旅行時間算出システム
【課題】無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されていない期間でも、車両に取り付けられたスマートプレートや無線通信式端末装置2を、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に有効に利用し、平均旅行時間の算出精度を向上させた旅行時間算出システムを提供する。
【解決手段】既存のAVIシステムと、SPシステムとを統合したので、画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2の少なくとも一方が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。また、AVIシステムとの統合により、平均旅行時間が算出できる2地点間が増加し、平均旅行時間の算出がよりきめ細かく行える。さらに、無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されていない期間も、道路網における2地点間の平均旅行時間の算出にスマートプレートや無線通信式端末装置2を有効に利用することができる。
【解決手段】既存のAVIシステムと、SPシステムとを統合したので、画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2の少なくとも一方が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。また、AVIシステムとの統合により、平均旅行時間が算出できる2地点間が増加し、平均旅行時間の算出がよりきめ細かく行える。さらに、無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されていない期間も、道路網における2地点間の平均旅行時間の算出にスマートプレートや無線通信式端末装置2を有効に利用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する旅行時間算出システムに関し、特にスマートプレート(電子ナンバープレート)が取り付けられた車両を検知するシステムと、既存のAVIシステムと、を統合した旅行時間算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出システムとして、特許文献1、2等に記載されているAVIシステムがある。AVIシステムは、道路網の複数の地点に設置された複数の車両検知装置と、各車両検知装置が検知した通過車両の情報を収集し、収集した情報を用いて道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する上位装置(以下、AVIサーバと言う。)と、を備えている。車両検知装置は、通過車両のナンバープレートをカメラで撮像し、その撮像画像を処理して、この通過車両のナンバープレート番号を取得する。車両検知装置は、取得した通過車両のナンバープレート番号、この通過車両のナンバープレートをカメラで撮像した時刻、および自装置を識別する識別コードを検知した通過車両にかかる情報としてAVIサーバへ送信する。AVIサーバにおいて、ナンバープレート番号は通過車両を特定する情報として利用され、通過車両のナンバープレートをカメラで撮像した時刻はこの通過車両の通過時刻として利用され、車両検知装置の識別コードは通過車両を検知した地点を特定する情報として利用される。AVIサーバは、各車両検知装置から送信されてきた通過車両にかかる情報を収集し記憶している。AVIサーバは、車両検知装置毎に道路網における設置地点(カメラの撮像エリア)を記憶している。具体的には、車両検知装置毎に識別コードと、設置地点(例えば、地名や、緯度および経度)と、を対応づけて記憶している。AVIサーバは、記憶している各車両検知装置から送信されてきた通過車両にかかる情報から、車両検知装置の設置地点毎に、通過した通過車両のナンバープレート番号、通過時刻を得ることができる。
【0003】
AVIサーバは、記憶している各車両検知装置から送信されてきた通過車両にかかる情報を用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する。平均旅行時間の算出が行える道路網の2地点間は、車両検知装置の設置地点間である。AVIサーバは、平均旅行時間を算出する2地点間の下流側の地点、および上流側の地点の両方で検知された同じナンバープレート番号の通過車両毎に、すなわち上流側および下流側の両地点を通過した車両毎に、下流側の地点での通過時刻と、上流側の地点での通過時刻との差を、この2地点間における旅行時間として算出する。そして、通過車両毎に算出した2地点間の旅行時間の平均を算出し、これをこの2地点間における車両の平均旅行時間とする。
【0004】
なお、AVIサーバは、平均旅行時間の算出において、一定時間以内(例えば、最近30分以内や、最近1時間以内)に下流側の地点でナンバープレート番号が取得された通過車両を対象とし、それ以前にナンバープレート番号が取得された通過車両を対象外にしている。これにより、算出される道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を、道路網における交通状況の変化に対応させている。また、算出された旅行時間が他の通過車両の旅行時間に比べて大きく異なる通過車両については、その旅行時間を平均旅行時間の算出に用いないことも提案されている。算出された旅行時間が他の通過車両の旅行時間に比べて大きく異なる場合、その通過車両の平均旅行時間を算出する2地点間における走行形態が一般的な車両と異なっていたり、上流側の地点で検知された車両と下流側の地点で検知された車両とが異なる車両であったと考えられる。したがって、算出された旅行時間が他の通過車両の旅行時間に比べて大きく異なる通過車両については、その旅行時間を平均旅行時間の算出に用いないことで、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出精度の向上が図れる。
【0005】
なお、この平均旅行時間を用いて、上流側の出発時刻を基準とした下流側までの予測旅行時間を算出し、下流側に向かう車両のドライバに予測旅行時間情報を提供することも実施されている。
【0006】
一方、スマートプレート(電子ナンバープレート)の実用化が進められており、最近ではスマートプレートを利用した様々なシステムの実証実験が各地で行われている。ここで、スマートプレートについて簡単に説明する。スマートプレートは、車両のナンバープレート番号や自動車検査証に記載されている車両の諸元情報等を車両情報として記憶させる記憶部(ICチップ)と、無線通信を行う無線通信部とを備えている。このスマートプレートを車両に取り付けることが、現在検討されている。スマートプレートは、記憶部に記憶している車両情報の送信や、記憶部に記憶する情報の受信を無線通信部で行う。
【0007】
また、スマートプレートを利用するシステムとして、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するシステム(以下、SPシステムと言う。)、駐車場における車両の管理システム、特定の区域に出入りする車両を制限するシステム等が提案されている。例えば、SPシステムでは、スマートプレートが記憶している車両情報を、スマートプレートとの無線通信で取得する無線通信式端末装置を道路網の複数の地点にそれぞれ設置する。各無線通信式端末装置が通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信で取得した車両情報を上位装置(以下、SPサーバと言う。)で収集する。そして、SPサーバが、収集した車両情報を用いて、上述したAVIシステムのAVIサーバと同様の手法で道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出を行う。また、駐車場の管理システムでは、駐車場の出入口にそれぞれ無線通信式端末装置を設置する。各無線通信式端末装置が駐車場に入場、または出場する車両に取り付けられているスマートプレートとの無線通信で取得した車両情報を上位装置で収集する。上位装置は、収集した情報を用いて、駐車場内に駐車されている車両の管理や、駐車場から出場する車両に対して駐車時間に基づく駐車料金の精算等を行う。
【特許文献1】特公平5−86600号公報
【特許文献2】特開昭64−42771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、スマートプレートを利用して道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するSPシステムについて考えると、上述したように現時点では、スマートプレートの実証実験が行われている段階である。したがって、スマートプレートと無線通信を行う無線通信式端末装置が道路網にきめ細かく設置されるまでに数年〜十数年の期間を要すると思われる。言い換えれば、無線通信式端末装置が道路網にきめ細かく設置されていない状況が数年〜十数年の期間存在する。
【0009】
なお、各車両へのスマートプレートの取り付けは、法制化により速やかに行われる。
【0010】
SPシステムでは、平均旅行時間の算出が行える2地点間は、無線通信式端末装置が設置されている2地点間になるので、無線通信式端末装置が道路網にきめ細かく設置されるまで、平均旅行時間の算出が行える2地点間が限られてしまう。したがって、実用性のあるSPシステムが構築できるまでに数年〜十数年の期間を要し、この期間においては、車両に取り付けられたスマートプレートや道路網に設置された無線通信式端末装置が有効に利用できず、無駄になるという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、スマートプレートとの無線通信で車両情報を取得する装置が道路網にきめ細かく設置されていない期間でも、車両に取り付けられたスマートプレートやスマートプレートとの無線通信で車両情報を取得する道路網に設置された装置を、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に有効に利用し、平均旅行時間の算出精度を向上させた旅行時間算出システムを提供することにある。
【0012】
また、この発明は、スマートプレート、またはナンバープレートの少なくとも一方が改竄された車両を検知する旅行時間算出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の旅行時間算出システムは、上記課題を解決し、その目的を達するために以下の構成を備えている。
【0014】
(1)道路網の複数の地点に設置され、撮像エリアにおける通過車両のナンバープレートを撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像画像を処理して通過車両のナンバープレート番号を取得する画像処理手段と、前記画像処理手段が取得した通過車両のナンバープレート番号を、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力するナンバープレート番号出力手段と、を有する複数の第1の車両検知装置と、
道路網の複数の地点に設置され、無線通信エリアにおける通過車両のナンバープレート番号を含む車両情報を該通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信により取得する無線通信手段と、前記無線通信手段が取得した通過車両の前記車両情報を、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力する車両情報出力手段と、を有する複数の第2の車両検知装置と、
複数の前記第1の車両検知装置が、前記ナンバープレート番号出力手段により出力した通過車両のナンバープレート番号と、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点にかかる前記取得関連情報を収集して記憶する第1の通過車両情報記憶手段と、複数の前記第2の車両検知装置が、前記車両情報出力手段により出力した通過車両の車両情報と、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して記憶する第2の通過車両情報記憶手段と、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段の記憶内容に基づいて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出手段と、を有する上位装置と、を備えている。
【0015】
この構成では、第1の車両検知装置が道路網の複数の地点に設置されている。第1の車両検知装置は、撮像手段により撮像された通過車両のナンバープレートの撮像画像が画像処理手段において処理し、この通過車両のナンバープレート番号を取得する。また、ナンバープレート番号出力手段が、画像処理手段が取得した通過車両のナンバープレート番号を、このナンバープレート番号を取得した取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに上位装置へ出力する。既存のAVIシステムの車両検知装置を、この第1の車両検知装置として利用することができる。
【0016】
また、第2の車両検知装置が道路網の複数の地点に設置されている。この第2の車両検知装置は、無線通信手段が通過車両に取り付けられたスマートプレート(電子ナンバープレート)と無線通信を行って、ナンバープレート番号を含む車両情報を取得する。スマートプレートは、ナンバープレート番号を含む車両情報を記憶部に記憶し、車両に取り付けられている。また、車両情報出力手段が、無線通信手段が取得した通過車両の前記車両情報を、この車両情報を取得した取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに上位装置へ出力する。
【0017】
上位装置は、各第1の車両検知装置が出力したナンバープレート番号、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して第1の通過車両情報記憶手段に記憶するとともに、各第2の車両検知装置が出力したナンバープレート番号を含む車両情報、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して第2の通過車両情報記憶手段に記憶する。上位装置は、平均旅行時間算出手段において、第1の通過車両情報記憶手段、および第2の通過車両記憶手段の記憶内容に基づいて、道路網の2地点間における平均旅行時間を算出する。第1の車両検知装置、および第2の車両検知装置では、ともに検知した通過車両のナンバープレート番号を取得している。したがって、ナンバープレート番号を用いることで、第1の車両検知装置、または第2の車両検知装置の少なくとも一方が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。また、既存のAVIシステムの端末装置を、この第1の車両検知装置として利用することで、車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信で車両情報を取得する第2の車両検知装置が道路網にきめ細かく設置されていない期間も、道路網における2地点間の平均旅行時間の算出にスマートプレートや第2の車両検知装置を有効に利用することができる。また、AVIシステムとの統合により、平均旅行時間が算出できる2地点間が増加し、平均旅行時間の算出がよりきめ細かく行える。
【0018】
(2)前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報を用いないで、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である。
【0019】
この構成では、第2の車両検知装置がスマートプレートから取得する車両情報に車両の種類が含まれている。ここで言う、車両の種類とは、一般車両、トラック、路線バス、消防車、救急車、パトカー(以下、消防車、救急車、パトカーを総称して緊急車両と言う。)等である。平均旅行時間算出手段は、予め設定されている種類の車両を道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出に用いない。したがって、道路網での走行形態が一般車両と異なる車両、路線バスや緊急車両等、を道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出に用いない車両として予め設定しておくことで、道路網での走行形態が一般車両と異なる車両を用いないで、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。したがって、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出精度のより一層の向上が図れる。
【0020】
(3)前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報のみを用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である。
【0021】
この構成では、予め定められた種類の車両の情報のみを用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間が算出されるので、例えば道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する車両として路線バスを設定することで、路線バスについて道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。
【0022】
(4)前記上位装置は、前記撮像手段における通過車両のナンバープレートの撮像エリアと、前記無線通信手段における通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信エリアと、が重なっている第1の車両検知装置と第2の車両検知装置とが同一の通過車両から取得したナンバープレート番号が一致しているかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段が一致していないと判定したとき、その旨を出力する出力手段と、を備えている。
【0023】
この構成では、判定手段が同一の通過車両に対して、第1の車両検知装置が取得した通過車両のナンバープレート番号と、第2の車両検知装置が取得した通過車両の車両情報に含まれているナンバープレート番号と、が一致しているかどうかを判定する。判定手段により一致していないと判定される通過車両は、ナンバープレート、またはスマートプレートの少なくとも一方が改竄されている可能性が高い。そして、判定手段が一致していないと判定したとき、出力手段がその旨を出力する。このとき、出力手段がこの通過車両のナンバープレート番号や、車両情報を出力することで、この車両に対する検問等の取り締まりを速やかに実施することができる。したがって、ナンバープレート、またはスマートプレートの少なくとも一方が改竄された車両を速やかに検挙することができる。特に、ナンバープレート、またはスマートプレートが改竄された車両は、犯罪に利用されることが多いことから、犯罪の防止という効果も奏する。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、既存のAVIシステムと統合することにより、車両に取り付けられたスマートプレートと無線通信で車両情報を取得する第2の車両検知装置が道路網にきめ細かく設置されていない期間も、道路網における2地点間の平均旅行時間の算出にスマートプレートや第2の車両検知装置を有効に利用することができる。また、AVIシステムとの統合により、平均旅行時間が算出できる2地点間が増加し、平均旅行時間の算出がよりきめ細かく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態である旅行時間算出システムについて説明する。
【0026】
この実施形態の旅行時間算出システムは、既存のAVIシステムと、スマートプレートを利用して道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するシステム(以下、SPシステムと言う。)と、を統合したシステムである。図1は、この発明の実施形態である旅行時間算出システムの構成を示す図である。この実施形態の旅行時間算出システムは、道路網の複数の地点に設置され、通過車両のナンバープレートを撮像し、その撮像画像を処理して通過車両のナンバープレート番号を取得する複数の画像式端末装置1(この発明で言う第1の車両検知装置に相当する。)と、道路網の複数の地点に設置され、通過車両に取り付けられたスマートプレート(電子ナンバープレート)からこの通過車両のナンバープレート番号を含む車両情報を取得する複数の無線通信式端末装置2(この発明で言う第2の車両検知装置に相当する。)と、各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号を収集するAVIサーバ3と、各無線通信式端末装置2が所得した通過車両の車両情報を収集するスマートプレートサーバ4(以下、SPサーバ4と言う。)と、各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号をAVIサーバ3から収集し、各無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報をSPサーバ4から収集し記憶するとともに、これらを用いて道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する統合サーバ5(この発明で言う上位装置に相当する。)と、を備えている。複数の画像式端末装置1、およびAVIサーバ3は既存のAVIシステムの構成である。また、複数の無線通信式端末装置2、およびSPサーバ4は、ここで言うSPシステムの構成である。また、統合サーバ5は、AVIシステムとSPシステムとを統合するための構成である。
【0027】
図2は、道路網における画像式端末装置、および無線通信式端末装置の設置地点を示す図である。図2では、画像式端末装置1を△、無線通信式端末装置2を○で示している。画像式端末装置1は、上述したように既存のAVIシステムの構成であり、すでに道路網にきめ細かく設置されている。一方、無線通信式端末装置2は、現在実用化が検討されているスマートプレートと無線通信を行う端末装置であり、現在のところ道路網に殆ど設置されていない。無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されるまでに、ある程度の期間、数年〜十数年の期間、を要すると思われる。図2では、無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されていないときの状態を示している。無線通信式端末装置2は、すでに設置されている画像式端末装置1の近くに設置されることもあれば、画像式端末装置1が設置されていない地点に設置されることもある。
【0028】
なお、現在、スマートプレートを車両に取り付けることが法制化される方向にあり、車両へのスマートプレートの取り付けは速やかに行われ、法制化から数年で、スマートプレートが取り付けられていない車両は無くなると思われる。スマートプレートの詳細については後述する。
【0029】
図3は、画像式端末装置の構成を示すブロック図である。画像式端末装置1は、本体の動作を制御する制御部10と、通過車両のナンバープレートを撮像するカメラ11と、カメラ11が撮像した通過車両のナンバープレートの撮像画像を処理してナンバープレート番号を取得する画像処理部12と、現在時刻を計時する時計部13と、画像処理部12で取得した通過車両のナンバープレート番号をAVIサーバ3へ送信する通信部14と、を備えている。カメラ11は、図4に示すように、通過車両を略正面から撮像するように、道路(車線)の上方に、路面側に傾けて設置している。カメラ11は、通過車両の前に取り付けられているナンバープレートを撮像する。カメラ11の撮像領域が通過車両のナンバープレート番号を取得する取得地点になり、この取得地点が画像式端末装置1の設置位置となる。図4では、4車線(片側2車線)の道路で、車線毎に通過車両のナンバープレートを撮像するカメラ11が取り付けられている例を示している。この地点には、画像式端末装置1が4台設置されている。
【0030】
なお、画像式端末装置1を、4台のカメラ11を備え、各カメラ11が撮像した通過車両のナンバープレートの撮像画像を画像処理部12で処理する構成としてもよい。この場合には、この地点に設置される画像式端末装置1の台数を1台にできる。
【0031】
画像処理部3は、カメラ11が撮像した撮像画像に対して画像処理を行い、通過車両のナンバープレート番号を取得する。ナンバープレートには、図5に示すように、地域表示、分類番号、用途表示、一連指定番号が記載されている。地域表示は、車両を登録した運輸支局を表示する文字、なにわ、横浜、品川等、である。分類番号は車両の種別および用途を示す2桁または3桁の数字であり、普通貨物自動車、普通乗合自動車、普通乗用自動車等を示す。用途表示は事業用、自家用、レンタカー等を表示する平仮名1文字である。一連指定番号は4桁の数字である。画像処理部12は、少なくとも一連指定番号をナンバープレート番号として取得する。また、画像処理部12は、一連指定番号に加えて、地域表示、分類番号、用途表示のいずれか1つまたは複数を、ナンバープレート番号として取得する構成としてもよいが、この場合には地域表示、分類番号、用途表示は一連指定番号に比べて文字が小さいので、画像処理による文字の認識精度を確保するために、画素数が比較的多い高精細のカメラ11を使用する必要がある。通信部14は、画像処理部12で取得したナンバープレート番号とともに、このナンバープレート番号の取得時刻、および取得地点を含む取得関連情報をAVIサーバ3に送信する。画像式端末装置1は、カメラ11が通過車両のナンバープレートを撮像したときに、時計部13が計時している時刻をナンバープレート番号の取得時刻とする。また、画像式端末装置1は、自装置を識別する識別コードを、取得地点を示す情報とする。
【0032】
図6は、AVIサーバの構成を示すブロック図である。AVIサーバ3は、本体の動作を制御する制御部30と、画像式端末装置1と通信する第1の通信部31と、各画像式端末装置1から送信されてきたナンバープレート番号、このナンバープレート番号の取得時刻、および取得位置を含む取得関連情報を収集して記憶する記憶部32と、統合サーバ5と通信する第2の通信部33と、を備えている。記憶部32には、図6に示すように、通過車両のナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が画像式端末装置1毎に設けられている。AVIサーバ3は、画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を第1の通信部31で受信すると、このナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている画像式端末装置1の識別コードを得る。そして、今回通過車両のナンバープレート番号を送信してきた画像式端末装置1に割り当てられている記憶部32の記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきたナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、AVIサーバ3の記憶部32においては、各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号が取得地点毎に分けて記憶される。また、第2の通信部33は、第1の通信部31で画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、このナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送する。このとき、ナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報についても統合サーバ5へ転送する。また、AVIサーバ3は、画像式端末装置1毎に通過車両のナンバープレート番号の取得地点を記憶している。画像式端末装置1におけるナンバープレート番号の取得地点として画像式端末装置1の設置地点(厳密に言うとカメラ11の撮像エリア)を記憶している。
【0033】
なお、ここでは、AVIサーバ3は、第1の通信部31で画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、すぐにこのナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0034】
次に、車両に取り付けるスマートプレートについて説明する。図7は、スマートプレートの構成を示すブロック図である。スマートプレート6は、本体の動作を制御する制御部60と、ナンバープレート番号を含む車両情報を記憶する記憶部61と、無線通信式端末装置2との無線通信を実行する無線通信部62と、を備えている。記憶部61は、不揮発性のメモリで構成されている。記憶部61には、車両のナンバープレート番号(地域表示、分類番号、用途表示、一連指定番号)、自動車検査証に記載されている車両の諸元情報(車両重量、車高、車幅、車長等)、車両の種類(路線バス、救急車、消防車、パトカー、自家用車等)等が記憶されている。スマートプレート6には、動作電源を供給する電池(不図示)が設けられている。スマートプレート6は、通常時、無線通信機式端末装置2からのポーリングを受信できるように無線通信部62を動作させているが、記憶部61への電源供給を停止している。スマートプレート6は、無線通信部62において無線通信式端末装置2からのポーリングを受信すると、記憶部61への電源供給を開始し、無線通信式端末装置2との無線通信を終了すると、記憶部61への電源供給を停止する。無線通信部62における無線通信は、ASK変調で行われ、また周波数が5.8GHz帯、通信速度が1Mbpsである。
【0035】
また、スマートプレート6を車両に取り付けることが法制化される方向にある。法制化されると、車両へのスマートプレート6の取り付けは、車検時や新車購入時に行われると考えられるので、スマートプレートが取り付けられた車両は速やかに普及する。
【0036】
図8は、無線通信式端末装置の構成を示すブロック図である。無線通信式端末装置2は、本体の動作を制御する制御部20と、スマートプレート6との無線通信を実行する無線通信部21と、現在時刻を計時する時計部22と、SPサーバ4と通信する通信部23と、を備えている。無線通信式端末装置2は、無線通信部21の通信エリア内を通過車両に取り付けられているスマートプレートが通過するように設置すればよく、路側に立設してもよいし、車線の上方に取り付けてもよい。無線通信部21は、一定時間間隔、例えば数秒(1〜2秒)間隔、で無線通信エリア内に位置するスマートプレートに対して応答を要求するポーリングを繰り返し行う。無線通信式端末装置2は、無線通信部21においてスマートプレート6からの応答を受信すると、無線通信部21の無線通信エリア内にスマートプレート6が取り付けられた通過車両が存在すると判断し、このスマートプレート6との無線通信を実行する。無線通信式端末装置2は、この無線通信でスマートプレート6が記憶部61に記憶している車両情報を取得する。通信部23は、無線通信部21におけるスマートプレート6との無線通信により取得した車両情報とともに、この車両情報の取得時刻、および取得地点を含む取得関連情報をSPサーバ4に送信する。無線通信式端末装置2は、無線通信部21でスマートプレート6と無線通信を行ったときに、時計部22が計時している時刻を車両情報の取得時刻とする。また、無線通信式端末装置2は、自装置を識別する識別コードを、取得地点を示す情報とする。
【0037】
図9は、SPサーバの構成を示すブロック図である。SPサーバ4は、本体の動作を制御する制御部40と、道路網に設置されている無線通信式端末装置2と通信する第1の通信部41と、各無線通信式端末装置41から送信されてきた車両情報を収集し記憶する車両情報記憶部42と、統合サーバ5と通信する第2の通信部43と、を備えている。車両情報記憶部42には、図9に示すように、通過車両の車両情報と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が無線通信式端末装置2毎に設けられている。SPサーバ4は、無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を第1の通信部41で受信すると、この車両情報とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている無線通信式端末装置2の識別コードを得る。そして、今回通過車両の車両情報を送信してきた無線通信式端末装置2に割り当てられている車両情報記憶部42の記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきた車両情報と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、SPサーバ4の車両情報記憶部42においては、無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報が取得地点ごとに分けて記憶される。また、第2の通信部43は、第1の通信部41で無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を受信すると、この車両情報を統合サーバ5へ転送する。このとき、車両情報とともに送信されてきた取得関連情報についても統合サーバ5へ転送する。また、SPサーバ4は、無線通信式端末装置2毎に通過車両の車両情報の取得地点を記憶している。無線通信式端末装置2における車両情報の取得地点として無線通信式端末装置2の設置地点(厳密に言うと無線通信部21の無線通信エリア)を記憶している。
【0038】
なお、ここでは、SPサーバ4は、第1の通信部41で無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を受信すると、すぐにこの車両情報を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0039】
図10は、統合サーバの構成を示すブロック図である。統合サーバ5は、本体の動作を制御する制御部50と、AVIサーバ3およびSPサーバ4と通信する通信部51と、AVIサーバ3およびSPサーバ4から送信されてきた情報を記憶する記憶部52と、算出した道路網の2地点間における平均旅行時間の表示等を行う表示部53と、本体に対して入力操作を行う操作部54と、を備えている。統合サーバ5は、道路網の複数の地点に設置された画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号、および道路網の複数の地点に設置された無線通信式端末装置2が取得した車両情報を用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する。通信部51には、AVIサーバ3との通信を実行するAVI通信部と、SPサーバ4との通信を実行するSP通信部とが設けられている。記憶部52には、AVIサーバ3から転送されてきた通過車両のナンバープレート番号を記憶するAVI用記憶部52Aと、SPサーバ4から転送されてきた通過車両の車両情報を記憶するSP用記憶部52Bとが設けられている。AVI用記憶部52Aが、この発明で言う第1の通過車両情報記憶手段に相当し、SP用記憶部52Bがこの発明で言う第2の通過車両情報記憶手段に相当する。AVI用記憶部52Aは、AVIサーバ3の記憶部32と同様に、通過車両のナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が画像式端末装置1毎に設けられている。統合サーバ5は、AVIサーバ3から送信されてきた画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号を通信部51で受信すると、このナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている画像式端末装置1の識別コードを得る。そして、今回受信した通過車両のナンバープレート番号を取得した画像式端末装置1に割り当てられているAVI用記憶部52Aの記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきたナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、AVI用記憶部52Aにおいては、画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号が取得地点ごとに分けて記憶される。また、SP用記憶部52Bは、SPサーバ4の車両情報記憶部42と同様に、通過車両の車両情報と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が無線通信式端末装置2毎に設けられている。統合サーバ5は、SPサーバ4から送信されてきた無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報を通信部51で受信すると、この車両情報とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている無線通信式端末装置2の識別コードを得る。そして、今回受信した通過車両の車両情報を取得した無線通信式端末装置2に割り当てられているSP用記憶部52Bの記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきたナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、SP用記憶部52Bにおいては、無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報が取得地点ごとに分けて記憶される。統合サーバ5は、AVI用記憶部52AおよびSP用記憶部52Bの記憶内容に基づいて、画像式端末装置1または無線通信式端末装置2が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出する。
【0040】
また、統合サーバ5は、画像式端末装置1毎にナンバープレート番号の取得地点を記憶しているとともに、無線通信式端末装置2毎に車両情報の取得地点を記憶している。さらに、統合サーバ5は、カメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている画像式端末装置1と無線通信式端末装置2とを対応づけて記憶している。カメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている画像式端末装置1と無線通信式端末装置2とは、略同時刻に同一車両からナンバープレート、車両情報を取得する。
【0041】
また、統合サーバ5は、AVIサーバ3に対して各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせを指示する。また、SPサーバ4に対して各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合せを指示する。AVIサーバ3、SPサーバ4に対する時刻合せの指示は、同じタイミングで行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。例えば、操作部54において所定の入力操作が行われたときに、AVIサーバ3、SPサーバ4に対して時刻合せを指示する構成としてもよいし、予め定めた時刻、例えば午前0時00分、になるとAVIサーバ3、SPサーバ4に対して時刻合せを指示する構成としてもよい。AVIサーバ3は、統合サーバ5から各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせが指示されると、各画像式端末装置1に対して時計部13の時刻合わせにかかる処理を実行する。また、SPサーバ4は、統合サーバ5から各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせが指示されると、各無線通信式端末装置2に対して時計部22の時刻合わせにかかる処理を実行する。
【0042】
次に、この発明の実施形態である旅行時間算出システムの動作について説明する。この実施形態の旅行時間算出システムは、上述したように既存のAVIシステムと、SPシステムと、を統合し、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するシステムである。まず、道路網に設置されている画像式端末装置1の動作について説明する。図11は、画像式端末装置の動作を示すフローチャートである。道路網に設置されている各画像式端末装置1は、カメラ11の撮像エリア内に位置する通過車両を検知するか(s1)、またはAVIサーバ3から時計部13の時刻合せが指示されるのを待っている(s2)。画像式端末装置1にはカメラ11の撮像エリア内に位置する通過車両を検知する構成が設けられている。例えば、赤外線光を撮像エリア(路面)に向けて照射し、路面または車両からの反射光を受光する。そして、赤外線光を照射してからその反射光を受光するまでの時間により、路面からの反射光であるか、車両からの反射光であるかを判定する構成が設けられている。
【0043】
画像式端末装置1は、s1で撮像エリア内に位置する通過車両を検知すると、カメラ11でその通過車両のナンバープレートを撮像する(s3)。また、このときに計時部13が計時している時刻を今回の通過車両のナンバープレート番号の取得時刻に決定する(s4)。画像式端末装置1は、カメラ11で撮像した通過車両のナンバープレートの撮像画像を画像処理部12で処理し、この通過車両のナンバープレート番号を取得する(s5)。s5で取得するナンバープレート番号は、ナンバープレートに記載されている一連指定番号である。また、一連指定番号に加えて、地域表示、分類番号、用途表示のいずれか1つまたは複数を、ナンバープレート番号として取得するようにしてもよい。画像式端末装置1は、s5で取得した通過車両のナンバープレート番号とともに、s4で決定した取得時刻、および自装置の識別コードを含む取得関連情報を通信部14からAVIサーバ3へ送信し(s6)、s1に戻る。
【0044】
このように、画像式端末装置1は、通過車両のナンバープレート番号を取得する毎に、取得した通過車両のナンバープレート番号とともに取得関連情報をAVIサーバ3に送信する。
【0045】
また、画像式端末装置1は、s2でAVIサーバ3から時計部13の時刻合せが指示されると、時計部13の時刻合わせにかかる処理を行って(s7)、s1に戻る。このs7にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0046】
次に、AVIサーバ3の動作について説明する。図12は、AVIサーバの動作を示すフローチャートである。AVIサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を第1の通信部31で受信するか(s11)、統合サーバ5から各画像式端末装置1の時計部13に対する時刻合わせの指示があるのを待っている(s12)。AVIサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を第1の通信部31で受信すると、このナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報から、今回ナンバープレート番号を送信してきた画像式端末装置1の識別コードを読み出す(s13)。AVIサーバ3は、s13で読み出した識別コードの画像式端末装置1に割り当てられている記憶部32の記憶領域を判断し、その記憶領域に今回受信したナンバープレート番号と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶する(s14)。また、AVIサーバ3は、第2の通信部33が第1通信部31で受信したナンバープレート番号、取得関連情報を統合サーバ5へ転送する処理を実行し(s15)、s11に戻る。
【0047】
このように、AVIサーバ3は道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、これを記憶部32に記憶するとともに、受信したナンバープレート番号、および取得関連情報を統合サーバ5へ転送する。また、AVIサーバ3は、道路網に設置されている各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号を収集し、記憶部32に記憶するので、画像式端末装置1が設置されている2地点間については、車両の平均旅行時間を算出することができる。
【0048】
なお、ここでは、AVIサーバ3は、第1の通信部31で画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、すぐにこのナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0049】
また、AVIサーバ3は、統合サーバ5から各画像式端末装置1の時計部13に対する時刻合わせの指示があると、各画像式端末装置1に対して時計部13の時刻合わせにかかる処理を実行し(s16)、s11に戻る。このs16にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0050】
次に、無線通信式端末装置2の動作について説明する。図13は、無線通信式端末装置の動作を示すフローチャートである。無線通信式端末装置2は、スマートプレート6に対するポーリングを行うタイミングになるか(s21)、SPサーバ4から時計部22の時刻合わせが指示されるのを待っている(s22)。無線通信式端末装置2は、スマートプレート6に対するポーリングを一定時間毎に、例えば1〜2秒毎に、行うように設定されている。無線通信式端末装置2は、s21でポーリングを行うタイミングであると判定すると、無線通信エリア内に位置するスマートプレート6に対して、応答を要求するポーリングを行う(s23)。通過車両に取り付けられたスマートプレート6が無線通信部23の無線通信エリア内に位置していると、このスマートプレート6が無線通信式端末装置2が行ったポーリングを受信し、無線通信部62からポーリングに対する応答を送信する。したがって、無線通信式端末装置2は、無線通信部21の無線通信エリア内に車両に取り付けられたスマートプレート6が位置していれば、s23で行ったポーリングに対する応答を受信し、反対に無線通信部21の無線通信エリア内に車両に取り付けられたスマートプレート6が位置していなければ、s23で行ったポーリングに対する応答を受信しない。言い換えれば、無線通信部21の無線通信エリア内に通過車両が位置していれば、s23で行ったポーリングに対する応答を受信し、反対に無線通信部21の無線通信エリア内に通過車両が位置していなければ、s23で行ったポーリングに対する応答を受信しない。
【0051】
また、無線通信式端末装置2からのポーリングを受信したスマートプレート6は、記憶部61等への電源供給を開始する。スマートプレート6は、無線通信式端末装置2からのポーリングを受信していないときであっても、無線通信部62に対する電源供給を行っており、無線通信部62が無線通信式端末装置2からのポーリングを受信できる状態に維持している。
【0052】
無線通信式端末装置2は、s23で行ったポーリングに対するスマートプレート6からの応答の有無を判定し(s24)、応答がなければs21に戻る。反対に、応答があると、今回応答してきたスマートプレート6との無線通信を実行し、このスマートプレートが記憶部61に記憶している車両情報を取得する(s25)。スマートプレート6との無線通信は、記憶している車両情報の送信を要求し、この要求に対してスマートプレート6から送信されてきた車両情報を受信する処理である。
【0053】
また、スマートプレート6は、車両情報を無線通信端末装置2に送信すると、記憶部61に対する電源供給を停止する。ただし、無線通信部62に対する電源供給については停止しない。
【0054】
無線通信式端末装置2は、s25で車両情報を受信すると、このときに計時部22が計時している時刻を今回の通過車両の車両情報の取得時刻に決定する(s26)。無線通信式端末装置2は、s25で受信した車両情報とともに、s26で決定した取得時刻、および自装置の識別コードを含む取得関連情報を通信部23からSPサーバ4へ送信し(s27)、s21に戻る。
【0055】
このように、無線通信式端末装置2は、スマートプレート6との無線通信により、通過車両の車両情報を受信する毎に、取得した通過車両の車両情報とともに取得関連情報をSPサーバ4に送信する。
【0056】
また、無線通信式端末装置2は、s22でSPサーバ4から時計部22の時刻合せが指示されると、時計部22の時刻合わせにかかる処理を行って(s28)、s21に戻る。このs28にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0057】
次に、SPサーバ4の動作について説明する。図14は、SPサーバの動作を示すフローチャートである。SPサーバ4は、道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を第1の通信部41で受信するか(s31)、統合サーバ5から各無線通信式端末装置2の時計部22に対する時刻合わせの指示があるのを待っている(s32)。SPサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を第1の通信部41で受信すると、この車両情報とともに送信されてきた取得関連情報から、今回車両情報を送信してきた無線通信式端末装置2の識別コードを読み出す(s33)。SPサーバ4は、s33で読み出した識別コードの無線通信式端末装置2に割り当てられている車両情報記憶部42の記憶領域を判断し、その記憶領域に今回受信した車両情報と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶する(s34)。また、SPサーバ4は、第2の通信部43が第1通信部41で受信した車両情報、取得関連情報を統合サーバ5へ転送する処理を実行し(s35)、s31に戻る。
【0058】
このように、SPサーバ4は道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から通過車両の車両情報を受信すると、車両情報記憶部42に記憶するとともに、受信した車両情報を統合サーバ5へ転送する。また、SPサーバ4は、道路網に設置されている各無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報を収集し、車両情報記憶部32に記憶するので、無線通信式端末装置2が設置されている2地点間については、車両の平均旅行時間を算出することができる。
【0059】
なお、ここでは、SPサーバ4は、第1の通信部41で無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を受信すると、すぐにこの車両情報を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0060】
また、SPサーバ4は、統合サーバ5から各無線通信式端末装置2の時計部22に対する時刻合わせの指示があると、各無線通信式端末装置2に対して時計部22の時刻合わせにかかる処理を実行し(s36)、s31に戻る。このs36にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0061】
次に、統合サーバ5の動作について説明する。統合サーバ5は、
(1)AVIサーバ3から送信されてきたナンバープレート番号、このナンバープレート番号にかかる取得関連情報をAVI用記憶部52Aに記憶し、SPサーバ4から送信されてきた車両情報、この車両情報にかかる取得関連情報をSP用記憶部52Bに記憶する通過車両情報収集処理、
(2)画像式端末装置1または無線通信式端末装置2が設置されている道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出処理、
(3)AVIサーバ3に対して各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせを指示するとともに、SPサーバ4に対して各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合せを指示する時刻合わせ処理、
(4)ナンバープレート、またはスマートプレート6が改竄されている可能性が高い車両を検知する改竄車両検知処理、
を実行する。
【0062】
まず最初に、通過車両情報収集処理について説明する。図15は、統合サーバにおける通過車両情報収集処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、通信部51においてAVIサーバ3から送信されてきたナンバープレート番号、このナンバープレート番号にかかる取得関連情報を受信するか、またはSPサーバ4から送信されてきた車両情報、この車両情報にかかる取得関連情報を受信すると、この通過車両情報収集処理を実行する。統合サーバ5は、通信部51で受信した通過車両にかかる情報がAVIサーバ3から送信されてきたものであるか、SPサーバ4から送信されてきたものであるかを判定する(s41)。統合サーバ5は、s41でAVIサーバ3から送信されてきたものであると判定すると、今回ナンバープレート番号が送信されてきた通過車両を検知した画像式端末装置1を特定する(s42)。統合サーバ5は、ナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている画像式端末装置1の識別コードから画像式端末装置1を特定する。統合サーバ5は、s42で特定した画像式端末装置1に割り当てられているAVI用記憶部52Aの記憶領域を判断し、その記憶領域に今回AVIサーバ3から送信されてきたナンバープレート番号と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶し(s43)、s41に戻る。
【0063】
また、統合サーバ5は、s41でSPサーバ4から送信されてきたものであると判定すると、今回車両情報が送信されてきた通過車両を検知した無線通信式端末装置2を特定する(s44)。統合サーバ5は、車両情報とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている無線通信式端末装置2の識別コードから無線通信式端末装置2を特定する。統合サーバ5は、s44で特定した無線通信式端末装置2に割り当てられているSP用記憶部52Bの記憶領域を判断し、その記憶領域に今回SPサーバ4から送信されてきた車両情報と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶し(s45)、s41に戻る。
【0064】
上述したように、AVIサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から通過車両のナンバープレート番号が送信されてくると、このナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送している。統合サーバ5は、道路網に設置されている各画像式端末装置1が検知した通過車両のナンバープレート番号を収集し、画像式端末装置1毎に分けて、検知された通過車両のナンバープレート番号と、その取得時刻とを対応づけてAVI用記憶部52Aに記憶する。統合サーバ5は、画像式端末装置1毎に設置地点を記憶している。したがって、AVI用記憶部52Aでは、通過車両のナンバープレート番号、その取得時刻、検知した画像式端末装置1(取得地点)が関連づけて記憶されることになる。また、SPサーバ4も同様に道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から車両情報が送信されてくると、この車両情報を統合サーバ5へ転送している。統合サーバ5は、道路網に設置されている各無線通信式端末装置2が検知した通過車両の車両情報を収集し、無線通信式端末装置1毎に分けて、検知された通過車両の車両情報と、その取得時刻とを対応づけてSP用記憶部52Bに記憶する。統合サーバ5は、無線通信式端末装置2毎に設置地点を記憶している。したがって、SP用記憶部52Bでは、通過車両の車両情報、その取得時刻、検知した無線通信式端末装置2(取得地点)が関連づけて記憶されることになる。
【0065】
次に、統合サーバ5における平均旅行時間算出処理について説明する。図16は、統合サーバにおける平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、操作部54において平均旅行時間の算出にかかる入力操作が行われたときや、予め定められている時刻になったとき等に、この平均旅行時間算出処理を実行する。統合サーバ5は、平均旅行時間を算出する道路網の2地点間(上流側の地点と下流側の地点)を決定する(s51)。この2地点は、例えばオペレータが操作部54で入力したり、統合サーバ5に予め設定されている。統合サーバ5は、平均旅行時間を算出する2地点間を決定すると、その上流側の地点に無線通信式端末装置2が設置されているかどうかを判定する(s52)。s52では、画像式端末装置1および無線通信式端末装置2がともに設置されている地点、または無線通信式端末装置2のみが設置されている地点を、無線通信式端末装置2が設置されている地点であると判定する。言い換えれば、画像式端末装置1のみ設置されている地点を、無線通信式端末装置2が設置されていない地点であると判定する。統合サーバ5は、s52で無線通信式端末装置2が設置されている地点であると判定すると、その地点に設置されている無線通信式端末装置2が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s53)。反対に、s52で無線通信式端末装置2が設置されていない地点であると判定すると、その地点に設置されている画像式端末装置1が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s54)。また、統合サーバ5は、下流側の地点についても、上流側の地点と同様に、無線通信式端末装置2が設置されているかどうかを判定し(s55)、無線通信式端末装置2が設置されている地点であると判定すると、その地点に設置されている無線通信式端末装置2が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s56)。反対に、s55で無線通信式端末装置2が設置されていない地点であると判定すると、その地点に設置されている画像式端末装置1が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s57)。
【0066】
統合サーバ5は、上記処理で決定した平均旅行時間を算出する上流側の地点、および下流側の地点に設置されている画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2に割り当てられている記憶部52の記憶領域にアクセスし、両地点を通過した通過車両毎の旅行時間を算出する(s58)。s58では、一定時間以内、例えば最近30分以内、に下流側の地点で検知された通過車両毎に、上流側の地点で検知されているかどうかを判定する。具体的には、下流側の地点で検知された通過車両のナンバープレート番号と同じナンバープレート番号の通過車両が上流側の地点で検知されているかどうかを検索する。この検索は、上流側の地点に設置されている画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2に割り当てられている記憶部52の記憶領域に対して行う。そして、上流側の地点でも検知されている通過車両であれば、その通過車両について上流側の地点で検知された時刻(ナンバープレート番号、または車両情報の取得時刻)と、下流側の地点で検知された時刻(ナンバープレート番号、または車両情報の取得時刻)との差を、その通過車両についての旅行時間として算出する。
【0067】
統合サーバ5は、s58で上流側および下流側の両地点で検知されている通過車両毎に旅行時間を算出すると、通過車両毎に算出した旅行時間の平均を仮の平均旅行時間として算出する(s59)。統合サーバ5は、s58で算出した通過車両の旅行時間の中から、s59で算出した仮の平均旅行時間との差が予め定められた大きさ以上である通過車両の旅行時間を抽出する(s60)。例えば、仮の平均旅行時間との差の絶対値が一定時間(例えば、30分)以上である通過車両の旅行時間を抽出する。または、仮の平均旅行時間との差の絶対値が仮の平均旅行時間に対して一定の比率(例えば、20%)以上である通過車両の旅行時間を抽出する。統合サーバ5は、s60で平均旅行時間を算出する2地点間における走行形態が一般的な車両と異なっていた通過車両の旅行時間や、ナンバープレートに記載されている一連指定番号が同じである2台の通過車両を同じ通過車両であると誤って算出した旅行時間等を抽出している。統合サーバ5は、s58で通過車両毎に算出した旅行時間の中から、s60で抽出された旅行時間を除いて、残った旅行時間の平均をこの2地点間における車両の平均旅行時間として算出する(s61)。
【0068】
このように、統合サーバ5では、画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2の少なくとも一方が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。したがって、既存のAVIシステムよりも平均旅行時間を算出することができる区間(2地点間)が増加し、平均旅行時間の算出がきめ細かく行える。また、道路網に設置されている無線通信式端末装置2の台数が少ない状況であっても、車両に取り付けられているスマートプレート6や、道路網に設置されている無線通信式端末装置2を道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に有効に利用することができる。
【0069】
次に、統合サーバ5における時刻合わせ処理について説明する。図17は、統合サーバの時刻合わせ処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、予め定められた時刻になると、この時刻合わせ処理を実行する。統合サーバ5は、基準時計から現在時刻を読み出し(s71)、s71で読み出した現在時刻とともに各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドを通信部51からAVIサーバ3に送信する(s72)。基準時計は、統合サーバ5に内蔵されている時計であってもよいし、統合サーバ5に接続されている時計サーバ(不図示)であってもよい。
【0070】
AVIサーバ3は、統合サーバ5がs72で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs12で各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせの指示があったと判断し、s16にかかる時刻合わせ処理を実行する。図18は、AVIサーバの時刻合わせ処理を示すフローチャートである。AVIサーバ3は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs71で基準時計から読み出した時刻)を統合サーバ5に返信する(s91)。
【0071】
統合サーバ5は、AVIサーバ3からの返信を受信すると(s73)、基準時計から現在時刻を読み出し(s74)、AVIサーバ3からの返信に含まれている時刻と、s74で基準時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s75)。s75では、統合サーバ5がs71で基準時計から読み出した時刻と、s74で読み出した時刻との差が算出される。統合サーバ5は、s75で算出した時間を、AVIサーバ3との通信に要する時間の2倍の時間であるとみなす。統合サーバ5は、再度基準時計から現在時刻を読み出し(s76)、s76で基準時計から読み出した時刻、s75で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともにAVIサーバ3に送信する(s77)。
【0072】
AVIサーバ3は、統合サーバ5からの時刻設定コマンドを受信すると(s92)、内蔵されている内蔵時計(不図示)の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs76で基準時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s93)。AVIサーバ3は、s93で内蔵時計の時刻を合わせると、各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせ行う。AVIサーバ3は、時計部13の時刻合わせを行う画像式端末装置1を設定する(s94)。s94では、今回時計部13の時刻合わせを行っていない画像式端末装置1を、時計部13の時刻合わせを行う画像式端末装置1に設定する。AVIサーバ3は、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s95)、s95で読み出した現在時刻とともに、時計部13の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドをs94で設定した画像式端末装置1に送信する(s96)。
【0073】
画像式端末装置1は、AVIサーバ3がs96で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs2で時計部13の時刻合わせの指示があったと判断し、s7にかかる時刻合わせ処理を実行する。図19は、画像式端末装置の時刻合わせ処理を示すフローチャートである。画像式端末装置1は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(AVIサーバ3がs95で内蔵時計から読み出した時刻)をAVIサーバ3に返信する(s111)。
【0074】
AVIサーバ3は、画像式端末装置1からの返信を受信すると(s97)、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s98)、画像式端末装置1からの返信に含まれている時刻と、s98で内蔵時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s99)。s99では、AVIサーバ3がs95で内蔵時計から読み出した時刻と、s98で読み出した時刻との差が算出される。AVIサーバ3は、s99で算出した時間を、画像式端末装置1との通信に要する時間の2倍であるとみなす。AVIサーバ3は、再度内蔵時計から現在時刻を読み出し(s100)、s100で内蔵時計から読み出した時刻、s99で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともに画像式端末装置1に送信する(s101)。
【0075】
画像式端末装置1は、AVIサーバ3からの時刻設定コマンドを受信すると(s112)、時計部13の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(AVIサーバ3がs100で内蔵時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s113)。画像式端末装置1は、s113で時計部13の時刻を合わせると本処理を終了する。
【0076】
一方、AVIサーバ3は、s101で画像式端末装置1に時刻合わせコマンドを送信すると、今回時計部13の時刻合わせを行っていない画像式端末装置1(未処理の画像式端末装置1)があるかどうかを判定し(s102)、未処理の画像式端末装置1があればs94に戻り、上記処理を繰り返す。また、s102で未処理の画像式端末装置1が無いと判定すると本処理を終了する。
【0077】
これにより、AVIサーバ3の内蔵時計、および道路網に設置されている各画像式端末装置1の時計部13が基準時計に基づいて合わせられる。
【0078】
また、統合サーバ5は、s77でAVIサーバ3に対して時刻合わせコマンドを送信すると、s71〜s77と同様の処理をSPサーバ4に対して行う。具体的には、統合サーバ5は、基準時計から現在時刻を読み出し(s78)、s78で読み出した現在時刻とともに各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドを通信部51からSPサーバ4に送信する(s79)。
【0079】
AVIサーバ3は、統合サーバ5がs79で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs32で各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせの指示があったと判断し、s35にかかる時刻合わせ処理を実行する。図20は、SPサーバの時刻合わせ処理を示すフローチャートである。SPサーバ3の時刻合わせ処理は、上述したAVIサーバ3の時刻合わせ処理と同様の処理である。AVIサーバ3は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs78で基準時計から読み出した時刻)を統合サーバ5に返信する(s121)。
【0080】
統合サーバ5は、SPサーバ4からの返信を受信すると(s80)、基準時計から現在時刻を読み出し(s81)、SPサーバ3からの返信に含まれている時刻と、s81で基準時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s82)。s82では、統合サーバ5がs78で基準時計から読み出した時刻と、s82で読み出した時刻との差が算出される。統合サーバ5は、s82で算出した時間を、SPサーバ4との通信に要する時間の2倍であるとみなす。統合サーバ5は、再度基準時計から現在時刻を読み出し(s83)、s83で基準時計から読み出した時刻、s82で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともにSPサーバ4に送信する(s84)。統合サーバ5は、s84で時刻設定コマンドをSPサーバ4に送信すると、本処理を終了する。
【0081】
SPサーバ4は、統合サーバ5からの時刻設定コマンドを受信すると(s122)、内蔵されている内蔵時計(不図示)の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs83で基準時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s123)。SPサーバ4は、s123で内蔵時計の時刻を合わせると、各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせ行う。SPサーバ4は、時計部22の時刻合わせを行う無線通信式端末装置2を設定する(s124)。s124では、今回時計部22の時刻合わせを行っていない無線通信式端末装置2を、時計部22の時刻合わせを行う無線通信式端末装置2に設定する。SPサーバ4は、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s125)、s125で読み出した現在時刻とともに、時計部22の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドをs124で設定した無線通信式端末装置2に送信する(s126)。
【0082】
無線通信式端末装置2は、SPサーバ4がs126で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs22で時計部22の時刻合わせの指示があったと判断し、s28にかかる時刻合わせ処理を実行する。図21は、無線通信式端末装置の時刻合わせ処理を示すフローチャートである。無線通信式端末装置2は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(SPサーバ4がs125で内蔵時計から読み出した時刻)をSPサーバ4に返信する(s141)。
【0083】
SPサーバ4は、無線通信式端末装置2からの返信を受信すると(s127)、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s128)、無線通信式端末装置2からの返信に含まれている時刻と、s128で内蔵時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s129)。s129では、SPサーバ4がs125で内蔵時計から読み出した時刻と、s128で読み出した時刻との差が算出される。SPサーバ4は、s129で算出した時間を、無線通信式端末装置2との通信に要する時間の2倍であるとみなす。SPサーバ4は、再度内蔵時計から現在時刻を読み出し(s130)、s130で内蔵時計から読み出した時刻、s129で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともに無線通信式端末装置2に送信する(s131)。
【0084】
無線通信式端末装置2は、SPサーバ4からの時刻設定コマンドを受信すると(s142)、時計部22の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(SPサーバ4がs130で内蔵時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s143)。無線通信式端末装置2は、s143で時計部22の時刻を合わせると本処理を終了する。
【0085】
一方、SPサーバ4は、s131で無線通信式端末装置2に時刻合わせコマンドを送信すると、今回時計部22の時刻合わせを行っていない無線通信式端末装置2(未処理の無線通信式端末装置2)があるかどうかを判定し(s132)、未処理の無線通信式端末装置2があればs124に戻り、上記処理を繰り返す。また、s132で未処理の無線通信式端末装置2が無いと判定すると本処理を終了する。
【0086】
これにより、SPサーバ4の内蔵時計、および各無線通信式端末装置2の時計部22も基準時計に基づいて合わせられる。
【0087】
したがって、この時刻合わせ処理により、各画像式端末装置1の時計部13、各無線通信式端末装置2の時計部22、AVIサーバ3の内蔵時計、およびSPサーバ4の内蔵時計の時刻が、全て基準時計に基づいて合わせられる。これにより、各画像式端末装置1の時計部13、および各無線通信式端末装置2の時計部22が計時している時刻のズレを抑えることができ、その結果、各画像式端末装置1の時計部13、および各無線通信式端末装置2における通過車両を検知したときの取得時間のズレを抑えることができる。よって、統合サーバ5で算出される道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出精度の向上が図れる。
【0088】
なお、上記説明では、統合サーバ5は、AVIサーバ3に対して時刻合わせ処理を指示した後に、SPサーバ4に対して時刻合わせ処理の指示を行うとしたが、この順番は逆であってもよい。
【0089】
また、各画像式端末装置1、および各無線通信式端末装置2に電波時計の機能を持たせ、予め定められたタイミング、例えば午前0時00分、になると自動的に時刻合せを行うようにしてもよい。このようにすれば、上述した統合サーバ5、AVIサーバ3、およびSPサーバ4における時刻合わせ処理を不要にできる。
【0090】
次に、統合サーバ5における改竄車両検知処理について説明する。図22は、統合サーバ5の改竄車両検知処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、上述したように画像式端末装置1のカメラ11の撮像エリアと、無線通信式端末装置2の無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている画像式端末装置1と無線通信式端末装置2を対応づけて記憶している。統合サーバ5は、画像式端末装置1または無線通信式端末装置2が検知した通過車両にかかるナンバープレート番号または車両情報を受信すると(s151)、今回受信したナンバープレート番号または車両情報にかかる通過車両検知した画像式端末装置1または無線通信式端末装置2を特定する(s152)。統合サーバ5は、s152で特定した装置(画像式端末装置1または無線通信式端末装置2)がカメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている一方の装置であるかどうかを判定する(s153)。統合サーバ5は、s153でカメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている一方の装置でないと判定すると、s151に戻る。
【0091】
一方、統合サーバ5は、s153でカメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている一方の装置であると判定すると、s152で特定した装置と、カメラ11の撮像エリアまたは無線通信部21の無線通信エリアが重なっている他方の装置を特定する(s154)。統合サーバ5は、s154で特定した装置に割り当てられている記憶部52(AVI用記憶部52A、またはSP用記憶部52B)の記憶領域を検索し、s151で受信したナンバープレート番号または車両情報の取得時刻と略同じ時刻に検知されたナンバープレート番号または車両情報が記憶されているかどうかを判定する(s155)。統合サーバ5は、上述した通過車両情報収集処理により、各画像式端末装置1が検知した通過車両のナンバープレート番号および各無線通信式端末装置2が検知した通過車両の車両情報に取得時刻を対応づけて記憶部52に記憶している。s155では、取得時刻の差の絶対値が1秒程度あるナンバープレート番号または車両情報が記憶されているかどうかを検索している。すなわち、s151で受信したナンバープレート番号または車両情報にかかる通過車両と同一の通過車両について他方の装置からナンバープレート番号または車両情報をすでに受信し、記憶部52に記憶しているかどうかを判定している。統合サーバ5は、s155でs151で受信したナンバープレート番号または車両情報の取得時刻と略同じ時刻に検知されたナンバープレート番号または車両情報が記憶されていないと判定するとs151に戻る。
【0092】
統合サーバ5は、s155でs151で受信したナンバープレート番号または車両情報の取得時刻と略同じ時刻に検知されたナンバープレート番号または車両情報が記憶されていると判定すると、両装置において検知された通過車両のナンバープレート番号が一致しているかどうかを判定する(s156)。s156では、s151で受信したナンバープレート番号または車両情報に含まれているナンバープレート番号と、s155の検索で取得したナンバープレート番号または車両情報に含まれているナンバープレート番号と、が一致しているかどうかの判定を行っている。統合サーバ5は、s156で一致していると判定すると、すなわちナンバープレートに記載されているナンバープレート番号と、スマートプレート6が記憶しているナンバープレート番号とが一致しており、ナンバープレートおよびスマートプレート6に対する改竄が行われていない通過車両であると判定すると、s151に戻る。
【0093】
一方、統合サーバ5は、s156で一致していないと判定すると、すなわちナンバープレートまたはスマートプレート6の少なくとも一方に対して改竄が行われている通過車両であると判定すると、その旨を示す出力を行う(s157)。s157では、この通過車両から画像式端末装置1が取得したナンバープレート番号とその取得情報、および無線通信式端末装置2が取得した車両情報とその取得情報を表示部53に表示する。また、ナンバープレートまたはスマートプレート6の少なくとも一方に対して改竄が行われている通過車両を検知したことをオペレータに知らせる報知音の出力を行う。これにより、ナンバープレートまたはスマートプレートが改竄された通過車両の検知を速やかにオペレータに伝えることができる。また、取得情報によりこの通過車両が検知された地点やナンバープレートに記載されているナンバープレート番号についてもオペレータに伝えているので、このナンバープレートまたはスマートプレートが改竄された通過車両の摘発にかかる検問等の取り締まりが速やかに行える。したがって、ナンバープレートまたはスマートプレートの少なくとも一方が改竄された車両を速やかに摘発することができる。特に、ナンバープレートやスマートプレート6が改竄された車両は犯罪に使用される可能性が高く、このような車両の摘発が速やかに行われることで、犯罪の防止という効果も得られる。
【0094】
また、ナンバープレートまたはスマートプレートの少なくとも一方が改竄された車両を検知すると、その車両を追跡するようにしてもよい。
【0095】
なお、上記実施形態では、AVIサーバ3、SPサーバ4、および統合サーバ5を個別の装置で構成しているが、AVIサーバ3、およびSPサーバ4を無くし、画像式端末装置1および無線通信式端末装置2が統合サーバ5に直接接続された構成としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態における統合サーバ5における平均旅行時間算出処理を以下のようにしてもよい。図23は、別の実施形態にかかる統合サーバの平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。図23では、図16で示した処理と同じ処理については、同じステップ番号(s**)を付している。ここでは、道路網において一般的な車両と走行形態が異なる路線バス、緊急車両等を除いて、道路網の2地点間における平均旅行時間を算出する。統合サーバ5には、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に用いない車両の種類が予め設定されている。統合サーバ5は、図16に示したs51〜s57にかかる処理を実行する。統合サーバ5は、上記処理で決定した平均旅行時間を算出する上流側の地点、または下流側の地点に設置されている装置の少なくとも一方が無線通信式端末装置2であるかどうかを判定する(s161)。s161で平均旅行時間を算出する上流側の地点、または下流側の地点に設置されている装置がともに画像式端末装置1であると判定すると、平均旅行時間を算出する上流側の地点と下流側の地点との間に無線通信式端末装置2が設置されている地点があるかどうかを判定する(s162)。統合サーバ5は、s162で平均旅行時間を算出する上流側の地点と下流側の地点との間に無線通信式端末装置2が設置されている地点が無いと判定すると、図16に示したs58〜s61にかかる処理を実行する。この場合には、予め定められている道路網において一般的な車両と走行形態が異なる路線バス、緊急車両等を除いていない平均旅行時間を算出することになる。
【0097】
一方、s161で平均旅行時間を算出する上流側の地点、または下流側の地点に設置されている装置がともに画像式端末装置1であると判定した場合、またはs162で平均旅行時間を算出する上流側の地点と下流側の地点との間に無線通信式端末装置2が設置されている地点があると判定した場合、平均旅行時間を算出する上流側の地点、および下流側の地点地点を通過した車両の中から、平均旅行時間の算出に用いる種類の車両を抽出する(s163)。上述したように、スマートプレート6が記憶部61に記憶している車両情報には、車両の種類が含まれている。平均旅行時間を算出する2地点間を通過した車両は、この2地点間を通過する間に無線通信式端末装置2によってスマートプレートプレート6の記憶部61に記憶している車両情報が読み取られている。したがって、統合サーバ5では、平均旅行時間を算出する2地点間を通過した車両の種類(一般車両、路線バス、緊急車両等)を認識することができる。平均旅行時間を算出する上流側の地点、および下流側の地点地点を通過した車両であっても、予め設定されている平均旅行時間の算出に用いない種類の車両(平均旅行時間の算出に用いない種類の車両)についてはs163で抽出されない。また、s163では、一定時間以内、例えば最近30分以内、に下流側の地点で検知された通過車両を対象にしている。
【0098】
統合サーバ5は、s163で抽出した車両毎に、平均旅行時間を算出する2地点間の旅行時間を算出する(s164)。統合サーバ5は、s163で抽出した車両毎の旅行時間を算出すると、通過車両毎の旅行時間の平均を仮の平均旅行時間として算出する(s165)。統合サーバ5は、s165で算出した仮の平均旅行時間との差が予め定められた大きさ以上である通過車両の旅行時間を抽出する(s165)。s165にかかる処理は、上記s60にかかる処理と同じである。統合サーバ5は、s164で通過車両毎に算出した旅行時間から、s165で抽出した旅行時間を除いて、残った通過車両の旅行時間の平均をこの2地点間における車両の平均旅行時間として算出する(s166)。
【0099】
これにより、路線バスや緊急車両等を除いた平均旅行時間の算出が行える。また、上記説明では、予め設定されている種類の車両を平均旅行時間の算出に用いないとしたが、その種類の車両についての平均旅行時間を算出するようにしてもよい。例えば、路線バスについて平均旅行時間を算出するようにしてもよい。また、このように路線バス等の種類毎に平均旅行時間を算出することができるので、その平均旅行時間に基づいて信号制御を行うことで、路線バスの遅れを解消することもできる。
【0100】
なお、上記実施形態では、統合サーバ5はスマートプレート6から取得した車両情報から、この車両の種類を取得するとしたが、路線バスを運行しているバス会社等から路線バス毎にナンバープレート番号と、その路線バスの運行形態(回送、普通、急行、路線等)にかかる情報を取得するようにしてもよい。
【0101】
また、路線バスや緊急車両等の車両に、無線通信機を取り付け、この車両から運行形態等を無線通信式端末装置2に送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの道路網における画像式端末装置、および無線通信式端末装置の設置地点を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの画像式端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】道路における画像式端末装置のカメラの設置状態を示す図である。
【図5】ナンバープレートに記載されているナンバープレート番号を説明する図である。
【図6】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのAVIサーバの構成を示すブロック図である。
【図7】スマートプレートの構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの無線通信式端末装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのSPサーバの構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバの構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの画像式端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのAVIサーバの動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの無線通信式端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのSPサーバの動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける通過車両情報収集処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図18】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのAVIサーバにおける時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの画像式端末装置における時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図20】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのSPサーバにおける時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの無線通信式端末装置における時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図22】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける改竄車両検知処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の別の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1−画像式端末装置
2−無線通信式端末装置
3−AVIサーバ
4−SPサーバ
5−統合サーバ
6−スマートプレート
11−カメラ
12−画像処理部
13−時計部
14−通信部
21−無線通信部
22−時計部
23−通信部
31−第1の通信部
32−記憶部
33−第2の通信部
41−第1の通信部
42−車両情報記憶部
43−第2の通信部
51−通信部
52−記憶部
52a−AVI用記憶部
52b−SP用記憶部
53−表示部
54−操作部
61−記憶部
62−無線通信部
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する旅行時間算出システムに関し、特にスマートプレート(電子ナンバープレート)が取り付けられた車両を検知するシステムと、既存のAVIシステムと、を統合した旅行時間算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出システムとして、特許文献1、2等に記載されているAVIシステムがある。AVIシステムは、道路網の複数の地点に設置された複数の車両検知装置と、各車両検知装置が検知した通過車両の情報を収集し、収集した情報を用いて道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する上位装置(以下、AVIサーバと言う。)と、を備えている。車両検知装置は、通過車両のナンバープレートをカメラで撮像し、その撮像画像を処理して、この通過車両のナンバープレート番号を取得する。車両検知装置は、取得した通過車両のナンバープレート番号、この通過車両のナンバープレートをカメラで撮像した時刻、および自装置を識別する識別コードを検知した通過車両にかかる情報としてAVIサーバへ送信する。AVIサーバにおいて、ナンバープレート番号は通過車両を特定する情報として利用され、通過車両のナンバープレートをカメラで撮像した時刻はこの通過車両の通過時刻として利用され、車両検知装置の識別コードは通過車両を検知した地点を特定する情報として利用される。AVIサーバは、各車両検知装置から送信されてきた通過車両にかかる情報を収集し記憶している。AVIサーバは、車両検知装置毎に道路網における設置地点(カメラの撮像エリア)を記憶している。具体的には、車両検知装置毎に識別コードと、設置地点(例えば、地名や、緯度および経度)と、を対応づけて記憶している。AVIサーバは、記憶している各車両検知装置から送信されてきた通過車両にかかる情報から、車両検知装置の設置地点毎に、通過した通過車両のナンバープレート番号、通過時刻を得ることができる。
【0003】
AVIサーバは、記憶している各車両検知装置から送信されてきた通過車両にかかる情報を用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する。平均旅行時間の算出が行える道路網の2地点間は、車両検知装置の設置地点間である。AVIサーバは、平均旅行時間を算出する2地点間の下流側の地点、および上流側の地点の両方で検知された同じナンバープレート番号の通過車両毎に、すなわち上流側および下流側の両地点を通過した車両毎に、下流側の地点での通過時刻と、上流側の地点での通過時刻との差を、この2地点間における旅行時間として算出する。そして、通過車両毎に算出した2地点間の旅行時間の平均を算出し、これをこの2地点間における車両の平均旅行時間とする。
【0004】
なお、AVIサーバは、平均旅行時間の算出において、一定時間以内(例えば、最近30分以内や、最近1時間以内)に下流側の地点でナンバープレート番号が取得された通過車両を対象とし、それ以前にナンバープレート番号が取得された通過車両を対象外にしている。これにより、算出される道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を、道路網における交通状況の変化に対応させている。また、算出された旅行時間が他の通過車両の旅行時間に比べて大きく異なる通過車両については、その旅行時間を平均旅行時間の算出に用いないことも提案されている。算出された旅行時間が他の通過車両の旅行時間に比べて大きく異なる場合、その通過車両の平均旅行時間を算出する2地点間における走行形態が一般的な車両と異なっていたり、上流側の地点で検知された車両と下流側の地点で検知された車両とが異なる車両であったと考えられる。したがって、算出された旅行時間が他の通過車両の旅行時間に比べて大きく異なる通過車両については、その旅行時間を平均旅行時間の算出に用いないことで、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出精度の向上が図れる。
【0005】
なお、この平均旅行時間を用いて、上流側の出発時刻を基準とした下流側までの予測旅行時間を算出し、下流側に向かう車両のドライバに予測旅行時間情報を提供することも実施されている。
【0006】
一方、スマートプレート(電子ナンバープレート)の実用化が進められており、最近ではスマートプレートを利用した様々なシステムの実証実験が各地で行われている。ここで、スマートプレートについて簡単に説明する。スマートプレートは、車両のナンバープレート番号や自動車検査証に記載されている車両の諸元情報等を車両情報として記憶させる記憶部(ICチップ)と、無線通信を行う無線通信部とを備えている。このスマートプレートを車両に取り付けることが、現在検討されている。スマートプレートは、記憶部に記憶している車両情報の送信や、記憶部に記憶する情報の受信を無線通信部で行う。
【0007】
また、スマートプレートを利用するシステムとして、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するシステム(以下、SPシステムと言う。)、駐車場における車両の管理システム、特定の区域に出入りする車両を制限するシステム等が提案されている。例えば、SPシステムでは、スマートプレートが記憶している車両情報を、スマートプレートとの無線通信で取得する無線通信式端末装置を道路網の複数の地点にそれぞれ設置する。各無線通信式端末装置が通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信で取得した車両情報を上位装置(以下、SPサーバと言う。)で収集する。そして、SPサーバが、収集した車両情報を用いて、上述したAVIシステムのAVIサーバと同様の手法で道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出を行う。また、駐車場の管理システムでは、駐車場の出入口にそれぞれ無線通信式端末装置を設置する。各無線通信式端末装置が駐車場に入場、または出場する車両に取り付けられているスマートプレートとの無線通信で取得した車両情報を上位装置で収集する。上位装置は、収集した情報を用いて、駐車場内に駐車されている車両の管理や、駐車場から出場する車両に対して駐車時間に基づく駐車料金の精算等を行う。
【特許文献1】特公平5−86600号公報
【特許文献2】特開昭64−42771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、スマートプレートを利用して道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するSPシステムについて考えると、上述したように現時点では、スマートプレートの実証実験が行われている段階である。したがって、スマートプレートと無線通信を行う無線通信式端末装置が道路網にきめ細かく設置されるまでに数年〜十数年の期間を要すると思われる。言い換えれば、無線通信式端末装置が道路網にきめ細かく設置されていない状況が数年〜十数年の期間存在する。
【0009】
なお、各車両へのスマートプレートの取り付けは、法制化により速やかに行われる。
【0010】
SPシステムでは、平均旅行時間の算出が行える2地点間は、無線通信式端末装置が設置されている2地点間になるので、無線通信式端末装置が道路網にきめ細かく設置されるまで、平均旅行時間の算出が行える2地点間が限られてしまう。したがって、実用性のあるSPシステムが構築できるまでに数年〜十数年の期間を要し、この期間においては、車両に取り付けられたスマートプレートや道路網に設置された無線通信式端末装置が有効に利用できず、無駄になるという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、スマートプレートとの無線通信で車両情報を取得する装置が道路網にきめ細かく設置されていない期間でも、車両に取り付けられたスマートプレートやスマートプレートとの無線通信で車両情報を取得する道路網に設置された装置を、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に有効に利用し、平均旅行時間の算出精度を向上させた旅行時間算出システムを提供することにある。
【0012】
また、この発明は、スマートプレート、またはナンバープレートの少なくとも一方が改竄された車両を検知する旅行時間算出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の旅行時間算出システムは、上記課題を解決し、その目的を達するために以下の構成を備えている。
【0014】
(1)道路網の複数の地点に設置され、撮像エリアにおける通過車両のナンバープレートを撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像画像を処理して通過車両のナンバープレート番号を取得する画像処理手段と、前記画像処理手段が取得した通過車両のナンバープレート番号を、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力するナンバープレート番号出力手段と、を有する複数の第1の車両検知装置と、
道路網の複数の地点に設置され、無線通信エリアにおける通過車両のナンバープレート番号を含む車両情報を該通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信により取得する無線通信手段と、前記無線通信手段が取得した通過車両の前記車両情報を、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力する車両情報出力手段と、を有する複数の第2の車両検知装置と、
複数の前記第1の車両検知装置が、前記ナンバープレート番号出力手段により出力した通過車両のナンバープレート番号と、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点にかかる前記取得関連情報を収集して記憶する第1の通過車両情報記憶手段と、複数の前記第2の車両検知装置が、前記車両情報出力手段により出力した通過車両の車両情報と、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して記憶する第2の通過車両情報記憶手段と、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段の記憶内容に基づいて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出手段と、を有する上位装置と、を備えている。
【0015】
この構成では、第1の車両検知装置が道路網の複数の地点に設置されている。第1の車両検知装置は、撮像手段により撮像された通過車両のナンバープレートの撮像画像が画像処理手段において処理し、この通過車両のナンバープレート番号を取得する。また、ナンバープレート番号出力手段が、画像処理手段が取得した通過車両のナンバープレート番号を、このナンバープレート番号を取得した取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに上位装置へ出力する。既存のAVIシステムの車両検知装置を、この第1の車両検知装置として利用することができる。
【0016】
また、第2の車両検知装置が道路網の複数の地点に設置されている。この第2の車両検知装置は、無線通信手段が通過車両に取り付けられたスマートプレート(電子ナンバープレート)と無線通信を行って、ナンバープレート番号を含む車両情報を取得する。スマートプレートは、ナンバープレート番号を含む車両情報を記憶部に記憶し、車両に取り付けられている。また、車両情報出力手段が、無線通信手段が取得した通過車両の前記車両情報を、この車両情報を取得した取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに上位装置へ出力する。
【0017】
上位装置は、各第1の車両検知装置が出力したナンバープレート番号、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して第1の通過車両情報記憶手段に記憶するとともに、各第2の車両検知装置が出力したナンバープレート番号を含む車両情報、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して第2の通過車両情報記憶手段に記憶する。上位装置は、平均旅行時間算出手段において、第1の通過車両情報記憶手段、および第2の通過車両記憶手段の記憶内容に基づいて、道路網の2地点間における平均旅行時間を算出する。第1の車両検知装置、および第2の車両検知装置では、ともに検知した通過車両のナンバープレート番号を取得している。したがって、ナンバープレート番号を用いることで、第1の車両検知装置、または第2の車両検知装置の少なくとも一方が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。また、既存のAVIシステムの端末装置を、この第1の車両検知装置として利用することで、車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信で車両情報を取得する第2の車両検知装置が道路網にきめ細かく設置されていない期間も、道路網における2地点間の平均旅行時間の算出にスマートプレートや第2の車両検知装置を有効に利用することができる。また、AVIシステムとの統合により、平均旅行時間が算出できる2地点間が増加し、平均旅行時間の算出がよりきめ細かく行える。
【0018】
(2)前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報を用いないで、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である。
【0019】
この構成では、第2の車両検知装置がスマートプレートから取得する車両情報に車両の種類が含まれている。ここで言う、車両の種類とは、一般車両、トラック、路線バス、消防車、救急車、パトカー(以下、消防車、救急車、パトカーを総称して緊急車両と言う。)等である。平均旅行時間算出手段は、予め設定されている種類の車両を道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出に用いない。したがって、道路網での走行形態が一般車両と異なる車両、路線バスや緊急車両等、を道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出に用いない車両として予め設定しておくことで、道路網での走行形態が一般車両と異なる車両を用いないで、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。したがって、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出精度のより一層の向上が図れる。
【0020】
(3)前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報のみを用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である。
【0021】
この構成では、予め定められた種類の車両の情報のみを用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間が算出されるので、例えば道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する車両として路線バスを設定することで、路線バスについて道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。
【0022】
(4)前記上位装置は、前記撮像手段における通過車両のナンバープレートの撮像エリアと、前記無線通信手段における通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信エリアと、が重なっている第1の車両検知装置と第2の車両検知装置とが同一の通過車両から取得したナンバープレート番号が一致しているかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段が一致していないと判定したとき、その旨を出力する出力手段と、を備えている。
【0023】
この構成では、判定手段が同一の通過車両に対して、第1の車両検知装置が取得した通過車両のナンバープレート番号と、第2の車両検知装置が取得した通過車両の車両情報に含まれているナンバープレート番号と、が一致しているかどうかを判定する。判定手段により一致していないと判定される通過車両は、ナンバープレート、またはスマートプレートの少なくとも一方が改竄されている可能性が高い。そして、判定手段が一致していないと判定したとき、出力手段がその旨を出力する。このとき、出力手段がこの通過車両のナンバープレート番号や、車両情報を出力することで、この車両に対する検問等の取り締まりを速やかに実施することができる。したがって、ナンバープレート、またはスマートプレートの少なくとも一方が改竄された車両を速やかに検挙することができる。特に、ナンバープレート、またはスマートプレートが改竄された車両は、犯罪に利用されることが多いことから、犯罪の防止という効果も奏する。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、既存のAVIシステムと統合することにより、車両に取り付けられたスマートプレートと無線通信で車両情報を取得する第2の車両検知装置が道路網にきめ細かく設置されていない期間も、道路網における2地点間の平均旅行時間の算出にスマートプレートや第2の車両検知装置を有効に利用することができる。また、AVIシステムとの統合により、平均旅行時間が算出できる2地点間が増加し、平均旅行時間の算出がよりきめ細かく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態である旅行時間算出システムについて説明する。
【0026】
この実施形態の旅行時間算出システムは、既存のAVIシステムと、スマートプレートを利用して道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するシステム(以下、SPシステムと言う。)と、を統合したシステムである。図1は、この発明の実施形態である旅行時間算出システムの構成を示す図である。この実施形態の旅行時間算出システムは、道路網の複数の地点に設置され、通過車両のナンバープレートを撮像し、その撮像画像を処理して通過車両のナンバープレート番号を取得する複数の画像式端末装置1(この発明で言う第1の車両検知装置に相当する。)と、道路網の複数の地点に設置され、通過車両に取り付けられたスマートプレート(電子ナンバープレート)からこの通過車両のナンバープレート番号を含む車両情報を取得する複数の無線通信式端末装置2(この発明で言う第2の車両検知装置に相当する。)と、各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号を収集するAVIサーバ3と、各無線通信式端末装置2が所得した通過車両の車両情報を収集するスマートプレートサーバ4(以下、SPサーバ4と言う。)と、各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号をAVIサーバ3から収集し、各無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報をSPサーバ4から収集し記憶するとともに、これらを用いて道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する統合サーバ5(この発明で言う上位装置に相当する。)と、を備えている。複数の画像式端末装置1、およびAVIサーバ3は既存のAVIシステムの構成である。また、複数の無線通信式端末装置2、およびSPサーバ4は、ここで言うSPシステムの構成である。また、統合サーバ5は、AVIシステムとSPシステムとを統合するための構成である。
【0027】
図2は、道路網における画像式端末装置、および無線通信式端末装置の設置地点を示す図である。図2では、画像式端末装置1を△、無線通信式端末装置2を○で示している。画像式端末装置1は、上述したように既存のAVIシステムの構成であり、すでに道路網にきめ細かく設置されている。一方、無線通信式端末装置2は、現在実用化が検討されているスマートプレートと無線通信を行う端末装置であり、現在のところ道路網に殆ど設置されていない。無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されるまでに、ある程度の期間、数年〜十数年の期間、を要すると思われる。図2では、無線通信式端末装置2が道路網にきめ細かく設置されていないときの状態を示している。無線通信式端末装置2は、すでに設置されている画像式端末装置1の近くに設置されることもあれば、画像式端末装置1が設置されていない地点に設置されることもある。
【0028】
なお、現在、スマートプレートを車両に取り付けることが法制化される方向にあり、車両へのスマートプレートの取り付けは速やかに行われ、法制化から数年で、スマートプレートが取り付けられていない車両は無くなると思われる。スマートプレートの詳細については後述する。
【0029】
図3は、画像式端末装置の構成を示すブロック図である。画像式端末装置1は、本体の動作を制御する制御部10と、通過車両のナンバープレートを撮像するカメラ11と、カメラ11が撮像した通過車両のナンバープレートの撮像画像を処理してナンバープレート番号を取得する画像処理部12と、現在時刻を計時する時計部13と、画像処理部12で取得した通過車両のナンバープレート番号をAVIサーバ3へ送信する通信部14と、を備えている。カメラ11は、図4に示すように、通過車両を略正面から撮像するように、道路(車線)の上方に、路面側に傾けて設置している。カメラ11は、通過車両の前に取り付けられているナンバープレートを撮像する。カメラ11の撮像領域が通過車両のナンバープレート番号を取得する取得地点になり、この取得地点が画像式端末装置1の設置位置となる。図4では、4車線(片側2車線)の道路で、車線毎に通過車両のナンバープレートを撮像するカメラ11が取り付けられている例を示している。この地点には、画像式端末装置1が4台設置されている。
【0030】
なお、画像式端末装置1を、4台のカメラ11を備え、各カメラ11が撮像した通過車両のナンバープレートの撮像画像を画像処理部12で処理する構成としてもよい。この場合には、この地点に設置される画像式端末装置1の台数を1台にできる。
【0031】
画像処理部3は、カメラ11が撮像した撮像画像に対して画像処理を行い、通過車両のナンバープレート番号を取得する。ナンバープレートには、図5に示すように、地域表示、分類番号、用途表示、一連指定番号が記載されている。地域表示は、車両を登録した運輸支局を表示する文字、なにわ、横浜、品川等、である。分類番号は車両の種別および用途を示す2桁または3桁の数字であり、普通貨物自動車、普通乗合自動車、普通乗用自動車等を示す。用途表示は事業用、自家用、レンタカー等を表示する平仮名1文字である。一連指定番号は4桁の数字である。画像処理部12は、少なくとも一連指定番号をナンバープレート番号として取得する。また、画像処理部12は、一連指定番号に加えて、地域表示、分類番号、用途表示のいずれか1つまたは複数を、ナンバープレート番号として取得する構成としてもよいが、この場合には地域表示、分類番号、用途表示は一連指定番号に比べて文字が小さいので、画像処理による文字の認識精度を確保するために、画素数が比較的多い高精細のカメラ11を使用する必要がある。通信部14は、画像処理部12で取得したナンバープレート番号とともに、このナンバープレート番号の取得時刻、および取得地点を含む取得関連情報をAVIサーバ3に送信する。画像式端末装置1は、カメラ11が通過車両のナンバープレートを撮像したときに、時計部13が計時している時刻をナンバープレート番号の取得時刻とする。また、画像式端末装置1は、自装置を識別する識別コードを、取得地点を示す情報とする。
【0032】
図6は、AVIサーバの構成を示すブロック図である。AVIサーバ3は、本体の動作を制御する制御部30と、画像式端末装置1と通信する第1の通信部31と、各画像式端末装置1から送信されてきたナンバープレート番号、このナンバープレート番号の取得時刻、および取得位置を含む取得関連情報を収集して記憶する記憶部32と、統合サーバ5と通信する第2の通信部33と、を備えている。記憶部32には、図6に示すように、通過車両のナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が画像式端末装置1毎に設けられている。AVIサーバ3は、画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を第1の通信部31で受信すると、このナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている画像式端末装置1の識別コードを得る。そして、今回通過車両のナンバープレート番号を送信してきた画像式端末装置1に割り当てられている記憶部32の記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきたナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、AVIサーバ3の記憶部32においては、各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号が取得地点毎に分けて記憶される。また、第2の通信部33は、第1の通信部31で画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、このナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送する。このとき、ナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報についても統合サーバ5へ転送する。また、AVIサーバ3は、画像式端末装置1毎に通過車両のナンバープレート番号の取得地点を記憶している。画像式端末装置1におけるナンバープレート番号の取得地点として画像式端末装置1の設置地点(厳密に言うとカメラ11の撮像エリア)を記憶している。
【0033】
なお、ここでは、AVIサーバ3は、第1の通信部31で画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、すぐにこのナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0034】
次に、車両に取り付けるスマートプレートについて説明する。図7は、スマートプレートの構成を示すブロック図である。スマートプレート6は、本体の動作を制御する制御部60と、ナンバープレート番号を含む車両情報を記憶する記憶部61と、無線通信式端末装置2との無線通信を実行する無線通信部62と、を備えている。記憶部61は、不揮発性のメモリで構成されている。記憶部61には、車両のナンバープレート番号(地域表示、分類番号、用途表示、一連指定番号)、自動車検査証に記載されている車両の諸元情報(車両重量、車高、車幅、車長等)、車両の種類(路線バス、救急車、消防車、パトカー、自家用車等)等が記憶されている。スマートプレート6には、動作電源を供給する電池(不図示)が設けられている。スマートプレート6は、通常時、無線通信機式端末装置2からのポーリングを受信できるように無線通信部62を動作させているが、記憶部61への電源供給を停止している。スマートプレート6は、無線通信部62において無線通信式端末装置2からのポーリングを受信すると、記憶部61への電源供給を開始し、無線通信式端末装置2との無線通信を終了すると、記憶部61への電源供給を停止する。無線通信部62における無線通信は、ASK変調で行われ、また周波数が5.8GHz帯、通信速度が1Mbpsである。
【0035】
また、スマートプレート6を車両に取り付けることが法制化される方向にある。法制化されると、車両へのスマートプレート6の取り付けは、車検時や新車購入時に行われると考えられるので、スマートプレートが取り付けられた車両は速やかに普及する。
【0036】
図8は、無線通信式端末装置の構成を示すブロック図である。無線通信式端末装置2は、本体の動作を制御する制御部20と、スマートプレート6との無線通信を実行する無線通信部21と、現在時刻を計時する時計部22と、SPサーバ4と通信する通信部23と、を備えている。無線通信式端末装置2は、無線通信部21の通信エリア内を通過車両に取り付けられているスマートプレートが通過するように設置すればよく、路側に立設してもよいし、車線の上方に取り付けてもよい。無線通信部21は、一定時間間隔、例えば数秒(1〜2秒)間隔、で無線通信エリア内に位置するスマートプレートに対して応答を要求するポーリングを繰り返し行う。無線通信式端末装置2は、無線通信部21においてスマートプレート6からの応答を受信すると、無線通信部21の無線通信エリア内にスマートプレート6が取り付けられた通過車両が存在すると判断し、このスマートプレート6との無線通信を実行する。無線通信式端末装置2は、この無線通信でスマートプレート6が記憶部61に記憶している車両情報を取得する。通信部23は、無線通信部21におけるスマートプレート6との無線通信により取得した車両情報とともに、この車両情報の取得時刻、および取得地点を含む取得関連情報をSPサーバ4に送信する。無線通信式端末装置2は、無線通信部21でスマートプレート6と無線通信を行ったときに、時計部22が計時している時刻を車両情報の取得時刻とする。また、無線通信式端末装置2は、自装置を識別する識別コードを、取得地点を示す情報とする。
【0037】
図9は、SPサーバの構成を示すブロック図である。SPサーバ4は、本体の動作を制御する制御部40と、道路網に設置されている無線通信式端末装置2と通信する第1の通信部41と、各無線通信式端末装置41から送信されてきた車両情報を収集し記憶する車両情報記憶部42と、統合サーバ5と通信する第2の通信部43と、を備えている。車両情報記憶部42には、図9に示すように、通過車両の車両情報と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が無線通信式端末装置2毎に設けられている。SPサーバ4は、無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を第1の通信部41で受信すると、この車両情報とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている無線通信式端末装置2の識別コードを得る。そして、今回通過車両の車両情報を送信してきた無線通信式端末装置2に割り当てられている車両情報記憶部42の記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきた車両情報と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、SPサーバ4の車両情報記憶部42においては、無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報が取得地点ごとに分けて記憶される。また、第2の通信部43は、第1の通信部41で無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を受信すると、この車両情報を統合サーバ5へ転送する。このとき、車両情報とともに送信されてきた取得関連情報についても統合サーバ5へ転送する。また、SPサーバ4は、無線通信式端末装置2毎に通過車両の車両情報の取得地点を記憶している。無線通信式端末装置2における車両情報の取得地点として無線通信式端末装置2の設置地点(厳密に言うと無線通信部21の無線通信エリア)を記憶している。
【0038】
なお、ここでは、SPサーバ4は、第1の通信部41で無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を受信すると、すぐにこの車両情報を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0039】
図10は、統合サーバの構成を示すブロック図である。統合サーバ5は、本体の動作を制御する制御部50と、AVIサーバ3およびSPサーバ4と通信する通信部51と、AVIサーバ3およびSPサーバ4から送信されてきた情報を記憶する記憶部52と、算出した道路網の2地点間における平均旅行時間の表示等を行う表示部53と、本体に対して入力操作を行う操作部54と、を備えている。統合サーバ5は、道路網の複数の地点に設置された画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号、および道路網の複数の地点に設置された無線通信式端末装置2が取得した車両情報を用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する。通信部51には、AVIサーバ3との通信を実行するAVI通信部と、SPサーバ4との通信を実行するSP通信部とが設けられている。記憶部52には、AVIサーバ3から転送されてきた通過車両のナンバープレート番号を記憶するAVI用記憶部52Aと、SPサーバ4から転送されてきた通過車両の車両情報を記憶するSP用記憶部52Bとが設けられている。AVI用記憶部52Aが、この発明で言う第1の通過車両情報記憶手段に相当し、SP用記憶部52Bがこの発明で言う第2の通過車両情報記憶手段に相当する。AVI用記憶部52Aは、AVIサーバ3の記憶部32と同様に、通過車両のナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が画像式端末装置1毎に設けられている。統合サーバ5は、AVIサーバ3から送信されてきた画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号を通信部51で受信すると、このナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている画像式端末装置1の識別コードを得る。そして、今回受信した通過車両のナンバープレート番号を取得した画像式端末装置1に割り当てられているAVI用記憶部52Aの記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきたナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、AVI用記憶部52Aにおいては、画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号が取得地点ごとに分けて記憶される。また、SP用記憶部52Bは、SPサーバ4の車両情報記憶部42と同様に、通過車両の車両情報と取得時刻とを対応づけて記憶する記憶領域が無線通信式端末装置2毎に設けられている。統合サーバ5は、SPサーバ4から送信されてきた無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報を通信部51で受信すると、この車両情報とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている無線通信式端末装置2の識別コードを得る。そして、今回受信した通過車両の車両情報を取得した無線通信式端末装置2に割り当てられているSP用記憶部52Bの記憶領域を判断し、この記憶領域に今回送信されてきたナンバープレート番号と取得時刻とを対応づけて記憶する。したがって、SP用記憶部52Bにおいては、無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報が取得地点ごとに分けて記憶される。統合サーバ5は、AVI用記憶部52AおよびSP用記憶部52Bの記憶内容に基づいて、画像式端末装置1または無線通信式端末装置2が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出する。
【0040】
また、統合サーバ5は、画像式端末装置1毎にナンバープレート番号の取得地点を記憶しているとともに、無線通信式端末装置2毎に車両情報の取得地点を記憶している。さらに、統合サーバ5は、カメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている画像式端末装置1と無線通信式端末装置2とを対応づけて記憶している。カメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている画像式端末装置1と無線通信式端末装置2とは、略同時刻に同一車両からナンバープレート、車両情報を取得する。
【0041】
また、統合サーバ5は、AVIサーバ3に対して各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせを指示する。また、SPサーバ4に対して各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合せを指示する。AVIサーバ3、SPサーバ4に対する時刻合せの指示は、同じタイミングで行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。例えば、操作部54において所定の入力操作が行われたときに、AVIサーバ3、SPサーバ4に対して時刻合せを指示する構成としてもよいし、予め定めた時刻、例えば午前0時00分、になるとAVIサーバ3、SPサーバ4に対して時刻合せを指示する構成としてもよい。AVIサーバ3は、統合サーバ5から各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせが指示されると、各画像式端末装置1に対して時計部13の時刻合わせにかかる処理を実行する。また、SPサーバ4は、統合サーバ5から各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせが指示されると、各無線通信式端末装置2に対して時計部22の時刻合わせにかかる処理を実行する。
【0042】
次に、この発明の実施形態である旅行時間算出システムの動作について説明する。この実施形態の旅行時間算出システムは、上述したように既存のAVIシステムと、SPシステムと、を統合し、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出するシステムである。まず、道路網に設置されている画像式端末装置1の動作について説明する。図11は、画像式端末装置の動作を示すフローチャートである。道路網に設置されている各画像式端末装置1は、カメラ11の撮像エリア内に位置する通過車両を検知するか(s1)、またはAVIサーバ3から時計部13の時刻合せが指示されるのを待っている(s2)。画像式端末装置1にはカメラ11の撮像エリア内に位置する通過車両を検知する構成が設けられている。例えば、赤外線光を撮像エリア(路面)に向けて照射し、路面または車両からの反射光を受光する。そして、赤外線光を照射してからその反射光を受光するまでの時間により、路面からの反射光であるか、車両からの反射光であるかを判定する構成が設けられている。
【0043】
画像式端末装置1は、s1で撮像エリア内に位置する通過車両を検知すると、カメラ11でその通過車両のナンバープレートを撮像する(s3)。また、このときに計時部13が計時している時刻を今回の通過車両のナンバープレート番号の取得時刻に決定する(s4)。画像式端末装置1は、カメラ11で撮像した通過車両のナンバープレートの撮像画像を画像処理部12で処理し、この通過車両のナンバープレート番号を取得する(s5)。s5で取得するナンバープレート番号は、ナンバープレートに記載されている一連指定番号である。また、一連指定番号に加えて、地域表示、分類番号、用途表示のいずれか1つまたは複数を、ナンバープレート番号として取得するようにしてもよい。画像式端末装置1は、s5で取得した通過車両のナンバープレート番号とともに、s4で決定した取得時刻、および自装置の識別コードを含む取得関連情報を通信部14からAVIサーバ3へ送信し(s6)、s1に戻る。
【0044】
このように、画像式端末装置1は、通過車両のナンバープレート番号を取得する毎に、取得した通過車両のナンバープレート番号とともに取得関連情報をAVIサーバ3に送信する。
【0045】
また、画像式端末装置1は、s2でAVIサーバ3から時計部13の時刻合せが指示されると、時計部13の時刻合わせにかかる処理を行って(s7)、s1に戻る。このs7にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0046】
次に、AVIサーバ3の動作について説明する。図12は、AVIサーバの動作を示すフローチャートである。AVIサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を第1の通信部31で受信するか(s11)、統合サーバ5から各画像式端末装置1の時計部13に対する時刻合わせの指示があるのを待っている(s12)。AVIサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を第1の通信部31で受信すると、このナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報から、今回ナンバープレート番号を送信してきた画像式端末装置1の識別コードを読み出す(s13)。AVIサーバ3は、s13で読み出した識別コードの画像式端末装置1に割り当てられている記憶部32の記憶領域を判断し、その記憶領域に今回受信したナンバープレート番号と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶する(s14)。また、AVIサーバ3は、第2の通信部33が第1通信部31で受信したナンバープレート番号、取得関連情報を統合サーバ5へ転送する処理を実行し(s15)、s11に戻る。
【0047】
このように、AVIサーバ3は道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、これを記憶部32に記憶するとともに、受信したナンバープレート番号、および取得関連情報を統合サーバ5へ転送する。また、AVIサーバ3は、道路網に設置されている各画像式端末装置1が取得した通過車両のナンバープレート番号を収集し、記憶部32に記憶するので、画像式端末装置1が設置されている2地点間については、車両の平均旅行時間を算出することができる。
【0048】
なお、ここでは、AVIサーバ3は、第1の通信部31で画像式端末装置1から送信されてきた通過車両のナンバープレート番号を受信すると、すぐにこのナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると記憶部32の記憶内容を第2の通信部33から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0049】
また、AVIサーバ3は、統合サーバ5から各画像式端末装置1の時計部13に対する時刻合わせの指示があると、各画像式端末装置1に対して時計部13の時刻合わせにかかる処理を実行し(s16)、s11に戻る。このs16にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0050】
次に、無線通信式端末装置2の動作について説明する。図13は、無線通信式端末装置の動作を示すフローチャートである。無線通信式端末装置2は、スマートプレート6に対するポーリングを行うタイミングになるか(s21)、SPサーバ4から時計部22の時刻合わせが指示されるのを待っている(s22)。無線通信式端末装置2は、スマートプレート6に対するポーリングを一定時間毎に、例えば1〜2秒毎に、行うように設定されている。無線通信式端末装置2は、s21でポーリングを行うタイミングであると判定すると、無線通信エリア内に位置するスマートプレート6に対して、応答を要求するポーリングを行う(s23)。通過車両に取り付けられたスマートプレート6が無線通信部23の無線通信エリア内に位置していると、このスマートプレート6が無線通信式端末装置2が行ったポーリングを受信し、無線通信部62からポーリングに対する応答を送信する。したがって、無線通信式端末装置2は、無線通信部21の無線通信エリア内に車両に取り付けられたスマートプレート6が位置していれば、s23で行ったポーリングに対する応答を受信し、反対に無線通信部21の無線通信エリア内に車両に取り付けられたスマートプレート6が位置していなければ、s23で行ったポーリングに対する応答を受信しない。言い換えれば、無線通信部21の無線通信エリア内に通過車両が位置していれば、s23で行ったポーリングに対する応答を受信し、反対に無線通信部21の無線通信エリア内に通過車両が位置していなければ、s23で行ったポーリングに対する応答を受信しない。
【0051】
また、無線通信式端末装置2からのポーリングを受信したスマートプレート6は、記憶部61等への電源供給を開始する。スマートプレート6は、無線通信式端末装置2からのポーリングを受信していないときであっても、無線通信部62に対する電源供給を行っており、無線通信部62が無線通信式端末装置2からのポーリングを受信できる状態に維持している。
【0052】
無線通信式端末装置2は、s23で行ったポーリングに対するスマートプレート6からの応答の有無を判定し(s24)、応答がなければs21に戻る。反対に、応答があると、今回応答してきたスマートプレート6との無線通信を実行し、このスマートプレートが記憶部61に記憶している車両情報を取得する(s25)。スマートプレート6との無線通信は、記憶している車両情報の送信を要求し、この要求に対してスマートプレート6から送信されてきた車両情報を受信する処理である。
【0053】
また、スマートプレート6は、車両情報を無線通信端末装置2に送信すると、記憶部61に対する電源供給を停止する。ただし、無線通信部62に対する電源供給については停止しない。
【0054】
無線通信式端末装置2は、s25で車両情報を受信すると、このときに計時部22が計時している時刻を今回の通過車両の車両情報の取得時刻に決定する(s26)。無線通信式端末装置2は、s25で受信した車両情報とともに、s26で決定した取得時刻、および自装置の識別コードを含む取得関連情報を通信部23からSPサーバ4へ送信し(s27)、s21に戻る。
【0055】
このように、無線通信式端末装置2は、スマートプレート6との無線通信により、通過車両の車両情報を受信する毎に、取得した通過車両の車両情報とともに取得関連情報をSPサーバ4に送信する。
【0056】
また、無線通信式端末装置2は、s22でSPサーバ4から時計部22の時刻合せが指示されると、時計部22の時刻合わせにかかる処理を行って(s28)、s21に戻る。このs28にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0057】
次に、SPサーバ4の動作について説明する。図14は、SPサーバの動作を示すフローチャートである。SPサーバ4は、道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を第1の通信部41で受信するか(s31)、統合サーバ5から各無線通信式端末装置2の時計部22に対する時刻合わせの指示があるのを待っている(s32)。SPサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を第1の通信部41で受信すると、この車両情報とともに送信されてきた取得関連情報から、今回車両情報を送信してきた無線通信式端末装置2の識別コードを読み出す(s33)。SPサーバ4は、s33で読み出した識別コードの無線通信式端末装置2に割り当てられている車両情報記憶部42の記憶領域を判断し、その記憶領域に今回受信した車両情報と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶する(s34)。また、SPサーバ4は、第2の通信部43が第1通信部41で受信した車両情報、取得関連情報を統合サーバ5へ転送する処理を実行し(s35)、s31に戻る。
【0058】
このように、SPサーバ4は道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から通過車両の車両情報を受信すると、車両情報記憶部42に記憶するとともに、受信した車両情報を統合サーバ5へ転送する。また、SPサーバ4は、道路網に設置されている各無線通信式端末装置2が取得した通過車両の車両情報を収集し、車両情報記憶部32に記憶するので、無線通信式端末装置2が設置されている2地点間については、車両の平均旅行時間を算出することができる。
【0059】
なお、ここでは、SPサーバ4は、第1の通信部41で無線通信式端末装置2から送信されてきた通過車両の車両情報を受信すると、すぐにこの車両情報を統合サーバ5へ転送する構成としているが、統合サーバ5からの要求に応じて車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよいし、予め定められているタイミングになると車両情報記憶部42の記憶内容を第2の通信部43から統合サーバ5へ送信する構成としてもよい。
【0060】
また、SPサーバ4は、統合サーバ5から各無線通信式端末装置2の時計部22に対する時刻合わせの指示があると、各無線通信式端末装置2に対して時計部22の時刻合わせにかかる処理を実行し(s36)、s31に戻る。このs36にかかる時刻合わせ処理の詳細については後述する。
【0061】
次に、統合サーバ5の動作について説明する。統合サーバ5は、
(1)AVIサーバ3から送信されてきたナンバープレート番号、このナンバープレート番号にかかる取得関連情報をAVI用記憶部52Aに記憶し、SPサーバ4から送信されてきた車両情報、この車両情報にかかる取得関連情報をSP用記憶部52Bに記憶する通過車両情報収集処理、
(2)画像式端末装置1または無線通信式端末装置2が設置されている道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出処理、
(3)AVIサーバ3に対して各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせを指示するとともに、SPサーバ4に対して各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合せを指示する時刻合わせ処理、
(4)ナンバープレート、またはスマートプレート6が改竄されている可能性が高い車両を検知する改竄車両検知処理、
を実行する。
【0062】
まず最初に、通過車両情報収集処理について説明する。図15は、統合サーバにおける通過車両情報収集処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、通信部51においてAVIサーバ3から送信されてきたナンバープレート番号、このナンバープレート番号にかかる取得関連情報を受信するか、またはSPサーバ4から送信されてきた車両情報、この車両情報にかかる取得関連情報を受信すると、この通過車両情報収集処理を実行する。統合サーバ5は、通信部51で受信した通過車両にかかる情報がAVIサーバ3から送信されてきたものであるか、SPサーバ4から送信されてきたものであるかを判定する(s41)。統合サーバ5は、s41でAVIサーバ3から送信されてきたものであると判定すると、今回ナンバープレート番号が送信されてきた通過車両を検知した画像式端末装置1を特定する(s42)。統合サーバ5は、ナンバープレート番号とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている画像式端末装置1の識別コードから画像式端末装置1を特定する。統合サーバ5は、s42で特定した画像式端末装置1に割り当てられているAVI用記憶部52Aの記憶領域を判断し、その記憶領域に今回AVIサーバ3から送信されてきたナンバープレート番号と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶し(s43)、s41に戻る。
【0063】
また、統合サーバ5は、s41でSPサーバ4から送信されてきたものであると判定すると、今回車両情報が送信されてきた通過車両を検知した無線通信式端末装置2を特定する(s44)。統合サーバ5は、車両情報とともに送信されてきた取得関連情報に含まれている無線通信式端末装置2の識別コードから無線通信式端末装置2を特定する。統合サーバ5は、s44で特定した無線通信式端末装置2に割り当てられているSP用記憶部52Bの記憶領域を判断し、その記憶領域に今回SPサーバ4から送信されてきた車両情報と、取得関連情報に含まれている取得時刻と、を対応づけて記憶し(s45)、s41に戻る。
【0064】
上述したように、AVIサーバ3は、道路網に設置されているいずれかの画像式端末装置1から通過車両のナンバープレート番号が送信されてくると、このナンバープレート番号を統合サーバ5へ転送している。統合サーバ5は、道路網に設置されている各画像式端末装置1が検知した通過車両のナンバープレート番号を収集し、画像式端末装置1毎に分けて、検知された通過車両のナンバープレート番号と、その取得時刻とを対応づけてAVI用記憶部52Aに記憶する。統合サーバ5は、画像式端末装置1毎に設置地点を記憶している。したがって、AVI用記憶部52Aでは、通過車両のナンバープレート番号、その取得時刻、検知した画像式端末装置1(取得地点)が関連づけて記憶されることになる。また、SPサーバ4も同様に道路網に設置されているいずれかの無線通信式端末装置2から車両情報が送信されてくると、この車両情報を統合サーバ5へ転送している。統合サーバ5は、道路網に設置されている各無線通信式端末装置2が検知した通過車両の車両情報を収集し、無線通信式端末装置1毎に分けて、検知された通過車両の車両情報と、その取得時刻とを対応づけてSP用記憶部52Bに記憶する。統合サーバ5は、無線通信式端末装置2毎に設置地点を記憶している。したがって、SP用記憶部52Bでは、通過車両の車両情報、その取得時刻、検知した無線通信式端末装置2(取得地点)が関連づけて記憶されることになる。
【0065】
次に、統合サーバ5における平均旅行時間算出処理について説明する。図16は、統合サーバにおける平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、操作部54において平均旅行時間の算出にかかる入力操作が行われたときや、予め定められている時刻になったとき等に、この平均旅行時間算出処理を実行する。統合サーバ5は、平均旅行時間を算出する道路網の2地点間(上流側の地点と下流側の地点)を決定する(s51)。この2地点は、例えばオペレータが操作部54で入力したり、統合サーバ5に予め設定されている。統合サーバ5は、平均旅行時間を算出する2地点間を決定すると、その上流側の地点に無線通信式端末装置2が設置されているかどうかを判定する(s52)。s52では、画像式端末装置1および無線通信式端末装置2がともに設置されている地点、または無線通信式端末装置2のみが設置されている地点を、無線通信式端末装置2が設置されている地点であると判定する。言い換えれば、画像式端末装置1のみ設置されている地点を、無線通信式端末装置2が設置されていない地点であると判定する。統合サーバ5は、s52で無線通信式端末装置2が設置されている地点であると判定すると、その地点に設置されている無線通信式端末装置2が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s53)。反対に、s52で無線通信式端末装置2が設置されていない地点であると判定すると、その地点に設置されている画像式端末装置1が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s54)。また、統合サーバ5は、下流側の地点についても、上流側の地点と同様に、無線通信式端末装置2が設置されているかどうかを判定し(s55)、無線通信式端末装置2が設置されている地点であると判定すると、その地点に設置されている無線通信式端末装置2が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s56)。反対に、s55で無線通信式端末装置2が設置されていない地点であると判定すると、その地点に設置されている画像式端末装置1が検知した通過車両にかかる情報を今回の平均旅行時間の算出に用いる情報に決定する(s57)。
【0066】
統合サーバ5は、上記処理で決定した平均旅行時間を算出する上流側の地点、および下流側の地点に設置されている画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2に割り当てられている記憶部52の記憶領域にアクセスし、両地点を通過した通過車両毎の旅行時間を算出する(s58)。s58では、一定時間以内、例えば最近30分以内、に下流側の地点で検知された通過車両毎に、上流側の地点で検知されているかどうかを判定する。具体的には、下流側の地点で検知された通過車両のナンバープレート番号と同じナンバープレート番号の通過車両が上流側の地点で検知されているかどうかを検索する。この検索は、上流側の地点に設置されている画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2に割り当てられている記憶部52の記憶領域に対して行う。そして、上流側の地点でも検知されている通過車両であれば、その通過車両について上流側の地点で検知された時刻(ナンバープレート番号、または車両情報の取得時刻)と、下流側の地点で検知された時刻(ナンバープレート番号、または車両情報の取得時刻)との差を、その通過車両についての旅行時間として算出する。
【0067】
統合サーバ5は、s58で上流側および下流側の両地点で検知されている通過車両毎に旅行時間を算出すると、通過車両毎に算出した旅行時間の平均を仮の平均旅行時間として算出する(s59)。統合サーバ5は、s58で算出した通過車両の旅行時間の中から、s59で算出した仮の平均旅行時間との差が予め定められた大きさ以上である通過車両の旅行時間を抽出する(s60)。例えば、仮の平均旅行時間との差の絶対値が一定時間(例えば、30分)以上である通過車両の旅行時間を抽出する。または、仮の平均旅行時間との差の絶対値が仮の平均旅行時間に対して一定の比率(例えば、20%)以上である通過車両の旅行時間を抽出する。統合サーバ5は、s60で平均旅行時間を算出する2地点間における走行形態が一般的な車両と異なっていた通過車両の旅行時間や、ナンバープレートに記載されている一連指定番号が同じである2台の通過車両を同じ通過車両であると誤って算出した旅行時間等を抽出している。統合サーバ5は、s58で通過車両毎に算出した旅行時間の中から、s60で抽出された旅行時間を除いて、残った旅行時間の平均をこの2地点間における車両の平均旅行時間として算出する(s61)。
【0068】
このように、統合サーバ5では、画像式端末装置1、または無線通信式端末装置2の少なくとも一方が設置されている2地点間における車両の平均旅行時間を算出することができる。したがって、既存のAVIシステムよりも平均旅行時間を算出することができる区間(2地点間)が増加し、平均旅行時間の算出がきめ細かく行える。また、道路網に設置されている無線通信式端末装置2の台数が少ない状況であっても、車両に取り付けられているスマートプレート6や、道路網に設置されている無線通信式端末装置2を道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に有効に利用することができる。
【0069】
次に、統合サーバ5における時刻合わせ処理について説明する。図17は、統合サーバの時刻合わせ処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、予め定められた時刻になると、この時刻合わせ処理を実行する。統合サーバ5は、基準時計から現在時刻を読み出し(s71)、s71で読み出した現在時刻とともに各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドを通信部51からAVIサーバ3に送信する(s72)。基準時計は、統合サーバ5に内蔵されている時計であってもよいし、統合サーバ5に接続されている時計サーバ(不図示)であってもよい。
【0070】
AVIサーバ3は、統合サーバ5がs72で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs12で各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせの指示があったと判断し、s16にかかる時刻合わせ処理を実行する。図18は、AVIサーバの時刻合わせ処理を示すフローチャートである。AVIサーバ3は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs71で基準時計から読み出した時刻)を統合サーバ5に返信する(s91)。
【0071】
統合サーバ5は、AVIサーバ3からの返信を受信すると(s73)、基準時計から現在時刻を読み出し(s74)、AVIサーバ3からの返信に含まれている時刻と、s74で基準時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s75)。s75では、統合サーバ5がs71で基準時計から読み出した時刻と、s74で読み出した時刻との差が算出される。統合サーバ5は、s75で算出した時間を、AVIサーバ3との通信に要する時間の2倍の時間であるとみなす。統合サーバ5は、再度基準時計から現在時刻を読み出し(s76)、s76で基準時計から読み出した時刻、s75で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともにAVIサーバ3に送信する(s77)。
【0072】
AVIサーバ3は、統合サーバ5からの時刻設定コマンドを受信すると(s92)、内蔵されている内蔵時計(不図示)の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs76で基準時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s93)。AVIサーバ3は、s93で内蔵時計の時刻を合わせると、各画像式端末装置1の時計部13の時刻合わせ行う。AVIサーバ3は、時計部13の時刻合わせを行う画像式端末装置1を設定する(s94)。s94では、今回時計部13の時刻合わせを行っていない画像式端末装置1を、時計部13の時刻合わせを行う画像式端末装置1に設定する。AVIサーバ3は、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s95)、s95で読み出した現在時刻とともに、時計部13の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドをs94で設定した画像式端末装置1に送信する(s96)。
【0073】
画像式端末装置1は、AVIサーバ3がs96で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs2で時計部13の時刻合わせの指示があったと判断し、s7にかかる時刻合わせ処理を実行する。図19は、画像式端末装置の時刻合わせ処理を示すフローチャートである。画像式端末装置1は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(AVIサーバ3がs95で内蔵時計から読み出した時刻)をAVIサーバ3に返信する(s111)。
【0074】
AVIサーバ3は、画像式端末装置1からの返信を受信すると(s97)、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s98)、画像式端末装置1からの返信に含まれている時刻と、s98で内蔵時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s99)。s99では、AVIサーバ3がs95で内蔵時計から読み出した時刻と、s98で読み出した時刻との差が算出される。AVIサーバ3は、s99で算出した時間を、画像式端末装置1との通信に要する時間の2倍であるとみなす。AVIサーバ3は、再度内蔵時計から現在時刻を読み出し(s100)、s100で内蔵時計から読み出した時刻、s99で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともに画像式端末装置1に送信する(s101)。
【0075】
画像式端末装置1は、AVIサーバ3からの時刻設定コマンドを受信すると(s112)、時計部13の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(AVIサーバ3がs100で内蔵時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s113)。画像式端末装置1は、s113で時計部13の時刻を合わせると本処理を終了する。
【0076】
一方、AVIサーバ3は、s101で画像式端末装置1に時刻合わせコマンドを送信すると、今回時計部13の時刻合わせを行っていない画像式端末装置1(未処理の画像式端末装置1)があるかどうかを判定し(s102)、未処理の画像式端末装置1があればs94に戻り、上記処理を繰り返す。また、s102で未処理の画像式端末装置1が無いと判定すると本処理を終了する。
【0077】
これにより、AVIサーバ3の内蔵時計、および道路網に設置されている各画像式端末装置1の時計部13が基準時計に基づいて合わせられる。
【0078】
また、統合サーバ5は、s77でAVIサーバ3に対して時刻合わせコマンドを送信すると、s71〜s77と同様の処理をSPサーバ4に対して行う。具体的には、統合サーバ5は、基準時計から現在時刻を読み出し(s78)、s78で読み出した現在時刻とともに各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドを通信部51からSPサーバ4に送信する(s79)。
【0079】
AVIサーバ3は、統合サーバ5がs79で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs32で各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせの指示があったと判断し、s35にかかる時刻合わせ処理を実行する。図20は、SPサーバの時刻合わせ処理を示すフローチャートである。SPサーバ3の時刻合わせ処理は、上述したAVIサーバ3の時刻合わせ処理と同様の処理である。AVIサーバ3は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs78で基準時計から読み出した時刻)を統合サーバ5に返信する(s121)。
【0080】
統合サーバ5は、SPサーバ4からの返信を受信すると(s80)、基準時計から現在時刻を読み出し(s81)、SPサーバ3からの返信に含まれている時刻と、s81で基準時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s82)。s82では、統合サーバ5がs78で基準時計から読み出した時刻と、s82で読み出した時刻との差が算出される。統合サーバ5は、s82で算出した時間を、SPサーバ4との通信に要する時間の2倍であるとみなす。統合サーバ5は、再度基準時計から現在時刻を読み出し(s83)、s83で基準時計から読み出した時刻、s82で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともにSPサーバ4に送信する(s84)。統合サーバ5は、s84で時刻設定コマンドをSPサーバ4に送信すると、本処理を終了する。
【0081】
SPサーバ4は、統合サーバ5からの時刻設定コマンドを受信すると(s122)、内蔵されている内蔵時計(不図示)の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(統合サーバ5がs83で基準時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s123)。SPサーバ4は、s123で内蔵時計の時刻を合わせると、各無線通信式端末装置2の時計部22の時刻合わせ行う。SPサーバ4は、時計部22の時刻合わせを行う無線通信式端末装置2を設定する(s124)。s124では、今回時計部22の時刻合わせを行っていない無線通信式端末装置2を、時計部22の時刻合わせを行う無線通信式端末装置2に設定する。SPサーバ4は、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s125)、s125で読み出した現在時刻とともに、時計部22の時刻合わせを指示する時刻合わせコマンドをs124で設定した無線通信式端末装置2に送信する(s126)。
【0082】
無線通信式端末装置2は、SPサーバ4がs126で送信した時刻合わせコマンドを受信すると、上述したs22で時計部22の時刻合わせの指示があったと判断し、s28にかかる時刻合わせ処理を実行する。図21は、無線通信式端末装置の時刻合わせ処理を示すフローチャートである。無線通信式端末装置2は、今回受信した時刻合わせコマンドとともに送信されてきた時刻(SPサーバ4がs125で内蔵時計から読み出した時刻)をSPサーバ4に返信する(s141)。
【0083】
SPサーバ4は、無線通信式端末装置2からの返信を受信すると(s127)、内蔵時計から現在時刻を読み出し(s128)、無線通信式端末装置2からの返信に含まれている時刻と、s128で内蔵時計から読み出した現在時刻との差を算出する(s129)。s129では、SPサーバ4がs125で内蔵時計から読み出した時刻と、s128で読み出した時刻との差が算出される。SPサーバ4は、s129で算出した時間を、無線通信式端末装置2との通信に要する時間の2倍であるとみなす。SPサーバ4は、再度内蔵時計から現在時刻を読み出し(s130)、s130で内蔵時計から読み出した時刻、s129で算出した時間の半分の時間(2分の1の時間)を補正時間とし、これらを時刻設定コマンドとともに無線通信式端末装置2に送信する(s131)。
【0084】
無線通信式端末装置2は、SPサーバ4からの時刻設定コマンドを受信すると(s142)、時計部22の時刻を、この時刻設定コマンドとともに送信されてきた時刻(SPサーバ4がs130で内蔵時計から読み出した時刻)に補正時間を加えた時刻に合わせる(s143)。無線通信式端末装置2は、s143で時計部22の時刻を合わせると本処理を終了する。
【0085】
一方、SPサーバ4は、s131で無線通信式端末装置2に時刻合わせコマンドを送信すると、今回時計部22の時刻合わせを行っていない無線通信式端末装置2(未処理の無線通信式端末装置2)があるかどうかを判定し(s132)、未処理の無線通信式端末装置2があればs124に戻り、上記処理を繰り返す。また、s132で未処理の無線通信式端末装置2が無いと判定すると本処理を終了する。
【0086】
これにより、SPサーバ4の内蔵時計、および各無線通信式端末装置2の時計部22も基準時計に基づいて合わせられる。
【0087】
したがって、この時刻合わせ処理により、各画像式端末装置1の時計部13、各無線通信式端末装置2の時計部22、AVIサーバ3の内蔵時計、およびSPサーバ4の内蔵時計の時刻が、全て基準時計に基づいて合わせられる。これにより、各画像式端末装置1の時計部13、および各無線通信式端末装置2の時計部22が計時している時刻のズレを抑えることができ、その結果、各画像式端末装置1の時計部13、および各無線通信式端末装置2における通過車両を検知したときの取得時間のズレを抑えることができる。よって、統合サーバ5で算出される道路網の2地点間における車両の平均旅行時間の算出精度の向上が図れる。
【0088】
なお、上記説明では、統合サーバ5は、AVIサーバ3に対して時刻合わせ処理を指示した後に、SPサーバ4に対して時刻合わせ処理の指示を行うとしたが、この順番は逆であってもよい。
【0089】
また、各画像式端末装置1、および各無線通信式端末装置2に電波時計の機能を持たせ、予め定められたタイミング、例えば午前0時00分、になると自動的に時刻合せを行うようにしてもよい。このようにすれば、上述した統合サーバ5、AVIサーバ3、およびSPサーバ4における時刻合わせ処理を不要にできる。
【0090】
次に、統合サーバ5における改竄車両検知処理について説明する。図22は、統合サーバ5の改竄車両検知処理を示すフローチャートである。統合サーバ5は、上述したように画像式端末装置1のカメラ11の撮像エリアと、無線通信式端末装置2の無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている画像式端末装置1と無線通信式端末装置2を対応づけて記憶している。統合サーバ5は、画像式端末装置1または無線通信式端末装置2が検知した通過車両にかかるナンバープレート番号または車両情報を受信すると(s151)、今回受信したナンバープレート番号または車両情報にかかる通過車両検知した画像式端末装置1または無線通信式端末装置2を特定する(s152)。統合サーバ5は、s152で特定した装置(画像式端末装置1または無線通信式端末装置2)がカメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている一方の装置であるかどうかを判定する(s153)。統合サーバ5は、s153でカメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている一方の装置でないと判定すると、s151に戻る。
【0091】
一方、統合サーバ5は、s153でカメラ11の撮像エリアと、無線通信部21の無線通信エリアと、が重なっている一方の装置であると判定すると、s152で特定した装置と、カメラ11の撮像エリアまたは無線通信部21の無線通信エリアが重なっている他方の装置を特定する(s154)。統合サーバ5は、s154で特定した装置に割り当てられている記憶部52(AVI用記憶部52A、またはSP用記憶部52B)の記憶領域を検索し、s151で受信したナンバープレート番号または車両情報の取得時刻と略同じ時刻に検知されたナンバープレート番号または車両情報が記憶されているかどうかを判定する(s155)。統合サーバ5は、上述した通過車両情報収集処理により、各画像式端末装置1が検知した通過車両のナンバープレート番号および各無線通信式端末装置2が検知した通過車両の車両情報に取得時刻を対応づけて記憶部52に記憶している。s155では、取得時刻の差の絶対値が1秒程度あるナンバープレート番号または車両情報が記憶されているかどうかを検索している。すなわち、s151で受信したナンバープレート番号または車両情報にかかる通過車両と同一の通過車両について他方の装置からナンバープレート番号または車両情報をすでに受信し、記憶部52に記憶しているかどうかを判定している。統合サーバ5は、s155でs151で受信したナンバープレート番号または車両情報の取得時刻と略同じ時刻に検知されたナンバープレート番号または車両情報が記憶されていないと判定するとs151に戻る。
【0092】
統合サーバ5は、s155でs151で受信したナンバープレート番号または車両情報の取得時刻と略同じ時刻に検知されたナンバープレート番号または車両情報が記憶されていると判定すると、両装置において検知された通過車両のナンバープレート番号が一致しているかどうかを判定する(s156)。s156では、s151で受信したナンバープレート番号または車両情報に含まれているナンバープレート番号と、s155の検索で取得したナンバープレート番号または車両情報に含まれているナンバープレート番号と、が一致しているかどうかの判定を行っている。統合サーバ5は、s156で一致していると判定すると、すなわちナンバープレートに記載されているナンバープレート番号と、スマートプレート6が記憶しているナンバープレート番号とが一致しており、ナンバープレートおよびスマートプレート6に対する改竄が行われていない通過車両であると判定すると、s151に戻る。
【0093】
一方、統合サーバ5は、s156で一致していないと判定すると、すなわちナンバープレートまたはスマートプレート6の少なくとも一方に対して改竄が行われている通過車両であると判定すると、その旨を示す出力を行う(s157)。s157では、この通過車両から画像式端末装置1が取得したナンバープレート番号とその取得情報、および無線通信式端末装置2が取得した車両情報とその取得情報を表示部53に表示する。また、ナンバープレートまたはスマートプレート6の少なくとも一方に対して改竄が行われている通過車両を検知したことをオペレータに知らせる報知音の出力を行う。これにより、ナンバープレートまたはスマートプレートが改竄された通過車両の検知を速やかにオペレータに伝えることができる。また、取得情報によりこの通過車両が検知された地点やナンバープレートに記載されているナンバープレート番号についてもオペレータに伝えているので、このナンバープレートまたはスマートプレートが改竄された通過車両の摘発にかかる検問等の取り締まりが速やかに行える。したがって、ナンバープレートまたはスマートプレートの少なくとも一方が改竄された車両を速やかに摘発することができる。特に、ナンバープレートやスマートプレート6が改竄された車両は犯罪に使用される可能性が高く、このような車両の摘発が速やかに行われることで、犯罪の防止という効果も得られる。
【0094】
また、ナンバープレートまたはスマートプレートの少なくとも一方が改竄された車両を検知すると、その車両を追跡するようにしてもよい。
【0095】
なお、上記実施形態では、AVIサーバ3、SPサーバ4、および統合サーバ5を個別の装置で構成しているが、AVIサーバ3、およびSPサーバ4を無くし、画像式端末装置1および無線通信式端末装置2が統合サーバ5に直接接続された構成としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態における統合サーバ5における平均旅行時間算出処理を以下のようにしてもよい。図23は、別の実施形態にかかる統合サーバの平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。図23では、図16で示した処理と同じ処理については、同じステップ番号(s**)を付している。ここでは、道路網において一般的な車両と走行形態が異なる路線バス、緊急車両等を除いて、道路網の2地点間における平均旅行時間を算出する。統合サーバ5には、道路網の2地点間における平均旅行時間の算出に用いない車両の種類が予め設定されている。統合サーバ5は、図16に示したs51〜s57にかかる処理を実行する。統合サーバ5は、上記処理で決定した平均旅行時間を算出する上流側の地点、または下流側の地点に設置されている装置の少なくとも一方が無線通信式端末装置2であるかどうかを判定する(s161)。s161で平均旅行時間を算出する上流側の地点、または下流側の地点に設置されている装置がともに画像式端末装置1であると判定すると、平均旅行時間を算出する上流側の地点と下流側の地点との間に無線通信式端末装置2が設置されている地点があるかどうかを判定する(s162)。統合サーバ5は、s162で平均旅行時間を算出する上流側の地点と下流側の地点との間に無線通信式端末装置2が設置されている地点が無いと判定すると、図16に示したs58〜s61にかかる処理を実行する。この場合には、予め定められている道路網において一般的な車両と走行形態が異なる路線バス、緊急車両等を除いていない平均旅行時間を算出することになる。
【0097】
一方、s161で平均旅行時間を算出する上流側の地点、または下流側の地点に設置されている装置がともに画像式端末装置1であると判定した場合、またはs162で平均旅行時間を算出する上流側の地点と下流側の地点との間に無線通信式端末装置2が設置されている地点があると判定した場合、平均旅行時間を算出する上流側の地点、および下流側の地点地点を通過した車両の中から、平均旅行時間の算出に用いる種類の車両を抽出する(s163)。上述したように、スマートプレート6が記憶部61に記憶している車両情報には、車両の種類が含まれている。平均旅行時間を算出する2地点間を通過した車両は、この2地点間を通過する間に無線通信式端末装置2によってスマートプレートプレート6の記憶部61に記憶している車両情報が読み取られている。したがって、統合サーバ5では、平均旅行時間を算出する2地点間を通過した車両の種類(一般車両、路線バス、緊急車両等)を認識することができる。平均旅行時間を算出する上流側の地点、および下流側の地点地点を通過した車両であっても、予め設定されている平均旅行時間の算出に用いない種類の車両(平均旅行時間の算出に用いない種類の車両)についてはs163で抽出されない。また、s163では、一定時間以内、例えば最近30分以内、に下流側の地点で検知された通過車両を対象にしている。
【0098】
統合サーバ5は、s163で抽出した車両毎に、平均旅行時間を算出する2地点間の旅行時間を算出する(s164)。統合サーバ5は、s163で抽出した車両毎の旅行時間を算出すると、通過車両毎の旅行時間の平均を仮の平均旅行時間として算出する(s165)。統合サーバ5は、s165で算出した仮の平均旅行時間との差が予め定められた大きさ以上である通過車両の旅行時間を抽出する(s165)。s165にかかる処理は、上記s60にかかる処理と同じである。統合サーバ5は、s164で通過車両毎に算出した旅行時間から、s165で抽出した旅行時間を除いて、残った通過車両の旅行時間の平均をこの2地点間における車両の平均旅行時間として算出する(s166)。
【0099】
これにより、路線バスや緊急車両等を除いた平均旅行時間の算出が行える。また、上記説明では、予め設定されている種類の車両を平均旅行時間の算出に用いないとしたが、その種類の車両についての平均旅行時間を算出するようにしてもよい。例えば、路線バスについて平均旅行時間を算出するようにしてもよい。また、このように路線バス等の種類毎に平均旅行時間を算出することができるので、その平均旅行時間に基づいて信号制御を行うことで、路線バスの遅れを解消することもできる。
【0100】
なお、上記実施形態では、統合サーバ5はスマートプレート6から取得した車両情報から、この車両の種類を取得するとしたが、路線バスを運行しているバス会社等から路線バス毎にナンバープレート番号と、その路線バスの運行形態(回送、普通、急行、路線等)にかかる情報を取得するようにしてもよい。
【0101】
また、路線バスや緊急車両等の車両に、無線通信機を取り付け、この車両から運行形態等を無線通信式端末装置2に送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの道路網における画像式端末装置、および無線通信式端末装置の設置地点を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの画像式端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】道路における画像式端末装置のカメラの設置状態を示す図である。
【図5】ナンバープレートに記載されているナンバープレート番号を説明する図である。
【図6】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのAVIサーバの構成を示すブロック図である。
【図7】スマートプレートの構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの無線通信式端末装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのSPサーバの構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバの構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの画像式端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのAVIサーバの動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの無線通信式端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのSPサーバの動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける通過車両情報収集処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図18】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのAVIサーバにおける時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの画像式端末装置における時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図20】この発明の実施形態である旅行時間算出システムのSPサーバにおける時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの無線通信式端末装置における時刻合わせ処理を示すフローチャートである。
【図22】この発明の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける改竄車両検知処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の別の実施形態である旅行時間算出システムの統合サーバにおける平均旅行時間算出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1−画像式端末装置
2−無線通信式端末装置
3−AVIサーバ
4−SPサーバ
5−統合サーバ
6−スマートプレート
11−カメラ
12−画像処理部
13−時計部
14−通信部
21−無線通信部
22−時計部
23−通信部
31−第1の通信部
32−記憶部
33−第2の通信部
41−第1の通信部
42−車両情報記憶部
43−第2の通信部
51−通信部
52−記憶部
52a−AVI用記憶部
52b−SP用記憶部
53−表示部
54−操作部
61−記憶部
62−無線通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路網の複数の地点に設置され、撮像エリアにおける通過車両のナンバープレートを撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像画像を処理して通過車両のナンバープレート番号を取得する画像処理手段と、前記画像処理手段が取得した通過車両のナンバープレート番号を、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力するナンバープレート番号出力手段と、を有する複数の第1の車両検知装置と、
道路網の複数の地点に設置され、無線通信エリアにおける通過車両のナンバープレート番号を含む車両情報を該通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信により取得する無線通信手段と、前記無線通信手段が取得した通過車両の前記車両情報を、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力する車両情報出力手段と、を有する複数の第2の車両検知装置と、
複数の前記第1の車両検知装置が、前記ナンバープレート番号出力手段により出力した通過車両のナンバープレート番号と、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点にかかる前記取得関連情報を収集して記憶する第1の通過車両情報記憶手段と、複数の前記第2の車両検知装置が、前記車両情報出力手段により出力した通過車両の車両情報と、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して記憶する第2の通過車両情報記憶手段と、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段の記憶内容に基づいて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出手段と、を有する上位装置と、を備えた旅行時間算出システム。
【請求項2】
前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報を用いないで、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である請求項1に記載の旅行時間算出システム。
【請求項3】
前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報のみを用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である請求項1に記載の旅行時間算出システム。
【請求項4】
前記上位装置は、前記撮像手段における通過車両のナンバープレートの撮像エリアと、前記無線通信手段における通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信エリアと、が重なっている第1の車両検知装置と第2の車両検知装置とが同一の通過車両から取得したナンバープレート番号が一致しているかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段が一致していないと判定したとき、その旨を出力する出力手段と、を備えた請求項1〜3のいずれかに記載の旅行時間算出システム。
【請求項1】
道路網の複数の地点に設置され、撮像エリアにおける通過車両のナンバープレートを撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像画像を処理して通過車両のナンバープレート番号を取得する画像処理手段と、前記画像処理手段が取得した通過車両のナンバープレート番号を、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力するナンバープレート番号出力手段と、を有する複数の第1の車両検知装置と、
道路網の複数の地点に設置され、無線通信エリアにおける通過車両のナンバープレート番号を含む車両情報を該通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信により取得する無線通信手段と、前記無線通信手段が取得した通過車両の前記車両情報を、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報とともに出力する車両情報出力手段と、を有する複数の第2の車両検知装置と、
複数の前記第1の車両検知装置が、前記ナンバープレート番号出力手段により出力した通過車両のナンバープレート番号と、このナンバープレート番号の取得時刻および取得地点にかかる前記取得関連情報を収集して記憶する第1の通過車両情報記憶手段と、複数の前記第2の車両検知装置が、前記車両情報出力手段により出力した通過車両の車両情報と、この車両情報の取得時刻および取得地点を含む取得関連情報を収集して記憶する第2の通過車両情報記憶手段と、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段の記憶内容に基づいて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する平均旅行時間算出手段と、を有する上位装置と、を備えた旅行時間算出システム。
【請求項2】
前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報を用いないで、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である請求項1に記載の旅行時間算出システム。
【請求項3】
前記第2の車両検知装置が、前記無線通信手段で通過車両に取り付けられたスマートプレートから取得する前記車両情報には、この通過車両の種類が含まれており、
前記上位装置の前記平均旅行時間算出手段は、前記第1の通過車両情報記憶手段、および前記第2の通過車両情報記憶手段に記憶している予め定められた種類の車両の情報のみを用いて、道路網の2地点間における車両の平均旅行時間を算出する手段である請求項1に記載の旅行時間算出システム。
【請求項4】
前記上位装置は、前記撮像手段における通過車両のナンバープレートの撮像エリアと、前記無線通信手段における通過車両に取り付けられたスマートプレートとの無線通信エリアと、が重なっている第1の車両検知装置と第2の車両検知装置とが同一の通過車両から取得したナンバープレート番号が一致しているかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段が一致していないと判定したとき、その旨を出力する出力手段と、を備えた請求項1〜3のいずれかに記載の旅行時間算出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−221237(P2006−221237A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31593(P2005−31593)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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