物上に胞子懸濁液(1×105分生子/mL)を噴霧することによりトマト植物に接種した。生育室中での20℃及び95%相対湿度(r.h.)のインキュベーション期間の後、病気発生を評価した。化合物1.38、7.27及び7.38はこの試験に置いて良好な活性を示した(<20%感染)。
【0352】
実施例B−2:ウンシヌラ・ネカトール(Uncinula necator)に対する作用/ブドウ(ブドウのうどん粉病)
5週齢のブドウ挿し木cv.Gutedelを、噴霧チャンバー中で試験化合物製剤(0.02%活性成分)で処置した。適用1日後、ブドウうどん粉病菌に感染した植物を試験植物上で振盪することによりブドウ植物に接種した。14/10時間(採光/遮光)の光周期の下で26℃及び60%r.h.での7日間のインキュベーション期間の後、病気発生を評価した。化合物1.38、6.14、7.27、7.38、12.6及び12.30はこの試験おいて良好な活性を示した(<20%感染)。
【0353】
実施例B−3:パクシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)に対する作用/小麦(小麦の赤さび病)
1週齢の小麦植物cv. Arinaを噴霧チャンバー中で試験化合物製剤(0.02%活性成分)で処置した。適用1日後、試験植物上に胞子懸濁液(1×105分生子/mL)を噴霧することにより小麦植物に接種した。20℃及び95%r.h.の2日間のインキュベーション期間の後、植物を20℃及び60%r.h.で8日間温室中に維持した。接種後10日目に病気発生を評価した。化合物1.38、6.14及び7.38はこの試験において良好な活性を示した(<20%感染)。
【0354】
実施例B−4:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)に対する作用/小麦(小麦上のセプトリア葉斑点)
2週齢の小麦植物cv. Ribandを噴霧チャンバー中で試験化合物製剤(0.02%活性成分)で処置した。適用1日後、試験植物上に胞子懸濁液(10×105分生子/mL)を噴霧することにより小麦植物に接種した。23℃及び95%r.h.で1日間のインキュベーション期間後、植物を温室中23℃及び60%r.h.で16時間維持した。接種後18日目に病気発生を評価した。化合物1.38、6.14及び7.38はこの試験において良好な活性を示した(<20%感染)。
【0355】
実施例B−5:ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)に対する作用/大麦(大麦上の網状斑)
1週齢の大麦植物cv. Expressを噴霧チャンバー中で試験化合物製剤(0.02%活性成分)で処置した。適用2日後、試験植物上に胞子懸濁液(3×104分生子/mL)を噴霧することにより大麦植物に接種した。20℃及び95%r.h.で2日間のインキュベーション期間の後、植物を温室中20℃及び60%r.h.に維持した。接種後4日目に病気発生を評価した。化合物1.38、6.14、7.27、7.38、12.6及び12.30はこの試験において良好な活性を示した(<20%感染)。
【0356】
実施例B−6:アルテナリア・ソラニ(Alternaria solani)に対する作用/トマト(トマト上の早枯れ病)
4週齢のトマト植物cv. Roter Gnomを噴霧チャンバー中で試験化合物製剤(0.02%活性成分)で処置した。適用2日後、試験植物上に胞子懸濁液(2×105分生子/mL)を噴霧することによりトマト植物に接種した。温室中20℃及び95%r.h.で3日間のインキュベーション期間の後、病気発生を評価した。化合物1.38、7.27、7.38、12.6及び12.30はこの試験において良好な活性を示した(<20%感染)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

〔上式中、
Aは、各々独立に酸素、窒素及び硫黄から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5員もしくは6員の複素環、又はフェニル環であり;前記複素環又はフェニル環は基R6,R7及びR8により置換されており;
6,R7及びR8は各々独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ(C1〜C4)アルキルであり、ただしR6,R7及びR8の少なくとも1つが水素ではなく;
1及びR2は互いに独立に、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルを表し;
QはQ1
【化2】

であるか、又はQはQ2
【化3】

であり;
ここで
3はハロゲン又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;
4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;
5は水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、フェニル、ハロゲンフェニル、C3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル又はハロゲンフェニルアセチニルであり;
15は水素又はC3〜C7シクロアルキルである〕
及びそれらの化合物の互変異性体/異性体/鏡像体。
【請求項2】
15が水素である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
Aが酸素、窒素及び硫黄から各々独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5員の複素環であり;前記複素環が基R6,R7及びR8により置換されている、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
AがA1
【化4】

(ここで
16はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;
17はC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;そして
18は水素、ハロゲン又はシアノである)であり;
又はAがA2
【化5】

(ここで
26はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;そして
27はC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである)であり;
又はAがA3
【化6】

(ここで
36はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;
37はC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルであり;そして
38は水素、ハロゲン又はシアノである)であり;
又はAがA4
【化7】

(ここで
46及びR47は互いに独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである)である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
AがA1である、請求項4に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
16がC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;R17がC1〜C4アルキルであり;そしてR18が水素又はハロゲンである、請求項5に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
Aが酸素、窒素及び硫黄から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する6員の複素環又はフェニル環であり;前記フェニル環又は複素環は基R6,R7及びR8により置換されている、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
AがA5
【化8】

(上式中、
56はハロゲン、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4ハロゲンアルコキシ又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである)であり;
又はAがA6
【化9】

(上式中、
66はハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルコキシ−C1〜C4アルキルである)であり;
又はAがA7
【化10】

(上式中、
76はC1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロゲンアルキルである)である、
請求項7に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
4がC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル又はハロゲンフェニルアセチニルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
QがQ1A-1
【化11】

(上式中、
3はハロゲン又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;そしてR5は水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、フェニル、ハロゲンフェニル、C3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル又はハロゲンフェニルアセチニルである)
である、請求項13に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
QがQ1B-1
【化12】

(上式中、
3はハロゲン又はC1〜C4ハロゲンアルキルであり;R4はC3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル、ハロゲンフェニルアセチニル又はハロゲンフェニルであり;そしてR5は水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロゲンアルキル、フェニル、ハロゲンフェニル、C3〜C7シクロアルキルアセチニル、フェニルアセチニル又はハロゲンフェニルアセチニルである)
である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項12】
QがQ2である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項13】
植物病原性微生物により有用植物を防除又は予防する方法であって、請求項1に記載の式Iの化合物又はこの化合物を活性成分として含んで成る組成物を植物に、それの部分に又はそれの場所に適用することを含んで成る方法。
【請求項14】
植物病原性微生物に対して防除及び保護するための組成物であって、請求項1に記載の式Iの化合物及び不活性担体を含んで成る組成物。

【公表番号】特表2010−529971(P2010−529971A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511543(P2010−511543)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004789
【国際公開番号】WO2008/151828
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】