説明

映像表示装置、投影装置、スクリーン

【課題】 取得映像の高コントラストを確保しつつ設置場所が限定されない映像表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 スクリーン2上に赤外線を受光すると光量に応じた電流を出力するフォトトランジスタと、フォトトランジスタに接続された赤、青、緑の発光ダイオードを備え、これらには直流バイアスが印加される。プロジェクタ4から画素毎に光量が調整された赤外光がスクリーン2上に放射されると、フォトトランジスタにおいて光電変換されることで光量に応じた電流が出力され、この電流が発光ダイオードに与えられて、電流値に応じた輝度で発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に関し、特にプラネタリウムなどのドーム形状のスクリーンや建造物壁面などの大型のスクリーンに映像表示が可能な映像表示装置であって、特に、高いコントラストが求められる用途に適した映像表示装置に関するものである。又、本発明は、この映像表示装置に用いられる投影装置及びスクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のマルチメディア時代の到来により、あらゆる場面で映像表示装置が利用されている。特に映像信号を投射して表示スクリーンに投影する投射型の映像表示装置は、大画面化が容易なため映画館等でも利用されている。
【0003】
この投射型の映像表示装置として、従来はCRTが多く利用されていたが、近年においては高輝度、高精細化の要求と共に、これらの要求性能に適する光変調素子として液晶パネルやミラーの角度を変化させることにより光量変調を行うDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)が利用されている。これらの液晶パネルやDMDを利用した投射型映像表示装置は、光源からの光で光変調素子としての液晶パネルやDMDを照明し、液晶パネルやDMDで画像信号により変調された透過光あるいは反射光を、投影光学系を通してスクリーン上に画像形成するものである。
【0004】
しかしながら、上述の液晶パネルやDMD等の光変調素子を用いる映像表示装置の場合、取得される映像のコントラストが低いという問題がある。これは、映像表示装置に利用される光変調素子の特性に起因するものであり、黒出力時に漏れ光や散乱光等の不要光が照射されることが主な原因である。このとき、出力される黒部分の映像は不要光照射によって輝度が上昇しているため輝度の高い白部分の映像との差が明確にならず、全体的に白っぽくぼやけた映像が取得されることがある。このような映像は「黒の締まりが悪い」と表現される。
【0005】
ところで、映画館等の大画面スクリーンは、観察者がスクリーンの前方に限られる家庭用のスクリーンとは異なり、色々な角度からスクリーンを見る観察者が存在することが想定されているため(スクリーンから見た想定観察者位置の方向が広いため)、投影される映像が広視野に拡散される拡散反射型スクリーンが利用される。このため、このような拡散反射型スクリーンに対して上述の光変調素子を用いた映像表示装置によって映像を投影すると、観察者側からの不要光(例えば映画館における非常灯や、表示された映像光が複数回反射した不要光等)についても拡散してしまい、これによってスクリーン面の最低輝度(黒出力時の輝度)が上昇するため、出力される映像は更に「黒の締まりが悪い」ものになる。
【0006】
このため、例えばプラネタリウム等のように高いコントラストが必要とされる空間においては、このような光変調素子を用いた映像表示装置では、十分に高いコントラストを達成することができず、高品位な映像を提供できないという問題があった。
【0007】
又、これとは別の問題として、投射型の映像表示装置を利用してスクリーンに映像を投影する場合、画像スクリーンが大画面になればなるほど投影に必要な光量が増大するため、これによって空気中の塵等で散乱された投影光束そのものが観察者によって知覚され、観察者が不快であるという問題がある。
【0008】
これらの問題を解決する方法として、近年では表示装置にマトリクス状に配置されたLED、OLED等の発光素子が発光することで映像を表示する自発光型の映像表示装置が開発されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0009】
自発光型の映像表示装置は、映像表示装置に配置された発光素子が発光することでディスプレイに映像が表示されるため投影光束が存在せず、観察者が投影光束を知覚することで不快感を示すという問題がない。又、大画面表示を行う場合は、通常発光素子全面に設置されたレンズによって拡散してディスプレイに表示させるため、良好なコントラストが確保できる。
【特許文献1】特開2004−318155号公報
【特許文献2】特開2004−77567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2等に記載されている自発光型の映像表示装置の場合、マトリクス状に配置された各画素毎に、当該画素が備える発光素子の発光制御を行うためのスイッチング素子が必要である。更に、画素毎に設けられたスイッチング素子をライン毎に制御するための制御回路が必要となるため、当該制御回路からスイッチング素子に対して制御信号を与えるための信号ラインをマトリクス状に設ける必要がある。
【0011】
このため、例えばプラネタリウム等のドーム形状をした大型スクリーンに映像を表示する場合、ドーム形状のスクリーン内部にマトリクス状に発光素子及び発光素子を制御するためのスイッチング素子を配置するとともに、各スイッチング素子に制御信号を与えるための信号ラインをマトリクス状に設ける必要があり、極めて設置が困難である。
【0012】
一方、液晶パネルやDMD等の投射型映像表示装置の場合、スクリーン上に素子及び信号ラインを配置する必要がないためスクリーンの設置場所については限定されないが、上述したように取得映像のコントラストが低く、黒の締まりが悪いため、特に周囲の照明が暗い場所で映像を観察されることが前提であるプラネタリウム等ではこれらの投射型映像表示装置を利用したとしても高品位な映像を得ることができない。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みて、取得映像の高コントラストを確保しつつ設置場所が限定されない映像表示装置を提供することを目的とする。又、本発明は、このような映像表示装置に用いられる投影装置及びスクリーンを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく、本発明の映像表示装置は、映像が表示されるスクリーンと、該スクリーンに対して表示すべき映像信号を放射する投影装置と、で構成される映像表示装置であって、前記スクリーンが、該スクリーン上に複数の画素が配置されるとともに、前記複数の画素が、不可視光を受光するとその受光量に応じて電気的量(電流、電圧、電気抵抗等)が変化する受光素子と、前記受光素子と電気的に接続されるとともに与えられる電気的量に応じた輝度の可視光を発光する第1発光部と、を備え、前記投影装置が、前記スクリーンに前記映像が表示されるよう前記複数の画素毎に放射すべき前記不可視光の光量を算出する発光制御部と、前記複数の画素それぞれに対して前記発光制御部が算出した光量の前記不可視光を放射する光出力部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このとき、第1発光部として発光ダイオードを利用するものとしても構わない。又、受光素子としてフォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトトライアック等を利用するものとしても構わない。
【0016】
このように構成されることで、本発明の映像表示装置は、スクリーン上に配置された第1発光部が発光することで映像を表示する自発光型の映像表示システムであるため、DMDや液晶パネル等の光変調素子を用いる映像投影装置によって得られる映像と違って、高コントラストの映像が取得できる。特に、第1発光部として発光ダイオードを利用する場合、発光ダイオードは、当該発光ダイオードを発光させるために必要な最低電流値(スレッシュホールド電流値)以下の電流が与えられても発光しない性質を有しているため、このスレッシュホールド電流値を下回る電流が発光ダイオードに与えられる場合でも当該発光ダイオードは発光せず、これによって更に高いコントラストを確保することができる。
【0017】
又、このとき、前記複数の画素それぞれが、発光色の異なる複数の第1部分画素で構成されるとともに、前記第1発光部が前記複数の第1部分画素それぞれに備えられるものとしても構わない。
【0018】
このとき、前記複数の画素それぞれが、赤、緑、青の3色を発光する3種類の前記第1部分画素を備えるものとしても構わない。又、更に前記第1発光部が発光ダイオードで構成される場合には、赤色に発光する前記第1部分画素が赤色光を発光する発光ダイオードを備え、緑色に発光する前記第1部分画素が緑色光を発光する発光ダイオードを備え、青色に発光する前記第1部分画素が青色光を発光する発光ダイオードを備える構成としても良い。
【0019】
又、前記複数の画素それぞれが、画素毎に前記受光素子を備えるとともに、該受光素子が、前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる前記第1発光部それぞれと電気的に接続される構成としても構わない。
【0020】
このとき、上述と同様、前記複数の画素それぞれが、赤、緑、青の3色を発光する3種類の前記第1部分画素を備えるものとしても構わない。更に、この場合、前記第1発光部が発光ダイオードで構成されるとともに、前記受光素子がフォトトランジスタで構成される場合には、赤色に発光する前記第1部分画素が赤色光を発光する発光ダイオードとこの発光ダイオードに電気的に接続されるフォトトランジスタを備え、緑色に発光する前記第1部分画素が緑色光を発光する発光ダイオードとこの発光ダイオードに電気的に接続されるフォトトランジスタを備え、青色に発光する前記第1部分画素が青色光を発光する発光ダイオードとこの発光ダイオードに電気的に接続されるフォトトランジスタを備える構成としても良い。
【0021】
又、前記複数の第1部分画素それぞれが、前記第1発光部と、該第1発光部と電気的に接続された前記受光素子とを備える構成としても構わない。
【0022】
このとき、上述と同様、前記複数の画素それぞれが、赤、緑、青の3色を発光する3種類の前記第1部分画素を備えるものとしても構わない。更に、この場合、前記第1発光部が発光ダイオードで構成されるとともに、前記受光素子がフォトトランジスタで構成される場合には、前記複数の画素それぞれが、赤色光を発光する発光ダイオードと、緑色光を発光する発光ダイオードと、青色光を発光する発光ダイオードと、これらの発光ダイオードと電気的に接続される1つのフォトトランジスタとで構成されるものとしても構わない。
【0023】
このように構成することで、スクリーン上に配置すべきフォトトランジスタの数を減少させることができ、回路構成を簡素化する効果がある。
【0024】
又、前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる前記受光素子が、該受光素子を備える前記第1部分画素の発光色毎に波長の異なる前記不可視光に対して光電変換を行うものとしても構わない。
【0025】
このように構成することで、例えば前記複数の画素それぞれが、赤、緑、青の3色を発光する3種類の前記第1部分画素を備える場合、前記受光素子に照射する前記不可視光の波長を変化させることで、前記複数の画素それぞれの発光色を変化させることができる。尚、この構成は赤、緑、青の3色に限られるものではなく、他の色を発光するものであっても構わないし、4色以上を発光する4種類以上の第1部分画素を備えるものとしても構わない。
【0026】
又、前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる前記第1発光部の発光色を切り換える色切換部を有し、前記色切換部が、前記第1発光部に対して電圧の印加制御を行うことで発光色の切換を行う構成としても構わない。
【0027】
このように構成することで、例えば前記複数の画素それぞれが、赤、緑、青の3色を発光する3種類の前記第1部分画素を備える場合、前記投影装置が赤、緑、青の前記第1部分画素それぞれに対して指定光量の不可視光を順次切り換えて放射することにより、全体として前記スクリーン上に対象映像が投影される。
【0028】
このとき、所定の時間が経過した後、前記色切換部によって前記第1発光部の発光色の切り換えが行われるものとしても構わない。この場合、全画素領域の内、まず赤色に発光する全ての前記第1部分画素に対して画素毎に指定光量の不可視光を照射した後、次に緑色に発光する全ての前記第1部分画素に対して画素毎に指定光量の不可視光を照射し、次に青色に発光する全ての前記第1部分画素に対して画素毎に指定光量の不可視光を照射するものとしても構わない。
【0029】
又、前記不可視光を受光すると光量に応じた起電力を発生する太陽電池を有し、前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる一部の前記第1発光部に対して印加される電圧が、前記太陽電池から供給される構成としても構わない。
【0030】
又、前記複数の画素それぞれが、前記各第1部分画素の発光色とは異なる発光色で発光する少なくとも一つの第2部分画素を備え、前記第2部分画素が、前記スクリーン上に蛍光塗料が塗布されるとともに、前記受光素子に照射される前記不可視光とは異なる波長の前記不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度で前記蛍光塗料が発光する第2発光部で構成される構成としても構わない。
【0031】
このとき、前記第2発光部には紫外光が放射されるものとしても構わない。
【0032】
このように構成することで、前記第2部分画素についてはスクリーン上に蛍光塗料を画素数分塗布するのみで良く、スクリーン上に配線すべき回路構成が簡素化される。
【0033】
又、前記複数の画素それぞれが、各々の発光色が異なる複数の前記第2部分画素を備え、前記各第2部分画素に備えられる前記第2発光部が、該発光部を備える前記第2部分画素の発光色毎に波長の異なる前記不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度で発光する構成としても構わない。
【0034】
このとき、前記複数の画素それぞれが、例えば第1の波長の不可視光を受光すると青色に発光する前記第2部分画素と、第2の波長の不可視光を受光すると緑色に発光する前記第2部分画素を備える構成とすることができる。
【0035】
又、本発明の投影装置は、複数の画素が配置されたスクリーンに対して表示すべき映像信号を放射する前記映像表示装置に備えられる投影装置であって、前記スクリーンに前記映像が表示されるよう前記複数の画素毎に放射すべき前記不可視光の光量を算出する発光制御部と、前記各複数の画素に対して前記発光制御部が算出した光量の前記不可視光を放射する光出力部と、を備えることを特徴とする。
【0036】
又、本発明のスクリーンは、投影装置から放射される映像信号に基づいて映像が表示される前記映像表示装置に備えられるスクリーンであって、複数の画素が配置されるとともに、前記複数の画素が、前記投影装置から放射された不可視光を受光するとその受講料に応じて電気的量が変化する受光素子と、前記受光素子と電気的に接続されるとともに与えられる電気的量に応じた輝度で発光する第1発光部と、を備えることを特徴とする。
【0037】
このとき、前記スクリーンが、前記複数の画素が、蛍光塗料が塗布されるとともに前記受光素子に照射される前記不可視光とは異なる波長の前記不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度で前記蛍光塗料が発光する第2発光部を更に備える構成としても構わない。
【発明の効果】
【0038】
本発明の映像表示装置によれば、スクリーン上に配置された発光ダイオードが発光することで映像を表示する自発光型の映像表示システムであるため、DMDや液晶パネル等の光変調素子を用いる映像投影装置によって得られる映像と違って、高コントラストの映像が取得できる。特に、発光ダイオードは、当該発光ダイオードを発光させるために必要な最低電流値(スレッシュホールド電流値)以下の電流が与えられても発光しない性質を有しているため、このスレッシュホールド電流値を下回る電流が発光ダイオードに与えられる場合でも当該発光ダイオードは発光せず、これによって更に高いコントラストを確保することができる。
【0039】
又、プロジェクタから放射される光は赤外光であるため、観察者によってプロジェクタからの投影光束が確認されることがなく、従来の投射型の映像表示装置のように観察者によって投影光束が知覚されるという問題が解決される。
【0040】
又、本発明の映像表示装置が備えるスクリーンは、発光ダイオード及びフォトトランジスタからなる画素を配置するとともに、各画素に対してバイアス電圧を印加する構成である。即ち、本発明の映像表示装置は、スクリーン上の配置された発光ダイオードの発光制御をプロジェクタが行う構成であるため、従来の自発光型の映像表示装置のように、スクリーン上に画素を制御する制御回路や信号ラインを設ける必要がなく、プラネタリウム等のドーム状スクリーンに対しても容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の映像表示装置の一実施形態であるプラネタリウムの構造を示す概念図である。
【0042】
図1に示すプラネタリウム1は、映像を映し出すスクリーン2と、表示する映像データの再生を行う映像再生装置3と、映像再生装置からの映像データが電気回線5を介して送られるとともに送られた映像データをスクリーン2に投影するプロジェクタ4とを備える。又、映像再生装置3には、操作者が表示したい映像データを確認するための表示画面6が設けられている。
【0043】
又、映像再生装置3には予め再生用の映像データが備えられており、映像再生装置によって当該映像データが再生されると、その内容が表示画面6に表示されるとともに、電気回線5を介してプロジェクタ4に出力される。プロジェクタ4は、映像再生装置3より与えられた当該映像データを元にしてスクリーン2上の光を放射する対象領域2aを特定し、この領域2aに対して光を放射する。このようにして、スクリーン2の特定領域2aに当該映像データが投影される。尚、このスクリーン2には、後述するように発光ダイオード及びフォトトランジスタを備える複数の画素がマトリクス状に配置されている。
【0044】
次に、スクリーン2の構成について図面を参照して説明する。図2は、スクリーン2の一部領域の模式図であり、図3は図2に示された領域の回路図である。
【0045】
図2に示すように、スクリーン2には赤色に発光する発光ダイオードLrを備える部分画素R、緑色に発光する発光ダイオードLgを備える部分画素G、青色に発光する発光ダイオードLbを備える部分画素Bの3色の部分画素が隣接されることで構成される画素がマトリクス状に複数配置される。尚、発光ダイオードLr、Lg、Lbは、当該発光ダイオードに電流が流れると所定の色(赤、緑、青)に発光するように構成されているものとする。又、図2では、1画素を形成する部分画素R、G、Bが左からこの順に配置されているものとしたが、部分画素の並び順についてはこの方法に限られるものではない。又、本例では各画素がマトリクス状に配置されているが、これに限らず面状に並んで配置されるものであれば良く、例えば千鳥状や放射状に配置されていても良い。
【0046】
更に、各部分画素R、G、Bは、それぞれ赤外光を受光すると、光電変換が行われることでその光を光量に応じた電気信号に変換するフォトトランジスタPr、Pg、Pbを備える。又、これらのフォトトランジスタPr、Pg、Pbは、可視光を受光しても光電変換が行われないように予め構成されているものとする。具体的には、例えば可視光領域の光を遮断するフィルタが各フォトトランジスタPr、Pg、Pbの前面に設置することで実現できる。
【0047】
このように、発光ダイオードとフォトトランジスタを備える3色の部分画素R、G、Bで形成される画素αが構成する回路図を図3に示す。
【0048】
図3(a)は、各部分画素R、G、Bが備える発光ダイオードLr、Lg、Lb及びフォトトランジスタPr、Pg、Pbによって形成される画素αの回路図を示している。尚、図3(a)に示す回路図は、スクリーン2上にマトリクス状に配置された複数の画素で構成される領域の一部について示したものである。又、図3(b)は、この内の一画素α11のみを拡大した回路図である。
【0049】
図3(a)に示すように、各画素αは3色の部分画素R、G、Bを備えており、各々の部分画素R、G、Bが発光ダイオードとフォトトランジスタで構成される。又、各画素αを構成する部分画素が備える発光ダイオードとフォトトランジスタに対して直流バイアスDC1が印加される。例えば、図3(b)に示すように、画素α11は部分画素R11、G11、B11で構成されており、この内、部分画素R11は、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の赤色光を発光する発光ダイオードLr11と、赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPr11とを備える。このフォトトランジスタPr11は、コレクタ端子に直流バイアスDC1が印加されるとともに、エミッタ端子に発光ダイオードLr11が接続される。
【0050】
尚、以下において、発光ダイオードLrmn(m、nは自然数、以下同様とする)は発光ダイオードLrで構成され、発光ダイオードLgmnは発光ダイオードLgで構成され、発光ダイオードLbmnは発光ダイオードLbで構成されるものとする。同様に、フォトトランジスタPrmnはフォトトランジスタPrで構成され、フォトトランジスタPgmnはフォトトランジスタPgで構成され、フォトトランジスタPbmnはフォトトランジスタPbで構成されるものとする。
【0051】
このとき、部分画素R11が配置されているスクリーンの位置に赤外光が照射されると、フォトトランジスタPr11において光電変換が行われることで光量に応じた電子正孔対が発生し、これによってエミッタ端子に光量に応じた電流が流れる。そしてエミッタ端子から流れた電流は発光ダイオードLr11に与えられ、この電流値が所定値以上もしくは所定値より大きい値である場合には発光ダイオードLr11が赤色に発光する。尚、以下では発光ダイオードを発光させるために必要な最低電流値を「スレッシュホールド電流値」と称する。即ち、このスレッシュホールド電流値以上の電流が発光ダイオードに与えられた場合には当該電流値に応じた強度で発光ダイオードが発光する。
【0052】
このとき、発光ダイオードLr11から放射される光量はフォトトランジスタPr11が受光した光量に応じた値となる。即ち、フォトトランジスタPr11が受光した赤外光の光量が多い場合には発光ダイオードLr11の発光輝度が高くなり、フォトトランジスタPr11が受光した赤外光の光量が少ない場合には発光ダイオードLr11の発光輝度が低くなる。又、フォトトランジスタPr11が受光した赤外光の光量が所定値未満である場合に、フォトトランジスタから出力される電流の電流値が発光ダイオードLr11を発光させるのに必要な最低電流値であるスレッシュホールド電流値未満であれば、この発光ダイオードLr11は発光しない。
【0053】
同様に、発光ダイオードLg11とフォトトランジスタPg11を備える部分画素G11が配置されているスクリーンの位置に赤外光が照射されると、フォトトランジスタPg11において光電変換が行われることで光量に応じた電子正孔対が発生し、これによってエミッタ端子に光量に応じた電流が流れ、この電流値がスレッシュホールド電流値以上である場合には、当該電流値に応じた強度で発光ダイオードLg11が緑色に発光する。
【0054】
同様に、発光ダイオードLb11とフォトトランジスタPb11を備える部分画素B11が配置されているスクリーンの位置に赤外光が照射されると、フォトトランジスタPb11において光電変換が行われることで光量に応じた電子正孔対が発生し、これによってエミッタ端子に光量に応じた電流が流れ、この電流値がスレッシュホールド電流値以上である場合には、当該電流値に応じた強度で発光ダイオードLb11が青色に発光する。
【0055】
このように、マトリクス状に配置された画素αmnは、それぞれ部分画素Rmn、Gmn、Bmnを備えるとともに、各部分画素Rmn、Gmn、Bmnがそれぞれ発光ダイオードLrmn、Lgmn、LbmnとフォトトランジスタPrmn、Pgmn、Pbmnで構成される。又、各部分画素Rmn、Gmn、Bmnには直流バイアスDC1が印加される。そして、部分画素Rmnが配置される領域に所定光量以上の赤外光が照射されると発光ダイオードLrmnが光量に応じた強度で赤色に発光し、部分画素Gmnが配置される領域に所定光量以上の赤外光が照射されると発光ダイオードLgmnが光量に応じた強度で緑色に発光し、部分画素Bmnが配置される領域に所定光量以上の赤外光が照射されると発光ダイオードLbmnが光量に応じた強度で青色に発光する。
【0056】
尚、図3において、各画素に印加する直流バイアスを同一の直流バイアスDC1としたが、発光ダイオードLr、Lg、Lbを発光させるために必要なバイアス電圧が、発光ダイオードLr、Lg、Lb間で異なる場合には、例えば図4に示すように各部分画素R、G、B毎に印加する直流バイアス電圧を変えるものとしても構わない。この場合、部分画素Rに対しては直流バイアスDC1が印加され、部分画素Gに対しては直流バイアスDC2が印加され、部分画素Bに対しては直流バイアスDC3が印加される構成である。
【0057】
このとき、所定の光量の赤外光をフォトトランジスタに照射し、当該フォトトランジスタから出力される電流が発光ダイオードに与えられると、当該発光ダイオードが所定輝度以上発光するように各直流バイアスDC1、DC2、DC3のバイアス電圧が設定されているものとしても構わない。
【0058】
次に、上述のように構成される各画素を備えるスクリーン2上に映像を投影するプラネタリウム1の動作について、ブロック図を用いて説明を行う。図5は、図1に示すプラネタリウム1における映像再生装置3及びプロジェクタ4の動作を説明するためのブロック図である。
【0059】
図5に示すように、映像再生装置3は、操作者が当該映像再生装置3を操作するための操作部11と、映像データの再生制御を行う再生制御部12と、映像データが格納されるメモリ13と、映像データを映像再生装置3上で操作者が確認するための表示部14と、プロジェクタ4に対して映像データを出力するための外部出力部15とを備える。
【0060】
又、プロジェクタ4は、映像再生装置3から与えられる映像データが入力される信号入力部21と、信号入力部21に入力された信号の解析を行う信号解析部22と、信号解析部22で行われた解析結果に基づいてスクリーン2上に光を放射する放射領域及び放射光量を特定する発光制御部23と、発光制御部23によって指定されるスクリーン2上領域に指定される光量の赤外光を放射する光出力部24とを備える。
【0061】
映像再生装置3は、操作者が操作部11を操作することによって再生すべき映像データが選択されると、再生制御部12が指定された映像データをメモリ13より読み出して再生操作を行う。又、再生制御部12は、この再生される映像データを表示部14及び外部出力部15に与える。表示部14は、表示画面6等で構成されており、この表示画面6に表示される映像データを操作者が確認することができる。又、外部出力部15に出力された映像データは、電気回線5を介してプロジェクタ4に与えられる。
【0062】
このとき、操作者が操作部11を操作することで、映像データに対して停止、ズームアップ、移動等の所定の処理を施すことができるものとしても構わない。
【0063】
又、外部出力部15が再生される映像データを所定の時間毎に区切ることで得られる静止画像を逐次プロジェクタ4に送るものとしても構わない。又、このとき送られる映像データが、マトリクス状に配置された複数の画素それぞれが出力する信号の色データと輝度データで構成されるものとしても構わない。即ち、この場合の外部出力部15からプロジェクタ4に送られる映像データは、マトリクス状に配置された複数の画素の内の各画素の相対座標と、当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ(R、G、Bの比率)及び輝度データ(明暗の度合い)とで構成される。尚、このとき、映像データとして各画素の情報が画素毎に所定の配列順でシリアルに送られる場合、送られる情報の配列によって各画素の相対位置がプロジェクタ4側で把握できる構成にしても構わない。
【0064】
このようにしてプロジェクタ4に対して映像データが送られると、プロジェクタ4は信号入力部21にて当該映像データを受信して信号解析部22に送る。信号解析部22は、送られた映像データより、マトリクス状に配置された複数の画素が出力する信号の色データ及び輝度データを抽出して発光制御部23に与える。このとき、映像データが上述の相対座標と当該相対座標に位置する画素が出力する色データ及び輝度データによって構成されている場合は、各相対座標毎に、当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ及び輝度データの組み合わせからなる情報を発光制御部23に与えるものとしても構わない。
【0065】
発光制御部23は、信号解析部22より与えられた情報に基づいて各画素毎に放射すべき赤外光量を算出し、光出力部24に与える。例えば、映像データが上述の相対座標と当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ及び輝度データによって構成されている場合、相対座標毎に指定された色データと輝度データの組み合わせに対応した赤外光量を算出するものとしても構わない。
【0066】
そして、光出力部24が、発光制御部23から各画素位置に対応した放射すべき赤外光量値のデータが与えられると、このデータに基づいて画素毎に指定光量の赤外光を照射する。尚、このとき、光出力部24は、対応画素数と各画素毎に備える部分画素数(R、G、Bから構成される3部分画素)の積の数だけの赤外光を照射できる構成であるものとする。
【0067】
例えば、映像再生装置3から与えられた映像データの内、最も左上に位置する画素の情報が、色データ「R,G,Bの比率がAr:Ag:Ab」、輝度データ「輝度値s」なる情報として与えられた場合、放射領域の最も左上に位置する画素αxy(x、yは自然数とする。以下同様)が備える各部分画素Rxy、Gxy、Bxyに対して赤外光が照射されるようにプロジェクタ4の放射方向を定めるとともに、輝度値sの元でR、G、Bの比率がAr:Ag:Abで構成される色の光が画素αxyにおいて表示されるために必要な光量の赤外光が光出力部24から各部分画素Rxy、Gxy、Bxyに対して照射される。以下、同様に左上の画素位置からの相対座標に対応して、当該指定される画素位置に指定光量の赤外光が光出力部24から照射される。
【0068】
このとき、全画素に対する映像データが信号解析部22によって解析されるとともに、全画素に対して放射すべき赤外光量が発光制御部23によって算出された後、光出力部24からは全画素に対して同時に画素毎に指定された所定光量の赤外光が放射されるものとしても構わない。更に、フォトトランジスタに対して照射する赤外光の照射時間を調整することで光量制御を行う構成としても構わない。この場合、各画素(各部分画素)毎に照射する赤外光量が指定され、この照射時間の制御を光出力部23の放射孔の開閉制御によって行うものとしても構わない。
【0069】
尚、映像再生装置3からプロジェクタ4に与えられる映像データの内、色データとしてR、G、Bの比率とは異なる形式の情報(例えばC、M、Y、Bの比率情報等)が与えられる場合、信号解析部22によって色データの形式を解析するとともに、この送られた情報からR,G、Bの比率を算出するものとしても構わない。
【0070】
又、プロジェクタ4が、当該プロジェクタ4の位置を制御する位置制御部(不図示)を備えており、映像再生装置3から送られる映像データにスクリーン2上の投影エリアを指定するエリアデータが含まれている場合には、信号解析部22が映像データよりエリアデータを認識するとともに、このエリアデータが指定する投影エリアに対して光を照射できるように位置制御部によってプロジェクタ4の位置が制御されるものとしても構わない。
【0071】
例えば、スクリーン2上に配置された各画素にはそれぞれ絶対座標が設けられており、上記エリアデータには放射領域(投影領域)内の基準となる一画素(以下では「基準画素」と称する)に対応するスクリーン2上の画素の絶対座標のデータが含まれている場合には、当該絶対座標に該当するスクリーン2上の画素位置と、映像データに含まれる相対座標とによって一意に決定されるスクリーン2上の投影エリア内に赤外光が照射できるように、位置制御部によってプロジェクタ4の位置が制御されるものとしても構わない。このとき、基準画素として、画素領域の内の最も左上に位置する画素を採用するものとしても良い。
【0072】
このようにすることで、映像再生装置3からプロジェクタ4に送られる映像データとして、映像再生装置3によって再生される映像が所定の時間毎に区切られることで得られた静止画像が逐次送られる構成である場合には、再生開始後の所定のタイミングでスクリーン2上の投影領域を変更することができる。即ち、時分割された映像データそれぞれがエリアデータを含む構成であるとともに、エリアデータ内に投影エリアが変更される旨の情報が記載されている場合に、位置制御部がプロジェクタ4の位置を制御した上で赤外光の照射を行うことで、スクリーン2上の投影エリアを変更しながら映像を表示することができる。このとき、信号解析部22において、映像データに含まれるエリアデータ内の基準位置に対応するスクリーン2上の絶対座標の値が変化したことを検知することで投影エリアが変更される旨の情報を認識するものとしても構わない。
【0073】
上述のように、発光制御部23から指定された画素に対応する光量の赤外光が光出力部24からスクリーン2上の配置された画素領域に対して照射されると、スクリーン2上に配置された各画素を構成する各フォトトランジスタによって光電変換され、光量に応じた電流が流れる。そして、当該画素が備える発光ダイオードにこの電流が与えられると、発光ダイオードが電流値に応じた輝度値の光を発光する。このようにして、プロジェクタ4から放射された赤外光の放射領域に位置するスクリーン2上において当該領域に配置された各画素を構成する発光ダイオードが所定光量の光を発光することで、スクリーン2上の指定領域に対象映像が投影される。
【0074】
このように構成されるプラネタリウム1は、スクリーン2上に配置された発光ダイオードが発光することで映像を表示する自発光型の映像表示システムであるため、DMDや液晶パネル等の光変調素子を用いる映像投影装置によって得られる映像と違って、極めて高コントラストの映像を実現することができる。特に、発光ダイオードは上述のようにスレッシュホールド電流値以下では発光しない性質を有しているため、このスレッシュホールド電流値を下回る電流が発光ダイオードに与えられる場合でも当該発光ダイオードは発光せず、これによって更に高いコントラストを確保することができる。
【0075】
又、プロジェクタ4から放射される光は赤外光であるため、観察者によってプロジェクタ4からの投影光束が確認されることがなく、従来の投射型の映像表示装置のように観察者によって投影光束が知覚されるという問題が解決される。
【0076】
又、図3の回路図に示されるように、上述のプラネタリウム1が備えるスクリーン2は、発光ダイオード及びフォトトランジスタからなる画素をマトリクス状に配置するとともに、各画素に対して直流バイアスを印加する構成である。即ち、本実施形態の映像表示装置は、スクリーン2上の配置された発光ダイオードの発光制御をプロジェクタ4が行う構成であるため、従来の自発光型の映像表示装置のように、スクリーン2上に画素を制御する制御回路や信号ラインを設ける必要がなく、プラネタリウム等のドーム状スクリーンに対しても容易に設置することができる。
【0077】
尚、上述では、本発明の映像表示装置をプラネタリウムに利用する例を挙げて説明を行ったが、利用形態はプラネタリウムに限られない。例えば、ビルの側面に図3に示される画素を形成し、遠方からプロジェクタ4によって赤外光を照射することで、ビルの側面に映像が表示される構成とすることもできる。この点は後述する各実施形態についても同様である。
【0078】
又、上述ではプロジェクタ4が赤外光を照射する構成としたが、赤外光の代わりに紫外光を利用する構成としても構わない。即ち、各画素を構成するフォトトランジスタは紫外光が入射されると光電変換を行う性質を備え、プロジェクタ4が紫外光を照射する機構を備えるものとしても構わない。
【0079】
更に、上述では、光出力部24が対応画素数と各画素毎に備える部分画素数の積の数だけの赤外光を照射できる構成であるものとしたが、光出力部24が対応画素数分の赤外光を放射できる構成としても構わない。この場合は、各部分画素R、G、Bそれぞれに対して指定光量の赤外光を順次切り換えて放射することにより、全体としてスクリーン2上に対象映像が投影される。
【0080】
このとき、所定の時間が経過した後、各部分画素R、G、B間の切換制御が行われるものとしても構わない。即ち、全画素領域の内、まず全ての部分画素Rに対して画素毎に指定光量の赤外光を照射した後、次に全ての部分画素Gに対して画素毎に指定光量の赤外光を照射し、次に全ての全部分画素Bに対して画素毎に指定光量の赤外光を照射するものとしても構わない。
【0081】
又、本実施形態において、図6に示すようにフォトトランジスタPr、Pg、Pbの代わりに赤外光を受光すると起電力が発生する太陽電池Br、Bg、Bbを備える構成としても構わない。このとき、過電流防止用の抵抗R1が更に接続される構成であるものとしても良い。
【0082】
図6に示される構成の場合、光出力部24が発光制御部23から与えられた各画素位置に対応した放射すべき赤外光量に基づいて赤外光を放射すると、各太陽電池Br、Bg、Bbは当該赤外光量に応じた起電力を発生する。このとき、各太陽電池Br、Bg、Bbで発生した起電力に応じた電流が各発光ダイオードLr、Lg、Lbに与えられ、この電流値に応じた輝度で各発光ダイオードが発光する。
【0083】
即ち、このように構成されるとき、直流バイアスDC1を各画素に印加する必要がなく、回路構成が更に簡素化される。
【0084】
又、この場合、更に図7に示すように、太陽電池Br、Bg、Bbに加えてフォトトランジスタPr、Pg、Pbを備える構成とすることもできる。このとき、光出力部24が2種類の波長λb、λpの赤外光を放射できる構成であるととともに、太陽電池Br、Bg、Bbが波長λbの赤外光を受光すると光量に応じた起電力を発生し、この状態の下でフォトトランジスタPr、Pg、Pbが波長λpの赤外光を受光すると光量に応じた電流が各発光ダイオードLr、Lg、Lbに与えられるものとしても良い。
【0085】
尚、このとき、太陽電池Br、Bg、Bbには波長λpの赤外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に備えられるものとし、フォトトランジスタPr、Pg、Pbには波長λbの赤外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に備えられるものしても構わない。
【0086】
又、上記の場合においては、プラネタリウム1が、発光制御部23の算出結果に基づいて各画素に対して指定された光量の波長λbの赤外光を放射するプロジェクタ4と、波長λpの赤外光を全画素に対して一定光量放射するプロジェクタ4’を備える構成としても構わない。又、上述と同様、各発光ダイオードLr、Lg、Lbを発光させるために必要なバイアス電圧が各発光ダイオードLr、Lg、Lb間で異なる場合には、各太陽電池Br、Bg、Bbに対してそれぞれ異なる光量の赤外光がプロジェクタ4’から放射されるものとしても良い。
【0087】
更に、本実施形態において、図8に示すように、例えば部分画素Bのみをスクリーン2上に塗布された蛍光塗料Fbで構成するものとしても構わない。この蛍光塗料Fbは紫外光が放射されると青色に発光する性質を有する塗料で形成されるものとする。
【0088】
この場合、プロジェクタ4が赤外光と紫外光の2種類を放射できる構成である場合には、プロジェクタ4がフォトトランジスタLr、Lgに対しては発光制御部23の指定光量に基づいて赤外光を照射し、蛍光塗料Fbに対しては発光制御部23の指定光量に基づいて紫外光を照射するものとしても構わない。尚、このとき、フォトトランジスタPr及びPgは、紫外光が入射されても光電変換が行われない構成であるものとする。例えば、紫外領域の光を遮断するフィルタがフォトトランジスタPr及びPgの前面に設けられているものとする。
【0089】
このように構成することで、部分画素Bについてはスクリーン2上に蛍光塗料を画素数分塗布するのみで良く、スクリーン2上に配線すべき回路構成が簡素化される。尚、この場合においても、他の部分画素に印加する直流バイアスを太陽電池によって発生される起電力を用いるものとすることもできる。
【0090】
尚、上述では、部分画素Bのみをスクリーン2上に塗布された蛍光塗料で構成するものとしたが、部分画素Bに限らず、部分画素Rのみを蛍光塗料で構成するものとしても構わないし、部分画素Gのみを蛍光塗料で構成するものとしても構わない。
【0091】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、本実施形態において、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0092】
本実施形態におけるプラネタリウム1aは、第1の実施形態においてスクリーン2上に配置されたフォトトランジスタPr、Pg、Pbが、各フォトトランジスタで光電変換が行われるために必要な赤外光の波長がPr、Pg、Pbそれぞれで異なる値となるように構成されるとともに、第1の実施形態におけるプロジェクタ4の代わりに、異なる3種類の波長の赤外光が放射できるプロジェクタ4aを備える。
【0093】
例えば、各フォトトランジスタPr、Pg、Pbが波長900nmの赤外光を受光した場合はフォトトランジスタPrのみで光電変換が行われ、各フォトトランジスタPr、Pg、Pbが波長850nmの赤外光を受光した場合はフォトトランジスタPgのみで光電変換が行われ、各フォトトランジスタPr、Pg、Pbが波長800nmの赤外光を受光した場合はフォトトランジスタPbのみで光電変換が行われるものとする。
【0094】
尚、各フォトトランジスタが光電変換を生じる赤外光の波長の値は上記に限られるものではなく、少なくともフォトトランジスタPr、Pg、Pbに対して同一波長の赤外光が入射された場合に、フォトトランジスタPrのみで光電変換が行われるような赤外光の波長λrと、フォトトランジスタPgのみで光電変換が行われるような赤外光の波長λgと、フォトトランジスタPbのみで光電変換が行われるような赤外光の波長λbとが存在するように各フォトトランジスタPr、Pg、Pbが構成されていれば良い。以下では、フォトトランジスタPr、Pg、Pbそれぞれに対して波長λr、λg、λbの赤外光を照射した場合に、波長λrの赤外光を受光するとフォトトランジスタPrにおいて光電変換が行われ、波長λgの赤外光を受光するとフォトトランジスタPgにおいて光電変換が行われ、波長λbの赤外光を受光するとフォトトランジスタPbにおいて光電変換が行われるものとして説明を行う。
【0095】
このとき、フォトトランジスタPr、Pg、Pbが、フォトトランジスタ前面に所定の波長を遮断するバンドカットフィルタを備えることで、各フォトトランジスタPr、Pg、Pbにおいて光電変換が行われるための赤外光の波長を異ならせるものとしても構わない。
【0096】
即ち、フォトトランジスタPrに対して少なくとも波長λgと波長λbの赤外光を遮断するフィルタを設けることで、波長λrの赤外光が入射された場合には光電変換が行われ、波長λg及び波長λbの赤外光が入射された場合には光電変換が行われない構成にすることができる。同様に、フォトトランジスタPgに対しては少なくとも波長λgと波長λbの赤外光を遮断するフィルタを設け、フォトトランジスタPbに対しては少なくとも波長λrと波長λgの赤外光を遮断するフィルタを設けることで、フォトトランジスタPr、Pg、Pbそれぞれに対して波長λr、λg、λbの赤外光を照射した場合に、波長λrの赤外光を受光するとフォトトランジスタPrにおいて光電変換が行われ、波長λgの赤外光を受光するとフォトトランジスタPgにおいて光電変換が行われ、波長λbの赤外光を受光するとフォトトランジスタPbにおいて光電変換が行われる構成にすることができる。
【0097】
尚、このとき設けられるバンドカットフィルタとして、例えばフォトポリマーで構成される反射型ホログラムを利用することができる。
【0098】
又、本実施形態におけるプロジェクタ4aは、上述の各波長λr、λg、λbの赤外光を放射できる構成であるものとする。
【0099】
又、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、図3に示されるようにスクリーン2上にマトリクス状に配置された複数の画素αが、それぞれ3色の部分画素R、G、Bを備えており、各々の部分画素R、G、Bが発光ダイオードとフォトトランジスタで構成される。又、各画素αを構成する部分画素の発光ダイオードとフォトトランジスタに対して直流バイアスDC1が印加される。
【0100】
又、上述のように、各フォトトランジスタPr、Pg、Pbは光電変換が行われる赤外光の波長がそれぞれ異なるように設定されている。例えば、画素α11は部分画素R11、G11、B11で構成されており、この内、部分画素R11は、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の赤色光を発光する発光ダイオードLr11と、波長λrの赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPr11とを備える。このフォトトランジスタPr11は、コレクタ端子に直流バイアスDC1が印加されるとともに、エミッタ端子に発光ダイオードLr11が接続される。
【0101】
同様に、部分画素G11は、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の緑色光を発光する発光ダイオードLg11と、波長λgの赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPg11とを備え、部分画素B11は、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の青色光を発光する発光ダイオードLb11と、波長λbの赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPb11とを備える構成である。
【0102】
このように、マトリクス状に配置された各画素αmnが、それぞれ部分画素Rmn、Gmn、Bmnで構成されており、部分画素Rmnは、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の赤色光を発光する発光ダイオードLrmnと、波長λrの赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPrmnとを備え、部分画素Gmnは、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の緑色光を発光する発光ダイオードLgmnと、波長λgの赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPgmnとを備え、部分画素Bmnは、所定値以上の電流が与えられると電流値に応じた強度の青色光を発光する発光ダイオードLbmnと、波長λbの赤外光を受光すると光電変換を行うフォトトランジスタPbmnとを備える構成である。
【0103】
上述のように構成される複数の画素がマトリクス状にスクリーン2上に配置されるとき、例えば画素α11の位置に波長λrの赤外光が照射されると、フォトトランジスタPr11において光電変換が行われることで光量に応じた電子正孔対が発生し、これによってエミッタ端子に光量に応じた電流が流れ、発光ダイオードLr11が電流量に応じた強度で赤色に発光する。
【0104】
一方、同一画素α11を形成するフォトトランジスタPg11及びPb11は、波長λrの赤外光が照射されても光電変換が行われない構成であるため、これらのフォトトランジスタのエミッタ端子には電流が流れず、発光ダイオードLg11及びLb11は発光しない。
【0105】
同様の理由により、画素α11の位置に波長λgの赤外光が照射されると、波長λgの赤外光に反応して光電変換が行われるフォトトランジスタPg11において、光量に応じた電子正孔対が発生し、これによって発光ダイオードLg11が電流量に応じた強度で緑色に発光する反面、発光ダイオードLr11及び発光ダイオードLb11は発光しない。又、画素α11の位置に波長λbの赤外光が照射されると、発光ダイオードLb11のみが発光し、発光ダイオードLr11及びLg11は発光しない。
【0106】
即ち、本実施形態の構成によれば、照射する赤外光の波長を変化させることで、同一画素αを構成する部分画素R、G、Bのいずれを表示させるかについて制御を行うことができるため、第1の実施形態のように部分画素領域に赤外光を確実に照射させる必要がなく、少なくとも同一画素領域に照射させることで当該赤外光の波長に対応したフォトトランジスタを備える部分画素のみが発光する。このため、第1の実施形態と比較して照射制御は簡素化される。
【0107】
又、スクリーン2上の対象投影領域において、対象となる画素に対して照射した赤外光が誤って隣接画素領域に入射された場合においても、スクリーン2上に投影される映像が全体として1画素分ずれるのみであり、観察者は対象映像と同一の映像をスクリーン2上に観察することができる。
【0108】
以下において、このように構成されるプロジェクタ4aを備えるプラネタリウム1aの動作について図面を参照して説明を行う。図9は、本実施形態におけるプラネタリウム1aが備えるプロジェクタ4aと映像再生装置3の動作を説明するためのブロック図である。
【0109】
図9に示すように、本実施形態のプロジェクタ4aは、第1の実施形態における光出力部24の代わりに、波長切換部25を有する光出力部24aを備える。この波長切換部25は、光出力部24aから出力する赤外光の波長の切換を行う。例えば波長切換部25が波長λrを指示している間は、光出力部24aから波長λrの赤外光が放射され、波長切換部25が波長をλgに変更する指示を行った後は、波長λgの赤外光が光出力部24aから放射される。
【0110】
又、以下では、プロジェクタ4aが、対応画素数だけの赤外光を光出力部24aから放射できる構成であるものとして説明を行う。即ち、マトリクス状に配置された複数の画素が、縦にv画素、横にh画素配置されている場合、プロジェクタ4aは、縦にv行、横にh列配置された計v*h個の放射孔を備えるものとする。
【0111】
映像再生装置3は、第1の実施形態で上述したように、操作者が操作部11を操作することによって再生すべき映像データが選択されると、再生制御部12が指定された映像データをメモリ13より読み出して再生操作を行う。又、再生制御部12は、この再生される映像データを表示部14及び外部出力部15に与える。表示部14は、表示画面6等で構成されており、この表示画面6に表示される映像データを操作者が確認することができる。又、外部出力部15に出力された映像データは、電気回線5を介してプロジェクタ4aに与えられる。
【0112】
このとき、外部出力部15が再生される映像データを所定の時間毎に区切ることで得られる静止画像を逐次プロジェクタ4aに送るものとしても構わない。又、このとき送られる映像データが、マトリクス状に配置された複数の画素それぞれが出力する信号の色データと輝度データで構成されるものとしても構わない。即ち、この場合の外部出力部15からプロジェクタ4aに送られる映像データは、マトリクス状に配置された複数の画素の内の各画素の相対座標と、当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ(R、G、Bの比率)及び輝度データ(明暗の度合い)とで構成される。尚、このとき、映像データとして各画素の情報が画素毎に所定の配列順でシリアルに送られる場合、送られる情報の配列によって各画素の相対位置がプロジェクタ4a側で把握できる構成にしても構わない。
【0113】
このようにしてプロジェクタ4aに対して映像データが送られると、プロジェクタ4aは信号入力部21にて当該映像データを受信して信号解析部22に送る。信号解析部22は、送られた映像データより、マトリクス状に配置された複数の画素が出力する信号の色データ及び輝度データを抽出して発光制御部23に与える。このとき、映像データが上述の相対座標と当該相対座標に位置する画素が出力する色データ及び輝度データによって構成されている場合は、各相対座標毎に、当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ及び輝度データの組み合わせからなる情報を発光制御部23に与えるものとしても構わない。
【0114】
発光制御部23は、信号解析部22より与えられた情報に基づいて各画素毎に放射すべき赤外光量を算出し、光出力部24aに与える。例えば、映像データが上述の相対座標と当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ及び輝度データによって構成されている場合、相対座標毎に指定された色データと輝度データの組み合わせに対応した赤外光量を算出するものとしても構わない。
【0115】
例えば、映像再生装置3から与えられた映像データの内、最も左上に位置する画素の情報が、色データ「R,G,Bの比率がAr:Ag:Ab」、輝度データ「輝度値s」なる情報として与えられた場合、輝度値sの元でR、G、Bの比率がAr:Ag:Abで構成される色の光が画素αxyから放射されるのに必要な光量が発光制御部23において算出される。
【0116】
このようにして、全画素に対して放射すべき赤外光量が発光制御部23によって算出されると、この算出結果が光出力部24aに与えられる。そして、光出力部24aにおいて、まず波長切換部24が放射赤外光の波長をλrに設定するとともに、与えられた算出結果から全画素を構成する各部分画素Rに対して放射すべき光量を抽出して、当該光量の赤外光を放射する。
【0117】
例えば、発光制御部23の算出結果によって、画素α11が備える部分画素R11、G11、B11に対してはそれぞれr11、g11、b11の光量の赤外光を放射し、画素α12が備える部分画素R12、G12、B12に対してはそれぞれr12、g12、b12の光量の赤外光を放射する指示が光出力部24aに対して与えられた場合、まず波長切換部25において放射赤外光の波長をλrに設定し、画素α11の領域に対してはr11の光量の赤外光が照射され、画素α12の領域に対してはr12の光量の赤外光が照射されるように光出力部24aの光量を調整して赤外光を放射する。
【0118】
このとき、波長λrの赤外光を受光して光電変換が行われるのは部分画素Rのみであるため、光出力部24aは上述のように部分画素領域に限定して赤外光を照射する精密な制御は不要であり、少なくとも画素領域に照射できる構成であれば良い。
【0119】
そして、波長λrの赤外光の放射が完了すると、同様に波長λg及び波長λbの赤外光の放射を順次行う。
【0120】
例えば、上記の例であれば、波長切換部24によって放射赤外光の波長をλgに設定し、画素α11の領域に対してはg11の光量の赤外光が照射され、画素α12の領域に対してはg12の光量の赤外光が照射されるように光出力部24aの光量を調整して赤外光を放射する。その後、波長切換部24によって放射赤外光の波長をλbに設定した後、画素α11の領域に対してはb11の光量の赤外光が照射され、画素α12の領域に対してはb12の光量の赤外光が照射されるように光出力部24aの光量を調整して赤外光を放射する。
【0121】
このような赤外光の放射制御を、全画素に対して同時に行うことで、まず波長λrの赤外光が全画素に対して照射されることで全画素の発光ダイオードLrが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光し、次に波長λgの赤外光が全画素に対して照射されることで全画素の発光ダイオードLgが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光し、次に波長λbの赤外光が全画素に対して照射されることで全画素の発光ダイオードLbが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光する。
【0122】
このとき、スクリーン2を観察する観察者には、各画素を構成する部分画素R、G、Bそれぞれが発色することで得られる合成色として知覚されるため、全体としてスクリーン2上の赤外光放射領域に対象映像が投影される。
【0123】
このように構成されるプラネタリウム1aは、第1の実施形態と同様にスクリーン2上に配置された発光ダイオードが発光することで映像を表示する自発光型の映像表示システムであるため、DMDや液晶パネル等の光変調素子を用いる映像投影装置によって得られる映像と違って、高コントラストの映像が取得できる。特に、発光ダイオードは上述のようにスレッシュホールド電流値以下では発光しない性質を有しているため、このスレッシュホールド電流値を下回る電流が発光ダイオードに与えられる場合でも当該発光ダイオードは発光せず、これによって更に高いコントラストを確保することができる。
【0124】
又、プロジェクタ4aから放射される光は赤外光であるため、観察者によってプロジェクタ4aからの投影光束が確認されることがなく、従来の投射型の映像表示装置のように観察者によって投影光束が知覚されるという問題が解決される。
【0125】
又、第1の実施形態と同様、本実施形態のプラネタリウム1aが備えるスクリーン2は、発光ダイオード及びフォトトランジスタからなる画素をマトリクス状に配置するとともに、各画素に対して直流バイアスを印加する構成であり、スクリーン2上の配置された発光ダイオードの発光制御をプロジェクタ4aが行う構成であるため、従来の自発光型の映像表示装置のように、スクリーン2上に画素を制御する制御回路や信号ラインを設ける必要がなく、プラネタリウム等のドーム状スクリーンに対しても容易に設置することができる。
【0126】
更に、本実施形態においては、第1の実施形態のように部分画素領域に対して正確に各赤外光を照射させる必要がなく、少なくとも同一画素領域に対して各波長の赤外光を照射させることで所望の映像がスクリーン2上に投影されるため、第1の実施形態と比較して赤外光の放射制御が容易になる。
【0127】
又、本実施形態において、波長切換部25が、予め設定された時間が経過した時点で放射赤外光の波長の切換を行うものとしても構わない。
【0128】
又、上述において、光出力部24aが予め3種類の波長λr、λg、λbの赤外光が合成された赤外光から所定の波長のみを抽出して当該波長の赤外光のみを放射する構成としても構わない。このとき、各波長の赤外光を常に内部で出力しておくとともに、波長λr、λg、λbそれぞれの赤外光を遮断するフィルタを設け、波長切換部25によって選択された波長の赤外光のみが光出力部24aから放射されるようにフィルタを切り換える構成としても構わない。
【0129】
又、上述では、プロジェクタ4aが対応画素数だけの赤外光を光出力部24aから放射できる構成であるものとしたが、第1の実施形態で説明したように、対応画素数と部分画素数(R、G、B)の積の数だけの赤外光を光出力部24aから放射できる構成としても構わない。この場合、更に光出力部24aが波長λr、波長λg、波長λbの3種類の赤外光を同時に出力できる構成である場合には、上記波長切換部25によって波長切換を行う必要が無く、各画素を構成する全部分画素に対して同時に3種類の赤外光を放射することでスクリーン2上の対象領域に映像を投影することができる。
【0130】
この場合においても、各部分画素R、G、Bに対応する赤外光の波長が異なるため、部分画素領域に各波長の赤外光を確実に照射させる必要がなく、少なくとも同一画素領域に照射させることで所望の映像が所定領域のスクリーン2上に投影される。又、対象となる画素に対して照射した赤外光が誤って隣接画素領域に入射された場合においても、スクリーン2上に投影される映像が全体として1画素分ずれるのみであり、観察者は対象映像と同一の映像をスクリーン2上に観察することができる。
【0131】
又、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、図6のように太陽電池を設け、この太陽電池がプロジェクタ4aから放射される赤外光を受光することで発生する起電力を利用する構成にすることで、直流バイアス電圧DC1を印加しない構成とすることができる。
【0132】
図6に示される構成の場合、光出力部24aが発光制御部23から与えられた各画素位置に対応した放射すべき赤外光量に基づいて赤外光を放射すると、各太陽電池Br、Bg、Bbは当該赤外光量に応じた起電力を発生する。このとき、各太陽電池Br、Bg、Bbで発生した起電力に応じた電流が各発光ダイオードLr、Lg、Lbに与えられ、この電流値に応じた輝度で各発光ダイオードが発光する。
【0133】
このとき、太陽電池Brが波長λrの赤外光を受光した場合に当該赤外光光量に応じた起電力を発生し、太陽電池Bgが波長λgの赤外光を受光した場合に当該赤外光光量に応じた起電力を発生し、太陽電池Bbが波長λbの赤外光を受光した場合に当該赤外光光量に応じた起電力を発生する構成としても構わない。この場合、各太陽電池Br、Bg、Bbの前面には対応波長以外の赤外光を遮断するためのバンドカットフィルタが設けられるものとしても良い。
【0134】
即ち、このように構成されるとき、直流バイアスDC1を各画素に印加する必要がなく、回路構成が更に簡素化される。
【0135】
又、この場合、更に図7に示すように、太陽電池Br、Bg、Bbに加えてフォトトランジスタPr、Pg、Pbを備える構成とすることもできる。このとき、光出力部24が更に波長λr、λg、λbとは異なる波長λsの赤外光を放射できる構成であるととともに、太陽電池Br、Bg、Bbが波長λsの赤外光を受光すると光量に応じた起電力を発生し、この状態の下でフォトトランジスタPr、Pg、Pbがそれぞれ波長λr、λg、λbの赤外光を受光すると光量に応じた電流が各発光ダイオードLr、Lg、Lbに与えられるものとしても良い。
【0136】
尚、このとき、太陽電池Br、Bg、Bbには各波長λr、λg、λbの赤外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に備えられるものとし、フォトトランジスタPr、Pg、Pbには波長λsの赤外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に備えられるものしても構わない。
【0137】
又、上記の場合においては、プラネタリウム1aが、発光制御部23の算出結果に基づいて各画素に対して指定された光量の波長λr、λg、λbの赤外光を放射するプロジェクタ4aと、波長λsの赤外光を全画素に対して一定光量放射するプロジェクタ4’を備える構成としても構わない。又、上述と同様、各発光ダイオードLr、Lg、Lbを発光させるために必要なバイアス電圧が各発光ダイオードLr、Lg、Lb間で異なる場合には、各太陽電池Br、Bg、Bbに対してそれぞれ異なる光量の赤外光がプロジェクタ4’から放射されるものとしても良い。
【0138】
更に、本実施形態においても、図8に示されるように、フォトトランジスタPb及び発光ダイオードLbの代わりに、スクリーン2上に蛍光塗料Fbを塗布することで画素の青色成分を形成するものとしても構わない。
【0139】
このとき、プロジェクタ4aが波長λr、λgの赤外光と波長λfbの紫外光を放射できる構成である場合には、まず波長λrの赤外光が全画素に対して照射されることで全画素の発光ダイオードLrが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光し、次に波長λgの赤外光が全画素に対して照射されることで全画素の発光ダイオードLgが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光し、次に波長λfbの紫外光が全画素に対して照射されることで全画素の蛍光塗料Fbが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光する。
【0140】
このように構成されるとき、画素の青色成分についてはスクリーン2上に蛍光塗料を塗布するのみで形成されるため、スクリーン2上に配置される回路構成が簡素化される。
【0141】
又、上述では画素の内、青色成分のみを蛍光塗料Fbをスクリーン2上に塗布することで構成するものとしたが、緑色成分についても蛍光塗料Fgをスクリーン2上に塗布することで構成するものとしても構わない(図10参照)。
【0142】
このとき、蛍光塗料Fbが、波長λfbの紫外光が照射されると照射光量に応じた輝度で青色に発光し、蛍光塗料Fgが、波長λfgの紫外光が照射されると照射光量に応じた輝度で緑色に発光する構成としても構わない。この場合、蛍光塗料Fbの前面には波長λfgの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが設けられ、蛍光塗料Fgの前面には波長λfbの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが設けられる構成とすることができる。
【0143】
このように構成されるとき、プロジェクタ4aが波長λrの赤外光と波長λfb、λfgの紫外光を放射できる構成である場合には、まず波長λrの赤外光が全画素に対して照射されることで全画素の発光ダイオードLrが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光し、次に波長λfgの紫外光が全画素に対して照射されることで全画素の蛍光塗料Fgが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光し、次に波長λfbの紫外光が全画素に対して照射されることで全画素の蛍光塗料Fbが各画素毎に設定された放射光の光量に応じた輝度で発光する。
【0144】
この場合、フォトトランジスタPrはλr以外の波長の赤外光が照射された場合においても、光電変換が行われるものとし、プロジェクタ4aから放射される赤外光を波長λrに限定しないものとしても良い。
【0145】
更に、フォトトランジスタPrが波長λfrの紫外光が入射されると光電変換が行われる構成である場合には、プロジェクタ4aが3種類の波長λfr、λfb、λfgの紫外光を照射できるものとしても良い。この場合、プロジェクタ4aは赤外光が放射できない構成としても構わない。
【0146】
尚、この場合、フォトトランジスタPrには波長λfb及びλfgの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に設けられており、蛍光塗料Fbの前面には波長λfr、λfgの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが設けられ、蛍光塗料Fgの前面には波長λfr、λfbの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが設けられる構成とすることができる。
【0147】
更に上述のように、スクリーン2上に蛍光塗料を塗布する構成においても、発光ダイオードに対して与えられる直流バイアスが太陽電池より供給されるものとしても構わない(図11参照)。例えば、図11に示すように、スクリーン2が、発光ダイオードLr及び太陽電池Brで構成された部分画素Rと、発光ダイオードLg及び太陽電池Bgで構成された部分画素Gと、蛍光塗料Fbで構成された部分画素Bとによって構成されるものとすることができる。
【0148】
この場合、太陽電池Brは波長λfbの紫外光が入射されると入射光量に応じた起電力を発生するとともに、波長λfg、λfbの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に備えられているものとして構わない。又、太陽電池Bgは、波長λfgの紫外光が入射されると入射光量に応じた起電力を発生するとともに、波長λfr、λfbの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に備えられているものとして構わない。
【0149】
このように構成されるとき、部分画素R及び部分画素Gについては太陽電池より供給される直流バイアスをが利用されるため、直流バイアスを供給するための電源ラインが不要となり、又、部分画素Bについては蛍光塗料の発色効果を利用する構成であるためそもそも直流バイアスが不要であるため、スクリーン2上に配置される回路構成が簡素化される。
【0150】
尚、同様に、スクリーン2が、発光ダイオードLr及び太陽電池Brで構成された部分画素Rと、蛍光塗料Fgで構成された部分画素Gと、蛍光塗料Fbで構成された部分画素Bとによって構成されるものとしても構わない。この場合においても、直流バイアスを供給するための電源ラインが不要であり、スクリーン2上に配置される回路構成は簡素化される。
【0151】
尚、上述では、部分画素Bのみ、又は部分画素B及びGをスクリーン2上に塗布された蛍光塗料で構成するものとしたが、部分画素Gのみ、あるいは部分画素Rのみを蛍光塗料で構成するものとしても構わないし、部分画素G及びR、あるいは部分画素R及びBを蛍光塗料で構成するものとしても構わない。更には部分画素R、G、B全てをスクリーン2上に蛍光塗料を塗布することで構成するものとしても良い。
【0152】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、本実施形態において、第1及び第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0153】
本実施形態におけるプラネタリウム1bは、スクリーン2上に配置された各画素が、画素毎にフォトトランジスタPtのみを備え、このフォトトランジスタPtのエミッタ端子に各発光ダイオードLr、Lg、Lbが接続される構成である。又、各画素には、直流バイアスDC1がスイッチング素子を介して印加される。このように構成される画素の回路図を図12に示す。
【0154】
図12は、本実施形態における発光ダイオードLr、Lg、Lb及びフォトトランジスタPtによって形成される画素αの回路図を示している。尚、図12に示す回路図は、スクリーン2上にマトリクス状に配置された複数の画素で構成される領域の一部について示したものである。
【0155】
図12に示すように、各画素αは、波長λpの赤外光を受光すると光電変換が行われるフォトトランジスタPtと3色の発光ダイオードLr、Lg、Lbを備える。そして、このフォトトランジスタPtのエミッタ端子に、各発光ダイオードLr、Lg、Lbが並列に接続される。
【0156】
又、各画素には直流バイアスDC1がスイッチング素子を介して印加されている。この内、フォトトランジスタPtと発光ダイオードLrの両端にはスイッチング素子Swrを介して直流バイアスDC1が印加され、フォトトランジスタPtと発光ダイオードLgの両端にはスイッチング素子Swgを介して直流バイアスDC1が印加され、フォトトランジスタPtと発光ダイオードLbの両端にはスイッチング素子Swbを介して直流バイアスDC1が印加される構成である。
【0157】
又、上記各スイッチング素子Swr、Swg、Swbの電気的な接離を行うためのスイッチング制御部31が設けられる。このスイッチング制御部31は、後述するようにプロジェクタから与えられる制御信号に基づいて各スイッチング素子Swr、Swg、Swbの制御を行う構成である。
【0158】
尚、上述の各実施形態と同様、本実施形態においても、各発光ダイオードLr、Lg、Lbを発光させるために必要なバイアス電圧が各発光ダイオードLr、Lg、Lb間で異なる場合には、例えば図13に示すように各発光ダイオードLr、Lg、Lbに印加する直流バイアス電圧を変えるものとしても構わない。この場合は、フォトトランジスタPtと発光ダイオードLrの両端にはスイッチング素子Swrを介して直流バイアスDC1が印加され、フォトトランジスタPtと発光ダイオードLgの両端にはスイッチング素子Swgを介して直流バイアスDC2が印加され、フォトトランジスタPtと発光ダイオードLbの両端にはスイッチング素子Swbを介して直流バイアスDC3が印加される構成である。尚、以下では、各発光ダイオードに印加すべき直流バイアスが同一(DC1)であるものとして説明を行う。
【0159】
又、本実施形態におけるプラネタリウム1bは、映像再生装置3とプロジェクタ4bを備える構成である。このプロジェクタ4bは、第1の実施形態におけるプロジェクタ4と比較して、波長λpの赤外光を対応画素数分出力できる構成である。以下、本実施形態における映像再生装置及びプロジェクタ4bの動作について図面を参照して説明を行う。図14は、映像再生装置3及びプロジェクタ4bの動作を説明するためのブロック図である。
【0160】
映像再生装置3は、第1の実施形態で上述したように、操作者が操作部11を操作することによって再生すべき映像データが選択されると、再生制御部12が指定された映像データをメモリ13より読み出して再生操作を行う。又、再生制御部12は、この再生される映像データを表示部14及び外部出力部15に与える。表示部14は、表示画面6等で構成されており、この表示画面6に表示される映像データを操作者が確認することができる。又、外部出力部15に出力された映像データは、電気回線5を介してプロジェクタ4bに与えられる。
【0161】
このとき、外部出力部15が再生される映像データを所定の時間毎に区切ることで得られる静止画像を逐次プロジェクタ4bに送るものとしても構わない。又、このとき送られる映像データが、マトリクス状に配置された複数の画素それぞれが出力する信号の色データと輝度データで構成されるものとしても構わない。即ち、この場合の外部出力部15からプロジェクタ4bに送られる映像データは、マトリクス状に配置された複数の画素の内の各画素の相対座標と、当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ(R、G、Bの比率)及び輝度データ(明暗の度合い)とで構成される。尚、このとき、映像データとして各画素の情報が画素毎に所定の配列順でシリアルに送られる場合、送られる情報の配列によって各画素の相対位置がプロジェクタ4b側で把握できる構成にしても構わない。
【0162】
このようにしてプロジェクタ4bに対して映像データが送られると、プロジェクタ4bは信号入力部21にて当該映像データを受信して信号解析部22に送る。信号解析部22は、送られた映像データより、マトリクス状に配置された複数の画素が出力する信号の色データ及び輝度データを抽出して発光制御部23に与える。このとき、映像データが上述の相対座標と当該相対座標に位置する画素が出力する色データ及び輝度データによって構成されている場合は、各相対座標毎に、当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ及び輝度データの組み合わせからなる情報を発光制御部23に与えるものとしても構わない。
【0163】
発光制御部23は、信号解析部22より与えられた情報に基づいて各画素毎に放射すべき赤外光量を算出し、光出力部24bに与える。例えば、映像データが上述の相対座標と当該相対座標に位置する画素が出力する信号の色データ及び輝度データによって構成されている場合、相対座標毎に指定された色データと輝度データの組み合わせに対応した赤外光量を算出するものとしても構わない。
【0164】
例えば、映像再生装置3から与えられた映像データの内、最も左上に位置する画素の情報が、色データ「R,G,Bの比率がAr:Ag:Ab」、輝度データ「輝度値s」なる情報として与えられた場合、輝度値sの元でR、G、Bの比率がAr:Ag:Abで構成される色の光が画素αxyから放射されるのに必要な光量が発光制御部23において算出される。
【0165】
このようにして、全画素に対して放射すべき赤外光量が発光制御部23によって算出されると、この算出結果が光出力部24bに与えられる。そして、光出力部24bが、まず各画素の発光ダイオードLrを発光させるべく、発光制御部23より与えられた光量に従って波長λpの赤外光を放射する。尚、このとき、スイッチング制御部31によってスイッチング素子Swrがオン状態に制御され、他のスイッチング素子Swb、Swgはオフ状態に制御されているとする。
【0166】
このとき、各画素が備えるフォトトランジスタPtは、波長λpの赤外光が入射されると、当該赤外光の光量に応じた電流を出力する。そして、スイッチング素子Swrがオン状態であるため、直流バイアスDC1が印加されている発光ダイオードLrに対してのみ当該電流が与えられ、発光ダイオードLrがこの電流値に応じた強度で発光する。一方、スイッチング素子Swg及びSwbはオフ状態であるため、発光ダイオードLg及びLbに対しては当該電流が与えられないので、発光ダイオードLg及びLbは発光しない。
【0167】
このように発光ダイオードLrを発光させた後、スイッチング制御部31によってスイッチング素子Swgをオン状態に、スイッチング素子Swr及びSwbをオフ状態に制御しておき、光出力部24bが各画素の発光ダイオードLgを発光させるべく、発光制御部23より与えられた光量に従って波長λpの赤外光を放射する。このとき、同様の理由により、発光ダイオードLgが直流バイアスDC1が印加されているため照射された赤外光の光量に応じた輝度で発光するのに対し、発光ダイオードLb及びLrに対しては、直流バイアスが印加されていないため電流が与えられず発光しない。
【0168】
同様に、発光ダイオードLgを発光させた後、スイッチング制御部31によってスイッチング素子Swbをオン状態に、スイッチング素子Swr及びSwgをオフ状態に制御しておき、光出力部24bが各画素の発光ダイオードLbを発光させるべく、発光制御部23より与えられた光量に従って波長λpの赤外光を放射する。このとき、同様の理由により、発光ダイオードLbが直流バイアスDC1が印加されているため照射された赤外光の光量に応じた輝度で発光するのに対し、発光ダイオードLr及びLgに対しては、直流バイアスが印加されていないため電流が与えられず発光しない。
【0169】
即ち、本実施形態の構成によれば、各スイッチング素子Swr、Swg、Swbの電気的接離によって各発光ダイオードLr、Lg、Lbに対して直流バイアスDC1の印加を制御することで、同一画素αを構成する各発光ダイオードLr、Lg、Lbのいずれを発光させるかについて制御を行うことができるため、第1の実施形態のように部分画素領域に赤外光を確実に照射させる必要がなく、少なくとも同一画素領域に照射させることで当該赤外光の波長に対応したフォトトランジスタを備える部分画素のみが発光する。このため、第1の実施形態と比較して照射制御は簡素化される。
【0170】
又、このように構成されるプラネタリウム1bは、第1の実施形態と同様にスクリーン2上に配置された発光ダイオードが発光することで映像を表示する自発光型の映像表示システムであるため、DMDや液晶パネル等の光変調素子を用いる映像投影装置によって得られる映像と違って、高コントラストの映像が取得できる。特に、発光ダイオードは上述のようにスレッシュホールド電流値以下では発光しない性質を有しているため、このスレッシュホールド電流値を下回る電流が発光ダイオードに与えられる場合でも当該発光ダイオードは発光せず、これによって更に高いコントラストを確保することができる。
【0171】
又、プロジェクタ4bから放射される光は赤外光であるため、観察者によってプロジェクタ4bからの投影光束が確認されることがなく、従来の投射型の映像表示装置のように観察者によって投影光束が知覚されるという問題が解決される。
【0172】
又、スクリーン2上の対象投影領域において、対象となる画素に対して照射した赤外光が誤って隣接画素領域に入射された場合においても、第2の実施形態と同様、スクリーン2上に投影される映像が全体として1画素分ずれるのみであり、観察者は対象映像と同一の映像をスクリーン2上に観察することができる。
【0173】
又、本実施形態の構成によれば、第2の実施形態のようにプロジェクタから異なる波長の赤外光を出力する必要がないため、プロジェクタの構成を簡素化できる。更に、スクリーン2上に配置すべきフォトトランジスタの数を減少させることができる。
【0174】
又、本実施形態の構成によれば、第2の実施形態のようにプロジェクタから異なる波長の赤外光を出力する必要がないため、各フォトトランジスタは、所定の波長の赤外光を遮断するバンドカットフィルタを前面に設ける必要がなく、フォトトランジスタの構成が簡素化される。
【0175】
又、上述のスイッチング制御は、直流バイアスDC1を印加するかどうかの制御を行うのみであるため、従来の自発光型の映像表示装置のようにスクリーン2上にマトリクス上に配置された各画素が、画素毎にスイッチング素子を備える必要がなく、又、この各画素ごとに備えられるスイッチング素子を制御するための信号を送る信号ラインがをマトリクス状に配線する必要がない。このため、プラネタリウム等のドーム状スクリーンに対しても容易に設置することができる。
【0176】
尚、光出力部24bが、所定時間毎に色の切換を行うように設定されているものとしても構わない。即ち、例えば、発光制御部23の算出結果によって、画素α11に対しては、発光ダイオードLr11を輝度lr11で発光させるためにr11の光量の赤外光を放射し、発光ダイオードLg11を輝度lg11で発光させるためにg11の光量の赤外光を放射し、発光ダイオードLb11を輝度lb11で発光させるためにb11の光量の赤外光を放射するように指定された場合、まず画素α11に対して光量r11の赤外光を放射した後、所定時間経過後、同一画素α11に対して光量g11の赤外光を放射し、更に所定時間経過後、同一画素α11に対して光量b11の赤外光を放射する構成としても構わない。
【0177】
更に、このとき、同一のタイミングでスイッチング素子Swr、Swg、Swbが順次オンオフ制御されるものとしても良い。即ち、光出力部24bから光量r11の赤外光が画素α11に対して放射される時点ではスイッチング素子Swrがオン状態、スイッチング素子Swg、Swbがオフ状態であり、所定時間経過後、スイッチング制御部31がスイッチング素子Swgをオン状態に、スイッチング素子Swr、Swbをオフ状態に制御し、更に所定時間経過後、スイッチング制御部31がスイッチング素子Swbをオン状態に、スイッチング素子Swr、Swgをオフ状態に制御するものとしても構わない。
【0178】
又、スイッチング制御部31が各発光ダイオードLr、Lg、Lbに対して直流バイアスを印加するかどうかの制御を行うタイミングを、光出力部24bからの信号に基づいて判断するものとしても構わない。例えば、スイッチング制御部31が内部に制御用フォトトランジスタを備えており、発光色の切り換えを行う直前に、光出力部24bがこの制御用フォトトランジスタに対して赤外光を照射し、制御用フォトトランジスタは、当該赤外光が受光した後、スイッチング制御部31に各スイッチング素子Swr、Swg、Swbに対するオンオフ切換制御を行う構成としても良い。このように構成することで、光出力部24bからの信号を受けてスイッチング素子の切換が行われるため、スイッチング制御部31と光出力部24bとの間で時間的な同期を取る必要がなく、制御内容が簡素化される。
【0179】
この場合、予めスイッチング素子Swr、Swg、Swbの間でオン状態にするスイッチング素子の順序が定められているものとすることができる。即ち、光出力部24bが、同一画素に対して発光ダイオードLr、Lg、Lbをこの順序で発光させるように発光制御部23によって指定された光量の赤外光を放射する構成である場合には、スイッチング制御部31は、光出力部24bから切換指示を示す赤外光を受光すると、スイッチング素子Swr、Swg、Swbをこの順序でオン制御するものとしても構わない。
【0180】
又、本実施形態においても、第1、第2実施形態と同様、図15に示すように太陽電池Br、Bg、Bbを備える構成とし、この太陽電池Br、Bg、Bbで発生する起電力が各発光ダイオードLr、Lg、Lbに対して直流バイアスとして与えられる構成とすることができる。
【0181】
図15に示す太陽電池Br、Bg、Bbは波長λpの赤外光を受光すると受光光量に応じた起電力が発生する構成である。このように構成されるとき、まず太陽電池Brに波長λpの赤外光を照射した状態の下で、各画素を構成するフォトトランジスタPtに対して発光制御部23からの算出結果に基づいた光量を放射する。このとき、太陽電池Brは照射される赤外光量に応じた起電力が発生し、一方他の太陽電池Bg、Bbには赤外光が照射されておらず、起電力が発生していない状態である。
【0182】
即ち、各画素の発光ダイオードLrについては太陽電池Brからの起電力が直流バイアスとして印加されているため、フォトトランジスタPtにおいて光電変換が行われて生成された電子正孔対は、電流として発光ダイオードLrに対してのみ与えられ、発光ダイオードLg、Lbに対しては与えられない。この場合、各画素において、発光ダイオードLrのみが各画素のフォトトランジスタPtに放射された赤外光光量に応じた輝度で発光する。
【0183】
次に、赤外光を太陽電池Bgに対して照射した状態の下で、各画素を構成するフォトトランジスタPtに対して発光制御部23からの算出結果に基づいた光量を放射する。このとき、太陽電池Bgは照射される赤外光量に応じた起電力が発生し、一方他の太陽電池Br、Bbには赤外光が照射されておらず、起電力が発生していない状態であるため、フォトトランジスタPtにおいて光電変換が行われた生成された電子正孔対は、電流として発光ダイオードLgに対してのみ与えられ、発光ダイオードLr、Lbに対しては与えられない。この場合、各画素において、発光ダイオードLgのみが各画素のフォトトランジスタPtに放射された赤外光光量に応じた輝度で発光する。
【0184】
同様に、太陽電池Bbに対して赤外光を照射させた状態の下で、各画素を構成するフォトトランジスタPtに対して発光制御部23からの算出結果に基づいた光量を放射することで、発光ダイオードLbのみが各画素のフォトトランジスタPtに放射された赤外光量に応じた輝度で発光する。
【0185】
このように構成されるとき、上述の構成のようにスイッチング制御が不要になり、制御内容が簡素化される。
【0186】
尚、上記の場合においては、プラネタリウム1bが、発光制御部23の算出結果に基づいて各画素に対して指定された光量の波長λpの赤外光を放射するプロジェクタ4と、波長λpの赤外光を各太陽電池Br、Bg、Bbに対して一定光量放射するプロジェクタ4b’を備える構成としても構わない。又、上述と同様、各発光ダイオードLr、Lg、Lbを発光させるために必要なバイアス電圧が各発光ダイオードLr、Lg、Lb間で異なる場合には、各太陽電池Br、Bg、Bbに対してそれぞれ異なる光量の赤外光がプロジェクタ4’から放射されるものとしても良い。
【0187】
更に、プロジェクタ4b’が異なる3種類の波長の赤外光λb1、λb2、λb3を放射できる構成であるとし、各太陽電池Br、Bg、Bbにおいて光電変換が行われるための照射すべき赤外光の波長が異なる構成としても構わない。即ち、太陽電池Brが波長λb1の赤外光を受光した場合に当該赤外光光量に応じた起電力を発生し、太陽電池Bgが波長λb2の赤外光を受光した場合に当該赤外光光量に応じた起電力を発生し、太陽電池Bbが波長λb3の赤外光を受光した場合に当該赤外光量に応じた起電力を発生する構成としても構わない。この場合、各太陽電池Br、Bg、Bbの前面には対応波長以外の赤外光を遮断するためのバンドカットフィルタが設けられるものとしても良い。
【0188】
このように構成することにより、プロジェクタ4b’から太陽電池Br、Bg、Bbが配置されたエリアに放射すべき赤外光の波長を変更することで、各画素の発光色を変更できるため、反射光が他の太陽電池に入射されることで発光対象の発光ダイオード以外の色の発光ダイオードに対して直流バイアスが印加されることがなく、正確な制御を行うことができる。
【0189】
尚、本実施形態においても、第1、第2の実施形態と同様、部分画素Bのみをスクリーン2上に蛍光塗料Fbを塗布することで構成するものとしても構わない(図16参照)。このとき、プロジェクタ4bは赤外光と紫外光を放射できる構成であるものとする。
【0190】
図16に示される画素αは、フォトトランジスタPtと、フォトトランジスタPtに接続された発光ダイオードLr、Lgと、スクリーン2上に塗布された蛍光塗料Fbとで構成される。蛍光塗料Fbは紫外光が照射されると青色に発光する性質を有する。又、発光ダイオードLrはスイッチング素子Swrを介して直流バイアスDC1が印加される構成であり、発光ダイオードLgはスイッチング素子Swgを介して直流バイアスDC1が印加される構成である。
【0191】
このように構成されるとき、まずスイッチング制御部31によってスイッチング素子Swrをオン状態にしておき、光出力部24bが、各画素の発光ダイオードLrを発光させるべく、発光制御部23より与えられた光量に従って波長λpの赤外光を放射する。
【0192】
このとき、各画素が備えるフォトトランジスタPtは、波長λpの赤外光が入射されると、当該赤外光の光量に応じた電流を出力する。そして、スイッチング素子Swrがオン状態であるため、直流バイアスDC1が印加されている発光ダイオードLrに対してのみ当該電流が与えられ、発光ダイオードLrがこの電流値に応じた強度で発光する。一方、スイッチング素子Swgはオフ状態であるため、発光ダイオードLgに対しては当該電流が与えられないので、発光ダイオードLgは発光しない。更に、蛍光塗料Fbは、この時点では紫外線を受光しておらずやはり発光しない。
【0193】
このように発光ダイオードLrを発光させた後、スイッチング制御部31によってスイッチング素子Swgをオン状態に、スイッチング素子Swrをオフ状態に制御しておき、光出力部24bが各画素の発光ダイオードLgを発光させるべく、発光制御部23より与えられた光量に従って波長λpの赤外光を放射する。このとき、同様の理由により、発光ダイオードLgが直流バイアスDC1が印加されているため照射された赤外光の光量に応じた輝度で発光するのに対し、発光ダイオードLbは、直流バイアスが印加されていないため電流が与えられず発光しない。又、蛍光塗料Fbは、紫外線を受光していないためやはり発光しない。
【0194】
このように発光ダイオードLgを発光させた後、スイッチング制御部31によってスイッチング素子Swr及びSwgをオフ状態に制御しておき、光出力部24bが各画素の蛍光塗料Fbを発光させるべく、発光制御部23より与えられた光量に従って紫外光を放射する。このとき、発光ダイオードLb及びLgは直流バイアスが印加されていないため電流が与えられず発光しない。又、蛍光塗料Fbは、当該照射された紫外線の光量に応じた輝度で発光する。
【0195】
このとき、フォトトランジスタPtが紫外光を受光しても光電変換されない構成とすることもできる。この場合、フォトトランジスタPtが、当該フォトトランジスタPtに入射された入射光の内、紫外領域の波長の光を遮断するフィルタが前面に設けられるものとしても構わない。
【0196】
尚、この場合においても、直流バイアスDC1の代わりに太陽電池Br及びBgを備えるとともに、発光ダイオードLr及びLgに印加される直流バイアスが、それぞれ太陽電池Br及びBgで発生する起電力より供給されるものとしても構わない(図17参照)。
【0197】
更に、フォトトランジスタPrが紫外光が入射されると光電変換が行われる構成としても構わない。この場合、フォトトランジスタPrが波長λfpの紫外光が入射されると光電変換が行われ、蛍光塗料Fbが波長λfbの紫外光が入射されると光量に応じた輝度で発光する構成としても構わない。この場合、フォトトランジスタPrが波長λfbの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に設けられており、蛍光塗料Fbが波長λfpの紫外光を遮断するバンドカットフィルタが前面に設けられるものとしても良い。
【0198】
このとき、プロジェクタ4bが波長λfp及びλfbの紫外光を放射できる構成としても構わない。更にこのとき、太陽電池Br及びBgが紫外光を受光すると光電変換が行われて光量に応じた起電力が発生する構成である場合には、発光ダイオードLr及びLgに印加する直流バイアスが太陽電池Br及びBgより供給される構成とすることもできる。尚、太陽電池Br及びBgは、どちらも波長λfbの紫外光を受光すると光電変換が行われる構成としても構わないし、太陽電池Brが波長λfrの紫外光を受光すると光電変換が行われ、太陽電池Bgが波長λfgの紫外光を受光すると光電変換が行われるものとしても良い。後者の場合、プロジェクタ4bが、波長λfp、λfbに加えて、波長λfr及び波長λfgの紫外光を放射できる構成であるとしても構わないし、波長λbr及び波長λbgの紫外光を太陽電池Br及びBgに照射するためのプロジェクタ4b’を別途備えるものとしても構わない。
【0199】
即ち、この場合、プラネタリウム1bが、発光制御部23の算出結果に基づいて各画素に対して指定された光量の波長λfp及び波長λfbの紫外光を放射するプロジェクタ4bと、波長λfrの紫外光を太陽電池Brに対して一定光量放射し、波長λfgの紫外光を太陽電池Bgに対して一定光量放射するプロジェクタ4b’を備える構成としても構わない。又、上述と同様、各発光ダイオードLr、Lgを発光させるために必要なバイアス電圧が各発光ダイオードLr、Lg間で異なる場合には、各太陽電池Br、Bgに対してそれぞれ異なる光量の紫外光がプロジェクタ4b’から放射されるものとしても良い。
【0200】
このように構成することにより、プロジェクタ4b’から太陽電池Br、Bgが配置されたエリアに放射すべき紫外光の波長を変更することで、各画素の発光色を変更できるため、反射光が他の太陽電池に入射されることで発光対象の発光ダイオード以外の色の発光ダイオードに対して直流バイアスが印加されることがなく、正確な制御を行うことができる。
【0201】
尚、上述では部分画素Bが、紫外光が入射されると青色に発光する蛍光塗料Fbがスクリーン2上に塗布されることで形成されるものとしたが、この構成は部分画素Bに限られるものではない。即ち、部分画素Gが、紫外光が入射されると緑色に発光する蛍光塗料Fbがスクリーン2上に塗布されることで形成されるものとしても構わないし、部分画素Rが、紫外光が入射されると赤色に発光する蛍光塗料Frがスクリーン2上に塗布されることで形成されるものとしても構わない。
【0202】
尚、上述の各実施形態において、スクリーン2上にマトリクス状に配置された各画素が、赤、青、緑の3色が発光する各部分画素で構成されるものとしたが、この3色に限られるものではなく、他の色が発光する部分画素を備える構成としても構わないし、各画素の発光色が4色以上である構成としても構わない。
【0203】
又、上述の各実施形態において、スクリーン2上に配置された各画素に対して光出力部から赤外光あるいは紫外光を放射する際、プロジェクタが全画素領域に対してこの不可視光を同時に放射する構成としても構わないし、走査を行うことによりライン毎、あるいは各画素毎に順次指定光量の不可視光を放射する構成としても構わない。
【0204】
又、上記各実施形態においては、受光素子としてフォトトランジスタを用いているが、これに限るものではない。フォトトランジスタは発光ダイオードとの組み合わせという観点で好ましい受光素子であるが、入射する不可視光の光量に応じて、電圧、電気抵抗、電流などの電気的量が変化するような他の受光素子を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明の映像表示装置は、プラネタリウム等の大画面スクリーンに映像を表示する装置に対して好適に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】は、本発明の映像表示装置の一実施形態であるプラネタリウムの構造を示す概念図である。
【図2】は、図1におけるスクリーンの一部領域の模式図である。
【図3】は、図1におけるスクリーンに配置される一部領域の回路図である。
【図4】は、図1におけるスクリーンに配置される一部領域の別の回路図である。
【図5】は、図1に示すプラネタリウムにおける映像再生装置及びプロジェクタの動作を説明するためのブロック図である。
【図6】は、図1におけるスクリーンに配置される一部領域の更に別の回路図である。
【図7】は、図1におけるスクリーンに配置される一部領域の更に別の回路図である。
【図8】は、図1におけるスクリーンに配置される一部領域の更に別の回路図である。
【図9】は、第2の実施形態における映像再生装置及びプロジェクタの動作を説明するためのブロック図である。
【図10】は、第2の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される回路図である。
【図11】は、第2の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される別の回路図である。
【図12】は、第3の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される回路図である。
【図13】は、第3の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される別の回路図である。
【図14】は、第3の実施形態における映像再生装置及びプロジェクタの動作を説明するためのブロック図である。
【図15】は、第3の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される更に別の回路図である。
【図16】は、第3の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される更に別の回路図である。
【図17】は、第3の実施形態におけるスクリーンの一部領域に配置される更に別の回路図である。
【符号の説明】
【0207】
1 プラネタリウム
2、2a スクリーン
3 映像再生装置
4、4a、4a’、4b、4b’ プロジェクタ
5 電気回線
6 表示画面
11 操作部
12 再生制御部
13 メモリ
14 表示部
15 外部出力部
21 信号入力部
22 信号解析部
23 発光制御部
24、24a、24b 光出力部
31 スイッチング制御部
25 波長切換部
Lr、Lrmn 発光ダイオード(赤)
Lg、Lgmn 発光ダイオード(緑)
Lb、Lbmn 発光ダイオード(青)
Pr、Prmn フォトトランジスタ
Pg、Pgmn フォトトランジスタ
Pb、Pgmn フォトトランジスタ
Pt フォトトランジスタ
Br、Bg、Bb 太陽電池
R1 抵抗
Fb 蛍光塗料(青)
Fg 蛍光塗料(緑)
Fr 蛍光塗料(赤)
α、αmn 画素
DC1、DC2、DC3 直流バイアス
R 部分画素(赤)
G 部分画素(緑)
B 部分画素(青)
Swr、Swg、Swb スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像が表示されるスクリーンと、該スクリーンに対して表示すべき映像信号を放射する投影装置と、で構成される映像表示装置であって、
前記スクリーンが、該スクリーン上に複数の画素が配置されるとともに、前記複数の画素が、不可視光を受光するとその受光量に応じて電気的量が変化する受光素子と、前記受光素子と電気的に接続されるとともに与えられる電気的量に応じた輝度の可視光を発光する第1発光部と、を備え、
前記投影装置が、前記スクリーンに前記映像が表示されるよう前記複数の画素毎に放射すべき前記不可視光の光量を算出する発光制御部と、前記複数の画素それぞれに対して前記発光制御部が算出した光量の前記不可視光を放射する光出力部と、を備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記複数の画素それぞれが、発光色の異なる複数の第1部分画素で構成されるとともに、前記第1発光部が前記複数の第1部分画素それぞれに備えられることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記複数の画素それぞれが、画素毎に前記受光素子を備えるとともに、該受光素子が、前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる前記第1発光部それぞれと電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記複数の第1部分画素それぞれが、前記第1発光部と、該第1発光部と電気的に接続された前記受光素子とを備えることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる前記受光素子が、該受光素子を備える前記第1部分画素の発光色毎に波長の異なる前記不可視光に対して光電変換を行うことを特徴とする請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる前記第1発光部の発光色を切り換える色切換部を有し、
前記色切換部が、前記第1発光部に対して電圧の印加制御を行うことで発光色の切換を行うことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記不可視光を受光すると光量に応じた起電力を発生する太陽電池を有し、
前記複数の第1部分画素それぞれに備えられる一部の前記第1発光部に対して印加される電圧が、前記太陽電池から供給されることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素それぞれが、前記各第1部分画素の発光色とは異なる発光色で発光する少なくとも一つの第2部分画素を備え、
前記第2部分画素が、前記スクリーン上に蛍光塗料が塗布されるとともに、前記受光素子に照射される前記不可視光とは異なる波長の前記不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度で前記蛍光塗料が発光する第2発光部で構成されることを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれかに記載の映像表示装置。
【請求項9】
前記複数の画素それぞれが、各々の発光色が異なる複数の前記第2部分画素を備え、
前記各第2部分画素に備えられる前記第2発光部が、該発光部を備える前記第2部分画素の発光色毎に波長の異なる前記不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度の可視光を発光することを特徴とする請求項8に記載の映像表示装置。
【請求項10】
前記複数の画素それぞれが、第1部分画素と、該第1部分画素とは発光色が異なり、かつ各々の発光色が異なる複数の第2部分画素と、を備え、
前記各第2部分画素に備えられる前記第2発光部が、該発光部を備える前記第2部分画素の発光色毎に波長の異なる前記不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度の可視光を発光することを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項11】
複数の画素が配置されたスクリーンに対して表示すべき映像信号を放射する請求項1〜請求項10のいずれかの映像表示装置に備えられる投影装置であって、
前記スクリーンに前記映像が表示されるよう前記複数の画素毎に放射すべき前記不可視光の光量を算出する発光制御部と、前記各複数の画素に対して前記発光制御部が算出した光量の前記不可視光を放射する光出力部と、を備えることを特徴とする投影装置。
【請求項12】
投影装置から放射される映像信号に基づいて映像が表示される請求項1〜請求項7のいずれかに記載の映像表示装置に備えられるスクリーンであって、
複数の画素が配置されるとともに、前記複数の画素が、前記投影装置から放射された不可視光を受光するとその受光量に応じて電気的量が変化する受光素子と、前記受光素子と電気的に接続されるとともに与えられる電気的量に応じた輝度の可視光を発光する第1発光部と、を備えることを特徴とするスクリーン。
【請求項13】
投影装置から放射される映像信号に基づいて映像が表示されるスクリーンであって、
前記複数の画素が、蛍光塗料が塗布されるとともに前記受光素子に照射される前記不可視光とは異なる波長の不可視光を受光すると受光した光量に応じた輝度で前記蛍光塗料が発光する第2発光部を更に備えることを特徴とする請求項12に記載のスクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−178340(P2006−178340A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373871(P2004−373871)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】