説明

映像信号処理システム

【課題】早期にバックカメラ10からの映像をLCDパネル16に表示する。
【解決手段】システムの起動時において、ディスプレイコントローラ14は、メモリ20から設定データによる設定を行い、セレクタ54によりバックカメラ10から直接供給されるビデオ信号を選択し、これを解像度変換したビデオ信号をLCDパネル16に供給する。一方、システムコントローラ12が立ち上がった後に、セレクタ54によりシステムコントローラ12から供給されるビデオ信号を選択し、これをLCDパネル16に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムコントローラと、ディスプレイコントローラを含む、映像信号処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両には、ナビゲーション装置の地図表示などモニタが搭載されている場合が多い。さらに、車両の後方を確認するバックカメラが装備される場合も多くなってきており、この場合ドライバ用のモニタが必須になる。
【0003】
また、米国では、法規制により、2014年以降の新車にはバックカメラの装備が必要となる。そして、このバックカメラでは、エンジン始動時にバックカメラ映像がモニタに即時表示されることが求められる。なお、モニタには、液晶ディスプレイが利用される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−109684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、モニタに映す映像は、なるべく見やすいことが要求され、各種の設定を適用して映像処理することなどに起因して、起動するまでに時間が掛かってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、システムコントローラと、ディスプレイコントローラを含む、映像信号処理システムであって、前記システムコントローラは、カメラからの映像信号について、デコードするとともに映像信号処理をして第1ビデオ信号を得る、第1映像信号処理回路と、外部バスに接続され、ここから供給される設定データを利用して、前記第1映像信号処理回路における処理を制御する処理部と、を含み、前記ディスプレイコントローラは、カメラからの映像信号について、デコードして第2ビデオ信号を得る、第2映像信号処理回路と、前記第1ビデオ信号および第2ビデオ信号のいずれかを選択するセレクタと、このセレクタの出力をディスプレイパネルに向けて出力するインタフェースと、前記外部バスに接続され、ここから供給される設定データにより各種設定を行う設定部と、を含み、システムの起動時において、前記ディスプレイコントローラは、記憶部から設定データによる設定を行い、セレクタにより第2ビデオ信号を選択し、第2ビデオ信号を解像度変換したビデオ信号を出力し、システムコントローラが立ち上がった後に、セレクタにより第1ビデオ信号を選択し、第1ビデオ信号を前記ディスプレイに供給する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
システムの起動時において、システムコントローラを用いずディスプレイコントローラが直接カメラからの映像信号を処理するため、起動を早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】LCDコントローラの起動時動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0010】
バックカメラ10は、車両に後方に向けて設置されており、車両後方の映像を取得する。このバックカメラ10としては、CCDカメラなど映像についての電気信号(映像信号)を出力する各種デバイスが利用できる。
【0011】
バックカメラ10には、システムコントローラ12が接続され、ここにバックカメラ10からの映像信号が供給され、ここでデジタル信号に変換されて各種の映像処理がなされる。システムコントローラ12の出力は、LCDコントローラ(ディスプレイコントローラ)14に供給され、LCDパネル16で表示するための信号に変換され、この出力信号がLCDパネル16に供給されてバックカメラ10で得た映像がLCDパネル16に映し出される。なお、本実施形態では、ディスプレイとして液晶(LCD)パネルを用いたが有機ELパネルなど他のディスプレイを用いてもよい。
【0012】
また、システムコントローラ12、LCDコントローラ14には、外部のシリアルバス18が接続されており、シリアルバス18を介してデータをやり取りすることができる。特に、本実施形態では、シリアルバス18には不揮発性メモリ(EEPROM)20が接続されており、このEEPROM20に登録されている各種の設定データがシステムコントローラ12、LCDコントローラ14によって読み出され、その設定データを利用して映像信号が処理される。
【0013】
ここで、システムコントローラ12の構成について説明する。バックカメラ10から供給された映像信号は、A/D変換器30に供給され、ここでデジタルデータに変換される。A/D変換されたデジタルの映像信号は、ビデオデコーダ32に供給され、デコードされて画素毎の映像データと同期信号に分離される。このデコードされた映像データは、映像処理回路34に供給され、ここで所望の画像処理が行われる。ホワイトバランス、明るさについての調整、γ変換や、エッジ強調、ノイズ除去などの処理が行われる。
【0014】
また、システムコントローラ12には、MPU36、シリアルバスマスタ38、割り込み制御部40が設けられ、これらおよび上述のA/D変換器30、ビデオデコーダ32、映像処理回路34が内部バス42で共通接続されている。また、シリアルバスマスタ38には、シリアルバス18が接続されている。
【0015】
MPU36は、システムコントローラ12の全体処理に必要なデータ処理を行い、全体を制御する。シリアルバスマスタ38は、シリアルバス18を制御するとともに、後述するLCDコントローラのシリアルバススレーブを制御する。割り込み制御部40は、LCDコントローラ14からの割り込み要求を処理する。
【0016】
LCDコントローラ14は、A/D変換器50、ビデオデコーダ52を有し、バックカメラ10からの映像信号を受け入れ、デコードされた画素毎の映像データを得る。このデコードされた映像データは、切り換えゲート54に供給される。この切り換えゲート54には、システムコントローラ12の映像処理回路34からの映像処理済み映像データも供給されている。この切り換えゲート54は、起動時においてビデオデコーダ52からのデータを採用するように設定されており、システムコントローラ12からの制御信号によって、システムコントローラ12からのデータを採用するように切り換えられる。
【0017】
切り換えゲート54の出力は、解像度変換回路56に供給され、ここでLCDパネル16の大きさなどにあわせた解像度の変換が行われる。解像度変換回路56の出力はパネルIF(インタフェース)58を介し、LCDパネル16に供給され、LCDパネル16において、バックカメラ10で取得された映像が表示される。
【0018】
また、LCDコントローラ14には、シリアルバス18に接続されるポート制御部60が設けられ、このポート制御部60に、シリアルバスマスタ62、シリアルバススレーブ64が接続されている。また、シリアルバスマスタ62、シリアルバススレーブ64には、内部バス66に接続される内部バス制御部68が接続されている。さらに、シリアルバスマスタ62には、メモリ制御部70も接続されており、このメモリ制御部70には、割り込み制御部72が接続されている。割り込み制御部72は、システムコントローラ12の割り込み制御部40に割り込み制御信号を供給する。
【0019】
ポート制御部60は、起動時にはシリアルバスマスタ62を選択し、シリアルバスマスタ62がシリアルバス18を制御して通信を行う。この場合、メモリ制御部70がシリアルバスマスタ62を制御して、メモリ20に記憶されている特定の設定データを読み出し、これを内部バス制御部68、内部バス66を介し、LCDコントローラ14内部の解像度変換回路56などに供給する。また、システムコントローラ12が起動した場合には、システムコントローラ12は、ポート制御部60を制御して、シリアルバススレーブ64を選択させる。そして、シリアルバスマスタ38によりシリアルバス18を介し、シリアルバススレーブ64にシステムコントローラ12の内部で設定された設定データをLCDコントローラ14内部の各部に設定する。
【0020】
さらに、メモリ制御部70は、LCDコントローラ14において、各種設定が終了し、LCDパネル16における映像表示が開始された場合に、割り込み制御信号をシステムコントローラ12に供給する。
【0021】
ここで、LCDコントローラ14における処理のフローを図2に基づいて説明する。まず、電源投入、リセット処理が終了したシステムの起動時においては、まずポート制御部60において、シリアルバスマスタ62を選択する(S11)。そして、シリアルバスマスタ62は、メモリ制御部70からの信号に応じて、シリアルバス18を介し、メモリ20にアクセスし、必要な設定データを読み出す(S12)。そして、読み出した設定データは、内部バス制御部68、内部バス62を介し、LCDコントローラ14内の各部の設定がなされる(S13)。
【0022】
上述のように、切り換えゲート54は立ち上がりの際に自動的にビデオデコーダ52からのデータを選択するように設定するが、内部バス62を介する各部設定の際に、切り換えゲート54の選択を設定してもよい。
【0023】
ここで、このS13の設定が終了した時点で各回路にクロックが供給され、各回路は動作状態になるが、バックカメラ10が安定な映像信号を出力する状態に安定しているかはわからない。そこで、この時点では、パネルIF58で生成したMUTE映像(例えば全面黒の映像)が出力されるようになっている。
【0024】
ビデオデコーダ52において、同期信号を検出できたかを判定する(S14)。同期信号が検出された場合には、バックカメラ10から出力される映像信号が安定したものと判定して次の処理(S15)に移る。次に、LCDコントローラ14に入力されるフラグMUTEのレベルを検出して、MUTE映像を解除してバックカメラ10の映像を出力するか、そのままMUTE映像を出力するかを判定する。(S15)。このフラグMUTEは、バックギアの制御に連動した信号を想定している。たとえば、エンジン始動と同時にバックギアに入っていなければ、フラグMUTEは「0」に設定されている。この時、LCDコントローラ14は、バックカメラ10からの映像を出力せず、パネルIF58で生成したMUTE映像がLCDコントローラ14から出力される。そして、システムコントローラ12の起動後に、システムコントローラ12の映像処理回路34からのメイン映像信号がLCDコントローラ12から出力されて、パネル16へ表示される。
一方、エンジン始動と同時にバックギアを入れた場合には、フラグMUTEは「1」に設定される。この場合、LCDコントローラ12はMUTE映像を解除して、バックカメラ10の映像を出力する。このことにより、エンジン始動と同時にバックギアに入れた場合でも、システムコントローラ12の起動を待たずにバックカメラ10の映像をパネル16へ出力することが可能になる。以上の処理が終了すると、割り込み制御部72より、システムコントローラ12に割り込み信号を供給する(S17)。
【0025】
一方、システムコントローラ12は、起動時において各種の設定を行い、起動処理を終了し、映像処理回路34から所定の映像信号を出力し始めた場合には、割り込み制御部40によりLCDコントローラ14から割り込み信号が供給されているかを判定する。
【0026】
そして、割り込み信号が供給されている場合には、LCDコントローラ14が正常動作をしていることがわかるため、LCDコントローラ14に信号を送り、切り換えゲート54を切り換え、システムコントローラ12の映像処理回路34からの映像信号に切り換える。従って、その後は、システムコントローラ12の映像処理回路34からの映像信号がLCDパネル16に供給される。
【0027】
このように、本実施形態に係るシステムでは、システムの起動時において、LCDコントローラ14において、バックカメラ10からのアナログのコンポジット信号を受け入れ、これに応じた映像をLCDパネル16に表示することができる。従って、イグニッションスイッチのオン時において、すぐにバックカメラ10の映像をLCDパネル16に表示することができる。
【0028】
そして、システムコントローラ12からの制御信号に応じてポート制御部60はシリアルムバス18への接続をシリアルバススレーブ64に切り換える。従って、その後はシステムコントローラ12における映像処理回路34における画像処理を受けた映像をLCDパネル16に表示することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
10 バックカメラ、12 システムコントローラ、14 LCDコントローラ(ディスプレイコントローラ)、16 LCDパネル、18 シリアルバス、18 システムバス、20 メモリ、28,48 同期検出回路、30,50 A/D変換器、32,52 ビデオデコーダ、34 映像処理回路、38,62 シリアルバスマスタ、40,72 割り込み制御部、42,66 内部バス、54 切り換えゲート、56 解像度変換回路、60 ポート制御部、62 シリアルバスマスタ、64 シリアルバススレーブ、68 内部バス制御部、70 メモリ制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムコントローラと、ディスプレイコントローラを含む、映像信号処理システムであって、
前記システムコントローラは、
カメラからの映像信号について、デコードするとともに映像信号処理をして第1ビデオ信号を得る、第1映像信号処理回路と、
外部バスに接続され、ここから供給される設定データを利用して、前記第1映像信号処理回路における処理を制御する処理部と、
を含み、
前記ディスプレイコントローラは、
カメラからの映像信号について、デコードして第2ビデオ信号を得る、第2映像信号処理回路と、
前記第1ビデオ信号および第2ビデオ信号のいずれかを選択するセレクタと、
このセレクタの出力をディスプレイパネルに向けて出力するインタフェースと、
前記外部バスに接続され、ここから供給される設定データにより各種設定を行う設定部と、
を含み、
システムの起動時において、
前記ディスプレイコントローラは、
記憶部から設定データによる設定を行い、セレクタにより第2ビデオ信号を選択し、第2ビデオ信号を解像度変換したビデオ信号を出力し、
システムコントローラが立ち上がった後に、セレクタにより第1ビデオ信号を選択し、第1ビデオ信号を前記ディスプレイに供給する、
映像信号処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−7907(P2013−7907A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140804(P2011−140804)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】