説明

映像信号処理装置、映像信号処理方法および撮像装置

【課題】
さまざまなLCDパネルに対応する映像信号処理装置を提供する。
【解決手段】
映像信号処理装置は、例えば、第1形式の画像データを第2形式の画像データに変換する形式変換手段と、第2形式の画像データを点順次データに変換する点順次変換手段と、点順次データをリサイズするリサイズ手段と、リサイズされた点順次データを記憶するラインメモリと、ラインメモリから連続的に点順次データを読み出して出力制御する出力制御手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ等を表示するための映像信号処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラなどの撮像装置では、LCDパネルが備え付けられており、このLCDパネルに撮影した画像を表示することができる。なお、撮影した画像のサイズと、LCDパネルの画素数とは一致してないことがほとんどであるため、リサイズ処理が必要となる。
【0003】
特許文献1によれば、撮像素子から得られた画像データをTVモニターの表示サイズに合わせてリサイズし、リサイズされた画像データから間欠的に表示データを作成し、表示データと歯抜けクロックとをLCDコントローラーに出力する装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−305752号公報、段落0136ないし段落0169
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的なLCDコントローラーの中には、上記のような歯抜けクロックと間欠的な表示データを受け付けられないものが存在する。そのため、このようなLCDコントローラーにも使用可能な映像信号処理装置のニーズが存在する。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る映像信号処理装置は、例えば、第1形式の画像データを第2形式の画像データに変換する形式変換手段と、前記第2形式の画像データを点順次データに変換する点順次変換手段と、前記点順次データをリサイズするリサイズ手段と、リサイズされた前記点順次データを記憶するラインメモリと、前記ラインメモリから連続的に前記点順次データを読み出して出力制御する出力制御手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の映像信号処理装置によれば、点順次変換手段の後段に点順次データを記憶するラインメモリを設けることで、点順次データを連続的に出力することが可能となる。よって、歯抜けクロックと間欠的な表示データを受け付けられないようなLCDコントローラーにも好適に使用可能な映像信号処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1の実施形態]
図1は、第1実施形態に係る映像信号処理装置を含む撮像装置のブロック図である。この撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなど、表示装置を内蔵するとともに外部のTVモニターに接続可能な装置である。
【0009】
図1において、100は、光学像を電気信号に変換する撮像素子である。101は、撮像素子100からのアナログ画像信号をディジタル信号に変換するA/D変換器である。102は、A/D変換器101からの出力データにガンマ処理、補間処理、マトリクス変換等を施してYUV形式の画像(映像)データを形成する撮像信号処理回路である。103は、撮像信号処理回路102からの画像データをTVモニタの表示サイズにリサイズするリサイズ回路である。104は、メモリ105との間で画像データや各種制御データの書き込み/読み出しを行うメモリI/Fである。
【0010】
106は、メモリインターフェース104から読み出された画像データを異なるデータレートに変換するための緩衝用のFIFOメモリである。107は、FIFOメモリから読み出されたYUV形式の画像データをコンポジット映像信号に変換するNTSC/PALエンコーダーである。108は、D/A変換器である。109は、TVモニターである。なお、点線で境界を示しているように、TVモニター109は、映像信号処理装置または撮像装置に搭載されている必要はない。この場合、TVモニター109は、映像信号端子などを介して、映像信号処理装置または撮像装置に接続されることになろう。
【0011】
110は、YUV形式の画像データをRGB形式に変換するYUV/RGB変換回路である。111は、YUV/RGB変換回路110から出力されるRGB信号をRGBに点順次化する点順次化回路である。点順次化とは、面順次化に対する概念であり、画像を構成する画素を重視して画像の左上から右下へと順次記録することをいう。例えば、RGBRGBRGB・・・のように信号を記録する。なお、面順次化では、RRRRR・・・・、GGGGG・・・・、BBBBB・・・・・のように信号を記録する。112は、RGB点順次信号を拡大/縮小する線形補間リサイズ回路である。
【0012】
113は、リサイズされたRGB点順次信号を記憶するラインメモリである。114は、ラインメモリ113から連続的に出力されるRGB点順次信号を処理するLCDコントローラーである。115は、LCDコントローラー114に制御されて画像などを表示するLCDパネルである。なお、LCDパネル115に代えて自発光型の表示デバイスなど、撮像装置に搭載可能な他の種類の表示デバイスを採用してもよい。
【0013】
本実施形態では、TVモニター109の表示サイズをNTSC方式による水平720画素×垂直480ラインと仮定して説明する。また、LCDパネル115の画素数を水平480画素×240ラインもしくは水平960画素×240ラインと仮定して説明する。以下では、メモリ105に記憶された画像データをTVモニター109とLCDパネル115とに同時に表示するものとして説明する。
【0014】
撮像素子100から出力されるアナログ画像信号は、A/D変換器101によりディジタル信号(画像データ)に変換される。この画像データは、撮像信号処理回路102に入力される。撮像信号処理回路102は、入力された画像データにガンマ処理、補間処理、マトリクス変換等を施してYUV形式の画像データを生成する。リサイズ回路103は、形成された画像データを水平方向または垂直方向の少なくとも一方に拡大または縮小する(すなわち、リサイズを行う。)。これは、TVモニター109の表示サイズである水平720画素×垂直480ラインに対応した表示用画像データを作成するためである。その後、表示用画像データは、メモリI/F104を通じてメモリ105に記憶される。
【0015】
一般に、NTSC方式のTVモニターはインターレース表示を行う。そのため、表示用画像を構成する480ラインの内、第1フィールドでは奇数番目の240ラインのみ(第1フィールド画像)がメモリ105から読み出されてTVモニター109に表示される。また、第2フィールドでは偶数番目の240ラインのみ(第2フィールド画像)がメモリ105から読み出されてTVモニター109に表示される。
【0016】
一方、LCDパネル115は、プログレッシブ表示を行う。この例で、垂直ライン数はTVモニター109の半分の240ラインである。また、本実施形態では、TVモニター109と同期させて第1フィールド画像と第2フィールド画像とを交互に表示する。このようにして、メモリ105から読み出された表示用画像データは、TVモニター109とLCDパネル115とに同時並行的に表示される。
【0017】
表示タイミング制御部120は、メモリ105に記憶された表示用画像データをメモリI/F104を通じて読み出し、FIFOメモリ106に順次格納する。そして、TV表示のタイミングに合わせてFIFOメモリ106から画像データを読み出して、NTSC/PALエンコーダー107およびYUV/RGB変換器110に供給する。
【0018】
NTSC/PALエンコーダー107は、FIFOメモリ106から読み出されるYUV形式の画像データからコンポジット映像信号を生成する。コンポジット映像信号は、D/A変換器108によりアナログ映像信号に変換される。TVモニター109は、アナログ映像信号に基づいて画像を表示する。
【0019】
一方、YUV/RGB変換回路110は、例えば、以下の計算式に従ってYUV信号をRGB信号に変換する。すなわち、RGB信号からYUV信号への変換式は、
Y=0.299R+0.587G+0.114B
U=0.493(B−Y)
V=0.877(R−Y)
であるので、この逆変換は、
R=Y+(1/0.877)V=Y+(292/256)V
B=Y+(1/0.493)U=Y+(519/256)U
G=Y−(0.299/0.587)(292/256)V
−(0.114/0.587)(519/256)U
=Y−(149V+101U)/256
となる。
【0020】
ラインメモリ113の書き込み制御回路130は、ラインメモリへの書き込み可能信号(WR_ENABLE)信号がHighのときに、線形補間リサイズ回路112の演算結果Zをラインメモリ113に書き込む。また、読み出し制御回路140は、ラインメモリ113からデータを連続して読み出し、LCDコントローラー114に出力する。すなわち、読み出し制御回路140は、点順次データの出力制御手段の一例である。
【0021】
図2は、実施形態に係るRGB点順次化回路と線形補間リサイズ回路とを詳細に示した回路構成図である。以下、図2を参照して、これらの動作を説明する。図2において、201、202、203は、それぞれRの入力データ、Gの入力データおよびBの入力データを1サイクル遅延させるためのフリップフロップである。204は、RGBの入力データから1つを選択するセレクタである、205は、1サイクル遅延されたRGBの入力データから1つを選択するセレクタである。セレクト信号をセレクタ204およびセレクタ205に入力することよって、同色となる連続した2点の入力データを後段の線形補間リサイズ回路112へと出力することができる。
【0022】
線形補間リサイズ回路112は、補間係数算出回路207、線形補間演算回路208、フロップフロップ209、210を含む。LCDパネル115の水平画素数がTVモニターの水平画素数である720画素より少ない場合、線形補間リサイズ回路112は、縮小処理を行う。一方で、LCDパネル115の水平画素数がTVモニターの水平画素数である720画素よりも多い場合、線形補間リサイズ回路112は、拡大処理を行う。
【0023】
(1)縮小処理の場合
図3は、縮小率が2/3倍のときのタイミングを示す図である。ここでは、一例として、LCDパネル115の水平画素数が720×2/3=480画素の場合について説明する。この図から、補間係数kによって3つの入力データ(IN_DATA)から2つの出力データ(OUT_DATA)が生成されることを容易に理解できるであろう。また、VALID信号に同期して、リサイズされた画象データ(OUT_DATA)がラインメモリ113へと連続的に出力されてゆく。このようにして、2/3倍への縮小が達成される。
【0024】
より具体的に説明すると、補間係数算出回路207は、補間係数kを線形補間演算回路208に順次出力する。また、補間係数算出回路207は、有効出力データのフラグを示すVALID信号をフリップフロップ210などに順次出力する。例えば、リサイズ率が2/3倍のとき、VALID信号は、3サイクルに2回Highとなる信号である。また、補間係数kは、例えば、0、1/2、0、1/2の繰り返しとなる信号である。
【0025】
RGB点順次化回路111から入力された連続する2点の入力データ(n番目のデータをX(n)、n+1番目のX(n+1)、nは自然数)について、線形補間演算回路208は、補間係数kと次式を用いて線形補間値Zを算出する。
【0026】
Z=X(n)×(1−k)+X(n+1)×k
図4は、実施形態に係る線形補間演算回路から出力される線形補間値Zと、RGB点順次化回路から入力されるX(n)およびX(n+1)との位置関係を示す図である。この図からわかるように、X(n)と、X(n+1)との間をk:1−kに分割する位置がZに対応している。
【0027】
そして、VALID信号=Highの時に線形補間値Zが、フリップフロップ209に取り込まれる。この線形補間値Zは、RGB点順次データとして出力される。なお、VALID信号をフリップフロップ210で1サイクル遅延させた信号が、後述するラインメモリへの書き込み可能信号(WR_ENABLE)となる。
【0028】
(2)拡大処理の場合
線形補間リサイズ回路112は、縮小処理のときの動作周波数と比較し、2倍の周波数で拡大処理を実行する。これは、入力データが2倍にオーバーサンプリング(拡大)されること意味する。線形補間リサイズ回路112は、このサンプリングデータを用いて縮小処理を実行する。所望の拡大率がP倍(1<P<2)であれば、補間係数算出回路207の縮小率をP/2倍に設定すればよい。これにより、トータルで2×P/2=P倍の拡大率を実現できる。
【0029】
例えば、RGB点順次化回路111から13.5MHzのデータレートでデータが入力された場合、線形補間リサイズ回路112は、2倍の27MHzで動作する。よって、RGB点順次化データのデータレートは、2倍(すなわち27MHz)でオーバーサンプリングされてから縮小処理が行われる。このとき、線形補間演算回路208が用いる補間係数Kは、補間係数算出回路207の出力である補間係数kおよび有効出力データのフラグを示すVALID信号から以下のように導き出される。
【0030】
まず、n番目のデータをX(n)、n+1番目のX(n+1)とすると、2倍のオーバーサンプリングによって、n番目とn+1番目の中心に
Y={X(n)+X(n+1)}/2
のデータが仮想的に挿入される。
【0031】
補間係数算出回路207は、2倍の周波数で動作している。よって、VALID信号がHighになるタイミングは、X(n)とYとの間で補間演算が行われる場合(位相1の場合)と、YとX(n+1)との間で補間演算が行われる場合(位相2の場合)の2通りが存在することになる。
【0032】
X(n)とYとの間で補間演算が行われる場合(位相1の場合)、出力データZは、
Z=X(n)×(1−k)+Y×k
=X(n)×(1−k/2)+X(n+1)×k/2
となる。
【0033】
一方、YとX(n+1)との間で補間演算が行われる場合(位相2の場合)、出力データZは、
Z=Y×(1−k)+X(n+1)×k
=X(n)×(1−k)/2+X(n+1)×(1+k)/2
となる。
【0034】
従って、VALID信号がHighになる位相によって、線形補間演算回路208の補間係数Kを
K=k/2
もしくは
K=(1+k)/2
とすればよい。
【0035】
図5は、実施形態に係る各位相ごとのX(n)、X(n+1)およびZの位置関係を示す図である。とりわけ、(a)は、位相1の場合のX(n)、X(n+1)、Zの位置関係を示している。また。(b)は、位相2の場合のX(n)、X(n+1)、Zの位置関係を示している。
【0036】
図6は、拡大率が4/3倍のときのタイミングを示す図である。この例では、LCDパネル115の水平画素数が720×4/3=960画素であると仮定している。補間係数算出回路207は、縮小率が2/3倍に設定されている。また、補間係数kは、図3と同様に0、1/2、0、1/2の繰り返しとなる。しかしながら、VALID信号の位相に応じて、補間係数Kは、0、1/4、1/2、3/4の繰り返しとなる(図6)。
【0037】
線形補間演算回路208は、RGB点順次化回路112から入力された連続する2点のデータ(X(n)、X(n+1))と、補間係数Kを用いて、線形補間値Zを算出する。
【0038】
Z=X(n)×(1−K)+X(n+1)×K
そして、VALID信号=Highの時に、線形補間値Zは、フリップフロップ209に取り込まれ、RGB点順次データとしてラインメモリ113へと出力される。VALID信号をフリップフロップ210で1サイクル遅延させた信号が、後述するラインメモリ113への書き込み可能信号(WR_ENABLE)となる。
【0039】
ラインメモリ113の書き込み制御回路130は、ラインメモリへの書き込み可能信号(WR_ENABLE)信号がHighのときに、線形補間リサイズ回路112の線形補間値Zをラインメモリ113に書き込む。読み出し制御回路140は、ラインメモリ113からデータを連続して読み出し、LCDコントローラー114に出力する。最終的に、画像がLCDパネル115に表示される。
【0040】
本実施形態に係る映像信号処理装置によれば、RGB点順次化回路111の後段に点順次データを記憶するラインメモリ113を設けることで、点順次データを連続的に出力することが可能となる。これよって、歯抜けクロックと間欠的な表示データを受け付けられないようなLCDコントローラーにも好適に使用可能な映像信号処理装置を提供できる。
【0041】
なお、第1形式の画像データを第2形式の画像データに変換し、第2形式の画像データを点順次データに変換し、点順次データをリサイズし、リサイズされた点順次データをラインメモリ113に記憶し、ラインメモリ113から連続的に点順次データを読み出して出力制御する映像信号処理方法も提供されることはいうまでもない。
【0042】
また、RGB点順次化回路111の後段に点順次データを記憶するラインメモリ113を設けることで、ラインメモリの113の容量を削減することが可能となる。例えば、すなわち、Y/U/V/R/G/Bそれぞれが8bitデータとすると、YUV422形式で保存した場合には1画素当たり16bitのメモリ容量が必要となる。しかしながら、RGB点順次化してから保存することによって、1画素当たり8bitのメモリ容量となり、YUV422形式でデータを記憶する場合と比べて半分のメモリ容量に削減できる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る映像信号処理装置は、YUV形式の画像データからコンポジット映像信号を生成するNTSC/PALエンコーダー107を含むため、LCDパネル115だけでなく、外部のTVモニター109にも画像を表示できる。例えば、デジタルカメラなどの撮像装置では、LCDパネル115は撮影中に画像を確認する際には有効であるが、表示サイズが小さいため多数の人間が鑑賞するには不便である。よって、撮像装置では、映像出力端子等を介してTVモニター109に画像を表示することが望ましい。
【0044】
さらに、本実施形態によれば、線形補間リサイズ回路112の動作周波数を縮小処理のときと拡大処理のときとで好適に変更し、かつ、線形補間演算回路208が用いる補間係数についても好適に決定することで、線形補間リサイズ回路112の回路規模を大幅に増大させることを回避している。
【0045】
[第二の実施形態]
本実施形態では、ラインメモリ113からの読み出し開始タイミングを、拡大率/縮小率に応じた分だけ、書き込み開始タイミングよりも遅延させることによって、必要となるラインメモリの記憶容量を低減する技術について説明する。なお、既に説明した個所には同一の参照符号を付すことで説明を簡略化する。
【0046】
(1)縮小処理の場合
図7は、ラインメモリへの書き込みポインタと読み出しポインタのタイミングの一例を示す図である。ここでは、縮小率を2/3倍としている。例えば、オリジナル画像データの水平画素数は720画素であり、LCDパネル115の水平画素数は480画素である。とりわけ、図7によれば、書き込みポインタ(WRITE POINTER)が160番目のデータを指した後で、読み出しポインタ(READ POINTER)が1番目のデータを指すように設定されている。
【0047】
本実施形態によれば、例えば、720−480=240番目のデータが線形補間リサイズ回路112に入力され、240×2/3=160番目のデータがラインメモリ113に書き込まれた後で、読み出し回路14がラインメモリ113からのデータの読み出しを開始する。これにより、書き込みデータを追い越すことなく、データの読み出しを実行できる。このとき、ラインメモリ113の記憶容量は、少なくとも160画素分のデータを記憶できればよいことになる。
【0048】
一般に、ラインメモリ113として必要となる記憶容量は、LCDパネル115の水平画素数x(x<720)の関数として求めることができる。
【0049】
この場合、縮小率は、x/720となるので、(720−x)のデータが線形補間リサイズ回路112に入力されることになる。
【0050】
(720−x)×(x/720)
のデータがラインメモリ113に書き込まれた後で、読み出し制御回路140が読み出しを開始すれば、書き込みデータを追い越すことなく読み出しをすることが可能である。
従って、ラインメモリ113として少なくとも必要となる記憶容量は、
(720−x)×(x/720)
となる。
【0051】
図8は、実施形態に係る縮小処理の場合におけるLCDパネルの水平画素数とラインメモリの必要容量との関係を示す図である。図8において、x軸は、LCDパネル115の水平画素数を表している。y軸は、ラインメモリ113の必要容量を表している。図8より、ラインメモリ113の記憶容量が、少なくとも180データ分あれば、水平画素数が720画素以下のLCDパネルに、本実施形態に係る映像信号処理装置が対応できることがわかる。
【0052】
(2)拡大処理の場合
図9は、拡大率が4/3倍(LCDパネルの水平画素数が960画素)の時のラインメモリへの書き込みポインタと読み出しポインタとのタイミングの一例を示す図である。
【0053】
図9から明らかなように、720×2−960=480個のデータが線形補間リサイズ回路112に入力され、480×2/3=320個のデータがラインメモリ113に書き込まれた後で、読み出し制御回路140が読み出しを開始すれば好適である。これにより、書き込みデータを追い越すことなく、データを読み出すことが可能となる。ラインメモリの容量は、少なくとも320データ分あれば十分である。
【0054】
ラインメモリ113として必要な記憶容量は、LCDパネル115の水平画素数x(720<x<1440)の関数として求めることができる。拡大率は、(x/720)と表せる。よって、(720×2−x)のデータが線形補間リサイズ回路112に入力され、(1440−x)×(x/1440)のデータがラインメモリ113に書き込まれた後で、読み出しを開始すればよいことになる。すなわち、書き込みデータを追い越すことなく、データの読み出しを実現できる。
【0055】
このように、ラインメモリ113として必要な記憶容量は、
(1440−x)×(x/1440)
となる。
【0056】
図10は、実施形態に係る拡大処理におけるLCDパネルの水平画素数とラインメモリの必要容量との関係を示す図である。x軸は、LCDパネルの水平画素数を表している。y軸は、ラインメモリの必要容量を表している。図10から、ラインメモリ113の記憶容量が少なくとも360データ分以上あれば、水平画素数が720画素から1440画素までのLCDパネルに、本実施形態に係る映像信号処理装置が対応できることを理解できよう。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、ラインメモリ113からの読み出し開始タイミングを、拡大率/縮小率に応じた分だけ、書き込み開始タイミングよりも遅延させることによって、必要となるラインメモリの記憶容量を低減することができる。また、拡大処理においても画質の劣化の少ない、きれいな表示品質を得ることができる。
【0058】
なお、上述の各実施形態では、TVモニター109の表示サイズを、水平720画素×垂直480ラインとして説明した。また、LCDパネル115の画素数を、水平480画素×240ラインもしくは水平960画素×240ラインとして説明した。これらの具体的な数値は、単なる一例に過ぎないことはいうまでもない。
【0059】
例えば、ラインメモリ113の記憶容量を表す式
(720−x)×(x/720)
(1440−x)×(x/1440)
を一般化すると、
(y−x)(x/y)
と表すことができる。ここでyは、縮小処理においてはオリジナル画像の水平画素数(TVモニター109の水平画素数)を表し、拡大処理においては、最大に拡大された画像の水平画素数を表す。この式から明らかなように、ラインメモリ113の記憶容量を、YUV形式のデータにおける1ライン分のデータ量の半分よりも、さらに少なくすることができる。
【0060】
なお、上述の実施形態によれば、YUV形式の画像(映像)データとRGB形式の画像データとについて説明したが、本発明はそれぞれ他の形式の画像データに適用してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施形態に係る映像信号処理装置を含む撮像装置のブロック図である。
【図2】実施形態に係るRGB点順次化回路と線形補間リサイズ回路とを詳細に示した回路構成図である。
【図3】縮小率が2/3倍のときのタイミングを示す図である。
【図4】実施形態に係る線形補間演算回路から出力される線形補間値Zと、RGB点順次化回路から入力されX(n)およびX(n+1)との位置関係を示す図である。
【図5】実施形態に係る各位相ごとのX(n)、X(n+1)およびZの位置関係を示す図である。
【図6】拡大率が4/3倍のときのタイミングを示す図である。
【図7】ラインメモリへの書き込みポインタと読み出しポインタのタイミングの一例を示す図である。
【図8】実施形態に係る縮小処理の場合におけるLCDパネルの水平画素数とラインメモリの必要容量との関係を示す図である。
【図9】拡大率が4/3倍(LCDパネルの水平画素数が960画素)の時のラインメモリへの書き込みポインタと読み出しポインタとのタイミングの一例を示す図である。
【図10】実施形態に係る拡大処理におけるLCDパネルの水平画素数とラインメモリの必要容量との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
100 撮像素子
101 A/D変換器
102 撮像信号処理回路
103 リサイズ回路
104 メモリI/F
105 メモリ
106 FIFO
107 NTSC/PALエンコーダー
108 D/A変換器
109 TVモニター
110 YUV/RGB変換回路
111 RGB点順次化回路
112 線形補間リサイズ回路
113 ラインメモリ
114 LCDコントローラー
115 LCDパネル
201、202、203 フリップフロップ
204、205 セレクタ
206 セレクト信号
207 補間係数算出回路
208 線形補間演算回路
209、210 フリップフロップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1形式の画像データを第2形式の画像データに変換する形式変換手段と、
前記第2形式の画像データを点順次データに変換する点順次変換手段と、
前記点順次データをリサイズするリサイズ手段と、
リサイズされた前記点順次データを記憶するラインメモリと、
前記ラインメモリから連続的に前記点順次データを読み出して出力制御する出力制御手段と
を含むことを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
前記ラインメモリの記憶容量は、前記第1形式の画像データに係る1ライン分のデータ量の半分よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記ラインメモリへの書き込み開始から前記リサイズ手段のリサイズ率に応じた時間だけ遅らせて前記ラインメモリからの読み出しを開始することを特徴とする請求項1または2に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
前記第1形式の画像データからコンポジット映像信号を生成する生成手段をさら含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
前記第2形式の画像データは、RGBデータであることを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項6】
前記点順次変換手段は、RGBデータから同色の連続する2点のデータを出力し、
前記リサイズ手段は前記連続する2点のデータから線形補間演算によりリサイズ後のデータを出力することを特徴とする請求項5に記載の映像信号処理装置。
【請求項7】
前記リサイズ手段は拡大処理時には前記RGB点順次信号データを整数倍にオーバーサンプリングしてから縮小処理を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の映像信号処理装置。
【請求項8】
前記オーバーサンプリングの整数倍が2倍であることを特徴とする請求項7に記載の映像信号処理装置。
【請求項9】
前記リサイズ手段は拡大処理時には縮小処理時の2倍の周波数で動作することを特徴とする請求項8に記載の映像信号処理装置。
【請求項10】
前記リサイズ手段は拡大処理時には、
分母は入力サイズのオーバーサンプリングの整数倍、分子は出力サイズで決まるリサイズ率を設定し、
線形補間演算に用いる補間係数はオーバーサンプリングで挿入された画素の前後で位相の計算方法を切替えることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の映像信号処理装置。
【請求項11】
被写体の画像を撮像する撮像手段と、
前記被写体の画像に係る第1形式の画像データを生成するデータ生成手段と、
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の映像信号処理装置と、
前記映像信号処理装置から出力される前記点順次データを表示する表示手段と
を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
第1形式の画像データを第2形式の画像データに変換する形式変換ステップと、
前記第2形式の画像データを点順次データに変換する点順次変換ステップと、
前記点順次データをリサイズするリサイズステップと、
リサイズされた前記点順次データをラインメモリに記憶する記憶ステップと、
前記ラインメモリから連続的に前記点順次データを読み出して出力制御する出力制御ステップと
を含むことを特徴とする映像信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−20112(P2007−20112A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202101(P2005−202101)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】