説明

映像信号処理装置および表示装置

【課題】画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能な映像信号処理装置および表示装置を提供する。
【解決手段】映像信号処理部2において、RGB信号RGBinに基づく明度信号Vおよび彩度信号Sのうちの少なくとも一方に対し、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理を行う。これにより、従来とは異なり、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像の鮮鋭度を改善するための処理を行う映像信号処理装置、およびそのような映像信号処理装置を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビジョン等の表示装置において、画像の鮮鋭度を高めるための処理を行う鮮鋭度改善回路が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−295792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の鮮鋭度改善回路では、まず、入力されたR(赤),G(緑),B(青)の各色信号からなるRGB信号(RGB色空間により規定された信号)に対し、マトリクス回路において色空間変換を行うことにより、YCbCr信号を生成する。このYCbCr信号は、輝度(Y),色差(Cb,Cr)の各信号から構成されたものである。次いで、生成された輝度信号の高域周波数成分を分離して高域輝度信号を生成したのち、この高域輝度信号に対して所定のゲイン制御を行う。そして、元の輝度信号とゲイン制御後の高域輝度信号との合成信号(合成輝度信号)と、元のCb,Cr信号とからなる映像信号に対し、上記したマトリクス回路の逆特性に対応する色空間変換を行うことにより、出力信号となるRGB信号を生成している。
【0005】
ところが、このような従来の鮮鋭度改善の手法では、入力信号であるRGB信号に基づく輝度信号に対して高域輝度信号を合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理がなされていることに起因して、以下のような問題が生じていた。
【0006】
すなわち、まず、色空間変換後の出力信号であるRGB信号において、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下が生じてしまうという問題があった。
【0007】
また、この色空間変換後の出力信号において、入力信号(RGB信号)における色相または彩度の大きさに応じて、鮮鋭度の改善効果が減少してしまうという問題があった。これは、従来の手法では高域輝度信号を合成しているが、マトリクス比の関係で色相や彩度により元の輝度信号レベルは変化することから、色相や彩度が高くなるのに応じて輝度信号のレベルが小さくなり、鮮鋭度改善効果が減少するというものである。
【0008】
このように従来の鮮鋭度改善手法では、出力信号における画像の鮮鋭度の改善効果が十分とは言えなかったため、画像の鮮鋭度をより適切に改善する手法の実現が望まれていた。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能な映像信号処理装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の映像信号処理装置は、入力映像信号に基づいて色空間変換を行うことにより、HSV色空間により規定される変換映像信号を生成する第1の色空間変換部と、上記入力映像信号から直接もしくは間接的に得られる輝度(Y)信号における高域周波数成分を分離することにより、高域輝度信号を生成する第1の高域分離部と、上記変換映像信号における明度(V)信号および彩度(S)信号のうちの少なくとも一方と上記高域輝度信号とに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号および合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する合成部と、上記変換映像信号における色相(H)信号と、変換映像信号における彩度信号または上記合成彩度信号と、変換映像信号における明度信号または上記合成明度信号とから構成される映像信号に対して色空間変換を行うことにより、RGB色空間により規定される出力映像信号を生成する第2の色空間変換部とを備えたものである。
【0011】
本発明の表示装置は、上記本発明の映像信号処理装置と、この映像信号処理装置により生成される出力映像信号に基づいて映像表示を行う表示部とを備えたものである。
【0012】
本発明の映像信号処理装置および表示装置では、入力映像信号に基づいて色空間変換が行われることにより、変換映像信号が生成される。また、この入力映像信号から直接もしくは間接的に得られる輝度信号における高域周波数成分が分離されることにより、高域輝度信号が生成される。次いで、変換映像信号における明度信号および彩度信号のうちの少なくとも一方と高域輝度信号とに基づいて合成処理が行われることにより、合成明度信号および合成彩度信号のうちの少なくとも一方が生成される。そして、変換映像信号における色相信号と、変換映像信号における彩度信号または合成彩度信号と、変換映像信号における明度信号または合成明度信号とから構成される映像信号に対して色空間変換が行われることにより、出力映像信号が生成される。すなわち、入力映像信号に基づく明度信号および彩度信号のうちの少なくとも一方に対してその入力映像信号に基づく高域輝度信号を合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理がなされる。これにより、入力映像信号に基づく輝度信号に対して高域輝度信号を合成することにより画像の鮮鋭度の改善処理がなされている従来とは異なり、色空間変換後の出力映像信号において、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、入力映像信号における色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が、回避される。
【0013】
なお、他の映像信号処理装置として、上記第1の色空間変換部と、上記明度信号の高域周波数成分を分離することにより高域明度信号を生成する第2の高域分離部と、上記変換映像信号における明度信号および彩度信号のうちの少なくとも一方と上記高域明度信号とに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号および合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する他の合成部と、上記変換映像信号における色相信号と、変換映像信号における彩度信号または上記合成彩度信号と、変換映像信号における明度信号または上記合成明度信号とから構成される映像信号に対して色空間変換を行うことにより、RGB色空間により規定される出力映像信号を生成する第4の色空間変換部とを備えたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の映像信号処理装置および表示装置によれば、入力映像信号に基づく明度信号および彩度信号のうちの少なくとも一方に対してその入力映像信号に基づく高域輝度信号を合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理を行うようにしたので、色空間変換後の出力映像信号において、鮮鋭度の改善部分での彩度の低下や、入力映像信号における色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等を、回避することができる。よって、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示した高域分離部の詳細構成例を表すブロック図である。
【図3】図1に示したゲイン制御量算出部の詳細構成例を表すブロック図である。
【図4】図3に示した色相についての制御量算出部の動作を説明するための特性図である。
【図5】図3に示した彩度についての制御量算出部の動作を説明するための特性図である。
【図6】図3に示した明度についての制御量算出部の動作を説明するための特性図である。
【図7】比較例1に係る映像信号処理装置の構成を表すブロック図である。
【図8】図7に示した映像信号処理装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【図9】図7に示した映像信号処理装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図10】図1に示した映像信号処理装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【図11】図1に示した映像信号処理装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図12】本発明の変形例1に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図13】図12に示した映像信号処理装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【図14】図12に示した映像信号処理装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図15】本発明の変形例2に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図16】本発明の変形例3に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図17】図16に示した映像信号処理装置の動作の一例を表すタイミング波形図である。
【図18】図16に示した映像信号処理装置の動作の他の例を表すタイミング波形図である。
【図19】比較例2に係る映像信号処理装置の構成を表すブロック図である。
【図20】図19に示した映像信号処理装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【図21】図16に示した映像信号処理装置の動作の他の例を表すタイミング波形図である。
【図22】図16に示した映像信号処理装置の動作の他の例を表すタイミング波形図である。
【図23】本発明の変形例4に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図24】本発明の変形例5に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図25】本発明の変形例6に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図26】図25に示した高域分離部の動作の概要を表す特性図である。
【図27】図25に示したゲイン制御部の詳細構成を表すブロック図である。
【図28】図25に示した映像信号処理装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【図29】本発明の変形例7に係る表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図30】図29に示した映像信号処理装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(V信号とYhk(輝度の高域のゲイン制御)信号とを合成する例)
2.変形例
変形例1(V信号とVhk(明度の高域のゲイン制御)信号とを合成する例)
変形例2(V信号とYhk,Vhkの合成信号とを合成する例)
変形例3(S信号とYhk信号とを合成する例)
変形例4(V信号,S信号とYhk信号とを合成する例)
変形例5(実施の形態において入力映像信号がYCrCb信号である場合の例)
変形例6(ストラクチャー,テクスチャー成分信号を高域輝度信号とする例)
変形例7(変形例6において入力映像信号がYCrCb信号である場合の例)
【0017】
<1.実施の形態>
[表示装置1の全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置1のブロック構成を表すものである。この表示装置1は、映像信号処理部2と、表示部3とを備えている。なお、この映像信号処理部2(および後述する映像信号処理部2A〜2G)が、本発明における「映像信号処理装置」の一具体例に対応する。
【0018】
(映像信号処理部2)
映像信号処理部2は、色空間変換部21,23,27と、高域分離部22と、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25と、合成部26とを有している。
【0019】
色空間変換部21は、外部から入力されるRGB信号RGBinに対して色空間変換を行うことにより、輝度信号Yを生成するものであり、例えばマトリクス回路により構成される。具体的には、このRGB信号RGBinが一般的なテレビジョン信号である場合、例えばBT.709やBT.601のような規格に準じた係数を用いて色空間変換を行う。
【0020】
高域分離部22は、色空間変換部21から出力される輝度信号Yの高域周波数成分(例えば、3MHz以上の成分)を分離することにより、高域輝度信号Yhを生成するものである。この高域分離部22は、例えば1次元や2次元のハイパスフィルタ(HPF)等により構成される。図2は、このうちの一例として、水平3タップのハイパスフィルタ回路を用いたものを示している。すなわち、この場合の高域分離部22は、2つのディレイ部221A,221Bと、3つのレベル制御部222A,222B,222Cと、高域輝度信号Yhを出力する加算部223とから構成されている。
【0021】
色空間変換部23は、外部から入力されるRGB信号RGBinに対して色空間変換を行うことにより、HSV色空間により規定される映像信号(HSV信号)を生成するものである。このHSV信号は、色相(H),彩度(S),明度(V)の3つの成分からなる色空間により規定された信号であり、色の違いを人間の視覚に近い形で表現されている。具体的には、RGB色空間からHSV色空間への変換は、R,G,Bの各色信号が、最小値を0.0,最大値を1.0とする数値範囲を示すものであるとすると、例えば以下の(1)〜(6)式を用いて行うことができる。ここで、式中のMAXは、R,G,B信号の値のうちの最大値を意味し、MINは、R,G,B信号の値のうちの最小値を意味している。なお、色相信号Hの値は、0.0〜360.0の範囲内で変化し、角度で表現される。360.0度は、0.0度と同一になる。また、彩度信号Sおよび明度信号Vの値はそれぞれ、0.0〜1.0の範囲内で変化する。
【0022】
【数1】

【0023】
ゲイン制御量算出部24は、色空間変換部23から出力されるHSV信号における、色相信号H、彩度信号Sおよび明度信号Vの各信号に基づいて、後述するゲイン制御部25におけるゲイン制御の際のゲイン制御量kを算出するものである。具体的には、以下詳述するように、HSV信号から色相,彩度,明度をそれぞれ検出すると共に、各成分の領域ごとに予め設定された係数で制御してそれらを合成することにより、ゲイン制御量kを算出している。すなわち、このゲイン制御量kを、例えば0〜n(任意の値)まで制御することにより、後述する鮮鋭度の改善効果が変化するようになっている。
【0024】
このゲイン制御量算出部24は、図3に示したように、色相検出部241Hと、彩度検出部241Sと、明度検出部241Vと、制御量算出部242H,242S,242Vと、合成部243とを有している。
【0025】
色相検出部241Hは、色相信号Hから色相情報を検出するものである。制御量算出部242Hは、例えば図4に示したような予め設定された設定値を用いることにより、色相についての制御量を求めるものである。具体的には、色相検出部241Hにおいて検出した色相に対して、予め設定した60度ごとの色相の係数kR,kY,kG,kC,kB,kMを用いることにより、60度ごとの色相の間を両サイドの色相係数値を直線補間し、全色相領域の制御量を算出している。
【0026】
彩度検出部241Sは、彩度信号Sから彩度情報を検出するものである。制御量算出部242Sは、例えば図5に示したような予め設定された設定値を用いることにより、彩度についての制御量を求めるものである。具体的には、彩度検出部241Sにおいて検出した彩度に対して、予め設定した12.5%ごとの彩度の係数kS0,kS1,kS2,kS3,kS4,kS5,kS6,kS7を用いることにより、12.5%ごとの彩度の間を両サイドの彩度係数値を直線補間し、全彩度領域の制御量を算出している。
【0027】
明度検出部241Vは、明度信号Vから明度情報を検出するものである。制御量算出部242Vは、例えば図6に示したような予め設定された設定値を用いることにより、明度についての制御量を求めるものである。具体的には、明度検出部241Vにおいて検出した明度に対して、予め設定した12.5%ごとの明度の係数kV0,kV1,kV2,kV3,kV4,kV5,kV6,kV7を用いることにより、12.5%ごとの明度の間を両サイドの明度係数値を直線補間し、全明度領域の制御量を算出している。
【0028】
合成部243は、制御量算出部242H,242S,242Vから算出される各制御量を合成することにより、合成制御量に対応するゲイン制御量kを算出するものである。
【0029】
ゲイン制御部25は、高域分離部22から出力される高域輝度信号Yhに対し、ゲイン制御量算出部24から出力されるゲイン制御量kを用いてゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを生成するものである。具体的には、高域輝度信号Yhにおける高域周波数成分の量を、ゲイン制御量kを用いて変化させることにより、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを生成するようになっている。
【0030】
合成部26は、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの明度信号Vと、高域分離部22から出力される高域輝度信号Yhとに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号を生成するものである。具体的には、ここでは、明度信号Vと、ゲイン制御部25から出力されるゲイン制御後の高域輝度信号Yhkとを合成することにより、合成明度信号(V+Yhk)を生成している。
【0031】
色空間変換部27は、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの色相信号Hおよび彩度信号Sと、合成部26から出力される合成明度信号(V+Yhk)とから構成される映像信号(HSV信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部27は、色空間変換部23の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。ここで、HSV色空間からRGB色空間への変換は、色相信号Hの値が0.0〜360.0の範囲内で変化して角度で表現されるものであり、彩度信号Sおよび明度信号Vの値が、0.0〜1.0の範囲内で変化するものであるとすると、以下の(7)〜(17)式を用いて行うことができる。なお、仮に彩度信号Sの値が0.0である場合、最終的な色は無色もしくは灰色となる。このような特別な場合、R,G,Bの各信号の値は、単純に明度信号Vの値と等しくなり、この場合、色相信号Hの値は無意味となる。一方、彩度信号Sの値が0.0ではない場合、以下の(18)式を用いて色変換を行うことができる。
【0032】
【数2】

【0033】
【数3】

【0034】
(表示部3)
表示部3は、映像信号処理部2から出力される映像信号処理後の映像信号(RGB信号RGBout)に基づいて、映像の表示を行うものである。このような表示部3としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの各種のディスプレイを用いることができる。
【0035】
ここで、RGB信号RGBinが本発明における「入力映像信号」の一具体例に対応し、RGB信号RGBoutが本発明における「出力映像信号」の一具体例に対応する。また、色空間変換部23から出力されるHSV信号が、本発明における「変換映像信号」の一具体例に対応する。また、色空間変換部23が本発明における「第1の色空間変換部」の一具体例に対応し、色空間変換部21が本発明における「第3の色空間変換部」の一具体例に対応し、色空間変換部27が本発明における「第2の色空間変換部」の一具体例に対応する。また、高域分離部22が本発明における「第1の高域分離部」の一具体例に対応し、ゲイン制御量算出部24が本発明における「算出部」の一具体例に対応する。
【0036】
[表示装置1の作用・効果]
次に、表示装置1の作用および効果について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
【0037】
(基本動作)
この表示装置1では、映像信号処理部2において、外部から入力されたRGB信号RGBinに対し、以下説明する鮮鋭度の改善処理を行うことにより、そのような改善処理後のRGB信号RGBoutを生成する。そして、このRGB信号RGBoutに基づく映像表示が、表示部3において行われる。
【0038】
(比較例1の映像信号処理)
図7は、比較例1に係る従来の映像信号処理部102のブロック構成を表すものである。この映像信号処理部102は、色空間変換部103と、高域分離部22と、ゲイン制御部25と、合成部106と、色空間変換部107とを有している。
【0039】
色空間変換部103は、外部から入力されるRGB信号RGBinに対して色空間変換を行うことにより、YCbCr信号を生成するものであり、例えばマトリクス回路により構成されている。具体的には、このRGB信号RGBinが一般的なテレビジョン信号である場合、以下の(19)〜(21)式で示したように、例えばBT.709やBT.601のような規格に準じた係数を用いて色空間変換を行う。なお、映像信号処理部102への入力信号が、元々YCbCr信号である場合、この色空間変換部103が設けられない場合もある。
【0040】
【数4】

【0041】
ゲイン制御部25は、本実施の形態と同様に、高域分離部22から出力される高域輝度信号Yhに対してゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを生成するものである。ただし、この比較例1では、ゲイン制御量kが、例えばユーザーによる操作等に応じて設定されるようになっている。
【0042】
合成部106は、色空間変換部103から出力される輝度信号Yと、ゲイン制御部から出力されるゲイン制御後の高域輝度信号Yhkとを合成することにより、合成輝度信号(Y+Yhk)を生成するものである。
【0043】
色空間変換部107は、色空間変換部103から出力される色差信号Cb,Crと、合成部106から出力される合成輝度信号(Y+Yhk)とから構成される映像信号(YCbCr信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部107は、色空間変換部103の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。
【0044】
ここで、図8および図9は、映像信号処理部102における映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。図8は、RGB信号RGBinにおける彩度S=0%の場合の例を、図9は、RGB信号RGBinにおける彩度S=100%の場合の例を、それぞれ示している。これらの図において、(A)はR信号Rinを、(B)はG信号Ginを、(C)はB信号Binを、(D)は輝度信号Yを、(E)は色差信号Cbを、(F)は色差信号Crを、(G)は高域輝度信号Yhを、(H)はゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを示している。また、(I)は合成輝度信号(Y+Yhk)を、(J)は色差信号Cb((E)に示したものと同じ)を、(K)は色差信号Cr((F)に示したものと同じ)を、(L)〜(N)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、ここでは、高域分離部22として、図2に示した水平3タップのハイパスフィルタ回路を用いていると共に、ゲイン制御部25におけるゲイン制御量k=1としている。
【0045】
まず、図8に示したように、彩度S=0%の場合、ここではR信号Rin,G信号Gin,B信号Binの信号レベルが同じとなっているため(同図(A)〜(C))、色差信号Cb,Crはいずれも0レベルとなる(同図(E),(F))。そして、この場合、彩度S=0%であることから、出力されるRGB信号RGBoutにおいても、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutがそれぞれ、輝度合成信号(Y+Yhk)に基づく同一信号レベルの高域周波数成分が付与される(同図(L)〜(N))。したがって、これらのR信号Rout,G信号Gout,B信号Boutにおいてそれぞれ、元のRGB信号RGBinと比べて鮮鋭度が改善されている。
【0046】
一方、図9に示したように、彩度S=100%の場合、R信号Rinの信号レベルが、輝度信号Yおよび色差信号Cb,Crへと振り分けられる(同図(A),(D)〜(F))。具体的には、例えばBT.709のマトリクス回路の場合、R信号Rinの値が1.00、G信号GinおよびB信号Binの値が0.00であるときには、輝度信号Yの値は0.2126、色差信号Cbの値は−0.1146、色差信号Crの値は0.5000となる。ここで、この彩度S=100%の場合には、輝度合成信号(Y+Yhk)におけるYhkの成分は、R信号Routにも付与されると共に、G信号GoutおよびB信号Boutにも付与されている(同図(I),(L)〜(N))。
【0047】
ここで、この比較例1では、図8,図9の結果を比較すると、彩度が高い場合(図9)には、出力信号であるRGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下が生じてしまっている(図9(L)〜(N))。
【0048】
また、彩度が高い場合(図9)には、マトリクス比率により輝度信号Yの信号レベルが低くなるため(図9(D))、高域輝度信号Yh自体も小さくなり、鮮鋭度の改善効果が減少してしまう(図9(L)〜(N))。この彩度による輝度信号Yの信号レベル低下は色相によっても変化し、例えばBT.709の場合、以下のようになる。すなわち、輝度信号Yのマトリクス比がR=0.2126,G=0.7152,B=0.0722であるため、彩度S=0%のときを基準とした彩度S=100%のときの信号レベルは、赤色では0.2126,緑色では0.7152,青色では0.0722となる。以上により、入力信号であるRGB信号RGBinにおける色相や彩度が高くなるのに応じて、輝度信号Yの信号レベルが小さくなり、鮮鋭度改善効果が減少してしまうことが分かる。
【0049】
このように、比較例1の手法では、RGB信号RGBinに基づく輝度信号Yに対してゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理がなされているため、RGB信号RGBoutにおける画像の鮮鋭度の改善効果が不十分となっている。
【0050】
(本実施の形態の映像信号処理)
これに対して、本実施の形態の映像信号処理部2では、図1に示したように、映像信号処理部2において、入力されたRGB信号RGBinに対し、以下のような鮮鋭度の改善処理を行っている。すなわち、まず、色空間変換部21,23において、RGB信号RGBinに対する色空間変換を行うことにより、輝度信号YおよびHSV信号をそれぞれ生成する。次に、高域分離部22において、この輝度信号Yの高域周波数成分を分離することにより、高域輝度信号Yhを生成する。次いで、ゲイン制御部25において、この高域輝度信号Yhに対し、ゲイン制御量算出部24から出力されるゲイン制御量kを用いてゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを生成する。次に、合成部26において、HSV信号のうちの明度信号Vとゲイン制御後の高域輝度信号Yhkとを合成することにより、合成明度信号(V+Yhk)を生成する。そして、色空間変換部27において、HSV信号のうちの色相信号Hおよび彩度信号Sと、合成明度信号(V+Yhk)とから構成される映像信号に対して色空間変換を行うことにより、出力映像信号であるRGB信号RGBoutを生成する。
【0051】
すなわち、入力映像信号であるRGB信号RGBinに基づく明度信号Vに対して、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理がなされる。これにより、RGB信号RGBinに基づく輝度信号Yに対してゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより画像の鮮鋭度の改善処理がなされている上記比較例1とは異なり、前述した問題が生じないようになる。すなわち、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が、回避される。
【0052】
ここで、図10および図11は、映像信号処理部2における映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。図10は、RGB信号RGBinにおける彩度S=0%の場合の例を、図11は、RGB信号RGBinにおける彩度S=100%の場合の例を、それぞれ示している。これらの図において、(A)はR信号Rinを、(B)はG信号Ginを、(C)はB信号Binを、(D)は色相信号Hを、(E)は彩度信号Sを、(F)は明度信号Vを示している。また、(G)は輝度信号Yを、(H)は高域輝度信号Yhを、(I)はゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを示している。また、(J)は色相信号H((D)に示したものと同じ)を、(K)は彩度信号S((E)に示したものと同じ)を、(L)は合成明度信号(V+Yhk)を、(M)〜(O)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、ここでは、高域分離部22として、図2に示した水平3タップのハイパスフィルタ回路を用いていると共に、ゲイン制御部25におけるゲイン制御量kを、図10ではk=1,図11ではk=4としている。
【0053】
まず、図10に示したように、彩度S=0%の場合、R信号Rin,G信号Gin,B信号Binの信号レベルが同じとなる(同図(A)〜(C))。このため、彩度信号Sの信号レベルが0となり、明度信号Vの信号レベルはmax(R,G,B)(R信号Rin,G信号Gin,B信号Binのうちの最大値)となり、色相信号Hは、彩度S=0%であることから固定値の0レベルとなる(同図(D)〜(F))。そして、この場合、彩度S=0%であることから、出力されるRGB信号RGBoutにおいても、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutがそれぞれ、明度合成信号(V+Yhk)に基づく同一信号レベルの高域周波数成分が付与される(同図(M)〜(O))。したがって、これらのR信号Rout,G信号Gout,B信号Boutにおいてそれぞれ、上記比較例1と同様に、元のRGB信号RGBinと比べて鮮鋭度が改善されている。
【0054】
一方、図11に示したように、彩度S=100%の場合、ここでは色相H=0度(赤色)であることから、彩度信号Sの信号レベルが0となり、明度信号Vの信号レベルはmax(R,G,B)となり、色相信号Hは固定値の0レベルとなる(同図(D)〜(F))。また、本実施の形態では、上記したように、色相信号Hおよび彩度信号Sを変化させずに、明度信号Vに対してゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成しているため、R信号Routにのみ、明度合成信号(V+Yhk)のYhkの成分が付与されている(同図(M))。したがって、上記したように、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が、回避されていることが分かる(同図(M)〜(O))。
【0055】
以上のように本実施の形態では、映像信号処理部2において、RGB信号RGBinに基づく明度信号Vに対し、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理を行うようにしたので、上記比較例1における問題が生じないようになる。すなわち、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等を回避することができる。よって、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0056】
また、高域輝度信号Yhに対するゲイン制御を行うゲイン制御部25を設けると共に、合成部26において、明度信号Vとゲイン制御後の高域輝度信号Yhkとを合成することにより合成明度信号(V+Yhk)を生成するようにしたので、任意の色相,彩度,明度の領域において、任意の量の先鋭度改善処理を行うことが可能となる。
【0057】
更に、色相信号H、彩度信号Sおよび明度信号Vに基づいて、ゲイン制御の際のゲイン制御量kを算出するゲイン制御量算出部24を設けるようにしたので、RGB信号RGBinに基づく色相信号H、彩度信号Sおよび明度信号Vを用いて、所望のゲイン調整を行うことが可能となる。
【0058】
<2.変形例>
以下、本発明の変形例をいくつか挙げて説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0059】
(変形例1)
図12は、変形例1に係る表示装置1Aのブロック構成を表すものである。この表示装置1Aは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Aを設けるようにしたものである。すなわち、鮮鋭度を高めるための高域周波数成分を、上記実施の形態のような輝度信号Yからではなく、明度信号Vから生成するようになっており、明度信号Vと、後述するゲイン制御後の高域明度信号Vhkとを合成する場合に対応している。
【0060】
映像信号処理部2Aは、色空間変換部23,27Aと、高域分離部22Aと、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25Aと、合成部26Aとを有している。すなわち、映像信号処理部2において、色空間変換部21を設けないようにし、高域分離部22、ゲイン制御部25、合成部26および色空間変換部27の代わりに、高域分離部22A、ゲイン制御部25A、合成部26Aおよび色空間変換部27Aを設けている。
【0061】
高域分離部22Aは、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの明度信号Vの高域周波数成分を分離することにより、高域明度信号Vhを生成するものである。この高域分離部22Aも、高域分離部22と同様に、1次元や2次元のハイパスフィルタ等により構成されている。なお、この高域分離部22Aが、本発明における「第2の高域分離部」の一具体例に対応する。
【0062】
ゲイン制御部25Aは、高域分離部22Aから出力される高域明度信号Vhに対し、ゲイン制御量算出部24から出力されるゲイン制御量kを用いてゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域明度信号Vhkを生成するものである。具体的には、高域明度信号Vhにおける高域周波数成分の量を、ゲイン制御量kを用いて変化させることにより、ゲイン制御後の高域明度信号Vhkを生成するようになっている。
【0063】
合成部26Aは、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの明度信号Vと、高域分離部22Aから出力される高域明度信号Vhとに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号を生成するものである。具体的には、ここでは、明度信号Vと、ゲイン制御部25Aから出力されるゲイン制御後の高域明度信号Vhkとを合成することにより、合成明度信号(V+Vhk)を生成している。
【0064】
色空間変換部27Aは、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの色相信号Hおよび彩度信号Sと、合成部26Aから出力される合成明度信号(V+Vhk)とから構成される映像信号(HSV信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部27Aは、色空間変換部23の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。なお、この色空間変換部27Aは、本発明における「第2の色空間変換部」の一具体例に対応する。
【0065】
本変形例の映像信号処理部2Aでは、RGB信号RGBinに基づく明度信号Vに対して、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域明度信号Vhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理がなされる。これにより、上記実施の形態と同様の作用により、上記比較例1における問題が生じないようになる。すなわち、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が、回避される。
【0066】
ここで、図13および図14は、映像信号処理部2Aにおける映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。図13は、RGB信号RGBinにおける彩度S=0%の場合の例を、図14は、RGB信号RGBinにおける彩度S=100%の場合の例を、それぞれ示している。これらの図において、(A)はR信号Rinを、(B)はG信号Ginを、(C)はB信号Binを、(D)は色相信号Hを、(E)は彩度信号Sを、(F)は明度信号Vを、(G)は高域明度信号Vhを、(H)はゲイン制御後の高域明度信号Vhkを示している。また、(I)は色相信号H((D)に示したものと同じ)を、(J)は彩度信号S((E)に示したものと同じ)を、(K)は合成明度信号(V+Vhk)を、(L)〜(N)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、ここでは、高域分離部22Aとして、図2に示した水平3タップのハイパスフィルタ回路を用いていると共に、ゲイン制御部25Aにおけるゲイン制御量k=1としている。
【0067】
まず、図13に示したように、彩度S=0%の場合、上記実施の形態と同様に、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutにおいてそれぞれ、元のRGB信号RGBinと比べて鮮鋭度が改善されている(同図(L)〜(N))。
【0068】
また、図14に示したように、彩度S=100%の場合にも、上記実施の形態と同様の結果となっている。すなわち、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が、回避されている(同図(L)〜(N))。
【0069】
以上のように本変形例では、映像信号処理部2Aにおいて、RGB信号RGBinに基づく明度信号Vに対し、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域明度信号Vhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理を行うようにしたので、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0070】
(変形例2)
図15は、変形例2に係る表示装置1Bのブロック構成を表すものである。この表示装置1Bは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Bを設けるようにしたものである。すなわち、上記実施の形態の手法と上記変形例1の手法とを組み合わせたものに対応しており、明度信号Vと、後述するゲイン制御後の高域合成信号YVhkとを合成する場合に対応している。
【0071】
映像信号処理部2Bは、色変換部21,23,27Bと、高域分離部22,22Aと、ゲイン制御量算出部24Bと、ゲイン制御部25Bと、合成部26Bとを有している。すなわち、変形例1で説明した映像信号処理部2Aにおいて、上記実施の形態で説明した色空間変換部21および高域分離部22を設けている。またそれと共に、ゲイン制御量算出部24、ゲイン制御部25A、合成部26Aおよび色空間変換部27Aの代わりに、ゲイン制御量算出部24B、ゲイン制御部25B、合成部26Bおよび色空間変換部27Bを設けている。
【0072】
ゲイン制御量算出部24Bは、色空間変換部23から出力される色相信号H、彩度信号Sおよび明度信号Vの各信号に基づいて、後述するゲイン制御部25Bにおけるゲイン制御の際のゲイン制御量k1,k2をそれぞれ算出するものである。ここで、ゲイン制御量k1は、高域輝度信号Yhに対するゲイン制御量に対応し、ゲイン制御量k2は、高域明度信号Vhに対するゲイン制御量に対応している。なお、このゲイン制御量算出部24は、本発明における「算出部」の一具体例に対応する。
【0073】
ゲイン制御部25Bは、高域分離部22から出力される高域輝度信号Yhに対し、ゲイン制御量算出部24Bから出力されるゲイン制御量k1を用いてゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを生成している。具体的には、高域輝度信号Yhにおける高域周波数成分の量を、ゲイン制御量kを用いて変化させることにより、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを生成するようになっている。また、このゲイン制御部25Bは、高域分離部22Aから出力される高域明度信号Vhに対し、ゲイン制御量算出部24Bから出力されるゲイン制御量k2を用いてゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域明度信号Vhkを生成している。具体的には、高域明度信号Vhにおける高域周波数成分の量を、ゲイン制御量k2を用いて変化させることにより、ゲイン制御後の高域明度信号Vhkを生成するようになっている。
【0074】
このゲイン制御部25Bではまた、高域輝度信号Yhと高域明度信号Vhとに基づく合成信号(高域合成信号YVhk)を生成するようになっている。具体的には、ここでは、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhk1とゲイン制御後の高域明度信号Vhk2とに基づいて、高域合成信号YVhkを生成している。この際、この高域合成信号YVhkにおいて、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhk1とゲイン制御後の高域明度信号Vhk2との間で、所定の重み付けがなされるようになっている。すなわち、そのような重み付け係数をα,βとすると、YVhk=(α×Yhk1+β×Vhk2)と表されるようになっている。
【0075】
合成部26Bは、色空間変換部23から出力される明度信号Vと、高域輝度信号Yhと高域明度信号Vhとに基づく合成信号と、に基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号を生成するものである。具体的には、ここでは、明度信号Vと、ゲイン制御部25Bから出力される高域合成信号YVhkとを合成することにより、合成明度信号(V+YVhk)を生成している。
【0076】
色空間変換部27Bは、色空間変換部23から出力される色相信号Hおよび彩度信号Sと、合成部26Bから出力される合成明度信号(V+YVhk)とから構成される映像信号(HSV信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部27Bは、色空間変換部23の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。なお、この色空間変換部27Bは、本発明における「第2の色空間変換部」の一具体例に対応する。
【0077】
このような構成により本変形例においても、上記実施の形態および上記変形例1と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0078】
また、明度信号Vと、ゲイン制御部25Bから出力される高域合成信号YVhkとを合成することにより、合成明度信号(V+YVhk)を生成するようにしたので、高域輝度信号および高域明度信号のそれぞれの領域で同時に鮮鋭度を改善させることが可能となる。
【0079】
更に、高域合成信号YVhkにおいて、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhk1とゲイン制御後の高域明度信号Vhk2との間で、所定の重み付けがなされるようにしたので、画像の特徴応じて重み付け量を変化させることにより、それぞれの画像に最適な鮮鋭度改善を行うことが可能となる。
【0080】
(変形例3)
図16は、変形例3に係る表示装置1Cのブロック構成を表すものである。この表示装置1Cは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Cを設けるようにしたものである。すなわち、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを、明度信号Vではなく、彩度信号Sに合成する場合に対応している。
【0081】
映像信号処理部2Cは、色空間変換部21,23,27Cと、高域分離部22と、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25と、合成部26Cとを有している。すなわち、映像信号処理部2において、合成部26および色空間変換部27の代わりに、合成部26Cおよび色空間変換部27Cを設けている。
【0082】
合成部26Cは、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの彩度信号Sと、高域分離部22から出力される高域輝度信号Yhとに基づいて合成処理を行うことにより、合成彩度信号を生成するものである。具体的には、ここでは、彩度信号Sと、ゲイン制御部25から出力されるゲイン制御後の高域輝度信号Yhkとを合成することにより、合成彩度信号(S+Yhk)を生成している。
【0083】
色空間変換部27Cは、色空間変換部23から出力される明度信号Vおよび色相信号Hと、合成部2CBから出力される合成彩度信号(S+YVhk)とから構成される映像信号(HSV信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部27Cは、色空間変換部23の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。なお、この色空間変換部27Cは、本発明における「第2の色空間変換部」の一具体例に対応する。
【0084】
本変形例の映像信号処理部2Cでは、RGB信号RGBinに基づく彩度信号Sに対して、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の鮮鋭度の改善処理がなされる。これにより、上記実施の形態と同様の作用により、上記比較例1における問題が生じないようになる。すなわち、RGB信号RGBoutにおいて、鮮鋭度の改善部分(高域成分の領域)での彩度の低下や、RGB信号RGBinにおける色相または彩度の大きさに応じた鮮鋭度の改善効果の減少等が、回避される。また、上記実施の形態および変形例1,2では、明度信号Vに対してゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の明暗を強調させる鮮鋭度改善処理を行っていたのに対し、本変形例では、色の濃さを強調させる鮮鋭度改善処理を行うことが可能となる。
【0085】
ここで、図17および図18は、映像信号処理部2Cにおける映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものであり、RGB信号RGBinにおける彩度S=50%の場合の例をそれぞれ示している。これらの図において、(A)はR信号Rinを、(B)はG信号Ginを、(C)はB信号Binを、(D)は色相信号Hを、(E)は彩度信号Sを、(F)は明度信号Vを、(G)は輝度信号Yを、(H)は高域輝度信号Yhを、(I)はゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを示している。また、(J)は色相信号H((D)に示したものと同じ)を、(K)は合成彩度信号(S+Yhk)を、(L)は明度信号V((F)に示したものと同じ)を、(M)〜(O)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、ここでは、高域分離部22として、図2に示した水平3タップのハイパスフィルタ回路を用いていると共に、ゲイン制御部25におけるゲイン制御量k=2としている。
【0086】
まず、図17に示した例では、上記実施の形態と同様に、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutにおいてそれぞれ、元のRGB信号RGBinと比べて鮮鋭度が改善されている(同図(M)〜(O))。具体的には、同図(J)〜(L)から分かるように、色相信号Hおよび明度信号Vは変化せずに、彩度信号Sに対してゲイン制御後の高域輝度信号Yhkが合成されているため、エッジ部分の彩度が向上し、エッジ部分の色の鮮鋭度が向上している。なお、同図(K)中の破線および矢印は、負(−)極性の信号値を0に設定していることを示している。
【0087】
一方、図18に示した例では、まず、(A)〜(C)に示したR信号Rin,G信号Gin,B信号Binにおいてそれぞれ、図17(A)〜(C)の場合と比べ、信号値に対する50%のオフセットがかけられており、半分の信号値となっている。なお、図18中の破線は、信号値=0の電位を示している。このような場合であっても、基本的には図17に示した例と同様に、色相信号Hおよび明度信号Vは変化せずに、彩度信号Sに対してゲイン制御後の高域輝度信号Yhkが合成されているため、エッジ部分の彩度が向上し、エッジ部分の色の鮮鋭度が向上している。
【0088】
ただし、この図18に示した例では、同図(H)に示したように、ゲイン制御部25によるゲイン制御の際に、信号値の極性(正(+)極性,負(−)極性)ごとに、ゲイン制御の方向および大きさが個別に制御されている。これにより、信号値の極性に応じたより精密な(きめ細やかな)ゲイン制御を行うことができ、エッジ部分の色の鮮鋭度をより適切に向上させることが可能となっている。
【0089】
次に、図19〜図21を参照して、本変形例の映像信号処理部2Cにおける映像信号処理動作を、比較例(比較例2)に係る従来の映像信号処理部202における映像信号処理動作と比較して説明する。
【0090】
図19は、比較例2に係る映像信号処理部202のブロック構成を表すものである。この映像信号処理部202は、前述した色空間変換部103と、2つのクロマシャープネス処理部203,204と、色空間変換部207とを有している。
【0091】
クロマシャープネス処理部203は、色空間変換部103から出力される色差信号Crに対してクロマシャープネス処理を行うことにより、そのような処理後の色差信号Cr101を生成するものである。具体的には、後述する図20において説明するように、色差信号Crと、この色差信号Crの高域成分から得られるシャープネス補正信号Cr100とを合成することにより、色差信号Cr101を生成している。
【0092】
クロマシャープネス処理部204も同様に、色空間変換部103から出力される色差信号Cbに対してクロマシャープネス処理を行うことにより、そのような処理後の色差信号Cb101を生成するものである。具体的には、後述する図20において説明するように、色差信号Cbと、この色差信号Cbの高域成分から得られるシャープネス補正信号Cb100とを合成することにより、色差信号Cb101を生成している。
【0093】
色空間変換部207は、色空間変換部103から出力される輝度信号Yと、クロマシャープネス処理部203から出力される色差信号Cr101と、クロマシャープネス処理部204から出力される色差信号Cb101とから構成される映像信号(YCbCr信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部207は、色空間変換部103の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。
【0094】
ここで、図20は、この比較例2に係る映像信号処理部202における映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。この図において、(A)はR信号Rinを、(B)はG信号Ginを、(C)はB信号Binを、(D)は輝度信号Yを、(E)は色差信号Crを、(F)は色差信号Cbを、(G)は色差信号(シャープネス補正信号)Cr100を、(H)は色差信号(シャープネス補正信号)Cb100を示している。また、(I)は色差信号Cr101を、(J)は色差信号Cb101を、(K)〜(M)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、(A)〜(C)に示したR信号Rin,G信号Gin,B信号Binでは、波形の左部分の彩度=0%,中央部分の彩度=50%,右部分の彩度=75%となっていると共に、信号の正極側および負極側にそれぞれ、パルス状の高周波成分が重畳されている。
【0095】
また、図21は、本変形例の映像信号処理部2Cにおける映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。この図において、(A)〜(O)に示した各信号は、前述した図17,図18(A)〜(O)の各信号と同一となっている。また、図20の場合と同様に、(A)〜(C)に示したR信号Rin,G信号Gin,B信号Binでは、波形の左部分の彩度=0%,中央部分の彩度=50%,右部分の彩度=75%となっていると共に、信号の正極側および負極側にそれぞれ、パルス状の高周波成分が重畳されている。
【0096】
まず、図20に示した比較例2では、同図(K)〜(M)に示したR信号Rout,G信号Gout,B信号Boutにおいて、色の高域部分の鮮鋭度が改善されているものの、高域成分の輝度の変化に応じて彩度および色相の変化も生じており、副作用が多くなっている。
【0097】
これに対し、図21に示した本変形例では、彩度成分の補正と明度成分の補正とでは、独立して補正量(ゲイン制御量)を決定することできると共に、相互の影響が生じない。具体的には、ここではまず、波形の左側部分(S=0%の部分)では、元々無彩色であり彩度を上げる必要はないことから、(I)に示した彩度の補正信号(ゲイン制御後の高域輝度信号Yhk)の値は0%となっている。また、波形の中央部分(S=50%の部分)では、少し彩度を上げるため、(I)に示した彩度の補正信号の値は25%となっており、この部分の彩度が50%から75%に改善している。また、波形の右側部分(S=75%の部分)でも、彩度を上げるため、(I)に示した彩度の補正信号の値が25%となっており、この部分の彩度が75%から100%に改善している。このようにして、本変形例では、比較例2のクロマシャープネス処理と比べ、色の鮮鋭感の改善効果が大きく、また上記したような副作用も生じない。
【0098】
また、本変形例では、図21に示したような周波数帯域がフラットなRGB信号RGBinとは異なり、例えばRGB信号RGBinの色領域において帯域制限がなされている場合には、以下のようになる。具体的には、入力映像信号であるRGB信号RGBinを映像信号処理部2Cへ伝送する過程において、このRGB信号RGBinの基となるYCbCr信号のうち、色差信号Cb,Crに対して周波数の帯域制限を行った場合に対応している。
【0099】
図22は、本変形例において、このような周波数の帯域制限がなされている場合における映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。この図において、(A)〜(C)は、大元となるR信号R0,G信号G0,B信号B0を、(D)〜(F)はこれらのRGB信号から色変換により得られた輝度信号Y0,色差信号Cr0,色差信号Cb0を示している。また、(G),(H)は色差信号Cr0、Cb0に対して帯域制限を行った後の色差信号Cr1,Cb1を示しており、輝度信号Y0およびこれらの色差信号Cr1,Cb1に対する色変換によりRGB信号RGBinが得られるようになっている。また、(I)〜(W)に示した各信号は、前述した図21(A)〜(O)の各信号と同一となっている。
【0100】
この図22に示した例では、同図(G)に示したように、伝送過程において帯域制限がなされることにより、色信号(ここでは色差信号Cr1)において、低中域信号成分に対して高域信号成分が少なくなり、彩度が低下している。この場合に、(Q)に示した彩度の補正信号(ゲイン制御後の高域輝度信号Yhk)において、そのような帯域制限による彩度低下を考慮した補正量(ゲイン制御量)が設定されることにより、帯域制限による彩度低下を改善もしくは回避することが可能となっている。
【0101】
以上のように本変形例では、映像信号処理部2Cにおいて、RGB信号RGBinに基づく彩度信号Sに対し、そのRGB信号RGBinに基づくゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを合成することにより、画像の色の鮮鋭度の改善処理を行うようにしたので、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0102】
また、高域輝度信号Yhに対するゲイン制御を行うゲイン制御部25を設けると共に、合成部26Cにおいて、彩度信号Sとゲイン制御後の高域輝度信号Yhkとを合成することにより合成彩度信号(S+Yhk)を生成するようにしたので、任意の色相,彩度,明度の領域において、任意の部分の色先鋭度改善処理を行うことが可能となる。
【0103】
(変形例4)
図23は、変形例4に係る表示装置1Dのブロック構成を表すものである。この表示装置1Dは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Dを設けるようにしたものである。すなわち、上記実施の形態の手法と上記変形例3の手法とを組み合わせたものに対応しており、ゲイン制御後の高域輝度信号Yhkを、明度信号Vだけなく彩度信号Sにも合成する場合に対応している。
【0104】
映像信号処理部2Dは、色空間変換部21,23,27Dと、高域分離部22と、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25と、合成部26Cとを有している。すなわち、変形例3の映像信号処理部2Cにおいて、色空間変換部27Cの代わりに色空間変換部27Dを設けている。
【0105】
色空間変換部27Dは、色空間変換部23から出力される色相信号Hと、合成部26から出力される合成明度信号(V+Yhk)と、合成部26Cから出力される合成彩度信号(S+Yhk)とから構成される映像信号(HSV信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部27Dは、色空間変換部23の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。なお、この色空間変換部27Dは、本発明における「第2の色空間変換部」の一具体例に対応する。
【0106】
このような構成により本変形例においても、上記実施の形態および上記変形例3と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。また、画像の明暗を強調させる鮮鋭度改善処理と、色の濃さを強調させる鮮鋭度改善処理との双方を行うことが可能となる。
【0107】
(変形例5)
図24は、変形例5に係る表示装置1Eのブロック構成を表すものである。この表示装置1Eは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Eを設けるようにしたものである。すなわち、これまで説明した実施の形態および変形例1〜4では、入力映像信号であるRGB信号RGBinに対して色変換を行うことにより間接的に得られる輝度信号Yにおける高域周波数成分を分離することにより、高域輝度信号Yhを生成していた。これに対し、本変形例では、入力映像信号であるYCbCr信号YCbCrinから直接得られる輝度信号Yinにおける高域周波数成分を分離することにより、高域輝度信号Yhを生成するようになっている。
【0108】
映像信号処理部2Eは、色空間変換部20,23,27と、高域分離部22と、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25と、合成部26とを有している。すなわち、映像信号処理部2において、色空間変換部21の代わりに色空間変換部20を設けている。
【0109】
色空間変換部20は、外部から入力されるYCbCr信号YCbCrinに対して色空間変換を行うことにより、RGB信号RGBinを生成し、色空間変換部23へ出力するものである。なお、この入力されるYCbCr信号YCbCrinのうちの輝度信号Yinは、高域分離部22へも供給されるようになっている。すなわち、本変形例の高域分離部22では、入力映像信号であるYCbCr信号YCbCrinにおける輝度信号Yinを用いて、高域輝度信号Yhを生成している。なお、ここでは、この色空間変換部20および色空間変換部23が、本発明における「第1の色空間変換部」の一具体例に対応している。
【0110】
このようにして、本変形例のように、入力映像信号であるYCbCr信号YCbCrinから直接得られる輝度信号Yinにおける高域周波数成分を分離することによって、高域輝度信号Yhを生成する場合であっても、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0111】
(変形例6)
図25は、変形例6に係る表示装置1Fのブロック構成を表すものである。この表示装置1Fは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Fを設けるようにしたものである。すなわち、輝度信号Yから分離して得られるストラクチャー成分信号(画像の輪郭を構成する成分の信号)およびテクスチャー成分信号(画像の細部を構成する成分の信号)をそれぞれ、高域輝度信号として用いるようにしたものに対応している。なお、信号上では、ストラクチャー成分は、エッジを含む平均振幅成分(信号全体における振幅変動の傾向を表す成分)に相当し、テクスチャー成分は、それ以外の比較的高い周波数で小振幅である成分に相当する。
【0112】
映像信号処理部2Fは、色空間変換部21,23,27Fと、高域分離部22Fと、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25Fと、2つの合成部26F1,26F2とを有している。すなわち、変形例4の映像信号処理部2Dにおいて、高域分離部22、ゲイン制御部25、合成部26,26Cおよび色空間変換部27Dの代わりに、高域分離部22F、ゲイン制御部25F、合成部26F1,26F2および色空間変換部27Fを設けている。
【0113】
高域分離部22Fは、色空間変換部21から出力される輝度信号Yから、その高域成分であるストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2をそれぞれ分離して出力するものである。この高域分離部22Fは、S/T分離部22F1と、ストラクチャー補正部22F2と、テクスチャー増幅部22F3とを有している。
【0114】
S/T分離部22F1は、例えば図26(A)〜(C)に示したようにして、輝度信号Yから、その高域成分であるストラクチャー成分信号STR1およびテクスチャー成分信号TEX1をそれぞれ分離して出力するものである。ストラクチャー補正部22F2は、例えば図26(D)に示したように、ストラクチャー成分信号STR1に対して、低域側(黒側)が持ち上がると共に高域側(白側)が抑えられるように振幅の補正を行い、ストラクチャー成分信号STR2を生成するものである。ただし、補正方法はこれには限られず、他の手法を用いてもよい。一方、テクスチャー増幅部22F3は、例えば図26(E)に示したように、テクスチャー成分信号TEX1に対して信号の増幅を行うことにより、テクスチャー成分信号TEX2を生成するものである。なお、この高域分離部22Fは、本発明における「第1の高域分離部」の一具体例に対応する。
【0115】
ゲイン制御部25Fは、高域分離部22Fから出力されるストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2に対してゲイン制御を行うことにより、ゲイン制御後の高域輝度信号に対応する補正量dV,dSをそれぞれ出力するものである。このゲイン制御部25Fは、例えば図27に示したように、V用ストラクチャー補正部25F1と、S用ストラクチャー補正部25F2と、V用テクスチャー補正部25F3と、S用テクスチャー補正部25F4と、2つの補正量合成部25F5,25F6とを有している。
【0116】
V用ストラクチャー補正部25F1は、ストラクチャー成分信号STR2に対し、ゲイン制御量kの1つである補正係数k_STR_Vを用いて補正を行う(ゲイン制御を行う)ことにより、明度信号Vに対するストラクチャー成分からの補正量STR_Vを生成するものである。S用ストラクチャー補正部25F2は、ストラクチャー成分信号STR2に対し、ゲイン制御量kの1つである補正係数k_STR_Sを用いて補正を行う(ゲイン制御を行う)ことにより、彩度信号Sに対するストラクチャー成分からの補正量STR_Sを生成するものである。
【0117】
V用テクスチャー補正部25F3は、テクスチャー成分信号TEX2に対し、ゲイン制御量kの1つである補正係数k_TEX_Vを用いて補正を行う(ゲイン制御を行う)ことにより、明度信号Vに対するテクスチャー成分からの補正量TEX_Vを生成するものである。S用テクスチャー補正部25F4は、テクスチャー成分信号TEX2に対し、ゲイン制御量kの1つである補正係数k_TEX_Sを用いて補正を行う(ゲイン制御を行う)ことにより、彩度信号Sに対するテクスチャー成分からの補正量TEX_Sを生成するものである。
【0118】
補正量合成部25F5は、V用ストラクチャー補正部25F1から出力される補正量STR_Vと、V用テクスチャー補正部25F3から出力される補正量TEX_Vとを合成することにより、明度信号Vに対する補正量dVを生成するものである。補正量合成部25F6は、S用ストラクチャー補正部25F2から出力される補正量STR_Sと、S用テクスチャー補正部25F4から出力される補正量TEX_Sとを合成することにより、彩度信号Sに対する補正量dSを生成するものである。
【0119】
合成部26F1は、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの明度信号Vと、高域分離部22Fから出力されるストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2(高域輝度信号)とに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号を生成するものである。具体的には、ここでは、明度信号Vと、ゲイン制御部25Fから出力される補正量dV(ゲイン制御後の高域輝度信号)とを合成することにより、合成明度信号(V+dV)を生成している。
【0120】
合成部26F2は、色空間変換部23から出力されるHSV信号のうちの彩度信号Sと、高域分離部22Fから出力されるストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2(高域輝度信号)とに基づいて合成処理を行うことにより、合成彩度信号を生成するものである。具体的には、ここでは、彩度信号Sと、ゲイン制御部25Fから出力される補正量dS(ゲイン制御後の高域輝度信号)とを合成することにより、合成彩度信号(S+dS)を生成している。
【0121】
色空間変換部27Fは、色空間変換部23から出力される色相信号Hと、合成部26F1から出力される合成明度信号(V+dV)と、合成部26F2から出力される合成彩度信号(S+dS)とから構成される映像信号(HSV信号)に対し、色空間変換を行うものである。これにより、RGB色空間により規定される出力映像信号である、RGB信号RGBoutが生成されるようになっている。この色空間変換部27Fは、色空間変換部23の逆特性を有するマトリクス回路等により構成される。なお、この色空間変換部27Fは、本発明における「第2の色空間変換部」の一具体例に対応する。
【0122】
ここで、図28は、映像信号処理部2Fにおける映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。この図において、(A)はR信号Rinを、(B)はG信号Ginを、(C)はB信号Binを、(D)は色相信号Hを、(E)は彩度信号Sを、(F)は明度信号Vを示している。また、(G)はテクスチャー成分信号TEX1を、(H)はストラクチャー成分信号STR1を、(I)はテクスチャー成分信号TEX2を、(J)はストラクチャー成分信号STR2を、(K)は補正量dVを示している。また、(L)は色相信号H((D)に示したものと同じ)を、(M)は彩度信号S((E)に示したものと同じ)を、(N)は合成明度信号(V+dV)を、(O)〜(Q)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、ここでは、RGB信号RGBinが、赤色100%のウィンドウ信号において、幅の狭い縦方向の線が入っている画像を表している。また、ここでは、合成明度信号(V+dV)および合成彩度信号(S+dS)の双方ではなく、合成明度信号(V+dV)のみを生成している場合の例に対応している。
【0123】
この図28に示した例では、(O)〜(Q)に示したRGB信号RGBoutにおいて、(A)〜(C)に示したRGB信号RGBinに対し、鮮鋭感・コントラスト感が増えているが彩度の低下はなく、赤100%の信号となっている。
【0124】
このようにして、本変形例のように、輝度信号Yから分離して得られるストラクチャー成分信号およびテクスチャー成分信号をそれぞれ高域輝度信号として用いる場合であっても、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0125】
(変形例7)
図29は、変形例7に係る表示装置1Gのブロック構成を表すものである。この表示装置1Gは、上記実施の形態の表示装置1において、映像信号処理部2の代わりに映像信号処理部2Gを設けるようにしたものである。すなわち、上記変形例5,6の手法を組み合わせたものに対応しており、入力映像信号であるYCbCr信号YCbCrinから直接得られる輝度信号Yinに基づいて、高域輝度信号に対応するストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2を生成するようになっている。
【0126】
映像信号処理部2Gは、色空間変換部20G,23,27Fと、高域分離部22Gと、ゲイン制御量算出部24と、ゲイン制御部25Fと、2つの合成部26F1,26F2とを有している。すなわち、変形例6の映像信号処理部2Fにおいて、色空間変換部21および高域分離部22Fの代わりに、色空間変換部20Gおよび高域分離部22Gを設けている。
【0127】
高域分離部22Gは、YCbCr信号YCbCrinのうちの輝度信号Yinから、その高域成分であるストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2をそれぞれ分離して出力するものである。この高域分離部22Gは、前述したS/T分離部22F1およびテクスチャー増幅部22F3と、ストラクチャーH/L分離部22G1と、ストラクチャー補正部22G2とを有している。なお、この高域分離部22Gは、本発明における「第1の高域分離部」の一具体例に対応する。
【0128】
ストラクチャーH/L分離部22G1は、S/T分離部22F1から出力されるストラクチャー成分信号STR1を更に、ストラクチャー高域成分信号STR1Hとストラクチャー低域成分信号STR1Lとに分離して出力するものである。
【0129】
ストラクチャー補正部22G2は、ストラクチャーH/L分離部22G1から出力されるストラクチャー高域成分信号STR1Hに対して、前述したストラクチャー補正部22F2と同様の補正を行い、ストラクチャー成分信号STR2を生成するものである。
【0130】
色空間変換部20Gは、YCbCr信号YCbCrinのうちの色差信号Cbin,Crinと、ストラクチャーH/L分離部22G1から出力されるストラクチャー低域成分信号STR1L(輝度信号Yに対応)とからなる映像信号に対して色空間変換を行うものである。これにより、RGB信号RGBinが生成され、色空間変換部23へ出力されるようになっている。なお、ここでは、この色空間変換部20Gおよび色空間変換部23が、本発明における「第1の色空間変換部」の一具体例に対応している。
【0131】
ここで、図30は、映像信号処理部2Gにおける映像信号処理の際の各信号のタイミング波形例を表すものである。この図において、(A)は輝度信号Yinを、(B)は色差信号Crinを、(C)は色差信号Cbinを示している。また、(D)はテクスチャー成分信号TEX1を、(E)はストラクチャー成分信号STR1を、(F)はテクスチャー成分信号TEX2を、(G)はストラクチャー高域成分信号STR1Hを、(H)はストラクチャー低域成分信号STR1Lを、(I)はストラクチャー成分信号STR2を、(J)は補正量dVを示している。また、(K)はR信号Rinを、(L)はG信号Ginを、(M)はB信号Binを、(N)は色相信号Hを、(O)は彩度信号Sを、(P)は明度信号Vを示している。また、(Q)は色相信号H((N)に示したものと同じ)を、(R)は彩度信号S((O)に示したものと同じ)を、(S)は合成明度信号(V+dV)を、(T)〜(V)は、RGB信号RGBoutのうち、R信号Rout,G信号Gout,B信号Boutを示している。なお、ここでも、YCbCr信号YCbCrinは、赤色100%のウィンドウ信号において、幅の狭い縦方向の線が入っている画像を表している。また、ここでも、合成明度信号(V+dV)および合成彩度信号(S+dS)の双方ではなく、合成明度信号(V+dV)のみを生成している場合の例に対応している。
【0132】
この図30に示した例においても、前述した変形例6における図28の例と同様に、(T)〜(V)に示したRGB信号RGBoutにおいて、(A)〜(C)に示したYCbCr信号YCbCrinに対し、鮮鋭感・コントラスト感が増えているが彩度の低下はなく、赤100%の信号となっている。
【0133】
このようにして、本変形例のように、入力映像信号であるYCbCr信号YCbCrinから直接得られる輝度信号Yinに基づいて、高域輝度信号に対応するストラクチャー成分信号STR2およびテクスチャー成分信号TEX2を生成する場合であっても、上記変形例5,6と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の鮮鋭度を従来と比べてより適切に改善することが可能となる。
【0134】
(その他の変形例)
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0135】
例えば、上記実施の形態等では、ゲイン制御量算出部において、色相信号H、彩度信号Sおよび明度信号Vに基づいてゲイン制御量を算出する場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、ゲイン制御量算出部において、色相信号H、彩度信号Sおよび明度信号Vのうちの少なくとも1つに基づいて、ゲイン制御量を算出するようにしてもよい。
【0136】
また、上記実施の形態等では、映像信号処理部内にゲイン制御量算出部およびゲイン制御部を設ける場合について説明したが、場合によっては、映像信号処理部内に、これらゲイン制御量算出部およびゲイン制御部を設けなくてもよい。すなわち、例えば、ゲイン制御量を固定値としたり、ユーザーの操作に応じて制御するようにしてもよい。
【0137】
更に、上記実施の形態等で説明した映像信号処理の手法をそれぞれ、任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0138】
加えて、本発明の映像信号処理装置は、上記実施の形態等で説明したような表示装置には限られず、表示装置以外の他の装置(例えば、映像信号記録装置や映像信号記録再生装置等)にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0139】
1,1A〜1G…表示装置、2,2A〜2G…映像信号処理部、20,20G,21…色空間変換部、22,22A,22F,22G…高域分離部、22F1…S/T分離部、22F2,22G2…ストラクチャー補正部、22F3…テクスチャー増幅部、22G1…ストラクチャーH/L分離部、23…色空間変換部、24,24B…ゲイン制御量算出部、25,25A,25B,25F…ゲイン制御部、25F1…V用ストラクチャー補正部、25F2…S用ストラクチャー補正部、25F3…V用テクスチャー補正部、25F4…S用テクスチャー補正部、25F5,25F6…補正量合成部、26,26A,26B,26C,27D,26F1,26F2…合成部、27,27A,27B,27C,27F…色空間変換部、3…表示部、RGBin,RGBout…RGB信号、R0,Rin,Rout…R信号、G0,Gin,Gout…G信号、B0,Bin,Bout…B信号、H…色相信号、S…彩度信号、V…明度信号、YCbCrin…YCbCr信号、Y0,Y…輝度信号、Cr0,Cr1,Crin,Cb0,Cb1,Cbin…色差信号、Yh,Yhk…高域輝度信号、STR_V,TEX_V,STR_S,TEX_S…補正量、dV,dS…補正量(ゲイン制御後の高域輝度信号)、Vh,Vhk…高域明度信号、k,k1,k2…ゲイン制御量、k_STR_V,k_STR_S,k_TEX_V,k_TEX_S…補正係数(ゲイン制御量)、YVhk…高域合成信号、(V+Yhk),(V+Vhk),(V+YVhk)…合成明度信号、(S+Yhk)…合成彩度信号、STR1,STR2…ストラクチャー成分信号、STR1H…ストラクチャー高域成分信号、STR1L…ストラクチャー低域成分信号、TEX1,TEX2…テクスチャー成分信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に基づいて色空間変換を行うことにより、HSV色空間により規定される変換映像信号を生成する第1の色空間変換部と、
前記入力映像信号から直接もしくは間接的に得られる輝度(Y)信号における高域周波数成分を分離することにより、高域輝度信号を生成する第1の高域分離部と、
前記変換映像信号における明度(V)信号および彩度(S)信号のうちの少なくとも一方と、前記高域輝度信号とに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号および合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する合成部と、
前記変換映像信号における色相(H)信号と、前記変換映像信号における彩度信号または前記合成彩度信号と、前記変換映像信号における明度信号または前記合成明度信号と、から構成される映像信号に対して色空間変換を行うことにより、RGB色空間により規定される出力映像信号を生成する第2の色空間変換部と
を備えた映像信号処理装置。
【請求項2】
少なくとも前記高域輝度信号に対するゲイン制御を行うゲイン制御部を備え、
前記合成部は、前記明度信号および前記彩度信号のうちの少なくとも一方と、前記ゲイン制御がなされた後の高域輝度信号とに基づいて合成処理を行うことにより、前記合成明度信号および前記合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する
請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
前記色相信号、前記彩度信号および前記明度信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記ゲイン制御の際のゲイン制御量を算出する算出部を備えた
請求項2に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
前記明度信号の高域周波数成分を分離することにより、高域明度信号を生成する第2の高域分離部を備え、
前記合成部は、前記明度信号および前記彩度信号のうちの少なくとも一方と、前記高域輝度信号と前記高域明度信号とに基づく合成信号と、に基づいて合成処理を行うことにより、前記合成明度信号および前記合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
前記合成部は、前記明度信号および前記彩度信号のうちの少なくとも一方と、互いにゲイン制御がなされた後の高域輝度信号および高域明度信号同士の合成信号と、に基づいて合成処理を行うことにより、前記合成明度信号および前記合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する
請求項4に記載の映像信号処理装置。
【請求項6】
前記合成信号において、前記高域輝度信号と前記高域明度信号との間で所定の重み付けがなされている
請求項4に記載の映像信号処理装置。
【請求項7】
前記第1の高域分離部は、
前記輝度信号から、画像の輪郭を構成するストラクチャー成分信号と、画像の細部を構成するテクスチャー成分信号とそれぞれを分離すると共に、
これらのストラクチャー成分信号およびテクスチャー成分信号をそれぞれ、前記高域輝度信号として出力する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の映像信号処理装置。
【請求項8】
前記入力映像信号が、YCbCr色空間により規定される入力映像信号であり、
前記第1の高域分離部は、
前記YCbCr色空間により規定される入力映像信号における輝度信号から、前記テクスチャー成分信号と前記ストラクチャー成分信号とをそれぞれ分離すると共に、このストラクチャー成分信号を更に、ストラクチャー高域成分信号とストラクチャー低域成分信号とに分離し、
前記ストラクチャー高域成分信号と前記テクスチャー成分信号とをそれぞれ、前記高域輝度信号として出力する
請求項7に記載の映像信号処理装置。
【請求項9】
前記第1の色空間変換部は、前記YCbCr色空間により規定される入力映像信号における色差(Cb,Cr)信号と、前記第1の高域分離部から出力される前記ストラクチャー低域成分信号とから構成される映像信号に対して色空間変換を行うことにより、前記変換映像信号を生成する
請求項8に記載の映像信号処理装置。
【請求項10】
前記第1の色空間変換部は、RGB色空間により規定される入力映像信号に対して色空間変換を行うことにより、前記変換映像信号を生成するものであり、
前記RGB色空間により規定される入力映像信号に対して色空間変換を行うことにより、前記輝度信号を生成する第3の色空間変換部を備えた
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の映像信号処理装置。
【請求項11】
前記第1の色空間変換部は、YCbCr色空間により規定される入力映像信号に対して色空間変換を行うことにより、前記変換映像信号を生成するものであり、
前記第1の高域分離部は、前記YCbCr色空間により規定される入力映像信号における輝度信号を用いて、前記高域輝度信号を生成する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の映像信号処理装置。
【請求項12】
入力映像信号に基づいて色空間変換を行うことにより、HSV色空間により規定される変換映像信号を生成する第1の色空間変換部と、
前記入力映像信号から直接もしくは間接的に得られる輝度(Y)信号における高域周波数成分を分離することにより、高域輝度信号を生成する第1の高域分離部と、
前記変換映像信号における明度(V)信号および彩度(S)信号のうちの少なくとも一方と、前記高域輝度信号とに基づいて合成処理を行うことにより、合成明度信号および合成彩度信号のうちの少なくとも一方を生成する合成部と、
前記変換映像信号における色相(H)信号と、前記変換映像信号における彩度信号または前記合成彩度信号と、前記変換映像信号における明度信号または前記合成明度信号と、から構成される映像信号に対して色空間変換を行うことにより、RGB色空間により規定される出力映像信号を生成する第2の色空間変換部と、
前記出力映像信号に基づいて映像表示を行う表示部と
を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−263598(P2010−263598A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198677(P2009−198677)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】