説明

映像表示システム及びその制御方法

【課題】コンテンツを提示する装置を視聴者が切り換える際に、視聴者の視点移動に要する期間に提示されるコンテンツを見逃さないように防止すること。
【解決手段】映像表示システムは、主端末部100から副端末部110へと映像表示を切り換える移行期間にて、両装置で映像を時間的に重複して表示させる。主端末部100は、映像表示のために映像信号を出力する映像出力部102と、副端末部110への映像信号の送信部を備え、映像出力部102による映像信号の出力後に遅延時間をもって当該信号を副端末部110に送信する。例えば、主端末部100は蓄積部からデータを読み出す第1及び第2の読み出し部を有し、第2の読み出し部は第1の読み出し部の読み出し位置よりも一定時間遡った再生位置からデータを読み出して送信部に送る。副端末部110は映像信号を受信し、移行期間にて、主端末部100の表示映像に比して時間的に遅れて映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像、音声、データ放送、アプリケーションなどのコンテンツを提示する映像表示システム及びその制御方法に関するものである。ここでアプリケーションは、マイクロプロセッサにより実行されることで映像や音声を生成することができるコンピュータプログラムを含む。
【背景技術】
【0002】
現在では放送、ネットワークを経由したダウンロードや、DVD等の記録媒体を含む様々な媒体を介して、映像及び音声、データ放送、アプリケーションを含む様々なコンテンツが提供されている。多種多様なコンテンツを視聴者に利便性よく提供するため、大画面及び大型スピーカを備える主端末装置と、小画面及び小型スピーカを備える副端末装置を用いたコンテンツ提供システムが知られている。
【0003】
コンテンツ提供形態には以下に示す形態が考えられる。
・主端末装置及び副端末装置において同時に同じコンテンツを提供する形態。
・主端末装置及び副端末装置においてそれぞれ別のコンテンツを提供する形態。
・主端末装置又は副端末装置の一方のみでコンテンツを提供する形態。
【0004】
これら様々な形態を切り換えるため、主端末装置で提示していたコンテンツを副端末装置に切り換えて提示する必要性や、逆に副端末装置で提示していたコンテンツを主端末装置に切り換えて提示する必要性が生じる。液晶投影装置を用いて静止画を投影するプレゼンテーション環境において、最新画像とプレゼンテーション切り換え直前の画像を同時に表示する技術が開示されている(特許文献1参照)。すなわち、液晶投影装置への入力画像信号が切り換わると、液晶投影装置は最新画像を表示し、液晶投影装置が備える画像信号出力へ切り換わる直前の画像を出力し、画像信号出力へ接続された別の液晶投影装置が切り換え直前の画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−049424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている技術を動画映像や動的グラフィック描画を伴うアプリケーションなどのコンテンツに適用すると、視聴者がコンテンツを見逃す虞がある。つまり、コンテンツ映像を表示する液晶投影装置を切り換える際、切り換えに対する視聴者の視覚反応が遅れると、切り換え時に提示されているコンテンツ映像を見逃してしまう。静止画を表示するプレゼンテーションにおいては、視聴者の反応が遅れても、同じ内容が表示され続けるため、見逃しが生じる虞はない。しかし、動画映像や動的グラフィック描画を伴うアプリケーションなどのコンテンツの場合、表示内容が常に変化するため、見逃しの可能性が高まる。
【0007】
特に、コンテンツを提示する端末装置を切り換える際、視聴者の視点移動が大きい環境において、視点移動に要する期間中に提示されるコンテンツ映像を視聴者が見逃す虞があった。視聴者の視点移動が大きい環境としては、例えば、視聴者の前方に大画面で大型スピーカを備えるコンテンツ提示端末装置が位置し、視聴者が手元に小画面で小型スピーカを備えるコンテンツ提示端末装置を持っている状況が挙げられる。
【0008】
そこで、コンテンツ提示端末装置の切り換え時に、切り換え先の装置において切り換え元よりも時間的に遅れてコンテンツを提示すれば、両装置において切り換え時のコンテンツを時間的に重複して提示できる。本発明は、視聴者の視点移動に要する期間に提示されるコンテンツ映像を視聴者が見逃さないように防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る映像表示システムは、第1の装置及び第2の装置を備え、前記第1の装置から前記第2の装置へと映像の表示を切り換える際の移行期間にて前記第1の装置及び前記第2の装置で映像を時間的に重複して表示させる。前記第1の装置は、映像を表示させるために映像信号を出力する映像出力手段と、映像信号を前記第2の装置に送信する送信手段と、前記映像出力手段が映像信号を出力した後で遅延時間をもって当該映像信号を前記第2の装置に送信するように前記送信手段を制御する制御手段と、を備える。前記第2の装置は前記送信手段からの映像信号を受信し、前記移行期間にて、前記第1の装置で表示される映像よりも時間的に遅れて映像を表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、視聴者の視点移動に要する期間中に提示される映像を視聴者が見逃さないように防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図2乃至6と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の蓄積再生部101の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の映像音声提示部111の構成例を示すブロック図である。
【図4】主端末部100及び副端末部110にて実行される処理を説明するフローチャートである。
【図5】主端末部100及び副端末部110における映像輝度、音声音量の推移を例示した図である。
【図6】主端末部100及び副端末部110における再生位置の時間的変化を例示した図である。
【図7】図8乃至12と併せて本発明の第2実施形態を説明するために、装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7の放送受信部801の構成例を示すブロック図である。
【図9】図7のプログラム提示部811の構成例を示すブロック図である。
【図10】主端末部800及び副端末部810にて実行される処理を説明するフローチャートである。
【図11】プログラム映像透過率、プログラム音量、効果音音量の推移を例示した図である。
【図12】主端末部800及び副端末部810にてプログラムの実行を開始した時点からの時間経過を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る映像表示システムとして、第1の装置(以下、主端末部という)にて提示していた映像及び音声を、視聴者の操作指示により第2の装置(以下、副端末部という)にて提示する例を説明する。
図1は、本実施形態に係るシステムの構成例を概略的に示す図であり、主端末部100及び副端末部110で構成され、例えば主端末部100が映像表示装置であって、副端末部110が遠隔操作装置である。
【0013】
主端末部100は、蓄積再生部101、映像出力部102、音声出力部103を備える。蓄積再生部101は蓄積装置及び復号装置などから構成され、符号化された映像データ及び音声データを蓄積する。以下、符号化された映像データ及び音声データをコンテンツと称する場合がある。蓄積再生部101は、副端末部110の操作部114から操作信号125を受信し、操作信号125に応じて蓄積装置に蓄積された映像データ及び音声データを復号して再生する。また主端末部100は副端末部110に対し、符号化された映像情報及び音声情報を含む符号化映像音声信号120を無線方式で送信する。映像出力部102はディスプレイ装置などで構成され、蓄積再生部101が出力した映像信号105を受けて映像を出力する。また音声出力部103は、音声アンプ及びスピーカなどで構成され、蓄積再生部101が出力した音声信号106を受けて音声を出力する。
【0014】
副端末部110は、映像音声提示部111、映像出力部112、音声出力部113、操作部114を備える。映像音声提示部111は、復号装置などで構成され、主端末部100から受信した符号化映像音声信号120を復号する。映像出力部112はディスプレイ装置などで構成され、映像音声提示部111が出力した映像信号115を受けて映像を出力する。音声出力部113は音声アンプ及びスピーカなどで構成され、映像音声提示部111が出力した音声信号116を受けて音声を出力する。操作部114は操作ボタンやスイッチなどを有し、視聴者の操作指示を受け付けると、赤外線などの操作信号125に変換して該信号を主端末部100へ送信する。
【0015】
図2は、図1に示した蓄積再生部101の構成例のブロック図である。図中の映像信号105、音声信号106、符号化映像音声信号120、操作信号125は、既述の通りである。蓄積再生部101は符号化映像音声蓄積部200、符号化映像音声読み出し部201、デマックス部202、映像復号部203、輝度調整部204、音声復号部205、音量調整部206を備える。さらには符号化映像音声読み出し部210、符号化映像音声送信部211、提示制御部220、操作信号受信部221が設けられている。なお符号化映像音声読み出し部201は符号化映像音声蓄積部200に対する第1の読み出し手段を構成し、符号化映像音声読み出し部210は符号化映像音声蓄積部200に対する第2の読み出し手段を構成する。なお以下では、符号化映像音声読み出し部を単に読み出し部という。
【0016】
符号化映像音声蓄積部200は、ハードディスクドライブ装置などで構成され、符号化された映像データ及び音声データを蓄積する。映像符号化方式としては、例えば、MPEG-2 Video(ISO/IEC 13818-2)方式を用いることができる。これは、“Information technology -- Generic coding of moving pictures and associated audio information :Video”の規格による。また音声符号化方式としては、例えば、AAC(ISO/IEC 13818-7)方式を用いることができる。これは“Information technology -- Generic coding of moving pictures and associated audio information -- Part 7: Advanced Audio Coding(AAC)”の規格による。符号化映像音声蓄積部200は、符号化した映像及び音声のデータをMPEG-2 Systems(ISO/IEC 13818-1)にて規定されているTransport Stream(以下、MPEG-2 TSという)方式により多重化する。なお符号化した映像及び音声のデータとは、MPEG-2 Video方式で符号化した映像及びAAC方式で符号化した音声のデータである。符号化映像音声蓄積部200は、多重化した一体のデータをハードディスクドライブ装置に蓄積する。なおMPEG-2 Systemsの規格は、“Information technology -- Generic coding of moving pictures and associated audio information: Systems”である。映像符号化方式、音声符号化方式、多重化方式については本例に限らず、他の方式を用いてもよい。
【0017】
第1の読み出し部201は、視聴者に提示すべき再生位置に応じた符号化映像音声のデータを、符号化映像音声蓄積部200から読み出す。デマックス部202は、符号化映像音声信号を、PID(Packet Identifier)に従って符号化映像信号と符号化音声信号に分離し、各信号を映像復号部203と音声復号部205にそれぞれ出力する。なおPIDはMPEG-2 Systemsにて定義されている。
【0018】
映像復号部203は、MPEG-2 Video方式などで符号化された映像信号を復号し、輝度調整部204に出力する。輝度調整部204は、映像信号の輝度を調整し、映像信号105を出力する。また音声復号部205は、AAC方式などで符号化された符号化音声信号を復号し、音量調整部206に出力する。音量調整部206は音声ボリュームなどにより構成され、音量を調整して音声信号106を出力する。
【0019】
第2の読み出し部210は、第1の読み出し部201と同様、符号化映像音声蓄積部200から、視聴者に提示すべき再生位置に応じた符号化映像音声のデータを読み出す。読み出し部201及び210は、互いに無関係な独立した再生位置に応じて符号化映像音声信号を読み出すことができる。これは、符号化映像音声蓄積部200をランダムアクセス可能なハードディスクドライブ装置などで構成することにより実現できる。読み出し部210が符号化映像音声蓄積部200から読み出した符号化映像音声信号は符号化映像音声送信部211に送られ、ここで該送信部は電波方式にて符号化映像音声信号120を送信する。電波方式としては、IEEE802.11(IEEE:The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)方式が知られている。RTP(Real-time Transport Protocol)方式において、MPEG-2 TSを伝送する方式が規定されている。IEEE802.11とRTPを組み合わせることで、本実施形態に適用できる。
【0020】
操作信号受信部221は赤外線などの操作信号125を受信し、操作指示を提示制御部220へ伝える。提示制御部220は、操作信号受信部221を介して視聴者の操作指令を受け付け、読み出し部201及び210、輝度調整部204、音量調整部206を制御する。つまり、提示制御部220は読み出し部201,210に対して読み出し位置をそれぞれに指示し、輝度調整部204に対して映像輝度を指示する。また、提示制御部220は音量調整部206に対して音量を指示する。これにより映像信号105、音声信号106、符号化映像音声信号120の内容が制御される。
【0021】
図3は、図1に示す映像音声提示部111の構成例を示す。なお符号化映像音声信号120、映像信号115、音声信号116については既述の通りである。映像音声提示部111は、符号化映像音声受信部311、デマックス部302、映像復号部303、輝度調整部304、音声復号部305、音量調整部306、提示制御部320を備える。
【0022】
符号化映像音声受信部311は、符号化映像音声送信部211が送信した符号化映像音声信号120を受信してデマックス部302に出力するとともに、符号化映像音声信号120の受信開始を提示制御部320へ通知する。デマックス部302、映像復号部303、輝度調整部304、音声復号部305、音量調整部306の各機能に関しては、図2に示すデマックス部202、映像復号部203、輝度調整部204、音声復号部205、音量調整部206と同様である。よって、それらの説明を省略する。
提示制御部320は、輝度調整部304に対して映像輝度を指示し、音量調整部306に対して音量を指示することで、映像信号115及び音声信号116の内容を制御する。
【0023】
図4の左側のフローチャートは、映像及び音声を提示する装置が、主端末部100から副端末部110へと切り換わる際、主端末部100にて実行される処理の流れを示す。
主端末部100が再生処理を開始する(S400)。その際、読み出し部201は、操作信号受信部221及び提示制御部220を介して視聴者の操作指示を受け付け、指示された再生位置に応じた符号化映像音声信号を符号化映像音声蓄積部200より読み出す。デマックス部202は、符号化映像音声信号のデマックス処理を実行する。そして映像復号部203は符号化映像信号の復号処理を実行し、音声復号部205は符号化音声信号の復号処理を実行する。
【0024】
次に輝度調整部204は、映像の輝度が最大となるように輝度調整し(S401)、音量調整部206は、音量が最大となるように音声出力を調整する(S402)。そして視聴者が操作部114を用いて、コンテンツの提示端末装置の切り換え操作を行うと、その操作指示が操作信号受信部221から提示制御部220に通知される(S403)。輝度調整部204は映像の輝度を中間レベルに調整し(S404)、音量調整部206は音量が中間レベルとなるように音声出力を調整する(S405)。
【0025】
提示制御部220は、読み出し部210が読み出すべき、読出し位置を算出する(S406)。この読み出し位置は、読み出し部201が現時点で読み出している位置よりも所定時間(以下、N秒と記す)だけ遡った位置である。この時間(N値)は1秒程度でよく、設定により視聴者が操作し易い範囲で変化させることができる。以下では、符号化映像音声蓄積部200をLBA(Logical Block Addressing)方式に準拠したハードディスクドライブ装置を用いて構成する例について、読み出し位置の算出方法を説明する。ハードディスクドライブ装置は、その記録領域が512バイトを単位とするセクタに分かれており、セクタアドレスを指定することにより、512バイトごとにデータの読み書きが可能であるものとする。また、ハードディスクドライブ装置には、セクタアドレスが増加する順序に従って、符号化映像音声信号が時間的に連続して記録されているものとする。読み出し部210の読み出し位置に対応するセクタアドレスは、下式により算出される。
【数1】

【0026】
上式中のSA2は、読み出し部210が読み出すべき位置に対応するセクタアドレスであり、SA1は、読み出し部201が読み出している位置に対応するセクタアドレスである。BRは、符号化映像音声信号のビットレート(符号化映像音声信号が1秒間当たりに占めるデータ容量)である。なおSA2の値が整数でない場合は、切り捨て処理又は切り上げ処理を行えばよく、得られる値は、読み出し部210が読み出す位置に対応するセクタアドレスとなる。
上式において、SA2が負値になる場合や、SA2が、読み出し部201の読み出しているコンテンツの記録範囲外のセクタアドレスになる場合には、セクタアドレスの変更を要する。つまり、読み出し部201が読み出しているコンテンツの先頭位置に対応するセクタアドレスを、読み出し部210の読み出し位置に対応するセクタアドレスSA2とする。また、この場合、提示制御部220は下式によりNの値を変更する。
【数2】

【0027】
こうして読み出し部210は、読み出し部201に比してN秒の遅延時間をもって符号化映像音声蓄積部200から符号化映像音声信号を読み出す。この読み出し位置は、S406にて算出した読み出し位置である。符号化映像音声送信部211は、符号化映像音声信号120の送信を開始する(S407)。そしてN秒が経過するまでの時間待ち処理(S408)の後、輝度調整部204は、映像の輝度が最小となるように輝度調整する(S409)。音量調整部206は、音量が最小となるように音声出力を調整する(S410)。
主端末部100が再生を停止し(S411)、その際、読み出し部201は符号化映像音声の読み出しを停止する。デマックス部202は、デマックス処理を停止し、映像復号部203や音声復号部205は復号処理を停止する。
【0028】
符号化映像音声送信部211は、符号化映像音声信号120の送信を停止する(S412)。その際、読み出し部210は符号化映像音声の読み出しを停止する。送信停止の原因には、提示対象であるコンテンツが終端に到達した場合や、視聴者の停止操作指示による場合などが挙げられるが、その如何は問わない。
【0029】
図4の右側のフローチャートは、映像及び音声を提示する装置が、主端末部100から副端末部110へ切り換わる際、副端末部110にて実行される処理の流れを示す。先ず、符号化映像音声受信部311は、符号化映像音声信号120の受信を検知し、該信号をデマックス部302に出力するとともに、符号化映像音声信号120の受信を開始した旨を提示制御部320に通知する(S500)。本ステップS500は前記S407に対応しており、主端末部100が符号化映像音声信号120の送信を開始することにより、副端末部110は符号化映像音声信号120の受信を開始する。
【0030】
副端末部110が再生を開始し(S501)、その際、デマックス部302は、符号化映像音声信号のデマックス処理を実行する。映像復号部303は符号化映像信号の復号処理を実行し、音声復号部305は符号化音声信号の復号処理を実行する。そして輝度調整部304は、映像の輝度が中間レベルとなるように輝度調整し(S502)、音量調整部306は、音量が中間レベルとなるように音声出力を調整する(S503)。そして、N秒が経過するまでの時間待ち処理(S504)の後、輝度調整部304は、映像の輝度が最大となるように輝度調整する(S505)。音量調整部306は、音量が最大となるように音声出力を調整する(S506)。
【0031】
符号化映像音声受信部311は符号化映像音声信号120の受信を停止する(S507)。本ステップS507は前記S412に対応しており、主端末部100が符号化映像音声信号120の送信を停止することにより、副端末部110は符号化映像音声信号120の受信を停止する。
副端末部110が再生を停止し(S508)。その際、デマックス部302はデマックス処理を停止する。映像復号部303、音声復号部305は復号処理を停止する。
【0032】
図5は、主端末部100の映像輝度、音声音量、及び副端末部110の映像輝度、音声音量の時間的な推移例を示す。横軸は経過時間を表し、T600乃至603が時刻を示す。また上方に主端末部100の映像輝度レベルと音声音量レベルの時間的変化を示し、下方に副端末部110の映像輝度レベルと音声音量レベルの時間的変化を示している。
時刻T600にて主端末部100は再生を開始する(図4のS400参照)。このとき、主端末部100により提示される映像の輝度は最大であり(S401参照)、主端末部100による音声出力の音量は最大である(S402参照)。
【0033】
時刻T600から時刻T601までの期間中、主端末部100はコンテンツの映像及び音声を提示する。一方、副端末部110では、映像輝度及び音声音量ともに最小である。
時刻T601にて視聴者によって端末切り換え操作が行われる(S403参照)。主端末部100では、映像輝度が中間レベルとなり(S404参照)、音量が中間レベルとなる(S405参照)。
主端末部100が符号化映像音声信号120の送信を開始し(S407参照)、副端末部110は符号化映像音声信号120の受信を開始する(S500参照)。そして副端末部110は再生を開始する(S501参照)。その際、副端末部110では、映像輝度が中間レベルであり(S502参照)、音量レベルが中間レベルである(S503参照)。
時刻T601からN秒間経過すると時刻T602となる(S408及びS504参照)。時刻T601から時刻T602までの移行期間中、主端末部100及び副端末部110はともにコンテンツの映像及び音声を提示する。
【0034】
時刻T602にて、主端末部100の映像輝度は最小となり(S409参照)、主端末部100の音声音量も最小となる(S410参照)。その後、主端末部100は再生を停止する(S411参照)。一方、副端末部110では映像輝度が最大となり(S505参照)、音声音量が最大となる(S506参照)。
時刻T602から時刻T603までの期間中、副端末部110はコンテンツの映像及び音声を提示する。一方、主端末部100では、映像輝度及び音声音量ともに最小である。
時刻T603にて、主端末部100は符号化映像音声信号120の送信を停止する(S412参照)。副端末部110は符号化映像音声信号120の受信を停止する(S507参照)。副端末部110は再生を停止する(S508参照)。
【0035】
図6は横軸に時刻を示し、縦軸に主端末部100及び副端末部110における再生位置の時間的変化を示したグラフである。図中の時刻T600乃至603は図5に示す時刻と同一時刻である。
主端末部100における再生位置は、時刻T600での位置(点P0参照)と時刻T602での位置(点P2参照)とを繋いだ右上がりの線分に従って時間的に変化する。また、副端末部110における再生位置は、時刻T601での位置(点P1参照)と時刻T603での位置(点P3参照)とを繋いだ右上がりの線分に従って時間的に変化する。
【0036】
時刻T600にて主端末部100は再生を開始する(図4のS400参照)。そして時刻T601にて端末切り換え操作が行われ(S403参照)、副端末部110が再生を開始する(S501参照)。読み出し部210は、読み出し部201が読み出している位置よりも、N秒分だけ時間的に遡った位置のデータを読み出す。したがって、図示のように、副端末部110が再生する位置は、主端末部100が再生する位置に対して、N秒遡った位置となる。
時刻T601からN秒が経過すると時刻T602となり(S408及びS504参照)、時刻T602にて主端末部100は再生を停止する(S411参照)。副端末部110はその後も再生を続行し、時刻T603にて再生を停止する(S508参照)。
【0037】
第1実施形態によれば、コンテンツを提示する装置が切り換わる際、切り換え先の装置は切り換え元の装置よりも時間的に遅れてコンテンツを提示する。これにより、両装置においてコンテンツが時間的に重複して提示されるので、視聴者の視点移動に要する期間中に提示されるコンテンツ映像を視聴者が見逃さないように防止できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、主端末部にて提示していたプログラムコンテンツを、副端末部へと切り換えて提示する例を説明する。ここで、プログラムコンテンツとは、プログラムの実行により生成される映像および音声を含むコンテンツを指す。
図7は、第2実施形態に係るシステムの概略構成を示し、主端末部800及び副端末部810から構成される。主端末部800は、放送受信部801、映像出力部802、音声出力部803を備える。放送受信部801はチューナ及び復号装置などで構成され、副端末部810の操作部814から操作信号825を受信する。放送受信部801は、操作信号825に応じて放送波830を受信し、復調及び復号したデータに基づき、映像出力部802及び音声出力部803を用いて放送番組を提示する。また、主端末部800は、復号された映像音声信号820、プログラム信号821、及びプログラム提示制御信号822を副端末部810へ無線送信する。映像出力部802はディスプレイ装置などで構成され、放送受信部801が出力した映像信号805を受けて映像を出力する。また音声出力部803は音声アンプ及びスピーカなどで構成され、放送受信部801が出力した音声信号806を受けて音声を出力する。
【0039】
副端末部810は、プログラム提示部811、映像出力部812、音声出力部813、操作部814を備える。プログラム提示部811はプログラムを実行するマイクロプロセッサなどで構成され、主端末部800から復号された映像音声信号820、プログラム信号821、及びプログラム提示制御信号822を受信する。プログラム提示部811は、主端末部800から受けとったプログラムを実行し、映像出力部812及び音声出力部813を用いて映像及び音声をそれぞれ出力する。映像出力部812はディスプレイ装置などで構成され、プログラム提示部811が出力した映像信号815を受けて映像を出力する。また、音声出力部813は音声アンプ及びスピーカなどで構成され、プログラム提示部811が出力した音声信号816を受けて音声を出力する。操作部814は操作ボタンやスイッチなどを有しており、視聴者の操作指示を受け付け、赤外線通信などにより操作信号825を主端末部800に送信する。
【0040】
図8は、放送受信部801の構成例を示しており、図中の放送波830や、各信号805、806、820乃至822、825については既述の通りである。放送受信部801は、チューナ部900、デマックス部901、映像復号部902、映像合成部903、音声復号部904、音声合成部905、映像音声送信部906を備える。放送受信部801はさらに、プログラム復号部907、第1のプログラム実行部908、プログラム映像生成部909、プログラム映像透過率調整部910、プログラム音声生成部911、プログラム音量調整部912、遅延処理部920を備える。さらにはプログラム送信部921、プログラム提示制御部930、番組情報取得部940、選局制御部941、操作信号受信部942が設けられている。
【0041】
チューナ部900は、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)方式などで変調された放送波830を復調し、符号化映像音声信号を出力する。後段のデマックス部901は、符号化映像音声信号をPIDに従って分離する。分離後の符号化映像信号は映像復号部902へ送られ、符号化音声信号は音声復号部904へ送られ、符号化プログラム信号はプログラム復号部907へ送られ、番組情報信号は番組情報取得部940へ送られる。映像復号部902は、MPEG-2 Video方式などに従う符号化映像信号を復号し、映像信号を出力する。音声復号部904は、AAC方式などに従う符号化音声信号を復号し、音声信号を出力する。映像音声送信部906は、映像復号部902からの映像信号、及び音声復号部904からの音声信号を無線方式で副端末部810に送信する。無線方式としては、Wireless HD(登録商標)やWHDI(登録商標)が提案されており、一般にWireless HDMI(登録商標)と呼ばれている。なおWHDIは“Wireless Home Digital Interface”の略号であり、HDMIは“High-Definition Multimedia Interface”の略号であり、両方式とも本実施形態に適用可能である。
【0042】
プログラム復号部907は符号化されたプログラム信号を復号する。放送波830を介してプログラムを送信する方法としては、例えば、MHP(ETSI ES 201 812)方式が知られており、本実施形態に適用可能である。これは、“Multimedia Home Platform”の規格による。MHP方式にて放送局は、Sun Microsystems社が開発したプログラミング言語Java(登録商標)のバイトコードをDSM-CC(ISO/IEC 13818-10)方式を用いて符号化して送信する。これは、“Information technology -- Generic coding of moving pictures and associated audio information -- Part 10: Conformance extensions for Digital Storage Media Command and Control (DSM-CC) ”の規格による。受信機は符号化されたプログラム信号を受信して復号し、受信機内のJVMにより実行する。なおJVMは“Java(登録商標) Virtual Machine”の略号である。
【0043】
プログラム実行部908は、図示しないマイクロプロセッサによりプログラムを実行する。前述のようにJVMによってJava(登録商標)バイトコードが解釈されて実行される。後段のプログラム映像生成部909は、点・線・矩形などの図形描画機能を組み合わせて、プログラム実行部908が指示したグラフィックを描画し、プログラム映像信号として出力する。プログラム映像透過率調整部910はプログラム映像生成部909からのプログラム映像信号を受けて、後述のプログラム提示制御部930からの指令に従い、プログラム映像信号に透過率情報を付加することでプログラム映像の透過率を調整する。つまり、ここでは映像合成部903が映像信号とプログラム映像信号を合成する際に使用するプログラム映像の透過率を調整する処理が実行される。なおプログラム映像透過率調整部を以下、単に透過率調整部という。
映像合成部903は、映像復号部902が出力した映像信号と、透過率調整部910が出力したプログラム映像信号を合成する。この際、プログラム映像信号の透過率に従い、映像信号とプログラム映像信号が合成される。例えば透過率を百分率で表すものとし、0%のとき(以下、プログラム映像が「不透明」であると表現する)、映像復号部902による映像がプログラム映像により遮られるため、プログラム映像信号だけが映像合成部903より出力される。透過率が50%のとき(以下、プログラム映像が「半透明」であると表現する)、映像復号部902による映像とプログラム映像が半々に混合された状態の映像信号が映像合成部903より出力される。透過率が100%のとき(以下、プログラム映像が「透明」であると表現する)、映像復号部902による映像がプログラム映像により遮られずに、その映像信号だけが映像合成部903より出力される。
【0044】
プログラム音声生成部911は、プログラム実行部908が指示した音声信号を生成する。生成方法としては、例えば、AAC方式により符号化された音声をプログラム中に埋め込み、音声復号部(図示せず)により音声データを復号する方法がある。プログラム音量調整部912は音声ボリュームなどを用いて構成され、音声出力の音量調整を行う。音声合成部905は、音声復号部904が出力する音声信号と、プログラム音量調整部912が出力するプログラム音声信号とを合成する。遅延処理部920は、プログラム復号部907が出力したプログラム信号を図示しないメモリに一時記憶し、プログラム提示制御部930からその出力を命じられた場合、プログラムを読み出してプログラム送信部921へ出力する。プログラム送信部921は、遅延処理部920が出力したプログラム信号を所定の電波方式で副端末部810に送信する。電波方式としては、例えば、IEEE802.11方式とFTP(File Transfer Protocol)方式を組み合わせて、本実施形態に適用できる。
【0045】
プログラム提示制御部930は、透過率調整部910に対して透過率を指示し、プログラム音量調整部912に対して音量を指示し、遅延処理部920に対してプログラム送信開始タイミングを指示する。これにより映像信号805、音声信号806、プログラム信号821の内容がそれぞれ制御される。また、プログラム提示制御部930は、プログラム提示制御信号822、つまり副端末部810におけるプログラム提示のタイミングを制御する信号を出力する。プログラム提示制御信号822の送受信方式としては、例えば、IEEE802.11方式とRFC854(TELNET PROTOCOL SPECIFICATION)方式を組み合わせて、本実施形態に適用できる。
【0046】
番組情報取得部940は、デマックス部901からの番組情報、例えばEIT(Event Information Table)などで構成される番組情報を取得する。操作信号受信部942は、赤外線通信などで操作信号825を受信し、操作指示を選局制御部941へ伝える。選局制御部941は、操作信号受信部942を介して受け付けた視聴者の操作指示に従って選局制御を行う。具体的には、選局すべきチャンネルを、チューナ部900へ伝える処理が行われる。さらに、選局すべきチャンネルの映像情報を伝送するPIDを、番組情報取得部940より読み出して映像復号部902へ伝える処理が行われる。同様に、音声情報を伝送するPIDを音声復号部904へ伝えるとともに、プログラム情報を伝送するPIDをプログラム復号部907へ伝える処理が実行される。なおPIDにより多重化したデータを取り扱う方法は、MPEG-2 Systemsの規格に詳述されている。
【0047】
図9は、プログラム提示部811の構成例を示し、図中の各信号815、816、820乃至822は既述の通りである。プログラム提示部811は、映像音声受信部1006、プログラム受信部1021、第2のプログラム実行部1008、プログラム映像生成部1009、プログラム映像透過率調整部1010、映像合成部1003を備える。さらには、プログラム音声生成部1011、プログラム音量調整部1012、効果音生成部1040、効果音音量調整部1041、音声合成部1005、プログラム提示制御部1030が設けられている。
【0048】
映像音声受信部1006は、映像音声送信部906が送信した映像音声信号820を電波方式で受信する。プログラム受信部1021は、プログラム送信部921からプログラム信号821を電波方式で受信し、受信したプログラム信号をプログラム実行部1008に出力する。なおプログラム実行部1008、プログラム映像生成部1009、透過率調整部1010、プログラム音声生成部1011、プログラム音量調整部1012の機能に関しては、図8にて説明した各部908乃至912と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0049】
効果音生成部1040は効果音信号を生成して、これを効果音音量調整部1041に出力し、音声合成部1005を介して音声出力部813から効果音を発生させる。生成方法としては、例えば、AAC方式により予め音声データを作成し不揮発性メモリ(図示せず)に格納しておき、音声復号部(図示せず)により音声データを復号する方法がある。効果音については視聴者の注意を喚起する音声であれば、その如何は問わない。効果音音量調整部1041は、音声ボリュームなどを用いて構成され、効果音の音量調整を行う。
【0050】
映像合成部1003は、映像音声受信部1006が出力する映像信号と、透過率調整部1010が出力するプログラム映像信号を合成する。透過率調整部1010が出力するプログラム映像信号は透過率の情報を含む。透過率を映像合成に適用する方法は、前述した通りである。音声合成部1005は、映像音声受信部1006が出力する音声信号と、プログラム音量調整部1012が出力するプログラム音声信号と、効果音音量調整部1041が出力する効果音信号を合成する。
【0051】
プログラム提示制御部1030は、プログラム提示制御信号822を受けて、透過率調整部1010に対して透過率を指示し、プログラム音量調整部1012に対してプログラム音量を指示し、効果音音量調整部1041に対して音量を指示する。これにより、映像信号815及び音声信号816の内容がそれぞれ制御される。
図10の左側のフローチャートは、プログラム映像及びプログラム音声を提示する端末部が主端末部800から副端末部810へ切り換わる際、主端末部800にて実行される処理の流れを示す。
【0052】
放送受信部801は予めプログラムを受信している状態にあるものとする。遅延処理部920は、内部のメモリにプログラムを記憶させる(S1100)。主端末部800において、プログラム提示制御部930の指示により、プログラム実行部908がプログラムの実行を開始する(S1101)。プログラム映像生成部909は、プログラム実行部908の指示に従い、プログラム映像信号を生成する。プログラム音声生成部911は、プログラム実行部908の指示に従い、プログラム音声信号を生成する。
【0053】
透過率調整部910は、プログラム映像が不透明となるよう透過率を0%に調整する(S1102)。プログラム音量調整部912は、プログラム音量が最大となるように調整する(S1103)。そしてN秒の時間経過待ちとなる(S1104)。N値は10程度でよく、この値は視聴者が操作し易い範囲で変化させることができる。プログラム提示制御部930の指示により、遅延処理部920はプログラムをプログラム送信部921へ出力し、プログラム送信部921は副端末部810に対してプログラム信号821を送信する(S1105)。そしてM秒の時間経過待ちとなる(S1106)。Mは正値であればよい。
【0054】
プログラム提示制御部930は、副端末部810へプログラム提示制御信号822(この場合、プログラム提示開始命令)を送信する(S1107)。透過率調整部910は、プログラム映像が半透明となるよう透過率を50%に調整する(S1108)。プログラム音量調整部912は、プログラム音量を最小に調整する(S1109)。そしてN秒の時間経過待ちとなる(S1110)。
透過率調整部910は、プログラム映像が透明となるよう透過率を100%に調整する(S1111)。主端末部800において、プログラム実行部908が、プログラムの実行を停止する(S1112)。
【0055】
図10の右側のフローチャートは、プログラム映像及びプログラム音声を提示する装置が主端末部800から副端末部810へ切り換わる際、副端末部810にて実行される処理の流れを示す。
プログラム受信部1021は、主端末部800からプログラム信号821を受信し、プログラム実行部1008へプログラムを出力する(S1200)。本ステップS1200は前記S1105に対応しており、主端末部800がプログラムを送信し、副端末部810はプログラムを受信する。プログラム実行部1008はプログラムの実行を開始する(S1201)。その際、プログラム映像生成部1009は、プログラム実行部1008の指示に従い、プログラム映像信号を生成する。プログラム音声生成部1011は、プログラム実行部1008の指示に従い、プログラム音声信号を生成する。
【0056】
透過率調整部1010はプログラム映像が透明となるよう透過率を100%に調整する(S1202)。プログラム音量調整部1012はプログラム音量を最小に調整する(S1203)。効果音音量調整部1041は効果音音量を最小に調整する(S1204)。
プログラム提示制御部1030は前記プログラム提示開始命令を受信する(S1205)。本ステップS1205は前記S1107に対応しており、主端末部800がプログラム提示開始命令を送信し、これを副端末部810が受信する。透過率調整部1010はプログラム映像が半透明となるよう透過率を50%に調整する(S1206)。効果音音量調整部1041は効果音の音量を最大に調整する(S1207)。そしてN秒の時間経過待ちとなる(S1208)。透過率調整部1010はプログラム映像が不透明となるよう透過率を0%に調整する(S1209)。プログラム音量調整部1012はプログラム音量を最大に調整する(S1210)。効果音音量調整部1041は効果音の音量を最小に調整する(S1211)。
【0057】
プログラム実行部1008はプログラムの実行を停止する(S1212)。プログラムの実行停止については、視聴者が操作部814を介して実行停止の操作をしたとき、あるいはプログラムによる処理が完了したときなどが挙げられるが、本実施形態にて停止条件の如何は問わない。
図11は、主端末部800のプログラム映像透過率、プログラム音量、及び副端末部810のプログラム映像透過率、プログラム音量、効果音音量の時間的な推移例を示す。横軸は経過時間を表し、T1300乃至1304が時刻を示す。また上方に主端末部800のプログラム映像透過率、プログラム音量レベルの時間的変化を示し、下方に副端末部810のプログラム映像透過率、プログラム音量レベル、効果音の音量レベルの時間的変化を示している。
【0058】
時刻T1300にて、主端末部800はプログラムの実行を開始する(図10のS1101参照)。この際、主端末部800のプログラム映像透過率は最小(プログラム映像が不透明:0%)であり(S1102参照)、主端末部800のプログラム音量は最大である(S1103参照)。
時刻T1300からN秒が経過すると時刻T1301となる(S1104参照)。この時点で主端末部800はプログラムを副端末部810に送信する(S1105参照)。副端末部810はプログラムを受信し(S1200参照)、その実行を開始する(S1201参照)。この際、副端末部810のプログラム映像透過率は最大(プログラム映像が透明:100%)である(S1202参照)。副端末部810のプログラム音量は最小であり(S1203参照)、副端末部810の効果音の音量は最小である(S1204参照)。
【0059】
時刻T1301からM秒が経過すると時刻T1302となる(S1106参照)。時刻T1300から時刻T1302までの期間中、主端末部800はプログラムコンテンツを提示するが、副端末部810はプログラムコンテンツを提示しない。時刻T1302にて、主端末部800はプログラム提示開始命令を副端末部810に送信する(S1107参照)。時刻T1302から時刻T1303までの移行期間中、主端末部800のプログラム映像は半透明となり(S1108参照)、主端末部800のプログラム音量は最小となる(S1109参照)。なお、本例ではプログラム音量調整部1012により、移行期間中にプログラム音量が最小となるように調整しているが、移行期間中にプログラム音声を出力しない形態でもよい。つまり、この場合にはプログラム音量調整部1012により、移行期間中にプログラム音声のミュート処理が行われる。
【0060】
副端末部810は主端末部800からプログラム提示開始命令を受信し(S1205参照)、プログラムの提示を開始する。この際、副端末部810のプログラム映像は半透明であり(S1206参照)、副端末部810の効果音の音量は最大である(S1207参照)。副端末部810のプログラム音量は、引き続き最小である。
時刻T1302からN秒が経過すると時刻T1303となる(S1110及びS1208参照)。時刻T1302から時刻T1303までの期間中、主端末部800及び副端末部810はともにプログラムコンテンツを提示する。
【0061】
時刻T1303から、主端末部800のプログラム映像は透明となる(S1111参照)。主端末部800はプログラムの実行を停止する(S1112参照)。副端末部810のプログラム映像は不透明となり(S1209参照)、副端末部810のプログラム音量は最大となり(S1210参照)、副端末部810の効果音の音量は最小となる(S1211参照)。時刻T1303から時刻T1304までの期間中、副端末部810はプログラムコンテンツを提示するが、主端末部800はプログラムコンテンツを提示しない。そして時刻T1304にて、副端末部810はプログラムの実行を停止する(S1212参照)。
図12は、横軸に時刻を示し、縦軸には主端末部800及び副端末部810がプログラムの実行を開始した時点からの経過時間を示したグラフである。図中の時刻T1300乃至1304は図11に示す時刻と同一時刻である。
【0062】
主端末部800のプログラム実行に係る時間経過は、時刻T1300の時点を始点(点Q0参照)とし、時刻T1303の時点を終点(点Q3参照)する右上がりの線分に従って変化する。また、副端末部810のプログラム実行に係る時間経過は、時刻T1301の時点を始点(点Q1参照)とし、時刻T1304の時点を終点(点Q4参照)とする右上がりの線分に従って変化する。
【0063】
時刻T1300にて主端末部800はプログラムの実行を開始する(S1101参照)。時刻T1300からN秒が経過すると時刻T1301となり(S1104参照)、副端末部810がプログラムの実行を開始する(S1201参照)。時刻T1301からM秒が経過すると、時刻T1302となり(S1106参照)、主端末部800から副端末部810へプログラム提示開始命令が送信され(S1107参照)、副端末部810はプログラム映像の提示を開始する。
【0064】
時刻T1302からN秒が経過すると時刻T1303となり(S1110及びS1208参照)、主端末部800はプログラムの実行を停止する(S1112参照)。その後、時刻T1304にて、副端末部810はプログラムの実行を停止する(S1212参照)。
以上のように、副端末部810は、主端末部800よりもN秒の遅延時間後にプログラムの実行を開始する。従って、時刻T1303にて副端末部810が提示するプログラム内容は、時刻T1302にて主端末部800が提示するプログラム内容に相当する。
【0065】
第2実施形態によれば、端末装置を切り換える際に、切り換え先の装置は、切り換え元の装置よりも時間的に遅れてプログラムコンテンツを提示する。両装置においてプログラム映像が時間的に重複して提示されるため、視聴者の視点移動に要する期間に提示されるプログラム映像を視聴者が見逃さないように防止できる。また第2実施形態によると、切り換え先の装置から効果音を発することにより、視聴者に注意を喚起することができる。すなわち、プログラムコンテンツの提示装置が切り換わったことに視聴者が気づかず、映像を見逃してしまうといった事態が起きないように防止できる。
【符号の説明】
【0066】
100,800 主端末部(第1の装置)
102,802 映像出力部
110,810 副端末部(第2の装置)
200 符号化映像音声蓄積部
201,210 符号化映像音声読み出し部
204,304 輝度調整部
211 符号化映像音声送信部
220,320 提示制御部
906 映像音声送信部
908,1008 プログラム実行部
910,1010 プログラム映像透過率調整部
920 遅延処理部
921 プログラム送信部
930,1030 プログラム提示制御部
1012 プログラム音量調整部
1040 効果音生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装置及び第2の装置を備え、前記第1の装置から前記第2の装置へと映像の表示を切り換える際の移行期間にて前記第1の装置及び前記第2の装置で映像を時間的に重複して表示させる映像表示システムであって、
前記第1の装置は、映像を表示させるために映像信号を出力する映像出力手段と、映像信号を前記第2の装置に送信する送信手段と、前記映像出力手段が映像信号を出力した後で遅延時間をもって当該映像信号を前記第2の装置に送信するように前記送信手段を制御する制御手段と、を備え、
前記第2の装置は前記送信手段からの映像信号を受信し、前記移行期間にて、前記第1の装置で表示される映像よりも時間的に遅れて映像を表示することを特徴とする映像表示システム。
【請求項2】
前記第1の装置は、
映像データを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段から映像データを読み出す第1の読み出し手段と、
前記第1の読み出し手段が前記蓄積手段から映像データを読み出した時点よりも時間的に遅れて当該映像データを読み出す第2の読み出し手段と、を備え、
前記映像出力手段は前記第1の読み出し手段が読み出した映像データを処理して前記第1の装置の表示手段に映像を表示させ、
前記第2の装置は、前記第2の読み出し手段が読み出した映像データを処理して前記第2の装置の表示手段で映像を表示することを特徴とする、請求項1記載の映像表示システム。
【請求項3】
前記移行期間にて前記第1の装置及び前記第2の装置にて表示される映像がプログラムの実行によって生成される映像データに基づく映像であり、
前記第1の装置は、前記プログラムを実行して該プログラムに従って生成される映像データを前記映像出力手段に出力する第1のプログラム実行手段と、前記プログラムを前記第2の装置に送信するプログラム送信手段と、を備え、
前記第2の装置は、前記プログラム送信手段から受信した前記プログラムの実行を前記第1のプログラム実行手段よりも時間的に遅れて開始する第2のプログラム実行手段を備え、前記プログラムに従って生成される映像データに基づいて映像を表示することを特徴とする、請求項1記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記第1の装置は、前記プログラムの実行を前記第1のプログラム実行手段よりも遅らせるための遅延処理手段を備え、該遅延処理手段から前記プログラム送信手段を介して前記プログラムが前記第2の装置に送信されることを特徴とする、請求項3記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記第2の装置は、前記移行期間にて映像の表示が前記第1の装置から前記第2の装置へ切り換わることを知らせる効果音を発生させる効果音生成手段を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記第1の装置又は前記第2の装置は、前記移行期間にて表示される映像の輝度又は透過率を調整する調整手段を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記移行期間では音声を出力しないように音量調整手段を制御することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項8】
第1の装置及び第2の装置を備え、前記第1の装置から前記第2の装置へと映像の表示を切り換える際の移行期間にて前記第1の装置及び前記第2の装置で映像を時間的に重複して表示させる映像表示システムの制御方法であって、
前記第1の装置にて映像を表示させるために映像信号を出力するステップと、
前記ステップにて映像信号を出力した後で遅延時間をもって当該映像信号を前記第2の装置に送信するステップと、
前記第2の装置にて前記映像信号を受信し、前記移行期間にて、前記第1の装置で表示される映像よりも時間的に遅れて映像を表示させるステップと、を有することを特徴とする映像表示システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−114378(P2011−114378A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266325(P2009−266325)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】