説明

既設管改築推進工法および装置

【課題】残っている既設管を通して破砕した既設管の砕片を到達坑側に排出させるにあたり、破砕片を細かく破砕する必要なく、しかも既設管を詰まらせることなく円滑に到達坑側に排出することができるようにする。
【解決手段】既設管50を破砕可能なカッタヘッド20を先導管22の先端に取り付け、先導管20に土砂を発進抗へ排出する主スクリュー18を設けるとともに、自在な撓み性を有するスクリュ32を、既設管50の破砕片を残った既設管50を排出路として排出する補助スクリューとしてカッターヘッド20に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開削せずに老朽化した埋設管を新たな更埋管に更新する改築推進装置に係り、特に、既設管を破砕したときに生じる切屑を排出する経路に既設管を利用するようにした既設管改築推進方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道、ガス等のライフラインとして地中に埋設されている管は、経年による老朽化が進み、とくに管の継手部から漏水が生じるので、耐用年数を越えた管は、適時に新たな管に更新する必要がある。一般的には、50年の耐用年数が法定されており、この法定年数を越える前に改築される。
このような既設管を更新するために、古くは、埋設箇所を地表から開削することで既設管を掘り出し、新たな管を埋設し直していた。近時は、開削することなく、既設管を破砕しながら、同時に更新管を推進する改築推進工法が開発されている。
従来の既設管改築推進工法には種々のものがあるが、代表的な工法は、既設管をカッタビットで砕きながら更新管を推進する工法である。
【0003】
改築推進工法が適用される既設管には、敷設された年代が古いのになると陶管であったり、ヒューム管であったり、あるいは、年代が下ると塩化ビニル製等のプラスチック管であったりというように様々な種類の管がある。従来は、既設管の破砕片はスクリューで発進抗側に排出するのが一般的である。
【0004】
既設管が陶管やヒューム管である場合は、一般的には破砕し易いためカッタービットによる破砕に適しているといえるので、スクリューによる発進抗側の排出に大きな問題は生じない。もっとも、破片が大きいと、スクリューの狭い搬送通路を通らずに、推進は不能になることがある。
【0005】
これに対して、塩化ビニル等のプラスチック製の既設管は、カッタービットで切削すると、ひも状に連続した切り屑が発生する。しかも、この切り屑は、既設管の内部に鳥の巣状に溜ってしまい、排土用のスクリューでも排出させることができない。とりわけ、粘土質の土質中に敷設された塩化ビニル等のプラスチック管からなる既設管を改築する場合には、切り屑の間に粘土が詰まって塊になって、カッターの刃口を詰まらせ、推進を継続することが不能になるおそれがあった。
【0006】
そこで、既設管そのものを破砕片や切り屑の排出路にして到達坑に移送することが検討されている。この種の改築推進工法の先行技術としては、例えば、特許文献1で提案されている改築推進工法がある。
この工法は、既設管を縮径方向に加圧して破砕する破砕刃をもったカッターヘッドを用いる工法である。推進機により破砕刃を押し込み、破砕刃のテーパにより既設管を潰して縮径することで、まだ残っている既設管を通して到達坑に潰した破砕片を排出するというものである。
【特許文献1】特開2002−213651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されている工法では、既設管を押し潰して縮径させるための特別の破砕刃をもったカッターヘッドを用いているので、既設管を潰して破砕することはできても、地山のところを掘削できるようにはなっていない。
【0008】
改築対象の既設管には、しばしばその一部が設計計画線より大きくずれて蛇行していることがある。既設管が蛇行するのは、地震によって継手部分のところが浮き上がったり、沈下したりするほか、強度の弱い地盤では、上の交通量の多い道路があったりすると、車両の重量を受けて上下に起伏を生じることがある。
【0009】
このような蛇行した既設管を改修する場合には、既設管を破砕する部分と、既設管ではなく地山の部分を掘削する部分とが交互に続くことになる。このため、推進を進めるにつれて掘削対象が変化し、既設管の部分を破砕する区間と、地山すなわち地盤の部分を掘削する区間とが断続することになる。
【0010】
このように蛇行した既設管の改修工事には、上述した特許文献1の工法を採用することはできない。この工法で使用する破砕刃は、既設管を潰して縮径させることはできても、地盤そのものを掘削する機能をもっていないからである
また、特許文献1の工法のように、まだ残っている既設管を通して破砕片を排出することは、上述したように、塩化ビニール等の軟質の管を破砕するときのように細かい断片にならない既設管の場合に有利である。しかし、特許文献1の工法では、破砕片の排出を専ら破砕刃による押し込みに頼るため、破砕片が塊になって排出性が低下し易い。このため、すぐに閉塞し、掘進を継続できなくなる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、残っている既設管を通して破砕した既設管の砕片を到達坑側に排出させるにあたり、破砕片を細かく破砕する必要なく、しかも既設管を詰まらせることなく円滑に到達坑側に排出することができるようにした既設管改築推進装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、改築対象の既設管の一部が、蛇行するなどして当初の設計計画線より大きくずれている改修工事であっても、既設管の部分と地山部分(地盤)を区別することなく、通常型カッタヘッドを使って残っている既設管を通して到達坑側に破砕片や土砂を排出しながら効率よく掘進することができるようにした既設管改築推進工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、地中に埋設された既設管をカッタヘッドで破砕しながら、同時に、先行させる先導管とともに新しい更新管を推進する既設管の改築推進工法において、前記既設管の始端位置に発進立抗を開削し、前記既設管を破砕可能なカッタヘッドを先導管の先端に有し、前記先導管内に土砂を発進抗へ排出する主スクリューを設けた推進装置を前記発進立抗に設置する工程と、前記カッタヘッドによる該既設管の破砕片を残りの既設管を排出路として利用するため、破砕片排出用の補助スクリューを前記カッターヘッドに接続して該既設管内を前記既設管の終端位置に設けた到達立坑まで延ばす工程と、前記主スクリューとともに、前記カッターヘッドおよび補助スクリューを回転させ、前記既設管を破砕しながら更新管を前記推進装置により推進させることにより、該既設管を更新管に改築する工程と、からなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、地中に埋設された既設管をカッタヘッドで破砕しながら、同時に、先行させる先導管とともに新しい更新管を推進する既設管の改築推進装置において、前記既設管を破砕可能なカッタヘッドを先導管の先端に取り付け、前記先導管内に土砂を発進抗へ排出する主スクリューを設けるとともに、自在な撓み性を有するスクリュを、前記既設管の破砕片を残った該既設管を排出路として排出する補助スクリューとして前記カッターヘッドに接続したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、前記破砕片排出用の補助スクリューとして、前記主スクリューと逆ピッチのブレードと、軸が可動節に分割されたスクリュー軸と、を有する自在な撓み性を有するスクリューを用いて、既設管の破砕と地盤部分の掘削を交互に行いながら蛇行した既設管を改築することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、残っている既設管を通して破砕した既設管の砕片を到達坑側に排出させるのに、破砕片を細かく破砕する必要なく、しかも既設管を詰まらせることなく円滑に到達坑側に排出することができる。
【0017】
また、本発明によれば、既設管の部分と地山部分(地盤)を区別することなく、通常型カッタヘッドを使って残っている既設管を通して到達坑側に破砕片や土砂を排出しながら効率よく掘進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による既設管改築推進工法および装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1において、参照番号10は、既設管の改築推進工法を実施する推進機の全体を示す。この推進機10には、埋設管を地中に非開削で推進する工法で広く用いられる公知の推進機が利用される。参照番号50は老朽化した既設管である。図2において、参照番号60は、更新管を示している。この更新管60は、例えば、ヒューム管である。
【0019】
更新管60の始端位置には立坑12(以下、発進立坑という)が掘削され、推進機10は発進立坑12に運び込まれる。
推進機10においては、ベースとなるガイドフレーム15の上に推進機本体が移動可能に設置されている。この推進機本体の左右両側には、更新管60を押し出す推力を発生する油圧シリンダ16が配設されている。この油圧シリンダ16のピストンロッドの先端部は、反力受け17に固定されている。
【0020】
推進機10の本体では、次のようなアタッチメントが接続されている。すなわち、アタッチメントは、螺旋状のブレードが軸方向に延びているスクリュー18と、このスクリュー18の先端に取り付けられるカッターヘッド20と、1本ずつ継ぎ足される更新管60と、先導管22とから構成されている。
【0021】
スクリュー18は、更新管60の内側のケーシング21に同軸に収容されており、推進機10の備える油圧モータ19の駆動トルクは図示しない中空式減速機を介してスクリュー18に伝えられる。これと同時に、更新管60には、推進機10から油圧シリンダ16で発生する推力が加えられる。なお、更新管60、ケーシング21およびスクリュー18は、推進が延びるにしたがって、1本づつ継ぎ足しながら推進作業が行われる。
【0022】
先頭の更新管60の先端には、先導管22が接続されている。そして、先導管22の先端には、刃口リング23が固定されている。カッターヘッド20は、スクリュー18と連結されるとともにベアリング24によって回転自在に支持されており、スクリュー18と一体で回転する。
【0023】
カッターヘッド20の本体は、円板状の面板25を含む。面板25の前面には、図3に示すように、地盤の掘削と埋設管50の破砕の両方に対応できるように、所要数のカッター26が所定の位置に取り付けられている。また、面板24には、土砂を取り込む開口部29が2箇所対称な位置に開口している。なお、開口部29は、3箇所あるいは4箇所というようにしてもよい。
【0024】
なお、刃口リング23には、傾動可能に先導管22に取り付けられており、カッターヘッド20の向きを油圧シリンダ30で強制的に修正できるようになっている。この油圧シリンダ30は、90°ずつ対称に4つ、あるいは120°ずつ対称に3つというように複数配置されている。
【0025】
次に、図1において、参照番号32は、カッターヘッド20から前方に延びるように取り付けられる破砕片排出用の補助スクリューを示す。この補助スクリュー32は、カッターヘッド20で既設管50を破砕したときに発生する破砕片を残りの既設管50を排出路として利用して搬送するスクリューである。この補助スクリュー32の基端は、カッターヘッド20の面板25にスクリュー18と同軸になるように連結されている。
【0026】
この実施形態では、破砕片排出用の補助スクリュー32は、分割された可動節を直列にピンでリンク結合することによりスクリュー全体が撓わめるような柔構造になっている。補助スクリュー32の可動節は、ブレードのリード長さ分に相当するブレードと軸が一体のものを一単位の可動節としており、これらが一本のスクリューになるように連結されている。主スクリューであるスクリュー18との関係では、補助スクリュー32のブレードは、スクリュー18のブレードとは逆ピッチの関係になっている。したがって、スクリュー18と補助スクリュー32とは同方向に回転するが、主として土砂はスクリュー18によって後方すなわち発進立坑14に向かって排出され、既設管50の破砕片は補助スクリュー32によって残りの既設管50を排出通路にして前方すなわち到達立坑に向かって搬出される。
【0027】
本実施形態による既設管改築推進装置は、以上のように構成されるものであり、次に、この既設管改築推進装置により実施する改築推進工法についてその工程を順を追って説明する。
まず最初に、法定耐用年数に近づいて既設管であって、現在でも埋設された当初の設計計画線に沿って延びている既設管、すなわち、蛇行は生じずに当初の設置状態のまま真っ直ぐに延びてはいるが、管そのものは老朽化している既設管である場合の改築推進工法について説明する。
図1において、改築対象となっている既設管50の始端位置に発進立抗12を開削する。発進立坑12には推進機10が運びこまれる。なお、終端位置には、到達立坑14が必要になるが、この実施形態では、到達立坑14は開削せずに、既存のマンホールを到達立坑14に利用している。既存のマンホール等を利用できない場合には、到達立坑14を開削することになる。
【0028】
補助スクリュー32の先端は、既設管50を通って到達立坑14に届くまで継ぎ足される。そして、図1に示すように、補助スクリュー32の基端部は、カッターヘッド20に接続される。カッターヘッド20、刃口リング23、先導管22、スクリュー18はアタッチメントして組み立てられて推進機10に接続される。
【0029】
そこで、推進機10でカッターヘッド20を回転させ、カッター26で既設管50を破砕しつつ推進機10の油圧シリンダ16のピストンロッドを伸長させて先導管22を押し込むことになる。先導管22の推進を延ばしつつ、更新管60、スクリュー18、ケーシング21を順次継ぎ足しなから推進していく。他方、上記の継ぎ足しと並行して、到達立坑14側では、補助スクリュー32の先端の可動節を取り外しながら、更新管60の推進を行うことになる。
【0030】
図2において、カッターヘッド20で既設管50を破砕していくと、このとき既設管50の破砕に付随して掘り崩された土砂は、カッターヘッド20の開口部29からスクリュー18側に取り込まれ、スクリュー18の回転によってケーシング21を搬送路にして後方に搬送され、発進立坑に排出される。
【0031】
これに対して、既設管50は、この実施形態の場合、大きな径の下水管であり、その破砕片は相当大ききな塊になり、カッターヘッド20の開口部29から取り込まれずに、面板25の前方に砕かれて落ちることになる。そして、補助スクリュー32はカッターヘッド20と一体で回転しており、この補助スクリュー32がスクリュー18とは逆ピッチのブレードをもっているので、既設管50の破砕片はこの補助スクリュー32によって残存している既設管50を搬送路にして到達立坑14に効率よく搬出される。既設管50は径の大きな管であり、大きな破砕片であっても細かく粉砕する必要もなく、閉塞の懸念なく容易に排出させることができる。
【0032】
なお、カッターヘッド20では、図4に示すように、そのヘッド面板25の開口部29を格子型にして、土砂をのみを通過させ、既設管50の破砕片の通過を確実に阻止可能な取り込み口としてもよい。また、面板25の開口部29そのものを小径にして、破砕片の通過を不能にしてもよい。
【0033】
以上は、コンクリート製などの破砕しやすい大型管を例にして説明したが、既設管50には種々の管があり、例えば、塩化ビニルなどの樹脂製の柔らかい材料からなる既設管50であることもある。塩化ビニル製の管をカッターヘッド20で破砕すると、一般に切り屑は短く切断されずにひも状に連続する長い切り屑になることが多い。
【0034】
そして、この切り屑は、土砂、とりわけ粘土質の場合には、粘土が切り屑の間の隙間に詰まると大きな塊となって、面板24の開口部29を閉塞させてしまうことが起こる。こうなってしまうと、スクリュー18による排出に支障が生じ、場合によっては、推進不能になるおそれがあった。
【0035】
これに対して、本実施形態の改築推進装置による改築推進工法では、カッターヘッド20から到達立坑14に向かって延びる補助スクリュー32が設けられているので、切り屑を細かく破断するまでもなく、切り屑はただちに前方に排出されてしまい閉塞の問題は生じない。
【0036】
以上は、法定耐用年数に近づいた既設管であっても、蛇行がなく当初の設置状態のまま真っ直ぐに延びている既設管の改築の例であるが、次に、地震や、道路から不断に荷重がかかるため等の原因で蛇行が生じた既設管を改修する場合の工法について説明する。
【0037】
図5は、古い既設管が蛇行してしている状況を示す図である。この例では、地盤が弱いところに既設管50が下水管として埋設されており、地表には交通量の多い道路があるような場合である。参照番号80はマンホールである。このような状況では、既設管50の継手部50aの部分は、荷重を不断に受けることで、折れ曲がりながら浮き上がったり沈下してしまうことがある。既設管50の沈下した継手部50aの部分は流れが悪くなって詰まり、なおさら改築の必要性は大きい。
【0038】
そして、既設管50の改修区間を全体としてみれば、既設管50は、上下にジグザグに起伏しながら延びている状態にある。なお図中破線で示すのが埋設当初の管の位置である。
【0039】
このように蛇行する状況になった既設管50の改築には、上述した蛇行のない既設管50と基本的に同じようにして本発明の工法を適用することができる。
【0040】
図2の真っ直ぐな場合と同じようにして、発進立坑12には推進機10が運び込まれ、補助スクリュー32の先端が既設管50を通って到達立坑14まで届くまで補助スクリュー32は継ぎ足される。そして、補助スクリュー32の基端部は、カッターヘッド20に接続され、カッターヘッド20、刃口リング23、先導管22、スクリュー18をアタッチメントして組み立てて推進機10に接続される。
【0041】
そこで、推進機10でカッターヘッド20を回転させ、カッター26で既設管50を破砕しつつ推進機10の油圧シリンダ16のピストンロッドを伸長させて先導管22を押し込むことになる。先導管22の推進を延ばしつつ、更新管60、スクリュー18、ケーシング21を順次継ぎ足しなから推進していく。他方、これらの継ぎ足しと並行して、到達立坑14側では、補助スクリュー32の先端の可動節を取り外しながら、更新管60の推進を行うことになる。
【0042】
このように蛇行して継手部50aが沈下している状況にある既設管50の改築では、図5に示すように、更新管60を真っ直ぐに推進しようとすると、主として、地山、すなわち地盤の部分を掘削する改築区間Aと、既設管50の破砕が主になる改築区間Bとが交互にあらわれることになる。
【0043】
まず、既設管50の破砕が主となる改築区間Bでの推進について説明する。
図6において、カッターヘッド20を回転させ既設管50を破砕していくと、このとき既設管50の破砕に付随して掘り崩された土砂は、カッターヘッド20からスクリュー18側に取り込まれ、スクリュー18の回転によってケーシング21を搬送路にして後方に搬送され、発進立坑12に排出される。
【0044】
また、既設管50の破砕片を排出する補助スクリュー32は、可動節に分割されていることで自在な撓み性を有しているので、図6に示すように既設管50が折れ曲がっていても、既設管50のジグザグに走る管路に倣って折れ曲がりながらも回転することができるので、既設管50の破砕片は、残りの既設管50を搬送路として到達立坑14まで円滑に排出される。
【0045】
次に、地盤の掘削が主になる改築区間Aでは、カッターヘッド20に更新管の改築に通常使される通常型ヘッドが用いられているので、なんら支障なく地盤を掘削し、土砂はカッターヘッド20の後方に取り込まれ、スクリュー18によって発進立坑12に排出される。
【0046】
以上のようにして、蛇行しているために、既設管50の破砕が主になる区間と、地盤の掘削が主になる区間と、が交互に現れることになる既設管50の改築を円滑に効率良く実施することができる。なお、図5、図6に示した蛇行例は、上下に起伏している例であるが、地震による断層が原因になる場合には、左右に蛇行しながら折れ曲がることがある。このような状況になった既設管に対しても、上下に蛇行する既設管と同様に改築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による既設管改築推進工法を実施する推進機を示し、発進立坑に推進機を運び入れ、アタッチメントを接続した状況を示す断面図である。
【図2】本発明による既設管改築推進工法を実施する推進機を示し、更新管を推進途中の状況を示す断面図である。
【図3】推進機のカッターヘッドの正面図である。
【図4】カッターヘッドの面板の変形例を示す正面図である。
【図5】埋設管が蛇行する状況を説明する図である。
【図6】本発明による既設管改築推進後方を蛇行する埋設管に適用した状況を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 推進機
12 発進立坑
14 到達立坑
16 油圧シリンダ
18 スクリュー
20 カッターヘッド
22 先導管
25 面板
26 カッター
32 補助スクリュー
50 既設管
60 更新管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された既設管をカッタヘッドで破砕しながら、同時に、先行させる先導管とともに新しい更新管を推進する既設管の改築推進工法において、
前記既設管の始端位置に発進立抗を開削し、前記既設管を破砕可能なカッタヘッドを先導管の先端に有し、前記先導管内に土砂を発進抗へ排出する主スクリューを設けた推進装置を前記発進立抗に設置する工程と、
前記カッタヘッドによる該既設管の破砕片を残りの既設管を排出路として利用するため、破砕片排出用の補助スクリューを前記カッターヘッドに接続して該既設管内を前記既設管の終端位置に設けた到達立坑まで延ばす工程と、
前記主スクリューとともに、前記カッターヘッドおよび補助スクリューを回転させ、前記既設管を破砕しながら更新管を前記推進装置により推進させることにより、該既設管を更新管に改築する工程と、
からなることを特徴とする既設管の改築推進工法。
【請求項2】
前記破砕片排出用の補助スクリューとして、前記主スクリューと逆ピッチのブレードと、軸が可動節に分割されたスクリュー軸と、を有する自在な撓み性を有するスクリューを用いて、既設管の破砕と地盤部分の掘削を交互に行いながら蛇行した既設管を改築することを特徴とする請求項1に記載の既設管改築推進工法。
【請求項3】
前記カッターヘッドには、地盤の掘削および埋設管の破砕を兼用する型のカッターヘッドを使用することを特徴とする請求項2に記載の既設管改築推進工法。
【請求項4】
前記カッターヘッドには、そのヘッド面板に土砂のみを通過させ、前記既設管の破砕片の通過を阻止可能な取り込み口を有するカッターヘッドを使用することを特徴とする請求項1に記載の既設管改築推進工法。
【請求項5】
地中に埋設された既設管をカッタヘッドで破砕しながら、同時に、先行させる先導管とともに新しい更新管を推進する既設管の改築推進装置において、
前記既設管を破砕可能なカッタヘッドを先導管の先端に取り付け、前記先導管内に土砂を発進抗へ排出する主スクリューを設けるとともに、自在な撓み性を有するスクリュを、前記既設管の破砕片を残った該既設管を排出路として排出する補助スクリューとして前記カッターヘッドに接続したことを特徴とする既設管改築推進装置。
【請求項6】
前記破砕片排出用の補助スクリューは、前記主スクリューと逆ピッチのブレードを有し、可動節に分割されたスクリューからなることを特徴とする請求項5に記載の既設管改築推進装置。
【請求項7】
前記カッターヘッドは、そのヘッド面板に、土砂のみを通過させ前記既設管の破砕片の通過を阻止可能な、網目状の取り込み口を有することを特徴とする請求項5に記載の既設管改築推進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−150887(P2010−150887A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333052(P2008−333052)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】