説明

映像信号記録再生装置

【課題】多量に記録保存されているコンテンツの内容を一覧表示する時に用いるサムネイルが、常にコンテンツの内容を判別できるタイミングの画像として取得することができるように設定可能な映像信号記録再生装置を提供する。
【解決手段】地上波やBS、CSデジタル等の放送形態に対応して複数の放送受信チューナを備える放送受信手段と、この放送受信手段で受信したコンテンツの録画開始から予め設定された所定の遅延時間経過後の画像を選択しサムネイルとして取得するサムネイル生成手段と、前記放送受信手段の全受信チャンネル毎に前記所定の遅延時間を設定できるサムネイル取得時間設定手段とを備える映像信号記録再生装置とすることで、常にコンテンツの内容を判別できるタイミングのサムネイルが取得できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像信号記録再生装置に係り、特にハードディスクドライブなどのアクセス性の良い大容量記録媒体を使用し、記録コンテンツのサムネイル一覧表示が可能な映像信号記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送番組などの映像(及び音声)コンテンツの記録再生を行う記録再生装置としては、ビデオテープを記録媒体に用いたビデオテープレコーダ(VTR)が知られているが、近年では、ハードディスクドライブ(HDD)や光ディスク、半導体メモリなどの大容量化に伴い、これらアクセス性の良い記録媒体を用い、映像音声信号をデジタル記録する映像信号記録再生装置が普及してきている。
このような映像信号記録再生装置は、記録媒体上に多数のテレビ放送番組を保存することができるので、ユーザが録画済みのコンテンツを素早く探せるように、各映像コンテンツの一場面のサムネイル(縮小された画像)を作成しておき、これを一覧表示して内容確認を容易にする手段が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなサムネイルの一覧表示は、文字による一覧表示よりも視覚的にコンテンツの内容が分りやすいので重要な機能の一つであるが、しかし、サムネイル画像の選択が適切でないときには全く役に立たない場合もある。例えば、画像が大きく動いている場面や暗く沈んでいる場面では一枚のサムネイルでは何のコンテンツか判別できないし、又、広告の場面であれば、コンテンツには直接関係ない画像であるからやはりコンテンツの判別ができないという欠点がある。
【特許文献1】特開2002−100168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から行われているサムネイルの選択は、録画開始直後あるいはその数秒後の画像を一律に取り込むものであるが、前記したように、このタイミングの画像が常にコンテンツ内容を判別できるものであるとは限らない。ことに広告の入る民放局番組と広告が入らない有料放送番組、あるいはNHKの番組では、番組の開始点からの構成が異なるので一律のタイミングでサムネイルを選択したのでは具合が悪いことになる。
【0005】
また、近年放送が開始されたデジタル放送では、受信側の機器によっては映像音声信号に数秒の遅延が起きるので、サムネイル画像の取得タイミングはこのような受信側の遅延時間を考慮することも必要になる。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、HDDなどの記録媒体を用いる映像信号記録再生装置において、多量に記録保存されているコンテンツの内容を一覧表示する時に用いるサムネイルとして、広告等の場面を避け、常にコンテンツの内容を判別できる画像として取得することができるように、取得タイミングを細かく設定可能な映像信号記録再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決する手段として以下に記載の構成からなる。すなわち、ランダムアクセス可能で複数のコンテンツを記録再生できる大容量記録媒体を使用する映像信号記録再生装置において、放送局から放送される複数の放送番組を受信する放送受信手段と、前記放送受信手段で受信されたコンテンツの録画開始から予め設定された所定の時間経過後の画像を選択しサムネイルとして取得するサムネイル生成手段と、前記複数の放送番組に対して各放送局毎に前記サムネイルを取得する前記所定の時間を設定するサムネイル取得時間設定手段と、を有することを特徴とする映像信号記録再生装置である。
【発明の効果】
【0008】
録画済みコンテンツを一覧表示するときに使用するサムネイルの取得に当って、コンテンツの記録に用いる複数チューナ毎に、夫々全チャンネルについて、予め取得のタイミングを細かく設定しておくことができるので、広告の入る民放局であっても、又、伝送系の遅延時間が違っていても、取得したサムネイルは録画されているコンテンツを判別できる画像である確立が極めて高くなるので、多量のコンテンツから希望のものを探すのに有効となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る記録再生装置の構成を示すブロック図、図2はデジタル放送のTS(トランスポートストリーム)の構造を示す図、図3は本発明に係る記録再生装置に使用するリモコンの操作ボタンを示す図、図4〜図7はリモコンで操作中の画面表示の例を示す図である。
【0010】
まず、図1、図2を用いて本実施例における映像信号記録再生装置の構成及び動作を説明する。なお、本実施例における映像信号記録再生装置のチューナは、デジタル放送の受信のみに対応しているものとする。
図1において、1A、1B、1Cは放送受信アンテナである。本実施例の映像信号記録再生装置では、内部に3つのチューナを有しているので夫々に対応したアンテナを接続する。チューナ(1)2Aは地上デジタル放送を受信するチューナ、チューナ(2)2BはBS(放送衛星)デジタル放送を受信するチューナ、チューナ(3)2CはCS(通信衛星)デジタル放送を受信するチューナである。なお、上記BS、CSデジタル放送のアンテナは一つで共用できる場合もある。
各チューナが受信したデジタル放送の信号は、例えば、図2に示す放送TS(トランスポートストリーム)構造であり、188バイトのTSパケットと16バイトの誤り訂正符号の繰り返しで構成されている。TSパケットは更にSI(サービスインフォメーション)、EPG(電子番組表)、ビデオストリーム、オーディオストリームなどの信号が順次繰り返す構成になっている。
【0011】
各アンテナで受信した信号は、マイコン11からの制御により、夫々のチューナでチャンネルが選択されてから、誤り訂正、スクランブル解除等が行われ、次のDEMUX(デマルチプレクサ)3A、3B、3Cで夫々ビデオストリーム、オーディオストリーム、SI信号に分割されセレクタ4に入力される。
セレクタ4ではマイコン11の制御で入力された上記3種のビデオストリームとオーディオストリーム、SI信号から夫々1つが選択されて、ビデオストリームはビデオデコーダ5でビデオ信号に、オーディオストリームはオーディオデコーダ6でオーディオ信号に、そしてSI信号はSIデコーダ7で日付時刻情報等を有するSI情報がデコード(復号)される。
【0012】
復号されたビデオ信号はGUI(グラフィカルユーザインターフェース)合成回路8を経てビデオ出力端子18から、オーディオ信号はオーディオ出力端子17から夫々外部に出力されモニターテレビに表示される。
更に復号されたビデオ信号はビデオエンコーダ9に、オーディオ信号はオーディオエンコーダ10に供給され、夫々後述の記録に適したデジタル信号にエンコード(デジタル符号化)されて次のフォーマッタ13に入力される。
SIデコーダ7で復号されたSI情報は一旦マイコン11に入力され、ここで日付、時刻、タイトル、番組時間などの必要な情報を選択してフォーマッタ13と前記GUI合成回路8に供給する。GUI合成回路8では、これらのSI情報を前記ビデオ信号に合成して画面に表示できるようにする。
【0013】
フォーマッタ13では、前記ビデオエンコーダ9とオーディオエンコーダ10からのエンコード信号とマイコン11からのSI情報を所定の記録フォーマットの記録デジタル信号に変換し、次の記録再生回路14に出力する。記録再生回路14では、供給された記録デジタル信号を内蔵のハードディスクドライブであるHDD15か、着脱可能な記録媒体である光ディスク16に、もしくは両方同時に記録を行う。
【0014】
再生時には、HDD15か光ディスク16の再生デジタル信号は記録再生回路14を経てフォーマッタに送られ、ここでビデオストリーム、オーディオストリーム、SI信号に分割されて前記セレクタ4に供給される。以後、ビデオストリーム、オーディオストリームはセレクタ4を経由して前記ビデオデコーダ5とオーディオデコーダ6で復号され、ビデオ信号オーディオ信号として夫々の出力端子18、17から出力される。SI信号も記録時と同様にSIデコーダ7で復号され、マイコン11を経てGUI合成回路8でビデオ信号と合成される。
【0015】
次にサムネイルの記録について説明する。サムネイルは、フォーマッタ13に入力された前記ビデオのエンコード信号から、マイコン11が所定のタイミングで1フレームもしくは1フィールド分の画像情報を抜き出して縮小画像を生成し、他の管理情報と一緒に前記HDDの検索情報の記録領域に記録する。尚、サムネイルを抜き出す所定のタイミング等の詳細については後述する。
【0016】
次に、本実施例におけるサムネイルについて、図3及び図4〜図7を用いて詳細に説明する。まず、サムネイル画面を使った再生操作から説明する。
図3に示すリモコンの「モード」ボタンを押すとモニター画面には図5に示すようなモード選択画面が表示される。表示画面中の「一覧表示」、「編集」、「設定」の中から一つをリモコンの「右」「左」ボタンで選択し、中央の「決定」ボタンで確定する。図5では太枠の「一覧表示」が選択された状態を示しており、ここで「決定」ボタンを押すと、図4に示すサムネイル6枚の記録済み映像コンテンツの一覧画像が表示されるGUIモードに移行する。
更に、この図4の表示のときに「上」「下」「左」「右」ボタンを使って一つのサムネイルを選択する。同図では中央のコンテンツ5が選択された状態を示しているが、ここで「決定」ボタンを押すとコンテンツ5の映像コンテンツがテレビ画面に再生される。
【0017】
次に、サムネイルの生成について説明する。記録時にサムネイルを映像コンテンツの記録開始から何秒遅延した時間の画像から生成するかは次のような操作で設定する。
前出の図5に示すモード選択画面時に「設定」をリモコンの「左」「右」ボタンで選択し、「決定」ボタンを押すと、図6に示す設定メニュー画面に移行する。この画面でリモコンの「上」「下」ボタンで画面中の「サムネイル設定」を選択し決定すると、図7に示すサムネイル設定モードになる。
【0018】
この図7に示す例では、チューナ1、2、3とそれぞれのチューナの全チャンネル番号について個別にサムネイル生成タイミングを指定できるようになっている。
まず設定したいチューナのチャンネルの位置をリモコンの「上」「下」「右」「左」ボタンで選択して決定し、更に「上」「下」ボタンを操作するとチャンネル番号が増減して設定したいチャンネル数が指定できる。このとき、個別に設定する必要がない場合に備えて全チャンネルを一括して設定できるポジションを一つ設けておくと良い。
チャンネル数の選択が終わったら、次に「右」ボタンを押し「サムネイル開始(秒)」の位置を選択して「上」「下」ボタン操作で希望の数値に設定し、「決定」ボタンを押す。同様に次の「サムネイル補正(秒)」の位置を選択して設定する。
【0019】
このようにして設定されたとき、サムネイルは「サムネイル開始(秒)」と「サムネイル補正(秒)」の合計の値だけ録画開始点から遅延した時点の画面から生成されるようになる。また、この遅延時間の値はサムネイルと同時にHDDに記録しておくと後述のHDDから光ディスクへのダビング記録時に有効である。
【0020】
ここで上記「サムネイル開始(秒)」と「サムネイル補正(秒)」の好ましい設定例について補足説明する。
1.「サムネイル開始(秒)」の設定例
民放局などで番組表の開始時刻の冒頭で広告が入り、すぐにコンテンツが始まらない場合には、60秒から180秒などの比較的大きな値になる。この値は、放送局毎に異なるが同じ番組であればいつもほぼ一定であるから、一度実測してから設定するとよい
有料放送やNHK放送では番組表の開始時刻の冒頭からすぐにコンテンツが始まることが多いので1秒から10秒秒位の比較的小さな値がよい。
特に有料放送で同じジャンルのコンテンツを専門に放送するチャンネルは番組表の開始時刻からコンテンツが始まるまでの時間が一定しているので、そのタイミングを知って設定する。
2.「サムネイル補正(秒)」の設定例
従来の放送のように伝送路やチューナ内部での遅延がほとんどない場合には 「サムネイル補正(秒)」の値は0でよいが、デジタル放送ではこの遅延時間が大きくなる場合がある。この値の設定例としては2秒から5秒などの値が適しているが、衛星を利用したり伝送レートの高い高品質な放送形態の方が大きな値になる場合があるので、実測して設定することが望ましい。
【0021】
以上詳述したように、本実施例では、サムネイルの取得タイミングを各チューナ、各チャンネル毎に個別にきめ細かく設定できる手段を設けているので、生成されるサムネイル画像として各映像コンテンツの内容が判別しやすいような画像が取得できる確率を高くできるものである。ことに、民放局の広告が入るコンテンツの場合は冒頭の部分はサムネイルとして不適当であり、本発明により不都合を避けることができるようになる。
【0022】
なお、本実施例の映像信号記録再生装置で、HDD15に記録したコンテンツを光ディスク16へダビングする場合に、そのコンテンツを記録したときの上記「サムネイル補正(秒)」をHDD15から読み出し、その値だけ冒頭部分を削除して記録をすると、記録の始まり部分に、無駄な画像が入り込むことがなくなり良好な保存コンテンツが作成できるようになる。
【0023】
なお、図1に示した本実施例では、受信したトランスポートストリームを一旦アナログ信号にデコードしてから再度ディジタル信号にエンコードしてHDD15にデジタル記録しているが、デコードせずにセレクタ4からのデジタル信号のままフォーマット13でフォーマット変換して記録する構成も可能であり、その場合も本発明のサムネイルの取得設定は有効に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】デジタル放送のTS(トランスポートストリーム)の構造を示す図である。
【図3】リモコンの操作ボタンの一例を示す図である。
【図4】サムネイル一覧表示画面の表示例の図である。
【図5】モード選択画面の表示例の図である。
【図6】設定メニュー画面の表示例の図である。
【図7】サムネイル設定モードの表示例の図である。
【符号の説明】
【0025】
1A、1B、1C・・・放送受信アンテナ
2A、2B、2C・・・チューナ
3A、3B、3C・・・DEMUX(デマルチプレクサ)
4・・・セレクタ
5・・・ビデオデコーダ
6・・・オーディオデコーダ
7・・・SI(サービスインフォメーション)デコーダ
8・・・GUI(グラフィカルユーザインターフェース)合成回路
9・・・ビデオエンコーダ
10・・・オーディオエンコーダ
11・・・マイコン
12・・・赤外線リモコン受信部
13・・・フォーマッタ
14・・・記録再生回路
15・・・HDD(ハードディスクドライブ)
16・・・光ディスク
17・・・オーディオ出力端子
18・・・ビデオ出力端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムアクセス可能で複数のコンテンツを記録再生できる大容量記録媒体を使用する映像信号記録再生装置において、
放送局から放送される複数の放送番組を受信する放送受信手段と、
前記放送受信手段で受信されたコンテンツの録画開始から予め設定された所定の時間経過後の画像を選択しサムネイルとして取得するサムネイル生成手段と、
前記複数の放送番組に対して各放送局毎に前記サムネイルを取得する前記所定の時間を設定するサムネイル取得時間設定手段と、
を有することを特徴とする映像信号記録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−229821(P2006−229821A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43662(P2005−43662)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】