説明

昇降装置

【課題】係合式回動帯の端部支持構成を簡素でコンパクトにすることができる昇降装置を提供する。
【解決手段】係合式回動帯15ける下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部を、圧縮スプリング31にて昇降体11に対して上方側に向けて移動するように付勢された取り付け体32に接続し、取り付け体32の昇降体11に対する上方側への移動を検出する上方移動検出手段48を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に伸びる係合式回動帯が、その上端側が上部回転案内体にて下方に伸びるように巻き掛け案内されて昇降体に接続され且つその下端側が下部回転案内体にて上方に伸びるように巻き掛け案内されて前記昇降体に接続され、前記係合式回動帯に係合して上下方向に駆動する係合式の駆動回転部が設けられた昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる昇降装置は、係合式の駆動回転部を回転させて係合式回動帯を上下方向に移動させることによって昇降体を昇降させるものであり、昇降体に支持させた物品を昇降移動させる際に用いられるものである。
このような昇降装置の従来例として、スタッカークレーンに備えさせた昇降台を昇降体として昇降させるものがあり、この従来例では、係合式回動帯における下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部が、昇降体に備えられた中部回転案内体にてクレーン前方側に案内されて、引っ張りスプリングにて昇降体に対してクレーン前方側に向けて移動するように付勢された取り付け体に接続され、また、取り付け体の昇降体に対するクレーン前方側への移動を検出する前方移動検出手段が設けられており、引っ張りスプリングの付勢により係合式回動帯に張力を付与し、前方移動検出手段にて係合式回動帯の伸びや切断を検出するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
つまり、このような昇降装置においては、係合式回動帯に張力を付与する必要上、係合式回動帯における下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部を、張力付与側に付勢する必要があり、また、係合式回動帯の伸びや切断を検出する必要があり、上記従来のスタッカークレーンに備えさせた昇降装置は、スタッカークレーンが備える昇降台のクレーン前後方向の幅が、クレーン上下方向の幅よりも大きいことを利用して、クレーン前後幅方向に沿う姿勢の引っ張りスプリングと取り付け体を配設しながら、係合回動帯に張力を付与することや、伸びや切断を検出することを行うようなっているのである。
ちなみに、上記従来の昇降装置は、上下方向に伸びる係合式回動帯が、その上端側が1つの上部回転案内体又は前後方向に並ぶ複数の上部回転案内体にて下方に伸びるように巻き掛け案内されて昇降体に接続され、且つ、その下端側が1つの下部回転案内体にて上方に伸びるように巻き掛け案内されて昇降体に接続され、係合式回動帯に係合して上下方向に駆動する係合式の駆動回転部が上部回転案内体や下部回転案内体とは別に設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−284704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の昇降装置は、昇降台のクレーン前後方向の大きな幅を利用して、引っ張りスプリングや取り付け体を配設して、係合式回動帯における下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部を引っ張り付勢するものであるため、係合式回動帯における上方伸び側部分をクレーン前方側に向きを変更するように案内する中部回転案内体を昇降体に備えさせるものであり、このため、係合式回動帯に張力を付与し、係合式回動帯の伸びや切断を検出する構成、つまり、係合式回動帯の端部支持構成が複雑となるものであった。
ちなみに、引っ張りスプリングを上下方向に沿う姿勢で配設して、係合式回動帯における下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部を、引っ張りスプリングに接続するようにすれば、係合式回動帯における上方伸び側部分を上下方向に沿う姿勢のままで引っ張りスプリングにて付勢された取り付け体に接続できるため、その係合式回動帯における上方伸び側部分の伸びる方向を変更するために案内する回転案内体を不要とすることができるものであるが、この場合、昇降台の上下方向の幅内に、引っ張りスプリング及び取り付け体を配設することができないものとなって、昇降台の昇降範囲が小さくなる等の不都合を招くものとなり、実用し難いものである。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、係合式回動帯の端部支持構成を簡素でコンパクトにすることができる昇降装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明にかかる昇降装置は、上下方向に伸びる係合式回動帯が、その上端側が上部回転案内体にて下方に伸びるように巻き掛け案内されて昇降体に接続され且つその下端側が下部回転案内体にて上方に伸びるように巻き掛け案内されて前記昇降体に接続され、前記係合式回動帯に係合して上下方向に駆動する係合式の駆動回転部が設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記係合式回動帯における前記下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部が、圧縮スプリングにて前記昇降体に対して上方側に向けて移動するように付勢された取り付け体に接続され、前記取り付け体の前記昇降体に対する上方側への移動を検出する上方移動検出手段が設けられている点にある。
【0007】
すなわち、係合式回動帯における下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分を上下方向に沿う姿勢に維持したままで、その端部を圧縮スプリングにて上方側に移動するように付勢された取り付け体に接続することにより、圧縮スプリングの付勢力にて係合式回動体に張力を付与することができ、そして、上方移動検出手段により、係合式回動帯の伸びや切断による取り付け体の上方側の移動を検出できるものとなる。
上述の如く、係合式回動体における上方伸び側部分を上下方向に沿う姿勢に維持させたままで、その端部を取り付け体に接続するものであるから、係合式回動帯における上方伸び側部分の伸びる方向を変更するための特別な回転案内体を必要としないものとなり、係合式回動帯の端部支持構成の簡素化を図れるものとなる。
そして、圧縮スプリングは自由状態から短縮させた状態で付勢力を発揮するものであるから、それを配設する上下方向の設置スペースは小さなもので済むため、係合式回動帯に張力を付与する構成の上下方向でのコンパクト化を図れるのであり、昇降体の上下方向の幅が小さな場合にも、その幅内に、圧縮スプリング及び取り付け体を配設することができるものとなって、昇降体の昇降範囲が小さくなるようなことも回避できるものとなる。
したがって、係合式回動帯の端部支持構成を簡素でコンパクトにすることができる昇降装置を提供することができるに至った。
【0008】
本発明にかかる昇降装置の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記係合式回動帯が一対設けられ、前記取り付け体が、前記圧縮スプリングにて前記昇降体に対して上方側に向けて移動するように付勢された棒状の本体と、前記一対の係合式回動帯が間隔を隔てて接続され且つそれら一対の係合式回動帯が接続された箇所の中間部が前記一対の係合式回動帯の並び方向と直交する方向の軸芯周りで揺動自在に前記本体に枢支された揺動式接続体とから構成されている点にある。
【0009】
すなわち、取り付け体における揺動式接続体は、その中間部が一対の係合式回動帯の並び方向と直交する方向の軸芯周りで揺動自在に本体に枢支されており、揺動式接続体の中間部より一対の係合式回動帯の並び方向の一方側端部は、その一方側に接続された一対の係合式回動帯の一方にて下方側に付勢され、揺動式接続体の中間部より一対の係合式回動帯の並び方向の他方側端部は、その他方側に接続された一対の係合式回動帯の他方にて下方側に付勢されているため、揺動式接続体の一方側端部に接続された係合式回動帯が経年変化により伸びた状態や切断した状態となると、その揺動式接続体の一方側端部が上方側に移動して他方側端部が下方側に移動するように揺動式接続体が揺動し、揺動式接続体の他方側端部に接続された係合式回動帯が経年変化により伸びた状態や切断した状態になると、その揺動式接続体の他方側端部が上方側に移動して一方側端部が下方側に移動するように揺動式接続体が揺動する。
また、揺動式接続体の中間部に接続された棒状の本体は、圧縮スプリングにて昇降体に対して上方側に向けて移動するように付勢されているから、揺動式接続体の一方側端部に接続された係合式回動帯並びに他方側端部に接続された係合式回動帯が切断した状態になると、圧縮スプリングの付勢力によって揺動式接続体の全体が上方側に向けて移動する。
よって、取り付け体における揺動式接続体の一方側端部の上昇側への移動、他方側端部の上昇側への移動、及び、揺動式接続体の全体の上昇側への移動を、上方移動検出手段にて検出することによって、一対の係合式回動帯の一方や他方の伸びや切断、並びに、一対の係合式回動帯の両方の切断を検出することができ、もって、一対の係合式回動帯の伸びや切断を検出することができる昇降装置を提供することができるに至った。
【0010】
本発明にかかる昇降装置の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記本体が、開口を下向きにした有底筒状の筒状体の内部を貫通する状態で設けられ、前記本体における前記筒状体からの上方突出部に、前記筒状体が上方側に移動することを阻止するナットが、螺進移動調節自在に設けられ、前記筒状体が、その開口を前記圧縮スプリングの受け体に対向させる状態で設けられ、前記圧縮スプリングが、前記本体を囲繞する状態で前記筒状体の内部に配備されている点にある。
【0011】
すなわち、ナットを螺進移動調節させて本体を昇降体に対して上下方向に移動させることによって、係合式回動帯における上方伸び側部分の端部の位置を上下方向に調節することができ、この上方伸び側部分の端部の位置を上下方向に調節により係合式回動帯の張力を調節することができるため、ナットの螺進移動調節によって係合式回動帯の張力を容易に調節することができ、また、圧縮スプリングが、本体を囲繞する状態で且つ筒状体の内部に配備されているから、圧縮スプリングを省スペースで配設することができるため、昇降装置のコンパクト化を図ることができる。
従って、コンパクト化を図りながらも係合式回動帯の張力を容易に調節することができる昇降装置を提供することができるに至った。
【0012】
本発明にかかる昇降装置の第4特徴構成は、第2又は第3特徴構成において、前記上方移動検出手段が、前記揺動式接続体における前記一対の係合式回動帯の並び方向における両端側夫々の上方側への移動を各別に検出する一対の検出部を備えて構成されている点にある。
【0013】
すなわち、揺動式接続体における両端部夫々の上方側への移動を、一対の検出部にて各別に検出するように構成されているので、検出部をリミットスイッチのように簡素なセンサにて構成することができ、もって、上方移動検出手段を簡素に構成することができる昇降装置を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による昇降装置を物品収納設備に備えたスタッカークレーンに適用した場合について実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品収納設備は、複数の収納部1を縦横に並べて備えた物品収納棚2と、その物品収納棚2と入出庫用の載置搬送装置3との間で物品を搬送するスタッカークレーン4とを備えて構成されている。
【0015】
前記物品収納棚2は、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて2つ設置されている。そして、2つの物品収納棚2の間には走行レール7が床面に設置されており、スタッカークレーン4は物品収納棚2の間を走行レール7に沿って往復移動するように設けられている。
前記載置搬送装置3は、物品を載置搬送するローラ式搬送装置5と、そのローラ式搬送装置5における物品収納棚2側の端部に備えられた昇降自在なベルト式搬送装置6とを備えて構成されており、ベルト式搬送装置6を昇降移動させることにより物品をローラ式搬送装置5とベルト式搬送装置6との間で移載することができ、また、ベルト式搬送装置6を上昇移動させた状態においてスタッカークレーン4と自己との間で物品を移載することができるように構成されている。
以下、スタッカークレーン4の走行方向(前後方向)の一方側をHP側(図2上左側)、他方側をOP側(図2上右側)と称する。
【0016】
次に、スタッカークレーン4について具体的に説明する。
図2に示すように、スタッカークレーン4には、走行レール7に沿って走行する走行台車10と、この走行台車10に立設された支柱14に昇降自在に案内される昇降体としての昇降台11と、昇降台11を昇降移動させる昇降装置Aとが備えられており、昇降台11に備えられたコンベア式の物品移載装置12にて、自己と収納部1又は載置搬送装置3との間で物品を移載するように構成されている。
【0017】
昇降装置Aは、上下方向に伸びる係合式回動帯としての昇降用ベルト15が、その上端側が上部回転案内体としての上部プーリ17にて下方に伸びるように巻き掛け案内されて昇降台11に接続され且つその下端側が下部回転案内体としての下部プーリ18にて上方に伸びるように巻き掛け案内されて前記昇降台11に接続され、前記昇降用ベルト15に係合して上下方向に駆動する係合式の駆動回転部19が設けられている。
そして、上部プーリ17は、支柱14の上端部に連結され且つガイドレール8に沿って案内される上部フレーム16に設けられ、下部プーリ18は、走行台車10に設けられている。また、下部プーリ18は、昇降用電動モータ20にて回転駆動されるように構成されており、駆動回転部19に兼用されている。よって、昇降用電動モータ20にて下部プーリ18を正逆に回転駆動させることにより、昇降台11が上下方向に沿って昇降移動するように構成されている。
また、図5に示すように、前記昇降用ベルト15は、横幅方向に間隔を隔てて並べた状態で一対設けられており、一対の昇降用ベルト15を各別に巻き掛け案内すべく上部プーリ17及び下部プーリ18の夫々は横幅方向に一対設けられている。
ちなみに、昇降用ベルト15はタイミングベルトにて構成され、上部プーリ17及び下部プーリ18の夫々はタイミングプーリにて構成されており、昇降用ベルト15が上部プーリ17並びに下部プーリ18に係合するように構成されている。
【0018】
走行台車10には、走行レール7上を走行自在な前後二つの車輪24が設けられ、二つの車輪24のうちのOP側の車輪24が、走行用電動モータ25にて駆動される駆動輪24aとして構成され、HP側の車輪24が、遊転自在な従動輪24bとして構成されている。
そして、走行用電動モータ25にて駆動輪24aを正逆に回転駆動させることにより、走行台車10が走行レール7に沿って前後方向に走行するように構成されている。
走行台車10におけるHP側端部に支柱14が立設されており、この支柱14にて昇降台11のHP側端部が昇降自在に案内されるように構成されている。
【0019】
昇降台11について説明を加えると、図3に示すように、昇降台11は、前後方向に沿う前後向きフレーム41と上下方向に沿う姿勢の上下向きフレーム42とを備えて構成されており、前後向きフレーム41のOP側端部に上下向きフレーム42を立設させて、側面視での形状がL字状に形成されている。ちなみに、物品移載装置12は、前後向きフレーム41上に載置支持されている。
そして、図4に示すように、前後向きフレーム41並びに上下向きフレーム42の夫々は、走行方向(前後方向)と直交する横幅方向に間隔を隔てる形態で一対備えられており、一対の前後向きフレーム41が、そのHP側の先端部において前端連結部材43にて連結され、図5に示すように、一対の上下向きフレーム42が、その上端部において上端連結部材45にて連結され、上部における上端連結部材45よりも下方に位置する部分において上部連結部材37にて連結され、下端部において下端連結部材44にて連結され、下部における下端連結部材44よりも上方に位置する部分において下部連結部材39にて連結されている。
上部連結部材37には、一対の上下向きフレーム42に亘って架設される本体部分と、その本体部分からOP側に片持ち状に連結支持された受け体37aとが備えられている。
【0020】
一対の上下向きフレーム42の夫々には、OP側に突出するようにローラ支持用板材46が片持ち状に連結されており、そのローラ支持用板材46に、昇降台11が支柱14に対して横幅方向に移動すること、昇降台11が支柱14に対して前後方向に移動すること、並びに、昇降台11が支柱14に対して傾くことを規制するための複数の規制ローラ47が備えられている。
【0021】
図6に示すように、スタッカークレーン4には、スタッカークレーン4の運転を制御するクレーン制御装置28が備えられており、このクレーン制御装置28と地上側コントローラ9との間では、各種の情報が通信自在であり、地上側コントローラ9がクレーン制御装置28に対して各種の指令を行うように構成されている。ちなみに、地上側コントローラ9は、物品支持台3よりHP側の床面上(図1参照)に設けられている。
そして、走行台車10には、走行台車10の走行に伴ってパルスを出力する走行用ロータリエンコーダ21が備えられ、昇降台11には、昇降台11の昇降に伴ってパルスを出力する昇降用ロータリエンコーダ22が備えられており、クレーン制御装置28は、走行用ロータリエンコーダ21が出力するパルス信号に基づいて走行台車10の走行位置を管理し、昇降用ロータリエンコーダ22が出力するパルス信号に基づいて昇降台11の昇降位置を管理するように構成されている。
つまり、クレーン制御装置28は、地上側コントローラ9からの指令に基づいて、走行台車10の走行位置を管理しながら走行台車10を走行させ、また、昇降台11の昇降位置を管理しながら昇降台11を昇降させて、入出庫用の載置搬送装置3に存在する物品を物品収納棚2の収納部1に収納する入庫作業、及び、物品収納棚2の収納部1に収納されている物品を入出庫用の載置搬送装置3に取り出す出庫作業を行うように構成されている。
【0022】
次に、昇降装置Aについて説明を加えると、図3に示すように、昇降装置Aにおける昇降用ベルト15は、前記上部プーリ17にて下方に伸びるように案内された下方伸び側部分の端部が、上端連結部材45に接続されており、前記下部プーリ18にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部が、圧縮スプリング31にて前記昇降台11に対して上方側に向けて移動するように付勢された取り付け体32に接続されている。
つまり、昇降用ベルト15における下方伸び側部分の端部は、上端連結部材45に接続することにより昇降台11に対して直接的に接続されており、昇降用ベルト15における上方伸び側部分の端部は、取り付け体32に接続することにより上方側に付勢される状態で昇降台11に対して間接的に接続されている。
ちなみに、上端連結部材45は、昇降用ベルト15における下方伸び側部分の端部を連結する部分が上下方向に調節自在であり、昇降用ベルト15における下方伸び側部分の端部を昇降台11に対して上下方向に位置調節することができるように構成されている。
【0023】
次に、取り付け体32について説明する。
前記取り付け体32は、前記圧縮スプリング31にて前記昇降台11に対して上方側に向けて移動するように付勢された棒状の本体33と、前記一対の昇降用ベルト15が間隔を隔てて接続され且つそれら一対の昇降用ベルト15が接続された箇所の中間部が前記一対の昇降用ベルト15の並び方向と直交する方向の軸芯周りで揺動自在に前記本体33に枢支された揺動式接続体34とから構成されている。
そして、前記本体33が、開口を下向きにした有底筒状の筒状体35の内部を貫通する状態で設けられ、前記本体33における前記筒状体35からの上方突出部33aに、前記筒状体35が上方側に移動することを阻止するナット36が、螺進移動調節自在に設けられ、前記筒状体35が、その開口を前記圧縮スプリング31の受け体37aに対向させる状態で設けられ、前記圧縮スプリング31が、前記本体33を囲繞する状態で前記筒状体35の内部に配備されている。
【0024】
取り付け体32について説明を加えると、上部連結部材37の受け体37aに上下方向に沿って形成された孔に上下方向に沿う姿勢で棒状の本体33が挿通されており、本体33は、受け体37aにて上下方向に案内される状態で設けられている。そして、本体33における受け体37aから上方側に突出する部分が筒状体35の内部を貫通する状態に設けられており、本体33における筒状体35から上方側に突出する上方突出部33aには、2つのナット36が螺進移動調節自在に螺合させた状態で設けられている。
また、筒状体35内に、圧縮スプリング31が本体33における受け体37aから上方側に突出する部分を囲繞する状態で設けられており、本体33を中心に、本体33、圧縮スプリング31、筒状体35とで3重構造に構成されている。ちなみに、圧縮スプリング31は、その長手方向の長さが筒状体35の長手方向の長さよりも長くなるように構成されている。
【0025】
つまり、筒状体35は、本体33に螺合された一対のナット36と受け体37aとの間に位置しており、本体33に対して上下方向に移動自在に設けられながらも、本体33に対する上昇移動がナット36にて規制され、本体33に対する下降移動が受け体37aにて規制されている。よって、筒状体35は、昇降用ベルト15の張力によって本体33が引き下げられることにより本体33のナット36にて押し下げられて、圧縮スプリング31を圧縮させた状態で受け体37aの上面に接当するように構成されている。ちなみに、一対の昇降用ベルト15の張力がともに小さくなると、圧縮スプリング31の復帰力により筒状体35が受け体37aに対して上方側に離間するように構成されている。
そして、この2つのナット36を棒状の本体33に沿って上下方向に螺進移動調節させて、棒状の本体33を受け体37aに対して上下方向に移動、つまりは、昇降用ベルト15の上方伸び側部分の端部を昇降台11に対して上下方向に移動させることによって、昇降用ベルト15の張力を調節することができるように構成されている。
【0026】
図5に示すように、棒状の本体33における下端部に揺動式接続体34が前後方向に沿う軸芯周りに揺動自在に連結されている。この揺動式接続体34は、前後方向視で三角形状に形成されて上端に位置する角部に棒状の本体33の下端部が前後方向の軸芯周りに揺動自在に枢支された揺動本体部分34aと、その揺動本体部分34aの下辺両端に位置する角部の夫々に前後方向の軸芯周りに揺動自在に枢支された一対の接続部分34bとを備えて構成されており、接続部分34bの夫々に、一対の昇降用ベルト15の上方に伸びる部分の端部が連結されている。
そして、揺動式接続体34は、一対の昇降用ベルト15が共に正常で張力が等しい正常状態において、横幅一方側の接続部分34bが揺動本体部分34aに枢支される箇所と横幅他方側の接続部分34bが揺動本体部分34aに枢支される箇所とが同様の高さとなるように、揺動本体部分34aに一対の接続部分34bが揺動自在に枢支されている。
また、揺動式接続体34は、揺動本体部分34aが棒状の本体33に揺動自在に枢支されており、図7に示すように、一対の昇降用ベルト15のうちの一方に経年変化により伸びが生じたり切断したりした異常状態では、一方の接続部分34bが揺動本体部分34aに枢支される箇所が正常状態より高くなり、他方の接続部分34bが揺動本体部分34aに枢支される箇所が正常状態より低くなるように、揺動式接続体34の横幅方向における異常が生じていない昇降用ベルト15が接続された側の端部が上方側に移動するように構成されている。
【0027】
図5に示すように、前記取り付け体32の前記昇降体に対する上方側への移動を検出する上方移動検出手段48が、前記揺動式接続体34における前記一対の昇降用ベルト15の並び方向における両端側夫々の上方側への移動を各別に検出する一対の検出部としての一対のリミットスイッチ48aを備えて構成されている。
説明を加えると、揺動式接続体34には、これの揺動本体部分34aと一体的に揺動する接触部材38が備えられており、上方移動検出手段48として、接触部材38における横幅方向一端側に接触することにより揺動式接続体34における横幅方向一端側の上方側への移動を検出するリミットスイッチ48aと、接触部材38における横幅方向他端側に接触することにより揺動式接続体34における横幅方向他端側の上方側への移動を検出するリミットスイッチ48aとが備えられている。
つまり、一対の昇降用ベルト15の一方が経年変化により伸びが生じたり切断したりした異常状態では、上述の如く、異常が生じていない昇降用ベルト15が接続された側の端部が上方側に移動するように揺動式接続体34が揺動するから、この揺動式接続体34の揺動を一対のリミットスイッチ48aにて検出することができるように構成されている。
そして、上方移動検出手段48の検出情報はクレーン制御装置28に入力されるように構成され、クレーン制御装置28は、上方移動検出手段48からの検出情報に基づいて警報装置49を作動させるように構成されている。尚、警報装置49についての具体的な説明は省略するが、横幅方向に並べた一対の警報灯(図示せず)にて構成されており、上方移動検出手段48からの検出情報に基づいて、クレーン制御装置28にて、異常が生じた昇降用ベルト15が存在する側の警報灯が点灯されるように構成されている。
ちなみに、これら一対のリミットスイッチ48aは、下部連結部材39に上下方向に位置調節自在に支持されている。
【0028】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、下部プーリ18を昇降用電動モータ20にて回転駆動させるように構成して、下部プーリ18を駆動回転部19に兼用させたが、下部プーリ18とは別に、昇降用電動モータ20にて回転駆動させる駆動用案内体を駆動回転部19として設けて、下部プーリ18を駆動回転部19に兼用させないように構成してもよく、また、上部プーリ17を昇降用電動モータ20にて回転駆動させるように構成して、上部プーリ18を駆動回転部19に兼用させてもよい。
【0029】
(2) 上記実施の形態では、昇降用ベルト15を一対設けたが、昇降用ベルト15を1本だけ設けてもよく、また、昇降用ベルト15を3本以上設けてもよい。
【0030】
(3) 上記実施の形態では、取り付け体32を、棒状の本体33と揺動式接続体34とを備えて構成したが、取り付け体32を、棒状の本体33と固定式接続体とを備えて構成して、固定式接続体を棒状の本体33に揺動不能に連結してもよい。
【0031】
(4) 上記実施の形態を、上方移動検出手段48を、上方側への移動を各別に検出する一対の検出部(リミットスイッチ48a)を備えて構成したが、上方移動検出手段48を、揺動式接続体34の揺動を検出する1つの検出部を備えて構成してもよく、具体的には、上方移動検出手段48を、揺動式接続体34の昇降台11に対する揺動を検出するポテンショメータを検出部として備えて構成してもよい。
また、上記実施の形態では、検出部をリミットスイッチ48aにて構成したが、検出部を投受光装置等の他の検出手段にて構成してもよい。
【0032】
(5) 上記実施の形態では、係合式回動帯をベルト(昇降用ベルト15)にて構成し、上部回転案内体及び下部回転案内体をプーリ(上部プーリ17及び下部プーリ18)にて構成したが、係合式回動帯をチェーンにて構成し、上部回転案内体及び下部回転案内体をスプロケットにて構成してもよい。
【0033】
(6) 上記実施の形態では、昇降台車10における前後一端部(HP側端部)に立設された支柱14にて昇降台11の前後一端部(HP側端部)が昇降自在に案内されるように構成したが、昇降台車10における前後両端部に立設された支柱14にて昇降台11の前後両端部が昇降自在に案内されるように構成してもよい。
また、上部回転案内体17及び下部回転案内体18を前後方向に1つ設けているが、上部回転案内体17及び下部回転案内体18を前後方向に複数設けて、昇降用ベルト15を昇降台11の前後中間部や前端部に案内するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】物品収納設備の斜視図
【図2】スタッカークレーンの側面図
【図3】昇降台の側面図
【図4】昇降台の平面図
【図5】昇降台の背面図
【図6】スタッカークレーンの制御ブロック図
【図7】昇降装置の作用図
【符号の説明】
【0035】
11 昇降体
15 係合式回動帯
17 上部回転案内体
18 下部回転案内体
19 駆動回転部
31 圧縮スプリング
32 取り付け体
33 本体
33a 上方突出部
34 揺動式接続体
35 筒状体
36 ナット
37a 受け体
48 上方移動検出手段
48a 検出部
A 昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に伸びる係合式回動帯が、その上端側が上部回転案内体にて下方に伸びるように巻き掛け案内されて昇降体に接続され且つその下端側が下部回転案内体にて上方に伸びるように巻き掛け案内されて前記昇降体に接続され、
前記係合式回動帯に係合して上下方向に駆動する係合式の駆動回転部が設けられた昇降装置であって、
前記係合式回動帯における前記下部回転案内体にて上方に伸びるように案内された上方伸び側部分の端部が、圧縮スプリングにて前記昇降体に対して上方側に向けて移動するように付勢された取り付け体に接続され、
前記取り付け体の前記昇降体に対する上方側への移動を検出する上方移動検出手段が設けられている昇降装置。
【請求項2】
前記係合式回動帯が一対設けられ、
前記取り付け体が、前記圧縮スプリングにて前記昇降体に対して上方側に向けて移動するように付勢された棒状の本体と、前記一対の係合式回動帯が間隔を隔てて接続され且つそれら一対の係合式回動帯が接続された箇所の中間部が前記一対の係合式回動帯の並び方向と直交する方向の軸芯周りで揺動自在に前記本体に枢支された揺動式接続体とから構成されている請求項1記載の昇降装置。
【請求項3】
前記本体が、開口を下向きにした有底筒状の筒状体の内部を貫通する状態で設けられ、
前記本体における前記筒状体からの上方突出部に、前記筒状体が上方側に移動することを阻止するナットが、螺進移動調節自在に設けられ、
前記筒状体が、その開口を前記圧縮スプリングの受け体に対向させる状態で設けられ、
前記圧縮スプリングが、前記本体を囲繞する状態で前記筒状体の内部に配備されている請求項2記載の昇降装置。
【請求項4】
前記上方移動検出手段が、前記揺動式接続体における前記一対の係合式回動帯の並び方向における両端側夫々の上方側への移動を各別に検出する一対の検出部を備えて構成されている請求項2又は3記載の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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