説明

新規組成物

本発明は、N−(2−アミノ−4−(フルオロベンジルアミノ)−フェニル)カルバミン酸エチルエステル(レチガビン)またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる経口用剤形、そのような剤形を調製するプロセス、および薬剤におけるそのような剤形の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(2−アミノ−4−(フルオロベンジルアミノ)−フェニル)カルバミン酸エチルエステル(レチガビン)またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる経口用剤形、そのような経口用剤形を調製するプロセスおよび薬剤におけるそのような経口用剤形の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レチガビンは米国特許第5,384,330号明細書に開示されており、多形体Aを含むレチガビンの多形体は米国特許第6,538,151号明細書に開示されており、米国特許第5,914,425号明細書にそれらを製造するプロセスが開示されている。
【0003】
経口用剤形からの活性成分の放出速度を制御することは、相当な注目を受け、多くの異なる装置がそのような目的のために開発されている。米国特許第5,004,614号明細書は、環境流体に実質的に不浸透性である外側コーティングが与えられている錠剤コアを記載している。前記外側コーティングは、環境流体中で不溶性または可溶性のいずれかである材料から調製され得る。可溶性材料が使用される場合、活性成分の制御放出の所望の期間が過ぎる前に、コアが環境流体に露出されないようにコーティングは十分な厚さである。コアへのアクセス経路を環境流体に提供するように、この不浸透性外側コーティングを通して、1つ以上の開口部が作製される。したがって、コーティングされた錠剤の摂取時に、活性成分を放出するために、胃腸液が開口部に侵入し、コアと接触またはコアに浸透する。その結果として、活性成分は、開口部からのみ、制御された形態で放出される。好ましい形状は、コーティングされた錠剤の上面および下面に円形穴が存在するようなものである。対象の開口物は、コーティングされた錠剤の表面積の約10〜60パーセントの面積を有する。薬物放出速度は、開口部の直径ならびにマトリクスコアおよび活性剤の溶解度に直接関係していることが見出され、様々な薬物放出プロファイルについて0次または一次放出を可能にする。
【0004】
米国特許第5,004,614号の実質的に不浸透性のコーティングは、全ての活性成分、特に薬学上活性な弱塩基またはその薬学上許容される塩および溶媒和物の制御放出に適切ではない。そのような活性成分は、顕著なpH依存性溶解度を示す。すなわち、それらは、一般に小腸の中性状態、約pH7での溶解度と比べて、胃に見られる領域と関連した約pH2で、より溶解する。
【0005】
国際公開第2005/013935号パンフレットは、第一の組成物および第二の組成物を含んでなる経口用剤形であって、各組成物が、薬学上許容される弱塩基、特に(5−[4−[2−(N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ)エトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(本明細書以下「化合物A」)またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物(薬物)と、その薬学上許容される担体とを含んでなり、第一および第二の組成物は、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それにより、剤形からの薬物の放出速度は実質的にpHと無関係である、経口用剤形を開示している。
【0006】
米国特許出願第12/505,409号明細書および国際特許出願第PCT/US2009/051052号明細書(国際公開第2010/009433号パンフレット)は、約30〜70%のレチガビンまたはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくは水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む約5〜30%の薬物送達マトリクス、約1.0〜10%の陰イオン界面活性剤、および腸溶性ポリマーを含む修飾された放出医薬製剤を開示している。約30〜70%のレチガビン、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくは水和物、約5〜30%の薬物送達マトリクス、および胃環境で放出を保持するための薬剤を含む製剤も開示されている。
【0007】
レチガビンは、部分発作(partial−onset seizures)を有する成人患者の補助療法として現在後期の開発段階である、ニューロンのカリウムチャネル開口薬である。第III相てんかん試験において、レチガビンはプラシーボを摂取している患者と比べて発作速度を減少させる。レチガビンはまた、てんかんなどの発作障害、神経因性疼痛、炎症、過活動膀胱、尿失禁、機能性腸疾患、腸管の潰瘍性状態、機能亢進性胃運動性、ぜんそく、高血圧、片頭痛および摂食障害を含む、神経系過剰興奮性および/または平滑筋過剰興奮性により特徴付けられる様々な障害の治療に有用であり得る。一般にレチガビンを含有する医薬組成物は、筋肉緊張力およびけいれんを効果的に減少させる抗ジストニアとして有用であり得る。さらにレチガビンはまた、例えば、脳卒中および他の虚血関連イベントの間などの少ない脳血流量の状態下での神経保護剤としても有用であり得、また、レイノー(Reynaud’s)症候群、インポテンス、早漏、女性アノーリャズミア(female anoryasmia)、陰核勃起不全、膣の充血、性交疼痛症、および膣痙攣などの血流量に影響を与える血管疾患の治療にも有用であり得る。さらに、レチガビンは、可逆性の心停止を達成し、冠動脈血流量を回復するのに有用であり得る。レチガビンは、神経変性の治療にも有用であり得る。レチガビンにより治療され得る他の障害には、間欠性跛行、頻尿、夜間頻尿、反射亢進、夜尿症、脱毛症、ジスメノレアル(dysmenorrheal)、良性前立腺肥大症、早産、糖尿病に関連する障害、例えば、網膜症、神経障害、腎障害、末梢循環障害、および皮膚腫瘍化が含まれる。さらに、レチガビンは、ニコチン中毒離脱、躁病、躁鬱病および不安病などの行動障害の治療にも有用であり得る。これらの障害は本明細書以下で本発明の障害と称される。
【0008】
レチガビンは、顕著なpH依存性溶解度を示すことが見出されている。すなわち、それは、下方の腸の中性条件(約pH7)付近においてより胃の酸性条件(約pH2)において溶解性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる経口用剤形を提供することであり、それは、投与後、長時間、例えば4〜24時間、例えば4〜15時間、すなわち4〜12時間、(患者群での)平均平坦化血漿プロファイルを提供する。そのような剤形は、1日に2回またはさらに1日に1回の投与に適切であるとみなされる。そのような剤形はまた、絶食および摂食状態の両方における投与に適応され、実質的に臨床的に関連する食物効果を有さない。すなわち、摂食状態下で用量ダンピングがない。現在の臨床試験において、レチガビン即時放出(IR)錠剤は1日に3回投与される。さらに、本発明の経口用剤形は、以前のレチガビンの修飾された放出製剤より、薬物動態において患者間の変動を少なくすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、
(i)壊食性コアであって、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含む第一の修飾された放出組成物を含んでなる、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティング、を含んでなる経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こる、経口用剤形を提供する。
【0011】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、
(a)第一の修飾された放出組成物と、
(b)第二の組成物と、
を含んでなり、各々の組成物は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含み、その第一および第二の組成物は、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それにより、剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHとは無関係である、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、かつ使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティング、を含んでなる経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こる、経口用剤形である。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「修飾された放出」とは、製剤の選択によって所望の薬物動態プロファイルを生じるように設計されている組成物を意味する。例えば、用語「修飾された放出」は、単独または任意の組合せにおいて遅延され、パルスされ、延長(持続)された放出を含む。
【0013】
一態様において、修飾された放出組成物は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒物の延長された放出を提供する。
【0014】
好適には、(存在する場合)第二の組成物からの薬物の放出速度は、第一の組成物からより実質的に速い。第二の組成物は即時放出組成物であると想定される。
【0015】
好適には、前記壊食性コーティングは、腸溶性コーティング層、最も好ましくは非透過性腸溶性コーティング層である。
【0016】
好適には、(存在する場合)第二の組成物は、水性媒質との接触時に、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の即時放出を提供するように製剤化される。好適には、第一の組成物は、水性媒質との接触時に、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の修飾された放出を提供するように製剤化される。
【0017】
好適には、第一の組成物は、使用中、腸においてレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の少なくとも90%を放出するように調製される。
【0018】
好適には、第一の組成物は、使用中、腸においてレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の少なくとも95%を放出するように調製される。
【0019】
好適には、第二の組成物は、使用中、胃においてレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の少なくとも50%を放出するように調製される。
【0020】
好適には、第二の組成物は、使用中、胃においてレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の少なくとも60%を放出するように調製される。
【0021】
好適には、第二の組成物は、使用中、胃においてレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の少なくとも75%を放出するように調製される。
【0022】
好適には、剤形は錠剤形態である。
【0023】
本発明の経口用剤形の一実施形態のヒトへの試験の間、本発明者らは、薬物の平均最大血漿レベル濃度(「Cmax」)値が、使用中、食事とは実質的に無関係に維持されることを見出した。すなわち、観察されたCmax値は、使用中、絶食および摂食状態の両方において同様である。したがって、一態様において、経口用剤形は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を放出するように調製され、それにより、薬物の平均最大血漿レベル濃度(「Cmax」)値は、食事とは実質的に無関係に維持される。すなわち使用中、摂食状態において用量ダンピングが起こらない。
【0024】
さらに、投与時に観察される安定状態での投与間隔の間の時間曲線に対する血漿濃度下平均面積(「AUC」)が、使用中、食事とは実質的に無関係に維持される、すなわち、観察されるAUCが、使用中、絶食および摂食状態の両方において同様であるように経口用剤形が薬物を放出することも見出されている。したがって、一態様において、経口用剤形は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を放出するように調製され、それによって、安定状態での投与間隔の間の時間曲線に対する血漿濃度下平均面積(「AUC」)は、使用中、食事とは実質的に無関係に維持される。すなわち、観察されるAUCは、使用中、絶食および摂食状態の両方において同様である。
【0025】
したがって、さらなる態様において、実施中に、経口用剤形は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を放出し、それによって、投与時に観察されるCmax値およびAUCは、使用中、食物とは実質的に無関係に維持される。すなわち、使用中、摂食状態において用量ダンピングは生じない。
【0026】
本発明のさらなる態様は、投与後、安定状態での投与間隔の間の時間曲線に対する血漿濃度下平均面積(「AUC」)が、IR錠剤として投与される薬物の等価用量の80〜125%であるように、薬物を放出できる経口用剤形である。
【0027】
組成物は、任意の形状で形成され得るか、または本発明の必要とされる目的を提供する相互構造を満たす。
【0028】
壊食性コアに対する上記の参照は、流体を活性剤と接触させるために、関連する環境流体とコアを接触させると、コアが部分的または完全に分解するか、または溶解するか、または穴が開く状態を含む。好適には、コアは部分的に分解する。好適には、コアは完全に分解する。好適には、コアは溶解する。好適には、コアは穴が開く。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、コーティングの壊食がpH依存性であることを提供する。
【0030】
最も好適には、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物は、腸より胃においてより溶解性があるが、即時放出製剤より実質的に平坦な薬物動態プロファイルを生じるように胃および腸の両方において好適な放出速度で薬物を放出するように製剤は処方される。すなわち、製剤は、レチガビンのpH依存性を補うように処方される。
【0031】
壊食性コーティングに対する上記の参照は、流体をコアと接触させるために、環境流体とコーティングを接触させると、コーティングが、部分的または完全に分解するか、または溶解するか、または穴が開く状態を含む。好適には、コーティングは部分的に分解する。好適には、コーティングは完全に分解する。好適には、コーティングは溶解する。好適には、コーティングは穴が開く。好ましくは、壊食性コーティングは腸溶性コーティングである。すなわち、それは、溶解する定義された所定のpH閾値を有する。好ましくは、コーティングは、4.5より高いpHで壊食する。より好ましくは、コーティングは、4.5〜8のpH範囲で壊食する。最も好ましくは、コーティングは、5〜7のpH範囲で壊食する。好ましくは、腸溶性コーティングは非透過性である。
【0032】
本発明における壊食性コーティング材料として使用に適切な材料およびそれらの混合物としては、種々のポリメタクリレートポリマー、同時処理したポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマーおよびそれらのコポリマーならびにヒプロメロースアセテートサクシネートが挙げられる。好適には、コーティング材料は、セルロースアセテートトリメリレート(CAT)、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート50、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート55、Acryl−eze(商標)、Aquateric(商標)、セルロースアセテートフタレート、オイドラギット(Eudragit)(商標)L30 D55、オイドラギット(Eudragit)(商標)L、オイドラギット(Eudragit)(商標)FS、オイドラギット(Eudragit)(商標)Sおよびシェラックから選択される。最も好ましくは、コーティング材料はオイドラギット(Eudragit)(商標)L30 D55である。
【0033】
必要ならば、可塑性または粘着防止剤の添加により壊食性コーティングを修飾することができる。この目的のために好適な材料としては、グリセリド、例えばグリセリルモノステアレート、またはモノ−/ジ−グリセリドなどのワックス状材料が挙げられる。
【0034】
コーティングにおいて形成される開口部の典型的な大きさは、円形の場合は、錠剤の全体的な大きさおよび所望の放出速度に応じて、直径0.9mm〜6mmの範囲、例えば直径1、2、3、4または5mmである。さらに開口部は直径2.5または4.5mmであってもよい。本発明の一態様において、開口部は2または4mmの直径を有する円形である。本発明の別の態様において、開口部は3、4または5mmの直径を有する円形である。本発明の別の態様において、開口部は2.5、3、4、4.5または5mmの直径を有する円形である。開口部は、任意の都合の良い幾何学的形状であってよいが、丸みを帯びた形状、例えば実質的に円形または楕円形が一般的に好ましい。放出速度を個別の剤形で均一にすることができるなら、文字または図形のような、さらに手のこんだ形も形成することができる。円形でない開口部の典型的な大きさは、円形開口部についてすでに記載されたものと同等の面積、したがって、約0.6〜約30mmの範囲である。
【0035】
本発明の目的に関して、「開口部」なる用語は、穴、間隙、オリフィス、通路、出口などと同義である。開口部は、米国特許第5,004,614号明細書において開示された方法により形成することができる。典型的には、開口部は例えば機械的ドリルビットまたはレーザー光線を使って、穿孔することにより、または切り口を除去するパンチにより形成することができる。開口部の形成は、デフォルトで露出したコアの小さい部分を取り除くことができる。放出速度制御装置として、空洞を間隙下に意図的に形成することも可能であり、該空洞は、平らな表面よりも大きなコアの初期表面積を露出させる。好適には、デバイスが所望の使用環境中に置かれた場合に、コアが直ちに環境流体へ露出されるように、開口部は壊食性コーティング全体を貫通して延びる。
【0036】
剤形が投与された場合に、孔形成剤、すなわち、胃中で溶解してコーティング中に孔を形成する物質を含有するコーティングを形成することにより、開口部をその場で形成することも可能である。典型的に、孔形成剤は1〜3のpH範囲において壊食可能である。
【0037】
好ましい実施形態において、開口部は、機械的に穿孔される。
【0038】
米国特許第5,004,614号明細書において、開口部は、好ましくは、錠剤の全表面積、すなわち両凸形錠剤の上側および下側表面積の約10〜60%を構成する。本発明において、開口部は、全表面積の0.18〜20%、例えば1〜20%を構成してもよい。
【0039】
代替として、コーティングされた錠剤の全表面積と比較しての開口部の面積を参照することにより、開口部の効果を制御する速度を特徴付けることが有用であり得る。さらに、特に開口部の縁部を切り落とすことによりコアが壊食する場合、効果を制御する速度は開口部の全外周と関連し得る。
【0040】
2つの開口部、例えば両凸形錠剤の各第一表面上の1つずつは、同じ全面積の1つの開口部よりも少し速い速度でコアから活性剤を放出するということは予想外な発見である。また、2つの開口部からの放出速度のばらつきは、対応する1つの開口部からの放出速度のばらつきよりも小さいことが示される。したがって、本発明の一実施形態において、コアのコーティングには、2以上の開口部がある。さらに好ましくは、コアを取り巻く壊食性コーティングには、前記コーティングを実質的に完全に貫通してのびるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する、2、またはそれ以上の開口部がある。
【0041】
1より多い開口部が提供される場合、開口部は経口用剤形の同じ表面上、または異なる表面上に位置し得る。好適には、経口用剤形は2つの開口部、例えばそれぞれの相対する面上に1つずつ有する。好適には、経口用剤形は2つの相対する主表面を有する錠剤であって、各表面は該コーティングを貫通する、好ましくは該コーティングを実質的に完全に貫通する1つの開口部を有する。好適には、1つの開口部が第一の組成物へのアクセスを提供し、別の開口部が第二の組成物へのアクセスを提供するようにコアが調製される。コアが第二の組成物を含まない場合、経口用剤形は、さらに2つの開口部を有してもよい。両方の開口部が第一の組成物へのアクセスを提供することは理解されるだろう。
【0042】
投薬前の開口部を介した汚染を防止するために、コア材料の防護として、開口部の形成後に、コア、または剤形のいずれかに通常のシールコーティングを提供することが望ましくなり得る。シールコートは、壊食性コーティングのサブコートまたはオーバーコートであり得る。
【0043】
さらに、開口部の形成後、コアまたは剤形のいずれかに着色コーティングを提供することが望ましくあり得る。シートコートは、壊食性コーティングのサブコートまたはオーバーコートであり得る。
【0044】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含む第一の修飾された放出組成物を含んでなる、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティング、を含んでなる経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こる、経口用剤形を調製するプロセスであって、そのプロセスが、少なくとも以下の工程
(i)レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物をコア内に製剤化する工程と、
(ii)前記コアをpH依存性壊食性コーティングでコーティングする工程と、
(iii)前記コーティングに1つ以上の開口部を生成する工程であって、前記開口部は、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアに連通する工程と、を含んでなる、プロセスである。
【0045】
本発明のなおさらなる態様によれば、経口用剤形であって、前記経口用剤形は、
(a)第一の修飾された放出組成物と、
(b)第二の組成物とを含んでなり、各々の組成物は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物(「薬物」)と、それらのための薬学上許容される担体とを含んでなり、第一および第二の組成物は、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それによって、剤形からの薬物の放出速度は実質的にpHとは無関係である、経口用剤形を調製するプロセスであって、
そのプロセスは、連続してまたは同時に少なくとも以下の工程:
(i)薬物を第一の組成物に製剤化する工程と、
(ii)薬物を第二の組成物に製剤化する工程と、
(iii)前記コアをpH依存性壊食性コーティングでコーティングする工程と、
(iv)コーティング内に1つ以上の開口部を生成する工程であって、前記開口部は、前記コーティングを実質的に完全に貫通するが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する、工程とを含んでなる、プロセスが提供される。
【0046】
第一および第二の組成物は、剤形のコア(本明細書で「錠剤コア」ともいう)を含む、多層内に圧縮された塊を形成する従来の方法で好適な成分を圧縮することにより調製され得る。錠剤コアは、従来の錠剤賦形剤および製剤圧縮法を用いて調製され得る。したがって、コアは典型的には1つまたは複数の活性剤を、希釈剤、結合剤および滑剤などの満足できる加工および圧縮特性を付与する賦形剤と共に含む。デバイスのコアの一部を形成し得る追加の賦形剤は、崩壊剤、矯味矯臭剤、着色剤、放出修飾剤および/または可溶化剤、例えば界面活性剤、pH修飾剤および複合体ビヒクルを含む。典型的に、活性剤および賦形剤は固体コア内に圧縮する前に完全に混合される。デバイスのコアは、湿式造粒法、乾式造粒法または直接圧縮により形成され得る。コアは、任意の所望の予め選択された形状、例えば、両凸、半球、近半球、円形、円形、楕円形、一般的な円筒形または多面体、例えば、三角プリズム形に従って製造され得る。「近半球」なる用語は、米国特許第5,004,614号明細書に記載されたように解釈される。好適には、コアは両凸形、例えば2つのドーム形の相対する面を有するものに製剤化される。
【0047】
コアが2つの組成物、第一の組成物および第二の組成物を含む場合、それらの組成物のうちの一方は非常に軽く圧縮され、次いで他方の組成物についての成分が加えられ、2つの組成物が一緒に圧縮される。
【0048】
第一の組成物についての好適な材料は、律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマー、例えば高分子量ヒプロメロース(HPMC)2910(別名E)または2208(別名K)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、メチルセルロース、オイドラギット(Eudragit)NM、オイドラギット(Eudragit)NE、コリドン(Kollidon)SR、ガラクトマンナン、デキストリン、エチルセルロース、カルボマー、カーボポール、ポリカルボフィル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、シェラック、ゼイン、酢酸セルロースまたはそれらの組合せである。
【0049】
本発明の一態様において、高または低分子量ヒプロメロース2910(別名E)もしくは2208(別名K)またはそれらの混合物が使用されてもよい。好適には、第一の組成物についての律速ポリマーは、高または低分子量ヒプロメロース2208(別名K)またはそれらの混合物である。1つの組成物のみがコアに存在する場合、好適には、第一の組成物についての律速ポリマーは、高もしくは低分子量ヒプロメロース2910(別名E)またはそれらの混合物であり得る。本発明のさらなる態様において、少なくとも2つのポリマーの組合せが使用される。本発明の一態様において、高および低分子量ヒプロメロースポリマーの組合せ、すなわち2つのポリマーであるヒプロメロースK100LVおよびヒプロメロースK3LVが使用される。本発明の一態様において、ポリマーは、75:25〜15:85の高分子量ポリマー:低分子量ポリマーの比で使用される。
【0050】
本発明の一態様において、律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマーは、錠剤重量で8〜40%、好ましくは10〜30%を構成する。
【0051】
さらに、滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクまたはステアリン酸を加えられてもよい。
【0052】
本発明の一態様において、滑剤は、錠剤重量で0.4〜1.5%、好ましくは0.5〜0.8%を構成する。
【0053】
さらに、充填剤は、例えば、微結晶性セルロース(Avicel(商標))、マンニトール、またはラクトースを加えられてもよい。
【0054】
本発明の一態様において、充填剤は、錠剤重量で0〜77%、好ましくは10〜77%、例えば10〜30%を構成する。
【0055】
さらに、界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを加えられてもよい。本発明において、界面活性剤が使用される場合、それは、全錠剤重量の1%未満、好ましくは0.5%未満、すなわち全錠剤重量の0〜0.5%で存在する。
【0056】
第二の組成物についての好適な材料としては、サッカロース、例えばラクトースおよびマルトース、マンニトール、キシリトール、乳酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、トレハロースまたは微結晶性セルロース、例えばAvicel(商標)が挙げられる。さらに、クロスカルメロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤または超崩壊剤、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤が加えられてもよい。最も好適には、第二の組成物は主にマンニトールである。より好適には、第二の組成物は、賦形剤としてマンニトールおよびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0057】
本発明の一態様において、第二の組成物中の賦形剤は、錠剤重量で0〜80%、好ましくは55%を構成する。
【0058】
本発明の一態様において、第二の組成物中の崩壊剤は、錠剤重量で0〜5%、好ましくは1%を構成する。
【0059】
さらなる態様において、レチガビンは、後で他の成分と混合される顆粒を調製するために、例えばマンニトール、Avicel(商標)またはHPMCから選択される他の成分と共に湿式造粒され、次いで上記のように圧縮される第一および第二の組成物を形成してもよい。湿式造粒プロセスは、機器の底部を介して空気を流入することにより乾燥粉末が流動化され、結合剤溶液が流動化粉末内に噴霧される、流体床処理装置で実施され得る。湿潤粉末は適切な水分レベルまで乾燥される。代替として、湿式造粒プロセスは、高剪断ミキサーまたは押出器または連続湿式造粒のための同様の機器の設定で実施され得る。本発明の一態様において、両方の組成物中で同じ顆粒が使用されてもよいか、または代替として別の顆粒が各組成物のために調製されてもよい。
【0060】
本発明のさらなる態様において、レチガビンが微粉化されてもよい。微粉化レチガビンを含有する製剤は、より少ない薬物量を含有する製剤の投与を可能にする。それらは、より一貫した薬物動態プロファイルを提供でき、投薬レジメンの減少を可能にし得る。
【0061】
流体エネルギー粉砕または微粉化は、製薬材料の大きさを減少させるために頻繁に使用されるプロセスである。親医薬品原料(API)は、各バッチの開始時におけるバッチ記録および設定において定義される供給速度で粉砕チャンバに供給される。この生成物供給速度は、実施の全体にわたって間隔をおいてモニターされる。圧入ガスにより、ベンチュリにおいて低圧領域が生じ、粉末が粉砕チャンバ内に引き寄せられる。
【0062】
粉砕器は、注入APIの大きさを低減させる衝突に必要な推進力を生じさせるために粉砕チャンバの内壁に沿って均等に離間している多くのノズルを有する。粉砕チャンバは、惰性でチャンバの内側により大きな粒子を維持し、より小さな粒子を、内部分類器を介して回収バッグ内のガスにより移動させることによって粒子分類器として作用する。
【0063】
大きさの低減は主に粒子間衝突により達成される。
【0064】
コアが第二の組成物を含まない一実施形態において、第一の修飾された放出組成物は微粉レチガビンを含む。
【0065】
任意の薬学上許容されるコーティング法によって好適なpH依存性壊食性材料でコアはコーティングされてもよい。例としては、米国特許第5,004,614号明細書に開示されているコーティング方法、および充填コーティング、糖コーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング、圧縮コーティング、静電コーティングが挙げられる。典型的な方法としては、所望のコーティング厚が達成されるまで、回転パンコーターまたは流動化ベッドコーター中の錠剤コア上にコーティングを噴霧することが挙げられる。好適には、コーティングは、錠剤表面積の周りに約4〜8mg/cmまたは5〜7mg/cmの乾燥粉末を加えるように提供される。典型的に、この結果、例えば3〜10重量%、すなわちまたは5〜10重量%の(コアに対する)重量の増加が生じる。好適には、コーティングは0.04〜0.5mmの範囲の厚さを有する。
【0066】
上に示したように、本発明の経口用剤形は、1日に2回または1回の投与に適切であるとみなされ、使用中、単位用量当たり、長期間、例えば24時間まで、例えば12、14、16、18、20および24時間までにわたる治療効果を提供することを意図する。
【0067】
本発明のさらなる態様において、経口用剤形は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の長時間の放出、例えば48時間まで、例えば26時間まで、好適には4〜24時間まで、好ましくは4〜15時間まで、および例えば4〜12時間までの時間にわたる活性成分のインビボでの放出を提供する。本発明のさらなる態様において、経口用剤形は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の長時間の放出、例えば少なくとも12時間かつ48時間まで、例えば少なくとも12時間かつ24時間までの時間にわたる活性成分のインビボでの放出を提供する。
【0068】
本発明のなおさらなる態様において、経口用剤形は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物のパルス放出、例えば24時間につき4時間まで、例えば2時間の活性剤のパルスを提供する。
【0069】
本発明に従って使用され得るレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の量は、典型的な医薬的判断、例えばレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物についての既知の投薬量に基づいて決定される事項であり、本発明のプロセスにより制限されない。
【0070】
特に、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物が本発明に従って使用される場合、好適な投薬量範囲は、1500mgまで、例えば10〜1500mg、例えば20〜800mg、好適には100〜800mgである。したがって、本発明の好適な経口用剤形は、40、75、80、150、160、200、300、320、400、450、480、600または640mgのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
【0071】
第一の組成物および第二の組成物に存在するレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の量は、所望の溶解プロファイルに従って変化されてもよい。
【0072】
本発明の一態様において、第一の組成物は、第二の組成物のレチガビンと比較して、1〜4倍、例えば2〜3倍、好適には1.5〜2.5倍、例えば2〜2.5倍多い量を含む。
【0073】
例えば、経口用剤形は、480mgのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含み、錠剤コアは、好適には、約340mgのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含む層および約140mgのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含む層を含む。
【0074】
第一および第二の組成物の放出速度の調節、ならびに上述の他の可変物および露出したコアの表面積を調節することによって、異なる環境状態における放出速度が、異なる身体環境下で同程度の放出速度を得るように調整されてもよく、それにより、患者に対してより一定の投薬を達成できる。
【0075】
溶解速度は適切なpHの溶液中でインビトロ試験によって評価され得る。例えば、胃および腸での溶解を比較した場合、試験は、絶食状態および摂食状態のそれぞれにおいて想定患者の腸内へ排泄される前に胃内に滞留している推定時間として、最初にpH1.3で実施され、2時間または4時間後にpH6.2に移されてもよい。
【0076】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる第一の修飾された放出組成物と、そのための薬学上許容される担体と、を含んでなる、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティングを含んでなる、経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こり、前記経口用剤形は、溶解方法(2)に従って試験した場合、35%以上65%以下のレチガビンが120分で溶解し、かつ85%以下のレチガビンが480分で溶解する溶解プロファイルを有し、ここで、前記溶解方法(2)の試験方法は、900mLの媒質、100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2機器を利用し、媒質は、pH6.8に調整した、1.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウムである、経口用剤形である。
【0077】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、
a)第一の修飾された放出組成物と、
b)第二の組成物と、
を含んでなり、各々の組成物は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含み、その第一および第二の組成物は、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それにより、剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHとは無関係である、壊食性コアと、
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングは、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティングと、を含んでなる、経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こり、前記経口用剤形は、溶解方法(2)に従って試験した場合、25%以上55%以下のレチガビンが45分で溶解し、85%以下のレチガビンが480分で溶解する溶解プロファイルを有し、ここで、前記溶解方法(2)の試験方法は、900mLの媒質、100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2機器を利用し、媒質は、pH6.8に調整した、1.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウムである、経口用剤形である。
【0078】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、
(a)第一の修飾された放出組成物と、
(b)第二の組成物と、
を含んでなり、各々の組成物は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含み、その第一および第二の組成物は、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それにより、剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHとは無関係である、壊食性コアと、
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングは、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティングと、を含んでなる、経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食性により起こり、前記経口用剤形は、溶解試験において、50%以下のレチガビンが60分で溶解し、80%以下のレチガビンが360分で溶解する溶解プロファイルを有し、前記溶解試験の試験方法は、900mLの媒質および100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2機器を利用し、媒質は、pH6.4に調整した、2.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMクエン酸ナトリウムである、経口用剤形である。
【0079】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、
(a)15%〜55%のレチガビン、その薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、
(b)8%〜40%の律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマーと、
(c)0〜77%の担体と、を含んでなる、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周知の(前記コアに対して)3〜10重量%の壊食性コーティングであって、前記コーティングは、実質的に前記コーティングを完全に貫通するが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する、1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティング、を含んでなる、延長された放出経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出は、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こる、延長された放出経口用剤形である。
【0080】
本発明のさらなる態様は、
(i)壊食性コアであって、
(a)第一の修飾された放出組成物であって、
(1)15%〜55%のレチガビン、その薬学上許容される塩または溶媒和物と、
(2)8%〜40%の律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマーと、
(3)0〜77%の担体と、を含んでなる、第一の修飾された放出組成物と、
(b)第二の組成物であって、
(4)20%〜60%のレチガビン、その薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、
(5)0〜80%の担体と、を含んでなる、第二の組成物と、
を含んでなり、第一および第二の組成物は、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それにより、剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHとは無関係である、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周囲の3〜10重量%のpH依存性壊食性コーティングであって、実質的に前記コーティングを完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティング、を含んでなる延長された放出経口用剤形であって、壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こる、延長された放出経口用剤形である。
【0081】
上述のように、本発明の経口用剤形において投与した場合、レチガビンまたはその薬学上許容される塩は、本発明の障害の治療および/または予防に有用であることを示す。
【0082】
本発明の一態様において、本発明の経口用剤形において投与した場合、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物は、てんかんの治療および/または予防に有用であることを示す。
【0083】
一実施形態において、本発明は、本発明の障害を治療および/または予防する方法であって、その方法は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる本発明の経口用剤形を、それを必要とするヒトまたは非ヒト哺乳動物に投与することを含んでなる、方法を提供する。
【0084】
好ましい実施形態において、本発明は、てんかんを治療および/または予防する方法であって、その方法は、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる本発明の経口用剤形を、それを必要とするヒトまたは非ヒト哺乳動物に投与することを含んでなる、方法を提供する。
【0085】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の障害の治療および/または予防に使用するためのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる、本発明の経口用剤形を提供する。
【0086】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、てんかんの治療および/または予防に使用するためのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる本発明の経口用剤形を提供する。
【0087】
本発明のさらなる態様は、第二の治療剤をさらに含んでなる本発明に従った経口用剤形である。第二の治療剤は、限定されないが、カルバマゼピン(テグレトール(商標))、バルプロエート(デパコート(商標))、チアガビン(ガビトリル(商標))、レベチラセタム(ケプラ(商標))、ガバペンチン(ニューロンチン(商標))、フェニトイン(ジランチン(商標))、ラモトリギン(ラミクタール(商標))、クロナゼパム(クロノピン(商標))、クロラゼプ酸二カリウム(トランキセン(商標))、アセタゾラミド(ダイアモックス(商標))、ジアゼパム(バリウム(商標))、エトスクシミド(ザロンチン(商標))、フェルバメート(フェルバトール(商標))、ホスフェニトイン(セレビックス(商標))、ロラゼパム(アチバン(商標))、オキシカルバゼピン(トリレプタル(商標))、フェノバルビタール、プレガバリン(リリカ(商標))、プリミドン(マイソリン(商標))、塩酸チアガビン(ガバトリル(商標))、トピラマート(topiramte)(トパマックス(商標))、トリメタジオン(トリジオン(商標))、ゾニサミド(ゾネグラン(商標))、ラコサミド(ビンパット(商標))、エスリカルバゼピン(ステデサ/ゼビニクス(商標))、ルフィナマイド(バンゼル(商標))、ビガバトリン(サブリル(商標))、ブリバラセタム(リケルタ(Rikelta)(商標))およびカリスバマート(コムフィド(Comfyde))から選択され得る。第二の治療剤の適切な投薬量は当業者により容易に理解されるだろう。
【0088】
本明細書で使用する場合、用語「薬学上許容される」は、ヒトおよび獣医用途の両方のための化合物、組成物および成分を包含する。例えば、用語「薬学上許容される塩」は、獣医学上許容される塩を包含する。
【0089】
好適な薬学上許容される溶媒は水和物を含む。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「Cmax」は、平均最大血漿レベル濃度を意味する。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「AUC」は、安定状態における投薬間隔の間の時間曲線に対する平均血漿濃度下面積を意味する。
【0092】
上述の治療において有害な毒性効果は示されない。
【0093】
限定されないが、本明細書に引用される特許および特許出願を含む、全ての刊行物は、各々の個々の刊行物があたかも具体的かつ個々に全て記載されているかのように本明細書に参照として組み込まれていることを示すように、本明細書に参照として組み込まれる。
【0094】
これらの実施例は本発明を限定するというよりむしろ例示することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】絶食状態におけるレチガビンIR(400mg)およびレチガビンMR実施例1(480mg)および実施例2(480mg)の投与後のレチガビンの平均濃度時間プロファイル(400mgに正規化した投薬量)。
【図2】摂食状態(高脂肪)におけるレチガビンIR(400mg)およびレチガビンMR実施例1(480mg)および実施例2(480mg)の投与後のレチガビンの平均濃度時間プロファイル(400mgに正規化した投薬量)。
【図3】溶解方法(1)で試験した実施例1および2の溶解プロファイル。
【図4】溶解方法(2)で試験した実施例7〜10および15の溶解プロファイル。
【図5】溶解方法(2)で試験した実施例11〜14および16の溶解プロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0096】
レチガビンを調製するためのプロセス。
【化1】

以下の略語を本明細書において定義する。
IPA−イソプロパノールまたは2−プロパノール
IMS−工業用変性アルコール
LOD−検出限界
【0097】
段階1−4−(4−フルオロベンジルアミノ)−2−ニトロアニリンの調製
4−アミノ−2−ニトロアニリン(1.0当量、1.0wt)をIPAに溶解した。混合物を75℃まで加温し、4−フルオロベンズアルデヒド(1.05当量、0.285wt)を加えた。イミンの形成が完了した後、0.1%NaOH中のNaBHの溶液を加えた。75℃にてイミンの完全還元後、水を高温混合物に加えた。混合物を冷却し、アセトン(0.2容量)を加えた。混合物を15℃まで冷却し、少なくとも30分間保持した。暗褐色の結晶性固体を回収し、水で洗浄し、50〜55℃にて真空下で乾燥させた。観察した収率の範囲:79〜85%。
【0098】
段階2−2−エトキシカルボニルアミノ−5−(4−フルオロベンジルアミノ)−ニトロベンゼンの調製
容器に4−(4−フルオロベンジルアミノ)−2−ニトロアニリン(1.0当量、1.0wt)、NaOEt(2.0当量、0.52wt)、およびジエチルカルボネート(DEC)(7容量)を入れた。20〜25℃にて1.5時間、またはHPLCにより完了するまで、不均一混合物を攪拌した。酢酸(2.0当量)を入れ、混合物を40〜50℃に加熱した。HOおよびn−BuOHを混合物に加え、層を分離した。有機混合物を真空下で濃縮し、n−BuOHを加え、一定容積の蒸留により蒸留した。所望の割合が得られるまで蒸留を継続した。n−BuOHを加え、全ての固体を溶解するまで混合物を60〜65℃に調整した。バッチ温度を50℃に調整し、2−エトキシカルボニルアミノ−5−(4−フルオロベンジルアミノ)−ニトロベンゼンで種晶を加えた。懸濁液を50℃にて攪拌し、次いで0℃まで冷却した。固体を濾過し、冷n−BuOHで洗浄した。固体を20〜40℃にて減圧下で乾燥させた。観察した収率の範囲:80〜88%。
【0099】
段階3−レチガビンの調製
圧力容器に2−エトキシカルボニルアミノ(ethyoxycarbonylamino)−5−(4−フルオロベンジルアミノ)−ニトロベンゼン、1kg(1wt)、および触媒、1%Pt+2%V/C、50g(0.05wt)を入れた。容器は6bargまで窒素で耐圧試験した。反応器に変性エタノール10L(10容量)を入れ、攪拌速度を>450rpmに設定した。容器を2bargまで窒素で3回圧力パージした。反応混合物を反応器制御下で50℃まで加熱した。50℃の内部温度を達成すると、攪拌を停止し、反応器を2bargまで水素で3回パージした。3回の水素パージ後、反応器が再度2bargに到達すると、水素流制御を開始し、攪拌器を起動した。反応器内容物を2時間熟成させた。反応物を70℃まで加熱し、さらに1時間70℃にて攪拌した。完了すると、反応混合物を濾過した。濾液を第二の20L容器に移した。反応器を変性エタノール、3L(3容量)でリンスし、55℃より高く加熱した。リンス液を濾過し、溶液を第二の20L容器に移した。バッチ温度を30℃以下に落として、真空にし(100mbar(溶液は約29℃で沸騰する))、溶液を7.5L(7.5容量)に濃縮した。溶液を65℃まで加熱し、溶解が起こるまで熟成させた。バッチを50℃まで冷却し、変性エタノール、20mL(0.02容量)中でスラリーにしたレチガビン(API)、5g(0.005wt)の種晶を加えた。種晶を加えた後、溶液を40分にわたって40℃まで即座に冷却し、次いで60分間熟成させた。溶液を2時間にわたって0℃まで冷却した。異種溶液を0℃にて1時間攪拌した。バッチを粉砕し、単離し、乾燥させた。スラリーをフィルターに移し、濾過した。湿潤ケーキを真空オーブンに移し、LODが0.5%wt未満の損失を示すまで(15分間120℃)、30〜40℃にて乾燥させた。観察した収率の範囲:70〜90%。
【0100】
多形体Aの調製
反応容器に変性エタノール(7.0容量)を入れ、レチガビン(1wt)を加え、溶解するまで65〜75℃で加熱し、30分間攪拌した。生成物の沈殿を回避するために、濾過プロセス全体にわたって、60℃以上に維持した温度で溶液を浄化するために濾過した。反応器をリンスし、1容量の変性エタノールで満たした。濾過後、濾液を、溶解を確実にするために60〜70℃に再度加熱した。溶液を54〜57℃(55℃)に冷却し、内容物の温度を安定化させた。溶液を48〜53℃に冷却し、所望の温度範囲の到達時に、室温にて変性エタノール(0.02vol)中のスラリーとして0.5wt%の形体Aの湿式粉砕した種晶を加えた。種晶ポットを0.02容量の変性エタノールで洗浄した。スラリーを30〜40℃(35℃)に冷却し、60分間保持した。次いでスラリーを0.5℃/分以下で−5℃〜5℃に冷却した。
【0101】
反応器再循環ループ上での湿式粉砕を用いて粒径を減少させた。標的粒径に到達した場合、バッチを約35℃に加熱し、次いで0℃まで冷却し、24時間まで30分間保持した。スラリーをフィルター乾燥器に入れ、30分間置いておいた。母液を除去し、フィルターケーキを冷却(0℃エタノール洗浄)(変性エタノールの2.0容量)しながら洗浄した。レチガビンをフィルター乾燥器から単離し、適切な容器中に入れた。観察した収率の範囲:85〜89%。
【実施例】
【0102】
実施例1:480mg錠剤2mm開口部および実施例2:480mg錠剤4mm開口部
以下の実施例において、層1および2についての顆粒を、標準的な湿式造粒法手順を用いて別々に調製した。次いで顆粒を各々の層についての残存成分と混合し、圧縮した。次いで2層を一緒に圧縮し、着色コーティングを付与するために標準的な手順を用いてフィルムコーティングし、次いで腸溶性フィルムコーティングを、回転パンコーターにおいて錠剤コア上にコーティングを噴霧することによって適用した。腸溶性コーティングが生じた実施例1および2のそれぞれの錠剤に、2mmまたは4mmの開口部を機械的に開けた。
【0103】
表1
【表1】

【0104】
実施例1および2の剤形についての溶解プロファイルを添付の図面の図3に示す。
【0105】
使用した溶解方法は以下の通りである:
溶解はUSP General Chapter<711>に従って決定する。その手順は、100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2を使用する。媒質は、2.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMクエン酸ナトリウム、pH6.4(37℃にて900mL)である。溶解したレチガビンの量を、外部標準を用いてUV分光光度法により定量する。
【0106】
実施例3、4、5および6
レチガビン共通顆粒を湿式造粒法により調製した。レチガビンおよび微結晶性セルロース粉末を流動化し、流動床上で溶液中のヒプロメロースを噴霧することによって顆粒を製造した。適切な量のヒプロメロースを添加した後、湿式顆粒を適切な水分レベルまで乾燥させ、所望の粒径に粉砕した。
【0107】
表2
【表2】

【0108】
次いでこれらの顆粒を使用して、他の成分と混合することによって層1および2を調製し、層を圧縮により調製し、水性フィルムコーティングし、次いで腸溶性コーティングを適用した。開口部を機械的に開けた。
【0109】
表3
【表3】

【0110】
溶解方法(1)
試験方法は、900mLの媒質および100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2機器を利用する。媒質は、pH6.4に調整した、2.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMクエン酸ナトリウムである。試料アリコートを適切な時点で引き抜き、濾過により浄化し、UV分光光度法により試験する。
【0111】
健常者における単回投薬後のレチガビン(480mg)の5つの修飾された放出(MR)製剤の薬物動態を評価するための研究
主目的
5つのMR製剤(実施例1および2ならびに3つの参照MR製剤)の生物学的利用能を調査するために、摂食および絶食状態における即時放出(IR)の投与と比べて、単回投薬として摂食および絶食状態において投与した。MR製剤に対する食物の効果を調査するために、単回投薬として投与した。
【0112】
研究設計
これは、健常者において実施した、非盲検の無作為化単回投薬、クロスオーバー第一相試験であった。被験体を、クロスオーバー期間の間、5〜7日の洗い流しを用いて、絶食投薬レジメン(群1)または摂食投薬レジメン(群2または群3)(高脂肪食)に割り当てた。全ての食事は標準化した。修飾した放出製剤の各々を絶食または摂食状態のいずれかに投与した。
【0113】
治療投与
パートA、群1における被験体に、絶食状態で、無作為化した6方向クロスオーバー様式(6−way crossover fashion)においてMR製剤およびIR製剤の各々を与えた。
【0114】
表4:群1(絶食)についての投薬レジメン
【表4】

【0115】
高脂肪食を用いて、群2における被験体に、無作為化した方法(4方向クロスオーバー)においてIR製剤およびMR製剤を与え、群3における被験体に、無作為化した方法(3方向クロスオーバー)においてIR製剤および2MR製剤を与えた(表5を参照のこと)。
【0116】
表5 群2および群3(摂食)についての投薬レジメン
【表5】

【0117】
被験体の数および性質
被験体は、18〜65歳(含む)の間の健康な成人の男性および女性のボランティアであった。群1について、約20人の男性の被験体を登録し、約16人の被験体の投薬を完了し、薬物動態を評価した。群2および群3について、約12人の男性の被験体を各群で登録し、約10人の被験体の投薬を完了し、薬物動態を評価した。
【0118】
薬物動態分析
即時放出および修飾された放出製剤についての薬物動態(AUCおよびCmax)を一次薬物動態パラメーターとした。二次薬物動態パラメーターは、即時放出および修飾された放出製剤のtmaxおよびt1/2であった。各々の投薬の場合において、投薬前、および投薬後72時間までに、レチガビン薬物動態分析についての血漿試料を得た。レチガビンの薬物動態分析についての血漿濃度を有効なアッセイ方法により決定した。
【0119】
絶食状態におけるレチガビンIRおよびレチガビンMR(実施例1および実施例2)の投与後の平均レチガビン濃度−時間プロファイルを、図1および摂食状態(高脂肪食)において図2に示す。
【0120】
MR製剤について、半減期を正確に決定することは可能ではなかったので、AUC(0−t)を主要エンドポイントして使用した。絶食および摂食状態におけるこの修飾された放出製剤についてのPK結果を表6に示す。
【0121】
表6:絶食状態におけるIR錠剤(400mg)ならびに修飾された放出錠剤実施例1および実施例2(480mg)の投与後の投薬量を正規化したPKパラメーターの概要(geomean(CVb%))(群1)
【表6】

【0122】
表7:摂食状態におけるIR錠剤(400mg)および修飾された放出錠剤実施例1および実施例2(480mg)の投与後の投薬量を正規化したPKパラメーターの概要(geomean(CVb%))(群2)
【表7】

【0123】
絶食および摂食状態の両方において、実施例1および実施例2の両方の投与の結果、IRについて観察したものの20〜30%までCmaxの減少が生じた。絶食状態における実施例1および実施例2の両方について、レチガビンIRについての0.5〜4時間と比較して、投薬後10〜48時間でTmaxが起こった。摂食状態における実施例1および実施例2の両方について、レチガビンについての0.5〜4時間と比較して、投薬後6〜24時間でTmaxが起こった。
【0124】
絶食状態において、製剤3−参照実施例は、実施例2についての29%と比較して、それぞれ48%および49%のCmaxおよびAUCについて被験体間の変動性を有した。
【0125】
実施例7〜14
以下の実施例7〜14を、表2に記載したレチガビン共通顆粒を用いて実施例3〜6に記載されるように実質的に調製した。
【0126】
【表8−1】

【表8−2】

注記:
1.無水ベース
【0127】
延長された放出錠剤の組成物、600mg、実施例11、12、13および14
【表9−1】

【表9−2】

注記:
1.無水ベース
【0128】
実施例7〜14についての溶解方法(2)
以下の溶解方法を用いて実施例7〜14を試験した。
【0129】
試験方法は、900mLの媒質および100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2機器を利用する。媒質は、pH6.8に調整した、1.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウムである。試料アリコートを適切な時点で引き抜き、濾過により浄化し、UV分光光度法により試験する。
【0130】
実施例15および16
実施例15および16に使用したレチガビン製剤原料を、以前の段落に記載したように微粉化した。共通の顆粒を、顆粒製剤の成分を連続造粒のバレル内に供給し、続いて顆粒化溶液を連続流入する、連続湿式造粒法によって調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥器に移し、実施例3〜6に記載したものと同様の方法で所望の水分レベルまで乾燥させた。顆粒を乾式粉砕し、他の成分と混合し、続いて錠剤圧縮し、次いで水性フィルムコーティングし、次いで腸溶性コーティングを適用した。開口部を機械的に開けた。
【0131】
延長された放出錠剤の組成物、実施例15(300mg投薬強度)および実施例16(600mg投薬強度)
【表10】

【0132】
溶解方法(2)実施例15および16
実施例15および16を以下の溶解方法を用いて試験した。
【0133】
試験方法は、900mLの媒質および100rpmのパドル速度でUSP Apparatus2機器を利用する。媒質は、pH6.8に調整した、1.0%w/vドデシル硫酸ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウムである。試料アリコートを適切な時点で引き抜き、濾過により浄化し、UV分光光度法により試験する。
【0134】
健常者におけるレチガビンの修飾された放出(MR)製剤を評価する研究
実施例7〜16の臨床評価のために、600mgの1日当たりの総量まで被験体に投薬量を徐々に増量する(up−titrated)。滴定相の目的はレチガビンの認容性を改善することである。次に、相対的バイオアベイラビリティ評価を、処置の4日おきに製剤を切り替えることによって実施する。各々の被験体を6回の研究期間に参加させ、5回の期間において、被験体にレチガビンMR製剤(実施例7〜10および15)の300mgBID投薬量を与え、1回の期間において、被験体にレチガビンIRの200mgTID投薬量を与える。治療の割り当ては、所定の無作為化スケジュールに従って割り当てられた治療順序でのクロスオーバー設計に従う。このクロスオーバー相の後、被験体を食物効果相について5つのMR製剤のうちの1つに無作為化する。あらゆる食物効果は、最も高い投薬強度においてより強い影響を与えると予測されるため、MR製剤の各々(実施例11〜14および16)の投与後、レチガビンの薬物動態に対する高脂肪食の効果を600mgQDの投薬量で研究する。この相は一定の順序として実施し、標準食と併せた、続いて高脂肪食と併せた、レチガビンの投与後の薬物動態を最初に評価する。一定の順序は、食物効果がMR製剤と併発するはずである認容性問題に起因するいずれかの離脱者の影響を低減するはずである。この相の研究は重要である。なぜなら、最も高いMR錠剤強度(600mg)の投与後のレチガビンの薬物動態の評価を可能にし、1日に1200mg(600mgBID)の有効投薬量範囲の上端での投与後のレチガビンに対する全身曝露を予測するために使用され得るからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)壊食性コアであって、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含む第一の修飾された放出組成物を含んでなる、壊食性コア、ならびに
(ii)前記コア周囲の壊食性コーティングであって、前記コーティングを実質的に完全に貫通して延びるが、前記コアを貫通せず、使用環境から前記コアまで連通する1つ以上の開口部を含んでなる、壊食性コーティング、
を含んでなる経口用剤形であって、前記壊食性コアからのレチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の放出が、実質的に前記開口部を通じて、また、所定のpH条件下での前記壊食性コーティングの壊食により起こる、経口用剤形。
【請求項2】
(i)前記壊食性コアが、
(a)第一の修飾された放出組成物と、
(b)第二の組成物と、
を含んでなり、各々の組成物が、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物と、それらのための薬学上許容される担体とを含み、前記第一および第二の組成物が、投与時に異なる放出速度で薬物を放出するように調製され、それにより、前記剤形からの前記薬物の放出速度が実質的にpHとは無関係である、請求項1に記載の経口用剤形。
【請求項3】
前記第一の組成物が、例えば、高分子量ヒプロメロース(HPMC)2910(別名E)または2208(別名K)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、オイドラギットNM、オイドラギットNE、コリドンSR、ガラクトマンナン、デキストラン、エチルセルロース、カルボマー、カーボポール、ポリカルボフィル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、シェラック、ゼイン、酢酸セルロースまたはそれらの組合せから選択される律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマーを含んでなる、請求項1または2に記載の経口用剤形。
【請求項4】
前記律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマーが、例えば、高分子量ヒプロメロース(HPMC)2910(別名E)から選択される、請求項1に記載の経口用剤形。
【請求項5】
前記律速ポリマーまたはマトリクス形成ポリマーが、例えば、高分子量ヒプロメロース(HPMC)2208(別名K)から選択される、請求項2に記載の経口用剤形。
【請求項6】
前記コーティングが、4.5より高いpHで壊食する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の経口用剤形。
【請求項7】
前記コーティングにおける前記開口部が、直径0.9〜6mmの範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の経口用剤形。
【請求項8】
前記開口部が、全錠剤表面積の0.18〜20%を構成し得る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の経口用剤形。
【請求項9】
前記第一の組成物が、前記第二の組成物と比較して、レチガビンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の2〜3倍多い量を含んでなる、請求項2〜8のいずれか一項に記載の経口用剤形。
【請求項10】
10〜1500mgのレチガビンを含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の経口用剤形。
【請求項11】
本発明の障害の治療のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経口用剤形の使用。
【請求項12】
てんかんの治療のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経口用剤形の使用。
【請求項13】
本発明の障害に罹患している患者を治療する方法であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経口用剤形を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項14】
てんかんに罹患している患者を治療する方法であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経口用剤形を患者に投与することを含んでなる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517315(P2013−517315A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549336(P2012−549336)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050633
【国際公開番号】WO2011/089126
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】