説明

方位および位置決めシステム

本システムは、方位および位置が要求され得る第1ノード(CS1、CS2)のクラスタおよび、直接の見通し線を共有する前記第1ノードの相対的な方位および位置を決定するための計測ノードと呼ばれる少なくとも1つのノード(FN1、FN2、...)から成り、各ノードがそれらの送信側および受信側で受信波および送信波の様々な偏波を伴うMIMOプロセスに基づいて動作する無線局(11、12、13...)を有する。無線局は、・受信無線局が4つの偏波MIMO行列を推定できるように、送信側での偏波モードの選択およびその選択された偏波モードでのパイロット時空ブロックコードの送信;・受信機側での偏波モードの選択および受信した時空信号をその送信された時空ブロックと照合することによる4つの偏波MIMOチャネル行列の推定;・各クラスタ内の第1ノードの位置および方位の別々の推定;・マルチパス信号の寄与を同偏波MIMOチャネル行列から除去するための4つの推定された偏波MIMOチャネル行列の結合;・受信機側で衝突マルチパス信号を特性化する方位角および仰角ならびに送信機側で発信マルチパス信号を特性化する方位角および仰角を推定するための直交偏波チャネルでの推定されたMIMOチャネル行列の使用、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して無線システムにおける位置決めに関し、より詳細には、見通し線(LOS)を検出して、移動ノードの位置および方位の推定値を配信するために、時間、偏波および空間ダイバーシチを結合する空間フィルタリング機能を備えた、方位および位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるシステムは、オブジェクトの位置および方位の信頼できる推定値を配信するために有用である。このシステムは、位置および方位探知の目的物であるオブジェクトが、位置決め無線局と直接の見通し線を共有しないマルチパス無線環境、または探知するオブジェクトと位置決め局との間に少なくとも1つの見通し線がある無線環境のいずれにおいても使用可能である。かかるシステムは、屋内および屋外環境において動作することができる。このシステムはまた、干渉軽減および容量改善のような、他の無線ネットワークサービスに有用な空間フィルタリングソリューションも提供する。
【0003】
リモートオブジェクトの位置決めは、介在する中継ノードの相対的な位置および方位に関する中間パラメータを必要とする。この場合、中継ノードの相対的な位置だけでなく、それらの相対的な方位も完全に知ることが重要である。
【0004】
上記の種類の方位探知装置は、アドホックネットワークに関連する特許文献EP 11617 601から知られている。そのシステムは、本特許文献で開示の通り、これらのネットワークで必要な位置決め情報を提供することを目的とする。
【0005】
別の適用は、一定領域に関して、温度、塩分...などのいくつかの水のパラメータ、および風の強度などの他の大気のパラメータを測定するために、視野内の海に浮かんでいる海洋ブイ群に関する。これらのブイの地理的方位は、軌道計画を考慮し、注意して検討されなければならない。
【0006】
本発明の目的は、従来技術よりも優れた性能を有する装置を提供すること、および、特に、多数のアクセスポイントまたはアンカーポイント(GPS衛星は三角測量を使用している)を必要とせずに、オブジェクトの方位を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によれば、上述したシステムは、少なくとも以下のタスクを実現するという点において優れている:
・対になっていない送信機‐受信機の円偏波モードに対応する直交偏波MIMO行列の推定によるマルチパス信号検出および非見通し線(NLOS)MIMOチャネル推定。この推定プロセスは、たとえ送信機および受信機が相互に相対的に間違った方向に向けられていても、円偏波モードは、見通し線(LOS)を経由して送信される際に変更できないため、自然のマルチパスフィルタリングを表す。
・送信機側と受信機側での偏波が同一であるリンク上で推定される同偏波(co−polarized)MIMO行列に寄与するマルチパスの除去によるLOSサブチャネルフィルタリング。このフィルタリングプロセスは、NLOSの場合のように自然には実現できないが、これは、そのフィルタリングがアルゴリズムによって実現されるからである。
・タイミング同期を利用して時間内に分離できないノード群の位置および方位の単独での推定。
・2つの対になっていない円偏波に対応する2つの直交偏波MIMO行列および対になっていない円偏波に対応する2つの同偏波MIMO行列の推定。
・一方ではタイムドメイン内での第1フィルタリングステップの実現を目的とし、他方では上記4つのMIMO行列の推定を目的とする、偏波の時空ブロックコードを使用する時空偏波。
・推定された偏波MIMO行列を用いた、到来方向(DOA)、到来波の傾斜角(TAON)、放射方向(DOD)および放射波の傾斜角(TAOUT)の推定。
・MUSICやMVRなどの高分解能アルゴリズムの、それらの相対的な多重偏波依存空間スペクトルの結合による改善。
・位置決め無線局と位置および方向操作の対象であるオブジェクトとの間に利用可能な見通し線がない場合の位置および方向探知サブシステム。このサブシステムは、MIMOまたは多重偏波操作のいずれも実施できない無線局に限定された技術に対しても有用である。経路損失ベースの位置決め方法において、非等方性アンテナの問題は、ノード間の距離の誤推定を引き起こすため、重大な問題を提示することにも注意すべきである。その理由は、最終的な経路損失は、送信アンテナ利得および受信アンテナ利得の両方に比例するという事実から生じる。利得は、アンテナの方位にも依存する。これは、単純な利得等化による異方性効果の是正を困難にする。提案されたサブシステムも、これら特定の問題の解決策となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の重要な態様は、低ビット誤り率を必要とする情報を送信するためにフィルタリングされた同偏波MIMO行列を使用し、品質要求の低い情報については直交偏波行列を使用する実現性である。
【0009】
反射波の適合したフィルタリングは、偏波自体によって提供される自然のフィルタリングを改善するような方法で実行されることに留意しなければならない。
【0010】
本発明は、例として、添付の図を参照して、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1a】偏波ダイバーシチ機能を備えたMIMOシステムが適用可能な無線サブシステムを示す図である。
【図1b】本発明による位置および方位推定MIMOならびに偏波ベースのサブシステムに対応するブロック図を示す。
【図1c】本発明に従って使用され得る無線フロントエンドの一例を示すブロック図である。
【図1d】マルチパスチャネルの、ネットワーク内の移動ノード間の伝送波および方位間違いへの影響を示す図である。
【図1e】ユーザークラスタリングおよび信号検出の原理を示す図である。
【図1f】空間検出およびチャネルフィルタリングブロックを強調する反復の位置方位決めプロセスの高水準記述を示す図である。
【図1g】チャネルフィルタリングのない到来角スペクトルを示す図である。
【図1h】マルチパス成分のフィルタリング後の到来角スペクトルを示す図である。
【図1i】最小分散検出アルゴリズムの主要な構成要素を示す図である。
【図1j】MUSIC検出アルゴリズムの主要な構成要素を示す図である。
【図1k】対形成アルゴリズムの主要な構成要素を示す図である。
【図2】位置および方位探知操作の対象となる各オブジェクトで非等方性利得を有するシングルアンテナが使用される位置および方位探知サブシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1aは、結合された空間ダイバーシチおよび偏波ダイバーシチが使用可能な位置および方位サブシステムの一例である。そのサブシステムは、多数のセンサークラスタCS1、CS2、CS3...および多数の固定ノードFN1、FN2、FN3を含む。本発明の目的は、任意のクラスタまたは固定ノードから検討される全てのノードおよびクラスタの方位および位置を探知することである。この図1aにおいて、それぞれ起点P(0)、P(1)、P(2)...を持つ照合システムu(1)(1)、u(1)、u(2)(2)、u(2)、u(3)(3)、u(3)は、クラスタCS1、CS2、CS3...に割り当てられる。これらの照合システムは、固定ノードFN1、FN2、FN3、...の照合システムと相対的に移動可能である。
【0013】
図1bは、言及したクラスタおよび固定ノードに組み込まれている無線受信機の細部を示す。その無線受信機は、位置サーバー(LS)25を経由して位置および方位(LO)情報を共有する1組の方位無線局11、12、13、14を含む。全ての前述の局11、12、13、14は、同一の構造を持つことができる。図1bにおいてのみ、局11がより詳細に示されている。この局の無線部分(PRS)は、アナログ高周波変調およびフィルタリング用の無線フロントエンド(RFE)23ならびに電磁右旋円偏波(RHCP)または左旋円偏波(LHCP)25をいつでも送受信可能な制御可能偏波無線構造(CPRS)から成る。PRSのベースバンド部分は、CPRS、MIMO偏波チャネル推定(PCE)モジュール27、および位置および方位探知機(LOF)28内部のいずれかのグループのアンテナの偏波状態(RHCPまたはLHCP)を選択可能な偏波コントローラ(PC)26を備える。
【0014】
図1cは、装置11のより明確な構成である。その装置は、種々の偏波を受信可能なグループアンテナのバンクAG1、...AGgを含む。各バンクは、3つの円偏波アンテナの1つまたは数個のグループから成る。例えば、バンクAG1は、少なくとも3つのアンテナ素子33、34および35を含む。各グループ内のアンテナ素子は、次の3つの軸に向けられている。これらの軸の方位を記述する単位基底ベクトルx、y、およびzは、次元1、2または3の基底を形成する。かかる基底の3つの次元およびこれら単位ベクトル間の完全な直交性は、実際に達成するのは難しいが、望ましい。後者の場合、送信機での、および受信機アンテナ配置での無線システムは、それぞれ左旋円偏波(LHCP)または右旋円偏波(RHCP)の放射または検索を可能にする、完全な偏波システムを使用すると言われる。
【0015】
線状アンテナのアレー配置で使用する場合、同じグループ内で一定の素子間間隔dおよび一定のグループ間間隔dを保持しながら、所与の軸に沿った構成が定期的に繰り返される。構造により、間隔dが半波長の倍数である場合、異なるグループに属するアンテナ素子間に相互関係または結合はない。
【0016】
送信機および受信機側のアンテナ配列は、無線構成の完全性およびLHCPとRHCP信号との間の直交性が、構成されたビームフォーマ間の完全性および直交性を通じて保存される、偏波MIMOシステムの形成を可能にする。
【0017】
図1cは、全ての偏波モードの並列検出の実現に利用可能なハードウェア資源がない場合に、所与の時間に受信するための偏波を選択する偏波モード選択モジュール37を示す。低雑音増幅器38、局部発振器39、アナログデジタル変換器40およびベースバンド成形フィルタから成る無線フロントエンドの主要なRF構成要素も示されている。
【0018】
図1cは、無線フロントエンドと、パイロットシンボルの非コヒーレント検出、チャネル推定および位置‐方位探知42を実現する主要なベースバンドモジュールとの間の相互接続も示す。
【0019】
図1dは、マルチパス伝搬の一例のための略図表現を示す。その図では、いくつかのノードP(0)、P(1)、P(2)およびP(3)を示す。参照Pth1、Pth2、Pth3およびPth4は、ノードP(0)とP(1)の間のいくつかの伝搬経路を示す。ノードP(0)とノードP(2)の間に直接リンクがないことに留意しなければならない。これらの各ノードに対して座標系が付加されて、評価される全ての方位および位置パラメータがこのローカル座標系に参照されるようにする。この図1dは、マルチパス無線チャネルおよび方位誤り(mis−orientation)53の略図表現を示す。その表現は、LOSは通常、全てのノード対に対しては存在しないこと、およびかかる状況では、別のノードに相対的なノードの方位は、アドホックモード54を使用して計算し得ることを示す。任意のリンク
【化1】

の広帯域(WB)チャネル応答は、ノード
【化2】

が偏波状態qで受信し、ノード
【化3】

が偏波状態qで送信している場合に、リンク
【化4】

に対応するMr(q)×Mr(q´)MIMOチャネル行列によって表される。かかる行列は、次の式で与えられる:
【数1】

式中、
【数2】

である。
【0020】
【数3】

(それぞれ、
【数4】

)は、受信機(それぞれ送信機)側でのステアリングベクトルである。上付き文字Hは、エルミート共役を意味する。
【0021】
符号γl´,lは、傾斜角を示す。時間変数τ(l´,l)は、ノード
【化5】


【化6】

の間の同期遅延および波iの移動時間の両方を含む。Cq´,q(l´,l,i)は、経路iに沿った、送信偏波状態q´および受信偏波状態qに対応するチャネル利得を示す複素数である。リンク
【化7】

のLOSに沿って、チャネル利得は、特性、
Cq´,q(l´,l,i,τ´,τ)=Pl´,lδq,q´ (3)
を有し、ここで、
【化8】

は、2つのノード間の距離特性およびk=(2π/λ)に応じた複合経路損失要因である。
【0022】
LOSがリンク
【化9】

上に存在し、その結果、ノード
【化10】

に相対的なノード
【化11】

の方位が以下のウィグナー行列によって完全に記述されると考えられる:
【数5】

式中、α(l,l´)、β(l,l´)およびγ(l,l´)は、対応するオイラー角である。
【0023】
送信機側および受信機側でのアンテナ配列は、無線構成の完全性およびLHCPとRHCP信号との間の直交性が、構成されたビームフォーマ間の完全性および直交性を通じて保存される、偏波MIMOシステムの形成を可能にする。所与の偏波状態(RHCPまたはLHCP)qについて、軸に沿ったアンテナのグループに対するステアリングベクトルは、
(q,Ω)=D(d,Ω)p(q,Ω) (5)
によって与えられ、式中、
【数6】

である。
【0024】
は、偏波依存ステアリングベクトルである。小規模のデュアル電磁ダイポールに対して、このステアリングベクトルは、最大で
【数7】

によって与えられる一定の複素スカラーダイポールまでである。
【0025】
(q,Ω)のq指標は、アンテナのグループgを一定の偏波状態q専用にできることを記憶するためである。これは、アンテナ構造がサイズ制限のない基地局のものの場合にあり得る。指標qは、PCの動作の下でグループスイッチが偏波状態qにされた後、同じアンテナグループがRHCPまたはLHCPアンテナのいずれかによって使用される場合、省略され得る。
【0026】
アンテナの全セットのステアリングベクトルは、
【数8】

によって与えられる。
【0027】
図1eは、同期段階でクラスタ化されている移動ノードに対する手順を示す。任意の受信機l´によって見られるマルチユーザーMIMOネットワークは、l=1,..Lによって指標付けされ、信号を時間シンボルnTにおいて送信する1組のノードから成る。これらのノードは、受信機の同期モジュールによって有限数のクラスタ55に分けられる。各クラスタは、有限数の送信機を表し、同一のクラスタに属するノードによって送信される波の第1到着時間(TOA)は、受信機側で同じ時間シンボル56の間に収まる。所与のクラスタに属するLノードに対して、偏波状態q´が全てのクラスタノードによって送信される場合に、偏波状態qで受信されたMIMO信号行列は、
【数9】

によって与えられる。
【0028】
ここで、同一の時間シンボル内のLユーザー間のTOA差によるサンプリング利得およびフィルタリング利得によるサンプリング利得は、チャネル係数利得の一部であると考えられる。この式において、Zq,q´(n)は、マルチパス干渉信号および熱雑音から生じる(Mr(q)×N)雑音行列である。Cq,q´は、特性:
【数10】

を有する周期的位相外(periodic out−of−phase)相関関数を持つ相補的コードセットから取得された可能性のあるパイロットブロックである。
【0029】
式中、Δ(τ)は、行列Cq,q´の任意の反復コードをτシンボルによって遅らせるシフト演算子であり、IMrはMr(q)×Mr(q)恒等行列である。
【0030】
情報放送専用のパイロットチャネルが、MIMOチャネルパラメータの推定に必要である。多重アンテナ構造がいかに膨大かによって、次の2つの信号伝達方式が使用され得る:
・特定の時間間隔中に、各送信機が、4つの双モードチャネル行列Hq,q´のうちの1つを推定することを目的としたトレーニング系列の送信を許可される単一モードの信号伝達方式。
・同じ時間間隔中に、受信機が2つの双モードチャネル行列を推定できるように、各送信機が2つのシンボルブロックを並行して送信する、双モードの信号伝達方式。
【0031】
同一場所に配置された電気および磁気アンテナを備え、この種のアンテナ間で信号伝達方式を使用するMIMOシステムのパイロットチャネルは、そのパイロットチャネルによって送信された信号Cp,p´によって記述でき、ここで、p(それぞれ、p´)は、受信機側(それぞれ、送信機側)で使用される偏波のタイプを特性化するために使用される指標である。1組のN個のアンテナの偏波状態を識別する表記法は:
【数11】

に従って採用される。
【0032】
式中、pは、アンテナnが偏波状態0(電気的に偏波されているか、または右旋円偏波されている)および値p=1の場合、値0を取るアンテナ番号nの偏波状態であり、アンテナが偏波状態1(磁気的に偏波されているか、または左旋円偏波されている)の場合、値p=1である。
【0033】
関心対象の場合は、同様に偏波されたアンテナの場合に一致する。かかる場合、全てのN個のアンテナが電気的に偏波されているか、または右旋円偏波されているとき、p=0であり、全てのアンテナが磁気的に偏波されているか、または左旋円偏波されているとき、p=2−1である。関心対象のかかる場合のみが考慮される場合、p=0の代わりに簡単な表記法(light notation)p=q=−1、p=2−1の代わりにp=1が使用され得る。
【0034】
電気的−磁気的偏波アンテナ間のMIMOチャネル応答の場合を、円偏波アンテナ間のMIMOチャネル応答の場合と区別するため、第1の場合におけるMIMOチャネル応答はH´で示され、第2の場合におけるMIMOチャネル応答はHで示される。電気的−磁気的偏波アンテナが接続の両側で使用される場合、偏波状態pで受信された信号行列は、偏波状態p´がすべてのクラスタノードで送信されるとき、この場合は、
【数12】

によって与えられ、式中、Zp,p´は、付加雑音である。
【0035】
簡単な表記法の使用により、2種類の偏波のMIMOチャネル応答間の対応を、次のように確立できる:
−1、−1(l´,l,i)=0.5(H´−1,−1(l´,l,i)+H´1,1(l´,l,i))+0.5j(H´−1,1(l´,l,i)+H´1,−1(l´,l,i))
1、1(l´,l,i)=0.5(H´−1,−1(l´,l,i)+H´1,1(l´,l,i))−0.5j(H´−1,1(l´,l,i)−H´1,−1(l´,l,i))
−1、1(l´,l,i)=0.5(−H´−1,−1(l´,l,i)+H´1,1(l´,l,i))+0.5j(H´−1,1(l´,l,i)+H´1,−1(l´,l,i))
1、−1(l´,l,i)=0.5(−H´−1,−1(l´,l,i)+H´1,1(l´,l,i))−0.5j(H´−1,1(l´,l,i)+H´1,−1(l´,l,i))
【0036】
これらの変換は、円偏波されたMIMOチャネル行列を電気的−磁気的に偏波されたものから推定するのに使用できる。電気的−磁気的チャネル応答は、パイロットチャネルに沿って送信機側で簡便な時間偏波ダイバーシチを使用する異なる時間間隔で推定できる。
【0037】
シンボルブロックの除去を目的とするチャネル推定モジュールが、位置探知プロセスの前に使用されて、シンボルが最尤検出器によって除去される。
【0038】
結果として生じる前述の直交偏波チャネル行列は、相違する送信および受信された偏波状態(q=q´)によって特性化される。それらは、
【数13】

によって与えられる。
【0039】
結果として生じる前述の同偏波MIMO行列は、同様の送信および受信された偏波状態(q=q´)によって特性化される。同偏波MIMO行列は、
【数14】

によって与えられる。
【0040】
式中、Nq,q´(n)は、平均ゼロで、通常、共分散行列Rを持つ分布変数である。行列A(q,Ω)=(a(q,Ω),...,a(q,Ω))は、視方向Ω=(Ω,...,Ωにおけるステアリング行列を示す。P(d)は、LOS波の複素チャネル利得を含む対角行列であり、P(s)q,q´は、マルチパス波の複素チャネル利得を含む行列であり、
【数15】

は、送信機側で傾斜対角行列を与える対角行列である。
【0041】
チャネル相互関係(channel reciprocity)が確認される場合、マルチパスに沿ったチャネル行列利得は、次のように書くことができる:
【数16】

【0042】
式中、P(s)cop(それぞれ、P(s)cr)は、送信機および受信機での偏波状態が同一の(それぞれ、異なる)場合、マルチパスの複素チャネル利得を含む行列であり、Гcop(s)Гcr(s)は、2つの対角行列である。かかる恒等式は、相互的チャネル(reciprocal channel)に沿った電力節約特性、すなわち、
【数17】

および
【数18】

を保証する。
【0043】
図1fを参照すると、各クラスタに相対的なロバストな位置および方位探知機は、次のモジュールから成る:
・直交偏波モードにおいて、チャネル行列ランクに関して収集された情報に基づき最良の推定法を選択するアルゴリズムセレクタモジュール67
・ならびに、ソフトウェアおよびハードウェアの利用可能資源などの内部システム情報。
【0044】
従って、チャネル数値(channel numerical)資源が利用可能な場合は、ML推定法が選択され得る。この方法は、スケーリングされた尤度関数
【数19】

の最大値の発見から成る。
【0045】
式中、fはマルチパス波の数に等しいサイズを持ち、成分
【数20】

を持つベクトルである。
【0046】
Cは、
【数21】

によって与えられる、L(s)×L(s)行列である。
【0047】
チャネル係数対角行列P(s)crのML推定は、
【数22】

によって与えられる。
【0048】
ML推定法は莫大な計算資源を必要とするため、代わりにMUSICおよびMVベースの方法が利用できる。MUSICアルゴリズムを説明している開示は、以下で見られ:
‐R.O.Schmidt,“Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation”,IEEE Trans.Antennas Propagat.,Vol.AP−34,No.3,pp.276−280,Mar.1986
そして、MVアルゴリズムの説明については、以下で見られる:
‐J.Capon,“High−Resolution Frequency−Wavenumber Spectrum Analysis,”Proccedings of the IEEE,Vol.57,pp.1408−1418(1969)。
【0049】
直交偏波モードでの平均チャネル行列が共にランク不足の場合、MUSICアルゴリズムが選択され、他方、これらの行列が十分なランクの場合は、MVRアルゴリズムが選択される。Rcrは、2つの行列のランクの最大値として選択される、これらの行列の共通のランクを示す。
【0050】
最後の選択方法手順に基づき、送信機および受信機側で方向パラメータの推定を実現するマルチパスDOA(到来方向)およびDOD(放射方向)推定モジュール68。
【0051】
推定されたAOA(到来角)およびAOD(放射角)を先験的情報として使用するマルチパス傾斜角およびチャネル利得推定モジュール69は、相互関係チャネルがこれら経路のいずれかで確認されるときはいつでも、傾斜角と同様、各経路でチャネル利得を推定する。確かに、マルチパスのDOAおよびDODは一般に、全ての偏波モードについて同一であるため、同偏波モードが、マルチパスのチャネル利得と共に、AOA、AOD傾斜角、およびLOSのチャネル利得の推定に使用される。直交偏波モードで既に推定されたマルチパスの傾斜角、DOA、DODは、マルチパス成分をフィルタリングして、同偏波モードでの信号対妨害比を高めるための先験的情報として使用される。それらは、アルゴリズムのロバストバージョンで再推定する必要はない。このモジュールは、各推定されたDOAの一組の角度に対して、DODの一組の角度を見つけ、対になったDOA/DODパラメータが送信機‐受信機リンクの両端で特定経路の方向特性を記述できるようになることを目的とする対形成機能も有する。
【0052】
既知のMIMO行列71と共に、DOA、DOD推定値およびチャネル利得推定値を使用する、同偏波MIMO行列からマルチパスチャネル成分を除去する同偏波チャネルフィルタリングモジュール70。
【0053】
フィルタリングされた同偏波チャネル行列を使用する、LOSに沿ってAOAおよびAODを推定することを目的としたLOS DOAおよびDOD推定モジュール72。
【0054】
マルチパスの既に推定されたDOAおよびDODならびにLOSを先験的情報として使用して、同偏波MIMOチャネルで、LOSとマルチパスの両方のチャネル利得および傾斜角の推定値を配信する、LOS−マルチパス傾斜角およびチャネル利得推定モジュール73。このモジュールは、チャネル利得推定値を改善するため、任意のマルチパス波に関するチャネル相互関係情報も使用する。
【0055】
異なる推定値から計算された行列を検査する収束判定モジュール74。収束が実現されると、推定された傾斜角、DOAおよびDODは、方位位置探知機75に送信される。方位は、ウィグナー回転行列(方程式4)を計算することにより決定される。位置決めは、到着時間と共に、対の方位角と仰角を使用することにより計算される。そうでない場合は、新しく推定されたパラメータを、同偏波チャネルフィルタリングモジュールで先験的情報として使用し、マルチパス成分を再フィルタリングし、方位パラメータのより良い推定値を獲得する。
【0056】
SNRおよびチャネル条件に基づき、位置および方位に関する期待誤差を提供する期待誤差推定器モジュール76。
【0057】
高ランクMVRベースのアルゴリズムは、LOSおよびマルチパスパラメータを推定するために、全ての偏波モードを一緒に使用する。かかるアルゴリズムは、マルチパス波の数が多いが、電力がLOW波よりもはるかに弱い場合に使用され得る。
【0058】
図1gは、マルチパスフィルタリングがない場合に見られるDOAスペクトルの一例を示す。スペクトルの対数スケーリングが、そのスペクトルの空間変動を明確に区別するために使用される。送信機のLOSおよびLOS自身と同様に強い波を有するマルチパスチャネルに、2人のユーザーがいる。このアルゴリズムは、2人のユーザーのいずれも発見できない。
【0059】
図1hは、3回のみ反復した後に見られるDOAスペクトルを示す。2人のユーザーが、今度は明確に識別され、このアルゴリズムは、これら数回の反復の後、停止できる。
【0060】
図1iは、MVRアルゴリズムに基づくスペクトル積(spectrum product)の略図を示す。
【0061】
このアルゴリズムは、それぞれ特定の偏波MIMOチャネルに対応する2つの行列の自己相関によりそれぞれ取得された2つの相関行列を利用する。従って、偏波モードが(q,q´)および(q,q´)の場合、相関行列は、受信相関行列
【数23】

または送信相関行列
【数24】

のいずれかである。送信相関行列は、送信機側でチャネルパラメータ、すなわち1組のAOD、および傾斜角を推定するために使用され、他方、受信相関行列は、1組のAOAを推定するために使用される。
【0062】
マルチパスDOA、DODおよび傾斜角を推定するために、偏波モード(q,q´)=(−1,1)および(q,q´)=(+1,−1)が使用される。同偏波モード(q,q´)=(−1,−1)および(q,q´)=(+1,+1)は、LOD DOA、DODおよび傾斜角ならびにマルチパスチャネル利得の両方が同偏波モードで推定される場合に使用される。
【0063】
相関行列は、「受信相関行列」または「送信相関行列」87のいずれかである。「受信相関行列」の対は、それぞれ
【数25】

および
【数26】

によって与えられ、他方、「送信相関行列」の対は、
【数27】

および
【数28】

によって与えられる。
【0064】
第2ステップでは、DOAに対する2つのMVRスペクトル88またはDODに対する2つのMVRスペクトルのいずれかを提供するために、標準的なMVRアルゴリズムが2つの偏波モードで適用される。所与の(q,q´)偏波モードでのMVRスペクトルは、
【数29】

によって与えられる。
【0065】
MVRビームフォーマに対する制約は、
【数30】

および
【数31】

で表現される。それらは、実際の方向DOAまたはDODを向きながら、対象とする偏波モードでの最大電力、および直交偏波モードでのゼロ電力(null power)の両方、すなわち、
【数32】

および
【数33】

を表現する。ここで、gは視方向Ωでの最大利得である。
【0066】
第3ステップでは、2つの偏波モード89で、共通のMVRスペクトルがMVRスペクトルの積を使用して計算される。
【数34】

【0067】
スペクトル加算も同様に使用され得る。積の利点は、和と比較して、積によって提示されるより強度な半電力ビーム幅(HPBW)である。
【0068】
DOA(またはDOD)角度の組は、降順90で格納されている共通のMVRスペクトルの極大値に対応する第1Rcr角度の組である。
【0069】
図1jは、MUSICベースのアルゴリズムを示す。このアルゴリズムは、それぞれ特定の偏波MIMOチャネルに対応する2つの行列の自己相関によってそれぞれ取得された2つの相関行列を利用する。第1ステップにおいて、送信機側での信号空間と雑音が分離される(91)。良く使われる表記法を使用すると、(q,q´)偏波モードでのチャネル行列のSVD分解は、次のように記述できる:
【数35】

【0070】
特に、送信機側での雑音空間がDODの推定に使用される一方、受信機側での雑音空間は、DOAの推定に使用される。これらの雑音は、それぞれ次の式で与えられる:
【数36】

および
【数37】

【0071】
雑音空間92成分の平均は、その後、次で取得される:
【数38】

および
【数39】

【0072】
第2ステップでは、2つの送信MUSICスペクトル93
【数40】

および
【数41】


または2つの受信MUCICスペクトル
【数42】

を提供する標準のMUSICアルゴリズムが適用される。
【0073】
第3ステップでは、共通のMUSICスペクトルが、2つの直交偏波モードでMUSICスペクトルの積を使用して、次のように計算される:
【数43】

【0074】
前記の場合のように、スペクトル加算も同様に使用され得る。本発明の一態様によれば、積の利点は、和に比べて、積によって提示されるより強度な半電力ビーム幅(HPBW)である。
【0075】
DOD(またはDOA)角度の組は、降順94で格納されている共通のMUSICスペクトルの極大値に対応する第1Rcr角度の組である。
【0076】
図1kは、チャネル利得推定モジュールを構成する主要なブロックを示す。そのモジュールは、各マルチパスの利得の推定に使用される場合、チャネルの相互関係検査105から成る追加タスクを実現する。相互関係検査器は、直交偏波モードでの所与のAOAとAODの組および平均チャネル行列に基づき、別々に推定されるチャネルの利得が相互的チャネルに対応するか否かを検査できる。チャネル相互関係検査器は、2つの対角行列
【数44】

および
【数45】

の第1推定を
【数46】

によって与える。
【0077】
その後、測定基準が、計算された対角行列間の距離を判断するために使用される。直接的な方法は、相対誤差を使用することである:
【数47】

【0078】
誤差が一定の小さい値より低い場合、そのチャネルは相互的であり、2つの対角行列
【数48】

および
【数49】

のより良い推定値は、傾斜行列Гcr(m)107および対角共通チャネル利得行列108 Pcr(m)を以下に従って別々に推定することにより提供され得る:
【数50】

【数51】

および
【数52】

【0079】
このモジュールを構成する他のブロックは、以下のとおり:
・AOD対の組
【数53】

の全ての可能な順列を生成する順列ブロック106。
・対形成決定モジュール109、そのタスクは、各AOAでAODを結合することである。確かに、到来角および放射角は、独自の方法で推定される。対形成は、送信機および受信機が見るように、物理的経路を再構成する。対形成操作は、所与の基準の最適化に基づく。かかる基準の例として、対数尤度の最大化または再構成されたチャネル行列と実際の雑音のあるものとの間の距離の最小化がある。
【0080】
フィルタリングプロセスは、チャネル行列Hq,q´をLOSおよびNLOS行列に分けるのを許可してきた。LOSに沿ったAOAは、少なくとも1フレーム中は一定であり、NLOSに沿ったAOAはそれより安定していないと見なすことができるが、少なくとも1フレーム中はそれらを一定に保つことができる。他方、他のパラメータは、環境変化によって変化し、再推定を必要とする。これは、固定局側での方位位置検出アルゴリズムの簡易化手法を提供する。
【0081】
図2は、位置および方位探知操作の対象である各ノード110(図2の回転ノード(rotated node))で、絶対利得を持たないシングルアンテナが使用されるサブシステムの一例である。特に:
・このサブシステムは、三辺測量位置決め方法を改善するために、アンテナ角度電力利得特性を利用する。
・このサブシステムは、アンテナの方位推定を提供するために、アンテナ角度電力利得特性を利用する。
・このサブシステムは、方位パラメータを推定するために、方位パラメータグリッドの検索と共に、位置決め無線局111(マーク)の位置および方位が既知である、三辺測量ベースのアルゴリズムを実行する。検索中に、より良い解を保つために距離が使用される。さらに、勾配アルゴリズムやEMアルゴリズムなどの他の方法による方位と位置の結合推定が、特別なアルゴリズムとして考案され得る。
【0082】
三辺測量ベースのアルゴリズムのためのツールおよび設定:
・他のLノードから受信した電力:
【数54】

・他のノードの位置:M={M;l=1,..L}
・送信位置決め無線局110でのアンテナ角度電力利得特性112 Gtr={g(Ω);l=1,..L}、ここでΩは外向き波の方向であり、2D平面における極角または3D空間における球面角のいずれかによってパラメータ化できる。
・任意の回転g(Ω)の前の受信機ノード111のアンテナ角度電力利得特性113。
・回転が3D空間で保持されている場合のオイラー角の1組のI三重項または2D平面における回転のための単位円上の1組のI角度から成る方位グリッドГ={Г;i=1,..,I}。
・チャネル利得:h={h;l=1,..L}。それらは一般に、以下のように表現できる:

【数55】


式中αおよびCは、2つの正定数である。
・入力として1組のパラメータHおよびMを持ち、出力として位置座標Mを持つ、古典的な三辺測量アルゴリズム。M=Tril(H,M)
【0083】
アルゴリズム:
初期設定:初期距離δ(old)を高い値に確定し、収束距離δ(∞)を確定する
・グリッドГに関して検索を実行する
o各Гに対して、以下の初期設定を実行する
■経路損失パラメータの任意の組H(new)を選択する
■位置パラメータをM(new)=Tril(H(new),M)に初期化する
■M(new)およびMからLノードΩ(new)={Ω(new);l=1,..L}への方向を計算する
■受信ノードでの指向性利得(directional gain)の組を計算する:
【数56】

■新しい電力を計算する:P(new)={P(new);l=1,..L}、式中P(new)=g(rec)(Ω(new),Г)g(tr)(Ω(new))h(new)
■計算された電力と受信された電力の間の平均距離を計算する:
【数57】

■End=0
■End=0の間、繰り返す
・δ(old)←δ(new)およびh(old)←h(new)
・新しい位置パラメータをH(old)およびMから計算する:M(new)=Tril(H(old),M)
・M(new)およびMからLノードΩ(new)={Ω(new);l=1,..L}への方向を計算する
・受信ノードでの指向性利得の組を計算する:
【数58】

・新しい電力を計算する:P(new)={P(new);l=1,..L}、式中P(new)=g(rec)(Ω(new),Г)g(tr)(Ω(new))h(ols)
・きわめて重要:経路損失パラメータを強制的に
【数59】

にする
・重要:送信ノードを、有限経路損失h(new)を持つノードに変換する
・新しい距離
【数60】

を計算する
・|δ(new)−δ(old)|<εの場合、End=1
oグリッド上の指標として
【数61】

を満足するものを選択する
方位をГおよび対応する位置パラメータとして推定する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接の見通し線(LOS)を検出するため、および移動ノードの位置および方位推定値を配信するために、時間偏波ダイバーシチおよび空間ダイバーシチを結合する空間フィルタリング機能を備えた方位および位置決めシステムであって、
・直接の見通し線(LOS)を共有する各ノードの相対的な方位および相対的な位置を決定する少なくとも1つの位置決め無線局であって、各電波経路が、前記LOSを含めて、到来方向(DOA)および受信偏波と共に、放射方位(DOD)、送信偏波によって特性化され、前記位置決め無線局およびノードが、
o偏波選択切り替え機能を備えた複数アンテナシステムと、
o方位および位置決め検出機能と共に空間フィルタリングを備えた無線送受信機と
を備える、少なくとも1つの位置決め無線局と、
・受信信号ベクトルについて第1フィルタリングステップを実行する時間フィルタリングモジュールであって、前記フィルタリングプロセスが、異なるベクトルの組への送信ノードの分類を可能にし、各ベクトルの組がほぼ同一の強度および同一の到着時間特性を有するベクトルの集合のサブセットである、時間フィルタリングモジュールと、
・前記送信機側および前記受信機側の両方で同様の円偏波モードが使用される場合に取得される1組の同偏波MIMO行列、および前記送信機側および前記受信機側の両方で異なる円偏波モードが使用される場合に取得される1組の直交偏波MIMOチャネル行列からそれぞれ構成される、4次(quadruple)MIMOチャネル行列の推定値を提供するために各ベクトルの組について動作し、空間検出アルゴリズムへの入力である受信相関行列および送信相関行列を推定できる、MIMOチャネル行列モジュール(71)と、
・最良の検出方法を操作するために、前記マルチパスDOAおよびDOD推定モジュール(68)制御用の、前記直交偏波MIMO行列ランクについて動作するモジュール(67)と、
・対になっていない送信機および受信機偏波に対応する4つの直接推定された相関行列、または前記以前に推定された直交偏波MIMO行列を使用して推定可能な4つの相関行列のいずれかについて動作するマルチパスDOAおよびDOD推定モジュール(68)であって、
2つの異なる対になっていない偏波モード(RHCP−LHCPおよびLHCP−RHCP)に対応する1組の受信相関行列が、到来角(AOA)対のマルチパス方位角‐仰角の推定値を生じ、
2つの異なる対になっていない偏波モード(RHCP−LHCPおよびLHCP−RHCP)に対応する1対の送信相関行列が放射角(AOD)対の前記マルチパス方位角‐仰角の推定値を生じ、
前記偏波モードで取得された2つの推定されたAOAの組における信号電力が受信偏波−空間スペクトルを形成し、かつ、異なる偏波モードでそれぞれ取得された2つの推定されたAODの組における信号電力が送信偏波−空間スペクトルを形成し、
MUSICもしくはMVRアルゴリズム(または任意の同等のスキーム)のいずれかを実行する前記モジュールが、前記マルチパス受信信号の各2つの偏波−空間スペクトルを提供し、
2つの受信偏波−空間スペクトルの結合が共通の受信スペクトルを提供し、また、2つの送信偏波−空間スペクトルの前記結合が共通の送信スペクトルを提供し、前記結合がスペクトル間の加算、乗算、または任意の他の算術演算であり、乗算演算が特にスペクトルの質の向上に使用する、マルチパスDOAおよびDOD推定モジュールと、
・以下を推定する手段を提供するための前記マルチパスDOAおよびDOD推定モジュール(68)ならびに前記MIMOチャネル行列モジュール(71)を使用し:
o各推定されたDODパラメータに対する前記信号強度およびTAOUT
o各推定されたDOAパラメータに対する前記信号強度およびTAON
各推定されたDOAパラメータに対して前記対応するDODパラメータを見つけることを目的とした対形成操作を実行して、対になったDOA/DODパラメータが、前記送信機と受信機のリンクの両端で特定経路の前記方向特性を記述できるようにする、マルチパス傾斜角およびチャネル利得推定モジュール(69)と、
・前記マルチパスチャネル成分を同偏波チャネル行列から除去し、以下の:
o前記推定モジュール(68)によって提供された前記DOAおよびDOD推定値
o前記MIMOチャネル行列モジュール(71)によって提供された前記同偏波MIMO行列、
を入力として使用することにより、前記マルチパス由来の同偏波MIMO行列を再構成し、前記再構成された同偏波MIMO行列を用いてDOA/DOD角度の各対に対する前記チャネル利得および傾斜角を再推定する、同偏波チャネルフィルタリングモジュール(70)と、
・LOS経路に対応する方位角‐仰角対をいくつかのDOAおよびDOD組に配信するために、(70)で提供される前記フィルタリングされた同偏波チャネル行列について動作し、かつ、(67)によって既に選択された前記MUSICまたは前記MVRアルゴリズムのいずれかを実行するLOS DOAおよびDOD推定モジュール(72)であって、異なる偏波−空間スペクトルの同じ結合が前記推定モジュール(68)におけるように適用される可能性を有する、LOS DOAおよびDOD推定モジュールと、
・前記TAONおよびTAOUTの各LOSに関する推定値を配信するため、LOS DOAおよびDOD推定モジュール(72)ならびに同偏波チャネルフィルタリングモジュール(70)によって提供される情報を使用し、LOS DOA、DOD、TAON、TAOUTが前記受信機の照合システムで推定される、LOS「マルチパス傾斜角およびチャネル」推定モジュールと、
・識別されたLOSを有する各送信機の前記位置および前記方位を決定するためのLOSマルチパス傾斜角およびチャネル推定モジュール(73)によって提供された前記情報を使用し、前記同偏波チャネルフィルタリングモジュール(70)、LOS DOAおよびDOD推定モジュール(72)、前記LOSマルチパス傾斜角およびチャネル推定モジュール(73)および前記時間フィルタリングモジュールによって提供された前記情報を利用する、位置および方位探知機(75)と、
を備える方位および位置決めシステム。
【請求項2】
前記送信機−受信機方位回転行列推定が、前記送信機および前記受信機が相互に相対的に方向を喪失した場合に、前記送信機の照合システムにおける前記対DODおよびTAOUTは一般に、たとえ前記送信機および前記受信機が同じLOSを共有していても、前記受信機側の前記照合システムにおける前記対DOAおよびTAONと異なるという事実を利用する、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項3】
前記受信機に相対的な前記送信機の前記方位が、前記DOA、前記DOD、前記TAOUTおよび前記TAONを結合することにより得られる、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項4】
送信アンテナが右旋(RH)円偏波で、前記受信機アンテナが左旋(LH)円偏波、およびその逆の場合、前記偏波の表記法が式:
【数62】

によって与えられる定義に従うことを意味し、
その式では、1つのAODおよび1つのAOAに対応する1つのランクMIMOチャネル行列が、前記受信波を記述するステアリングベクトルと、前記送信波を記述する前記ステアリングベクトルのエルミート共役(共役転置)の積で、前記AOAおよび前記AODが伝搬波の方向を記述するベクトルのそれらであって、
前記送信機と前記受信機の両方の前記照合システムの基底ベクトルが同一の場合、前記AOAと前記AODも同一であることを意味する、対になっていない偏波アンテナでの前記偏波‐空間スペクトルを用いて、前記NLOS(マルチパス)波の検出が実行される、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項5】
2つの受信偏波‐空間スペクトルの前記結合および2つの送信偏波‐空間スペクトルの前記結合が、スペクトル間の加算、乗算または任意の他の算術演算であり得、乗算演算が前記スペクトルの前記質の向上に特に使用される、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項6】
2つの偏波‐空間スペクトルの前記結合が、前記結合スペクトルの前記質の向上のための乗算演算を使用することによってなされ得る、請求項1および請求項5に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項7】
マルチパス傾斜角およびチャネル利得の推定が、前記マルチパスDOAおよびDODならびに前記直交偏波MIMO行列の使用によって実現される、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項8】
前記マルチパス傾斜角およびチャネル利得推定モジュール(69)が、DOD推定パラメータを各DOA推定パラメータに関連付けることを目的とした対形成を実行する、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項9】
同偏波チャネルフィルタリングが、以下の3ステップ:
・各リンクでの前記チャネル利得および傾斜角の推定が、入力として:
o前記直交偏波MIMO行列を使用して推定される、各マルチパスリンクに関する前記DOAおよびDODパラメータと、
o前記同偏波MIMO行列と
を使用して実現される、第1ステップと、
・前記同偏波MIMOチャネル行列の前記マルチパス部分が、前記第1ステップで推定された前記パラメータを使用して再構成される、第2ステップと、
・前記同偏波MIMOチャネル行列の前記マルチパス部分が、元の同偏波MIMO行列から減算される、第3ステップと、で実現される、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項10】
LOS DOAおよびDOD推定が前記フィルタリングされた同偏波MIMO行列を使用して実現される、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項11】
LOS傾斜角が、LOS DOSおよびDODならびに前記フィルタリングされた同偏波MIMO行列を使用して推定される、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項12】
前記位置および方位探知機(75)が、LOSマルチパス傾斜角および識別されたLOSを持つ各送信機の位置および方位を決定するためのチャネル推定モジュール(73)によって提供される情報を使用する、請求項1に記載の方位および位置決めシステム。
【請求項13】
以下のようなタスク:
‐低ビット誤り率を必要とする情報を送信するためのフィルタリングされた同偏波MIMOチャネル行列の使用と、
‐良好な質を必要としない情報に対する直交偏波行列の使用、
に対する、請求項1〜12のうちの1つに記載のシステムに包含される前記チャネルフィルタリングおよびLOS検出の使用。
【請求項14】
各マルチパスの前記利得の推定に使用されるとき、前記チャネル相互関係(105)の検査から成る追加のタスクを実現するチャネル利得推定モジュール。
【請求項15】
前記直交偏波モードでの前記所与のAOAおよびAODの組ならびに前記平均チャネル行列に基づいて、別々に推定される前記チャネルの前記複素利得が相互的チャネルに対応するか否かを確認できる相互関係検査器(105)。
【請求項16】
前記式(29)によって与えられる前記計算された対角行列間の前記距離を評価するために前記相互関係検査器(105)で使用される前記行列。
【請求項17】
次の
・AOD対の前記組の全ての可能な順列を生成する順列ブロック(106)と、
・各AOAについてAODを結合することがタスクであり、前記対形成操作が所与の基準の最適化、特に、対数尤度関数の最大化または前記再構成されたチャネル行列と実際の雑音のあるチャネル行列との間の距離の最小化に基づく、対形成決定モジュール(109)である、前記チャネル取得モジュールを構成する残りのブロック。
【請求項18】
前記アンテナ方位を探知するためのアンテナ角度電力利得特性の変動性の利用。
【請求項19】
位置決め方法におけるアンテナ異方性の前記問題を解決するためのアンテナ角度電力利得特性の変動性の利用。
【請求項20】
前記実施形態の前記説明に記述のとおりの前記角度ベースの位置および方位探知アルゴリズム。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図1g】
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【図1h】
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【図1i】
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【図1j】
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【図1k】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−524898(P2012−524898A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506588(P2012−506588)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005826
【国際公開番号】WO2010/122370
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(304035355)
【氏名又は名称原語表記】GROUPE DES ECOLES DES TELECOMMUNICATIONS
【住所又は居所原語表記】46,rue Barrault,F−75634 Paris Cedex 13,France
【Fターム(参考)】