説明

映像データ伝送装置

【課題】同期信号の伝送媒体を利用することにより、ディジタル映像データに各種のデータを付加して効率よく伝送することが可能な映像データ伝送装置を提供する。
【解決手段】伝送データを前記伝送媒体へ出力する出力回路と、前記ディジタル映像データおよび前記ディジタル映像データに関連して伝送する付加データを、前記出力回路へ出力するデータ供給部と、前記同期信号として水平同期信号および垂直同期信号を生成し、前記出力回路へ出力する同期信号生成部とを備えた映像データ伝送装置において、前記出力回路が、前記同期信号生成部から出力された水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方において、水平同期パルス期間または垂直同期パルス期間以外の期間の少なくとも一部に前記付加データを重畳して前記伝送媒体へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル映像データを伝送する装置に関し、特に、同期信号に他のデータを重畳して伝送することにより伝送効率を向上させる映像データ伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル映像データを伝送する際に、音声データや各種の制御データまたは著作権保護情報等の付加データを重畳して伝送する方式として、従来より、様々な提案がなされている。例えば、映像信号の帰線期間にこれらの付加データを重畳する方式がある(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平6−86244号公報(段落0003)
【特許文献2】特開平10−178655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、帰線期間は比較的短いので、帰線期間に重畳できる付加データの容量には限界がある。一方、映像データを伝送する際には、水平同期信号および垂直同期信号も同時に伝送されるが、これらの同期信号は、有意なデータ(水平同期パルス、垂直同期パルス等)を含む期間がごく一部であるにもかかわらず、専用の伝送媒体(パラレル伝送の場合は信号線、シリアル伝送の場合は所定の帯域)が利用されている。
【0004】
そこで、本発明は、同期信号の伝送媒体を利用することにより、ディジタル映像データに各種のデータを付加して効率よく伝送することが可能な映像データ伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる映像データ伝送装置は、少なくともディジタル映像データと同期信号とを含む伝送データを伝送媒体へ出力する映像データ伝送装置であって、伝送データを前記伝送媒体へ出力する出力回路と、前記ディジタル映像データおよび前記ディジタル映像データに付加して伝送する付加データを、前記出力回路へ出力するデータ供給部と、前記同期信号として水平同期信号および垂直同期信号を生成し、前記出力回路へ出力する同期信号生成部とを備え、前記出力回路が、前記同期信号生成部から出力された水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方において、水平同期パルス期間または垂直同期パルス期間以外の期間の少なくとも一部に前記付加データを重畳して前記伝送媒体へ出力することを特徴とする。
【0006】
本発明に関して、付加データとは、映像に関連して伝送すべきデータ、映像に関連して伝送することが好ましいデータ、あるいは、映像とあえて分離して送信する必要がないデータ等の種々のデータを含む。また、付加データは、映像に関連しないデータであっても良く、例えば音楽データやテキストデータ等の電子データであっても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同期信号の伝送媒体を利用することにより、ディジタル映像データに各種のデータを付加して効率よく伝送することが可能な映像データ伝送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる映像データ伝送装置は、少なくともディジタル映像データと同期信号とを含む伝送データを伝送媒体へ出力する映像データ伝送装置であって、伝送データを前記伝送媒体へ出力する出力回路と、前記ディジタル映像データおよび前記ディジタル映像データに付加して伝送すべき付加データを、前記出力回路へ出力するデータ供給部と、前記同期信号として水平同期信号および垂直同期信号を生成し、前記出力回路へ出力する同期信号生成部とを備え、前記出力回路が、前記同期信号生成部から出力された水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方において、水平同期パルス期間または垂直同期パルス期間以外の期間の少なくとも一部に前記付加データを重畳して前記伝送媒体へ出力することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方において、水平同期パルス期間または垂直同期パルス期間以外の期間の少なくとも一部を利用して、ここに付加データを重畳することにより、通信ラインや帯域を増やすことなく、付加データを効率よく伝送することが可能となる。
【0010】
本発明にかかる映像データ伝送装置において、前記伝送媒体はパラレル通信媒体であっても良いし、シリアル通信媒体であっても良い。
【0011】
本発明にかかる映像データ伝送装置において、前記ディジタル映像データがメイン画面の映像データであり、前記付加データがサブ画面の映像データであることが好ましい。さらに、前記サブ画面の映像データが圧縮された動画データであることが好ましい。
【0012】
以下、本発明の実施形態のより具体的な例について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における映像データ伝送システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる映像データ伝送システムは、映像・音声データ源101、データ送信装置102、データ受信装置103、ディスプレイ104を備えている。データ送信装置102とデータ受信装置103とは、パラレルバス105によって接続されている。
【0014】
映像・音声データ源101は、映像データや音声データをデータ送信装置102へ出力する。映像・音声データ源101は、あらかじめ作成された映像データや音声データを記録した記録媒体であっても良いし、パーソナルコンピュータのようにデータ処理によって映像データや音声データを生成する装置であっても良い。あるいは、映像・音声データ源101は、有線または無線の通信ネットワークまたは放送網に接続され、他の装置から映像データや音声データを受信する装置であっても良い。さらには、映像・音声データ源101は、静止画または動画を撮影して出力するビデオカメラやスチルカメラであっても良い。
【0015】
データ送信装置102は、映像・音声データ源101から出力された映像データや音声データを受け取り、パラレルバス105の通信インタフェースに従ったフォーマットに変換し、パラレルバス105へ送出する。データ受信装置103は、パラレルバス105を介してデータ送信装置102からデータを受信し、ディスプレイ104のモードに応じた表示データを生成する。なお、図1においては図示を省略しているが、ディスプレイ104に、音声データを再生するスピーカ等が内蔵または接続されていても良い。なお、データ受信装置103は、必ずしもディスプレイ104から独立した装置として構成されていなくても良く、例えば、スケーラICとしてディスプレイ104の筐体内に内蔵されていても良い。
【0016】
データ送信装置102からデータ受信装置103へは、パラレルバス105を介して、映像データ、ピクセルクロック、水平同期信号、垂直同期信号、音声データ等が伝送される。図2は、本実施形態の映像データ伝送システムにおいてパラレルバス105上を伝送されるピクセルクロック、映像データ、および水平同期信号の一例を示すタイミングチャートである。なお、図2に示した各種信号の他に、音声データ等の任意の信号が、これらの信号と共に送信され得る。
【0017】
本実施形態のディスプレイ104は、メイン画面とサブ画面との2つの画面を同時に表示可能である。このため、映像・音声データ源101が出力する映像データには、メイン画面の映像データとサブ画面の映像データとが含まれる。パラレルバス105では、ピクセルクロック、水平同期信号、垂直同期信号のそれぞれを伝送するために、1本のバスラインが用いられる。メイン画像の映像データは、例えば、RGB3色をそれぞれ8ビットで階調表現するために、パラレルバス105において24本のバスラインを使用して伝送される。一方、あまり高い解像度を必要としないサブ画面の映像データは、例えばMPEG等の画像圧縮技術を用いて圧縮され、図2に示すように、水平同期信号に重畳して伝送される。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の映像データ伝送システムでは、水平同期信号において、1つの水平同期パルスが終了した後、次の水平同期パルスが開始するまでの間に、上述のように圧縮されたサブ画面の映像データが重畳される。従って、例えば、表示モードがVGA(640×480)である場合、水平方向において少なくともピクセルクロック640個分の期間、水平同期信号を伝送するバスラインを利用してサブ画面の映像データを伝送することが可能である。なお、有効画素期間だけでなく、水平同期パルスのフロントポーチおよびバックポーチもさらに利用しても良い。従って、例えば、ディスプレイ104の走査線が525本であり、クロック周波数が60Hzであるとすると、表示モードがVGAの場合、少なくとも、640×525×60=19Mbpsの伝送レートにより、サブ画面の映像データを伝送可能である。また、表示モードがHD1080iであれば、少なくとも、1920×525×60=57Mbpsの伝送レートでサブ画面の映像データを伝送可能である。これらの伝送レートは、メイン画面と同時にサブ画面をディスプレイ104に表示するに足る十分な大きさである。このため、サブ画面の映像データをMPEG等で画像圧縮すれば、このサブ画面の映像データを水平同期信号において1つの水平同期パルスが終了した後、次の水平同期パルスが開始するまでの間に重畳することにより、サブ画面の映像データを伝送するために独立したバスラインを用いる必要がない。
【0019】
例えば、サブ画面の映像データを圧縮せず、水平同期信号に重畳もせずに伝送する場合、メイン画面の映像データと同様に、サブ画面の映像データ用の24本のバスライン、ピクセルクロック用のバスライン、水平同期信号用のバスライン、垂直同期信号用のバスライン等、合計で27本以上のバスラインが必要となる。従って、本実施形態のように、サブ画面の映像データを圧縮し、水平同期信号に重畳させて伝送することにより、サブ画面の映像データの伝送に必要なバスラインの本数を大幅に減少させることができる。
【0020】
図3は、データ送信装置102およびデータ受信装置103において水平同期信号の送受信に関係する部分の構成を示すブロック図である。図3に示すように、データ送信装置102は、出力回路102a、水平同期信号出力部102b、データトランシーバ102c、スイッチ102dを備えている。出力回路102aは、伝送すべきデータを、パラレルバス105へ出力する。水平同期信号出力部102bは、水平同期信号を生成し、出力回路102aへ出力する。データトランシーバ102cは、ピクセルクロックに従って、映像・音声データ源101から受け取ったデータを出力回路102aへ送り出す。スイッチ102dは、出力回路102aへのデータの供給元を水平同期信号出力部102bとデータトランシーバ102cとの間で切り替える。
【0021】
また、図3に示すように、データ受信装置103は、入力回路103a、水平同期エッジ検出部103b、データレシーバ103cを備えている。入力回路103aは、パラレルバス105からデータを受信し、受信したデータを水平同期エッジ検出部103bとデータレシーバ103cへ渡す。水平同期エッジ検出部103bは、入力回路103aから渡されたデータから、水平同期パルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとを検出する。
【0022】
図3に示した構成のデータ送信装置102において、水平同期信号出力部102bは、水平同期パルスを出力した後、スイッチ102dを切り替えることにより、出力回路102aへのデータの供給元を水平同期信号出力部102bからデータトランシーバ102cへ切り替える。水平同期信号出力部102bは、さらに、データ受信装置103側でのデータレシーバ103cの切り替え動作に要する時間tが経過した後、データトランシーバ102cに対して、出力回路102aへのデータ送出をONにするよう指示する。これにより、出力回路102aは、水平同期パルスが終了してから上記の時間tが経過した後、映像・音声データ源101から受け取ったデータ(すなわちサブ画面の映像データ)をピクセルクロックに同期してパラレルバス105へ出力する。一方、データ受信装置103において、水平同期エッジ検出部103bは、入力回路103aがパラレルバス105から受信したデータから水平同期パルスの立ち下がりエッジを検出すると、データレシーバ103cをACTIVEにする。これ以降、データレシーバ103cが、ピクセルクロックに同期してサブ画面の映像データを受信する。
【0023】
また、水平同期信号出力部102bは、次の水平同期パルスを出力するタイミングよりも所定のクロック数だけ前の時刻に、データトランシーバ102cに対して、出力回路102aへのデータ送出をOFFにするよう指示する。このOFF指示を受けたデータトランシーバ102cは、データ終了コマンドを送信する。その後、スイッチ102dが、出力回路102aへのデータの供給元をデータトランシーバ102cから水平同期信号出力部102bへ切り替える。また、データ受信装置103側のデータレシーバ103cは、上記のデータ終了コマンドを受け取ると、データ受信を停止してINACTIVEとなり、水平同期エッジ検出部103bをACTIVEとする。これにより、水平同期エッジ検出部103bは、その後に送信されてくる水平同期パルスを検出できるようになる。
【0024】
以上のとおり、本実施形態にかかる映像データ伝送システムでは、水平同期信号において、1つの水平同期パルスが終了した後、次の水平同期パルスが開始するまでの間に、MPEG等により圧縮されたサブ画面の映像データが重畳される。従って、水平同期信号の伝送バスラインを利用して、バスラインを増やすことなく、サブ画面の映像データを伝送することが可能となる。
【0025】
なお、上記の実施形態では、伝送媒体がパラレルバスである例を示したが、本発明の伝送媒体はパラレル伝送媒体に限定されず、シリアル伝送媒体であっても良い。その場合、シリアル伝送媒体の送信側にパラレル/シリアル変換器を設け、受信側にシリアル/パラレル変換器を設ければ良い。伝送媒体がシリアル伝送媒体である場合も、本発明によれば、水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方において、水平同期パルス期間または垂直同期パルス期間以外の期間の少なくとも一部に付加データを重畳して伝送媒体へ出力することにより、配線や帯域を増やすことなく、付加データを効率よく伝送することが可能である。なお、シリアル伝送媒体としては、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、またはTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)等を物理層に採用した、HDMI(High Definition Multimedia Interface)や、DVI(Digital Visual Interface)等の通信インタフェースが好適に用いられるが、これらの具体例のみに限らず、任意のディジタルデータ通信インタフェースを用いることができる。
【0026】
さらに、上記の実施形態では、水平同期信号に付加データ(サブ画面の映像データ)を重畳する例を示したが、垂直同期信号において、1つの垂直同期パルスが終了した後、次の垂直同期パルスが開始するまでの間に、付加データを重畳することとしても良い。
【0027】
また、上述の実施形態では、メイン画面の映像データにサブ画面の映像データを付加して伝送する例を説明したが、付加データはこの例のみに限定されない。要は、映像に関連して伝送すべきデータ、映像に関連して伝送することが好ましいデータ、あるいは、映像とあえて分離して送信する必要がないデータ等の種々のデータを付加データとすることができる。また、付加データは、映像に関連しないデータであっても良く、例えば音楽データやテキストデータ等の電子データであっても良い。例えば、映像内容に関する情報、色情報、ガンマ特性、映像の撮影日時情報、映像の撮影場所情報、映像スクランブル用データ、著作権情報、映像のサムネイル画像データ、Push配信型Webデータ ニュース、天気予報等、ニュースまたは天気予報などのテキストデータ、音声データ、副音声、解説音声、字幕データ等を付加データとして重畳することが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、同期信号に他のデータを重畳して伝送することにより伝送効率を向上させる映像データ伝送装置として、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態にかかる映像データ伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる映像データ伝送システムにおいて伝送されるピクセルクロック、映像データ、および水平同期信号の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施形態にかかる映像データ伝送システムのデータ送信装置およびデータ受信装置において、水平同期信号の送受信に関係する部分の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
101 映像・音声データ源
102 データ送信装置
102a 出力回路
102b 水平同期信号出力部
102c データトランシーバ
102d スイッチ
103 データ受信装置
103a 入力回路
103b 水平同期エッジ検出部
103c データレシーバ
104 ディスプレイ
105 パラレルバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともディジタル映像データと同期信号とを含む伝送データを伝送媒体へ出力する映像データ伝送装置であって、
伝送データを前記伝送媒体へ出力する出力回路と、
前記ディジタル映像データおよび前記ディジタル映像データに付加して伝送する付加データを、前記出力回路へ出力するデータ供給部と、
前記同期信号として水平同期信号および垂直同期信号を生成し、前記出力回路へ出力する同期信号生成部とを備え、
前記出力回路が、前記同期信号生成部から出力された水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方において、水平同期パルス期間または垂直同期パルス期間以外の期間の少なくとも一部に前記付加データを重畳して前記伝送媒体へ出力することを特徴とする映像データ伝送装置。
【請求項2】
前記伝送媒体がパラレル通信媒体である、請求項1に記載の映像データ伝送装置。
【請求項3】
前記伝送媒体がシリアル通信媒体である、請求項1に記載の映像データ伝送装置。
【請求項4】
前記ディジタル映像データがメイン画面の映像データであり、前記付加データがサブ画面の映像データである、請求項1に記載の映像データ伝送装置。
【請求項5】
前記サブ画面の映像データが圧縮された動画データである、請求項4に記載の映像データ伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−124808(P2008−124808A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306755(P2006−306755)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】