新規連鎖球菌抗原
【課題】
治療および/または予防用ワクチン成分として有用な肺炎連鎖球菌病原の新規タンパク質抗原を提供すること。
【解決手段】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有する第二のポリペプチドに少なくとも70%または少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供することにより、上記課題を解決する。
治療および/または予防用ワクチン成分として有用な肺炎連鎖球菌病原の新規タンパク質抗原を提供すること。
【解決手段】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有する第二のポリペプチドに少なくとも70%または少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗原に関し、より詳しくは、治療および/または予防用ワクチン成分として有用な肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)病原のタンパク質抗原に関する。
【背景技術】
【0002】
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)はヒト、取分け乳児、初老の免疫無防備状態者における疾患の重要な作因である。肺炎連鎖球菌は菌血症/敗血症、肺炎、髄膜炎などの浸襲性疾患患者から多くの場合単離されるバクテリアであり、世界中で高い罹患率と死亡率を有している。適切な抗生物質療法をもってしてさえ、肺炎球菌感染症は今なお多くの死を招いている。抗菌剤類の出現が全体として肺炎球菌疾患の死亡率を低下させはしたが、耐性肺炎球菌体の存在が今日世界の主要な問題となっている。有効な肺炎球菌ワクチンは肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)と関連する罹患率と死亡率に大きな衝撃を与えることができるに違いない。かかるワクチンはまた乳児と幼児の中耳炎の予防に有用となる可能性がある。
【0003】
肺炎球菌ワクチン開発の努力は主に肺炎球菌の莢膜多糖に免疫応答を生じさせることに集中している。80種を超える肺炎球菌莢膜血清型が抗原性の差に基づき同定されている。現在入手可能な肺炎球菌ワクチンは、最も頻繁に疾患の原因となる23種の莢膜多糖を含んでなるが、ある種莢膜多糖の免疫原性が弱いこと、血清型が多様であること、および経時的に、地理的に、また年齢群により血清型の分布に差のあることなどと主として関連する重要な欠点がある。特に、既存のワクチンと現在開発中の莢膜接合ワクチンはすべての血清型に対し幼児を守りきれないということが、他の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)成分の評価に駆り立てている。莢膜多糖の免疫原性を改善することはできるが、血清型の特異性がなお多糖をベースとするワクチンの主たる限界となっている。抗原性を保持した免疫原性肺炎球菌タンパク質抗原をそれ自体または他の成分と組合わせて使用することが、タンパク質をベースとする肺炎球菌ワクチンの可能性を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の名称“肺炎連鎖球菌抗原およびワクチン(Streptococcus pneumoniae antigen and vaccines)”として1998年5月7日に公開されたPCT公開番号WO98/18930はある種のポリペプチドを記載し、抗原として請求している。しかし、これらのポリペプチドの生物活性については何ら報告がない。
【0005】
従って、連鎖球菌感染症の予防および/治療用ワクチン成分として使用し得る連鎖球菌抗原について不適切な面についてはなお必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0007】
他の側面によると、発現制御領域に操作可能に結合した本発明ポリヌクレオチドを含んでなるベクター、並びに当該ベクターを移入した宿主細胞および当該宿主細胞を発現に適した条件下に培養することを含んでなるポリペプチドの製造法が提供される。
さらに他の側面においては、本発明のポリヌクレオチドがエンコードする新規のポリペプチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はBVH−3遺伝子のDNA配列である;配列番号1。
【図2】図2はBVH−3タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号2。
【図3】図3はBVH−11遺伝子のDNA配列である;配列番号3。
【図4】図4はBVH−11タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号4。
【図5】図5はBVH−28遺伝子のDNA配列である;配列番号5。
【図6】図6はBVH−28タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号6。
【図7】図7はBVH−3A遺伝子のDNA配列であり、BVH−3の5’末端に相当する;配列番号7。
【図8】図8はBVH−3Aタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号8。
【図9】図9はBVH−3B遺伝子のDNA配列であり、BVH−3の3’末端に相当する;配列番号9。
【図10】図10はBVH−3Bタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号10。
【図11−1】図11−1はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241およびA66肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−3オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図11−2】図11−2はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241およびA66肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−3オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−1】図12−1はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−2】図12−2はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−3】図12−3はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−4】図12−4はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図13】図13は種々の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11タンパク質のアミノ酸配列を比較描出したものである。同一性(I)および類似性(S)の度合いはマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して決定した。
【図14−1】図14−1は完全BVH−3遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド1777〜4896にオープンリーディングフレーム“ORF”);配列番号11。
【図14−2】図14−2は完全BVH−3遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド1777〜4896にオープンリーディングフレーム“ORF”);配列番号11。
【図15】図15は完全BVH−11遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド45〜2567にORF);配列番号12。
【図16】図16は完全BVH−11−2遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド114〜2630にORF);配列番号13。
【図17】図17はBVH−11−2タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号14。
【図18】図18はSP63 BVH−3遺伝子のDNA配列である;配列番号15。
【図19】図19はSP63 BVH−3タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号16。
【図20】図20はBVH−3Mタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号55。
【図21】図21はBVH−3ADタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号56。
【図22】図22はL−BVH−3−ADタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号57。
【図23】図23はNEW12タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号58。
【図24】図24はBVH−3Cタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号59。
【図25】図25はBVH−11Mタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号60。
【図26】図26はBVH−11Aタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号61。
【図27】図27はBVH−11B(New13とも呼称)タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号62。
【図28】図28はBVH−11Cタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号63。
【図29】図29はNEW1タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号64。
【図30】図30はNEW2タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号65。
【図31】図31はNEW3タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号66。
【図32】図32はNEW4タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号67。
【図33】図33はNEW5タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号68。
【図34】図34はNEW6タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号69。
【図35】図35はNEW7タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号70。
【図36】図36はNEW8タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号71。
【図37】図37はNEW9タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号72。
【図38】図38はBVH−11−2Mタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号73。
【図39】図39はNEW10タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号74。
【図40】図40はNEW11タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号75。
【図41】図41はNEW21遺伝子のDNA配列である;配列番号76。
【図42】図42はNEW14タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号77。
【図43】図43はNEW15タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号78。
【図44】図44はNEW16タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号79。
【図45】図45はGBS BVH−71遺伝子のDNA配列である;配列番号80。
【図46】図46はGBS BVH−71タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号81。
【図47】図47はGAS BVH−71遺伝子のDNA配列である;配列番号82。
【図48】図48はGAS BVH−71タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号83。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0011】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0012】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
一側面によると、本発明は配列番号2、8、10、16、55、56、57、58、59、64、65、66、78またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
一側面によると、本発明は配列番号2、8、10、16、55、56、57、59、64、65、66、78またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
一側面によると、本発明は配列番号4、14、58、60、61、62、63、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
一側面によると、本発明は配列番号4、14、60、61、62、63、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0018】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
一側面によると、本発明は配列番号10、55〜75、77、78、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
一側面によると、本発明は配列番号55〜75、77、78、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0022】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、14、16またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
一側面によると、本発明は配列番号2の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0025】
一側面によると、本発明は配列番号4の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
一側面によると、本発明は配列番号10の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0027】
一側面によると、本発明は配列番号14の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0028】
一側面によると、本発明は配列番号16の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
一側面によると、本発明は配列番号58の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0030】
一側面によると、本発明は配列番号60の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0031】
一側面によると、本発明は配列番号62の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0032】
一側面によると、本発明は配列番号64の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0033】
一側面によると、本発明は配列番号67の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0034】
一側面によると、本発明は配列番号68の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0035】
一側面によると、本発明は配列番号69の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0036】
一側面によると、本発明は配列番号72の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0037】
一側面によると、本発明は配列番号74またはそのフラグメント、類似体または誘導体の配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0038】
一側面によると、本発明は配列番号77の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0039】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0040】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0041】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0042】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0043】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0044】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0045】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0046】
一側面によると、本発明は配列番号2またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0047】
一側面によると、本発明は配列番号4の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0048】
一側面によると、本発明は配列番号10またはそのフラグメント、類似体または誘導体の配列を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0049】
一側面によると、本発明は配列番号14の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0050】
一側面によると、本発明は配列番号16の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0051】
一側面によると、本発明は配列番号10、55〜75、77、78、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0052】
一側面によると、本発明は配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0053】
一側面によると、本発明は配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0054】
一側面によると、本発明は配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0055】
一側面によると、本発明は配列番号10、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0056】
一側面によると、本発明は配列番号58の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0057】
一側面によると、本発明は配列番号62またはそのフラグメント、類似体または誘導体の配列を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0058】
一側面によると、本発明は配列番号64の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0059】
一側面によると、本発明は配列番号67の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0060】
一側面によると、本発明は配列番号68の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0061】
一側面によると、本発明は配列番号74の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0062】
一側面によると、本発明は配列番号77の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0063】
さらなる態様において、本発明はまた本出願に記載の1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドに関する。
【0064】
さらなる態様において、本発明はまた本発明の図面に定義した1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドに関する。
【0065】
さらなる態様において、本発明はまた配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドに関する;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0066】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0067】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0068】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは配列番号10、62、64、67、68、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0069】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2ないし5個のポリペプチドを含んでなる。
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2ないし4個のポリペプチドを含んでなる。
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2ないし3個のポリペプチドを含んでなる。
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2個のポリペプチドを含んでなる。
【0070】
さらなる態様においては、式(I):
A−(B)m−(C)n−D (I)
ただし、
mは0または1である;
nは0または1である;
Aは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
で示されるキメラ・ポリペプチドが提供される。
【0071】
さらなる態様において、
Aは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される。
【0072】
さらなる態様において、
Aは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される。
【0073】
一態様において、本発明のキメラ・ポリペプチドは独立してまたは組み合わさって以下の態様が存在するものを含んでなる。
さらなる態様において、Aは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0074】
さらなる態様において、Aは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0075】
さらなる態様において、Bは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0076】
さらなる態様において、Cは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0077】
さらなる態様において、Dは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0078】
さらなる態様において、mは0である。
さらなる態様において、nは0である。
さらなる態様において、mおよびnは0である。
さらなる態様において、mおよびnは0であり、Aは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体であり、Bは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、mおよびnは0であり、Aは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体であり、Bは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0079】
本発明においては、ポリペプチドおよびキメラ・ポリペプチドをエンコードするヌクレオチドはすべて本発明の範囲内のものである。
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドまたはキメラ・ポリペプチドは抗原性である。
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドまたはキメラ・ポリペプチドは個体に免疫応答を誘発し得る。
さらなる態様において、本発明はまた上記定義の本発明ポリペプチドまたはキメラ・ポリペプチドに対し結合特異性を有する抗体を生成させ得るポリペプチドに関する。
【0080】
“結合特異性を有する”抗体とは、本来選択されたペプチドを含むサンプル、例えば、生体サンプル中の選択されたペプチドを認識し、それに結合するが、他の分子は実質的に認識せず、また結合しない抗体である。特異的な結合は選択されたペプチドを抗原として用いるELISAアッセイにより測定することができる。
【0081】
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて本発明の技術分野で当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に引用する刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべてその全文を参照により本明細書の一部とする。矛盾のある場合には、定義も含め、本明細書が優先する。さらに、材料、方法、例示などは単なる説明であって、制限しようとするものではない。
【0082】
本明細書にて使用する場合、本発明ポリペプチドの“フラグメント”、“誘導体”または“類似体”とは、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸残基(好ましく保存)により置換されており、かつ、天然であっても非天然であってもよいポリペプチドを包含する。一態様において、本発明ポリペプチドの誘導体および類似体は図面に示した配列またはそのフラグメントと約70%の同一性を有するものとする。すなわち、該残基の70%が同一である。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は80%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は85%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は90%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は95%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は99%を超える。さらなる態様において、本発明ポリペプチドの誘導体および類似体は約20個未満のアミノ酸残基の置換、修飾または欠失を有し、好ましくはその個数が10個未満である。好適な置換は技術上保存として周知のもの、すなわち、置換された残基が疎水性、サイズ、電荷または官能基などの理化学的性質を分け持つものである。
【0083】
本発明によると、本発明のポリペプチドはポリペプチドおよびキメラ・ポリペプチドの両方を包含する。
さらに包含されるポリペプチドは、該ポリペプチドの生物学的または薬理学的性質を変える他の化合物が融合しているもの、すなわち、半減期を増大させるポリエチレングリコール(PEG)、精製をし易くするリーダーまたは分泌アミノ酸配列、プレプロ−およびプロ−配列、および(多)糖類の融合したものである。
【0084】
さらに、アミノ酸領域が多型性であることが判明している場合には、異なる連鎖球菌株の異なるエピトープをより有効に模倣するために、1個以上の特定アミノ酸を変更することが望ましい。
【0085】
さらに、本発明のポリペプチドは末端−NH2アシル化(例えば、アセチル化、またはチオグリコール酸のアミド化、末端カルボキシのアミド化、例えば、アンモニアまたはメチルアミンによるアミド化)により修飾して、安定性を備わせ、支持体または他の分子に連結または結合する疎水性を増大させることができる。
【0086】
さらに期待されるのは、該ポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体のヘテロおよびホモ・ポリペプチド・マルチマーである。これらのポリマー形状は、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒドまたはジメチル−スーパーイミデートなどの架橋剤で架橋した1個以上のポリペプチドを包含する。かかるポリマー形状はまた組換えDNA技法により生成させたマルチシストロンmRNAから生じた2個以上の縦列または逆方向の隣接配列を含むポリペプチドを包含する。好ましくは、本発明ポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体は少なくとも1個の抗原性領域、すなわち、少なくとも1個のエピトープを含んでなる。
【0087】
抗原性ポリマー(すなわち、合成マルチマー)の形成を達成するために、ビスハロアセチル基、ハロゲン化ニトロアリールなどを有するポリペプチドを利用してもよく、その場合、該試薬はチオ基に特異的である。従って、異なるペプチドの2個のメルカプト基間の連結は単結合であってもよいし、あるいは少なくとも2個の炭素原子、一般には少なくとも4個であるが16個以下であり、通常約14個以下の炭素原子の連結基から構成されていてもよい。
【0088】
特定の態様において、本発明ポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体はメチオニン(Met)の開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドはリーダーまたは分泌配列(シグナル配列)を含んでいない。本発明ポリペプチドのシグナル部分は確立された分子生物学技法に従い決定することができる。一般に、対象となるポリペプチドは連鎖球菌培養物から単離し、次いで配列決定して成熟タンパク質の開始残基、従って成熟ポリペプチドの配列を決めてもよい。
【0089】
他の側面によると、1種またはそれ以上の本発明連鎖球菌ポリペプチドを含んでなり、医薬的に許容し得る担体、賦形剤またはアジュバントと混合したワクチン組成物が提供される。適切なアジュバントは油、すなわち、フロインド完全または不完全アジュバント;塩類、すなわち、AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、シリカ、カオリン、炭素ポリヌクレオチド、すなわち、ポリICおよびポリAUなどを包含する。好適なアジュバントはQuilAまたはAlヒドロゲルを包含する。本発明のワクチンは注射、迅速注入、鼻咽頭吸収、皮膚吸収により非経口投与するか、または口腔もしくは経口により投与することができる。医薬的に許容し得る担体としては破傷風トキソイドも包含する。
【0090】
本発明のワクチン組成物は以下に記載の連鎖球菌感染症および/または連鎖球菌感染が介在する疾患および症状の治療または予防に使用する(P.R. Murray (Ed. in chief), E.J. Baron, M.A. Pfaller, F.C. Tenover and R.H. Yolken, Manual of Clinical Microbiology, ASM press, Washington D.C., sixth edition, 1995, 1482p; 出典明示により本明細書の一部とする)。一態様において、本発明のワクチン組成物は髄膜炎、中耳炎、菌血症または肺炎の治療または予防に使用される。一態様において、本発明のワクチン組成物は連鎖球菌感染症および/または連鎖球菌感染、特に、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)、A群連鎖球菌(化膿菌、pyogenes)、B群連鎖球菌(GBSまたはアガラクチエ、agalactiae)、ディスガラクチエ(dysgalactiae)、ユベリス(uberis)、ノカルディア(nocardia)、並びにスタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)が介在する疾患および症状の治療または予防に使用する。さらなる態様において、連鎖球菌感染症は肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)の感染である。
【0091】
特定の態様において、ワクチンは乳児、初老の免疫無防備状態個体など、連鎖球菌感染の危険性のある個体に投与する。
本出願にて使用する場合、“個体”という用語は哺乳動物を包含する。さらなる態様において、哺乳動物はヒトである。
【0092】
ワクチン組成物は、好ましくは、約0.01〜100μg/kg(抗原/体重)の投与単位形状、より好ましくは0.01〜10μg/kg、最も好ましくは0.1〜1μg/kgの形状で、約1週間ないし6週間の免疫間隔で1〜3回投与する。
【0093】
他の側面によると、配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0094】
一態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、5、7、9、11、12、13、15、76、80、82に示したポリヌクレオチドである。図面に示したポリヌクレオチド配列は縮重コドンにより変化していてもよいが、それでもなお本発明のポリペプチドをエンコードしていることが認められよう。従って、本発明はさらに配列間で50%の同一性を有する上記のポリヌクレオチド配列(またはその相補配列)にハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。一態様において、配列間の同一性は少なくとも70%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも75%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも80%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも85%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも90%である。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは緊縮条件下、すなわち、少なくとも95%の同一性をもつ条件下でハイブリダイズし得る。さらなる態様において、同一性は97%を超える。
【0095】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号1、3、7、9、11、12、13、15、76、80、82に示したポリヌクレオチドである。
【0096】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、9、11、12、13、15、76、80、82に示したポリヌクレオチドである。
【0097】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、9、11、12、13、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0098】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、7、9、11、12、13、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0099】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、7、9、11、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0100】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、9、11、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0101】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、7、9、11に示したポリヌクレオチドである。
【0102】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号1に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号7に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号9に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号11に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号15に示したポリヌクレオチドである。
【0103】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号3、12、13、76に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号3に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号12に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号13に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号76に示したポリヌクレオチドである。
【0104】
当業者が容易に認識するように、ポリヌクレオチドはDNAおよびRNA両方を包含する。
本発明はまた本出願に記載したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドをも包含する。
【0105】
さらなる側面において、本発明のポリペプチド、またはフラグメント、類似体または誘導体をエンコードするポリヌクレオチドはDNA免疫化法に使用し得る。すなわち、該ポリヌクレオチドは、注射により複製発現可能であり、その結果生体内で抗原性ポリペプチドを生じるベクター内に取込み得るものである。例えば、ポリペプチドは真核細胞内で機能的なCMVプロモーターの制御下にプラスミドベクターに取込み得る。好ましくは、該ベクターは筋肉内に注射する。
【0106】
他の側面によると、組換え技法により、宿主細胞において当該ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを発現させ、発現したポリペプチド産物を回収することによる本発明ポリペプチドの製造法が提供される。別法として、該ポリペプチドは確立された合成化学技法に従い、すなわち、オリゴペプチドを液相または固相合成し、それを結合して完全なポリペプチドを製造することができる(ブロック連結反応)。
【0107】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの入手および評価の一般的方法は以下の文献に記載されている:Sambrook et al., 分子クローニング:実験室マニュアル、第2版、Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;分子生物学における最新プロトコール、編者:Ausubel F.M. et al., John Wiley and Sons, Inc. New York;PCRクローニング・プロトコール、分子クローニングから遺伝子工学まで、編者:White B.A., Humana Press, Totowa, New Jersey, 1997, 490 pages; タンパク質精製、原理と実際、Scopes R.K., Springer-Verlag, New York, 3rd Edition, 1993, 380 pages; 免疫学における最新プロトコール、Edited by Coligan J.E. et al., John Wiley & Sons Inc., New York; これらは出典明示により本明細書の一部とする。
【0108】
組換え生産のために、該ポリペプチドをエンコードするベクターを宿主細胞に移入し、次いで、プロモーター活性化、形質転換体選択または遺伝子増幅に適するように改変した栄養培地中で培養する。
【0109】
適切なベクターは選択した宿主中で生存複製可能なベクターであり、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えば、バクテリアプラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAを組合わせて誘導したベクターなどを包含する。ポリペプチド配列はベクターの適切な部位に取込むことができるが、その際には制限酵素を使用し、プロモーター、リボソーム結合部位(コンセンサス領域またはシャイン・ダルガルノ配列)、および必要によりオペレーター(制御要素)を含んでなる発現制御領域に操作可能に結合するようにする。発現制御領域の個々の要素は所定の宿主とベクターに適したものを確立された分子生物学の原理に従って選択することができる(Sambrook et al., 分子クローニング:実験室マニュアル、第2版、Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;分子生物学における最新プロトコール、編者:Ausubel F.M. et al., John Wiley and Sons, Inc. New York;出典明示により本明細書の一部とする)。適切なプロモーターはLTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lac、tacまたはtrpプロモーターおよびファージ・ラムダPLプロモーターなどであるが、これらに限定されるものではない。ベクターは、好ましくは複製開始点並びに選択マーカー、すなわち、アンピシリン耐性遺伝子を組入れている。適切なバクテリアベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE−9、pbs、pD10ファージスクリプト、psiX174、ブルースクリプトSK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5および真核ベクターpブルーバックIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLなどである。宿主細胞は細菌性のもの、すなわち、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces);真菌性のもの、すなわち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニズリンス(Aspergillus nidulins);酵母、すなわち、サッカロミセス(Saccharomyces);または真核性、すなわち、CHO、COSであってもよい。
【0110】
培養物中でのポリペプチドの発現にもとづき、細胞は一般に遠心分離により収穫し、次いで物理的または化学的手段(もし発現されたポリペプチドが培地に分泌されなければ)により破砕し、得られる粗製の抽出物を保持し、対象のポリペプチドを単離する。培地または溶菌液からポリペプチドを精製するには、ポリペプチドの性質に従って確立された技法により、すなわち、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーなどを使用する。最終の精製はHPLCにより達成し得る。
【0111】
該ポリペプチドはリーダー配列または分泌配列を付けて、または付けずに発現することができる。前者の場合、リーダーは翻訳後プロセシングにより除去してもよい(参照:US4,431,739;US4,425,437;およびUS4,338,397;出典明示により本明細書の一部とする)し、または発現されたポリペプチドを精製した後に化学的に除去してもよい。
【0112】
さらなる側面によると、本発明の連鎖球菌ポリペプチドは連鎖球菌感染症、特に肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)感染の診断テストに使用することができる。例えば、生物サンプル中の連鎖球菌菌体の検出など数種の診断方法が可能であるが、以下の手法により実施する:
a)患者から生物サンプルを入手すること;
b)本発明の連鎖球菌ポリペプチドと反応し得る抗体またはそのフラグメントを該生物サンプルとインキュベートし、混合物を形成すること;そして
c)連鎖球菌の存在を示す特異的に結合した混合物中の抗体またはフラグメントを検出すること。
【0113】
別法として、連鎖球菌抗原に特異的な抗体を含むかまたは含む疑いのある生物サンプルについての当該抗体の検出は以下のように実施することができる:
a)患者から生物サンプルを入手すること;
b)1種以上の本発明連鎖球菌ポリペプチドまたはそのフラグメントを該生物サンプルとインキュベートし、混合物を形成すること;そして
c)連鎖球菌に特異的な抗体の存在を示す特異的に結合した混合物中の抗原またはフラグメントを検出すること。
【0114】
この診断テスト法は幾つかの形態を取ることが可能であり、その方法は免疫学的テスト法、例えば、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイまたはラテックス凝集アッセイなどであって、該タンパク質に特異的な抗体が生体中に存在するかどうかを測定する実質的な方法であることは当業者の認めるところである。
【0115】
本発明のポリペプチドをエンコードするDNA配列は、連鎖球菌を含むと疑われる生物サンプルについて、かかるバクテリアの存在を検出する際に使用するDNAプローブの設計にも使用することができる。本発明の検出方法は以下の工程を含んでなる:
a)患者から生物サンプルを入手すること;
b)本発明ポリペプチドまたはそのフラグメントをエンコードするDNA配列をもつ1種以上のDNAプローブを該生物サンプルとインキュベートし、混合物を形成すること;そして
c)連鎖球菌の存在を示す特異的に結合した混合物中のDNAプローブを検出すること。
【0116】
本発明のDNAプローブは、連鎖球菌感染を診断する方法として、サンプル中の循環系連鎖球菌、すなわち、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)核酸を、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用い検出するためにも使用することができる。該プローブは常套の技法を用いて合成して、固相に固定化してもよいし、あるいは検出可能なラベルで標識してもよい。これに適用するための好適なDNAプローブは本発明肺炎連鎖球菌の少なくとも約6個の連接したヌクレオチドに相補的な配列をもつオリゴマーである。
【0117】
患者の連鎖球菌を検出するもう一つの診断方法は以下の工程を含んでなる:
a)本発明のポリペプチドと反応し得る抗体またはそのフラグメントを検出可能なラベルで標識すること;
b)標識した抗体または標識したフラグメントを該患者に投与すること;および
c)連鎖球菌の存在を示す特異的に結合した患者における標識抗体または標識フラグメントを検出すること。
【0118】
本発明のさらなる側面は、連鎖球菌感染の診断用および、特に治療用の特異抗体を産生するために免疫原として本発明の連鎖球菌ポリペプチドを使用することである。適切な抗体は適当なスクリーニング法を用い、例えば、テストモデルにおいて連鎖球菌に対し受動的に防御する特定抗体の能力を測定することにより決定することができる。動物モデルの一例としては、本明細書の実施例に記載したマウスのモデルである。該抗体は全抗体であっても、その抗原結合フラグメントであってもよく、また免疫グロブリンのどの分類のものでもよい。該抗体またはフラグメントは動物起源、特に、哺乳動物起源のもの、より具体的にはマウス、ラットまたはヒト起源のものである。それは天然の抗体またはそのフラグメントであり、あるいは要すれば、組換え抗体または抗体フラグメントであってもよい。組換え抗体または抗体フラグメントという用語は、それらの抗体または抗体フラグメントが分子生物学の技法により製造されたものであることを意味する。該抗体または抗体フラグメントはポリクローナルであるか、または好ましくはモノクローナルである。それは肺炎連鎖球菌ポリペプチドと関連する多くのエピトープに特異的であってもよいが、好ましくは1個のエピトープに対して特異的である。
【0119】
本発明の範囲を制限するものではないが、本発明はまたBVH−3、BVH−11、BVH−11−2、BVH−28およびBVH−71と命名した新規の抗原にも関する。本発明はまたBVH−3、BVH−11、BVH−11−2、BVH−28およびBVH−71と命名した新規の抗原のフラグメントを含んでなる切断型ポリペプチドにも関する。本発明はまたBVH−3、BVH−11、BVH−11−2、BVH−28およびBVH−71と命名した新規の抗原のフラグメントを含んでなるキメラ・ポリペプチドにも関する。下記の参照表は本発明抗原間の関係を要約した表である。
【表1】
【表2】
【実施例】
【0120】
実施例1
本実施例では肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子のクローニングについて説明する。
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子BVH−3(配列番号1)のコーディング領域および肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子BVH−28(配列番号5)のコーディング領域は、血清型6肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株SP64のゲノムDNAから、制限部位BglII(AGATCT)およびXbaI(TCTAGA)の付加用塩基エクステンションを含むオリゴ体を用い、PCR(DNAサーマル・サイクラー・ジーンアンプPCRシステム2400、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、サンホセ(San Jose)、CA)により増幅した。PCR産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製し、BglII−XbaI(ファルマシア(Pharmacia)カナダ・インク、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)で消化し、フェノール/クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させた。スーパーリンカーベクターpSL301(インビトロゲン(Invitrogen)、サンジエゴ、CA)をBglIIとXbaIで消化し、キアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。BglII−XbaIゲノムDNAフラグメントをBglII−XbaI pSL301ベクターに連結した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、D.M. Glover (ed), pp. 109-134)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。BVH−3またはBVH−28のいずれかの遺伝子を含む組換えpSL301プラスミド(rpSL301)をキアゲン(QIAgen)キット(チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製し、DNA挿入片はヌクレオチド配列分析(タック・ダイ・デオキシ・ターミネーター・サイクル配列決定キット、ABI、フォスター・シティ、CA)により確認した。組換えrpSL301(rpSL301)を制限酵素BglII(AGATCT)およびXhoI(CTCGAG)により消化した。DNAフラグメントBglII−XhoIはキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて精製した。チオレドキシン−Hisタグ配列を含むpET−32c(+)発現ベクター(ノバゲン(Novagen)、マジソン、WI)をBamHI(GGATCC)およびXhoIで消化し、ゲルはキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて抽出した。BglII−XhoIDNAフラグメントをBamHI−XhoIpET−32c(+)ベクターに連結してチオレドキシン−Hisタグ−BVH−3またはチオレドキシン−Hisタグ−BVH−28融合タンパク質用のコーディング配列を創製した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、1985、D.M. Glover (ed), pp. 109-135)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。組換えpET−32c(+)プラスミドはキアゲン(QIAgen)キット(チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製し、チオレドキシン−HisタグとDNA挿入片の融合部位でのヌクレオチド配列はDNA配列決定法(タック・ダイ・デオキシ・ターミネーター・サイクル配列決定キット、ABI、フォスター・シティ、CA)により証明した。
【0121】
実施例2
本実施例ではCMVプラスミドpCMV−GHにおける肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質遺伝子のクローニングについて説明する。
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質のDNAコーディング領域をヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流位相に挿入した;該hGH遺伝子はプラスミドベクターpCMV−GHのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの転写制御下にあった(Tang et al., Nature, 1992, 356: 152)。CMVプロモーターは大腸菌細胞内では機能しないプラスミドとするが、真核細胞内プラスミドの管轄下では活性である。該ベクターはアンピシリン耐性遺伝子をも併合していた。
【0122】
BVH−3遺伝子(配列番号1)とBVH−28遺伝子(配列番号5)のコーディング領域は、制限酵素BglII(AGATCT)およびXbaI(TCTAGA)を用いてrpSL301(実施例1参照)から得た。消化産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。融合タンパク質を創製するために、ヒト成長ホルモンを含むpCMV−GHベクター(テキサス大学(ダラス、テキサス)生化学部門、ジョンストン(Dr. Stephen A. Johnston)研究室)をBglIIおよびXbaIで消化し、キアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。BglII−XbaI DNAフラグメントをBglII−XbaI pCMV−GHベクターに連結し、CMVプロモーターの制御下にhGH−BVH−3またはhGH−BVH−28融合タンパク質を創製した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、1985、D.M. Glover (ed), pp. 109-135)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。組換えpCMVプラスミドはキアゲン(QIAgen)キット(キアゲン、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製した。
【0123】
BVH−11遺伝子(配列番号3)のコーディング領域は、血清型6肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株SP64のゲノムDNAから、制限部位BglII(AGATCT)およびHindIII(AAGCTT)の付加用塩基エクステンションを含むオリゴ体を用い、PCR(DNAサーマル・サイクラー・ジーンアンプPCRシステム2400、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、サンホセ(San Jose)、CA)により増幅した。PCR産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製し、制限酵素(ファルマシア(Pharmacia)カナダ・インク、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)で消化し、フェノール/クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させた。該pCMV−GHベクター(テキサス大学(ダラス、テキサス)生化学部門、ジョンストン(Dr. Stephen A. Johnston)研究室)をBglIIおよびHindIIIで消化し、キアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。BglII−HindIII DNAフラグメントをBglII−HindIII pCMV−GHベクターに連結し、CMVプロモーターの制御下にhGH−BVH−11融合タンパク質を創製した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、1985、D.M. Glover (ed), pp. 109-135)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。組換えpCMVプラスミドはキアゲン(QIAgen)キット(キアゲン、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製し、DNA挿入片のヌクレオチド配列はDNA配列決定法により証明した。
【0124】
実施例3
本実施例では肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)抗原に対する免疫応答を引出すためにDNAを使用することについて説明する。
メスBALB/cマウス(チャールズ・リバー(Charles River)、セントコンスタント(St-Constant)、ケベック、カナダ)8匹を1群とし、BVH−3、BVH−11またはBVH−28遺伝子を含む組換えpCMV−GH100μgにより、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)発現プラスミドpCMV−GH−GM−CSF(テキサス大学(ダラス、テキサス)生化学部門、ジョンストン(Dr. Stephen A. Johnston)研究室)50μgの存在下、2−ないし3−週間間隔で50μlを3回筋肉注射し、免疫した。対照として、一群のマウスにはpCMV−GH−GM−CSF50μgの存在下、pCMV−GHを100μg注射した。血液サンプルは各免疫化に先立ち、また3回目の注射7日後に眼窩から採取し、血清抗体応答はコーティング抗原としてチオレドキシン−His・Tag−肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)融合タンパク質を用い、ELISAにより測定した。BVH−3、BVH−11またはBVH−28肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質をエンコードする組換えプラスミドpCMV−GHによるDNA免疫化は、それぞれの組換えタンパク質に対し反応する抗体を誘発した。吸光度値がバックグランド値の0.1以上であった最大血清希釈と定義される相互の抗体価は、4×103以上であった。
【0125】
実施例4
本実施例では組換え肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質の産生と精製につき説明する。
配列番号1、配列番号3または配列番号5に相当するBVH−3、BVH−11またはBVH−28遺伝子を含む組換えpETプラスミドをエレクトロポレーション(ジーン・パルサーII装置、バイオ−ラッド(BIO−RAD)ラボ、ミッシソウガ(Mississauga)、カナダ)により大腸菌株AD494(DE3)(Dara−leu7697 DlacX74 DphoA PvuII phoR DmalF3 F'[lac+(lacIq)pro]trxB::Kan)(ノバゲン(Novagen)、マジソン、WI)に形質転換した。本大腸菌株では、融合タンパク質の発現を制御するT7プロモーターがT7RNAポリメラーゼ(1DE3プロファージ上に存在)により特異的に認識されるが、該ポリメラーゼの遺伝子はイソプロピル−β−d−チオ−ガラクトピラノシド(IPTG)により誘導し得るlacプロモーターの制御下にある。形質転換体AD494(DE3)/rpETは、1ml当たりアンピシリン(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)カナダ株式会社、オークビル(Oakville)、カナダ)100μgを含むLBブロス(ペプトン10g/L、酵母エキス5g/L、NaCl10g/L)中で、A600が0.6の値に達するまで、250rpmの攪拌下に37℃で増殖させた。チオレドキシン−His・Tag−BVH−3、チオレドキシン−His・Tag−BVH−11またはチオレドキシン−His・Tag−BVH−28融合タンパク質の産生を誘導するために、最終濃度1mMのIPTGの存在下にさらに2時間培養した。培養物100mlから誘導された細胞は遠心によりペレットとし、−70℃で凍結した。
【0126】
IPTG誘導AD494(DE3)/rpETの可溶性細胞質フラクションから融合タンパク質を精製するには、His結合金属キレート化樹脂に固定化した二価カチオン(Ni2+)に結合するHis・Tag配列(6個の連続的ヒスチジン残基)の性質に基づくアフィニティ・クロマトグラフィーにより実施した。簡単に説明すると、IPTGにより誘導した培養物100mLから得たペレット状細胞を、リン酸バッファー500mM−NaCl溶液(PBS)(pH7.1)に再懸濁し、超音波処理、20,000×gで20分間遠心して破片を除去した。上清を濾取し(0.22μm孔径の膜)、ハイトラップ(HiTrap; 登録商標)1mLのキレート化プレパック常用カラム(ファルマシアバイオテック(Pharmacia Biotech)、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)に載せた。チオレドキシン−His・Tag−肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)融合タンパク質は1Mイミダゾール/500mM−NaCl−PBS(pH7.1)により溶出した。サンプルから塩とイミダゾールを除去するために4℃でPBSに対し透析した。大腸菌の可溶性フラクションから得られた融合タンパク質量はマイクロBCA(ピアース(Pierce)、ロックフォード、イリノイ)により評価した。
【0127】
実施例5
本実施例では免疫化による致死性連鎖球菌感染症に対するマウスの防御について説明する。
メスBALB/cマウス(チャールス・リバー)8匹の群につき、キルA(QuilA)アジュバント(セダーレーン(Cedarlane)ラボラトリー株式会社、ホーンバイ、カナダ)15μgの存在下にアフィニティ精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3融合タンパク質により、または対照としてPBS中キルA(QuilA)アジュバントのみにより、3週間間隔で3回皮下注射免疫した。血液サンプルは各免疫化に先立ち1日目、22日目および43日目、また3回目の注射7日後(50日目)に眼窩洞から採取した。1週間後、マウスに3型肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株WU2約106CFUをチャレンジした。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)植菌サンプルをチョコレート寒天平板上に塗付し、CFUを決定し、チャレンジ用量を確認した。チャレンジ後14日間と14日目に死亡例を記録し、生存マウスは犠牲にして、その血液サンプルは肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)菌体の存在について試験した。生存データを表1に示す。
【0128】
チャレンジ前の血清は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)と反応する抗体が存在するか否かについて標準的免疫検定法により分析した。ELISAおよび免疫ブロットでは、大腸菌により調製した組換え肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質での免疫化が、組換えおよび本来の連鎖球菌タンパク質両方と反応する抗体を誘導することを示した。
表1:組換えBVH−3タンパク質が介在する防御
【表3】
【0129】
BVH−3組換えタンパク質で免疫したマウスはすべて感染に対しても生存したが、アジュバントのみを投与した対照マウスに生存したものはなかった。マウス両群間の生存には有意差があった(P<0.0001、生存曲線の非パラメトリック分析用のログ・タンク検定;P=0.0002、フイッシャーの完全検定)。生存マウスからの血液培養はチャレンジ後14日目に陰性であった。
【0130】
実施例6
本実施例では、多様な肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株からのBVH−3およびBVH−11遺伝子のクローニング、およびこれら遺伝子の分子保存性について記載する。
BVH−3またはBVH−11の異なる領域に及ぶDNAプローブにより、種々の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)単離体からの染色体DNAを分析した結果、BVH−3遺伝子のコピーが1種とBVH−11遺伝子のコピーが2種存在することが明らかになった。BVH−11遺伝子のコピー2種は一致せず、これらの遺伝子を任意にBVH−11(配列番号12;ヌクレオチド45〜2567にORF)およびBVH−11−2(配列番号13;ヌクレオチド114〜2630にORF)と命名した。
【0131】
BVH−3およびBVH−11のコーディング領域最初のアミノ酸は、シグナルペプチドとしても知られるリーダー配列の特性を有する。リポタンパク質改変/プロセッシング部位の共通シグナルペプチダーゼ開裂部位L−X−X−Cが配列内に存在した。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64からの成熟BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2タンパク質は、それぞれ1019個、821個および819個のアミノ酸を有する。成熟BVH−3、命名したBVH−3M(ヌクレオチド1837〜4896;配列番号11)、BVH−11M(ヌクレオチド102〜2567;配列番号12)、およびBVH−11−2M(ヌクレオチド171〜2630;配列番号13)をコードする肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子の領域は、6種または7種の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株ゲノムDNAからPCR(DNAサーマル・サイクラー・ジーンアンプPCRシステム2400、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、サンホセ(San Jose)、CA)により増幅した。血清型6の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64および血清型9のSP63臨床分離株はケベック州立衛生研究所(セントアンデベレブ(Sainte-Anne-de-Bellevue))より提供された;血清型4株JNR.7/87はアンドリュー・カミリー(Andrew Camilli)(タフト大学、医学部、ボストン)より提供された;Rx1株、2型株D39の非莢膜化誘導体、および3型株A66とWU2はブリルズ(David E. Briles)(アラバマ大学、バーミンガム)より提供された;また、3型臨床分離株P4241はラヴァル(Laval)大学施療センター、伝染病学センター(セントホイ(Sainte-Foy))より提供された。
【0132】
制限部位付加のための塩基エクステンションを含むオリゴヌクレオチド・プライマー・セット、OCRR479−OCRR480、HAMJ160−OCRR488およびHAMJ160−HAMJ186は、それぞれBVH−3、BVH−11およびBVH−11−2遺伝子の増幅に用いたが、例外として、SP64株からのBVH−11遺伝子ではHAMJ487およびOCRR488からなるプライマー・セットを用いた。プライマー配列は下記に掲載する(表2)。PCR産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製し、BglII−XbaIまたはBglII−HindIII(ファルマシア(Pharmacia)カナダ・インク、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)で消化した。消化物はキアクイック(QIAquick)PCR精製キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて精製した。PCR産物はBglII−XbaIまたはBglII−HindIII pSL301ベクターに結合した。結合産物はシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、D.M. Glover (ed), pp. 109-134)に従い、大腸菌株DH5α[Ф80 lacZ ΔM15 endA1 recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−1λ− gyrA96 relA1 Δ(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。
【0133】
BVH−3、BVH−11またはBVH−11−2を含む組換えpSL301プラスミド(rpSL301)はキアゲン(QIAgen)キット(チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて精製し、DNA挿入断片の配列決定を実施した(タック・ダイ・デオキシ・ターミネーター・サイクル配列決定キット、ABI、フォスター・シティ、CA)。図11および12は、それぞれBVH−3から確立した共通配列と、BVH−11の推定アミノ酸配列を描出する。BVH−3タンパク質配列を比較すると、すべての株について配列の同一性が99〜100%であることが明らかとなるが、例外として、血清型9のSP63株からのBVH−3(配列番号15および配列番号16)は肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64のBVH−3’タンパク質配列上残基244〜420に相当する177個のアミノ酸を欠失している。さらなる血清型9株の配列を分析すると、BVH−3分子は4株の内3株が同じ欠失を有し、この3株が肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)血清型9クローンのメンバーであることを示唆している。
【0134】
7種の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)から得た13種のBVH−11ヌクレオチド配列を比較すると、これらヌクレオチド配列が非常によく似ていることが判明した。予測されたBVH−11タンパク質配列を重ねて整列させ、コンピューター分析(マックベクター(MacVector)、クラスタル(Clustal)W1.4)するとこれらの配列は834個のアミノ酸鎖上、75%が同一であり、82%が相同性であると判明した。対ごとに整列すると、80〜100%一致することが判明した(図13)。これらの配列は体制全体で非常によく似ていることを示した。これらタンパク質の一次配列における可変性は、該タンパク質のC−末端部分の最終125アミノ酸に殆ど限定される。この領域が一つのドメインを構成する。このドメインを精査すると、配列が2群になることが判明した。図13から最初の9種の配列が一つの群に属し、最後の4種の配列がもう一方の群に属する。この13種のタンパク質のドメイン配列を比較すると、39%の同一性値が得られる(マックベクター(MacVector)、クラスタル(Clustal)W1.4)。同一群に属する配列を比較すると、同一性値は92%を超えて増大した。
【0135】
実施例7
本実施例は、BVH−3およびBVH−11遺伝子の部分の相同性を示す。
BVH−3およびBVH−11遺伝子に由来するDNAプローブによる分子分析は、BVH−3およびBVH−11に関連があることを指摘した。ドットブロットハイブリダイゼーション試験において、BHV−3またはBVH−11遺伝子配列のいずれかからなるDNAプローブが、BVH−3およびBVH−11遺伝子の両方にハイブリダイズし、故に、このことは、BVH−3およびBVH−11遺伝子が、相同配列を持つことを指摘している。配列の比較によって、該ORFおよびタンパク質は、それぞれ43および33%の同一性を有することが明らかとなった。より詳しい試験によって、BVH−3におけるアミノ酸1ないし225におよびBVH−11における1ないし228に対応する領域は、DNAおよびタンパク質レベルで、それぞれ73および75%の同一性を有することが明らかとなった。これに対し、BVH−3からのアミノ酸226ないし1039およびBVH−11からのアミノ酸229ないし840に対応する3’領域は、DNAおよびタンパク質レベルで、それぞれ34および22%の同一性しかなかった。そしてBVH−3およびBVH−11遺伝子の5’末端は、高度に保存された配列を含むようであり、一方、該遺伝子の残りの部分は、高度に分岐していた。これらの結果は、BHV−3およびBVH−11が、保存領域に存在する配列によって仲介される類似の機能を有しており、一方、BVH−3およびBVH−11特異的機能が、分岐領域における配列によって媒介されているようであることを示唆している。
【0136】
実施例8
本実施例は、切断BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2遺伝子の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるクローニング、および切断BVH−3およびBVH−11分子の発現を記載する。
遺伝子フラグメントを、改変されたオリゴヌクレオチドの組を使用してPCRによって増幅し、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP64からのBVH−3(配列番号1および配列番号11)、BVH−11(配列番号3および配列番号12)またはBVH−11−2(配列番号13)遺伝子に渡るフラグメントを増幅した。各プライマーは、5’末端に制限エンドヌクレアーゼ部位を有し、それによって消化されたプラスミドベクターへの増幅産物の、方向性のインフレームのクローニングが可能となった(表2および3)。PCR増幅産物を制限エンドヌクレアーゼによって消化し、pSL301(実施例1参照)、pCMV−GH(実施例2参照)またはpET(Novagen, Madison, WI)発現ベクターのいずれかの線形化されたプラスミド(同様に消化され、または矛盾しない粘着末端を生じる酵素で消化された)にライゲートした。組み換えpSL301および組み換えpCMV−GHプラスミドを、pET発現ベクターにおけるインフレームのクローニングのために、制限酵素で消化した。クローンを、切断BVH−3またはBVH−11分子の発現のために、E. coli BL21(λDE3)またはAD494(λDE3)へ導入する前に、最初に、E. coli DH5αにおいて安定化した。
【0137】
得られた各プラスミド構築物を、ヌクレオチド配列分析によって確認した。組換えタンパク質を、チオレドキシンおよびHis・TagとのN末端融合として、またはHisタグとのC末端融合として発現させた。発現された組み換えタンパク質を、His結合金属キレート化樹脂(QIAgen, Chatsworth, CA)を使用して、超音波処理したIPTG誘導E. coli培養物の遠心分離から得られた上精分画から精製した。生じた遺伝子産物を、表3に列挙する。シグナル配列を含むN末端領域に対応する遺伝子産物を、Lipidatedタンパク質またはリポタンパク質(L−タンパク質)と命名する。シグナル配列を欠いたN末端領域に対応する遺伝子産物を、シグナル配列を欠いたタンパク質として同定する(w/o ss)。
【0138】
【表4】
【表5】
【表6】
【0139】
【表7】
【表8】
【0140】
実施例9
本実施例は、モノクローナル抗体(Mabs)の単離およびBVH−3、BVH−11およびBVH−11−2タンパク質エピトープを特徴付けるMabsの使用を記載する。
メスのBALB/cマウス(Charles River)を、15μgのQuilアジュバント(Cedarlane Lanboratories Ltd, Hornby, Canada)の存在下、肺炎連鎖球菌(肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)) 株 SP64からの、BVH−3、BVH−11またはBVH−11−2遺伝子産物によって皮下に免疫化した。1セットのマウス(融合実験1)を第1日および第14日に25μgのアフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3M融合タンパク質で免疫化した。マウスの第二の群(融合実験2)を、25μgのアフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−11Mで3週間間隔で3回免疫化した。マウスの第3の群(融合実験3)を、25μgのアフィニティー精製チオレドキシンHis・Tag−BVH−11−2M融合タンパク質で第1日および第15日に免疫化した。
【0141】
マウスの第4の群(融合実験4)を、25μgのアフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−11−B融合タンパク質で第1日に免疫化し、第16日におよび第37日にPBS中の組み換えBVH−11Bで静脈内注射によって追加免疫化した。融合の3ないし4日前に、マウスを、25μgの、PBS単独中に懸濁されたそれぞれの抗原で静脈内に注射した。ハイブリドーマを、先にJ. Hamel et al. [J. Med. Microbiol., 23, pp163-170(1987)]によって記載されたように、非分泌性SP2/0ミエローマ細胞と脾臓細胞の融合によって生成した。ハイブリドーマの培養物上清を、まず、精製組換えタンパク質または熱で殺した肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)細胞の懸濁の製剤でコートしたプレートを使用して、Hamel et al.(前掲)によって記載の方法に従い酵素結合イムノアッセイによってスクリーニングした。次に、抗原の変化によるELISA反応に基づき選択された陽性のハイブリドーマを、限界希釈法によってクローニングし、増幅し(expand)、凍結した。
【0142】
ハイブリドーマを、Mabsによって認識されるエピトープを特徴付けるために、BVH−3およびBVH−11遺伝子産物に対する、ELISAまたはウェスタンイムノブロッティングによって試験した。BVH−3およびBVH−11は、6つのMabs(H3−1−F9、H3−1−D4、H3−1−H12、H11−1−E7、H11−1−H10およびH11−1.1−G11)との共通のエピトープを有し、両方のタンパク質と反応性を示した(表4)。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) SP64からのBVH−11およびBVH−11−2分子は、BVH−11およびBVH−11−2の組換えタンパク質の両方と反応性の、BVH−3には存在しない、Mabs(3A1、13C11、10H10、1D8、10G9、10A2、3E8、10D7、2H7および6H7)との共通のエピトープを有する(表5)。
【0143】
【表9】
【0144】
【表10】
【0145】
Mabsの免疫反応性試験から得られた結果(表4および表5)は、それぞれの遺伝子配列から演繹されたタンパク質配列と一致する。実際、BVH−3およびBVH−11分子と交差反応性のMabsは、保存領域に対応するBVH−3Cタンパク質を認識し、BVH−11およびBVH−11−2特異的Mabsは、これらの分子の様々な部分に位置するエピトープと反応性であった。BVH−3およびBVH−11、並びにBVH−11およびBVH−11−2を、Mabsとの反応性によって区別できる。
【0146】
実施例10
本実施例は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)によるBVH−3およびBVH−11遺伝子産物の同時発現を示す。
標準的ウェスタンブロット法を、BVH−3およびBVH−11遺伝子のどちらが肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)において発現されたか調査するために使用した。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP64およびSP63を、チョコレートアガープレート上で、終夜37℃で5%のCO2中で成長させ、バクテリアをPBS中に懸濁し、56℃20分で熱で殺した。抗体の調製のために、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)の懸濁を、SDSおよび2−メルカプトエタノールを含む試料バッファーで、100℃で5分間処理した。肺炎球菌性タンパク質抗体を、Laemmli[Nature, 227, pp. 680-685(1970)]の方法に従って、SDS−PAGE電気泳動によって分離した。SDS−PAGEの後、該タンパク質を、ゲルからニトロセルロースペーパーに、Towbin[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76, pp. 4350-4354(1979)]の方法によって電気泳動的に移し、マウス抗血清またはモノクローナル抗体で探索した。
【0147】
抗体と反応性の抗原の検出を、接合抗マウス免疫グロブリンおよび色基質を使用する間接酵素イムノアッセイによって実施した。組み換えBVH−3に対して産生された抗血清を、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64抗原に対して試験したとき、127kDaおよび99kDaの明白な分子量を有する二つの反応バンドを検出した。Mabs H3−1−F9、H3−1−D4、H3−1−H12、H11−1−E7、H11−1−H10およびH−11−1.1−G11をそれぞれ免疫学的プローブとして使用したとき、同じ明白な分子量を有するバンドも検出された。これに対して、BVH−3分子に特異的なMabsは、127kDaのバンドのみを検出し、BVH−11に特異的なMabsは、99kDaのバンドのみを検出し、故に、127および99kDaのバンドの同一性をBVH−3およびBVH−11としてそれぞれ確認した。これらの試験は、BVH−3およびBVH−11タンパク質は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)に同時に存在する証拠を提供している。さらに、この結果は、BVH−3およびBVH−11が、両方のタンパク質に共通するエピトープ、並びにいずれかのタンパク質に限られるエピトープを有するという先の観察結果と矛盾しない。
【0148】
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64において、成熟BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2は、それぞれ、112.5kDa、92.4kDa、および91.7kDaの予想された分子量を有する、1019、821および819アミノ酸のタンパク質である。配列から予想された分子量およびSDS−PAGEに基づき算出された分子量の間に不一致があるが、BVH−3は、その高分子量によってBVH−11から区別できる。さらに、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP63からのBVH−3分子は、SDS−PAGEにおける112kDaの明白な分子量を有し、これに対して、SP64 株のBVH−3は127kDaである。このデータは、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP63のBVH−3における177アミノ酸残基に及ぶ欠失と矛盾しない。
【0149】
実施例11
本実施例は、組み換えBVH−3またはBVH−11遺伝子産物でワクチン注射された、マウスの実験的な感染における、付与された防御を記載する。
7または8匹のメスのBALB/cマウス(Charles River)の群を、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3M融合タンパク質、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−11M融合タンパク質または、コントロールとして、PBS中のQuilAアジュバント単独のいずれかで3週間間隔で3回皮下に免疫化した。
【0150】
第3の免疫化に続いて12ないし14日間、マウスを肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) WU2 株で静脈内に、またはP4241 株で鼻腔内にチャレンジした。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)チャレンジ接種菌の試料を、チョコレートアガープレート上に置き、CFUを測定し、チャレンジ用量を確認した。該チャレンジ用量は、およそ106CFUであった。死亡を、チャレンジ後14日の期間および第14日に記録し、生存マウスを屠殺し、血液試料を肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)微生物の存在について試験した。該生存データを表6および7に示す。
【0151】
【表11】
【0152】
【表12】
【0153】
組み換えBVH−3MまたはBVH−11Mタンパク質で免疫化されたすべてのマウスが、WU2での感染に対して生存したが、一方、アジュバント単独を与えられたコントロールのマウスは、生存しなかった。1匹を除いた、組み換えBVH−3MまたはBVH−11Mタンパク質で免疫化されたすべてのマウスが、P4241での感染に対して生存したが、一方、アジュバント単独を与えられたコントロールのマウスは、1匹しか生存しなかった。生存マウスからのすべての血球培養物は、チャレンジ後の第14日において陰性であった。これらの結果は、BVH−3MおよびBVH−11Mの両方が、マウスにおいて防御的な抗肺炎球菌免疫応答を誘発することを明白に指摘している。これらのタンパク質が、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)分離菌の中で高度に保存されている事実は、BVH−3およびBVH−11の不偏的なワクチン候補としての可能性を強調している。実際、血清群6 肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) 株 SP64からのBVH−3およびBVH−11タンパク質は、様々な莢膜血清型株での肺炎球菌感染に対する防御を誘発した。
【0154】
理想的には、肺炎球菌性疾患に対して防御することのできるワクチンは、髄膜炎、中耳炎、菌血症および肺炎に対して防御し得る。BVH−3およびBVH−11は、致死の全身性および肺炎感染型に対して防御性があった。故に、ヒトにおいて、BVH−3およびBVH11タンパク質に基づくワクチンが、莢膜血清型に関係なく実質的にすべての肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)によって引き起こされる広いスペクトルの疾患の発病率を減少させ得ることを示唆している。
【0155】
表6および表7からのデータは、BVH−3およびBVH−11の両方が、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)の防御誘発分子であったことを明白に示している。しかし、防御が、BVH−3およびBVH−11分子に共有されない特異的配列によって仲介されることができるか否かは、知られていなかった。メスのBALB/Cマウス(Charles River)の群を、15μgのQuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories Ltd, Hornby, Canada)の存在下、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3AD、−BVH−3Bまたは−BVH−3C融合タンパク質のいずれかによって、3週間間隔で3回、皮下に免疫化した。コントロールのマウスを、PBS中のQuilAアジュバント単独、またはQuilAの存在下、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tagもしくはチオレドキシン−His・Tag−融合タンパク質(His−Thio)で免疫化した。
【0156】
NEW4、NEW5、NEW6、NEW7、NEW8、NEW9、NEW10、NEW11、NEW14およびBVH−11Bと命名した切断タンパク質の組の防御能を測定するために、メスのBALB/cマウス(Charles River)の群を、15μgのQuialAアジュバントの存在下、25μgのアフィニティー精製His・Tag−融合タンパク質のいずれかで、3週間間隔で2回、皮下に免疫化した。最後の免疫化に続いて10ないし14日、マウスを毒性肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)でチャレンジした。我々の結果は、BVH−3B(アミノ酸512−1039からなる切断BVH−3分子)が、マウス毒性株 WU2およびP4241に対する防御を誘発したことを指摘している。
【0157】
同様に、BVH−11B、NEW4およびNEW5分子(それぞれアミノ酸354−840、アミノ酸286−840およびアミノ酸286−713からなる3つの切断BVH−11分子)は、WU2での実験的な静脈内チャレンジおよびP4241での鼻腔内チャレンジに対する防御を誘発した。さらに、BVH−11−2分子からのアミノ酸272−838およびアミノ酸227−699からなるNEW10およびNEW14でのワクチン接種も、肺炎球菌株による死亡に対して防御をもたらした。これらの結果は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) SP64 BVH−11およびBVH−11−2タンパク質配列におけるアミノ酸286−713およびアミノ酸272−699からの428アミノ酸を含む領域が、それぞれ防御的エピトープを含むことを指摘している。この領域は、13のBVH−11タンパク質配列の間に全体的な91%同一性および94%相同性を有し、高度に保存されている。
【0158】
【表13】
【0159】
実施例12
本実施例は、BVH−11のカルボキシル末端領域へのC’末端での融合におけるBVH−3のカルボキシル末端に対応するキメラ・ポリペプチドをエンコードするキメラ遺伝子のクローニングおよび発現並びにキメラ・ポリペプチドによるワクチン接種の後に観察された付加的な防御を記載した。
BVH−3およびBVH−11は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)に同時に存在する、血清的に別の分子であることは、前記で記載した研究から明白である。マウスの免疫学的研究は、両方のタンパク質が、よいワクチン候補であることを指摘している。これらのタンパク質は、血清型に関係なく、すべての肺炎球菌に対して防御を提供する可能性を有する。二つのタンパク質は、エピトープおよび配列を共有するとしても、それらは、異なる性質を有し、異なる生物学的機能を提供し得る。故に、二つのタンパク質に対する免疫化は、それぞれによって個別に分け与えられるものよりもより高いレベルの防御を提供し得る。これを試験するために、全長または切断BVH−3およびBVH−11を組み合わせまたは結合して投与するいくつかの達成方法が、探求されることができる。ここに、我々は、BVH−3−BVH−11融合遺伝子の遺伝子操作およびNEW12と称するタンパク質 (それぞれ配列番号76および配列番号58)、並びにNEW12タンパク質のワクチンとしての可能な使用を記載する。
【0160】
遺伝子の3’末端に対応するBVH−3およびBVH−11遺伝子フラグメントを、改変されたオリゴヌクレオチドの組を使用してPCRによって増幅し、それぞれ肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) 株 SP64 BVH−3およびBVH−11遺伝子からの、ヌクレオチド1414ないし3117(配列番号1)およびヌクレオチド1060ないし2520(配列番号3)に渡るフラグメントを増幅した。使用したプライマー、HAMJ278およびHAMJ279;HAMJ282およびHAMJ283は、5’末端に制限エンドヌクレアーゼ部位を有し、それによって増幅産物の消化されたpET21b(+)プラスミドベクター(表2)への直接的なインフレームなクローニングが可能となった。PCR増幅産物を制限エンドヌクレアーゼによって消化し、同様に消化した線形化されたプラスミドpET21b(+)ベクターにライゲートした。得られたプラスミド構築物を、ヌクレチド配列分析によって確認した。NdeI−HindIII BVH−3 PCR産物を含む組換えpET21b(+)プラスミドを、BVH−11遺伝子フラグメントを含む組み換えpET21(+)ベクターから得られたHindIII−NotI DNAフラグメントのインフレームのクローニングのために、制限酵素HindIIIおよびNotIでの消化によって線形化した。キメラ肺炎球菌タンパク質分子の発現のためにE.coli BL21(λDE3)に導入する前に、クローンを最初にE. coli DH5αにおいて安定化した。NEW12と称する組換えキメラペプチドを、His−タグとのC末端融合として発現させた。発現した組み換えNEW12タンパク質を、His結合金属キレート化樹脂(QIAgen, Chatsworth, CA)を使用して、超音波処理IPTG誘導E. coli培養物の遠心分離から得られた上清分画から精製した。
【0161】
前記記載の同じ方法によって、New1およびNew4、New1およびNew5、New1およびNew10、またはNew1およびNew14の同時発現の結果として、他のキメラ・ポリペプチドを構築することが可能である。該構築物は、New1と、New4、New5、New10、BVH−11BまたはNew14の上流または下流へのものであることができる。BVH−3、BVH−11またはBVH−11−2のいずれかの遺伝子の二つのフラグメントより多い同時発現の結果として、他のキメラペプチドを構築することもできる。
【0162】
8匹のメスのBALB/cマウス(Charles River)の群を、15μgのQuilAアジュバントの存在下、25μgのアフィニティー精製His・Tag−融合NEW1、BVH−11BまたはNEW12タンパク質のいずれかで、3週間間隔で2回皮下に免疫化した。最後の免疫化に続いて10ないし14日、マウスを毒性肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)でチャレンジした。前に示したように、それぞれBVH−3タンパク質からのアミノ酸472ないし1039およびBVH−11タンパク質からのアミノ酸354−840を含む、NEW1およびBVH−11B分子は、防御免疫反応を誘発することのできるタンパク質の一部に対応した。
【0163】
キメラ・ポリペプチドが、それぞれの対応するものについて見られるものと比較して、有意に防御を向上させることができるかどうか決定するために、チャレンジ用量を、NEW1およびBVH−11B分子によって防御が期待されないように、調節した。興味深いことに、該キメラNEW12タンパク質は、マウス毒性株WU2およびP4241に対する防御を誘発した。NEW12で免疫化した8匹のうち7匹のマウスが、チャレンジの10日後なお生存し、一方、NEW1、BVH−11B、BVH−3Mまたはアジュバント単独で免疫化した32匹のマウスのうち28匹が、チャレンジ後5日までに死亡した。故に、NEW12でのマウスのワクチン接種は、WU2チャレンジに対する最高の程度の防御を提供した。これらの結果は、キメラ・ポリペプチドでの免疫化およびあるいはBVH−3およびBVH−11遺伝子産物の組み合わせが、BVH−3またはBVH−11抗原単独の投与によって取得されたものに付加的な防御を提供することのできることを指摘している。
【0164】
【表14】
【0165】
実施例13
本実施例は、S.pneumoniaeのほかの連鎖球菌種における付加的なBVH−3およびBVH−11関連配列の同定を示す。
BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2は、共通配列を共に有する関連するタンパク質のファミリーであることを前記で示した。相同性の探索を、これらの遺伝子の保存領域からのヌクレオチド配列で実施し、FASTAを使用して、GenBankおよびEMBL配列と比較した。最も有意な相同性が、B群連鎖球菌またはGBSとも称されるS. agalactiaeにおける未知の機能の算出された92kDaのタンパク質(配列番号81)をコードする2.469kbの遺伝子との間に観察された。これらの遺伝子をBVH−71と命名した。GBSのものと99.2%の同一性および99.5%の類似性を示すタンパク質も、A群連鎖球菌またはGASとも称されるS. pyogenesにおいて同定した(配列番号83)。BVH−71配列の5’領域(配列番号80および配列番号82)は、ヌクレオチド1ないし717におよび、それぞれBVH−3(ヌクレオチド1ないし675)およびBVH−11(ヌクレオチド1ないし684)遺伝子の保存領域と58および60%の同一性を示した。
【0166】
GBSおよびGASのBVH−71オープンリーディングフレームの翻訳された配列の最初の239アミノ酸は、それぞれ、BVH−3およびBVH−11の最初の225および228アミノ酸と51および54%の同一性があった。構造上の類似性に加えて、連鎖球菌のBVH−3、BVH−11およびBVH−71タンパク質は、抗原性エピトープも共有している。97kDaのバンドが、BVH−3およびBVH−11保存領域と反応性のあるMabs H11−1.1−G11を使用して、GASまたはGBS全細胞のウェスタンブロットにおいて明らかになった。同様に、GASおよびGBS組み換えBVH−71タンパク質をウェスタンイムノブロット分析において検出した。
これらの結果は、BVH−71、BVH−3およびBVH−11タンパク質が、同様の機能を共有していることを指摘している。我々の結果は、BVH−71タンパク質を、抗連鎖球菌のタンパク質ワクチン構成成分として使用できることも示唆している。さらなる実施態様において、BVH−71タンパク質を、抗GASまたは抗GBSワクチンのタンパク質ワクチン構成成分として使用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は抗原に関し、より詳しくは、治療および/または予防用ワクチン成分として有用な肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)病原のタンパク質抗原に関する。
【背景技術】
【0002】
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)はヒト、取分け乳児、初老の免疫無防備状態者における疾患の重要な作因である。肺炎連鎖球菌は菌血症/敗血症、肺炎、髄膜炎などの浸襲性疾患患者から多くの場合単離されるバクテリアであり、世界中で高い罹患率と死亡率を有している。適切な抗生物質療法をもってしてさえ、肺炎球菌感染症は今なお多くの死を招いている。抗菌剤類の出現が全体として肺炎球菌疾患の死亡率を低下させはしたが、耐性肺炎球菌体の存在が今日世界の主要な問題となっている。有効な肺炎球菌ワクチンは肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)と関連する罹患率と死亡率に大きな衝撃を与えることができるに違いない。かかるワクチンはまた乳児と幼児の中耳炎の予防に有用となる可能性がある。
【0003】
肺炎球菌ワクチン開発の努力は主に肺炎球菌の莢膜多糖に免疫応答を生じさせることに集中している。80種を超える肺炎球菌莢膜血清型が抗原性の差に基づき同定されている。現在入手可能な肺炎球菌ワクチンは、最も頻繁に疾患の原因となる23種の莢膜多糖を含んでなるが、ある種莢膜多糖の免疫原性が弱いこと、血清型が多様であること、および経時的に、地理的に、また年齢群により血清型の分布に差のあることなどと主として関連する重要な欠点がある。特に、既存のワクチンと現在開発中の莢膜接合ワクチンはすべての血清型に対し幼児を守りきれないということが、他の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)成分の評価に駆り立てている。莢膜多糖の免疫原性を改善することはできるが、血清型の特異性がなお多糖をベースとするワクチンの主たる限界となっている。抗原性を保持した免疫原性肺炎球菌タンパク質抗原をそれ自体または他の成分と組合わせて使用することが、タンパク質をベースとする肺炎球菌ワクチンの可能性を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の名称“肺炎連鎖球菌抗原およびワクチン(Streptococcus pneumoniae antigen and vaccines)”として1998年5月7日に公開されたPCT公開番号WO98/18930はある種のポリペプチドを記載し、抗原として請求している。しかし、これらのポリペプチドの生物活性については何ら報告がない。
【0005】
従って、連鎖球菌感染症の予防および/治療用ワクチン成分として使用し得る連鎖球菌抗原について不適切な面についてはなお必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0007】
他の側面によると、発現制御領域に操作可能に結合した本発明ポリヌクレオチドを含んでなるベクター、並びに当該ベクターを移入した宿主細胞および当該宿主細胞を発現に適した条件下に培養することを含んでなるポリペプチドの製造法が提供される。
さらに他の側面においては、本発明のポリヌクレオチドがエンコードする新規のポリペプチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はBVH−3遺伝子のDNA配列である;配列番号1。
【図2】図2はBVH−3タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号2。
【図3】図3はBVH−11遺伝子のDNA配列である;配列番号3。
【図4】図4はBVH−11タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号4。
【図5】図5はBVH−28遺伝子のDNA配列である;配列番号5。
【図6】図6はBVH−28タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号6。
【図7】図7はBVH−3A遺伝子のDNA配列であり、BVH−3の5’末端に相当する;配列番号7。
【図8】図8はBVH−3Aタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号8。
【図9】図9はBVH−3B遺伝子のDNA配列であり、BVH−3の3’末端に相当する;配列番号9。
【図10】図10はBVH−3Bタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号10。
【図11−1】図11−1はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241およびA66肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−3オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図11−2】図11−2はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241およびA66肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−3オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−1】図12−1はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−2】図12−2はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−3】図12−3はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図12−4】図12−4はマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して、WU2、RX1、JNR.7/87、SP64、P4241、A66およびSP63肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11オープンリーディングフレームのアミノ酸配列を比較描出したものである。整列させた配列の下に共通列があるが、記号*および・はそれぞれアミノ酸残基が同一または類似であることを示す。
【図13】図13は種々の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株から予測されるBVH−11タンパク質のアミノ酸配列を比較描出したものである。同一性(I)および類似性(S)の度合いはマックベクター(MacVector)配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラム・クラスタル(Clustal)Wを使用して決定した。
【図14−1】図14−1は完全BVH−3遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド1777〜4896にオープンリーディングフレーム“ORF”);配列番号11。
【図14−2】図14−2は完全BVH−3遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド1777〜4896にオープンリーディングフレーム“ORF”);配列番号11。
【図15】図15は完全BVH−11遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド45〜2567にORF);配列番号12。
【図16】図16は完全BVH−11−2遺伝子を含むDNA配列である(ヌクレオチド114〜2630にORF);配列番号13。
【図17】図17はBVH−11−2タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号14。
【図18】図18はSP63 BVH−3遺伝子のDNA配列である;配列番号15。
【図19】図19はSP63 BVH−3タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号16。
【図20】図20はBVH−3Mタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号55。
【図21】図21はBVH−3ADタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号56。
【図22】図22はL−BVH−3−ADタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号57。
【図23】図23はNEW12タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号58。
【図24】図24はBVH−3Cタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号59。
【図25】図25はBVH−11Mタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号60。
【図26】図26はBVH−11Aタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号61。
【図27】図27はBVH−11B(New13とも呼称)タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号62。
【図28】図28はBVH−11Cタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号63。
【図29】図29はNEW1タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号64。
【図30】図30はNEW2タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号65。
【図31】図31はNEW3タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号66。
【図32】図32はNEW4タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号67。
【図33】図33はNEW5タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号68。
【図34】図34はNEW6タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号69。
【図35】図35はNEW7タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号70。
【図36】図36はNEW8タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号71。
【図37】図37はNEW9タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号72。
【図38】図38はBVH−11−2Mタンパク質のアミノ酸配列である;配列番号73。
【図39】図39はNEW10タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号74。
【図40】図40はNEW11タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号75。
【図41】図41はNEW21遺伝子のDNA配列である;配列番号76。
【図42】図42はNEW14タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号77。
【図43】図43はNEW15タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号78。
【図44】図44はNEW16タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号79。
【図45】図45はGBS BVH−71遺伝子のDNA配列である;配列番号80。
【図46】図46はGBS BVH−71タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号81。
【図47】図47はGAS BVH−71遺伝子のDNA配列である;配列番号82。
【図48】図48はGAS BVH−71タンパク質のアミノ酸配列である;配列番号83。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0011】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0012】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
一側面によると、本発明は配列番号2、8、10、16、55、56、57、58、59、64、65、66、78またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
一側面によると、本発明は配列番号2、8、10、16、55、56、57、59、64、65、66、78またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
一側面によると、本発明は配列番号4、14、58、60、61、62、63、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
一側面によると、本発明は配列番号4、14、60、61、62、63、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0018】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
一側面によると、本発明は配列番号10、55〜75、77、78、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
一側面によると、本発明は配列番号55〜75、77、78、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0022】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、14、16またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
一側面によると、本発明は配列番号2の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0025】
一側面によると、本発明は配列番号4の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
一側面によると、本発明は配列番号10の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0027】
一側面によると、本発明は配列番号14の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0028】
一側面によると、本発明は配列番号16の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
一側面によると、本発明は配列番号58の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0030】
一側面によると、本発明は配列番号60の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0031】
一側面によると、本発明は配列番号62の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0032】
一側面によると、本発明は配列番号64の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0033】
一側面によると、本発明は配列番号67の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0034】
一側面によると、本発明は配列番号68の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0035】
一側面によると、本発明は配列番号69の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0036】
一側面によると、本発明は配列番号72の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0037】
一側面によると、本発明は配列番号74またはそのフラグメント、類似体または誘導体の配列を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0038】
一側面によると、本発明は配列番号77の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチドを提供する。
【0039】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0040】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0041】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0042】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0043】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、8、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0044】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16、55〜75、77〜79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0045】
一側面によると、本発明は配列番号2、4、10、14、16またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0046】
一側面によると、本発明は配列番号2またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0047】
一側面によると、本発明は配列番号4の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0048】
一側面によると、本発明は配列番号10またはそのフラグメント、類似体または誘導体の配列を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0049】
一側面によると、本発明は配列番号14の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0050】
一側面によると、本発明は配列番号16の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0051】
一側面によると、本発明は配列番号10、55〜75、77、78、79またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0052】
一側面によると、本発明は配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0053】
一側面によると、本発明は配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0054】
一側面によると、本発明は配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0055】
一側面によると、本発明は配列番号10、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0056】
一側面によると、本発明は配列番号58の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0057】
一側面によると、本発明は配列番号62またはそのフラグメント、類似体または誘導体の配列を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0058】
一側面によると、本発明は配列番号64の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0059】
一側面によると、本発明は配列番号67の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0060】
一側面によると、本発明は配列番号68の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0061】
一側面によると、本発明は配列番号74の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0062】
一側面によると、本発明は配列番号77の配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0063】
さらなる態様において、本発明はまた本出願に記載の1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドに関する。
【0064】
さらなる態様において、本発明はまた本発明の図面に定義した1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドに関する。
【0065】
さらなる態様において、本発明はまた配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドに関する;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0066】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0067】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0068】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは配列番号10、62、64、67、68、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなる;ただし、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体はキメラ・ポリペプチドを形成するように結合する。
【0069】
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2ないし5個のポリペプチドを含んでなる。
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2ないし4個のポリペプチドを含んでなる。
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2ないし3個のポリペプチドを含んでなる。
さらなる態様において、該キメラ・ポリペプチドは2個のポリペプチドを含んでなる。
【0070】
さらなる態様においては、式(I):
A−(B)m−(C)n−D (I)
ただし、
mは0または1である;
nは0または1である;
Aは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
で示されるキメラ・ポリペプチドが提供される。
【0071】
さらなる態様において、
Aは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される。
【0072】
さらなる態様において、
Aは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号10、58、60、62、64、67、68、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される。
【0073】
一態様において、本発明のキメラ・ポリペプチドは独立してまたは組み合わさって以下の態様が存在するものを含んでなる。
さらなる態様において、Aは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0074】
さらなる態様において、Aは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Aは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0075】
さらなる態様において、Bは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Bは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0076】
さらなる態様において、Cは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Cは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0077】
さらなる態様において、Dは配列番号10、58、62、64、67、68、74、77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号10であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号58であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号67であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号68であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号74であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、Dは配列番号77であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0078】
さらなる態様において、mは0である。
さらなる態様において、nは0である。
さらなる態様において、mおよびnは0である。
さらなる態様において、mおよびnは0であり、Aは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体であり、Bは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
さらなる態様において、mおよびnは0であり、Aは配列番号62であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体であり、Bは配列番号64であるか、またはそのフラグメント、類似体または誘導体である。
【0079】
本発明においては、ポリペプチドおよびキメラ・ポリペプチドをエンコードするヌクレオチドはすべて本発明の範囲内のものである。
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドまたはキメラ・ポリペプチドは抗原性である。
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドまたはキメラ・ポリペプチドは個体に免疫応答を誘発し得る。
さらなる態様において、本発明はまた上記定義の本発明ポリペプチドまたはキメラ・ポリペプチドに対し結合特異性を有する抗体を生成させ得るポリペプチドに関する。
【0080】
“結合特異性を有する”抗体とは、本来選択されたペプチドを含むサンプル、例えば、生体サンプル中の選択されたペプチドを認識し、それに結合するが、他の分子は実質的に認識せず、また結合しない抗体である。特異的な結合は選択されたペプチドを抗原として用いるELISAアッセイにより測定することができる。
【0081】
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて本発明の技術分野で当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に引用する刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべてその全文を参照により本明細書の一部とする。矛盾のある場合には、定義も含め、本明細書が優先する。さらに、材料、方法、例示などは単なる説明であって、制限しようとするものではない。
【0082】
本明細書にて使用する場合、本発明ポリペプチドの“フラグメント”、“誘導体”または“類似体”とは、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸残基(好ましく保存)により置換されており、かつ、天然であっても非天然であってもよいポリペプチドを包含する。一態様において、本発明ポリペプチドの誘導体および類似体は図面に示した配列またはそのフラグメントと約70%の同一性を有するものとする。すなわち、該残基の70%が同一である。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は80%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は85%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は90%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は95%を超える。さらなる態様において、ポリペプチドの相同性は99%を超える。さらなる態様において、本発明ポリペプチドの誘導体および類似体は約20個未満のアミノ酸残基の置換、修飾または欠失を有し、好ましくはその個数が10個未満である。好適な置換は技術上保存として周知のもの、すなわち、置換された残基が疎水性、サイズ、電荷または官能基などの理化学的性質を分け持つものである。
【0083】
本発明によると、本発明のポリペプチドはポリペプチドおよびキメラ・ポリペプチドの両方を包含する。
さらに包含されるポリペプチドは、該ポリペプチドの生物学的または薬理学的性質を変える他の化合物が融合しているもの、すなわち、半減期を増大させるポリエチレングリコール(PEG)、精製をし易くするリーダーまたは分泌アミノ酸配列、プレプロ−およびプロ−配列、および(多)糖類の融合したものである。
【0084】
さらに、アミノ酸領域が多型性であることが判明している場合には、異なる連鎖球菌株の異なるエピトープをより有効に模倣するために、1個以上の特定アミノ酸を変更することが望ましい。
【0085】
さらに、本発明のポリペプチドは末端−NH2アシル化(例えば、アセチル化、またはチオグリコール酸のアミド化、末端カルボキシのアミド化、例えば、アンモニアまたはメチルアミンによるアミド化)により修飾して、安定性を備わせ、支持体または他の分子に連結または結合する疎水性を増大させることができる。
【0086】
さらに期待されるのは、該ポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体のヘテロおよびホモ・ポリペプチド・マルチマーである。これらのポリマー形状は、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒドまたはジメチル−スーパーイミデートなどの架橋剤で架橋した1個以上のポリペプチドを包含する。かかるポリマー形状はまた組換えDNA技法により生成させたマルチシストロンmRNAから生じた2個以上の縦列または逆方向の隣接配列を含むポリペプチドを包含する。好ましくは、本発明ポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体は少なくとも1個の抗原性領域、すなわち、少なくとも1個のエピトープを含んでなる。
【0087】
抗原性ポリマー(すなわち、合成マルチマー)の形成を達成するために、ビスハロアセチル基、ハロゲン化ニトロアリールなどを有するポリペプチドを利用してもよく、その場合、該試薬はチオ基に特異的である。従って、異なるペプチドの2個のメルカプト基間の連結は単結合であってもよいし、あるいは少なくとも2個の炭素原子、一般には少なくとも4個であるが16個以下であり、通常約14個以下の炭素原子の連結基から構成されていてもよい。
【0088】
特定の態様において、本発明ポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体はメチオニン(Met)の開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドはリーダーまたは分泌配列(シグナル配列)を含んでいない。本発明ポリペプチドのシグナル部分は確立された分子生物学技法に従い決定することができる。一般に、対象となるポリペプチドは連鎖球菌培養物から単離し、次いで配列決定して成熟タンパク質の開始残基、従って成熟ポリペプチドの配列を決めてもよい。
【0089】
他の側面によると、1種またはそれ以上の本発明連鎖球菌ポリペプチドを含んでなり、医薬的に許容し得る担体、賦形剤またはアジュバントと混合したワクチン組成物が提供される。適切なアジュバントは油、すなわち、フロインド完全または不完全アジュバント;塩類、すなわち、AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、シリカ、カオリン、炭素ポリヌクレオチド、すなわち、ポリICおよびポリAUなどを包含する。好適なアジュバントはQuilAまたはAlヒドロゲルを包含する。本発明のワクチンは注射、迅速注入、鼻咽頭吸収、皮膚吸収により非経口投与するか、または口腔もしくは経口により投与することができる。医薬的に許容し得る担体としては破傷風トキソイドも包含する。
【0090】
本発明のワクチン組成物は以下に記載の連鎖球菌感染症および/または連鎖球菌感染が介在する疾患および症状の治療または予防に使用する(P.R. Murray (Ed. in chief), E.J. Baron, M.A. Pfaller, F.C. Tenover and R.H. Yolken, Manual of Clinical Microbiology, ASM press, Washington D.C., sixth edition, 1995, 1482p; 出典明示により本明細書の一部とする)。一態様において、本発明のワクチン組成物は髄膜炎、中耳炎、菌血症または肺炎の治療または予防に使用される。一態様において、本発明のワクチン組成物は連鎖球菌感染症および/または連鎖球菌感染、特に、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)、A群連鎖球菌(化膿菌、pyogenes)、B群連鎖球菌(GBSまたはアガラクチエ、agalactiae)、ディスガラクチエ(dysgalactiae)、ユベリス(uberis)、ノカルディア(nocardia)、並びにスタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)が介在する疾患および症状の治療または予防に使用する。さらなる態様において、連鎖球菌感染症は肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)の感染である。
【0091】
特定の態様において、ワクチンは乳児、初老の免疫無防備状態個体など、連鎖球菌感染の危険性のある個体に投与する。
本出願にて使用する場合、“個体”という用語は哺乳動物を包含する。さらなる態様において、哺乳動物はヒトである。
【0092】
ワクチン組成物は、好ましくは、約0.01〜100μg/kg(抗原/体重)の投与単位形状、より好ましくは0.01〜10μg/kg、最も好ましくは0.1〜1μg/kgの形状で、約1週間ないし6週間の免疫間隔で1〜3回投与する。
【0093】
他の側面によると、配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0094】
一態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、5、7、9、11、12、13、15、76、80、82に示したポリヌクレオチドである。図面に示したポリヌクレオチド配列は縮重コドンにより変化していてもよいが、それでもなお本発明のポリペプチドをエンコードしていることが認められよう。従って、本発明はさらに配列間で50%の同一性を有する上記のポリヌクレオチド配列(またはその相補配列)にハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。一態様において、配列間の同一性は少なくとも70%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも75%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも80%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも85%である。一態様において、配列間の同一性は少なくとも90%である。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは緊縮条件下、すなわち、少なくとも95%の同一性をもつ条件下でハイブリダイズし得る。さらなる態様において、同一性は97%を超える。
【0095】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号1、3、7、9、11、12、13、15、76、80、82に示したポリヌクレオチドである。
【0096】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、9、11、12、13、15、76、80、82に示したポリヌクレオチドである。
【0097】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、9、11、12、13、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0098】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、3、7、9、11、12、13、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0099】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、7、9、11、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0100】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、9、11、15、76に示したポリヌクレオチドである。
【0101】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードし、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいてもよい配列番号1、7、9、11に示したポリヌクレオチドである。
【0102】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号1に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号7に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号9に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号11に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号15に示したポリヌクレオチドである。
【0103】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号3、12、13、76に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号3に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号12に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号13に示したポリヌクレオチドである。
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをエンコードする配列番号76に示したポリヌクレオチドである。
【0104】
当業者が容易に認識するように、ポリヌクレオチドはDNAおよびRNA両方を包含する。
本発明はまた本出願に記載したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドをも包含する。
【0105】
さらなる側面において、本発明のポリペプチド、またはフラグメント、類似体または誘導体をエンコードするポリヌクレオチドはDNA免疫化法に使用し得る。すなわち、該ポリヌクレオチドは、注射により複製発現可能であり、その結果生体内で抗原性ポリペプチドを生じるベクター内に取込み得るものである。例えば、ポリペプチドは真核細胞内で機能的なCMVプロモーターの制御下にプラスミドベクターに取込み得る。好ましくは、該ベクターは筋肉内に注射する。
【0106】
他の側面によると、組換え技法により、宿主細胞において当該ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを発現させ、発現したポリペプチド産物を回収することによる本発明ポリペプチドの製造法が提供される。別法として、該ポリペプチドは確立された合成化学技法に従い、すなわち、オリゴペプチドを液相または固相合成し、それを結合して完全なポリペプチドを製造することができる(ブロック連結反応)。
【0107】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの入手および評価の一般的方法は以下の文献に記載されている:Sambrook et al., 分子クローニング:実験室マニュアル、第2版、Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;分子生物学における最新プロトコール、編者:Ausubel F.M. et al., John Wiley and Sons, Inc. New York;PCRクローニング・プロトコール、分子クローニングから遺伝子工学まで、編者:White B.A., Humana Press, Totowa, New Jersey, 1997, 490 pages; タンパク質精製、原理と実際、Scopes R.K., Springer-Verlag, New York, 3rd Edition, 1993, 380 pages; 免疫学における最新プロトコール、Edited by Coligan J.E. et al., John Wiley & Sons Inc., New York; これらは出典明示により本明細書の一部とする。
【0108】
組換え生産のために、該ポリペプチドをエンコードするベクターを宿主細胞に移入し、次いで、プロモーター活性化、形質転換体選択または遺伝子増幅に適するように改変した栄養培地中で培養する。
【0109】
適切なベクターは選択した宿主中で生存複製可能なベクターであり、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えば、バクテリアプラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAを組合わせて誘導したベクターなどを包含する。ポリペプチド配列はベクターの適切な部位に取込むことができるが、その際には制限酵素を使用し、プロモーター、リボソーム結合部位(コンセンサス領域またはシャイン・ダルガルノ配列)、および必要によりオペレーター(制御要素)を含んでなる発現制御領域に操作可能に結合するようにする。発現制御領域の個々の要素は所定の宿主とベクターに適したものを確立された分子生物学の原理に従って選択することができる(Sambrook et al., 分子クローニング:実験室マニュアル、第2版、Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;分子生物学における最新プロトコール、編者:Ausubel F.M. et al., John Wiley and Sons, Inc. New York;出典明示により本明細書の一部とする)。適切なプロモーターはLTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lac、tacまたはtrpプロモーターおよびファージ・ラムダPLプロモーターなどであるが、これらに限定されるものではない。ベクターは、好ましくは複製開始点並びに選択マーカー、すなわち、アンピシリン耐性遺伝子を組入れている。適切なバクテリアベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE−9、pbs、pD10ファージスクリプト、psiX174、ブルースクリプトSK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5および真核ベクターpブルーバックIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLなどである。宿主細胞は細菌性のもの、すなわち、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces);真菌性のもの、すなわち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニズリンス(Aspergillus nidulins);酵母、すなわち、サッカロミセス(Saccharomyces);または真核性、すなわち、CHO、COSであってもよい。
【0110】
培養物中でのポリペプチドの発現にもとづき、細胞は一般に遠心分離により収穫し、次いで物理的または化学的手段(もし発現されたポリペプチドが培地に分泌されなければ)により破砕し、得られる粗製の抽出物を保持し、対象のポリペプチドを単離する。培地または溶菌液からポリペプチドを精製するには、ポリペプチドの性質に従って確立された技法により、すなわち、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーなどを使用する。最終の精製はHPLCにより達成し得る。
【0111】
該ポリペプチドはリーダー配列または分泌配列を付けて、または付けずに発現することができる。前者の場合、リーダーは翻訳後プロセシングにより除去してもよい(参照:US4,431,739;US4,425,437;およびUS4,338,397;出典明示により本明細書の一部とする)し、または発現されたポリペプチドを精製した後に化学的に除去してもよい。
【0112】
さらなる側面によると、本発明の連鎖球菌ポリペプチドは連鎖球菌感染症、特に肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)感染の診断テストに使用することができる。例えば、生物サンプル中の連鎖球菌菌体の検出など数種の診断方法が可能であるが、以下の手法により実施する:
a)患者から生物サンプルを入手すること;
b)本発明の連鎖球菌ポリペプチドと反応し得る抗体またはそのフラグメントを該生物サンプルとインキュベートし、混合物を形成すること;そして
c)連鎖球菌の存在を示す特異的に結合した混合物中の抗体またはフラグメントを検出すること。
【0113】
別法として、連鎖球菌抗原に特異的な抗体を含むかまたは含む疑いのある生物サンプルについての当該抗体の検出は以下のように実施することができる:
a)患者から生物サンプルを入手すること;
b)1種以上の本発明連鎖球菌ポリペプチドまたはそのフラグメントを該生物サンプルとインキュベートし、混合物を形成すること;そして
c)連鎖球菌に特異的な抗体の存在を示す特異的に結合した混合物中の抗原またはフラグメントを検出すること。
【0114】
この診断テスト法は幾つかの形態を取ることが可能であり、その方法は免疫学的テスト法、例えば、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイまたはラテックス凝集アッセイなどであって、該タンパク質に特異的な抗体が生体中に存在するかどうかを測定する実質的な方法であることは当業者の認めるところである。
【0115】
本発明のポリペプチドをエンコードするDNA配列は、連鎖球菌を含むと疑われる生物サンプルについて、かかるバクテリアの存在を検出する際に使用するDNAプローブの設計にも使用することができる。本発明の検出方法は以下の工程を含んでなる:
a)患者から生物サンプルを入手すること;
b)本発明ポリペプチドまたはそのフラグメントをエンコードするDNA配列をもつ1種以上のDNAプローブを該生物サンプルとインキュベートし、混合物を形成すること;そして
c)連鎖球菌の存在を示す特異的に結合した混合物中のDNAプローブを検出すること。
【0116】
本発明のDNAプローブは、連鎖球菌感染を診断する方法として、サンプル中の循環系連鎖球菌、すなわち、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)核酸を、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用い検出するためにも使用することができる。該プローブは常套の技法を用いて合成して、固相に固定化してもよいし、あるいは検出可能なラベルで標識してもよい。これに適用するための好適なDNAプローブは本発明肺炎連鎖球菌の少なくとも約6個の連接したヌクレオチドに相補的な配列をもつオリゴマーである。
【0117】
患者の連鎖球菌を検出するもう一つの診断方法は以下の工程を含んでなる:
a)本発明のポリペプチドと反応し得る抗体またはそのフラグメントを検出可能なラベルで標識すること;
b)標識した抗体または標識したフラグメントを該患者に投与すること;および
c)連鎖球菌の存在を示す特異的に結合した患者における標識抗体または標識フラグメントを検出すること。
【0118】
本発明のさらなる側面は、連鎖球菌感染の診断用および、特に治療用の特異抗体を産生するために免疫原として本発明の連鎖球菌ポリペプチドを使用することである。適切な抗体は適当なスクリーニング法を用い、例えば、テストモデルにおいて連鎖球菌に対し受動的に防御する特定抗体の能力を測定することにより決定することができる。動物モデルの一例としては、本明細書の実施例に記載したマウスのモデルである。該抗体は全抗体であっても、その抗原結合フラグメントであってもよく、また免疫グロブリンのどの分類のものでもよい。該抗体またはフラグメントは動物起源、特に、哺乳動物起源のもの、より具体的にはマウス、ラットまたはヒト起源のものである。それは天然の抗体またはそのフラグメントであり、あるいは要すれば、組換え抗体または抗体フラグメントであってもよい。組換え抗体または抗体フラグメントという用語は、それらの抗体または抗体フラグメントが分子生物学の技法により製造されたものであることを意味する。該抗体または抗体フラグメントはポリクローナルであるか、または好ましくはモノクローナルである。それは肺炎連鎖球菌ポリペプチドと関連する多くのエピトープに特異的であってもよいが、好ましくは1個のエピトープに対して特異的である。
【0119】
本発明の範囲を制限するものではないが、本発明はまたBVH−3、BVH−11、BVH−11−2、BVH−28およびBVH−71と命名した新規の抗原にも関する。本発明はまたBVH−3、BVH−11、BVH−11−2、BVH−28およびBVH−71と命名した新規の抗原のフラグメントを含んでなる切断型ポリペプチドにも関する。本発明はまたBVH−3、BVH−11、BVH−11−2、BVH−28およびBVH−71と命名した新規の抗原のフラグメントを含んでなるキメラ・ポリペプチドにも関する。下記の参照表は本発明抗原間の関係を要約した表である。
【表1】
【表2】
【実施例】
【0120】
実施例1
本実施例では肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子のクローニングについて説明する。
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子BVH−3(配列番号1)のコーディング領域および肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子BVH−28(配列番号5)のコーディング領域は、血清型6肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株SP64のゲノムDNAから、制限部位BglII(AGATCT)およびXbaI(TCTAGA)の付加用塩基エクステンションを含むオリゴ体を用い、PCR(DNAサーマル・サイクラー・ジーンアンプPCRシステム2400、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、サンホセ(San Jose)、CA)により増幅した。PCR産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製し、BglII−XbaI(ファルマシア(Pharmacia)カナダ・インク、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)で消化し、フェノール/クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させた。スーパーリンカーベクターpSL301(インビトロゲン(Invitrogen)、サンジエゴ、CA)をBglIIとXbaIで消化し、キアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。BglII−XbaIゲノムDNAフラグメントをBglII−XbaI pSL301ベクターに連結した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、D.M. Glover (ed), pp. 109-134)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。BVH−3またはBVH−28のいずれかの遺伝子を含む組換えpSL301プラスミド(rpSL301)をキアゲン(QIAgen)キット(チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製し、DNA挿入片はヌクレオチド配列分析(タック・ダイ・デオキシ・ターミネーター・サイクル配列決定キット、ABI、フォスター・シティ、CA)により確認した。組換えrpSL301(rpSL301)を制限酵素BglII(AGATCT)およびXhoI(CTCGAG)により消化した。DNAフラグメントBglII−XhoIはキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて精製した。チオレドキシン−Hisタグ配列を含むpET−32c(+)発現ベクター(ノバゲン(Novagen)、マジソン、WI)をBamHI(GGATCC)およびXhoIで消化し、ゲルはキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて抽出した。BglII−XhoIDNAフラグメントをBamHI−XhoIpET−32c(+)ベクターに連結してチオレドキシン−Hisタグ−BVH−3またはチオレドキシン−Hisタグ−BVH−28融合タンパク質用のコーディング配列を創製した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、1985、D.M. Glover (ed), pp. 109-135)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。組換えpET−32c(+)プラスミドはキアゲン(QIAgen)キット(チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製し、チオレドキシン−HisタグとDNA挿入片の融合部位でのヌクレオチド配列はDNA配列決定法(タック・ダイ・デオキシ・ターミネーター・サイクル配列決定キット、ABI、フォスター・シティ、CA)により証明した。
【0121】
実施例2
本実施例ではCMVプラスミドpCMV−GHにおける肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質遺伝子のクローニングについて説明する。
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質のDNAコーディング領域をヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流位相に挿入した;該hGH遺伝子はプラスミドベクターpCMV−GHのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの転写制御下にあった(Tang et al., Nature, 1992, 356: 152)。CMVプロモーターは大腸菌細胞内では機能しないプラスミドとするが、真核細胞内プラスミドの管轄下では活性である。該ベクターはアンピシリン耐性遺伝子をも併合していた。
【0122】
BVH−3遺伝子(配列番号1)とBVH−28遺伝子(配列番号5)のコーディング領域は、制限酵素BglII(AGATCT)およびXbaI(TCTAGA)を用いてrpSL301(実施例1参照)から得た。消化産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。融合タンパク質を創製するために、ヒト成長ホルモンを含むpCMV−GHベクター(テキサス大学(ダラス、テキサス)生化学部門、ジョンストン(Dr. Stephen A. Johnston)研究室)をBglIIおよびXbaIで消化し、キアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。BglII−XbaI DNAフラグメントをBglII−XbaI pCMV−GHベクターに連結し、CMVプロモーターの制御下にhGH−BVH−3またはhGH−BVH−28融合タンパク質を創製した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、1985、D.M. Glover (ed), pp. 109-135)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。組換えpCMVプラスミドはキアゲン(QIAgen)キット(キアゲン、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製した。
【0123】
BVH−11遺伝子(配列番号3)のコーディング領域は、血清型6肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株SP64のゲノムDNAから、制限部位BglII(AGATCT)およびHindIII(AAGCTT)の付加用塩基エクステンションを含むオリゴ体を用い、PCR(DNAサーマル・サイクラー・ジーンアンプPCRシステム2400、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、サンホセ(San Jose)、CA)により増幅した。PCR産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製し、制限酵素(ファルマシア(Pharmacia)カナダ・インク、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)で消化し、フェノール/クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させた。該pCMV−GHベクター(テキサス大学(ダラス、テキサス)生化学部門、ジョンストン(Dr. Stephen A. Johnston)研究室)をBglIIおよびHindIIIで消化し、キアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製した。BglII−HindIII DNAフラグメントをBglII−HindIII pCMV−GHベクターに連結し、CMVプロモーターの制御下にhGH−BVH−11融合タンパク質を創製した。連結した生成物をシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、1985、D.M. Glover (ed), pp. 109-135)に従い、大腸菌株DH5a[f80 lacZ DM15 endA1recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−11− gyrA96 relA1 D(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。組換えpCMVプラスミドはキアゲン(QIAgen)キット(キアゲン、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)により精製し、DNA挿入片のヌクレオチド配列はDNA配列決定法により証明した。
【0124】
実施例3
本実施例では肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)抗原に対する免疫応答を引出すためにDNAを使用することについて説明する。
メスBALB/cマウス(チャールズ・リバー(Charles River)、セントコンスタント(St-Constant)、ケベック、カナダ)8匹を1群とし、BVH−3、BVH−11またはBVH−28遺伝子を含む組換えpCMV−GH100μgにより、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)発現プラスミドpCMV−GH−GM−CSF(テキサス大学(ダラス、テキサス)生化学部門、ジョンストン(Dr. Stephen A. Johnston)研究室)50μgの存在下、2−ないし3−週間間隔で50μlを3回筋肉注射し、免疫した。対照として、一群のマウスにはpCMV−GH−GM−CSF50μgの存在下、pCMV−GHを100μg注射した。血液サンプルは各免疫化に先立ち、また3回目の注射7日後に眼窩から採取し、血清抗体応答はコーティング抗原としてチオレドキシン−His・Tag−肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)融合タンパク質を用い、ELISAにより測定した。BVH−3、BVH−11またはBVH−28肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質をエンコードする組換えプラスミドpCMV−GHによるDNA免疫化は、それぞれの組換えタンパク質に対し反応する抗体を誘発した。吸光度値がバックグランド値の0.1以上であった最大血清希釈と定義される相互の抗体価は、4×103以上であった。
【0125】
実施例4
本実施例では組換え肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質の産生と精製につき説明する。
配列番号1、配列番号3または配列番号5に相当するBVH−3、BVH−11またはBVH−28遺伝子を含む組換えpETプラスミドをエレクトロポレーション(ジーン・パルサーII装置、バイオ−ラッド(BIO−RAD)ラボ、ミッシソウガ(Mississauga)、カナダ)により大腸菌株AD494(DE3)(Dara−leu7697 DlacX74 DphoA PvuII phoR DmalF3 F'[lac+(lacIq)pro]trxB::Kan)(ノバゲン(Novagen)、マジソン、WI)に形質転換した。本大腸菌株では、融合タンパク質の発現を制御するT7プロモーターがT7RNAポリメラーゼ(1DE3プロファージ上に存在)により特異的に認識されるが、該ポリメラーゼの遺伝子はイソプロピル−β−d−チオ−ガラクトピラノシド(IPTG)により誘導し得るlacプロモーターの制御下にある。形質転換体AD494(DE3)/rpETは、1ml当たりアンピシリン(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)カナダ株式会社、オークビル(Oakville)、カナダ)100μgを含むLBブロス(ペプトン10g/L、酵母エキス5g/L、NaCl10g/L)中で、A600が0.6の値に達するまで、250rpmの攪拌下に37℃で増殖させた。チオレドキシン−His・Tag−BVH−3、チオレドキシン−His・Tag−BVH−11またはチオレドキシン−His・Tag−BVH−28融合タンパク質の産生を誘導するために、最終濃度1mMのIPTGの存在下にさらに2時間培養した。培養物100mlから誘導された細胞は遠心によりペレットとし、−70℃で凍結した。
【0126】
IPTG誘導AD494(DE3)/rpETの可溶性細胞質フラクションから融合タンパク質を精製するには、His結合金属キレート化樹脂に固定化した二価カチオン(Ni2+)に結合するHis・Tag配列(6個の連続的ヒスチジン残基)の性質に基づくアフィニティ・クロマトグラフィーにより実施した。簡単に説明すると、IPTGにより誘導した培養物100mLから得たペレット状細胞を、リン酸バッファー500mM−NaCl溶液(PBS)(pH7.1)に再懸濁し、超音波処理、20,000×gで20分間遠心して破片を除去した。上清を濾取し(0.22μm孔径の膜)、ハイトラップ(HiTrap; 登録商標)1mLのキレート化プレパック常用カラム(ファルマシアバイオテック(Pharmacia Biotech)、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)に載せた。チオレドキシン−His・Tag−肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)融合タンパク質は1Mイミダゾール/500mM−NaCl−PBS(pH7.1)により溶出した。サンプルから塩とイミダゾールを除去するために4℃でPBSに対し透析した。大腸菌の可溶性フラクションから得られた融合タンパク質量はマイクロBCA(ピアース(Pierce)、ロックフォード、イリノイ)により評価した。
【0127】
実施例5
本実施例では免疫化による致死性連鎖球菌感染症に対するマウスの防御について説明する。
メスBALB/cマウス(チャールス・リバー)8匹の群につき、キルA(QuilA)アジュバント(セダーレーン(Cedarlane)ラボラトリー株式会社、ホーンバイ、カナダ)15μgの存在下にアフィニティ精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3融合タンパク質により、または対照としてPBS中キルA(QuilA)アジュバントのみにより、3週間間隔で3回皮下注射免疫した。血液サンプルは各免疫化に先立ち1日目、22日目および43日目、また3回目の注射7日後(50日目)に眼窩洞から採取した。1週間後、マウスに3型肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株WU2約106CFUをチャレンジした。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)植菌サンプルをチョコレート寒天平板上に塗付し、CFUを決定し、チャレンジ用量を確認した。チャレンジ後14日間と14日目に死亡例を記録し、生存マウスは犠牲にして、その血液サンプルは肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)菌体の存在について試験した。生存データを表1に示す。
【0128】
チャレンジ前の血清は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)と反応する抗体が存在するか否かについて標準的免疫検定法により分析した。ELISAおよび免疫ブロットでは、大腸菌により調製した組換え肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)タンパク質での免疫化が、組換えおよび本来の連鎖球菌タンパク質両方と反応する抗体を誘導することを示した。
表1:組換えBVH−3タンパク質が介在する防御
【表3】
【0129】
BVH−3組換えタンパク質で免疫したマウスはすべて感染に対しても生存したが、アジュバントのみを投与した対照マウスに生存したものはなかった。マウス両群間の生存には有意差があった(P<0.0001、生存曲線の非パラメトリック分析用のログ・タンク検定;P=0.0002、フイッシャーの完全検定)。生存マウスからの血液培養はチャレンジ後14日目に陰性であった。
【0130】
実施例6
本実施例では、多様な肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株からのBVH−3およびBVH−11遺伝子のクローニング、およびこれら遺伝子の分子保存性について記載する。
BVH−3またはBVH−11の異なる領域に及ぶDNAプローブにより、種々の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)単離体からの染色体DNAを分析した結果、BVH−3遺伝子のコピーが1種とBVH−11遺伝子のコピーが2種存在することが明らかになった。BVH−11遺伝子のコピー2種は一致せず、これらの遺伝子を任意にBVH−11(配列番号12;ヌクレオチド45〜2567にORF)およびBVH−11−2(配列番号13;ヌクレオチド114〜2630にORF)と命名した。
【0131】
BVH−3およびBVH−11のコーディング領域最初のアミノ酸は、シグナルペプチドとしても知られるリーダー配列の特性を有する。リポタンパク質改変/プロセッシング部位の共通シグナルペプチダーゼ開裂部位L−X−X−Cが配列内に存在した。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64からの成熟BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2タンパク質は、それぞれ1019個、821個および819個のアミノ酸を有する。成熟BVH−3、命名したBVH−3M(ヌクレオチド1837〜4896;配列番号11)、BVH−11M(ヌクレオチド102〜2567;配列番号12)、およびBVH−11−2M(ヌクレオチド171〜2630;配列番号13)をコードする肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)遺伝子の領域は、6種または7種の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株ゲノムDNAからPCR(DNAサーマル・サイクラー・ジーンアンプPCRシステム2400、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、サンホセ(San Jose)、CA)により増幅した。血清型6の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64および血清型9のSP63臨床分離株はケベック州立衛生研究所(セントアンデベレブ(Sainte-Anne-de-Bellevue))より提供された;血清型4株JNR.7/87はアンドリュー・カミリー(Andrew Camilli)(タフト大学、医学部、ボストン)より提供された;Rx1株、2型株D39の非莢膜化誘導体、および3型株A66とWU2はブリルズ(David E. Briles)(アラバマ大学、バーミンガム)より提供された;また、3型臨床分離株P4241はラヴァル(Laval)大学施療センター、伝染病学センター(セントホイ(Sainte-Foy))より提供された。
【0132】
制限部位付加のための塩基エクステンションを含むオリゴヌクレオチド・プライマー・セット、OCRR479−OCRR480、HAMJ160−OCRR488およびHAMJ160−HAMJ186は、それぞれBVH−3、BVH−11およびBVH−11−2遺伝子の増幅に用いたが、例外として、SP64株からのBVH−11遺伝子ではHAMJ487およびOCRR488からなるプライマー・セットを用いた。プライマー配列は下記に掲載する(表2)。PCR産物はキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いてアガロースゲルから精製し、BglII−XbaIまたはBglII−HindIII(ファルマシア(Pharmacia)カナダ・インク、バイデフルフ(Baie d'Urfe)、カナダ)で消化した。消化物はキアクイック(QIAquick)PCR精製キット(キアゲン(QIAgen)、チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて精製した。PCR産物はBglII−XbaIまたはBglII−HindIII pSL301ベクターに結合した。結合産物はシマニス(Simanis)の方法(Hanahan, D. DNAクローニング、D.M. Glover (ed), pp. 109-134)に従い、大腸菌株DH5α[Ф80 lacZ ΔM15 endA1 recA1 hsdR17(rK−mK+)supE44 thi−1λ− gyrA96 relA1 Δ(lacZYA−argF)U169](ギブコ(Gibco)BRL、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)に形質転換した。
【0133】
BVH−3、BVH−11またはBVH−11−2を含む組換えpSL301プラスミド(rpSL301)はキアゲン(QIAgen)キット(チャッツウオース(Chatsworth)、CA)を用いて精製し、DNA挿入断片の配列決定を実施した(タック・ダイ・デオキシ・ターミネーター・サイクル配列決定キット、ABI、フォスター・シティ、CA)。図11および12は、それぞれBVH−3から確立した共通配列と、BVH−11の推定アミノ酸配列を描出する。BVH−3タンパク質配列を比較すると、すべての株について配列の同一性が99〜100%であることが明らかとなるが、例外として、血清型9のSP63株からのBVH−3(配列番号15および配列番号16)は肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64のBVH−3’タンパク質配列上残基244〜420に相当する177個のアミノ酸を欠失している。さらなる血清型9株の配列を分析すると、BVH−3分子は4株の内3株が同じ欠失を有し、この3株が肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)血清型9クローンのメンバーであることを示唆している。
【0134】
7種の肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)から得た13種のBVH−11ヌクレオチド配列を比較すると、これらヌクレオチド配列が非常によく似ていることが判明した。予測されたBVH−11タンパク質配列を重ねて整列させ、コンピューター分析(マックベクター(MacVector)、クラスタル(Clustal)W1.4)するとこれらの配列は834個のアミノ酸鎖上、75%が同一であり、82%が相同性であると判明した。対ごとに整列すると、80〜100%一致することが判明した(図13)。これらの配列は体制全体で非常によく似ていることを示した。これらタンパク質の一次配列における可変性は、該タンパク質のC−末端部分の最終125アミノ酸に殆ど限定される。この領域が一つのドメインを構成する。このドメインを精査すると、配列が2群になることが判明した。図13から最初の9種の配列が一つの群に属し、最後の4種の配列がもう一方の群に属する。この13種のタンパク質のドメイン配列を比較すると、39%の同一性値が得られる(マックベクター(MacVector)、クラスタル(Clustal)W1.4)。同一群に属する配列を比較すると、同一性値は92%を超えて増大した。
【0135】
実施例7
本実施例は、BVH−3およびBVH−11遺伝子の部分の相同性を示す。
BVH−3およびBVH−11遺伝子に由来するDNAプローブによる分子分析は、BVH−3およびBVH−11に関連があることを指摘した。ドットブロットハイブリダイゼーション試験において、BHV−3またはBVH−11遺伝子配列のいずれかからなるDNAプローブが、BVH−3およびBVH−11遺伝子の両方にハイブリダイズし、故に、このことは、BVH−3およびBVH−11遺伝子が、相同配列を持つことを指摘している。配列の比較によって、該ORFおよびタンパク質は、それぞれ43および33%の同一性を有することが明らかとなった。より詳しい試験によって、BVH−3におけるアミノ酸1ないし225におよびBVH−11における1ないし228に対応する領域は、DNAおよびタンパク質レベルで、それぞれ73および75%の同一性を有することが明らかとなった。これに対し、BVH−3からのアミノ酸226ないし1039およびBVH−11からのアミノ酸229ないし840に対応する3’領域は、DNAおよびタンパク質レベルで、それぞれ34および22%の同一性しかなかった。そしてBVH−3およびBVH−11遺伝子の5’末端は、高度に保存された配列を含むようであり、一方、該遺伝子の残りの部分は、高度に分岐していた。これらの結果は、BHV−3およびBVH−11が、保存領域に存在する配列によって仲介される類似の機能を有しており、一方、BVH−3およびBVH−11特異的機能が、分岐領域における配列によって媒介されているようであることを示唆している。
【0136】
実施例8
本実施例は、切断BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2遺伝子の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるクローニング、および切断BVH−3およびBVH−11分子の発現を記載する。
遺伝子フラグメントを、改変されたオリゴヌクレオチドの組を使用してPCRによって増幅し、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP64からのBVH−3(配列番号1および配列番号11)、BVH−11(配列番号3および配列番号12)またはBVH−11−2(配列番号13)遺伝子に渡るフラグメントを増幅した。各プライマーは、5’末端に制限エンドヌクレアーゼ部位を有し、それによって消化されたプラスミドベクターへの増幅産物の、方向性のインフレームのクローニングが可能となった(表2および3)。PCR増幅産物を制限エンドヌクレアーゼによって消化し、pSL301(実施例1参照)、pCMV−GH(実施例2参照)またはpET(Novagen, Madison, WI)発現ベクターのいずれかの線形化されたプラスミド(同様に消化され、または矛盾しない粘着末端を生じる酵素で消化された)にライゲートした。組み換えpSL301および組み換えpCMV−GHプラスミドを、pET発現ベクターにおけるインフレームのクローニングのために、制限酵素で消化した。クローンを、切断BVH−3またはBVH−11分子の発現のために、E. coli BL21(λDE3)またはAD494(λDE3)へ導入する前に、最初に、E. coli DH5αにおいて安定化した。
【0137】
得られた各プラスミド構築物を、ヌクレオチド配列分析によって確認した。組換えタンパク質を、チオレドキシンおよびHis・TagとのN末端融合として、またはHisタグとのC末端融合として発現させた。発現された組み換えタンパク質を、His結合金属キレート化樹脂(QIAgen, Chatsworth, CA)を使用して、超音波処理したIPTG誘導E. coli培養物の遠心分離から得られた上精分画から精製した。生じた遺伝子産物を、表3に列挙する。シグナル配列を含むN末端領域に対応する遺伝子産物を、Lipidatedタンパク質またはリポタンパク質(L−タンパク質)と命名する。シグナル配列を欠いたN末端領域に対応する遺伝子産物を、シグナル配列を欠いたタンパク質として同定する(w/o ss)。
【0138】
【表4】
【表5】
【表6】
【0139】
【表7】
【表8】
【0140】
実施例9
本実施例は、モノクローナル抗体(Mabs)の単離およびBVH−3、BVH−11およびBVH−11−2タンパク質エピトープを特徴付けるMabsの使用を記載する。
メスのBALB/cマウス(Charles River)を、15μgのQuilアジュバント(Cedarlane Lanboratories Ltd, Hornby, Canada)の存在下、肺炎連鎖球菌(肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)) 株 SP64からの、BVH−3、BVH−11またはBVH−11−2遺伝子産物によって皮下に免疫化した。1セットのマウス(融合実験1)を第1日および第14日に25μgのアフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3M融合タンパク質で免疫化した。マウスの第二の群(融合実験2)を、25μgのアフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−11Mで3週間間隔で3回免疫化した。マウスの第3の群(融合実験3)を、25μgのアフィニティー精製チオレドキシンHis・Tag−BVH−11−2M融合タンパク質で第1日および第15日に免疫化した。
【0141】
マウスの第4の群(融合実験4)を、25μgのアフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−11−B融合タンパク質で第1日に免疫化し、第16日におよび第37日にPBS中の組み換えBVH−11Bで静脈内注射によって追加免疫化した。融合の3ないし4日前に、マウスを、25μgの、PBS単独中に懸濁されたそれぞれの抗原で静脈内に注射した。ハイブリドーマを、先にJ. Hamel et al. [J. Med. Microbiol., 23, pp163-170(1987)]によって記載されたように、非分泌性SP2/0ミエローマ細胞と脾臓細胞の融合によって生成した。ハイブリドーマの培養物上清を、まず、精製組換えタンパク質または熱で殺した肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)細胞の懸濁の製剤でコートしたプレートを使用して、Hamel et al.(前掲)によって記載の方法に従い酵素結合イムノアッセイによってスクリーニングした。次に、抗原の変化によるELISA反応に基づき選択された陽性のハイブリドーマを、限界希釈法によってクローニングし、増幅し(expand)、凍結した。
【0142】
ハイブリドーマを、Mabsによって認識されるエピトープを特徴付けるために、BVH−3およびBVH−11遺伝子産物に対する、ELISAまたはウェスタンイムノブロッティングによって試験した。BVH−3およびBVH−11は、6つのMabs(H3−1−F9、H3−1−D4、H3−1−H12、H11−1−E7、H11−1−H10およびH11−1.1−G11)との共通のエピトープを有し、両方のタンパク質と反応性を示した(表4)。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) SP64からのBVH−11およびBVH−11−2分子は、BVH−11およびBVH−11−2の組換えタンパク質の両方と反応性の、BVH−3には存在しない、Mabs(3A1、13C11、10H10、1D8、10G9、10A2、3E8、10D7、2H7および6H7)との共通のエピトープを有する(表5)。
【0143】
【表9】
【0144】
【表10】
【0145】
Mabsの免疫反応性試験から得られた結果(表4および表5)は、それぞれの遺伝子配列から演繹されたタンパク質配列と一致する。実際、BVH−3およびBVH−11分子と交差反応性のMabsは、保存領域に対応するBVH−3Cタンパク質を認識し、BVH−11およびBVH−11−2特異的Mabsは、これらの分子の様々な部分に位置するエピトープと反応性であった。BVH−3およびBVH−11、並びにBVH−11およびBVH−11−2を、Mabsとの反応性によって区別できる。
【0146】
実施例10
本実施例は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)によるBVH−3およびBVH−11遺伝子産物の同時発現を示す。
標準的ウェスタンブロット法を、BVH−3およびBVH−11遺伝子のどちらが肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)において発現されたか調査するために使用した。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP64およびSP63を、チョコレートアガープレート上で、終夜37℃で5%のCO2中で成長させ、バクテリアをPBS中に懸濁し、56℃20分で熱で殺した。抗体の調製のために、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)の懸濁を、SDSおよび2−メルカプトエタノールを含む試料バッファーで、100℃で5分間処理した。肺炎球菌性タンパク質抗体を、Laemmli[Nature, 227, pp. 680-685(1970)]の方法に従って、SDS−PAGE電気泳動によって分離した。SDS−PAGEの後、該タンパク質を、ゲルからニトロセルロースペーパーに、Towbin[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76, pp. 4350-4354(1979)]の方法によって電気泳動的に移し、マウス抗血清またはモノクローナル抗体で探索した。
【0147】
抗体と反応性の抗原の検出を、接合抗マウス免疫グロブリンおよび色基質を使用する間接酵素イムノアッセイによって実施した。組み換えBVH−3に対して産生された抗血清を、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64抗原に対して試験したとき、127kDaおよび99kDaの明白な分子量を有する二つの反応バンドを検出した。Mabs H3−1−F9、H3−1−D4、H3−1−H12、H11−1−E7、H11−1−H10およびH−11−1.1−G11をそれぞれ免疫学的プローブとして使用したとき、同じ明白な分子量を有するバンドも検出された。これに対して、BVH−3分子に特異的なMabsは、127kDaのバンドのみを検出し、BVH−11に特異的なMabsは、99kDaのバンドのみを検出し、故に、127および99kDaのバンドの同一性をBVH−3およびBVH−11としてそれぞれ確認した。これらの試験は、BVH−3およびBVH−11タンパク質は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)に同時に存在する証拠を提供している。さらに、この結果は、BVH−3およびBVH−11が、両方のタンパク質に共通するエピトープ、並びにいずれかのタンパク質に限られるエピトープを有するという先の観察結果と矛盾しない。
【0148】
肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)SP64において、成熟BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2は、それぞれ、112.5kDa、92.4kDa、および91.7kDaの予想された分子量を有する、1019、821および819アミノ酸のタンパク質である。配列から予想された分子量およびSDS−PAGEに基づき算出された分子量の間に不一致があるが、BVH−3は、その高分子量によってBVH−11から区別できる。さらに、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP63からのBVH−3分子は、SDS−PAGEにおける112kDaの明白な分子量を有し、これに対して、SP64 株のBVH−3は127kDaである。このデータは、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)株 SP63のBVH−3における177アミノ酸残基に及ぶ欠失と矛盾しない。
【0149】
実施例11
本実施例は、組み換えBVH−3またはBVH−11遺伝子産物でワクチン注射された、マウスの実験的な感染における、付与された防御を記載する。
7または8匹のメスのBALB/cマウス(Charles River)の群を、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3M融合タンパク質、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−11M融合タンパク質または、コントロールとして、PBS中のQuilAアジュバント単独のいずれかで3週間間隔で3回皮下に免疫化した。
【0150】
第3の免疫化に続いて12ないし14日間、マウスを肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) WU2 株で静脈内に、またはP4241 株で鼻腔内にチャレンジした。肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)チャレンジ接種菌の試料を、チョコレートアガープレート上に置き、CFUを測定し、チャレンジ用量を確認した。該チャレンジ用量は、およそ106CFUであった。死亡を、チャレンジ後14日の期間および第14日に記録し、生存マウスを屠殺し、血液試料を肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)微生物の存在について試験した。該生存データを表6および7に示す。
【0151】
【表11】
【0152】
【表12】
【0153】
組み換えBVH−3MまたはBVH−11Mタンパク質で免疫化されたすべてのマウスが、WU2での感染に対して生存したが、一方、アジュバント単独を与えられたコントロールのマウスは、生存しなかった。1匹を除いた、組み換えBVH−3MまたはBVH−11Mタンパク質で免疫化されたすべてのマウスが、P4241での感染に対して生存したが、一方、アジュバント単独を与えられたコントロールのマウスは、1匹しか生存しなかった。生存マウスからのすべての血球培養物は、チャレンジ後の第14日において陰性であった。これらの結果は、BVH−3MおよびBVH−11Mの両方が、マウスにおいて防御的な抗肺炎球菌免疫応答を誘発することを明白に指摘している。これらのタンパク質が、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)分離菌の中で高度に保存されている事実は、BVH−3およびBVH−11の不偏的なワクチン候補としての可能性を強調している。実際、血清群6 肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) 株 SP64からのBVH−3およびBVH−11タンパク質は、様々な莢膜血清型株での肺炎球菌感染に対する防御を誘発した。
【0154】
理想的には、肺炎球菌性疾患に対して防御することのできるワクチンは、髄膜炎、中耳炎、菌血症および肺炎に対して防御し得る。BVH−3およびBVH−11は、致死の全身性および肺炎感染型に対して防御性があった。故に、ヒトにおいて、BVH−3およびBVH11タンパク質に基づくワクチンが、莢膜血清型に関係なく実質的にすべての肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)によって引き起こされる広いスペクトルの疾患の発病率を減少させ得ることを示唆している。
【0155】
表6および表7からのデータは、BVH−3およびBVH−11の両方が、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)の防御誘発分子であったことを明白に示している。しかし、防御が、BVH−3およびBVH−11分子に共有されない特異的配列によって仲介されることができるか否かは、知られていなかった。メスのBALB/Cマウス(Charles River)の群を、15μgのQuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories Ltd, Hornby, Canada)の存在下、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tag−BVH−3AD、−BVH−3Bまたは−BVH−3C融合タンパク質のいずれかによって、3週間間隔で3回、皮下に免疫化した。コントロールのマウスを、PBS中のQuilAアジュバント単独、またはQuilAの存在下、アフィニティー精製チオレドキシン−His・Tagもしくはチオレドキシン−His・Tag−融合タンパク質(His−Thio)で免疫化した。
【0156】
NEW4、NEW5、NEW6、NEW7、NEW8、NEW9、NEW10、NEW11、NEW14およびBVH−11Bと命名した切断タンパク質の組の防御能を測定するために、メスのBALB/cマウス(Charles River)の群を、15μgのQuialAアジュバントの存在下、25μgのアフィニティー精製His・Tag−融合タンパク質のいずれかで、3週間間隔で2回、皮下に免疫化した。最後の免疫化に続いて10ないし14日、マウスを毒性肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)でチャレンジした。我々の結果は、BVH−3B(アミノ酸512−1039からなる切断BVH−3分子)が、マウス毒性株 WU2およびP4241に対する防御を誘発したことを指摘している。
【0157】
同様に、BVH−11B、NEW4およびNEW5分子(それぞれアミノ酸354−840、アミノ酸286−840およびアミノ酸286−713からなる3つの切断BVH−11分子)は、WU2での実験的な静脈内チャレンジおよびP4241での鼻腔内チャレンジに対する防御を誘発した。さらに、BVH−11−2分子からのアミノ酸272−838およびアミノ酸227−699からなるNEW10およびNEW14でのワクチン接種も、肺炎球菌株による死亡に対して防御をもたらした。これらの結果は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) SP64 BVH−11およびBVH−11−2タンパク質配列におけるアミノ酸286−713およびアミノ酸272−699からの428アミノ酸を含む領域が、それぞれ防御的エピトープを含むことを指摘している。この領域は、13のBVH−11タンパク質配列の間に全体的な91%同一性および94%相同性を有し、高度に保存されている。
【0158】
【表13】
【0159】
実施例12
本実施例は、BVH−11のカルボキシル末端領域へのC’末端での融合におけるBVH−3のカルボキシル末端に対応するキメラ・ポリペプチドをエンコードするキメラ遺伝子のクローニングおよび発現並びにキメラ・ポリペプチドによるワクチン接種の後に観察された付加的な防御を記載した。
BVH−3およびBVH−11は、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)に同時に存在する、血清的に別の分子であることは、前記で記載した研究から明白である。マウスの免疫学的研究は、両方のタンパク質が、よいワクチン候補であることを指摘している。これらのタンパク質は、血清型に関係なく、すべての肺炎球菌に対して防御を提供する可能性を有する。二つのタンパク質は、エピトープおよび配列を共有するとしても、それらは、異なる性質を有し、異なる生物学的機能を提供し得る。故に、二つのタンパク質に対する免疫化は、それぞれによって個別に分け与えられるものよりもより高いレベルの防御を提供し得る。これを試験するために、全長または切断BVH−3およびBVH−11を組み合わせまたは結合して投与するいくつかの達成方法が、探求されることができる。ここに、我々は、BVH−3−BVH−11融合遺伝子の遺伝子操作およびNEW12と称するタンパク質 (それぞれ配列番号76および配列番号58)、並びにNEW12タンパク質のワクチンとしての可能な使用を記載する。
【0160】
遺伝子の3’末端に対応するBVH−3およびBVH−11遺伝子フラグメントを、改変されたオリゴヌクレオチドの組を使用してPCRによって増幅し、それぞれ肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae) 株 SP64 BVH−3およびBVH−11遺伝子からの、ヌクレオチド1414ないし3117(配列番号1)およびヌクレオチド1060ないし2520(配列番号3)に渡るフラグメントを増幅した。使用したプライマー、HAMJ278およびHAMJ279;HAMJ282およびHAMJ283は、5’末端に制限エンドヌクレアーゼ部位を有し、それによって増幅産物の消化されたpET21b(+)プラスミドベクター(表2)への直接的なインフレームなクローニングが可能となった。PCR増幅産物を制限エンドヌクレアーゼによって消化し、同様に消化した線形化されたプラスミドpET21b(+)ベクターにライゲートした。得られたプラスミド構築物を、ヌクレチド配列分析によって確認した。NdeI−HindIII BVH−3 PCR産物を含む組換えpET21b(+)プラスミドを、BVH−11遺伝子フラグメントを含む組み換えpET21(+)ベクターから得られたHindIII−NotI DNAフラグメントのインフレームのクローニングのために、制限酵素HindIIIおよびNotIでの消化によって線形化した。キメラ肺炎球菌タンパク質分子の発現のためにE.coli BL21(λDE3)に導入する前に、クローンを最初にE. coli DH5αにおいて安定化した。NEW12と称する組換えキメラペプチドを、His−タグとのC末端融合として発現させた。発現した組み換えNEW12タンパク質を、His結合金属キレート化樹脂(QIAgen, Chatsworth, CA)を使用して、超音波処理IPTG誘導E. coli培養物の遠心分離から得られた上清分画から精製した。
【0161】
前記記載の同じ方法によって、New1およびNew4、New1およびNew5、New1およびNew10、またはNew1およびNew14の同時発現の結果として、他のキメラ・ポリペプチドを構築することが可能である。該構築物は、New1と、New4、New5、New10、BVH−11BまたはNew14の上流または下流へのものであることができる。BVH−3、BVH−11またはBVH−11−2のいずれかの遺伝子の二つのフラグメントより多い同時発現の結果として、他のキメラペプチドを構築することもできる。
【0162】
8匹のメスのBALB/cマウス(Charles River)の群を、15μgのQuilAアジュバントの存在下、25μgのアフィニティー精製His・Tag−融合NEW1、BVH−11BまたはNEW12タンパク質のいずれかで、3週間間隔で2回皮下に免疫化した。最後の免疫化に続いて10ないし14日、マウスを毒性肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)でチャレンジした。前に示したように、それぞれBVH−3タンパク質からのアミノ酸472ないし1039およびBVH−11タンパク質からのアミノ酸354−840を含む、NEW1およびBVH−11B分子は、防御免疫反応を誘発することのできるタンパク質の一部に対応した。
【0163】
キメラ・ポリペプチドが、それぞれの対応するものについて見られるものと比較して、有意に防御を向上させることができるかどうか決定するために、チャレンジ用量を、NEW1およびBVH−11B分子によって防御が期待されないように、調節した。興味深いことに、該キメラNEW12タンパク質は、マウス毒性株WU2およびP4241に対する防御を誘発した。NEW12で免疫化した8匹のうち7匹のマウスが、チャレンジの10日後なお生存し、一方、NEW1、BVH−11B、BVH−3Mまたはアジュバント単独で免疫化した32匹のマウスのうち28匹が、チャレンジ後5日までに死亡した。故に、NEW12でのマウスのワクチン接種は、WU2チャレンジに対する最高の程度の防御を提供した。これらの結果は、キメラ・ポリペプチドでの免疫化およびあるいはBVH−3およびBVH−11遺伝子産物の組み合わせが、BVH−3またはBVH−11抗原単独の投与によって取得されたものに付加的な防御を提供することのできることを指摘している。
【0164】
【表14】
【0165】
実施例13
本実施例は、S.pneumoniaeのほかの連鎖球菌種における付加的なBVH−3およびBVH−11関連配列の同定を示す。
BVH−3、BVH−11およびBVH−11−2は、共通配列を共に有する関連するタンパク質のファミリーであることを前記で示した。相同性の探索を、これらの遺伝子の保存領域からのヌクレオチド配列で実施し、FASTAを使用して、GenBankおよびEMBL配列と比較した。最も有意な相同性が、B群連鎖球菌またはGBSとも称されるS. agalactiaeにおける未知の機能の算出された92kDaのタンパク質(配列番号81)をコードする2.469kbの遺伝子との間に観察された。これらの遺伝子をBVH−71と命名した。GBSのものと99.2%の同一性および99.5%の類似性を示すタンパク質も、A群連鎖球菌またはGASとも称されるS. pyogenesにおいて同定した(配列番号83)。BVH−71配列の5’領域(配列番号80および配列番号82)は、ヌクレオチド1ないし717におよび、それぞれBVH−3(ヌクレオチド1ないし675)およびBVH−11(ヌクレオチド1ないし684)遺伝子の保存領域と58および60%の同一性を示した。
【0166】
GBSおよびGASのBVH−71オープンリーディングフレームの翻訳された配列の最初の239アミノ酸は、それぞれ、BVH−3およびBVH−11の最初の225および228アミノ酸と51および54%の同一性があった。構造上の類似性に加えて、連鎖球菌のBVH−3、BVH−11およびBVH−71タンパク質は、抗原性エピトープも共有している。97kDaのバンドが、BVH−3およびBVH−11保存領域と反応性のあるMabs H11−1.1−G11を使用して、GASまたはGBS全細胞のウェスタンブロットにおいて明らかになった。同様に、GASおよびGBS組み換えBVH−71タンパク質をウェスタンイムノブロット分析において検出した。
これらの結果は、BVH−71、BVH−3およびBVH−11タンパク質が、同様の機能を共有していることを指摘している。我々の結果は、BVH−71タンパク質を、抗連鎖球菌のタンパク質ワクチン構成成分として使用できることも示唆している。さらなる実施態様において、BVH−71タンパク質を、抗GASまたは抗GBSワクチンのタンパク質ワクチン構成成分として使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有する第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチド。
【請求項2】
当該ポリヌクレオチドが該第二のポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有するポリペプチドに対し結合特異性を有する抗体を生成し得るポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1記載のポリヌクレオチドに相補的である単離体ポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項3記載のポリヌクレオチドに相補的である単離体ポリヌクレオチド。
【請求項6】
当該ポリヌクレオチドがDNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
当該ポリヌクレオチドがDNAである請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
当該ポリヌクレオチドがRNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
当該ポリヌクレオチドがRNAである請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、当該DNAが発現制御領域に操作可能に結合しているベクター。
【請求項11】
請求項3記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、当該DNAが発現制御領域に操作可能に結合しているベクター。
【請求項12】
請求項10記載のベクターを移入した宿主細胞。
【請求項13】
請求項11記載のベクターを移入した宿主細胞。
【請求項14】
ポリペプチドの製造法であって、当該ポリペプチドの発現に適した条件下に請求項12記載の宿主細胞を培養することを特徴とする方法。
【請求項15】
ポリペプチドの製造法であって、当該ポリペプチドの発現に適した条件下に請求項13記載の宿主細胞を培養することを特徴とする方法。
【請求項16】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列を有する第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有する単離体ポリペプチド。
【請求項17】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有する第二のポリペプチドに対し結合特異性を有する抗体を生成し得る単離体ポリペプチド。
【請求項18】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列を有する単離体ポリペプチド。
【請求項19】
請求項18記載のポリペプチドであって、そのN−末端Met残基が欠失している単離体ポリペプチド。
【請求項20】
請求項18記載のポリペプチドであって、その分泌アミノ酸残基が欠失している単離体ポリペプチド。
【請求項21】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドであって、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体がキメラ・ポリペプチドを形成するように結合しているキメラ・ポリペプチド。
【請求項22】
配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドであって、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体がキメラ・ポリペプチドを形成するように結合しているキメラ・ポリペプチド。
【請求項23】
式(I):
A−(B)m−(C)n−D (I)
ただし、
mは0または1である;
nは0または1である;
Aは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
で示されるキメラ・ポリペプチド。
【請求項24】
式(I):
A−(B)m−(C)n−D (I)
ただし、
mは0または1である;
nは0または1である;
Aは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
で示されるキメラ・ポリペプチド。
【請求項25】
請求項16ないし24のいずれかに記載のポリペプチドおよび医薬的に許容し得る担体、賦形剤またはアジュバントを含んでなるワクチン組成物。
【請求項26】
髄膜炎、中耳炎、菌血症または肺炎の感染に罹患する可能性のある個体における髄膜炎、中耳炎、菌血症または肺炎の治療的または予防的処置方法であって、請求項25に記載の組成物の治療量または予防量を当該個体に投与することを特徴とする方法。
【請求項27】
連鎖球菌感染に罹患する可能性のある個体における連鎖球菌による細菌感染の治療的または予防的処置方法であって、請求項25に記載の組成物の治療量または予防量を当該個体に投与することを特徴とする方法。
【請求項28】
当該個体が哺乳動物である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
当該個体がヒトである請求項27に記載の方法。
【請求項30】
当該細菌感染が肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)、A群連鎖球菌(化膿菌、pyogenes)、B群連鎖球菌(GBSまたはアガラクチエ、agalactiae)、ディスガラクチエ(dysgalactiae)、ユベリス(uberis)、ノカルディア(nocardia)またはスタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)である請求項22に記載の方法。
【請求項31】
当該細菌感染が肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)によるものである請求項26に記載の方法。
【請求項32】
連鎖球菌感染症に罹患する可能性のあるまたは感染している動物において、該組成物の治療量または予防量を当該動物に投与することを含んでなる連鎖球菌感染症の予防的または治療的処置のための請求項25記載のワクチン組成物の使用。
【請求項1】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有する第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチド。
【請求項2】
当該ポリヌクレオチドが該第二のポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをエンコードする請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有するポリペプチドに対し結合特異性を有する抗体を生成し得るポリペプチドをエンコードする単離体ポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1記載のポリヌクレオチドに相補的である単離体ポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項3記載のポリヌクレオチドに相補的である単離体ポリヌクレオチド。
【請求項6】
当該ポリヌクレオチドがDNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
当該ポリヌクレオチドがDNAである請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
当該ポリヌクレオチドがRNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
当該ポリヌクレオチドがRNAである請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、当該DNAが発現制御領域に操作可能に結合しているベクター。
【請求項11】
請求項3記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターであって、当該DNAが発現制御領域に操作可能に結合しているベクター。
【請求項12】
請求項10記載のベクターを移入した宿主細胞。
【請求項13】
請求項11記載のベクターを移入した宿主細胞。
【請求項14】
ポリペプチドの製造法であって、当該ポリペプチドの発現に適した条件下に請求項12記載の宿主細胞を培養することを特徴とする方法。
【請求項15】
ポリペプチドの製造法であって、当該ポリペプチドの発現に適した条件下に請求項13記載の宿主細胞を培養することを特徴とする方法。
【請求項16】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列を有する第二のポリペプチドに少なくとも70%の同一性を有する単離体ポリペプチド。
【請求項17】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される配列を有する第二のポリペプチドに対し結合特異性を有する抗体を生成し得る単離体ポリペプチド。
【請求項18】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択されるアミノ酸配列を有する単離体ポリペプチド。
【請求項19】
請求項18記載のポリペプチドであって、そのN−末端Met残基が欠失している単離体ポリペプチド。
【請求項20】
請求項18記載のポリペプチドであって、その分泌アミノ酸残基が欠失している単離体ポリペプチド。
【請求項21】
配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドであって、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体がキメラ・ポリペプチドを形成するように結合しているキメラ・ポリペプチド。
【請求項22】
配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77から選択される1種またはそれ以上のポリペプチド、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含んでなるキメラ・ポリペプチドであって、該ポリペプチドまたはそのフラグメント、類似体または誘導体がキメラ・ポリペプチドを形成するように結合しているキメラ・ポリペプチド。
【請求項23】
式(I):
A−(B)m−(C)n−D (I)
ただし、
mは0または1である;
nは0または1である;
Aは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号2、4、6、8、10、14、16、55〜75、77〜79、81、83またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
で示されるキメラ・ポリペプチド。
【請求項24】
式(I):
A−(B)m−(C)n−D (I)
ただし、
mは0または1である;
nは0または1である;
Aは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Bは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
Cは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;および
Dは配列番号10、58、60、62、64、67、68、69、72、74、77またはそのフラグメント、類似体または誘導体から選択される;
で示されるキメラ・ポリペプチド。
【請求項25】
請求項16ないし24のいずれかに記載のポリペプチドおよび医薬的に許容し得る担体、賦形剤またはアジュバントを含んでなるワクチン組成物。
【請求項26】
髄膜炎、中耳炎、菌血症または肺炎の感染に罹患する可能性のある個体における髄膜炎、中耳炎、菌血症または肺炎の治療的または予防的処置方法であって、請求項25に記載の組成物の治療量または予防量を当該個体に投与することを特徴とする方法。
【請求項27】
連鎖球菌感染に罹患する可能性のある個体における連鎖球菌による細菌感染の治療的または予防的処置方法であって、請求項25に記載の組成物の治療量または予防量を当該個体に投与することを特徴とする方法。
【請求項28】
当該個体が哺乳動物である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
当該個体がヒトである請求項27に記載の方法。
【請求項30】
当該細菌感染が肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)、A群連鎖球菌(化膿菌、pyogenes)、B群連鎖球菌(GBSまたはアガラクチエ、agalactiae)、ディスガラクチエ(dysgalactiae)、ユベリス(uberis)、ノカルディア(nocardia)またはスタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)である請求項22に記載の方法。
【請求項31】
当該細菌感染が肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)によるものである請求項26に記載の方法。
【請求項32】
連鎖球菌感染症に罹患する可能性のあるまたは感染している動物において、該組成物の治療量または予防量を当該動物に投与することを含んでなる連鎖球菌感染症の予防的または治療的処置のための請求項25記載のワクチン組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11−1】
【図11−2】
【図12−1】
【図12−2】
【図12−3】
【図12−4】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図29】
【図30】
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【図34】
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【図38】
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【図40】
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【図47】
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【図12−2】
【図12−3】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図28】
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【図38】
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【図43】
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【図46】
【図47】
【図48】
【公開番号】特開2010−142246(P2010−142246A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26521(P2010−26521)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【分割の表示】特願2000−591190(P2000−591190)の分割
【原出願日】平成11年12月20日(1999.12.20)
【出願人】(505330594)アイディ・バイオメディカル・コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】ID Biomedical Corporation
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【分割の表示】特願2000−591190(P2000−591190)の分割
【原出願日】平成11年12月20日(1999.12.20)
【出願人】(505330594)アイディ・バイオメディカル・コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】ID Biomedical Corporation
【Fターム(参考)】
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