説明

映像信号IP伝送システム

【課題】 ユーザが遅延時間を容易に見積もれるようにする。
【解決手段】 複数のパラメータの設定入力に対応して、FEC(Forward Error Correction)の処理時間及びIP伝送時の遅延時間を夫々見積もる符号器及びIP送信器と、入力中の前記複数のパラメータと、該パラメータから見積もったFECの処理時間及びIP遅延時間とを、設定画面へ同時に表示する設定表示器(制御PC)と、を備える。また受信側には、前記符号器及びIP送信器に設定入力された前記複数のパラメータを、前記符号器若しくは前記IP送信器から受信し、該受信した複数のパラメータに基づいてジッタ発生時間及びFEC処理時間の設定を自動で行う復号器及びIP受信器を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、映像信号IP(Internet Protocol)伝送システムに関し、特に伝送時におけるFEC(Forward Error Correction)の処理時間とIP遅延時間の見積もりと設定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像信号のIP伝送において、IP伝送時の遅延時間は主にジッタの発生時間とFECの処理時間からなる。従来はジッタの発生時間はIP受信側にて設定可能であったが、FECの処理時間は受け取ったパケットをもとにIP受信器と復号器内部にて処理される。そのため、ユーザ側ではIP伝送時の遅延時間を知ることができない。しかし、従来は図1のように映像の符号化・復号化の処理時間が数百ms単位であったため、数十ms単位のIP伝送時の遅延時間はそれほど問題にはならなかった。
【0003】
ところで、近年、映像の符号化・復号化を低遅延化(数msから数十ms)したものが知られる(非特許文献1参照)。これに伴い、図2のようにIP伝送時の遅延時間の割合が大きくなり、無視できないものとなった。そのため、想定している環境でIP伝送の遅延時間がどの程度なのかを見積もりたいという要求が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−221676号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】”非圧縮方式のHDTV映像IP伝送装置 XG−2”、[online]、NTTアドバンステクノロジ株式会社、[平成22年9月24日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-at.co.jp/product/HDTV-IP_Gateway/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来、IP伝送時のFECの処理時間およびIP遅延時間がユーザ側(送信者型側)で見積もることができないという問題があった。本発明ではこれらの遅延時間を設定値から算出し、その結果を送信側の画面に表示するなどして簡易に見積もりすることができる無線通信装置および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る映像信号IP伝送システムは、複数のパラメータの設定入力に対応して、FECの処理時間及びIP伝送時の遅延時間を夫々見積もる符号器及びIP送信器と、
入力中の前記複数のパラメータと、該パラメータから見積もったFECの処理時間及びIP遅延時間とを、設定画面へ同時に表示する表示器と、を備える。
この表示器は、前記符号器及びIP送信器と、IP通信網を介して接続されうる。
【0008】
上記映像信号IP伝送システムは更に、前記符号器及びIP送信器に設定入力された前記複数のパラメータを、前記符号器若しくは前記IP送信器から受信し、該受信した複数のパラメータに基づいてジッタ発生時間及びFEC処理時間の設定を自動で行う復号器及びIP受信器を備える。
【発明の効果】
【0009】
送信側でFECの処理時間を含むIP伝送時の遅延時間を算出・表示することで、従来は知ることができなかった送信側の設定値に対するFEC処理時間、IP遅延時間をユーザ側が送信側のパラメータの入力とあわせて知ることが可能となる。これにより、設定段階でIP伝送の遅延時間を見積もることができるため、目的の用途に適したパラメータの設定とネットワークの選択が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】符復号化とジッタ発生およびFECの処理時間の例を示す図。
【図2】低遅延符復号化とジッタ発生およびFECの処理時間の例を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る送信側の設定画面の例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る受信側の設定画面の例を示す図。
【図5】実施例1の映像IP伝送システムの構成図。
【図6】実施例1の動作を示すフローチャート(送信側の設定後に受信側の設定を別途行う)。
【図7】実施例2の映像IP伝送システムの構成図。
【図8】実施例2の動作を示すフローチャート(送信側の設定時に自動で受信側の設定を行う)。
【図9】実施例3の映像IP伝送システムの構成図。
【図10】実施例3の動作を示すフローチャート(送信側の設定時に自動で受信側の設定を行う)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の課題を解決するに当たり、FECの処理時間が送信側の設定値(TSパケット数やFECのON/OFF、FECの冗長度、TSビットレート等)に依存することに着目する。
そこで、図3(受信側設定値)に示すように、符号器とIP送信器(以下、符号器とIP送信器を総称して送信側と呼ぶ)の設定画面において、各パラメータの設定項目に加え、これらの値から本来、復号器とIP受信器 (以下、IP受信器と復号器を総称して受信側と呼ぶ)の設定内容であるFECの処理時間およびIP遅延時間を自動で算出し表示する項目をジッタの発生時間の入力とあわせて別途追加する。これにより、送信側のパラメータ入力を行いながらFECの処理時間やIP遅延時間を見積もることが可能となる。
図3に示した設定画面は、符号器又はIP送信器のどちらかに一体か、或いはそれらとは別体に設けられる表示器に表示される。
受信側では、図4(受信側設定値)に示すように、送信側で表示・設定されたジッタ発生時間やFECの処理時間等を入力する。図中の灰色の箇所(図3ではFEC処理時間及びIP遅延時間、図4ではIP遅延時間のテキストボックス)は、画面内の他の設定値に応じて自動計算され、結果が表示されるものであり、入力操作は不能になっている。
【実施例1】
【0012】
実施例1として、図5に示すような符号器1と制御PC1、復号器1と制御PC2がそれぞれ独立して接続されている環境を考える。まず、制御PC1より符号器1にアクセスし、図6のような送信側の設定画面を表示。設定画面にて各設定値を入力し、これにより自動的に算出されるFECの処理時間およびIP伝送の遅延時間を見積もる。表示される遅延時間に問題がなければ設定ボタンを押して送信側の設定を実行する。設定ボタンを押すと符号器1とIP送信器1へ設定が行われる。見積もった遅延時間に問題があれば、TSビットレートやFECの冗長度等の調整(再設定)を行い、遅延時間を再度見積もる。送信側の設定が終わったら、制御PC2から復号器1にアクセスし、図7のような設定画面を表示。送信側の画面で見積もった受信側設定値(ジッタ発生時間など)を入力して設定ボタンを押す。設定ボタンを押すと復号器1とIP受信器1の設定が行われる。本実施例1のフローチャートを図6に示す。
【実施例2】
【0013】
実施例2として、図7のように制御PC3が符号器2および復号器2の双方にアクセス可能な場合を考える。この場合、制御PC3より符号器2へアクセスし、各パラメータの入力を行う。見積もった遅延時間に問題がなければ設定ボタンにて送信側の設定を行う。この実施例では、送信側の設定とあわせて受信側の設定が行われる。本実施例2のフローチャートを図8に示す。
【実施例3】
【0014】
実施例3として、図9のように制御PC4から符号器3へアクセス可能であり、符号器3の設定情報が復号器3へ送信可能な場合を考える。この場合、制御PC4より符号器3へアクセスし、各パラメータの入力を行う。見積もった遅延時間に問題がなければ設定ボタンにて送信側の設定を行う。この実施例では、送信側の設定が行われると、送信側の設定情報が復号器3へ送信され、受信側の設定も行われる。本実施例3のフローチャートを図10に示す。
【0015】
以上の説明で、符号器とIP送信器は別体とし、IP受信器と復号器は別体として図示したが、これらは夫々一体に構成しても良い。
【符号の説明】
【0016】
1…設定情報:送信側および受信側の設定項目とパラメータに関する情報
2…映像信号:映像出力装置から出力される映像信号(圧縮・符号化前)
3…符号化映像信号:映像信号2を圧縮・符号化した信号
4…IPパケット:符号化映像信号3をIP送信部でIPパケットへ変換したもの
5…符号化映像信号:IPパケット4をIP受信部にて映像信号へ変換した信号
6…映像信号:符号化映像信号5を伸張・復号化した信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパラメータの設定入力に対応して、FEC(Forward Error Correction)の処理時間及びIP伝送時の遅延時間を夫々見積もる符号器及びIP送信器と、
入力中の前記複数のパラメータと、該パラメータから見積もったFECの処理時間及びIP遅延時間とを、設定画面へ同時に表示する設定表示器と、を備えた映像信号IP伝送システム。
【請求項2】
前記符号器及びIP送信器に設定入力された前記複数のパラメータを、前記符号器若しくは前記IP送信器から受信し、該受信した複数のパラメータに基づいてジッタ発生時間及びFEC処理時間の設定を自動で行う復号器及びIP受信器を備えたことを特徴とする請求項1記載の映像信号IP伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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