説明

方向性凝固炉に使用するためのルツボ

方向性凝固炉は、溶融物を収容するためのルツボであって、壁と、開口を有する底とを有するルツボと、ルツボを支持するルツボ支持体と、ルツボを覆う蓋とを有するルツボアセンブリを含む。プレートは、底の開口の中に収められる。プレートは、底の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。底は、添加剤を有するコンポジットを含むことができ、コンポジット底が、添加剤無しの同等の底と比較して高い熱伝導性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、方向性凝固炉に関し、およびより詳細には、凝固速度を改善するための方向性凝固炉に関する。
【背景技術】
【0002】
方向性凝固炉、例えば、図1に示すようなおよび概して100で参照するような方向性凝固炉は、多結晶シリコンインゴットの製造にしばしば用いられている。図1の方向性凝固炉100は、グラファイト支持壁を有するルツボ支持体103によって支持されているルツボ102を含み、該壁は、構造的な強固さをルツボに付与する。ルツボ102は、壁104(ルツボ支持壁)と底106を含む。ルツボ102は、典型的には、石英、または本質的に、不活性を維持しながら高温に耐え得る別の適切な材料から構成されている。
【0003】
蓋112とともに、ルツボ102とルツボ支持体103は、内側アセンブリ105を形成する。この内側アセンブリ105は、底106の下に配置されている熱交換体107も含んでよい。加熱器108は、壁104のまわりおよび収容容器110内に配置されている。加熱器108は、適切には、ルツボ内で充填材料を溶融するのに必要な熱を適用するように構成されている放射加熱器であってよい。この実施形態の充填材料は、他材料が検討されるけれども、シリコンである。
【0004】
側面断熱体109は、ルツボのまわりに配置されており、および例えば垂直移動によって、部分的に開放されてよい。シリコン充填物が溶融すると、冷媒が、熱交換体107に導入されてよく、および/または断熱体109は、シリコンの方向性凝固を支援するように持ち上げられてよい。加熱器108の熱出力は、より少ない熱を溶融物111に適用するように調整されてよい。加熱器108の位置は、ルツボ102からそれらを移動する(特に、ルツボ底106から離す)ことにより、ルツボに対しても調整できる。
【0005】
ルツボ102がシリコンで充填された後に、ルツボの周囲の領域は、外側の周囲環境から封止される。外側環境からルツボ102の分離を支援するように、ルツボは、炉の一部を形成する収容容器110内に配置されている。次いで、収容容器110内の圧力が減少される。収容容器110内の雰囲気の含有物もまた、監視および制御できる。
【0006】
次いで、ルツボ102および充填物は、シリコンを溶融するのに充分な温度まで加熱される。充填物が完全に溶融した後に、それは、方向性凝固構造を達成するように制御された速度で冷却される。加熱器108により適用される熱の量および位置の減少、ルツボ102の周囲の断熱体109の熱ベントの移動または開放、または熱交換体107(例えば、冷却プレート)を通過する冷媒の循環の任意の組み合わせにより、制御された冷却速度が実現される。これらのいずれの方法も、熱をルツボ102の表面から離れるように移動する。従って、ルツボ102の底106の冷却速度がルツボの壁104のそれよりも大きい場合に、主に軸方向の熱勾配を有する比較的平坦であり水平な凝固等温線が生じる。従って、インゴットは、ルツボ102のより低温側に最も近い領域で凝固して、ルツボのその側から離れるような方向に進行する。凝固する溶融物11の最後の部分は、概してインゴットの頂である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
方向性凝固炉内で多結晶シリコンインゴットを製造する際の重大な懸念は、原料のシリコンからインゴットを生成するのに必要な時間である。インゴットが凝固する速度は、原料からインゴットを形成するのに必要な時間に直接的に影響を及ぼす。
【0008】
この背景欄は、読み手に、本開示の様々な態様に関係し得る様々な技術態様を紹介することが意図され、該態様は、以下に記載および/または示される。この記載は、本開示の様々な態様のより良い理解を促進するように背景情報を読み手に提供するのに有益であると考えられる。従って、これらの記載は、この見方で読むべきであり、および従来技術の導入としてではないことを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様は、ルツボアセンブリを含む方向性凝固炉である。ルツボアセンブリは、溶融物を収容するためのルツボを含み、該ルツボは、壁と、開口を有する底とを含む。ルツボ支持体は、ルツボを支持し、および蓋は、ルツボを覆う。プレートは、底の開口の中に収められている。プレートは、底のそれよりも高い熱伝導率を有する。
【0010】
本開示の別の態様は、ルツボアセンブリを含む方向性凝固炉である。ルツボアセンブリは、溶融物を収容するためのルツボを含み、ルツボは、壁とコンポジット底とを含む。ルツボ支持体は、ルツボを支持し、および蓋は、ルツボを覆う。コンポジット底は添加剤無しの同等の底よりも高い熱伝導率を有するように、コンポジット底は添加剤を含む。
【0011】
本開示の更なる別の態様は、方向性凝固炉内でインゴットを製造する方法である。当該方法は、液体の溶融物を形成するように、炉のルツボ内でシリコン充填物を溶融することを含む。ルツボは、第1部分と第2部分とを有する底を含む。第1部分は、第2部分よりも高い熱伝導率を有する。次いで、ルツボの底を通して溶融物から熱を移動する。第2部分と比較して増加した速度で、底の第1部分を通して、熱を移動する。溶融物からの熱移動は、溶融物の凝固およびインゴットの製造をもたらす。
【0012】
上述した態様に対して記載される特徴の様々な改良が存在する。更なる特徴も、同様に上述した態様に組み込まれてよい。これらの改良および付加的な特徴は、独立してまたは任意の組合せで存在してよい。例えば、いずれの説明される実施形態に対して以下に記載される様々な特徴を、任意の上述した態様に、単独でまたは任意の組み合わせで組み込んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、既知の方向性凝固炉の部分的な概略断面図である。
【図2】図2は、図1の方向性凝固炉に用いるルツボの第1の実施形態の平面図である。
【図3】図3は、図2の線3−3に沿って切り取られた図2のルツボの断面である。
【図4】図4は、図3の拡大部分である。
【図5】図5は、図1の方向性凝固炉に用いるルツボの第2の実施形態の平面図である。
【図6】図6は、図5の線6−6に沿って切り取られた図5のルツボの断面である。
【図7】図7は、図1の方向性凝固炉に用いるルツボの第3の実施形態の平面図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿って切り取られた図7のルツボの断面である。
【図9】図9は、図1の方向性凝固炉に用いるルツボの第4の実施形態の平面図である。
【図10】図10は、図9の線10−10に沿って切り取られた図9のルツボの断面である。
【図11】図11は、図10の拡大部分である。
【図12】図12は、図2〜11に示す任意のルツボを用いて方向性凝固炉内でインゴットを製造する方法を示すフローチャートである。
【0014】
様々な図における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2、3および4は、それぞれ、例えば、図1に示される炉100のような任意の方向性凝固炉に用いるルツボ200の第1の実施形態の平面図、断面および拡大図を示す。
【0016】
ルツボ200は、底206(概して「第2部分」)と、底から上方に延在している4つの壁204を有する。
【0017】
底206と壁204は、一体化して、ともに形成されてよくまたはともに結合されてよく、溶融物111(図1)は、そこに収容される。
【0018】
底206は、上表面208と、下表面210と、上表面と下表面との間で延在している開口220を有する。
【0019】
開口220は、4つの側面222により境界されているルツボ200に形成されているボイドにより規定されている。
【0020】
他の実施形態において、開口220は、長方形以外の形状、例えば、円形、楕円または任意の他の適切な形状であってよく、およびそこに配置されるプレート250は、それに応じて成形される。
【0021】
開口220は、底206の断面を機械加工するまたはそうでなければ除去することによってルツボ200に形成されてよい。
【0022】
他の実施形態において、開口220を、ルツボ200の製造中に形成してよい。
【0023】
開口220は、底206の上表面208に隣接した長さLおよび幅Wと、下表面210に隣接した長さL’および幅W’とを有する。
【0024】
各々の側面222は、ルツボ200の壁204から内側に離れるように傾斜し、長さLは、長さL’よりも大きく、および幅Wは、幅W’よりも大きい。
【0025】
いくらかの実施形態において、長さL、長さL’、幅W、および幅W’は、50mm〜630mmの間であってよい。
【0026】
図4から更に明らかにわかるように、側面222は、底206の下表面210に対して約45°の角度がつけられている。
【0027】
しかしながら、側面222は、実施形態の技術的範囲から逸脱せずに異なる角度に向けられてよい。
【0028】
例えば、いくらかの実施形態において、側面222は、底206の下表面210に対して約35°の角度がつけられてよい。
【0029】
4つの側面252を有するプレート250(概して、「第1部分」)は、開口220内に配置するための寸法にされている。本発明の実施形態は、ルツボ200の底206にプレート250を配置することを開示しており、付加的なプレートを、壁204のいずれかまたは全ての中に配置できる。更に、いくらかの実施形態において、プレート250を、用いなくてよく、および代わりに、プレート250に類似したプレートを、壁204のいずれかまたは全ての中に配置してよい。
【0030】

【0031】
プレート250は、プレート250に隣接したルツボ200の底206の厚さTと実質的に同じ厚さである厚さTを有する。いくらかの実施形態において、Tは、5mm〜25mmの間に相当してよく、およびTは、5mm〜25mmの間に相当してよい。他の実施形態において、プレート250の厚さTは、底206の厚さTよりも大きくまたは小さくてよい。図4からわかるように、プレート250は、開口220の側面222に対応する傾斜プロファイルを備えた4つの側面252を有し、プレートは、開口の側面を備えたレジストリ内にある。開口の傾斜側面222は、第1角度を形成し、該第1角度は、プレート250の4つの側面252の傾斜プロファイルにより形成されている第2角度に対して補完的である。従って、開口220の側面222とプレート250の側面252の配置は、プレートの側面を開口の側面に対して押す溶融物111の重量をもたらす。結合剤は、開口220の側面222内のプレート250を更に固定するのに用いてよく、溶融物111は、開口とプレートとの間を通過することができない。
【0032】
いくらかの実施形態において、結合剤は、鋳込成形シリカ化合物256である。図4に示される結合254の寸法と、そこに含まれる鋳込成形シリカ化合物256の量は、説明のためにとても強調されている。ルツボ200の使用の前に、プレート250と底206の下表面210との間の結合254は、テープまたは他材料により封止できる。流体状態の鋳込成形シリカ256は、底206の上表面208に隣接した結合254内に注入される。次いで、流体鋳込成形シリカ256の溶媒は蒸発し、およびシリカが結合フィラーとして残る。ルツボ200は、結合254における鋳込成形シリカ256を固化するのに燃やすことができる。
【0033】
図5および6は、それぞれ、図1に示される炉100のような任意の方向性凝固炉内で用いるルツボ300の第2の実施形態の平面図および断面図を示す。ルツボ300は、底306(概して、「第2部分」)と、底から上方に延在している4つの壁304を有する。底306および壁304は、一体化して、ともに形成またはともに結合でき、溶融物111(図1)は、そこに収容される。底306は、上表面308と下表面310を有する。凹部320は、上表面308に向かって下表面310から上方に延在しているが、底306の上表面308を通過しない。
【0034】
4つの側面352を有するプレート350(概して、「第1部分」)は、凹部320内に配置するための寸法にされている。他の実施形態において、凹部320とプレート250は、長方形でなくてよく、および代わりに、円形、楕円形、または任意の他の適切な形状であってよい。本発明の実施形態は、ルツボ300の底306の凹部320にプレート350を配置することを開示するが、一方で、付加的なプレートは、壁304のいずれかまたは全ての中に配置されてよい。更に、プレート350を用いなくてよく、および代わりに、プレートは、壁304のいずれかまたは全ての中に配置されてよい。
【0035】
底306の部分360は、ルツボ内に配置されている溶融物からプレート350を分離する。部分360は、溶融物がプレート350を破損、擦り切れまたは腐食するのを防ぐ。いくらかの実施形態によれば、部分360は、1mm〜20mmの間の厚さT部分を有してよく、一方で、プレート350は、1mm〜20mmの間の厚さTプレートを有してよく、および底306は、1mm〜20mmの間の厚さTを有してよい。更に、プレートの厚さTプレートと部分の厚さT部分は、均一であるように示されるが、厚さは変更できる。プレート350は、底306の部分360により溶融物111から遮断される場合に、プレートは、置換する前に、複数回用いることができる。
【0036】
プレート350は、接着剤または締め具のような任意の結合メカニズムにより底306に取り付けられている。いくらかの実施形態において、プレート360を凹部320に留めるのに、鋳込成形シリカを用いる。他の実施形態において、凹部320とプレート350との間の摩擦適合は、凹部内にプレートを確保する。
【0037】

【0038】
他の実施形態において、プレート350は、ルツボ300の底306よりも大きい熱伝導率を有する任意の材料から作られている。例えば、プレート350は、MgO、AlN、SiC、グラファイト、またはMgOとSiC、SiOとAlN、SiOとMgO、およびSiOとTiOの複合材から作ることができる。更に、プレート350が部分360により溶融物111から遮断されている場合に、別の方法で溶融物と接触するのに適していない材料をその構成に用いることができる(例えば、TiO)。
【0039】
【表1】

【0040】

【0041】
図7および8は、それぞれ、図1に示される炉100のような任意の方向性凝固炉内に用いるルツボ400の第3の実施形態の平面図および断面図を示す。ルツボ400は、底406(概して、「第2部分」)と、底から上方に延在している4つの壁404を有する。底406と壁404は、一体化して、ともに形成またはともに結合されてよく、溶融物111(図1)は、そこに収容される。底406は、上表面408と下表面410を有する。
【0042】
底406は、増加した熱伝導率の部分450(概して、「第1部分」)を有する。本発明の実施形態は、ルツボ400の底406内に部分450を配置することを開示するが、一方で、付加的な部分は、壁404のいずれかまたは全ての中に配置されてよい。更に、部分450を用いなくてよく、および代わりに増加した熱伝導率の部分は、壁404のいずれかまたは全ての中に配置されている。
【0043】
部分450は、材料とともに混ぜられる1以上の付加的材料452を含み、底406は、それから作られて複合材を形成する。図7に示されるいくらかの付加的な材料452は、明瞭さのためにかなり減らされており、付加的な材料の相対的な寸法は、同様に、明瞭さのためにかなり拡大されている。付加的な材料452は、底406がそれから作られている材料よりも大きい熱伝導率を有する。従って、増加した熱伝導率を有する底406の部分450の熱伝導率は、概して、底の残りとルツボ400の壁404との熱伝導率よりも大きい3倍〜10倍の範囲である。底の製造中に底406がそれから作られる材料と混合できる任意の材料から、部分450内の付加的な材料452を選択してよい。例えば、付加的な材料452は、MgO、SiC、AlN、またはTiOのいずれか1つまたは組合せであってよい。
【0044】
図9、10および11は、それぞれ、図1に示す炉100のような任意の方向性凝固炉に用いるルツボ500の第4の実施形態の平面図、断面図および拡大図を示す。ルツボ500は、底506(概して、「第2部分」)と、底から上方に延在している4つの壁504とを有する。底506と壁504は、一体化して、ともに形成またはともに結合されてよく、溶融物111(図1)は、そこに収容される。底506は、上表面508と下表面510とを有する。開口520は、上表面508と下表面510との間で延在している。
【0045】
開口520は、4つの側面522により境界されているルツボ500内に形成されているボイドにより規定されている。開口520は、底506の部分を機械加工するまたはそうでなければ除去することによりルツボ500内に形成できる。他の実施形態において、底の部分を除去せずに開口を形成するように、開口520は、ルツボ500の製造中に形成できる。
【0046】
底506の部分530は、開口520の側面522から内側におよび壁504から離れるように延在している。部分530は、底表面510から測定される厚さTを有し、該厚さTは、底506の厚さTよりも少ない。部分530は、底506から外側に延在しており、およびレッジ(または棚、ledge)構造を形成している。
【0047】
プレート550(概して、「第1部分」)は、開口520内に配置される寸法にされている。他の実施形態において、開口520およびプレート550は、長方形でなくてよく、および代わりに、円形、楕円形、または任意の他の適切な形状であってよい。本発明の実施形態は、ルツボ500の底506内にプレート550を配置することを開示しており、一方で、付加的なプレートは、壁504のいずれかまたは全ての中に配置されてよい。更に、プレート550を用いなくてよく、および代わりに、プレートは、壁504のいずれかまたは全ての中に配置されてよい。
【0048】

【0049】
プレート550は、プレートの残りから外側に、その周囲に沿って延在しているリップ部分552を有する。リップ部分は、底506の側面522から延在している部分530の幅W2に概ね相当する幅W1を有する。使用中、リップ部分552は、底506の部分530の直接上に配置されている。従って、リップ部分552および底506の部分530は、一体にラップ結合を形成している。従って、プレート550と底506とのラップ結合は、プレートを底と接触させるように押す溶融物111の重量をもたらす。溶融物111が、開口とプレートとの間を通過できないように、開口520内にプレート550を更に固定するのに、結合剤を用いることができる。いくらかの実施形態において、結合剤は、鋳込成形シリカ化合物556である。ルツボ500の使用の前に、プレート550と、底506の下表面510との間の結合554は、テープまたは他材料により封止できる。流体状態の鋳込成形シリカ556は、底506の上表面508に隣接した結合554内に注入される。次いで、流体鋳込成形シリカ556の溶媒は蒸発し、およびシリカは結合フィラーとして残る。従って、ルツボ500は、結合554の鋳込成形シリカ556を固化するように燃やすことができる。
【0050】
図2〜11の上述したルツボの底の増加した熱伝導率は、個々の底を通過する増加した熱流束(すなわち、熱エネルギーの流れ)をもたらす。ルツボの底を通過する増加した熱流束は、ルツボ内に収容されている溶融物の凝固速度の増加をもたらす。いくらかの実施形態において、凝固速度は、従来のルツボに示されている凝固速度の2倍または3倍増加できる。
【0051】
溶融物の凝固速度の増加は、溶融物を冷却しおよび凝固したインゴットを成形するのに必要な時間を減少させる。溶融物を形成するのに必要な時間の短縮は、上述したそれらに類似したルツボを用いて方向性凝固炉内でインゴットを製造できる速度(すなわち、生産量)を増加する。
【0052】
図12は、図2〜11に示す任意のルツボを用いて、方向性凝固炉内でインゴットを製造するための例示的な方法600を示す。上述したように、炉は、第1部分(例えば、プレート250、プレート350、部分450、またはプレート550)と第2部分(例えば、底206、底306、底406、または底506)を備えた底を有するルツボを含む。第1部分は、第2部分よりも高い熱伝導率を有する。例示的な実施形態において、第1部分は、第2部分の熱伝導率の少なくとも2倍である熱伝導率を有する。
【0053】
ルツボは、まず、シリコン充填物により充填される。従って、方法600は、シリコン充填物の溶融によりブロック610で開始して、液体溶融物を形成する。ブロック620において、熱は、ルツボの少なくとも底を通して溶融物から移動する。第2部分を通して移動する速度と比較して増加した速度で、第1部分を通して、熱は移動する。溶融物からの熱移動は、溶融物を凝固させてインゴットにする。
【0054】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して説明されるが、一方で、本発明は、特許請求の範囲の精神および技術的範囲内における改良を行うことができるということが認識される。
【0055】
本開示またはその実施形態の要素を導入する場合に、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1以上の要素であることを意味することが意図される。用語「comprising」、「including」および「having」は、包含的であり、および記載された要素以外の追加的な要素であってよいことを意味することが意図される。特定の方向(例えば、「頂(top)」、「底(bottom)」、「側面(side)」など)を示唆する用語の使用は、記載の便宜のためであり、および記載される用品の任意の特定の方向を必要とするものではない。
【0056】
様々な変化は、本開示の技術的範囲から逸脱せずに、上記の構成および方法で為されてよいので、上記に含まれるおよび添付図面に示される全ての事柄は、説明するためであると解釈されるべきであり、制限する意味であるとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルツボアセンブリを含む方向性凝固炉であって:
該ルツボアセンブリが:
溶融物を収容するためのルツボであって、壁と、開口を有する底とを有するルツボ;
ルツボを支持するルツボ支持体、
ルツボを覆う蓋;および
底の開口の中に収められるプレートであって、底の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するプレート
を含む方向性凝固炉。
【請求項2】
開口が、底を通り抜けて伸び、および第1角度の傾斜壁を有し、およびプレートが、第1角度に対して補完的な第2角度の傾斜壁を有する、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項3】
開口が、底を通り抜けて伸び、および4つの側面を有する底のボイドにより規定されており、底の部分が、レッジ構造を形成するように側面から内側に延在している、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項4】
プレートが、底の厚さに実質的に等しい厚さを有する、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項5】
プレートが、結合剤により底に固定されている、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項6】
プレートが、底の熱伝導率の少なくとも2倍の熱伝導率を有する、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項7】
ルツボ支持体の底の下に配置されている熱交換体を更に含む、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項8】
ルツボが、グラファイトから作られている、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項9】
ルツボ支持体のまわりに取り外し可能に配置されている1以上の移動可能な加熱器を更に含む、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項10】
ルツボのまわりに配置されている取り外し可能な断熱体を更に含む、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項11】
ルツボ壁が、一体に結合されている4つの壁を含んでおり、および液体溶融物が、そこに収容される、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項12】
底が、上表面と下表面を有し、開口が、底を通り抜けて伸びず、下表面に配置されておりおよび下表面の凹部の一部分を形成する、請求項1に記載の方向性凝固炉。
【請求項13】
プレートが、凹部に配置されており、底によってルツボ内の溶融物から分離されている、請求項12に記載の方向性凝固炉。
【請求項14】
ルツボアセンブリを含む方向性凝固炉であって:
該ルツボアセンブリが:
溶融物を収容するためのルツボであって、壁とコンポジット底を含むルツボ;
ルツボを支持するルツボ支持体および、
ルツボを覆う蓋;
を含み、ならびに
コンポジット底が添加剤無しの同等の底よりも高い熱伝導率を有するように、コンポジット底が添加剤を含む、方向性凝固炉。
【請求項15】
添加剤が、MgO、SiC、AlNおよびTiOを含む群から選択されている、請求項14に記載の方向性凝固炉。
【請求項16】
ルツボ壁の少なくとも一部分が壁の添加剤無しの部分よりも高い熱伝導率を有するように、ルツボ壁の少なくとも一部分が添加剤を含む、請求項14に記載の方向性凝固炉。
【請求項17】
添加剤が、MgO、SiC、AlNおよびTiOを含む群から選択されている、請求項16に記載の方向性凝固炉。
【請求項18】
方向性凝固炉におけるインゴットの製造方法であって:
炉のルツボ内のシリコン充填物を溶融して液体溶融物を形成し、ルツボが、底を含み、底の少なくとも第1部分が、底の第2部分よりも高い熱伝導率を有し;および
ルツボの少なくとも底を通して溶融物から熱を移動し、熱が、第2部分と比較して更に増加した速度で、底の第1部分を通して移動する、
ことを含み、
溶融物からの熱移動が、溶融物の凝固およびインゴットの製造をもたらす、
インゴットの製造方法。
【請求項19】
シリコン充填物を溶融する前に、シリコン充填物をルツボに充填することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
底の第2部分の熱伝導率の少なくとも2倍の熱伝導率を有する底の第1部分を通って、熱を移動する、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−518028(P2013−518028A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550554(P2012−550554)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050392
【国際公開番号】WO2011/092659
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(511071083)エムイーエムシー・シンガポール・プライベイト・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】MEMC SINGAPORE PTE. LTD.
【Fターム(参考)】