説明

映像合成表示装置

【課題】複数のカメラにより撮影されている映像中の物体を関連付けて表示して、滑らかで見やすい映像を提供することができる映像合成表示装置を得ることを目的とする。
【解決手段】カメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する変換パラメータ算出部12と、変換パラメータ算出部12により算出された変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成する映像変換合成部14とを設け、映像表示部15が映像変換合成部14により合成された映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のカメラにより撮影された映像を合成して表示する映像合成表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のカメラを用いて、映像を監視する監視装置のカメラ映像表示方法では、複数の映像を並べて表示したり、指定された映像を拡大して表示したりすることが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
複数のカメラにより撮影された映像を並べて表示する際、1台の表示装置の画面を分割して、複数の映像を各分割画面に割り当てることがあるが、この場合、複数の映像が別々の映像として表示されるため、監視員が一度に複数の映像を同時に確認することが困難である。
例えば、監視員が、あるカメラにより撮影された映像を注視して、動く物体を監視しているとき、そのカメラから見えない障害物の裏側などに、動く物体が移動した場合、その障害物の裏側を撮影している別のカメラの映像を見る必要があるが、どのカメラが障害物の裏側を撮影しているのか直ちに把握することができず、動く物体の監視が困難になることがある。
【0003】
これに対して、複数のカメラにより撮影された映像の特定色の部分を透明化して、他の映像と重ねあわせ、複数のカメラ映像を1つの映像に合成するクロマキー処理を実施する映像合成表示装置が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
ただし、クロマキー処理を実施して、複数の映像を1つの映像に重ね合わせて合成する場合、単純に特定の色をキーにして、映像を切り出して重ね合わせているだけであり、複数の映像間の位置合わせなどを実施していないため、複数のカメラ間の関連性がなく、複数のカメラにより撮影されている映像中の物体を関連付けて表示することができない。
【0004】
【特許文献1】特開2000−92483号公報(段落番号[0011]から[0012]、図1)
【特許文献2】特開2006−270887号公報(段落番号[0018]から[0020]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の映像合成表示装置は以上のように構成されているので、複数のカメラにより撮影された映像を1つの映像に合成して表示することができる。しかし、複数の映像間の位置合わせなどが実施されないため、複数のカメラ間の関連性がなく、複数のカメラにより撮影されている映像中の物体を関連付けて表示することができない。このため、合成映像が不自然で見づらい映像になってしまうなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数のカメラにより撮影されている映像中の物体を関連付けて表示して、滑らかで見やすい映像を提供することができる映像合成表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る映像合成表示装置は、映像取得手段により取得された映像間の変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、変換パラメータ算出手段により算出された変換パラメータを用いて、映像取得手段により取得された映像を変換して、複数の映像を合成する映像変換合成手段とを設け、映像表示手段が映像変換合成手段により合成された映像を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、映像取得手段により取得された映像間の変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、変換パラメータ算出手段により算出された変換パラメータを用いて、映像取得手段により取得された映像を変換して、複数の映像を合成する映像変換合成手段とを設け、映像表示手段が映像変換合成手段により合成された映像を表示するように構成したので、複数のカメラにより撮影されている映像中の物体を関連付けて表示することができるようになり、その結果、滑らかで見やすい映像を提供することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による映像合成表示装置を示す構成図であり、図において、カメラ1は映像を撮影するビデオカメラであり、その映像を映像取得部11に出力する。
カメラ2はカメラ1と異なる位置に設置されて、カメラ1と異なる撮影視野を有するビデオカメラであり、撮影した映像を映像取得部11に出力する。
図1では、説明の簡単化のため、2台のカメラが設置されている例を示しているが、これは一例に過ぎず、3台以上のカメラが設置されていてもよい。
【0010】
映像取得部11はカメラ1,2により撮影された映像を取得し、複数の映像を一時的に内部メモリに格納する処理を実施する。なお、映像取得部11は映像取得手段を構成している。
変換パラメータ算出部12は映像取得部11の内部メモリに格納されたカメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する処理を実施する。
変換パラメータ記憶部13は変換パラメータ算出部12により算出された変換パラメータを記憶するメモリである。
なお、変換パラメータ算出部12及び変換パラメータ記憶部13から変換パラメータ算出手段が構成されている。
【0011】
映像変換合成部14は変換パラメータ記憶部13に記憶されている変換パラメータを用いて、映像取得部11の内部メモリに格納されたカメラ2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成する処理を実施する。なお、映像変換合成部14は映像変換合成手段を構成している。
映像表示部15は例えば液晶ディスプレイなどの表示装置であり、映像変換合成部14により合成された映像を表示する処理を実施する。なお、映像表示部15は映像表示手段を構成している。
【0012】
図1では、映像合成表示装置の構成要素である映像取得部11、変換パラメータ算出部12、映像変換合成部14及び映像表示部15のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、MPUを実装している半導体集積回路)で構成されているものを想定しているが、例えば、映像合成表示装置がコンピュータで構成される場合、映像取得部11、変換パラメータ算出部12、映像変換合成部14及び映像表示部15の処理内容を記述しているプログラムを当該コンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
【0013】
図2はこの発明の実施の形態1による映像合成表示装置の変換パラメータ算出部12の処理内容を示すフローチャートである。
また、図3はこの発明の実施の形態1による映像合成表示装置の映像変換合成部14及び映像表示部15の処理内容を示すフローチャートである。
【0014】
次に動作について説明する。
図4はカメラ1,2の配置を上方からみたカメラ配置図である。
図4において、VF1はカメラ1の撮影視野であり、撮影視野VF1内には不透明な物体A,B,Cが存在している。
VF2はカメラ2の撮影視野であり、撮影視野VF2内には不透明な物体B,Cが存在している。
なお、図4の例では、物体Aの背後を撮影する位置にカメラ2が設置されている。
【0015】
図5はカメラ1,2により撮影された映像の一例を示す説明図である。
図5の例では、カメラ1の映像には物体A,Bが写っているが、物体Cは物体Aの奥に位置しているため、カメラ1の映像には物体Cが写っていない。
一方、カメラ2の映像には物体B,Cが写っている。
なお、カメラ1,2の映像には床Fと壁Wも写っている。
【0016】
映像取得部11は、カメラ1,2が映像を撮影すると、カメラ1,2の映像を取得して、カメラ1,2の映像を一時的に内部メモリに格納する。
変換パラメータ算出部12は、映像取得部11がカメラ1,2の映像を内部メモリに格納すると、その内部メモリに格納されたカメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する。
以下、変換パラメータ算出部12における変換パラメータの算出処理を具体的に説明する。
【0017】
まず、変換パラメータ算出部12は、映像取得部11の内部メモリからカメラ1,2の映像を取得する(ステップST1)。
変換パラメータ算出部12は、カメラ1,2の映像を取得すると、カメラ1,2の映像を比較して、カメラ1の映像には写っているが、カメラ2の映像には写っていない物体を障害物に設定する(ステップST2)。
図5の例では、物体Cが物体Aの奥に位置しており、カメラ2の映像には物体Aが写っていないので、物体Aを障害物に設定する。
【0018】
ここでは、変換パラメータ算出部12がカメラ1,2の映像を比較して障害物を設定するものについて示したが、これに限るものではなく、例えば、距離センサなどの物体の3次元位置を測定するセンサを利用して、カメラ1から距離の近い物体Aを検出し、距離の近い物体Aを障害物として設定するようにしてもよい。
また、変換パラメータ算出部12がマウスやディスプレイなどのマンマシンインタフェースを備えることにより、ユーザがカメラ1,2の映像を見て、手動で物体Aを障害物として設定するようにしてもよい。
【0019】
変換パラメータ算出部12は、物体Aを障害物に設定すると、障害物である物体Aのエッジの後ろに位置している物体Bと、物体Aの頂点に着目して、物体Aのエッジを分割する(ステップST3)。
以下、物体Aのエッジの分割処理を具体的に説明する。
【0020】
図6は物体Aのエッジの分割を説明する説明図である。
図6において、分割点P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7は物体Aのエッジを分割する際に基準となる点である。
特に、分割点P1,P2は、物体Aのエッジと物体Bが重なる点であり、分割点P3,P4,P6,P7は物体Aの頂点である。
また、分割点P5は、床Fと壁Wの境界に位置する点である。
【0021】
エッジE1は分割点P1と分割点P2を両端に有するエッジである。
エッジE2は分割点P2を始点として、分割点P3,P4を通って、分割点P5を終点とするエッジである。
エッジE3は分割点P5を始点として、分割点P6,P7を通って、分割点P1を終点とするエッジである。
【0022】
変換パラメータ算出部12は、物体Aのエッジの背景に着目し、背景が同じ平面にある区間に分けて、物体Aのエッジを分割する。
図6の例では、障害物である物体Aのエッジのうち、物体Bと接しているエッジ(カメラ1の映像上で、物体Bと接している物体Aのエッジ)は、分割点P1と分割点P2を結ぶエッジであり、そのエッジは1つの平面であるため、分割点P1と分割点P2を結ぶエッジがエッジE1として分割される。
また、床Fは1つの平面であるため、床Fの平面にある区間のエッジがエッジE2として分割される。
また、壁Wは1つの平面であるため、壁Wの平面にある区間のエッジがエッジE3として分割される。
【0023】
図6の例では、すべての背景が平面で構成されているものについて示しているが、背景が曲面で構成されているものであってもよい。
この場合は、曲面を平面とみなせる領域に分割することで、本手法を利用することが可能となる。
なお、背景の平面検出は、距離センサを用いて検出するようにしてもよいし、ユーザが検出して指定するようにしてもよい。
【0024】
また、背景の平面は、カメラ1,2の映像について画像処理を行うことでも検出することができる。
カメラ1,2の映像において、カメラ1の映像内の同じ平面上にある座標は、ある1つの平面射影変換という座標変換を用いて、カメラ2の映像の座標に変換できることが知られている。
つまり、同じ平面射影変換で座標変換可能な点は、同じ平面上にあることがわかる。
したがって、カメラ1,2の映像から位置を示す特徴点を抽出し、それらの特徴点を平面射影変換毎に分けることで、平面の検出が可能である。
【0025】
変換パラメータ算出部12は、物体Aのエッジを分割すると、物体Aのエッジの座標をカメラ1の映像における座標からカメラ2の映像における座標に変換する(ステップST4)。
ここで、図7は物体Aのエッジの変換例を示す説明図である。
図7(a)において、視野VF1−Aは、カメラ1の撮影視野VF1のうち、物体Aが占める部分である。
交点I1は視野VF1−Aが物体Bと交わる点、交点I2,I3は視野VF1−Aが壁Wと交わる点である。
また、視野VF2−Iは、カメラ2の撮影視野VF2のうち、交点I1,I2,I3を通る直線を示している。
図7(b)において、点N1,N2,N3,N4,N5,N6,N7,N8,N9,N10は変換の結果、新たに生成された点であり、エッジE1’はエッジE1から変換されたエッジ、エッジE2’はエッジE2から変換されたエッジ、エッジE3’はエッジE3から変換されたエッジである。
【0026】
カメラ1,2の映像において、同じ平面上にある点は、平面射影変換によって、カメラ1の映像上の点から、カメラ2の映像上の点に変換することができる。
したがって、この実施の形態1の例では、3つの平面(エッジE1の背面物体である物体Bの平面、床Fの平面、壁Wの平面)に対する平面射影変換を求めれば、カメラ1の映像上の点から、カメラ2の映像上の点に変換することができる。
【0027】
ここで、平面射影変換の求め方については、特に限定するものではないが、例えば、平面上の4点以上の点があれば、平面射影変換を求めることができるため、物体Bの平面上において、カメラ1,2の映像で共通している4点を抽出すれば、物体Bの平面に関する平面射影変換を求めることができる。
床F、壁Wに関しても、床F、壁Wの平面上において、カメラ1,2の映像で共通している4点を抽出すれば、床F、壁Wの平面に関する平面射影変換を求めることができる。
【0028】
変換パラメータ算出部12は、上記のようにして、平面射影変換を求めると、その平面射影変換を用いて、エッジE1,E2,E3上の点を変換する。
例えば、分割点P1は、物体B上の交点I1と、壁W上の交点I2との2つの平面上にあるとみなせるため、分割点P1については、物体Bの平面射影変換を用いれば点N2に変換され、壁Wの平面射影変換を用いれば点N1に変換される。
【0029】
以下、同様にして、分割点P2,P3,P4,P5,P6,P7を平面射影変換すると、変換点が点N3,N5,N6,N8,N9,N10となる。
ただし、変換された点N5,N6については、カメラ2の映像の範囲の外になってしまうため、点N3と点N5を結んだ線分と、カメラ2の映像のエッジとの交点N4を求め、以降、点N5の代わりに点N4を使用する。
また、点N8と点N6を結んだ線分と、カメラ2の映像のエッジとの交点N7を求め、以降、点N6の代わりに点N7を使用する。
【0030】
変換パラメータ算出部12は、分割点P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7を点N2,N3,N4,N7,N8,N9,N10に変換すると、エッジE1を変換したエッジE1’として、点N2と点N3を結ぶ線分を求める。
また、エッジE2を変換したエッジE2’として、点N3,N4,N7,N8を結ぶ線分を求める。
また、エッジE3を変換したエッジE3’として、点N8,N9,N10,N11,N11を結ぶ線分を求める。
【0031】
変換パラメータ算出部12は、上記のようにして、エッジE1’,E2’,E3’を求めると、変換前のエッジE1,E2,E3と変換後のエッジE1’,E2’,E3’を用いて、カメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する(ステップST5)。
ここで、図8は変換パラメータの算出を説明する説明図である。
以下、変換パラメータの算出を具体的に説明する。
【0032】
まず、変換パラメータ算出部12は、変換前のエッジE1,E2,E3上の点の数と、変換後のエッジE1’,E2’,E3’上の点の数とを同じにするため、変換前のエッジE1,E2,E3上に新たに点を挿入する。
即ち、変換パラメータ算出部12は、1つの分割点P1から2つの点N1,N2を生成しており、変換後のエッジE1’,E2’,E3’上の点の数の方が1つ多いので、図8(a)の例では、分割点P1の両側に新たな点N21,N22を挿入して、分割点P1を削除している。
次に、変換パラメータ算出部12は、変換前のエッジE1,E2,E3に囲まれた図形の重心G1と、変換後のエッジE1’,E2’,E3’に囲まれた図形の重心G2とを求める。
【0033】
次に、変換パラメータ算出部12は、図形の重心G1と変換前のエッジE1,E2,E3上の各点とを結ぶ三角形を求める。
また、図形の重心G2と変換後のエッジE1’,E2’,E3’上の各点とを結ぶ三角形を求める。
図8に示すように、変換前のエッジE1,E2,E3上の点の数と、変換後のエッジE1’,E2’,E3’上の点の数とを同じにしているため、同じ数の三角形(8個の三角形)が求まる。
【0034】
変換パラメータ算出部12は、同じ数の三角形を求めると、対応関係がある三角形を特定する。
例えば、重心G1と分割点P6,P7からなる三角形と、重心G2と点N9,N10からなる三角形とは対応関係があり、また、重心G1と分割点P5,P6からなる三角形と、重心G2と点N8,N9からなる三角形とは対応関係がある。
図9は対応関係がある三角形を示す説明図である。
【0035】
変換パラメータ算出部12は、三角形間の対応関係を特定すると、対応関係がある三角形間の変換パラメータ(カメラ1,2の映像間の変換パラメータ)を算出する。
即ち、変換パラメータ算出部12は、一方の三角形の形状を他方の三角形の形状に変形するため、三角形の内部点の座標変換パラメータとして、三角形間の変換パラメータを算出する。
三角形間の変換パラメータの算出は、幾何学分野において公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、例えば、対応関係がある2つの三角形の重心を基準にして、2つの三角形の合同性から変換パラメータを算出すればよい。
ここで、図10は変換パラメータを用いて、エッジE1’,E2’,E3’に囲まれた図形(図8(b)のカメラ2の映像を参照)をエッジE1,E2,E3に囲まれた図形(図8(a)のカメラ1の映像を参照)上に変換している例を示す説明図である。
変換パラメータ算出部12は、上記のようにして、カメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出すると、その変換パラメータを変換パラメータ記憶部13に格納する。
【0036】
映像変換合成部14は、変換パラメータ算出部12が変換パラメータを変換パラメータ記憶部13に格納すると、その変換パラメータを用いて、映像取得部11の内部メモリに格納されたカメラ2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成する。
以下、映像変換合成部14の処理内容を具体的に説明する。
【0037】
映像変換合成部14は、変換パラメータ算出部12が変換パラメータを変換パラメータ記憶部13に格納すると、その変換パラメータ記憶部13から変換パラメータの読み込みを行う(ステップST11)。
次に、映像変換合成部14は、映像取得部11の内部メモリに格納されたカメラ1,2の映像を取得する(ステップST12)。
ただし、映像変換合成部14が取得するカメラ1,2の映像は、変換パラメータ算出部12により取得されたカメラ1,2の映像と同じであり、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2が変更されていないものとする。
【0038】
次に、映像変換合成部14は、図10に示すように、読み込んだ変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換し(ステップST13)、カメラ1の映像に対して、変換後のカメラ2の映像を半透明に重ね合わせて、2つの映像の合成を行う(ステップST14)。
図11は合成後の映像の一例を示す説明図である。
映像表示部15は、映像変換合成部14がカメラ2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成すると、合成後の映像を表示する(ステップST15)。
【0039】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、カメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する変換パラメータ算出部12と、変換パラメータ算出部12により算出された変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成する映像変換合成部14とを設け、映像表示部15が映像変換合成部14により合成された映像を表示するように構成したので、カメラ1,2により撮影されている映像中の物体を関連付けて表示することができるようになり、その結果、滑らかで見やすい映像を提供することができる効果を奏する。
即ち、異なる視点のカメラ1,2の映像をある映像の視点に合わせて変形して表示するため、カメラ1,2間の位置関係を容易に把握することができる。また、障害物の裏を透過的に表示するため、ユーザはカメラ1,2を切り替えることなく、移動する物体を監視することができる。
【0040】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、変換パラメータ算出部12が三角形間の対応関係を特定し、対応関係がある三角形間の変換パラメータを算出するものについて示したが、図12に示すように、カメラ1の映像における各画素の座標(x1,y1)と、カメラ2の映像における各画素の座標(x2,y2)との対応関係を特定し、対応関係がある各画素の座標(x1,y1),(x2,y2)を変換パラメータとしてテーブル化するようにしてもよい。
この場合、カメラ1,2の映像間の変換パラメータを画素単位で記述しているので、任意の映像変換手法(例えば、ユーザが映像を見ながら変形を行う変形手法や、モーフィングで用いられている変形手法)を、カメラ2の映像の変換に適用することができる。
【0041】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、変換パラメータ算出部12がカメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出すると、映像変換合成部14が変換パラメータ算出部12により算出された変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換するものについて示したが、映像変換合成部14の繰り返し処理は、図3のステップST12〜ST15の範囲であり、新たなカメラ1,2の映像を取得しても、同じ変換パラメータを用いるようにしている。
この場合、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2が変更されず、物体A,B,Cの位置や姿勢に変化がなければ、カメラ1,2の映像をズレなく合成することができるが、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2、あるいは、物体A,B,Cの位置や姿勢に変化が生じると、カメラ1,2の映像にズレが生じる。
【0042】
そこで、この実施の形態3では、図13に示すように、変換パラメータ算出部12についても、新たなカメラ1,2の映像を取得して、繰り返し変換パラメータを算出し、映像変換合成部14が変換パラメータ算出部12により算出された最新の変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換するようにする。
この場合、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2に変更が生じたり、物体A,B,Cの位置や姿勢に変化が生じたりしても、カメラ1,2の映像をズレなく合成することができる。
【0043】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、変換パラメータ算出部12がカメラ1,2の映像を取得する毎に、繰り返し変換パラメータを算出するものについて示したが、映像取得部11により取得されたカメラ1,2の映像に変化がある場合に限り、変換パラメータ算出部12が変換パラメータを算出するようにしてもよい。
具体的には、以下の通りである。
図14はこの発明の実施の形態4による映像合成表示装置の変換パラメータ算出部12、映像変換合成部14及び映像表示部15の処理内容を示すフローチャートである。
【0044】
変換パラメータ算出部12は、映像取得部11からカメラ1,2の映像を取得すると(ステップST1)、例えば、今回のカメラ1,2の映像と、前回のカメラ1,2の映像とを比較して、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2に変更が生じているか否かを判定する。また、物体A,B,Cの位置や姿勢に変化が生じているか否かを判定する(ステップST21)。
変換パラメータ算出部12は、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2に変更が生じている場合、あるいは、物体A,B,Cの位置や姿勢に変化が生じている場合には、上記実施の形態1と同様にして、カメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する。
この場合、映像変換合成部14は、変換パラメータ算出部12により算出された最新の変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換するようになる。
【0045】
変換パラメータ算出部12は、カメラ1,2の位置や撮影視野VF1,VF2に変更が生じておらず、物体A,B,Cの位置や姿勢に変化が生じていない場合には、カメラ1,2の映像間の変換パラメータを算出する処理を省略する。
この場合、映像変換合成部14は、前回の変換に用いた変換パラメータと同じ変換パラメータを用いて、カメラ2の映像を変換するようになる。
【0046】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、映像取得部11により取得されたカメラ1,2の映像に変化がある場合に限り、変換パラメータ算出部12が変換パラメータを算出するように構成したので、変換パラメータを変更する必要がない場合には変換パラメータの算出処理を省略することができるようになり、装置の速度性能を高めることができる効果を奏する。
【0047】
なお、上記実施の形態1〜4では、カメラ2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成するものについて示したが、カメラ1の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成するようにしてもよいし、カメラ1,2の映像を変換して、カメラ1,2の映像を合成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態1による映像合成表示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による映像合成表示装置の変換パラメータ算出部12の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1による映像合成表示装置の映像変換合成部14及び映像表示部15の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】カメラ1,2の配置を上方からみたカメラ配置図である。
【図5】カメラ1,2により撮影された映像の一例を示す説明図である。
【図6】物体Aのエッジの分割を説明する説明図である。
【図7】物体Aのエッジの変換例を示す説明図である。
【図8】変換パラメータの算出を説明する説明図である。
【図9】対応関係がある三角形を示す説明図である。
【図10】変換パラメータを用いて、エッジE1’,E2’,E3’に囲まれた図形をエッジE1,E2,E3に囲まれた図形上に変換している例を示す説明図である。
【図11】合成後の映像の一例を示す説明図である。
【図12】カメラ1,2の映像間の変換パラメータの算出方法を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態3による映像合成表示装置の変換パラメータ算出部12、映像変換合成部14及び映像表示部15の処理内容を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態4による映像合成表示装置の変換パラメータ算出部12、映像変換合成部14及び映像表示部15の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 カメラ、2 カメラ、11 映像取得部(映像取得手段)、12 変換パラメータ算出部(変換パラメータ算出手段)、13 変換パラメータ記憶部(変換パラメータ算出手段)、14 映像変換合成部(映像変換合成手段)、15 映像表示部(映像表示手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラにより撮影された映像を取得する映像取得手段と、上記映像取得手段により取得された映像間の変換パラメータを算出する変換パラメータ算出手段と、上記変換パラメータ算出手段により算出された変換パラメータを用いて、上記映像取得手段により取得された映像を変換して、複数の映像を合成する映像変換合成手段と、上記映像変換合成手段により合成された映像を表示する映像表示手段とを備えた映像合成表示装置。
【請求項2】
映像変換合成手段は、変換パラメータ算出手段により算出された変換パラメータを用いて、障害物の背後が写されている映像を変換し、変換後の映像を上記障害物が写されている映像に合成することを特徴とする請求項1記載の映像合成表示装置。
【請求項3】
変換パラメータ算出手段は、映像に写されている障害物のエッジを上記エッジの背後にある平面毎に分割して、分割後のエッジを上記障害物の背後が写されている映像上に変換し、変換前のエッジと変換後のエッジから変換パラメータを算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の映像合成表示装置。
【請求項4】
変換パラメータ算出手段は、映像取得手段が映像を取得する毎に、上記映像取得手段により取得された映像間の変換パラメータを算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の映像合成表示装置。
【請求項5】
変換パラメータ算出手段は、映像取得手段により取得された映像に変化がある場合、上記映像取得手段により取得された映像間の変換パラメータを算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の映像合成表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−55332(P2009−55332A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219974(P2007−219974)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】