説明

映像表示システム

【課題】監視システムでは、設置する監視カメラが数10〜100台以上に及ぶことがあり、これらの画像をモニタ1台につき複数台のカメラを割り当て、画面を例えば4/8/16・・・分割し順次切り替えて複数のモニタに表示している。しかし、モニタに異常が発生した場合、異常が発生したモニタに割り当てられたカメラの映像を見ることができない状況に陥ってしまう。
【解決手段】本発明に係る映像表示システムによれば、複数台の監視カメラ映像をネットワークを通して複数のモニタに表示するシステムにおいて、予め表示切替のためのカメラとモニタの割り当て関係情報を有するメモリテーブルを用意し、異常検出時にはメモリテーブルの情報を参照して制御することで、いずれかのモニタが異常となっても直ちに切り替えて全てのカメラ映像を表示することができ、不審な事象等を見逃すことなく監視を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地の監視カメラ等からの画像を表示する画像表示システムに係り、特に複数のカメラからの画像を漏れなく表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、広い監視領域に複数の監視カメラを設置し、各カメラにより撮影した画像を伝送回線(ネットワーク)により監視センタに伝送し、監視センタでは各カメラから送られた画像を表示装置に表示して、事故や犯罪等を監視する監視システムが用いられている。このような監視システムでは、一般に、監視モニタの数より監視カメラの数の方が多いため、1つの監視モニタに対して、複数の監視カメラが割り当てられ、監視カメラの映像を、所定の時間毎に切り替えることにより、より多くの地点からの映像が確認される。
【0003】
また、監視センタの表示装置では、ネットワークを介して複数の時系列データを蓄積する処理と同時に、複数の相手へ時系列データを配信する処理を行うに際して、ネットワーク型画像蓄積配信装置の各筐体に表示パネルを設け、識別名や、IPアドレスや、Webカメラからの画像入力状態や、クライアント端末への画像出力状態を表示する技術が開示されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−148347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の様な監視システムでは、設置する監視カメラが数10〜100台以上に及ぶことがあり、これらの画像をモニタ1台につき複数台のカメラを割り当て、画面を例えば4/8/16・・・分割し順次切り替えて複数のモニタに表示している。しかし、モニタに異常が発生した場合、異常が発生したモニタに割り当てられたカメラの映像を見ることができない状況に陥ってしまい、監視の目的を達することができない。
【0006】
また、異常が発生したモニタで監視していたカメラの映像を、他のモニタに表示させる必要が生じる。カメラ台数が多いと、この設定にも多大な時間がかかることになる上、設定が終了するまでこれらのカメラは監視停止させなければならない。
【0007】
本発明は上記の様な問題を鑑みて為されたもので、モニタに異常が発生しても、割り当てられたカメラの映像を他のモニタに表示させることで、特定の監視映像が途切れることのない映像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、所定の対象を撮像し、映像を通信回線に出力する複数の撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された映像を切り替えて表示する表示手段と、前記表示手段に表示する映像の切り替えの制御を行う映像切替手段と、から構成される映像表示システムであって、前記表示手段の映像表示状態の異常を検出する異常検出手段と、該異常検出手段により表示手段の異常を検出した場合に、異常の発生した表示手段または正常な表示手段に応じた映像表示パターンの情報を有するメモリテーブルと、前記メモリテーブルを参照して前記映像切替手段を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述の様に、本発明に係る映像表示システムによれば、複数台の監視カメラ映像をネットワークを通して複数のモニタに表示するシステムにおいて、予め表示切替のためのカメラとモニタの割り当て関係情報を有するメモリテーブルを用意し、異常検出時にはメモリテーブルの情報を参照して制御することで、いずれかのモニタが異常となっても直ちに切り替えて全てのカメラ映像を表示することができ、不審な事象等を見逃すことなく監視を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示す全体ブロック図。
【図2】本発明の他の一実施例を示す全体ブロック図。
【図3】本発明のPCの内部構造を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施例を示すフローチャート図。
【図5】本発明の一実施例のメモリテーブルを示す図。
【図6】本発明の他の一実施例のメモリテーブルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す、カメラn台の映像をモニタm台で表示する場合の映像表示システムの全体ブロック図である。
1−1〜1−nは所定の位置に設置されそれぞれの監視対象を撮影して出力するカメラ(以下、カメラ1−1〜1−nのそれぞれをここに区別する必要がない場合、纏めてカメラ1と称する)、2はインターネット等のネットワーク、3は出力する映像を切り換える映像切替装置、4−1〜4−mは映像処理やモニタの異常を検出するPC(以下、PC4−1〜4−nのそれぞれをここに区別する必要がない場合、纏めてPC4と称する)、5−1〜5−mはカメラ1からの映像を表示するモニタ(以下、モニタ5−1〜5−nのそれぞれをここに区別する必要がない場合、纏めてモニタ5と称する)、6は表示するカメラ映像の切り替えを指示する管理端末である。ここで、モニタ5−1〜5−mの台数はカメラ1−1〜1−nの台数より少ないものとする(n>m)。
【0012】
カメラ1は、撮影した映像をアナログ信号からデジタル信号に変換し、また、例えばJPEG等の圧縮方式で圧縮し、圧縮された映像データをネットワーク2を介して映像切替部3へ送信する。映像切替部3では、管理端末6からの制御情報に従って、カメラ1−1〜1−nの映像をそれぞれPC4−1〜4−mへ振り分けて送信する。PC4では、映像データを受信し、デジタル信号をアナログ信号に変換する等の所定の画像処理をし、後段のモニタ5に表示させる。このときモニタ5には、管理端末6が有する各カメラの各モニタへの割り当て情報が格納されたメモリテーブルに従って映像が切り替えて表示され、例えば画面を4/9/16・・・分割し、5秒ごとに切り替えて表示される。PC4は、モニタ5の映像状態を監視しており、モニタの映像状態の異常を検出すると、映像切替部3を介して管理端末に異常を知らせる信号を送信する。管理端末6は、異常を知らせる信号を受信すると、メモリテーブルを参照し、異常のあるモニタに応じて、異常のないモニタに振り分けるカメラの映像のパターンを決定し、制御信号を映像切替部3へ送信する。映像切替部3は、管理端末6からの制御信号に従って、改めてカメラ1−1〜1−nの映像をそれぞれPC4−1〜4−mへ振り分けて送信する。
【0013】
各モニタの表示量の負荷を考慮すると、異常が発生したモニタが1台のときはモニタ1台につきカメラn/m台、異常が発生したモニタが2台のときはモニタ1台につきカメラn/m−1台、異常が発生したモニタが3台のときはモニタ1台につきカメラn/m−2台、・・・異常が発生したモニタがm−1台のときはモニタ1台につきカメラn/m−(m−1)=n台を表示するように割り当てるのが良いが、どの様に割り当てるかは任意に設定可能である。
【0014】
図3は、PC4の内部構造を示すブロック図である。
映像入力部41には映像切替部3よりカメラ1の映像データが入力され、映像信号処理部42に出力する。映像信号処理部42では、入力された映像データに所定の画像処理をを施して映像出力部43に出力する。映像出力部43は処理された映像データをデジタル信号からアナログ信号に変換し、モニタ5に出力する。モニタ5は入力された映像データを映像として表示する。ここで、CPU45より映像出力部43およびモニタ異常検出部44にモニタの異常検出を指示する指令信号を送出すると、映像出力部43はモニタ異常検出部44にも映像信号を出力し、モニタ5はモニタ異常検出部44に映像信号を出力する。モニタ異常検出部44は、継続的又は断続的にモニタ5の自動輝度を測定しており、モニタから出力される映像信号の輝度の推移を測ることができ、また、モニタ5に入力される映像信号とモニタ5から出力される映像信号とを比較することで異常を検出できる。モニタ異常検出部44は、異常を検出するとCPU45へ異常を知らせる信号を入力する。CPU45は、異常を知らせる信号が入力されると、映像切替部3を介して異常を知らせる信号を管理端末6に送信する。
【0015】
ここでは、モニタ5の異常検出は異常検出部44でモニタ5への入力信号と出力信号を比較することで行ったが、他にもPingチェック等によって異常を検出するようにしても良い。
【0016】
ここで、図2および図5を用いて、カメラ30台の映像をモニタ3台で表示する場合について説明する。
カメラ1〜30は、撮影した映像をアナログ信号からデジタル信号に変換し、また、例えばJPEG等の圧縮方式で圧縮し、圧縮された映像データをネットワーク2を介して映像切替部3へ送信する。映像切替部3では、管理端末6からの制御情報に従って、カメラ1−1〜1−10の映像をPC4−1へ、カメラ1−11〜1−20の映像をPC4−2へ、カメラ1−21〜1−30の映像をPC4−3へ振り分けて送信する。PC4では、映像データを受信し、デジタル信号をアナログ信号に変換する等の所定の画像処理をし、後段のモニタ5に表示させる。このときモニタ5−1にはカメラ1−1〜1−10の映像が、モニタ5−2にはカメラ1−11〜1−20の映像が、モニタ5−3にはカメラ1−21〜1−30の映像が切り替えて表示され、例えば画面を4/9/16・・・分割し、5秒ごとに切り替えて表示されている。PC4は、モニタ5の映像状態を監視しており、例えばPC4−1がモニタ5−1の映像状態の異常を検出すると、PC4−1は映像切替部3を介して管理端末に異常を知らせる信号を送信する。管理端末6は、モニタ5−1の異常を知らせる信号を受信すると、メモリテーブルを参照し、「異常:モニタ1」のパターンを選択し、モニタ5−1には何も表示させず、モニタ5−2にはカメラ1−1〜1−15の映像を、モニタ5−3にはカメラ1−16〜1−30の映像を表示させる様に、制御信号を映像切替部3へ送信する。映像切替部3は、制御情報に従って、PC4−1には何も送信せず、PC4−2にはカメラ1−1〜1−15の映像データを、PC4−3にはカメラ1−16〜1−30の映像データを送信する。
また、モニタ5−1および5−2が同時に異常となった場合は、メモリテーブルの「異常:モニタ1,2」を参照し、モニタ5−1および5−2には何も表示させず、モニタ5−3にカメラ1−1〜1−30の映像を表示させるよう制御する。
【0017】
図6には、カメラ60台の映像をモニタ5台で表示する場合のメモリテーブルを示す。
いずれのモニタも異常がない場合、メモリテーブルの「異常:なし」のパターンに従って、モニタ5−1にはカメラ1−1〜1−15の映像を、モニタ5−2にはカメラ1−16〜1−30の映像を、モニタ5−3にはカメラ1−31〜1−45の映像を、モニタ5−4にはカメラ1−46〜1−60の映像を表示させるよう制御する。
また、モニタ5−1および5−2が同時に異常となった場合は、メモリテーブルの「異常:モニタ1,2」を参照し、モニタ5−1および5−2には何も表示させず、モニタ5−3にカメラ1−1〜1−30の映像を、モニタ5−4にカメラ1−31〜1−60の映像を表示させるよう制御する。
さらに、モニタ5−1,5−2および5−3が同時に異常となった場合は、メモリテーブルの「異常:モニタ1,2,3」を参照し、モニタ5−1,5−2および5−3には何も表示させず、モニタ5−4にカメラ1−1〜1−60の映像を表示させるよう制御する。
モニタが上に示す以外の組み合わせで異常となった場合も、メモリテーブルにしたがって表示パターンを決定し、表示されないカメラ映像がないよう制御する。
【0018】
上述の様に、本発明に係る映像表示システムによれば、複数台の監視カメラ映像をネットワークを通して複数のモニタに表示するシステムにおいて、予め表示切替のためのカメラとモニタの割り当て関係情報を有するメモリテーブルを用意し、異常検出時にはメモリテーブルの情報を参照して制御することで、いずれかのモニタが異常となっても直ちに切り替えて全てのカメラ映像を表示することができ、不審な事象等を見逃すことなく監視を行うことが可能となる。
【0019】
ここで、本発明に係る画像蓄積配信システムやネットワーク型画像蓄積配信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
また、各PCにメモリ部を設けてメモリテーブルを持たせ、異常のあったモニタに係るPCが他のPCと連携をとって表示を切り替える様に構成しても良い。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0020】
また、本発明に係る画像蓄積配信システムやネットワーク型画像蓄積配信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0021】
1−1〜1−n:カメラ、2:ネットワーク、3:映像切替部、4−1〜4−m:PC、5−1〜5−m:モニタ、6:管理端末、41:映像入力部、42:映像信号処理部、43:映像出力部、44:モニタ異常検出部、45:CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象を撮像し、映像を通信回線に出力する複数の撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された映像を切り替えて表示する表示手段と、
前記表示手段に表示する映像の切り替えの制御を行う映像切替手段と、
から構成される映像表示システムであって、
前記表示手段の映像表示状態の異常を検出する異常検出手段と、
該異常検出手段により表示手段の異常を検出した場合に、異常の発生した表示手段または正常な表示手段に応じた映像表示パターンの情報を有するメモリテーブルと、
前記メモリテーブルを参照して前記映像切替手段を制御する制御部と、
を有することを特徴とする映像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−232826(P2010−232826A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76374(P2009−76374)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】