説明

施行現場における資機材及び施行の管理システム、及び管理方法

【課題】 施工者から見て、作業の種類に応じた資機材の確認が容易で、作業能率を向上できる施行現場における資機材及び施行の管理システム、及び管理方法を提供する。
【解決手段】
施行現場における資機材及び施行の管理システム10は、データベースAとデータベースBとを備える設計データベース・サーバ12と、携帯端末50と、資機材に貼り付けられるRFIDタグ14、RFIDラベルプリンタ16で構成される。
データベースAは、施工現場で使用される資機材と、識別子と、資機材を扱うための資格に関する情報とを関連付けて保持し、データベースBは施工現場での作業ごとに接続または組み合わせる資機材同士を関連付けてグループ化し、作業の種類に応じてグループ内の一つの資機材を親とし、他の資機材を子として関連付けて保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
施行現場における資機材及び施行の管理システム、及び管理方法に関し、特に施工者が資機材の配置、及び接続が容易にできる管理システム、及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現場の資機材の施工管理と方法として、いくつかの方法が知られている。例えば、特許文献1に示す方法では、RFIDを用いて配線と接点との1対1の接続管理を行なっている。
【0003】
また、特許文献2に示す方法では、長距離通信用のRFIDと短距離通信用のRFIDを準備することによって、工場で製造された建設資材や据付け機器等の製品が建設現場で使用されるまでの製品管理と、製品が建設現場で使用される際の作業管理を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−151383号公報
【特許文献2】特開2008−158569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、実際の施工現場においては、施工の単位ごとに必要な資機材のリストアップと、施工者のその施工作業に必要な資格のリストアップ、又は搬入・搬出作業における資機材のグループ分け、電気配線作業のような資機材同士の接続作業における資機材の接続関係の確認のように、各施工者から見て資機材の確認が容易に行なえる必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献に示されるシステムは、配線や配管、機器などの施工方法や管理方法に対して、接続される資機材同士に間違いがないかのみを管理するものであり、各施工者が資機材の確認を容易に行なえないという問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、各施工者から見て、作業の種類に応じた資機材の確認が容易で、作業能率を向上できる施行現場における資機材及び施行の管理システム、及び管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、施行現場における資機材及び施行の管理システムであって、前記資機材に取り付けられ、識別子(Unique Identification)を記録する複数の携帯記録装置と、第一のデータベースと第二のデータベースとを備えるサーバと、前記第一のデータベースは、施工現場で使用される資機材の情報と、前記識別子と、資機材を扱うための資格に関する情報とを関連付けて保持し、前記第二のデータベースは、施工現場での作業ごとに接続または組み合わされる前記資機材同士を関連付けてグループ化し、作業の種類に応じて前記グループ内の一つの資機材を親とし、他の資機材を子として関連付けて保持し、前記携帯記録装置から前記識別子を読み取り、前記識別子に基づいて前記サーバから情報を読み出す携帯端末と、を備える。
【0009】
本発明によれば、資機材ごとに資格を関連付けて、実際に接続される資機材を関連付けてグループを構成する。グループを構成する資機材の一つをグループの親とし、他を子として関連付ける。親となる資機材の資格を、グループを構成する資機材同士を接続するときの資格とする。このような構成とすることで、施工者から見れば、接続箇所において資機材の接続と作業者の資格を容易に確認することができる。
【0010】
同じ資機材同士の組合せでも、親と子の関係を入れ替えることで、接続に必要な資格を変えることができる。したがって、資機材同士と組合せと資格を施工の現場に合わせて柔軟に管理することができる。
【0011】
本発明の施行現場における資機材及び施行の管理システムは、前記発明において、前記第二のデータベースは、前記資機材が登録又は配置される際の他の資機材との物理的な位置関係及び又は資機材間の電気的な接続関係に関する接続情報をさらに保持することが好ましい。
【0012】
施工者の資格と結び付けられた資機材のグループに加え、資機材との物理的な位置関係及び又は資機材間の電気的な接続関係の情報を参照することで、施工者の作業能率を向上することができる。
【0013】
本発明の施行現場における資機材及び施行の管理システムは、前記発明において、前記携帯記録装置がRFIDタグを含むものであることが好ましい。本発明の施行現場における資機材及び施行の管理システムは、前記発明において、前記携帯記録装置が更にバーコードを含むものであることが好ましい。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の施行現場における資機材及び施行の管理方法は、施工現場で使用される資機材と、識別子と、資機材を扱うための資格に関する情報とを関連付けて第一のデータベースに登録するステップと、施工現場での作業ごとに接続または組み合わせる前記資機材同士を関連付けてグループ化し、作業の種類に応じて前記グループ内の一つの資機材を親として、他の資機材を子として関連付けて前記第二のデータベースに登録するステップと、前記識別子を携帯記録装置に書き込むステップと、前記識別子を記録する複数の前記携帯記録装置を製品に取り付けるステップと、前記携帯記録装置から前記識別子を読み取り、前記識別子に基づいて前記サーバから情報を携帯端末に読み出すステップと、を備える。
【0015】
本発明の施行現場における資機材及び施行の管理方法は、前記発明において、前記携帯端末に読み出された前記管理情報に基づいて接続状態を確認するステップを含むことが好ましい。
【0016】
本発明の施行現場における資機材及び施行の管理方法は、前記発明において、前記第二のデータベースに登録するステップは、前記資機材が登録又は配置される際の他の資機材との物理的な位置関係及び又は資機材間の電気的な接続関係に関する接続情報をさらに登録するステップを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の施行現場における資機材及び施行の管理方法は、前記発明において、前記携帯記録装置がRFIDタグを含むものであることが好ましい。
【0018】
本発明の施行現場における資機材及び施行の管理方法は、前記発明において、前記携帯記録装置が更にバーコードを含むものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業の種類に応じた資機材の確認が容易となり、作業能率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】資機材及び施行の管理システムの全体構成図。
【図2】管理システムを実施する手順を示したフローチャート。
【図3】施工現場の一例を示す図。
【図4】データベースに登録される情報の一例を示す図。
【図5】携帯端末に表示される画面の一例。
【図6】資機材の組合せの態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができる。
【0022】
図1は資機材及び施行の管理システムの全体構成図である。資機材及び施行の管理システム10は、ケーブル施工を行う事業者の社内などに設置される設計データベース・サーバ12と、資機材20に貼り付けられるRFIDタグ14と、RFIDタグ14を印刷するRFIDラベルプリンタ16と、施工者が携帯する携帯端末(PDA)50と、これらを接続するネットワークによって構成される。ネットワークは事業者の社内通信をネットワークする敷地内広域ネットワークと、施工現場での通信をネットワークする屋内無線ネットワークとで、構成され、これらのネットワークは複数設けられたアクセスポイントを含む通信網によって構成される。
【0023】
設計データベース・サーバ12は、少なくとも2つのデータベースA、Bを備える。データベースA(部品表)は、各資機材を管理するためのデータベースであり、資機材の製品名、接続に必要な資格等のデータが登録される。データベースB(接続表)は、施工現場において実際に接続される資機材同士の組合せをグループとして管理するためのデータベースである。データベースBでは資機材同士の組合せを親子の関係として管理する。データベースA、Bの詳細については後述する。
【0024】
RFIDタグ14は、ICチップと、ICチップと接続されたアンテナコイルと、ICチップとアンテナコイルを挟み込む表裏の保護シートを有する。アンテナコイルは金属性の薄い鋼線等からなる。表面及び裏面の保護シートとして、紙やプラスチックフィルム等の薄いシートを使用することができる。
【0025】
RFIDラベルプリンタ16は、RFIDタグ14に対して、情報の書き込み及び読み取りの通信を行うアンテナとアンテナの通信の制御を行う通信部とからなるRFIDリーダーライター部と、RFIDタグ14の表面に印字を行うサーマルヘッド等からなる印字部を備える。RFIDラベルプリンタ16は、設計データベース・サーバ12のデータをRFIDタグ14に書き込む。RFIDタグ14が資機材20に貼り付けられる。
【0026】
携帯端末50は、現場施工者や現場監督者等によって所持される。携帯端末50は、端末として動作するためのオペレーティングシステム(OS)、周辺機器のデバイスドライバ、及び本発明の管理システムに適用するためのソフトウエアが記憶される記憶手段と、液晶表示器等の表示手段と、スピーカーと、タッチパネル等の入力手段とを有している。また、携帯端末50のコネクタ又はスロットには、資機材20に貼り付けられたRFIDタグ14の識別情報を読み取るためのRFIDリーダが取り付けられている。また、表示手段はタッチパネルなどの検出手段を有しており、指、タッチペン等で表示手段を押すと、それを自動的に検出することができる。携帯端末50は、無線LANによる通信機能を内蔵しており、無線アクセスポイント(図示せず)を通じて、設計データベース・サーバ12と通信することができる。
【0027】
次に、本発明の施行現場における資機材及び施行の管理システムについて、図を参照して説明する。図2は、本発明の行現場における資機材及び施行の管理システムのステップフローの一例を示す。図2の縦方向は各工程における作業フローの経時的推移を示している。横方向は資機材の動きを示している。
【0028】
図3は、実際の施工が完了した現場の一例を示している。サイトS01において、ベースA01上に盤B01、B02、B03が取り付けられる。盤B03とケーブルK01の一方端が接続される。ケーブルK01の他方端は端末処理材Z01を介してケーブルK02の一方端と接続される。
【0029】
サイトS02において、ベースA02上に盤B04、B05、B06が取り付けられる。ケーブルK02の他方端と盤B04が接続される。盤B06には、構成部品として遮断器N01とトランスT01が取り付けられる。
【0030】
図3の現場を例に、図2を参照して管理システムのステップフローを説明する。設計データベース・サーバにデータベースA、Bが作成される(ステップ100)。データベースAは、施工現場で使用される資機材(ベースA01、A02、盤B01等)に関する情報と、資機材に貼り付けられるRFIDタグに関する情報と関連付けるデータベースである。データベースBは、施工現場で使用される資機材(ベースA01、A02、盤B01等)同士の組合せを、親子関係を有するグループとして保持するデータベースである。
【0031】
図4(A)に示すようにデータベースAには、資機材の識別コード、製品名、資格コード、RFIDタグの固有のUID(Unique Identification)、資機材が設置されるサイトの情報が登録される。これにより、RFIDタグのUIDと資機材の情報が関連付けられ、データベースAに登録される。
【0032】
また、資機材に関連付けられた資格コードが、資機材毎に登録される。例えば、資格Q1〜Q4が各資機材と関連付けられる。ここで、資格Q1は盤をベースに取り付ける作業に必要な盤据付資格である。ベースA01、A02に資格Q1が関連付けられる。Q2は盤に遮断器とトランスを取り付ける作業に必要な盤組立資格である。盤B01,B02,B5,B06に資格Q2が関連付けられる。Q3は盤とケーブルを接続する作業に必要な盤ケーブル接続資格である。盤B03,B04に資格Q3が関連付けられる。Q4は端末処理材を介してケーブル同士を接続する作業に必要なケーブル接続資格である。端末処理材Z01に資格Q4が関連付けられる。
【0033】
図4(B)に示すようにデータベースBには、接続No,指示書No、親番、子番の情報が登録される。これにより、資機材同士の組合せが親子関係を有するグループとして登録される。例えば、データベースBの第1レコードに、ベースA01が親番に、盤B01が子番に登録される。第2レコードにベースA01が親番に、盤B02が子番に登録される。第3レコードにベースA01が親番に、盤B03が子番に登録される。これは、ベースA01が親として、盤B01、B02,B03が子として関連付けられていることを示す。同様に、盤B03が親として、ケーブルK01、盤B02、ベースA01が子として関連付けられる。さらには、端末処理材Z01が親として、ケーブルK01、K02が子として関連付けられる。なお、ベースA01と盤B03に関し、図4(B)に示されるように、親子の関係が入れ替わっている。本管理システムにおいて、親として設定した資機材の資格が有効となる。上述の親がベースA01、子が盤B01、B02,B03の例では、ベースA01に設定される資格q1が、ベースA01に盤B01、B02,B03を取り付ける作業に対する有効な資格となる。本管理システムでは、親子関係が入れ替わっても、親に登録された資格コードを有効とすることで、資機材同士の組合せを柔軟に管理することができる。
【0034】
データベースBは物理的な位置関係や電気的な接続関係の情報を備える。物理的な位置関係や電気的な接続関係の情報は、資機材を取り付ける位置、資機材同士の接続する配線に関する情報等である。設計デーベース・サーバ内では、データベースBの接続No、又は指示書Noと図面を関連付ける別のデータベースが作成される。したがって、データベースBから接続No、又は指示書Noのデータが読み出されたときに、物理的な位置関係や電気的な接続関係を示す図面情報が読み出される。
【0035】
さらに、設計データベース・サーバは、資格コードと資格名を関連付けるデータベース(資格マスターテーブル)と、作業者と作業者の所有する資格を関連付けるデータベース(作業者マスターテーブル)を備える。
【0036】
次に、図2に示す資機材リスト100でデータベースA,Bの作成が完了すると、実際の施工工期に応じて、資機材の出荷作業が工場等で行なわれる(ステップ111)。実際には資機材を製造する製造メーカ又は工場に、出荷指示を行なうための指示書(機器リスト)が作成される(ステップ112)。
【0037】
指示書の作成に合わせて、データベースAの情報に基づいてRFIDラベルの発行が行なわれる(ステップ113)。RFIDラベルの発行では、RFIDラベルプリンタからRFIDタグに情報が書き込まれる。RFIDタグのICチップには識別コードとUIDをペアにした情報が書き込まれ、RFIDタグの表面には製品名、バーコードが印刷される。製品名、バーコードを印刷することで、RFIDタグの故障時のバックアップとすることができる。
【0038】
次に、作成された指示書のデータが工場等に送信される(ステップ114)。指示書のデータにしたがって、工場の作業者は各資機材にRFIDタグを貼り付ける(ステップ115)。作業者は、RFIDタグが資機材に正しく貼り付けられたかを確認する(ステップ116)。この確認は作業者が目視にて行なう。具体的には、機器の銘板とラベルの番号が一致するか作業者が確認する。なお、実際の運用では確認結果を文書として残すことが望ましい。作業者は、RFIDタグの貼り付け作業が正しく終了したことを、返信する(ステップ117)。終了データが設計データベース・サーバに登録され、工場からの出荷準備が完了したことを設計データベース・サーバ上で確認することが可能となる。RFIDタグが貼り付けられた資機材は輸送手段に積載され、例えば、納品明細と一緒に現場倉庫で向けて出荷され、出荷された日付が設計データベース・サーバに登録される。
【0039】
次に、RFIDタグが貼り付けられた資機材が現場倉庫に入庫される(ステップ121)。現場倉庫での入庫では、入庫が予定される資機材をリストアップした指示書(機器リスト)が作成される(ステップ122)。
【0040】
作成された指示書のデータが現場倉庫に送信される(ステップ123)。指示書のデータは、現場倉庫で入庫作業を行なう作業者の携帯端末に送信される。次に、現場倉庫の作業者は、製品の入庫確認を行う(ステップ124)。作業者は、現場倉庫に到着した資機材に貼り付けられたRFIDタグを携帯端末で読み取る(ステップ125)。作業者は、携帯端末で受信した指示書の内容と、資機材のRFIDタグから読取った資機材情報とが一致するかを確認する。指示書の内容と資機材情報とが一致すれば、入庫資機材に間違いは無いと判断する。作業者は、照合結果を設計データベース・サーバに返信する(ステップ126)。入庫が完了した日付が設計データベース・サーバに登録され、入庫が完了したことを設計データベース・サーバ上で確認することが可能となる。指示書の内容と資機材情報とが一致しなければ、現場倉庫で迅速に対処することができる。
【0041】
現場倉庫に入庫された資機材は、一般的に現場倉庫内で仮置きされる。現場作業者は入庫した資機材が何時の時点で作業現場に搬入されるかを確認し、その搬入時期に応じて資機材を保管置場に仮置きする。
【0042】
次に、RFIDタグが貼り付けられた資機材が現場倉庫から施工現場に向けて出庫される(ステップ131)。施工現場で据付が行なわれる予定の資機材をリストアップした指示書(機器リスト)が作成される(ステップ132)。作成された指示書のデータが現場倉庫に送信される(ステップ133)。指示書のデータは、現場倉庫で出庫作業を行なう作業者の携帯端末に送信される。次に、現場倉庫の作業者は、資機材の出庫確認を行う(ステップ134)。作業者は、現場倉庫に仮置きされている資機材に貼り付けられたRFIDタグを携帯端末で読み取る(ステップ135)。作業者は、携帯端末で受信した指示書の内容と、現場倉庫にある資機材のRFIDタグから読取った資機材の情報とが一致するかを確認する。指示書の内容と資機材の情報とが一致すれば、出庫する資機材に間違いは無いと判断する。作業者は、照合結果を設計データベース・サーバに返信する(ステップ136)。照合の完了した資機材はトラック等の搬送手段に積載され、施工現場に向けて出荷される。出庫した日付が設計データベース・サーバに登録され、設計データベース・サーバ上で資機材の出庫を確認することが可能となる。
【0043】
次に、現場倉庫から出庫された資機材が、組立前の状態で施工現場に運び込まれる(ステップ141)。施工現場で据付が行なわれる資機材の組立や接続等の作業を記載した指示書が作成される(ステップ142)。データベースBに登録された指示書Noに相当する指示書が、施工現場で据付作業を行なう作業者の携帯端末に送信される(ステップ143)。指示書には、組立又は接続される資機材の組合せと、組合せの中で親となる資機材が表示される。これにより、作業者は組立又は接続に必要な資機材を確認できる。図5は携帯端末に表示される画面を示す。画面には、指示書の番号、親の資機材、親の資機材に関連付けられた子の資機材の情報が表示される。作業者は資機材の組合せを容易に確認することができる。また、親の資機材の登録された資格コードも確認できる。さらにこの資格コードと作業者マスターテーブルが突き合せられ、作業者が作業に従事できるかが判断される。
【0044】
施工現場の施工者は、資機材の据付前の確認を行なう(ステップ144)。施工者は、施工現場に搬送された資機材に貼り付けられたRFIDタグを携帯端末で読み取る(ステップ145)。施工者は、携帯端末で受信した指示書にしたがい、親の資機材のRFIDタグから情報を読み取り、さらに子の資機材のRFIDタグから情報を読取る。指示書の内容と、施工現場にある資機材のRFIDタグから読取った資機材の情報とが一致するかを確認する。指示書の内容と資機材の情報とが一致すれば、据付前の資機材には間違いは無いと判断する。
【0045】
資機材の情報に加えて、親の資機材の関連付けられている資格コードが読取られる。施工者のIDを携帯端末で読み取る。親の資機材の資格コードと施工者の資格コードが一致するかが確認される。資格コードが一致する場合は施工者による作業が許可状態となる。さらに、資機材の同士の物理的な位置関係や電気的な接続関係を示す図面情報が読み出される。その情報に基づいて、有効な資格を有する施工者によって、資機材の据付が行なわれる。その作業結果が設計データベース・サーバに返信される(ステップ146)。作業直前で資機材及び作業者資格の確認が行なわれる。
【0046】
施工現場に搬送された資機材は、有効な資格を有する施工者により据え付けられる(ステップ151)。確認の作業をするための指示書(機器リスト)が作成される(ステップ152)。
【0047】
そして、指示書の内容が送信される(ステップ153)。施工現場の施工者の携帯端末に指示書のデータが送信される。指示書の内容に基づいて、施工者は据付に間違いがないか確認する(ステップ154)。施工者は据付完了した資機材のRFIDタグから情報を読み取り、指示書の内容と照合する(ステップ155)。照合結果に問題なければ、作業の結果が設計データベース・サーバに返信される(ステップ156)。作業直後で資機材及び作業者資格の確認が行なわれる。
【0048】
本管理システムにおいては、親に設定した資格を,その作業に必要な資格としている。資機材の組合せが同じでも親子を変えることで,必要な資格も変えることができる。作業の種類に応じた資機材の確認が容易となり、作業能率を向上することができる。資機材同士と組合せと資格を施工の現場に合わせて柔軟に管理することができる。
【0049】
この接続は,盤と盤に取り付けられる資機材(遮断器、トランス等)の接続、ケーブル同士の接続や,盤同士の接続,また,ベースに盤を設置する場合にも適用できる。その他、配管の接続管理や,ボルトやナットの接続管理,部材の溶接管理,更には,ボルトとボルト穴位置など,接続するもの全てに適用可能である。更に,親機器に対して,施工や接続に必要な資格を関連付けることにより,接続箇所の資格管理が可能となる。
【0050】
図6は資機材の組合せの態様を示す。図6(A)はケーブル接続作業における資機材の組合せを示す。2本のケーブルが端末処理材を介して施工者により接続される。2本のケーブル及び端末処理材にはそれぞれRFIDタグ14が貼り付けられる。ケーブル接続作業では、端末処理材が親の資機材として登録される。そして、ケーブルが子の資機材として登録される。施工者に必要な資格は、親の資機材である端末処理材に登録されているケーブル接続資格となる。
【0051】
図6(B)はブス接続ボルト作業における資機材の組合せを示す。2つの盤がブスを介して施工者により接続される。2つの盤にRFIDタグ14が貼り付けられる。ブスに関しては、ブスが梱包される包装容器にRFIDタグ14が貼り付けられる。ブス接続ボルト作業では、ブスが親の資機材として登録され、盤が子の資機材として登録される。施工者に必要な資格は、親の資機材であるブスに登録されている資格となる。
【0052】
図6(C)は枠間ボルト作業における資機材の組合せを示す。2つの盤がボルトを介して施工者により接続される。2つの盤にRFIDタグ14が貼り付けられる。ボルトに関しては、ボルトが梱包される包装容器にRFIDタグ14が貼り付けられる。枠間ボルト作業では、ボルトが親の資機材として登録され、盤が子の資機材として登録される。施工者に必要な資格は、親の資機材であるボルトに登録されている資格となる。
【0053】
図6(D)はアンカーボルト作業における資機材の組合せを示す。盤とベースがアンカーボルトを介して施工者により接続される。ベースと盤のそれぞれにRFIDタグ14が貼り付けられる。アンカーボルトに関しては、アンカーボルトが梱包される包装容器にRFIDタグ14が貼り付けられる。アンカーボルト作業では、アンカーボルトが親の資機材として登録され、ベースと盤が子の資機材として登録される。施工者に必要な資格は、親の資機材であるアンカーボルトに登録されている資格となる。
【符号の説明】
【0054】
10…管理システム、12…計データベース・サーバ、14…RFIDタグ、16…RFIDラベルプリンタ、20…資機材、50…携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施行現場における資機材及び施行の管理システムであって、
前記資機材に取り付けられ、識別子(Unique Identification)を記録する複数の携帯記録装置と、
第一のデータベースと第二のデータベースとを備えるサーバと、
前記第一のデータベースは、施工現場で使用される資機材の情報と、前記識別子と、資機材を扱うための資格に関する情報とを関連付けて保持し、
前記第二のデータベースは、施工現場での作業ごとに接続または組み合わされる前記資機材同士を関連付けてグループ化し、作業の種類に応じて前記グループ内の一つの資機材を親とし、他の資機材を子として関連付けて保持し、
前記携帯記録装置から前記識別子を読み取り、前記識別子に基づいて前記サーバから情報を読み出す携帯端末と、
を備える施行現場における資機材及び施行の管理システム。
【請求項2】
前記第二のデータベースは、前記資機材が登録又は配置される際の他の資機材との物理的な位置関係及び又は資機材間の電気的な接続関係に関する接続情報をさらに保持する請求項1に記載の施行現場における資機材及び施行の管理システム。
【請求項3】
前記携帯記録装置がRFIDタグを含む請求項1又は2に記載の施行現場における資機材及び施行の管理システム。
【請求項4】
前記携帯記録装置が更にバーコードを含む請求項3に記載の施行現場における資機材及び施行の管理システム。
【請求項5】
施行現場における資機材及び施行の管理方法であって、
施工現場で使用される資機材と、識別子と、資機材を扱うための資格に関する情報とを関連付けて第一のデータベースに登録するステップと、
施工現場での作業ごとに接続または組み合わせる前記資機材同士を関連付けてグループ化し、作業の種類に応じて前記グループ内の一つの資機材を親として、他の資機材を子として関連付けて前記第二のデータベースに登録するステップと、
前記識別子を携帯記録装置に書き込むステップと、
前記識別子を記録する複数の前記携帯記録装置を製品に取り付けるステップと、
前記携帯記録装置から前記識別子を読み取り、前記識別子に基づいて前記サーバから情報を携帯端末に読み出すステップと、
を備える施行現場における資機材及び施行の管理方法。
【請求項6】
前記携帯端末に読み出された前記管理情報に基づいて接続状態を確認するステップを含む請求項5に記載の施行現場における資機材及び施行の管理方法。
【請求項7】
前記第二のデータベースに登録するステップは、前記資機材が登録又は配置される際の他の資機材との物理的な位置関係及び又は資機材間の電気的な接続関係に関する接続情報をさらに登録するステップを含む請求項5又は6に記載の施行現場における資機材及び施行の管理方法。
【請求項8】
前記携帯記録装置がRFIDタグを含む請求項5〜7の何れか1に記載の施行現場における資機材及び施行の管理方法
【請求項9】
前記携帯記録装置が更にバーコードを含む請求項8に記載の施行現場における資機材及び施行の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−22849(P2011−22849A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167948(P2009−167948)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】