説明

新規蛍光体およびその製造

【課題】低コストであり安定で、青色、近紫外若しくはUV、LED、またはレーザーダイオード(LD)により励起され、適切な赤色、青色または緑色光蛍光体と組み合わされて高い演色を伴う白色光を生ずるのに適用できる新規の蛍光体を提供する。
【解決手段】下式:Am(B1-xCex3+nGeyz(式中、AはCa、SrおよびBaから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、BはLa、YおよびGdから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、m、n、yおよびzのそれぞれは0よりも大きい数であって、但し2m+3n+4y=2zであり、およびxは0.0001≦x≦0.8の範囲にある)を有するCe3+ドープゲルマネートから形成される蛍光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に発光デバイスに使用される一連の新規蛍光体組成物およびその製造を提供する。
【背景技術】
【0002】
日光に似た白色光を生じ、従って日光ランプ(sunlight lamp)等の従来の白色光源に一般的に取って変わる発光ダイオード(LED)の使用は、今世紀における光源技術分野の主な目的となっている。従来の光源と比較して、LEDは、小型で高輝度、従来の照明装置よりも10倍長い使用寿命、製造プロセスおよび廃棄処理における低いコスト、並びに環境適合性等の利点を有する。従って、LEDは既に、次世代の光源として考えられている。
【0003】
現在、白色LEDの製造は、単一チップタイプとマルチチップタイプとに分けることができ、マルチチップタイプは、それぞれ赤色光、緑色光および青色光の3種のLEDを用いて、白色光を生じる。マルチチップタイプLEDの利点は、様々な要求に応じた、調節可能な光の色である。しかしながら、これは同時に複数のLEDを必要とするために、コストが高くなる。また、3種のLEDの材料は異なるため、これらは異なる駆動電圧を有し、従って、3つのタイプの回路を設計して、電流を制御する必要がある。加えて、3つのタイプのLEDの減衰速度、温度特性および使用寿命は全て異なり、時間とともに生じる白色光の色の変化をもたらすであろう。従って、市販の白色光LEDの製品と将来の傾向は、なお依然として、単一チップタイプが主流を占めるであろう。単一チップタイプのLEDの製造方法は、一般的に、以下の3種類である。
【0004】
(1)青色光LEDの黄色光蛍光体との組み合わせであって、これは、青色光LEDを用いて、黄色光を発光することができる蛍光体を励起させる。用いる蛍光体は主として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット構造を有するYAG蛍光体((Y,Gd)3(Al,Ga)512:Ce(YAG:Ce),Y.Shimizu等,特許文献1)であり、これは黄色光を発光し、この黄色光は吸収されない青色光と混ざり合って、白色光を生ずることができる。現在市販されている白色光LEDの殆どはこのようにして製造されている。このタイプのLEDの利点は、単一チップで白色光を発することができ、低コストで、製造が容易であることであるが、低い発光効率、乏しい演色、異なる出力電流による発光色のばらつき、不均一な発光色等の欠点を有している。
【0005】
(2)青色光LEDの赤色光蛍光体および緑色光蛍光体との組み合わせであって、これは青色光LEDを用いて、赤色光を発することができる蛍光体と緑色光を発することができる蛍光体とを別個に励起させる。用いる蛍光体組成物は主として硫黄含有蛍光体であり、これは赤色光と緑色光とを発し、吸収されない青色光と混ざり合って白色光を生ずることができる。このようなLEDの利点は、3つの波長分布を伴うスペクトルを有することであり、従って、より高い演色、調節可能な発光色、および色温度を有する。
【0006】
(3)紫外(UV)−LEDの赤色光蛍光体、緑色光蛍光体および青色光蛍光体との組み合わせであって、これはUV−LEDにより発光されるUV光を用いて、赤色光、青色光および緑色光を個々に発光することができる3種以上の蛍光体を励起させて、発光される3種の色の光を混ぜ合わせて白色光を生ずる。このようにして生じる白色光は日光ランプに類似し、高い演色、調節可能な発光色および色温度等の利点を有し、高い変換効率の蛍光体を用いてその発光効率を改善することができ、駆動電流の変化によるばらつきを伴わずに発光色を均一にすることができる。しかしながらその粉末は混合しづらい、発光される光は三原色(赤、緑および青)蛍光体粉末により吸収され得る、高い効率と新規化学組成を有する蛍光体を発見するのが困難である等の欠点を有する。
【0007】
蛍光体、またはいわゆる蛍光変換材料(または蛍光変換化合物)が、UV光または青色光を異なる波長を有する可視光に変換することができる場合には、生ずる光の色は蛍光体の特定の組成に依存する。蛍光体は1のみの蛍光体組成を有していてもよいし、2以上の蛍光体組成を有していてもよい。しかしながら、照明源としてLEDを用いようとする場合には、より明るくより白い光を伴うLEDのみをLEDランプに用いることができる。従って、蛍光体は一般的にLED上にコーティングされて、白色光を生ずる。異なる波長の励起下での各種の蛍光体を、異なる色を伴う光に変換することができ、例えば、365nm〜500nmの波長を有する近紫外または青色光LEDの励起下では、蛍光体を可視光に変換することができる。励起蛍光体の変換により生ずる可視光は、高いルミネセンス強度と高い輝度という特性を有する。
【0008】
同じであると視覚的に感じる2つの色は、実際は、互いに異なる波長を有する光からなることがある。三原色、すなわち赤色、青色および緑色に基づいて、原色を種々の比で、すなわち、いわゆる三原色の原理で組み合わせることによって、視覚的に種々の色が得られる。国際照明委員会(CIE)は、原色についての換算単位を定義し、標準的な白色光の光束は、Φr:Φg:Φb=1:4.5907:0.0601と定義される。
【0009】
原色についての換算単位を決定するとき、白色光についての色の配合関係Fwは、
Fw=1[R]+1[G]+[B]
(式中、Rは赤色光、Gは緑色光、およびBは青色光を示す)
である。
【0010】
任意の色を伴う光Fについて、その色の配合式は、Fw=r[R]+g[G]+b[B]であり、式中、r、gおよびbは、それぞれ実験的に決定された赤色、青色および緑色の係数を示す。対応する光束(Φ)はΦ=680(R+4.5907G+0.0601B)ルーメン(lm、照明単位)であり、式中、r、gおよびbの間の比は、色度(彩度の度合い)を定め、この値は組み合わされた色の輝度を決定する。三原色、r[R]、g[G]およびb[B]の関係は、正規化後のマトリックスにより表すことができる:Fw=X[X]+Y[Y]+Z[Z]=m{x[X]+y[Y]+z[Z]}(式中、m=X+Y+Z、およびx=(X/m)、y=(Y/m)、およびz=(Z/m)。すべての発光波長は、特定のr、gおよびb値に対応する。可視領域におけるr値の合計をX、g値の合計をY、b値の合計をZと定義することにより、蛍光体粉末から発光される光の色度をx、y座標系により表すことができ、これをC.I.E.1931標準比色系(C.I.E.色度座標)と呼ぶ。スペクトルを測定する際、各波長の光からの寄与を計算した後、色度座標上の正確な位置に印をつけ、蛍光体粉末から発光される光の色を決定する。
【0011】
しかしながら、青色光LEDと黄色光蛍光体を用いて白色光LEDを製造する用途において、市販されている黄色光蛍光体は、演色の赤色スペクトルにおける寄与が欠けており、不均一な光の色と低い発光効率等の欠点を有する。これに関して、改善された演色指数と高い安定性を有し、低コストの蛍光体を提供することができ、白色光LEDの蛍光体層に用いることができれば、白色光LEDの色温度を調節することができ、LEDの演色を改善することができ、最終的には、これを用いて現行のLED製造のための市販の蛍光変換材料に代替することができる。
【特許文献1】米国特許第5,998,925号明細書
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明は、低コストであり安定で、青色、近紫外若しくはUV LED、またはレーザーダイオード(LD)により励起され、適切な赤色、青色または緑色光蛍光体と組み合わされて高い演色を伴う白色光を生ずるのに適用できる新規の蛍光体を開示する。
【0013】
本発明は、新規化学組成を有する一連の蛍光体を提供し、これは、以下の式により表されるCe3+ドープゲルマネート材料である。
【0014】
m(B1-xCexnGeyz
(式中、AはCa、SrおよびBaから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、BはLa、YおよびGdから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、m、n、yおよびzは個々に0よりも大きい数であって、但し2m+3n+4y=2zであり、0.0001≦x≦0.8)。Ca、SrおよびBaは、これらの酸化数は全て2+であると同時に、同様のイオン半径および化学的性質を有し、またLa、GdおよびYは、これらの酸化数は全て3+であると同時に、同様のイオン半径および化学的性質を有する。
【0015】
この蛍光体は、発光素子により発光される一次放射線により励起されて、二次放射線を発光することができ、ここで発光素子により発光される一次放射線の波長は300nm〜500nmの範囲にあり、励起された蛍光体により発光される二次放射線の波長は、発光素子により発光される一次放射線の波長よりも長い。
【0016】
具体的には、上記発光素子により発光される一次放射線の波長は、好ましくは320nm〜480nmの範囲にあり、励起された蛍光体Cam(Y1-xCexnGeyzにより発光される二次放射線の波長は450nm〜680nmの範囲にあり、CIE色度座標(x,y)は0.20≦x≦0.40、0.40≦y≦0.60の範囲にあり、色が緑色である。
【0017】
さらに、上記発光素子により発光される一次放射線の波長は、より好ましくは350nm〜470nmの範囲にあり、励起された蛍光体Cam(Y1-xCexnGeyzにより発光される二次放射線の波長は480〜510nmの範囲にあり、CIE色度座標(x,y)は0.25≦x≦0.35、0.45≦y≦0.55であり、色が緑色である。
【0018】
具体的には、上記発光素子により発光される一次放射線は、好ましくは310nm〜400nmの範囲にあり、励起された蛍光体Srm(Y1-xCexnGeyzにより発光される二次放射線の波長は、450nm〜490nmの範囲にあり、CIE色度座標(x,y)は0.10≦x≦0.25、0.01≦y≦0.17の範囲にあり、色が青色である。
【0019】
さらに、上記発光素子により発光される一次放射線の波長は、より好ましくは350nm〜400nmの範囲にあり、励起された蛍光体Srm(Y1-xCexnGeyzにより発光される二次放射線のCIE色度座標(x,y)は0.15≦x≦0.22、0.03≦y≦0.15の範囲にあり、色が青色である。
【0020】
本発明は、また、上記蛍光体の製造方法を提供し、
材料(A)CaCO3、SrCO3およびBaCO3からから成る群から選択される少なくとも1種の炭酸塩、(B)Y23、La23およびGd23から成る群から選択される少なくとも1種の酸化物、(C)CeO2、および(D)GeO2を化学量論的に秤量すること、
秤量した材料をすり潰して混合すること、
得られた混合物をアルミナボートるつぼに移し、1200〜1400℃、4〜10時間の反応時間で固相合成を行うこと
を含む。
【0021】
さらに、本発明は発光素子と蛍光体とを含む発光デバイスを提供し、ここで発光素子は300nm〜500nmの範囲にある波長を有する一次放射線を発光し、蛍光体は、発光素子により発光された一次放射線の一部を吸収することにより励起させることができ、一次放射線の波長とは異なる波長を有する二次放射線を発光し、この蛍光体は上記した蛍光体から選ぶことができる。
【0022】
発光素子は半導体発光源、発光ダイオードまたは有機発光デバイスであってよく、蛍光体は発光素子上または表面にコーティングされる。励起した蛍光体により発光される二次放射線の波長は、発光素子により放射される一次放射線の波長よりも長い。さらに、発光デバイスは、発光素子上または表面に蛍光体を被覆することにより形成され、蛍光体を発光素子により発光される一次放射線により励起させた後、励起蛍光体により発光される二次放射線を吸収されない一次放射線と混合して白色光を生ずることができる。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明の成分とその特性のより良い理解を当業者に容易にするために、実施形態と図面を参照することにより本発明を詳細に説明する。従って、本発明の目的、技術内容、特徴および効果がより容易に理解される。
【0024】
例1 Ca3(Y1-xCex2Ge312
Ca3(Y1-xCex2Ge312の化学組成に従って、化学量論量のCaCO3、Y23、GeO2、およびCeO2を秤量する。ここでxは0.001、0.005、0.01、0.03および0.05である。秤量した材料をよくすり潰して、十分に混合し、得られた混合物をアルミナボートるつぼに移し、高温の炉に導入して、4〜10時間の反応時間で1200〜1400℃において固相焼結を行った。
【0025】
結晶相の純度を確認するために、好ましい実施形態であるCa3(Y0.99Ce0.012Ge312をX線回折計(Bruker AXS D8 advance type)を用いることにより分析し、構造解析を図1に示す。X線回折図から、不純物は検出されないことが観察され、本発明により合成された蛍光体は純物質であることを示している。
【0026】
UV−青色光LEDの発光波長は250nm〜500nmであるため、同じ波長を有するキセノンランプを模擬励起源として用いて、本発明の蛍光体の発光特性を試験することができる。
【0027】
450Wキセノンランプを備えた Spex Fluorolog-3 分光蛍光光度計(Jobin-Yvon Spex S.A., USA)を用いて、好ましい実施形態のCa3(Y0.99Ce0.012Ge312の蛍光発光スペクトルと励起スペクトルを測定し、その結果を図3に示す。青色および近紫外領域にブロードバンド吸収が存在し、発光バンドの波長は約497nmを中心とし、バンド幅は約200nmである。発光バンドは、Ce3+の遷移5d→25/2および5d→27/2に帰属し、本発明の蛍光体が青色光により励起され得ること、および吸収されない青色光と蛍光体自身により発光される緑色光の組み合わせが合わさって白色光を生ずることができることがわかった。
【0028】
蛍光分光計と組み合わせたカラーアナライザ(DT-100 Color Analyzer, LAIKO Co. Ltd., Japan 製)を用いて、蛍光体の輝度と色度を測定した。
【0029】
図5は、種々のCe3+ドーピング濃度をもつ蛍光体Ca3(Y1-xCex2Ge312の光度と輝度との関係を示し、左の矢印(円と実線)は光度を示し、右の矢印(四角と破線)は輝度を示す。これらの結果は、蛍光体が1モル%のCe3+でドープされた場合に、最も高い光度と輝度を示すということを表している。
【0030】
U−3010 UV−Vis分光計(Hitachi co., Japan)を用いて、190nm〜1000nmの範囲の波長で反射スペクトルを測定して、本発明の好ましい蛍光体Ca3(Y0.99Ce0.012Ge312、およびCe3+イオンドーピングのないホストCa32Ge312の吸収領域を調べ、結果を図6にまとめる。ホストCa32Ge312にCe3+イオンをドープしない場合には、200nm〜300nmの領域にのみ吸収が現れるが、Ce3+イオンをドープした場合には、390nm〜500nmの青色光領域に広い吸収バンドを観察することができる。従って、この観測は、本発明の蛍光体が効果的に青色光を吸収できることを示している。
【0031】
図7は、好ましい実施形態のCa3(Y0.99Ce0.012Ge312、および市販のZnS:Cu,Al(Nichia CO., Japan)のフォトルミネセンススペクトルと励起スペクトルとを示す。比較の結果として、本発明の蛍光体は、ZnS:Cu,Al商品のものよりも高い励起効率を示している。
【0032】
図8は、419nmの波長を有する光の励起下で測定したCa3(Y0.99Ce0.012Ge312のCIE色度図を示し、実験に基づく色度座標は(0.28,0.51)である。ZnS:Cu,Al商品と比較して、本発明の蛍光体は緑色光により近く、彩度もより高い。
【0033】
例2 Sr3(Y0.99Ce0.012Ge312
Sr3(Y0.99Ce0.012Ge312の化学組成に従って、化学量論量のSrCO3、Y23、GeO2、およびCeO2を秤量する。秤量した材料をよくすり潰して、十分に混合し、得られた混合物をアルミナボートるつぼに移し、高温の炉に導入して、4〜10時間の反応時間で1200〜1400℃において固相焼結を行った。
【0034】
結晶相の純度を確認するために、好ましい実施形態であるSr3(Y0.99Ce0.012Ge312をX線回折計(Bruker AXS D8 advance type)を用いることにより分析し、構造解析を図2に示す。X線回折図から、不純物は検出されないことが観察され、本発明により合成された蛍光体は純物質であることがわかった。
【0035】
450Wキセノンランプを備えた Spex Fluorolog-3 分光蛍光光度計を用いて、好ましい実施形態のSr3(Y0.99Ce0.012Ge312の蛍光発光スペクトルと励起スペクトルを測定し、その結果を図4に示す。青色および近紫外領域にブロードバンド吸収が存在し、発光バンドの波長は約463nmを中心とし、バンド幅は約100nmである。発光バンドは、Ce3+の遷移5d→25/2および5d→27/2に帰属し、本発明の蛍光体が、約362nmの波長を有するUVダイオードまたはレーザーダイオードにより励起され得ること、および吸収されないUV光と蛍光体自身により発光される青色光の組み合わせが合わさって白色光を生ずることができることがわかった。
【0036】
362nmの波長を有する光の励起下で測定したSr3(Y0.99Ce0.012Ge312のCIE色度座標を図8に示す。実験に基づく色度座標は(0.20,0.08)である。
【0037】
さらに、本発明の蛍光体はLED、特に白色LEDに用いることができる。より優れたカラー効果を達成するために、これを単独で用いてもよいし、または他の色を生ずる目的で、他の赤色光、緑色光または青色光蛍光体と組み合わせて用いることもできる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態は発光デバイスを提供し、半導体発光源であり得る発光素子、すなわちLEDチップと、このLEDチップに接続された導電性のリードとを含む。この導電性のリードはシート状の電極により支持され、これはLEDに電流を供給して放射線発光を可能にする。発光デバイスは光源としてあらゆる青色光半導体を含むことができ、これにより発光される放射線は本発明の蛍光体組成物に直接照射されて、白色光を生ずる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、LEDを種々の不純物でドープすることができる。上記LEDは、種々の適切なIII−V、II−VIまたはIV−IV半導体層を含むことができ、これにより発光される放射線の波長は、好ましくは250〜500nmである。上記LEDは、GaN、ZnSeまたはSiCから成る少なくとも1つの半導体層を含む。例えば、一般式IniGajAlkN(式中、0≦i;0≦j;0≦k、およびi+j+k=1)により示される窒化物から成るLEDは、250nm〜500nmの範囲にある波長を有する光を発する。上記LED半導体の使用は知られており、本発明における励起光源として有用である。しかしながら、本発明のための励起光源は上記LEDに限定されず、半導体レーザー発光源を含む発光機能を有するあらゆる種類の半導体が適用できる。
【0040】
一般的に、上記LEDは無機物のものを対象にしているが、当業者であれば、上記LEDを有機物のもの、または任意の他の放射線源に置き換えることができるということが容易に理解できる。本発明の蛍光体は、励起源として用いられる上記LEDにコーティングされて、白色光を生じる。
【0041】
他の利点と変更は当業者であれば容易に思いつくであろう。従って、その広い態様における本発明は、本明細書中に記載した特定の詳細や実施例に限定されない。従って、添付した特許請求の範囲およびその均等物により定義される一般的な発明概念の意図または範囲を逸脱することなく、種々の変形をなすことができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】好ましい実施形態において得られたCa3(Y0.99Ce0.012Ge312のX線回折図。
【図2】好ましい実施形態において得られたSr3(Y0.99Ce0.012Ge312のX線回折図。
【図3】好ましい実施形態において得られたCa3(Y0.99Ce0.012Ge312の蛍光発光スペクトルおよび励起スペクトルを示す図。
【図4】好ましい実施形態において得られたSr3(Y0.99Ce0.012Ge312の蛍光発光スペクトルおよび励起スペクトルを示す図。
【図5】好ましい実施形態において得られた様々なCe3+ドーピング濃度のCa3(Y1-xCex2Ge312をもつ上記蛍光体についての光度と輝度との関係を示す図。
【図6】好ましい実施形態において得られたCa3(Y0.99Ce0.012Ge312の反射スペクトルを示す図
【図7】好ましい実施形態Ca3(Y0.99Ce0.012Ge312と市販製品ZnS:Cu,Alとの間の蛍光発光スペクトルおよび励起スペクトルの比較を示す図。
【図8】好ましい実施形態Ca3(Y0.99Ce0.012Ge312、Sr3(Y0.09Ce0.012Ge312およびZnS:Cu,Al商品のCIE色度座標を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
m(B1-xCexnGeyz
(式中、
AはCa、SrおよびBaから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、
BはLa、YおよびGdから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、
m、n、y、およびzは、それぞれ、0よりも大きい数であって、但し2m+3n+4y=2zであり、およびxは0.0001≦x≦0.8の範囲にある)
により示されるCe3+ドープゲルマネートから形成される蛍光体。
【請求項2】
前記蛍光体は、発光素子により発光される一次放射線の励起により二次放射線を発光する請求項1に記載の蛍光体。
【請求項3】
前記一次放射線の波長が300nm〜500nmの範囲にあり、前記二次放射線の波長が前記一次放射線の波長よりも長い請求項2に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記一次放射線の波長が310nm〜400nmの範囲にあり、前記二次放射線の波長が450nm〜680nmの範囲にあり、前記二次放射線のCIE色度座標値(x,y)が0.20≦x≦0.40および0.40≦y≦0.60の範囲にある請求項3に記載の蛍光体。
【請求項5】
前記一次放射線の波長が350nm〜470nmの範囲にあり、前記二次放射線の波長が480nm〜510nmの範囲にあり、CIE色度座標値(x,y)が0.25≦x≦0.35および0.45≦y≦0.55の範囲にある請求項4に記載の蛍光体。
【請求項6】
前記一次放射線の波長が310nm〜400nmの範囲にあり、前記二次放射線の波長が450nm〜490nmの範囲にあり、前記二次放射線のCIE色度座標値(x,y)が0.10≦x≦0.25および0.01≦y≦0.17の範囲にある請求項3に記載の蛍光体。
【請求項7】
前記一次放射線の波長が350nm〜400nmの範囲にあり、前記二次放射線のCIE色度座標値(x,y)が0.15≦x≦0.22および0.03≦y≦0.15の範囲にある請求項6に記載の蛍光体。
【請求項8】
材料(A)CaCO3、SrCO3およびBaCO3から選択される少なくとも1種の炭酸塩、(B)Y23、La23およびGd23から成る群から選択される少なくとも1種の酸化物、(C)CeO2および(D)GeO2を化学量論的に秤量する工程と、
秤量した材料をすり潰して混合する工程と、
得られた混合物をアルミナボートるつぼに移し、1200〜1400℃で前記混合物の固相合成を行う工程と
を含む請求項1に記載の蛍光体を製造するための方法。
【請求項9】
前記混合物の前記固相合成は4〜10時間の反応時間を要する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
発光素子および蛍光体を含む発光デバイスであって、前記発光素子は300nm〜500nmの範囲にある波長を有する一次放射線を発光することができ、前記蛍光体は請求項1に記載の蛍光体であり、および前記蛍光体は前記一次放射線の一部を吸収した後、前記一次放射線の波長とは異なる波長を有する二次放射線を発光する発光デバイス。
【請求項11】
前記二次放射線の波長が前記一次放射線の波長よりも長い請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記発光素子は、半導体光源、発光ダイオード、レーザーダイオード、または有機発光デバイスに相当する請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記蛍光体を前記発光デバイスの表面または上面にコーティングした請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記蛍光体を前記発光デバイスの表面または上面に被覆した請求項10に記載の発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−96986(P2009−96986A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−191233(P2008−191233)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】