説明

映像投射装置、映像出力装置

【課題】色調などの映像調整に慣れていない場合であっても簡単に所望する調整がされた画像を投影させることができるようにする。
【解決手段】データプロジェクタ装置3は、映像調整の対象とする項目を含むメニューを投影してユーザにより指定させる。キースイッチ部69から項目の指定を入力すると、制御部66は、画像変換部53に対して、この指定された項目に対応する映像調整を、RAM71に記憶された投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成させる。そして、この生成された複数の画像を一覧にして投影させる。制御部66は、この画像一覧中からユーザが何れかを指定すると、この指定された画像に対して施された映像調整を投影対象とする画像に対して施して投影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色調や明るさなどの調整機能を有するプロジェクタなどの映像投射装置、同映像投射装置の映像調整方法、映像調整プログラム、及び映像投射装置によって投影させる画像を出力する映像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタなどの映像投射装置には、その使用環境に応じて投影される画像の色調を調整する機能が設けられている。例えば、投影するスクリーンや壁の色、照明環境、ランプの状態などによって、投影映像によって紹介しようとする画像資料や商品の色の色味が実物と微妙に違う場合があり、これらの色味の違いを調整できるようにするためである。
【0003】
例えば、医療カンファレンスにおける臓物や血の色、商品紹介における生鮮食料品、洋服、車などの色、学校での理科の授業におけるリトマス試験紙の色など、映像投影装置を用いて投射される画像を実物と同じ色として認識できるように色調整が必要となる状況は多い。
【0004】
従来では、映像投影装置における色調を調整する機能として、色調整バーを用いて観測者の好みによる任意の色の調整を行うものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された映像投影装置では、予め記憶されている基準画像及び同基準色画像のパラメータ(輝度、色相又は飽和度のうちの少なくとも一つ)が異なる複数種類の色画像をスクリーン投影する。そして、観測者の目視による判定に基づいて色画像から基準色画像に最も近い色画像を選択させ、さらに色画像を基準色画像とし、複数の色調整バーを用いて観測者の好みによる任意の色の微調整を実行させることで、色調整された映像信号に基づく映像をスクリーンへ投射させている。
【特許文献1】特開2004−15522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように特許文献1に記載された従来の映像投射装置では、基準画像を観測者が選択し、この基準画像の色を調整するために複数の色調整バーを表示し、この色調整バーに対する操作により色の微調整をしていた。
【0006】
このため基準画像に対しては、観測者が意図した色に調整することができるが、スクリーンに投影しようとする実際の画像で用いられている色が意図したように調整されるかわからない。また、複数の色調整バーを個々に操作し、その複数の色調整バーによる調整の組み合わせにより色調整をしなければならず、この複雑で技術を要する操作に慣れていない観測者の場合には、最適な色調整をすることが困難となっていた。
【0007】
本発明の課題は、色調などの映像調整に慣れていない場合であっても簡単に所望する調整がされた画像を投影させることが可能な映像投射装置、映像投射装置の映像調整方法、映像調整プログラム、及び映像出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、映像調整機能を有する映像投射装置において、映像調整の対象とする項目を選択する項目選択手段と、前記項目選択手段によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段によって生成された複数の画像を一覧にして投影する画像一覧投影手段と、前記画像一覧投影手段により投影された複数の画像から何れかを選択する画像選択手段と、前記画像選択手段により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して投影する調整画像投影手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記対象項目には、複数の基本色を含み、前記画像生成手段は、選択された基本色の調整レベルが異なる色調整した複数の画像を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記対象項目には、明るさを含み、前記画像生成手段は、明るさを変更した複数の画像を生成することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記画像選択手段によって選択された画像に対する色調変更の内容を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された色調調整の設定に応じて画像を投影する画像投影手段とを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、映像調整機能を有する映像投射装置の映像調整方法において、映像調整の対象とする項目を選択する項目選択工程と、前記項目選択工程によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成工程と、前記画像生成工程によって生成された複数の画像を一覧にして投影する画像一覧投影工程と、前記画像一覧投影工程により投影された複数の画像から何れかを選択する画像選択工程と、前記画像選択工程により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して投影する調整画像投影工程とを有したことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、映像調整機能を有する映像投射装置に搭載されたコンピュータを、映像調整の対象とする項目を選択する項目選択手段と、前記項目選択手段によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段によって生成された複数の画像を一覧にして投影する画像一覧投影手段と、前記画像一覧投影手段により投影された複数の画像から何れかを選択する画像選択手段と、前記画像選択手段により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して投影する調整画像投影手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、映像調整機能を有する映像出力装置において、映像調整の対象とする項目を選択する項目選択手段と、前記項目選択手段によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段によって生成された複数の画像を一覧にした画像を出力する画像一覧出力手段と、前記画像一覧出力手段により出力された複数の画像から何れかを選択する画像選択手段と、前記画像選択手段により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して出力する調整画像出力手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,5,6記載の発明によれば、映像調整の対象として選択された項目、例えば基本色や明るさ(明るい、暗い)などに対応する映像調整を、投影対象とする元の画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成して投影するので、各調整レベルにより調整された画像がその使用環境下でどのように投影されるかを、実際に投影された画像から確認して選択することができる。従って、調整操作に慣れていないユーザであっても簡単に使用環境に合った所望する映像調整された画像を投影させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、対象項目として複数の基本色、例えばレッド、シアン、グリーン、マゼンタ…などを含め、これらの基本色の何れかを選択させることで、この選択された基本色を調整した複数の画像を投影させて選択することができるので、簡単に所望する色調調整された画像を投影させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、対象項目として画像の明るさ(明るい、暗い)を含め、明るさの調整レベルを調整した複数の画像を投影させて選択することができるので、簡単に所望する明るさが調整された画像を投影させることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、複数の画像から所望する映像調整が施された画像を選択することで、この選択された画像に対する映像調整の内容が設定されるので、その後、同じ使用環境で画像を投影する場合にそこの設定内容を用いて映像調整を施して投影することができる。従って、使用するたびに映像調整の作業を行う必要がなくなる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、映像投射装置によって投影される画像を出力する映像出力装置、例えば画像を撮影するカメラ装置や投影対象とする画像を扱うアプリケーションを実行するパーソナルコンピュータなどの情報装置において、映像調整の対象として選択された項目、例えば基本色や明るさ(明るい、暗い)などに対応する映像調整を、投影対象とする元の画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成して出力し、映像投射装置によって投影させるので、各調整レベルにより調整された画像がその使用環境下でどのように投影されるかを、実際に投影された画像から確認して選択することができる。従って、調整操作に慣れていないユーザであっても簡単に使用環境に合った所望する映像調整された画像を投影させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態におけるシステムの構成を示す図である。図1は、本発明を書画カメラ装置、パーソナルコンピュータ(PC)、及びデータプロジェクタ装置からなる撮像投影システムに適用した例を示している。
【0022】
図1に示す撮像投影システムは、書画カメラ装置1とPC2とがUSB(Universal Serial Bus)ケーブル4で接続され、書画カメラ装置1でその書画台1a上に載置された書類の画像が常時撮影され、デジタル値の画像信号としてUSBケーブル4を介し、アイソクロナス転送によりリアルタイムにPC2に送られる。
【0023】
PC2は、書画カメラ装置1に付属している記録媒体、例えばCD−ROM6によりこの書画カメラ装置1用のドライブプログラムを予めインストールしており、同プログラムを実行することにより、書画カメラ装置1から送られてくる画像信号に対応したアナログ値の画像信号を生成し、RGBケーブル5を介してデータプロジェクタ装置3へ送出する。
【0024】
データプロジェクタ装置3は、例えばマイクロミラー素子を用いて送られてきた画像信号に対応する光像を形成し、投影対象となるスクリーンに各種画像を投影表示する。
【0025】
図2は、書画カメラ装置1の回路構成を示すものである。同図で、後述するスルー表示モード時に、モータ(M)11の駆動によりズーム画角や絞り位置等が移動される、レンズ光学系12の撮影光軸後方に撮像素子であるCCD13が配置される。CCD13は、タイミング発生器(TG)14、垂直ドライバ15によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0026】
この光電変換出力は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、サンプルホールド回路(S/H)16でサンプルホールドされ、A/D変換器17でデジタルデータに変換され、カラープロセス回路18で画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理が行なわれて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Cr(YUV信号)が生成され、DMA(Direct Memory Access)コントローラ19に出力される。
【0027】
DMAコントローラ19は、カラープロセス回路18の出力する輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを、同じくカラープロセス回路18からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ19内部のバッファに書込み、DRAMインタフェース(I/F)20を介してバッファメモリとして使用されるDRAM21にDMA転送を行なう。
【0028】
制御部22は、CPUと、このCPUで実行される動作プログラムを固定的に記憶したROM、及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成され、この書画カメラ装置1全体の制御動作を司るもので、輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送終了後に、この輝度及び色差信号(YUV信号)をDRAMインタフェース20を介してDRAM21より読出し、USBインタフェース(I/F)23へ送出する。
【0029】
USBインタフェース23は、輝度及び色差信号をUSB規格に則ってアイソクロナス転送によりUSBケーブル4を介してリアルタイムにPC2に送出する。
【0030】
なお、PC2からUSBインタフェース23を介して撮影指示を受信すると、制御部22はその時点でCCD13から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送を取り止め、あらためて適正な露出条件に従った絞り値及びシャッタ速度と解像度でCCD13を走査駆動して1画面分の輝度及び色差信号を得てDRAM21へ転送する。
【0031】
このDRAM21に転送された1フレーム分の輝度及び色差信号をDRAMインタフェース20を介してUSBインタフェース23へ送出し、あらためてUSBインタフェース23がこれらの信号をPC2へ送出する。このPC2への画像信号の送出後、再び制御部22はスルー表示状態に復帰して、CCD13からDRAM21への経路を再び起動する。
【0032】
なお、制御部22にはキー入力部24が接続されるもので、このキー入力部24を構成する電源キー等のキー操作信号は直接制御部22に入力される。
【0033】
次に、図3によりPC2の構成について説明する。図3は、PC2のハードウェア構成を示すものであり、各種処理制御を司るCPU31とフロントサイドバスFSBを介してノースブリッジ32が接続される。
【0034】
ノースブリッジ32は、さらにメモリバスMBを介してメインメモリ33と、またグラフィクスインタフェースAGPを介してグラフィックコントローラ34及びグラフィックメモリ35と接続される他、サウスブリッジ36とも接続され、主としてこれらの間での入出力制御を実行する。
【0035】
サウスブリッジ36は、PCIバス37、キーボード/マウス38、ビデオエンコーダ39、USBインタフェース40、マルチCDドライブ41、ハードディスク装置(HDD)42と接続され、主としてこれら周辺回路とノースブリッジ32との間の入出力制御を行なう。
【0036】
なお、これらPC2を構成する個々の要素は、きわめて一般的な技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0037】
なお、ビデオエンコーダ39は、与えられたデジタル値の画像信号からアナログ値の画像信号であるRGBビデオ信号を生成して出力する。
【0038】
HDD42は、OS(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラム、データファイルと共に、マルチCDドライブ41に上記CD−ROM6を装着してインストールした書画カメラ装置1用のドライブプログラムを予め記憶している。
【0039】
次に、図4を用いてデータプロジェクタ装置3の回路構成について説明する。
図中、入出力コネクタ部51より入力されたRGBビデオ信号を含む各種規格の画像信号が、入出力インタフェース(I/F)52、システムバスSBを介して画像変換部53で所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、RAM71に記憶される。また、画像変換部53により、RAM71に記憶された画像信号に対して色調や明るさなどを含む各種の映像調整を実行し、その映像調整した後の画像信号をRAM71に記憶させることができる。後述するジャストカラーセレクト機能を実行する場合には、ユーザに所望する映像調整を選択させるための異なる調整レベルで調整された複数の画像を含む画像一覧用の画像を生成してRAM71に記憶させる。
【0040】
RAM71に記憶された画像信号は、投影エンコーダ54へ送られる。投影エンコーダ54は、送られてきた画像信号をビデオRAM55に展開記憶させた上でこのビデオRAM55の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部56に出力する。
【0041】
投影駆動部56は、送られてきた画像信号に対応して適宜フレームレート、例えば例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動で空間的光変調素子(SOM)である例えばマイクロミラー素子57を表示駆動する。
【0042】
このマイクロミラー素子57に対して、リフレクタ58内に配置された光源ランプ59が出射する高輝度の白色光を、カラーホイール60を介して適宜原色に着色し、インテグレータ61、ミラー62を介して照射することで、その反射光で光像が形成され、投影レンズ63を介してここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0043】
しかるに、光源ランプ59の点灯駆動と、カラーホイール60を回転駆動するモータ(M)64はいずれも投影光処理部65からの供給電圧値に基づいて動作する。
【0044】
上記各回路のすべての動作制御を司るのが制御部66である。この制御部66は、CPUと、後述する投影動作、撮影動作の処理を含む該CPUで実行される動作プログラムを記憶した不揮発性メモリ、及びワークメモリ等により構成される。動作プログラムには、ジャストカラーセレクト機能を実行するための映像調整プログラムが含まれている。また、各種メニュー表示用の画像データが記憶されている。
【0045】
制御部35にはまた、システムバスSBを介して音声処理部67が接続される。
音声処理部67は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ68を駆動して拡声放音し、あるいは必要によりビープ音を発生させる。
【0046】
なお、このデータプロジェクタ装置3に備えられるキースイッチ部69における各キー操作信号が直接制御部66に入力されると共に、Ir受信部70からの信号も直接入力される。このIr受信部70は、データプロジェクタ装置3の前面及び背面にそれぞれ設けられるもので、その赤外光受信信号をコード信号化して制御部66に送出する。
【0047】
次に、本実施形態におけるデータプロジェクタ装置3において実行されるジャストカラーセレクト機能の動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
ここでは、書画カメラ装置1によって書画台1aに載置された資料の画像を撮影し、この画像をPC2を介してデータプロジェクタ装置3に送信して投影させる場合について説明する。
【0049】
書画カメラ装置1からPC2へは、所定のフレームレート、例えば30[フレーム/秒]で、画素数を間引いた例えばQVGA(320ドット×240ドット)のモニタ画像の画像信号が入力され続ける。本実施形態においては、PC2は、書画カメラ装置1から入力された画像信号をスルーしてデータプロジェクタ装置3に送出する。
【0050】
データプロジェクタ装置3は、入出力コネクタ部51を介してPC2から送出された画像信号を入力すると(ステップA1)、画像変換部53で所定のフォーマットの画像信号に変換した後にRAM71に記憶する(ステップA2)。
【0051】
データプロジェクタ装置3は、RAM71に記憶された画像信号を、投影エンコーダ54へ送りビデオRAM55に展開記憶させた上で、このビデオRAM55の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部56に出力する。
【0052】
投影駆動部56は、送られてきた画像信号に対応して、所定のフレームレートでマイクロミラー素子57を表示駆動し、光源ランプ59から高輝度の白色光をカラーホイール60、インテグレータ61、ミラー62を介して照射することで、投影レンズ63を介してスクリーンに画像を投影表示させる(ステップA3)。図6(a)には、スクリーンに投影された画像の一例を示している。
【0053】
ここで、キースイッチ部69に設けられた所定のキーに対する操作によりメニュー表示が指示されると(ステップA4、Yes)、制御部66は、ジャストカラーセレクト機能を実行させるための「色調選択」の項目を含むメニューを投影画像中の所定の位置に表示させる(ステップA5)。
【0054】
図6(b)には、投影画像に重ね合わせてメニューを表示させた画像の一例を示している。
【0055】
ここで、「色調選択」の項目が選択されると(ステップA6、Yes)、制御部66は、投影される画像に対する映像調整の対象項目を選択するための色調選択メニューを投影画像中の所定の位置に表示させる(ステップA7)。
【0056】
図6(c)には、投影画像に重ね合わせて色調選択メニューを表示させた画像の一例を示している。図6(c)に示す色調選択メニューには、画像の明るさの調整を指示するために「明るく」「暗く」の項目が含まれており、色調整(ガンマカーブ変更の中心)の基本色として「レッド」「シアン」「グリーン」「マゼンタ」「ブルー」「イエロー」の項目が設けられている。なお、この色調選択メニューに含まれる項目は一例であって、その他の映像調整の対象とする任意の項目が含まれるようにしても良い。
【0057】
ここで、色調選択メニューから基本色または明暗の項目を選択する指示が、キースイッチ部69に設けられたキー操作によって入力されると(ステップA8、Yes)、制御部66は、この指示された項目を選択して、画像変換部53により、この項目に対応する映像調整を投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した画像一覧用の複数の画像を生成させる(ステップA9)。
【0058】
例えば、基本色の項目が指示された場合には、この基本色を中心にガンマカーブを変更する色調整を実行するものとし、投影対象となっている元の画像に対して基本色を所定の調整レベルにした場合の他の色のガンマカーブを変更した複数の画像を生成させる。
【0059】
画像変換部53は、RAM71に記憶された投影対象とする元画像の画像信号に対して、映像調整の処理を施すと共に一覧表示するために縮小して複数の画像を生成し、その複数の画像を含む画像一覧用の画像信号をRAM71に記憶させる。
【0060】
本実施形態では、画像一覧を投影する場合には、9枚の画像を一覧表示させるものとするので(図7参照)、元画像の1/9のサイズの映像調整された画像を生成する。
【0061】
制御部66は、画像変換部53により生成された画像一覧用の画像信号を、投影エンコーダ54へ送る。投影エンコーダ54は、送られてきた画像一覧用の画像信号をビデオRAM55に展開記憶させ、ビデオRAM55の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部56に出力する。
【0062】
投影駆動部56は、送られてきた画像信号に応じてマイクロミラー素子(SOM)57を表示駆動し、画像一覧をスクリーンに投影させる(ステップA10)。
【0063】
図7(a)には、複数(ここでは9枚)の異なる調整レベルの色調調整がされた画像が一覧表示されている例を示している。図7(a)に示すように、画像一覧では、図6(a)に示す投影対象としている実際の画像に対して色調調整された画像が表示されているため、例えば所望する良い色が表現されている画像を容易に確認することができる。
【0064】
画像一覧中では、画像を選択指定するための選択枠が設けられている。図7(a)に示す初期状態では、中央に配置されている画像に選択枠が位置している。この選択枠は、キースイッチ部69に設けられた上下左右を示すキー(カーソルキー)に対する操作によって移動させることができる。
【0065】
制御部66は、ユーザによりカーソルキーが操作されると、指示された方向に選択枠を移動させる。図7(b)は、左中央の画像に選択枠が移動された状態を示している。
【0066】
こうして、ユーザ操作により所望する色調整がされた画像に選択枠が移動され、キースイッチ部69の確定を指示するためのキーが操作されると(ステップA11、Yes)、制御部66は、その時の選択枠が位置している画像を選択し、この選択された画像に対して施されている映像調整の内容を不揮発性の記憶装置(図示せぬフラッシュメモリなど)に設定記憶しておく(ステップA12)。
【0067】
ここで記憶される映像調整の設定内容は、別の画像を投影する場合に利用される。例えば、ここでの設定内容については、ユーザ指示によりデフォルトに戻す、あるいは前述と同様にして別の画像を対象とした映像調整の操作によって新たな設定がされるまで記憶しておく。そして、PC2から入力される画像信号に対して、この設定内容に応じた映像調整を施して画像を投影する。
【0068】
また、撮像投影システム(データプロジェクタ装置3)の使用環境に応じて、以前に設定された設定内容により映像調整することができるように、例えば映像調整の設定内容に対応付けて任意の名称(ファイル名、データ名など)を登録できるようにしても良い。この名前は、データプロジェクタ装置3側で自動で付けても良いし、ユーザがキースイッチ部69に対する操作によって任意に登録できるようにしても良い。
【0069】
これにより、以前と同じ使用環境下で画像を投影する場合、その時に設定記憶してある映像調整の設定内容を、この設定内容に対応付けて登録してある名称をもとに読み出して使用する。従って、前述したような、画像一覧を投影させて所望する映像調整が施された画像を選択する作業を毎回行う必要もなくなる。
【0070】
こうして、映像調整の内容が設定記憶されると、制御部66は、画像変換部53に対して、この映像調整の内容に応じて投影対象としている元画像に対して映像調整を実行させる。この結果、ユーザが所望する調整レベルに応じて映像調整が施された画像がスクリーンに投影される(ステップA13)。
【0071】
例えば、図7(b)に示す画像一覧中で左中央の画像がユーザにより指定された場合には、この縮小された画像に対して施されている映像調整を、図6(a)に示す元の画像に対して施すことにより、図7(c)に示すように、ユーザが所望している映像調整が施された画像を投影することができる。
【0072】
このようにして、本実施形態におけるデータプロジェクタ装置3では、PC2から入力された投影対象とする画像信号に対して、ユーザが選択した色調調整の対象とする項目に応じて、異なる調整レベルにより調整を施した複数の画像を一覧投影することで、その使用環境下において所望する色や明るさに調整がされた画像を確認して選択することができる。そして、この選択された画像に対して施された映像調整が投影対象とする画像に対して反映されて投影されるので、映像調整に慣れていない場合であっても簡単に所望する映像調整をすることができる。
【0073】
なお、前述した説明では、書画カメラ装置1によって撮影された画像を投影させる場合について説明しているが、PC2のHDD42に記憶されている各種アプリケーションによって処理される画像を投影する場合にも、同様にして映像調整することができる。
【0074】
また、前述した説明では、データプロジェクタ装置3にジャストカラーセレクト機能が設けられているとして説明しているが、書画カメラ装置1あるいはPC2にジャストカラーセレクト機能を設けて実行させることができる。
【0075】
すなわち、書画カメラ装置1にジャストカラーセレクト機能を設ける場合、制御部22に映像調整プログラムを記憶させる。書画カメラ装置1は、キー入力部24から対するユーザの操作によってジャストカラーセレクト機能の実行が指示された場合に、撮影によって得られた画像を対象として処理を実行する。この場合、書画カメラ装置1は、ユーザにより選択された映像調整の対象項目について調整レベルを変更した複数の画像を含む、図7(a)(b)に示す画像を生成してその画像の画像信号を送出する。これにより、データプロジェクタ装置3において複数の画像を一覧表示することができる。この一覧表示された複数の画像からは、書画カメラ装置1のキー入力部24に対する操作により何れかを指定することができる。書画カメラ装置1は、ユーザからの指定により何れかの画像を選択すると、この画像に対する色調整に応じて出力対象とする画像に対する色調整を実行し、この画像の画像信号を出力する。
【0076】
また、PC2にジャストカラーセレクト機能を設ける場合、例えばCD−ROM6により映像調整プログラムを予めインストールしてHDD42に記憶させておく。PC2は、キーボード/マウス38に対するユーザの操作によってジャストカラーセレクト機能の実行が指示された場合に、書画カメラ装置1から入力された画像、あるいはHDD42に記憶された投影対象とする画像を対象として処理を実行する。この場合、PC21は、ユーザにより選択された映像調整の対象項目について調整レベルを変更した複数の画像を含む、図7(a)(b)に示す画像を生成して画像信号を送出する。これにより、データプロジェクタ装置3において複数の画像を一覧表示することができる。この一覧表示された複数の画像からは、PC2のキーボード/マウス38に対する操作により何れかを指定することができる。PC2は、ユーザからの指定により何れかの画像を選択すると、この画像に対する色調整に応じて出力対象とする画像に対する色調整を実行し、この画像の画像信号を出力する。
【0077】
なお、前述した実施形態では、色調調整において基本色を中心としたガンマカーブを変更した画像、あるいは明るさを変更した画像を複数生成して一覧投影するものとしているが、映像調整の対象はこれ以外にも、例えばシャープネス、コントラスト、色の濃さ、色あい、墨絵調、ぼかし等の各調整を対象とすることができる。この場合、それぞれの映像調整についてメニュー中に項目を設け、前述と同様にして任意に指定することで、それぞれの項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施すことで複数の画像を生成して一覧投影すれば良い。
【0078】
また、前述した説明では、メニュー中から選択された1つの項目についての映像調整を調整レベルを変えることで複数の画像を生成するとしているが、複数の項目をユーザにより指定され、この指定された複数の項目についての映像調整を組み合わせて画像に施して一覧表示させるようにしても良い。これにより、複数の項目についての映像調整を組み合わせないと所望する画像を投影できない場合であっても、簡単に所望する映像調整がされた画像を得ることができる。
【0079】
また、前述した説明では、映像調整を異なる調整レベルで施した複数の画像を、図7(a)(b)に示すように、一覧にして投影するものとして説明しているが、例えば一定時間毎あるいはユーザからの指示に応じて、順次、投影対象とする画像を1枚毎で切り替えるようにしても良い。この場合、所望する映像調整が施された画像が投影されている時に選択指示を入力することで、画像を選択することができる。
【0080】
また、図7(a)(b)では、画像一覧中の画像数を9枚としているがこれに限るものではない。また、一覧表示される画像数をユーザが予め設定できるようにしても良い。さらに、画像一覧表示を例えば一定時間毎あるいはユーザからの指示に応じて、順次、切り替えるようにすることで、より多くの映像調整された画像を投影させ、その中から所望する画像を選択できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態におけるシステムの構成を示す図。
【図2】本実施形態における書画カメラ装置1の回路構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるPC2の構成について説明するためのブロック図。
【図4】本実施形態におけるデータプロジェクタ装置3の回路構成について説明するためのブロック図。
【図5】本実施形態におけるジャストカラーセレクト機能の動作について説明するためのフローチャート。
【図6】本実施形態におけるジャストカラーセレクト機能を実行する際に投影される画像の一例を示す図。
【図7】本実施形態におけるジャストカラーセレクト機能を実行する際に投影される画像の一例を示す図。
【符号の説明】
【0082】
1…書画カメラ装置、1a…書画台、2…パーソナルコンピュータ(PC)、3…データプロジェクタ装置、4…USBケーブル、5…RGBケーブル、6…CD−ROM、11…モータ(M)、12…レンズ光学系、13…CCD、14…タイミング発生器(TG)、15…垂直ドライバ、16…サンプルホールド回路(S/H)、17…A/D変換器、18…カラープロセス回路、19…DMAコントローラ、20…DRAMインタフェース、21…DRAM、22…制御部、23…USBインタフェース(I/F)、24…キー入力部、31…CPU、32…ノースブリッジ、33…メインメモリ、34…グラフィックコントローラ、35…グラフィックメモリ、36…サウスブリッジ、37…PCIバス、38…キーボード/マウス、39…ビデオエンコーダ、40…USBインタフェース(I/F)、41…マルチCDドライブ、42…ハードディスク装置(HDD)、51…入出力コネクタ部、52…入出力インタフェース(I/F)、53…画像変換部、54…投影エンコーダ、55…ビデオRAM、56…投影駆動部、57…マイクロミラー素子、58…リフレクタ、59…光源ランプ、60…カラーホイール、61…インテグレータ、62…ミラー、63…投影レンズ、64…モータ(M)、65…投影光処理部、66…制御部、67…音声処理部、68…スピーカ、69…キースイッチ部、70…Ir受信部、71…RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像調整機能を有する映像投射装置において、
映像調整の対象とする項目を選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された複数の画像を一覧にして投影する画像一覧投影手段と、
前記画像一覧投影手段により投影された複数の画像から何れかを選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して投影する調整画像投影手段と
を具備したことを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】
前記対象項目には、複数の基本色を含み、
前記画像生成手段は、選択された基本色の調整レベルが異なる色調整した複数の画像を生成することを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項3】
前記対象項目には、明るさを含み、
前記画像生成手段は、明るさを変更した複数の画像を生成することを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項4】
前記画像選択手段によって選択された画像に対する色調変更の内容を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された色調調整の設定に応じて画像を投影する画像投影手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項5】
映像調整機能を有する映像投射装置の映像調整方法において、
映像調整の対象とする項目を選択する項目選択工程と、
前記項目選択工程によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成工程と、
前記画像生成工程によって生成された複数の画像を一覧にして投影する画像一覧投影工程と、
前記画像一覧投影工程により投影された複数の画像から何れかを選択する画像選択工程と、
前記画像選択工程により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して投影する調整画像投影工程と
を有したことを特徴とする映像投射装置。
【請求項6】
映像調整機能を有する映像投射装置に搭載されたコンピュータを、
映像調整の対象とする項目を選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された複数の画像を一覧にして投影する画像一覧投影手段と、
前記画像一覧投影手段により投影された複数の画像から何れかを選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して投影する調整画像投影手段として機能させるための映像調整プログラム。
【請求項7】
映像調整機能を有する映像出力装置において、
映像調整の対象とする項目を選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された項目に対応する映像調整を、投影対象とする画像に対して異なる調整レベルで施した複数の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された複数の画像を一覧にした画像を出力する画像一覧出力手段と、
前記画像一覧出力手段により出力された複数の画像から何れかを選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段により選択された画像に対して施された映像調整を前記投影対象とする画像に対して施して出力する調整画像出力手段と
を具備したことを特徴とする映像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−293087(P2006−293087A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114823(P2005−114823)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】