映像表示装置および導光モジュール
【課題】1種類の遮光板で複数種類のロッドインテグレータに対応可能な構造を提供する。
【解決手段】映像表示装置は、光源部2と、表示映像を形成するための画素領域を有する表示デバイス4と、光源部2からの出射光を表示デバイス4の画素領域へ導く導光部3とを含む。導光部3は、光源部2からの出射光が入射する入口開口部23aと入口開口部23aの反対側の出口開口部23bとを有するロッドインテグレータ23と、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aと光源部2との間に配置された遮光板24とを含む。遮光板24は、光源部2からの出射光をロッドインテグレータ23へ通過させるための複数種類の開口部を有している。遮光板24は、複数種類の開口部のうちで、搭載されているロッドインテグレータ23の入口開口部23aと相似形の開口部を入口開口部23aに整合させた状態で配置されている。
【解決手段】映像表示装置は、光源部2と、表示映像を形成するための画素領域を有する表示デバイス4と、光源部2からの出射光を表示デバイス4の画素領域へ導く導光部3とを含む。導光部3は、光源部2からの出射光が入射する入口開口部23aと入口開口部23aの反対側の出口開口部23bとを有するロッドインテグレータ23と、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aと光源部2との間に配置された遮光板24とを含む。遮光板24は、光源部2からの出射光をロッドインテグレータ23へ通過させるための複数種類の開口部を有している。遮光板24は、複数種類の開口部のうちで、搭載されているロッドインテグレータ23の入口開口部23aと相似形の開口部を入口開口部23aに整合させた状態で配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置およびそれに適用可能な導光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には投射型表示装置が記載されている。この投射型表示装置では、キセノンランプの出力光が、集光され、遮光板の開口部を通過し、ロッドインテグレータの入口開口部へ入射される。
【0003】
上記遮光板は、ロッドインテグレータの前に立設し支持台に固定されており、ロッドインテグレータの入口開口部に対面する位置に上記開口部を有している。これにより、必要光はロッドインテグレータへ入射される一方で、不要光は遮光板でキセノンランプ側へ反射される。遮光板の開口部はロッドインテグレータの入口開口部よりも大きく構成されている。
【0004】
ロッドインテグレータ内に入射した光は、ロッドインテグレータの内表面で繰り返し反射され、矩形変換され均一性が向上した光として出口開口部から出射される。ロッドインテグレータから出射した光は、レンズ、ミラー、プリズム等を経由し、DMD(Digital Micromirror Device)等の表示デバイスによって変調されて映像光となり、スクリーンに投射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4572163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、遮光板の開口部とロッドインテグレータの入口開口部とを縦横比が同じ矩形(したがって相似形状にある)に形成することによって、遮光板を通過した光を効率良くロッドインテグレータへ入射させることができる。
【0007】
また、表示デバイスの画素領域の縦横比と、ロッドインテグレータの入口開口部および出口開口部の縦横比とを同じにすることによって、表示デバイスにおいて照明光を無駄なく利用することができ、スクリーン上に明るい映像を表示することができる。
【0008】
ところが、表示デバイスの画素領域の縦横比は様々であり、例えば4:3や16:9の縦横比が知られている。このため、背景技術で説明した構造によれば、4:3の表示デバイスに対しては、縦横比が4:3の入口開口部および出口開口部を有したロッドインテグレータと、縦横比が4:3の開口部を有した遮光板とを準備する必要があり、また、16:9の表示デバイスに対しては、縦横比が16:9の入口開口部および出口開口部を有したロッドインテグレータと、縦横比が16:9の開口部を有した遮光板とを準備する必要がある。
【0009】
また、同じ縦横比を有する表示デバイスであっても、画素領域のサイズが異なる場合がある。このため、画素領域のサイズごとに、ロッドインテグレータおよび遮光板を準備する必要がある。
【0010】
つまり、背景技術の構造では、ロッドインテグレータと遮光板の両方を、表示デバイスの画素領域の縦横比やサイズに応じた専用品として構成する必要がある。換言すれば、ロッドインテグレータと遮光板とは特定の1対1の組み合わせでしか利用することができない。
【0011】
本発明は、1種類の遮光板で複数種類のロッドインテグレータに対応可能な構造を有した映像表示装置を提供することを目的とする。また、そのような映像表示装置に適用可能な導光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る映像表示装置は、光源部と、表示映像を形成するための画素領域を有する表示デバイスと、前記光源部からの出射光を前記表示デバイスの前記画素領域へ導く導光部とを備え、前記導光部は、前記光源部からの前記出射光が入射する入口開口部と前記入口開口部の反対側の出口開口部とを有するロッドインテグレータと、前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と前記光源部との間に配置された遮光板とを含み、前記遮光板は、前記光源部からの前記出射光を前記ロッドインテグレータへ通過させるための複数種類の開口部を有し、前記複数種類の開口部のうちで、搭載されている前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と相似形の開口部を前記入口開口部に整合させた状態で配置されている。
【発明の効果】
【0013】
上記の一態様によれば、遮光板が複数種類の開口部を有し、これらの開口部のうちの一つが選択的に利用される。したがって、1種類の遮光板で複数種類のロッドインテグレータに対応可能な構造を提供することができる。
【0014】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る映像表示装置の構成概略図である。
【図2】実施の形態に係る映像表示装置を例示する斜視図である。
【図3】実施の形態に係る映像表示装置を例示する、断面を含んだ斜視図である。
【図4】実施の形態に係る映像表示装置を例示する断面図である。
【図5】図4中の一点鎖線で囲んだ部分Vの拡大図である。
【図6】図5中のVI−VI線における断面図である。
【図7】図6から遮光板を取り除いた状態を示す図である。
【図8】実施の形態に係る遮光板を例示する平面図である。
【図9】図6に対応する断面図である。
【図10】図6に対応する断面図である。
【図11】実施の形態に係る遮光板の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に実施の形態に係る映像表示装置1の構成概略図を示す。図1の例では、映像表示装置1は、投射型の映像表示装置(いわゆるプロジェクタ)であり、光源部2と、導光部3と、表示デバイス4と、投射部5と、スクリーン6と、光検出部7とを含んでいる。
【0017】
なお、以下では映像表示装置1の光学系およびそれの関連構造を主として説明するため、電源系、処理系、制御系等についての図示および詳述は省略する。換言すれば、映像表示装置1の電源系、処理系、制御系等には既存の各種構成を適用可能である。
【0018】
光源部2は、表示映像の投射に利用する照明光を出力するように構成されている。なお、説明を分かりやすくするために、光源部2の出力光の光軸(換言すれば光路)8を二点鎖線で図示している。導光部3は、光源部2から出射される光を表示デバイス4へ導くように構成されている。
【0019】
表示デバイス4は、導光部3によって導かれた照明光と、表示映像のデータとを取得し、照明光を表示映像データに基づいて加工し、加工後の光(すなわち表示映像)を出力するように構成されている。表示デバイス4は表示映像を形成するための画素が配列された領域(以下、画素領域とも称する)を有しており、当該画素領域に、光源部2からの出力光が導光部4を介して照射される。各画素の状態が、対応する表示映像データに基づいて制御されることによって、表示映像が形成される。
【0020】
ここでは表示デバイス4としてDMD(Digital Micromirror Device)を例示し、表示デバイス4をDMD4とも称することにする。但し、液晶パネル等の他の表示デバイスを採用することも可能である。
【0021】
投射部5は、表示デバイス4で形成された表示映像を拡大投射するように構成されている。スクリーン6は、投射部5からの出力光が照射される部材である。ここで、映像表示装置1は、スクリーン6上の表示映像を投射部5と同じ側から見る構成(いわゆるフロント型)と、スクリーン6上の表示映像を投射部5とは反対側から見る構成(いわゆるリア型)とのいずれに構成することも可能である。なお、フロント型の場合、スクリーン6を除いた構成を映像表示装置1と称してもよい。
【0022】
光検出部7は、DMD4のオフステート時の反射光を検出するように構成されている。光検出部7によって測定された光強度は、例えば光源部2の出力光のレベル監視に利用される。
【0023】
図2に映像表示装置1の一部構成を例示する斜視図を示す。図2には光源部2と、導光部3と、DMD4と、光検出部7とを図示している。
【0024】
図2の例では、光源部2は、半導体発光モジュール11R,11G,11Bと、コリメータレンズ12R,13R,12G,13G,12B,13Bと、ダイクロイックミラー14R,14Bとを含んでいる。
【0025】
半導体発光モジュール11Rは、赤色の光(以下、R光とも称する)を出力する半導体発光素子(LEDやレーザー等)が基台に実装された構成を有する。半導体発光モジュール11Gも同様に構成され、緑色の光(以下、G光とも称する)を出力する。また、半導体発光モジュール11Bも同様に構成され、青色の光(以下、B光とも称する)を出力する。なお、半導体発光モジュール11R,11G,11Bは所定周期で順番に光出力をするように制御される。
【0026】
コリメータレンズ12R,13Rは、半導体発光モジュール11Rの出力光を平行光束に整形するように設けられている。同様に、コリメータレンズ12G,13Gは半導体発光モジュール11Gの出力光を平行光束に整形するように設けられており、コリメータレンズ12B,13Bは半導体発光モジュール11Bの出力光を平行光束に整形するように設けられている。
【0027】
ダイクロイックミラー14Rは、半導体発光モジュール11Rが出力するR光を反射する構成を有し、コリメータレンズ12R,13Rを通過したR光が入射するように設けられている。なお、半導体発光モジュール11G,11Bが出力するG光およびB光はダイクロイックミラー14Rを透過する。
【0028】
ダイクロイックミラー14Bは、半導体発光モジュール11Bが出力するB光を反射する構成を有し、コリメータレンズ12B,13Bを通過したB光が入射するように設けられている。なお、半導体発光モジュール11R,11Gが出力するR光およびG光はダイクロイックミラー14Bを透過する。
【0029】
図2の例では、ダイクロイックミラー14R,14Bは交差しており、ダイクロイックミラー14R,14Bで区画された4方向のうちの3方向に半導体発光モジュール11R,11G,11Bがそれぞれ設けられ、残る1方向に導光部3が設けられている。
【0030】
かかる配置例では、半導体発光モジュール11Rから出射されコリメータレンズ12R,13Rを通過したR光は、ダイクロイックミラー14Rで反射する一方、ダイクロイックミラー14Bを透過して、導光部3へ入力される。同様に、半導体発光モジュール11Bから出射されコリメータレンズ12B,13Bを通過したB光は、ダイクロイックミラー14Bで反射する一方、ダイクロイックミラー14Rを透過して、導光部3へ入力される。また、半導体発光モジュール11Gから出射されコリメータレンズ12G,13Gを通過したG光は、ダイクロイックミラー14R,14Bを透過して、導光部3へ入力される。
【0031】
光源部2から出力される(換言すれば導光部3へ入力される)R光、G光およびB光が同じ光路を辿るように、半導体発光モジュール11R,11G,11B、コリメータレンズ12R,13R,12G,13G,12B,13B、および、ダイクロイックミラー14R,14Bの配置が設定されている。
【0032】
なお、光源部2の構成はかかる例に限定されるものではない。
【0033】
導光部3は、図2の例では、集光レンズ21,22と、ロッドインテグレータ23と、遮光板24と、リレーレンズ25,26,27と、ミラー28,29と、リレーレンズ30と、プリズム31とを含んでいる。
【0034】
集光レンズ21,22は、光源部2から出射されたR光、G光およびB光を集光するように設けられている。集光されたR光、G光およびB光は遮光板24の開口部(後述する)を介してロッドインテグレータ23へ入力される。
【0035】
ロッドインテグレータ23は断面視が矩形の筒状体であり、当該筒状体の内面は光源部2が出射するR光、G光およびB光を反射するように構成されている。例えば4枚の反射ミラーを断面視が矩形になるように筒状に組み合わせて接着剤で固定することによって、ロッドインテグレータ23を形成可能である。
【0036】
ロッドインテグレータ23の一方端の開口部23a(以下、入口開口部23aとも称する)から入力された光は、ロッドインテグレータ23の内面で多数回反射して、他方端の開口部23b(以下、出口開口部23bとも称する)から出射する。ロッドインテグレータ23によれば、入口開口部23aから入力した光束はその断面形状(光軸8に直交する面内での形状)がロッドインテグレータ23の断面形状(光軸8に直交する面内での形状)に応じた矩形に変換されるとともに当該矩形断面内における光強度分布が均一化され、そのように整形された光束が出口開口部23bから出力される。つまり、集光レンズ21,22によって集光されたR光、G光およびB光はロッドインテグレータ23を通過することによって上記のように整形される。
【0037】
ここでは、ロッドインテグレータ23の長手方向における任意の各地点においてロッドインテグレータ23の断面形状は同じ場合を例示する。この場合、入力開口部23aと出口開口部23bは同じ形状である。なお、入力開口部23aと出口開口部23bを異なる形状にすることも可能である。
【0038】
遮光板24は、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aと集光レンズ24との間(したがってロッドインテグレータ23の入口開口部23aと光源部2との間)に配置されている。遮光板24は、集光レンズ21,22によって集光されたR光、G光およびB光の光束のうちでロッドインテグレータ23の内部へ入らない光(つまり不要な光)を遮蔽するために設けられている。上記不要光として例えば、ロッドインテグレータ23を構成する反射ミラーの端面(入口開口部23a側の端面)から入射し反射ミラーの内部を通って出口開口部23b側の端面から出射し進行を続ける光や、反射ミラーの外側を通って進行を続ける光が挙げられる。
【0039】
なお、上記不要光の熱は、反射ミラーを貼り合わせている接着剤の接着力を劣化させる場合があるので、遮光板24によれば、そのような接着力劣化を防止することができる。その結果、ロッドインテグレータ23の変形を防止することができる。
【0040】
遮光板24については後に詳述する。
【0041】
リレーレンズ25,26,27は、ロッドインテグレータ23の出力光を平行光束に整形するように設けられている。ミラー28,29は、リレーレンズ25,26,27によって生成された平行光束をプリズム31へ導くように配置されている。なお、プリズム31とミラー29との間にリレーレンズ30が配置されている。
【0042】
プリズム31は、入射角度に応じて光を屈折または透過させることが可能である。かかる性質に鑑み、プリズム31は、(i)光源部2から到来した照明光をDMD4へ導くこと、(ii)DMD4のオンステート時の反射光を光源部2からの到来光路とは別の光路へ導くこと、(iii)DMD4のオフステート時の反射光を、光源部2からの到来光路およびオンステート時の反射光路とは別の光路へ導くことが可能に構成・配置されている。
【0043】
なお、図2の例では、オンステート時の反射光路はDMD4の画素領域の面に対して略90°を形成し、オフステート時の反射光路は画素領域の面に対して90°よりも小さい角度を形成している。また、DMD4へ到来する照明光の光路は、画素領域の面に対して90°よりも小さいがオフステート時の反射光路についての上記角度よりも大きい角度を形成している。
【0044】
ここで、DMD4は、映像生成回路から出力される映像信号と、半導体発光モジュール11R,11G,11Bの発光順序および発光周期とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて各画素の状態、すなわちマイクロミラーの姿勢角度(オンステートまたはオフステート)を制御する。
【0045】
DMD4のオンステート時の反射光はプリズム31によって投射部5(図1参照)へ導かれ、表示映像を形成する。他方、DMD4のオフステート時の反射光はプリズム31によって光検出部7へ導かれる。
【0046】
光検出部7は、図2の例では、拡散板41と、輝度センサ42とを含んでいる。具体的には、プリズム31から到来する光(すなわちDMD4のオフステート時の反射光)は、拡散板41を介して輝度センサ42へ入射するように、拡散板41と輝度センサ42とが配置されている。輝度センサ42は例えば受光光量に応じて出力電流が変化するセンサである。
【0047】
図3および図4に映像表示装置1の一部構成を例示する斜視図および断面図をそれぞれ示す。なお、図3は図4に図示される断面を望む斜視図である。また、図4中の一点鎖線で囲んだ部分Vの拡大図を図5に示す。また、図5中のVI−VI線における断面図を図6に示す。また、説明を分かりやすくするために、図6から遮光板24を取り除いた状態を図7に示す。
【0048】
図3〜図7は導光部3(図1および図2参照)のより具体的な構成例である。図3〜図7には、集光レンズ21,22とロッドインテグレータ23と遮光板24とリレーレンズ25,26,27とが一体的に保持されてモジュール化された構造が例示されている。なお、かかるモジュールを導光モジュール50と称することにする。
【0049】
図3〜図7に例示の導光モジュール50は、上記要素21〜27の他に、ロッドインテグレータ23の保持部材51と、鏡筒52とを含んでいる。
【0050】
保持部材51は、図3〜図7の例では、第1保持部材51aと、第2保持部材51bとで構成されている。第1保持部材51aは、ロッドインテグレータ23に固着されており、ロッドインテグレータ23を保持した状態で第2保持部材51bに対してねじ53によって固定されている。第2保持部材51bには遮光板24がねじ54によって取り付けられている。なお、ねじ53,54以外の取り付け手法を採用しても構わない。
【0051】
鏡筒52は、図3〜図7の例では、第1鏡筒52aと、第2鏡筒52bと、第3鏡筒52cとが連結されることによって構成されている。ここでは、各鏡筒52a,52b,52cの内部形状は、鏡筒52の中心軸に直交する断面視(図6および図7参照)において円形をしている。第1鏡筒52aは、集光レンズ21,22と、ロッドインテグレータ23および遮光板24が取り付けられた状態の保持部材51とを収納している。第2鏡筒52bはリレーレンズ25を収納しており、第3鏡筒52cはリレーレンズ26,27を収納している。
【0052】
上記要素21〜27は、各レンズ21,22,25,26,27の球面仮想中心と、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aおよび出口開口部23bの開口中心(換言すればロッドインテグレータ23の中心軸)と、遮光板24の開口部(後述する)の開口中心とが、光源部2(図1および図2参照)から供給される照明光の光軸に一致する状態で、鏡筒52内に位置決めされ固定されている。
【0053】
ここで、保持部材51の形状は任意であるが、保持部材51が鏡筒52の内壁に接触することによって、鏡筒52の中心軸(上記光軸8に対応)に直交する面内での移動が規制される形状が好ましい。これによれば、保持部材51を鏡筒52に挿入するだけで、上記直交面内におけるロッドインテグレータ23と遮光板24の位置決めができるからである。
【0054】
そのような形状の一例として、図3〜図7に図示された第2保持部材51bは、第1鏡筒52aの内部空間と同じ形状および寸法の円筒形状を少なくとも一部分に有している。なお、かかる円筒形状の中心軸とロッドインテグレータ23の中心軸とを一致させることにより、ロッドインテグレータ23の中心軸を鏡筒52の中心軸に容易に合わせることができる。
【0055】
図3〜図7の例では、第2保持部材51bを構成する上記円筒形状は、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aの側に、鏡筒52の中心軸に直交し鏡筒52の中心軸方向において集光レンズ21,22と対面する端面51baを有しており、当該端面51baはロッドインテグレータ23の入口開口部23aを取り囲む形状をしている。より具体的には、第2保持部材51bを構成する上記円筒形状はロッドインテグレータ23を収納可能な中空形状をしており、当該中空空間端面51baに至っているため、端面51baの中央部が開口している。端面51baの当該開口部にロッドインテグレータ23の入口開口部23aが位置している。図3〜図6に示すように当該端面51baに遮光板24が取り付けられている。
【0056】
ここで、DMD4の画素領域と、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aおよび出口開口部23bと、遮光板24の開口部とは、それぞれの形状(より具体的には平面視形状)が互いに相似形をしている。
【0057】
なお、相似比が1である場合(すなわち合同)も相似の一形態に含まれるものとする。
【0058】
相似の関係が保たれる限り、ロッドインテグレータ23の出口開口部23bとDMD4の画素領域とのいずれが大きくても構わないし、両者が同じ大きさであっても構わない。ロッドインテグレータ23から出力された矩形光束の断面寸法は、DMD4への照射前に、リレーレンズ25,26,27等によって調整可能だからである。なお、図2ではDMD4の画素領域の方が大きい場合を例示している。
【0059】
また、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aと遮光板24の開口部とのいずれが大きくても構わないし、両者が同じ大きさであっても構わない。但し、遮光板24による上記効果を得るためには、集光レンズ21,22によって集光された光束が、ロッドインテグレータ23の外部を進行せず、また、ロッドインテグレータ23を構成する反射ミラーの端面へ進入しないことが好ましい。また、光の利用効率の点からすれば、より多くの光量がロッドインテグレータ23内へ入力されるのが好ましい。これらに鑑みると、遮光板24の開口部とロッドインテグレータ23の入口開口部23aとは略同じ大きさ(上記の観点に応じた寸法差は許容される)であることが好ましい(図5の例を参照)。
【0060】
ところで、DMD4の画素領域の縦横比は様々である。例えばWUXGAでは、画素領域は1920×1200ピクセルで構成され、その縦横比は約16:10である。また、XGAでは、画素領域は1024×768ピクセルで構成され、その縦横比は約4:3である。また、1080Pでは、画素領域は1920×1080ピクセルで構成され、その縦横比は約16:9である。
【0061】
このため、搭載するDMD4の画素領域の縦横比に応じて、ロッドインテグレータ23の種類が使い分けられる。これに対し、遮光板24には以下に説明する工夫が施されているため、1つの遮光板24で複数種類のDMD4に対応可能、換言すれば複数種類のロッドインテグレータ23に対応可能である。
【0062】
なお、ここでは、DMD4とロッドインテグレータ23と遮光板24以外の要素は、搭載されるDMD4およびロッドインテグレータ23の種類を問わず共用されるものとする。
【0063】
図8に遮光板24の平面図を示す。図8は図6から遮光板24以外の要素を取り除いた図に相当する。但し、第2保持部材51bの外形(換言すれば第1鏡筒52aの内壁面の形状)を二点鎖線で残している。
【0064】
図8に例示の遮光板24には3種類の開口部24a,24b,24cが設けられている。いずれの開口部24a,24b,24cも光源部2からの出射光をロッドインテグレータ23へ通過させるための矩形の開口部であるが、縦横比が異なる。例えば、開口部24aはWUXGA対応の縦横比を有し、開口部24bはXGA対応の縦横比を有し、開口部24cは1080P対応の縦横比を有する。
【0065】
3種類の開口部24a,24b,24cは、搭載されているDMD4の画素領域の縦横比に応じて、換言すればロッドインテグレータ23の入口開口部23aの縦横比に応じて、選択的に利用される。より具体的には、開口部24a,24b,24cのうちで、搭載されているロッドインテグレータ23の入口開口部23aと相似形の開口部を当該入口開口部23aに整合させた状態で、遮光板24が配置される。
【0066】
なお、2つの開口部が整合状態にあるとは、(a)双方の開口部の中心が一致し、かつ、(b)対応する辺が平行をなしている状態をいう。なお、矩形の開口部の場合、条件(b)の代わりに、(c)開口部の長手方向が同じである(換言すれば平行をなしている)という条件を用いてもよい。
【0067】
例えば図6には、開口部24aがロッドインテグレータ23と組み合わされた状態を例示している。また、図9に開口部24bがロッドインテグレータ23と組み合わされた状態を例示し、図10に開口部24cがロッドインテグレータ23と組み合わされた状態を例示する。
【0068】
このように遮光板24が3種類の開口部24a,24b,24cを有し、これらの開口部24a,24b,24cのうちの一つが選択的に利用される。したがって、1種類の遮光板24を3種類のロッドインテグレータ23で、換言すれば3種類のDMD4で共用することができる。
【0069】
その結果、遮光板を製造するためのプレス金型の種類を減らすことができる。具体的には、遮光板24によれば、1つの開口部しか有さない遮光板に比べて、プレス金型の種類を1/3に減らすことができる。このためプレス金型の製作コストを抑制できる。
【0070】
また、開口部24aのみを有した遮光板と、開口部24bのみを有した遮光板と、開口部24cのみを有した遮光板とを別々に製造する場合に比べて、遮光板用の材料の減量化を図ることができる。
【0071】
ここで開口部24a,24b,24cの寸法を例示すると、WUXGA用の開口部24aは横10.72mm、縦7.38mmであり、XGA用の開口部24bは横9.3mm、縦7.3mmであり、1080P用の開口部24cは横10.72mm、縦6.73mmである。
【0072】
かかる例の場合、開口部24a,24cについては横寸法が同じであるが、縦寸法の差が0.65mm(=7.38mm−6.73mm)しかない。このため、仮に開口部24aのみを有する遮光板と開口部24cのみを有する遮光板を製造した場合、遮光板だけを見ても目視では開口部24a,24cを判別するのは困難である。
【0073】
このため、例えば、指定した種類とは異なる遮光板が部品生産工場から組立工場へ送付されてしまう可能性がある。また、例えば、そのような異なる遮光板が部品倉庫から組立ラインへ投入されてそのまま取り付けられてしまう可能性がある。また、例えば、種類の異なる遮光板が混在してしまった場合、これらを目視検査で正確に選別するのは困難である。
【0074】
これに対し、遮光板24によれば、このような問題を解決可能である。例えば、搭載するDMD4の種類が異なる3種類の映像表示装置1が同じ場所で製造される場合であっても(3種類の映像表示装置1は同じラインで製造されてもよいし、別々のラインで製造されてもよい)、組立ラインに供給すべき遮光板は1種類で済む。このため、異なる種類の遮光板が間違って供給されることがなくなる。また、例えば、遮光板の製造後にWUXGAとXGAと1080Pについて生産数量の比率が変更になった場合でも、組立ラインに供給すべき遮光板の数量の過不足を抑制できる。
【0075】
上記の各種効果に鑑みると、遮光板24の採用は特に多品種少量生産の映像表示装置、例えば業務用途に使用されるプロジェクタに好適である。
【0076】
ここで、図11に遮光板24の形状を説明するための図を示す。図11は図8と同様の平面図であるが、説明を分かりやすくするために描画線の太さおよび種類を様々に変えている。
【0077】
図11に示すように、遮光板24の開口部24a,24b,24cは当該遮光板24の中心24dから見て放射状に並んでいる。かかる配置例に限定されるものではないが、放射状配列によれば開口部24a,24b,24cをコンパクトにまとめることができる。これにより、遮光板24の小型化や材料減量化を図ることができる。
【0078】
なお、図11の例では、各開口部24a,24b,24cの中心24ad,24bd,24cdは、遮光板24の中心24dを中心として周方向に等角度(すなわち120°)で位置し、また、遮光板24の中心24dから等距離に位置している。
【0079】
また、上記のように遮光板24は第2保持部材51bの端面51baに取り付けられており、遮光板24は、開口部24a,24b,24cのうちのいずれをロッドインテグレータ23の入口開口部23aに整合させた状態でも、第2保持部材51bの端面51baからはみ出さない形状を有している(図6、図9および図10を参照)。これにより、遮光板24の小型化を図ることができ、その結果、遮光板用の材料の減量化を図ることができる。
【0080】
また、遮光板24が第2保持部材51bの端面51baからはみ出さないことにより、遮光板24の大きさは鏡筒52の内径の設計に影響を及ぼさない。その分、鏡筒52の寸法設計や材料選定が容易になる。
【0081】
第2保持部材51bの端面51baからはみ出さない形状の一例が、図6、図9、図10および図11から把握される。すなわち、遮光板24の開口部24a,24b,24cのうちのいずれが上記整合状態にある場合でも、遮光板24の外縁の一部分24e,24f,24g(図11参照)のいずれかが、第2保持部材51bの端面51baの外縁51baaに一致する。
【0082】
より具体的には、遮光板24の外縁の一部分24eは、開口部24aの中心24adを中心とする所定半径の円弧である。また、遮光板24の外縁の他の一部分24fは、開口部24bの中心24bdを中心とする所定半径の円弧である。また、遮光板24の外縁の残余の一部分24gは、開口部24cの中心24cdを中心とする所定半径の円弧である。すなわち、これらの円弧が順に繋がって遮光板24の外縁を形成している。ここで、上記所定半径は、第2保持部材51bの端面51baの外縁51baaを形成している円周の半径である。
【0083】
なお、遮光板24の外縁の一部分24eは、遮光板24の中心24dから見て開口部24aとは反対側に位置している。また、遮光板24の外縁の一部分24fは、遮光板24の中心24dから見て開口部24bとは反対側に位置している。また、遮光板24の外縁の一部分24gは、遮光板24の中心24dから見て開口部24cとは反対側に位置している。また、各部分24e,24f,24gは遮光板24の中心24dから遠ざかる方向に向いて凸形状をしている。
【0084】
このような形状によれば、遮光板24の外縁の一部分24e,24f,24gを第2保持部材51bの端面51baの外縁51baaに合わせるだけで、遮光板24を位置決めすることができる。すなわち、遮光板24を容易に位置決めすることができる。
【0085】
また、遮光板24が取り付けられている保持部材51は、鏡筒52の中心軸上から見た場合に、相対的に大きい集光レンズ21(および集光レンズ21と同程度の寸法を有するリレーレンズ26,27)の外形からはみ出さない寸法をしている。このため、保持部材51の大きさは鏡筒52の内径の設計に影響を及ぼさない。かかる点においても、鏡筒52の寸法設計や材料選定が容易になる。
【0086】
例えば、集光レンズ21およびリレーレンズ26,27の最外径は略50mmであり、保持部材51の最外径(より具体的には第2保持部材51bの最外径)が略45mmであり、遮光板24の外縁を構成する各円弧部分24e,24f,24gの半径が略22mmである。ここで、遮光板24の各円弧部分24e,24f,24gの半径は、鏡筒52の中心軸と当該中心軸から最も遠い位置に在る円弧部分24e,24fまたは24gとの間の距離にあたる。このため、上記寸法例によれば、鏡筒52の中心軸上から見て、遮光板24は保持部材51からはみ出さず、保持部材51はレンズ21,26,27からはみ出さない。
【0087】
このため、例えば集光レンズ21,22および保持部材51を収納する第1鏡筒52aを丸棒またはパイプの切削加工により製造する場合、用意する丸棒またはパイプの外径は集光レンズ21の最外径に鏡筒52の肉厚を足した大きさがあればよい。リレーレンズ26,27を収納する第3鏡筒52cについても同様である。また、第2鏡筒52bについては、リレーレンズ25の収納および鏡筒52a,52cの連結が可能な大きさであればよい。つまり、遮光板24を鏡筒52内に収納するために、集光レンズ21の最外径をはるかに超える大きな材料を用意する必要は無い。よって、鏡筒52の製造コストを抑制することができる。
【0088】
上記の各種構成によれば、様々な局面から部品コスト(換言すれば部品製造コスト)の削減や生産性の向上を図ることができる。かかる効果は例えば映像表示装置1の低価格化に貢献するものである。
【0089】
なお、遮光板24の形状について種々の特徴を説明したが、それらの特徴のうちの1つまたは複数を採用した別の形状で以て遮光板を構成することも可能であり、採用した特徴に起因した効果を享受することができる。
【0090】
以下に、種々の変形例を説明する。
【0091】
上記では遮光板24の開口部24a,24b,24cは互いに縦横比が異なる場合を例示した。これに対し、開口部24a,24b,24cの一部または全部は、縦横比が同じであるが大きさが異なるように構成することも可能である。例えば、XGAとSXGA+の縦横比は約4:3で同じであるが、XGAの画素領域は1024×768ピクセルで構成され、SXGA+の画素領域は1400×1050ピクセルで構成されており、両者の画素領域は大きさが異なる。このため、例えば、開口部24aをWUXGA用に形成し、開口部24bをXGA用に形成し、開口部24cをSXGA+用に形成してもよい。
【0092】
また、遮光板24の開口部の個数は、2個または4個以上であっても構わない。
【0093】
また、映像表示装置1の上記例示の構成(図1参照)に他の要素が追加された構成で以て、映像表示装置が提供されてもよい。
【0094】
逆に、映像表示装置1の上記例示の構成(図1参照)から要素を省略した構成で以て、映像表示装置が提供されてもよい。例えば、投射部5とスクリーン6が省略された構成、光検出部7が省略された構成、投射部5とスクリーン6と光検出部7が省略された構成等が、映像表示装置として提供されてもよい。また、DMD4が省略された構成が、映像表示装置として提供されてもよい。これらのような簡略化された構成が提供されることにより、例えば、それを入手した者が、省略された要素に対応する特定の要素と組み合わせることが可能である。
【0095】
また、上記では映像表示装置1がフルカラー表示用である場合を例示したが、映像表示装置1例えば単色表示用に構成することも可能である。
【0096】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0097】
1 映像表示装置、2 光源部、3 導光部、4 表示デバイス、21,22 集光レンズ、23 ロッドインテグレータ、23a 入口開口部、23b 出口開口部、24 遮光板、24a,24b,24c 開口部、24d,24ad,24bd,24cd 中心、24e,24f,24g 外縁の一部分、50 導光モジュール、51 保持部材、51ba 端面、51baa 端面の外縁、52 鏡筒。
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置およびそれに適用可能な導光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には投射型表示装置が記載されている。この投射型表示装置では、キセノンランプの出力光が、集光され、遮光板の開口部を通過し、ロッドインテグレータの入口開口部へ入射される。
【0003】
上記遮光板は、ロッドインテグレータの前に立設し支持台に固定されており、ロッドインテグレータの入口開口部に対面する位置に上記開口部を有している。これにより、必要光はロッドインテグレータへ入射される一方で、不要光は遮光板でキセノンランプ側へ反射される。遮光板の開口部はロッドインテグレータの入口開口部よりも大きく構成されている。
【0004】
ロッドインテグレータ内に入射した光は、ロッドインテグレータの内表面で繰り返し反射され、矩形変換され均一性が向上した光として出口開口部から出射される。ロッドインテグレータから出射した光は、レンズ、ミラー、プリズム等を経由し、DMD(Digital Micromirror Device)等の表示デバイスによって変調されて映像光となり、スクリーンに投射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4572163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、遮光板の開口部とロッドインテグレータの入口開口部とを縦横比が同じ矩形(したがって相似形状にある)に形成することによって、遮光板を通過した光を効率良くロッドインテグレータへ入射させることができる。
【0007】
また、表示デバイスの画素領域の縦横比と、ロッドインテグレータの入口開口部および出口開口部の縦横比とを同じにすることによって、表示デバイスにおいて照明光を無駄なく利用することができ、スクリーン上に明るい映像を表示することができる。
【0008】
ところが、表示デバイスの画素領域の縦横比は様々であり、例えば4:3や16:9の縦横比が知られている。このため、背景技術で説明した構造によれば、4:3の表示デバイスに対しては、縦横比が4:3の入口開口部および出口開口部を有したロッドインテグレータと、縦横比が4:3の開口部を有した遮光板とを準備する必要があり、また、16:9の表示デバイスに対しては、縦横比が16:9の入口開口部および出口開口部を有したロッドインテグレータと、縦横比が16:9の開口部を有した遮光板とを準備する必要がある。
【0009】
また、同じ縦横比を有する表示デバイスであっても、画素領域のサイズが異なる場合がある。このため、画素領域のサイズごとに、ロッドインテグレータおよび遮光板を準備する必要がある。
【0010】
つまり、背景技術の構造では、ロッドインテグレータと遮光板の両方を、表示デバイスの画素領域の縦横比やサイズに応じた専用品として構成する必要がある。換言すれば、ロッドインテグレータと遮光板とは特定の1対1の組み合わせでしか利用することができない。
【0011】
本発明は、1種類の遮光板で複数種類のロッドインテグレータに対応可能な構造を有した映像表示装置を提供することを目的とする。また、そのような映像表示装置に適用可能な導光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る映像表示装置は、光源部と、表示映像を形成するための画素領域を有する表示デバイスと、前記光源部からの出射光を前記表示デバイスの前記画素領域へ導く導光部とを備え、前記導光部は、前記光源部からの前記出射光が入射する入口開口部と前記入口開口部の反対側の出口開口部とを有するロッドインテグレータと、前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と前記光源部との間に配置された遮光板とを含み、前記遮光板は、前記光源部からの前記出射光を前記ロッドインテグレータへ通過させるための複数種類の開口部を有し、前記複数種類の開口部のうちで、搭載されている前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と相似形の開口部を前記入口開口部に整合させた状態で配置されている。
【発明の効果】
【0013】
上記の一態様によれば、遮光板が複数種類の開口部を有し、これらの開口部のうちの一つが選択的に利用される。したがって、1種類の遮光板で複数種類のロッドインテグレータに対応可能な構造を提供することができる。
【0014】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る映像表示装置の構成概略図である。
【図2】実施の形態に係る映像表示装置を例示する斜視図である。
【図3】実施の形態に係る映像表示装置を例示する、断面を含んだ斜視図である。
【図4】実施の形態に係る映像表示装置を例示する断面図である。
【図5】図4中の一点鎖線で囲んだ部分Vの拡大図である。
【図6】図5中のVI−VI線における断面図である。
【図7】図6から遮光板を取り除いた状態を示す図である。
【図8】実施の形態に係る遮光板を例示する平面図である。
【図9】図6に対応する断面図である。
【図10】図6に対応する断面図である。
【図11】実施の形態に係る遮光板の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に実施の形態に係る映像表示装置1の構成概略図を示す。図1の例では、映像表示装置1は、投射型の映像表示装置(いわゆるプロジェクタ)であり、光源部2と、導光部3と、表示デバイス4と、投射部5と、スクリーン6と、光検出部7とを含んでいる。
【0017】
なお、以下では映像表示装置1の光学系およびそれの関連構造を主として説明するため、電源系、処理系、制御系等についての図示および詳述は省略する。換言すれば、映像表示装置1の電源系、処理系、制御系等には既存の各種構成を適用可能である。
【0018】
光源部2は、表示映像の投射に利用する照明光を出力するように構成されている。なお、説明を分かりやすくするために、光源部2の出力光の光軸(換言すれば光路)8を二点鎖線で図示している。導光部3は、光源部2から出射される光を表示デバイス4へ導くように構成されている。
【0019】
表示デバイス4は、導光部3によって導かれた照明光と、表示映像のデータとを取得し、照明光を表示映像データに基づいて加工し、加工後の光(すなわち表示映像)を出力するように構成されている。表示デバイス4は表示映像を形成するための画素が配列された領域(以下、画素領域とも称する)を有しており、当該画素領域に、光源部2からの出力光が導光部4を介して照射される。各画素の状態が、対応する表示映像データに基づいて制御されることによって、表示映像が形成される。
【0020】
ここでは表示デバイス4としてDMD(Digital Micromirror Device)を例示し、表示デバイス4をDMD4とも称することにする。但し、液晶パネル等の他の表示デバイスを採用することも可能である。
【0021】
投射部5は、表示デバイス4で形成された表示映像を拡大投射するように構成されている。スクリーン6は、投射部5からの出力光が照射される部材である。ここで、映像表示装置1は、スクリーン6上の表示映像を投射部5と同じ側から見る構成(いわゆるフロント型)と、スクリーン6上の表示映像を投射部5とは反対側から見る構成(いわゆるリア型)とのいずれに構成することも可能である。なお、フロント型の場合、スクリーン6を除いた構成を映像表示装置1と称してもよい。
【0022】
光検出部7は、DMD4のオフステート時の反射光を検出するように構成されている。光検出部7によって測定された光強度は、例えば光源部2の出力光のレベル監視に利用される。
【0023】
図2に映像表示装置1の一部構成を例示する斜視図を示す。図2には光源部2と、導光部3と、DMD4と、光検出部7とを図示している。
【0024】
図2の例では、光源部2は、半導体発光モジュール11R,11G,11Bと、コリメータレンズ12R,13R,12G,13G,12B,13Bと、ダイクロイックミラー14R,14Bとを含んでいる。
【0025】
半導体発光モジュール11Rは、赤色の光(以下、R光とも称する)を出力する半導体発光素子(LEDやレーザー等)が基台に実装された構成を有する。半導体発光モジュール11Gも同様に構成され、緑色の光(以下、G光とも称する)を出力する。また、半導体発光モジュール11Bも同様に構成され、青色の光(以下、B光とも称する)を出力する。なお、半導体発光モジュール11R,11G,11Bは所定周期で順番に光出力をするように制御される。
【0026】
コリメータレンズ12R,13Rは、半導体発光モジュール11Rの出力光を平行光束に整形するように設けられている。同様に、コリメータレンズ12G,13Gは半導体発光モジュール11Gの出力光を平行光束に整形するように設けられており、コリメータレンズ12B,13Bは半導体発光モジュール11Bの出力光を平行光束に整形するように設けられている。
【0027】
ダイクロイックミラー14Rは、半導体発光モジュール11Rが出力するR光を反射する構成を有し、コリメータレンズ12R,13Rを通過したR光が入射するように設けられている。なお、半導体発光モジュール11G,11Bが出力するG光およびB光はダイクロイックミラー14Rを透過する。
【0028】
ダイクロイックミラー14Bは、半導体発光モジュール11Bが出力するB光を反射する構成を有し、コリメータレンズ12B,13Bを通過したB光が入射するように設けられている。なお、半導体発光モジュール11R,11Gが出力するR光およびG光はダイクロイックミラー14Bを透過する。
【0029】
図2の例では、ダイクロイックミラー14R,14Bは交差しており、ダイクロイックミラー14R,14Bで区画された4方向のうちの3方向に半導体発光モジュール11R,11G,11Bがそれぞれ設けられ、残る1方向に導光部3が設けられている。
【0030】
かかる配置例では、半導体発光モジュール11Rから出射されコリメータレンズ12R,13Rを通過したR光は、ダイクロイックミラー14Rで反射する一方、ダイクロイックミラー14Bを透過して、導光部3へ入力される。同様に、半導体発光モジュール11Bから出射されコリメータレンズ12B,13Bを通過したB光は、ダイクロイックミラー14Bで反射する一方、ダイクロイックミラー14Rを透過して、導光部3へ入力される。また、半導体発光モジュール11Gから出射されコリメータレンズ12G,13Gを通過したG光は、ダイクロイックミラー14R,14Bを透過して、導光部3へ入力される。
【0031】
光源部2から出力される(換言すれば導光部3へ入力される)R光、G光およびB光が同じ光路を辿るように、半導体発光モジュール11R,11G,11B、コリメータレンズ12R,13R,12G,13G,12B,13B、および、ダイクロイックミラー14R,14Bの配置が設定されている。
【0032】
なお、光源部2の構成はかかる例に限定されるものではない。
【0033】
導光部3は、図2の例では、集光レンズ21,22と、ロッドインテグレータ23と、遮光板24と、リレーレンズ25,26,27と、ミラー28,29と、リレーレンズ30と、プリズム31とを含んでいる。
【0034】
集光レンズ21,22は、光源部2から出射されたR光、G光およびB光を集光するように設けられている。集光されたR光、G光およびB光は遮光板24の開口部(後述する)を介してロッドインテグレータ23へ入力される。
【0035】
ロッドインテグレータ23は断面視が矩形の筒状体であり、当該筒状体の内面は光源部2が出射するR光、G光およびB光を反射するように構成されている。例えば4枚の反射ミラーを断面視が矩形になるように筒状に組み合わせて接着剤で固定することによって、ロッドインテグレータ23を形成可能である。
【0036】
ロッドインテグレータ23の一方端の開口部23a(以下、入口開口部23aとも称する)から入力された光は、ロッドインテグレータ23の内面で多数回反射して、他方端の開口部23b(以下、出口開口部23bとも称する)から出射する。ロッドインテグレータ23によれば、入口開口部23aから入力した光束はその断面形状(光軸8に直交する面内での形状)がロッドインテグレータ23の断面形状(光軸8に直交する面内での形状)に応じた矩形に変換されるとともに当該矩形断面内における光強度分布が均一化され、そのように整形された光束が出口開口部23bから出力される。つまり、集光レンズ21,22によって集光されたR光、G光およびB光はロッドインテグレータ23を通過することによって上記のように整形される。
【0037】
ここでは、ロッドインテグレータ23の長手方向における任意の各地点においてロッドインテグレータ23の断面形状は同じ場合を例示する。この場合、入力開口部23aと出口開口部23bは同じ形状である。なお、入力開口部23aと出口開口部23bを異なる形状にすることも可能である。
【0038】
遮光板24は、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aと集光レンズ24との間(したがってロッドインテグレータ23の入口開口部23aと光源部2との間)に配置されている。遮光板24は、集光レンズ21,22によって集光されたR光、G光およびB光の光束のうちでロッドインテグレータ23の内部へ入らない光(つまり不要な光)を遮蔽するために設けられている。上記不要光として例えば、ロッドインテグレータ23を構成する反射ミラーの端面(入口開口部23a側の端面)から入射し反射ミラーの内部を通って出口開口部23b側の端面から出射し進行を続ける光や、反射ミラーの外側を通って進行を続ける光が挙げられる。
【0039】
なお、上記不要光の熱は、反射ミラーを貼り合わせている接着剤の接着力を劣化させる場合があるので、遮光板24によれば、そのような接着力劣化を防止することができる。その結果、ロッドインテグレータ23の変形を防止することができる。
【0040】
遮光板24については後に詳述する。
【0041】
リレーレンズ25,26,27は、ロッドインテグレータ23の出力光を平行光束に整形するように設けられている。ミラー28,29は、リレーレンズ25,26,27によって生成された平行光束をプリズム31へ導くように配置されている。なお、プリズム31とミラー29との間にリレーレンズ30が配置されている。
【0042】
プリズム31は、入射角度に応じて光を屈折または透過させることが可能である。かかる性質に鑑み、プリズム31は、(i)光源部2から到来した照明光をDMD4へ導くこと、(ii)DMD4のオンステート時の反射光を光源部2からの到来光路とは別の光路へ導くこと、(iii)DMD4のオフステート時の反射光を、光源部2からの到来光路およびオンステート時の反射光路とは別の光路へ導くことが可能に構成・配置されている。
【0043】
なお、図2の例では、オンステート時の反射光路はDMD4の画素領域の面に対して略90°を形成し、オフステート時の反射光路は画素領域の面に対して90°よりも小さい角度を形成している。また、DMD4へ到来する照明光の光路は、画素領域の面に対して90°よりも小さいがオフステート時の反射光路についての上記角度よりも大きい角度を形成している。
【0044】
ここで、DMD4は、映像生成回路から出力される映像信号と、半導体発光モジュール11R,11G,11Bの発光順序および発光周期とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて各画素の状態、すなわちマイクロミラーの姿勢角度(オンステートまたはオフステート)を制御する。
【0045】
DMD4のオンステート時の反射光はプリズム31によって投射部5(図1参照)へ導かれ、表示映像を形成する。他方、DMD4のオフステート時の反射光はプリズム31によって光検出部7へ導かれる。
【0046】
光検出部7は、図2の例では、拡散板41と、輝度センサ42とを含んでいる。具体的には、プリズム31から到来する光(すなわちDMD4のオフステート時の反射光)は、拡散板41を介して輝度センサ42へ入射するように、拡散板41と輝度センサ42とが配置されている。輝度センサ42は例えば受光光量に応じて出力電流が変化するセンサである。
【0047】
図3および図4に映像表示装置1の一部構成を例示する斜視図および断面図をそれぞれ示す。なお、図3は図4に図示される断面を望む斜視図である。また、図4中の一点鎖線で囲んだ部分Vの拡大図を図5に示す。また、図5中のVI−VI線における断面図を図6に示す。また、説明を分かりやすくするために、図6から遮光板24を取り除いた状態を図7に示す。
【0048】
図3〜図7は導光部3(図1および図2参照)のより具体的な構成例である。図3〜図7には、集光レンズ21,22とロッドインテグレータ23と遮光板24とリレーレンズ25,26,27とが一体的に保持されてモジュール化された構造が例示されている。なお、かかるモジュールを導光モジュール50と称することにする。
【0049】
図3〜図7に例示の導光モジュール50は、上記要素21〜27の他に、ロッドインテグレータ23の保持部材51と、鏡筒52とを含んでいる。
【0050】
保持部材51は、図3〜図7の例では、第1保持部材51aと、第2保持部材51bとで構成されている。第1保持部材51aは、ロッドインテグレータ23に固着されており、ロッドインテグレータ23を保持した状態で第2保持部材51bに対してねじ53によって固定されている。第2保持部材51bには遮光板24がねじ54によって取り付けられている。なお、ねじ53,54以外の取り付け手法を採用しても構わない。
【0051】
鏡筒52は、図3〜図7の例では、第1鏡筒52aと、第2鏡筒52bと、第3鏡筒52cとが連結されることによって構成されている。ここでは、各鏡筒52a,52b,52cの内部形状は、鏡筒52の中心軸に直交する断面視(図6および図7参照)において円形をしている。第1鏡筒52aは、集光レンズ21,22と、ロッドインテグレータ23および遮光板24が取り付けられた状態の保持部材51とを収納している。第2鏡筒52bはリレーレンズ25を収納しており、第3鏡筒52cはリレーレンズ26,27を収納している。
【0052】
上記要素21〜27は、各レンズ21,22,25,26,27の球面仮想中心と、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aおよび出口開口部23bの開口中心(換言すればロッドインテグレータ23の中心軸)と、遮光板24の開口部(後述する)の開口中心とが、光源部2(図1および図2参照)から供給される照明光の光軸に一致する状態で、鏡筒52内に位置決めされ固定されている。
【0053】
ここで、保持部材51の形状は任意であるが、保持部材51が鏡筒52の内壁に接触することによって、鏡筒52の中心軸(上記光軸8に対応)に直交する面内での移動が規制される形状が好ましい。これによれば、保持部材51を鏡筒52に挿入するだけで、上記直交面内におけるロッドインテグレータ23と遮光板24の位置決めができるからである。
【0054】
そのような形状の一例として、図3〜図7に図示された第2保持部材51bは、第1鏡筒52aの内部空間と同じ形状および寸法の円筒形状を少なくとも一部分に有している。なお、かかる円筒形状の中心軸とロッドインテグレータ23の中心軸とを一致させることにより、ロッドインテグレータ23の中心軸を鏡筒52の中心軸に容易に合わせることができる。
【0055】
図3〜図7の例では、第2保持部材51bを構成する上記円筒形状は、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aの側に、鏡筒52の中心軸に直交し鏡筒52の中心軸方向において集光レンズ21,22と対面する端面51baを有しており、当該端面51baはロッドインテグレータ23の入口開口部23aを取り囲む形状をしている。より具体的には、第2保持部材51bを構成する上記円筒形状はロッドインテグレータ23を収納可能な中空形状をしており、当該中空空間端面51baに至っているため、端面51baの中央部が開口している。端面51baの当該開口部にロッドインテグレータ23の入口開口部23aが位置している。図3〜図6に示すように当該端面51baに遮光板24が取り付けられている。
【0056】
ここで、DMD4の画素領域と、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aおよび出口開口部23bと、遮光板24の開口部とは、それぞれの形状(より具体的には平面視形状)が互いに相似形をしている。
【0057】
なお、相似比が1である場合(すなわち合同)も相似の一形態に含まれるものとする。
【0058】
相似の関係が保たれる限り、ロッドインテグレータ23の出口開口部23bとDMD4の画素領域とのいずれが大きくても構わないし、両者が同じ大きさであっても構わない。ロッドインテグレータ23から出力された矩形光束の断面寸法は、DMD4への照射前に、リレーレンズ25,26,27等によって調整可能だからである。なお、図2ではDMD4の画素領域の方が大きい場合を例示している。
【0059】
また、ロッドインテグレータ23の入口開口部23aと遮光板24の開口部とのいずれが大きくても構わないし、両者が同じ大きさであっても構わない。但し、遮光板24による上記効果を得るためには、集光レンズ21,22によって集光された光束が、ロッドインテグレータ23の外部を進行せず、また、ロッドインテグレータ23を構成する反射ミラーの端面へ進入しないことが好ましい。また、光の利用効率の点からすれば、より多くの光量がロッドインテグレータ23内へ入力されるのが好ましい。これらに鑑みると、遮光板24の開口部とロッドインテグレータ23の入口開口部23aとは略同じ大きさ(上記の観点に応じた寸法差は許容される)であることが好ましい(図5の例を参照)。
【0060】
ところで、DMD4の画素領域の縦横比は様々である。例えばWUXGAでは、画素領域は1920×1200ピクセルで構成され、その縦横比は約16:10である。また、XGAでは、画素領域は1024×768ピクセルで構成され、その縦横比は約4:3である。また、1080Pでは、画素領域は1920×1080ピクセルで構成され、その縦横比は約16:9である。
【0061】
このため、搭載するDMD4の画素領域の縦横比に応じて、ロッドインテグレータ23の種類が使い分けられる。これに対し、遮光板24には以下に説明する工夫が施されているため、1つの遮光板24で複数種類のDMD4に対応可能、換言すれば複数種類のロッドインテグレータ23に対応可能である。
【0062】
なお、ここでは、DMD4とロッドインテグレータ23と遮光板24以外の要素は、搭載されるDMD4およびロッドインテグレータ23の種類を問わず共用されるものとする。
【0063】
図8に遮光板24の平面図を示す。図8は図6から遮光板24以外の要素を取り除いた図に相当する。但し、第2保持部材51bの外形(換言すれば第1鏡筒52aの内壁面の形状)を二点鎖線で残している。
【0064】
図8に例示の遮光板24には3種類の開口部24a,24b,24cが設けられている。いずれの開口部24a,24b,24cも光源部2からの出射光をロッドインテグレータ23へ通過させるための矩形の開口部であるが、縦横比が異なる。例えば、開口部24aはWUXGA対応の縦横比を有し、開口部24bはXGA対応の縦横比を有し、開口部24cは1080P対応の縦横比を有する。
【0065】
3種類の開口部24a,24b,24cは、搭載されているDMD4の画素領域の縦横比に応じて、換言すればロッドインテグレータ23の入口開口部23aの縦横比に応じて、選択的に利用される。より具体的には、開口部24a,24b,24cのうちで、搭載されているロッドインテグレータ23の入口開口部23aと相似形の開口部を当該入口開口部23aに整合させた状態で、遮光板24が配置される。
【0066】
なお、2つの開口部が整合状態にあるとは、(a)双方の開口部の中心が一致し、かつ、(b)対応する辺が平行をなしている状態をいう。なお、矩形の開口部の場合、条件(b)の代わりに、(c)開口部の長手方向が同じである(換言すれば平行をなしている)という条件を用いてもよい。
【0067】
例えば図6には、開口部24aがロッドインテグレータ23と組み合わされた状態を例示している。また、図9に開口部24bがロッドインテグレータ23と組み合わされた状態を例示し、図10に開口部24cがロッドインテグレータ23と組み合わされた状態を例示する。
【0068】
このように遮光板24が3種類の開口部24a,24b,24cを有し、これらの開口部24a,24b,24cのうちの一つが選択的に利用される。したがって、1種類の遮光板24を3種類のロッドインテグレータ23で、換言すれば3種類のDMD4で共用することができる。
【0069】
その結果、遮光板を製造するためのプレス金型の種類を減らすことができる。具体的には、遮光板24によれば、1つの開口部しか有さない遮光板に比べて、プレス金型の種類を1/3に減らすことができる。このためプレス金型の製作コストを抑制できる。
【0070】
また、開口部24aのみを有した遮光板と、開口部24bのみを有した遮光板と、開口部24cのみを有した遮光板とを別々に製造する場合に比べて、遮光板用の材料の減量化を図ることができる。
【0071】
ここで開口部24a,24b,24cの寸法を例示すると、WUXGA用の開口部24aは横10.72mm、縦7.38mmであり、XGA用の開口部24bは横9.3mm、縦7.3mmであり、1080P用の開口部24cは横10.72mm、縦6.73mmである。
【0072】
かかる例の場合、開口部24a,24cについては横寸法が同じであるが、縦寸法の差が0.65mm(=7.38mm−6.73mm)しかない。このため、仮に開口部24aのみを有する遮光板と開口部24cのみを有する遮光板を製造した場合、遮光板だけを見ても目視では開口部24a,24cを判別するのは困難である。
【0073】
このため、例えば、指定した種類とは異なる遮光板が部品生産工場から組立工場へ送付されてしまう可能性がある。また、例えば、そのような異なる遮光板が部品倉庫から組立ラインへ投入されてそのまま取り付けられてしまう可能性がある。また、例えば、種類の異なる遮光板が混在してしまった場合、これらを目視検査で正確に選別するのは困難である。
【0074】
これに対し、遮光板24によれば、このような問題を解決可能である。例えば、搭載するDMD4の種類が異なる3種類の映像表示装置1が同じ場所で製造される場合であっても(3種類の映像表示装置1は同じラインで製造されてもよいし、別々のラインで製造されてもよい)、組立ラインに供給すべき遮光板は1種類で済む。このため、異なる種類の遮光板が間違って供給されることがなくなる。また、例えば、遮光板の製造後にWUXGAとXGAと1080Pについて生産数量の比率が変更になった場合でも、組立ラインに供給すべき遮光板の数量の過不足を抑制できる。
【0075】
上記の各種効果に鑑みると、遮光板24の採用は特に多品種少量生産の映像表示装置、例えば業務用途に使用されるプロジェクタに好適である。
【0076】
ここで、図11に遮光板24の形状を説明するための図を示す。図11は図8と同様の平面図であるが、説明を分かりやすくするために描画線の太さおよび種類を様々に変えている。
【0077】
図11に示すように、遮光板24の開口部24a,24b,24cは当該遮光板24の中心24dから見て放射状に並んでいる。かかる配置例に限定されるものではないが、放射状配列によれば開口部24a,24b,24cをコンパクトにまとめることができる。これにより、遮光板24の小型化や材料減量化を図ることができる。
【0078】
なお、図11の例では、各開口部24a,24b,24cの中心24ad,24bd,24cdは、遮光板24の中心24dを中心として周方向に等角度(すなわち120°)で位置し、また、遮光板24の中心24dから等距離に位置している。
【0079】
また、上記のように遮光板24は第2保持部材51bの端面51baに取り付けられており、遮光板24は、開口部24a,24b,24cのうちのいずれをロッドインテグレータ23の入口開口部23aに整合させた状態でも、第2保持部材51bの端面51baからはみ出さない形状を有している(図6、図9および図10を参照)。これにより、遮光板24の小型化を図ることができ、その結果、遮光板用の材料の減量化を図ることができる。
【0080】
また、遮光板24が第2保持部材51bの端面51baからはみ出さないことにより、遮光板24の大きさは鏡筒52の内径の設計に影響を及ぼさない。その分、鏡筒52の寸法設計や材料選定が容易になる。
【0081】
第2保持部材51bの端面51baからはみ出さない形状の一例が、図6、図9、図10および図11から把握される。すなわち、遮光板24の開口部24a,24b,24cのうちのいずれが上記整合状態にある場合でも、遮光板24の外縁の一部分24e,24f,24g(図11参照)のいずれかが、第2保持部材51bの端面51baの外縁51baaに一致する。
【0082】
より具体的には、遮光板24の外縁の一部分24eは、開口部24aの中心24adを中心とする所定半径の円弧である。また、遮光板24の外縁の他の一部分24fは、開口部24bの中心24bdを中心とする所定半径の円弧である。また、遮光板24の外縁の残余の一部分24gは、開口部24cの中心24cdを中心とする所定半径の円弧である。すなわち、これらの円弧が順に繋がって遮光板24の外縁を形成している。ここで、上記所定半径は、第2保持部材51bの端面51baの外縁51baaを形成している円周の半径である。
【0083】
なお、遮光板24の外縁の一部分24eは、遮光板24の中心24dから見て開口部24aとは反対側に位置している。また、遮光板24の外縁の一部分24fは、遮光板24の中心24dから見て開口部24bとは反対側に位置している。また、遮光板24の外縁の一部分24gは、遮光板24の中心24dから見て開口部24cとは反対側に位置している。また、各部分24e,24f,24gは遮光板24の中心24dから遠ざかる方向に向いて凸形状をしている。
【0084】
このような形状によれば、遮光板24の外縁の一部分24e,24f,24gを第2保持部材51bの端面51baの外縁51baaに合わせるだけで、遮光板24を位置決めすることができる。すなわち、遮光板24を容易に位置決めすることができる。
【0085】
また、遮光板24が取り付けられている保持部材51は、鏡筒52の中心軸上から見た場合に、相対的に大きい集光レンズ21(および集光レンズ21と同程度の寸法を有するリレーレンズ26,27)の外形からはみ出さない寸法をしている。このため、保持部材51の大きさは鏡筒52の内径の設計に影響を及ぼさない。かかる点においても、鏡筒52の寸法設計や材料選定が容易になる。
【0086】
例えば、集光レンズ21およびリレーレンズ26,27の最外径は略50mmであり、保持部材51の最外径(より具体的には第2保持部材51bの最外径)が略45mmであり、遮光板24の外縁を構成する各円弧部分24e,24f,24gの半径が略22mmである。ここで、遮光板24の各円弧部分24e,24f,24gの半径は、鏡筒52の中心軸と当該中心軸から最も遠い位置に在る円弧部分24e,24fまたは24gとの間の距離にあたる。このため、上記寸法例によれば、鏡筒52の中心軸上から見て、遮光板24は保持部材51からはみ出さず、保持部材51はレンズ21,26,27からはみ出さない。
【0087】
このため、例えば集光レンズ21,22および保持部材51を収納する第1鏡筒52aを丸棒またはパイプの切削加工により製造する場合、用意する丸棒またはパイプの外径は集光レンズ21の最外径に鏡筒52の肉厚を足した大きさがあればよい。リレーレンズ26,27を収納する第3鏡筒52cについても同様である。また、第2鏡筒52bについては、リレーレンズ25の収納および鏡筒52a,52cの連結が可能な大きさであればよい。つまり、遮光板24を鏡筒52内に収納するために、集光レンズ21の最外径をはるかに超える大きな材料を用意する必要は無い。よって、鏡筒52の製造コストを抑制することができる。
【0088】
上記の各種構成によれば、様々な局面から部品コスト(換言すれば部品製造コスト)の削減や生産性の向上を図ることができる。かかる効果は例えば映像表示装置1の低価格化に貢献するものである。
【0089】
なお、遮光板24の形状について種々の特徴を説明したが、それらの特徴のうちの1つまたは複数を採用した別の形状で以て遮光板を構成することも可能であり、採用した特徴に起因した効果を享受することができる。
【0090】
以下に、種々の変形例を説明する。
【0091】
上記では遮光板24の開口部24a,24b,24cは互いに縦横比が異なる場合を例示した。これに対し、開口部24a,24b,24cの一部または全部は、縦横比が同じであるが大きさが異なるように構成することも可能である。例えば、XGAとSXGA+の縦横比は約4:3で同じであるが、XGAの画素領域は1024×768ピクセルで構成され、SXGA+の画素領域は1400×1050ピクセルで構成されており、両者の画素領域は大きさが異なる。このため、例えば、開口部24aをWUXGA用に形成し、開口部24bをXGA用に形成し、開口部24cをSXGA+用に形成してもよい。
【0092】
また、遮光板24の開口部の個数は、2個または4個以上であっても構わない。
【0093】
また、映像表示装置1の上記例示の構成(図1参照)に他の要素が追加された構成で以て、映像表示装置が提供されてもよい。
【0094】
逆に、映像表示装置1の上記例示の構成(図1参照)から要素を省略した構成で以て、映像表示装置が提供されてもよい。例えば、投射部5とスクリーン6が省略された構成、光検出部7が省略された構成、投射部5とスクリーン6と光検出部7が省略された構成等が、映像表示装置として提供されてもよい。また、DMD4が省略された構成が、映像表示装置として提供されてもよい。これらのような簡略化された構成が提供されることにより、例えば、それを入手した者が、省略された要素に対応する特定の要素と組み合わせることが可能である。
【0095】
また、上記では映像表示装置1がフルカラー表示用である場合を例示したが、映像表示装置1例えば単色表示用に構成することも可能である。
【0096】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0097】
1 映像表示装置、2 光源部、3 導光部、4 表示デバイス、21,22 集光レンズ、23 ロッドインテグレータ、23a 入口開口部、23b 出口開口部、24 遮光板、24a,24b,24c 開口部、24d,24ad,24bd,24cd 中心、24e,24f,24g 外縁の一部分、50 導光モジュール、51 保持部材、51ba 端面、51baa 端面の外縁、52 鏡筒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
表示映像を形成するための画素領域を有する表示デバイスと、
前記光源部からの出射光を前記表示デバイスの前記画素領域へ導く導光部と
を備え、
前記導光部は、
前記光源部からの前記出射光が入射する入口開口部と前記入口開口部の反対側の出口開口部とを有するロッドインテグレータと、
前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と前記光源部との間に配置された遮光板と
を含み、
前記遮光板は、
前記光源部からの前記出射光を前記ロッドインテグレータへ通過させるための複数種類の開口部を有し、
前記複数種類の開口部のうちで、搭載されている前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と相似形の開口部を前記入口開口部に整合させた状態で配置されている、
映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記遮光板の前記複数種類の開口部は前記遮光板の中心から放射状に並んでいる、
映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置であって、
前記導光部は前記ロッドインテグレータを保持する保持部材をさらに含み、
前記保持部材は前記ロッドインテグレータの前記入口開口部を取り囲む形状をした端面を有し、
前記遮光板は前記状態で前記保持部材の前記端面に取り付けられており、前記遮光板を前記複数種類の開口部のうちのいずれを前記状態で前記端面に取り付けた場合でも前記遮光板が前記端面からはみ出さない、
映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置であって、
前記遮光板を前記複数種類の開口部のうちのいずれを前記状態で前記端面に取り付けた場合でも、前記遮光板の外縁の一部分が前記端面の外縁に一致する、
映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示装置であって、
前記保持部材の前記端面の前記外縁は所定半径の円形をしており、
前記遮光板の前記外縁は前記所定半径で定まる円弧の組み合わせで構成されている、
映像表示装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の映像表示装置であって、
前記導光部は、
前記遮光板と前記光源部との間に配置された集光レンズと、
前記集光レンズおよび前記保持部材を収納する鏡筒と
をさらに含み、
前記保持部材は前記鏡筒の中心軸上から見た場合に前記集光レンズからはみ出さない寸法をしている、
映像表示装置。
【請求項7】
映像表示装置に搭載され、光源部からの出射光を表示デバイスの画素領域へ導く導光モジュールであって、
前記光源部からの前記出射光が入射する入口開口部と前記入口開口部の反対側の出口開口部とを有するロッドインテグレータと、
前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と前記光源部との間に配置された遮光板と
を含み、
前記遮光板は、
前記光源部からの前記出射光を前記ロッドインテグレータへ通過させるための複数種類の開口部を有し、
前記複数種類の開口部のうちで、搭載されている前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と相似形の開口部を前記入口開口部に整合させた状態で配置されている、
導光モジュール。
【請求項1】
光源部と、
表示映像を形成するための画素領域を有する表示デバイスと、
前記光源部からの出射光を前記表示デバイスの前記画素領域へ導く導光部と
を備え、
前記導光部は、
前記光源部からの前記出射光が入射する入口開口部と前記入口開口部の反対側の出口開口部とを有するロッドインテグレータと、
前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と前記光源部との間に配置された遮光板と
を含み、
前記遮光板は、
前記光源部からの前記出射光を前記ロッドインテグレータへ通過させるための複数種類の開口部を有し、
前記複数種類の開口部のうちで、搭載されている前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と相似形の開口部を前記入口開口部に整合させた状態で配置されている、
映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記遮光板の前記複数種類の開口部は前記遮光板の中心から放射状に並んでいる、
映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置であって、
前記導光部は前記ロッドインテグレータを保持する保持部材をさらに含み、
前記保持部材は前記ロッドインテグレータの前記入口開口部を取り囲む形状をした端面を有し、
前記遮光板は前記状態で前記保持部材の前記端面に取り付けられており、前記遮光板を前記複数種類の開口部のうちのいずれを前記状態で前記端面に取り付けた場合でも前記遮光板が前記端面からはみ出さない、
映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置であって、
前記遮光板を前記複数種類の開口部のうちのいずれを前記状態で前記端面に取り付けた場合でも、前記遮光板の外縁の一部分が前記端面の外縁に一致する、
映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示装置であって、
前記保持部材の前記端面の前記外縁は所定半径の円形をしており、
前記遮光板の前記外縁は前記所定半径で定まる円弧の組み合わせで構成されている、
映像表示装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の映像表示装置であって、
前記導光部は、
前記遮光板と前記光源部との間に配置された集光レンズと、
前記集光レンズおよび前記保持部材を収納する鏡筒と
をさらに含み、
前記保持部材は前記鏡筒の中心軸上から見た場合に前記集光レンズからはみ出さない寸法をしている、
映像表示装置。
【請求項7】
映像表示装置に搭載され、光源部からの出射光を表示デバイスの画素領域へ導く導光モジュールであって、
前記光源部からの前記出射光が入射する入口開口部と前記入口開口部の反対側の出口開口部とを有するロッドインテグレータと、
前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と前記光源部との間に配置された遮光板と
を含み、
前記遮光板は、
前記光源部からの前記出射光を前記ロッドインテグレータへ通過させるための複数種類の開口部を有し、
前記複数種類の開口部のうちで、搭載されている前記ロッドインテグレータの前記入口開口部と相似形の開口部を前記入口開口部に整合させた状態で配置されている、
導光モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−159552(P2012−159552A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17469(P2011−17469)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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